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特許6861645デジタル暗号化された証券プラットフォーム、ならびに、そのための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861645
(24)【登録日】2021年4月1日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】デジタル暗号化された証券プラットフォーム、ならびに、そのための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/04 20120101AFI20210412BHJP
   G06Q 20/38 20120101ALI20210412BHJP
【FI】
   G06Q40/04
   G06Q20/38 318
【請求項の数】23
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-557050(P2017-557050)
(86)(22)【出願日】2016年4月29日
(65)【公表番号】特表2018-518745(P2018-518745A)
(43)【公表日】2018年7月12日
(86)【国際出願番号】US2016030122
(87)【国際公開番号】WO2016178999
(87)【国際公開日】20161110
【審査請求日】2019年2月22日
(31)【優先権主張番号】62/156,027
(32)【優先日】2015年5月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/246,713
(32)【優先日】2015年10月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517276376
【氏名又は名称】ティーゼロ・グループ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【弁理士】
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】タバコ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルキンズ,アレック
(72)【発明者】
【氏名】ウェルボーン,ジョン・ウェスリー
【審査官】 小池 堂夫
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−522721(JP,A)
【文献】 米国特許第07349881(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
G16H 10/00−80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
事前借り入れに利用可能な1つまたは複数の証券の在庫を受信するステップと、
代替取引システムによって管理されるオークションにおいて、前記在庫内の前記1つまたは複数の証券を事前借り入れする権利の募集を承認するステップであって、前記オークションは前記在庫内の1つまたは複数の証券を事前借り入れする権利のオークションである、承認するステップと、
前記オークションにおいて落札された前記1つまたは複数の証券を事前借り入れする権利の前記1つまたは複数の証券を、トークン発生器に関連付けられた第1のアドレス指定された口座に受信するステップと、
前記1つまたは複数の証券を前記第1のアドレス指定された口座に受信するステップに応答して、前記オークションで落札された前記1つまたは複数の証券を事前借り入れする権利に対応する1つ又は複数の証券を表す1つまたは複数の借り入れパラメータを示すトークンを生成するステップと、
前記代替取引システムから前記トークンが落札者の入札とマッチングしたことの通知を受信すると、前記トークンの取引を暗号署名して、前記落札者に関連付けられた第2のアドレス指定された口座に前記トークンを転送するステップと、
を含むコンピュータにより実行される方法。
【請求項2】
前記取引を暗号署名して前記トークンを転送するステップは、前記第1のアドレス指定された口座の秘密鍵を用いて電子署名するステップを含み、前記方法は、前記1つまたは複数の証券を事前借り入れする権利のベースライン価格を生成するステップをさらに含み、前記ベースライン価格は、入札を開始できる価格である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ベースライン価格は、前記1つまたは複数の証券の所有者に支払われる料金を含み、前記方法は、前記1つまたは複数の証券が事前借り入れされたら、前記1つまたは複数の証券の前記所有者に前記料金を支払うステップをさらに含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つまたは複数の借り入れパラメータは、落札された前記1つまたは複数の証券の識別情報、前記1つまたは複数の証券を事前借り入れするための入札額、および、前記1つまたは複数の証券の所有者または株主を含み、前記方法は、前記トークンおよび前記トークンの所有権を分散元帳に記録する要求を、前記分散元帳に送信するステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記取引を記録のために前記分散元帳に通信して、前記落札者に関連付けられた前記第2のアドレス指定された口座に前記トークンを転送するステップをさらに含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記トークンを生成する前に、前記1つまたは複数の証券が前記第1のアドレス指定された口座に関連付けられているという確認を分散元帳から受信するステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
最終オークション価格を前記代替取引システムに通信するステップと、
セカンダリ市場における前記トークンの再販を承認するステップと、をさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つまたは複数の証券は、上場投資信託の1つまたは複数の株式を生成するために使用される少なくとも2つの異なる証券を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、マシンに、
事前借り入れに利用可能な1つまたは複数の証券の在庫を受信するステップと、
代替取引システムによって管理されるオークションにおいて、前記在庫内の前記1つまたは複数の証券を事前借り入れする権利の募集を承認するステップであって、前記オークションは前記在庫内の前記1つまたは複数の証券を事前借り入れする権利のオークションである、承認するステップと、
前記オークションにおいて落札された前記1つまたは複数の証券を事前借り入れする権利の前記1つまたは複数の証券を、トークン発生器に関連付けられた第1のアドレス指定された口座に受信するステップと、
前記1つまたは複数の証券を前記第1のアドレス指定された口座に受信するステップに応答して、前記オークションにおいて落札された前記1つまたは複数の証券を事前借り入れする権利に対応する1つ又は複数の証券を表す1つまたは複数の借り入れパラメータを示すトークンを生成するステップと、
前記代替取引システムから前記トークンが落札者の入札とマッチングしたことの通知を受信すると、前記トークンの取引を暗号署名して、前記落札者に関連付けられた第2のアドレス指定された口座に前記トークンを転送するステップと、
を実行させる命令セットを含む非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記マシンに前記取引を暗号署名して前記トークンを転送するステップを実行させる前記命令セットは、前記マシンに、
前記第1のアドレス指定された口座の秘密鍵を用いて電子署名するステップと、
前記1つまたは複数の証券を事前借り入れする権利のベースライン価格を生成するステップと、をさらに実行させ、
前記ベースライン価格は、入札を開始できる価格である、
請求項9に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
前記ベースライン価格は、前記1つまたは複数の証券の所有者に支払われる料金を含み、前記命令セットは、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記マシンに、前記1つまたは複数の証券が事前借り入れされたら、前記1つまたは複数の証券の前記所有者に前記料金を支払うステップを実行させる、
請求項10に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
前記1つまたは複数の借り入れパラメータは、落札された前記1つまたは複数の証券の識別情報、前記1つまたは複数の証券を事前借り入れするための入札額、および、前記1つまたは複数の証券の所有者または株主を含み、前記命令セットは、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記マシンに、前記トークンおよび前記トークンの所有権を分散元帳に記録する要求を、前記分散元帳に送信するステップをさらに実行させる、
請求項9に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
前記命令セットは、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記マシンに、前記取引を前記分散元帳に通信して、前記落札者に関連付けられた前記第2のアドレス指定された口座に前記トークンを転送する取引をさらに実行させる、
請求項12に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
前記命令セットは、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記マシンに、前記トークンを生成する前に、前記1つまたは複数の証券が前記第1のアドレス指定された口座に関連付けられているという確認を分散元帳から受信するステップをさらに実行させる、
請求項9に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
前記命令セットは、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記マシンに、
最終オークション価格を前記代替取引システムに通信するステップと、
セカンダリ市場における前記トークンの再販を承認するステップと、をさらに実行させる、
請求項9に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
代替取引システムにおいて、オークションを通じて事前借り入れに利用可能な1つまたは複数の証券の示唆を受信するステップと、
前記代替取引システムで前記オークションを開催するステップであって、前記オークションは前記1つまたは複数の証券を事前借り入れする権利のオークションである、ステップと、
前記1つまたは複数の証券を第1のアドレス指定された口座に受信するステップに応答して生成されたトークンを前記代替取引システムで取得するステップであって、前記トークンは前記1つまたは複数の証券、前記1つまたは複数の証券の所有者または株主、および、前記1つまたは複数の証券を事前借り入れする権利の入札の価格を識別する、ステップと、
前記代替取引システムによって、前記トークンを、前記1つまたは複数の証券を事前借り入れする権利の落札とマッチングするステップであって、前記トークンは第1のアドレス指定された口座に関連付けられている、ステップと、
前記落札を有する落札者に関連付けられた第2のアドレス指定された口座に前記トークンを暗号的に転送し、その転送を分散元帳に記録する要求をコンピュータシステムに送信するステップと、
を含むコンピュータにより実行される方法。
【請求項17】
