(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項2記載の方法において、前記1つの出力ディジタル画像が、隣接する組織切片の5つのディジタル画像の複合から生成される5つの領域を含み、4つの正方形に囲まれた中央正方形として表示され、1つの正方形が前記中央正方形の各側に隣接する、方法。
請求項1または2記載の方法において、前記1つの出力ディジタル画像の異なる領域が、重ね合わせフォーマットで、異なる隣接組織切片からの画像データを示す、方法。
請求項4記載の方法において、前記1つの出力ディジタル画像が、第1隣接組織切片の第1ディジタル画像から得られた上側層であって、第1領域についての画像データを供給する上側層と、第2隣接組織切片の第2ディジタル画像から得られた第2層であって、複数の第2領域についての画像データを供給し、前記複数の第2領域の各々がサイズと形状とを有する、第2層とを含む、方法。
請求項6記載の方法において、前記染料が、ヘマトキシリンおよびエオシン染料(「H&E」染料)、および免疫組織科学染料(「IHC」染料)から選択される、方法。
組織標本を可視化するためのコンピュータ・プログラム製品であって、コンピュータ読み取り可能プログラム・コードが内部に具体化された非一時的コンピュータ読み取り可能記憶媒体を含み、前記コンピュータ読み取り可能プログラム・コードが、
a.前記標本の隣接する組織切片の1組のディジタル画像における1つ以上のディジタル画像の複合体である、前記組織標本の複合画像を生成および表示するように構成され、前記1つ以上のディジタル画像の各々が、前記複合画像のある割合を構成し、前記隣接する組織切片の前記1組のディジタル画像における各ディジタル画像が、異なる染料、異なる撮像モード、または双方を使用して得られ、
b.前記複合画像における前記ディジタル画像の1つ以上の前記割合を修正するように構成され、
前記組織標本の複合画像を生成し、前記複合画像における1つ以上のディジタル画像の前記割合を修正するステップが、前記複合画像におけるディジタル画像間における境界において組織構造を一致させることを含む、コンピュータ・プログラム製品。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書では、1つ以上の実施形態について詳細な説明を行う。しなしながら、本開示によるデバイス、システム、および方法は、種々の形態で具体化できることは理解されよう。したがって、本明細書において開示する具体的な詳細を限定と解釈してはならず、逆に、請求項に対する代表的な論拠として、そして本デバイス、システム、および方法を任意の適した様式で採用することを当業者に教示するための代表的な論拠として解釈するものとする。
【0014】
特に定められていなければ、本明細書において使用する全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野における当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有するものとする。本明細書において1つの用語に対して複数の定義がある場合、特に記載がない場合、本章におけるものを優先する。
【0015】
「例えば」(for example)、「のような」(such as)、「含む」(including)等の用語が本明細書において使用されるときはいつでも、明示的にそうでないことが言明されていなければ、「そして限定ではなく」(and without limitation)という語句が以下に続くと理解されるものとする。同様に、「例」(example)、「例示的な」(exemplary)等は非限定的であると理解されるものとする。
【0016】
「実質的に」(substantially)という用語は、意図する目的に悪影響を及ぼさない、記述子(descriptor)からの逸脱(deviation)を認める。記述的用語(descriptive terms)は、「実質的に」という単語が明示的に記載されていなくても、「実質的に」という用語によって修飾されていると理解することとする。
【0017】
「約」(about)という用語は、実験誤差によるばらつきを含む(account for)ことを意味する。測定値または数量が明示的に「約」という単語によって修飾されていなくても、全ての測定値または数量は、暗示的に「約」という単語によって修飾されていると理解することとする。
【0018】
「備えている」(comprising)、「含んでいる」(including)、「有している」(having)、および「伴っている」(involving) 等の用語は、相互交換可能に使用され、同じ意味を有するものとする。同様に、「備える」(comprises)、「含む」(includes)、「有する」(has)、および「伴う」(involves)等も、相互交換可能に使用され、同じ意味を有するものとする。具体的には、これらの用語の各々は、共通の米国特許法における「備えている」(comprising)の法的な定義に倣って定義されることとし、したがって「少なくとも以下の」を意味する開放用語(open term)であると解釈され、更に追加の特徴、限定、態様等を除外しないと解釈されるものとする。つまり、例えば、「コンポーネントa、b、およびcを有するデバイス」とは、このデバイスが少なくともコンポーネントa、b、およびcを含むことを意味する。同様に、「ステップa、b、およびcを伴う方法」という語句は、この方法が少なくともステップa、b、およびcを含むことを意味する。
【0019】
「a」または「an」という用語が使用されるときはいつでも、別段明示的に言明されていないならば、またはこのような解釈が文脈上無意味でないならば、「1つ以上」と理解されるものとする。
【0020】
「整列する」(align)および「位置決めする」(register)という用語、ならびにそれらの形態の全て(例えば、「整列している」(aligning)および「位置決めしている」(registering))は、選択的に使用され、「画像」という用語と関連して使用されるときには同じことを意味するものとする。例えば、「整列された画像」(aligned images)および「位置決めされた画像」(registered images)という語句は、選択的に使用され、画像位置決めプロセス(例えば、粗い位置決めおよび/または細かい位置決めプロセス)を受けたディジタル画像を記述する。
【0021】
「組織標本の隣接する組織切片」とは、スライド上における使用のために準備された組織標本の切片を指す。本開示のコンテキストでは、隣接組織切片とは、組織切片が同じ標本から取り出されたことだけを意味するのであり、組織切片が必ずしも互いに境を接することを意味するのではない。つまり、例えば、本開示が2つのディジタル画像、第1組織切片から得られた1つおよび隣接する組織切片から得られた他の1つ、または隣接する組織切片から得られた1つおよび第2の隣接する組織切片から得られた他の1つを互いに融合することに言及する場合、2つの切片は同じ組織標本から得られたことだけを意味し、2つの切片が組織標本において互いに境を接することを必ずしも意味するのではない。
【0022】
当技術分野では理解されるように、ディジタル画像ファイルはデータ(画像データ)を含む。したがって、ディジタル画像に言及するときは、画像データに言及することにもなる。例えば、1組のディジタル画像に言及するときは、暗示的に、1つ以上の画像データ・ファイルを含む1組の画像データを開示する/に言及することになる。
【0023】
診断、治療決定、および追跡のための病理学スライドの分析では、一般に、細胞、腺、腫瘍等のような生物学的構造の染色応答の存在、形状、強度、およびその他の特徴を評価する。多くの場合、1つのスライド上で見ることができる情報だけでは、当面の作業には十分ではなく、組織の隣接する切片を異なるアッセイによって染色し、組織から複数のプロパティのデータを得る(interrogate)ことができる。複数のアッセイによって染色された複数のスライドから入手可能な情報は、通例、連続する組織切片の分析において最大限使用されない。何故なら、組織において一致する領域(matching regions)を発見し、視認し、分析することは、観察者にとって困難でありそして厄介であるからである。従来の顕微鏡撮影法では、一度に見ることができるスライドは1つだけであり、異なるスライド上の組織上において同じ領域および位置に誘導するツールは容易に入手できない。
