(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
(管理システム1の構成)
本発明の第1の実施形態による管理システム1の構成について説明する。
本発明の第1の実施形態による管理システム1は、スレーブ部10とマスタ部20との接続を対応付けて記憶するシステムである。管理システム1は、
図1に示すように、複数のスレーブ部10と、複数のマスタ部20と、管理サーバ30と、容器移動システム40と、ネットワークNWと、を備える。
【0013】
(スレーブ部10の構成)
スレーブ部10は、マスタ部20とは異なる場所(
図1に示す例では倉庫A)に配置されるロボットであり、マスタ部20からネットワークNWを介して受信する制御信号に従って動作する。スレーブ部10がマスタ部20から制御信号を受信し、スレーブ部10がその制御信号に従って動作する場合、スレーブ部10とマスタ部20とは、マスタ・スレーブ型の遠隔作業システムを構成する。スレーブ部10は、
図2に示すように、通信部101と、撮影部102と、把持部103と、を備える。
【0014】
通信部101は、ネットワークNWを介してマスタ部20と通信を行う。通信部101がマスタ部20と通信を行いスレーブ部10とマスタ部20とマスタ・スレーブ型の遠隔作業システムを構成する。
【0015】
撮影部102は、把持する対象である対象物Iを撮影する。撮影部102が撮影する画像は、物体が立体的に見える立体画像である。例えば、立体画像は、視差を有する2つの画像から成るステレオ画像である。また、例えば、立体画像は、奥行き情報を有する3次元グラフィックからなる画像である。撮影部102は、撮影した画像を通信部101を介してマスタ部20に送信する。
【0016】
把持部103は、マスタ部20から通信部101を介して受信した制御信号に従って動作する。把持部103は、例えば、ロボットアームである。
【0017】
(マスタ部20の構成)
マスタ部20は、スレーブ部10とは異なる場所(
図1に示す例では操作者Oの勤務先である操作センタB)に配置され、スレーブ部10を動作させる制御信号を生成し、生成した制御信号をスレーブ部10に送信する。マスタ部20は、
図3に示すように、通信部201と、画像再生部202と、操作入力部203と、を備える。
【0018】
通信部201は、ネットワークNWを介してスレーブ部10及び管理サーバ30と通信を行う。
具体的には、通信部201は、後述する管理サーバ30の操作管理部303から接続指示信号を受信する。接続指示信号には、マスタ部20の識別子とスレーブ部10の識別子が含まれている。通信部201は、受信した接続指示信号の指示するスレーブ部10と通信を行う。
なお、通信を行うマスタ部20とスレーブ部10との組み合わせが変更される場合、変更された時刻と共にそれぞれの識別子が記憶部に書き込まれる。
【0019】
画像再生部202は、通信部201を介して操作対象のスレーブ部10から立体画像を受信する。画像再生部202は、受信した立体画像を表示する。画像再生部202は、例えば、立体画像を仮想現実(Virtual Reality)、拡張現実(Augmented Reality)、または、複合現実(Mixed Reality)と呼ばれる空間において立体画像を表示する。画像再生部202は、例えば、ヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display)である。
【0020】
操作入力部203は、操作者Oが行う操作を検出し、検出した操作に応じた制御信号を通信部201を介して操作対象のスレーブ部10及び管理サーバ30に送信する。操作者Oが行う操作とは、例えば、画像再生部202が表示する立体画像を見ながら対象物Iを把持し所定の位置まで対象物Iを移動させる操作である。所定の位置とは、例えば、対象物Iを配送するために梱包する工程に移すための位置である。
【0021】
(管理サーバ30の構成)
管理サーバ30は、
図4に示すように、通信部301と、記憶部302と、操作管理部303と、を備える。
【0022】
通信部301は、ネットワークNWを介してマスタ部20及び容器移動システム40と通信を行う。
記憶部302は、所定の試験などに基づいて特定された把持する技術レベルを示す操作習熟度とその操作習熟度を有する操作者とを関連付けて記憶する。また、記憶部302は、ネットワークNWを介して接続させるマスタ部20とスレーブ部10との組み合わせをそれぞれの識別子を関連付けて記憶する。なお、通信を行うマスタ部20とスレーブ部10との組み合わせが変更される場合、記憶部302は、変更された時刻と共にそれぞれの識別子を記憶する。
【0023】
操作管理部303は、操作対象であるスレーブ部10が把持すべき対象物Iの状態に基づいて、スレーブ部10を制御するマスタ部20を切り換える。
具体的には、対象物Iの状態とは、対象物Iを把持する操作の難易度である。操作管理部303は、スレーブ部10が把持し難い対象物Iであると判定した場合、操作習熟度の高い操作者Oが操作しているマスタ部20にスレーブ部10を接続する。
【0024】
(容器移動システム40の構成)
容器移動システム40は、
図5に示すように、移動制御部401と、複数の容器Mと、倉庫Aにおいて各容器Mを移動させる機構Tと、を備える。容器Mには対象物Iが保管されている。
移動制御部401は、接続指示信号を受信すると、受信した接続指示信号に含まれるマスタ部20の接続先を特定する。移動制御部401は、機構Tを用いて容器Mを特定したマスタ部20の接続先であるスレーブ部10の位置へ移動させる制御を行う。
【0025】
(管理システム1の処理)
次に、本発明の第1の実施形態による管理システム1の処理について説明する。
ここでは、
図6に示す本発明の第1の実施形態による管理システム1の処理フローについて説明する。
【0026】
操作管理部303は、操作対象であるスレーブ部10に接続する接続指示信号SGを記憶部302においてスレーブ部10に関連付けられたマスタ部20に送信する(ステップS1)。また、このとき、操作管理部303は、その接続指示信号SGを移動制御部401に送信する(ステップS2)。
【0027】
移動制御部401は、管理サーバ30から接続指示信号SGを受信すると、受信した接続指示信号SGに含まれるマスタ部20の接続先を操作対象のスレーブ部10と特定する(ステップS3)。
【0028】
ここで、例えば、購入希望者Pがショッピングサイトで対象物Iを購入する手続きを行ったとする。
【0029】
移動制御部401は、購入希望者Pからの手続きに応じて、対象物Iが保管されている容器Mをスレーブ部10の位置へ移動させる制御を行う(ステップS4)。