前記落札をマッチングする前に、分散された元帳から、前記トークンが第1のアドレス指定された口座に関連付けられているという確認を受信するステップをさらに含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記代替取引システムで前記オークションを開催するステップは、前記1つまたは複数の証券を事前借り入れする権利の1つまたは複数の入札を受信するステップと、前記1つまたは複数の証券を事前借り入れする権利の買い注文と売り注文とをマッチングするステップと、を含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記トークンを購入するための買い注文を買い手から受信し、前記トークンを売却するための売り注文を前記落札者から受信するステップと、
前記買い注文と前記売り注文とをマッチングするステップと、
前記トークンの取引を実行し、前記トークンを前記買い手に転送するステップであって、前記トークンは、前記落札者が前記取引に電子的に署名したら前記落札者から前記買い手に電子的に転送される、ステップと、をさらに含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項20】
記録のために前記取引を分散元帳へ通信するステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記1つまたは複数の証券は、上場投資信託の1つまたは複数の株式を生成するために使用される少なくとも2つの異なる証券を含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項22】
1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、マシンに、
代替取引システムにおいて、1つ又は複数の証券を事前借り入れする権利の入札を行うためのオークションを通じて事前借り入れに利用可能な1つまたは複数の証券の示唆を受信するステップと、
前記代替取引システムでオークションを開催するステップと、
前記1つまたは複数の証券を第1のアドレス指定された口座に受信するステップに応答して生成されたトークンを前記代替取引システムで取得するステップであって、前記トークンは前記1つまたは複数の証券、前記1つまたは複数の証券の所有者または株主、および、前記1つまたは複数の証券を事前借り入れする権利の入札価格を識別する、ステップと、
前記代替取引システムによって、前記トークンを、前記1つまたは複数の証券を事前借り入れする権利の落札とマッチングするステップであって、前記トークンは第1のアドレス指定された口座に関連付けられている、ステップと、
前記落札を有する落札者に関連付けられた第2のアドレス指定された口座に前記トークンを暗号的に転送し、その転送を分散元帳に記録する要求をコンピュータシステムに送信するステップと、
前記トークンを購入するための買い注文を買い手から受信し、前記トークンを売却するための売り注文を前記落札者から受信するステップと、
前記買い注文と前記売り注文とをマッチングするステップと、
前記トークンの取引を実行し、前記トークンを前記買い手に転送するステップであって、前記トークンは、前記落札者が前記取引に電子的に署名したら前記落札者から前記買い手に電子的に転送される、ステップと、
を実行させる命令セットを含む非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項23】
1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、マシンに、
上場投資信託の株式を生成する要求を受信するステップであって、前記上場投資信託は、少なくとも2つの異なる種類の証券を含む、ステップと
代替取引システムによって管理されるオークションにおいて、前記少なくとも2つの異なる種類の証券を事前借り入れする権利の募集を承認するステップであって、前記オークションは前記少なくとも2つの異なる種類の証券を事前借り入れする権利のオークションである、承認するステップと、
前記オークションにおいて落札された前記少なくとも2つの異なる種類の証券を事前借り入れする権利の前記少なくとも2つの異なる種類の証券を、トークン発生器に関連付けられた第1のアドレス指定された口座に受信するステップと、
前記少なくとも2つの異なる種類の証券を前記第1のアドレス指定された口座に受信するステップに応答して、前記オークションにおいて落札された前記少なくとも2つの異なる種類の証券を事前借り入れする権利に対応する前記少なくとも2つの異なる種類の証券を表す1つまたは複数の借り入れパラメータを示すトークンを生成するステップと、
前記代替取引システムから前記トークンが落札者の入札とマッチングしたことの通知を受信すると、取引を暗号署名して、前記落札者に関連付けられた第2のアドレス指定された口座に前記トークンを転送するステップと、
を実行させる命令セットを含む非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2015年5月1日に出願された「DIGITALLY ENCRYPTED CUSTODIAL REGISTRY FOR SECURITIES LENDING, BORROWING AND TRADING USING A DISTRIBUTED LEDGER(分散元帳を用いて証券を貸し出し、借り入れ、および取引するためのデジタル暗号化された保管登録)」という名称の米国仮特許出願第62/156,027号、および、2015年10月27日に出願された「DIGITALLY ENCRYPTED CUSTODIAL REGISTRY FOR SECURITIES LENDING, BORROWING AND TRADING USING A DISTRIBUTED LEDGER(分散元帳を用いて証券を貸し出し、借り入れ、および取引するためのデジタル暗号化された保管登録)」という名称の米国仮特許出願第62/246,713号の利益を主張し、両者は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本開示の様々な実施形態は、概して証券に関する。より具体的には、本開示の様々な実施形態は、分散元帳を用いて証券を貸し出し、借り入れ、および取引するためのデジタル暗号化された保管登録に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]空売りとは、トレーダーが所有していないが引き渡しが約束されている証券の売却である。特定の証券を空売りする前に、トレーダーは証券を借りるか、または証券を借りることができると確認しなければならない。例えば、ブローカー業者は、ブローカー業者自身の在庫、ブローカー業者の顧客の他の在庫、または他のブローカー業者からトレーダーに株式を貸し出すことができる。株式が売却された後、収益はトレーダーの口座に振り込まれる。将来のある時点で、トレーダーは同じ数の株式を買い戻して貸し手に返却することによって、空売りを「閉じる」必要がある。証券を空売りすることによって、トレーダーは証券の価格が下がることに賭けているので、トレーダーは安い価格で証券を買い戻し、その差額で利益を得ることができる。しかしながら、トレーダーの賭けが間違っており証券の価格が上昇した場合には、トレーダーは高値で証券を買い取るだけでなく、ポジションを閉じるまで、決済に必要な証券を借りる費用を負担しなければならないので、トレーダーはお金を失う。
【0004】
[0004]上記のように、証券を空売りする前に、トレーダーは、借り入れが困難な特定の証券について、証券を借りるかまたは株式を借り入れることができると確認しなければならない。しかしながら、紙と電子取引システムのルールの抜け穴および矛盾のために、トレーダーの中には、存在することが断定的に確認されていない株式を違法に売る者がおり、これは慣習的に「裸の空売り(naked short selling)」と呼ばれている。
【0005】
[0005]現在のシステム、CNS(連続ネット決済:Continuous Net Settlement)の制限により、売却する株式を適切に配置したトレーダーは、まだ裸の空売り筋である可能性がある。CNS内において、米国証券取引所決済機関(「NSCC」)は、米国内の実質的にすべてのブローカー間のエクイティ、社債および地方債、および単位投資信託取引の清算および決済の中心的なカウンターパーティーとして機能する。CNSは、国内の主要取引所、市場およびその他のソースからの取引を決済し、これらの取引をメンバーごとに1日あたり1つの証券ポジションにネットする。これを行うために、CNSは、決済を集中管理し、証券と貨幣残高の整然とした流れを維持する自動帳簿入力会計システムを含む。
【0006】
[0006]CNSはファーストインファーストアウト(「FIFO」)システムとして動作し、空売り筋は、裸の空売り筋であるとの告発に脆弱になる。例えば、裸の空売り筋が決済後3日以内に株式を引き渡すことができなかったとする。さらに、第2の空売り筋が、決済日に株式を引き渡すための適切な手続きを行ったとする。第2の空売り筋の決済日は、裸の空売り筋の決済日よりも3日早い。現在のFIFO体制では、CNSは、裸の空売り筋に第2の空売り筋の株式を貸し出し、第2の空売り筋は、自己の過失なしに裸の空売り筋になるリスクがある。監査証跡が存在しないため、CNSは、借り入れた株式をどの口座に貸し出すべきかを明確に特定できない。したがって、最もリスクの高い口座(すなわち、第1の裸の空売り筋の口座)に株式が貸し出される。
【0007】
[0007]レガシーシステムの他の制限は、株式を売却する権利が流動的ではないということである。つまり、借り入れた株式は借り入れとして記録されていないため、トレーダーは株式を売却する権利を再売却することができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008]本開示の実施形態は、添付の図面を使用して記述および説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】[0009]図1は、本開示の様々な実施形態によるネットワークベースの配備環境の一例を示す図である。
図2】[0010]図2は、本開示の1つまたは複数の実施形態による暗号証券プラットフォームにおける要素のセットを示す図である。
図3】[0011]図3は、本開示の1つまたは複数の実施形態によるETFの空売りのための生成から貸し出しまでのプロセスの概要を示す図である。
図4】[0012]図4は、本開示の様々な実施形態による空売りのための株式の貸し出しおよび借り入れの価格設定をする際、および、空売りのための株式の貸し出しおよび借り入れをデジタルレジストリに記録する際に用いられる要素の相互作用を示す図である。
図5】[0013]図5は、本開示の様々な実施形態による暗号証券プラットフォームの観点からのショートトークンプロセスのフローチャートである。
図6】[0014]図6は、本開示の様々な実施形態による代替取引システムの観点からのショートトークンプロセスのフローチャートである。
図7】[0015]図7は、本開示の様々な実施形態による暗号証券プラットフォームのためのショートトークンフロープロセスを示す図である。
図8図8は、本開示の様々な実施形態による暗号証券プラットフォームのためのショートトークンフロープロセスを示す図である。
図9】[0016]図9は、本開示の1つまたは複数の実施形態による暗号証券プラットフォームの観点からのショートトークンプロセスのフローチャートである。
図10】[0017]図10は、本開示の1つまたは複数の実施形態による代替取引システムの観点からのショートトークンプロセスのフローチャートである。