【0024】
本開示は、ディジタル病理学に関し、ビュー融合コンピュータ実装画像処理のためのデバイス、システム、および方法を含む。ある実施形態では、これらのデバイス、システム、および方法を単体のワークステーション(インターネットへのアクセスのためのモデムを含むとよい)上に実装する。ある実施形態では、これらのデバイス、システム、および方法は、コンピュータ・ネットワークを通じて実装することもできる。
【0025】
病理学データに対する2つの異なるアッセイおよび分析問題を使用して、本明細書において開示するビュー融合ディジタル画像処理デバイス、システム、および方法を例示し、そのコンテキストを規定する(provide)。一実施形態では、腫瘍に対する免疫応答の評価のために、免疫細胞をIHCアッセイによって染色する。例えば、アッセイは、抗CD3一次抗体染色Tリンパ球を含み、腫瘍、腫瘍周囲間質、または腫瘍内の間質におけるTリンパ球の発生(occurrence)の評価を容易にする。更に総合的な分析のために、このような免疫細胞が腫瘍または周囲構造に浸透したか否か、そしてどのように浸透したか評価することができる。通例、免疫細胞は、IHC染色によって見ることができるようになり、一方腫瘍、腫瘍内の間質、リンパ管等は、ヘマトキシリンおよびエオジン(H&E)によって染色されたスライド上の方が良く見ることができる。したがって、一例では、CD3−IHC染色組織切片を使用して準備されたスライドから得られたディジタル画像と、H&E染色された隣接組織切片を使用して準備されたスライドから得られたディジタル画像との融合(fusion)を伴う。第2実施形態では、腫瘍に対する免疫応答の評価のために、PD−L1/IHCアッセイを使用してPD−L1陽性免疫細胞を染色する。腫瘍細胞もPD−L1抗体を搬送する(carry)ことができ、そしてPD−L1染色細胞が腫瘍細胞かまたは免疫細胞か判断することも望ましいので、H&E染色アッセイを隣接する組織切片上において使用する。つまり、第2の例では、PD−L1/IHC染色組織切片を使用して準備されたスライドから得られたディジタル画像と、H&E染色された隣接組織切片を使用して準備されたスライドから得られたディジタル画像との融合を伴う。しかしながら、双方の例は、H&E染色と組み合わされた、CD3およびPD−L1IHC染色の内の1つを伴い、そして双方共2つのスライドの融合を伴うが、本開示は、異なるIHCおよび特殊な染色アッセイによって染色された複数のスライドから得られるディジタル画像の融合を包含し、更に、これらのディジタル画像をH&E染色スライドから得られるディジタル画像と組み合わせることもできるが、組み合わせなくてもよい。
【0026】
単体ワークステーション上に実装されるか、ネットワークを通じて実装されるかには関係なく、本開示によるシステムは、次にあげるハードウェア・コンポーネント、即ち、モニタのような画像および/または結果を表示するための出力デバイスと、ソフトウェア・プログラムと対話処理するためのキーボードおよびマウスまたはトラックボールのような1つ以上の入力デバイスと、ソフトウェア・プログラムを実行するためのプロセッサとを含むコンピュータの内、少なくとも一部を含むことができる。また、本システムは、複数組のディジタル画像ファイルを格納するための記憶デバイスも含むことができ、各1組は、1人の患者の同じ組織の隣接する組織切片の1つ以上のホール・スライド画像を含む。1組における各ディジタル画像ファイルは、その組における他方のディジタル画像ファイルと比較して、異なる撮像モード(例えば、明視野顕微鏡撮影法および蛍光顕微鏡撮影法)を使用してガラス・スライドから生成することができ、または異なる染料(例えば、HE、IHC染料)を使用して組織切片が準備されたガラス・スライドから生成することができ、または双方から生成することができる。記憶デバイスは、コンピュータ自体の一部となることができ、またはネットワーク・アクセス可能な記憶デバイスのような、別個のデバイスであることも可能である。また、本システムは、ガラス・スライドからディジタル画像ファイルを生成するためのスキャナも含むことができる。
【0027】
本開示の範囲内における特定の実施形態では、生物学的試料(組織試料であってもなくてもよい)を基板上に載せる。基板は、ガラスまたは顕微鏡スライドであってもなくてもよい。本開示の範囲内における特定の実施形態では、撮像および比較される生物学的試料(例えば、組織試料)は、患者の同じ切片またはブロックから採取されなくてもよい(originate)。本開示の範囲内における特定の実施形態では、本開示の範囲内の方法にしたがって位置決めされ使用のために利用可能になるディジタル画像は、1人の患者からの隣接しない組織切片の画像であってもよい。本開示の範囲内における特定の実施形態では、本開示の範囲内の方法にしたがって位置決めされ使用のために利用可能になるディジタル画像は、異なる患者からの生物学的試料の画像であってもよい。本開示の範囲内における特定の実施形態では、本システムは、同じまたは異なる患者、動物、またはその他の試料からの組織試料を比較するために使用することもできる。このような実施形態についての一例では、正常な組織および罹患された組織、あるいは罹患過程の異なる段階における組織を、並存させて視認および比較しつつ、視認された組織ブロックの基礎的な解剖構造(underlying anatomy)を照合する(matching)することを可能にする。
【0028】
単体ワークステーション上に実装されるか、ネットワークを通じて実装されるかには関係なく、本システムは、次にあげるソフトウェア・コンポーネント、即ち、画像位置決めモジュールとビュー融合画像処理モジュール(これ自体が、随意の局所位置決めモジュールと、任意の全域位置決めモジュール(粗雑位置決めモジュールおよび/または精細位置決めモジュールを有する)とを含むことができる)とを含む画像分析プログラムも含むことができる。
【0029】
ビュー融合画像処理モジュールは、プロセッサによって実行されると、組織標本の画像が得られる。この画像は、位置決めされている2つ以上の選択されたディジタル画像の複合体であり、選択されたディジタル画像の各々は、組織標本の異なる隣接組織切片から得られたものである。言い換えると、複合画像の異なる領域は、異なるディジタル隣接組織切片のスライド画像からの画像データを示す。更に、ビュー融合画像処理モジュールは、ユーザが、複合画像上のどの領域が、どの選択されたディジタル画像からのデータを含むのか、クライアント・ユーザ・インターフェースを使用して、判定し、その領域を操作することを可能にする。1つの可能な実施形態では、表示された複合画像と同じサイズの2つ以上の位置決めされた視野(FOV)を、2つ以上のディジタル組織画像からの領域として取得する。選択された領域は、画像情報の部分集合(subset)を含むことができ、またはこれらがディジタル画像全体であることも可能である。FOV画像の第1、第2、または任意のその他の画像からの画像コンテンツを示すために、領域を表示エリアに割り当てる。これらの領域の表示エリアへの割り当ては、入力デバイスを使用するユーザによって、または表示画像と対話処理することによって、対話的に修正することができる。実施形態のいくつかでは、表示は、ユーザが領域の割り当てを変更したときはいつでも、リアル・タイムに更新される。例えば、ある実施形態では、クライアント・ユーザ・インターフェースが「カーテン・ビュー」(curtain view)内に実装され、隣接する領域の境界にスライダが設けられ、このスライダが、選択された画像の1つから複合画像に供給される画像データの割合を高めつつ、境を接するディジタル画像から複合画像に供給される画像データの割合を同時に下げることをユーザに可能にする。他のまたは別の例(another or further example)では、クライアント・ユーザ・インターフェースが「フラッシュライト・ビュー」(flashlight view)に実装され、ディジタル画像の一部が、例えば、円盤形状に「照明されて」、副選択ディジタル画像(secondary, selected digital)からの画像データを円盤形状内に供給し、主選択ディジタル画像(the main, selected digital image)からの画像データを円盤形状の外側に残す。この実施形態では、複合ディスプレイにおける第2画像に割り当てられた領域は円盤形状をなし、この円盤の位置およびサイズは、システムのユーザによって調節することができる。しかしながら、この領域は円盤形状に限定されるのではなく、矩形または正方形のような、任意の他の所望の形状にすることもできる。照明エリアは、画像のどの部分を、主選択スライドではなく、副選択スライドから得るのか選択するために、拡大する、縮小する、および/または画像の周囲において、移動させることができる。また、この例では、ユーザの対話処理によって、表示エリアにおける円盤形状領域のそれぞれの割り当てを修正する。
