特許第6861608号(P6861608)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社岡村製作所の特許一覧

特許6861608傾斜装置及び傾斜装置を備えたデスク装置
<>
  • 特許6861608-傾斜装置及び傾斜装置を備えたデスク装置 図000002
  • 特許6861608-傾斜装置及び傾斜装置を備えたデスク装置 図000003
  • 特許6861608-傾斜装置及び傾斜装置を備えたデスク装置 図000004
  • 特許6861608-傾斜装置及び傾斜装置を備えたデスク装置 図000005
  • 特許6861608-傾斜装置及び傾斜装置を備えたデスク装置 図000006
  • 特許6861608-傾斜装置及び傾斜装置を備えたデスク装置 図000007
  • 特許6861608-傾斜装置及び傾斜装置を備えたデスク装置 図000008
  • 特許6861608-傾斜装置及び傾斜装置を備えたデスク装置 図000009
  • 特許6861608-傾斜装置及び傾斜装置を備えたデスク装置 図000010
  • 特許6861608-傾斜装置及び傾斜装置を備えたデスク装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861608
(24)【登録日】2021年4月1日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】傾斜装置及び傾斜装置を備えたデスク装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 13/00 20060101AFI20210412BHJP
   A47B 13/08 20060101ALI20210412BHJP
   A47B 17/00 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   A47B13/00 A
   A47B13/08 A
   A47B17/00 B
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-208393(P2017-208393)
(22)【出願日】2017年10月27日
(65)【公開番号】特開2019-80608(P2019-80608A)
(43)【公開日】2019年5月30日
【審査請求日】2020年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】永石 昇
(72)【発明者】
【氏名】内野 学
(72)【発明者】
【氏名】北岡 なつほ
【審査官】 下井 功介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−071025(JP,A)
【文献】 実開昭62−059443(JP,U)
【文献】 特開平01−249011(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3088260(JP,U)
【文献】 米国特許第04450774(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0167757(US,A1)
【文献】 韓国登録特許第10−0938117(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 1/00〜41/06、63/00〜65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が作業面とされ、後側の高さを変えたときの傾斜角度を調整可能とする平板状の傾斜天板を備えた傾斜装置であって、
前記傾斜天板の後端側に該後端の延在方向に沿う軸回りに回転可能に支持され、前記後端から後方に向けて突出するとともに先端側に係止部が設けられた支持アームと、
前記係止部を前後方向に位置変更可能に支持する支持手段と、
を備え、
前記支持手段は、前記傾斜天板よりも後方に配設されていることを特徴とする傾斜装置。
【請求項2】
前記支持手段には、前記係止部を前後方向に案内する案内溝が設けられ、
前記案内溝の前後方向に間隔をあけて配置され前記案内溝から凹む複数の係止凹部が形成され、
前記支持アームの前記係止部が前記複数の係止凹部に選択的に係止されることにより、前記傾斜天板の傾斜姿勢が変更されることを特徴とする請求項1に記載の傾斜装置。
【請求項3】
前記案内溝は、後方から前方に向かうに従い漸次、上側となるように段階的に又は滑らかに曲がっていることを特徴とする請求項2に記載の傾斜装置。
【請求項4】