図11】[0018]図11は、本開示の1つまたは複数の実施形態を利用することのできるコンピュータシステムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0019]本開示の様々な実施形態は、概して証券に関する。より具体的には、本開示の様々な実施形態は、デジタル暗号証券プラットフォームに関し、さらに具体的には、暗号証券プラットフォームなどの分散元帳を使用した証券貸し出し、借り入れおよび取引のためのデジタル暗号化された暗号保管レジストリに関する。暗号証券プラットフォームは、証券の所有権の暗号レジストリを生成し、証券所有者が所有権を証明する冗長な方法を有することが可能になる。さらに、この暗号レジストリは、証券所有者が分散および暗号技術を用いて空売り取引の決済のために証券をトレーダーに貸し出すことを可能にする。暗号レジストリは、借り入れた株式の流動性も可能にする。
【0011】
[0020]現在、証券の所有権は、保管銀行、証券会社、または1つまたは複数のサーバ上のデータベースの他のエンティティに記録されている。暗号証券プラットフォームは、所有権の変更を含む証券の所有権を、暗号化を使用して分散元帳に記録することができる。証券のデジタル記録を生成することには多くの利点がある。例えば、デジタル記録は、ブローカー業者または保管銀行が従来のシステムの所有権へのアクセスに問題が発生した場合、所有権の紙または他の暗号化されていない記録の冗長記録として使用することができる。さらに、証券のデジタル記録は、証券の空売りを支援するために貸し出し可能な証券を識別するために使用することができる。
【0012】
[0021]本出願において、「証券」とは、エンティティまたは政府機関によって発行された資金調達手段または投資商品を指し、それは、所有者利益を示し、債務の証拠、発行者の利益を共有する権利、または財産を分配する権利を提供する。証券の例には、債券、社債、ノート、オプション、株式、ワラント、上場投資信託(「ETF」)が含まれる。証券には、デジタル証券および証券のデジタル株式も含まれ得る。本開示は、証券の裸の空売りを防止することについて議論している。しかしながら、本明細書に開示される概念は、コモディティおよび通貨(例えば、現金、暗号通貨などの現金同等物)に適用することができる。
【0013】
[0022]レガシーシステムの制限を克服するために、暗号証券プラットフォームは、株式を借り入れする権利の所有権と価格を含む所有権と価格を記録するレジストリを提供し、これにより、トレーダーは、空売りの前にトレーダーが株式を適切に配置したことを証明でき、他者は、取引を成立させるために割り当てられた株式を使用することができない。
【0014】
[0023]暗号証券プラットフォームは、トレーダーが株式の所有者からの承認を得たことをトレーダーが分散元帳を介して証明できるため、トレーダーが決済日に裸の空売り筋であると非難されるリスクを排除する。これを達成するために、暗号証券プラットフォームは、株式を保有する金融機関から、株式が事前借り入れのために利用可能であることの示唆を受信する。暗号証券プラットフォームは、代替取引システム(「ATS」)でオークションを開催し、株式を事前借り入れするための入札を受信する。言い換えれば、トレーダーは、トレーディング要件が満たされることを保証するために株式を借り入れる流動性または利用可能性を主張する権利のために入札する。入札から集められた手数料は、株式の事前借り入れを認めている株主と、取引を行うためのサービスを提供しているエンティティ(例えばソフトウェアライセンス料)に支払われる。オークションは、利用可能な株式の最新の静的リストを生成することができるように、一晩中またはその日の取引が終了した後に行うことができる。
【0015】
[0024]トレーダーが(例えば、最も高い料金を支払うことに同意することによって)特定の株式を借り入れる権利を入札して獲得した場合、その株式は暗号証券プラットフォームに関連付けられたアドレス指定された口座(例えばデジタルウォレット)に入れられる。株式の実証的存在(empirical existence)は、暗号署名され、分散元帳に記録される。次に、暗号証券プラットフォームは、本明細書ではトークンまたはショートトークンと呼ばれるデジタルトークンまたはデジタルコインを発行し、トークンまたはショートトークンは、特定の空売り取引を決済するためにトレーダーの口座に特別に割り当てられており取引日に記録される料金で貸し出し可能な株式ポジションのデジタル表現である。「トークン」および「ショートトークン」は、本開示において交換可能に使用される。
【0016】
[0025]次に、ATSは、株式を事前借り入れするためのトレーダーの入札とショートトークンとマッチングする。取引がマッチングすると、ショートトークンは、暗号証券プラットフォームのデジタルレジストリ(例えば、デジタル口座、アドレス指定された口座、デジタルウォレット)からトレーダーまたはトレーダーの決済会社のデジタルレジストリへ(例えば、公開鍵および秘密鍵を使用して)暗号署名される。この取引は分散元帳に記録される。株式を借り入れる権利を特定するショートトークンは、トレーダーが所有するものとして元帳に記録されているので、トレーダー以外の者は、空売り注文を履行するために、これらの特定の株式を使用することができない。したがって、トレーダーが決済日(すなわち、買い手が株式を購入する日)に決済する準備ができたとき、ショートトークンはトレーダーの注文を満たすために適用される(すなわち、買い手に転送される)。つまり、ショートトークンは、トレーダーの口座に暗号的に転送されるので、ショートトークンを別の口座に適用することはできない。
【0017】
[0026]暗号証券プラットフォームのもう1つの利点は、トレーダーは、トレーダーが購入した流動性権利を清算できることである。つまり、暗号証券プラットフォームは、事前借り入れした株式に対する権利が分配元帳に記録されているので、セカンダリ市場で株式を売却する権利をトレーダーが販売することを可能にする。例えば、ショートトークンがトレーダーに暗号的に署名された後、トレーダーはショートトークン(またはショートトークンの一部)を別のトレーダーに売ることができる。なぜなら、レガシーシステムには、どの株式が事前借り入れされたかを示す方法がないため、株式を売却する権利を売却することは利用可能な選択肢になかったからである。
【0018】
[0027]暗号証券プラットフォームは、ショートトークンの所有権と可用性を検証するために、暗号化元帳(例えば、ブロックチェーン)を使用する。ショートトークンは、公開鍵暗号化や双方向暗号化などの暗号技術を使用して、他の所有者に転送することができる。公開鍵暗号には、2つの鍵が数学的にリンクされている鍵ペアが必要である。1つの鍵は、ピアツーピアネットワーク内のノード間で自由に共有される公開鍵である。もう1つのキーは、公衆では共有されていない秘密鍵である。公開鍵は、平文の暗号化とデジタル署名の検証に使用される。秘密鍵は、暗号テキストを復号化し、取引にデジタル署名するために使用される。取引メッセージは、送信者の識別情報を認証するために送信者の秘密鍵でデジタル署名することができる。次に、送信者のデジタル署名された取引メッセージは、送信者が取引を開始したことを検証するために送信者の公開鍵を使用して復号化することができる。
【0019】
[0028]株式の所有権は、ネットワークノードによってメンテナンスされる分散元帳の所有権エントリに基づいてもよい。分散元帳(例えば、Bitcoinのブロックチェーン)は、各ショートトークンの所有権の変更ごとにエントリを記録し、鍵ペアに数学的にリンクすることができる。ショートトークンを販売するために、(例えば、パケットまたは他のデータ構造の)取引メッセージは、ピアツーピアネットワーク上のノードに送信されてもよい。取引メッセージは、売り手の秘密鍵によって署名することができ、ショートトークンのタイトルのチェーンの履歴、借り入れた株式の数、および購入者の公開鍵に基づくアドレスなどの情報を含むことができる。ネットワーク内の多数のノードが、送信者が適切なタイトルのチェーンを持つことに同意すると、所有者は購入者に変更され、元帳は取引を示すように更新される。
【0020】
[0029]暗号証券プラットフォームは、ETFを生成し、ETFの裸の空売りを防止するために使用することができる。ETFは、インデックス、コモディティ、債券、またはインデックスファンドなどの資産のバスケットを監視する市場性のある証券である。ETFには、プライマリとセカンダリという2つの取引活動レベルがある。プライマリ市場では、ETF認可プロバイダは、ETF株式と引き換えに現物の公開された証券のバスケットおよび公開されたキャッシュ要素を交換します。これらのバスケットは、概して非常に大きく、1つの生成単位または償還単位はETF株式の固定数に等しい。比率は商品によって異なるが、通常、単位あたり50,000ETF株式である。ETFは、生成単位と呼ばれる大きなブロック(例えば50,000株)で機関投資家(例えば、ブローカーディーラー)に株式を発行したり機関投資家から株式を償還したりすることができる。生成単位取引は、現物証券および/またはETFのベンチマークインデックスに含まれる証券の実質的複製または代理を構成するキャッシュの指定ポートフォリオの預託または引き渡しと引き換えに行うことができる。通常、ETFの個々の株式は、ブローカーディーラーを通じて、市場価格で、国の証券取引所、電子取引ネットワークおよびその他の代替取引システムでのみ購入および販売することができる。ほとんどの機関および個人顧客は、セカンダリ市場におけるETFの株式を取引している。
【0021】
[0030]ETFは、株式取引所の普通株式のように取引されるため、ETFの裸の空売りが発生する可能性がある。ショートトークンを使用して上述した裸の空売りを防止するプロセスは、ETFの裸の空売りを防止するために使用され得る。さらに、ETF株式の基礎となる資産が存在しETF生成プロセス中に取得することができることを保証するために同様のメカニズムを使用することができる。
【0022】
[0031]ETFは様々な資産から構成されているので、いくつかの実施形態では、ETF株式を生成する前に様々な資産をオークションに出すことができる。いくつかの実施形態では、ETF認可プロバイダは、オークションおよび/またはトークン化プロセスに参加することを要求されることがあり、これにより、証券の貸し手(例えば証券保管機関)は、原資産をオークションに入れ、および/またはショートトークン要素を生成し、したがって、ETF株式を生成するために必要な原資産がETFプロバイダに利用可能であることを保証している。ETF株式を貸し出している証券貸し手とETF株式を空売りしたい空売り筋との間で、第2のオークションプロセスが行われる可能性がある。
【0023】
[0032]本明細書で紹介する技術は、専用ハードウェア(例えば、回路)として、ソフトウェアおよび/またはファームウェアで適切にプログラムされたプログラム可能回路として、または専用回路とプログラム可能回路の組み合わせとして実施することができる。したがって、実施形態は、コンピュータ(または他の電子デバイス)がプロセスを実行するようにプログラムするために使用され得る命令を記憶したマシン可読媒体を含み得る。マシン可読媒体は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスケット、光ディスク、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD−ROM)、光磁気ディスク、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EEPROM)、磁気または光カード、フラッシュメモリ、または電子命令を格納するのに適した他のタイプの媒体/マシン読取可能媒体を含み得る。
【0024】
[0033]図1は、本開示のいくつかの実施形態が使用され得るネットワークベースの動作環境100の一例を示す図である。図1に示すように、動作環境100は、1つまたは複数のコンピューティングデバイス110A〜110M(例えば、携帯デバイス、携帯電話、タブレットコンピュータ、携帯メディアデバイス、携帯ゲームデバイス、車両ベースコンピュータ、専用端末、公衆端末、デスクトップ、またはラップトップコンピュータ、キオスク)で動作するアプリケーション105A〜105Nを含む。いくつかの実施形態では、事前借り入れの株式に対する買い注文および空売り注文の生成などの業務を実行するためのアプリケーション105A〜105Nは、コンピューティングデバイスに格納されてもよく、リモートに格納されてもよい。これらのコンピューティングデバイスは、ネットワーク120を介して暗号証券プラットフォーム125、金融機関115、およびETFプロバイダ145に接続することによって、トラフィックを受信および送信するためのメカニズムを含むことができる。