容器Mは、スレーブ部10の位置まで移動する。
【0030】
撮影部102は、容器Mに格納された対象物Iを撮影する(ステップS5)。撮影部102は、通信部101を介してマスタ部20及び管理サーバ30に撮影した立体画像を送信する。
【0031】
画像再生部202は、通信部201を介して撮影部102から立体画像を受信する。画像再生部202は、受信した立体画像を表示する(ステップS6)。
操作者Oは、画像再生部202が表示する立体画像を見ながら対象物Iを把持して所定の位置まで移動させる操作を操作入力部203に対して行う。
操作入力部203は、操作者Oによる操作を検出する(ステップS7)。操作入力部203は、検出した操作者Oによる操作に応じた制御信号を生成する(ステップS8)。操作入力部203は、生成した制御信号をスレーブ部10及び管理サーバ30に送信する。なお、操作入力部203は、操作者Oによる操作に応じてリアルタイムで制御信号を生成し、生成する度に生成した制御信号をスレーブ部10及び管理サーバ30に送信する。
【0032】
把持部103は、操作入力部203から制御信号を受信する。把持部103は、受信した制御信号に従って動作する(ステップS9)。なお、把持部103が制御信号に従って対象物Iを把持しようとする場合には、後述するように、対象物Iの操作の難易度と各操作者の操作習熟度とによって、対象物Iを把持できる場合と把持できない場合とが生じる。
【0033】
操作管理部303は、操作対象のスレーブ部10が把持すべき対象物Iの状態に基づいてそのスレーブ部10を制御するマスタ部20を切り換える。例えば、対象物Iの状態とは、対象物Iを把持する操作の難易度である。
具体的には、操作管理部303は、スレーブ部10が把持しようとする対象物Iが把持し難い対象物であるか否かを判定する。より具体的には、対象物Iの形状及び把持するときの対象物Iの姿勢と、その形状と姿勢に応じて予め定められた操作の難易度とが関連づけられて記憶部に記録されている。操作管理部303は、実際に把持する際の対象物Iの形状及び姿勢と誤差の範囲内で一致するものを記憶部が記憶する対象物Iの形状及び姿勢の中から特定する。操作管理部303は、特定した形状及び姿勢に関連付けられている操作の難易度を記憶部において特定する。操作管理部303は、各操作者の操作習熟度と特定した操作の難易度とを比較し、操作習熟度が操作の難易度未満であるか否かを判定する(ステップS10)。操作管理部303は、操作習熟度が操作の難易度以上であると判定した場合に、スレーブ部10が把持しやすい対象物Iであると判定する。また、操作管理部303は、操作習熟度が操作の難易度未満であると判定した場合に、スレーブ部10が把持し難い対象物Iであると判定する。なお、操作習熟度は、操作者の操作の難易度を表すものである。
【0034】
操作管理部303は、操作習熟度が操作の難易度以上であると判定した場合(ステップS10においてNO)、スレーブ部10を制御するマスタ部20を切り換えない(ステップS11)。
スレーブ部10を制御していたマスタ部20が引き続きスレーブ部10を制御する(ステップS12)。
【0035】
操作管理部303は、操作習熟度が操作の難易度未満であると判定した場合(ステップS10においてYES)、スレーブ部10を制御するマスタ部20を、操作の難易度以上の操作習熟度を有する操作者が操作しているマスタ部20に切り換える(ステップS13)。
スレーブ部10を制御していたマスタ部20に代わって、そのマスタ部20を操作していた操作者Oよりも操作習熟度の高い操作者Oが操作するマスタ部20がスレーブ部10を操作する(ステップS14)。
【0036】
以上、本発明の第1の実施形態による管理システム1について説明した。
本発明の第1の実施形態による管理システム1は、遠隔操作可能なマスタ部20とスレーブ部10とを有する遠隔作業システムと、管理サーバ30とを備える。管理システム1において、スレーブ部10は、倉庫Aに配置され対象物Iを把持する。マスタ部20は、倉庫Aとは異なる操作センタBに配置されスレーブ部10を遠隔操作する。管理サーバ30は、スレーブ部10が把持する対象物Iの状態に基づいてスレーブ部10を制御するマスタ部20を切り換える操作管理部303を備える。操作管理部303は、スレーブ部10が把持し難い対象物Iであるか否かを判定する。具体的には、対象物Iの形状及び把持するときの対象物Iの姿勢と、その形状と姿勢に応じて予め定められた操作の難易度とが関連づけられて記憶部に記録されている。操作管理部303は、実際に把持する際の対象物Iの形状及び姿勢と一致するものを記憶部が記憶する対象物Iの形状及び姿勢の中から特定する。操作管理部303は、特定した形状及び姿勢に関連付けられている操作の難易度を特定する。操作管理部303は、各操作者の操作習熟度と特定した操作の難易度とを比較し、操作習熟度が操作の難易度以上であると判定した場合に、スレーブ部10が把持しやすい対象物Iであると判定する。また、操作管理部303は、各操作者の操作習熟度と特定した操作の難易度とを比較し、操作習熟度が操作の難易度未満であると判定した場合に、スレーブ部10が把持し難い対象物Iであると判定する。
このようにすれば、対象物Iを把持する操作のうち、操作の難易度が操作習熟度を超える作業を操作の難易度以上の高い操作習熟度を有する操作者に割り当てることができる。したがって、本発明の第1の実施形態による管理システム1は、操作ができない無駄な時間を低減することができるように、すなわち、作業効率がよくなるようにマスタ部20とスレーブ部10とを接続することができる。
【0037】
<第2の実施形態>
(管理システム1の構成)
本発明の第2の実施形態による管理システム1の構成について説明する。
本発明の第2の実施形態による管理システム1は、対象物Iからスレーブ部10までの距離が長いと判定した場合、マスタ部20の接続先を対象物Iから近いスレーブ部10に変更する。本発明の第2の実施形態による管理システム1は、本発明の第1の実施形態による管理システム1と同様に、複数のスレーブ部10と、複数のマスタ部20と、管理サーバ30と、容器移動システム40と、ネットワークNWと、を備える。
【0038】
(管理サーバ30の構成)
本発明の第2の実施形態による管理サーバ30は、本発明の第1の実施形態による管理サーバ30と同様に、通信部301と、記憶部302と、操作管理部303と、を備える。
【0039】
操作管理部303は、スレーブ部10が把持する対象物Iの状態に基づいてスレーブ部10を制御するマスタ部20を切り換える。
