(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記収集部は、少なくとも1つの非直交角度付き部分を備え、前記少なくとも1つの非直交角度付き部分は、重力の助けによって、前記凝縮後流体を前記蒸発器の方へ向けるように構成される、請求項1に記載のデバイス。
前記集積デバイスは、音楽プレーヤ、ビデオプレーヤ、エンターテイメントユニット、ナビゲーションデバイス、通信デバイス、モバイルデバイス、モバイルフォン、スマートフォン、携帯情報端末、固定ロケーション端末、タブレットコンピュータ、コンピュータ、装着型デバイス、モノのインターネット(IoT)デバイス、ラップトップコンピュータ、サーバ、および自動車車両の中のデバイスからなるグループの中から選択されたデバイスの中に組み込まれる、請求項1に記載のデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明では、本開示の様々な態様を完全に理解できるように、具体的な詳細が与えられる。しかしながら、態様がこれらの具体的な詳細なしに実践される場合があることが、当業者によって理解されよう。たとえば、それらの態様を無用に詳しく説明して曖昧にすることを避けるために、回路はブロック図で示される場合も示されない場合もある。他の例では、本開示の態様を曖昧にしないように、周知の回路、構造、および技術は詳細には示されない場合がある。
【0016】
概説
いくつかの実装形態は、集積デバイス(たとえば、チップ、ダイ)を備える領域と、集積デバイスを備える領域に結合された熱放散デバイスとを含むデバイス(たとえば、モバイルデバイス)を提供する。熱放散デバイスは、多相熱放散デバイスであってもよい。熱放散デバイスは、領域から熱を放散させるように構成される。熱放散デバイスは、流体と、流体を蒸発させるように構成された蒸発器と、流体を凝縮させるように構成された凝縮器と、蒸発器および凝縮器に結合された内壁と、流体、蒸発器、凝縮器、および内壁を密封する外殻と、蒸発後流体を蒸発器から凝縮器に流すように構成された蒸発部であって、少なくとも部分的に内壁によって画定される蒸発部と、凝縮後流体を凝縮器から蒸発器に流すように構成された収集部であって、少なくとも部分的に内壁によって画定される収集部とを含む。いくつかの実装形態では、領域は、集積デバイスおよび熱放散デバイスに結合された熱界面材料(TIM)を含んでもよい。
【0017】
例示的な多相熱放散デバイス
図4は、蒸発器410と、凝縮器420と、内壁430と、外殻440と、蒸発部450と、収集部460と、流体470とを含む熱放散デバイス400を示す。蒸発器410は蒸発のための手段であってもよい。凝縮器420は凝縮のための手段であってもよい。収集部460は、少なくとも1つの角度付き部分465(たとえば、非直交角度付き部分)を含む。以下でさらに説明するように、少なくとも1つの角度付き部分465は、流体を(たとえば、重力によって)蒸発器410の方に向けるのを助けるように構成される。
【0018】
いくつかの実装形態では、熱放散デバイス400(たとえば、熱放散手段)は多相熱放散デバイスである。以下でさらに説明するように、熱放散デバイス400は、ポンプまたは圧縮器を必要とせずに外殻440内に流体を再循環させることによって熱放散を可能にする冷却デバイスであってもよい。
【0019】
外殻440は、蒸発器410、凝縮器420、内壁430、蒸発部450、収集部460、および流体470を密封するように構成される。蒸発器410は、内壁430に結合される。内壁430は、凝縮器420に結合される。熱放散デバイス400の蒸発部450は、蒸発器410の第1の表面、内壁430の第1の表面、凝縮器420の第1の表面、および/または外殻440の第1の部分によって画定される。熱放散デバイス400の収集部460は、蒸発器410の第2の表面、内壁430の第2の表面、ならびに凝縮器420の第2の表面および/または外殻440の第2の部分によって画定される。内壁430は、蒸発器410から出る流体が凝縮器420から出る流体と混合するのを防止する分離壁であってもよい。
【0020】
図4は、流体470が熱放散デバイス400内部に位置することを示す。たとえば、流体470は、熱放散デバイス400の外殻440の内部に位置する。流体470は、熱放散デバイス400の内部を流れるように構成される。いくつかの実装形態では、熱放散デバイス400内部の流体470の流れは、熱放散デバイス400のある部分から熱放散デバイス400の別の部分への効率的な熱伝達を可能にする。たとえば、流体470は、熱を蒸発器410から凝縮器420に伝達するかまたは流すのを可能にするように構成されてもよい。したがって、いくつかの実装形態では、蒸発器410を通って流入する(たとえば、発熱領域、すなわち集積デバイスからの)熱が凝縮器420を通して放出されてもよい。
【0021】
図4は、流体470が熱放散デバイス400の収集部460の内部に位置することを示す。しかし、いくつかの実装形態では、流体470は、熱放散デバイス400の他の部分(たとえば、蒸発器410、凝縮器420、蒸発部450)内に位置してもよい。流体470は、液相および気相を含む様々な相を有してもよい。いくつかの実装形態では、流体470は、液相と気相の組合せであってもよい。いくつかの実装形態では、流体470の蒸気相は、液相と気相の組合せであってもよい。いくつかの実装形態では、流体が液相から気相に変化する温度は、流体の沸点と呼ばれる。いくつかの実装形態では、流体470は沸点が摂氏約40度以下である。いくつかの実装形態では、流体470は、熱放散デバイス400の各部分においてそれぞれに異なる相であってもよい。
【0022】
流体470が熱放散デバイス400内でどのように流れ得るか、熱の放散および/または伝達がどのように生じ得るか、ならびに流体470の様々な相についてのより詳細な例に関して以下にさらに説明し、それらを
図10に示す。
【0023】
図5は、熱放散デバイス400の外殻440の組立て図の例を示す。
図5に示すように、いくつかの実装形態では、外殻440は、第1のシェル500と第2のシェル510とを含んでもよい。第1のシェル500は、ベース部分といくつかの側壁とを含んでもよい。第1のシェル500は、単体シェルであっても、またはいくつかの壁および/もしくは表面であってもよい。第2のシェル510は、エンクロージャを形成するように第1のシェル500に結合されるように構成されたカバーであってもよい。結合プロセス(たとえば、溶接プロセス、接着プロセス)を使用して第2のシェル510を第1のシェル500に結合し外殻440を形成してもよい。以下にさらに説明し
図6に示すように、蒸発器410、凝縮器420、および内壁430が第1のシェル500および第2のシェル510の内部に形成されてもよい。第1のシェル500は、キャビティ520を含む。いくつかの実装形態では、キャビティ520は、熱放散デバイス400内に流体(たとえば、流体470)が供給され得るように形成される。キャビティ520に流体が流通された後、キャビティ520が密封され、密封された(たとえば、気密)熱放散デバイスが形成される。キャビティが様々な形状およびサイズを有してもよいことに留意されたい。さらに、キャビティ520は、第1のシェル500の様々な部分に形成されてもよい。いくつかの実装形態では、キャビティ520は第2のシェル510内に形成されてもよい。
図5に示すように、キャビティ520は熱放散デバイスの収集部460の近くまたは周りに形成される。しかし、いくつかの実装形態では、キャビティ520は他の部分(たとえば、蒸発部450)内に形成されてもよい。
