(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガラス物品が、前記第1の主要な表面および前記第2の主要な表面のうちのいずれか一方において測定された、約6Nを超えるヌープ横クラックスクラッチ閾値を有する、請求項21〜29のいずれか一項記載の化学的に強化されたガラス物品。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここで、様々な実施形態を詳細に参照する。
【0027】
以下の説明では、図面に示されている幾つかの図を通して、類似の参照文字は類似のまたは対応する部分を示す。また、特に明記しない限り、例えば「上」、「底」、「外向き」、「内向き」等の用語は、便宜上用いられる言葉であり、限定する用語として解釈されるものではないことを理解されたい。更に、或る群が、複数の要素およびそれらの組合せの群のうちの少なくとも1つを含むものとして記載されている場合には常に、その群は、記載されている要素のうちの任意の数の要素を個々にまたは互いとの組合せで含むか、それらから実質的に構成されるか、または、それらから構成され得ることを理解されたい。同様に、或る群が、複数の要素およびそれらの組合せの群のうちの少なくとも1つから構成されるものとして記載されている場合には常に、その群は、記載されている要素のうちの任意の数の要素の、個々の要素または互いとの組合せから構成され得ることを理解されたい。特に明記しない限り、値の範囲が記載された場合には、それは、その範囲の上限および下限、並びにそれらの間の任意の範囲の両方を含む。本明細書で用いられる不定冠詞の「a」または「an」、およびそれに対応する定冠詞の「the」は、特に明記しない限り、「少なくとも1つ」、または「1以上」を意味する。また、明細書および図面において開示される様々な特徴は、あらゆる組合せで用いられ得ることを理解されたい。
【0028】
本明細書において用いられる「ガラス物品」という用語は、その広い意味で用いられ、全体的または部分的にガラスでできている任意の物体を含む。ガラス物品は、ガラスと非ガラス材料との積層体、ガラスと結晶材料との積層体、およびガラスセラミック(非晶質相および結晶相を含む)を含む。
【0029】
なお、本明細書において、「略(実質的に)」および「約」という用語は、任意の量的比較、値、測定値、または他の表現に帰属され得る固有の程度の不確実性を表すために用いられ得る。これらの用語は、本明細書において、量的表現が、記載されている基準から、問題の主題の基本的な機能に変化を生じずに変化し得る程度を表すためにも用いられる。従って、例えば、「MgOを実質的に含まない」ガラス物品とは、MgOがガラス物品に積極的に追加されない、即ち計量されないが、汚染物質として非常に小量だけ存在し得るものである。
【0030】
特に明記しない限り、全ての温度は摂氏(℃)で表される。熱膨張係数(CTE)はppm/℃で表され、特に明記しない限り、約20℃〜約300℃の温度範囲にわたって測定された値を表す。高温の(または液体の)CTEもppm/℃で表され、温度曲線に対比させた瞬間CTEの高温プラトー領域において測定された値を表す。高温CTEは、変形領域を通したガラスの加熱または冷却に関連づけられた体積変化を測定する。
【0031】
本明細書において用いられる「軟化点」という用語は、ガラスの粘度が約10
7.6ポアズ(P)である温度を指し、「アニール点」という用語は、ガラスの粘度が約10
13.2ポアズである温度を指し、「200ポアズ温度(T
200P)」という用語は、ガラスの粘度が約200ポアズである温度を指し、「10
11ポアズ温度」という用語は、ガラスの粘度が約10
11ポアズである温度を指し、「35kP温度(T
35kP)」という用語は、ガラスの粘度が約35キロポアズ(kP)である温度を指し、「160kP温度(T
160kP)」という用語は、ガラスの粘度が約160kPである温度を指す。
【0032】
本開示の第1の態様は、Li
2O、P
2O
5、およびB
2O
3を含む組成を有するアルミノシリケートガラス物品に関する。特に明記しない限り、全ての組成物は、酸化物ベースで分析されたモルパーセント(モル%)の単位で記載され、本明細書に記載されるように化学的に強化される前のガラス物品に関する。
【0033】
1以上の実施形態において、本組成物は、約60モル%〜約80モル%の範囲内の量のSiO
2、13.5モル%以上の量のAl
2O
3、約0.9モル%を超えるB
2O
3、約5モル%〜約11モル%の範囲内の量のLi
2O、約1モル%〜約5モル%の範囲内の量のP
2O
5、および約0.5モル%〜約12モル%の範囲内の量のNa
2Oを含む。
【0034】
1以上の実施形態において、本組成物は、約60モル%〜約80モル%の範囲内の量のSiO
2、10モル%以上の量のAl
2O
3、約0.9モル%を超えるB
2O
3、約5モル%〜約10モル%の範囲内の量のLi
2O、約1モル%〜約5モル%の範囲内の量のP
2O
5、および約0.5モル%〜約12モル%の範囲内の量のNa
2Oを含む。
【0035】
1以上の実施形態において、本組成物は、約60モル%〜約80モル%、約60モル%〜約78モル%、約60モル%〜約76モル%、約60モル%〜約75モル%、約60モル%〜約74モル%、約60モル%〜約72モル%、約60モル%〜約70モル%、約60モル%〜約68モル%、約60モル%〜約66モル%、約60モル%〜約64モル%、約62モル%〜約80モル%、約64モル%〜約80モル%、約65モル%〜約80モル%、約66モル%〜約80モル%、約68モル%〜約80モル%、約70モル%〜約80モル%、約72モル%〜約80モル%、約74モル%〜約80モル%、約75モル%〜約80モル%、約62モル%〜約68モル%、または約63モル%〜約64.5モル%(並びに、全ての範囲およびそれらの間の部分的な範囲)の範囲内の量のSiO
2を含む。
【0036】
1以上の実施形態において、本組成物は、約10モル%を超える、約12モル%を超える、約13モル%を超える、約13.5モル%を超える、または約14モル%を超える量のAl
2O
3を含む。幾つかの例では、Al
2O
3は、本明細書に記載される組成物中において、約10モル%〜約20モル%、約10モル%〜約18モル%、約10モル%〜約16モル%、約10モル%〜約15モル%、約10モル%〜約14モル%、約11モル%〜約20モル%、約12モル%〜約20モル%、約12.5モル%〜約20モル%、約13モル%〜約20モル%、約13.5モル%〜約20モル%、約14モル%〜約20モル%、または約12.5モル%〜約17モル%(並びに、全ての範囲およびそれらの間の部分的な範囲)の範囲内で存在し得る。
【0037】
1以上の実施形態において、本組成物は幾らかの量のB
2O
3を含む。1以上の実施形態において、本組成物は、約0.1モル%を超える、約0.2モル%を超える、約0.3モル%を超える、約0.4モル%を超える、約0.5モル%を超える、約0.6モル%を超える、約0.7モル%を超える、約0.8モル%、約0.9モル%を超えるを超える、または約1モル%を超える量のB
2O
3を含む。1以上の実施形態において、本組成物は、約0.5モル%〜約7.5モル%約0.5モル%〜約7モル%、約0.5モル%〜約6.5モル%、約0.5モル%〜約6モル%、約0.5モル%〜約5.5モル%、約0.5モル%〜約5モル%、約0.5モル%〜約4.5モル%、約0.5モル%〜約4モル%、約0.5モル%〜約3.5モル%、約0.9モル%〜約7.5モル%、約0.9モル%〜約7モル%、約0.9モル%〜約6.5モル%、約0.9モル%〜約6モル%、約0.9モル%〜約5.5モル%、約0.9モル%〜約5モル%、約0.9モル%〜約4.5モル%、約0.9モル%〜約4モル%、約0.9モル%〜約3.5モル%、約1モル%〜約7.5モル%、約1モル%〜約7モル%、約1モル%〜約6.5モル%、約1モル%〜約6モル%、約1モル%〜約5.5モル%、約1モル%〜約5モル%、約1モル%〜約4.5モル%、約1モル%〜約4モル%、約1モル%〜約3.5モル%、約1.5モル%〜約7.5モル%、約2モル%〜約7.5モル%、約2.5モル%〜約7.5モル%、約3モル%〜約7.5モル%、約3.5モル%〜約7.5モル%、約4モル%〜約7.5モル%、約4モル%〜約6モル%、または約1.5モル%〜約3モル%(並びに、全ての範囲およびそれらの間の部分的な範囲)の範囲内の量のB
2O
3を含む。
【0038】
1以上の実施形態において、B
2O
3の量は7.5モル%以下に制限される。理論に縛られるものではないが、より高い量のB
2O
3は、得られた化学的に強化されたガラス物品の最大CT値を劣化させると考えられる。更に、B
2O
3の存在は、本明細書に記載されるようなガラス物品および強化されたガラス物品の耐スクラッチ性を高める。理論に縛られるものではないが、三配位網目構造形成剤(例えば、B
2O
3等)を含むことで、ガラス網目構造に対する制約が低減され、B
2O
3を含まないガラス物品と比べて、(圧子形状に関係無く)スクラッチを受けた際に、ガラス網目構造が再配列されて密度が高くなるのを可能にする。B
2O
3と同じまたは類似の挙動をする他の構成成分としては、P
2O
5、SiO
2、およびAl
2O
3が挙げられる。1以上の実施形態において、B
2O
3、P
2O
5、SiO
2、およびAl
2O
3の合計量は、スクラッチを改善するために最大化されるが、これらの構成成分の合計量は、或る量(超えた場合に、化学的強化後のガラス物品の最大CTの低下を生じる量)を超えないべきである。
【0039】
1以上の実施形態において、組成物中のB
2O
3、P
2O
5、SiO
2、およびAl
2O
3の合計量は約80モル%以上である。一部の実施形態では、B
2O
3、P
2O
5、SiO
2、およびAl
2O
3の合計量は、約80モル%〜約94モル%、約80モル%〜約92モル%、約80モル%〜約90モル%、約80モル%〜約88モル%、約80モル%〜約86モル%、約82モル%〜約94モル%、約84モル%〜約94モル%、約86モル%〜約94モル%、または約88モル%〜約94モル%(並びに、全ての範囲およびそれらの間の部分的な範囲)の範囲内であり得る。
【0040】
1以上の実施形態において、本組成物は、約10モル%〜約22モル%、約10モル%〜約20モル%、約10モル%〜約18モル%、約10モル%〜約16モル%、約10モル%〜約15モル%、約11モル%〜約22モル%、約12モル%〜約22モル%、約13モル%〜約22モル%、約14モル%〜約22モル%、約12モル%〜約20モル%、約12モル%〜約18モル%、または約13モル%〜約17モル%の範囲内の合計量のR
2Oを含み得る。1以上の実施形態において、本組成物は、Rb
2O、Cs
2O、またはRb
2OおよびCs
2Oの両方を実質的に含まないものであり得る。本明細書において用いられる組成物の成分に関する「実質的に含まない」という表現は、その成分が、最初の計量において組成物に能動的または意図的に加えられないが、約0.001モル%未満の量の不純物として存在し得ることを意味する。
【0041】
1以上の実施形態において、本組成物は幾らかの量のLi
2Oを含む。例えば、1以上の実施形態において、本組成物は、約1モル%以上、約2モル%以上、約3モル%以上、または約4モル%以上の量のLi
2Oを含む。1以上の実施形態において、本組成物は、約2.5モル%〜約11モル%、約3モル%〜約11モル%、約3.5モル%〜約11モル%、約4モル%〜約11モル%、約4.5モル%〜約11モル%、約5モル%〜約11モル%、約5.5モル%〜約11モル%、約6モル%〜約11モル%、約5モル%〜約10.5モル%、約5モル%〜約10モル%、約5モル%〜約9.5モル%、約5モル%〜約9モル%、約5モル%〜約8.5モル%、約5モル%〜約8モル%、約5モル%〜約7モル%、約4モル%〜約10.5モル%、約4モル%〜約10モル%、約4モル%〜約9.5モル%、約4モル%〜約9モル%、約4モル%〜約8.5モル%、約4モル%〜約8モル%、約4モル%〜約7モル%、約4モル%〜約6モル%、約4.5モル%〜約10モル%、約5モル%〜約10モル%、約5.5モル%〜約10モル%、約6モル%〜約10モル%、約6.5モル%〜約10モル%、約7モル%〜約10モル%、約7.5モル%〜約10モル%、約8モル%〜約10モル%、約8.5モル%〜約10モル%、約9モル%〜約10モル%、または約5モル%〜約6モル%(並びに、全ての範囲およびそれらの間の部分的な範囲)の範囲内のLi
2Oを含む。
【0042】
1以上の実施形態において、B
2O
3、P
2O
5、SiO
2、およびAl
2O
3の総量または合計量(B
2O
3+P
2O
5+SiO
2+Al
2O
3)に対するLi
2Oの比率は、約0.074未満(例えば、約0.073以下、約0.072以下、約0.071以下、約0.07以下)である。一部の実施形態では、B
2O
3、P
2O
5、SiO
2、およびAl
2O
3の総量または合計量に対するLi
2Oの比率は、約0.065〜約0.073の範囲内である。例えば、イオン交換において、幾らかのLi
2O助剤を加えることで、有利なCSプロファイルを提供するより速いおよび/またはより深いイオン交換が可能になる。一部の実施形態では、Li
2Oの量は、B
2O
3、P
2O
5、SiO
2、およびAl
2O
3の総量または合計量(B
2O
3+P
2O
5+SiO
2+Al
2O
3)に対してバランスをとられ得るものであり、これによって耐スクラッチ性が提供される。この(B
2O
3、P
2O
5、SiO
2、およびAl
2O
3の総量または合計量に対するLi
2Oの)比率を上述のように維持することに関して、適量をバランスさせることで、ガラスは、有利なスクラッチ性能と(有利なCSプロファイルによる)落下性能とを有し得る。
【0043】
1以上の実施形態において、本組成物は幾らかの量のNa
2Oを含む。例えば、1以上の実施形態において、本組成物は、約0.5モル%以上、約1モル%以上、約2モル%以上、約3モル%以上、または約4モル%以上の量のNa
2Oを含む。1以上の実施形態において、Na
2Oの量は10モル%以下である。1以上の実施形態において、本組成物は、約0.5モル%〜約12モル%、1モル%〜約12モル%、1.5モル%〜約12モル%、2モル%〜約12モル%、約2.5モル%〜約12モル%、約3モル%〜約12モル%、約3.5モル%〜約12モル%、約4モル%〜約12モル%、約4.5モル%〜約12モル%、約5モル%〜約12モル%、約5.5モル%〜約12モル%、約6モル%〜約12モル%、約3モル%〜約12モル%、約3モル%〜約11モル%、約3モル%〜約10.5モル%、約3モル%〜約10モル%、約3モル%〜約9.5モル%、約3モル%〜約9モル%、約3モル%〜約8.5モル%、約3モル%〜約8モル%、約3モル%〜約7モル%、約3.5モル%〜約9モル%、または約3モル%〜約7.5モル%(並びに、全ての範囲およびそれらの間の部分的な範囲)の範囲内のNa
2Oを含む。
【0044】
1以上の実施形態において、組成物中のNa
2Oの量はLi
2Oの量より多くてもよい。幾つかの例では、Na
2Oの量は、Li
2OとK
2Oとを組み合わせた量より多くてもよい。1以上の別の実施形態では、組成物中のLi
2Oの量は、Na
2Oの量またはNa
2OとK
2Oとを組み合わせた量より多くてもよい。
【0045】
1以上の実施形態において、本組成物は、約2モル%未満のK
2Oを含む。幾つかの例では、本組成物は、約0モル%〜約2モル%、約0モル%〜約1.5モル%、約0モル%〜約1モル%、約0モル%〜約0.5モル%、約0モル%〜約0.2モル%、または約0モル%〜約0.1モル%の範囲内の量のK
2Oを含み得る。1以上の実施形態において、本組成物はK
2Oを実質的に含まないものであり得る。
【0046】
一部の実施形態では、本ガラス組成物は、1以上のアルカリ土類金属酸化物(RO)(例えば、MgO、CaO、SrO、BaO、およびZnO等)を含み得る。一部の実施形態では、ROの合計量は0ではない量から約5モル%までであり得る。1以上の特定の実施形態では、ROの合計量は、0ではない量から約4.5モル%まで、約4モル%まで、約3.5モル%まで、約3モル%まで、約2.5モル%まで、約2モル%まで、約1.5モル%まで、または約1モル%までであり得る。1以上の実施形態において、ROの合計量は、約0.05モル%〜約4.5モル%、約0.05モル%〜約4モル%、約0.05モル%〜約3.5モル%、約0.05モル%〜約3モル%、約0.05モル%〜約2.5モル%、約0.05モル%〜約2モル%、約0.05モル%〜約1.5モル%、または約0.05モル%〜約1モル%の範囲内であり得る。一部の実施形態では、ROの合計量は約1モル%〜約4モル%、約1モル%〜約3モル%、または約1モル%〜約2モル%の範囲内であり得る。
【0047】
1以上の実施形態において、本組成物は、0ではない量から約2モル%まで、または約1モル%までのMgOを含み得る。幾つかの例では、本組成物はMgOを実質的に含まないものであり得る。
【0048】
1以上の実施形態において、本組成物は、0ではない量から約2モル%まで、または約1モル%までのCaOを含み得る。幾つかの例では、本組成物はCaOを実質的に含まないものであり得る。
【0049】
1以上の実施形態において、本組成物は、0ではない量から約2モル%まで、または約1モル%までのSrOを含み得る。幾つかの例では、本組成物はSrOを実質的に含まないものであり得る。
【0050】
1以上の実施形態において、本組成物は、0ではない量から約2モル%まで、または約1モル%までのBaOを含み得る。幾つかの例では、本組成物はBaOを実質的に含まないものであり得る。
【0051】
1以上の実施形態において、本組成物は、0ではない量から約4.5モル%まで、約4モル%まで、約3.5モル%まで、約3モル%まで、約2.5モル%まで、約2モル%まで、約1.5モル%まで、または約1モル%までのZnOを含み得る。1以上の実施形態において、ZnOの合計量は、約0.05モル%〜約4.5モル%、約0.05モル%〜約4モル%、約0.05モル%〜約3.5モル%、約0.05モル%〜約3モル%、約0.05モル%〜約2.5モル%、約0.05モル%〜約2モル%、約0.05モル%〜約1.5モル%、または約0.05モル%〜約1モル%の範囲内であり得る。一部の実施形態では、ZnOの合計量は約1モル%〜約4モル%、約1モル%〜約3モル%、約1モル%〜約2モル%、約0.5モル%〜約4モル%、約0.5モル%〜約3モル%、または約0.5モル%〜約2モル%の範囲内であり得る。幾つかの例では、本組成物はZnOを実質的に含まないものであり得る。
【0052】
1以上の実施形態において、本ガラス組成物は、ZnOを含み、MgO、CaO、SrO、およびBaOを実質的に含まないものであり得る。一変形例において、本ガラス組成物は、ZnOおよび他の1つのRO(例えば、MgO、CaO、SrO、またはBaO)を含み、その他のRO構成成分を実質的に含まないものであり得る。1以上の特定の実施形態では、本ガラス組成物は、MgO、CaO、およびZnOのうちの2種のみのアルカリ土類金属酸化物を含み、第3のアルカリ土類金属酸化物を実質的に含まないものであり得る。
【0053】
1以上の実施形態において、本ガラス組成物は、約0モル%〜約10モル%、約0モル%〜約8モル%、約0モル%〜約7モル%、約0モル%〜約6モル%、約0モル%〜約4モル%、約0モル%〜約3モル%、約0.1モル%〜約10モル%、約0.1モル%〜約8モル%、約0.1モル%〜約6モル%、約0.1モル%〜約5モル%、約0.1モル%〜約4モル%、約0.1モル%〜約3モル%、約0.5モル%〜約5モル%、約0.5モル%〜約4モル%、約0.5モル%〜約3モル%、約1モル%〜約5モル%、約1モル%〜約4モル%、約1モル%〜約3モル%、または約2モル%〜約3モル%の範囲内のP
2O
