特許第6861711号(P6861711)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6861711積層造形(3Dプリント)装置の調整のためのシステムおよびその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861711
(24)【登録日】2021年4月1日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】積層造形(3Dプリント)装置の調整のためのシステムおよびその方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/30 20170101AFI20210412BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20210412BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20210412BHJP
   B29C 64/277 20170101ALI20210412BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20210412BHJP
【FI】
   B29C64/30
   B29C64/153
   B33Y30/00
   B29C64/277
   B33Y10/00
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-534779(P2018-534779)
(86)(22)【出願日】2016年12月31日
(65)【公表番号】特表2019-500246(P2019-500246A)
(43)【公表日】2019年1月10日
(86)【国際出願番号】EP2016082951
(87)【国際公開番号】WO2017114965
(87)【国際公開日】20170706
【審査請求日】2019年9月10日
(31)【優先権主張番号】15/02754
(32)【優先日】2015年12月31日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510320092
【氏名又は名称】エコール・サントラル・ドゥ・ナント
(74)【代理人】
【識別番号】100074169
【弁理士】
【氏名又は名称】広瀬 文彦
(72)【発明者】
【氏名】アスコエト ジャン−イヴ
(72)【発明者】
【氏名】カラバン ジル
【審査官】 北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05396333(US,A)
【文献】 独国特許出願公開第102007032190(DE,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102005058172(DE,A1)
【文献】 特開2015−196265(JP,A)
【文献】 特開2003−225787(JP,A)
【文献】 特開2012−152774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40
B23K 26/00−26/70
B22F 3/105
B22F 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザーによって溶かされた粉状の材料堆積による物体の形成手法を用いた、積層造形装置(201)の調整および測定のためのシステムが、粉末噴射ノズル(100)と該ノズルの中心を通過するレーザービームとからなり、該装置は、以下の構成からなる:
a.以下の構成からなる光源と:
ai.材料の表面に関する前記光源を位置決めするための手段(210);
aii.照明面と呼ばれる、面に対して垂直に光線(221)を供給する照射手段(220);
b.その光軸(241)が照明面に対して平行となるように設置される、輪郭カメラと呼ばれる画像撮影装置(240、340)と;
c.噴射ノズル(100)の中心を経由して見られるビューを投影可能な光路装置と
d.その光軸が光路(250)上となる、センタリングカメラと呼ばれる第二画像撮影装置(260)と;
e.低出力のレーザー照射により印付け可能な目標物(303)と;
f.画像撮影装置(240、260、340)から来る画像を集めることを可能とする取得および処理ユニット(290)。
ことを特徴とする積層造形装置(201)の調整および測定のためのシステム。
【請求項2】
光源が、照明面における環状の配置による多数の発光ダイオード(320)からなることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
以下の構成を含む:
g.その光軸が照明面に平行で第一輪郭カメラ(240)の面に垂直である第三画像撮影装置(340)。
ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項4】