前記案内溝の上方には、少なくとも前記支持アームを覆う閉塞板が設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の傾斜装置。
【請求項5】
前記支持アームは、前記支持手段に前記係止部を係止させた位置において、前記閉塞板に干渉しない形状であることを特徴とする請求項4に記載の傾斜装置。
【請求項6】
前記支持アームは、前記係止部が前記支持手段の後方に係止した状態で、下向きに突となるように屈曲又は湾曲していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の傾斜装置。
【請求項7】
前記傾斜天板の内部には、前記傾斜天板の作業面を照射するバックライトが設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の傾斜装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の傾斜装置が支持構造体によって支持された平板状のデスク天板に載置された構成の傾斜装置を備え、
前記支持手段は、前記デスク天板上において前記傾斜天板よりも後方に配設されていることを特徴とする傾斜装置を備えたデスク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜装置及び傾斜装置を備えたデスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスや公共施設等の執務空間に設置して使用されるデスク装置では、執務における効率を向上させるために、執務者が所望する条件に応じて例えば天板の高さや天板の傾斜角度等を調整することが可能なものが採用されている。
このような天板の傾斜角度を調整可能としたデスク装置としては、天板と支持構造体との間の空間部内に角度調整機構が配設され、この角度調整機構を介して天板の支持構造体に対する傾斜角度を調整可能とする方法が例えば特許文献1〜4に提案されている。これらの構造によれば、執務者がそれぞれの所望の傾斜角度に天板を調整することが可能となり、執務効率を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平06−086573号公報
【特許文献2】実公平05−035706号公報
【特許文献3】特開平05−154019号公報
【特許文献4】特公平05−037042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1〜4に記載されるような従来のデスク装置では、以下のような問題があった。
すなわち、従来のデスク装置では、天板と支持構造体との間の位置に、天板の傾斜角度を調整するための角度調整機構が組み込まれている。そのため、支持構造体を一般的なデスクとした場合には、デスク天板上に角度調整機構や傾斜天板を載置する構造となり、実際の作業面となる傾斜天板の高さが大きくなり、執務者が作業しにくい高さになってしまうという問題があった。
しかも、写真のネガやセル画等を確認しやすくするため傾斜天板にバックライトを内蔵させる場合には、傾斜天板の厚みがさらに大きくなってしまうことから、その点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、傾斜天板の高さを小さく抑えることで、執務しやすい高さにすることが可能な傾斜装置及び傾斜装置を備えたデスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る傾斜装置は、上面が作業面とされ、後側の高さを変えたときの傾斜角度を調整可能とする平板状の傾斜天板を備えた傾斜装置であって、前記傾斜天板の後端側に該後端の延在方向に沿う軸回りに回転可能に支持され、前記後端から後方に向けて突出するとともに先端側に係止部が設けられた支持アームと、前記係止部を前後方向に位置変更可能に支持する支持手段と、を備え、前記支持手段は、前記傾斜天板よりも後方に配設されていることを特徴としている。
【0007】
また、本発明に係る傾斜装置を備えたデスク装置は、上述した傾斜装置が支持構造体によって支持された平板状のデスク天板に載置された構成の傾斜装置を備え、前記支持手段は、前記デスク天板上において前記傾斜天板よりも後方に配設されていることを特徴としている。
【0008】
本発明では、支持手段に係止される支持アームの係止部の位置を前後方向に変更することにより、傾斜天板を所望の傾斜角度の傾斜姿勢とすることができる。例えば、支持アームの係止部を支持手段の前後方向で最も後方の位置に係止させたときに傾斜天板が水平姿勢となり、最も前方の位置に係止させたときに傾斜天板が最も傾斜角度が大きく傾斜する姿勢にすることができる。