【0025】
[0034]コンピューティングデバイス110A〜110Mは、ネットワーク120を介して、金融機関115および暗号証券プラットフォーム125と通信するように構成される。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス110A〜110Mは、暗号証券プラットフォーム125に対して情報を検索または提出し、暗号証券プラットフォーム125および金融機関115によって取り出されたカスタマイズされたコンテンツで1つまたは複数のアプリケーションを実行することができる。例えば、コンピューティングデバイス110A〜110Mは、それぞれ、コンピューティングデバイス110A〜110Mと暗号証券プラットフォーム125および金融機関115との間の相互作用を可能にするために、ブラウザアプリケーションまたはカスタマイズされたクライアントを実行することができる。
【0026】
[0035]コンピューティングデバイス110A〜110Mのユーザは、自分のアカウントまたは顧客の代理として資産(例えば、証券、ミューチュアルファンド株式、コモディティ)を取引するビジネスに携わるエンティティ(すなわち、自然人、企業または他の組織)を含むことができる。コンピューティングデバイス110A〜110Mは、ネットワーク120を介して暗号証券プラットフォーム125に注文を通信することができる。コンピューティングデバイス110A〜110Mを介して送信された注文は、金融情報交換(Financial Information eXchange:「FIX」)プロトコルまたは他の既知のプロトコルおよび/またはフォーマットを使用することができる。
【0027】
[0036]金融機関115は、その支配下に証券の株式を有する(例えば、金融機関115は、金融機関115に保管されている資産を所有する顧客を有することができる)1つまたは複数の金融機関である。好ましくは、金融機関115は、多くの(すなわち、何百万もの)株式およびその他の証券を所有している多くの(すなわち、何百万もの)顧客を有する機関である(例えば、中国工商銀行(「ICBC」))。いくつかの実施形態では、金融機関115は、年金および退職金計画および養老資金の証券保管機関として役に立つ。証券保管機関としての役割において、金融機関115は、空売りのために証券を借り入れる権利を1つまたは複数の投資家に貸し出して顧客に資金を提供することができる。いくつかの実施形態では、金融機関115は、ネットワーク120および130を介してETFプロバイダ145および暗号証券プラットフォーム125と相互作用して、1つまたは複数のETFを生成するために使用される証券またはその他の金融商品を貸し出しまたは売却する。
【0028】
[0037]暗号証券プラットフォーム125は、ネットワーク130を介して1つまたは複数の代替取引システム(「ATS」)135、暗号元帳140、およびETFプロバイダ145と通信可能に結合される。暗号証券プラットフォーム125は、1つまたは複数のサーバ上で実行することができ、分散された元帳に株式の所有権を確立し記録するデジタルレジストリに証券を登録するために使用することができる。株式の所有権および所有権の変更を記録することにより、トレーダーは裸の空売り筋であるトレーダーのリスクなし空売りを行うことが可能になる。いくつかの実施形態では、図2に図示され導入されるように、暗号証券プラットフォーム125は、登録モジュール215、ショートトークン要素ト220、ルーティングシステム225、およびマーケットパブリッシャ230を含む。
【0029】
[0038]ネットワーク120およびネットワーク130は、同じネットワークであってもよく、別々のネットワークであってもよく、有線および/または無線通信システムを使用したローカルエリアネットワークおよび/またはワイドエリアネットワークの任意の組み合わせであってもよい。ネットワーク120またはネットワーク130のいずれかは、イーサネット、IEEE802.11またはWi−Fi、ワイマックス(WiMAX)、セルラー通信(例えば3G、4G、5G)、CDMA、ケーブル、デジタル加入者回線(DSL)など任意のプロトコル/技術であるかまたは任意のプロトコル/技術を使用することができる。同様に、ネットワーク120およびネットワーク130で使用されるネットワークプロトコルは、マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、ハイパーテキストトランスポートプロトコル(HTTP)、簡易メール転送プロトコル(SMTP)およびファイル転送プロトコル(FTP)を含み得る。ネットワーク120およびネットワーク130を介して交換されるデータは、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)または拡張可能マークアップ言語(XML)を含む技術、言語および/またはフォーマットを使用して表すことができる。また、一部またはすべてのリンクは、セキュアソケットレイヤ(SSL)、トランスポートレイヤセキュリティ(TLS)、インターネットプロトコルセキュリティ(IPsec)などの従来の暗号化技術を使用して暗号化することができる。
【0030】
[0039]ETFプロバイダ145は、新しいETF株式を生成することができる。新しいETF株式は、裸の空売りまたはその他の市場要因によって生じるETF株式の不足のために作成され得る。いくつかの実施形態では、ETFプロバイダ145は、ETF株式を償還することもできる。ETFプロバイダ145は、プライムブローカーを通じて金融機関115(または他の証券保管機関)からETFの原株式(underlying shares)を受け取り、ETF株式を作成し、投資家によって事前借り入れされるETF株式をプライムブローカーに戻すことができる。いくつかの実施形態では、ショートトークンプロセスを使用して、ETFの原株式が追加のETF株式を生成するために利用可能であることを確実にすることができる。ショートトークンプロセスは、空売り筋が実際のETF株式を空売りしている場合にも使用され得る。
【0031】
[0040]ATS135は、買い手と売り手とをマッチングすることによって取引のための利害関係者を見つける非交換取引システムである。ATS135は、従来の証券取引所の代わりとなるものである。ATS135の例は、電子通信ネットワーク(ECN)、クロッシングネットワーク、ダークプール、およびコールマーケットを含む。ATS135は、暗号証券プラットフォーム125からオークションのために事前借り入れの株式の株式数と価格を受け取り、コンピューティングデバイス110A〜110Mを使用して顧客からの事前借り入れの注文を受信することによりオークションを開催し、金融機関115に事前借り入れを知らせ、株式を借りるために買い/売り注文をマッチングし(例えば、ショートトークンによる入札)、注文を実行し、注文の状態を記録する注文簿の状態をメンテナンスする。いくつかの実施形態では、ATS135はETFプロバイダとして機能することができ、他の実施形態では、ATSはETFプロバイダとは分離している。ATS135はまた、典型的な資産が取引され得るのと同じようにショートトークンが取引されることを可能にすることによって、事前借り入れの株式についてのセカンダリ市場を創出する。ショートトークンの任意の量またはサブセット量を再取引することができる。いくつかの実施形態では、最小取引単位が確立され得る(例えば、100株)。ATS135での活動(例えば、オークション、取引、事前借り入れ、実行)は、暗号元帳(Crypto Ledger(s))140に記録される。
【0032】
[0041]暗号元帳140は、空売りのための株式の事前借り入れ、空売り、および株式の販売権のセカンダリセールなどの経済取引を記録する。いくつかの実施形態では、最初の価格設定でオークションにかけられた株式は、最終的に入札者に貸し出されるかどうかにかかわらず、元帳に記録される。暗号元帳140は、単位ごとに異なる。例えば、Bitcoinはブロックチェーンと呼ばれる分散した公的元帳を使用する。暗号元帳140が暗号証券プラットフォーム125から適切な鍵で署名された取引を受信し、取引がネットワークノードによって認証されると、暗号元帳140は、取引を記録する(例えばブロックチェーンを元帳に追加する)ことによって資産を適切なアドレスに移動する。
【0033】
[0042]さまざまなデータストアを使用して、デジタル証券、ユーザ情報、およびその他のデータの記憶およびアクセスを管理することができる。データストアは、暗号元帳140などの分散データストアであってもよい。データストアは、データベーススキーマで定義されたクラスを使用してモデル化された統合オブジェクトのセットのデータリポジトリであってもよい。データストアは、データを格納することができるフラットファイルをさらに含んでいてもよい。暗号証券プラットフォーム125および/または他のサーバは、データストアからデータを収集および/またはデータストアにアクセスすることができる。
【0034】
[0043]図2は、本開示の1つまたは複数の実施形態による暗号証券プラットフォーム125内の要素のセットを示す図である。図2に示す実施形態によれば、暗号証券プラットフォームは、メモリ205、1つまたは複数のプロセッサ210、登録モジュール215、ショートトークン要素220、ルーティングシステム225、およびマーケットパブリッシャ230を含むことができる。他の実施形態は、他のモジュール、アプリケーション、および/または要素と共に、これらのモジュールおよび要素のいくつか、全てを含んでもよいし、またはこれらのモジュールを含まなくてもよい。さらに、いくつかの実施形態は、これらのモジュールおよび要素の2つ以上を単一のモジュールに組み込むこと、および/またはこれらのモジュールのうちの1つまたは複数の機能の一部を異なるモジュールに関連付けることができる。例えば、一実施形態では、ショートトークン要素220およびルーティングシステム225を単一の要素に結合することができる。
【0035】
[0044]メモリ205は、情報を格納するために使用される任意のデバイス、機構、またはポピュレートされたデータ構造とすることができる。本開示のいくつかの実施形態によれば、メモリ205は、例えば、任意のタイプの揮発性メモリ、不揮発性メモリ、および動的メモリであるか、またはそれらを含むことができる。例えば、メモリ205は、ランダムアクセスメモリ、メモリ記憶デバイス、光記憶デバイス、磁気媒体、フロッピーディスク、磁気テープ、ハードドライブ、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、コンパクトディスク、DVD、および/または同様のものであり得る。いくつかの実施形態によれば、メモリ205は、1つまたは複数のディスクドライブ、フラッシュドライブ、1つまたは複数のデータベース、1つまたは複数のテーブル、1つまたは複数のファイル、ローカルキャッシュメモリ、プロセッサキャッシュメモリ、リレーショナルデータベース、フラットデータベース、および/または同様のものを含み得る。さらに、当業者であれば、メモリ205として使用することができる情報を記憶するための多くの追加のデバイスおよび技術を理解するであろう。
【0036】
[0045]メモリ205は、1つまたは複数のアプリケーションまたはモジュールをプロセッサ210で実行するための命令を格納するために使用され得る。例えば、メモリ205は、登録モジュール215、ショートトークン要素220、ルーティングシステム225、および/またはマーケットパブリッシャ230の機能を実行するために必要な命令のすべてまたは一部を格納するために、1つまたは複数の実施形態で使用することができる。
【0037】
