(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記増大トルクの印加を選択的に制御するために前記準受動的弾性アクチュエータに動作可能に接続された制御システムを更に備える請求項1に記載の調整可能アクチュエータ関節モジュール。
前記圧縮チャンバと前記膨張チャンバが実質的に等しい容積を有するように、前記第1のベーン装置は公称位置で前記第2のベーン装置から180度の位置に配置される、請求項1に記載の調整可能アクチュエータ関節モジュール。
前記圧縮チャンバと前記膨張チャンバが異なる容積を有するように、前記第1のベーン装置は公称位置で前記第2のベーン装置から180度より大きい角度または小さい角度の位置に配置される、請求項1に記載の調整可能アクチュエータ関節モジュール。
前記調整可能アクチュエータ関節モジュールの前記予め定められたジョイント剛性値を規定するように、前記圧縮チャンバおよび前記膨張チャンバは共にガス圧がチャージされる、請求項1に記載の調整可能アクチュエータ関節モジュール。
前記圧縮チャンバと前記膨張チャンバが実質的に等しい容積を有するように、前記第1のベーン装置は公称位置で前記第2のベーン装置から180度の位置に配置される、請求項27に記載のロボットシステム。
前記圧縮チャンバと前記膨張チャンバが異なる容積を有するように、前記第1のベーン装置は公称位置で前記第2のベーン装置から180度より大きい角度または小さい角度の位置に配置される、請求項27に記載のロボットシステム。
前記一次アクチュエータは、前記一次アクチュエータに動作可能に結合された変速機を有し、トルク伝達装置は、前記一次アクチュエータと前記ロータリ空気圧アクチュエータとを回転可能に結合する、請求項22に記載のロボットシステム。
前記一次アクチュエータは、モータ、および、前記モータに動作可能に結合された変速機を備え、前記変速機は、少なくとも部分的に前記モータの中央空隙内に配置される、請求項22に記載のロボットシステム。
前記準受動的弾性アクチュエータの前記圧縮チャンバと前記膨張チャンバとの間および前記弁アセンブリと前記非弾性状態の前記準受動的弾性アクチュエータとの間のガスの流れを容易にする前記分流回路を開く段階を更に備え、
前記分流回路を開く段階は前記調整可能アクチュエータ関節モジュールの自由揺動を容易にする、請求項37に記載の方法。
前記調整可能アクチュエータ関節モジュールの第1の回転を起こす段階は、前記弾性状態の前記準受動的弾性アクチュエータを用いて一次トルクを印加するべく前記調整可能アクチュエータ関節モジュールの一次アクチュエータを作動させる段階を有する、請求項37に記載の方法。
前記弾性状態において、前記準受動的弾性アクチュエータは前記入力部材の回転中にエネルギーを蓄積し、前記入力部材の次の回転中にエネルギーを放出して前記出力部材に増大トルクを印加する、請求項53に記載の調整可能アクチュエータ関節モジュール。
前記半弾性状態において、前記調整可能アクチュエータ関節モジュールに減衰力または制動力を提供するべく、前記準受動的弾性アクチュエータは減衰モードで動作する、請求項53に記載の調整可能アクチュエータ関節モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0077】
本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、動作、特徴、特性、状態、構造、項目または結果の完全なまたはほぼ完全な範囲または程度を指す。例えば、「実質的に」囲まれた物体とは、物体が完全に囲まれている、または、ほぼ完全に囲まれていることを意味する。絶対完全性からの許容可能な逸脱の程度は、特定の状況に依存する場合もある。しかしながら、一般的には、完全性に近いということは、絶対的なおよび完全な完了が得られた場合と、全体的には同じ結果が得られる。「実質的に(substantially)」という言葉の使用は、動作、特徴、特性、状態、構造、項目または結果の完全なまたはほぼ完全な欠如を指す否定的な意味で使用される場合にも同様に適用可能である。
【0078】
本明細書で使用される「隣接する(adjacent)」とは、二つの構造または要素が近接していることを指す。特に、「隣接する」として識別される要素は、隣接している、または、接続していてもよい。このような要素は、お互いに接触することなく互いに接近または近接していてもよい。近接の正確な程度は、具体的な状況に依存する場合もある。
【0079】
ロボットアセンブリ100の1つの例が
図1に概略的に示されている。ロボットアセンブリ100は、外骨格の形態で示されており、特に、下半身周りにユーザが装着可能な下外骨格が示されている。しかしながら、本明細書で論じる概念は、外骨格(上外骨格および下外骨格の両方)、ヒューマノイドロボットまたはロボット装置、遠隔操作ロボットまたはロボット装置、ロボットアーム、無人地上ロボットまたはロボット装置、マスタ/スレーブロボットまたはロボット装置(仮想環境を使用してまたは仮想環境内で動作可能なものを含む)、および、当業者には明らかであろう他の任意の種類のものを含む様々なタイプのロボット装置に適用可能であり、これらの装置に組み込むことができるまたは実装可能であり、以下に記載するコンセプトに限定するものではない。
【0080】
ロボットアセンブリ100の例では、本明細書で開示される外骨格を、全身外骨格(すなわち、
図4Aに示すような、下半身部分および上半身部分の両方を有する外骨格と同様)として、下半身外骨格(すなわち、下半身部分の一部または全部)のみとして、または、上半身外骨格(すなわち、上半身部分の一部または全部)のみとして構成されてもよい。
【0081】
ロボットアセンブリ100は、準受動的弾性アクチュエータを有する複数の調整可能アクチュエータ関節モジュールを備えることができる。上肢の準受動的弾性アクチュエータは、下肢の準受動的弾性アクチュエータとは異なる機能を有することができる。または、同様に機能することができる。例えば、下肢の準受動的弾性アクチュエータは、歩行または走りなどの周期的な運動の一部の間にエネルギー回復機構を提供することができ、また、周期の他の部分または他の活動中に自由に揺動する能力を提供することができる。上肢の準受動的弾性アクチュエータは、鎧および/または武器の質量を支持するように腕を持ち上げた時に、受動的な重力補償を提供することができる。上記のいずれの場合においても、準受動的弾性アクチュエータは電力を節減するように機能し、また、準受動的弾性アクチュエータと並行して作業を行うように使用され得る一次アクチュエータに対する要求も低くできる。本明細書で説明するような例示的なロボットシステムでは、様々な関節および対応する調整可能アクチュエータ関節モジュール内で使用される準受動的アクチュエータのタイプは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。ロボットアセンブリ100を例にとると、ロボットシステム100の上端と下端との間、または、上肢内の様々な調整可能アクチュエータ関節モジュールの間で、異なる準受動的弾性アクチュエータを使用することができる(下肢についても同様)、または、同じ肢内の様々な調整可能アクチュエータ関節モジュールの間で、異なる準受動的弾性アクチュエータを配置してもよい。
【0082】
本明細書に記載されている例示的な弾性アクチュエータは、(関節の回転中または機械的システムのその他の動作中に常にエネルギーを蓄積または放出している完全に受動的な弾性アクチュエータと比較して)それらが能動的および非能動的な状態またはそのような動作モードで動作可能であることから、準受動的弾性アクチュエータと呼ぶことができる。本明細書に記載されている例では、受動モードおよび非動作モードまたはそのような動作状態は、選択可能または制御可能であってもよく、動的に選択可能または制御可能であってもよい(例えば、リアルタイムで選択可能である)、また、ロボットシステムの動作中に、ある状態またはあるモードから別の状態または別のモードへと繰り返して切り替え可能であってもよい。調整可能アクチュエータ関節モジュールの構成に応じて、準受動的弾性アクチュエータの例は、ロボットシステムの関節の様々な回転中に準受動的弾性アクチュエータを作動させてエネルギーを蓄積および放出することができる第1の能動状態(「弾性状態」とも称される)、準受動的弾性アクチュエータを非アクティブにして関節の様々な回転中にエネルギーが蓄積も放出もされない第2の受動状態(本明細書では「非弾性状態」とも称される)があり、また、場合によっては、関節の様々な回転中に準受動的弾性アクチュエータを部分的に作動させてエネルギーを蓄積および放出することができる第3の半能動状態または部分的能動状態(時には「半弾性状態」とも称される)を備えてもよい。ロボットシステムの幾つかの例では、準受動的弾性アクチュエータは、例えば、必要とされるタスクおよびそれに対応する回転運動、ロボットシステムの一つまたは複数の関節の様々なトルクもしくは負荷要件、または、必要なもしくは所望の制動力に応じて、必要とされるもしくは所望の動作状態間または異なるモード間での切り替えを行ってもよい。
【0083】
いくつかの例では、ロボットアセンブリ100は、左および右の外骨格肢部を備えてもよい(
図1には右外骨格肢部102のみが示されていることに留意されたい)。外骨格肢部102は、複数の支持部材104a〜dを含み得る(例えば、外骨格肢部内の関節の間に延在するまたは関節の間に延在する人体の骨のように関節を連結する硬い構造支持体)。回転軸108a〜dそれぞれの周りの複数の自由度を規定する複数の調整可能アクチュエータ関節モジュール106a〜dの相対運動を実現すべく、支持部材104a〜dを互いに結合することができる。回転軸108a〜dの周りの回転自由度は、人間の脚の自由度1以上に対応させることができる。例えば、回転軸108a〜dの周りの回転自由度は、それぞれ、股関節外転/内転、股関節屈曲/伸展、膝屈曲/伸展、および、足首屈曲/伸展に対応させてもよい。同様に、図示されていないが、上半身外骨格内のそれぞれの回転軸の周りの自由度は、人間の腕の自由度1以上に対応させることができる。例えば、回転軸周りの自由度は、肩の外転/内転、肩の屈曲/伸展、肩の内側/外側の回転、肘の屈曲/伸展、手首の回内/回外、および、手首の屈曲/伸展に対応させることができる。必要に応じて、手首の外転/内転に対応する自由度も含めることができる。
【0084】
人間のユーザまたはオペレータは、ロボットアセンブリ100とインタフェースすることにより、外骨格ロボットアセンブリ100(または
図4Aの101)を使用することができるまたは通信することができる。これは、当技術分野で知られている様々な方法で達成可能である。例えば、オペレータの足に対応する力センサと接触可能なアセンブリの足部分に、オペレータの足を置くことによって、ロボットアセンブリ100とインタフェースすることができる。人間のオペレータの体の一部を、ロボットアセンブリ100の様々な位置に配置された外骨格ロボットアセンブリ100のその他の力センサと接触させることもできる。例えば、ロボットアセンブリ100の股関節部分は、オペレータの股関節と相互作用するように構成された1つ以上の力センサを有してもよい。ウエストストラップまたは他の適切な連結装置によって、オペレータをロボットアセンブリ100と接続することができる。フットストラップまたは他の適切な連結装置によって、オペレータをロボットアセンブリ100と接続することができる。一態様では、ロボットアセンブリ100の股関節、膝または足首部分の周囲に様々な力センサを、操作者のそれぞれの部分に対応して配置させることができる。ロボットアセンブリ100上またはその周りの特定の位置に配置されたセンサについて説明したが、位置センサ、力センサまたはその両方を、ロボットアセンブリ100の上または周囲の多数の場所に戦略的に配置して、ロボットアセンブリ100の動作を制御することができる。
【0085】
一般的に、調整可能アクチュエータ関節モジュール106a〜dは、それぞれの自由度で支持部材に力またはトルクを提供するべく、外骨格の様々な自由度と関連付けされてもよい。従来の外骨格システムおよび装置とは異なり、ロボットアセンブリ100は、各調整可能アクチュエータ関節モジュールがエネルギーを回収するように構成され、ロボットアセンブリ100の複雑さおよび電力消費を低減することができる。例えば、膝の屈曲/伸展の自由度に対応する自由度を規定する調整可能アクチュエータ関節モジュール106cは、第1の歩行運動の間にエネルギーを回収し、次いで、第2の歩行運動中にそのエネルギーを放出して、自由度に応じた関節の回転に一次トルクを提供する一次アクチュエータを補助するべく増大させたトルクを印加する(および以下に説明するように、調整可能アクチュエータ関節モジュール106cの一次アクチュエータによって加えられるトルクと平行に)ように構成することができる。調整可能アクチュエータ関節モジュール106cを選択的に制御することにより、関節が回転する間に、準受動的弾性アクチュエータが作動にたずさわる(すなわち、弾性アクチュエータがエネルギーを蓄積および放出する動作状態または条件(弾性状態または半弾性状態)にする)または作動にたずさわらない(すなわち、エネルギーを蓄積しないおよび放出もしない(非弾性状態)動作状態または条件または構成にする)ようにしてもよい。または、蓄積したエネルギーを消散させてもよいし、放出してもよい。非弾性状態では、例えば、オペレータが歩いたり走ったりするときに、関節を回転させることができる無視できる程度に小さい抵抗で関節は「自由揺動(フリースウィング)」する。準受動的弾性アクチュエータは、一次アクチュエータ(例えば、関節を駆動するように動作可能な主モータ)と並行して動作することにより、一次アクチュエータが提供するトルクに並行して増大したトルクを提供することができるもしくは印加することができる(すなわち、一次アクチュエータによって生成されたトルクに加算される)または、制動力を印加することができる。
【0086】
準受動的弾性アクチュエータは、当該準受動的アクチュエータのモードを変更するように制御および操作することができる二方弁のような小型の内部弁を備えてもよく、すなわち、弾性状態(アクチュエータが過渡エネルギーを蓄積および回復するためのばねとして動作する場合)と、半弾性状態(アクチュエータが部分的に圧縮されたばねとして動作する)と、非弾性状態(アクチュエータが自由に動くことを可能にする分流機能を当該アクチュエータが採用する場合(すなわち、エネルギーを蓄積しないまたは放出しない)との間の切り替えが行われてもよい(弁を通過する流体の摩擦および動きを除く)。更に、調整可能アクチュエータ関節モジュール106cは、以下に更に説明するように、所望の剛性を備えるように「調整(チューニング)」することができる。したがって、特定の関節の剛性の大きさはミッション固有の荷重および地形によって異なる歩様に合わせて調整可能であり、その剛性が歩行サイクルの支持期にエネルギー回収に利用される時と、遊脚期に非係合にされる時とを能動弁が正確に制御する。
【0087】
その結果、関節を作動させるのに必要な電力消費を低減または最小限にするために、エネルギー(例えば、歩行または他の動作中に失われるエネルギー)を回収するように選択的に動作可能な準受動的弾性機構となる。したがって、
図1に示すように下半身外骨格のように、ロボットアセンブリ内に複数の調整可能アクチュエータ関節モジュールを組み合わせる場合、運動中(股関節、膝および足首関節を介して)相当量のエネルギーを回収して利用することができ、外骨格の重量、サイズ、複雑性および全体的な電力消費を低減することが可能である。エネルギー回収のための準受動的アクチュエータは、例えば、関節にエネルギーを蓄積および放出することができる機械的または空気圧的または油圧的要素のような弾性要素を備えてもよく、また必要に応じて、弾性要素を関節に動力を供給している一次トルク源に係合させるおよび非係合とする能動スイッチまたはクラッチを備える。このエネルギー回収アプローチでは、弾性剛性の大きさの決定、ならびに各歩行サイクル中のどのタイミングで弾性アクチュエータを係合および非係合とするかが明確にされる。これらの値は、歩行サイクル中の関節トルクの二乗平均を最小にする時間窓、剛性、位置オフセットを探索することによって最適化することができる。この数値最適化により、所与の歩行または操縦に対する予め定められた一次関節トルクアクチュエータの最小平均電力消費をもたらすことができる。したがって、エネルギー回収および関節作動トルク低減のためのこのアプローチの実際的な実施は、歩行対走行など、ロボットアセンブリが使用されるべき大部分の時間に最もよく働く角剛性を定義し、幅広い範囲の活動において弾性アクチュエータを正確に係合および非係合にするのに使用可能な歩行認識アルゴリズムを確立することが必要となる。
【0088】
上記の概要について、後で詳しく説明する。
【0089】
図2Aおよび
図2Bは、それぞれ、本開示の2つの例に係る調整可能アクチュエータ関節モジュールを概略的に示す。
図2Aは、調整可能アクチュエータ関節モジュール120に一次トルクを提供するように動作可能な一次アクチュエータ122を有する調整可能アクチュエータ関節モジュール120を示す。一例では、一次アクチュエータは、ギヤードモータ(例えば、遊星歯車変速機のような(または、当業者に周知の他のタイプの変速機)変速機と共に動作可能な電動モータを有する一次アクチュエータ)を含んでもよい。一次アクチュエータ122は、準受動的弾性アクチュエータ124(例えば、以下に説明するような、ロータリアクチュエータまたはリニア空気圧式(空気またはその他のガス)アクチュエータ)と並行に動作し、これらは共にトルクを印加することができ、ある場合には並列にトルクを負荷に印加する(例えば、
図1および
図4Aに示すように、ロボットアセンブリの関節、または、関節を規定するべく互いに対して回転可能な複数の支持部材を回転させるべくトルクを印加する)。
【0090】
準受動的弾性アクチュエータ124は、
図14A〜
図19に関して以下で更に説明するような弁アセンブリ126を備えることができる。弁アセンブリ126は、調整可能アクチュエータ関節モジュール120のための制御システムの少なくとも一部を容易にするかまたは含むことができ、それにより、ギヤードモータ122によって印加されるトルクと並行して、準受動的流体アクチュエータ124を介した増大トルクの印加を選択的に容易にするべく制御することができる。
【0091】
本明細書において、「選択的」とは、調整可能アクチュエータ関節モジュールを、リアルタイムで選択された時に選択された期間、必要に応じてまたは所望に制御することができることを意味し、例えば、異なる動作条件、動作状態、ロボットシステムの異なる要求に応じてまたはオペレータが所望するように、制動力の大きさおよびタイミングを変更する、準受動的アクチュエータの弾性要素の圧縮の大きさおよびタイミングを変更する、または、一次アクチュエータによって生成される一次トルクの大きさおよびタイミングを変更することができることを指す。選択的制御とは、期間の全部もしくは一部または所望の期間、準受動的弾性アクチュエータが一次アクチュエータと連動して動作可能であることを意味し得る。更に、「選択的」とは、例において、弁アセンブリの一つもしくは複数の動作パラメータまたは出力性能を、必要または所望に応じてリアルタイムで制御および変更することができることを意味し得る。動作パラメータまたは出力性能には、これらに限定されないが、例えば、印加される増大トルクの大きさ、生成された制動力の大きさ、弾性アクチュエータの剛性または弾性、弾性アクチュエータの作動のゼロ点またはヌルポイント等が含まれ得る。