【0030】
「全域」位置決めモジュールは、プロセッサによって実行することによって、隣接組織切片の1組のディジタル画像において少なくとも2つのディジタル画像を整列し、これによって1組の整列ディジタル画像を形成する。位置決めは、当技術分野において知られている任意の方法によって行うことができ、例えば、2014年3月12日に出願され、"Whole Slide Image Registration and Cross-Image Annotation Devices, Systems and Methods"(ホール・スライド画像位置決めおよび画像間注釈付けデバイス、システム、ならびに方法)と題するPCT出願第PCT/EP2014/054781号に記載されているように達成することができる。この出願をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。
【0031】
ビュー融合画像処理モジュール内における随意の「局所」位置決めプロセスは、界面が調節されたときに、ビュー融合画像上において、ビュー融合画像を構成する2つ以上のディジタル画像を、2つ以上のディジタル画像間の界面に沿って整列させるように動作する。例えば、実施形態において、他の画像を犠牲にして1つの画像のビューを広げるように、隣接画像間の界面を示す(denote)スライダを移動させた場合、2つの画像間の重なり合い(overlay)は、画像が隣接する切片から得られたが同一ではない可能性があるという事実から、不完全となるおそれがある。局所位置決めは、例えば、境界領域に沿って組織構造を一致させることによって、重なり合う領域の境界における視覚的アーチファクトを最小限に抑えるまたは低減することを意図している。カーテン・ビュー、フラッシュライト・ビュー、および本発明のその他の実施形態では、界面領域とは、表示画像において、領域のディスプレイに対する割り当てが変化する領域と定義する。局所位置決めのプロセスは、この界面領域内に表示された2つ以上のFOVからの画像コンテンツができるだけ同様になるように、表示されたFOVの内1つ以上の位置および/または方位を修正する。局所位置決めは、画像変換、例えば、画像の内、界面エリアにおける画像類似性の定量的尺度を最大にする1つの並行移動および回転を決定することによって、実施することができる。例えば、界面領域における1つ以上のFOV画像の相関を、類似性尺度として使用することができる。尚、このタスクを遂行するために、多くの異なる種類の画像変換、および画像類似性の多くの異なる尺度を使用できることは、当業者には明らかであろう。
【0032】
ある実施形態では、コンピュータ実装方法は、更に、1人の患者の同じ組織ブロック、切片、または標本からの少なくとも2つのディジタル画像を整列させ、1組の整列ディジタル画像を得るためのコンピュータ実装「全域」位置決めプロセスも含む。1組における各ディジタル画像は、その1組における他方のディジタル画像と比較して、異なる染料、異なる撮像モード、または双方を使用して得られた画像から得ることもできる。本発明のある実施形態では、全域画像位置決めステップは、異なる組織画像から、同じ組織領域を示すFOVを選択するために使用され、一方局所位置決めは、複合表示の界面領域における表示組織の類似性を向上させるために、FOV画像に適用される。
【0033】
本明細書において説明する例では、特定の染色または撮像方法を使用して準備されたスライドのディジタル撮像を引用するが、本明細書はこれらの染色や撮像方法には限定されず、スライドを準備するときに可能な全てのディジタル撮像を包含する。更に、本明細書において説明する例は、特定の画像を主画像(例えば、H&E画像)と記述し、他の画像を副画像(例えば、IHC染色)とするが、本明細書はこれらのコンテキストに限定されるのでもない。例えば、特定の実施形態では、IHC染色が主であり、H&Eが副であってもよい。また、例では、「カーテン」ビューおよび「フラッシュライト」ビューについて記述するが、本明細書はこれらの撮像モードにも限定されず、複合画像の1つの領域における1つのディジタル画像からの画像データを視認し、スライドの他の領域における1つ以上の追加のディジタル画像からの画像データを視認することによってビュー融合画像を分析する全ての可能な方法を包含する。言い換えると、本明細書は、包括的に、組織標本の2つの画像の典型的な並存表示(side-by-side viewing)ではなく、組織標本の任意の2つ以上のスライドから得られる情報を、この組織標本の1つの複合画像において可視化することを対象とし、複数のスライド上において複数のアッセイによって染色された組織の分析のための機能を提供する。これは、典型的な並存表示手法では得ることができない、即ち、それとは相違するものである。
【0034】
これより図面を参照するが、同様の参照番号は全体を通じて同様の部分を指す。
図1は、医療用画像処理ワークステーション・システム10の実施形態の斜視視覚表現図である。このシステム10において、本開示によるデバイス、システム、および方法を実装することができる。図示のように、医療用画像処理ワークステーション・システム10は、プロセッサ(「CPU」)(図示せず)、記憶デバイス(図示せず)、グラフィクス・プロセッサ・ユニット(「GPU」)(図示せず)、および、必要に応じて、モデム(図示せず)というようなハードウェア・コンポーネント30のための筐体を有するコンピュータ20、図示する例ではモニタ40である第1出力デバイス、図示する例ではキーボード50である第1ユーザ入力デバイス、ならびに図示する例では、トラックボールまたはマウス60のような、ディスプレイと対話処理するためのポインティング・デバイスである第2ユーザ入力デバイスを含む。当技術分野では周知であるが、コンピュータ20、ハードウェア・コンポーネント30、モニタ40、およびユーザ入力デバイス50、60は別個のコンポーネントとして図示されているが、これらは全てラップトップ・コンピュータの形態で統合することもできるので、これらを統合して部品数を減らすこともできる。また、医療用画像処理ワークステーション・システム10は、コンピュータ実装医療用画像処理システムに付随することが知られているデバイスの中でもとりわけ、図示する例ではスライド・スキャナ70である第3入力デバイス、図示する例ではプリンタ80である第2出力デバイス、バックアップ電源90、および外部記憶デバイス(図示せず)のような、追加の周辺機器も含むことができる。ある実施形態では、医療用画像処理ワークステーション・システム10は、複数の画面上における複数のディジタル組織画像の同時視認を容易にするために、1つよりも多いモニタ40を含むこともできる。当業者には認められるであろうが、これらの具体的なコンポーネントは、技術が変更すれば、変更することもあり得る。例えば、周辺ポインティング・デバイスは、画面がユーザの指または音声コマンドに応答する場合、不要になる可能性がある。
【0035】
また、医療用画像処理ワークステーション・システム10は、画像分析プログラムのような、ソフトウェア・コンポーネントも含む。画像分析プログラムは、局所位置決めモジュール、および、必要に応じて、全域位置決めモジュールを含む、ビュー融合画像処理モジュールを含む。ソフトウェア・コンポーネントは、記憶デバイス上に格納される(例えば、ソフトウェア・コンポーネントを内部ハード・ドライブ上に格納してもよい)、1つ以上のファイルであってもよく、および/またはソフトウェア・コンポーネントは、DVD、CDのようなメモリ・ディスク、またはメモリ・カード上に格納されてもよく、メモリ・ディスク受入ポート25を介してメモリ・ディスクが筐体30に挿入されたときに、プロセッサによってメモリ・ディスクにアクセスすることができる。
