(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の配列方向に並んだ複数の可溶部を有するヒューズエレメントと、前記ヒューズエレメントを収容するハウジングと、前記ハウジングに組み付けられる板状のカバーと、を備える、ヒュージブルリンクユニットであって、
前記ハウジングは、
前記配列方向と交差する交差方向に当該ハウジングを貫通した窓部と、前記窓部の前記配列方向における両端部分に設けられた被ロック部と、を有するとともに、前記窓部の内側に前記複数の可溶部を収容し、
前記カバーは、
前記配列方向に沿って延びるとともに、当該カバーを前記ハウジングに固定するためのロック部を当該カバーの前記配列方向における両端部分に有し、
当該ヒュージブルリンクユニットは、
前記ロック部と前記被ロック部とが係合されることにより、前記ロック部と前記被ロック部との係合箇所から離れた押圧箇所において前記カバーと前記ハウジングとが互いに離れる向きに押圧されるように構成され、且つ、前記押圧箇所と前記係合箇所との間において前記カバーと前記ハウジングとの間に空間が画成されるように構成される組付構造に従って、前記カバーが前記窓部を塞ぐように前記ハウジングに組み付けられる、ように構成された、
ヒュージブルリンクユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来ユニットは、カバーの孔部にハウジングの突起が係合することにより、カバーがハウジングに固定されるようになっている。一方、通常、カバーの孔部とハウジングの突起との間には、僅かな隙間(いわゆるクリアランス)が設計上設けられる。そのため、実際に従来ユニットが車両などに搭載された場合、車両の振動などに起因し、孔部と突起との間の隙間の分だけカバーとハウジングとの間に相対移動(いわゆるガタツキ)が生じる可能性がある。このような相対移動は、異音などの原因となり得るため、できる限り抑制されることが望ましい。なお、カバーとハウジングとの間の意図しない相対移動の抑制は、ヒュージブルリンクユニット以外の構造体においても、当然に望ましい。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、カバーとハウジングとの組み付けを適正に維持可能な組付構造、及び、その組付構造を用いたヒュージブルリンクユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係るカバーとハウジングとの組付構造、及び、ヒュージブルリンクユニットは、下記[1]〜[3]を特徴としている。
[1]
板状のカバーと、前記カバーが組み付けられるハウジングと、を備える、カバーとハウジングとの組付構造であって、
前記カバーは、
当該カバーを前記ハウジングに固定するためのロック部を有し、
前記ハウジングは、
前記ロック部に係合して前記カバーが前記ハウジングから離れる向きに移動することを規制する被ロック部を有し、
当該組付構造は、
前記カバーが前記ハウジングに組み付けられるとき、前記ロック部と前記被ロック部とが係合するとともに、前記ロック部と前記被ロック部との係合箇所から離れた押圧箇所において前記カバーと前記ハウジングとが互いに離れる向きに押圧されるように構成され、且つ、前記押圧箇所と前記係合箇所との間において前記カバーと前記ハウジングとの間に空間が画成されるように構成され
、
前記カバーは、
第1方向に沿って延びる板状の形状を有するとともに、前記ロック部を当該カバーの前記第1方向における両端部分に有し、
前記ハウジングは、
前記第1方向に沿って延びると共に前記第1方向と交差する第2方向に当該ハウジングを貫通した窓部と、前記窓部の前記第1方向における両端部分に設けられた被ロック部と、を有し、
前記ロック部と前記被ロック部とが係合されることにより、前記カバーが前記窓部を塞ぐように前記ハウジングに組み付けられる、ように構成された、
カバーとハウジングとの組付構造であること。
[2]
上記[1]に記載の組付構造において、
前記ハウジングは、
前記押圧箇所において、前記ハウジングから前記カバーに向けて突出した形状を有する当接部を有し、