レーザーによって溶かされた粉状の材料堆積による物体の形成手法を用いた、材料噴射および溶融装置の調整および計測のための方法であって、請求項1に記載のシステムを用いた方法が、以下の構成からなるステップを含む:
i.照明面上に、該面に対して垂直の方向に従い、噴射ノズル(100)の位置決めをするステップと;
ii.目標物(303)がレーザー照射を遮るように、ノズルの出口と照明面との間に、目標物を配置するステップと;
iii.低出力のレーザー照射を実行するステップと;
iv.光源によりノズルの末端を照らすステップと;
v.ノズルの末端が照らされている間に、センタリングカメラにより、ノズルの末端を通して、目標物上にレーザー照射によって印(393)付けされた画像(493)を取得するステップ。
ことを特徴とする材料噴射および溶融装置の調整および計測のための方法。
【請求項5】
目標物がノズルの末端に張り付けられていることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
目標物(303)が照明面に固定されていることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項7】
以下の構成からなるステップを含む:
vi.ステップv)において得られた画像上で、照らされたスペースの画像(420)の輪郭と、レーザーによって目標物上に付けられた印(393)の画像(493)と、の間のセンタリングエラーを計測するステップと;
vii.センタリングエラーを訂正するために調整を計算するステップ。
ことを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項8】
以下の構成からなるステップを含む:
viii.粉末の噴射を実行するステップと;
ix.輪郭カメラ(240、340)によって、噴射された粉末の画像(560)を取得するステップ。
ことを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項9】
以下の構成からなるステップを含む:
x.ステップix)で得られた画像上における所定の輪郭から、粉末の流れの形状(565)を決定するステップと;
xi.ステップx)から、流れに対応するツールゲージを推測するステップ。
ことを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
以下の構成からなるステップを含む:
xii.ステップviii)の間にレーザービームを発生させるステップと;
xiii.ステップix)で取得された画像上で、レーザーの画像(593)との関係で粉末の流れの画像(560)の方向偏差を計測するステップと;
xiv.ステップxii)の結果から、粉末の流れとの関係でレーザービームの方向性不良を訂正するために実行すべき調整を推測するステップ。
ことを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項11】
請求項3に記載のシステムを実装し、以下の構成からなるステップを含む:
xv.第三画像撮影装置(340)を用いて、噴射された粉末の画像(560)を取得するステップと;
xvi.ステップix)で取得された画像の代わりに、ステップxv)で取得された画像を用いて、ステップxiii)およびxiv)を繰り返すステップ。
ことを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
以下の構成からなるステップを含む:
xvii.ステップix)で取得された画像の代わりに、ステップxv)で取得された画像を用いて、ステップx)およびxi)を繰り返すステップ。
ことを特徴とする請求項11記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層造形(3Dプリント additive manufacturing)装置の調整のためのシステムおよびその方法に関する。本発明は、より詳細には、レーザーによって溶かされた粉状の材料堆積による物体の形成からなる、“Construction Laser Additive Directe”の頭文字であるCLAD(登録商標)と呼ばれる積層造形(3Dプリント)方法に適している。
【背景技術】
【0002】
従来技術に関する図1は、この方法の実施例を図式的に表している。この実施例によると、材料(material)の堆積(沈着)は、それ自身同心円でもある先細環状空間(tapered annular spaces)で壁間を区切られた3つの同心錐体から構成される粉末噴射および溶融ノズル(powder spray / fuse nozzle)(100)を経由して(by way of)行われる。レーザー(150)は、前記錐体の軸を中心とする穴(ボア bore)を通って内部錐体(inner cone)(130)を通過(貫通 passes through)する。該レーザーは、製造される物体(目的物 object)(190)上の材料(material)の堆積(沈着)(192)が行われる点(point)(191)に集中する。