[0046]登録モジュール215は、株式の所有権のデジタル記録(すなわちレジストリ)を生成する。例えば、養老資金または退職基金は、資産の所有権を分散元帳に記録することを選択し、所有権を確認する追加の方法を提供することができる。株式の所有権(または所有権に関連する権利)が移転すると、取引はデジタル元帳に記録され得る。登録モジュール215は、株式が購入、売却、または貸し出された価格を記録することもできる。所有権および価格を示すことにより、証券の株主は、証券保管機関が信託業務をいかにうまく履行しているかを容易に評価することができる(例えば、証券保管機関がショートトークンを販売している場合)。
【0038】
[0047]ショートトークン要素220は、オークションに関する情報を収集し、ショートトークンをマスタデジタルアカウントに発行することができる。特に、ショートトークン要素220は、金融機関が所有し管理しており金融機関が空売りのための事前借り入れに利用可能であると考える株式を含む情報(例えば、ファイル)を金融機関(例えば、金融機関115)に要求することができる。ショートトークン要素220はまた、株式を借りる権利の価格を提供する。この手数料は株式の所有者に支払われる。いくつかの実施形態では、レジストリをメンテナンスし、オークションを手配し、トレーダーと通信し、ショートトークンを発行するためのソフトウェアの使用について追加の料金を査定することができる。したがって、ベースライン価格(すなわち、すべてのステークホルダーに支払われた手数料を含む最低手数料)が、株式を借りる権利について確立される。いくつかの実施形態では、オークション情報(すなわち、株式および価格)は取引日の終わりに要求され、市場が翌日に再び開き、オークションが夜間オークションになるまで良好な状態を維持する。金融機関は、ショートトークン要素220に情報(例えば、在庫ファイル)を提供することができる。
【0039】
[0048]その後、ショートトークン要素220は、オークションの価格を生成してATS135に記入することができる。オークション中に、トレーダーは証券を借りるための手数料の額を入札する。手数料は、特定の株式を空売りし、決済日にその株式を引き渡すという独占的な約束をするという軽減されない権利に対して支払うものである。最高入札者(すなわち、最も高い手数料を支払うことを望む入札者)が入札を獲得する。いくつかの実施形態では、オークションはダッチオークションである。ダッチオークションの間、株式は、単位(例えば100株の10単位で利用可能な100,000の合計株式)に分割され値付け(例えば、各単位に対して120ドル)されてATS135に記入される。10人の入札者が120ドル/単価で入札し、他には誰も入札しない場合、10人の入札者はその株式を売却する権利を購入する。オークションが終了する前に別の入札者がより高い入札価格(例えば130ドル/単位)を設定した場合、より高い金額を入札した入札者は入札者が入札した数の単位を獲得することになる。いくつかの実施形態では、入札は分散元帳に記録される。
【0040】
[0049]株式の事前借り入れに対する関心の示唆をATS135が受信した後、登録されたブローカーディーラーにおけるショートトークン要素220に関連付けられた口座の保管に株式の対応する物理量が受信される。この転送は、分散元帳に記録される。ショートトークン要素220に関連付けられた口座の保管に株式の物理量が受信されると、ショートトークン要素220は、分散された元帳に記録された暗号化されたデジタル表現であるショートトークンを発行する。ショートトークンは、貸し付けに利用可能な株式のポジション、ショートトークンの入札価格(すなわち、株式の事前借り入れを落札した入札額)、および株式の貸し手の身元(すなわち、証券保管機関および/または株主)を特定することができる。
【0041】
[0050]ショートトークンは、預託トラストコントロール(「DTC」)適格株式の保管場所および管理によって認証される。認証の実証的証拠は、預託トラストコントロールメンバーの金融業規制機構(「FINRA」)会社が対応する物理量の株式を特定し、株式の保管場所をショートトークン要素に関連付けられた口座に転送するという事実によって提供される。したがって、ショートトークンは、貸し手によって明確に利用可能にされた株式を特定し、証券を空売りするときに引き渡しが失敗するリスクを排除しながらこれらの株式に対して空売りする権利を割り当てる。ショートトークンが入札と一致すると、ショートトークンは、入札者に関連付けられたレジストリ/口座/ウォレットに暗号的に署名される。
【0042】
[0051]いくつかの実施形態では、ショートトークン要素220は、ETF株式の原証券(underlying securities)に対して1つまたは複数のショートトークンを発行することができる。このような場合には、証券の貸し手(例えば、証券保管機関/金融機関)が原資産をオークションにかけた後、ショートトークン要素220は、ETFプロバイダにショートトークンを発行して、ETF株式の生成に必要な原資産がETFプロバイダに利用可能であることを保証する。いくつかの実施形態では、オークションプロセスなしでショートトークンが発行されてもよい。
【0043】
[0052]ショートトークンは、ショートトークン要素220に関連付けられたアドレス指定された口座(例えば、デジタルウォレット)に格納されてもよい。デジタルウォレットは、秘密鍵および公開鍵を有する鍵ペアを有することができる。鍵ペアの2つの部分は数学的にリンクされる。鍵ペアの公開鍵は、セキュリティを損なうことなく公開され得るが、鍵ペアの秘密鍵は、メッセージの読み出しまたはデジタル署名の実行を承認されていない人に公開してはならない。
【0044】
[0053]いくつかの実施形態では、ショートトークン要素220内に追加のウォレットを生成することができる。例えば、特定のトレーダー、ブローカートレーダー、または金融機関は、デジタルウォレットに関連付けられた特定のウォレットを有することができる。これらの特定の財布にショートトークンが預けられ、その株式が特定の人物または特定の空売りに割り当てられていることを示す。ショートトークン要素220は、異なる公開元帳のための鍵を含むことができ、それによって顧客、金融機関またはブローカーディーラーごとに1つのマスター口座を提供することができる。ショートトークンが発行された後、ショートトークン要素220は、最終オークション価格をATS135に通信する。
【0045】
[0054]ルーティングシステム225は、顧客のコンピューティングデバイスとATS135との間のインターフェースを提供し、顧客がATS135上で株式の事前借り入れの入札を行い、ショートトークンを購入および販売することを可能にする。顧客は、ルーティングシステム225を使用して、ショートトークンと買い/売り注文を見ることができる。さらに、ショートトークンが発行され、顧客に関連付けられる(例えば、顧客のデジタルウォレットに配置される)と、マーケットパブリッシャ230によって取引が公開され、顧客はショートトークン(またはショートトークンの一部)をATS135上でルーティングシステム225を介して売買することができる。ショートトークンの一部のみがセカンダリ市場で販売される場合、転送される証券の部分を示す新しいトークンが生成されてもよい。
【0046】
[0055]いくつかの実施形態では、ルーティングシステム225は、金融機関または他の証券保管機関からETFの原証券を受信し、原証券をETFプロバイダ145に提供することによって、ETFプロバイダ145のプライムブローカーまたは承認された参加者として機能する。ETFプロバイダ145がETF株式を生成した後、ETFプロバイダ145は、その株式をルーティングシステム225に提供することができる。
【0047】
[0056]マーケットパブリッシャ230は、ショートトークンが株式の事前借り入れの注文とマッチングすると、ATS135からドロップコピーマーケットデータを受け取ることができる。一般に、ATSは証券取引データを公表することはできない。したがって、オークションが完了し、ショートトークンが入札とマッチングすると、(例えば、ショートトークンの入札価格および株式の事前借り入れの識別情報を含む)ショートトークン取引は、マーケットパブリッシャ145に公開される。マーケットパブリッシャ145は、金融機関、ブローカーディーラー、およびその他にデータを公開することにより、トレーダーは借り入れ株式が特定の口座に配分された(つまり、裸の空売りはない)ことを知ることができ、さらに流動性の追加取引が可能になる。
【0048】
[0057]図3は、ETFの空売りのための生成から貸し出しまでのプロセスの概要を示す図である。標準的な(すなわち、非ETF)空売り取引では、空売り筋(302)は、空売りするための証券、コモディティ、通貨または他の資産を借りるためにプライムブローカー(例えば、ルーティングシステム)(304)にアプローチする。プライムブローカー(304)は、担保および手数料と引き換えに貸し手(例えば、機関投資家)(306)から証券を取得する。手数料は空売り筋(302)に渡すことができる。ETFが空売りされる場合、ETFが供給不足のために借りることが困難になることを除けば、プロセスは同様である。しかし、他の証券とは異なり、ETFは原資産が利用可能である限り生成することが可能である。したがって、より多くのETF株式が必要とされる場合、プライムブローカーは原証券を借りてETFプロバイダ(308)に渡すことができる。ETFプロバイダは、新しいETF株式を生成することができ、その後、空売り筋(302)に付与することができる。
【0049】
[0058]図4は、空売りのための株式の貸し出しおよび借り入れの価格設定をする際、および、空売りのための株式の貸し出しおよび借り入れをデジタルレジストリに記録する際に用いられる要素の相互作用を示す図である。証券保管機関(408)に保有されている証券の株主(例えば、顧客1(402)、顧客2(404)、および顧客3(406))が、証券の所有権を分散元帳(例えば暗号元帳(410))に登録していると仮定する。ショートトークン要素(412)は、証券保管機関(408)からオークションに利用可能な在庫および在庫内の証券を借りる権利に関する価格設定を受信する。ショートトークン要素(412)は、価格設定および在庫をATS(414)に通信する。ルーティングシステム(422)を介して、トレーダー(例えば、トレーダー1(416)、トレーダー2(418)、トレーダー3(420))は、オークションを閲覧して株式を借りる権利に入札することができる。ATS(414)は、落札者および落札者が株式を借りる権利に支払う価格を、ルーティングシステム(422)を介してまたは直接的に証券保管機関(408)に通信する。証券保管機関(408)は、ショートトークン要素(412)に関連付けられたデジタルレジストリに株式の保管を配置する。次いで、ショートトークン要素(412)は、有償で事前借り入れされた株式を表すショートトークンを発行する。ATS(414)は、ショートトークンとトレーダーの入札とをマッチングさせる。この取引の間、ショートトークンは、トレーダーの(またはトレーダーの会社の)デジタルレジストリに暗号的に署名される。この取引はマーケットパブリッシャ(424)によって公開され、他のトレーダーはショートトークンにさらに申し込みを行うことができる。
【0050】
[0059]ETFを含むいくつかの実施形態では、空売りをカバーするためまたは単にETF株式の需要を満たすために追加のETF株式が必要とされる。追加のETF株式を生成するために(例えば、証券保管機関(408)を介した顧客要求に応答して)、ETFプロバイダ(426)は、プライムブローカーまたはETFについて承認された参加者として機能することができるルーティングシステム(422)に原株式を要求することができる。その後、ルーティングシステム(422)は、証券保管機関(408)に原株式を要求し、原株式を受け取った後、ルーティングシステム(422)は、原株式をETFプロバイダ(426)に提供することができる。ETFプロバイダ(426)は、ETF株式を原株式から生成することができる。その後、証券保管機関(408)は、空売り、売却または保有することができるこれらの株式を顧客に提供することができる。