【0092】
準受動的アクチュエータが半弾性状態またはそのような動作モードに入る例では、準受動的弾性アクチュエータを作動させて、準受動的弾性アクチュエータの弾性部品またはばねを部分的に圧縮すると、準受動的弾性アクチュエータが完全に弾性状態である場合に達成されるであろうエネルギーよりも少ない量のエネルギーを蓄積するおよび放出可能となる、または、そのような大きさの制動力を発生させることが可能になる。別の言い方をすれば、半弾性とは、関節の回転によるエネルギーまたは力の1:1未満の伝達が、入力部材と出力部材との間に結合された準受動的弾性アクチュエータにある状態を意味する(例えば、弁アセンブリが部分的に開いた状態にあるため)。本明細書で使用される「半弾性」とは、準受動的弾性アクチュエータの弾性部品に固有の弾性特性(すなわち、弾性)を指すことを意図しておらず、単に当該弾性部品の圧縮の程度を意味する。
【0093】
調整可能アクチュエータ関節モジュール120’のこの例では、一次アクチュエータ1
22’は、調整可能アクチュエータ関節モジュール120’の準受動的流体アクチュエー
タ124’と並列に動作する動力アクチュエータとして組み込まれた油圧アクチュエータ
を含む点以外は、
図2Bは
図2Aと同じである。
【0094】
図3Aは、人間の歩行例において発生する関節トルクと関節位置をプロットしたグラフであり、関節の回転角に対してまたは対応して発生するトルク(N・m/kg)が示されている。このグラフは、人間の膝(外骨格を着用せず)の例示的なトルク/角回転の関係を示しており、平面を約3mphで歩いている場合である。点Aから点Bへの最初の歩行運動は、踵の接地に続く立脚圧縮を示し、点Bから点Cへの第2の歩行運動では、立脚伸長を示し、立脚期は点Dで完了する。点D、E、F、およびA間の第3の歩行運動は、「二重支持および遊脚」を示している。したがって、「立脚期」は、踵の接地(点A)から爪先回転/立脚終期(点A〜D)までであり、トルク−関節プロファイルは準弾性挙動を示す(この準弾性剛性に関しては、歩行と走行では同様である)。この期間では、膝は衝撃吸収体としても機能する。「遊脚期」は、爪先離地から踵接地(点Eから点Aまで)までであり、この期間において、膝は、踵接地前に起きる最終伸長の間に、ある程度の減衰を伴う準衝撃応答(quasi−ballistic response)(受動的応答)を示す(したがって、膝は制御された緩衝器または衝撃吸収体として働く)。
【0095】
人間の歩行の特性は、膝関節に固有のものではなく、また歩き方に限定されずに、本明細書で論じられる調整可能アクチュエータ関節モジュールの基礎を形成する。実際に、歩行、走り、段差昇降などの模擬周期的外骨格活動における関節トルク対位置プロットを見ると、弾性エネルギーの回収を利用して関節を動かすのに必要なモータのトルクの必要条件を低減することができる特定の歩行運動における期間が存在する。このように、本明細書で説明する調整可能アクチュエータ関節モジュールは、例えば、動力アクチュエータ(例えば、電動歯車付きモータ)の要件を最小限に抑えて、ロボットアセンブリ内の全体的な電力消費を低減するべく、股関節、膝および足首の自然な動きの特徴を利用するように構成することができる。本明細書で論じる調整可能アクチュエータ関節モジュールは、例えば、肩関節および肘関節に組み込むこともできるが、以下で更に説明するように、下半身の関節に組み込むよりも、作業に依存する形となる。しかしながら、下半身関節(例えば、股関節、膝、足首)の調整可能アクチュエータ関節モジュールを、単に周期的な動作(例えば、歩行または走る)ではなく、特定のタスク(例えば、重いものを持ち上げる、座ったり立ったりする等)に基づいて動作するように構成することもできる。
【0096】
図3Bは、50ポンド(約22.7kg)の荷重で3.5mph(時速約5.6km)での歩行する場合の、外骨格膝関節トルク(N・m)対位置(角度)を示したグラフである。「三角形」がプロットされた線(「関節作動トルク」)は予め定められた関節軌道を達成するのに必要な全体トルクを表し、「円形」がプロットされた線(「ばね反作用トルク」)は調整可能アクチュエータ関節モジュールの準受動的弾性アクチュエータによって生成される得る弾性応答の歩行部分を表す。このように、ばね反作用トルクを利用して、以下で更に詳細に説明するように、関節を作動させるのに必要な電力消費を低減することができる。
【0097】
図3Cは、一次アクチュエータと並列に動作する準受動的弾性アクチュエータを有する調整可能アクチュエータ関節モジュールを備える外骨格の性能を示すグラフであり、当該関節モジュールは、一例として、人間の膝関節に関連付けられる関節剛性が7Nm/度のものである。より具体的には、グラフは、50ポンド(約22.7kg)の荷重で3.5mph(時速約5.6km)で歩行する場合の関節トルク(N・m)対関節速度(deg/sec)を示す。「三角形」がプロットされた線(「関節作動トルク」)は、予め定められた関節軌道(例えば、膝を回転させるのに必要なトルク)を達成するために必要な全体のトルクを表し、「円形」がプロットされた線(「ばね反作用トルク」)は、本明細書に例示されるように、準受動的弾性アクチュエータを適時に係合および非係合とさせることによって弾性応答が生成され得る歩行の部分を表す。
【0098】
「円形」がプロットされた線によって示されるように、得られるピークトルクは、「三角形」がプロットされた線の正規化されたトルク必要条件(約100N・m)と比較して実質的に低減(約25N・m)されている。すなわち、通常(すなわち、弾性アクチュエータを有する調整可能アクチュエータ関節モジュールを組み込むことなく)、トルク必要条件は約100N・mでピークに達するが、本明細書に開示されるような弾性アクチュエータを有する調整可能アクチュエータ関節モジュールを組み込む場合は、ピークトルクは約20N・mに過ぎず、したがって、同じ歩行サイクルおよび動作条件に対する電力要求を大幅に低減できる。これは、調整可能アクチュエータ関節モジュールが第1の歩行運動中に(準受動的弾性アクチュエータを介して)エネルギーを蓄積し、次の第2の歩行運動中にそのエネルギーを放出して、調整可能アクチュエータ関節モジュールの一次アクチュエータ(例えば、ギヤードモータ)によって印加されるトルクと並行に印加可能な増大トルクを印加するからである。無論、これらの結果には、重量、荷重等の他の要因も影響するが、いずれの場合であっても、これらのグラフは、以下に更に例示される、選択的に制御可能な準受動的弾性アクチュエータに連動して関節を適切に作動させる時に動力付きモータが必要とするオンボード電力が低減されていることを示している。並列弾性アクチュエータを使用することにより、歩行サイクルの特定の期間といった適時に弾性アクチュエータが係合および非係合にされる時に必要となるモータトルクを効果的に低減できる。股関節、足関節、肩関節および肘関節についても同様のプロットまたはグラフを示すことができる。幾つかの場合において、これらの関節の歩行のために専用で弾性アクチュエータを使用することができる。
【0099】
分かりやすく説明するべく、
図4A〜
図5Bおよび
図12A〜
図12Fは、調整可能アクチュエータ関節モジュールの第1の例に関する(弾性要素として回転空気ばね(rotary pneumatic spring)を有する回転空気圧式アクチュエータの形態の準受動的弾性アクチュエータを備え、準受動的アクチュエータは弾性状態、半弾性状態、非弾性状態で動作可能である)。
図6A〜
図11Bは、調整可能アクチュエータ関節モジュールの第2の例に関する(弾性要素として回転空気ばねを有する回転空気圧式アクチュエータの形態の準受動的弾性アクチュエータを備え、準受動的アクチュエータは弾性状態、半弾性状態、非弾性状態で動作可能である)。
図13Aおよび
図13Bは、調整可能アクチュエータ関節モジュールの第3の例に関する(弾性要素として回転空気ばねを有する回転空気圧式アクチュエータの形態の準受動的弾性アクチュエータを備え、準受動的アクチュエータは弾性状態、半弾性状態、非弾性状態で動作可能である)。
図14A〜
図15Cは、調整可能アクチュエータ関節モジュールの第1、第2および第3の例のそれぞれと共に動作可能な第1のベーンまたはベーン装置および第2のベーンまたはベーン装置の例、ならびに
図16A及び
図16Bの第1のベーン装置の例の場合も示す。
図17A〜
図17Eは、
図16A及び
図16Bの第1のベーン装置と共に動作可能な弁アセンブリの一例に関する。同様に、
図18A〜
図18Dは、
図16A及び
図16Bの第1のベーン装置と共に動作可能な弁アセンブリの別の例に関する。そして、
図20A〜
図20Fは、調整可能アクチュエータ関節モジュールの別の例に関する(弾性要素としてリニア空気ばねを有するリニア空気圧式アクチュエータの形態の準受動的弾性アクチュエータを備え、準受動的アクチュエータは弾性状態、半弾性状態、非弾性状態で動作可能である)。以下の説明では、関連する図を参照して行う。
【0100】
図4Aおよび
図4Bは、人間のオペレータが着用可能または使用可能な外骨格形態の例示的なロボットアセンブリ101の等角図を示す。ロボットアセンブリ101は、これに代えて、上述したようなヒューマノイドロボットまたは他のロボットアセンブリであってもよい。図示するように、ロボットアセンブリ101は、全身外骨格(すなわち、下半身部分と上半身部分の両方を有する外骨格)として構成することができる。しかしながらこれに限定されず、外骨格が下半身外骨格(すなわち、下半身部分の一部または全部)または上半身外骨格(すなわち、上半身部分の一部または全部)のみを含むこともできる。
【0101】
ロボットアセンブリ101は、左側および右側の外骨格肢を含んでもよい。右側外骨格肢部103は、複数の下半身支持部材105a〜dを含んでもよい。支持部材105a〜cは、それぞれの回転軸周りの複数の自由度を規定する複数の対応する関節107a〜cの周りの相対運動のために、互いに結合されてもよい。右膝関節107cは、本明細書で説明される準受動的弾性アクチュエータを有する調整可能アクチュエータ関節モジュール109aを備えることができる。本明細書では詳述しないが、股関節107aも、本明細書で説明する準受動的弾性アクチュエータを有する調整可能アクチュエータ関節モジュールを備えてもよいことは明らかである。足首関節部107dは、
図20A〜
図20Fに関して以下に説明するような調整可能アクチュエータ関節モジュールを備えてもよい。左外骨格肢も同様に構成することができる。
【0102】
図5Aおよび
図5Bは、
図4Aの調整可能アクチュエータ関節モジュール109aを部分的に拡大した、正面および背面斜視図を示す。(調整可能アクチュエータ関節モジュール109aを支持する支持部材105bを有するが、
図4A、
図4B、
図12A、
図12Bも参照)。
図5Aの特定の調整可能アクチュエータ関節モジュール109aについて、
図12A〜
図12Fを参照して具体的に説明する。
【0103】
図4A〜
図5Bのロボットアセンブリ101は、
図1を参照して概して説明したのと同じまたは同様の特徴を有することができる。例えば、膝関節の屈曲/伸展の自由度に対応する自由度を規定する調整可能アクチュエータ関節モジュール109aは、第1の歩行運動の間にエネルギーを回収し、次いで、第2の歩行運動中にそのエネルギーを放出して、上記で説明したのと同様に、調整可能アクチュエータ関節モジュール109aの一次アクチュエータによって印加されるトルクと並列に、増大トルクを印加して、膝関節を自由度に応じて回転させるように構成することができる。更に、調節可能アクチュエータ関節モジュール109aは、制御システム(例えば、弁アセンブリ)を介して動作に関わらない(すなわち、エネルギーの蓄積も放出もしない非弾性状態)ように選択的に制御されて、関節が無視できるほどに小さい抵抗で自由揺動して、オペレータが歩いたり走ったりする時に関節を回転させるようにしてもよい。同様に、調整可能アクチュエータ関節モジュール109aは、以下に更に説明するように、予め定められた剛性値を有するように「調整(チューニング)」することができる。
【0104】
図6A〜
図11Bは、本開示の一例による調整可能アクチュエータ関節モジュール130の様々な態様を示しており、本明細書で説明する関節を構成し規定するべく、ロボットアセンブリまたはシステムに組み込むことができる。本開示における調整可能アクチュエータ関節モジュール130は、ロボットアセンブリの股関節および/または膝関節を提供するものとして具体的に説明されるが、これに限定されるものではなく、当業者であれば、同様の概念をロボットシステムの異なる関節で使用するように構成された調整可能アクチュエータ関節モジュールに組み込み可能であることを理解できる。例えば、調整可能アクチュエータ関節モジュール130は、以下に説明するように、出力部材をわずかに変更することによって、
図4Aのモジュール109aとして容易に組み込むことができる。調整可能アクチュエータ関節モジュール130は、説明を分かりやすくするために反転して示されているが、
図5Aの調整可能アクチュエータ関節モジュール109aによって例示されるような向きに容易に組み込まれ得ることに留意されたい。
【0105】
調整可能アクチュエータ関節モジュール130は、互いに構造的に結合されて、関節にトルクを提供するように互いに動作可能な一次アクチュエータ132および準受動的弾性アクチュエータ134を備える。(準受動的弾性アクチュエータ134の)入力部材136aおよび出力部材136bはそれぞれ、回転軸137周りに回転可能である(例えば、膝関節または股関節のような人間の関節の自由度に応じておよびその回転軸に対応して、回転する)。図示のように、入力部材136aおよび出力部材136bの両方は、同じ(同一線上の)回転軸137を中心に回転することができる。しかしながら、異なる回転軸に沿って配置され共に動作可能に結合されている場合、入力部材136aおよび出力部材136bが異なる回転軸を有することができることこら、これに限定されるものではない。一次アクチュエータ132(例えば、ギアード電気モータ)は、出力部材136bが回転軸137を中心に回転するように出力部材136bにトルクを印加するように動作可能であり、準受動的弾性アクチュエータ134(例えば、ロータリ空気圧アクチュエータ)は、例えば歩行運動の特定の部分の間に、制動力を生成するように、または、一次アクチュエータ132によって印加されるトルクとともに出力部材136bに増大トルクを印加して関節を作動させるように、選択的に動作可能である。
【0106】
より具体的には、入力部材136aの第1回目の回転時には、準受動的弾性アクチュエータ134が、選択的にエネルギーを蓄積するようにまたは制動力を選択的に生成するように(弾性状態または半弾性状態)に動作するまたは制御システム(例えば、弁アセンブリ)によって制御される。そして、入力部材136aの第2回目またはそれ以降の回転時に(依然として弾性状態または半弾性状態にある間に)、そのエネルギーを選択的に放出する。弾性状態および半弾性状態では、準受動的弾性アクチュエータ134は、関節の回転に抗する制動力を発生させることができる、または、一次アクチュエータ132によって加えられるトルクと並行して増大トルクを出力部材に印加することができる(以下で更に詳細に説明する)、または、その両方を行うことができる。当業者であれば、準受動型弾性アクチュエータのこれらの異なる動作状態が、同じ方向または異なる方向の入力部材および関節の回転に入ることが理解できる。
【0107】
一態様では、エネルギーを蓄積および放出するように動作する準受動的アクチュエータの弾性状態では、入力部材136aの第1の回転は、調整可能関節モジュールを作動させるための一次アクチュエータの能動的駆動によって達成されて、関節モジュール(およびそれに結合された任意の構造支持体)の回転を引き起こす。別の態様では、入力部材136aの第1の回転は受動的に達成可能である、すなわち調整可能アクチュエータ関節モジュール内の入力部材136bの回転を達成するのに適した任意の利用可能な重力またはロボットシステムに作用する外力を利用することにより達成可能である(例えば、下半身外骨格が着座動作またはかがむ動作を実行するようにされ、それにより外骨格における様々な調整可能関節モジュールの回転に影響を及ぼす)。一次アクチュエータと並列に設けられた準受動的アクチュエータによる重力の利用により、調整可能な重力補償を伴う調整可能関節モジュールを提供できる。エネルギーが蓄積されると、そのエネルギーを出力部材136bに増大トルクの形態で放出することができる、または、さらなる回転を制動または制限するために使用され得る。
【0108】
準受動的弾性アクチュエータ134は更に、3回目以降の回転で、エネルギーを蓄積も放出もしないように構成することができ、準受動的弾性アクチュエータ134は非弾性状態に入る。この非弾性状態では、入力部材136aおよび出力部材136bは、互いに対して「自由揺動」モードに入る。すなわち、準受動的弾性アクチュエータ134に関して無視できる程度に小さい抵抗が存在することを意味する(アクチュエータ134がロボット装置の歩行サイクルの遊脚期の間に所望されるような、入力部材136aの出力部材136bに対する回転を制限する関節剛性値を示さない)。このように、準受動的弾性アクチュエータ134は、弾性状態と非弾性状態との間で切り替え可能であり、準受動的弾性アクチュエータ134は、一次アクチュエータ134によって印加されるトルクと並列に(弾性状態において)増大トルクを印加する。これらを合わせたトルクは、特定の歩行段階を実行するために一次アクチュエータが必要とするトルクよりも少なくなるように、効率的な態様で出力部材136bを入力部材136aに対して回転させるように機能し、以下に詳細に説明するように、一次アクチュエータ134の電力要件/要求を低減させることができる。
【0109】
一例において、準受動的弾性アクチュエータ134は、第1のマウントプレート138aおよび第2のマウントプレート1138bによって一次アクチュエータ132に構造的に搭載することができ、第1のマウントプレート1138aおよび第2のマウントプレート1138bはそれぞれ端に配置されて、一次アクチュエータ132および二次アクチュエータ134を「サンドイッチ」状態に拘束するように設けられる(
図7A〜
図8B)。第1のマウントプレート138aは、複数の締結具142(それらの間にスペーサを有する)を介して一次アクチュエータ132のハウジングマウント140に取り付けられる。第1のマウントプレート138aは、一次アクチュエータ132のカラーベアリング146を回転可能に支持する一次開口部144a(
図8B)、および、準受動的弾性アクチュエータ134によって支持されるカラーベアリング148(
図8B)を回転可能に受容する二次開口部144bを備える。
【0110】
第2のマウントプレート138bは、複数の締結具151を介してハウジングマウント140の他端側に取り付けられ、準受動的弾性アクチュエータ134に結合されたカラーベアリング154(
図8A)を回転可能に支持する入力開口152を有する。従って、第2のマウントプレート138bの入力開口152および第1のマウントプレート138aの二次開口部144bは、準受動的弾性アクチュエータ134を構造的に支持する大きさに形成され、準受動的弾性アクチュエータ134の両側を支持するカラーベアリング148および154を介して準受動的弾性アクチュエータ134の回転を容易にする。
【0111】
入力部材136aは、特定の用途(例えば、外骨格、ヒューマノイドロボット、ロボットハンドまたはアーム)および入力部材136aに取り付けられた支持部材(例えば、