この場合には、支持アームが傾斜天板から後方に向かって突出し、支持手段が傾斜天板よりも後方位置に配設されているので、支持手段が傾斜天板の下方に配設される従来の場合より傾斜天板の作業面の高さを低く抑えることができる。つまり、傾斜装置を支持構造体によって支持された平板状のデスク天板に載置させる場合には、上述したように傾斜天板を執務者の所望する傾斜角度に調整可能とすると共に、作業面である傾斜天板の高さを執務しやすい高さに設けることができる。
【0009】
しかも、上述したように支持構造体によって支持されるデスク天板上に傾斜装置を載置する場合には、従来のようにデスク天板と傾斜天板との間に支持手段が設けられる場合のように支持構造体を専用の構造にする必要がなく、傾斜装置の転用が可能なうえ、製造工数及び製造コストの増大を抑制することができる。
【0010】
また、本発明に係る傾斜装置は、前記支持手段には、前記係止部を前後方向に案内する案内溝が設けられ、前記案内溝の前後方向に間隔をあけて配置され前記案内溝から凹む複数の係止凹部が形成され、前記支持アームの前記係止部が前記複数の係止凹部に選択的に係止されることにより、前記傾斜天板の傾斜姿勢が変更されることを特徴としてもよい。
【0011】
この場合には、案内溝の前後方向に間隔をあけて形成される複数の係止凹部に対して支持アームの係止部が凹入されることで位置決めされ、選択的に係止させることができ、傾斜天板を複数の係止凹部に対応する傾斜角度に段階的に変更することができる。例えば、支持アームの係止部を前後方向で最も後方に位置する係止凹部に係止させたときに傾斜天板が水平姿勢となり、最も前方に位置する係止凹部に係止させたときに傾斜天板が最も傾斜角度が大きく傾斜する姿勢にすることができる。
このように、複数の係止凹部を設けることで、簡単な構造で傾斜天板の傾斜角度を所定の複数の角度に段階的に調整することができる。そして、支持アームの係止部が係止凹部に嵌った状態で強固に支持されるので、傾斜天板の傾斜姿勢を安定させた状態で維持することができる。
【0012】
また、本発明に係る傾斜装置では、前記案内溝は、後方から前方に向かうに従い漸次、上側となるように段階的に又は滑らかに曲がっていることが好ましい。
【0013】
この場合には、案内溝のうち前方側の係止凹部の位置が高くなっているので、前方側の係止凹部と所望の最大傾斜角度となるときの傾斜天板の後端との距離を小さくすることができる。すなわち、支持アームの長さを短くすることが可能となり、支持手段の案内溝の前後方向の長さを短く抑えることができる。そのため、支持手段の前後方向の長さ寸法も小さくすることができ、小型化することでコストの低減を図ることができる。
【0014】
また、本発明に係る傾斜装置では、前記案内溝の上方には、少なくとも前記支持アームを覆う閉塞板が設けられていることを特徴としてもよい。
【0015】
この場合には、少なくとも支持手段に係止される支持アームが閉塞板の下方に隠れて見えない状態となるので、意匠性に優れた傾斜装置を実現することができる。
【0016】
また、本発明に係る傾斜装置では、前記支持アームは、前記支持手段に前記係止部を係止させた位置において、前記閉塞板に干渉しない形状であることが好ましい。
【0017】
この場合には、支持手段に係止部を係止させた位置、或いは係止部を移動させる際に、支持アームが閉塞板に干渉することがない構造となる。
【0018】
また、本発明に係る傾斜装置では、前記支持アームは、前記係止部が前記支持手段の後方に係止した状態で、下向きに突となるように屈曲又は湾曲していることが好ましい。
【0019】
この場合には、案内溝のうち前方側に支持アームを支持させたときに支持アームの基端側となる傾斜天板の後端の位置が高くなることから、前方側の係止凹部と所望の最大傾斜角度となるときの傾斜天板の後端との距離を小さくすることができる。このとき、支持アームが移動するときの軌道は、直線状の支持アームに比べて高さが低い位置となるので、支持手段の上端位置を低く抑えることができ、設備のコンパクト化を図ることができる。そして、この場合も支持手段の案内溝の前後方向の長さを短く抑えることができるため、支持手段の前後方向の長さ寸法も小さくすることができ、小型化することでコストの低減を図ることができる。
【0020】
また、本発明に係る傾斜装置では、前記傾斜天板の内部には、前記傾斜天板の作業面を照射するバックライトが設けられていることを特徴としてもよい。
【0021】
この場合には、支持手段が傾斜天板の後方の位置に配設されているので、傾斜天板の内部にバックライトが設けられた状態においても、作業面である傾斜天板を薄く構成することが可能となり、傾斜天板の高さを執務しやすい高さに近づけることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の傾斜装置及び傾斜装置を備えたデスク装置によれば、傾斜天板の高さを小さく抑えることで、執務しやすい高さにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態によるデスク装置の全体構成の斜視図である。