【0051】
[0060]いくつかの実施形態では、証券保管機関(408)は、ETFプロバイダ(426)がETFの原資産に入札するオークションを開催することができ、ETFを生成する前に原資産についてショートトークンが生成される。いくつかの実施形態では、オークションは開催されないが、ETFの原資産のためにショートトークンが作成され、原資産がETF生成のために実際に利用可能であることを保証する。
【0052】
[0061]図5は、暗号証券プラットフォームの観点からのショートトークンプロセスのフローチャート500である。いくつかの実施形態では、すべての動作が実行されるわけではなく、他の実施形態では追加の動作が実行される。さらに、いくつかの実施形態では、動作は、異なる順序でまたは並行して実行されてもよい。この動作は、メモリ205、プロセッサ210、登録モジュール215、ショートトークン要素220、ルーティングシステム225、およびマーケットパブリッシャ230のような図2の様々な要素によって実行することができる。
【0053】
[0062]受信動作502は、事前借り入れに利用可能な証券の在庫を受信する。このような在庫は、金融機関などの様々なエンティティによって受信することができる。いくつかの実施形態では、在庫は定期的に(例えば毎晩)受信される。承認動作504は、オークションで証券を事前借り入れする権利の募集を承認する。オークションは定期的に(例えば夜間に)行われてもよい。承認動作504はさらに、入札を開始することができるベースライン価格(例えば、事前借り入れの権利のために証券所有者に支払うべき手数料、およびシステムを使用するためのソフトウェアプロバイダおよび/またはATSに支払うべき手数料)および数量を提供することができる。オークションが行われた後、落札された証券は、受信オペレーション506において、証券の所有者または株主の銀行口座から、トークン発生器に関連付けられた第1のアドレス指定された口座に受信される。証券は、(例えば、銀行および/または所有者のアドレス指定された口座の秘密鍵を使用して)暗号署名することができ、その取引は分散元帳に記録することができる。
【0054】
[0063]証券が第1のアドレス指定された口座に関連付けられると、システムは、生成動作508において1つまたは複数の借り入れパラメータを示すトークンを生成する。借り入れパラメータは、入札者に落札された1つまたは複数の証券の識別情報、1つまたは複数の証券を事前借り入れするための入札額、および1つまたは複数の証券の所有者または株主を含み得る。いくつかの実装形態では、システムは、分散元帳から、1つまたは複数の証券がトークンを生成する前に第1のアドレス指定された口座に関連付けられているという確認を受信することができる。トークンが生成された後、トークンは、転送動作510において落札者に関連付けられた第2のアドレス指定された口座に暗号的にまたは安全に転送され得る。取引は、第1のアドレス指定された口座の秘密鍵で暗号署名され、取引は記録のために分散元帳に通信され得る。いくつかの実施形態では、最終的なオークション価格は、セカンダリ市場におけるトークンの再販の承認とともに、代替取引システムに提供され得る。
【0055】
[0064]図6は、本開示の1つまたは複数の実施形態によるATS(例えば、ATS135)の観点からのフローチャート600である。いくつかの実施形態では、すべての動作が実行されるわけではなく、他の実施形態では追加の動作が実行される。さらに、いくつかの実施形態では、動作は、異なる順序でまたは並行して実行されてもよい。
【0056】
[0065]受信動作602は、事前借り入れに利用可能な証券の示唆を受信する。開催動作604は、株式を事前借り入れする権利を競売するオークションを開催する。システムは、証券をオークションするためのベースライン価格および/または数量を受信することができる。オークションは、1つまたは複数の証券を事前借り入れする権利の入札を受信し、落札者を決定することを含み得る。マッチング動作606は、入札を、入札に関連付けられた証券、証券の所有者または株主、および証券を事前借り入れする権利の入札価格を特定するトークンとマッチングする。トークンは、第1のアドレス指定された口座に関連付けられ得る。いくつかの実施形態では、入札をマッチングする前に、システムは、分散された元帳から、トークンが第1のアドレス指定された口座に関連付けられているという確認を受信する。
【0057】
[0066]送信動作608は、落札者に関連付けられた第2のアドレス指定された口座にトークンを安全に転送する(例えば、第1のアドレス指定された口座の秘密鍵を使用して暗号署名する)要求を(例えばコンピュータシステムに)送信し、記録のために分散元帳に通信することができる。いくつかの実施形態では、売り手は、セカンダリ市場でトークンを販売することを選択することができる。受信動作610は、トークンを購入するための買い注文を受信する。その後、マッチング動作612において、買い注文は、落札者の売り注文とマッチングする。実行動作614は、買い手と落札者との間の取引を実行する。次に、トークンは、第2のアドレス指定された口座から、買い手に関連付けられた第3のアドレス指定された口座に安全に転送され得る。買い手は、トークン(またはトークンの一部)を販売することを選択することができ、トークンは、第3のアドレス指定された口座から第4のアドレス指定された口座に転送される。各取引は、分散元帳に記録され得る。
【0058】
[0067]図7、8は、分散元帳を介してデジタルレジストリを生成し、空売りのための株式の貸し出しおよび借り入れの価格設定を行い、デジタルレジストリに空売りのための株式の貸し出しおよび借り入れを記録するプロセスを示す図である。図7の始めで、金融機関の顧客が所有する株式は、株式の所有権の表示とともにデジタルレジストリ(702)に記録される。ショートトークン要素(例えば、ショートトークン要素220)は、事前借り入れに利用可能な証券に関するデータ(例えば、種類、数量)および証券を貸し出す価格を金融機関(例えば、金融機関115)に要求する(704)。金融機関は、在庫情報を提供する(706)。例えば、金融機関は、金融機関が空売り筋に10,000株を0.20ドル/株で事前借り入れすることを許可することを示すことができる。ショートトークン要素は、この情報を使用して、(例えば、オークションを作成しショートトークンを発行するための)ソフトウェアを提供するために0.10ドル/株の手数料などの追加手数料を追加する。したがって、10,000株の空売りのために株式を事前借り入れする費用は3,000ドルになり得る。情報を受信した後、ショートトークン要素は、株式および株式を借り入れするためのベースライン価格を記入する(708)。
【0059】
[0068]次に、株式を事前借り入れする権利が落札されるATS(例えば、ATS135)においてオークションが開催される(710)。空売り筋(すなわち、顧客)、エンティティ、投資家、およびその他は、ルーティングシステム(例えば、ルーティングシステム225)を介して、オークションの公示価格および株式を閲覧することができる。顧客は、入札(712)を行うことができ、入札は注文を介してATSにルーティングされる(714)。オークションが開催された後(710)、ATSは落札を金融機関に通信する(716)。例えば、10,000株の事前借り入れの価格が3,000ドルであり、空売り筋がこの料金を支払うことに同意する場合、そのような情報は金融機関に通信される。
【0060】
[0069]金融機関が入札に同意する(すなわち、入札が金融機関をクリアする)と仮定すると(718)、金融機関は、物理的に事前借り入れされた株式を、ショートトークン要素に関連付けられたアドレス指定された(すなわちデジタルの)口座に関連付けるまたは配置する(720)。取引は、分散元帳に記録される。元帳への転送を記録することは、所有権を金融機関(またはそのクライアント)からショートトークン要素に関連付けられたアドレス指定された口座へ(例えば、鍵のペアを使用して)暗号署名することによって行うことができる。ショートトークン要素は、デジタル元帳をチェックすることによって、株式がアドレス指定された口座に転送されたことを確認することができる(722)。株式がショートトークン要素に関連付けられたアドレス指定された口座に関連付けられていることを確認した後、ショートトークン要素は、空売りの決済日に提供され顧客の口座に入金され得る事前借り入れされた株式をデジタルで表すショートトークンを発行する(724)。ショートトークン要素は、ショートトークンにおける料金明細(例えば、株式の事前借り入れに支払った金額、追加料金の金額、事前借り入れの株式の所有者の識別情報)をさらに含むことができる。ショートトークン要素は、分散元帳と通信して、分散元帳に記録されたショートトークンの存在および所有権を有することができる。ショートトークンをデジタル元帳に記録することにより、ショートトークン要素は、事前借り入れに関連付けられた料金を含めて、株式が事前借り入れされたことを記録する。ATSは、情報を確認するために分散元帳をチェックすることができる。ATSは、ショートトークン要素または分散元帳を介して最終オークション価格の報告を受信することができる(726)。
【0061】
[0070]引き続き図8を参照すると、ATSは、空売り筋の入札をショートトークンとマッチングする(802)。マッチングの後、ショートトークンは、ショートトークン要素に関連付けられたアドレス指定された口座から、空売り筋に関連付けられたアドレス指定された口座に転送される(804)。これは、ショートトークン要素に関連付けられたアドレス指定された口座の秘密鍵および顧客の公開アドレスを使用してショートトークン要素が取引に暗号署名することによって行うことができる。したがって、転送の後、ショートトークンは、空売り筋のアドレス指定された口座に関連付けられる(806)。転送取引は、デジタル元帳に記録される。
【0062】
[0071]マーケットパブリッシャ(例えば、マーケットパブリッシャ230)も、事前借り入れされた株式および株式の事前借り入れに支払った価格を識別するショートトークンを含む取引に関するデータをATS(またはショートトークン要素)から受信し(808)、このデータを市場に公開する(810)。この市場データは、ルーティングシステムを介して空売り筋および他者に利用可能になってもよく、空売り筋がショートトークンを取引できるように双方向市場を確立する(812)。したがって、空売り筋が証券を事前借り入れする権利を売却したい場合(または他人の事前借り入れする権利を借り入れる場合)、空売り筋はATSを介してショートトークンの取引を承認することができる。効果的に、ATSはショートトークンを市場で再販できるようにする。ショートトークンは、空売りが実行されるまで何度も再販売され、株式を事前借り入れする権利を誰が有するかを文書化するために、各取引はデジタル元帳に記録される。
【0063】
[0072]例えば、空売り筋が3,000ドルを支払って10,000株の株式を空売りし、プロセスにおいて5,000ドル(利益で2,000ドル)を手にした場合、空売り筋は、事前借り入れの株式を売却して取引費用の一部を回収することを希望する場合がある。別の空売り筋は、第2の空売り筋が株式のさらなる暴落の可能性があると考えているため、事前借り入れの株式を売却する権利を1,000ドルで購入し得る。これにより、最初の空売り筋は、2,000ドルのみではなく、3,000ドルの利益を獲得することができる。
【0064】
[0073]図8に示すように、入札者は、速度ルータ(818)を介してトークンを購入する注文(816)を含む市場データをATSから受信する(814)ことができる。あるいは、入札者は、速度ルータ(818)を介してATS(816)にトークンを売却するための注文を送ることができる。ATSが買い注文または売り注文を受信し、その注文を第2の注文とマッチングさせる(820)と、ATSは注文を実行する(822)。
【0065】