具体的には、対象物Iの状態とは、対象物Iとスレーブ部10との距離である。操作管理部303は、対象物Iからスレーブ部10までの距離が現在の距離よりも短くなる、すなわち対象物Iにより近いスレーブ部10が存在すると判定した場合、マスタ部20の接続先を対象物Iから近いスレーブ部10に変更する。
【0040】
(管理システム1の処理)
次に、本発明の第2の実施形態による管理システム1の処理について説明する。
ここでは、
図7に示す本発明の第2の実施形態による管理システム1の処理フローについて説明する。
なお、ここでの説明において、対象物Iを区別するために一の対象物Iを対象物I1と呼び、対象物I1と異なる対象物Iを対象物I2と呼ぶ。また、容器Mを区別するために一の容器Mを容器M1と呼び、容器M1と異なる容器Mを容器M2と呼ぶ。また、購入希望者Pを区別するために一の購入希望者Pを購入希望者P1と呼び、購入希望者P1と異なる購入希望者Pを購入希望者P2と呼ぶ。また、操作者Oを区別するために一の操作者Oを操作者O1と呼び、操作者O1と異なる操作者Oを操作者O2と呼ぶ。また、スレーブ部10を区別するために一のスレーブ部10をスレーブ部10aと呼び、スレーブ部10aと異なるスレーブ部10をスレーブ部10bと呼ぶ。また、マスタ部20を区別するために一のマスタ部20をマスタ部20aと呼び、マスタ部20aと異なるマスタ部20をマスタ部20bと呼ぶ。
【0041】
操作管理部303は、スレーブ部10aに接続する接続指示信号SG1をマスタ部20aに送信する(ステップS21)。また、操作管理部303は、スレーブ部10bに接続する接続指示信号SG2をマスタ部20bに送信する(ステップS22)。また、このとき、操作管理部303は、接続指示信号SG1及び接続指示信号SG2を移動制御部401に送信する(ステップS23)。
【0042】
移動制御部401は、接続指示信号SG1を受信すると、マスタ部20aの接続先をスレーブ部10aと特定する(ステップS24)。また、移動制御部401は、接続指示信号SG2を受信すると、マスタ部20bの接続先をスレーブ部10bと特定する(ステップS25)。
【0043】
ここで、例えば、購入希望者P1がショッピングサイトで対象物I1を購入する手続きを行ったとする。また、ほぼ同時に、購入希望者P2が同一のショッピングサイトで対象物I2を購入する手続きを行ったとする。
【0044】
移動制御部401は、購入希望者P1からの手続きに応じて、対象物I1が保管されている容器M1をスレーブ部10aの位置へ移動させる制御を行う(ステップS26)。また、移動制御部401は、購入希望者P2からの手続きに応じて、対象物I2が保管されている容器M2をスレーブ部10bの位置へ移動させる制御を行う(ステップS27)。
【0045】
移動制御部401は、容器M1をスレーブ部10aの位置まで移動する制御を行っており、容器M1の現在位置とスレーブ部10aの位置の情報を保持している。また、移動制御部401は、容器M2をスレーブ部10bの位置まで移動する制御を行っており、容器M2の現在位置とスレーブ部10bの位置の情報を保持している。そのため、移動制御部401は、容器M1からスレーブ部10aまでの距離L1、容器M2からスレーブ部10bまでの距離L2、容器M1からスレーブ部10bまでの距離L3、及び、容器M2からスレーブ部10aまでの距離L4のそれぞれを算出することができる。なお、移動制御部401が算出する距離は、容器M1及び容器M2のそれぞれが実際に移動する経路についての移動距離であることが好ましいが、算出が困難な場合には、直線距離や移動する経路の最短距離であってもよい。
移動制御部401は、距離L1、距離L2、距離L3、及び、距離L4のそれぞれを算出する(ステップS28)。移動制御部401は、算出した距離L1、距離L2、距離L3、及び、距離L4を含む情報を管理サーバ30に送信する。
【0046】
操作管理部303は、距離L1、距離L2、距離L3、及び、距離L4を含む情報を容器移動システム40から受信する。
操作管理部303は、受信した情報に含まれる距離L1、距離L2、距離L3、及び、距離L4を特定する。
【0047】
操作管理部303は、容器M1の移動先をスレーブ部10aからスレーブ部10bへ変更し、容器M2の移動先をスレーブ部10bからスレーブ部10aへ変更した場合に、作業効率が向上するか否かを判定する(ステップS29)。
具体的には、操作管理部303は、距離L1と距離L2の総和L12と、距離L3と距離L4との総和L34とを算出する。操作管理部303は、総和L12と総和L34とを比較する。操作管理部303は、総和L34が総和L12未満である場合、作業効率が向上すると判定する。また、操作管理部303は、総和L34が総和L12以上である場合、作業効率は向上しないと判定する。この判定は、距離の総和が短くなると移動距離が短くなり、その結果、作業効率が向上するという考えに基づくものである。
【0048】
操作管理部303は、作業効率が向上すると判定した場合(ステップS29においてYES)、マスタ部20aの制御対象をスレーブ部10aからスレーブ部10bへ切り替える接続指示信号SG1aをマスタ部20aへ送信する(ステップS30)。また、操作管理部303は、マスタ部20bの制御対象をスレーブ部10bからスレーブ部10aへ切り替える接続指示信号SG2aをマスタ部20bへ送信する(ステップS31)。また、操作管理部303は、接続指示信号SG1a及び接続指示信号SG2aを移動制御部401へ送信する(ステップS32)。
【0049】
移動制御部401は、接続指示信号SG1aを受信すると、マスタ部20aの接続先をスレーブ部10bと特定する(ステップS33)。また、移動制御部401は、接続指示信号SG2aを受信すると、マスタ部20bの接続先をスレーブ部10aと特定する(ステップS34)。
【0050】
移動制御部401は、対象物I1が保管されている容器M1をスレーブ部10bの位置へ移動させる制御を行う(ステップS35)。また、移動制御部401は、対象物I2が保管されている容器M2をスレーブ部10aの位置へ移動させる制御を行う(ステップS36)。
また、操作管理部303が作業効率が向上しないと判定した場合(ステップS29においてNO)、移動制御部401は、容器M1をスレーブ部10aの位置へ移動させ、容器M2をスレーブ部10bの位置へ移動させる制御を継続する(ステップS37)。
【0051】
図8は上述の本発明の第2の実施形態による管理システム1の処理のイメージ図を示している。