5を含み得る。理論に縛られるものではないが、組成物中に幾らかのP
2O
5を含むことで、ガラスの液相挙動を管理し、高温CTEを低下させ、それにより、薄いガラス物品の形成が可能になる。理論に縛られるものではないが、幾らかのP
2O
5を含むことで、ガラスのジルコン破壊が容易になる。一部の実施形態では、本組成物は、より低い量(典型的には、化学的強化に用いられる量より低い(例えば、約12モル%以下))のNa
2Oと、Li
2OおよびP
2O
5とを含み、この組合せは、本明細書に記載される熱履歴を提供する液相挙動を示し、それにより、ガラス物品のフュージョン形成を可能にする。ガラス物品における特定の熱履歴の存在は、化学的強化を高めることを可能にする。
【0054】
1以上の実施形態において、本組成物は幾らかのTiO
2を含み得る。そのような実施形態では、TiO
2は、約2モル%未満、約1モル%未満、または約0.5モル%未満の量で存在し得る。1以上の別の実施形態では、本ガラス組成物はTiO
2を実質的に含まないものであり得る。
【0055】
1以上の実施形態において、本組成物はZrO
2を含み得る。そのような実施形態では、ZrO
2は、約2モル%未満、約1.5モル%未満、約1モル%未満、約0.9モル%未満、約0.8モル%未満、約0.7モル%未満、約0.6モル%未満、約0.5モル%未満、約0.4モル%未満、約0.3モル%未満、約0.2モル%未満、約0.15モル%未満、または約0.1モル%未満、並びに、全ての範囲およびそれらの間の部分的な範囲の量で存在し得る。1以上の別の実施形態では、本ガラス組成物は、本明細書において定義されるように、ZrO
2を実質的に含まないものであり得る。
【0056】
1以上の実施形態において、本組成物はFe
2O
3を含み得る。そのような実施形態では、Fe
2O
3は、約1モル%未満、約0.9モル%未満、約0.8モル%未満、約0.7モル%未満、約0.6モル%未満、約0.5モル%未満、約0.4モル%未満、約0.3モル%未満、約0.2モル%未満、約0.1モル%未満、並びに、全ての範囲およびそれらの間の部分的な範囲の量で存在し得る。1以上の別の実施形態では、本ガラス組成物は、本明細書において定義されるように、Fe
2O
3を実質的に含まないものであり得る。
【0057】
一部の実施形態では、本組成物は、Na
2SO
4、NaCl、NaF、NaBr、K
2SO
4、KCl、KF、KBr、As
2O
3、Sb
2O
3、およびSnO
2のうちのいずれか1以上から選択される、約0モル%〜約2モル%の少なくとも1つの清澄剤を含んで計量され得る。1以上の実施形態による組成物は、約0〜約2、約0〜約1、約0.1〜約2、約0.1〜約1、または約1〜約2の範囲内のSnO
2を更に含み得る。本明細書において開示されるガラス組成物は、As
2O
3および/またはSb
2O
3を実質的に含まないものであり得る。
【0058】
1以上の実施形態において、本組成物は、具体的には、60モル%〜65モル%のSiO
2、12モル%〜約18モル%のAl
2O
3、4モル%〜約8モル%のLi
2O、0モル%〜約4モル%のZnO、0モル%〜約2モル%のMgO、0モル%〜約2モル%のTiO
2、0.5モル%〜約8モル%のB
2O
3、4モル%〜約12モル%のNa
2O、0モル%〜約2モル%のK
2O、0モル%〜約2モル%のZrO
2、1モル%〜約4モル%のP
2O
5、および0.05モル%〜約0.2モル%のSnO
2を含み得る。
【0059】
1以上の実施形態において、本組成物は、具体的には、62モル%〜65モル%のSiO
2、12モル%〜約18モル%のAl
2O
3、8モル%〜約12モル%のLi
2O、0モル%〜約2モル%のZnO、0モル%〜約2モル%のMgO、0モル%〜約2モル%のTiO
2、0.5モル%〜約8モル%のB
2O
3、2モル%〜約8モル%のNa
2O、0モル%〜約2モル%のK
2O、0モル%〜約2モル%のZrO
2、1モル%〜約4モル%のP
2O
5、および0.05モル%〜約0.2モル%のSnO
2を含み得る。
【0060】
1以上の実施形態において、本組成物は、具体的には、62モル%〜68モル%のSiO
2、10モル%〜約18モル%のAl
2O
3、5モル%〜約11モル%のLi
2O、0モル%〜約2モル%のZnO、0モル%〜約2モル%のMgO、0モル%〜約2モル%のTiO
2、0.9モル%〜約6モル%のB
2O
3、2モル%〜約10モル%のNa
2O、0モル%〜約2モル%のK
2O、0モル%〜約2モル%のZrO
2、1モル%〜約4モル%のP
2O
5、および0.05モル%〜約0.2モル%のSnO
2を含み得る。
【0061】
一部の実施形態では、組成物(またはそれから形成されたガラス物品)は、特定の技術によるガラス物品の形成を可能にする液相粘度を有する。本明細書において用いられる「液相粘度」という用語は、液相温度における溶融ガラスの粘度を指し、「液相温度」という用語は、溶融ガラスが溶融温度から冷却する際に結晶が最初に現れる温度(または、温度が室温から上昇された際に最後の結晶が溶ける温度)を指す。
【0062】
1以上の実施形態において、本組成物(またはそれから形成されたガラス物品)は、約100kP〜約500kPの範囲内の液相粘度を示す。一部の実施形態では、本組成物(またはそれから形成されたガラス物品)は、約300キロポアズ(kP)未満(または以下)の液相粘度を示す。一部の実施形態では、本組成物(またはそれから形成されたガラス物品)は、約250kP以下、約200kP以下、または約180kP以下の液相粘度を示す。一部の実施形態では、本組成物(またはそれから形成されたガラス物品)は、約300kPより高い液相粘度を示す。一部の実施形態では、本組成物(またはそれから形成されたガラス物品)は、約350kP以上、約400kP以上、約450kP以上、約500kP以上、約750kP以上、約1000kP以上、または約2000kP以上の液相粘度を示す。
【0063】
1以上の実施形態において、本組成物(またはそれから形成されたガラス物品)は、約20℃〜約300℃の温度範囲にわたって測定された約55×10
−7ppm/℃〜約80×10
−7ppm/℃、約58×10
−7ppm/℃〜約80×10
−7ppm/℃、または約60×10
−7ppm/℃〜約80×10
−7ppm/℃の範囲内のCTEを示す。
【0064】
一部の実施形態では、本組成物(またはそれから形成されたガラス物品)は、約8×10
−7ppm/℃〜約18×10
−7ppm/℃、約10×10
−7ppm/℃〜約18×10
−7ppm/℃、約12×10
−7ppm/℃〜約18×10
−7ppm/℃、約8×10
−7ppm/℃〜約16×10
−7ppm/℃、約8×10
−7ppm/℃〜約14×10
−7ppm/℃、約8×10
−7ppm/℃〜約12×10
−7ppm/℃、または約8×10
−7ppm/℃〜約10×10
−7ppm/℃の範囲内の高温(または液体)CTEを示す。
【0065】
1以上の実施形態において、本組成物またはそれから形成されたガラス物品は、約70GPa〜約85GPa、約72GPa〜約85GPa、約74GPa〜約85GPa、約75GPa〜約85GPa、約76GPa〜約85GPa、約70GPa〜約80GPa、約72GPa〜約80GPa、約74GPa〜約80GPa、約75GPa〜約80GPa、約76GPa〜約80GPa、約70GPa〜約78GPa、約70GPa〜約76GPa、約70GPa〜約75GPa、約72GPa〜約78GPa、約75GPa〜約79GPa、または約70GPa〜約77GPaの範囲内のヤング率を示す。本開示において記載されるヤング率の値は、「Standard Guide for Resonant Ultrasound Spectroscopy for Defect Detection in Both Metallic and Non-metallic Parts(金属および非金属部品の両方における欠陥検出のための共鳴超音波分光法のための標準ガイド)」という名称のASTME2001−13で述べられている汎用タイプの共鳴超音波分光技術によって測定された値を指す。
【0066】
図3を参照すると、ガラス物品100の実施形態は、第1の主要な表面と第2の主要な表面との間の厚さt330を定める第1の主要な表面302およびその反対側の第2の主要な表面304を含む。1以上の実施形態において、ガラス物品は、本明細書に記載される組成物を含み得る。
【0067】
1以上の実施形態において、厚さtは、約3ミリメートル以下(例えば、約0.01ミリメートル〜約3ミリメートル、約0.1ミリメートル〜約3ミリメートル、約0.2ミリメートル〜約3ミリメートル、約0.3ミリメートル〜約3ミリメートル、約0.4ミリメートル〜約3ミリメートル、約0.01ミリメートル〜約2.5ミリメートル、約0.01ミリメートル〜約2ミリメートル、約0.01ミリメートル〜約1.5ミリメートル、約0.01ミリメートル〜約1ミリメートル、約0.01ミリメートル〜約0.9ミリメートル、約0.01ミリメートル〜約0.8ミリメートル、約0.01ミリメートル〜約0.7ミリメートル、約0.01ミリメートル〜約0.6ミリメートル、約0.01ミリメートル〜約0.5ミリメートル、約0.1ミリメートル〜約0.5ミリメートル、または約0.3ミリメートル〜約0.5ミリメートルの範囲内)であり得る。
【0068】
ガラス物品は、略平面状のシートであり得るが、他の実施形態は、湾曲した、または別様で形状のついた、または彫刻された物品を用いてもよい。幾つかの例では、ガラス物品は、3次元または2.5次元の形状を有し得る。それに加えて、またはその代わりに、ガラス物品の厚さは1以上の寸法に沿って一定でもよく、または、美学的および/もしくは機能的理由で1以上の寸法に沿って変化してもよい。例えば、ガラス物品の縁部は、ガラス物品のより中心の領域と比較して厚くなっていてもよい。また、ガラス物品の長さ、幅、および厚さの寸法は、物品の用途または使用法に従って変わり得る。
【0069】
ガラス物品は、略透明で、光の散乱を生じないものであり得る。1以上の実施の形態において、ガラス物品は、約1ミリメートルの厚さで測定されたときに、約380nm〜約780nmの範囲内の波長にわたって約88%以上の透過率を示し得る。
【0070】
ガラス物品は、約1.45〜約1.55の範囲内の屈折率を有し得る。本明細書において用いられる屈折率の値は、550nmの波長に関するものである。
【0071】
ガラス物品は、形成方法によって特徴づけられ得る。例えば、ガラス物品は、フロート形成可能(即ち、フロート法によって形成される)、ダウンドロー可能、および、特に、フュージョン形成可能またはスロットドロー可能(即ち、フュージョンドロー法またはスロットドロー法等のダウンドロー法によって形成される)として特徴づけられ得る。
【0072】
本明細書に記載されるガラス物品の一部の実施形態は、フロート法によって形成され得る。フロート形成可能なガラス物品は、溶融ガラスを溶融金属(典型的にはスズ)の床上に浮かべることによって設けられる滑らかな表面および均一な厚さによって特徴づけられ得る。例示的なプロセスでは、溶融スズ床の表面上に供給された溶融ガラスは、浮かんでいるガラスリボンを形成する。ガラスリボンがスズ槽に沿って流れると、温度が徐々に下がってガラスリボンが固化して固体のガラス物品になり、固体のガラス物品はスズからローラ上に引き上げられ得る。槽から出されたガラス物品は、更に冷却され、内部応力を低減するためにアニールされ得る。
【0073】
本明細書に記載されるガラス物品の一部の実施形態は、ダウンドロー法によって形成され得る。ダウンドロー法は、比較的清浄な表面を有する均一な厚さを有するガラス物品を製造する。ガラス物品の平均曲げ強度は表面の傷の量およびサイズによって制御されるので、接触が最小だった清浄な表面はより高い初期強度を有する。更に、ダウンドローによるガラス物品は、コストのかかる研削および研磨を行わずとも、最終的な用途で使用可能な非常に平坦で滑らかな表面を有する。
【0074】
ガラス物品の一部の実施形態は、フュージョン形成可能(即ち、フュージョンドロー法を用いて形成可能)として記述され得る。フュージョン法は、溶融したガラス原材料を受け入れるためのチャネルを有する延伸タンクを用いる。チャネルは、チャネルの両側においてチャネルの長さに沿って上側が開いた堰を有する。チャネルに溶融材料が満たされると、溶融ガラスは堰から溢れて流れる。重力に起因して、溶融ガラスは、延伸タンクの外面を、2つの流れるガラスの膜として流れ下る。これらの延伸タンクの外面は、内側に向かうように下に延び、延伸タンクの下方の縁部において接合する。2つの流れるガラスの膜は、この縁部において接合して融着し、単一の流れるガラス物品を形成する。チャネルから溢れて流れる2つのガラスの膜が一体に融着するので、フュージョンドロー法は、得られたガラス物品の外面のどちらも、装置のどの部分とも接触しないという長所を提供する。従って、フュージョンドローによるガラス物品の表面特性は、そのような接触による影響を受けない。
【0075】
本明細書に記載されるガラス物品の一部の実施形態は、スロットドロー法によって形成され得る。スロットドロー法は、フュージョンドロー法とは明確に異なる。スロットドロー法では、溶融した原材料ガラスが延伸タンクに供給される。延伸タンクの底部は、スロットの長さに延びるノズルを有する開口したスロットを有する。溶融ガラスはスロット/ノズルを通って流れ、連続したガラス物品として下に向かって延伸され、アニール領域に入る。
【0076】
1以上の実施形態において、本明細書に記載されるガラス物品は、非晶質微細構造を示し得るものであり、結晶または結晶子を実質的に含まないものであり得る。換言すれば、本ガラス物品はガラスセラミック材料を含まない。
【0077】
1以上の実施形態において、本明細書に記載されるガラス物品は、ガラス物品の厚さtに沿った応力プロファイルを付与するために、化学的に強化され得る。
図4は、化学的に強化されたガラス物品300の(x軸に沿って示されている)厚さ330に沿った応力プロファイルの断面を示す。応力の大きさはy軸上に示されており、線301は0応力を表す。
【0078】
応力プロファイル312は、第1の主要な表面302および第2の主要な表面304の一方または両方からDOC330まで延びる(表面CS値310を有する)CS層315と、DOC330から物品の中心部まで延びる(最大CT320を有する)CT層325とを含む。
【0079】
本明細書において用いられるDOCとは、ガラス物品内の応力が圧縮応力から引張応力に変わる深さを指す。DOCにおいては、応力は正の(圧縮)応力から負の(引張)応力へと横断し(例えば、
図4における330)、従って、0の応力値を示す。DOCは、イオン交換処理に応じて、FSMまたは散乱光偏光器(SCALP)によって測定され得る。ガラス物品内の応力が、ガラス物品中へのカリウムイオンの交換によって生成される場合には、DOCを測定するためにFSMが用いられる。応力が、ガラス物品中へのナトリウムイオンの交換によって生成される場合には、DOCを測定するためにSCALPが用いられる。ガラス物品内の応力が、ガラス中へのカリウムイオンおよびナトリウムイオンの両方の交換によって生成される場合には、ナトリウムの交換深さはDOCを示し、カリウムイオンの交換深さは圧縮応力の大きさの変化を示す(しかし、圧縮応力から引張応力への変化は示さない)と考えられるので、DOCはSCALPによって測定され、そのようなガラス物品内のカリウムイオンの交換深さはFSMによって測定される。
【0080】
CS層は、主要な表面302、304からDOC330まで延びる関連づけられた深さまたは長さ317を有する。CT層325も、関連づけられた深さまたは長さ327(CT領域または層)を有する。
【0081】
当該技術分野において通常用いられる慣例に従い、特に明記しない限り、圧縮または圧縮応力は負の(<0)応力として表され、張力または引張応力は正の(>0)応力として表される。しかし、本明細書を通して、圧縮応力CSに関して述べる場合には、正の値であるか負の値であるかは関係無く、即ち、本明細書に記載されるように、CS=|CS|(即ち、CSの絶対値)である。
【0082】
CS(表面CSを含む)は、市販の機器(例えば、折原製作所(日本国)製のFSM−6000等)を用いて、表面応力計(FSM)によって測定される。表面応力測定は、ガラスの複屈折に関係する応力光学係数(SOC)の正確な測定に依拠する。SOCは、「Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient(ガラス応力−光学係数の測定のための標準試験方法)」という名称のASTM規格C770−16(その内容の全体を参照して本明細書に組み込む)に記載されている手順C(Glass Disc Method(ガラスディスク法))に従って測定される。
【0083】
DOCおよび最大CT値は、当該技術分野において知られている散乱光偏光器(SCALP)技術を用いて測定される。応力プロファイルを測定するためには、屈折近視野(RNF)法またはSCALPが用いられ得る。応力プロファイルを測定するためにRNF法が用いられる場合には、RNF法において、SCALPによって提供される最大CT値が用いられる。具体的には、RNFによって測定された応力プロファイルが、SCALPによって提供される最大CT値に対して力平衡されて較正される。RNF法は、「Systems and methods for measuring a profile characteristic of a glass sample(ガラス試料のプロファイル特性を測定するためのシステムおよび方法)」という名称の米国特許第8,854,623号明細書(その全体を参照して本明細書に組み込む)に記載されている。具体的には、RNF法は、ガラス物品を基準ブロックに隣接させて配置し、1Hzのレートの直交偏光と50Hzのレートの直交偏光との間で切り替えられた偏光切替光線を発生し、偏光切替光線におけるパワーの量を測定し、各直交偏光における測定されたパワーの量が互いの50%以内である偏光切替基準信号を生成することを含む。この方法は、ガラス試料内に向かうそれぞれ異なる深さについて、偏光切替光線をガラス試料および基準ブロックに透過させ、リレー光学系を用いて、透過した偏光切替光線を信号光検出器にリレーし、信号光検出器が偏光切替検出器信号を生成することを更に含む。この方法は、検出器信号を基準信号で除算して正規化された検出器信号を構成し、正規化された検出器信号からガラス試料のプロファイル特性を決定することも含む。次に、RNFプロファイルは平滑化され、CT領域に対して用いられる。上述のように、FSM技術は、表面CSおよび表面付近のCS領域における応力プロファイルの傾斜に対して用いられる。
【0084】
上述のように、本明細書に記載されるガラス物品によって示される応力プロファイルは、イオン交換による化学的強化によって生じる。イオン交換プロセスでは、ガラス物品の表面または表面付近にあるイオンは、同じ価数または酸化状態を有するより大きいイオンに置き換えられる、即ち、交換される。ガラス物品がアルカリアルミノシリケートガラスで構成される実施形態では、物品の表面層内にあるイオンおよびより大きいイオンは、一価のアルカリ金属カチオン(例えば、Li
+、Na
+、K
+、Rb
+、およびCs
+等)である。或いは、表面層内にある一価のカチオンは、アルカリ金属カチオン以外の一価のカチオン(例えば、Ag
+等)で置き換えられてもよい。そのような実施形態では、ガラス物品内へと交換された一価のイオン(またはカチオン)は応力を生じる。
【0085】
イオン交換プロセスは、典型的には、ガラス物品を、ガラス物品内のより小さいイオンと交換されるより大きいイオンを含有する溶融塩槽(または2以上の溶融塩槽)に浸漬することによって行われる。なお、水性溶融塩槽が用いられてもよい。更に、槽の組成物は、2以上のタイプのより大きいイオン(例えば、Na