[0074]図9は、暗号証券プラットフォームの観点からのショートトークンプロセスのフローチャート900である。いくつかの実施形態では、すべての動作が実行されるわけではなく、他の実施形態では追加の動作が実行される。さらに、いくつかの実施形態では、動作は、異なる順序でまたは並行して実行されてもよい。この動作は、メモリ205、プロセッサ210、登録モジュール215、ショートトークン要素220、ルーティングシステム225、およびマーケットパブリッシャ230のような図2の様々な要素によって実行することができる。
【0066】
[0075]受信動作902は、空売りが実行される前に、オークションに利用可能な証券および証券を事前借り入れするための価格の示唆を受信する。送信動作904は、オークションを開催するために、オークションに利用可能な証券および証券を事前借り入れするための価格の示唆をATS(例えば、ATS135)に送信する。受信動作906は、事前借り入れの証券の入札を顧客から受信し、その入札をATSに送る。発行動作908は、ATSが金融機関(例えば、金融機関115)に入札を通知し、金融機関が特に空売りのために設定されたデジタル口座に物理的かつ暗号的にその証券を署名した後に、事前借り入れの証券を表すショートトークンを発行する。ショートトークンが発行されると、報告動作910において、最終的なオークション価格がATSに報告される。
【0067】
[0076]事前借り入れの注文がATS上のショートトークンとマッチングした後、市場データは、ATSから受信されて公開され、ショートトークンが公開動作912において公開される。送信動作914は、ショートトークンを取引するための注文が受信された場合、ショートトークンを取引するための注文をATSに送信する。受信動作916は、追加の取引がATS上で実行された場合、更新された市場データを受信する。
【0068】
[0077]図10は、本開示の1つまたは複数の実施形態によるATS(例えば、ATS135)の観点からのフローチャート1000である。いくつかの実施形態では、すべての動作が実行されるわけではなく、他の実施形態では追加の動作が実行される。さらに、いくつかの実施形態では、動作は、異なる順序でまたは並行して実行されてもよい。
【0069】
[0078]受信動作1002は、買い手に提供する責任を負う株式を割り当てることを望む空売り筋に提示される、事前借り入れ証券のオークションに対する価格を受信する。開催動作1004は、顧客から入札を受信した事前借り入れの証券のオークションを開催する。報告動作1006は、株式を事前借り入れする権利を提供する金融機関(例えば、金融機関115)に入札を報告する。別の空売り筋の義務を履行するために株式が割り当てられないように、事前借り入れ株式がデジタル口座に暗号的に割り当てられた後、ATSは、受信動作1008において事前借り入れ株式に関連付けられた最終価格を受信する。マッチング動作1010は、空売りのための顧客の注文と買い手とをマッチングする。生成動作1012は、ショートトークンが再取引されることを可能にする市場を生成する。受信動作1014は、ショートトークンを売買する顧客からの買いまたは売りの注文を受信する。実行動作1016は、空売り注文を実行し、ショートトークンの現在の所有者から株式の買い手へ株式を暗号的に署名する。
【0070】
[0079]本技術の様々な実施形態を以下に説明する。
1.事前借り入れに利用可能な1つまたは複数の証券の在庫を受信するステップと、
代替取引システムによって管理されるオークションにおいて、1つまたは複数の証券を事前借り入れする権利の募集を承認するステップと、
入札者に落札された1つまたは複数の証券を、トークン発生器に関連付けられた第1のアドレス指定された口座に受信するステップと、
1つまたは複数の証券を第1のアドレス指定された口座に受信するステップに応答して、1つまたは複数の借り入れパラメータを示すトークンを生成するステップと、
代替取引システムからトークンが入札とマッチングしたことの通知を受信したら、取引を暗号署名して、入札者に関連付けられた第2のアドレス指定された口座にトークンを転送するステップと、
を含むコンピュータ化された方法。
2.取引を暗号署名してトークンを転送するステップは、第1のアドレス指定された口座の秘密鍵を用いて電子署名するステップを含み、コンピュータ化された方法は、1つまたは複数の証券を事前借り入れする権利のベースライン価格を生成するステップをさらに含み、ベースライン価格は、入札を開始できる価格である、
請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
3.ベースライン価格は、1つまたは複数の証券の所有者に支払われる料金を含み、コンピュータ化された方法は、1つまたは複数の証券が事前借り入れされたら、1つまたは複数の証券の所有者に料金を支払うステップをさらに含む、
請求項2に記載のコンピュータ化された方法。
4.1つまたは複数の借り入れパラメータは、入札者に落札された1つまたは複数の証券の識別情報、1つまたは複数の証券を事前借り入れするための入札額、および、1つまたは複数の証券の所有者または株主を含み、方法は、トークンおよびトークンの所有権を分散元帳に記録する要求を、分散元帳に送信するステップをさらに含む、
請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
5.取引を記録のために分散元帳に通信して、入札者に関連付けられた第2のアドレス指定された口座にトークンを転送するステップをさらに含む、
請求項4に記載のコンピュータ化された方法。
6.トークンを生成する前に、1つまたは複数の証券が第1のアドレス指定された口座に関連付けられているという確認を分散元帳から受信するステップをさらに含む、
請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
7.最終オークション価格を代替取引システムに通信するステップと、
セカンダリ市場におけるトークンの再販を承認するステップと、をさらに含む、
請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
8.1つまたは複数の証券は、上場投資信託の1つまたは複数の株式を生成するために使用される少なくとも2つの異なる証券を含む、
請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
9.1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、マシンに、
事前借り入れに利用可能な1つまたは複数の証券の在庫を受信するステップと、
代替取引システムによって管理されるオークションにおいて、1つまたは複数の証券を事前借り入れする権利の募集を承認するステップと、
入札者に落札された1つまたは複数の証券を、トークン発生器に関連付けられた第1のアドレス指定された口座に受信するステップと、
1つまたは複数の証券を第1のアドレス指定された口座に受信するステップに応答して、1つまたは複数の借り入れパラメータを示すトークンを生成するステップと、
代替取引システムからトークンが入札とマッチングしたことの通知を受信したら、取引を暗号署名して、入札者に関連付けられた第2のアドレス指定された口座にトークンを転送するステップと、
を実行させる命令セットを含む非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
10.1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、マシンに取引を暗号署名してトークンを転送するステップを実行させる命令セットは、マシンに、
第1のアドレス指定された口座の秘密鍵を用いて電子署名するステップと、
1つまたは複数の証券を事前借り入れする権利のベースライン価格を生成するステップと、をさらに実行させ、
ベースライン価格は、入札を開始できる価格である、
請求項9に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
11.ベースライン価格は、1つまたは複数の証券の所有者に支払われる料金を含み、命令セットは、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、マシンに、1つまたは複数の証券が事前借り入れされたら、1つまたは複数の証券の所有者に料金を支払うステップを実行させる、
請求項10に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
12.1つまたは複数の借り入れパラメータは、入札者に落札された1つまたは複数の証券の識別情報、1つまたは複数の証券を事前借り入れするための入札額、および、1つまたは複数の証券の所有者または株主を含み、命令セットは、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、マシンに、トークンおよびトークンの所有権を分散元帳に記録する要求を、分散元帳に送信するステップをさらに実行させる、
請求項9に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
13.命令セットは、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、マシンに、取引を分散元帳に通信して、入札者に関連付けられた第2のアドレス指定された口座にトークンを転送するステップをさらに実行させる、
請求項12に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
14.命令セットは、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、マシンに、トークンを生成する前に、1つまたは複数の証券が第1のアドレス指定された口座に関連付けられているという確認を分散元帳から受信するステップをさらに実行させる、
請求項9に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
15.命令セットは、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、マシンに、
最終オークション価格を代替取引システムに通信するステップと、
セカンダリ市場におけるトークンの再販を承認するステップと、をさらに実行させる、
請求項9に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
16.代替取引システムにおいて、オークションを通じて事前借り入れに利用可能な1つまたは複数の証券の示唆を受信するステップと、
代替取引システムでオークションを開催するステップと、
代替取引システムによって、1つまたは複数の証券、1つまたは複数の証券の所有者または株主、および、1つまたは複数の証券を事前借り入れする権利の入札価格、を識別するトークンを、入札とマッチングするステップであって、トークンは第1のアドレス指定された口座に関連付けられている、ステップと、
落札者に関連付けられた第2のアドレス指定された口座にトークンを暗号的に転送し、その転送を分散元帳に記録する要求をコンピュータシステムに送信するステップと、
を含むコンピュータ化された方法。
17.入札をマッチングする前に、分散された元帳から、トークンが第1のアドレス指定された口座に関連付けられているという確認を受信するステップをさらに含む、
請求項16に記載のコンピュータ化された方法。
18.代替取引システムでオークションを開催するステップは、1つまたは複数の証券を事前借り入れする権利の1つまたは複数の入札を受信するステップと、落札者と入札とをマッチングするステップと、を含む、
請求項16に記載のコンピュータ化された方法。
19.トークンを購入するための買い注文を買い手から受信し、トークンを売却するための売り注文を落札者から受信するステップと、
買い注文と売り注文とをマッチングするステップと、
買い手と落札者との間の取引を実行し、トークンを買い手に転送するステップであって、トークンは、落札者が取引に電子的に署名したら落札者から買い手に電子的に転送される、ステップと、をさらに含む、