粉末(Powder)(160)は、外部錐体(outer cone)(110)の内側面と中間錐体(intermediate cone)(120)の外側面との間の先細環状空間内に噴霧され、一方で、ガスが、前記中間錐体(120)の内側面と内部錐体(130)の外側面との間の先細環状空間に吹き込まれる。相互に関連する錐体(110、120、130)のセンタリング(centring)、およびパラメータの調整は、粉末が円錐の間隙における流れに従って円錐噴射され、そこでは、頂点が、理想的には、レーザー(150)の焦点(focal point)(191)と混同(confounded)されるという結果をもたらす。材料堆積(沈着)点(191)と外部錐体(110)の先端との間隔(193)は、一般的には約5mmであるが、この値が網羅的(徹底的 exhaustive)または限定としてとらえられることはない。
【0003】
この方法の実装には、レーザービームとの関係で、噴射材(sprayed material)に係る錐体の形状と前記錐体の完全なセンタリングの詳細な知識を必要とする。物体(目的物)の製造の枠組みの中においてより詳細には、例えば、空間内の粉末の流れの方向性(orientation)における一定の変化からなる複雑な軌道(trajectories)の実装を必要とし、前記錐体の長さ、その中心の位置、そしてさらにこの錐体の形状についての完全な知識を必要とする。これらのパラメータは、特に、数値制御機器(numerical control machine)において、堆積点(沈着点)の移動の動作、および、製造される表面に対する噴射ノズルの方向(orientation)を定義するプログラムに従うために、コレクタ(correctors)やツールゲージ(tool gauges)と呼ばれるパラメータによって生成され、軸を適切に制御することを可能とする。この目的のために、機器の座標システムにおける、この堆積点(沈着点)と、レーザーの焦点との相対位置を知ることが必要である。これらのプログラミングおよび制御技術は、材料除去による製造の枠組みにおいて用いられるものと同様に、従来技術から知られ、更なる詳細は提供されていない。材料除去(material removal)の分野では、ツールゲージパラメータ(tool gauge parameters)は、機器の外部または装置内での物理的ツール(フィジカルツール)の測定から直接的に推定される。
【0004】
積層造形(3Dプリント)において、特にCLADメソッドの枠組みにおいて、該方法の実装のために、噴射錐体(spray cone)の寸法は、ガス流量(ガス流動率 gas flow rate)や噴射された粉末の性質のようなパラメータによって、または、ノズルの錐体の調整によって与えられる。それゆえに、機器の座標システム中の噴射錐体の軸の位置や噴射錐体の長さのように、ツールゲージパラメータを測定すること、または、噴射方法の実装なしで前記噴射錐体の形状を調整することは可能ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の方法によると、レーザーの軸位置は、ノズルの末端に固着された粘着片(adhesive strip)への低力照射(low-energy shot)の実行によって取得される。ノズルの末端は、粘着部分(adhesive portion)上に痕跡を残し、レーザーの照射は、片中に穴を形成する。この方法は、ノズルの錐体の適切なセッティングを決定することにより、2つのマーク:穴とノズルの痕跡、の同心性(concentricity)を調整することを可能とする。これは、どのような場合でも、調整を実行するために数回繰り返される間接的な計測方法である。調整のクオリティーは不揃いであり、熟練技術者でも、0.5mm未満の再現性誤差さえ要求することができない。いずれの場合でも、この従来技術は、ツールゲージ、すなわち噴射錐体の長さや必要に応じて形状を決定することを可能としない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、従来技術の不利な点を克服することを目指しており、その目的のため、特に、レーザーによって溶かされた粉状の材料堆積による物体の形成手法であるCLADメソッドを用いた、積層造形(3Dプリント)装置の調整および測定のためのシステムが、粉末噴射ノズルと該ノズルの中心を通過するレーザービームとからなり、該装置は、以下の構成からなる:
a.以下の構成からなる光源と:
ai.材料の表面に関する前記光源を位置決めするための手段;
aii.照明面(照射面 lighting plane)と呼ばれる、面に対してほぼ垂直に光線を供給する照射手段(lighting means);
b.その光軸(optical axis)が照明面(照射面)に対してほぼ平行となるように設置される、輪郭カメラ(側面カメラ profile camera)と呼ばれる画像撮影装置(a picture taking device)と;
c.噴射ノズルの中心を経由して見られるビューを投影可能な光路装置(optical path device)と;