図5は、キャビティ520を示しているが、キャビティ520は、流体が漏れるかまたは熱放散デバイスに流入するのを防止するように密封されるかまたはプラグが差し込まれてもよい。図面を明快にするために、本開示の他の図にはキャビティ520(または密封されたキャビティもしくはプラグ)は示されていない。しかし、キャビティ520(または密封されたキャビティもしくはプラグ)は、本開示において図示および説明する熱放散デバイスのいずれに実装されてもよい。
【0024】
いくつかの実装形態では、熱放散デバイス400は、熱を発生させるデバイス(たとえば、モバイルデバイス)の領域(たとえば、発熱領域)に結合されるように構成された熱放散手段である。発熱領域は集積デバイス(たとえば、ダイ、チップ、パッケージ、中央処理ユニット(CPU)、グラフィカル処理ユニット(GPU))を含んでもよい。発熱領域はまた、集積デバイスに結合された熱界面材料(TIM)を含んでもよい。集積デバイスおよび/またはTIMに結合された熱放散デバイス400の例について以下にさらに説明し、少なくとも
図9、
図11、および
図12に示す。
【0025】
各実装形態は、熱放散デバイス400、蒸発器410、凝縮器420、内壁430、外殻440、蒸発部450、収集部460、および流体470にそれぞれに異なる材料を使用してもよい。使用できる様々な材料の例について以下にさらに説明する。
【0026】
例示的な材料および流体
熱放散デバイス400およびその構成要素はそれぞれに異なる材料を含んでもよい。いくつかの実装形態では、蒸発器410、凝縮器420、内壁430、外殻440は、金属、銅、アルミニウム、窒化アルミニウム(セラミック)、および/またはそれらの組合せなどの熱伝導性材料を含んでもよい。
【0027】
以下のTable 1(表1)は、熱放散デバイス400または本開示で説明する任意の熱放散デバイスにおいて使用される場合がある材料についての例示的な材料およびそれらの対応する特性を示す。
【0029】
特定の材料の特定の熱伝導率値は、特定の材料がどれだけうまくまたはどれだけ不十分に熱を伝導させるかを数量化したものである。各実装形態は、熱放散デバイス400においてそれぞれに異なる流体を使用してもよい。以下のTable 2(表2)は、例示的な流体およびそれらの対応する特性を示す。
【0031】
いくつかの実装形態では、熱放散デバイス400は、上記に列挙した材料および/または流体のそれぞれに異なる組合せを使用してもよい。しかし、他の実装形態が、上記に列挙した材料および流体またはそれらの組合せとは異なる材料および流体またはそれらの組合せを使用してもよいことに留意されたい。
【0032】
本開示における熱放散デバイスの材料および設計を使用すると、デバイスの発熱領域からの効果的で効率的な熱伝達または熱除去が可能になる。いくつかの実装形態では、蒸発器410は、最大熱伝達係数が約32.8kW/m
2kになるように構成されてもよい。いくつかの実装形態では、凝縮器420は、最大熱伝達係数が約9.27kW/m
2kになるように構成されてもよい。しかし、各実装形態は、それぞれに異なる最大熱伝達係数を有してもよい。
【0033】
いくつかの実装形態では、蒸発器410は、出口における限界熱流束が約26.9W/cm
2であってもよい。いくつかの実装形態では、熱放散デバイス400は、ヒートスプレッダ204よりも実質的に多い最大約18ワットの熱を放散させる(モバイルデバイスでは定格が約3ワットである)ように構成されてもよい。いくつかの実装形態では、熱放散デバイス400は、寸法が約135mm(L:長さ)×65mm(W:幅)×0.6mm(H:高さ)以下であるにもかかわらず上述の熱を放散させることが可能であってもよい。したがって、熱放散デバイス400は、その寸法を考慮すれば、モバイルデバイスに実装されると、ヒートスプレッダ204よりもはるかに多くの熱を放散させる場合がある。本開示における他の熱放散デバイスが、上述の寸法と同じ寸法を有してもよく、上述の寸法と類似の寸法を有してもよく、または上述の寸法とは異なる寸法を有してもよいことに留意されたい。
【0034】
熱放散デバイス400の構造および構成要素について説明したが、次に、以下に、熱放散デバイス400を製作するための高レベルの例示的な方法について説明する。
【0035】
熱放散デバイスを製作する例示的なシーケンス
図6は、熱放散デバイスを製作するための例示的なシーケンスを示す。いくつかの実装形態では、このシーケンスは、熱放散デバイス400(たとえば、熱放散手段)または本開示において説明する任意の他の熱放散デバイスを製作するために使用されてもよい。いくつかの実装形態では、このシーケンスの順序が変更または修正されてもよい。いくつかの実装形態では、いくつかのプロセスが単一のプロセスとして組み合わされてもよい。
【0036】
図6の段階1は、第1のシェル500が設けられた後の状態を示す。いくつかの実装形態では、第1のシェル500を設けることは、いくつかの表面および壁を含むシェルを製作することを含む。
【0037】
段階2は、蒸発器410、凝縮器420、および内壁430が第1のシェル500に結合された後の状態を示す。いくつかの実装形態では、蒸発器410、凝縮器420、および/または内壁430が別々に製作されて一緒に組み立てられ、次いで第1のシェル500に結合される。いくつかの実装形態では、蒸発器410、凝縮器420、および/または内壁430が第1のシェル500と同時に製作される(たとえばそれによって、蒸発器410、凝縮器420、および/または内壁430を含む単体シェルを形成する)。言い換えれば、蒸発器410、凝縮器420、および/または内壁430は一体に組み立てられてよい。接着剤を使用して蒸発器410、凝縮器420、および/または内壁430を互いに結合し、および/または第1のシェル500に結合してもよい。いくつかの実装形態では、溶接プロセスおよび/または機械的プロセスを使用して蒸発器410、凝縮器420、および/または内壁430を互いに結合し、および/または第1のシェル500に結合してもよい。
【0038】
段階2にさらに示すように、蒸発器410、凝縮器420、および/または内壁430を第1のシェル500に結合すると、熱放散デバイスの蒸発部450および収集部460が形成される。
【0039】
いくつかの実装形態では、少なくとも収集部460内に流体(たとえば流体470)が供給されてもよい。流体は、熱放散デバイスの様々な部分(たとえば、蒸発器410、凝縮器420、蒸発部450)に流入してもよい。流体は、熱放散デバイスの一部またはすべてに充填されてもよい。いくつかの実装形態では、流体は製作プロセスの異なる段階の間に供給されてもよい。後述のように、流体470は、熱放散デバイス400が製作された後に供給されてもよく、流体470は、小さいキャビティ(たとえば、キャビティ520)を通して供給され、その後キャビティが密封される。
【0040】
段階3は、第2のシェル510が第1のシェル500に結合され、熱放散デバイス400の外殻440が形成された状態を示す。第2のシェル510は、接着剤、溶接プロセス、および/または機械的結合プロセスによって第1のシェル500に結合されてもよい。第1のシェル500と第2のシェル510を組み合わせると、蒸発器410、凝縮器420、内壁430、および/または流体470が密封される。いくつかの実装形態では、第1のシェル500、第2のシェル510、蒸発器410、凝縮器420、および/または内壁430を組み合わせることによって、蒸発部450と収集部460との境界および熱放散デバイス400が画定される。
【0041】
いくつかの実装形態では、上述のように、第2のシェル510が第1のシェル500に結合された後に流体(たとえば流体470)の一部またはすべてが供給されてもよい。そのような場合、第1のシェル500または第2のシェル510内に小さいキャビティ(たとえば、穴)が形成されてもよく、それによって、熱放散デバイス内に流体が供給されてもよい。キャビティの一例は