+およびK
+)または単一のより大きいイオンを含んでもよい。なお、槽の組成および温度、浸漬時間、(1または複数の)溶融塩槽内におけるガラス物品の浸漬回数、複数の溶融塩槽の使用、更なる工程(例えば、アニール、洗浄等)を含むがそれらに限定されないイオン交換プロセスのためのパラメータは、一般的に、ガラス物品の組成(物品および存在する何らかの結晶相の構造を含む)、並びに、強化によって生じるガラス物品の所望のDOCおよびCSによって決定されることが当業者には認識されよう。例示的な溶融槽の組成は、より大きいアルカリ金属イオンの硝酸塩、硫酸塩、および塩化物を含み得る。典型的な硝酸塩としては、KNO
3、NaNO
3、LiNO
3、NaSO
4、およびそれらの組合せが挙げられる。溶融塩槽の温度は、典型的には約380℃〜約450℃の範囲内であり、浸漬時間は、ガラス物品の厚さ、槽の温度、およびガラス(または一価のイオン)の拡散性に応じて、約15分間〜約100時間の範囲である。しかし、上述のものとは異なる温度および浸漬時間も用いられ得る。
【0086】
1以上の実施形態において、ガラス物品は、約370℃〜約480℃の温度を有する100%のNaNO
3、100%のKNO
3、またはNaNO
3とKNO
3との組合せの溶融塩槽に浸漬され得る。一部の実施形態では、ガラス物品は、約5%〜約90%のKNO
3と約10%〜約95%NaNO
3とを含む溶融混合塩槽に浸漬され得る。一部の実施形態では、ガラス物品は、Na
2SO
4とNaNO
3とを含みより広い温度範囲(例えば、高々約500℃まで)を有する溶融混合塩槽に浸漬され得る。1以上の実施形態において、ガラス物品は、第1の槽での浸漬後に、第2の槽に浸漬され得る。第1の槽および第2の槽は、互いに異なる組成および/または温度を有し得る。第1の槽および第2の槽における浸漬時間は様々であり得る。例えば、第1の槽における浸漬は第2の槽における浸漬より長くてもよい。
【0087】
1以上の実施形態において、ガラス物品は、NaNO
3およびKNO
3(例えば、49%/51%、50%/50%、51%/49%)を含む約420℃未満(例えば、約400℃または約380℃)の温度を有する溶融混合塩槽に、約5時間未満または約4時間以下にわたって浸漬され得る。
【0088】
イオン交換条件は、得られたガラス物品の表面または表面付近において「スパイク」を設けるよう、または、応力プロファイルの傾斜を増加させるよう、調整され得る。スパイクは、より高い表面CS値を生じ得る。このスパイクは、本明細書に記載されるガラス物品において用いられるガラス組成物の独特の特性に起因して、単一組成または混合組成を有する単一の槽または複数の槽によって達成され得る。
【0089】
2以上の一価のイオンがガラス物品内へと交換される1以上の実施形態において、それぞれ異なる一価のイオンは、ガラス物品内におけるそれぞれ異なる深さまで交換され得る(そして、ガラス物品内においてそれぞれ異なる深さに異なる大きさの応力を生じ得る)。得られる応力発生イオンの相対的な深さは、応力プロファイルのそれぞれ異なる特性を生じるよう決定され得る。
【0090】
1以上の実施形態では、Na
+イオンおよびK
+イオンがガラス物品内へと交換され、Na
+はイオンはK
+イオンよりもガラス物品内のより深い深さまで拡散する。K
+イオンの浸透の深さ(「カリウムDOL」)は、イオン交換プロセスの結果としてのカリウムの浸透の深さを表すので、DOCとは区別される。カリウムDOLは、典型的には、本明細書に記載される物品のDOCより小さい。カリウムDOLは、表面応力計(例えば、折原製作所(日本国)製の市販のFSM−6000表面応力計等)を用いて測定され、これは、CS測定を参照して上述したように、応力光学係数(SOC)の正確な測定に依拠する。
【0091】
1以上の実施形態において、化学的に強化されたガラス物品は、150MPa以上または約200MPa以上(例えば、約250MPa以上、約300MPa以上、約400MPa以上、約450MPa以上、約500MPa以上、または約550MPa以上)の表面CSを示し得る。幾つかの例では、表面CSは約700MPa以上である。表面CSは、高々約900MPaまで、高々約1000MPaまで、高々約1100MPaまで、または高々約1200MPaまでであり得る。1以上の実施形態において、表面CSは約400MPa〜約900MPaの範囲内であり得る。本明細書において提供される表面CS値は最大CSも含み得る。一部の実施形態では、表面CSは最大CSより小さい。
【0092】
1以上の実施形態において、化学的に強化されたガラス物品は、約100/√(t)未満、約95/√(t)以下、約90/√(t)以下、約85/√(t)以下、約80/√(t)以下、または約71.5/√(t)以下の最大CTを示し、ここで、tは厚さ(単位はmm)である。1以上の実施形態において、最大CTは約45/√(t)より大きいものであり得る。1以上の実施形態において、最大CTは約100MPa以下、約90MPa以下、約80MPa以下、約75MPa以下、または約70MPa以下(例えば、約60MPa以下、約55MPa以下、50MPa以下、または約40MPa以下)であり得る。1以上の実施形態において、最大CTの下限は25MPa、40MPa、または50MPaであり得る。一部の実施形態では、最大CT320は約25MPa〜約100MPa(例えば、約25MPa〜約90MPa、約25MPa〜約85MPa、約25MPa〜約80MPa、約25MPa〜約75MPa、約25MPa〜約70MPa、約25MPa〜約65MPa、約40MPa〜約100MPa、約40MPa〜約90MPa、約40MPa〜約80MPa、約40MPa〜約75MPa、約40MPa〜約70MPa、約40MPa〜約65MPa、約45MPa〜約80MPa、約50MPa〜約80MPa、または約60MPa〜約80MPa)の範囲内であり得る。
【0093】
最大CT320は、約0.3・t〜約0.7・t、約0.4・t〜約0.6・t、または約0.45・t〜約0.55・tの範囲に位置し得る。なお、表面CS310および最大CT320のうちのいずれか1以上は、ガラス物品の厚さに応じて異なり得る。例えば、約0.8mmの厚さを有するガラス物品は、約75MPa以下の最大CTを有し得る。ガラス物品の厚さが減少すると、最大CTは増加し得る。換言すれば、最大CTは、厚さが減少するにつれて(即ち、ガラス物品が薄くなるにつれて)増加する。
【0094】
一部の実施形態では、表面CS310に対する最大CT320の比率は約0.01〜約0.2の範囲内(例えば、約0.01〜約0.18、約0.01〜約0.16、約0.01〜約0.15、約0.01〜約0.14、約0.01〜約0.1、約0.02〜約0.2、約0.04〜約0.2、約0.05〜約0.2、約0.06〜約0.2、約0.08〜約0.2、約0.1〜約0.2、または約0.12〜約0.2の範囲内)である。一部の実施形態では、表面CSは、最大CTの1.5倍(または2倍、または2.5倍)以上であり得る。一部の実施形態では、表面CSは最大CTの高々約48倍まで、高々40倍まで、高々20倍まで、高々10倍まで、または高々8倍までであり得る。表面CSは最大CTの約5倍〜約50倍の範囲内であり得る。
【0095】
1以上の実施形態において、応力プロファイル312は最大CSを含み、最大CSは典型的には表面CS310であり、第1の表面302および第2の表面304の一方または両方において見出され得る。1以上の実施形態において、CS層または領域315は、厚さの一部に沿ってDOC317まで延在する。1以上の実施形態において、DOC317は約0.1・t以上であり得る。例えば、DOC317は約0.12・t以上、約0.14・t以上、約0.15・t以上、約0.16・t以上、0.17・t以上、0.18・t以上、0.19・t以上、0.20・t以上、約0.21・t以上、または高々約0.25・tであり得る。1以上の実施形態において、物品の第1の主要な表面302および第2の主要な表面304から測定されたDOC317は略等しい。
【0096】
1以上の実施形態において、ガラス物品は、約6μm〜約28μmの範囲内のカリウムDOLを有する。一部の実施形態では、カリウムDOLはガラス物品の厚さtの比として表され得る。1以上の実施形態において、カリウムDOLは約0.005t〜約0.07tの範囲内であり得る。一部の実施形態では、カリウムDOLは約0.005t〜約0.07t、約0.005t〜約0.065t、約0.005t〜約0.06t、約0.005t〜約0.055t、約0.005t〜約0.05t、約0.005t〜約0.045t、約0.005t〜約0.04t、約0.005t〜約0.035t、約0.005t〜約0.03t、約0.005t〜約0.025t、約0.005t〜約0.02t、約0.005t〜約0.015t、約0.005t〜約0.01t、約0.006t〜約0.07t、約0.008t〜約0.07t、約0.01t〜約0.07t、約0.015t〜約0.07t、約0.02t〜約0.07t、約0.027t〜約0.05t、約0.03t〜約0.07t、または約0.01t〜約0.03tの範囲内であり得る。
【0097】
1以上の実施形態において、カリウムDOLの深さにおける圧縮応力値は、約50MPa〜約300MPaの範囲内であり得る。一部の実施形態では、カリウムDOLの深さにおける圧縮応力値は、約50MPa〜約280MPa、約50MPa〜約260MPa、約50MPa〜約250MPa、約50MPa〜約240MPa、約50MPa〜約220MPa、約50MPa〜約200MPa、約60MPa〜約200MPa、約70MPa〜約200MPa、約75MPa〜約200MPa、約80MPa〜約200MPa、約90MPa〜約200MPa、約100MPa〜約200MPa、約110MPa〜約200MPa、約120MPa〜約200MPa、約130MPa〜約200MPa、約150MPa〜約200MPa、約60MPa〜約300MPa、約70MPa〜約300MPa、約75MPa〜約300MPa、約80MPa〜約300MPa、約90MPa〜約300MPa、約100MPa〜約300MPa、約110MPa〜約300MPa、約120MPa〜約300MPa、約130MPa〜約300MPa、または約150MPa〜約300MPaの範囲内であり得る。
【0098】
1以上の実施形態において、化学的に強化されたガラス物品は、約0.4・t以上、0.5・t以上、約55・t以上、または約0.6・t以上の最大化学的深さを示す。本明細書において用いられる「化学的深さ」という用語は、電子プローブ微小分析(EPMA)によって決定された、金属酸化物またはアルカリ金属酸化物のイオン(例えば、金属イオンまたはアルカリ金属イオン)がガラス物品内に拡散する深さであって、イオンの濃度が最小値に達する深さを意味する。このイオンは、イオン交換の結果として化学的に強化されたガラス物品内に拡散されたイオンである。最大化学的深さは、イオン交換プロセスによって化学的に強化されたガラス物品内へと交換された任意のイオンの最大拡散深さを指す。例えば、2以上の拡散するイオン種を有する溶融塩槽(即ち、NaNO
3およびKNO
3の両方を有する溶融塩槽)の場合には、これらの異なるイオン種は、化学的に強化されたガラス物品内のそれぞれ異なる深さまで拡散し得る。最大化学的深さは、化学的に強化されたガラス物品内へとイオン交換された全てのイオン種の最大拡散深さである。
【0099】
1以上の実施形態において、化学的に強化されたガラス物品は、約0.7mm〜約1.1mmの範囲内の厚さ、約40MPa〜約75MPaの範囲内の最大CT、約475MPa〜約750MPaの範囲内の表面CS、約0.11t〜約0.17tの範囲内のDOC、および約6μm〜約30μmの範囲内のカリウムDOLを有する。
【0100】
1以上の実施形態において、強化されたガラス物品は、約0.7mm〜約1.1mmの範囲内の厚さ、約45MPa〜約80MPaの範囲内の最大CT、約700〜約900MPaの範囲内の表面CS、約0.11t〜約0.2tの範囲内のDOC、および約8μm〜約26μmの範囲内のカリウムDOLを有する。
【0101】
1以上の実施形態において、化学的に強化されたガラス物品は、約0.7mm〜約1.1mmの範囲内の厚さ、約70MPa〜約100MPaの範囲内の最大CT、約700〜約900MPaの範囲内の表面CS、および約0.17t〜約0.2tの範囲内のDOCを有する。
【0102】
1以上の実施形態において、応力プロファイル312は、形状が放物線状として記述され得る。一部の実施形態では、ガラス物品の領域または深さに沿った応力プロファイルは、放物線状形状を示す引張応力を示す。1以上の特定の実施形態では、応力プロファイル312は平坦な応力(即ち、圧縮応力もしくは引張応力)の部分または略一定の応力(即ち、圧縮応力もしくは引張応力)を示す部分を含まない。一部の実施形態では、CT領域は、平坦な応力を実質的に含まないまたは略一定の応力を含まない応力プロファイルを示す。1以上の実施形態において、約0tから約0.2・tまでの厚さの範囲と0.8・tを超える厚さの範囲との間(または約0・tから約0.3・tまでの厚さの範囲と0.7・tを超える厚さの範囲との間)にある応力プロファイル312の全ての点は、傾斜が約−0.1MPa/μm未満または約0.1MPa/μmを超える接線を有する。他の実施形態では、約0tから約0.2・tまでの厚さの範囲の間にある応力プロファイル312の少なくとも1つの点および0.8・tを超える厚さにある応力プロファイルの少なくとも1つの点(または約0・tから約0.3・tまでおよび0.7・tを超える)は、傾斜が約−0.1MPa/μm未満または約0.1MPa/μmを超える接線を有する。一部の実施形態では、接線の傾斜は約−0.2MPa/μm未満または約0.2MPa/μmを超えるものであり得る。一部の更に特定の実施形態では、接線の傾斜は約−0.3MPa/μm未満または約0.3MPa/μmを超えるものであり得る。更に特定の実施形態では、接線の傾斜は、約−0.5MPa/μm未満または約0.5MPa/μmを超えるものであり得る。換言すれば、これらの厚さの範囲(即ち、0・tから約0.2・tまでの範囲および0.8tを超える範囲、または約0tから約0.3・tまでの範囲および0.7・t以上の範囲)に沿った1以上の実施形態の応力プロファイルは、本明細書に記載されるような接線の傾斜を有する点を含まない。理論に縛られるものではないが、公知の誤差関数または準線形応力プロファイルは、これらの厚さの範囲(即ち、約0・tから約0.2・tまでの範囲および0.8tを超える範囲、または約0tから約0.3・tまでの範囲および0.7・t以上の範囲)に沿って、傾斜が0または0に近い値である、即ち、約−0.1MPa/μmより大きく約0.1MPa/μmより小さい範囲内の接線を有する点を有する(
図2の220で示されているように、そのような厚さの範囲に沿った平坦なまたは傾斜が0の応力プロファイルを示す)。本開示の1以上の実施形態のガラス物品は、
図3に示されているように、これらの厚さの範囲に沿って平坦なまたは傾斜が0の応力プロファイルを有する、そのような応力プロファイルを示さない。
【0103】
1以上の実施形態において、ガラス物品は、約0.1・t〜0.3・tおよび約0.7・t〜0.9・tの厚さの範囲において、最大の接線の傾斜および最小の接線の傾斜を有する応力プロファイルを示す。幾つかの例では、最大の接線の傾斜と最小の接線の傾斜との間の差は約3.5MPa/μm以下、約3MPa/μm以下、約2.5MPa/μm以下、または約2MPa/μm以下である。
【0104】
1以上の実施形態において、ガラス物品は、ガラス物品の深さ方向に延びるまたは厚さtの少なくとも一部に沿って延びるいかなる平坦な線分も実質的に含まない応力プロファイル312を有する。換言すれば、応力プロファイル312は、厚さtに沿って略連続して増減する。一部の実施形態では、応力プロファイルは、深さ方向において約10μm以上、約50μm以上、約100μm以上、または約200μm以上の長さを有するいかなる平坦な線分も実質的に含まない。本明細書において用いられる「平坦な」という用語は、平坦な線分に沿って約0.55MPa/μm未満、または約0.22MPa/μm未満の大きさを有する傾斜を指す。一部の実施形態では、応力プロファイルの深さ方向においていかなる平坦な線分も実質的に含まない1以上の部分は、ガラス物品内における第1の表面または第2の表面の一方または両方から約5μm以上(例えば、10μm以上、または15μm以上)の深さに存在する。例えば、第1の表面から約0μm〜約5μm未満の深さに沿っては、応力プロファイルは線形の線分を含み得るが、第1の表面から約5μm以上の深さからは、応力プロファイルは平坦な線分を実質的に含まないものであり得る。本明細書において用いられる「線形」は、平坦な傾斜を有する線分および平坦な傾斜を有しない線分を含む。
【0105】
一部の実施形態では、応力プロファイルは、約0t〜約0.1tの深さにおいては線形の線分を含み得るが、約0.1t〜約0.4tの深さにおいては線形の線分を実質的に含まないものであり得る。一部の実施形態では、約0t〜約0.1tの範囲内の厚さからの応力プロファイルは、大きさ(絶対値)が約20MPa/マイクロメートル〜約200MPa/マイクロメートルの範囲内の傾斜を有し得る。本明細書に記載されるように、そのような実施形態は、槽が2以上のアルカリ塩を含むもしくは混合アルカリ溶融塩槽である単一のイオン交換プロセスを用いて、または複数の(例えば、2以上の)イオン交換プロセスを用いて形成され得る。
【0106】
1以上の実施形態において、ガラス物品は、CT領域(
図4の327)に沿った応力プロファイルの形状に関して記述され得る。例えば、一部の実施形態では、(応力が引張応力である)CT領域に沿った応力プロファイルは、式によって近似され得る。一部の実施形態では、CT領域に沿った応力プロファイルは、式(1)によって近似され得る:
Stress(x)=MaxT−(((CT
n・(n+1))/0.5
n)・|(x/t)−0.5|
n) …(1)
式(1)において、Stress(x)は位置xにおける応力値である。ここでは応力は正(張力)である。式(1)において、MaxTは最大張力値であり、CT
nはnにおける張力値でありMaxT以下である。MaxTおよびCT
nは両方とも正の値であり、単位はMPaである。値xは0〜tの範囲の厚さ(t)に沿った位置(単位はμm)であり、x=0は一方の表面(
図3の302)であり、x=0.5tはガラス物品の中心であり(この位置ではStress(x)=MaxT)であり、x=tは反対側の表面(
図3の304)である。式(1)において用いられているMaxTは最大CTと等価であり、約71.5/√(t)未満であり得る。一部の実施形態では、式(1)において用いられているMaxTは約50MPa〜約80MPa(例えば、約60MPa〜約80MPa、約70MPa〜約80MPa、約50MPa〜約75MPa、約50MPa〜約70MPa、または約50MPa〜約65MPa)の範囲内であり得、nは1.5〜5(例えば、2〜4、2〜3、もしくは1.8〜2.2)または約1.5〜約2のフィッティングパラメータである。1以上の実施形態において、n=2は、放物線状の応力プロファイルを提供し得るものであり、n=2から逸れた指数は放物線状に近い応力プロファイルを有する応力プロファイルを与える。1以上の実施形態において、ガラス物品の主要な表面の一方または両方に圧縮応力スパイクが存在する場合には、CT
nはMaxTより小さいものであり得る。1以上の実施形態において、ガラス物品の主要な表面の一方または両方に圧縮応力スパイクが存在しない場合には、CT
nはMaxTと等しい。
【0107】