ステップS21でマスタ部20aをスレーブ部10aに接続し、ステップS22でマスタ部20bをスレーブ部10bに接続した場合、容器M1はステップS26の破線のように距離L1を移動する必要がある。また、その場合、容器M2もステップS27の破線のように距離L2を移動する必要がある。そこでステップS30でマスタ部20aの接続先をスレーブ部10bに変更し、ステップS31でマスタ部20bの接続先をスレーブ部10aに変更することで、ステップS35及びステップS36の実線で示すように、容器M1の移動距離L3とM2の移動距離L4との総和を、距離L1と距離L2との総和よりも短くすることができる。
これにより、管理システム1は移動距離を短くし作業時間を短くすることができ、作業効率が向上するとともに、移動時間が短くなるためエネルギー効率も向上する。
【0052】
以上、本発明の第2の実施形態による管理システム1について説明した。
本発明の第2の実施形態による管理システム1は、遠隔操作可能なマスタ部20とスレーブ部10とを有する遠隔作業システムと、管理サーバ30とを備える。管理システム1において、スレーブ部10は、倉庫Aに配置され対象物Iを把持する。マスタ部20は、倉庫Aとは異なる操作センタBに配置されスレーブ部10を遠隔操作する。管理サーバ30は、スレーブ部10が把持する対象物Iの状態に基づいてスレーブ部10を制御するマスタ部20を切り換える操作管理部303を備える。操作管理部303は、対象物Iからスレーブ部10までの距離が長いと判定した場合、マスタ部20の接続先を対象物Iから近いスレーブ部10に変更する。
このようにすれば、本発明の第2の実施形態による管理システム1は、作業時間を短くすることができ、作業効率が向上するとともに、移動時間が短くなるためエネルギー効率も向上する。
【0053】
<第3の実施形態>
(管理システム1の構成)
本発明の第3の実施形態による管理システム1の構成について説明する。
本発明の第3の実施形態による管理システム1では、スレーブ部10を稼働させる地域の時間帯(以下、「稼働時間帯」と記載)に応じて、さまざまな場所に位置する操作者が複数のグループに区分けされる。管理システム1は、稼働時間帯ごとに、その稼働時間帯に対応するグループに区分けされた操作者の操作するマスタ部20をスレーブ部10に接続させる。管理システム1は、労働力の確保が困難な稼働時間帯において、さまざまな場所に位置する操作者を採用することで労働力を確保するシステムである。
管理システム1は、
図9に示すように、複数のスレーブ部10a1〜10anと、複数のマスタ部20b1〜20bmと、管理サーバ30と、容器移動システム40と、ネットワークNWと、を備える。なお、スレーブ部10a1〜10anのそれぞれは同様の構成であり、スレーブ部10a1〜10anを総称してスレーブ部10aと呼ぶ。また、マスタ部20b1〜20bmのそれぞれは同様の構成であり、マスタ部20b1〜20bmを総称してマスタ部20bと呼ぶ。
【0054】
(スレーブ部10aの構成)
スレーブ部10a1のそれぞれは、マスタ部20bとは異なる場所(
図9に示す例では倉庫A1)に配置されるロボットである。また、スレーブ部10anのそれぞれは、マスタ部20bとは異なる場所(
図9に示す例では倉庫An)に配置されるロボットである。
スレーブ部10aのそれぞれは、半自律制御によって対象物Iを把持し、把持した対象物Iを所定の位置まで移動させる。ここで、半自律制御とは、遠隔操作不要時には、画像情報などの入力情報に応じた人工知能AI(Artificial Intelligence)などの判断に基づいて制御を行い、遠隔操作必要時には、操作者による操作に従って制御を行う。遠隔操作必要時とは、対象物Iの移動が困難であると判断したときのことである。遠隔操作不要時とは、スレーブ部10aが対象物Iを把持し、その対象物Iを所定の位置まで移動させることができると判断したときのことである。
複数のスレーブ部10aの中に対象物Iの移動が困難なものがある場合、対象物Iを移動させることが困難なスレーブ部10aにネットワークNWを介してマスタ部20bが接続される。マスタ部20bが接続されたスレーブ部10aは、マスタ部20bからネットワークNWを介して受信する制御信号に従って動作する。スレーブ部10aがマスタ部20bから制御信号を受信し、スレーブ部10aがその制御信号に従って動作する場合、スレーブ部10aとマスタ部20bとは、マスタ・スレーブ型の遠隔作業システムを構成する。
スレーブ部10aは、
図10に示すように、通信部101と、撮影部102と、把持部103と、半自律制御部104と、遠隔操作必要検知部105と、を備える。
【0055】
通信部101は、ネットワークNWを介してマスタ部20bと通信を行う。通信部101がマスタ部20bと通信を行いスレーブ部10aとマスタ部20bとマスタ・スレーブ型の遠隔作業システムを構成する。
【0056】
撮影部102は、把持する対象である対象物Iを撮影する。撮影部102が撮影する画像は、物体が立体的に見える立体画像である。撮影部102は、撮影した画像を通信部101を介してマスタ部20bに送信する。
【0057】
把持部103は、遠隔操作不要時には、半自律制御部104から受信する制御信号に従って動作する。また、把持部103は、遠隔操作必要時には、マスタ部20bから通信部101を介して受信する制御信号に従って動作する。
【0058】
半自律制御部104は、遠隔操作不要時に、例えば画像情報などの入力情報に応じた人工知能AIに基づく処理によって制御信号を生成し、生成した制御信号を把持部103に出力する。
【0059】
遠隔操作必要検知部105は、把持部103が対象物Iの移動が困難であることを検知する。具体的には、遠隔操作必要検知部105は、撮影部102が撮影する画像において、把持部103の位置と、対象物Iの位置とを特定する。そして、遠隔操作必要検知部105は、対象物Iが所定の位置に到達するまでの間、把持部103の位置と対象物Iとの位置との相対距離が対象物Iを把持していないと判定するしきい値以上の距離となったか否かを判定する。遠隔操作必要検知部105は、把持部103の位置と対象物Iとの位置との相対距離がしきい値以上の距離となったと判定した場合に、対象物Iの移動が困難である、すなわち遠隔操作が必要である(遠隔操作必要時である)と判定する。また、遠隔操作必要検知部105は、把持部103の位置と対象物Iとの位置との相対距離がしきい値未満の距離であると判定した場合、遠隔操作不要時であると判定する。
遠隔操作必要検知部105は、遠隔操作必要時であると判定した場合、通信部101を介して遠隔操作が必要となったスレーブ部10aの識別子を管理サーバ30に送信する。
【0060】
(マスタ部20bの構成)