d.その光軸が光路上となる、センタリングカメラと呼ばれる第二画像撮影(装置)と;
e.低出力のレーザー照射により印(マーク)付け可能な目標物(ターゲット target)と;
f.画像撮影装置から来る画像を集めることを可能とする取得および処理ユニット(acquisition and processing unit)。
【0007】
このように、本発明に係るシステムの目的(対象)は、粉末の流れおよびレーザービームの画像を取得し、ノズルを通過する光線による粉末噴射開口部(powder spray orifice)の位置および目標物(ターゲット)に印(マーク)付けすることによるレーザーのセンタリングを具体化(実体化)することを可能にする。該装置は、もう一回の照射や、装置の再設置を行うことなく、リアルタイムでノズルおよびレーザーのセンタリングをチェックすることを可能にする。
【0008】
本発明は、有利なことには、以下に開示される実施例および代替手段に従って実装され、それらは、個々に、またはあらゆる技術的に展開可能な組合せに従って考察される。
【0009】
有利なことには、光源は、照明面(照射面)における環状の配置による多数の発光ダイオードからなる。この実施例は、影のない照明を取得することを可能にするもので、環状の配置は、この照明に関し、センタリングされたカメラの上の噴射開口部の画像が均一に照らされるようにする方法によりノズルを中心に置くことを可能にする。一方で、レーザービームの焦点部分は、視認可能にするため、十分に暗いままに保たれる。
【0010】
改良された実施例によれば、本発明のシステムは、以下からなる(以下を含む)。
g.その光軸が照明面(照射面)に平行で輪郭カメラ(側面カメラ)の面に垂直である第三画像撮影装置。
【0011】
この実施例は、2つの面に従い、レーザーを用いて粉末の流れの全体像(形状)を測定し、その輪郭(外形)のアライメント(調整・整合)を可能とする。粉末の流れの形状の調整は、粉末およびガスの流量(流動率)の変化によって行われる。このように、本発明に係るシステムの目的(対象)は、3次元計測および噴射溶融の形状(geometry)の調整を可能にすることである。
【0012】
本発明は、材料(material)噴射および溶融装置の調整および計測のための方法でもあり、特に、本発明に係るシステムを用いた、レーザーによって溶かされた粉状の材料堆積による物体の形成手法であるCLADメソッドによるものであって、前記方法は、以下の構成からなるステップを含む:
i.照明面(照射面)上に、該面に対してほぼ垂直(substantially normal)の方向(orientation)に従い、噴射ノズルの位置決めをするステップと;
ii.目標物(ターゲット)がレーザー照射を遮る(遮断する)ように、ノズルの出口(outlet)と照明面(照射面)との間に、目標物(ターゲット)を配置するステップと;
iii.低出力のレーザー照射を実行するステップと;
iv.光源によりノズルの末端を照らすステップと;
v.ノズルの末端が照らされている間に、センタリングカメラにより、ノズルの末端を通して、目標物(ターゲット)上にレーザー照射によって印(マーク)付けされた画像を取得するステップ。
【0013】
この方法は、粉末噴射開口部の位置の、照射リング(被照リング illuminated ring)のように見える、画像を取得することを可能にするものであり、レーザービームの軸に関しては、レーザーによって目標物(ターゲット)上に付けられた印(マーク)として現れ、前記目標物(ターゲット)を移動することなく、また、それぞれの調整時におけるこの位置の修正の視認も同様に移動することなく、照射リング(被照リング)の移動によって、ノズルの調整がより容易となる。
【0014】
本発明に係る方法の代替例によれば、目標物(ターゲット)がノズルの末端に張り付けられている。
【0015】
本発明に係る方法の別の代替例によれば、目標物(ターゲット)は照明面(照射面)に固定されている。
【0016】
本発明に係るセンタリングカメラおよび装置の光路によって与えられるノズルを通した視認可能性は、これら2つの末端の間または後述する(部材)間の任意の箇所に位置する目標物(ターゲット)に、本発明に係る方法の実装することを可能にする。
【0017】
有利なことには、本発明の方法は、以下の構成からなるステップを含む:
vi.ステップv)において得られた画像上で、照らされたスペースの輪郭と、レーザーによって目標物(ターゲット)上に付けられた印(マーク)の画像と、の間のセンタリングエラー(centring error)を計測するステップと;
vii.センタリングエラー(centring error)を訂正(補正)するために調整を計算するステップ。
【0018】
これらのステップは、取得および処理手段によって実装されるものであり、機器の装置の調整によって、行われるべき訂正(補正)を自動的に決定することを可能にする。
【0019】
有利なことには、本発明の方法は、以下の構成からなるステップを含む:
viii.粉末の噴射を実行するステップと;
ix.輪郭カメラ(側面カメラ)によって、噴射された粉末の画像を取得するステップ。