一部の実施形態では、応力プロファイルは熱処理によって加減され得る。そのような実施形態では、熱処理はイオン交換プロセスの前、複数のイオン交換プロセスの間、または全てのイオン交換プロセスの後に行われ得る。一部の実施形態では、熱処理は、表面または表面付近における応力プロファイルの傾斜の大きさの絶対値を小さくし得る。一部の実施形態では、表面におけるより急なまたはより大きい傾斜が所望される場合には、表面または表面付近において「スパイク」を設けるため、即ち、応力プロファイルの傾斜を大きくするために、熱処理後のイオン交換プロセスが用いられ得る。
【0108】
1以上の実施形態において、化学的に強化されたガラス物品の応力プロファイル312は、厚さの一部に沿って変化する金属酸化物の0ではない濃度に起因して生じる。この金属酸化物濃度の変化は、本明細書においては、金属酸化物濃度勾配として参照され得る。一部の実施形態では、化学的に強化されたガラス物品の金属酸化物の濃度は、約0・t〜約0.3・tの厚さの範囲の両方に沿って、0にはならずに変化する。一部の実施形態では、金属酸化物の濃度は、約0・t〜約0.35・t、約0・t〜約0.4・t、約0・t〜約0.45・t、または約0・t〜約0.48・tの厚さの範囲に沿って、0にはならずに変化する。金属酸化物は、ガラス物品内に応力を生じるものとして説明され得る。濃度の変化は、上記で参照した厚さの範囲に沿って連続したものであり得る。濃度の変化は、約100μmの厚さの部分に沿って約0.2モル%の金属酸化物の濃度の変化を有し得る。この変化は、当該技術分野において知られているマイクロプローブを含む方法によって測定され得る。濃度が0ではなく厚さの一部に沿って変化する金属酸化物は、ガラス物品内に応力を生じるものとして説明され得る。
【0109】
化学的に強化されたガラス物品の金属酸化物濃度の変化は、上記で参照した厚さの範囲に沿って連続したものであり得る。一部の実施形態では、濃度の変化は、約10μm〜約30μmの範囲内の厚さの一部に沿って連続したものであり得る。一部の実施形態では、金属酸化物の濃度は、第1の表面から第1の表面と第2の表面との間の点における値まで減少し、この値から第2の表面まで増加する。
【0110】
化学的に強化されたガラス物品の金属酸化物の濃度は、2以上の金属酸化物(例えば、Na
2OおよびK
2Oの組合せ)を含み得る。イオンの半径が互いに異なる2種の金属酸化物が用いられる一部の実施形態では、浅い深さにおいては、より大きい半径を有するイオンの濃度がより小さい半径を有するイオンの濃度より高く、一方、より深い深さにおいては、より小さい半径を有するイオンの濃度がより大きい半径を有するイオンの濃度より高い。例えば、イオン交換プロセスにおいて単一のNaおよびK含有槽が用いられる場合には、より浅い深さにおいては、ガラス物品内におけるK
+イオンの濃度がNa
+イオンの濃度より高く、一方、より深い深さにおいては、Na
+イオンの濃度がK
+イオンの濃度より高い。これは、部分的には、より小さい一価のイオンの代わりにガラス内へと交換される一価のイオンのサイズに起因する。そのようなガラス物品では、表面または表面付近における領域は、表面または表面付近においてはより大きいイオン(即ち、K
+イオン)の量がより高いことに起因して、より高いCSを有する。このより高いCSは、表面または表面付近においてより急な傾斜(即ち、表面における応力プロファイルのスパイク)を有する応力プロファイルによって示され得る。
【0111】
本明細書において先に述べたように、1以上の金属酸化物の濃度勾配または濃度変化はガラス物品の化学的強化によって生じ、化学的強化においては、ガラス物品中の複数の第1の金属イオンが複数の第2の金属イオンと交換される。第1のイオンは、リチウム、ナトリウム、カリウム、およびルビジウムのイオンであり得る。第2の金属イオンは、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、およびセシウムのイオンであり得るが、但し、第2のアルカリ金属イオンは、第1のアルカリ金属イオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する。第2の金属イオンはガラス物品中にそれらの酸化物(例えば、Na
2O、K
2O、Rb
2O、Cs
2O、またはそれらの組合せ)として存在する。
【0112】
1以上の実施形態において、化学的に強化されたガラス物品の金属酸化物濃度勾配は、ガラス物品のCT層327を含む厚さtの大部分または厚さt全体を通って延在する。1以上の実施形態において、CT層327内の金属酸化物の濃度は約0.5モル%以上である。一部の実施形態では、金属酸化物の濃度はガラス物品の厚さ全体に沿って約0.5モル%以上(例えば、約1モル%以上)であり得、第1の表面302および/または第2の表面304において最大となり、第1の表面302と第2の表面304との間の点まで略一定に減少する。その点において、金属酸化物の濃度は厚さt全体に沿って最小となるが、その点における濃度は0ではない。換言すれば、特定の金属酸化物のその0ではない濃度は、(本明細書に記載されるように)厚さtの大部分または厚さt全体に沿って延在する。一部の実施形態では、特定の金属酸化物の最も低い濃度はCT層327内にある。ガラス物品中の特定の金属酸化物の合計濃度は、約1モル%〜約20モル%の範囲内であり得る。
【0113】
1以上の実施形態において、化学的に強化されたガラス物品は、第1の金属酸化物濃度および第2の金属酸化物濃度を有し、第1の金属酸化物濃度は、約0t〜約0.5tの第1の厚さの範囲に沿って約0モル%〜約15モル%の範囲内であり、第2の金属酸化物濃度は、約0μm〜約25μm(または約0μm〜約12μm)第2の厚さの範囲から約0モル%〜約10モル%の範囲内である。しかし、第1の金属酸化物および第2の金属酸化物の一方または両方の濃度は、ガラス物品の厚さの大部分または厚さ全体に沿って0ではない。化学的に強化されたガラス物品は、必用に応じて第3の金属酸化物濃度を含み得る。第1の金属酸化物はNa
2Oを含み得るものであり、一方、第2の金属酸化物はK
2Oを含み得る。
【0114】
化学的に強化されたガラス物品の実施形態における金属酸化物の濃度は、そのような金属酸化物の濃度勾配を有するよう加減される前の、ガラス物品中の金属酸化物のベースライン量から決定され得る。
【0115】
1以上の実施形態において、未強化のガラス物品および化学的に強化されたガラス物品は、約6N以上、約8N以上、約10N以上、約12N以上、約14N以上、または約16N以上のヌープ横クラックスクラッチ閾値を示す。一部の実施形態では、未強化のガラス物品および化学的に強化されたガラス物品は、約6N〜約26N、約8N〜約26N、約10N〜約26N、約12N〜約26N、約14N〜約26N、約15N〜約26N、約16N〜約26N、約18N〜約26N、約6N〜約24N、約6N〜約22N、約6N〜約20N、約6N〜約18N、約6N〜約16N、または約18N〜約24Nの範囲内のヌープ横スクラッチ閾値を示す。ヌープスクラッチ横クラック閾値は、未強化のガラス物品および化学的に強化されたガラス物品の第1の主要な表面302または第2の主要な表面304上において測定され得る。本明細書において用いられるヌープスクラッチ横クラック閾値は、(5回の押込み事象のうちの3回以上における)横クラックの開始である。ヌープ横クラックスクラッチ閾値試験において、ガラス物品の試料および物品に対して、まず、試料の個体群についての横クラック開始負荷範囲を識別するために、ヌープ圧子を用いて、動的なまたは傾斜した負荷をかけて、スクラッチを行った。適用可能な負荷範囲が識別されたら、ヌープスクラッチ閾値を識別するために、一定の負荷を増加させた一連のスクラッチ(負荷毎に最小3回以上)を行う。ヌープスクラッチ閾値の範囲は、試験試料を次の3つの破断モードうちの1つと比較することによって決定され得る。1)溝の幅の2倍を超える長い表面横クラック、2)損傷は溝内に含まれるが、溝の幅の2倍より小さい表面横クラックが存在し、裸眼で見える損傷が存在する、または3)溝の幅の2倍を超える大きい表面下横クラックの存在、および/または、スクラッチの頂点に中央クラックが存在する。
【0116】
ガラス物品(未強化のガラス物品および化学的に強化されたガラス物品の両方)の実施形態は、モバイル電子装置用およびタッチ操作可能なディスプレイ用のカバーガラスとして用いられ得る。ガラス物品は、ディスプレイ(またはディスプレイ物品として)(例えば、広告板、POSシステム、コンピュータ、ナビゲーションシステム等)、建築物品(壁、固定具、パネル、窓等)、輸送物品(例えば、自動車用途、電車、飛行機、船等)、家電(例えば、洗濯機、乾燥機、食器洗浄機、冷蔵庫等)、または幾らかの耐破砕性を要する任意の物品においても用いられ得る。
【0117】
特に、本明細書に記載されるガラス物品は薄く、本明細書に記載されるように化学的に強化された場合には、典型的には厚い(例えば、約2mmまたは3mm以上の厚さを有する)ガラス物品をテンパリングすることによってのみ達成可能な応力プロファイルを示す。本ガラス物品は、その厚さtに沿って独特の応力プロファイルを示す。幾つかのケースでは、本明細書に記載されるガラス物品は、テンパリングされたガラス物品よりも大きい表面CSを示す。1以上の実施形態において、本ガラス物品は、ガラス物品内により深く延びる(CSが公知の化学的に強化されたガラス物品よりも徐々に増減する)圧縮応力層を有し、そのようなガラス物品は、たとえガラス物品またはそれを含む装置が硬い表面(例えば、花崗岩)上または硬くて粗い表面(例えば、アスファルト)上に落下した場合でも、かなり改善された耐破砕性を示す。1以上の実施形態のガラス物品は、幾つかの公知の化学的に強化されたガラス物品よりも高い最大CT値を示す。
【0118】
1以上の実施形態において、本明細書に記載される化学的に強化されたガラス物品は、摩擦摩耗リング・オン・リング(AROR)試験を受けたときに、改善された表面強度を示す。材料の強度は、破砕が生じる応力として定義される。AROR試験は、平坦なガラス試料を試験するための表面強度測定であり、「Standard Test Method for Monotonic Equibiaxial Flexural Strength of Advanced Ceramics at Ambient Temperature(周囲温度における進化したセラミックの単調な等二軸曲げ強度の標準試験方法)」という名称のASTM C1499−09(2013)は、本明細書に記載されるAROR試験方法の基礎となるものである。ASTM C1499−09の内容の全体を参照して本明細書に組み込む。一実施形態において、ガラス試料は、リング・オン・リング試験の前に、「Standard Test Methods for Strength of Glass by Flexure (Determination of Modulus of Rupture)(ガラスの曲げ強度の標準試験方法(破断係数の決定))」という名称のASTM C158−02(2012)の「Abrasion Procedures(摩擦摩耗手順)」という名称のAnnex A2に記載されている方法および装置を用いてガラス試料に送出される90グリットの炭化ケイ素(SiC)粒子を用いた摩擦摩耗を受ける。ASTM C158−02の内容およびAnnex2の内容の全体を参照して本明細書に組み込む。
【0119】
リング・オン・リング試験の前に、試料の表面欠陥条件を正規化および/または制御するために、ガラス物品の表面は、ASTM C158−02の
図A2.1に示されている装置を用いて、ASTM C158−02のAnnex2に記載されているように摩擦摩耗を受ける。摩擦摩耗材料は、ガラス物品の表面110にサンドブラストで304kPa(44psi)の空気圧を用いて15psi(約103.4kPa)の負荷で吹き付けられる。空気の流れが確立された後、5cm
3の摩擦摩耗材料が漏斗内に落とされ、摩擦摩耗材料の導入後、試料は5秒間にわたってサンドブラストを受ける。
【0120】
AROR試験のために、
図5に示されているように、少なくとも1つの摩擦摩耗を受けた面410を有する化学的に強化されたガラス物品は、
図5に示されているように、等二軸曲げ強度(即ち、材料が2つの同軸のリングの間において曲げを受けたときに耐えられる最大応力)を決定するために、サイズが異なる2つの同軸のリングの間に配置される。AROR構成400において、摩擦摩耗を受けたガラス物品410は、直径D2を有する支持リング420によって支持される。直径D1を有する負荷リング430によって、ガラス物品の表面に、ロードセル(図示せず)による力Fが加えられる。
【0121】
負荷リングの直径と支持リングの直径との比D1/D2は約0.2〜約0.5の範囲内であり得る。一部の実施形態では、D1/D2は約0.5である。負荷リングおよび支持リング130、120は、支持リングの直径D2の0.5%以内になるよう同軸に位置合わせされるべきである。試験に用いられるロードセルは、選択された範囲内の任意の負荷において±1%以内の精度であるべきである。一部の実施形態では、試験は、23±2°Cの温度および40±10%の相対湿度で行われる。
【0122】
固定具の設計については、負荷リング430の半径rの突出した表面、h/2≦r≦3h/2であり、ここで、hはガラス物品410の厚さである。負荷リングおよび支持リング430、420は、典型的には硬度HRc>40を有する硬化鋼でできている。ARORの固定具は市販されている。
【0123】
AROR試験用の意図的な破断のメカニズムは、負荷リング430内にある表面430aから発生するガラス物品410の破砕を観察するためのものである。この領域の外側、即ち、負荷リング430と支持リング420との間において生じた破断は、データの分析から除外される。しかし、ガラス物品410の薄さおよび高い強度に起因して、試料の厚さhの1/2を超える大きいたわみが観察されることもある。従って、負荷リング430の下から発生した高い割合の破断を観察することは珍しくない。(ひずみゲージ解析によって収集される)リング内およびリング下の両方における応力の発達、並びに、各試料内における破断の起点の知見がなければ、応力を正確に計算することはできない。従って、AROR試験は、測定された応答としての破断におけるピーク負荷に焦点を当てる。
【0124】
ガラス物品の強度は、表面の傷の存在に応じて異なる。しかし、ガラスの強度の性質は統計的であるので、所与のサイズの傷が存在する尤度を正確に予測することはできない。従って、確率分布は、一般的に、取得されたデータの統計的表現として用いられ得る。
【0125】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるガラス物品は、表面に摩擦摩耗を生じるために25psi(約172kPa)または45psi(約310kPa)の負荷を用いたAROR試験によって決定された、20kgf(約196N)〜約30kgf(約294N)の等二軸曲げ強度の表面を有する。他の実施形態では、表面強度は25kgf(約245N)以上、および更に別の実施形態では30kgf(約294N)以上である。
【0126】
一部の実施形態では、本明細書に記載される化学的に強化されたガラス物品は、逆ボール・オン・サンドペーパー(IBoS)試験における性能に関して説明され得る。IBoS試験は、
図6に模式的に示されているような、モバイルまたは携帯型電子装置において用いられるガラス物品において典型的に生じる、損傷の導入および曲げに起因する破断についての主なメカニズムを模倣した動的成分レベル試験である。フィールドにおいて、ガラス物品の上面上における損傷の導入が生じる(
図7のa)。ガラス物品の上面において破砕が開始し、損傷がガラス物品に侵入する(
図7のb)か、または、ガラス物品の上面または内部の曲げから破砕が伝搬する(
図7のc)。IBoS試験は、動的負荷の下で、ガラスの表面に損傷を導入するのと同時に曲げを加えるよう設計される。幾つかの例では、ガラス物品は、圧縮応力を有する場合に、同じガラス物品が圧縮応力を有しない場合よりも改善された落下性能を示す。
【0127】
IBoS試験装置は
図6に模式的に示されている。装置500は、試験スタンド510およびボール530を含む。ボール530は、例えば、ステンレス鋼ボール等の剛性または中実のボールである。一実施形態では、ボール530は、10mmの直径を有する4.2グラムのステンレス鋼ボールである。ボール530は、所定の高さhからガラス物品試料518上に直接落とされる。試験スタンド510は、例えば、花崗岩等の硬い剛性材料で構成された中実のベース512を含む。中実のベース512の上面には、表面に摩擦摩耗材料が設けられたシート514が、摩擦摩耗材料を有する表面が上を向くように配置される。一部の実施形態では、シート514は、30グリットの表面を有する(他の実施形態では180グリットの表面を有する)サンドペーパーである。ガラス物品試料518は、試料ホルダー515によってシート514の上方の位置に保持され、ガラス物品試料518とシート514との間には空隙516が存在する。シート514とガラス物品試料518との間の空隙516は、ボール530による衝撃の際に、ガラス物品試料518がシート514の摩擦摩耗面上に向かって曲がるのを可能にする。一実施形態では、曲げがボールの衝撃点のみに食い止められ、再現性が確保されるように、ガラス物品試料218は全ての角にわたってクランプされる。一部の実施形態では、試料ホルダー514および試験スタンド510は、高々約2mmまでの試料の厚さに対応するよう構成される。空隙516は約50μm〜約100μmの範囲内である。空隙516は、材料の剛性(ヤング率)(試料のヤング率および厚さも含む)の差に合わせて調節されるよう構成される。ボール530の衝撃に際してガラス物品試料518が破砕した場合に破片を集めるために、ガラス物品試料の上面を覆うために接着テープ520が用いられ得る。
【0128】
摩擦摩耗面としては、様々な材料が用いられ得る。特定の一実施形態では、摩擦摩耗面はサンドペーパー(例えば、炭化ケイ素もしくはアルミナサンドペーパー、工学的に設計されたサンドペーパー、または当業者に知られている同等の硬さおよび/または鋭さを有する任意の摩擦摩耗材料等)である。一部の実施形態では、コンクリートまたはアスファルトよりも一貫した表面トポグラフィ、並びに、所望のレベルの試料表面の損傷を生じる粒子サイズおよび鋭さを有する、30グリットのサンドペーパーが用いられ得る。
【0129】
1つの態様において、本明細書において上述した装置500を用いてIBoS試験を行う方法600が
図8に示されている。ステップ610において、ガラス物品が先に述べた試験スタンド510内に配置され、ガラス物品試料518と摩擦摩耗面を有するシート514との間に空隙516が形成されるように、試料ホルダー515内に固定される。方法600では、摩擦摩耗面を有するシート514は既に試験スタンド510内に配置されているものとする。しかし、一部の実施形態では、本方法は、摩擦摩耗材料を有する表面が上を向くようにシート514を試験スタンド510内に配置することを含み得る。一部の実施形態では(ステップ610a)、ガラス物品試料518を試料ホルダー510に固定する前に、ガラス物品試料518の上面に接着テープ520が施される。
【0130】
ステップ520において、所定の質量およびサイズの中実のボール530がガラス物品試料518の上面(または上面に固定された接着テープ520)のほぼ中心(即ち、中心から1mm以内、3mm以内、5mm以内、または10mm以内)に衝撃を与えるように、ボール530が所定の高さhからガラス物品試料518の上面に落とされる。ステップ520における衝撃に続き、ガラス物品試料518に対する損傷の程度が決定される(ステップ630)。本明細書において先に述べたように、本明細書における「破砕」という用語は、基体が落下したとき、または物体による衝撃を受けたときに、基体の厚さ全体および/または表面全体にわたってクラックが伝搬することを意味する。
【0131】