【0036】
CPUは、記憶デバイスおよびGPUを含む、種々の周辺およびハードウェア・コンポーネントに動作可能に接続されている。記憶デバイスは、複数組のディジタル画像を一時的または永続的に格納することができる。ディジタル画像は、例えば、スキャニング・デバイスによってシステムにインポートすることができる。複数組のディジタル画像は、1人の患者の隣接する組織切片の1つ以上のディジタル画像を含み、各画像は、他の画像と比較して、異なる染料/標識/マーカ、異なる撮像モード、または双方を使用して得ることができる。GPUは、画像表示プログラムおよび画像分析プログラム(1つのプログラムにおいて組み合わせてもよい)からの命令を処理する。例えば、GPUによって実行することによって、画像表示プログラムは、複数のウィンドウがあるウィンドウ型グラフィカル・ユーザ・インターフェース(「GUI」)をモニタ40上に表示する(provide)ことができ、ユーザはGUIと対話処理して、例えばCPUのようなプロセッサに、画像分析プログラムの1つ以上の態様(aspect)を実行させる命令を与えること、および/またはモニタ40の1つ以上おいて、格納されているディジタル画像の内1つ以上を、それらの本来の(元々スキャンされたときのままの)フォーマットで、または画像分析プログラムによって修正して、表示することができる。既に述べたように、画像分析プログラムは、位置決めモジュールとビュー融合画像処理モジュールとを含むことができる。例えばCPUによって実行することによって、位置決めモジュールは、格納されているディジタル画像が、異なる染色、異なる撮像モード、または双方を使用して得られたのであっても、格納されているディジタル画像の内少なくとも2つを整列させて、1組の整列画像を形成する。例えばCPUによって実行することによって、ビュー融合画像処理モジュールは、組織標本の画像を表示する。この画像は、隣接する組織切片のスライドから得られた2つ以上のディジタル画像で構成され、この画像を修正することにより、1つのディジタル画像から複合画像に取り込む部分を、他の画像と対比して、変更することができる。
【0037】
図14は、本発明の例示的実施形態によるシステム900、例えば、画像分析用画像処理システムを示す。システム900は、多チャネル画像または多チャネル画像データ(例えば、RGB画像またはRGB画像データおよび/または多スペクトル画像または多スペクトル画像データ)を生成するソース901を含む。例えば、ソース901は、蛍光顕微鏡、カメラ、光学スキャナ、CCD、または蛍光画像を生成する撮像システム、もしくは明視野顕微鏡、カメラ、光学スキャナ、あるいはRGB画像、多スペクトル画像、および/またはRGBまたは多スペクトル画像データを生成する撮像システムであってもよく、またはこれらを含むのでもよい。撮像システムの例には、例えば、スペクトル・フィルタ・ホイール(spectral filter wheel)またはホール・スライド・スキャナを有する任意の蛍光顕微鏡または明視野顕微鏡をあげることができる。ソース901は、メモリ903と通信することができ、メモリ903は、複数の処理モジュールまたは論理動作を含み、これらはコンピュータ・インターフェース907に結合されたプロセッサ905によって実行される。例えば、顕微鏡、カメラ、スキャナ、CCD、またはメモリ903に結合された他の光学システムによる撮像の目的のために、生物学的試料のような標本をスライドまたは他の基板またはデバイス上に装着することができ、試料の画像の分析は、本開示にしたがってメモリ903上に格納されている複数のモジュールの内1つ以上を実行するプロセッサ905によって実行される。分析は、試料の同定(identification)および研究を目的とするのでもよい。例えば、生物学的システムまたは病理学的システムが試料を研究して、タンパク質、タンパク質断片、あるいは癌またはその他の疾患の存在を示すその他のマーカというような生物学的情報を求めることもでき、あるいはゲノムDNA検出、メッセンジャRNA検出、タンパク質検出、ウィルスの検出、遺伝子の検出等というような、他の目的のために研究することもできる。
【0038】
試料、例えば、組織試料または細胞診試料は、1つ以上の異なる量子ドット、蛍光体(1つまたは複数)、またはその他の染料を含有することができる1つ以上の異なる染料の適用によって、染色することができる。例えば、蛍光スライドでは、異なる染料が異なる量子ドットおよび/または蛍光体に対応することができる。蛍光体は、1つ以上のナノ結晶半導体蛍光体(例えば、量子ドット)を構成する(comprise)ことができ、各々異なる波長範囲においてピーク発光応答を生成する。量子ドットは、周知であり、Invitrogen Corp.、Evident Technologies、およびその他から商業的に入手することができる。例えば、565、585、605、および655nmにおいてピーク発光応答をそれぞれ生成する様々な異なる量子ドットによって、試料を処置することができる。試料に適用される蛍光体の内1つ以上は、有機蛍光体14(例えば、DAPI、Texas Red)であってもよい。有機蛍光体14は、当技術分野では周知であり、少なくとも、本願と所有者および譲受者が同じである米国特許第8,290,236号に記載されている。この特許をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。更に、典型的な試料は、染色/アッセイ・プラットフォームを利用して処理される。この染色/アッセイ・プラットフォームは、自動化することができ、染料、例えば、量子ドットおよび/または有機蛍光体を含有する染料を試料に適用する。市場には、染色/アッセイ・プラットフォームとしての使用に適した種々の市販品(commercial products)がある。
【0039】
暫定的な組織処理および染色の後、ソース901において、例えば、スキャナ、CCDアレイ・スペクトル・カメラ、または材料の標本を含む(contain)スライドを撮像するために使用されるその他の撮像システムによって、試料の1つ以上のディジタル画像を取り込みし、スライド上の標本のディジタル画像を生成することができる(本発明によれば、融合画像は少なくとも2つの異なるスライドの複数の部分を含む)。標本を含むスライドは、試料に適用された染料からの発光応答を生成することを意図した波長で試料を照明するために、光源に晒される(subjected to)。量子ドットの場合、光源は広帯域スペクトル光源とするとよい。あるいは、光源は、レーザのような、狭帯域光源を含んでもよい。RGB明視野画像も取り込むことができる。撮像システムは、例えば、ディジタル・カメラ、顕微鏡、または1つ以上の対物レンズ、および光源、更には1組のスペクトル・フィルタを有するその他の光学システムを含むことができる。異なる波長において画像を取り込む他の技法を使用することもできる。染色された生物学的試料を撮像するのに適したカメラ・プラットフォームは、当技術分野では周知であり、Zeiss、Canon、Applied Spectral Imaging、およびその他というような会社から市販されており、このようなプラットフォームは、本開示のシステム、方法、および装置における使用のために、容易に適応可能である。画像は、メモリまたは記憶デバイス903に、ワイヤレスまたはワイヤライン接続を介して、例えば、ソース901とコンピュータ907との間のケーブル接続を介して、コンピュータ・ネットワークを通じて、あるいはディジタル情報をコンピュータ間で転送するために一般に使用される任意の他の媒体を使用して供給することができる。また、画像は、ネットワークを通じてネットワーク・サーバまたはデータベースに、コンピュータ907による格納および後における検索(retrieval)のために供給することもできる。プロセッサ905およびメモリ903以外にも、コンピュータ907は、キーボード、マウス、スタイラス、およびディスプレイ/タッチスクリーンのような、ユーザ入力および出力デバイスも含む。以下の論述において説明するが、プロセッサ905は、メモリ903上に格納されているモジュールを実行し、画像の分析、このような画像から得られる画像または画像データの(of the image or image data derived from such images)、定量的分析を行い、更に定量的結果/結果の図表を、コンピュータ907を操作するユーザに表示する。