前記カバーが前記ハウジングに組み付けられるとき、前記当接部が前記カバーに当接した状態にて前記ロック部と前記被ロック部とが係合することにより、前記押圧箇所において前記カバーと前記ハウジングとが互いに離れる向きに押圧される、
カバーとハウジングとの組付構造であること。
[3]
所定の配列方向に並んだ複数の可溶部を有するヒューズエレメントと、前記ヒューズエレメントを収容するハウジングと、前記ハウジングに組み付けられる板状のカバーと、を備える、ヒュージブルリンクユニットであって、
前記ハウジングは、
前記配列方向と交差する交差方向に当該ハウジングを貫通した窓部と、前記窓部の前記配列方向における両端部分に設けられた被ロック部と、を有するとともに、前記窓部の内側に前記複数の可溶部を収容し、
前記カバーは、
前記配列方向に沿って延びるとともに、当該カバーを前記ハウジングに固定するためのロック部を当該カバーの前記配列方向における両端部分に有し、
当該ヒュージブルリンクユニットは、
前記ロック部と前記被ロック部とが係合されることにより、
前記ロック部と前記被ロック部との係合箇所から離れた押圧箇所において前記カバーと前記ハウジングとが互いに離れる向きに押圧されるように構成され、且つ、前記押圧箇所と前記係合箇所との間において前記カバーと前記ハウジングとの間に空間が画成されるように構成される組付構造に従って、前記カバーが前記窓部を塞ぐように前記ハウジングに組み付けられる、ように構成された、
ヒュージブルリンクユニットであること。
【0008】
上記[1]の構成の組付構造によれば、カバーのロック部がハウジングの被ロック部に係合されることにより、カバーがハウジングに組み付けられる。このとき、ロック部と被ロック部との係合箇所から離れた押圧箇所において、カバーとハウジングとが互いに離れる向き(以下、便宜上、「分離向き」ともいう。)に押圧される。また、その押圧箇所と係合箇所との間において、カバーとハウジングとの間に空間が画成される。押圧箇所におけるこのような押圧により、ロック部と被ロック部との係合箇所において、ロック部が分離向きに移動しようとする。一方、ロック部は、被ロック部により、分離向きの移動が規制されている。その結果、カバーがハウジングに組み付けられたとき、ロック部が被ロック部に対して押し付けられた状態が維持されることになる。よって、カバーとハウジングとの間の相対移動(即ち、ガタツキ)が抑制される。したがって、本構成の組付構造は、上述した従来ユニットに用いられる組付構造に比べ、カバーとハウジングとの組み付けを適正に維持可能である。
【0009】
上記[2]の構成の組付構造によれば、カバーがハウジングに組み付けられたとき、ハウジングに設けられた当接部により、カバーが分離向きに押圧される。よって、カバー及びハウジングの構造を過度に複雑にすることなく、上記[1]に記載の組付構造を実現できる。したがって、例えば、カバー及びハウジングを製造するための金型に過度な精度や調整頻度を要することがなく、カバー及びハウジングの製造コストを低減できる。
【0010】
上記[3]の構成のヒュージブルリンクユニットによれば、上記[1]又は上記[2]の組付構造を用いることにより、従来ユニットに比べ、カバーとハウジングとの間の相対移動(即ち、ガタツキ)が抑制される。したがって、本構成のヒュージブルリンクユニットは、上述した従来ユニットの組付構造を用いる場合に比べ、カバーとハウジングとの組み付けを適正に維持可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カバーとハウジングとの組み付けを適正に維持可能な組付構造、及び、その組付構造を用いたヒュージブルリンクユニットを提供できる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための最良の形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、
図1〜
図6を参照しながら、本発明の実施形態に係るカバーとハウジングとの組付構造を含むヒュージブルリンクユニット1について説明する。