図2図1に示すデスク装置を前方から見た正面図である。
図3】デスク装置を上方から見た平面図である。
図4図2に示すA−A線矢視図であって、デスク装置を左右方向の一方から見た側面図である。
図5図4に示すデスク装置のうち傾斜装置の構成を示す要部拡大図である。
図6】傾斜装置の支持アームを上方から見た平面図である。
図7図6に示すB−B線矢視図であって、支持アームを左右方向の一方から見た側面図である。
図8】傾斜装置の角度調整部を上方から見た平面図である。
図9図8に示すC−C線矢視図であって、角度調整部の支持板を左右方向の一方から見た側面図である。
図10】変形例による角度調整部の支持板の構成を示す側面図であって、図9に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態による傾斜装置及傾斜装置を備えたデスク装置について、図面に基づいて説明する。
【0025】
図1乃至図4に示す本実施形態によるデスク装置1は、傾斜可能な製図用のトレース板を天板に備えたものである。デスク装置1は、平板状のデスク天板10と、床面F上に互いに間隔をあけて配置され、デスク天板10の左右方向X2に間隔をあけて設けられた支持脚板13,13を有する支持構造体11と、デスク天板10の後端側に設けられた上棚ユニット12と、デスク天板10上に載置された傾斜装置2と、を備えている。
【0026】
ここで、本実施の形態では、床面Fに配置される一対の支持脚板13,13は上方から見た平面視で互いに離間して平行をなしており、この離間方向を左右方向X2といい、前記平面視で左右方向X2に直交する方向を前後方向X1という。前後方向X1において、デスク天板10に向かって着座した人の手前側を前方、前側といい、その反対側を後方、後側という。
【0027】
支持構造体11は、上述した一対の支持脚板13、13と、各支持脚板13の下部から前方に向けて延びるベース部材14と、各支持脚板13の上部から前方に向けて延びる上部支持体15と、一対の支持脚板13間の後側開口を塞ぐ後壁16と、を備えている。
【0028】
ベース部材14は、床面F上に配置され、床面Fに平行で前後方向X1に延びている。支持脚板13とベース部材14は、それぞれの下面の高さが一致している。支持脚板13の下面及びベース部材14の下面には、それぞれ支持構造体11の高さ及びレベルの調整を行うアジャスター14Aが設けられている。
支持脚板13は、中空の板状部材からなり、その下壁の下方からアジャスター14Aのねじ部(図示省略)が螺合されている。ベース部材14は、中空の筒状部材からなり、その下壁の下方からアジャスター14Aのねじ部(図示省略)が螺合されている。これらアジャスター14Aは、ねじ部が支持脚板13及びベース部材14の中空部に突出した状態で取り付けられている。
【0029】
上部支持体15は、前後方向X1に延びている。支持脚板13と上部支持体15は、それぞれの上面の高さが一致しており、これら両方でデスク天板10を下方から支持している。
後壁16は、支持脚板13と上面の高さが一致しており、デスク天板10を下方から支持している。
【0030】
デスク天板10は、平面視長方形で、支持脚板13、上部支持体15、及び後壁16の下方から図示しないボルト等により固定されている。
デスク天板10の下面側に位置する後壁16には、デスク天板10の左右方向X2全体にわたって延在する配線ダクト(図示省略)が取り付けられている。
【0031】
上棚ユニット12は、デスク天板10上の後方側に設置され、左右一対の側板121、121と、側板121、121の上端同士を左右方向X2に連結する上板122と、一対の側板121、121間の背面を覆う背面板123と、上板122の下方に間隔をあけた上棚板124と、傾斜装置2の後述する角度調整部30の上方を覆う閉塞板125と、閉塞板125の左右方向X2の一方(紙面右側)に配置されデスク天板10のから上方に間隔をあけて設けられた下棚板126と、を備えている。
そして、上棚ユニット12には、図3図4及び図5に示すように、デスク天板10上に立設され、傾斜天板20から後方に間隔をあけた位置に左右方向に延在する後方支持壁127が設けられている。
【0032】
閉塞板125は、後方支持壁127の上縁の回動中心127aに対して回転可能に取り付けられている。閉塞板125は、後方支持壁127より前方に配置される後述する角度調整部30や、傾斜装置2が水平姿勢P1に位置する際の支持アーム40の上方を覆うように開閉可能となっている。
【0033】