マスタ部20b1のそれぞれは、スレーブ部10aとは異なる場所(
図9に示す例では操作者Ob1の勤務先である操作センタB1)に配置される。また、マスタ部20bnのそれぞれは、スレーブ部10aとは異なる場所(
図9に示す例では操作者Obmの勤務先である操作センタBn)に配置される。以下、操作者Ob1〜Obmを総称して操作者Obと呼ぶ。
複数のマスタ部20bのうちの1つは、遠隔操作必要時に、ネットワークNWを介して、その遠隔操作が必要となったスレーブ部10aに制御信号を送信する。
マスタ部20bのそれぞれは、本発明の第1の実施形態によるマスタ部20と同様に、通信部201と、画像再生部202と、操作入力部203と、を備える。
【0061】
通信部201は、ネットワークNWを介してスレーブ部10a及び管理サーバ30と通信を行う。
なお、通信を行うマスタ部20bとスレーブ部10aとの組み合わせが変更される場合、変更された時刻と共にそれぞれの識別子を記憶する。
【0062】
画像再生部202は、通信部201を介して操作対象のスレーブ部10aから立体画像を受信する。また、画像再生部202は、通信部201を介して遠隔操作必要検知部105が遠隔操作必要時であると判定した場合、遠隔操作必要報知信号を管理サーバ30から受信する。
画像再生部202は、受信した立体画像を表示する。また、画像再生部202は、通信部201を介して管理サーバ30から遠隔操作必要報知信号を受信した場合、スレーブ部10aに遠隔操作が必要となったことを表示する。
【0063】
操作入力部203は、操作者Obが行う操作を検出し、検出した操作に応じた制御信号を通信部201を介して操作対象のスレーブ部10a及び管理サーバ30に送信する。
【0064】
(管理サーバ30の構成)
管理サーバ30は、本発明の第1の実施形態による管理サーバ30と同様に、通信部301と、記憶部302と、操作管理部303と、を備える。
【0065】
通信部301は、ネットワークNWを介してマスタ部20b及び容器移動システム40と通信を行う。
記憶部302は、各時間帯と、その時間帯に対応するグループに区分けされた操作者の操作するマスタ部20bの識別子とを関連付けて記憶する。また、記憶部302は、ネットワークNWを介して接続させるマスタ部20bとスレーブ部10aとの組み合わせをそれぞれの識別子を関連付けて記憶する。なお、通信を行うマスタ部20bとスレーブ部10aとの組み合わせが変更される場合、記憶部302は、変更された時刻と共にそれぞれの識別子を記憶する。
【0066】
操作管理部303は、タイマ機能を備え、稼働時間帯ごとに、スレーブ部10aを制御するマスタ部20bを切り替える。具体的には、操作管理部303は、遠隔操作必要時にスレーブ部10aを制御するマスタ部20bを、稼働時間帯ごとに、その稼働時間帯に対応するグループに区分けされた操作者の操作するマスタ部20bに切り替える。
【0067】
(管理システム1の処理)
次に、本発明の第3の実施形態による管理システム1の処理について説明する。
ここでは、
図11に示す本発明の第3の実施形態による管理システム1の処理フローについて説明する。
【0068】
各スレーブ部10aの遠隔操作必要検知部105は、所定の時間間隔(例えば100ms)ごとにおいて、判定時が遠隔操作不要時であるか否かを判定する(ステップS41)。
遠隔操作必要検知部105は、遠隔操作不要時と判定した場合(ステップS41においてYES)、ステップS41の処理に戻す。
遠隔操作必要検知部105は、遠隔操作必要時と判定した場合(ステップS41においてNO)、遠隔操作が必要となったスレーブ部10aの識別子を管理サーバ30に送信する(ステップS42)。
【0069】
操作管理部303は、遠隔操作が必要となったスレーブ部10aから識別子を受信する(ステップS43)。操作管理部303は、識別子を受信すると、記憶部302において、受信した時刻を含む稼働時間帯のグループに区分けされているマスタ部20bを特定する(ステップS44)。操作管理部303は、通信部301を介して、遠隔操作が必要となったことを報知する遠隔操作必要報知信号を特定したマスタ部20bに送信する(ステップS45)。
【0070】
特定された各マスタ部20bの画像再生部202は、通信部201を介して管理サーバ30から遠隔操作必要報知信号を受信する(ステップS46)。各画像再生部202は、遠隔操作必要報知信号を受信すると、スレーブ部10aに遠隔操作が必要となったことを表示する(ステップS47)。
【0071】
各マスタ部20bを操作する操作者は、画像再生部202が表示するスレーブ部10aの遠隔操作が必要となったことを見て、そのスレーブ部10aを操作して対象物Iを移動させる操作を自分が行うと判断した場合、スレーブ部10aを操作することを通知する操作を例えば操作入力部203に対して行う。
操作入力部203は、操作者による操作に応じて、スレーブ部10aを操作することを通知する操作通知信号を管理サーバ30に送信する(ステップS48)。操作通知信号には、送信したマスタ部20bの識別子が含まれている。
【0072】
操作管理部303は、通信部301を介してマスタ部20bから操作通知信号を受信する(ステップS49)。
操作管理部303は、最初に受信した操作通知信号に含まれる識別子のマスタ部20bを、遠隔操作が必要となったスレーブ部10aに接続する(ステップS50)。操作管理部303は、通信を行うマスタ部20bとスレーブ部10aとの組み合わせと時刻とを記憶部302に書き込む(ステップS51)。操作管理部303は、最初に受信した操作通知信号に含まれる識別子のマスタ部20bに、遠隔操作が必要となったスレーブ部10aに接続することを報知する接続報知信号を送信する(ステップS52)。
【0073】
最初に操作通知信号を送信したマスタ部20bの画像再生部202は、通信部201を介して管理サーバ30から接続報知信号を受信する(ステップS53)。画像再生部202は、接続報知信号を受信すると、操作開始を確認するコメントを表示する(ステップS54)。
操作開始を確認するコメントを見た操作者は、操作開始を確認したことを示す操作(例えば、「確認」ボタンを押下する操作)を操作入力部203に対して行う。
操作入力部203は、操作者による操作開始を確認したことを示す操作を検出する(ステップS55)。操作入力部203は、操作者による操作開始を確認したことを示す操作を検出すると、画像再生部202は、制御対象のスレーブ部10aの撮影部102が撮影している立体画像を表示する(ステップS56)。
操作者は、画像再生部202が表示する立体画像を見ながら対象物Iを把持して所定の位置まで移動させる操作を操作入力部203に対して行う。