図5において説明したキャビティ520である。小さいキャビティ(図示せず)を通して流体が供給された後、小さいキャビティが密封され、密封された(たとえば、気密)熱放散デバイスが形成される。
【0042】
例示的な多相熱放散デバイス
熱放散デバイス400は、様々な構成を有してもよい。いくつかの実装形態では、熱放散デバイス400の一部が、露出されてもよく(たとえば、外殻440によって覆われなくてもよく)、または外殻440の一部として一体化されてもよい。いくつかの実装形態では、熱放散デバイス400は外殻440の完全に外側に位置してもよい。
【0043】
図7は、凝縮器420の一部(たとえば、表面)が外殻440によって覆われない(たとえば、第2のシェル510によって覆われない)熱放散デバイス400を示す。具体的には、凝縮器420の(影付き領域によって示された)凝縮器領域は外殻440によって覆われない。いくつかの実装形態では、この構成は、凝縮器420に対する熱伝達を向上させる場合がある。代替的に、凝縮器420の一部が外殻440と一体化されてもよく(たとえば、第2のシェル510と一体化されてもよく)、それによって、凝縮器420の表面が外部環境に露出される。
【0044】
図8は、蒸発器410の一部(たとえば、表面)が外殻440によって覆われない(たとえば、第1のシェル500によって覆われない)熱放散デバイス400を示す。具体的には、蒸発器410の(影付き領域によって示された)蒸発器領域は外殻440によって覆われない。いくつかの実装形態では、この構成は、蒸発器410に対する熱伝達を向上させる場合がある。代替的に、蒸発器410の一部が外殻440と一体化されてもよく(たとえば、第1のシェル500と一体化されてもよく)、それによって、蒸発器410の表面が外部環境に露出される。
【0045】
いくつかの実装形態では、蒸発器410および/もしくは凝縮器420の他の部分が露出されてもよく、外殻440によって覆われなくてもよく、ならびに/または外殻440と一体化されてもよい。蒸発器410、凝縮器420、および/または外殻は、一緒に製作されてもよいし別々に製作されてもよい。
【0046】
熱放散デバイスの例示的な熱流
図9は、デバイス(たとえば、モバイルデバイス)の発熱領域から熱を放散させるために熱放散デバイス400がどのように利用され得るかを示す。
図9に示すように、熱放散デバイス400は、熱界面材料(TIM)910を介して集積デバイス900(たとえば、ダイ、チップ、パッケージ、中央処理ユニット(CPU)、グラフィカル処理ユニット(GPU))に結合されてもよい。熱界面材料(TIM)910は、熱放散デバイス400を集積デバイス900に結合する接着剤であってもよい。熱界面材料(TIM)910は、適切な熱伝導率特性を含んでもよく、それによって、集積デバイス900から発生した熱が熱放散デバイス400に熱伝達してもよい。
【0047】
熱放散デバイス400は、集積デバイス900および熱界面材料(TIM)910の上方に配置され、それによって、蒸発器410は集積デバイス900および熱界面材料(TIM)910の上方に位置する。
【0048】
図9に示すように、集積デバイス900は、熱界面材料(TIM)910を介して蒸発器410に熱を伝導させる。したがって、蒸発器410は加熱され、それによって、収集部460からの流体470(液相である)を加熱する。蒸発器410から加熱された流体470は、気相または蒸気相になり、次いで、蒸発器410から蒸発部450を通って凝縮器420まで移動する。内壁430は、蒸発器410から出る流体が凝縮器420から出る流体と混合するのを防止する。
【0049】
流体470(気相または蒸気相である)が凝縮器420に達すると、熱が流体470から凝縮器420を通して除去されるように伝達され、熱放散デバイス400から逃げる。流体470は、凝縮器420を通過した後、液相に戻り(またはたとえば、少なくとも部分的に液相に戻り)、収集部460に入る。
【0050】
熱放散デバイス400は、様々な構成を有してもよい。いくつかの実装形態では、熱放散デバイス400の一部が、露出されてもよく(たとえば、外殻440によって覆われなくてもよく)、または外殻440の一部として一体化されてもよい。
【0051】
図9および本開示に示すように、凝縮器420は蒸発器410よりもサイズが大きい。いくつかの実装形態では、熱をより広い領域に拡散してデバイスが臨界温度に達するのを防止するためにこのようなサイズを有している。さらに、凝縮器420は、蒸発器410からの蒸気を完全に凝縮するのを助けるために蒸発器410よりも大きいサイズを有してもよい。たとえば、凝縮器420のサイズとしては、熱放散デバイス400ができるだけ多くの熱を放散させ、しかもデバイス(たとえば、モバイルデバイス)の表面温度をデバイスのユーザに許容される温度よりも低くなるように維持するようなサイズが選択されてもよい。したがって、凝縮器420を蒸発器410よりも大きくする(たとえば、より大きい表面積)ことによって、凝縮器420が、蒸発器を介して熱を効果的に放散させ、同時に、デバイスの表面温度をしきい値温度よりも低くなるように維持し、蒸気を完全に凝縮するのを助けることができることが確実となる。さらに、凝縮器420を蒸発器410よりも大きくすることによって、熱放散デバイス400内が乾燥するのを防止する助けになる。乾燥は、凝縮器420が熱を十分な速度で放散させることができず、したがって、蒸気を十分に凝縮液に転換する(たとえば、液体流体がまったくまたはほとんど残らない)ことができないときに生じる。乾燥が生じると、熱放散デバイス内部の流体がうまく流れず、したがって、熱放散デバイス400内で流体がほとんど再循環しない。
【0052】
図10は、熱放散デバイス内の流体の流体流を示す図である。より詳細には、
図10は、熱放散デバイス400内部の流体流がどのように集積デバイスの効率的な熱放散を可能にするかを示す。熱放散デバイス400は、ポンプまたは圧縮器の必要なしに流体を再循環させるのを可能にする冷却デバイスを構成する。いくつかの実装形態では、熱放散デバイス400内部の流体の再循環は重力によって助けられる。重力は、熱放散デバイス400の熱放散機能を向上させるのを助け、熱放散デバイス400が適切に機能するのを可能にする。熱放散デバイス400は、いくつかの向き(たとえば、デバイスの水平方向、デバイスの垂直方向)においてより良好に動作するように設計されてもよい。いくつかの実装形態では、熱放散デバイス400の最適な向きは、蒸発器410が凝縮器420よりも低い位置に配置され、重力が、凝縮器420からの流体が収集部460を通って蒸発器410の方へ流れるのを助ける向きである。
【0053】
上述のように、収集部460は、少なくとも1つの角度付き部分465を含む。少なくとも1つの角度付き部分465は、非直交角度付き部分を含んでもよい。非直交角度付き部分は、凝縮後流体を重力の助けによって蒸発器410(たとえば、蒸発のための手段)の方へ向けるように構成される。いくつかの実装形態では、収集部460は1つまたは複数の非直交角度付き部分を含んでもよい。非直交部分は様々な角度を含んでもよい。非直交部分は、熱放散デバイス400の縁部に対する非直角角度付き部分(たとえば、壁)を含む部分(たとえば、壁)である。
【0054】