【0040】
メモリ903上に格納されているモジュールは、以上で説明し更に本明細書において説明するように、画像位置決めモジュール902と、ビュー融合画像処理モジュール904とを含むことができる。しかしながら、これらのモジュールによって実行される動作は、本明細書において記載するものに限定されるのではなく、モジュールのシーケンス、構成(arrangement)、および総数は変更されてもよく、ここに説明する実施形態は単に例示を目的にするに過ぎない。ソフトウェア・モジュールは、クライアント・ユーザ・インターフェース、例えば、コンピュータ907に関連付けられたユーザ・インターフェースを介してアクセスすることができる。
【0041】
一旦プログラムを起動したなら、ユーザは、分析のためにディジタル画像921を選択することができる。ここで説明する実施形態では、ユーザは、隣接する連続切片の一連の画像から画像を選択し、例えば、これらの切片の内少なくとも1つはH&Eによって染色されており、他の切片は1つ以上の異なるIHC染料によって染色されている。しかしながら、本発明は、隣接する一連の切片のビュー融合画像処理に限定されるのではない。例えば、他の実施形態では、観察者(viewer)が、例えば、通常および罹患組織、または疾病過程の異なる段階における組織を視認および比較するために、同じまたは異なる患者、動物、またはその他の試料からの組織試料の画像から選択することができる。
【0042】
クライアント・インターフェースを介して、次に、ユーザは画像位置決めモジュール902を呼び出すことができる。画像位置決めモジュール902は、例えば、CPUまたはプロセッサ905によって実行されると、例えば、視認された組織ブロックの基礎解剖学的構造の照合(matching)によって、選択された画像を整列する(align)。
【0043】
クライアント・インターフェースを介して、ユーザはビュー融合画像処理モジュール904も呼び出すことができる。ビュー融合画像処理モジュール904は、例えば、CPUまたはプロセッサ905によって実行されると、画像位置決めモジュールによって位置決めされた選択画像(selected images)921の融合画像を生成する。例えば、ビュー融合画像処理モジュール904は、選択され位置決めされたスライドの複合画像を、並存「カーテン」ビュー(side-by-side curtain view)(1つ以上のカーテンを含む)で、および/または「フラッシュライト」ビューで生成することができる。1つ以上の副スライドの1つ以上の部分は、主スライド内における1つ以上の部分と入れ替わるように現れる。
【0044】
図2は、本開示によるデバイス、システム、および方法を実装することができるネットワーク型システムの実施形態を示すネットワーク図である。図示のように、システム200は、データベース・サーバ210と、ネットワーク・アクセス可能な記憶デバイス215とを含む。これらの各々は、ネットワーク220に接続されている。記憶デバイス215は、複数組のディジタル画像を格納する。各組は、1人の患者の隣接する組織切片の1つ以上のディジタル画像を含む。1組における各画像は、1組における他の画像と比較して、異なる染料、異なる撮像モード、または双方を使用することによって得ることができる。1つ以上のクライアント・コンピュータ230は、キーボード232、マウス(図示せず)、およびプリンタ(図示せず)のような関連する入力および出力デバイスを有することができ、当技術分野では周知の任意の手段によってネットワーク220にも接続されている(例えば、専用接続、DSLまたはケーブル・モデム、ワイヤレス・インターネット接続、ダイアルアップ・モデム等)。クライアント・コンピュータ230はウェブ・ブラウザを含む。ウェブ・ブラウザは、記憶デバイス215内にあるディジタル画像にアクセスするために使用される。本発明の例示的な実施形態では、ディジタル画像を格納するために、クラウド・ストレージを利用することもできる。
【0045】
クライアント・コンピュータ230は、画像分析プログラムに関係する命令を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサを含む。画像分析プログラムは、サーバ210からクライアント・コンピュータ230にダウンロードすることができる。画像分析プログラムは、画像ビューア・モジュールを含むことができる。クライアント・ユーザ・インターフェースを提供する画像ビューア・モジュールを実行することによって、この画像ビューア・モジュールがウィンドウ型GUIを表示する(provide)ことができ(更に、複数のウィンドウを含むことができる)、このウィンドウ型GUIが、プロセッサに画像分析プログラムの1つ以上の態様(aspect)を実行させる命令をユーザが与えることを可能にし、および/または格納されているディジタル画像の内1つ以上を、それらの元々スキャンされたフォーマットのまま表示する、あるいは画像分析プログラムによって修正された通りに表示することができる。格納されている画像が未だ位置決めされていない場合(あるいはユーザが第2のまたは異なる位置決め方法を使用することを望む場合)、画像分析プログラムは、必要に応じて、ユーザが、1人の患者の組織切片から得られた1組の画像から、位置決めのために画像を選択することを可能にすることができ、この1組における画像の少なくとも一部は、この1組における他の画像と比較して、異なる染料、または異なるモード、または双方を使用して作られたのでもよい。また、画像分析プログラムは、1組のディジタル画像における2つ以上のディジタル画像の複合体である組織標本のディジタル画像を、ユーザが視認することを可能にする。ある実施形態では、システム200は、ホール・スライド250をスキャンし、ディジタル画像を生成するスキャナ240も含む。ディジタル画像は、記憶デバイス215内に格納される。
【0046】
当業者には理解されようが、コンピュータ化ネットワークのコンテキストにおいて画像分析プログラムを実装すると、そうしない単体のワークステーションでは限定される特定のアクティビティが可能になる。例えば、同じ場所におらず、実際には互いに離れている病理学者であっても、画像の分析において協働することができ、または場所には関係なく、相応しい(correct)病理学者に正確な時に到達することができる。
【0047】
図1および
図2は、1つ以上のコンピュータ・システムまたはネットワーク・トポロジ内に存在することができる特定のエレメントを示す。本開示によるデバイスおよびシステムを実装することができるコンピュータ・システムおよびネットワークは、他のコンピュータ・システムやネットワーク・トポロジを包含することができ、更にそれら他のコンピュータ・システムおよびネットワーク・トポロジにおいて、もっと多いまたは少ないエレメントを含んでもよいことは、習熟者(person of skill)には理解されよう。言い換えると、
図1および
図2の実施形態は限定ではない。例えば、ある実施形態では、ディジタル画像を格納するために、クラウド・ストレージを利用することもできる。
【0048】
したがって、本開示にしたがった使用のためのコンピュータ・システムの例示的な実施形態は、ワークステーション、パーソナル・コンピュータ、サーバ、ハンドヘルド・デバイス、マルチプロセッサ・システム、マイクロプロセッサ・ベースまたはプログラマブル消費者用電子機器、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレーム・コンピュータ、あるいは任意のその他の現行または今後のコンピュータというような、任意の数のコンピュータ・プラットフォームまたは複数の型式のコンピュータ・プラットフォームを含むことができる。
【0049】
また、例示的な実施形態は、分散型コンピューティング環境において実施することもでき、この場合、通信ネットワークにおいて接続されている(例えば、ハードワイヤ接続、ワイヤレス接続、またはこれらの組み合わせによって)ローカルおよび/またはリモート処理デバイスによってタスクが実行される。分散型コンピューティング環境では、プログラム・モジュールは、メモリ記憶デバイスを含むローカルおよびリモート双方のコンピュータ記憶媒体に配置することもできる。しかしながら、ここで説明するような前述のコンピュータ・プラットフォームは、説明する発明の特殊な動作を実行するように特別に構成され、汎用コンピュータとは考えられないことは、当業者には認められよう。