請求項16に記載のコンピュータ化された方法。
20.記録のために取引を分散元帳へ通信するステップをさらに含む、
請求項16に記載のコンピュータ化された方法。
21.1つまたは複数の証券は、上場投資信託の1つまたは複数の株式を生成するために使用される少なくとも2つの異なる証券を含む、
請求項16に記載のコンピュータ化された方法。
22.1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、マシンに、
代替取引システムにおいて、オークションを通じて事前借り入れに利用可能な1つまたは複数の証券の示唆を受信するステップと、
代替取引システムでオークションを開催するステップと、
代替取引システムによって、1つまたは複数の証券、1つまたは複数の証券の所有者または株主、および、1つまたは複数の証券を事前借り入れする権利の入札価格、を識別するトークンを、入札とマッチングするステップであって、トークンは第1のアドレス指定された口座に関連付けられている、ステップと、
落札者に関連付けられた第2のアドレス指定された口座にトークンを暗号的に転送し、その転送を分散元帳に記録する要求をコンピュータシステムに送信するステップと、
トークンを購入するための買い注文を買い手から受信し、トークンを売却するための売り注文を落札者から受信するステップと、
買い注文と売り注文とをマッチングするステップと、
買い手と落札者との間の取引を実行し、トークンを買い手に転送するステップであって、トークンは、落札者が取引に電子的に署名したら落札者から買い手に電子的に転送される、ステップと、
を実行させる命令セットを含む非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
23.1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、マシンに、
上場投資信託の株式を生成する要求を受信するステップであって、上場投資信託は、少なくとも2つの異なる種類の証券を含む、ステップと、
代替取引システムによって管理されるオークションにおいて、少なくとも2つの異なる種類の証券を事前借り入れする権利の募集を承認するステップと、
入札者に落札された1つまたは複数の証券を、トークン発生器に関連付けられた第1のアドレス指定された口座に受信するステップと、
1つまたは複数の証券を第1のアドレス指定された口座に受信するステップに応答して、1つまたは複数の借り入れパラメータを示すトークンを生成するステップと、
代替取引システムからトークンが入札とマッチングしたことの通知を受信したら、取引を暗号署名して、入札者に関連付けられた第2のアドレス指定された口座にトークンを転送するステップと、
を実行させる命令セットを含む非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
コンピュータシステムの概観
[0080]本開示の実施形態は、以上に説明されてきた様々なステップおよび動作を含んでいる。様々なこれらのステップおよび動作は、ハードウェア要素によって実行されていてもよいし、または、機械実行可能命令に具現化され、命令をプログラムされた一般用途または特定用途のプロセッサにステップを実行させるのに使用されるようになっていてもよい。代わりに、それらのステップは、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアの組合せによって実行されるようになっていてもよい。ここで、図11は、本開示の実施形態を利用することのできるコンピュータシステム1100の一例を示す図である。この例において、コンピュータシステム1100は、インターコネクト1110、少なくとも1つのプロセッサ1020、少なくとも1つの通信ポート1030、主メモリ1140、取り外し可能な記憶媒体1050、読み出し専用メモリ1060、および大容量ストレージデバイス1170、を含む。
【0071】
[0081]プロセッサ1120は、任意の既知のプロセッサであってもよい。通信ポート1030は、例えば、モデムベースのダイアルアップ式接続に係る使用のためのRS−232ポート、10/100イーサネット(登録商標)ポート、または銅線又はファイバを使用するギガビットポートのうちの何れかであるか、またはこれらのうちの何れかを含むことができる。通信ポート1130の種類は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアワークネットワーク(WAN)、またはコンピュータシステム1000が接続している何れかのネットワークのような、ネットワークに依存して選定されていてもよい。
【0072】
[0082]主メモリ1140は、ランダムアクセスメモリ(RAM)または当技術で一般的に知られている何れかの他の動的ストレージデバイスとすることができる。読み出し専用メモリ1160は、プロセッサ1120のための命令のような静的情報を記憶するためのプログラム可能読み出し専用メモリ(PROM)チップのような、何れかの静的ストレージデバイスとすることができる。
【0073】
[0083]大容量ストレージデバイス1170は、情報および命令を記憶するのに使用することができる。例えば、Adaptec(登録商標)系のSCSIドライブのようなハードディスク、光ディスク、RAIDのようなディスクのアレイであってAdaptec系のRAIDドライブ、または何れかの他の大容量ストレージデバイス、が使用されてもよい。
【0074】
[0084]インターコネクト1110は、1つまたは複数のバス、ブリッジ、コントローラ、アダプタ、および/またはポイント間接続であるか、またはこれらを含んでいてもよい。インターコネクト1110は、プロセッサ1120を、他のメモリ、ストレージ、および通信のブロックと、通信可能に連結する。インターコネクト1110は、使用されるストレージデバイスに依存して、PCI/PCI−XベースまたはSCSIベースのシステムバスとすることができる。
【0075】
[0085]取り外し可能な記憶媒体1150は、外部ハードドライブ、フロッピードライブ、コンパクトディスク−読み出し専用メモリ(CD−ROM)、コンパクトディスク−書き込み可能(CD−RW)、デジタルビデオディスク−読み出し専用メモリ(DVD−ROM)の何れかの種類であってもよい。
【0076】
[0086]上述の要素は、候補のいくつかの種類を例示したものである。上記の例は、単に例示としての実施形態であることから、発明の範囲を一切限定するものではない。
用語法
[0087]本願全体を通して使用される用語、略語、および語句の簡単な定義を以下に示す。
【0077】
[0088]「接続されている」又は「連結されている」という用語および関連語は、動作上の意味で使用されており、必ずしも直接の物理的接続又は連結に限定されるわけではない。よって、例えば、2つのデバイスは、直接に連結されていることもあれば、1つまたは複数の中継の媒体又はデバイスを介して連結されていることもある。別の例として、デバイスは、何らの物理的接続も互いに共有していないにもかかわらず互いの間で情報を受け渡すことのできるやり方で連結されていることがある。ここに提供されている開示に基づき、当業者は、上記定義に則った接続または連結の様々な存在様式を認知するであろう。
【0078】
[0089]「いくつかの実施形態では」、「いくつかの実施形態によれば」、「示されている実施形態では」、「他の実施形態では」、「実施形態」など、の語句は、概して、当該語句の次にくる特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれている、および本開示の1つより多くの実施形態に含まれていることもあり得る、ということを意味する。加えて、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態をまたは異なった実施形態を指しているとは限らない。
【0079】
[0090]本明細書が、ある要素または特徴が、「含まれていることもある」、「含まれていてもよい」、「含まれ得る」、「含まれよう」、又はある特性を「有していることもある」、「有していてもよい」、「有し得る」、「有していよう」と記述している場合、当該特定の要素または特徴は、含まれていること又は当該特性を有していることが必須とされているわけではない。
【0080】
[0091]「応答する」という用語は、完全にまたは部分的に応答するものを含む。
[0092]「モジュール」という用語は、広義に、ソフトウェア、ハードウェア、またはファームウェア(またはそれらからなる何らかの組合せ)要素を指す。モジュールは、典型的には、有用なデータまたは他の出力を指定された入力を使用して生成することのできる機能的要素である。モジュールは、内蔵型であってもよいし、内蔵型でなくてもよい。アプリケーションプログラム(「アプリケーション」とも呼ばれる)が1つまたは複数のモジュールを含んでいることもあれば、モジュールが1つまたは複数のアプリケーションプログラムを含んでいることもある。
【0081】
[0093]「ネットワーク」という用語は、概して、情報を交換することができる相互接続されたデバイスのグループを指す。ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)上の数台のパーソナルコンピュータであってもよいし、または世界中のコンピュータネットワークであるインターネットのような大規模なものであってもよい。本明細書で使用される場合、「ネットワーク」は、あるエンティティから他のエンティティへ情報を送信することができる任意のネットワークを含むことを意図している。場合によっては、ネットワークは、複数のネットワーク、具体的には1つまたは複数のボーダーネットワーク、音声ネットワーク、ブロードバンドネットワーク、金融ネットワーク、サービスプロバイダネットワーク、インターネットサービスプロバイダ(ISP)ネットワーク、および/または様々なネットワーク間の通信を容易にするように動作可能なゲートウェイを介して相互接続された公衆交換電話網(PSTN)などの複数の異種ネットワークで構成されてもよい。
【0082】
[0094]また、説明のために、本開示の様々な実施形態は、現代のコンピュータネットワーク内におけるコンピュータプログラム、物理的要素、および論理的相互作用の文脈において説明されている。重要なことに、これらの実施形態は、現代のコンピュータネットワークおよびプログラムに関連して本開示の様々な実施形態を説明するが、本明細書に記載の方法および装置は、当業者が理解する他のシステム、デバイスおよびネットワークにも等しく適用可能である。このように、本開示の実施形態の例示されたアプリケーションは、限定することを意味するのではなく、むしろ一例である。本開示の実施形態が適用可能な他のシステム、デバイス、およびネットワークは、例えば、他の種類の通信、コンピュータデバイスおよびシステムを含む。より具体的には、実施形態は、通信システム、サービス、および携帯電話ネットワークおよび互換デバイスなどのデバイスに適用可能である。さらに、実施形態は、パーソナルコンピュータから大規模なネットワークメインフレームおよびサーバに至るすべてのレベルのコンピューティングに適用可能である。
【0083】
[0095]結論として、本開示は、貸し付け可能な株式のデジタル記録を生成するための新規のシステム、方法、および構成を提供する。本開示の1つまたは複数の実施形態の詳細な説明が上記に示されているが、本開示の趣旨を変えることなく、様々な代替、変更、および等価物が当業者には明らかであろう。例えば、上述の実施形態は特定の特徴を指すが、本開示の範囲は、特徴の異なる組合せを有する実施形態および記載された特徴の全てを含むわけではない実施形態も含む。したがって、本開示の範囲は、それらのすべての均等物と共に、請求項の範囲内にあるそのような代替物、改変物および変形物のすべてを含むように意図されている。従って、上記の説明は限定的であると解釈すべきではない。
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