操作入力部203は、操作者による対象物Iを把持して所定の位置まで移動させる操作を検出する(ステップS57)。操作入力部203は、検出した操作者による操作に応じた制御信号を生成する(ステップS58)。操作入力部203は、生成した制御信号を制御対象のスレーブ部10a及び管理サーバ30に送信する(ステップS59)。なお、操作入力部203は、操作者による操作に応じてリアルタイムで制御信号を生成し、生成する度に生成した制御信号を制御対象のスレーブ部10a及び管理サーバ30に送信する。
【0074】
把持部103は、マスタ部20bから制御信号を受信する(ステップS60)。把持部103は、受信した制御信号に従って動作する(ステップS61)。
操作管理部303は、マスタ部20bから制御信号を受信する(ステップS62)。操作管理部303は、受信した制御信号をスレーブ部10aが備える人工知能AIの画像情報などの入力に対する学習データとして制御信号を記憶部302に書き込む(ステップS63)。
【0075】
このように、本発明の第3の実施形態による記憶部302は、各時間帯と、その時間帯に対応するグループに区分けされた操作者の操作するマスタ部20bの識別子とを関連付けて記憶する。操作管理部303は、遠隔操作が必要となったスレーブ部10aから識別子を受信すると、記憶部302において、受信した時刻を含む稼働時間帯のグループに区分けされているマスタ部20bを特定する。操作管理部303は、通信部301を介して、遠隔操作が必要となったことを報知する遠隔操作必要報知信号を特定したマスタ部20bに送信する。
したがって、本発明の第3の実施形態による管理システム1は、各稼働時間帯ごとに操作者の勤務場所を気にすることなく操作者を雇うことができ、労働力を確保しやすくなる。また、スレーブ部10aの稼働がその設置場所では夜間であっても、各稼働時間が昼間となる国においてマスタ部20bを操作する操作者を雇うことで、操作者が労働しやすくなるとともに、操作者としての労働力を確保しやすくなる。
【0076】
なお、本発明の別の実施形態において、記憶部302は、各時間帯と、その時間帯に対応するグループに区分けされた操作者の操作するマスタ部20bの識別子と、さらに、その操作者の操作習熟度とを関連付けて記憶する。そして、管理システム1は、各時間帯において、スレーブ部10aに遠隔操作が必要となった場合に、本発明の第1の実施形態による管理システム1と同様に、操作者の操作習熟度に応じて、操作者の操作するマスタ部20bをスレーブ部10aに接続するものであってもよい。
【0077】
なお、本発明の別の実施形態による管理システム1は、各時間帯において、スレーブ部10aに遠隔操作が必要となった場合に、本発明の第2の実施形態による管理システム1と同様に、対象物Iからスレーブ部10aまでの距離が長いと判定した場合、マスタ部20bの接続先を対象物Iから近いスレーブ部10aに変更するものであってもよい。
【0078】
<第4の実施形態>
(管理システム1の構成)
本発明の第4の実施形態による管理システム1の構成について説明する。
本発明の第4の実施形態による管理システム1は、1つのマスタ部20が操作対象のスレーブ部10を切り替えて、半自律制御によって対象物Iを把持してその対象物Iを所定の位置まで移動させる作業を行うスレーブ部10が対象物Iの移動が困難であるスレーブ部10をサポートするシステムである。半自律制御とは、遠隔操作不要時には、画像情報などの入力に対して人工知能AIによって生成した制御信号で自律制御を行い、自律制御中に対象物Iの移動が困難な場合、操作者による制御を行うことである。
【0079】
本発明の第4の実施形態による管理システム1は、
図12に示すように、複数のスレーブ部10a1〜10anと、マスタ部20bと、管理サーバ30と、容器移動システム40と、ネットワークNWと、を備える。以下、スレーブ部10a1〜10anを総称してスレーブ部10aと呼ぶ。
【0080】
(スレーブ部10aの構成)
スレーブ部10aのそれぞれは、マスタ部20bとは異なる場所(
図12に示す例では倉庫A1)に配置されるロボットである。
スレーブ部10aのそれぞれは、半自律制御によって対象物Iを把持し、把持した対象物Iを所定の位置まで移動させる。
複数のスレーブ部10aの中に対象物Iの移動が困難なものがある場合、対象物Iの移動が困難であるスレーブ部10aにネットワークNWを介してマスタ部20bが接続される。マスタ部20bが接続されたスレーブ部10aは、マスタ部20bからネットワークNWを介して受信する制御信号に従って動作する。スレーブ部10aがマスタ部20b1から制御信号を受信し、スレーブ部10aがその制御信号に従って動作する場合、スレーブ部10aとマスタ部20bとは、マスタ・スレーブ型の遠隔作業システムを構成する。
各スレーブ部10aは、第3の実施形態によるスレーブ部10aと同様に、通信部101と、撮影部102と、把持部103と、半自律制御部104と、遠隔操作必要検知部105と、を備える。
【0081】
通信部101は、ネットワークNWを介してマスタ部20bと通信を行う。通信部101がマスタ部20bと通信を行いスレーブ部10aとマスタ部20bとマスタ・スレーブ型の遠隔作業システムを構成する。
【0082】
撮影部102は、把持する対象である対象物Iを撮影する。撮影部102が撮影する画像は、物体が立体的に見える立体画像である。撮影部102は、撮影した画像を通信部101を介してマスタ部20bに送信する。
【0083】
把持部103は、遠隔操作不要時には、半自律制御部104から受信する制御信号に従って動作する。また、把持部103は、遠隔操作必要時には、マスタ部20bから通信部101を介して受信する制御信号に従って動作する。
【0084】
半自律制御部104は、遠隔操作不要時に、例えば人工知能AIに基づいて制御信号を生成し、生成した制御信号を把持部103に出力する。
【0085】
遠隔操作必要検知部105は、把持部103が対象物Iの移動が困難であることを検知する。具体的には、遠隔操作必要検知部105は、撮影部102が撮影する画像において、把持部103の位置と、対象物Iの位置とを特定する。そして、遠隔操作必要検知部105は、対象物Iが所定の位置に到達するまでの間、把持部103の位置と対象物Iとの位置との相対距離が対象物Iを把持していないと判定するしきい値以上の距離となったか否かを判定する。遠隔操作必要検知部105は、把持部103の位置と対象物Iとの位置との相対距離がしきい値以上の距離となったと判定した場合に、対象物Iの移動が困難である、すなわち遠隔操作が必要となった(遠隔操作必要時である)と判定する。また、遠隔操作必要検知部105は、把持部103の位置と対象物Iとの位置との相対距離がしきい値未満の距離であると判定した場合、遠隔操作不要時であると判定する。