図4Aの支持部材105b)に依存して、多くの異なる形状および形態を有し得る荷重伝達構成要素とすることができる。上記された特定の構成に、限定することを決して意図していない。本例では、入力部材136aは、水平フランジ156および回転インターフェース開口158(
図7Aおよび
図8A)を備えることができる。水平フランジ156は、第2のマウントプレート138bの水平段部160に対し受容され、第2のマウントプレート138bに対する入力部材136aの移動を制限し、それによって一次アクチュエータ134のハウジングマウント140に対する移動を制限する。回転インターフェース開口158は、第2のマウントプレート138bの入力開口152を通って延びる第1のベーン装置164(
図10Aおよび
図10B参照)の入力インターフェース部材162に結合することができる。出力部材136bは、
図4Aの支持部材105bのようなロボットアセンブリの支持構造に結合可能なロボット支持部材境界部分を備えてもよい。
【0112】
出力部材136bは、特定の用途(例えば、外骨格、ヒューマノイドロボット、ロボットハンド、ロボットアームなど)に応じて、様々に異なる形状および形態を有し得る荷重伝達要素であってもよい。上記された特定の構成に、限定することを決して意図していない。この例では、出力部材136bは、締結具(図示せず)を介して準受動的弾性アクチュエータ134のハウジング170に固定されたアクチュエータ境界部分168を備えることができる。あるいは、出力部材136bは、ハウジングの一体化された部分として形成することができ、
図12A〜
図12Eに関して以下に説明するように、および、
図4A〜
図5Bの外骨格の例に示されているように、回転軸137の近くに配置することができる。
【0113】
出力部材136bは、
図4Aの外骨格のようなロボットアセンブリの支持構造に結合可能なロボット支持部材境界部分172を備えることができる。したがって、準受動的弾性アクチュエータ134が回転軸137周りに回転すると、出力部材136b(およびその関連する支持部材)は、取り付けられたハウジング170と共に同じ回転軸137の周りを同時に回転する。
【0114】
一次アクチュエータ132(一次アクチュエータ132が分解図で示されている特に
図9Aおよび
図9Bを参照)は、ハウジングマウント140を備えることができる。ハウジングマウント140は、締結具176を介して互いに結合された第1のマウント構造174aおよび第2のマウント構造174bを備える。一次アクチュエータ132の構成要素の多くを収容し構造的に支持するべく、第1のマウント構造174aおよび第2のマウント構造174bを共に締結する。例えば、一次アクチュエータ132は、第1のマウント構造174aおよび第2のマウント構造174bの環状凹部にそれぞれ配置されるモータ178を備える。モータ178は高性能永久磁石ブラシレスDCモータ(PM−BLDC)であってもよく、これは、48VDC電源および高性能COTSコントローラを使用して動作すると共に、所望の最大トルクおよび速度を達成するように巻線が最適化されたフレームレストルクモータの変形であってもよく、例えば、Allied Motion社の電気モータMF0127−032を使用してもよい。ブラシレス電気モータの制御は周知であり、詳細には説明しないが、任意の数の制御方式を、モータを動作させるために、調整可能アクチュエータ関節モジュール130に関連付られたモータおよびセンサと組み合わせて使用できることは明らかである。しかしながら、上述したおよび図示したモータに、決して限定するものではない。実際には、一次アクチュエータ132として使用するのに適した他のモータが本明細書において考慮され、油圧アクチュエータなどの様々な他のタイプのアクチュエータも考慮され得る。
【0115】
モータ178は互いに対して回転可能なステータ180およびロータ182を備えることができる(市販のフレームレスブラシレスモータの場合の典型的な様式)。モータ178は、モータ178の中央領域に位置しロータ182によって囲まれた中央空隙184を含むように構成することができる。より有用な態様では、遊星歯車変速機186のような変速機を、中央空隙184内に(全体的にまたは部分的に)配置し、支持することができる。これは、本明細書の後に例示されるように、比較的小型の電気モータに対する高トルク出力を有する薄型ギヤードモータ状態を提供する。本明細書に例示された遊星歯車変速機は、高調波、サイクロイド、ウォーム、ベルト/チェーン、クランク、4節リンク機構、バックホ−リンク機構、ベルクランクおよび連続的に可変なといった、他のタイプの変速機(トランスミッション)に置き換え可能である(または補充され得る)。または、当業者によく知られたその他の変速機に置き換え可能である。これらの他のタイプの変速機については、当業者にとっては、必要以上に実験を行うことなくこれらをどのように実施することができるか明らかであるので、ここでは詳述しない。
【0116】
遊星歯車変速機はよく知られており、ここで詳細に説明はしない。しかしながら、遊星歯車変速機186は、4:1ギアード遊星歯車変速機として構成されてもよい。したがって、一例では、遊星歯車変速機186は、キャリア192の周りに取り付けられた4つの遊星歯車188(1つが図示されている)に係合する外側リング190を有してもよく、4つの遊星歯車188は中央の太陽歯車(
図9B)の歯と係合する歯を有する。遊星歯車変速機では、固定要素は、例えば、外側リング190、キャリア192または太陽歯車194のいずれか1つであり、これにより、他の2つの構成要素が選択された固定要素に対して回転可能となる。
【0117】
この例では、外側リング190は、外側リング190の周囲の開口部196および第1のマウント構造174aのネジ穴197を通って締結具(図示せず)を介して第1のマウント構造体174aに締結されることによって固定されている。回転可能な伝達ホイール198(
図9A)が、第2のマウント構造174bに隣接する一次アクチュエータ132の外側に配置され周辺締結具202を介して駆動カラー200に固定されている。駆動カラー200は、モータ178のロータ182に締結または固定されている。伝達ホイール198は、モータ178のロータ182の回転を太陽歯車194が回転軸203(
図8A)の周りで回転するように回転を伝達すべく動作可能である。スペーサスリーブ201は、駆動カラー200に隣接し且つ遊星変速機186の外側リング190とロータ182との間に配置されて、遊星変速機186とロータ182との間の支持スペーサとして機能する。
【0118】
伝達ホイール198は、締結具208を介して伝達ホイール198に締結される伝達ハブ206を支持する中央開口204を有してもよい。伝達ハブ206は、太陽歯車194の外歯と係合可能な内歯(図示せず)を有することができる。したがって、モータ178に電界を印加すると、ロータ182は軸203を中心に回転し、それによって伝達ホイール198が回転し、これにより太陽歯車194が回転し、全て1:1の比率で回転する。太陽歯車194が回転軸203を中心に回転すると、遊星歯車188が太陽歯車194の周りを回転し、これによりキャリア192が回転する。出力シャフト209は、キャリア192の中心部211に固定されており、キャリア192の回転により出力シャフト209が軸203を中心に回転し、これにより遊星歯車変速機186を介してロータ182の回転から出力シャフト209への4:1ギアダウン変速機構成が提供される。4:1変速機の代わりに、3:1または2:1(またはこれよりも大きな比)といった遊星歯車変速機のように、その他の遊星歯車変速機および歯車減速機構を使用することができる。
【0119】
高さを低減するために、遊星歯車変速機186をモータ178のロータ182の内側に配置してもよい。選択されたモータに依存して、ロータの内径により遊星歯車変速機の最大外径が決まる場合がある。遊星リングが外径によって制約を受ける場合、利用可能なギア比および出力トルクの選択肢が限られる。出力比は、外輪歯車の歯数と太陽歯車の歯数との比から求められる。コンパクトな設計の遊星歯車装置においてより高い減速を得るためには、太陽歯車の直径を減少させてもよく、これは通常、動力伝達がより少ないことに対応する。太陽歯車が小さくなると、高いトルクを伝達する能力が低下する。モータのロータの内部に物理的にフィットする遊星歯車ユニットに対して、減速と強度のバランスが決定される。ヘリカルカットギアを採用することにより、より大きな力を歯車の歯に伝達することができ、遊星歯車ユニットをより強くすることができる。歯の幅が広いほど太陽歯車の耐荷重能力が向上するが、重量も増加してしまう。
【0120】
更に、太陽歯車194をいくつかの歯と同時に接触するように構成して、接触比は従来の平歯車減速機よりもはるかに高くなる。遊星歯車のもう1つの利点は、変速機がモータと一列に配置されることから、コンパクトな取り付け状態が可能であることである。たとえば16:1の最終ドライブを形成するべく、4:1の遊星型ユニット(
図9Bに一つが示されている)のうちの2つを一緒にネストしてもよい。
【0121】
したがって、Allied Motion社のMF0127−032モータを使用する一例では、内径は3.3インチ(約8.38cm)であり、約3.15インチ(またはそれ以下)の遊星歯車変速機をモータの中央空隙に配置できることを意味する。また、Matex社の75−4MLG12遊星変速機を組み込むこともできる。この変速機は外径2.95インチの4:1ユニットで、重量はわずか500グラムで118N・mのピークトルクを有する。コンパクトな構成とするべく、このような遊星歯車変速機を本明細書で説明するブラシレスモータに組み込むことができる。したがって、
図9Bの例では、出力シャフト209は、遊星歯車変速機186を介して低速であっても比較的高いトルクをごく僅かな騒音とバックラッシュで印加することができる。また、例えば、遊星歯車変速機186がブラシレスフレームレス電気モータ178の空隙184内に収容されているため、コンパクトな形態で提供可能である。当業者には明らかなように、本明細書に記載された特定のタイプのモータおよび遊星歯車変速機に決して限定することを意図するものではない。
【0122】
図9Aおよび
図9Bに示すように、出力シャフト192の自由端210は、第1のマウント構造174aの開口部212を通って延在する。テーパ状の支持カラー214は、出力シャフト192を取り囲み出力シャフト192に結合される(キーとスロットのインターフェースを使用して、支持カラー214を出力シャフト1192に結合することができる)。テーパ状支持カラー214は、出力シャフト192をプライマリプーリ216に結合するために、プライマリプーリ216の内側テーパ面(例えば、モールステーパ界面のような)に合致する外側テーパ面を有する(キーとスロットのインターフェースを使用して支持カラー214をプライマリプーリ216に結合することができる)。第1カラー軸受け218aは、第1のマウント構造174aの開口部212(
図9A)内に配置され、出力シャフト192を回転可能に支持する。第2カラー軸受け218bは、プライマリプーリ216の外側端部に位置して、出力シャフト192の自由端210を回転可能に支持してもよい。
【0123】
一例では、センサプレート220を第2のマウント構造174bの外側に固定することができ、センサプレート1220は位置センサ222を支持する開口を備える。位置センサ222は、伝達ホイール198に隣接して配置されてもよい。伝達ホイール1198は、位置センサ222が太陽歯車194の位置を検出可能となるように太陽歯車194に至る開口を有している。そして、最終的に出力シャフト209の回転位置を検出できるようになっており、それにより、例えば、膝または股関節の角度位置を提供する。位置センサ222は、13ビットホール効果センサのような任意の適切なセンサとすることができる。更なる位置センサをシステムに結合して、最終的に関節の位置を決定するべく利用してもよい。
図3Bおよび
図3Cのグラフに関して上述したように(および弁アセンブリに関しては以下に記載する)、膝関節の特定の位置において、弁アセンブリの作動を決定及び制御して、調整可能アクチュエータ関節モジュールを非弾性状態、弾性状態または半弾性状態(例えば、弾性アクチュエータを係合したり非係合状態にしたりする)で切り替えをおこなってもよい、または、弾性アクチュエータの零点または位置を動的に変化させてもよい。
【0124】
図6A〜
図8Bに戻り、モータ178を動作させることによって出力シャフト209が(いずれかの回転方向で)回転すると、上述のように、プライマリプーリ216は、準受動的関節アクチュエータ134(以下に更に説明する)に連結された伝動ベルト224を回転させて、例えば、膝関節を回転させるべく調整可能アクチュエータ関節モジュール130を回転させるための一次トルクを提供する。伝動ベルト224は、ゲートポリチェーンGTカーボン(Gates Poly Chain GT Carbon)同期ベルトまたはその他の適切なベルトであってもよい。ベルト引っ張り装置225(
図7Bおよび
図8B)は、使用者が操作できるファスナを介して第1のマウントプレート138aのスロットに調節可能且つ摺動可能に連結することができる。使用者はツールを使用して、ベルト224に向かってまたはベルト224から離れる方向にベルト引っ張り装置225をスライドさせることにより、所望にベルト1224を締め付けたり緩めたりすることができる。幾つかの例では、ベルト224の特定の構成、例えば、一つまたは複数のベルト、結合構造、歯車、腱またはその他(またはそのような組み合わせ)を、様々な他のトルク伝達装置で置き換えることができる。トルク伝達装置を、一次アクチュエータ132の回転軸203からオフセットした(例えば、垂直な、直交するまたは他の角度である平面に沿った方向に向けられた)回転軸を有するように構成することができる(平行以外の他の位置)。特定の用途に応じて、比較的高いギア減速(例えば、20:1以上)、比較的低いギア減速度(例えば、1:1)またはこれらの間の任意のギア減速を含む様々なギア減速を入力から出力に提供するように、様々な変速機を配置することができる。幾つかの例では、ベルト224の形態のトルク伝達装置、または、様々な代替トルク伝達装置によって、一次アクチュエータ132を出力から離れた遠隔に配置することができる(すなわち、一次アクチュエータ132は調整可能アクチュエータ関節トモジュールの出力から予め定められた距離だけ離れて配置されるが、トルク伝達装置を介して作動可能に接続されている)。そして、遠隔に配置された一次アクチュエータ132を作動させることができ、そのトルクは、ロボットシステムの関節に対応する調整および作動可能な関節モジュールの出力に伝達される。例えば、一次アクチュエータ132を外骨格の腰部領域(例えば、
図4A)に配置させることができ、上記のような代替のトルク伝達装置は、一次トルクを腰領域から、股関節を作動させるための股関節用の調整可能アクチュエータ関節モジュール内に配置された出力部材へと伝達することができる。
【0125】
準受動的弾性アクチュエータ134(特に
図10Aおよび
図11Bを参照)に関して、準受動的弾性アクチュエータ134は、増強トルクまたは補足的トルクを印加することができる(例えば、ロボット支持部材のような支持部材に固定されている出力部材136bに印加することができる)。入力部材136aおよび出力部材136bはそれぞれ、回転軸137周りを回転可能(または異なる軸を中心に回転可能)であってもよい。回転軸137は、一次アクチュエータ132(
図7A参照)の回転軸203と実質的に平行である。これは、一次アクチュエータ132および準受動的弾性アクチュエータ134は、互いに対して垂直に配置されるまたは積層され(例えば、
図6A〜6Dを参照)、調整可能アクチュエータ関節モジュール130の質量の実質的に全部が、関節の回転軸137(すなわち、入力部材136aおよび出力部材136bの周り)に近接または接近して配置されることになることから、調整可能アクチュエータ関節モジュール130の小型化に寄与する。
【0126】
一例では、準受動的弾性アクチュエータ134は、一次アクチュエータ132によって加えられるトルクと共に増大トルクを出力部材136bに加える、または、制動力を生成して印加するべく選択的に動作可能な(例えば、選択された時間に選択された期間だけ係合可能および非係合となる)弾性要素として回転空気ばねを有する回転空気圧式(またはその他のタイプの)アクチュエータを備えることができる。準受動的弾性アクチュエータ134は、弾性アクチュエータ134に関連付られた弁アセンブリ(以下に更に説明する)の制御を介して選択的に動作可能とすることができる。準受動型弾性アクチュエータ134は、入力部材136aの第1の回転時に選択的にエネルギー(弾性状態)を蓄積し、入力部材136aの第2の回転時にエネルギーを選択的に放出して(弾性状態)、一次アクチュエータ132によって出力部材136bに加えられるトルクと平行して出力部材136bに増大トルクを印加する。ここで、エネルギーおよび増大トルクの放出は、弾性応答(
図3A)を示す歩行サイクルのある期間または部分で引き起こされる。
準受動的弾性アクチュエータ134は、第3の回転時に、準受動的弾性アクチュエータ134についてエネルギーを蓄積も放出もしない(非弾性状態)ように構成される。同様に、関節の回転をある程度まで制動または制限することが望ましい特定の動作シナリオの時に、制動力は生成され得る。一次アクチュエータが非作動であるが入力部材および関節の回転が(例えば、外力に応答して)まだ起こっている時に、制動力を加えて回転を制限することができる。しかしながら、一次トルクが一次アクチュエータから出力部材に加えられている時制動力を印加するということに制限することを意図するものではない。
【0127】
準受動的弾性アクチュエータ134のハウジング170は、ハウジング本体226と、複数の締結具230を介して一緒に締結されるフェースプレート228とを備え、これらは共にハウジング170のキャビティ232(
図10B)を画定する。第1のベーンまたは第1のベーン装置164および第2のベーンまたは第2のベーン装置229は、ハウジング170によって支持され、キャビティ232の周りに互いに対して回転可能である。第1のベーン装置164の入力インターフェース部材162は、フェースプレート228の中央開口234を通って(および第2のマウントプレート138b(
図7A参照)の入力開口152を通って)延在する。
【0128】
入力インターフェース部材162は、カラーベアリング236によってフェースプレート228の周りに回転可能に支持されている。カラーベアリング236は、フェースプレート228に固定されたリング241によって予め定められた位置に保持される。入力インターフェース部材162は、入力インターフェース部材162の周囲に半径方向に配置されたキースロット238を有し、キースロット238は、入力部材136aの中央開口240の内側に形成された対応するキースロットと面するキー/ロッド(図示せず)を受容する。
【0129】
第1のベーン装置164の入力インターフェース部材162の反対側には、チャンバ本体226の中心開口244を通って延びる円筒状の安定化部分242(
図10A)が存在し、環状の安定化部分242を囲むカラーベアリングによってハウジングに対して回転可能に支持される。カラーベアリング246は、ハウジング本体226の外側凹部内に配置されてもよい。リング248をハウジング本体226に固定して、カラーベアリング246をハウジング本体226の周りに保持することができる。カラーベアリング148は、ハウジング本体226の外側環状部材250を囲み、第1のマウントプレート138a(