【0015】
図1に示すように、ヒュージブルリンクユニット1は、自動車等に搭載されるバッテリ100にバッテリ端子71を介して取り付けられる。ヒュージブルリンクユニット1は、バッテリ100の上面側に配置される水平ブロック部2と、水平ブロック部2の端縁から垂下されてバッテリ100の側面側に沿って配置される垂直ブロック部3と、を有している。垂直ブロック部3の下端部には、負荷に繋がる電線(図示省略)の端末に取り付けられたコネクタ(図示省略)を接続するためのコネクタ部4が、横一列(正面から見て左右方向一列)に配置されている。以下、この左右方向を「配列方向」とも称呼する。更に、この配列方向に直交するように交差する方向(コネクタ部4の前後方向)を「交差方向」とも称呼する。
【0016】
なお、本実施形態では、垂直ブロック部3にコネクタ(図示省略)が接続されることにより、垂直ブロック部3の内側に格納されている複数の端子部(図示省略)と、コネクタに収容されている端子(図示省略)と、が電気的に接続されることになる。しかし、両者の電気的接続の手法は、本手法に限定されない。例えば、垂直ブロック部3に格納されている端子部に対し、電線の端末に取り付けられた端子(図示省略)がボルト及びナット等によって締結されることにより、両者が電気的に接続されてもよい。
【0017】
図2に示すように、ヒュージブルリンクユニット1は、絶縁樹脂製のハウジング10と、バッテリ100にバッテリ端子71を介して接続される端子部51、オルタネータに接続される端子部52、車両の補機などに接続される端子部53、及び、複数の負荷側の端子部(垂直ブロック部3の内側に格納されている端子部)を外部に露出させた状態にてハウジング10の内部に主要部が埋設されたバスバ50と、を有している。なお、
図1に示すように、端子部51にはバッテリ端子71がボルト61(
図1参照)を用いて接続され、端子部52には締め付けボルト62等を用いてオルタネータに繋がる端子(図示省略)が接続され、端子部53には締め付けボルト62等を用いて車両の補器などに繋がる端子(図示省略)が接続される。
【0018】
バスバ50は、金属板を打ち抜き加工した回路構成体であり、ハウジング10に対してインサート成形されることにより、ハウジング10と一体化されている。ハウジング10は、水平ブロック部2に対応する水平な板状部12と、垂直ブロック部3に対応する前後方向(本例では、交差方向と同じ方向)に厚みを有し前方から見て長方形状に形成された壁部13と、を有している。
【0019】
バスバ50には、端子部51,52と、垂直ブロック部3の内側に格納されている複数の端子部と、の間をそれぞれ繋ぐ複数のヒューズエレメント55(
図3及び
図4参照)が一体に形成されている。複数のヒューズエレメント55の各々は可溶部56を有している。複数のヒューズエレメント55は、上述した配列方向(本例では、ヒュージブルリンクユニット1を正面から見たときの左右方向)に並ぶように配置されている。ヒューズエレメント55は、垂直ブロック部3を構成するハウジング10の壁部13の中に収容されている。垂直ブロック部3の内側に格納されている複数の端子部は、垂直ブロック部3の下端のコネクタ部4の中にコネクタ端子として設けられており、ヒューズエレメント55の下方に位置している。
【0020】
図3及び
図4に示すように、ハウジング10のヒューズエレメント55を収容した壁部13には、前側壁面14から後側壁面15まで貫通した窓部19が設けられている。別の言い方をすると、窓部19は、ヒューズエレメント55(可溶部56)の配列方向と交差する交差方向(本例では、ヒュージブルリンクユニット1を正面から見たときの前後方向)にハウジング10を貫通するように設けられている。より具体的には、窓部19は、ヒューズエレメント55(可溶部56)の配列方向(左右方向)に沿って並ぶ複数の貫通孔として設けられている。前側壁面14及び後側壁面15はそれぞれ、ハウジング10の窓部19(複数の貫通孔)を構成する枠壁の前側壁面及び後側壁面である。
【0021】
図3(a)〜