【0050】
コンピュータは、通例、プロセッサ、オペレーティング・システム、システム・メモリ、メモリ記憶デバイス、入力−出力コントローラ、入力−出力デバイス、およびディスプレイ・デバイスのような、周知のコンポーネントを含む。また、関連技術の当業者には、コンピュータには多くの可能な構成およびコンポーネントがあり、キャッシュ・メモリ、データ・バックアップ・ユニット、および多くのその他のデバイスも含んでもよいことも理解されよう。
【0051】
入力デバイスの例には、キーボード、カーソル制御デバイス(例えば、マウス)、マイクロフォン、スキャナ等が含まれる。
【0052】
出力デバイスの例には、ディスプレイ・デバイス(例えば、モニタまたは投射機)、スピーカ、プリンタ、ネットワーク・カード等が含まれる。ディスプレイ・デバイスは、視覚情報を提供するディスプレイ・デバイスを含むことができ、この情報は、通例、画素のアレイとして論理的および/または物理的に編成することができる。
【0053】
また、インターフェース・コントローラも含むことができる。インターフェース・コントローラは、入力および出力インターフェースを設けるための種々の既知のまたは今後のソフトウェア・プログラムの内任意のものを含むことができる。例えば、インターフェースは、1つ以上のグラフィック表現をユーザに提示する(provide)、一般に「グラフィカル・ユーザ・インターフェース」と呼ばれる(GUIと呼ばれることが多い)ものを含んでもよい。インターフェースは、通例、関連技術における当業者には周知の選択手段または入力手段を使用して、ユーザ入力を受け入れるために使用可能である。また、インターフェースはタッチ・スクリーン・デバイスでもよい。
【0054】
同じまたは代わりの実施形態において、コンピュータ上のアプリケーションは、「コマンド・ライン・インターフェース」(CLIと呼ばれることが多い)と呼ばれるものを含むインターフェースを採用することもできる。CLIは、通例、アプリケーションとユーザとの間におけるテキスト・ベースの対話処理に対応する。通例、コマンド・ライン・インターフェースは、ディスプレイ・デバイスを通じて、テキストのラインとして出力を提示し、入力を受け取る。例えば、ある実施態様では、関連技術における当業者には周知の、Unix ShellsまたはMicrosoft Windows Powershellのような、「シェル」と呼ばれるものを含むことができる。Microsoft Windows Powershellは、Microsoft NETフレームワークのような、オブジェクト指向型プログラミング・アーキテクチャを採用する。尚、インターフェースは、1つ以上のGUI、CLI、またはこれらの組み合わせを含んでもよいことは、関連技術における当業者には認められよう。
【0055】
プロセッサは、Intel Corporationが製造するCeleron、Core、またはPentiumプロセッサ、Sun Microsystemsが製造するSPARCプロセッサ、AMD Corporationが製造するAthlon、Sempron、Phenom、またはOpteronというような、市販のプロセッサを含むことができ、あるいは入手可能なまたは今後入手可能になる他のプロセッサの1つであってもよい。プロセッサの実施形態の中には、マルチコア・プロセッサと呼ばれるものを含み、および/または単一コアまたはマルチコア構成において並列処理技術を採用することが可能なものもある。例えば、マルチコア・アーキテクチャは、通例、2つ以上のプロセッサ「実行コア」を含む。本例では、各実行コアは、複数のスレッドの並列実行を可能にする独立したプロセッサとして実行することができる。加えて、プロセッサは、一般に32または64ビット・アーキテクチャと呼ばれるもの、あるいは現在知られているまたは今後開発される可能性があるその他のアーキテクチャ構成で構成することもできることは、関連技術における当業者には認められよう。
【0056】
プロセッサは、通例、オペレーティング・システムを実行する。オペレーティング・システムは、例えば、Microsoft CorporationからのWindows型オペレーティング・システム、Apple Computer Corp.からのMac OS Xオペレーティング・システム、多くの販売業者から入手可能なUnixまたはLinux型オペレーティング・システム、あるいはオープン・ソースと呼ばれるもの、その他のオペレーティング・システムまたは今後のオペレーティング・システム、もしくはこれらの何らかの組み合わせであってもよい。オペレーティング・システムは、ファームウェアおよびハードウェアと周知の様式でインターフェースし、種々のプログラミング言語で書かれることもある種々のコンピュータ・プログラムの機能を調整および実行するときに、プロセッサを補助する(facilitate)。オペレーティング・システムは、通例、プロセッサと協働して、コンピュータの他のコンポーネントの機能を調整および実行する。また、オペレーティング・システムは、スケジューリング、入力−出力制御、ファイルおよびデータ管理、メモリ管理、ならびに通信制御および関連サービスも、全て周知の技法にしたがって、提供する。
【0057】
システム・メモリは、所望の情報を格納するために使用することができ、コンピュータによってアクセスすることができる種々の既知のメモリ記憶デバイスまたは今後のメモリ記憶デバイスの内任意のものを含んでもよい。コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、揮発性および不揮発性、リムーバブルおよび非リムーバブル媒体を含むことができ、コンピュータ読み取り可能命令、データ構造、プログラム・モジュール、またはその他のデータというような情報の格納のための任意の方法または技術で実現される。例には、一般に入手可能なあらゆるランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリ・メモリ(ROM)、電子的消去可能プログラマブル・リード・オンリ・メモリ(EEPROM)、ディジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、常駐ハード・ディスクまたはテープのような磁気媒体、リードおよびライト・コンパクト・ディスクのような光媒体、あるいはその他のメモリ記憶デバイスが含まれる。メモリ記憶デバイスには、種々の周知のデバイスまたは今後のデバイスの内任意のものを含んでもよく、コンパクト・ディスク・ドライブ、テープ・ドライブ、リムーバブル・ハード・ディスク・ドライブ、USBまたはフラッシュ・ドライブ、あるいはディスケット・ドライブが含まれる。このようなタイプのメモリ記憶デバイスは、通例、コンパクト・ディスク、磁気テープ、リムーバブル・ハード・ディスク、USBまたはフラッシュ・ドライブ、あるいはフロッピ・ディスケットのようなプログラム記憶媒体からそれぞれ読み取りを行い、および/またはこれらに書き込みを行う。これらのプログラム記憶媒体、あるいは現在使用されている他のプログラム記憶媒体、または今後開発される可能性があるプログラム記憶媒体はいずれも、コンピュータ・プログラム製品と見なすことができる。
【0058】
認められるであろうが、これらのプログラム記憶媒体は、通例、コンピュータ・ソフトウェア・プログラムおよび/またはデータを格納する。コンピュータ・ソフトウェア・プログラムは、コンピュータ制御ロジックとも呼ばれ、メモリ記憶デバイスと共に使用されるシステム・メモリおよび/またはプログラム記憶デバイスに格納されるのが通例である。ある実施形態では、コンピュータ・プログラム製品は、制御ロジック(プログラム・コードを含むコンピュータ・ソフトウェア・プログラム)が内部に格納されているコンピュータ使用可能媒体を含むというように記述される。制御ロジックは、プロセッサによって実行されると、本明細書において説明した機能をこのプロセッサに実行させる。他の実施形態では、一部の機能は、例えば、ハードウェア状態機械を使用して、主にハードウェアで実現される。本明細書において説明した機能を実行するハードウェア状態機械の実現は、関連技術の当業者には明白であろう。