傾斜装置2は、図4及び図5に示すように、前端20aがデスク天板10の前端10a(ここでは後述する固定ベース5の前端部5a)に対して回動自在に支持され上面が作業面20Aとされる平板状の傾斜天板20と、傾斜天板20の後方に設けられた角度調整部30(支持手段)と、一端が傾斜天板20の後端20bにこの後端20bの延在方向に沿う軸回りに回転可能に支持され、他端が角度調整部30に係止された支持アーム40と、を備えている。
傾斜装置2は、傾斜天板20における後側の高さを変えたときの傾斜角度を複数の大きさに調整可能とする構成となっている。
【0034】
傾斜天板20は、図1及び図3に示すように、内部が中空形状になっており、上方から見た平面視で、矩形状の開口部20cが形成されており、この開口部20cにガラス板21が嵌め込まれている。傾斜天板20は、図5に示すように、デスク天板10上に固定される平板状の固定ベース5の前端部5aに対して回動自在に設けられている。
【0035】
具体的に固定ベース5は、デスク天板10に対してビスやボルト等の不図示の固定手段によって固定され、前端上部にねじりバネ51が設けられている。ねじりバネ51は、一端51aが固定ベース5に固定され、他端51bが傾斜天板20の前端20aの下面側に固定されている。ねじりバネ51は、傾斜天板20が傾斜姿勢から水平姿勢P1に戻る方向に付勢している。つまり、傾斜天板20は、傾斜姿勢の状態においてねじりバネ51の付勢に抗した状態で支持アーム40を介して角度調整部30に所定の傾斜角度を保つように支持されている。
【0036】
傾斜天板20の後端20b側の内部には、図3に示すように、傾斜天板20のガラス板21を下方から照射するバックライト22が設けられている。バックライト22は、左右方向X2に延在するように配置されている。
【0037】
支持アーム40は、図6及び図7に示すように、傾斜天板20から後方に向かって突出して設けられている。支持アーム40は、左右方向X2に間隔をあけて設けられる一対のアーム本体41と、両アーム本体41の後端41b同士を連結して左右方向X2に延びる連結棒42と、連結棒42の両端のそれぞれに設けられたアーム係止部43(係止部)と、を有している。
【0038】
アーム本体41の前端41aは、傾斜天板20の後端20bの延在方向(左右方向X2)を回転中心として回転自在に支持されている。アーム本体41の前端41aには、左右方向X2に貫通する挿通孔41cが形成されている。この挿通孔41cに挿通されるピン44が傾斜天板20の不図示の係止孔にも挿通され、これによりアーム本体41が傾斜天板20に対して回動される。
【0039】
アーム本体41は、図5及び図7に示すように、傾斜天板20が水平姿勢P1の位置で、下向きに突となるように略くの字状に屈曲している。
【0040】
アーム係止部43は、連結棒42の端面から左右方向X2に突出して後述する角度調整部30の案内溝32を移動し、かつ係止凹部33に係止する筒状の係止芯材43Aと、係止芯材43Aの突出端に取り付けられた脱落防止部材43Bと、を有している。脱落防止部材43Bは、係止芯材43Aよりも大径に形成され、係止芯材43Aが角度調整部30から脱落することを防止している(図6及び図8参照)。
【0041】
角度調整部30は、図5及び図8に示すように、デスク天板10上において、傾斜天板20よりも後方に配設され、支持アーム40の後端41b側のアーム係止部43を前後方向X1に位置変更可能に支持する。角度調整部30は、一対の支持板31、31からなる。支持板31の後方部分は、左右方向X2に向けて折り曲げられ、折り曲げられた後板31aが上棚ユニット12の後方支持壁127にビス等で固定されている。
【0042】
一対の支持板31は、それぞれ板面方向を左右方向X2に直交する方向に向けて配置され、板面の中央部分に図9に示すようにアーム係止部43を前後方向X1に案内するとともに厚さ方向に貫通する案内溝32が設けられている。
【0043】
案内溝32は、図9に示すように、後方から前方に向かうに従い漸次、上側となるように段階的に屈折した形状となっている。さらに具体的に案内溝32は、前後方向X1の中央部分が下向きに突となる溝形状をなしている。そして、案内溝32には、前後方向X1に間隔をあけて配置され案内溝32から凹む複数(ここでは5箇所)の係止凹部33(後方から順に33A、33B、33C、33D、33E)が形成されている。符号33B〜33Eの係止凹部は、案内溝32から下方に凹んだ形状になっている。案内溝32の最後端の位置に設けられる係止凹部33Aには、傾斜天板20が水平姿勢P1(図5参照)となる位置でアーム係止部43の係止芯材43Aが凹入される。
【0044】
このような角度調整部30では、図5及び図9に示すように、支持アーム40は傾斜天板20に支持されているので、傾斜天板20を固定ベース5の前端部5aに対して回動させることで、アーム係止部43は案内溝32に沿って前後方向X1に移動する構成となっている。アーム係止部43の係止芯材43Aは、案内溝32の左右方向X2の溝方向に沿って案内されるように構成されている。