図3(c)に示すように、本例では、前側壁面14において、配列方向両端部から所定距離だけ配列方向内側の上下位置(合計4箇所)に、前側に突出した突起状の当接部14aがそれぞれ一体に設けられている。同様に、
図4(a)〜
図4(c)に示すように、本例では、後側壁面15において、配列方向両端部から所定距離だけ配列方向内側の上下位置(合計4箇所)に、後側に突出した突起状の当接部15aがそれぞれ一体に設けられている。当接部14a,15a設けたことによる作用・効果については後述する。
【0022】
窓部19の各々の内側には、可溶部56(溶断部)を有するヒューズエレメント55が収容されている。即ち、ハウジング10は、ヒューズエレメント55の可溶部56が窓部19から露出するように、バスバ50を収容している。なお、水平ブロック部2に取り付けられたカバー41の内側にも、ヒューズエレメント55と同様の構成または異なる構成を有するヒューズエレメント(図示省略)が収容されている。
【0023】
窓部19の前面には、窓部19の前面側の開口部を塞ぐように、透明樹脂製の前側カバー20aがハウジング10に取り付けられている(
図2(a)参照)。前側カバー20aは、窓部19の前面側の開口部の形状に対応した横長の板状(可溶部56の配列方向に沿って延びる板状)に形成されている。前側カバー20aは、透明であることから、ヒューズエレメント55の可溶部56を外部前面から視認可能に覆っている。前側カバー20aの材料としては、例えば、透明であり且つ耐熱性のある樹脂材(例えば、PESU及びPAR等)が採用され得る。なお、これら透明な樹脂材は、一般に、後述する不透明な樹脂材に比べて高価である。
【0024】
窓部19の後面には、窓部19の後面側の開口部を塞ぐように、不透明樹脂製の後側カバー20bがハウジング10に取り付けられている(
図2(b)参照)。後側カバー20bも、前側カバー20aと同様、窓部19の後面側の開口部の形状に対応した横長の板状(可溶部56の配列方向に沿って延びる板状)に形成されている。後側カバー20bの材料としては、不透明であり且つ強度及び耐熱性に優れたガラス繊維入りの樹脂材(例えば、PS−S、PA6T等を繊維強化した樹脂)が採用され得る。なお、後側カバー20bの材料としては、ガラス繊維以外の強化繊維(炭素繊維など)を含有した材料を用いてもよい。
【0025】
以下、
図5及び
図6を参照しながら、前側カバー20a及び後側カバー20bのうち、先ずは、後側カバー20bの構成、並びに、ハウジング10における後側カバー20bを取り付ける箇所の構成について詳細に説明する。
【0026】
図5に示すように、後側カバー20bは、窓部19の後面側の開口部(即ち、配列方向に沿って並ぶ複数の貫通孔)を塞ぐ長さを有する配列方向に延びる細長平板状の本体部21と、本体部21の両端部から本体部21の板面に垂直な方向(後側カバー20bの組付方向)に突出する一対のロック部22と、を一体に備える。ロック部22は、後側カバー20bをハウジング10(具体的には、窓部19の後面側の開口部)に取り付けた際に後側カバー20bをハウジング10に固定するための機能を果たす。
【0027】
ロック部22は、本体部21の板面に垂直な方向に延びる挿入片23と、挿入片23及び本体部21とを連結するとともに本体部21の板面に傾斜する方向に延びる傾斜連結部24と、から構成される。ロック部22(より具体的には傾斜連結部24)には、配列方向に貫通する一対のロック孔25が、上下方向に所定距離を空けて並ぶように設けられている。
【0028】
図6(a)及び
図6(b)に示すように、ロック部22を固定する(係合する)相手側の構成として、ハウジング10の壁部13には、窓部19の配列方向における両端の近傍に、窓部19のうち最も配列方向外側に位置する貫通孔を区画する枠壁における配列方向外側の区画壁31と、壁部13の配列方向端部を構成する側壁32と、が配列方向に隣接するように設けられている。区画壁31及び側壁32のそれぞれは、上下方向及び交差方向に平行に延びている。区画壁31と側壁32との間には、交差方向に貫通する挿入孔33が形成されている。後側カバー20bを組付方向(交差方向)に沿ってハウジング10に組み付けるとき、挿入孔33には、後側カバー20bのロック部22が挿入されることになる。