遠隔操作必要検知部105は、遠隔操作必要時であると判定した場合、通信部101を介して遠隔操作が必要となったスレーブ部10aの識別子を管理サーバ30に送信する。
【0086】
(マスタ部20bの構成)
マスタ部20bは、スレーブ部10aとは異なる場所(
図12に示す例では操作者の勤務先である操作センタB1)に配置される。
マスタ部20bは、遠隔操作必要時に、ネットワークNWを介して、その遠隔操作が必要となったスレーブ部10aに制御信号を送信する。
マスタ部20bは、本発明の第1の実施形態によるマスタ部20と同様に、通信部201と、画像再生部202と、操作入力部203と、を備える。
【0087】
通信部201は、ネットワークNWを介してスレーブ部10a及び管理サーバ30と通信を行う。
なお、通信を行うマスタ部20bとスレーブ部10aとの組み合わせが変更される場合、変更された時刻と共にそれぞれの識別子を記憶する。
【0088】
画像再生部202は、通信部201を介して操作対象のスレーブ部10aから立体画像を受信する。また、画像再生部202は、通信部201を介して遠隔操作必要検知部105が遠隔操作必要時であると判定した場合、遠隔操作必要報知信号を管理サーバ30から受信する。
画像再生部202は、受信した立体画像を表示する。また、画像再生部202は、通信部201を介して管理サーバ30から遠隔操作必要報知信号を受信した場合、スレーブ部10aに遠隔操作が必要となったことを表示する。
【0089】
操作入力部203は、操作者が行う操作を検出し、検出した操作に応じた制御信号を通信部201を介して操作対象のスレーブ部10a及び管理サーバ30に送信する。
【0090】
(管理サーバ30の構成)
管理サーバ30は、本発明の第1の実施形態による管理サーバ30と同様に、通信部301と、記憶部302と、操作管理部303と、を備える。
【0091】
通信部301は、ネットワークNWを介してマスタ部20b及び容器移動システム40と通信を行う。
記憶部302は、ネットワークNWを介して接続させるマスタ部20bとスレーブ部10aとの組み合わせをそれぞれの識別子を関連付けて記憶する。なお、通信を行うマスタ部20bとスレーブ部10aとの組み合わせが変更される場合、記憶部302は、変更された時刻と共にそれぞれの識別子を記憶する。
【0092】
操作管理部303は、スレーブ部10aの何れかに遠隔操作が必要となる度に、制御するマスタ部20bを切り替える。具体的には、操作管理部303は、遠隔操作が必要となったスレーブ部10aとマスタ部20bとを接続する。
【0093】
(管理システム1の処理)
次に、本発明の第4の実施形態による管理システム1の処理について説明する。
ここでは、
図13に示す本発明の第4の実施形態による管理システム1の処理フローについて説明する。
【0094】
管理システム1は、ステップS41〜S43の処理を行う。
操作管理部303は、識別子を受信すると、通信部301を介して、遠隔操作が必要となったことを報知する遠隔操作必要報知信号をマスタ部20bに送信する(ステップS64)。
【0095】
マスタ部20bの画像再生部202は、通信部201を介して管理サーバ30から遠隔操作必要報知信号を受信する(ステップS65)。画像再生部202は、遠隔操作必要報知信号を受信すると、スレーブ部10aに遠隔操作が必要となったことを表示する(ステップS66)。
【0096】
マスタ部20bを操作する操作者は、画像再生部202が表示するスレーブ部10aの遠隔操作が必要となったことを見て、そのスレーブ部10aを操作して対象物Iを移動させる操作を自分が行うと判断した場合、スレーブ部10aを操作することを通知する操作を例えば操作入力部203に対して行う。
操作入力部203は、操作者による操作に応じて、スレーブ部10aを操作することを通知する操作通知信号を管理サーバ30に送信する(ステップS48)。操作通知信号には、送信したマスタ部20bの識別子が含まれている。
【0097】
操作管理部303は、通信部301を介してマスタ部20bから操作通知信号を受信する(ステップS49)。
操作管理部303は、マスタ部20bを、遠隔操作が必要となったスレーブ部10aに接続する(ステップS67)。操作管理部303は、通信を行うマスタ部20bとスレーブ部10aとの組み合わせと時刻とを記憶部302に書き込む(ステップS51)。操作管理部303は、遠隔操作が必要となったスレーブ部10aに接続することを報知する接続報知信号をマスタ部20bに送信する(ステップS68)。
【0098】
マスタ部20bの画像再生部202は、通信部201を介して管理サーバ30から接続報知信号を受信する(ステップS69)。
管理システム1は、ステップS54〜S59の処理を行う。なお、操作入力部203は、操作者による操作に応じてリアルタイムで制御信号を生成し、生成する度に生成した制御信号を制御対象のスレーブ部10a及び管理サーバ30に送信する。
【0099】
管理システム1は、ステップS60〜S63の処理を行い、ステップS41の処理に戻す。
【0100】
このように、本発明の第4の実施形態による操作管理部303は、遠隔操作が必要となったスレーブ部10aから識別子を受信すると、通信部301を介して、遠隔操作が必要となったことを報知する遠隔操作必要報知信号をマスタ部20bに送信する。管理システム1は、遠隔操作不要時であるか否かの判定に戻す。
したがって、本発明の第4の実施形態による管理システム1は、スレーブ部10aの何れかに遠隔操作が必要となる度に、1つのマスタ部20bがそのスレーブ部10aに接続される。そのため、1つのマスタ部20bが複数のスレーブ部10aに接続され、1人の操作者が複数のスレーブ部10aを操作することで、人件費を削減することができる。具体的には、一人の操作者が5つのスレーブ部10aを操作する場合、マスタ部20bとスレーブ部10aとが1対1に対応する管理システム1に比べて、人件費を5分の1に削減することができる。
【0101】
なお、本発明の別の実施形態による管理システム1では、
図14に示すように、スレーブ部10a1〜10anは、異なる場所の複数の倉庫(
図14に示す例では倉庫A1、A2)に分散されて配置されてもよい。また、本発明の別の実施形態による管理システム1では、
図14に示すように、マスタ部20b1〜20bmは、異なる場所の複数の操作センタ(