図7b参照)の第2の開口144bと回転可能に連結されて、ハウジング本体226をマウントプレート138aで回転可能に支持する。
【0130】
引き続き
図10Aおよび
図10B並びに
図14A〜
図14Bを参照して説明すると、第1のベーン装置164は、円筒状本体部分252と、円筒状本体部分252から延びる細長いベーン254とを有する一体的または均一な本体とすることができる。一例では、第2のベーン装置229は、公称位置にある時に第1のベーン装置164の細長いベーン254から約180度に延びるように配置された細長いベーンを備えることができる(
図11A)。第2のベーン装置229は、第2のベーン装置229のいずれかの端部を横方向に貫通する一対のピン258(
図10B)によって、ハウジング本体226およびフェースプレート228に固定されてもよい。一対のピン258は、ハウジング本体226およびフェースプレート228の受容孔内に延在する。したがって、第2のベーン装置229はハウジング170に固定され、回転軸137を中心としたハウジング170の回転は、第1のベーン装置164に対する第2のベーン装置229の同時回転を引き起こす(例えば、
図11Aおよび
図11Bの説明および比較を参照)。このように、第2のベーン装置229は、第1のベーン装置164(
図14A)の円筒形本体部分252の外面262に摺動可能に係合する境界面260を有する。
【0131】
図11Aおよび
図11Bから分かるように、第1のベーン装置164および第2のベーン装置229は、圧縮チャンバ264aおよび膨張チャンバ264b(ハウジング170のキャビティ232の境界によっても画定される)を画定する。第1のベーン装置164に対する第2のベーン装置229の位置により、これらチャンバの容積を規定することができる。一例では、
図11Aに示すように、第2のベーン装置229は、第1のベーン装置164の0度の位置から180度のところに配置されてもよく、圧縮室264aおよび膨張室264bはそれぞれ同じ容積を有する。
図11Aの断面図では、
図11Bに示される位置に対して反転されている。準受動的弾性アクチュエータが非弾性状態または非弾性モード(自由揺動を容易にする)にある時に、異なる容積を有する圧縮チャンバおよび膨張チャンバを提供するように、言い換えると、異なる容積比を提供するように、第2のベーン装置229は、第1のベーン装置164に対してその他の位置に配置されてもよい。
更に、弾性要素は、第1の回転に先立って予めチャージすることができ、その結果、圧縮チャンバと膨張チャンバとの間に圧力差が生じる。
【0132】
ハウジング170のキャビティ232(すなわち、圧縮チャンバ264aおよび膨張チャンバ264bのそれぞれ)は、弁269(
図10B)を介して公称圧力(例えば、約1500psi)までガス圧力を充填することができ、チャンバ264aおよびチャンバ264bは、第1のベーン装置164が公称位置にある時にガス圧力が等しくなるように設定される(準受動的弾性アクチュエータが弾性モードに入る直前の非弾性モードにある時の第2のベーン装置に対するロータベーンの位置(例えば、第2のベーン装置229に対して180度、第2のベーン装置229に対して90度/270度など)(および、後述するように、弁アセンブリが開いている時に)。圧縮チャンバ弁267aおよび膨張チャンバ弁267b(
図10B)はそれぞれ、対応する圧縮チャンバ264aおよび膨張チャンバ264bと流体連通して、所望のように一方のまたは両方のチャンバのガス圧力の量の除去または追加を容易にして、特定のばね剛性値を生成することができる。いくつかの例では、使用分野によっては、このばね剛性値をオペレータが動的に変更可能である。例えば、外骨格を着用している人またはオペレータは、特定の作業を行う時または特定の負荷を搬送する時に、より堅い膝関節を望む場合がある。この場合、キャビティ232内の公称ガス圧力を、弁を介してハウジング170内のガス圧を除去または追加することによってリアルタイムでおよび現場で動的に調整または変更することができ、準受動的弾性アクチュエータ内の可変関節剛性値を提供することを可能にする。これは、ユーザによって変更可能でない製造時のばね剛性を有するシステムと比べて、有利である。いずれにしても、準静的弾性アクチュエータは、予め定められた関節剛性値を有するようにプリチャージ圧力でプリチャージすることができる。いくつかの例では、「プリチャージ」は、第1および第2のベーン装置がそれらの公称位置(例えば、上記の例では、互いに対して180度の位置)にある時に、圧縮チャンバ264aおよび膨張チャンバ264の両方に加圧ガス(すなわち、環境大気圧を超える)を注入することまたは導入することを指す。したがって、プリチャージ圧力が高いほど(例えば、200psi対1646psi)、特定のアクチュエータに対するばね剛性値が大きくなる。これは、第2のベーン装置に対する第1のベーン装置の回転量が同じである場合に高いガス圧でプリジャージすると、特定の圧縮チャンバのガス圧も高くなるからであり、様々なプリチャージガス圧値でプリチャージした後の圧縮チャンバの圧力と比較した結果である。これは、本明細書において、「調整可能」アクチュエータ関節モジュールという用語が意味するものの一例であり、本明細書の実施形態および説明によって理解されるように、本明細書で論じられる例示的なアクチュエータ関節モジュールが、アクチュエータ関節モジュールのチャンバにチャージ(充填)(または除去)されるガス圧の量を選択することにより、特定の関節剛性値を有するように調整可能であるからである。
【0133】
入力部材136aが出力部材136bに対して回転軸137周りに(例えば、
図11Bの反時計回り方向に)回転すると、準受動的弾性アクチュエータが係合されて、第1のベーン装置164を回転させることができる(例えば、第1のベーン装置164を約90度回転させることができる(実際には、回転は90度より大きくても小さくてもよい))。このような回転運動は、第1の支持部材を第2の支持部材の周りで回転させる、例えば
図3Aの点Aから点Bの間の歩行運動、外力または他のタイプの運動の結果であり得る。すなわち、入力部材136aおよび出力部材136bは、例えば、ロボットアセンブリの対応する第1の支持部材および第2の支持部材(たとえば、
図4A)に固定されることから、互いに対して回転する。したがって、このような回転の際に、
図11Bに示すように、圧縮チャンバ264a内のガス(例えば、空気、窒素、二酸化炭素、アルゴン、フレオン、ガスの混合物など)を、第1のベーン装置164と第2のベーン装置229との間で圧縮することができ、その中にエネルギーを蓄積する(圧縮されたガスはばね様の挙動を示す)。そして、
図3Aの点Bから点Cの間のような第2の歩行運動時に、入力部材136aは、出力部材136bに対して反対方向(すなわち、時計回り方向)に回転を開始する(他の例では、同じ方向への回転中にエネルギーを蓄積および放出することができるので、反対方向への回転は必要ない)。したがって、弾性アクチュエータが係合している(依然として係合している、または、後に選択的に係合する)場合、圧縮チャンバ264a内の圧縮ガスが膨張し、それによって第1の回転または歩行運動中に回収した蓄積/ポテンシャルエネルギーを放出することができる。この膨張ガスは、第1のベーン装置164の細長いベーン254を押す、または、付勢力を生じさせる。その結果、第1のベーン装置164によって第2のベーン装置229に対してトルクが加えられ、第2のベーン装置229および取り付けられたハウジング170を回転させ、結果的に増大トルクが出力部材136bに印加される。圧縮チャンバ内のガスを連続的に圧縮する時にエネルギー蓄積される態様が非線形であるため(弁アセンブリが完全に閉じた位置にある)、特定の関節モジュールの回転中、関節モジュールのばね剛性は変化する。このように、関節モジュールおよび対応する関節の様々な回転度の間に準受動的弾性アクチュエータが作動されるので、様々な程度の圧縮および膨張サイクルによってばね剛性は異なる。
【0134】
いくつかの例では、所望の弾性応答を達成するべく、第2のベーン装置229の製造位置を特定の位置に選択することができる。例えば、第2のベーン装置229を、第1のベーン装置164の細長いベーン254に対して180°未満または180°以上の角度でハウジング170に固定してもよい。すなわち、膨張体積と圧縮体積との間の差異を増減させることができる、言い換えると、圧縮チャンバ容積と膨張チャンバ容積とを異ならせるおよび同じにしないようにすることができる。これは、膝の高さが異なり歩行のタイプが異なるユーザにとって有用である、または、膝関節の回転が単に歩くことまたは走ることよりも大きくなる、かがむ動作およびジャンプのようなタスク特有の動きに対して有利であり得る。更に、弁アセンブリが閉じられている時に、第2のベーン装置229を第1のベーン装置164に対して様々に異なる位置に配置することにより、線形または非線形の応答または出力を生成することができる。圧縮チャンバ容積および膨張チャンバ容積が異なる場合、特に、膨張チャンバ容積が相対的に小さい場合、同じロータ回転の圧縮側よりも容積比が高いので、差圧はより急速に進展することがある。これは、容積が等しい場合に得られるのと同じ空気圧ばね剛性を達成するために、より低い充填圧力でもよいことを意味する。
【0135】
例えば、非限定的な一例において、第2のベーン装置229が最初に第1のベーン装置164に対して90度の位置にあると仮定すると(そのような初期位置を示す
図11Bを参照)、ハウジング本体226の全容積は約137ccである。したがって、圧縮チャンバ264a(例えば、約108cc)は、膨張チャンバ(例えば、約29cc)よりも大きな容積を有する。圧縮チャンバ264aおよび膨張チャンバ264bのプリチャージ圧力は、約1646psiとすることができ、20度の回転で1854psiのピークを生成し、140N・mのトルクを生成する。1646psiのプリチャージ圧力は、7N・m/度の目標関節剛性を達成することができる。第2のベーン装置229を互いに対して180°以外の位置に配置することにより、膨張チャンバ容積および圧縮チャンバ容積を異ならせることができ、それにより、(実質的に容積が等しくなる、180°に配置された例と比較して)低い充填圧力および作動圧力を維持することができる。
なぜなら、容積が等しい場合と比較して、第1のベーン装置164は、圧縮チャンバ264aの周りに同じ量のエネルギー貯蔵を達成するのに、回転運動が約半分で足りるからである。また、より小さいチャンバ容積が可能となるので、特定の準受動的弾性アクチュエータのサイズおよび重量を低減または最小化することもできる。これは、本明細書において、「調整可能」アクチュエータ関節モジュールという用語が意味するものの別の例であり、本明細書の実施形態および説明によって理解されるように、本明細書で論じられる例示的なアクチュエータ関節モジュールが、第1のベーン装置164に対する第2のベーン装置229の初期位置または開始位置を選択することにより、特定の関節剛性値を有するように調整可能であるからである。
【0136】
一例として、
図14Aおよび
図14Bを参照すると(および
図4A〜
図11Bを参照すると)、一対の小さなリングシール259をそれぞれ第1のベーン装置164の両側に配置して、圧縮チャンバ264aおよび膨張チャンバ264b間でガスが移動する(または流出する)のを封止する。同様に、チャンバ264aとチャンバ264bとの間で移動するガスを封止するために、大きなリングシール261の別の対が円筒状の本体部分252の両側にそれぞれ配置されて、それにより二段階の封止を提供する。チャンバ264aとチャンバ264bとの間を移動するガスを封止するために、細長いベーン254は、ベーン254の中央領域を通って延在するスロットを通って配置されたシール部材263を有してもよい。同様に、第2のベーン装置229は、第2のベーン装置229の周囲の溝に配置されたシール部材265を備え、垂直方向/横方向の4つ全ての側面で第2のベーン装置229の周りの接触領域を封止する。
【0137】
上記したように、一次アクチュエータ134を作動させて、(増大したトルクと共に)一次トルクを印加して出力軸136bを回転軸137の周りに回転させることができる。このようにして、スプラインリングギア268を、ハウジング本体226の環状境界部分272の周りにスプラインリングギア266を噛合させるキー270(
図10A)を介してハウジング本体226に結合することができる。スプラインリングギア266は、伝動ベルト224を介して(一次アクチュエータ134の)プライマリプーリ216に回転可能に連結することができる。したがって、所望のまたは選択された第2の歩行運動時に、準受動的アクチュエータ134は、一次アクチュエータ134のトルクと同時に増大トルクを印加して、調整可能アクチュエータ関節モジュール130を回転軸137の周りで作動させる。一次アクチュエータ132によって印加されるトルクは準受動的弾性アクチュエータ134によって印加される増大トルクが補足されるので、弾性アクチュエータを有さない関節モジュールと比較して、
ロボットアセンブリの同じ仕事または機能を達成するために、より小さいモータ群(例えば、電力消費が少ない)をモータ178として選択して関節モジュール内に配置することができ、コンパクトな構成のモジュール130を提供できる。
【0138】
例えば、モータ178は、Allied Motion社(MF0127−032)によって販売されているブラシレスDCモータ(BLDC)であってもよく、例えば、外径95mm、32mmのフレームレスモータであって、トルクは40〜60Nm、ピークトルクは90Nmの永久磁石BLDCのであってもよい。48VDC電源と高性能COTSコントローラを使用し、巻線は所望の最大トルクと速度を達成するように最適化されている。モータコイルの定格は最大130℃であり、50℃〜60℃(122°F〜140°F)という高い周囲温度でも運転し続けることができるが、理想的には周囲温度より高い、約40℃の定常状態温度で動作する。無論、これは限定することを意図しない一つの特定の例に過ぎない。
【0139】
電力使用の一例では、下半身の外骨格(例えば、
図4A)は、屈曲/伸長を行う左右の股関節と、屈曲/伸展を行う膝関節とを備え、これらの関節はそれぞれ本明細書で説明される調整可能アクチュエータ関節モジュールを備える。例えば、約3.5mph(約5.6km/h)で歩行する場合、各股関節を作動させるための総電力使用量は歩行サイクル当たり約90Wであり、周囲温度より高い約40℃の温度で動作する。そして、各膝関節を作動させるための総電力使用量は、歩行サイクル当たり約70Wであり、周囲温度より高い約60℃の温度で動作する。したがって、外骨格の2つの脚(歩行中)の合計平均電力は約320W(すなわち、90+90+70+70)である。したがって、1mの歩行に使用されるエネルギーは約213J/m(または約17km/kW時の走行距離)である。
【0140】
一方、約6mph(約9.7km/h)で走る場合、各股関節を作動させるための総電力使用量は歩行サイクル当たり約150Wであり、周囲温度より高い約70℃の温度で動作する。そして、各膝関節を作動させるための総電力使用量は、歩行サイクル当たり約145Wであり、周囲温度より高い約60℃の温度で動作する。したがって、外骨格の2つの脚(ランニング中)の合計平均電力は約590Wである。
【0141】
これらの2つの同じ動作条件例(歩行および走り)は、約5.08kgの重量(材料の選択および他の可変条件に応じてこれよりも小さい重量であり得る)の調整可能アクチュエータ関節モジュールによって達成可能であり、一次アクチュエータ(例えば、モータおよび1つの遊星歯車変速機)の最大トルクは300N・mである。準受動的弾性アクチュエータ(増大トルクを印加するアクチュエータ)の最大トルクは、股関節(645psiのプリチャージ)の場合は460N・m、膝関節の場合は350N・m(1525psiのプリチャージ)であってもよい。これらの結果は、各股関節および/または膝関節の最大速度が600°/秒の場合である。いくつかの例では、プリチャージ圧力は最大3000psiであり、破裂圧力は5000psi以下であってもよい。足首関節は、
図20A〜
図20Fのリニア空気圧アクチュエータに関して以下に述べる性能結果を有し得る。
【0142】
いくつかの例では、第2の遊星歯車変速機のような第2の変速機を、一次アクチュエータ132に組み込んで、さらなる減速を提供することができる。例えば、低駆動または高駆動の第2の遊星歯車変速機を遊星歯車変速機186の出力(例えば、キャリア)に結合することができ、第2の遊星歯車変速機の出力を出力シャフト210に結合することができる。したがって、このようにカスケード接続された遊星歯車変速機および伝動ベルト224は、元の出力トルクおよびモータ178の速度から三段階の歯車減速を提供することができる。
【0143】
図6A〜
図10Bに示す例では、遊星歯車変速機186は、ベルト224が2.05:1の減速をもたらす4:1変速機であってもよい(上述したように、リングギア268の大きい直径および出力プーリ216の小さい直径の結果として)。モータ178から出力部材136bへの歯車の減速比は、8.2としてもよい。モータ178が48Vモータ(および上述のAllied Motion社のモータ)である例では、最大出力トルクは約342N・mであってもよく、最大出力スピードは1008°/秒であってもよい。しかしながら、これに限定されることを意図していない。別の例では、ベルト224は、1:1の変速機減速を提供することができる。または、この比から変化させてもよい。同様に、遊星歯車変速機は、上述のように、3:1または5:1(またはこれよりも大きな比)とすることができる。当業者には明らかなように、上述の第1の変速機と同様に、他のタイプの変速機を組み込んで第2の変速機として使用することができる。いくつかの例では、上記のように、他のフレームレスブラシレスモータ(または他のタイプの一次アクチュエータ(例えば、油圧式、空気式))を組み込んで、作動される関節の特定の動作条件に応じて、342N・mより大きいまたは小さい最大出力トルク、および、1008°/秒より大きいまたは小さい最大出力速度を生成することができる。
【0144】
図4A〜
図5Bに例示されているロボットアセンブリの膝関節用のアクチュエータのように、調整可能アクチュエータ関節モジュール109aの様々な図が
図12A〜
図12Fに示されている。支持部材150b(
図4Aおよび
図5A)は、調整可能アクチュエータ関節モジュール109aに、例えば、マウントプレート338aまたは338bまたはその両方などに締結、固定または結合されることによって構造的に調整可能アクチュエータ関節モジュール109aを支持することができる。支持部材150bは、
図4Aおよび
図5Aに示すような外骨格のような他の構造的支持部材を受容して支持する開口部301を有してもよい。調整可能アクチュエータ関節モジュール109aは、
図12Eに示されるように準受動的弾性アクチュエータ134の出力部材336bがハウジング370の一部として形成されている点を除いて、調整可能アクチュエータ関節モジュール130に関して上述したのと実質的に同じ構成要素および機能を有することができる。いずれの場合であっても、入力部材336aおよび出力部材336bは、
図4Aおよび
図12Aのように、軸107c周りを回転する。
【0145】
図6A〜
図11Bに関して上述した調整可能アクチュエータ関節モジュール130の構成要素および機能の多くを、
図12A〜