【0059】
入力−出力コントローラは、人間または機械に関係なく、ローカルまたはリモートにも関係なく、ユーザから情報を受け入れて処理するための種々の既知のデバイスの内任意のものを含むことができる。このようなデバイスは、例えば、モデム・カード、ワイヤレス・カード、ネットワーク・インターフェース・カード、サウンド・カード、または種々の既知の入力デバイスの内任意のもののための他のタイプのコントローラを含む。出力コントローラは、人間または機械に関係なく、ローカルまたはリモートにも関係なく、ユーザに情報を提示するための種々の既知のディスプレイ・デバイスの内任意のもののためのコントローラを含むことができる。
【0060】
現在説明している実施形態では、コンピュータの機能エレメントがシステム・バスを介して互いに通信する。コンピュータの実施形態には、ネットワークまたは他のタイプの遠隔通信を使用して、いくつかの機能エレメントと通信できるものもある。関連技術の当業者には明白であろうが、計器制御および/またはデータ処理アプリケーションがソフトウェアで実装される場合、システム・メモリおよび/またはメモリ記憶デバイスにロードされ、そこから実行されればよい。また、計器制御および/またはデータ処理アプリケーションの全部または一部は、メモリ記憶デバイスのリード・オンリ・メモリまたは同様のデバイスに存在してもよく、このようなデバイスは、計器制御および/またはデータ処理アプリケーションを最初に入力−出力コントローラを介してロードする必要がない。尚、実行に有利であれば、計器制御および/またはデータ処理アプリケーション、あるいはその一部がプロセッサによってシステム・メモリ、またはキャッシュ・メモリ、あるいは双方に、既知の様式でロードされてもよいことは、関連技術の当業者には理解されよう。
【0061】
加えて、インターネット・クライアントが、ネットワークを使用して他のコンピュータ上にあるリモート・サービスにアクセスするために使用可能な(enabled)アプリケーションを含んでもよく、例えば、一般に「ウェブ・ブラウザ」と呼ばれるものを備えてもよい(comprise)。この例では、いくつかの一般に採用されるウェブ・ブラウザには、Microsoft Corporationから入手可能なMicrosoft Internet Explorer、Mozilla CorporationからのMozilla Firefox、Apple Computer Corp.からのSafari、Google CorporationからのGoogle Chrome、あるいは当技術分野において現在知られているまたは今後開発されるその他のタイプのウェブ・ブラウザが含まれる。また、同じまたは他の実施形態において、インターネット・クライアントが、生物学的用途のためのデータ処理アプリケーションのような、ネットワークを通じて遠隔情報にアクセスするために使用可能な、特殊ソフトウェア・アプリケーションを含んでもよく、またはそのエレメントであることも可能である。
【0062】
ネットワークは、当業者には周知の多くの種々のタイプのネットワークの1つ以上を含むことができる。例えば、ネットワークは、TCP/IPプロトコル・スイートと一般に呼ばれるものを通信のために採用することがある、ローカルまたはワイド・エリア・ネットワークを含むことができる。ネットワークは、一般にインターネットと呼ばれる、相互接続コンピュータ・ネットワークの世界規模のシステムを構成するネットワークを含んでもよく、または種々のイントラネット・アーキテクチャを含むこともできる。また、ネットワーク接続環境におけるユーザの中には、ハードウェアおよび/またはソフトウェア・システムとの間の情報トラフィックを制御するために、一般に「ファイアウォール」(ときとしてパケット・フィルタまたは境界保護デバイスと呼ばれることもある)と呼ばれるものを採用することを好む者がいることも、関連技術における当業者には認められよう。
【0063】
図3〜
図5は、纏めて、ビュー融合フォーマットで画像を表示する(view)ためにプロセッサと対話処理するクライアント・ユーザ・インターフェースの実施形態を示す。図示する実施形態では、クライアント・ユーザ・インターフェースは、2つの基本的なツールに跨がって実装され、これらのツールに基づいて、ビュー融合画像処理フレームワークが提示される。第1ソフトウェア・ツール(
図3)は、利用可能な組織画像のリストを提示する。通例、組織画像は、組織切片が得られた組織ブロック毎に一緒に集合化される。このリストにおいてスライドを選択することができ、全域位置決め(global registration)またはスライドの表示(viewing)というようなアクションを起動する(trigger)ことができる。例えば、
図4に示すように、1つの組織ブロックからの全てのスライド(即ち、画像毎にブロックIdは同じである)が選択され、「スライドを位置決めする」というメニュー選択肢が強調および/または選択される。別の例として、そして
図5に示すように、組織ブロックから特定の位置決めされたスライドが選択され、「ビューア」(viewer)という異なるメニュー選択肢が強調および/または選択される。第2のソフトウェア・ツール(
図7〜
図13)は、本開示において更に開示される表示機能(viewing functionality)を提供する。しかしながら、本開示において提供される機能は、他の注釈/ビューア(annotation/viewer)GUIツールおよび他の画像分析/管理ツールと統合することができる。例えば、Ventana Image Viewer、Ventana VIRTUOSO Viewer、およびVentana VECTORビューアを含む、本開示の製品および方法を実装するために、任意のホール・スライド・ビューアを使用することができる。
【0064】
また、
図7に示すように、例えば、ビューアGUIは「ビューア」ウィンドウ326を含む。ビューア・ウィンドウ326は、表示された画像(ズーム・ボタン340およびパンニング・ボタン350のような)とのユーザの対話処理をし易くするために、メニュー・バーおよび多数のアイコンを有する。表示ツール(viewing tool)の中に含まれるのは、カーテン・ビュー・モード360およびフラッシュライド・モード370のような、ビュー融合可視化ボタンである。
【0065】
図7に示すように、カーテン・ビューでは、選択されたスライドが、互いに重なり合って現われ、複合画像のどの部分を、1つの画像から、他の画像と対比して、得るか決定するために、スライダ・エレメントをドラッグすることができる。即ち、スライダ・ボタンを動かして、副基礎画像を表出させ、「カーテン・ビュー」融合可視化の外観を与える。図示する実施形態では、画面の左側にあるディジタル画像は、H&Eで染色された組織切片のスライドから得られ、右側にあるディジタル画像は、IHCアッセイ、例えば、二重IHCアッセイで染色された隣接する組織切片のスライドから得られたものである。
【0066】
図7〜
図9は、スライダ・ボタンを左から右に動かした結果として、複合画像の外観を示す。見て分かるように、スライダ・ボタンをずらすと、各画像の複合画像に対する寄与の割合が変わる。ある実施形態では、局所位置決めは、異なるスライドからの画像データが、カーテンの左右の境界エリアにおいてできるだけ同様になるように、これらの画像の少なくとも1つを調節する。パンニング、ズーム、注釈の作成を含む、他のビューア機能も使用してもよい。
【0067】
図10に示すように、カーテン・ビューは、隣接する組織切片の2つだけのディジタル画像の複合画像や、スライダ・ボタンの左右移動に限定されるのではない。
図10の例では、カーテン・ビューは5つのスライドに適用され、4つのスライダ・ボタンを含み、上から下、下から上、左から右、そして右から左の制御に対応する。図示するカーテン・ビューの実施形態の可視化では、中央の画像はH&E染色スライドから得られ、隣接する組織切片のIHC染色スライドから得られたディジタル画像からの画像データは、それぞれのカーテン・ビュー(スライダ・ボタン)制御によって、可視化(または不可視化)される。
【0068】
融合表示(fusion viewing)は、カーテン・ビューの実施態様に限定されるのではなく、複合画像を可視化および/または操作することができる任意の様式を包含する。一例として、