そして、案内溝32の途中に係止凹部33A〜33Eが形成されているので、任意の係止凹部33A〜33Eに案内溝32に案内されているアーム係止部43の係止芯材43Aを凹入させることで、傾斜天板20を所定の傾斜角度で位置決めすることができる。つまり、後方側から前方となる係止凹部33A〜33Eの順で、傾斜天板20の傾斜姿勢は水平姿勢P1から符号P2〜P5(図5参照)に示す傾斜姿勢へと段階的に傾斜角度が大きくなる。そして、傾斜姿勢P2〜P5の傾斜天板20を水平姿勢P1に戻す際には、係止芯材43Aを案内溝32内を後方に向けて移動させて当接凹部34に係止させる。
このように、アーム係止部43が複数の係止凹部33に選択的に係止されることにより、傾斜天板20の傾斜姿勢を変更することができる。
【0045】
また、案内溝32の上方には、角度調整部30に係止される支持アーム40を覆うように上述した閉塞板125が設けられている。そして、支持アーム40は、複数の係止凹部33A〜33Eのすべての係止位置において、閉塞板125に干渉しない形状となっている。
【0046】
次に、上述した傾斜装置2及び傾斜装置2を備えたデスク装置1の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
図5に示すように、本実施形態では、角度調整部30の案内溝32の前後方向X1に間隔をあけて形成される複数の係止凹部33A〜33Eに対して支持アーム40のアーム係止部43が凹入されることで位置決めされ、選択的に係止させることができ、傾斜天板20を複数の係止凹部33A〜33Eに対応する傾斜角度に段階的に変更することができる。つまり、支持アーム40のアーム係止部43を角度調整部30の支持板31の前後方向X1で最も後方に位置する係止凹部33Aに係止させたときに傾斜天板20が水平姿勢P1となり、最も前方に位置する係止凹部33Eに係止させたときに傾斜天板20が最も傾斜角度が大きく傾斜する姿勢(符号P5の傾斜姿勢)にすることができる。
【0047】
この場合には、支持アーム40が傾斜天板20から後方に向かって突出し、角度調整部30が傾斜天板20よりも後方位置に配設されているので、従来のように角度調整部が傾斜天板20の下方に配設される場合より傾斜天板20の作業面20Aの高さを低く抑えることができる。つまり、傾斜装置2を支持構造体11によって支持された平板状のデスク天板10に載置させる場合には、上述したように傾斜天板20を執務者の所望する傾斜角度に調整可能とすると共に、作業面20Aである傾斜天板20の高さを執務しやすい高さに設けることができる。
【0048】
しかも、上述したように支持構造体11によって支持されるデスク天板10上に傾斜装置2を載置する場合には、デスク天板10と傾斜天板20との間に角度調整部が設けられる従来の場合のように支持構造体を専用の構造にする必要がなく、傾斜装置2の転用が可能なうえ、製造工数及び製造コストの増大を抑制することができる。
【0049】
また、本実施の形態では、複数の係止凹部33を設けることで、簡単な構造で傾斜天板20の傾斜角度を所定の複数の角度に段階的に調整することができる。そして、支持アーム40のアーム係止部43が係止凹部33に嵌った状態で強固に支持されるので、傾斜天板20の傾斜姿勢を安定させた状態で維持することができる。
【0050】
また、本実施の形態による傾斜装置2では、案内溝32のうち前方側の係止凹部33Eの位置が高くなっているので、前方側の係止凹部33Eと所望の最大傾斜角度となるときの傾斜天板20の後端20bとの距離を小さくすることができる。すなわち、支持アーム40の突出長さを短くすることが可能となり、角度調整部30の案内溝32の前後方向X1の長さを短く抑えることができる。そのため、角度調整部30の前後方向X1の長さ寸法も小さくすることができ、小型化することでコストの低減を図ることができる。
【0051】
また、本実施の形態では、少なくとも角度調整部30に係止される支持アーム40が閉塞板125の下方に隠れて見えない状態となるので、意匠性に優れた傾斜装置2を実現することができる。
【0052】
また、本実施の形態では、角度調整部30にアーム係止部43を係止させた位置、或いはアーム係止部43を移動させる際に、支持アーム40が閉塞板125に干渉することがない構造となる。
【0053】