【0020】
このように、本発明に係る方法は、粉末の流れの形状を視認することを可能にする。すなわち、本発明の方法は、有利なことには、以下の構成からなるステップを含む:
x.ステップix)で得られた画像上における所定の輪郭(外形)から、粉末の流れの画像の形状を決定するステップと;
xi.ステップx)から、流れに対応するツールゲージを推測するステップ。
【0021】
その結果として、本発明の方法の目的(対象)は、製品の製造品質を改善するための、正確なツールゲージを取得することを可能にする。
【0022】
有利なことには、本発明に係る方法は、更に、以下の構成からなるステップを含む:
xii.ステップviii)の間にレーザービームを発生させるステップと;
xiii.ステップix)で取得された画像上で、レーザービームの画像との関係で粉末の流れの画像の方向偏差(orientation deviation)を計測するステップと;
xiv.ステップxii)の結果から、方向性不良を訂正(補正)するために実行すべき調整を推測するステップ。
【0023】
更に、レーザーとの関係で完全な粉末の流れの方向性を取得するため、ステップxii)の間に行われる計測は、特に、衝突(不一致 collision)の後に、積層造形(3Dプリント)装置の作動の精確性を検査(確認)することを可能にする。
【0024】
改善された実施例によれば、本発明に係る方法は、3つの画像撮影装置からなるシステムを実装し、以下の構成からなるステップを含む:
xv.第三画像撮影装置を用いて、噴射された粉末の画像を取得するステップと;
xvi.ステップix)で取得された画像の代わりに、ステップxv)で取得された画像を用いて、ステップxiii)およびxiv)を繰り返すステップ。
【0025】
これと同じ実施例によれば、本発明に係る方法は、以下の構成からなるステップを含む:
xvi.ステップix)で取得された画像の代わりに、ステップxiv)で取得された画像を用いて、ステップx)およびxi)を繰り返すステップ。
【0026】
本発明に係る方法のこの改善された実施例では、粉末の流れおよびレーザービームの3次元検査および調整を実行することを可能にする。さらに、この実施例によれば、本発明に係る方法は、有利なことには、以下の構成からなるステップを含む:
xvii.ステップix)で取得された画像の代わりに、ステップxv)で取得された画像を用いて、ステップx)およびxi)を繰り返すステップ。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は、その好ましい実施例に沿って、以下に開示されるものであり、それら実施例によって何らの限定をするものではなく、以下の図1乃至図5において参照されるものである:
【0028】
図1図1は、従来技術に関し、断面透視図によるCLADメソッドにおける噴射および溶融ノズル(spray / fuse nozzle)の実施例を示す;
【0029】
図2図2は、ダイアグラム法による正面図であり、図3において定義されるAA断面図によれば、積層造形(3Dプリント)機器に係る本発明のシステムの代表的な(典型的な)例を示す;
【0030】
図3図3は、平面図により本発明のシステムの実施例を示す。
【0031】
図4図4は、センタリングカメラによる画像によってレーザービームおよびノズルの同心性(同心度 concentricity)の調整を示す;
【0032】
図5図5は、輪郭カメラ(側面カメラ)によって行なわれる調整において(のために)、取得および処理手段に表示される画面の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図2の実施例によれば、本発明に係るシステムは、工作機器に設置され、積層造形(3Dプリント)を行うことを可能とする。例として、前記システムは、前記機器のテーブル(201)の上に設置され、そこでは、磁性支持体(magnetic support)(210)によって取り付けられる。別の実施例(図示せず)によれば、前記支持体は、磁性体ではなく、テーブルの上に締め金またはボルトで固定され、または、テーブルの上の製造作業を妨害しない位置に恒久的に留められる。前記システムは、光源(light source)(220)を有する(含む)。前記光源(220)は、大部分は照明面(照射面)に対して垂直に向けられた光線(light beam)(221)を放射し、この実施例によれば、照明面(照射面)は、機器のテーブル(201)とほぼ平行である。別の実施例によれば、支持体は、例えば円柱(円筒)状の表面上に設置するためのV字型の支持体からなり、または、それが置かれる表面および、以後に光源が置かれるその設置表面と整合させる手段からなる。
【0034】
本発明に係るシステムの実装のために、機器の積層造形用ヘッド(3Dプリンタヘッド)(202)は、レーザービームの方向(203)が照明面(照射面)にほぼ垂直となるように、光源(220)の上に配置され、前記レーザービームは、ノズル(100)の均一な照射を得るため、より好ましくは、光源との関係で中心に配置される。
【0035】