方法600において、摩擦摩耗面を有するシート518は、他のタイプ(例えば、コンクリートまたはアスファルト)の落下試験面の繰り返しの使用において観察されている「経時変化」の影響を回避するために、各落下後に交換され得る。
【0132】
方法600では、典型的には、様々な所定の落下高さhおよび増分が用いられる。試験は、例えば、最小落下高さ(例えば、約10〜20cm)を用いて開始し得る。次に、後続の落下について、1組の増分または可変の増分だけ高さが増加され得る。方法600に記載されている試験は、ガラス物品試料518が破壊または破砕したら止められる(ステップ631)。或いは、破砕を生じずに落下高さhが最大落下高さ(例えば、約100cm)に到達した場合には、方法300の落下試験も停止され得るか、または、破砕が生じるまで、最大高さにおいてステップ520が繰り返され得る。
【0133】
一部の実施形態では、方法600のIBoS試験は、各ガラス物品試料518に対して各所定の高さhで1回のみ行われる。しかし、他の実施形態では、各試料は各高さにおいて複数回の試験を受け得る。
【0134】
ガラス物品試料518の破砕が生じた場合には(
図8のステップ631)、方法600によるIBoS試験は終了する(ステップ640)。所定の落下高さにおけるボールの落下によって破砕が生じないことが観察された場合には(ステップ632)、落下高さが所定の増分(例えば、例えば5、10、または20cm等)だけ増加され(ステップ634)、試料の破砕が観察される(631)までまたは試料の破砕を生じずに最大試験高さに到達する(636)まで、ステップ620および630が繰り返される。ステップ631または636に到達したら、方法600による試験は終了する。
【0135】
上述の逆ボール・オン・サンドペーパー(IBoS)試験を受けたとき、本明細書に記載されるガラス物品の実施形態は、ボールが100cmの高さからガラスの表面に落とされたときに、少なくとも約60%のサバイバル率(即ち、60%以上のサバイバル率)を有する。例えば、ガラス物品は、所与の高さから落とされたときに、5個中3個の同一の(または、ほぼ同一の)試料(即ち、ほぼ同じ組成を有し、本明細書に記載されるように強化されたときに、ほぼ同じ圧縮応力および圧縮の深さまたは圧縮応力層を有する)が、所定の高さ(ここでは100cm)から落とされたときに、破砕を生じずにIBoS落下試験に耐えた場合、60%のサバイバル率を有するものとして説明される。他の実施形態では、強化されたガラス物品の100cmのIBoS試験におけるサバイバル率は少なくとも約70%(70%以上)、他の実施形態では少なくとも約80%(80%以上)、更に別の実施形態では少なくとも約90%(90%以上)である。他の実施形態では、IBoS試験において100cmの高さから落とされた強化されたガラス物品のサバイバル率は、少なくとも約60%(60%以上)、他の実施形態では少なくとも約70%(70%以上)、更に別の実施形態では少なくとも約80%(80%以上)、および他の実施形態では少なくとも約90%(90%以上)である。1以上の実施形態において、IBoS試験において150cmの高さから落とされた強化されたガラス物品のサバイバル率は、少なくとも約60%(60%以上)、他の実施形態では少なくとも約70%(70%以上)、更に別の実施形態では少なくとも約80%(80%以上)、および他の実施形態では少なくとも約90%(90%以上)である。
【0136】
本明細書において上述したIBoS試験方法および装置を用いて所定の高さから落とされたときのガラス物品のサバイバビリティ率を決定するために、ガラス物品の少なくとも5個の同一の(または、ほぼ同一の)試料(即ち、ほぼ同じ組成を有し、強化された場合には、ほぼ同じ圧縮応力および圧縮の深さまたは層を有する)が試験されるが、試験結果の信頼性レベルを上げるために、それより多い数(例えば、10個、20個、30個等)の試料が試験を受けてもよい。各試料は、所定の高さ(例えば、100cmまたは150cm)から1回落とされるか、或いは、所定の高さに到達するまで、破砕を生じないまま次第により高い高さから落とされ、破砕の証拠(クラックの形成および試料の厚さ全体および/または表面全体にわたる伝搬)について目視で(即ち、裸眼で)検査される。試料は、所定の高さから落とされた後に破砕が観察されなかった場合には、落下試験に「耐えた」と見なされ、試料が所定の高さ以下の高さから落とされたときに破砕が観察された場合には、試料は「破断した(または「耐えなかった」)と見なされる。サバイバビリティ率は、落下試験に耐えた試料の個体群の割合として決定される。例えば、10個の群の中で7個の試料が所定の高さから落とされたときに破砕しなかった場合には、そのガラスのサバイバビリティ率は70%となる。
【0137】
本開示の別の態様は、本明細書に記載されるガラス物品を含む装置に関する。例えば、装置は、ディスプレイを含む、または強化された薄いガラスを要する任意の装置を含み得る。1以上の実施形態において、装置は、モバイル装置(例えば、携帯電話、ラップトップ、タブレット、mp3プレイヤー、ナビゲーション装置等)、または据置型装置(例えば、コンピュータ、電子ディスプレイ、車載情報/エンターテインメントシステム、広告板、POSシステム、ナビゲーションシステム等)を含み得る電子装置である。一部の実施形態では、本明細書に記載されるガラス物品は、建築物品(壁、固定具、パネル、窓等)、輸送物品(例えば、自動車用途、電車、飛行機、船等におけるグレージングまたはインテリアの表面)、家電(例えば、洗濯機、乾燥機、食器洗浄機、冷蔵庫等)、または幾らかの耐破砕性を要する任意の物品に組み込まれ得る。
図9に示されているように、電子装置1000は、本明細書に記載される1以上の実施形態によるガラス物品100を含み得る。装置1000は、前面1040、後面1060、および側面1080を有する筐体1020と、少なくとも部分的にまたは全体的に筐体内にある電気的構成要素(図示せず)であって、少なくともコントローラ、メモリ、および筐体の前面にあるまたは前面に隣接したディスプレイ1120を含む電気的構成要素とを含む。ガラス物品100は、ディスプレイ1120を覆うように、筐体の前面にまたは前面を覆うように配置されたカバーとして示されている。一部の実施形態では、ガラス物品は、バックカバーとして用いられ得る。
【0138】
本開示の別の態様は、本明細書に記載される化学的に強化されたガラス物品の実施形態を形成する方法に関する。本方法は、約3ミリメートル以下の厚さを定める第1の表面および第2の表面を有するガラス物品を設ける工程と、ガラス物品に応力プロファイルを生じる工程とを含む。1以上の実施形態において、応力プロファイルを生じる工程は、(本明細書に記載されるように)厚さの大部分に沿ってまたは厚さ全体に沿って変化する0ではないアルカリ金属酸化物濃度を構成するように、複数のアルカリイオンをガラス物品内へとイオン交換することを含む。一例では、応力プロファイルを生じる工程は、約350℃以上(例えば、約350℃〜約500℃)の温度を有するNa
+、K
+、Rb
+、Cs
+の硝酸塩またはそれらの組合せを含む溶融塩槽にガラス物品を浸漬することを含む。一例では、溶融塩槽は、NaNO
3、KNO
3またはそれらの組合せを含み、約485℃以下の温度を有し得る。別の例では、槽は、NaNO
3およびKNO
3の混合物を含み、約460℃の温度を有し得る。ガラス物品は、槽に約2時間以上にわたって、高々約48時間まで(例えば、約2時間〜約10時間、約2時間〜約8時間、約2時間〜約6時間、約3時間〜約10時間、または約3.5時間〜約10時間)浸漬され得る。
【0139】
一部の実施形態では、本方法は、ガラス物品を単一の槽に浸漬すること、または連続した複数の浸漬工程においてガラス物品を2以上の槽に浸漬することを含み得る。例えば、2以上の槽は続けて用いられ得る。1以上の槽の組成は、同じ槽中に単一の金属(例えば、Ag
+、Na
+、K
+、Rb
+、またはCs
+)または複数の金属の組合せを含み得る。2以上の槽が用いられる場合には、槽は、互いに同じまたは異なる組成および/または温度を有し得る。そのような各槽における浸漬時間は同じであってもよく、または所望の応力プロファイルを設けるように変えられてもよい。
【0140】
本方法の1以上の実施形態において、より高い表面CSを生じるために、第2の槽または後続の槽が用いられ得る。幾つかの例では、本方法は、DOCに大きく影響することなく、より高い表面CSを生じるように、第2のまたは後続の槽にガラス物品を浸漬することを含む。そのような実施形態では、第2のまたは後続の槽は、単一の金属(例えば、KNO
3またはNaNO
3)または複数の金属の混合物(KNO
3およびNaNO
3)を含み得る。第2のまたは後続の槽の温度は、より高い表面CSを生じるよう調整され得る。一部の実施形態では、第2のまたは後続の槽におけるガラス物品の浸漬時間も、DOCに大きく影響することなく、より高い表面CSを生じるように調整され得る。例えば、第2のまたは後続の槽における浸漬時間は10時間未満(例えば、約8時間以下、約5時間以下、約4時間以下、約2時間以下、約1時間以下、約30分間以下、約15分間以下、または約10分間以下)であり得る。
【0141】
1以上の実施形態において、本方法は、ガラス物品を、390℃の温度を有する100%のNaNO
3の溶融塩槽に約2時間〜約10時間の範囲内(例えば、7時間)の持続時間にわたって浸漬することを含む。1以上の実施形態において、本方法は、ガラス物品を、390℃の温度を有する80%のKNO
3および20%のNaNO
3の溶融塩槽に約2時間〜約10時間の範囲内(例えば、7時間)の持続時間にわたって浸漬することを含む。1以上の実施形態において、本方法は、ガラス物品を、390℃の温度を有する60%のKNO
3および40%のNaNO
3の溶融塩槽に約2時間〜約10時間の範囲内(例えば、4.5、5、6、または7時間)の持続時間にわたって浸漬することを含む。1以上の実施形態において、本方法は、ガラス物品を、390℃の温度を有する60%のKNO
3および40%のNaNO
3の溶融塩槽に約2時間〜約10時間の範囲内(例えば、4.5、5、6、または7時間)の持続時間にわたって浸漬することを含む。
【0142】
1以上の実施形態において、本方法は、ガラス物品をイオン交換する(即ち、ガラス物品を溶融塩槽に浸漬する)前に、ガラス物品に熱履歴を付与する工程を含み得る。1以上の実施形態において、熱履歴を付与する工程は、ガラス物品をイオン交換する(即ち、溶融塩槽に浸漬する)前に、ガラス物品をアニールまたはフィクチベートすることを含む。1以上の実施形態において、ガラス物品をアニールすることは、ガラス物品が10
13.2ポアズの粘度を示す温度までガラス物品を加熱することを含む。1以上の実施形態において、本方法は、ガラス物品を10
11ポアズ温度(即ち、ガラス物品の粘度が約10
11ポアズとなる温度)までフィクチベートすることを含む。本明細書において用いられる、ガラス物品をアニールするまたはガラス物品をフィクチベートするとは、ガラスが所定の粘度(即ち、フィクチベートでは10
11ポアズ、およびアニールでは10
13.2ポアズ)を示す温度までガラス物品を加熱し、次に、ガラス物品を室温まで急速にクエンチすることを含む。理論に縛られるものではないが、このようにガラス物品をアニールまたはフィクチベートすることで、その粘度に対応するガラス構造が制限またはロックされる。ガラス物品にこの熱履歴を与えることで、化学的強化を容易にする構造が設けられる。更に、このアニールまたはフィクチベートのレジームおよびそれに関連する粘度レベルの選択は、フュージョン形成されたガラスの熱履歴を模倣するものであり、従って、それと同じ熱履歴および高められた化学的強化を生じるために、フュージョン形成されたものではないガラスに適用され得る。従って、1以上の実施形態において、本方法は、フロート形成されたガラス物品、スロットドローによるガラス物品、または他のフュージョン法以外で形成されたガラス物品をアニールまたはフィクチベートすることを含む。
【0143】
1以上の別の実施形態では、本方法は、本明細書に記載されるイオン交換プロセスと組み合わせて用いられ得る1以上の熱処理工程を含み得る。熱処理は、所望の応力プロファイルを得るためにガラス物品を熱処理することを含む。一部の実施形態では、熱処理は、ガラス物品を約300℃〜約600℃の範囲内の温度までアニール、テンパリング、または加熱することを含む。熱処理は、1分間〜約18時間にわって続けられ得る。一部の実施形態では、熱処理は、1以上のイオン交換プロセスの後、または複数のイオン交換プロセスの間に用いられ得る。
【0144】
1以上の実施形態において、ガラス物品は、表面の傷の影響を除去または低減するために、酸研磨または別様で処理され得る。
【0145】
本明細書において用いられ報告される歪点温度はASTM C336−71(2015)のファイバ延伸法を用いて決定されたものであり、アニール温度はASTM C336−71(2015)のファイバ延伸法を用いて決定されたものであり、軟化点温度はASTM C338−93(2013)のファイバ延伸法を用いて決定されたものであり、液相粘度は、まず、「Standard Practice for Measurement of Liquidus Temperature of Glass by the Gradient Furnace Method(勾配炉法によるガラスの液相温度の測定のための標準的技法)」という名称のASTM C829−81(2015)に従ってガラスの液相温度を測定し、次に、「Standard Practice for Measuring Viscosity of Glass Above the Softening Point(軟化点を超えるガラスの粘度を測定するための標準的技法)」という名称のASTM C965−96(2012)に従って液相温度におけるガラスの粘度を測定することによって決定されたものである。
【0146】
本明細書に記載される、100MPaの引張応力を付与するよう物品が曲げられたときに物品が特定の力の値を超える閾値破損衝撃力を示す材料特性を有する実施形態において、これは次のように試験される。1以上の実施形態による「閾値破損衝撃力」とは、
図7に関して上述したように、物品の表面に観察可能な破砕を生じるのに十分な最小衝撃力を指す。1以上の実施形態において、「閾値破損衝撃力」について試験された物品は、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、または2mmの厚さを有するシートである。
【0147】
装置の信頼性試験は、装置の適用寿命の間に装置がどのように作動するかを理解することに不可欠である。装置の落下試験は、一般的に、落下事象(例えば、駐車場において電話を落とす)を受けた後(これらの事象は装置の機能性を損ない得るので)の携帯型電子装置(例えば、スマートフォン、タブレット、ラップトップ等)の信頼性を理解するために用いられる。装置に関する1つの懸念は、これらの装置において用いられるカバーガラスの信頼性である。携帯型電子装置のカバーガラスの損傷または破砕は、使用不可能な装置および/またはユーザに対する安全性の問題を生じ得る。カバー材料の限界およびそれが装置設計にどのように関係するかを理解することは、カバーガラス性能の改善に不可欠である。
【0148】
典型的には、実際の装置が、それらの信頼性を理解するために落下試験される。しかし、これは非常に高価になり得ると共に、装置設計が終了して装置が製造されているときにしか利用できない。これらの短所に対処するために、代用試験体(装置の寸法および重量に似せた、再利用可能な装置のモックアップ)が、カバーガラス性能試験のために装置をシミュレーションするために用いられる。これらの代用体は、ガラスが顧客の要求を満たす能力を理解する一助となると共に、カバーガラスのサバイバビリティを支援する設計(例えばベベル設計)のフィードバックを与える一助となる。しかし、(落下)試験を行うために代用体を構築するのは時間がかかると共にかなり高価である。従って、その代わりに、ガラスに基づく物品(例えば、モバイル電子装置用のカバーガラス)の表面を試験するための装置が、フィールドにおいて生じることが観察されている破断モード(これは、主に応力(曲げ)および損傷導入の組合せである)をシミュレーションするように用いられる。この既知の破断モードを、コンポーネントレベルに基づく表面衝撃試験を用いて再構築する。この装置を用いて広範囲に及ぶ試験が行われ、特定のガラス組成物およびイオン交換応力プロファイルが、カバーガラスのサバイバビリティを改善できることが、この試験を通してわかった。
【0149】
本装置は、平坦な表面から湾曲面までの範囲の表面を有する簡単な振り子に基づく動的衝撃試験を含み、この試験では、ガラスに基づく物品試験試料が振り子のおもりに取り付けられ、これを用いて、滑らかな表面または粗面化された表面であり得る衝撃面に試験試料を接触させる。試験を行うために、試料はホルダーに装着され、振り子の均衡位置から後方に引っ張られ、放されて、衝撃面に対して動的な衝撃を生じる。この試験は落下事象を模倣したものであり、ガラス/試料が可動部で、表面が固定部である。利用可能な湾曲面は、フィールドにおける破断から取得された応力数(曲げ応力)のシミュレーションである。ガラスに基づく物品は可動部であり、固定部である衝撃面に当たるよう移動することで、所与の高さから表面(固定部)に落とされる装置(可動部)を再現する。
【0150】
破断モードは、損傷の導入速度および曲げ速度と共に変化することが知られている。カバーガラスの性能を特徴づけるための他の準静的な負荷の印加に基づくコンポーネントレベル試験(例えば、リング・オン・リング(ROR)、押込み破砕閾値(IFT)、および摩擦摩耗リング・オン・リング(ARoR。これは、損傷の導入の次に、準静的な負荷の印加によるゆっくりとした曲げを含む)等)とは異なり、この試験は動的な性質である。更に、モバイル装置用途における薄いカバー材料に対する要求の高まりが非常に一般化しており、それぞれ異なる薄いカバー材料を評価するためのコンポーネントレベルに基づく試験の必要性が重要になっている。この試験は、0.3mmもの薄い厚さの、異なる組成およびIOX処理のガラス材料の評価において信頼性を示しており、この薄いガラスの潜在的な落下性能応答の予測において用いられ得る。この試験方法は、簡単な方法で、システムレベルの落下試験から生成されたものと遜色ない、ガラス衝撃エネルギーおよびそれと関連づけられた衝撃力のより迅速な推定を可能にする。
【0151】
ここで
図10〜
図15を参照すると、脆い基体に対して「表面破断閾値衝撃力試験」を行うための装置1100の実施形態が、支点1106に取り付けられたおもり1104を含む振り子1102を含むものとして示されている。振り子のおもりは、支点から懸架され、アームによって支点に接続された重りである。従って、これらの図面に示されているおもり1104は、紐または1もしくは複数のロッド(例えば、図示されている2つのロッド等)の形態であり得るアーム1108によって支点1106に接続されている。
図33に最もよく示されているように、おもり1104は、点線として示されている、角度βが0となる均衡位置1105を有する。換言すれば、アーム1108は上昇位置にはない。
【0152】
おもり1104は単に、アーム1108の下端部に固定された脆い基体であり得る。1以上の実施形態において、おもり1104は、脆い基体を受容するためのベース1110を含む。
図15に詳細がより良好に示されているように、脆い基体1112を受容するベース1110は、少なくとも2つの端部1114、1116、内面1113、および外面1115を有する。ベース1110は、第1の端部1120および第2の端部1122と、第1の端部1120と第2の端部1122との間において曲率半径を定める湾曲面1124とを有する。ベース1110は、後で更に述べる衝撃試験のために基体を固定するためのプラットフォームを提供する任意の適切な材料であり得る。ベース1110の適切な材料としては、木材、金属、セラミック、またはそれらの組合せが挙げられる。湾曲面1124は頂点1125を有する。