図12Fに示す調整可能アクチュエータ関節モジュール109aに容易に組み込むことができる。したがって、
図12A〜
図12Fを詳細には説明しないが、
図6A〜
図11Bの調整可能アクチュエータ関節モジュールと同じ構成要素に対応させて
図12A〜
図12Fにおいても同じ参照番号が付与されている。
【0146】
したがって、準受動的弾性アクチュエータ134および一次アクチュエータ132は、出力部材336bに対して入力部材136aを回転させるようトルクを印加するように作用し、それによって、例えば、支持部材105c(
図4A)を支持部材105bに対して回転させることができる。または、準受動的弾性アクチュエータ134は、出力部材336bに対する入力部材136aの回転を制限する制動力を加えるように動作可能である。
図12A〜
図12Fの例と
図6A〜
図11Bの例との唯一の実質的な差異は、出力部材336bがハウジング170のハウジング本体226の一部として形成されるということである(
図6A〜
図11Bに関して出力部材136bで示されるようにハウジング本体226に結合されてそこから延在しているのとは異なっている)。このように、出力部材336bは支持部材150c(
図5A)の一方の側に結合され、入力部材336は支持部材150cの他方の側に結合され得る(
図5B)。
図12A〜
図12Fには示されていないが、
図6A〜
図11Bの準受動的弾性アクチュエータと同様にまたは同じに、準受動的弾性アクチュエータ134は、第1のベーン装置(例えば164)、第2のベーン装置(例えば229)、および第1のベーン装置を介して配置された(後述する)弁アセンブリを支持することができ、準受動的弾性アクチュエータ134を非弾性状態と弾性状態との間で切り替えるように制御可能である。
【0147】
特に、回転軸107cが人間の膝関節の回転軸に位置するまたは回転軸の近くに位置するように、準受動的弾性アクチュエータ134を(
図4Aの外骨格を装着している)人間の膝関節に隣接して横方向に配置することができる。回転軸107cが人間の膝関節の回転軸またはその近傍に配置されているので、人間の膝関節の回転軸にまたはその近くに配置されていない外骨格と比較して少ない仕事/電力で済むことから、連結された隣接する支持部材105cに対する一の支持部材105bの慣性モーメントを最小にすることができる。これはまた、調整可能アクチュエータ関節モジュール130の質量を人間の膝関節の回転軸近くに配置することから、関節モジュール130を作動させる一次アクチュエータの電力要件を最小にするのを補助する。これは、人間の膝関節の回転軸から離れて質量が遠位に配置された外骨格の関節と比較して、調整可能アクチュエータ関節モジュール130を作動させるのに必要となる仕事/電力が少なくて済むからである。
【0148】
図13Aは準受動的弾性アクチュエータ500の他の例を示し、
図13Bは、
図13Aの線13B−13Bに沿った準受動的弾性アクチュエータ500の垂直断面図を示す。準受動型弾性アクチュエータ500は、
図6Aの準受動的弾性アクチュエータ134(および、
図5Aの準受動的弾性アクチュエータ109a)と同様であり、同様に機能することができる。一次アクチュエータ(例えば132)を使用して増大トルクを印加して調整可能アクチュエータ関節モジュール(ここでは図示されていないが、例えば、上記で説明した準受動的弾性アクチュエータ109a、139)を作動させる、または、本明細書で記載したように、調整可能アクチュエータ関節モジュール内の出力部材に対する入力部材の回転を制限する制動力を加えることができる。したがって、準受動的弾性アクチュエータ500を理解する上で、上記の説明を参照することができる。準受動的弾性アクチュエータ500は、第2のハウジング本体502bに回転可能に結合された第1のハウジング本体502aを備えてもよく、(上述のように)所望のガス圧に加圧することができるキャビティ503を画定する。第1のベーン装置504は、ハウジング本体502aおよび502bのそれぞれによって両端が回転可能に支持され得る。出力部材506は、第1のベーン装置504の出力端に結合されてもよい。
【0149】
第2ハウジング本体502bは、(例えば、ロボット支持部材の一部としてまたはロボット支持部材に結合された)入力部材として動作することができ、第1のベーン装置504の他端に結合されてもよい。第2のベーン装置(ここでは示されていないが、
図10Bと同様である)は、第1のハウジング本体502aと結合されて、
図10A〜
図11Bを参照して上記で説明したように、第1のベーン装置と共に動作可能である。出力部材506は、ロボット支持部材(例えば、下部脚部材)に結合することができるまたはロボット支持部材の一部とすることができる支持部材と結合されてもよい。環状のリングギア510は第1のハウジング本体502aに固定されてもよく、伝動ベルト(例えば、ベルト224)を介して一次アクチュエータ(例えば132)に結合することができる。
【0150】
従って、調整可能アクチュエータ関節モジュール130について上述したのと同様に、第2のハウジング本体502bの形態の入力部材が出力部材506に対して回転軸512を中心として回転すると、第1のベーン装置504の回転が引き起こされる。このような回転運動は、例えば、
図3Aの点Aと点Bの間である、ロボットアセンブリの歩行運動の結果であってもよい。すなわち、入力部材および出力部材は、例えば、対応する第1の支持部材および第2の支持部材(たとえば、
図4A)に固定されることから、互いに対して回転する。したがって、このような回転の時に、第1のベーン装置504と第2のベーン装置(例えば、229)との間でガス圧縮チャンバ(例えば、
図11Bの264a)内のガスが圧縮されて、その中にエネルギーを蓄積することができる(または、制動力を生成することができる)。例えば、
図3Aの点Bから点Cの間のである第2の歩行運動の時に、第2のハウジング本体502bの形態の入力部材は、出力部材506に対して例えば反対方向への回転を開始する(回転は同じ方向であってもよいし異なる方向であってもよい)。これにより、ガス圧縮チャンバ内の圧縮ガスが膨張して、そこに蓄えられたポテンシャルエネルギーが放出される。この膨張ガスは、第1のベーン装置504の細長いベーン514を押す、または、細長いベーンに印加される力を生じさせる。その結果、第1のベーン装置504によって第2のベーン装置(例えば、229)に対してトルクが加えられ、第1のハウジング本体502aを回転させ、第2の歩行運動中に入力部材および出力部材を回転させる一次アクチュエータが提供するトルクを補助する増大トルクが出力部材506に印加される。
【0151】
このような第2の歩行運動中、一次アクチュエータ(例えば、132)が伝動ベルトを回転させ、それにより環状リング510を回転させて第1のハウジング本体502aを回転させる一次トルクが印加され、それによって出力部材506を回転させるトルクが印加される。第1のベーン装置504は、以下に更に詳細に説明するように、準受動的弾性アクチュエータ500の動作を選択的に制御するために弁アセンブリを支持し受容する開口部516を備えることができる。したがって、ここには示されていないが、準受動的弾性アクチュエータ500は、本明細書で説明されるものと同様の弁アセンブリを備えることができる。
【0152】
図10A〜
図11B、特に
図14A〜
図19には、本明細書で説明した準受動的弾性アクチュエータ(例えば、109a、134、500)のいずれかと共に組み込むことができる様々な弁アセンブリが記載されている。このような弁アセンブリについて、それぞれの図および例示的な調整可能アクチュエータ関節モジュール130および準受動的弾性アクチュエータ134を説明し図示する
図10A〜
図11Bを参照して説明する。これらは簡略化および明瞭化のために説明に含まれているが、以下に説明される
図14A〜
図19に示される弁アセンブリのうちの任意の一つを実装可能な関節モジュールの一例に過ぎない。
【0153】
本明細書で教示するように、調整可能アクチュエータ関節モジュール130は、準受動的弾性アクチュエータ134に動作可能に結合された制御システムの助けにより、弾性状態、半弾性状態および非弾性状態の間で切り替え可能であり、増大トルクまたは制動力の印加を選択的に制御することができる(例えば、歩行サイクルの選択部分の間、持ち上げる作業の間、登る作業の間、ロボットシステムに作用する外部荷重(重力を含む)に応答して、または、ロボット装置またはシステムによる他の運動中に)。制御システムは、本明細書で説明した弁アセンブリのうちの任意の1つ、第1のベーン装置(例えば、第1のベーン装置164を参照)、および、特定の弁アセンブリの動作を制御するコントローラ(図示せず)を備えてもよい。コントローラは、例えば、外骨格のようなロボットシステムに搭載されたコンピュータシステムの一部であってもよいし、または、例えば、遠隔操作されるシステムもしくは人型ロボットシステムのように離れたところに配置されてもよい。弁アセンブリは、準受動的弾性アクチュエータの動作モードを切り替えることが可能な空気弁を備えることができ、例えば、ばねモード(弁を閉じた状態)、肢の自由揺動(弁を開いた状態)を容易にするモード、または、減衰またはブレーキモード(弁を部分的に開いた状態)に切り替えることができる。
【0154】
弁アセンブリの各々は、弁アセンブリが開いている時または部分的に開いている時に、いわゆる分流(シャント)回路を介して、ガスが圧縮チャンバと膨張チャンバとの間を行ったり来たりするのを可能にする(すなわち分流する)、また、弁が閉じられている時または部分的に閉じられている時に、弾性要素を圧縮するべくガスを制限するおよび圧縮するべく、「クラッチ」または「ブレーキ」タイプの能力を提供するまたは容易にする。また、弁が部分的に開いているまたは弁が部分的に閉じている時に、制御された減衰またはブレーキを提供する。分流回路は、少なくとも部分的に、準受動的アクチュエータと、弁アセンブリおよびその一つ以上の構成要素を含む一つまたは複数の構成要素との間のガスの流路によって画定することができる。異なる弁アセンブリは異なる流路を備えてもよく、したがって異なる構成の分流回路を含むことができる。このように、準受動型アクチュエータは分流回路を備えることができ、弁を選択的および可変に制御または操作することによって、分流回路を開放(弾性要素が非弾性状態に入る)、閉鎖(弾性アクチュエータが弾性状態に入る)、または、部分的に放出(弾性アクチュエータが半弾性状態になり、ダンパおよび/またはブレーキとして動作する)とすることができる。ばね剛性は、ピストン(第1のベーン装置)およびチャンバの幾何学的形状、ならびに、ガス圧充填の関数として表せる。したがって、特定の関節の剛性の大きさはミッション固有の荷重および地形によって異なる歩様に合わせて調整可能であり、その剛性が歩行サイクルの支持期にエネルギー回収に利用される時と、バリスティック歩行期または遊脚期に非係合にされる時とを能動弁が正確に制御する。本明細書で論じる弁アセンブリにより、準受動的アクチュエータの特性を、準自由関節状態と名目上線形弾性要素状態(開放または部分的に開放されている時)との間で素早く変化させる能力を備える調整可能関節モジュールを提供することができる。この結果、準受動的弾性アクチュエータを持たない従来の関節と比較して、相対的に低い出力動作で済むロボットシステムの関節(例えば、肩、肘、股関節、膝及び足関節)を提供できる。
【0155】
本明細書で論じる弁アセンブリは、一次アクチュエータが一次トルクを加えるように作動されるかどうかにかかわらず、増大トルクの印加を容易にするように閉じた状態に制御および操作されてもよい。ここで、増大されたトルクが特定のクラッチ関節モジュールを作動させるために加えられる唯一のトルクである場合があることから、「増大された」という用語は、補助的なトルクまたは追加のトルクを一次トルクと共に印加することを意味することに限定されない。例えば、外骨格の上半身を使用して負荷(荷物)を下げた(これにより、上半身の関節モジュールに関連する準受動的弾性アクチュエータの周りにエネルギーが蓄積される)後、上半身が負荷を放すと、関連する準受動的弾性アクチュエータによる「増大トルク」の印加の作用のみによって上半身の腕部分が上方に移動して通常位置に戻ってもよい。蓄積されたエネルギーがこのような目的を達成するのに十分であることから、腕を正常位置まで戻すのに一次アクチュエータが必要ないためである。更に、増大トルクのみを印加する間、本明細書の他の箇所で説明するように、対応する準受動的弾性関節モジュールが移動する速度または割合を制御する減衰力または制動力を提供するべく、関連する弁アセンブリを所望の位置(例えば、部分的に開いた状態)へと可変制御してもよい。当然のことながら、同じ動きに対して、一次アクチュエータによって提供される第1のトルクに加えて、上記を適用することもできる。
【0156】
更に、いくつかの例において、本明細書で説明する弁アセンブリは、ロボットシステムの関節に配置されて動作可能であり得る。一例では、弁アセンブリは準受動的弾性アクチュエータの第1のベーン装置の開口内に支持されて、弁が第1のベーン装置(および特に第1のベーンシャフト)内に組み込まれるまた第1のベーン装置を介して配置されて、調整可能アクチュエータ関節モジュールの回転軸、特に準受動的弾性アクチュエータの回転軸の周りの位置で支持される。この位置では、弁アセンブリは、調整可能関節モジュール(および、あるロボットシステムでは外骨格を装着したオペレータの関節)の回転軸に平行な、場合によっては同一直線上に配置された作動軸(axis of actuation)を有することができる。弁アセンブリの弁装置が双方向的に回転可能である場合には、作動軸は回転軸を含むことができる。または、弁アセンブリを開閉するために弁装置が双方向に並進する場合には、作動軸は並進軸を含むことができる。
【0157】
図15A〜
図15Cは、一例による第1のベーン装置600(上述した第1のベーン装置164と同様)で動作可能な弁アセンブリ604を示す。この例では、第1のベーン装置600は、第1のベーン装置600の中心領域を通り回転軸137に沿って延びる開口部または孔602を備える。弁アセンブリ604は、第1のベーン装置600の開口部または孔602内に配置された弁装置606を備える。弁装置606は、開口部602を通って配置されて、開口部602の対応する内側円筒面と接触する少なくとも一つの円筒形部分(すなわち、円筒状に構成された表面を有する部分)を備えることができる。特に弁装置606が第1のベーン装置600に対して並進する例示的な構成において、円筒形の断面形状は決してこれに限定することを意図していない。一例では、弁装置606を回転軸137周りに配置することができる、または、少なくとも回転軸137と交差する部分を有することができる。
【0158】
第1のベーン装置600は、弁アセンブリ604の弁本体を少なくとも部分的に画定してもよい。このように、第1のベーン装置600は、圧縮チャンバ610a(例えば、
図11Aの264a)と流体連通する第1の導管605aと、膨張チャンバ610bと流体連通する第2の導管605b(
図11Aの膨張チャンバ264b)を備えてもよく、少なくとも一つの作動状態において、弁アセンブリ604を介しておよび弁アセンブリ604によって制御されて、圧縮チャンバ610aと膨張チャンバ610bとの間でガスが移動可能となるようにしてもよい(弁アセンブリの一部分は第1ベーン装置600を含む)。ここで説明する流路は、圧縮チャンバと膨張チャンバとの間に存在する分流回路の一部をおよび弁アセンブリの一部を構成し、画定する。
【0159】
弁装置606の選択的作動(すなわち、動き)を容易にするために、弁アセンブリ604は、弁装置606に作動可能に結合されたボイスコイルまたは他のソレノイドまたは電気アクチュエータなどの弁アクチュエータ612を備えることができる。弁アクチュエータ612は、弁装置606を回転させることによってまたは開口もしくは孔602の周りを軸方向に移動させることによって、弁装置606を作動させることができる。したがって、弁アセンブリ604および弁装置606は、圧縮チャンバ610aおよび膨張チャンバ610bの間で少なくともいくらかの流体の流れ(すなわち、流体の分流)を可能にする、弁開位置または部分的開位置(
図15Aおよび
図15B)を有する。弁装置606は、(アクチュエータ612によって作動される時に)圧縮チャンバ610aと膨張チャンバ610bとの間の流体の流れを制限または遮断する閉位置(
図15C)を更に有する。
【0160】
より具体的には、弁装置606は、弁装置606を貫通する少なくとも一つの開口614を有し、当該開口は、弁装置606を、開位置、部分的開位置および閉位置に選択的にすることができる。弁装置606が開位置または部分的開位置にある時、開口614は、第1の導管605aおよび第2の導管605bと少なくとも部分的に一列に並ぶようにされて、導管605a及び導管605bを介して圧縮チャンバ610aと膨張チャンバ610bとの間の流体連通を容易にする(例えば、分流回路を開くまたは部分的に開いて、弁アセンブリが圧縮チャンバ610aと膨張チャンバ610bとの間で圧力を等しくしようとするように機能する)を含む。分流回路が開いている非弾性状態では、ガス圧が等しくなり第2のベーン装置603に対する第1のベーン装置600の動きに対する抵抗がほとんどないかまたは全くなくなり(すなわち、調整可能関節モジュールが回転すると、弁アセンブリを介してガスは圧縮チャンバと膨張チャンバの間を自由に移動する)、準受動的弾性アクチュエータ601は、エネルギーを蓄積もしないし、調整可能アクチュエータ関節モジュール130に対する増大トルクの形態で放出もせず、制動力も生成しない。むしろ、準静的弾性アクチュエータは、第1のベーン装置600が第2のベーン装置603に対して自由に回転可能であり、第1のベーン装置600と第2のベーン装置603との間に無視できる程度に小さい抵抗(または低減抵抗)が生成される、自由揺動モードになる(準受動的アクチュエータからの無視できる程度に小さい抵抗は、準受動的弾性アクチュエータ601の周りに回転可能に結合された第1の支持部材および第2の支持部材に伝達される)。
【0161】
図11Aおよび
図11Bに示すように、弁アセンブリ604は選択的に制御されて、分流回路が開位置に維持される開位置に維持されてもよく、その結果、一次アクチュエータにトルクが補完されない(何らかの残留トルクが減衰トルクまたは制動トルクとして存在する部分的開位置で弁が可変制御される場合を除いて)。言い換えれば、調整可能アクチュエータ関節モジュール130は、任意の必要なトルク入力を提供する一次アクチュエータのみで機能する、または、自由揺動モード中に外力(例えば、回転を誘発する衝撃力、モーメントまたは重力)に応答して機能する。例えば、点D−点A(
図3A)間で所望されるような歩行運動の一部の間に、準受動アクチュエータの弁アセンブリ604は、分流回路を開くべく開放(すなわち非アクティブに)されて、例えば、ロボット外骨格のロボット関節の自由揺動を可能にすることができる。
【0162】
反対に、
図15Cに示すように、弁装置606を閉位置にすることにより、分流回路を閉じることができる。閉位置では、準受動的弾性アクチュエータ601(例えば、109a、134、500)は弾性状態で動作可能であり、エネルギーを蓄積して、エネルギーを調整可能関節アクチュエータモジュールに放出するべくアクティブとなる。すなわち、弁装置606の本体に形成された開口614が導管605aおよび導管605aと整列しなくなるように、弁装置606が弁アクチュエータ612によって閉位置に作動(例えば、回転または並進)され、各導管605a、605bを介して圧縮チャンバ610aと膨張チャンバ610bとの間の流体連通を制限することにより、分流回路を閉じる。このように、閉位置では、準受動的弾性アクチュエータ301は、圧縮ガス圧力の形でエネルギーを蓄積し、次いで必要に応じて蓄積されたエネルギーを、一次アクチュエータによって提供されるトルクを補う増大トルクの形態で調整可能アクチュエータ関節モジュールに放出するように機能する。