図10は、熱放散デバイス400の収集部460の流体470を示す。収集部460は少なくとも1つの角度付き部分を有し、それによって、流体470(液体形態である)は(たとえば、重力に起因して)蒸発器410の方へ流れる。蒸発器410は、発熱領域(たとえば、TIM、集積デバイス)によって加熱される。収集部460は、流体470を蒸発器410に流す。いくつかの実装形態では、少なくとも1つの角度付き部分は、流体470を蒸発器410の方へ流しかつ向けるのを助ける。
【0055】
流体470が蒸発器410に進入し、蒸発器410内を通って流れると、流体470は、蒸発器410を通過させられる熱源(たとえば集積デバイス)からの熱に起因して蒸発中流体1010になる(たとえば、熱は熱源から蒸発器410を介して流体に伝達される)。蒸発器410は、蒸発器410に入る流体と蒸発器410から出る流体との間の圧力降下が約0.0049バール以下になるように構成される。いくつかの実装形態では、蒸発器410における圧力降下は、0.0049バールよりも低くなる必要があり、その場合、流体は蒸発器410を通過することを妨げられず、したがって、熱放散デバイス400内の流体の再循環が妨げられることがない。上記の値は例示的な値にすぎない。各設計が、それぞれに異なる値を有してもよい。
【0056】
蒸発中流体1010は、蒸発器410から出た後、蒸発部450を通って凝縮器420の方へ移動する蒸発後流体1020(たとえば、蒸気流体)になる。蒸発部450は、蒸発後流体1020を凝縮器420の方へ流すのを助ける。蒸発後流体1020は、気相の流体と液相のいくらかの流体とを含んでもよい。
図10は、内壁430が蒸発部450内の蒸発後流体1020が収集部460内の流体470と混合するのを防止する分離壁であることを示す。
【0057】
蒸発後流体1020は、凝縮器420(たとえば、凝縮のための手段)に進入し凝縮器420内を通って流れるときに凝縮中流体1030になる。このプロセスは、蒸発後流体1020から凝縮器420を介して熱を奪う。凝縮器420からの熱は次いで、熱放散デバイス400から逃げる(たとえば、熱は流体から凝縮器420を通して除去されるように伝達され、熱放散デバイス400から逃げる)。
【0058】
いくつかの実装形態では、凝縮器420は、凝縮器420に入る流体と凝縮器420から出る流体との間の圧力降下が約0.0002バール以下になるように構成される。いくつかの実装形態では、凝縮器420における圧力降下は、0.0002バールよりも低くなる必要があり、その場合、流体は凝縮器420を通過することを妨げられず、したがって、熱放散デバイス400内の流体の再循環が妨げられることがない。
【0059】
凝縮中流体1030は、凝縮器から出た後、液相の流体470(たとえば、凝縮後流体)として収集部460に戻り、このサイクルが繰り返される(たとえば、流体が再循環する)。
【0060】
図10は、熱放散デバイス400が、流体の再循環を使用して、流体を移動させるためのポンプまたは圧縮器の必要なしにどのように熱の放散および冷却を実現するかを示す。いくつかの実装形態では、熱放散デバイス400の様々な設計および/または構成要素を使用することによって熱放散デバイス400内の流体再循環が可能である。
【0061】
たとえば、角度付き部分(たとえば、少なくとも1つの角度付き部分465)が凝縮後液体を(たとえば、重力を介して)蒸発器410に流し、向け、および/または戻すのを助けてもよい。
【0062】
別の例では、内壁430は、流体470が収集部460内の蒸発後流体1020(たとえば、蒸気流体)と混合するのを防止する分離壁である。熱放散デバイス400内で流体が再循環するように蒸発後流体1020と流体470が分離されることが重要である。
【0063】
別の例では、蒸発器410および凝縮器420は、流体が蒸発器410および凝縮器420を横切るときに圧力降下を最小限に抑えるように設計される。圧力降下を最小限に抑えることは、流体が移動するチャネルに関する適切な寸法を選択することによって実現することができる。蒸発器410および凝縮器420用のチャネルに関する寸法の例について、以下に少なくとも
図17〜
図18において説明する。
【0064】
別の例では、蒸発器410および凝縮器420の寸法は、熱放散デバイス400内の乾燥を防止するように選択される。上述のように、乾燥は、凝縮器420が熱放散デバイス400内で(熱が蒸発器410から流入する速度に対して)熱を十分な速度で放散させず、熱放散デバイス400内の流体を(液相をほとんどまたはまったく有さない)気相にするときに生じる。乾燥が生じると、再循環はほとんど生じなくなる。蒸発器410および凝縮器420に関する寸法の例について、以下に少なくとも
図17〜
図18において説明する。
【0065】
いくつかの実装形態では、熱放散デバイス400は、蒸発器410が凝縮器420よりも低い位置に配置され、流体470を蒸発器410の方へ引き込む重力を利用するように熱放散デバイス400が配置されるときに最適に動作する。いくつかの実装形態では、流体の温度が摂氏約40度以上(たとえば、流体の沸点)であるときに熱放散デバイスにおいて流体再循環が生じる。しかし、様々な流体はそれぞれに異なる温度で沸騰するので、流体再循環は、各実装形態に関してそれぞれに異なる温度で開始する場合がある。
【0066】
熱放散デバイスを備える例示的なデバイス
図11は、熱放散デバイス400と、集積デバイス900と、熱界面材料(TIM)910とを含むデバイス1100の組立て図を示す。デバイス1100は、モバイルデバイス(たとえば、電話、タブレット)であってもよい。
図11に示すように、熱放散デバイス400は、蒸発器410と、凝縮器420と、内壁430と、外殻440と、蒸発部450と、収集部460と、流体470とを含む。
【0067】
図11に示すように、集積デバイス900は、熱放散デバイス400に結合された熱界面材料(TIM)910に結合される。具体的には、熱放散デバイス400は、蒸発器410に最も近い外殻440の部分に結合される。
【0068】
図12は、デバイス1100の側面図を示す。デバイス1100は、ディスプレイ102と、裏面200と、前面300と、底面302と、上面304とを含む。
図11は、デバイス1100の内部のプリント回路板(PCB)306、集積デバイス900、熱界面材料(TIM)910、および熱放散デバイス400も示す。
図12は、熱放散デバイス400がデバイス1100の裏面200に接触することがないことを示す。しかし、いくつかの実装形態では、熱放散デバイス400は裏面200に接触する場合がある。いくつかの実装形態では、熱放散デバイス400はヒートスプレッダに結合されてもよい。
【0069】
例示的な熱放散デバイス
図13〜
図16は、それぞれに異なる構成を有する様々な熱放散デバイスの側面図を示す。
図13〜
図16に示す熱放散デバイス(たとえば、1300〜1600)は、熱放散デバイス400のより詳細な例であってもよい。
【0070】
図13は、蒸発器410と、凝縮器420と、内壁430と、外殻440とを含む熱放散デバイス1300を示す。
図13に示すように、蒸発器410は、熱伝導性要素内にチャネル1310(たとえば、蒸発器チャネル)を含む。チャネル1310は、流体(たとえば、流体470)が流通するのを可能にする。チャネル1310は、蒸発器410の上部上および/または熱放散デバイス400の上部上に形成される。チャネル1310は、外殻440によって画定されてもよい。
【0071】
凝縮器420は、熱伝導性要素内にチャネル1320(たとえば、凝縮器チャネル)を含む。チャネル1320は、流体(たとえば、蒸発後流体1020および凝縮中流体1030)が流通するのを可能にする。チャネル1320は、凝縮器420の下部上および/または熱放散デバイス400の下部上に形成される。チャネル1320は、外殻440によって画定されてもよい。
【0072】