【0153】
1以上の実施形態による装置1100は、第1の固定具1130および第2の固定具1132を更に含み、これらの固定具は、脆い基体1112の少なくとも2つの端部1114、1116を保持して、脆い基体1112を湾曲面1124周りに曲げる力を加え、脆い基体をその曲率半径の形状に沿わせる。脆い基体1112を曲げることにより、脆い基体は、湾曲面1124の頂点1125の形状に沿った頂点1127を有する。1以上の特定の実施形態では、湾曲面1124および脆い基体1112の曲率は、一定の半径であってもよく、または、複合的な半径であってもよい。第1の固定具1130および第2の固定具1132の各々はクランプであり、特定の実施形態では、
図15に示されているようなトグルクランプである。しかし、他のタイプの固定具(例えば、バークランプ、C型クランプ、または脆い基体の端部を保持するための他の適切な固定具等)も用いられ得る。
【0154】
1以上の実施形態による装置1100は、基体1112の外面1115と接触するよう配置される摩擦摩耗面を有する摩擦摩耗シートであり得る粗面化された表面を更に含む。摩擦摩耗シートは、摩擦摩耗シートの摩擦摩耗面が、基体1112が取り付けられる湾曲面1124に面するように、(後述する衝撃物体1140の)衝撃面1150に両面テープで取り付けられる。他の特定の実施形態では、摩擦摩耗シートは、30グリット〜400グリット、または100グリット〜300グリットの範囲内(例えば180グリット)のグリットサイズを有し得るサンドペーパーを含む。1つの適切なサンドペーパーは、Indasa社のRHYNOWET(登録商標)PlusLine P180グリットサンドペーパーである。1以上の実施形態によれば、サンドペーパーは25mm
2の切断片に切断され、切断プロセス中に切断片が曲げられる場合には、サンドペーパーは平らにされる。
【0155】
装置1100は、衝撃物体1140を更に含み、衝撃物体1140は、おもり1104が均衡位置1105から0より大きい角度βにある位置から放されたときに、おもり1104の湾曲面1124(または湾曲面1124に取り付けられた基体1112)が衝撃物体1140の衝撃面1150(即ち、衝撃面1150上に配置された摩擦摩耗シートの摩擦摩耗側)に接触するように、配置される。図示されている実施形態では、衝撃物体1140はプラットフォーム1142に固定されたL字形状のブラケットであり、衝撃物体1140はねじ1144によってプラットフォーム1142に固定される。衝撃物体1140は、他の任意の適切な機構(例えば、ボルト、リベット、クランプ等)によって固定されてもよい。プラットフォーム1142は、装置1100がワークベンチ1148の端部に保持されることを可能にするストッパー1146を含む。図示されている実施形態では、おもり1104が衝撃面1150において衝撃物体1140と接触したときに、衝撃物体1140は固定されていて動かない。衝撃面1150は、
図32で最もよくわかるように、スロット1152内で、x−y平面内において可動の分離した要素であり得る。或いは、衝撃面1150は衝撃物体1140に対して相対的に動く必要はない。1以上の実施形態において、おもり1104およびベース1110のサイズおよび形状は、脆い基体がベース1110に固定されており、おもり1104が均衡位置1105から0より大きい角度βの位置から放されたときに、脆い基体1112が、携帯電話またはタブレット装置のユーザによって携帯電話またはタブレット装置が地面に落とされたときの携帯電話またはタブレット装置の化学的に強化されたカバーガラスの曲げ半径をシミュレーションした曲げ半径および衝撃力を受けるようになっている。
【0156】
ベース1110上の湾曲面1124の曲率半径は、基体が湾曲面1124周りに曲げられたときに、100MPaの曲げ引張力(この引張力は、基体の曲げの応力の結果として外部から加えられる引張力である)を与えるよう選択される。従って、基体が曲げられたときに、脆い基体の頂点1125に引張力が生じる。この曲率半径は0.25m〜1.5mの範囲内(例えば、0.5m〜1mの範囲内)である。
【0157】
第1の固定具1130と第2の固定具1132とは、携帯電話またはタブレット用のカバーガラスの長さの距離だけ離間されている。例えば、第1の固定具1130と第2の固定具1132とは、50mm〜500mmの範囲内だけ離間されている。
【0158】
本開示の別の態様は、脆いシートの衝撃試験の方法に関し、本方法は、接触面を有する脆いシートを曲げて、曲率半径および接触面における頂点を有する曲げられたシートを設けることと、振り子を用いた衝撃物体によって、曲げられたシートの頂点に衝撃を与えることとを含む。一実施形態において、曲げられたシートは、振り子のおもりに取り付けられる。一実施形態において、振り子のおもりに取り付けられた曲げられたシートは、衝撃物体が接触面の頂点に接触するように配置される。曲率半径は、携帯電話またはタブレット装置のユーザによって携帯電話またはタブレット装置が地面に落とされたときの携帯電話またはタブレット装置の化学的または熱的に強化されたカバーガラスの曲げ半径をシミュレーションする範囲内であり、この落下事象は、(装置が概して、接触面が地面に対して概ね平行になる向きで地面に当たる、面が最初の落下ではなく)装置の縁部が最初に地面に接触するものである。
【0159】
摩擦摩耗シートは、アーム1108の揺動に際して、脆いシートの頂点に接触するように、衝撃面1150上の適切な位置に配置される。摩擦摩耗シートは両面テープで衝撃物体に固定される。
【0160】
ここで
図10および
図11を参照すると、装置の動作の限定するものではない具体的な詳細は、支点1106上のポインターノッチ1200を含み、ポインターノッチ1200は、様々な試験位置1202(即ち、アーム1108が均衡位置1105に対して相対的な角度βで配置される位置であって、振り子の動きが開始される位置)を指すことができる。ポインターノッチ1200は、任意の適切な数(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10等、高々50以上まで増分される)の試験位置であり得る様々な試験位置1202との位置合わせを可能にする。装置1100は、ベース1110を衝撃物体1140の衝撃面1150と水平にするように、アーム1108をその中心の長手方向の軸周りに所望の回転向きにロックするナット1204の形態であり得るロックを更に含み得る。
【0161】
装置1100は、1以上の実施形態に従って、実際の電話の落下事象をシミュレーションする。衝突衝撃エネルギーEおよび平均衝撃力
【0164】
によって与えられる。式中、mは振り子1102(揺動アーム1108、おもり1104、およびベース1110を含む)の質量であり、Lはアームの長さであり、gは自由落下加速度であり、v
fは初期衝撃速度(即ち、ガラスが最初に衝撃物体1140の衝撃面1150に接触する時点における速度)であり、v
iは最終的な衝撃速度(即ち、ガラスが衝撃物体1140の衝撃面1150から離れる速度、換言すれば、ガラスが最初に衝撃物体1140の衝撃面1150から離れる時点における速度)であり、Δtは接触相互作用時間(即ち、ガラスが衝撃物体1140の衝撃面1150と接触している時間)である。接触相互作用時間の測定は、ハイスピードビデオカメラによる、ガラスが衝撃面1150と接触しているフレーム数を観察し、ハイスピードビデオカメラによる単位時間当たりのフレーム数で乗算することによって行われる。この平均力の式は、まだ破壊されていない試料に対して有用である(即ち、試験前に装置1100に装着される試料は、まだ破壊されていない試料である)。所与の組の試料の平均値を見出すために、ガラスに基づく物品の少なくとも5個の同一の(または、ほぼ同一の)試料(即ち、ほぼ同じ組成を有し、強化された場合には、ほぼ同じ圧縮応力および圧縮の深さまたは層を有する)が試験されるが、試験結果の信頼性レベルを上げるために、より多い数(例えば、10個、20個、30個等)の試料が試験を受けてもよい。揺動アームの質量および長さが既知であるとき、角度βを選択された位置に設定すると、衝撃力を計算でき、これを、装置が特定の高さから落とされたときの装置に対する衝撃をシミュレーションするために用いることができる。例えば、130gの携帯電話装置が1メートルの高さから落とされたときに基体カバーガラスが受ける平均力は、800Nであると計算された。質量、アームの長さ、および角度βを用いて、この力を、
図10〜
図15に示されている装置1100を用いて再現できる。
【0165】
ここで
図16および
図17を参照すると、脆い基体に対して「縁部破断閾値衝撃力試験」を行うための装置1600の実施形態が、支点1606に取り付けられたおもり1604を含む振り子1602を含むものとして示されている。振り子のおもりは、支点から懸架され、アームによって支点に接続された重りである。従って、
図16に示されているおもり1604は、図示されているように2つのロッドの形態であるアーム1608によって支点1606に接続されている。表面閾値衝撃力試験と同様に、おもり1604は、角度βが0になる均衡位置を有する。換言すれば、アーム1608は上昇位置にはない。表面破断閾値衝撃力試験と類似しているので、縁部破断閾値衝撃力試験については、表面破断閾値衝撃力試験との違いのみを説明する。
【0166】
おもり1604は、平面状の試料ホルダー1610、ストッパー1620、および支持部1622を含む。試料ホルダー1610はアーム1608に接続されている。ストッパー1620および支持部は試料ホルダー1610に接続されている。試料1712は、試料1712の一方の縁部をストッパー1620に当接し、次に、支持部1622をねじ1624(等)によって試料ホルダー1610に固定することによって、試料ホルダー1610に取り付けられる。試料1712は、試験後に更に破砕モードを解析するために、破片を保持するために片面に配置されたテープを有し得る。
【0167】
装置1600は衝撃物体1640を更に含み、衝撃物体1640は、おもり1604が均衡位置から0より大きい角度βにある位置から放されたときに、試料ホルダー1610に取り付けられた基体1712の角(1701、1702、1703、または1704)が衝撃物体1640の衝撃面1650(即ち、衝撃面1650上に配置された摩擦摩耗シートの摩擦摩耗側)と接触するように配置される。図示されている実施形態では、衝撃物体1640はプラットフォーム1642に固定されたL字形状のブラケットであり、衝撃物体1640はねじ1644によってプラットフォーム1642に固定される。衝撃物体1640は、他の任意の適切な機構(例えば、ボルト、リベット、クランプ等)によって固定されてもよい。プラットフォーム1642は、装置1600がワークベンチ1648の端部に保持されることを可能にするストッパー1646を含む。図示されている実施形態では、おもり1604が衝撃面1650において衝撃物体1640と接触したときに、衝撃物体1640は固定されていて動かない。
【0168】
図17に示されているように、試料1712は、一度に1つの角1701のみが衝撃面1650と接触するように、ホルダー1610に取り付けられる。ホルダー1610内において、試料1712は、残りの角1702、1703、および1704が順に衝撃面1650と接触するように、向きを変えられ得る。試料の試験中は、損傷導入の蓄積を回避するために、即ち、1回の試験からの衝撃が次の試験に影響しないように、いずれか1つの特定の角1701〜1704に対して1回の落下のみが行われる。試験は、振り子を(第1の衝撃力およびエネルギーに対応する)第1の高さまで上昇させ、試料1712の1つの角を衝撃面1650と衝突させることによって行われる。破砕も欠けも観察されない場合には、まだ試験されていない対角線上の反対側の角を試験するために試料の向きが変えられ、より高い振り子の高さ(増加された衝撃力およびエネルギー)において再び試験が行われる。典型的な試験プロトコルは、特定の試料の角1701および1703を試験すること、または、試料の角1702を試験し、次に角11704を試験することを含み、試料の同じ端部にある角は試験されない(例えば、1701が試験された場合には、1704は試験されない)。試験は、破砕または欠けが観察されるまで繰り返される。1つの試料(対角線上の反対側にある2つの角)が損傷(破砕または欠け)を生じずに試験された場合には、次に、同じタイプ(組成物、イオン交換条件、厚さ、および縁部仕上げ)の第2の試料が同様に試験され、その試料タイプ(組成物、イオン交換条件、厚さ、および縁部仕上げ)について破砕または欠けが生じる振り子の高さ(衝撃力およびエネルギー)を見出すのに必要な数の試料が試験される。
【実施例】
【0169】
以下の例によって、様々な実施形態を更に明らかにする。
【0170】
実施例1
組成物1〜13を計量して、ガラス物品を形成した。次に、得られたガラス物品を10
11ポアズ温度までフィクチベートし、次に、イオン交換条件A〜Cに従って様々な持続時間にわたってイオン交換し、本明細書に記載される応力プロファイルを有する化学的に強化されたガラス物品を形成した。イオン交換条件Aは、390℃の温度を有する100%NaNO
3の単一の槽における浸漬を含んだ。イオン交換条件Bは、390℃の温度を有する80%のKNO
3および20%のNaNO
3の単一の槽における浸漬を含んだ。イオン交換条件Cは、390℃の温度を有する60%のKNO
3および40%のNaNO
3の単一の槽における浸漬を含んだ。次に、化学的に強化されたガラス物品の応力プロファイルの特性およびヌープスクラッチ横クラック閾値を測定した。表1は、組成物1〜13および未強化のガラス物品の特性を含む。表2は、組成物1〜13から形成された化学的に強化されたガラス物品のイオン交換条件および特性を示す。
【0171】
【表1-1】
【0172】
【表1-2】
【0173】
【表1-3】
【0174】
【表2-1】
【0175】
【表2-2】
【0176】
【表2-3】
【0177】
【表2-4】
【0178】
【表2-5】
【0179】
【表2-6】
【0180】
【表2-7】
【0181】
【表2-8】
【0182】
【表2-9】
【0183】
【表2-10】
【0184】
表2において、DOCは厚さの比として報告されており、DOCをmmの単位の絶対値で計算するために用いられ得る。例えば、組成物1から形成された化学的に強化されたガラス物品は、イオン交換条件Aで2時間にわたってイオン交換された後に、厚さの0.14(即ち、厚さの14%または0.14t)として報告されるDOCを有する。絶対DOC値は0.11mmであり、これは、厚さの14%(0.14*0.79)をとることによって計算される。
【0185】
組成物1〜13中のB
2O
3の量は、組成物1から組成物13まで順に約0.5モル%ずつ増加された。同時に、Al
2O
3およびNa
2Oの相対的な量は、組成物1から組成物13まで順にそれぞれ約0.15モル%および0.35モル%ずつ減少された。これらの組成の変化は、化学的に強化されたガラス物品によって示される最大CT値を維持しつつ、ガラス形成種の平均的な網目構造の結合性を低下させる。更に、得られた化学的に強化されたガラス物品は、表2に示されているように、ヌープスクラッチ横クラック閾値の増加を示した。例えば、組成物10〜12から形成された化学的に強化されたガラス物品は、深いDOC値(例えば、0.12tを超える)および比較的高い表面CS値(例えば、500MPaを超える)を依然として維持しつつ、高いヌープスクラッチ横クラック閾値を示した。組成物6から形成され、イオン交換条件Bで4.5時間、5時間、6時間、および7時間にわたってイオン交換された化学的に強化されたガラス物品は、深いDOC値(0.12t以上)を維持しつつ、更に高い表面CS値(例えば、700MPaを超える)を示した。
【0186】
実施例6の組成物の試料は、380℃の温度を有する30%のKNO
3および70%のNaNO
3槽における4時間にわたる浸漬と、その次の、380℃の温度を有する93%のKNO
3および7%のNaNO
3の槽における40分間にわたる浸漬とを含むイオン交換を受けた。得られた試料は、777MPaのCS、8.2μmのカリウムDOL、および66.4MPaのCTを有した。次に、これらの試料を、(衝撃面上に180グリットのサンドペーパーを有する)表面破断閾値衝撃力試験および(衝撃面上に30グリットのサンドペーパーを有する)縁部破断閾値衝撃力試験を用いて試験した。その結果が
図18および
図19にそれぞれ示されている。全ての試料は0.8mmの厚さであり、丸みのある縁部仕上げを有した。表面破断閾値衝撃力試験については、試料に0.4メートル(m)の曲げ半径が付与され、長さ×幅は110mm×56mmであった。
【0187】
図18からわかるように、(上述のような)実施例6の試料は、851Nの平均表面衝撃力に耐えることができた。更に、試験された10個の試料の各々は、851Nの表面衝撃力に耐え、試料の破砕は生じなかった。従って、実施例6の試料は、最大、および少なくとも10個の試料の平均として、400Nを超える(例えば、400N〜851N、450N〜851N、500N〜851N、550N〜851N、600N〜851N、650N〜851N、700N〜851N、750N〜851N、または800N〜851Nの)表面衝撃力に耐えることができた。
【0188】
比較として、実施例6の試料と同じサイズで同じ仕上げを有する比較例1および比較例2(C2)の試料を実施例6の試料と同様にして試験し、その結果が
図18に示されている。比較例1は、モル%で57.4%のSiO
2、16.1%のAl
2O
3、17.1%のNaO、2.8%のMgO、および6.54%のP
2O
5のノミナル組成を有した。比較例1の試料は、450℃の温度を有する60%のKNO
3および40%のNaNO
3の槽における7時間にわたる浸漬と、その次の390℃の温度を有する99.5%のKNO
3および0.5%のNaNO
3の槽における12分間にわたる浸漬とを含むイオン交換を受けた。得られた試料は、870MPaの表面CSおよび74.3μmのカリウムDOLを有した。
図18からわかるように、比較例1(C1データ)の試料は、400N未満の最大表面衝撃力および10個の試料についての313Nの平均表面衝撃力に耐えることができた。比較例2は、旭硝子株式会社(日本国)によって製造されたDragontrail(登録商標)ガラスと一致するノミナル組成、即ち、モル%で64.8%のSiO
2、7.7%のAl
2O
3、12.4%のNaO、4%のK
2O、10.4%のMgO、0.3%のCaO、0.1%のSrO、0.5%のZrO
2、および0.03%のBaOのノミナル組成を有した。比較例2の試料は、802MPaの表面CSおよび24μmのカリウムDOLを有した。
図18からわかるように、比較例2(C2データ)の試料は、約200Nの最大表面衝撃力および10個の試料についての152Nの平均表面衝撃力に耐えることができた。
【0189】
縁部破断閾値衝撃力試験については、各試料タイプについて、矢印でマークされている点は、目視で(即ち、裸眼で)観察された、衝撃力(ニュートン、N)および衝撃エネルギー(ジュール、J)がガラスの破砕を開始させた点である。即ち、矢印は、試料が耐えなかったスポットをマークしており、一方、マークされているデータ点のすぐ左のデータ点においては全ての試料が耐えた。例えば、実施例6の試料のケースでは、矢印は、110度の揺動角度、1.58Jの衝突衝撃エネルギー、および500Nより僅かに高い平均衝撃力のデータ点をマークしており、このデータ点においては試料は耐えなかったが、95度の揺動角度、1.28Jの衝突衝撃エネルギー、および約450Nの平均衝撃力においては全ての試料が耐えた。より高い値は、改善された性能を意味する。全ての試料は0.8mmの厚さであり、縁部が0.3mmの2.5次元の仕上げを有した。