図11Aおよび
図11Bを参照して上記で説明したように、歩行運動または歩行サイクルの第1の部分の間に、一次アクチュエータがトルクを入力して当該歩行サイクルの第1の部分を実行するべく調整可能アクチュエータ関節モジュールを回転させる時に、弁装置606を閉じて準受動的アクチュエータにエネルギーを蓄積させてもよい。この回転中、ロータベーン装置は上述のように変位する。歩行サイクルの第1の部分が完了すると、調整可能アクチュエータ関節モジュールの回転が反対方向になる歩行サイクルの第2の部分において、一次アクチュエータによって入力されたトルクと同じ方向に印加される増大トルクの形態で蓄積されたエネルギーを利用することができ、圧縮ガスの形態で生成された増大トルクは第1のベーン装置と第2のベーン装置とを平衡状態に置くことを試みる。実際には、エネルギーの蓄積と放出の両方が、弁アセンブリ604が
図15Cの閉位置にある時に生じて、準受動的アクチュエータを係合または作動させる。図示されていないが、弁アセンブリ604の弁装置606を分流回路を部分的に開くような位置に配置することができ、関節の回転により、準受動的弾性アクチュエータ301を部分的に作動させて制動力として関節に印加することができるエネルギーを蓄積(場合によっては、放出も)する)。
【0163】
更に、いくつかの例では、弁装置606を、調整可能アクチュエータ関節モジュールおよびロボット関節の回転軸137周りに戦略的に配置することができる。例えば、弁装置606が弁アクチュエータ612によって回転される場合、弁装置606(または弁装置606の少なくとも一つの構成要素)は、ロボット関節の回転軸137と一致するまたは平行な回転軸を有する。同様に、弁装置606が開口602を通って軸方向に並進される例では、弁装置606は、ロボット関節(場合によっては、外骨格を操作しているオペレータの関節)の回転軸137と平行または同一直線上にある軸(並進軸など)を含む。
【0164】
上述したように、いくつかの例では、弁アセンブリ604および弁装置606を制御して、特定の調整可能アクチュエータ関節モジュールの回転を能動的に減衰させることができる。より具体的には、関節モジュール、特に準受動的弾性アクチュエータを半弾性状態に置く開位置と閉位置との間の複数の異なる位置に弁装置606を可変に制御することができ、圧縮チャンバと膨張チャンバとはある程度互いに流体連通する(例えば、弁装置は10%、20%、50%、75%の「開放」状態である)。ある例では、準受動的弾性アクチュエータの半弾性状態または「減衰状態」は、対応する能動的な制動力または減衰力を提供して、所望の程度のエネルギーを選択的に蓄積および回収することができる。図示の例では、アクチュエータ612に制御信号を送信して、弁装置606の回転位置を可変に制御することができる。例えば、遊脚期の間に、
図15に示すように開口614が完全に開位置でないような位置に弁装置606を移動させてもよい。むしろ、一部の流体が開口614を通って流れるように開口を部分的に開くように弁装置606をわずかに回転させてもよく、それにより、準受動的弾性アクチュエータを少なくとも部分的に作動させて、特定の関節モジュールの絶対的な自由な動きを抑制または減衰させる制御された減衰特性または減衰モードを提供する。この「能動的減衰」は、負荷を下げる動きの時など、ロボットシステムのタスク特有の動きにも有利である。例えば、負荷が上半身外骨格によって担持される場合、負荷を支えるアームの下向きの動きを制御する減衰(すなわち、減速させる)を提供する位置に肘および/または肩の調整可能アクチュエータ関節モジュールの弁装置を能動的かつ可変的に制御することができる。本明細書で説明した実施例の様々な弁装置の位置は、制御された減衰、制動力または構成要素を提供するために、このように開位置と閉位置との間で可変に制御することができることが理解されよう。
【0165】
出力応答を滑らかにするために、準受動的アクチュエータからのエネルギーの放出中に弁アセンブリ(および分流回路)を部分的に開くこともできる。言い換えれば、準受動的アクチュエータによって蓄積されたエネルギーを放出するように構成された関節モジュールを用いて、エネルギーを放出している間に弁アセンブリを部分的に開放して準受動的アクチュエータを半弾性状態または減衰モードにすることができ、出力応答をより非線形にすることができる。また、場合によっては、弁アセンブリが完全に閉じられている場合に比べて、線形的にすることができる。弁アセンブリ(および分流回路)を開くことができる度合いおよび開くタイミングは、関節モジュールの回転中にリアルタイムで制御可能である。
【0166】
図16A〜
図17Eは、別の例に係る第1のベーン装置で動作可能な弁アセンブリを示す。この例では、弁アセンブリ654は、弁装置656を備えてもよい。弁装置656は、弁装置606に関して上述したのと同じまたは同様の特徴を備えることができる。更に、弁アセンブリ654は、上述した特定の第1のベーン装置164(
図16Aおよび
図16B参照)と共に動作可能であるように図示されている。
【0167】
第1のベーン装置164は、弁アセンブリ654の一部を構成することができ、言い換えれば、第1のベーン装置164は、弁アセンブリ654の構成要素の一部を形成することができるまたは構成要素を備えることができる。一例では、第1のベーン装置164は、弁装置656を収容し弁装置656の作動を容易にするように構成された弁ハウジングを少なくとも部分的に画定してもよい。具体的には、第1のベーン装置は、第1のベーン装置164の中央領域に形成された開口または孔277の周りに環状に形成された第1のチャネル288aを備えることができる。第1のベーン装置164は、本明細書で説明する圧縮チャンバと流体連通することができる圧縮チャンバ導管290a(
図14Aおよび
図14Bも参照)を有する。第2のチャネル288bも同様に開口277の周りに環状に形成され、本明細書で説明するように膨張チャンバと流体連通し得る膨張チャンバ導管290b(
図14Bも参照)が配置される。
【0168】
弁装置656は、第1のベーン装置164の開口277内に配置され動作可能に位置してもよく、開口および当該開口を画定する壁は、弁装置656の弁ハウジング(および弁アセンブリのその他の対応する構成要素)として機能する。この例では、弁装置656は、1つ以上の締結具651などによって、弁アクチュエータ662に連結された可動弁要素657を備える。弁アクチュエータ662は、ピストン663と、ボイスコイルなどのアクチュエータ装置665とを備えることができる。アクチュエータ装置665は、例えば、第1のベーン装置164の回転軸137に沿ってピストン663を軸方向に移動させるようにアクチュエータ装置665を電気的に制御するための電源およびコントローラ(図示せず)に電気的に接続されてもよい。したがって、弁アクチュエータ662は、可動弁要素657を開位置、部分的開位置または閉位置の間で軸方向に移動させるように構成される。
【0169】
弁装置656は、可動弁要素657に隣接して可動弁要素657に支持された第1の弁本体659を更に備える。第1の弁本体659は、外側環状チャネル661と、第1の弁本体659を貫通して外側環状チャネル661の周囲に半径方向に形成された複数の流体開口664とを備える。第1の弁本体659は、外側環状チャネル661の両側に、ガスを封止するように機能するシール666をそれぞれ支持することができる境界部分668aおよび668bを備えてもよく、境界部分668aおよび668bおよびシール666は、第1のベーン装置164の開口277を画定する内面と面して係合可能である。
【0170】
複数の流体開口664はそれぞれ、第1のベーン装置164(
図17D参照)の第2のチャネル288bと流体連通するように構成され、上記したように第2のチャネル288bは導管290bを介して膨張チャンバと流体連通する。
図17Aに示すように、第1の弁本体659は略円筒形であり、後述するように、可動弁要素657が軸方向に並進する中央開口672を有してもよい。
【0171】
弁装置656は、第1の弁本体659に隣接して第1の弁本体659に係合する第2の弁本体667を更に備える。第2の弁本体667は、第1のベーン装置164の開口277内に面して配置されて、第1のベーン装置164の開口277と連通している円筒形状のキャップ部材として概して形成することができる。第2の弁本体667はその一端において、第1の弁本体659と相互作用するまたは第1の弁本体659と連結される境界部分670を有し、他端において、様々な構成要素によって画定される内側チャンバ領域679を封止するキャップ部分669を有する。第2の弁本体667は外側環状部分671を有し、当該外側環状部分671の周囲に半径方向に形成された複数の流体開口673を有する。第2の弁本体667は、外側環状部分671に隣接する境界部分675を有して、ガスを密封するシール677を支持するのを助ける。複数の流体開口673はそれぞれ、上述したように、導管290aを介して圧縮チャンバと流体連通している第1のベーン装置164(
図17D)の第1のチャネル288aと流体連通する。
【0172】
図17Aおよび
図17Dでは、弁装置656が開位置にあり、具体的には、ピストン663によって可動弁要素657が、第1の弁本体659の複数の開口663を露出または覆わない状態が示されている。したがって、開口664は、チャンバ679の周りの第2の弁本体667の開口673と流体連通し、導管290aおよび290bを互いに流体連通状態にする。それにより、圧縮チャンバおよび膨張チャンバ(例えば、264aおよび264b、
図11A)を互いに流体連通状態にし、本明細書で論じられるように、非弾性状態にある時に準受動的弾性アクチュエータのチャンバ間の圧力を均等にする。このような開位置は、例えば、上述したように、ロボット関節の自由揺動モードを容易にすることができる。
【0173】
図17Eには、弁装置656が閉位置にあり、具体的には、ピストン663(が駆動されること)によって可動弁要素657が伸長して、第1の弁本体659の複数の開口664をブロックするまたは覆っている状態が示されている。この位置では、開口664は第2の弁本体667の開口部673と流体連通しておらず、したがって、導管290aと導管290bとの間の流体の流れが制限され、圧縮チャンバと膨張チャンバ(例えば、264aおよび264b、
図11A)との間の流体の流れが制限される。その結果、準受動的弾性アクチュエータは、上述したように、エネルギーを蓄積するまたはエネルギーを放出する弾性状態に置かれる。図示されていないが、準受動的アクチュエータを半弾性状態にするべく、弁装置656を、部分的開位置に配置することができる。
【0174】
開口664および開口673は、対応する弁本体659および弁本体667の周囲に放射状に形成されている。この構成によれば、第1の弁本体659および第2の弁本体667ならびに可動弁要素657の周りのガス圧力が半径方向に平衡となる。なぜなら、等しい量のガス圧が、第1の弁体659および第2の弁体667の全周に配置された開口664および開口673を通過するからである。これにより、可動弁要素657の周りに等しくまたは均衡の取られたガス圧が半径方向に印加されて、可動弁要素657が開位置と閉位置との間で作動される時の摩擦を減少させることができる。半径方向のガス圧力が平衡となることにより、可動弁要素657が作動する所与の速度で発生する熱量を低減することができる。一例では、可動弁要素657は、15ミリ秒未満または10ミリ秒未満で開位置と閉位置とのを切り替えることができる。これは、ユーザが外骨格を装着している時のように、準受動的弾性アクチュエータを非弾性状態、半弾性状態及び弾性状態の間で迅速に切り替えることが望ましい場合に有利である。これは、準受動的弾性アクチュエータの効率を最大化または向上させることにつながる。なぜなら、ロボット装置の関節周りで発生する実際の動きに逆効果である不適切なタイミングで準受動的弾性アクチュエータが係合したり非係合となったりする可能性を低減することができるからである。
【0175】
半径方向のガス圧力バランス機能に加えて、弁アセンブリ654は、軸方向のガス圧力を平衡状態とすることもできる。すなわち、可動弁要素657は、開位置にあっても閉位置にあっても、第1のチャンバ677(ピストン663に隣接して図示されている、
図17D)および第2のチャンバ679と一定の流体連通状態にある少なくとも一つの流体開口675を有する円筒形状のチューブ本体を祖ネルことができる。すなわち、少なくとも一つの流体開口部675は、第1のベーン装置164の内面によって画定される第1のチャンバ677に隣接する可動弁要素657を貫通するように形成される。そして、第2のチャンバ679は、可動弁要素657、第1の弁本体659および第2の弁本体667の両方に沿った内面によって画定される。したがって、弁アセンブリ654が、閉位置、部分的開位置または開位置にあるかどうかにかかわらず、少なくとも一つの流体開口675、第1のチャンバ677および第2のチャンバ679の間には継続的に流体連通が存在し、開位置、部分的開置および閉位置の間を切り替える時に、ガスは第1のチャンバ677および第2のチャンバ679において圧縮または膨張しない。したがって、可動弁要素657が開位置と閉位置との間で軸方向に移動する時、第1のチャンバ677および第2のチャンバ679の間で圧力が均等化される。圧力が等しくなることによって、準受動的弾性アクチュエータが非弾性状態と弾性状態との間で切り替えられる時に、可動弁要素657に対してガス圧力が軸方向にかかるのを防ぐことができる。原理的には、上述した半径方向のガス圧力の平衡と同様に、この軸方向のガス圧力平衡は、弁アセンブリ654に対して作用する軸方向ガス圧力を等しくする傾向があり、それにより、可動弁要素657が開位置と閉位置との間で作動される時の摩擦が低減され、可動弁要素657が作動する所与の速度で発生する熱を減少させることができる。これは、準受動的弾性アクチュエータを非弾性状態と弾性状態との間で迅速に切り替えることが望ましい場合に有利である。これはまた、準受動的弾性アクチュエータの効率を最大化または向上させることにつながる。なぜなら、ロボット装置の関節周りで発生する実際の動きに逆効果である不適切なタイミングで準受動的弾性アクチュエータが係合したり非係合となったりする可能性を低減することができるからである。
【0176】
図18A〜
図18Dは、別の例に係る第1のベーン装置で動作可能な弁アセンブリの例を示す。この例では、弁アセンブリ704は、弁装置706を備えてもよい。弁装置706は、弁装置606に関して上述したのと同じまたは同様の特徴を備えることができ、弁装置706は、上述した第1のベーン装置164(
図16Aおよび16B参照)に組み込まれて作動可能である。
【0177】
弁装置706は、ロボット関節の回転軸137に沿って、第1のベーン装置164の開口またはボア277内に配置することができる。この例では、弁装置706は、締結具705などによって、弁アクチュエータ712に連結された可動弁要素707を備えてもよい。第1の弁本体709は可動弁要素707に連結されてもよく、第1の弁本体709は、可動弁要素707を受容し結合するのを容易にする開口703を有するスプールを備えてもよい。スプールは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)材料または他の同様な材料で構成および形成することができる。限定することを意味するものではないが、可動弁要素707は、締結具705を介して弁アクチュエータ712に固定された図示のようなフランジマウントを有する円筒形チューブとして構成されてもよい。
【0178】
弁アクチュエータ712は、ピストン713と、例えば、ボイスコイルを使用した配置のアクチュエータ装置715とを備えることができる。アクチュエータ装置715は、例えば、回転軸137に沿ってピストン713を軸方向に移動させるようにアクチュエータ装置715を電気的に制御するための電源およびコントローラ(図示せず)に電気的に接続されてもよい。したがって、弁アクチュエータ712は、連結された可動弁要素707および第1の弁本体709を開位置、部分的開位置および閉位置(
図18Cおよび
図18Dを参照して更に後述する)の間で軸方向に移動させるように構成される。
【0179】
弁装置706は、第1の弁本体709を摺動可能に受け入れる中央開口718を有する第2の弁本体717を更に備えることができる。第2の弁本体717は第1の環状チャネル711を有し、第1の環状チャネル711は、第2の弁本体717を貫通して形成され第1の環状チャネル711の周囲に配置または位置する複数の第1の開口723aを有する。複数の第1の開口部723aは、第1のベーン装置164の第2のチャネル288b(
図18C参照)とそれぞれ流体連通しており、第2のチャネル288bは、
図14Aおよび
図14Bを参照して上記で説明した第1のベーン装置164の導管290bを介して膨張ガスチャンバ(
図11Aおよび
図11Bの膨張チャンバ264b)と流体連通してもよい。
【0180】
第2の弁本体717は第2の環状チャネル719を有し、第2の環状チャネル719は、第2の弁本体717を貫通して形成され第2の環状チャネル719の周囲に配置または位置する複数の第2の開口723bを有する。第2の弁体717は、対応する環状チャネル711、719に隣接して分離する境界部分725a〜cを備えてもよく、境界部分725a〜cは第1のベーン装置164の開口277を画定する内面と係合してこれ面するように構成されている。境界部分725a〜725cはそれぞれ、第1の開口723aと第2の開口723bとの間のガスを密封可能な1つ以上のシールを更に支持することができる。キャップ部材735は第2の弁本体717の端部に結合されて、弁アセンブリ706の内側チャンバ領域を密閉することができる。
【0181】
複数の第2の開口732bはそれぞれ、上述したように、導管290aを介して圧縮チャンバ(例えば、264a)と流体連通している第1のベーン装置164(
図18C)の第1のチャネル288aと流体連通する。
【0182】
第1の弁本体709は、環状通路731を画定する構造体の両側に形成された第1環状止め部727および第2環状止め部729を備えてもよい。環状通路731は、止め部727および止め部729からネック部分に向かって延びる曲面を有することができる。環状通路731は、第2の弁本体717の第1の開口723aと第2の開口723bとの間を流体が流れるのを可能にするように構成してもよい。
【0183】
図18Cは開位置の弁装置706を示しており、特に、可動弁要素707および第1の弁本体709がピストン713によって後退した状態が示されており、第2の弁本体717の第1の開口723aおよび第2の開口723bが露出または開放されている。したがって、第1の開口部723aおよび第2の開口部723bは、第1の弁本体709の環状通路731の周りで互いに流体連通しており、それによって導管290aおよび導管290b(
図16Aおよび