図14は、蒸発器410と、凝縮器420と、内壁430と、外殻440とを含む熱放散デバイス1400を示す。
図14に示すように、蒸発器410は、熱伝導性要素内にチャネル1310(たとえば、蒸発器チャネル)を含む。チャネル1310は、流体(たとえば、流体470)が流通するのを可能にする。チャネル1310は、蒸発器410の下部上および/または熱放散デバイス400の下部上に形成される。チャネル1310は、外殻440によって画定されてもよい。
【0073】
凝縮器420は、熱伝導性要素内にチャネル1320(たとえば、凝縮器チャネル)を含む。チャネル1320は、流体(たとえば、蒸発後流体1020および凝縮中流体1030)が流通するのを可能にする。チャネル1320は、凝縮器420の下部上および/または熱放散デバイス400の下部上に形成される。チャネル1320は、外殻440によって画定されてもよい。
【0074】
図15は、蒸発器410と、凝縮器420と、内壁430と、外殻440とを含む熱放散デバイス1500を示す。
図15に示すように、蒸発器410は、熱伝導性要素内にチャネル1310(たとえば、蒸発器チャネル)を含む。チャネル1310は、流体(たとえば、流体470)が流通するのを可能にする。チャネル1310は、蒸発器410の上部上および/または熱放散デバイス400の上部上に形成される。チャネル1310は、外殻440によって画定されてもよい。
【0075】
凝縮器420は、熱伝導性要素内にチャネル1320(たとえば、凝縮器チャネル)を含む。チャネル1320は、流体(たとえば、蒸発後流体1020および凝縮中流体1030)が流通するのを可能にする。チャネル1320は、凝縮器420の上部上および/または熱放散デバイス400の上部上に形成される。チャネル1320は、外殻440によって画定されてもよい。
【0076】
図16は、蒸発器410と、凝縮器420と、内壁430と、外殻440とを含む熱放散デバイス1600を示す。
図16に示すように、蒸発器410は、熱伝導性要素内にチャネル1310(たとえば、蒸発器チャネル)を含む。チャネル1310は、流体(たとえば、流体470)が流通するのを可能にする。チャネル1310は、蒸発器410の下部上および/または熱放散デバイス400の下部上に形成される。チャネル1310は、外殻440によって画定されてもよい。
【0077】
凝縮器420は、熱伝導性要素内にチャネル1320(たとえば、凝縮器チャネル)を含む。チャネル1320は、流体(たとえば、蒸発後流体1020および凝縮中流体1030)が流通するのを可能にする。チャネル1320は、凝縮器420の上部上および/または熱放散デバイス400の上部上に形成される。チャネル1320は、外殻440によって画定されてもよい。
【0078】
蒸発器または凝縮器として構成された例示的な熱伝導性要素
図17は、熱放散デバイス内の蒸発器(たとえば、蒸発器410)として動作するように構成することができる熱伝導性要素1700を示す。
図18は、熱放散デバイス内の凝縮器(たとえば、凝縮器420)として動作するように構成することができる熱伝導性要素1800を示す。
【0079】
熱伝導性要素1700は、上記でTable 1(表1)および/または本開示の他の部分において説明した材料のいずれかによって作られてもよい。熱伝導性要素1700は、長さ(L)と、幅(W)と、高さ(H)とを含む。熱伝導性要素1700は、熱伝導性要素1700の長さに沿って延びる複数のチャネル1710を含む。複数のチャネル1710からの1つまたは複数のチャネルは幅(C
w)および深さ(C
D)を有してもよい。複数のチャネル1710からの2つ以上のチャネルは間隔(S)によって分離されてもよい。
【0080】
いくつかの実装形態において、熱伝導性要素1700は、蒸発器(たとえば蒸発器410)として構成されるときには、寸法が約20mm(L)×15mm(W)×450ミクロン(μm)(H)であってもよい。いくつかの実装形態では、熱伝導性要素1700のチャネル1710は、熱伝導性要素1700が蒸発器として構成されるときには約300ミクロン(μm)(C
w)×250ミクロン(μm)(C
D)であってもよい。いくつかの実装形態では、チャネルの寸法は、熱伝導性要素1700(たとえば、蒸発器)における圧力降下が約0.0049バール以下になるように選択される。
【0081】
いくつかの実装形態において、熱伝導性要素1800は、凝縮器(たとえば凝縮器420)として構成されるときには、寸法が約20mm(L)×120mm(W)×450ミクロン(μm)(H)であってもよい。いくつかの実装形態では、熱伝導性要素1800のチャネル1810は、熱伝導性要素1800が凝縮器として構成されるときには約300ミクロン(μm)(C
w)×300ミクロン(μm)(C
D)であってもよい。いくつかの実装形態では、チャネルの寸法は、熱伝導性要素1800(たとえば、凝縮器)における圧力降下が約0.0002バール以下になるように選択される。
【0082】
上記の寸法は例示的な寸法である。各実装形態がそれぞれに異なる寸法を使用してもよい。
【0083】
熱伝導性要素を製作するための例示的なシーケンス
図19(
図19A〜
図19Bを含む)は、熱放散デバイス内の蒸発器(たとえば、蒸発器410)または凝縮器(たとえば、凝縮器420)として構成することができる熱伝導性要素を製作するための例示的なシーケンスを示す。
図19のシーケンスを使用して熱伝導性要素1700または熱伝導性要素1800を製作することができる。説明を簡略化するために、
図19のシーケンスを使用して熱伝導性要素1800の製作について説明する。
【0084】
図19Aの段階1は、(たとえば、供給者によって)供給された熱伝導性要素1800または製作された熱伝導性要素1800を示す。各実施態様では、熱伝導性要素1800にそれぞれに異なる材料を使用してもよい。熱伝導性要素1800用の材料の例はTable 1(表1)に記載されている。
【0085】
段階2は、熱伝導性要素1800内に形成された第1の複数のチャネル1810aを示す。第1の複数のチャネル1810aは、プラウイングプロセスまたはマイクロ接合プロセスによって形成されたマイクロチャネルであってもよい。いくつかの実装形態では、そのようなプロセスを使用して幅が約300ミクロン(μm)で奥行きが約250ミクロン(μm)であるチャネルを形成することができる。しかしながら、各実装形態では、それぞれに異なる材料を使用してもよい。
【0086】
図19Bの段階3は、熱伝導性要素1800内に形成された第2の複数のチャネル1810bを示す。第2の複数のチャネル1810bは、上記で段階2において説明したようにプラウイングプロセスまたはマイクロ接合プロセスによって形成されたマイクロチャネルであってもよい。
【0087】
段階4は、カバー1900が第1の複数のチャネル1810aおよび第2の複数のチャネル1810bを覆うように場合によっては熱伝導性要素1800に結合されるカバー1900を示す。接着プロセスまたは溶接プロセスを使用してカバー1900を熱伝導性要素1800に結合してもよい。いくつかの実装形態では、カバー1900は省略可能であってもよい。いくつかの実装形態では、カバー1900、熱伝導性要素1800、第1の複数のチャネル1810a、および第2の複数のチャネル1810bは、熱伝導性要素用の蒸発器(たとえば、蒸発器410)または凝縮器(たとえば、凝縮器420)として動作するように構成されてもよい。
【0088】
カバー1900が省略可能であるのは、いくつかの実装形態では、外殻440が熱伝導性要素(たとえば、1700、1800)用のカバーとして働く場合があるからである。
【0089】
熱放散デバイスを備える例示的なデバイス