【0190】
図19からわかるように、(上述の)実施例6の試料は、約200N〜約450N(例えば、約225〜450N、約250N〜約450N、約275N〜約450N、約300N〜約450N、約325N〜約450N、約350N〜約450N、約400N〜約450N、または約425N〜約450N)の縁部衝撃力に耐えることができた。同様に、(上述のように調製された)実施例6の試料は、約0.43J〜約1.3J(例えば、約0.44J〜約1.3J、約0.45J〜約1.3J、約0.46J〜約1.3J、約0.47J〜約1.3J、約0.48J〜約1.3J、約0.49J〜約1.3J、約0.5J〜約1.3J、約0.55J〜約1.3J、約0.6J〜約1.3J、約0.65J〜約1.3J、約0.7J〜約1.3J、約0.75J〜約1.3J、約0.8J〜約1.3J、約0.9J〜約1.3J、約1.0J〜約1.3J、約1.1J〜約1.3J、約1.2J〜約1.3J)の縁部衝突衝撃エネルギーに耐えることができた。
【0191】
比較として、実施例6の試料と同じサイズで同じ縁部仕上げを有する比較例3および比較例4の試料を実施例6の試料と同じ方法で試験し、その結果が
図19に示されている。比較例3は、モル%で63.6%のSiO
2、15.7%のAl
2O
3、10.8%のNaO、6.2%のLi
2O、1.2%のZnO、および2.5%のP
2O
5のノミナル組成を有した。比較例3の試料は、380℃の温度を有する75%のKNO
3および25%のNaNO
3の槽における3時間および36分間にわたる浸漬と、それに続く380℃の温度を有する91%のKNO
3および9%のNaNO
3の槽における30分間にわたる浸漬を含むイオン交換を受けた。得られた試料は、約800MPa〜約830MPaの表面CS、約155μmのDOC、約70MPaのCT、約8μmのカリウムDOL、およびカリウムDOLにおける約130MPaのCSを有した。
図19からわかるように、比較例3(C3データ)の試料は、約200Nの縁部衝撃力および0.42Jの縁部衝突衝撃エネルギー(50度の揺動角度)に耐えることができた。比較例4は、モル%で64.6%のSiO
2、5.1%のB
2O
3、14%のAl
2O
3、13.8%のNaO、および2.4%のMgOのノミナル組成を有した。この試料は、イオン交換処理後、870MPaの表面CS、46μmのカリウムDOL、および約57MPaのCTを有した。
図19からわかるように、比較例4(C4データ)の試料は、100N未満の縁部衝撃力および0.1J未満の縁部衝突衝撃エネルギー(20度未満の揺動角度)に耐えることができた。
【0192】
実施例2
組成物14〜26を計量して、ガラス物品を形成した。次に、得られたガラス物品を(表4に示されているように)10
13ポアズ温度までアニールまたは10
11ポアズ温度までフィクチベートし、次に、イオン交換条件Bに従って様々な持続時間にわたってイオン交換して、化学的に強化されたガラス物品を形成した。得られた化学的に強化されたガラス物品は、ヌープスクラッチ横クラック閾値と共に測定された、本明細書に記載される属性を有する応力プロファイルを示した。表3は、組成物14〜26および未強化のガラス物品の特性を含む。表4は、組成物14〜26から形成された化学的に強化されたガラス物品のイオン交換条件および特性を示す。
【0193】
【表3-1】
【0194】
【表3-2】
【0195】
【表3-3】
【0196】
【表4-1】
【0197】
【表4-2】
【0198】
【表4-3】
【0199】
【表4-4】
【0200】
表4において、DOCは厚さの比として報告されており、表2に関して上述したように、DOCをmmの単位の絶対値で計算するために用いられ得る。
【0201】
組成物14〜26は、全体的に、組成物1〜13とは異なるAl
2O
3値、Li
2O値、およびNa
2O値を有する。組成物14〜26において、B
2O
3の量は、組成物14から組成物26まで順に、約0.5モル%ずつ増加された。同時に、Al
2O
3およびNa
2Oの相対的な量は、組成物14から組成物26まで順に、約0.15モル%および0.35モル%ずつ減少された。これらの組成の変化は、化学的に強化されたガラス物品によって示される最大CT値を維持しつつ、ガラス形成種の平均的な網目構造の結合性を低下させる。更に、得られた化学的に強化されたガラス物品は、表4に示されているように、ヌープスクラッチ横クラック閾値の増加を示した。例えば、組成物16〜20から形成された化学的に強化されたガラス物品は、深いDOC値(例えば、0.15tを超える)および比較的高い表面CS値(例えば、700MPaを超える)を依然として維持しつつ、高いヌープスクラッチ横クラック閾値を示した。
【0202】
実施例3
組成物27〜33を計量して、ガラス物品を形成した。次に、得られたガラス物品を10
11ポアズ温度までフィクチベートし、次に、イオン交換条件Aに従って様々な持続時間にわたってイオン交換して、化学的に強化されたガラス物品を形成した。得られた化学的に強化されたガラス物品は、ヌープスクラッチ横クラック閾値と共に測定された、本明細書に記載される属性を有する応力プロファイルを示した。表5は、組成物27〜33および未強化のガラス物品の特性を含む。表6は、組成物27〜33から形成された化学的に強化されたガラス物品のイオン交換条件および特性を示す。
【0203】
【表5-1】
【0204】
【表5-2】
【0205】
【表6】
【0206】
表6において、DOCは厚さの比として報告され、表2に関して上述したように、DOCをmmの単位の絶対値で計算するために用いられ得る。
【0207】
組成物27〜33は、全体的に、組成物1〜13とは異なるAl
2O
3値、Li
2O値、およびNa
2O値を有する。組成物27〜33において、組成物27から組成物33まで順に、Li
2Oの量は増加され、一方、Na
2Oの量は減少された。このように組成物中のNa
2OをLi
2Oと置き換え、次に、100%のNaNO
3溶融塩槽における浸漬によるイオン交換を行った結果、深いDOC(0.2tに近く、少なくとも1つの例では0.2tを達成した)を維持しつつ、最大CTが増加した、化学的に強化されたガラス物品を生じた。
【0208】
本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変形および変更が行われ得ることが、当業者には自明であろう。例えば、様々な特徴が、以下の例示的な実施態様に従って組み合わされ得る。
【0209】
実施態様1.
ガラス物品において、
約60モル%〜約80モル%の範囲内の量のSiO
2と、
約13.5モル%以上の量のAl
2O
3と、
約5モル%〜約11モル%の範囲内の量のLi
2Oと、
約1モル%〜約5モル%の範囲内の量のP
2O
5と、
約0.9モル%を超えるB
2O
3と、
約0.5モル%〜約12モル%の範囲内の量のNa
2Oと
を含む組成を有することを特徴とするガラス物品。
【0210】
実施態様2.
ガラス物品において、
約60モル%〜約80モル%の範囲内の量のSiO
2と、
約10モル%以上の量のAl
2O
3と、
約4モル%〜約11モル%の範囲内の量のLi
2Oと、
約0.9モル%〜約7.5モル%の範囲内の量のB
2O
3と
を含む組成を有し、
前記B
2O
3、P
2O
5、SiO
2、およびAl
2O
3の合計量が約80モル%以上であり、
前記B
2O
3、P
2O
5、SiO
2、およびAl
2O
3の合計量に対する前記Li
2Oの比率が0.074未満である
ことを特徴とするガラス物品。
【0211】
実施態様3.
前記SiO
2の量が約65モル%〜約80モル%の範囲内である、実施態様2に記載のガラス物品。
【0212】
実施態様4.
0ではない量のP
2O
5と、1.0モル%未満の量のK
2Oとを更に含む、実施態様2または3に記載のガラス物品。
【0213】
実施態様5.
前記B
2O
3の量が約0.9モル%〜約6.5モル%の範囲内の量である、実施態様1〜4のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0214】
実施態様6.
前記Na
2Oの量が約3モル%〜約11モル%の範囲内の量である、実施態様1〜5のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0215】
実施態様7.
前記組成が、約5モル%〜約11モル%の範囲内の量のLi
2Oを含む、実施態様1〜6のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0216】
実施態様8.
前記組成が、ROを更に含み、該ROが、MgO、CaO、SrO、BaO、およびZnOのうちのいずれか1以上を含む、実施態様1〜7のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0217】
実施態様9.
前記ROの合計量が、約0.05モル%〜約4モル%の範囲内、および約0.05モル%〜約2モル%の範囲内のうちの少なくとも1つである、実施態様8に記載のガラス物品。
【0218】
実施態様10.
前記組成がK
2Oを実質的に含まない、実施態様1〜9のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0219】
実施態様11.
前記B
2O
3、P
2O
5、SiO
2、およびAl
2O
3の合計量が約80モル%以上である、実施態様1または5〜10のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0220】
実施態様12.
前記組成が、モル%で、
約13.5モル%〜約18モル%の範囲内のAl
2O
3と、
約0.5モル%〜約3モル%の範囲内のZnOと
を更に含む、実施態様1〜11のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0221】
実施態様13.
前記Na
2Oの量が前記Li
2Oの量より多い、実施態様1〜12のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0222】
実施態様14.
前記P
2O
5の量が約3モル%未満である、実施態様1〜13のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0223】
実施態様15.
前記組成がSnO
2を更に含む、実施態様1〜14のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0224】
実施態様16.
前記組成が、約300キロポアズ以下の液相粘度を更に有する、実施態様1〜15のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0225】
実施態様17.
前記組成が、約300キロポアズより高い液相粘度を更に有する、実施態様1〜16のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0226】
実施態様18.
前記組成が、約1.5モル%未満のZrO
2を更に含む、実施態様1〜17のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0227】
実施態様19.
ガラス物品において、
約60モル%〜約80モル%の範囲内の量のSiO
2と、
10モル%以上の量のAl
2O
3と、
約5モル%〜約10モル%の範囲内の量のLi
2Oと、
約1モル%〜約5モル%の範囲内の量のP
2O
5と、
約0.9モル%を超えるB
2O
3と、
約0.5モル%〜約12モル%の範囲内の量のNa
2Oと
を含む組成を有することを特徴とするガラス物品。
【0228】
実施態様20.
前記組成が、合計量が約12モル%〜約20モル%の範囲内のR
2Oを更に含む、実施態様19に記載のガラス物品。
【0229】
実施態様21.
前記B
2O
3の量が約1モル%〜約6.5モル%の範囲内である、実施態様19〜20のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0230】
実施態様22.
前記Na
2Oの量が約3モル%〜約11モル%の範囲内である、実施態様19〜21のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0231】
実施態様23.
前記Li
2Oの量が約5モル%〜約7モル%の範囲内である、実施態様19〜22のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0232】
実施態様24.
前記組成がROを更に含み、該ROが、MgO、CaO、SrO、BaO、およびZnOのうちのいずれか1以上を含む、実施態様19〜23のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0233】
実施態様25.
前記ROの合計量が約0.05モル%〜約4モル%の範囲内である、実施態様24に記載のガラス物品。
【0234】
実施態様26.
前記組成がK
2Oを実質的に含まず、約1.5モル%未満のZrO
2を含む、実施態様19〜25のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0235】
実施態様27.
前記B
2O
3、P
2O
5、SiO
2、およびAl
2O
3の合計量が約80モル%を超える、実施態様19〜26のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0236】
実施態様28.
前記組成が、
約10モル%〜約16モル%の範囲内のAl
2O
3と、
約0.5モル%〜約3モル%の範囲内のZnOと
を更に含む、実施態様19〜27のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0237】
実施態様29.
前記Na
2Oの量が前記Li
2Oの量より多い、実施態様19〜28のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0238】
実施態様30.
前記P
2O
5の量が約3モル%未満である、実施態様19〜29のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0239】
実施態様31.
前記組成がSnO
2を更に含む、実施態様19〜30のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0240】
実施態様32.
前記組成が、約300キロポアズ以下の液相粘度を更に有する、実施態様19〜31のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0241】
実施態様33.
前記組成が、約300キロポアズより高い液相粘度を更に有する、実施態様19〜32のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0242】
実施態様34.
化学的に強化されたガラス物品において、
約0.3mm〜約1.5mmの範囲内の厚さtを定める第1の主要な表面およびその反対側の第2の主要な表面と、
Li
2Oと、P
2O
5と、約0.9モル%を超えるB
2O
3と、13.5モル%以上の量のAl
2O
3と、約0.5モル%〜約12モル%のNa
2Oとを含む組成物と、
前記第1の主要な表面から約0.12tを超える圧縮の深さ(DOC)まで延在する圧縮応力(CS)層と
を含み、
前記CS層が約200MPa以上の最大応力を有し、
前記ガラス物品が、前記第1の主要な表面および前記第2の主要な表面のうちのいずれか一方において測定された、約6Nを超えるヌープ横クラックスクラッチ閾値を有する
ことを特徴とする化学的に強化されたガラス物品。
【0243】
実施態様35.
化学的に強化されたガラス物品において、
約0.3mm〜約1.5mmの範囲内の厚さtを定める第1の主要な表面およびその反対側の第2の主要な表面と、
約60モル%〜約80モル%の範囲内の量のSiO
2と、約10モル%以上の量のAl
2O
3と、約4モル%〜約11モル%の範囲内の量のLi
2Oと、約0.9モル%〜約7.5モル%の範囲内の量のB
2O
3とを含む組成物であって、前記B
2O
3、P
2O
5、SiO
2、およびAl
2O
3の合計量が約80モル%以上であり、前記B
2O
3、P
2O
5、SiO
2、およびAl
2O
3の合計量に対する前記Li
2Oの比率が0.074未満である、組成物と、
前記第1の主要な表面から約0.12tを超える圧縮の深さ(DOC)まで延在する圧縮応力(CS)層と
を含み、
前記CS層が約200MPa以上の最大応力を有し、
前記ガラス物品が、前記第1の主要な表面および前記第2の主要な表面のうちのいずれか一方において測定された、約6Nを超えるヌープ横クラックスクラッチ閾値を有する
ことを特徴とする化学的に強化されたガラス物品。
【0244】
実施態様36.
前記SiO
2の量が約65モル%〜約80モル%の範囲内である、実施態様35に記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0245】
実施態様37.
0ではない量のP
2O
5と、1.0モル%未満の量のK
2Oとを更に含む、実施態様35または36に記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0246】
実施態様38.
約0・tから約0.3・tまでの厚さの範囲に沿って0にはならずに変化する濃度の金属酸化物であって、Na
2O、K
2O、Rb
2O、およびCs
2Oのうちのいずれか1以上を含む金属酸化物を更に含む、実施態様34〜37のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0247】
実施態様39.
前記金属酸化物の前記濃度が前記厚さ全体に沿って0にはならずに変化する、実施態様34〜38のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0248】
実施態様40.
前記金属酸化物が前記厚さの範囲に沿って応力を生じる、実施態様34〜39のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0249】
実施態様41.
前記金属酸化物の前記濃度が、前記第1の表面から該第1の表面と前記第2の表面との間の点における値まで減少し、該値から前記第2の表面まで増加する、実施態様34〜40のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0250】
実施態様42.
約40MPaを超える最大中心張力を更に有する、実施態様34〜41のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0251】
実施態様43.
前記最大CTが約40MPa〜約100MPaの範囲内である、実施態様42に記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0252】
実施態様44.
85MPa未満のヤング率を更に有する、実施態様43に記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0253】
実施態様45.
前記物品が、表面破断閾値衝撃力試験によって測定された約400N〜約851Nの最大表面衝撃力に耐える、実施態様34〜44のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0254】
実施態様46.