図16B)を流体連通状態にして、圧縮チャンバおよび膨張チャンバ(例えば、264aおよび264b)を流体連通状態にする。この開位置では、準受動的弾性アクチュエータが非弾性状態になり、以下に説明するように準受動的弾性アクチュエータのチャンバ内の圧力が等しくなる。このような開位置は、例えば、ロボット関節の自由揺動モードの間に発生する。
【0184】
図18Dは、閉位置の弁装置706を示しており、具体的には、可動弁要素707と、(作動時に)ピストン713によって伸長された第1の弁本体709とを示しており、この位置では、第2の弁本体717の第1の開口723aがブロックされるまたは覆われる。この位置では、第2の開口732bは第2の弁本体717の開口723aと流体連通しておらず、したがって、導管290aと導管290bとの間の流体の流れが制限され、圧縮チャンバと膨張チャンバ(例えば、264aおよび264b、
図11A)との間の流体の流れが制限される。その結果、準受動的弾性アクチュエータは、上述したように弾性状態になり、(例えば、それぞれの歩行運動に応じて)エネルギーを蓄積または放出する。図示されていないが、準受動的アクチュエータを半弾性状態にするべく、弁装置706を、部分的開位置に配置することができる。
【0185】
第1の開口723aおよび第2の開口723bは、第2の弁本体717の外周囲に放射状に形成されている。この構成によれば、等しい量のガス圧が、第2の弁本体717の全周に沿って配置された第1の開口723aおよび第2の開口723bに入るので、弁本体709および弁本体717の周りのガス圧力が半径方向に平衡となる。そして、第1の弁体709はx平面に沿ってyおよびy平面に沿って対称的に形成されているので(
図18A)、ガス圧力は、環状通路731の外周全周に(半径方向に)かかり、平衡となる(弁が開位置、部分的開位置または閉位置のいずれかにあるかに係わらず)。これにより、可動弁要素707および第1の弁本体709の周りに等しいガス圧が半径方向に印加され、可動弁要素707が開位置と閉位置との間で作動される時の摩擦を減少させることができる。半径方向のガス圧力が平衡となることにより、可動弁要素707(および第1の弁本体709)が作動する時の所与の速度で発生する熱量を低減することができる。
【0186】
更に、弁アセンブリ704では、軸方向にガス圧力の平衡をとることができる。すなわち、可動弁要素707は、少なくとも一つの流体開口737を有する円筒形状のチューブ本体(
図18A参照)を備えることができ、流体開口737は、開位置、部分的開位置または閉位置のいずれかにあるかに係わらず、可動弁要素707の両側に配置されたチャンバと一定の流体連通状態にある(
図17A〜17Eに関して論じられた軸方向の平衡の原理と同様に機能する)。すなわち、可動弁要素707が開位置と閉位置との間で移動すると圧力が軸方向で平衡化され、準受動的弾性アクチュエータを非弾性状態と弾性状態との間で切り替える間に、可動弁要素707に対して軸方向にガス圧力が加えられるのを防ぐ。上述した半径方向のガス圧力の平衡と同様に、この軸方向の平衡は、弁アセンブリ706に対して作用する軸方向ガス圧力を等しくする傾向があり、それにより、可動弁要素707が開位置、部分的開位置および閉位置の間で作動される時の摩擦が低減され、可動弁要素707が作動する所与の速度で発生する熱を減少させることができる。
【0187】
さらなる弁アセンブリを、本明細書で論じた準受動的弾性アクチュエータに組み込むことができ、例えば米国特許出願明細書(代理人整理番号4000−16.1112.US.NP)に議論されている様々な弁アセンブリを組み込むことができ、その全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0188】
図19は、本開示の一例に係る膝関節に対応する準受動的弾性アクチュエータの、関節減衰トルク対種々のロータベーンの管のサイズ性能値を示すグラフである。より具体的には、いくつかの例では、特定の第1のベーン装置(例えば、164)の導管(例えば、290aおよび290b)の開口は、上記で例示されるように、準受動的弾性アクチュエータの減衰を容易にする特定のサイズを有するように選択される。すなわち、例えば、導管の直径を5〜6mmの範囲に選択することにより、膨張チャンバと圧縮チャンバとの間のガス圧力差は、図示されるように、最大推定関節速度の時でも、約1Nm未満の関節減衰トルクをもたらす。このグラフは、準受動的弾性アクチュエータ(例えば、137ccを有する)の圧縮チャンバおよび膨張チャンバにおける公称チャージ圧1525psi、および、7N・m/度のトルクを有する調整可能アクチュエータ関節モジュールについてのものである。この例では、準受動的弾性アクチュエータの外径は1.625インチ(約4.128センチメートル)であり、(圧縮チャンバおよび拡張チャンバによって規定される)内径は0.78インチ(約1.98センチメートル)であり、(圧縮チャンバおよび拡張チャンバによって規定される)シリンダの長さは約3.81センチメートルである。第1のベーン装置および第2のベーン装置は、45°の体積占有率を有し、圧縮チャンバおよび膨張チャンバ内のガスは、第2のベーン装置に対する第1のベーン装置が90度の位置でチャージ(充填)される。
【0189】
関節の一秒あたりの回転運動(度)に対応する様々なスルーレート(slew rate)が
図19のグラフに示されている。グラフから理解できるように、スルーレートに応じて、導管直径が増加すると、関節減衰トルク(N・m)が減少する。したがって、約3mmの導管直径では、例えば、6mmの導管直径より大きな関節減衰トルクが提供される。これは、股関節モジュールと比較して膝関節モジュールなどの異なる関節を設計する場合に有利であり得る。なぜなら、導管直径のサイズを選択することにより、本質的に低いまたは高い減衰トルクを生成できるからである。
【0190】
ばね剛性は、ピストン/ベーンおよびチャンバの幾何学的形状、ならびに、ガス圧充填の関数として表せる。したがって、所与の関節モジュールの剛性の大きさは、ミッション毎に異なる荷重および地形によって異なる歩様に合わせて調整可能であり、能動的弁により、歩行サイクルの支持期間(弾性状態)にエネルギーを回収すべくその剛性が係合状態となる時と、自由揺動期間(非弾性構成)の間に剛性を非係合とする時とを正確に制御する。例えば、圧縮チャンバおよび膨張チャンバは、ガス密度と共に特定の容積を有するように選択してもよく、第1のベーン装置を通る導管については、非弾性状態にある時にガス流を過度に制限しない対応するサイズに選択することができる。また、特定の関節位置によって、選択される剛性値の大きさが決まる。例えば、膝関節のチャージ圧力および関節速度は共に、股関節が必要とするチャージ圧力および関節速度よりもかなり大きい。
【0191】
図20A〜
図20Fは、本開示の一例に係る調整可能アクチュエータ関節モジュール800の様々な態様が示されている。調整可能アクチュエータ関節モジュール800は、
図1または
図4A〜
図4Bに示した外骨格ロボットのようなロボットまたはロボットの肢に組み込むことができ、例えば、後述するように、屈曲/伸展の自由度を規定する足首関節を提供することができる。これに代えて、調整可能アクチュエータ関節モジュール800は、膝関節、股関節、肩関節、肘関節などの任意の関節のアクチュエータとして、ロボット外骨格またはヒューマノイドロボットなどのロボットに組み込むことができる。
【0192】
一般的に、調整可能アクチュエータ関節モジュール800は、回転軸804の周りで回転可能な(または異なる軸の周りで回転可能な)出力部材802aおよび入力部材802bを備えることができる。調整可能アクチュエータ関節モジュール800は、回転軸804の周りに出力部材802aを回転させる一次トルクを印加するように動作可能な一次アクチュエータ806(例えば、電気モータ、電磁モータなど)を備えてもよい。調整可能アクチュエータ関節モジュール800は、図示された準受動的リニア空気圧アクチュエータのような準受動的弾性アクチュエータ808を更に備えることができ、準受動的弾性アクチュエータ808は、上記で準受動的ロータリ空気圧アクチュエータに関して説明したのと同様な態様で、一次アクチュエータ806と並列に動作可能である。実際、準受動的弾性アクチュエータ808は、入力部材802bの第1の回転または第1の移動時にエネルギーを選択的に蓄積するように動作可能であり、入力部材802bの第2の回転時にエネルギーを選択的に放出して出力部材802bの回転を助けるべく増大トルクを印加するように動作可能である。また、準受動的弾性アクチュエータ134に関して上述したのと同様に、一次アクチュエータ806の電力消費を最小にする、または、関節の回転を制限する制動力を加えることができる。準受動的弾性アクチュエータ808は、以下に詳述するように、所望の関節剛性値に調整可能な線形空気ばね(linear pneumatic spring)の形態の弾性要素を更に備えてもよい。
【0193】
入力部材802bを、
図4Aの支持部材105cなどのロボットアセンブリの支持部材(例えば、肢の一部としての支持部材)に結合してもよい。入力部材802bは概してピンとして示されているが、例えば、支持部材105cは図示されたピンの位置の辺りで準受動的弾性アクチュエータ808のいずれかの側に固定されてもよいことは明らかである。一例では、トラニオンマウントを組み込んで、準受動的弾性アクチュエータ808をロボットアセンブリの支持部材に取り付けることができる。出力部材802aは、図示のように、回転軸804の周りを回転する出力装置810の一部として形成することができる。これに代えて、出力部材802aは、出力装置810に結合された別個の構成要素とすることができる。出力部材802aを、
図4Aの支持部材105dのようなロボットアセンブリの支持部材に結合してもよい。このように、調整可能アクチュエータ関節モジュール800は、オペレータの足首関節に対応するロボット外骨格の下肢の関節を画定することができる。
【0194】
出力装置810は、歯車本体812から突出するまたは歯車本体812から延びる連結部分814を有する円筒形歯車本体812を備えてもよい。連結部分はスロット816を含んでもよく、
図20Bに示すように、ピン818はスロット816を横方向に貫通して延在し、連結部814に結合して、後述するように、準受動的弾性アクチュエータ808を出力装置810に回転可能に連結することができる。出力装置810は円筒形歯車本体812に連結されたリングギア820を更に備え、リングギア820は伝動ベルト822によって一次アクチュエータ806に回転可能に結合されて、一次アクチュエータ806が伝達ベルト822を介してリングギア820を駆動して、調整可能関節モジュール800が作動される。伝動ベルト822は、ベルト224に関して上述したような他のタイプのトルク伝達装置で置き換えることができる。
【0195】
上述の一次アクチュエータと同様に、
図20Aの一次アクチュエータ806は、モータ801と、モータ801に動作可能に結合された遊星歯車変速機803などの変速機とを備えてもよい。モータ801および遊星歯車変速機803は、
図9Aの一次アクチュエータに関して上述したのと同じまたは同様の構造および機能を有することができる。モータ801のロータ805には、伝達ホイール(ここには図示せず)を結合することができる。
図9Aに示すように、モータ801は、フレームまたは他の支持構造に結合されたステータ807を有するフレームレスブラシレス電気モータであってもよい。
図20Aに組み込むことができる伝達ホイールは、
図9Aの伝達ホイール198と同様であり得る。具体的には、伝達ホイールは外周締結具の周りでロータ805に結合され、遊星歯車変速機803の太陽歯車は伝達ホイールの中央開口部に結合されてもよい(例えば、
図9A)。したがって、モータ801が作動すると、ロータ805は伝達ホイールを回転させ、それにより遊星歯車変速機803の太陽歯車が回転される。太陽歯車が回転すると、遊星歯車はキャリアを回転させ、遊星歯車は遊星歯車変速機803のキャリアに結合された出力プーリ807を回転させる(この構造および機能は、
図8A〜
図9Bに関して同様に説明されているのでここでは詳細に説明しない)。出力プーリ809が回転すると、伝達ベルト822は出力装置810を回転させ、それにより、出力部材802aを入力部材802bに対して回転させることができる。一次アクチュエータ806は、出力部材802aを回転させるための一次トルクを印加するように構成される。いくつかの例では、
図6Aのベルト224に関して上述したように、様々な他のトルク伝達装置で
図20Aのベルト822の特定の構成を置き換えることができる。例えば、一つまたは複数のベルト、結合構造、歯車または腱(またはこれらの組み合わせ)を他のトルク伝達装置で置き換えることができる。そして、このように置き換えた構成要素を、一次アクチュエータ802の回転軸からオフセットした(例えば、垂直な、直交するまたは平行以外の他の角度である平面に沿った方向に向けられた)回転軸を有するように配置してもよい。特定の用途に応じて、比較的高いギア減速(例えば、20:1以上)、比較的低いギア減速度(例えば、1:1)またはこれらの間の任意のギア減速を含む様々なギア減速を入力から出力に提供するように、様々な変速機を配置することができる。幾つかの例では、ベルト822の形態のトルク伝達装置、または、様々な代替トルク伝達装置によって、一次アクチュエータ801を出力から離れた遠隔に配置することができる(すなわち、一次アクチュエータ801は調整可能アクチュエータ関節トモジュールの出力から予め定められた距離だけ離れて配置されるが、トルク伝達装置を介して作動可能に接続されている)。そして、遠隔に配置された一次アクチュエータ801を作動させることができ、そのトルクは、ロボットシステムの関節に対応する調整および作動可能な関節モジュールの出力に伝達される。例えば、一次アクチュエータ801を外骨格の腰部領域(例えば、
図4A)に配置させることができ、上記のような代替のトルク伝達装置は、一次トルクを腰領域から、足首関節を作動させるための足首関節用の調整可能アクチュエータ関節モジュール内に配置された出力部材へと伝達することができる。
【0196】
準受動的弾性アクチュエータ808は、加圧ガスを収容可能なハウジング824(例えば、シリンダ)を備えてもよい。ハウジング824は、ハウジング824内のガスを密封するように形成された下側シール体826aおよび上側シール体826b(
図20D参照)によって、両端が支持されている。可動ピストンロッド828は、下側シール体826aおよび上側シール体826bのそれぞれの開口部を通り、ハウジング824を貫通して延在する(
図20C)。ピストンシリンダ830がピストンロッド828の断面に結合され、これらの両方がハウジング824を貫通して直線的に移動可能である。
図20Cおよび
図20Dに示すように、ピストンシリンダ830は、ハウジング824内の圧縮チャンバ832aおよび拡張チャンバ832bを部分的に画定しこれらを分けている。ピストンシリンダ830の位置は、所望の性能に応じて異ならせてもよい。一態様では、圧縮チャンバ832aおよび膨張チャンバ832bが等しい容積となるようにピストンシリンダ830を配置することができる。別の態様では、圧縮チャンバ832aおよび膨張チャンバ832bが異なる容積を有するようにピストンシリンダ830を配置することができる。異なる容積を有する圧縮チャンバ832aおよび膨張チャンバ832bにすることの利点は、
図8を参照して説明したような異なる容積を有するチャンバについて上述したのと同様または同じである。別の例では、準受動的弾性アクチュエータ808のピストンロッド828は、四節リンク機構を介して出力部材に連結することができる。
【0197】
ハウジング824内のガスを密封すると共にピストンロッド828を摺動可能に受け入れる上側シール本体826aおよび下側シール本体826bのそれぞれにシールアセンブリを設けることができる。連結装置834はピストンロッド828の下端に連結されて、ピン818(
図20B)が貫通する開口部を備えてもよく、ピンによって準受動的弾性アクチュエータ808を出力装置810に回転可能に連結される。
【0198】
一例では、調整可能なアクチュエータ関節モジュール800は、準受動的弾性アクチュエータ808の増大トルクまたは制動力の印加を選択的に制御する制御システムを備える。具体的には、制御システムは、準受動的弾性アクチュエータ808を弾性状態、半弾性状態または非弾性状態(前述の弁アセンブリおよび準受動的弾性アクチュエータと同様)に切り替えるように制御可能な弁アセンブリ838を備える。この例において、弁アセンブリ838は、圧縮チャンバ832aと膨張チャンバ832bとの間の流体(例えば、空気)の流れを可能にする、部分的に可能にするまたは制限/遮断するように作動可能な弁装置840を備える。
図20Dには、圧縮チャンバ832aと膨張チャンバ832bとの間の流体の分流(シャント)を可能にする開位置にある弁装置840が示されており、
図20Eには、閉位置にある弁装置840が示されており圧縮チャンバ832aと膨張チャンバ832bとの間の流体の流れが制限されている。この場合、弁装置840は、弁アセンブリを介して圧縮チャンバと膨張チャンバとの間の流体の流れを容易にする分流回路を画定するまたは備えている。図示されていないが、準受動的アクチュエータ808を半弾性状態にするべく、弁装置840を部分的開位置に配置することができる。
【0199】
具体的には、
図8の弁装置と同様に、弁装置840は、可動弁要素841、ピストン843およびアクチュエータ845(例えば、ボイスコイル)を備えてもよい。可動弁要素841は、一つ以上の締結具(例えば、締結具847)を介してピストン843に結合され得る。アクチュエータ845は、上側シール体826bに結合されたキャップ部材849によって支持および収容されて、弁アセンブリ838が部分的に収容される。したがって、アクチュエータ845に電場を供給すると、ピストン843は、可動弁要素841を開位置(
図20D)、部分的開位置および閉位置(
図20E)の間で移動させる。
【0200】
弁アセンブリ838は、上側シール体826bのチャンバ内に支持された、ほぼ円筒形で管状の弁本体842を備える。弁本体842は
図17Cの弁本体659と同様であってもよく、弁本体842は、弁本体842の中央周辺部の周りに環状に形成された環状通路844を備えてもよい。弁本体842は、環状通路844に近接して弁本体842の周囲に半径方向に形成された複数の開口部846(1つのみ参照番号が付与されている)を更に備える。弁本体842の内面に摺動可能に結合されている可動弁要素841は軸方向に移動して、開位置および部分的開位置においては少なくとも部分的に複数の開口846(
図20D)を露出させ、閉位置においては複数の開口846(
図20E)を覆う。
【0201】
この場合、準受動的弾性アクチュエータ808は、上側シール体826aおよび下側シール体826bの間に結合された管848を備えてもよい(
図20C)。チューブ848は、下側シール体826aを貫通して形成された通路852(
図20F)と流体連通する第1の導管850を含んでもよい。通路852は下側シール体826aを通って延在し、ガス流路を示す破線矢印で示されるように膨張チャンバと832bと流体連通している。第1の導管850は更に、可動弁要素841および弁本体842によって画定される弁チャンバ854と流体連通している(
図20D)。上側シール体826bは、圧縮チャンバ832aと流体連通し、弁本体842の環状通路844と選択的に流体連通する(したがって、内部チャンバ854と流体連通する)第2の導管856を有する。したがって、
図20の開位置または部分的開位置にある時、
図20Dおよび