いくつかの実装形態では、熱放散デバイスはカバー内に組み込まれてもよく、その場合、カバーがモバイルデバイスに結合される。
図20は、デバイス1100(たとえば、モバイルデバイス)およびカバー2000の組立て図を示す。カバー2000は、熱放散デバイス400と、外部カバー壁2010と、内部カバー壁2020とを含む。内部カバー壁2020は省略可能であってもよい。以下でさらに説明するように、カバー2000は、熱放散デバイス400を密封するシェルであってもよい。このシェルは、カバー2000を形成するうえで材料(たとえば、プラスチック)が充填されてもよいし充填されなくてもよい。カバー2000は、中実のカバーであっても中空のカバーであってもよい。
【0090】
デバイス1100は、集積デバイス900と熱界面材料(TIM)910とを含む。デバイス1100は場合によっては、デバイス壁(図示せず)を含んでもよい。デバイス1100は、モバイルデバイス(たとえば、電話、タブレット)であってもよい。
【0091】
図20に示すように、熱放散デバイス400は、蒸発器410と、凝縮器420と、内壁430と、外殻440と、蒸発部450と、収集部460と、流体470とを含む。熱放散デバイス400はカバー2000内に組み込まれる。
【0092】
図20に示すように、集積デバイス900は、(カバー2000内に配置された)熱放散デバイス400に結合された熱界面材料(TIM)910に結合される。具体的には、熱放散デバイス400は、蒸発器410に最も近い外殻440の部分に結合される。
【0093】
図21および
図22は、デバイスに結合された様々なカバーの例を示す。
図21は、熱放散デバイス400を含むカバー2000を示す。
図21に示すように、熱放散デバイス400の表面は、カバー2000の内部カバー壁2020の表面に対して実質的に整合するかまたは実質的に共面である。カバー2000は、蒸発器410が熱界面材料(TIM)910に結合されるようにデバイス1100に結合される。
図21に示すように、熱界面材料(TIM)910は、集積デバイス900に結合される。
【0094】
図22は、熱放散デバイス400を含むカバー2000を示し、この場合、熱放散デバイス400の表面は外部カバー壁2010の表面に実質的に整合する。
図22は、熱放散デバイス400の表面がカバー2000の内部カバー壁2020に整合しないことを示す。
図22に示すように、カバー2000は、蒸発器410の上方にキャビティ2220を含む。
図22に示すように、カバー2000は、蒸発器410がカバー2000のキャビティ2220を介して熱界面材料(TIM)910に結合されるようにデバイス1100に結合される。熱界面材料(TIM)910は集積デバイス900に結合される。
【0095】
図23は、デバイス1100に結合されたカバー2000の側面図を示す。デバイス1100は、ディスプレイ102と、(外部カバー壁2010および/または内部カバー壁2020を含む)カバー2000と、前面300と、底面302と、上面304とを含む。
図23は、プリント回路板(PCB)306、集積デバイス900、熱界面材料(TIM)910も示す。いくつかの実装形態では、内部カバー壁2020は省略可能である。
【0096】
図23は、熱放散デバイス400がカバー2000の外部カバー面2010に接触しないことを示す。しかし、いくつかの実装形態では、熱放散デバイス400は外部カバー壁2010に接触してもよい。いくつかの実装形態では、ヒートスプレッダは熱放散デバイス400と外部カバー壁との間に位置する。
【0097】
熱放散デバイスを備えるカバーを製作するための例示的なシーケンス
図24は、熱放散デバイスを含むカバーを製作するための例示的なシーケンスを示す。いくつかの実装形態では、このシーケンスを使用して、熱放散デバイス400を含むカバー2000を製作することができる。
【0098】
図24の段階1は、供給されたカバー2400を示す。カバー2400は、外部カバー壁(たとえば、2010)を含むシェルであってもよい。カバー2400は、キャビティを有する。
【0099】
段階2は、カバー2400内に組み込まれた熱放散デバイス400を示す。各実装形態では、カバー2400内に熱放散デバイス400をそれぞれに異なるように配置してもよい。
【0100】
段階3は、熱放散デバイス400の上方の層2410を示す。層2410は、内部カバー壁(たとえば、2020)として使用されてもよい。層2410は、熱放散デバイス400の蒸発器410の上方にキャビティ2220を含む。キャビティ2220から蒸発器410が露出している。キャビティ2220は、カバー2000がデバイスに結合されたときに熱界面材料(TIM)910を含んでもよい。
【0101】
いくつかの実装形態では、層2410は、熱放散デバイス400によって占有されないカバー2400の部分を充填する充填材料(たとえば、プラスチック)であってもよい。いくつかの実装形態では、層2410は、熱放散デバイス400の表面が
図21に示すようにカバーの表面に対して実質的に整合するかまたは実質的に共面になるように形成される。いくつかの実装形態では、カバーは設けられない。
【0102】
例示的な熱放散デバイス
いくつかの実装形態では、熱放散デバイス内部の流体は加熱され非常に高い圧力を有する。高圧は、熱放散デバイスに亀裂および/または破断を生じさせることがあるので、問題となり、非常に危険である場合がある。したがって、熱放散デバイスが非常に高い内圧(たとえば、約6バール以上)に耐えることができることが重要である。この高圧値は使用される様々な流体(たとえば、冷媒)に基づいてばらつく。
【0103】
図25は、高い内圧に耐えることができる熱放散デバイス2500の一例を示す。熱放散デバイス2500は、熱放散デバイスに対する構造的支持を可能にするように構成された構成要素および/または構造を含む。熱放散デバイス2500は、熱放散デバイス400と同様であり、したがって、熱放散デバイス400と同様の構成要素を含む。熱放散デバイス2500はまた、1つまたは複数の蒸発部壁2550と、1つまたは複数の収集部壁2560と、複数のリブ2570とを含む。流体(たとえば、蒸発後流体1020)は、1つまたは複数の蒸発部壁2550および複数のリブ2570に沿って移動するかまたはそれらを通過してもよい。流体(たとえば、流体470)は、1つまたは複数の収集部壁2560に沿って移動するかまたはそれらを通過してもよい。熱放散デバイス2500は、熱放散デバイス400と同様に動作するが、より高い内圧(たとえば、約6バール以上)で動作することができる。
【0104】
1つまたは複数の蒸発部壁2550、1つまたは複数の収集部壁2560、および/または複数のリブ2570は、外殻440の第1のシェル500と第2のシェル510との間のさらなる結合を可能にし、したがって、高い内圧に耐えるためのさらなる構造的支持を実現するように構成される。いくつかの実装形態では、1つまたは複数の蒸発部壁2550、1つまたは複数の収集部壁2560、および/または複数のリブ2570は、熱放散デバイス2500内部の約6バール以上の内圧に耐えることができる熱放散デバイス2500を形成する。
【0105】
図25は、蒸発部壁2550が蒸発部450を細分し、収集部壁2560が収集部460を細分することも示す。いくつかの実装形態では、熱放散デバイス2500内部の流体の流れは熱放散デバイス400内部の流体の流れと同様である。熱放散デバイス2500は、ポンプまたは圧縮器を必要とせずに外殻440内に流体を再循環させることによって熱放散を可能にする冷却デバイスであってもよい。
【0106】