この実施例によれば、光源の支持体(210)に取り付けられる支持アーム(230)は、カメラの光軸(optical axis)(241)がレーザービームの推定方向(presumed direction)(203)にほぼ垂直となるように、ビデオカメラ(240)(より好ましくは、デジタル方式で、輪郭カメラ(側面カメラ)と呼ばれる)を設置することを可能にし、それゆえに照明面(照射面)にほぼ垂直となり、前記カメラは噴射ノズル(100)の末端部および前記ノズルから出射する粉末の流れの画像を提供する。別の方法では、輪郭カメラ(側面カメラ)は、光源の支持体(210)とは独立させてかつ、レーザービームの推定方向に関してその光軸の方向に沿うように機器に固定される。
【0036】
光路(optical path)(250)は、積層造形装置ヘッド(3Dプリンタヘッド)内に形成され、センタリングカメラと呼ばれる第二カメラ(第二画像撮影装置)(260)がノズル(100)の粉末噴射開口部を通して画像を取得することを可能にする。CLADメソッドを実装する多数の機器では、この光路(250)およびこの第二カメラ(第二画像撮影装置)の設置場所は、積層造形用ヘッド(3Dプリンタヘッド)の調節が不要となるように、あらかじめ設置される。図2に示す光路は、基本図(模範図)である。実際は、前記光路は、レーザービームを遮らないように形成される。すなわち、センタリングカメラ(260)は、ノズル(100)を通して見える画像を撮像提供する。光源(220)との関係における、積層造形装置ヘッド(3Dプリンタヘッド)(202)の光路および位置に関する、カメラの焦点や被写界深度についての調整は、センタリングカメラが、粉末噴射開口部の周辺および、具体化したレーザービームの位置を、実際の計測に適応した鮮明さで、同じ画像の中で見ることが出来るようなものである。この具体化は、ノズル(100)の末端部と照明面(照射面)との間に配置される目標物(ターゲット)の穿孔(perforation)によって得られる。前記目標物(ターゲット)の穿孔は、低減出力のレーザー照射によって行われる。
【0037】
二つのカメラ(240、260)は、例えば、携帯用コンピュータなどの取得および処理システム(290)に接続され、前記カメラよって提供される画像を集め、これらの画像の様々な処理を行うことを可能にしている。
【0038】
図3の実施例によれば、光源は、環状の配置に従って照明面(照射面)に配列される、例えば、発光ダイオードのような多数の光源(320)からなり、積層造形用ヘッド(3Dプリンタヘッド)がこの輪のほぼ中心に配置される。このような光源により、装置の中央において目標物(ターゲット)(303)をより見やすくする暗い中央域とともに、ノズルの影が生じない照明を得ることが可能となる。この実施例によれば、目標物(ターゲット)(303)は、照明面(照射面)に配置される。前記目標物(ターゲット)は、例えば、10ワット以下、好ましくは5ワット以下の低出力のレーザー照射を通して目標物(ターゲット)上に印(マーク)を付けることが可能な、紙または粘着薄片(adhesive strip)からなる。
【0039】
前記目標物(ターゲット)(303)は、照明面(照射面)と積層造形用ヘッド(3Dプリンタヘッド)のノズルの出口との間の、レーザービームの経路(光路)上に配置される。最も簡単な(簡易的な)実装の位置は、前記目標物(ターゲット)が照明面(照射面)の上かノズルの末端部の出口に配置されることによって得られる。目標物(ターゲット)は、クランプ(締め具)(図示せず)によって留められ、または保持される。低出力のレーザー照射は、目標物(ターゲット)上に、より暗い(より濃い)またはほぼ円形の穿孔の焼成領域(burnt zone)(393)を生成する。
【0040】
特別の実施例によれば、本発明に係る装置は、第二輪郭カメラ(側面カメラ)(340)を有し、積層造形用ヘッド(3Dプリンタヘッド)のノズルに向けて照準を合わせており、その光軸は、レーザービームの推定軸(presumed axis)に対して垂直であり、第一輪郭カメラ(側面カメラ)(240)の軸に対してほぼ垂直である。
【0041】
図4は、センタリングカメラによって見られる画像であり、その外周が粉末射出開口部に対応する照射リング(被照リング)(420)と、目標物(ターゲット)へのレーザーによって残された印(マーク)に対応する暗領域(dark spot)(493)とからなる。取得および処理手段によれば、照射領域(lighted spot)(420)と暗領域(493)のこれら2つの領域の輪郭(contour)は、例えば、円で一致し(同化し)ており、相互の偏心(eccentricity)を測定することが容易となる。この測定操作は、センタリングカメラにより供給される画像を取得および処理手段上で見ることによって、操作者(オペレータ)により行われる。2つの円の識別は、例えば、センタリングカメラによって取得される画像における前記輪郭の外形の重ね合わせ(スーパーインポーズ)ができる画像ツールを用いることによって、操作者(オペレータ)により行われる。正確(詳細)な計測を行うため、取得および処理手段は、センタリングカメラからも、他のカメラからの情報のように、使用されるレンズの焦点距離(focal length)、焦点設定(focus setting)、絞り値(aperture)および解像度(resolution)のような情報(この列挙は、網羅(限定列挙)または限定するものでない)を有利にも受信する。この情報は、表示される画像の再生産率を正確に計算し、それにより適切な計測を行うことを可能にする。