前記物品が、縁部破断閾値衝撃力試験によって測定された約200Nを超え約500Nまでの平均縁部衝突衝撃力に耐える、実施態様34〜45のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0255】
実施態様47.
前記物品が、縁部破断閾値衝撃力試験によって測定された約0.43Jを超え約1.3Jまでの縁部衝突衝撃エネルギーに耐える、実施態様34〜46のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0256】
実施態様48.
装置において、
前面、後面、および側面を有する筐体と、
少なくとも部分的に前記筐体内にある電気的構成要素と、
前記筐体の前記前面にあるまたは該前面に隣接したディスプレイと、
前記ディスプレイを覆うように配置されたカバー物品と
を含み、
前記カバー物品および前記筐体の少なくとも一部分のうちの少なくとも一方が、実施態様34〜47のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品を含むことを特徴とする装置。
【0257】
実施態様49.
化学的に強化されたガラス物品において、
約3ミリメートル未満の厚さ(t)を定める第1の主要な表面および該第1の表面とは反対側の第2の主要な表面と、
約10モル%以下の量のLi
2Oと、P
2O
5と、約0.9モル%を超えるB
2O
3と、10モル%以上の量のAl
2O
3と、約0.5モル%〜約12モル%のNa
2Oとを含む組成物と、
前記厚さにそって延在する応力プロファイルと
を含み、
約0・tから0.3・tまでの厚さの範囲の間にある前記応力プロファイルの少なくとも1つの点、および0.7・tを超える厚さからの前記応力プロファイルの少なくとも1つの点が、傾斜の絶対値が約0.1MPa/μmより大きい接線を有し、
記応力プロファイルが、最大CSと、DOCと、約100MPa未満の最大CTとを有し、前記最大CSの絶対値に対する前記最大CTの比率が約0.01〜約0.2の範囲内であり、前記DOCが約0.1・t以上である
ことを特徴とする化学的に強化されたガラス物品。
【0258】
実施態様50.
化学的に強化されたガラス物品において、
約3ミリメートル未満の厚さ(t)を定める第1の主要な表面および該第1の表面とは反対側の第2の主要な表面と、
約60モル%〜約80モル%の範囲内の量のSiO
2と、約10モル%以上の量のAl
2O
3と、約4モル%〜約11モル%の範囲内の量のLi
2Oと、約0.9モル%〜約7.5モル%の範囲内の量のB
2O
3とを含む組成物であって、前記B
2O
3、P
2O
5、SiO
2、およびAl
2O
3の合計量が約80モル%以上であり、前記B
2O
3、P
2O
5、SiO
2、およびAl
2O
3の合計量に対する前記Li
2Oの比率が0.074未満である、組成物と、
前記厚さにそって延在する応力プロファイルと
を含み、
約0・tから0.3・tまでの厚さの範囲の間にある前記応力プロファイルの少なくとも1つの点、および0.7・tを超える厚さからの前記応力プロファイルの少なくとも1つの点が、傾斜の絶対値が約0.1MPa/μmより大きい接線を有し、
前記応力プロファイルが、最大CSと、DOCと、約100MPa未満の最大CTとを有し、前記最大CSの絶対値に対する前記最大CTの比率が約0.01〜約0.2の範囲内であり、前記DOCが約0.1・t以上である
ことを特徴とする化学的に強化されたガラス物品。
【0259】
実施態様51.
前記SiO
2の量が約65モル%〜約80モル%の範囲内である、実施態様50に記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0260】
実施態様52.
0ではない量のP
2O
5と、1.0モル%未満の量のK
2Oとを更に含む、実施態様50または51に記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0261】
実施態様53.
約300MPa以上の表面CSを更に有する、実施態様49〜52のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0262】
実施態様54.
85MPa未満のヤング率を更に有する、実施態様49〜53のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0263】
実施態様55.
約200MPa以上の表面CSと、約0.4・t以上の最大化学的深さとを更に有する、実施態様49〜54のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0264】
実施態様56.
前記第1の表面からDOCまで延びるCS層を更に含み、前記DOCが約0.1・t以上である、実施態様49〜55のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0265】
実施態様57.
CT領域を更に含み、該CT領域が金属酸化物濃度勾配を有し、前記金属酸化物がNa
2O、K
2O、Rb
2O、およびCs
2Oのうちのいずれか1以上を含む、実施態様49〜56のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0266】
実施態様58.
表面CSに対する最大CTの比率が約0.01〜約0.2の範囲内である、実施態様49〜57のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0267】
実施態様59.
前記ガラス物品が、前記第1の主要な表面および前記第2の主要な表面のうちのいずれか一方において測定された、約6Nを超えるヌープ横クラックスクラッチ閾値を有する、実施態様49〜58のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0268】
実施態様60.
前記物品が、表面破断閾値衝撃力試験によって測定された約400N〜約851Nの最大表面衝撃力に耐える、実施態様49〜59のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0269】
実施態様61.
前記物品が、縁部破断閾値衝撃力試験によって測定された約200Nを超え約500Nまでの平均縁部衝突衝撃力に耐える、実施態様49〜60のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0270】
実施態様62.
前記物品が、縁部破断閾値衝撃力試験によって測定された約0.43Jを超え約1.3Jまでの縁部衝突衝撃エネルギーに耐える、実施態様49〜61のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0271】
実施態様63.
民生用電子製品において、
前面、後面、および側面を有する筐体と、
少なくとも部分的に前記筐体内にある電気的構成要素であって、少なくともコントローラ、メモリ、およびディスプレイを含み、該ディスプレイが前記筐体の前記前面に設けられたまたは該前面に隣接して設けられた、電気的構成要素と、
前記ディスプレイを覆うように配置されたカバー基体と
を含み、
前記筐体の一部分または前記カバー基体のうちの少なくとも一方が、実施態様49〜62のいずれか1つに記載の強化されたガラス物品を含む
ことを特徴とする民生用電子製品。
【0272】
実施態様64.
化学的に強化されたガラス物品において、
約0.3mm〜約1.5mmの範囲内の厚さtを定める第1の主要な表面およびその反対側の第2の主要な表面と、
Li
2OおよびB
2O
3を含むアルカリアルミノシリケートの組成物と、
前記第1の主要な表面から約0.12tを超える圧縮の深さ(DOC)まで延在する圧縮応力(CS)層と
を含み、
前記CS層が約200MPa以上の最大応力を有し、
前記ガラス物品が、前記第1の主要な表面および前記第2の主要な表面のうちのいずれか一方において測定された、約6Nを超えるヌープ横クラックスクラッチ閾値を有する
化学的に強化されたガラス物品であって、
(i)前記物品が、表面破断閾値衝撃力試験によって測定された約400N〜約851Nの最大表面衝撃力に耐えること、
(ii)前記物品が、縁部破断閾値衝撃力試験によって測定された約200Nを超え約500Nまでの平均縁部衝突衝撃力に耐えること、および、
(iii)前記物品が、縁部破断閾値衝撃力試験によって測定された約0.43Jを超え約1.3Jまでの縁部衝突衝撃エネルギーに耐えること
のうちの少なくとも1つを有する
ことを特徴とする化学的に強化されたガラス物品。
【0273】
実施態様65.
前記組成物が、約60モル%〜約80モル%の範囲内の量のSiO
2と、約10モル%以上の量のAl
2O
3と、約4モル%〜約11モル%の範囲内の量のLi
2Oと、約0.9モル%〜約7.5モル%の範囲内の量のB
2O
3とを含む組成であって、前記B
2O
3、P
2O
5、SiO
2、およびAl
2O
3の合計量が約80モル%以上であり、前記B
2O
3、P
2O
5、SiO
2、およびAl
2O
3の合計量に対する前記Li
2Oの比率が0.074未満である組成を更に有する、実施態様64に記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0274】
実施態様66.
0ではない量のP
2O
5と、1.0モル%未満の量のK
2Oとを更に含む、実施態様64または65に記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0275】
実施態様67.
約0・tから約0.3・tまでの厚さの範囲に沿って0にはならずに変化する濃度の金属酸化物であって、Na
2O、K
2O、Rb
2O、およびCs
2Oのうちのいずれか1以上を含む金属酸化物を更に含む、実施態様64〜66のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0276】
実施態様68.
前記金属酸化物の前記濃度が前記厚さ全体に沿って0にはならずに変化する、実施態様64〜67のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0277】
実施態様69.
前記金属酸化物が前記厚さの範囲に沿って応力を生じる、実施態様64〜68のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0278】
実施態様70.
前記金属酸化物の前記濃度が、前記第1の表面から該第1の表面と前記第2の表面との間の点における値まで減少し、該値から前記第2の表面まで増加する、実施態様64〜69のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0279】
実施態様71.
約40MPa〜約100MPaの範囲内の最大中心張力を更に有する、実施態様64〜70のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0280】
実施態様72.
85MPa未満のヤング率を更に有する、実施態様71に記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0281】
実施態様73.
前記SiO
2の量が約65モル%〜約80モル%の範囲内である、実施態様64〜72のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0282】
実施態様74.
装置において、
前面、後面、および側面を有する筐体と、
少なくとも部分的に前記筐体内にある電気的構成要素と、
前記筐体の前記前面にあるまたは該前面に隣接したディスプレイと、
前記ディスプレイを覆うように配置されたカバー物品と
を含み、
前記カバー物品および前記筐体の少なくとも一部分のうちの少なくとも一方が、実施態様64〜73のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品を含むことを特徴とする装置。
【0283】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0284】
実施形態1
ガラス物品において、
約60モル%〜約80モル%の範囲内の量のSiO
2と、
約10モル%以上の量のAl
2O
3と、
約4モル%〜約11モル%の範囲内の量のLi
2Oと、
約0.9モル%〜約7.5モル%の範囲内の量のB
2O
3と
を含む組成を有し、
前記B
2O
3、P
2O
5、SiO
2、およびAl
2O
3の合計量が約80モル%以上であり、
前記B
2O
3、P
2O
5、SiO
2、およびAl
2O
3の合計量に対する前記Li
2Oの比率が0.074未満である
ことを特徴とするガラス物品。
【0285】
実施形態2
前記SiO
2の量が約65モル%〜約80モル%の範囲内である、実施形態1に記載のガラス物品。
【0286】
実施形態3
0ではない量のP
2O
5と、1.0モル%未満の量のK
2Oとを更に含む、実施形態1または2に記載のガラス物品。
【0287】
実施形態4
前記B
2O
3の量が約0.9モル%〜約6.5モル%の範囲内の量である、実施形態1〜3のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0288】
実施形態5
前記Na
2Oの量が約3モル%〜約11モル%の範囲内の量である、実施形態1〜4のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0289】
実施形態6
前記組成が、ROを更に含み、該ROが、MgO、CaO、SrO、BaO、およびZnOのうちのいずれか1以上を含む、実施形態1〜5のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0290】
実施形態7
前記ROの合計量が、約0.05モル%〜約4モル%の範囲内、および約0.05モル%〜約2モル%の範囲内のうちの少なくとも1つである、実施形態6に記載のガラス物品。
【0291】
実施形態8
前記組成がK
2Oを実質的に含まない、実施形態1〜7のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0292】
実施形態9
前記Na
2Oの量が前記Li
2Oの量より多い、実施形態1〜8のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0293】
実施形態10
前記組成がSnO
2を更に含む、実施形態1〜9のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0294】
実施形態11
前記組成が、約1.5モル%未満のZrO
2を更に含む、実施形態1〜10のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0295】
実施形態12
化学的に強化されたガラス物品において、
約0.3mm〜約1.5mmの範囲内の厚さtを定める第1の主要な表面およびその反対側の第2の主要な表面と、
Na
2OおよびB
2O
3を含むアルカリアルミノシリケートの組成物と、
前記第1の主要な表面から約0.12tを超える圧縮の深さ(DOC)まで延在する圧縮応力(CS)層と
を含み、
前記CS層が約200MPa以上の最大応力を有し、
前記ガラス物品が、前記第1の主要な表面および前記第2の主要な表面のうちのいずれか一方において測定された、約6Nを超えるヌープ横クラックスクラッチ閾値を有する
化学的に強化されたガラス物品であって、
(i)前記物品が、表面破断閾値衝撃力試験によって測定された約400N〜約851Nの最大表面衝撃力に耐えること、
(ii)前記物品が、縁部破断閾値衝撃力試験によって測定された約200Nを超え約500Nまでの平均縁部衝突衝撃力に耐えること、および、
(iii)前記物品が、縁部破断閾値衝撃力試験によって測定された約0.43Jを超え約1.3Jまでの縁部衝突衝撃エネルギーに耐えること
のうちの少なくとも1つを有する
ことを特徴とする化学的に強化されたガラス物品。
【0296】
実施形態13
前記組成物が、約60モル%〜約80モル%の範囲内の量のSiO
2と、約10モル%以上の量のAl
2O
3と、約4モル%〜約11モル%の範囲内の量のLi
2Oと、約0.9モル%〜約7.5モル%の範囲内の量のB
2O
3とを含む組成であって、前記B
2O
3、P
2O
5、SiO
2、およびAl
2O
3の合計量が約80モル%以上であり、前記B
2O
3、P
2O
5、SiO
2、およびAl
2O
3の合計量に対する前記Li
2Oの比率が0.074未満である組成を更に有する、実施形態12に記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0297】
実施形態14
0ではない量のP
2O
5と、1.0モル%未満の量のK
2Oとを更に含む、実施形態12または13に記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0298】
実施形態15
約0・tから約0.3・tまでの厚さの範囲に沿って0にはならずに変化する濃度の金属酸化物であって、Na
2O、K
2O、Rb
2O、およびCs
2Oのうちのいずれか1以上を含む金属酸化物を更に含む、実施形態12〜14のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0299】
実施形態16
前記金属酸化物の前記濃度が前記厚さ全体に沿って0にはならずに変化する、実施形態12〜15のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0300】
実施形態17
前記金属酸化物が前記厚さの範囲に沿って応力を生じる、実施形態12〜16のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0301】
実施形態18
前記金属酸化物の前記濃度が、前記第1の表面から該第1の表面と前記第2の表面との間の点における値まで減少し、該値から前記第2の表面まで増加する、実施形態12〜17のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0302】
実施形態19
約40MPa〜約100MPaの範囲内の最大中心張力を更に有する、実施形態12〜18のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0303】
実施形態20
85MPa未満のヤング率を更に有する、実施形態19に記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0304】
実施形態21
前記SiO
2の量が約65モル%〜約80モル%の範囲内である、実施形態12〜20のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0305】
実施形態22
装置において、
前面、後面、および側面を有する筐体と、
少なくとも部分的に前記筐体内にある電気的構成要素と、
前記筐体の前記前面にあるまたは該前面に隣接したディスプレイと、
前記ディスプレイを覆うように配置されたカバー物品と
を含み、
前記カバー物品および前記筐体の少なくとも一部分のうちの少なくとも一方が、実施形態12〜21のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品を含む
ことを特徴とする装置。
【0306】
実施形態23
化学的に強化されたガラス物品において、
約3ミリメートル未満の厚さ(t)を定める第1の主要な表面および該第1の表面とは反対側の第2の主要な表面と、
約60モル%〜約80モル%の範囲内の量のSiO
2と、約10モル%以上の量のAl
2O
3と、約4モル%〜約11モル%の範囲内の量のLi
2Oと、約0.9モル%〜約7.5モル%の範囲内の量のB
2O
3とを含む組成物であって、前記B
2O
3、P
2O
5、SiO
2、およびAl
2O
3の合計量が約80モル%以上であり、前記B
2O
3、P
2O
5、SiO
2、およびAl
2O
3の合計量に対する前記Li
2Oの比率が0.074未満である、組成物と、
前記厚さにそって延在する応力プロファイルと、
を含み、
約0・tから0.3・tまでの厚さの範囲の間にある前記応力プロファイルの少なくとも1つの点、および0.7・tを超える厚さからの前記応力プロファイルの少なくとも1つの点が、傾斜の絶対値が約0.1MPa/μmより大きい接線を有し、
前記応力プロファイルが、最大CSと、DOCと、約100MPa未満の最大CTとを有し、前記最大CSの絶対値に対する前記最大CTの比率が約0.01〜約0.2の範囲内であり、前記DOCが約0.1・t以上である
ことを特徴とする化学的に強化されたガラス物品。
【0307】
実施形態24
前記SiO
2の量が約65モル%〜約80モル%の範囲内である、実施形態23に記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0308】
実施形態25.
0ではない量のP
2O
5と、1.0モル%未満の量のK
2Oとを更に含む、実施形態23または24に記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0309】
実施形態26
約300MPa以上の表面CSを更に有する、実施形態23〜25のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0310】
実施形態27
85MPa未満のヤング率を更に有する、実施形態23〜26のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0311】
実施形態28
約200MPa以上の表面CSと、約0.4・t以上の最大化学的深さとを更に有する、実施形態23〜27のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0312】
実施形態29
前記第1の表面からDOCまで延びるCS層を更に含み、前記DOCが約0.1・t以上である、実施形態23〜28のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0313】
実施形態30
CT領域を更に含み、該CT領域が金属酸化物濃度勾配を有し、前記金属酸化物がNa
2O、K
2O、Rb
2O、およびCs
2Oのうちのいずれか1以上を含む、実施形態23〜29のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0314】
実施形態31
表面CSに対する最大CTの比率が約0.01〜約0.2の範囲内である、実施形態23〜30のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0315】
実施形態32
前記ガラス物品が、前記第1の主要な表面および前記第2の主要な表面のうちのいずれか一方において測定された、約6Nを超えるヌープ横クラックスクラッチ閾値を有する、実施形態23〜31のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0316】
実施形態33
(i)前記物品が、表面破断閾値衝撃力試験によって測定された約400N〜約851Nの最大表面衝撃力に耐えること、
(ii)前記物品が、縁部破断閾値衝撃力試験によって測定された約200Nを超え約500Nまでの平均縁部衝突衝撃力に耐えること、および、
(iii)前記物品が、縁部破断閾値衝撃力試験によって測定された約0.43Jを超え約1.3Jまでの縁部衝突衝撃エネルギーに耐えること
のうちの少なくとも1つを有する、実施形態23〜32のいずれか1つに記載の化学的に強化されたガラス物品。
【0317】
実施形態34
民生用電子製品において、
前面、後面、および側面を有する筐体と、
少なくとも部分的に前記筐体内にある電気的構成要素であって、少なくともコントローラ、メモリ、およびディスプレイを含み、該ディスプレイが前記筐体の前記前面に設けられたまたは該前面に隣接して設けられた、電気的構成要素と、
前記ディスプレイを覆うように配置されたカバー基体と
を含み、
前記筐体の一部分または前記カバー基体のうちの少なくとも一方が、実施形態23〜33のいずれか1つに記載の強化されたガラス物品を含む
ことを特徴とする民生用電子製品。