図25は、熱放散デバイス2500の収集部460内の流体470を示す。収集部460は収集部壁2560を含む。収集部460は、角度付き部分(たとえば、465)を有し、それによって、流体470(液体形態である)は(たとえば、重力に起因して)蒸発器410の方へ流れる。蒸発器410は、発熱領域(たとえば、TIMおよび/または集積デバイスを備える領域)によって加熱される。
【0107】
流体470は、蒸発器410に流入し蒸発器410内を通って流れるときに、蒸発器410からの熱に起因して蒸発中流体1010になる。蒸発中流体1010は、蒸発器410から出た後、蒸発部450内を通って(たとえば、蒸発部壁2550および/またはリブ2570に沿って)凝縮器420の方へ移動する蒸発後流体1020(たとえば、蒸気流体)になる。蒸発後流体1020は、気相の流体と液相のいくらかの流体とを含んでもよい。
【0108】
蒸発後流体1020(たとえば、蒸気流体)は、凝縮器420に進入し凝縮器420内を通って流れるときに凝縮中流体1030になる。このプロセスは、熱を蒸発後流体1020から奪い、凝縮器420内に伝達する。凝縮器420からの熱は熱放散デバイス2500から逃げる。凝縮中流体1030は、凝縮器から出た後、液相の流体470(たとえば、凝縮後流体)として(たとえば、収集部壁2560に沿って)収集部460に(たとえば、重力を介して)戻り、このサイクルが繰り返される。
【0109】
いくつかの実装形態では、蒸発器410が外部熱源または発熱領域によって加熱される限り、流体470は、上述のように熱放散デバイス2500内を循環する。
【0110】
いくつかの実装形態では、熱放散デバイス2500は、蒸発器410が凝縮器420よりも低い位置に配置され、(たとえば、ポンプまたは圧縮器を必要とせずに)流体470を蒸発器410の方へ引き込む重力を利用するように熱放散デバイス2500が配置されるときに最適に動作する。上述のように、重力によって、凝縮後流体を収集部に戻す力が生成される場合がある。
【0111】
各実装形態が、熱放散デバイスにそれぞれに異なる形状、設計、および/または構成を付与する場合があることに留意されたい。たとえば、蒸発器410は1つまたは複数の蒸発器を含んでもよい。同様に、凝縮器420は1つまたは複数の凝縮器を含んでもよい。他の特徴は、熱放散デバイスの熱放散機能を向上させるように実現されてもよい。
【0112】
図26は、向上した熱放散機能を有する熱放散デバイス2600の一例を示す。熱放散デバイス2600は、熱放散デバイスに対する構造的支持を可能にし、デバイス内の流体圧力降下を低減させ、気泡を破壊し気泡が特定の構成要素に流入するのを防止し、流体流を向上させ、デバイスのいくつかの異なる領域間の熱分離を向上させ、デバイス内の空間の全体的な利用を向上させるように構成された構成要素および/または構造を含む。熱放散デバイス2600は、熱放散デバイス400および2500と同様であり、したがって、熱放散デバイス400および2500と同様の構成要素を含む。熱放散デバイス2600は、本開示の他の部分において説明する構成要素および構造とは異なるように配置された構成要素および構造を含む。しかし、各実装形態は、本開示において説明する特徴のそれぞれに異なる組合せを使用してもよい。
【0113】
熱放散デバイス2600は、1つまたは複数の障壁2610と、1つまたは複数の蒸発部壁2650と、内壁2630(たとえば、分離壁)と、1つまたは複数の支持壁2660と、1つまたは複数の収集部壁2560と、複数のリブ2570と、可変幅チャネルを含む凝縮器2620とを含む。
【0114】
流体(たとえば、蒸発後流体1020)は、1つまたは複数の蒸発部壁2650および複数のリブ2570に沿って移動するかまたはそれらを通過してもよい。流体(たとえば、流体470)は、凝縮器2620を通過し、かつ1つまたは複数の収集部壁2560に沿って移動するかまたはそれらを通過してもよい。熱放散デバイス2600は、熱放散デバイス400および/または熱放散デバイス2500と同様に動作するが、熱放散機能を向上させるように動作することができる。
【0115】
1つまたは複数の蒸発部壁2650は、蒸発部450による流体圧力降下を低減させ、流体流を向上させ、したがって熱放散機能を向上させるように構成される。流体圧力降下の低減は、蒸発部壁2650用の(たとえば、熱放散デバイス2600の他の壁に対する)角度付き壁または傾斜壁を設けることによって実現される。いくつかの実装形態では、蒸発部壁2650は非直交蒸発部壁2650である。いくつかの実装形態では、1つまたは複数の蒸発部壁2650は、直線状部分、角度付き部分、傾斜部分、直交部分、非直交部分、ずれた部分、および/または千鳥状部分を含む。いくつかの実装形態では、ずれた蒸発部壁および/または千鳥状蒸発部壁2650を使用すると、蒸発部450内を通って流れる場合がある気泡を破壊するのを助ける。気泡を破壊しおよび/または気泡を低減させると、蒸発後流体1020の流れを改善する助けになり、それによって熱放散デバイス2600の熱放散機能が向上する。1つまたは複数の蒸発部壁2650について
図27においてさらに説明する。
【0116】
内壁2630(たとえば、分離壁)は、角度付きであっても、傾斜していても、直交していなくてもよく、ならびに/または直線状部分、角度付き部分、傾斜部分、直交部分、および/もしくは非直交部分を含んでもよい。さらに、内壁2630は二重壁を含んでもよい。内壁2630は、キャビティ2631を含んでもよい。キャビティ2631は、内壁2630の内部に位置してもよい。キャビティ2631は、空であっても、真空であってもよく、(たとえば、内壁2630に対する)低熱導電率材料を含んでもよく、またはガス(たとえば、不活性ガス)を含んでもよい。キャビティ2631を含む内壁2630は、蒸発部450および/または蒸発器410からの熱が内壁2630を通り抜けて収集部460に流入するのを防止するかまたは最小限に抑えるように分離層または分離障壁として動作するように構成される。内壁2630はまた、流体同士が混合するのを防止するように構成される。
【0117】
凝縮器2620は、可変幅を有する複数のチャネルを含む。凝縮器2620の各部分は、第1の幅、第2の幅、第3の幅などを有するチャネルを含んでもよい。いくつかの実装形態では、内壁2630により近いチャネルは、内壁2630からより遠いチャネルよりも小さい幅を有する。いくつかの実装形態では、可変幅を有するチャネルを使用すると、流体の流れの方向を定める助けになり、それによって、凝縮器2620のうちのより広い部分が流体を凝縮させるのに利用されるようになる。蒸発後流体1020は、内壁2630に近いチャネルを通って流れる代わりに、内壁2630からより遠いチャネル内も通って流れる。チャネル(たとえば、1320)の例について
図13〜
図18において説明する。可変幅を有するチャネルを含む凝縮器2620についてさらに
図27において説明する。
【0118】
1つまたは複数の支持壁2660は、外殻440の第1のシェル500と第2のシェル510との間のさらなる結合を可能にし、したがって、高い内圧に耐えるためのさらなる構造的支持を実現するように構成される。1つまたは複数の支持壁2660は、収集部壁2560の近くの収集部460および角度付き部分(たとえば、465)に位置する。1つまたは複数の支持壁2660は、収集部460内の気泡を破壊しおよび/または低減させるように構成されてもよい。気泡を破壊しおよび/または気泡を低減させると、流体470の流れを改善する助けになり、それによって熱放散デバイス2600の熱放散機能が向上する。
【0119】