【0029】
図6(b)に示すように、側壁32の配列方向内側面の後端部には、配列方向内側に向けて突出する(即ち、挿入孔33の内壁面から突出する)一対の係合凸部34が、一対のロック孔25に対応して、上下方向に所定距離を空けて並ぶように設けられている。係合凸部34の前側側面には、上下方向及び配列方向に平行に延びる係止面35が形成されている。
【0030】
ここで、
図5(c)に示す寸法B(後側カバー20bのロック孔25の内壁面の前側端(組付方向進行側端)25aと、後側カバー20bの本体部21の後側カバー20bの組付方向進行側の側面と、の交差方向の間隔)は、
図6(b)に示す寸法C(ハウジング10の係合凸部34の係止面35と、ハウジング10の後側壁面15と、の交差方向の間隔)より若干小さい(B<C)。このように間隔B,Cが設定されることによって得られる効果について、以降の記載中で説明する。
【0031】
次いで、後側カバー20bのハウジング10に対する取り付け手順について説明する。後側カバー20bをハウジング10に取り付けるには、先ず、後側カバー20bの一対の挿入片23を、組付方向(交差方向)に沿って後側から、ハウジング10の配列方向両端部に位置する一対の挿入孔33に挿入する。
【0032】
挿入初期の段階では、挿入片23が係合凸部34に当接する。更に挿入が進行すると、挿入片23が配列方向内側に互いに近づくように後側カバー20bが弾性変形しながら挿入片23が係合凸部34に乗り上がる。更に挿入が進行して、ロック孔25が係合凸部34の位置に到達すると、後側カバー20bが弾性復帰してロック孔25が係合凸部34に嵌入する。これにより、
図6に示すように、後側カバー20bのハウジング10への取り付けが完了する。
【0033】
後側カバー20bのハウジング10への取り付け完了状態(
図6(a)参照)では、B<Cの関係に起因して、後側カバー20bの本体部21の配列方向両端部が当接部15を支点とするようにしてハウジング10側(前側)に僅かに弾性変形した状態で、後側カバー20bのロック孔25の前側端25aと係合凸部34の係止面35とが当接すると共に、後側カバー20bの本体部21とハウジング10の後側壁面15の当接部15aとが当接している。ロック孔25の前側端25aと係合凸部34の係止面35との当接箇所(係合箇所)、並びに、本体部21と後側壁面15の当接部15aとの押圧当接箇所(押圧箇所)では、それぞれ、後側カバー20bの弾性復帰に起因して、当接対象(当接箇所および押圧当接箇所)同士が、交差方向に沿って押圧接触している。
【0034】
係合箇所と押圧箇所との間には、後側カバー20b(具体的には本体部21)とハウジング10(具体的には、後側壁面15)とが接触しないように、後側カバー20b(具体的には本体部21)とハウジング10(具体的には、後側壁面15)との間に空間37が画成されている(
図6(a)参照)。
【0035】
上記のように、係合箇所と押圧箇所とがそれぞれ押圧接触していることにより、一対のロック孔25(ロック部22)が一対の係合凸部34(被ロック部)に対して押し付けられた状態が維持されることになる。その結果、ロック部22と被ロック部との係合箇所でのガタツキが抑制される。
【0036】
以上、後側カバー20bの構成、並びに、ハウジング10における後側カバー20bを取り付ける箇所の構成について説明した。次いで、前側カバー20aの構成、並びに、ハウジング10における前側カバー20aを取り付ける箇所の構成について簡単に説明する。
【0037】
前側カバー20aは、配列方向寸法が後側カバー20bより若干短い点、及び、ロック孔として一対のロック孔25に代えて単一のロック孔26(
図2(a)参照)が設けられている点においてのみ、後側カバー20bと形状において異なる。
【0038】
ロック孔26を固定する(係合する)相手側の構成として、ハウジング10の区画壁31の前側端部に、配列方向外側に向けて突出する(即ち、挿入孔33の内壁面から突出する)係合凸部36(
図6(b)参照)が、ロック孔26に対応して設けられている。
【0039】