【0042】
照明面(照射面)上に目標物(ターゲット)が配置されると、ノズルの錐体の機械センタリング(心立て)が行われ、調整が実行され、本発明の装置に係る積層造形用ヘッド(3Dプリンタヘッド)が変位しない(置き換えない)状態で、粉末噴射開口部のセンタリングのあらゆる修正を、他のレーザー照射を行うことなしに、即座に視認することが可能となり、これによりリアルタイムで画像によるノズルの調整を行うことが可能となる。積層造形(3Dプリント)装置が、例えば、レンズ手段のようなレーザーの光学調整(機)を有するときは、最初の調整は、イメージの取得により算出される。一旦調整が行われると、他の照射が行われる。後の実施例によれば、実装の容易さは、目標物(ターゲット)がノズルの末端に配置されても、また、照明面(照射面)の上に配列されても、同じである。
【0043】
図5の実施例は、輪郭カメラ(側面カメラ)の取得および処理手段のいずれか一方に対応する表示画面(500)であり、輪郭カメラ(側面カメラ)によって見られる画像を表す第一フレーム(501)からなる。この画像は、積層造形用ヘッド(3Dプリンタヘッド)のノズル(100)の末端を表し、粉末の流れがこのノズルによって噴射されたとき、輪郭カメラ(側面カメラ)は、この粉末の流れの画像(560)を見ることを可能にする。もし、レーザービームが粉末の流れている間に発生すると、粉末状の粒子(particles)の照射(lighting)を前記レーザービームの方向(593)に見ることが出来る。別の実施例によれば、このノズルおよび粉末噴射の第一スクリーン(第一フレーム)中の映像は、粉末とガスの流量(流動率)の調整に従ったリアルタイムの粉末噴射および流れの形状を表示する動画か、または、予め行われた粉末噴射テストで描画された静止画となる。
【0044】
本発明に係るシステムは、任意にタイムスタンプ(時刻印)された画像または各種カメラで撮られた映像フィルムおよびその修正版を記録する記憶手段を有利なことに装備している。
【0045】
画面の第二フレーム(502)は、操作者(オペレータ)に、例えば、第一スクリーン(第一フレーム)(501)中に示される画像上に輪郭(線画、外形)を作成する画像ツールを含むこれらツールの一式を利用することを可能にする。これらのツールを使用することで、実施例によれば、操作者(オペレータ)は、例えば台形(不等辺四角形 trapeze)のような所定のパターン(565)に従って、粉末の流れの画像(560)の輪郭(側面)を決定する。この実施例によれば、第一フレーム(501)に表示されるラベル(566)は、操作者(オペレータ)に、そのように特定される台形(不等辺四角形)(565)の特徴に関する一次レベルの情報を与える。第二フレームの表示部(513)は、操作者(オペレータ)に、特定された輪郭(側面)(565)から推定・推論されるツールゲージに関する情報を提供する。これらツールゲージは、次に、操作者(オペレータ)によって、機器の補正(訂正)テーブルに手動で入力されるか、または、より有利なことに、取得および処理手段が、機器の命令制御(コマンドコントロール)によるデータ交換インターフェースを有しているので、機器の補正(訂正)テーブルは、操作者(オペレータ)が計測を確認した特定の数値情報の伝送によって、即座に更新される。これらのゲージ(gauges)は、例えば、台形(不等辺四角形)の長さ(縦幅)と、粉末の流れの大きい直径と相似する大きい横幅と、先細の流れの小さい直径と相似する切断された先端の横幅とからなる。
【0046】
第一フレーム(501)の画像は、また、粉末の流れとの関係で、レーザービーム(594)が不正確に方向付けられたであろう場合を検出することを可能にし、さらに、もし必要であれば、この方向付けを再設定するために必要となる調整を計算することを可能にする。
【0047】
本発明のシステムが2つの輪郭カメラ(側面カメラ)を有する場合、これらの各種調整および制御は、前記輪郭カメラ(側面カメラ)各々によって提供される画像を用いて実行される。
【0048】
上述の説明および実施例は、本発明が目標とする目的を達成することを示しており、すなわち、ノズルに関する、レーザーの位置取りにおける各種調整を大いに促進することを可能にしている。本発明は、ここに積層造形(3Dプリント)機器の枠組みを開示しているが、同様に、レーザー切断における、レーザー切断(用の)ノズルの同心性および方向性の調整にも適用され得る。画像ならびにその調整は、実行施行された製造作業のトレーサビリティー(復元可能性)を確保(保障)するため、記憶手段に有利にもアーカイブ(保管)される。

図1
図2
図3
図4
図5