さらに、支持アーム40のアーム本体41は、傾斜天板20が水平姿勢P1の位置で、下向きに突となるように略くの字状に屈曲している。そのため、支持アーム40のアーム係止部43が最も後方側の係止凹部33Aに係止するとき、支持アーム40は閉塞板125の下方に位置する。そして、支持アーム40は、アーム係止部43を符号33B、33C、33D、33Eの順で係止凹部に係止させていくと、アーム係止部43の屈曲部分より前方のアーム前方部43aが閉塞板125の前端部125aをかわしながら前方へ移動して、傾斜天板20の傾斜角度を大きくさせる。
【0054】
また、支持アーム40のアーム本体41が略くの字状に屈曲しているので、案内溝32のうち前方側に支持アーム40を支持させたときに支持アーム40の基端側となる傾斜天板20の後端20bの位置が高くなることから、前方側の係止凹部33Eと所望の最大傾斜角度となるときの傾斜天板20の後端20bとの距離を小さくすることができる。このとき、支持アーム40が移動するときの軌道は、直線状の支持アームに比べて高さが低い位置となるので、角度調整部30における支持板31の上端位置を低く抑えることができ、設備のコンパクト化を図ることができる。そして、この場合も案内溝32の前後方向X1の長さを短く抑えることができるため、角度調整部30の前後方向X1の長さ寸法も小さくすることができ、小型化することでコストの低減を図ることができる。
【0055】
さらに、本実施の形態では、角度調整部30が傾斜天板20の後方の位置に配設されているので、傾斜天板20の内部にバックライト22が設けられた状態においても、作業面20Aである傾斜天板20を薄く構成することが可能となり、傾斜天板20の高さを執務しやすい高さに近づけることができる。
【0056】
上述のように本実施の形態による傾斜装置2及び傾斜装置2を備えたデスク装置1では、傾斜天板20の高さを小さく抑えることで、執務しやすい高さにすることが可能となる。
【0057】
以上、本発明による傾斜装置及び傾斜装置を備えたデスク装置の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0058】
例えば、本実施の形態の傾斜装置2では、角度調整部30の支持板31に設けられる案内溝32の形状が後方から前方に向かうに従い漸次、上側となるように段階的に屈折した形状となっているが、このような形状であることに限定されることはない。例えば、図10に示す変形例による角度調整部30Aは、支持板31に設けられる案内溝32Aの形状が前後方向X1に平行に延びる直線状をなすものであってもよい。この場合も、案内溝32Aには、前後方向X1に間隔をあけて配置され案内溝32Aから凹む複数(ここでは5箇所)の係止凹部33(後方から順に33A、33B、33C、33D、33E)が形成されている。
【0059】
また、支持手段の角度調整部として、本実施の形態のような案内溝32や係止凹部33に支持アーム40のアーム係止部43を係止させる構成であることに限定されることはなく、他の支持手段を採用することも可能である。要は、支持手段が傾斜天板20よりも後方に配設され、支持手段によって傾斜天板20の傾斜姿勢が変更される構成であればよいのである。
なお、上述した実施の形態では、案内溝32が後方から前方に向かうに従い漸次、上側となるように段階的に屈曲した形状であるが、例えば滑らかに曲がっている形状の案内溝であってもよい。
【0060】
さらに、本実施の形態では、案内溝32の上方には、少なくとも支持アーム40を覆う閉塞板125が設けられているが、閉塞板125は省略することも可能であるし、開閉可能な閉塞板125であることにも限定されることはない。
【0061】
さらにまた、本実施の形態では、支持アーム40のアーム本体41が、アーム係止部43が角度調整部30の後方に係止した状態で下向きに突となるように略くの字状に屈曲した構成としているが、このように部分的に屈曲する形状に限定されることはなく、アーム本体41の長さ方向(前後方向X1)の全体にわたって湾曲した形状であってもよい。
【0062】
また、本実施の形態の傾斜天板20の内部にバックライト22を設けたり、作業面20Aにガラス板21を設ける構成としているが、これらガラス板21やバックライト22を省略することも可能である。さらに、傾斜天板として、製図用のものに限定されることはない。
【0063】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 デスク装置
2 傾斜装置
5 固定ベース
10 デスク天板
11 支持構造体
12 上棚ユニット
20 傾斜天板
20a 前端
20b 後端
20A 作業面
22 バックライト
30 角度調整部(支持手段)
31 支持板
32 案内溝
33、33A〜33E 係止凹部
40 支持アーム
41 アーム本体
43 アーム係止部(係止部)
43A 係止芯材
X1 前後方向
X2 左右方向
P1 水平姿勢
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10