次いで、前側カバー20aのハウジング10に対する取り付け手順について説明する。前側カバー20aをハウジング10に取り付けるには、先ず、前側カバー20aの一対の挿入片23を、組付方向(交差方向)に沿って前側から、ハウジング10の配列方向両端部に位置する一対の挿入孔33に挿入する。
【0040】
挿入初期の段階では、挿入片23が係合凸部36に当接する。更に挿入が進行すると、挿入片23が配列方向外側に互いに遠ざかるように前側カバー20aが弾性変形しながら挿入片23が係合凸部36に乗り上がる。更に挿入が進行して、ロック孔26が係合凸部36の位置に到達すると、前側カバー20aが弾性復帰してロック孔26が係合凸部36に嵌入する。これにより、
図2(a)に示すように、前側カバー20aのハウジング10への取り付けが完了する。
【0041】
前側カバー20aのハウジング10への取り付け完了状態(
図2(a)参照)では、後側カバー20bと同様、前側カバー20aの本体部21の配列方向両端部がハウジング10側(後側)に僅かに弾性変形した状態で、前側カバー20aのロック孔26と係合凸部36とが当接すると共に、前側カバー20aの本体部21とハウジング10の前側壁面14の当接部14a(
図3参照)とが当接している。ロック孔26と係合凸部36との当接箇所(係合箇所)、並びに、本体部21と前側壁面14の当接部14aとの押圧当接箇所(押圧箇所)では、それぞれ、前側カバー20aの弾性復帰に起因して、当接対象(当接箇所および押圧当接箇所)同士が、交差方向に沿って押圧接触している。
【0042】
係合箇所と押圧箇所との間には、後側カバー20bと同様、前側カバー20a(具体的には本体部21)とハウジング10(具体的には、前側壁面14)とが接触しないように、前側カバー20a(具体的には本体部21)とハウジング10(具体的には、前側壁面14)との間に空間が画成されている。
【0043】
上記のように、係合箇所と押圧箇所とがそれぞれ押圧接触していることにより、ロック孔26(ロック部22)が係合凸部36(被ロック部)に対して押し付けられた状態が維持されることになる。その結果、ロック部22と被ロック部との係合箇所でのガタツキが抑制される。
【0044】
以上、本発明の実施形態に係るカバーとハウジングとの組付構造を含むヒュージブルリンクユニット1によれば、カバー(前側カバー20a及び後側カバー20b)のロック部22(ロック孔25及びロック孔26)がハウジング10の被ロック部(係合凸部34及び係合凸部36)に係合されることにより、カバーがハウジング10に組み付けられる。このとき、ロック部22と被ロック部との係合箇所から離れた押圧箇所(前側カバー20aの本体部21と前側壁面14の当接部14aとの押圧当接箇所、及び、後側カバー20bの本体部21と後側壁面15の当接部15aとの押圧当接箇所)において、カバーとハウジング10とが互いに離れる向きに押圧され、且つ、その押圧箇所と係合箇所との間においてカバーとハウジング10との間に空間が画成される。よって、このような押圧により、ロック部22が被ロック部に対して押し付けられた状態が維持されることになる。その結果、ロック部22と被ロック部との係合箇所でのガタツキが抑制される。したがって、本構成の組付構造を含むヒュージブルリンクユニット1は、上述した従来ユニットに用いられる組付構造に比べ、カバーとハウジング10との組み付けを適正に維持可能である。
【0045】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0046】
例えば、上記実施形態では、当接部15aが、後側壁面15の配列方向における両端部の近傍において、配列方向において2箇所かつ上下方向において2箇所(合計4箇所)に設けられている。しかし、例えば、
図7に示すように、当接部15aは、後側壁面15の配列方向における中央付近において、配列方向において1箇所かつ上下方向において2箇所(合計2箇所)に設けられてもよい。このように、当接部15aの数および配置は、ヒュージブルリンクユニット1の大きさ等に対応して適宜定められればよい。当接部15bについても、同様である。
【0047】