図11は、標本の隣接する組織切片の2つ以上の位置決めされたディジタル画像の融合表示の他の実施形態、即ち、IHCデータがH&Eデータ上に重ね合わされた「フラッシュライト」または「スポットライト」融合表示を示す。ここでは、ユーザが副画像の任意の領域を選択することができ、それが主(上側)画像の下に重ねられたように現われ、主画像の対応する画像データと置き換わる。ある実施態様では、主スライド内に融合された副スライドからの領域は、フラッシュライトまたはスポットライトが、置き換えられた領域上で輝いているかのような円盤形状となる。しかしながら、本開示は円盤形状に限定されるのではない。ユーザは、更に、クライアント・ユーザ・インターフェースを介してコンピュータと対話処理し、領域のサイズを増減すること、または領域の形状を修正することもできる。更に、
図11〜
図13に示すように、ユーザは、例えば、マウス・ポインタ(または音声制御のような任意の他の対話処理手段)を動かすことによって、領域の位置をずらすことができる。ここでもまた、領域間の整列を調節するために、領域間の境界において局所位置決めを使用することができる。
【0069】
図11〜
図13の例では、IHCデータがH&Eデータ上に重ね合わされているが、ユーザはどちらの画像を主(上側)にし、どちらの画像を副(積み重ねられる/重ね合わされる)(stacked/overlaid)にするか選択することもできる。つまり、例えば、H&EデータをIHCデータ上に重ね合わせることもできる。順序の選択(即ち、どの画像を主に指定し、副下地画像の層状体(layering)として指定するか)は、融合表示に使用される画像を選択する時点において、ユーザによって行うことができる。あるいは、または加えて、積み重ねの順序は、例えば、スタックを入れ替えることによって(例えば、上側の画像をスタックの後ろに移動するように命令することによって)、表示(viewing)の間に変更することができる。
【0070】
更に、
図11〜
図13の例は1つの融合(スポットライト)領域しか示さないが、ある実施形態では、複数の融合領域があることも可能である。これらの領域の各々は、1つの副スライドからの画像データを提示する(provide)ことができ、またはこれらの領域の一部または全部が、異なる副スライドからの画像データを提示することもできる。
【0071】
図14は、本開示による画像分析ソフトウェア・プログラムの実施形態によって実行される方法の実施態様を示す流れ図である。この画像分析ソフトウェア・プログラムは、ユーザがビュー融合・モードにおいて2つ以上の画像を表示する(view)ようにプロセッサに命令することを可能にする。ある実施形態では、選択された画像が整列されていない場合、このプログラムは、選択したディジタル画像(例えば、組織切片をスキャンしたスライドのディジタル画像であり、ホール・スライド画像、部分的スライド画像、あるいはホールまたは部分的スライド画像の部分を含む)をユーザが位置決めすることを可能にすることもできる。
【0072】
図6に示すように、方法600は開始ブロック602において始まる。ブロック604において、1組の画像データまたはディジタル画像を操作のために取得する(例えば、スキャンする、あるいはデータベースから選択する、またはソースから受け取る)。各組の画像データは、例えば、1人の患者の1組の隣接する組織切片からの組織切片に対応する画像データを含む。各画像は、他の画像と比較して、異なる染色がなされた組織切片、または異なる撮像モードを使用してディジタル化された組織切片、または双方から得ることができる。ある実施形態では、隣接する組織切片から準備されたスライド(例えば、顕微鏡ガラス・スライド)をスキャンすることによって、ディジタル画像を生成する。
【0073】
ブロック606において、ユーザは、選択した画像の中から、1つの画像を主(即ち、上側)画像として指定する。副画像が1つしかない場合、本手順はブロック612に進む。そうでない場合、ブロック610において、ユーザは副画像に順序を指定する。
【0074】
ブロック612に移り、選択した画像が既に整列されている場合、本プロセスはブロック616に進む。そうでない場合、ブロック614において、任意の画像位置決め方法を使用して、画像を整列する。ブロック616において、選択し位置決めした(整列した)画像を、共通格子上に表示する。画像は1つの画像内において重ね合わされ、モニタ上(または数個のモニタ上)に表示される。ブロック618において、クライアント・ユーザは、カーテン・ビュー、多重カーテン・ビュー、フラッシュライト・ビュー、多重フラッシュライト・ビューのような、ビュー融合可視化ツールを選択することによって、画像が複合画像(スライダ・ボタンまたはスポットライトのような対話処理機能(features)を含む)として表示される。ここで、複合画像の異なる領域が異なるディジタル画像からの画像データを表示するように、例えば、カーテン・ビュー、多重カーテン・ビュー、フラッシュライト・ビュー、および多重フラッシュライト・ビュー・モードに関して先に説明したように、主ディジタル画像および1つ以上の副ディジタル画像からの情報が組み合わせられる。
【0075】
ブロック620において、クライアント・ユーザは、ディスプレイと対話処理して、主ディジタル画像および1つ以上の副ディジタル画像が寄与する画像データの割合を増大または減少させるために、複合画像を操作することができる。例えば、カーテン・ビューでは、これは、1つのカーテンのサイズを増大させ、他方を犠牲にすることによって行うことができる。他の例として、フラッシュライト・ビューでは、これは、スポットライトのサイズを増大または減少させること、および/またはスポットライトの数を増大または減少させることの内1つ以上によって行うことができる。
【0076】
ある実施形態では、このブロック620の間に、2つのディジタル画像の界面において、複合画像を修正するために対話処理エレメント(スライダまたはスポットライトのような)が有効化された(例えば、動かされた)ときに、局所位置決めが行われる。局所位置決めは、2つの画像が同一ではないが隣接する組織切片から得られた場合に、その境界において発生するおそれがある整列の問題を低減するために使用される。
【0077】
次いで、クライアント・ユーザは、本手順を終了することを決定しても(ブロック622に進む)よく、または主画像および副画像の選択を修正することによって、複合画像を修正することを決定してもよい。これは、既存のスタックの順序を変えることによって(例えば、新たな画像を主として特定するため)、またはデータベースから新たな(位置決めされた)画像を選択しこれらをスタックに追加することによって、またはスタックにおいて既存の画像を部分的または全体的に、新たに選択した画像と置き換えることによって、行うことができる。この場合も、画像が既に整列されている場合、新たな複合画像を表示し、融合表示ツール(fusion viewing tool)のいずれかを使用して、この新たな複合画像を操作することができる。または、画像を最初に整列し、次いで、操作の準備ができた複合画像として表示する。
【0078】
以上、特定の実施形態について説明したが、更に他の実施形態も本開示によって包含されることは、当業者には理解されよう。尚、以上で説明した実施形態には、その広義の発明概念から逸脱することなく、変更も行えることは、当業者によって認められよう。例えば、本開示は、2つのスライドの融合に限定されるのではなく、例えば、複数のスライドを異なるIHCおよび特殊染色アッセイによって染色し、表示のために一緒に融合することができる。他の例として、H&E染色スライドを、IHCまたはその他の染色スライドと共に使用することができるが、それが必要という訳ではない。したがって、本開示および発明概念は、開示した特定の(particular)実施形態に限定されるのではなく、例えば、添付した特許請求の範囲において定められる発明概念の主旨および範囲内における修正(modification)を受け入れる(cover)ことは理解されよう。したがって、以上の種々の実施形態についての説明は、必ずしも除外を含意するのではない。例えば、「ある」(some)実施形態または「他の」(other)実施形態は、本発明の範囲内において、「ある」、「その他の」、「更に他の」(further)、および「特定の」(certain)実施形態の全部または一部を含むこともできる。