図14に示す例では操作センタB1、B2)に分散されて配置され、マスタ部20b1〜20bmのそれぞれが、本発明の第4の実施形態によるマスタ部20bと同様に、複数のスレーブ部10aに接続されてもよい。なお、異なる場所とは、異なる国、同一国内の異なる地域などどのようなものであってもよい。また、マスタ部20b1〜20bmのそれぞれは、必ずしも操作センタに配置されるものではなく、例えば、操作者の自宅や倉庫内に配置されるものであってもよい。
【0102】
なお、
図14に示すような本発明の別の実施形態において、記憶部302は、操作者の操作するマスタ部20bの識別子と、その操作者の操作習熟度とを関連付けて記憶する。そして、管理システム1は、スレーブ部10aに遠隔操作が必要となった場合に、本発明の第1の実施形態による管理システム1と同様に、操作者の操作習熟度に応じて、操作者の操作するマスタ部20bをスレーブ部10aに接続するものであってもよい。
【0103】
なお、
図14に示すような本発明の別の実施形態による管理システム1は、スレーブ部10aに遠隔操作が必要となった場合に、本発明の第2の実施形態による管理システム1と同様に、対象物Iからスレーブ部10aまでの距離が長いと判定した場合、マスタ部20bの接続先を対象物Iから近いスレーブ部10aに変更するものであってもよい。
【0104】
なお、本発明の各実施形態による管理システム1が行う対象物Iを把持する作業として、倉庫において対象物Iを把持する例を挙げて説明した。しかしながら、本発明の各実施形態による管理システム1が行う対象物Iを把持する作業、倉庫において対象物Iを把持する作業に限定するものではない。本発明の他の実施形態による管理システム1が行う対象物Iを把持する作業は、倉庫内に限らずオフィス、スーパー、病院、図書館、実験室等における対象物Iを把持する作業であってもよく、たねまき、仕分け、開梱や梱包、検品、組立などの他の遠隔作業を行うものであってもよい。
【0105】
なお、本発明の各実施形態によるスレーブ部10のそれぞれは、2つ以上の異なる場所(例えば、倉庫Aと倉庫D)のそれぞれに配置されてもよい。
また、本発明の各実施形態によるマスタ部20のそれぞれは、2つ以上の異なる場所(例えば、操作センタBと操作センタE)のそれぞれに配置されてもよい。
【0106】
なお、本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態における管理システム1の処理について、対象物Iが倉庫A内で保管されている容器Mがスレーブ部10の位置まで移動するものとして説明した。しかしながら、スレーブ部10が容器Mの位置まで移動するものであってもよい。また、容器Mとスレーブ部10の両方が移動するものであってもよい。
【0107】
なお、本発明の各実施形態における記憶部302、その他の記憶部は、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、記憶部302、その他の記憶部は、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。
【0108】
なお、本発明の第3の実施形態では、半自律制御における遠隔操作必要時は、対象物Iの移動が困難であると判断したときのこととして説明した。しかしながら、本発明の別の実施形態では、半自律制御における遠隔操作必要時は、例えば、現在操作を制御している半自律制御部104よりも習熟度が高い(例えば、スコアが高い)操作者へ操作を切り替える場合や、現在操作している操作者が操作している場所から離れた地域で操作可能な操作者、すなわち稼働時間帯の異なる操作者に切り替える場合などを含んでもよい。
【0109】
なお、本発明の実施形態における処理フローは、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0110】
本発明の実施形態における記憶部や記憶装置(レジスタ、ラッチを含む)のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、記憶部や記憶装置のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。
【0111】
本発明の実施形態について説明したが、上述のスレーブ部10a、マスタ部20b、管理サーバ30、容器移動システム40、その他の制御装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータの具体例を以下に示す。
図15は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ5は、
図15に示すように、CPU6、メインメモリ7、ストレージ8、インターフェース9を備える。
例えば、上述のスレーブ部10a、マスタ部20b、管理サーバ30、容器移動システム40、その他の制御装置のそれぞれは、コンピュータ5に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ8に記憶されている。CPU6は、プログラムをストレージ8から読み出してメインメモリ7に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU6は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ7に確保する。
【0112】
ストレージ8の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ8は、コンピュータ5のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース9または通信回線を介してコンピュータ5に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ5に配信される場合、配信を受けたコンピュータ5が当該プログラムをメインメモリ7に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ8は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0113】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0114】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、発明の範囲を限定しない。これらの実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、種々の省略、種々の置き換え、種々の変更を行ってよい。