更に、上記実施形態では、当接部14a及び当接部15aはハウジング10に設けられている。しかし、当接部14aに相当する構成及び当接部15aに相当する構成がカバー(前側カバー20a及び後側カバー20b)に設けられてもよい。
【0048】
更に、上述した実施形態に係るヒュージブルリンクユニット1では、前側カバー20aが透明樹脂製であり、後側カバー20bが不透明樹脂製である。これに対し、前側カバー20a及び後側カバー20bの双方が透明樹脂製であってもよい。
【0049】
更に、上記実施形態では、カバー(前側カバー20a及び後側カバー20b)において、ロック部22が挿入片23と傾斜連結部24から構成され、傾斜連結部24がカバー20の本体部21に繋がっている。これに対し、カバー20において、傾斜連結部24が無く挿入片23と本体部21とが直接繋がっていてもよい。
【0050】
ここで、上述した本発明に係るカバーとハウジングとの組付構造及びヒュージブルリンクユニット1の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
板状のカバー(20a,20b)と、前記カバー(20a,20b)が組み付けられるハウジング(10)と、を備える、カバー(20a,20b)とハウジング(10)との組付構造であって、
前記カバー(20a,20b)は、
当該カバー(20a,20b)を前記ハウジング(10)に固定するためのロック部(22)を有し、
前記ハウジング(10)は、
前記ロック部(22)に係合して前記カバー(20a,20b)が前記ハウジング(10)から離れる向きに移動することを規制する被ロック部(34,36)を有し、
当該組付構造は、
前記カバー(20a,20b)が前記ハウジング(10)に組み付けられるとき、前記ロック部(22)と前記被ロック部(34,36)とが係合するとともに、前記ロック部(22)と前記被ロック部(34,36)との係合箇所から離れた押圧箇所において前記カバー(20a,20b)と前記ハウジング(10)とが互いに離れる向きに押圧されるように構成され、且つ、前記押圧箇所と前記係合箇所との間において前記カバー(20a,20b)と前記ハウジング(10)との間に空間(37)が画成されるように構成される、
カバーとハウジングとの組付構造。
[2]
上記[1]に記載の組付構造において、
前記ハウジング(10)は、
前記押圧箇所において、前記ハウジング(10)から前記カバー(20a,20b)に向けて突出した形状を有する当接部(14a,15a)を有し、
前記カバー(20a,20b)が前記ハウジング(10)に組み付けられるとき、前記当接部(14a,15a)が前記カバー(20a,20b)に当接した状態にて前記ロック部と前記被ロック部とが係合することにより、前記押圧箇所において前記カバー(20a,20b)と前記ハウジング(10)とが互いに離れる向きに押圧される、
カバーとハウジングとの組付構造。
[3]
所定の配列方向に並んだ複数の可溶部(56)を有するヒューズエレメント(55)と、前記ヒューズエレメント(55)を収容するハウジング(10)と、前記ハウジング(10)に組み付けられる板状のカバー(20a,20b)と、を備える、ヒュージブルリンクユニット(1)であって、
前記ハウジング(10)は、
前記配列方向と交差する交差方向に当該ハウジング(10)を貫通した窓部(19)と、前記窓部(19)の前記配列方向における両端部分に設けられた被ロック部(34,36)と、を有するとともに、前記窓部(19)の内側に前記複数の可溶部(56)を収容し、
前記カバー(20a,20b)は、
前記配列方向に沿って延びるとともに、当該カバー(20a,20b)を前記ハウジング(10)に固定するためのロック部(22)を当該カバー(20a,20b)の前記配列方向における両端部分に有し、
当該ヒュージブルリンクユニットは、
前記ロック部(22)と前記被ロック部(34,36)とが係合されることにより、上記[1]又は上記[2]に記載の組付構造に従って、前記カバー(20a,20b)が前記窓部(19)を塞ぐように前記ハウジング(10)に組み付けられる、ように構成された、
ヒュージブルリンクユニット(1)。