図20Fの破線の矢印によって示されるように、第1導管850、内部チャンバ854、複数の開口846、環状通路844および第2の導管856ついて、圧縮チャンバ832aと膨張チャンバ832bとの間にガス流路が存在する。反対に、
図20Eの閉位置にある時、複数の開口846を覆うように可動弁要素841が作動されると、このような流体経路は可動弁要素841によって閉鎖される。したがって、この二方弁機能は、本明細書で説明された目的の準受動的アクチュエータの選択的係合、半係合および非係合を容易にする。
【0202】
一例では、調整可能アクチュエータ関節モジュール800、特に準受動的弾性アクチュエータの剛性値が周囲ガス圧力に近くなるように、ハウジング824にはガス圧力がチャージされず周囲ガス圧であってもよい。別の例では、ロータリ空気圧アクチュエータに関して上述したのと同様に、ハウジング824はガス圧がチャージされて予め定められたガス圧力(例えば、500〜3000+psi)となるように調整されて所与の関節剛性値を有するようにしてもよい。このようにプリチャージされるガス圧を、(例えば、図示しないガス圧源および弁を介して)製造時にまたはユーザによって現場で実現してもよい。そして、このようにプリチャージされたガス圧は、例えば、弁を介してハウジング824内のガス圧を追加または緩めることによって動的に変更(増減)することができる。これは、本明細書において、「調整可能」アクチュエータ関節モジュールという用語が意味するものの別の例であり、圧縮チャンバおよび膨張チャンバにチャージ(充填)されるガス圧の量を選択することにより、アクチュエータ関節モジュール800が特定の関節剛性値を有するように調整可能である。
【0203】
弁アセンブリ838を含む制御システムは、弁アセンブリ838およびアクチュエータ845の動作を制御するべく電界を印加するために弁アセンブリ838(すなわち、アクチュエータ845)に電気的にまたは通信可能に接続されたコントローラを有するコンピュータシステム(図示せず)を備えることができる。これにより弁装置を開位置、部分的開位置および閉置の間で切り替えることができる。コンピュータシステムは、ロボット装置に搭載されたバッテリ(例えば、バックパック内のバッテリ)のような電源に接続することができる、または、ロボットまたはロボット装置と関連付けられた別の電源などに接続することができる。
【0204】
作動中、出力部材802aに対する入力部材802bの第1の回転時(例えば、歩行サイクルまたはランニングサイクルの第1の区間など)において弁装置838が閉位置にある時、ピストンロッド828およびピストンシリンダ830はハウジング824に対して上方に移動して、圧縮チャンバ832aにガス圧エネルギーを蓄積するように機能する。出力部材802aに対する入力部材802bの第2の回転時(例えば、歩行サイクルの第2のセグメントの間など)に、ピストンシリンダ830に加えられたガス圧が膨張するとピストンロッド828に軸方向付勢力が生じ、蓄積されたエネルギーが放出されて、一次アクチュエータ806によって加えられる一次トルクと並行に出力装置802aに増大トルクが印加されて、出力装置810の出力部材802aが回転される。出力部材802aに対する入力部材802bの回転を制限する制動力を生成し印加するのに、この動作を使用可能である。出力部材802aに対する入力部材802bの第3の回転時(例えば、歩行サイクルの遊脚期の間)に、弁装置838を、圧縮チャンバ832aと膨張チャンバ832bとの間の圧力を等しくする開位置に作動させることができ、これらの2つのチャンバの間の流体の分流を容易にし、準受動的アクチュエータを前述の自由揺動または非弾性モードにする。このモードでは、入力部材802aおよび出力部材802の第3の回転時に、調整可能アクチュエータ回転モジュール800に関して無視できる程度に小さい抵抗が存在する。
【0205】
したがって、調整可能アクチュエータ関節モジュール800がロボットアセンブリの足首関節(例えば、
図4Aの外骨格関節101)に組み込まれる実際の例(および調整可能アクチュエータ関節モジュール109aに関する上記の議論と同様)では、屈曲/伸長の自由度を提供するべく、第1の歩行運動(例えば、踵接地の直後)に、弁装置838が閉位置に制御されて、それにより、上記のように準受動的弾性アクチュエータ808にエネルギーを蓄積するのを容易にすることができる。そして、上記のように、第2の歩行運動(例えば、踵接地後および爪先が地面から離れる前)の際に、弁装置838は閉位置に維持されて蓄積されたエネルギーの放出が行われて、一次トルクおよび増大トルクが印加されて足首関節が作動される。上述したように、そのような第2の歩行運動時に、一次アクチュエータ806を作動させて準受動的弾性アクチュエータ808によって加えられた増大トルクとともに一次トルクを加えて、ロボットアセンブリの支持部材に結合された出力部材802aを回転させることができる。そして、第3の歩行運動時(例えば、爪先が地面から離れる直前)において、足首関節の自由揺動を容易にするべく、上述したように弁装置838が開位置へと作動される。準受動的弾性アクチュエータを操作して制動力を加えることにより、様々な動作を制動することもできる。
【0206】
一例では、ハウジング824は155ccの容積を有し、圧縮容積は56ccであり、膨張容積は99ccである(圧縮チャンバ容積および膨張チャンバ容積は、ピストンの位置によって規定され、互いに異なる)。ハウジング824を1003psiまでチャージして、20度圧縮時に1577ピークpsiの場合、526N・mのトルクが生成される。ピストンロッド828の直径は0.3125インチ(約0.7938センチメートル)であり、ピストンシリンダ830の直径は1.75インチ(約4.45センチメートル)である。これは、例えば、膝関節または足首関節について約25N・m/度の関節剛性値を提供することができる。この例は、当業者には明らかであるように、決して限定することを意図するものではない。
【0207】
本明細書で論じる準受動的弾性アクチュエータ(すなわち、ロータリアクチュエータおよびリニアアクチュエータ)は、2相流体を使用して充填可能である。例えば、準受動的弾性アクチュエータをフルオロカーボンまたはフルオロカーボン冷媒(例えば、フロン)を使用して圧力充填することができ、これは準受動的弾性アクチュエータがプリチャージされるまたは公称位置にある時の初期気体状態であってもよい。(関節の回転による)圧縮チャンバ内のガスへの圧力印加または圧縮の際に、気体状流体は液体状態に移行してもよい。この場合、システムの安定性を高めることができる気体流体の場合と比較して、圧縮下の液体の有利な特性を有する調整可能アクチュエータ関節モジュールを提供する。
【0208】
一例では、調整可能アクチュエータ関節モジュール800によって提供される合計の出力トルク(すなわち、増大トルクと組み合わせた一次トルク)は、予め定められた出力トルクになるように選択することができる。一態様では、出力トルクの選択は、ピストンロッド828と出力部材802aとの結合位置を選択することに基づいてもよい。例えば、
図20Aに示すように、ピストンロッド828は、回転軸804に対して偏心した位置でかつ回転軸804から予め定められた距離で、および、場合によっては予め定められた角度で、出力装置810と連結させることができる。
【0209】
別の例では、単一ロッド線形空気ばねを組み込むことができる。例えば、ピストンロッド828はハウジング824の上部を通って延在せずに、代わりにピストンシリンダ830で終端する。このようなピストンシリンダは最初に、圧縮チャンバと膨張チャンバとが等しい容積を有するようにハウジングの中央領域に位置させることができる、または、圧縮チャンバと膨張チャンバとが異なる容積を有するようにハウジングの中央領域から離れた位置に配置することができる。
【0210】
上述したように、本明細書で説明する特定の調整可能アクチュエータ関節モジュールが上半身外骨格に関節として組み込まれる例では、アームが持ち上げられて甲冑/武器を支持するような場合に、準受動的弾性アクチュエータは重力補償機能を提供してもよい。すなわち、負荷を支持しながらアームを上げる時、負荷に作用する重力に抵抗して負荷を持ち上げるのを補助するべく、準受動的弾性アクチュエータは増大トルクを印加するように動作可能である。本明細書で説明したような調整可能アクチュエータ関節モジュールが下半身の外骨格の関節として組み込まれる例では、調整可能アクチュエータ関節モジュールは最大トルクが250N・mとなるように設計することができ、例えば、準受動的弾性アクチュエータは、膝関節の場合は7N・m/度のばね剛性値、股関節の場合は3N・m/度のばね剛性値を有するように設計することができる。ウォーキングなどの周期的な歩行は典型的には20°を超えないので、下半身の調整可能アクチュエータ関節モジュールによって提供される総トルクは、通常動作で約140N・mほどである。
【0211】
図21には、例えば、足首関節回転902から離れて遠隔的に結合され得る準受動的弾性アクチュエータ900が示されている。準受動的弾性アクチュエータ900は、弁アセンブリ838を含む制御システムを有するなど、上述した準受動的弾性アクチュエータ808と同じまたは同様の特徴を有することができる。この例では、準受動的弾性アクチュエータ900は、ロボットシステム(本明細書で検討される外骨格、人型ロボットまたは他のロボットシステムなど)の支持部材に沿って遠隔的に任意の位置に結合され得る。例えば、準受動的弾性アクチュエータ900は、外骨格を着用しているオペレータの大腿骨に対応する支持部材904に遠隔的に結合され、したがって、出力部材の回転軸から距離が遠い位置に配置される。図示の例のように、ボーデンケーブル906(または他の類似の半可撓性の力伝達装置または他の伝達装置)が、準受動的弾性アクチュエータ900のピストンシリンダ908と、足首関節902に関連付けられた出力部材910との間に結合されて、オペレータの足が支持される足首支持部材912を動かすように足首関節902が作動される。一態様では、「遠隔に位置する」とは、少なくとも一つの関節(例えば、膝関節914)が、準受動的弾性アクチュエータ900(トルクを印加するためのエネルギーを蓄積し、エネルギーを放出する装置)と、本例では足首関節902である、準受動的弾性アクチュエータ900と関連付けられた関節との間に配置されるまたは位置することを意味し得る。いくつかの例では、一次アクチュエータ(例えば、モータ)は、(例えば、支持部材904に結合されている)準受動的弾性アクチュエータ900に隣接して結合され、ボーデンケーブル906にも接続されて、ボーデンケーブル906を介して一次トルクを印加して、この場合は足首関節902である関節を作動させる。これに代えて、一次アクチュエータを局所的に、関節(例えば、足首関節902)にまたは関節の近くに配置して結合して、準受動的弾性アクチュエータによって印加される増大トルクと共に一次トルクを(並列であろうと直列であろうと)印加してもよい。
【0212】
図示の構成例を使用して、足首関節902の第1の回転(すなわち、立脚圧縮の間の踵接地の直後)時に、準受動的弾性アクチュエータ900は、弾性状態で動作している場合にエネルギーを蓄積可能である(準受動的弾性アクチュエータ808に関して説明したのと同様に、圧縮チャンバ内にエネルギーを蓄積するべく、ピストンシリンダ908はハウジングを介して上方に移動される)。また、足首関節902の第2の回転時(すなわち、踵接地の後であって立脚伸長の間の爪先が地面から離れる時点まで)に、準受動的弾性アクチュエータ900は、弾性状態で動作している場合に蓄積されたエネルギーを放出するように動作可能であり、ボーデンケーブル906を介して足首関節902を作動させるべくトルクを印加する(例えば、一例では一次トルクによって増大されたトルク)。必要に応じて、第3の回転(すなわち、爪先が地面から離れた時から踵が接地するまで)の間に、準受動的弾性アクチュエータ900は、(弁を介して)非弾性状態で動作するように切り替えられて、準受動的弾性アクチュエータ900を介してエネルギーが蓄積されないまたは放出されないようにして、足首関節902を自由揺動モードにすることができる。
【0213】
準受動的弾性アクチュエータ900は、線形空気ばねの形態の弾性要素を備えるものとして示されているが、これに代えて(本明細書に例示されるような)回転空気ばねであってもよい。または、コイルばねなどの機械的ばね、ポリマーばね、ねじりばねまたは他の弾性構成要素であってもよい。
【0214】
準受動的弾性アクチュエータを単独で、または、調整可能アクチュエータ関節モジュールの一つのまたは複数の追加的構成要素を用いて、準受動的弾性アクチュエータを遠隔に配置することにより、準受動的弾性アクチュエータ900(および場合によっては一次アクチュエータ)の質量を、ロボットシステムの重心近く(例えば、外骨格および外骨格のオペレータの重心の近く)に配置することができる。それにより、関節回転(例えば歩行運動)中の慣性モーメントを減少させることができ、それによって関節を作動させるのに必要な電力の損失を更に低減または最小化することができる。したがって、準受動的弾性アクチュエータ900(および必要に応じて一次アクチュエータ)は、関節の近くに局所的に配置されると、通常必要とされるよりも小型化するとができる。
【0215】
本明細書で説明する調整可能アクチュエータ関節モジュールはコンピュータシステムの制御装置によって制御されてもよく、制御装置は、ロボットもしくはロボット装置にオンボードに位置するか、または、ロボットもしくはロボット装置が既知の通信技術を使用してコンピュータシステムと通信するように遠隔に配置されてもよい。加えて、制御装置は、ロボットまたはロボット装置内の複数の調整可能関節アクチュエータモジュールのそれぞれを制御するのに使用されてもよく、複数の調整可能関節アクチュエータモジュールを協働させるような態様で動作させることができる(例えば、ロボット外骨格内で、調整可能アクチュエータ膝関節モジュールを調整可能アクチュエータ股関節モジュールとまたは調整可能アクチュエータ足首関節モジュールと協働させて、これら関節がそれぞれ他の関節と共に機能して、歩行、走り、スクワットまたは他の動きといった人間の運動学的に等価な動作を提供するようにすることができる)。例えば、ランニングの歩行サイクル中に人間のオペレータが下半身の外骨格を装着し、左右の足首関節がそれぞれ、上記で説明した調整可能アクチュエータ関節モジュール800を含み、左右の膝関節および股関節の各々が上記で説明した調整可能アクチュエータ関節モジュール(109a、130または500)を含むとする。コンピュータシステムは、調整可能アクチュエータ関節モジュールのそれぞれに関連付けられた位置センサ、力センサまたはその両方から位置および力のデータを受信することができる。位置および力のデータを処理して、複数の調整可能アクチュエータ関節モジュールの各々の特定の位置またはそれに作用する力を決定する情報を生成することができる。また、一つまたは複数の歩容認識アルゴリズムはこのような情報を処理して、複数の調整可能アクチュエータ関節モジュールのうちの何れが(存在する場合)、弾性状態、半弾性状態および非弾性状態の間で切り換えられるべきかを判断することができる。したがって、コンピュータシステムは、調整可能アクチュエータ関節モジュールのそれぞれに対してコマンド信号を生成して送信し、それぞれの弁アセンブリを適切な開位置または閉位置に作動させる、および/または、それぞれの電気モータを作動させて一次トルクを印加することができる。このような処理は、例えば、個々の調整可能アクチュエータ関節モジュール毎に、歩行サイクル中にミリ秒単位で継続的に実行することができる。同じことは、歩行、ジャンプ、スクワット、よじ登る動作などのタスク固有の動きにも当てはまる。
【0216】
更に、エネルギーの蓄積および放出の間、制動力の生成および印加の間、並びに、関節の自由揺動を容易にする弁アセンブリおよびシャント回路の開状態の間の、本明細書で説明した様々な調整可能アクチュエータ関節モジュールによって決定される複数の関節の回転(すなわち、入力部材と出力部材との間の相対的な回転)は、任意の方向(例えば、同じ方向、異なる方向)であってよい。言い換えると、弁アセンブリは、エネルギーを蓄積または放出するべく係合状態となったり、関連する関節が同じ方向または様々な異なる方向に回転すると対象の関節が自由揺動をするように非係合状態になるように操作可能である。これは、本開示に記載されている全ての例についても同様である。
【0217】
開示された本発明の実施形態は、本明細書で開示される特定の構造、製造工程または材料に限定されず、関連技術分野の当業者であれば理解できるように、それらの等価物まで拡張され得る。また、本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明する目的で使用されており、これらを限定することを意図するものではないことも理解されるべきである。
【0218】
例えば、本明細書で使用されている「一実施形態」、「実施形態」との用語は、当該実施形態に関連して記述される特定の特徴、構造または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通じて、様々な場所における「一実施形態において」または「ある実施形態において」という表現は、必ずしも全て同じ実施形態を指しているわけではない。
【0219】
本明細書に記載される幾つかの実施形態または特徴を本明細書に記載される他の実施形態または特徴と組み合わせられ得ることを明示的に開示していないが、本開示は、当業者によって実施可能なそのような組み合わせを記載していると読まれるべきである。本開示における「または」という言葉の使用は、本明細書中でそうでないと記載されていない限り、非排他的または「および/または」を意味すると理解されるべきである。
【0220】
本明細書で用いられる場合、複数の項目、構造要素、構成要素、および/または材料は、便宜上、共通のリストに提示されてもよい。しかしながら、これらのリストは、リストの各部材が別個で特有の部材として個々に識別されると解釈されるべきである。従って、そのようなリストの如何なる個々の部材も、反対の指摘なく、共通のグループに提示されていることのみに基づいて、同一のリストの任意のその他の部材と事実上の等価であると解釈されるべきではない。更に、本発明の様々な実施形態および実施例は、その様々な構成要素の代替案と共に参照され得る。そのような実施形態、実施例、および代替例は、互いに事実上等価であると解釈されるべきではなく、本発明の独立した自律的な表現とみなされるべきである。
【0221】
また、記載された特徴、構造または特性は、一つまたは複数の実施形態において任意の適切な態様で組み合わせ可能である。本明細書には、本発明の実施形態の完全な理解を提供するべく、長さ、幅、形状等の例といった、多くの具体的な詳細な例が提供されている。しかしながら、関連技術分野の当業者であれば、特定の詳細事項の一つまたは複数がなくとも、または、他の方法、構成要素、材料などを用いても、本発明を実施可能であることが理解できる。また、他の例では、本発明の態様を不明瞭にすることを避けるために、周知の構造、材料または動作は詳細には示されていないまたは記載されていない。
【0222】
前述の例は、一つまたは複数の特定の用途における本発明の原理の例示であるが、当業者であれば、本発明の原理および概念から逸脱することなく、また、発明の創造性を新たに発揮することなく、形態、使用および実施の詳細における多くの変更が可能であることを理解できる。したがって、以下に示す特許請求の範囲以外によって、本発明が限定されることは意図していない。