1つまたは複数の障壁2610は蒸発器410の近くに位置する。1つまたは複数の障壁2610間には、流体470を通過させる間隔がある。1つまたは複数の障壁2610は、気泡が蒸発器410に入るのを防止しおよび/または流体470が蒸発器410に進入する前に流体470中の気泡を破壊するように構成される。1つまたは複数の障壁2610は壁であってもよい。1つまたは複数の障壁2610は、収集部460からの気泡を破壊しおよび/または低減させるように構成されてもよい。気泡を破壊しおよび/または気泡を低減させると、蒸発器410内への流体470の流れを改善する助けになり、それによって熱放散デバイス2600の熱放散機能が向上する。障壁2610は気泡破壊のための手段であってもよい。
【0120】
いくつかの実装形態では、1つもしくは複数の蒸発部壁2650、1つもしくは複数の収集部壁2560、複数のリブ2570、1つもしくは複数の障壁2610、および/または1つもしくは複数の支持壁2660は、外殻440の第1のシェル500と第2のシェル510との間のさらなる結合を可能にし、したがって、高い内圧に耐えるためのさらなる構造的支持を実現するように構成される。いくつかの実装形態では、1つもしくは複数の蒸発部壁2650、1つもしくは複数の収集部壁2560、複数のリブ2570、1つもしくは複数の障壁2610、および/または1つもしくは複数の支持壁2660は、熱放散デバイス2600内部の約6バール以上の内圧に耐えることができる熱放散デバイス2600を形成する。
【0121】
図26は、蒸発部壁2650が蒸発部450を細分し、収集部壁2560が収集部460を細分することも示す。いくつかの実装形態では、熱放散デバイス2600内部の流体の流れは熱放散デバイス2500内部の流体の流れと同様である。熱放散デバイス2600は、ポンプまたは圧縮器を必要とせずに外殻440内に流体を再循環させることによって熱放散を可能にする冷却デバイスであってもよい。
【0122】
図26は、熱放散デバイス2600の収集部460内の流体470を示す。収集部460は収集部壁2560を含む。収集部460は、角度付き部分(たとえば、465)を有し、それによって、流体470(液体形態である)は(たとえば、重力に起因して)蒸発器410の方へ流れる。いくつかの実装形態では、流体470は、蒸発器410に入る前に、1つまたは複数の障壁2610を通過し、それによって、流体470中の気泡が破壊されるかまたは流体470中の気泡が蒸発器410に入るのが防止される場合がある。蒸発器410は、発熱領域(たとえば、TIMおよび/または集積デバイスを備える領域)によって加熱される。
【0123】
流体470は、蒸発器410に流入し蒸発器410内を移動するときに、蒸発器410からの熱に起因して蒸発中流体1010になる。蒸発中流体1010は、蒸発器410から出た後、蒸発部450を通って(たとえば、蒸発部壁2650および/またはリブ2570に沿って)凝縮器2620の方へ移動する蒸発後流体1020(たとえば、蒸気流体)になる。蒸発部壁2650はずれているかまたは千鳥状であり、蒸発後流体1020中の気泡を破壊する助けになる。蒸発部壁2650は、蒸発後流体1020が蒸発部450内を通って流れるときに蒸発後流体1020の圧力降下を低減させるように角度が付けられている。壁2650の角度付き部分は、熱放散デバイス2600内の直角を小さくするか、最小限に抑えるか、および/またはなくした部分であり、したがって、蒸発後流体1020がより効率的に流れるのを助ける。蒸発後流体1020は、気相の流体と液相のいくらかの流体とを含んでもよい。
【0124】
蒸発後流体1020(たとえば、蒸気流体)は、凝縮器2620に進入し凝縮器2620内を移動するときに凝縮中流体1030になる。凝縮器2620のチャネルの様々な幅(たとえば、可変幅)は、蒸発後流体1020の一部について、内壁2630からより遠いチャネルを通って移動し、それによって凝縮器2620のより広い部分を利用するように方向を定めるのを助ける。いくつかの実装形態では、内壁2630により近い凝縮器2620のチャネルは、内壁2630からより遠い凝縮器2620内のチャネルよりも小さい。
【0125】
流体を凝縮させるプロセスは、熱を蒸発後流体1020から奪い、凝縮器2620内に伝達する。凝縮器2620からの熱は熱放散デバイス2600から逃げる。凝縮中流体1030は、凝縮器から出た後、液相の流体470(たとえば、凝縮後流体)として(たとえば、収集部壁2560に沿って)収集部460に(たとえば、重力を介して)戻り、このサイクルが繰り返される。
【0126】
いくつかの実装形態では、蒸発器410が外部熱源または発熱領域によって加熱される限り、流体470は、上述のように熱放散デバイス2600内を循環する。いくつかの実装形態では、熱放散デバイス2600は、蒸発器410が凝縮器2620よりも低い位置に配置され、(たとえば、ポンプまたは圧縮器を必要とせずに)流体470を蒸発器410の方へ引き込む重力を利用するように配置されるときに最適に動作する。上述のように、重力によって、凝縮後流体を収集部に戻す力が生成される場合がある。
【0127】
図27は、
図26の熱放散デバイス2600のいくつかの構成要素を示す。具体的には、
図27は、蒸発器410、蒸発部壁2650、内壁2630、凝縮器2620、および1つまたは複数の障壁2610を示す。
【0128】
いくつかの実装形態では、蒸発器410は複数のチャネル(たとえば、チャネル1310)を含む。チャネルは、幅が約500ミクロン(μm)であってよい。チャネル間の間隔は約150ミクロン(μm)であってもよい。
【0129】
蒸発部壁2650は、第1の複数の蒸発部壁2650aと第2の複数の蒸発部壁2650bとを含む。第1の複数の蒸発部壁2650aは、第2の複数の蒸発部壁2650bに対してずれていてもよくおよび/または千鳥状であってもよい。蒸発部壁同士をずらしおよび/または千鳥状にすると、流体中に存在する場合がある気泡を破壊する助けになる。第1の複数の蒸発部壁2650aは、蒸発器410に結合されてもよい。第2の複数の蒸発部壁2650bは、直線状部分、角度付き部分、直交部分、および/または非直交部分を含む。第2の複数の蒸発部壁2650bは、それぞれに異なる角度を有する蒸発部壁を含んでもよい。いくつかの実装形態では、蒸発部壁2650は、約500ミクロン(μm)の厚さを有してもよい。しかし、各実装形態は、蒸発部壁2650の厚さについてそれぞれに異なる値を有してもよい。
【0130】
内壁2630(たとえば、分離壁)はまた、角度付きであっても、傾斜していても、直交していなくてもよく、ならびに/または直線状部分、角度付き部分、傾斜部分、直交部分、および/もしくは非直交部分を含んでもよい。さらに、内壁2630は二重壁を含んでもよい。内壁2630は、キャビティ2631を含んでもよい。キャビティ2631は、内壁2630の内部に位置してもよい。キャビティ2631は、空であっても、真空であってもよく、(たとえば、内壁2630に対する)低熱導電率材料を含んでもよく、または気体(たとえば、不活性ガス)を含んでもよい。キャビティ2631を含む内壁2630は、蒸発部450および/または蒸発器410からの熱が内壁2630を通って収集部460に流入するのを防止するかまたは最小限に抑えるように分離層または分離障壁として動作するように構成される。内壁2630はまた、流体が混合するのを防止するように構成される。
【0131】
凝縮器2620は、可変幅を有する複数のチャネルを含む。凝縮器2620のそれぞれに異なる部分は、第1の幅、第2の幅、第3の幅などを有するチャネルを含んでもよい。
図27に示すように、凝縮器2620は、第1の凝縮器部分2720aと第2の凝縮器部分2720bとを含む。第1の凝縮器部分2720aは第2の凝縮器部分2720bよりも内壁2630に近い。第1の凝縮器部分2720aは、第1の幅を含む第1の複数のチャネルを含む。第2の凝縮器部分2720bは、第2の幅を含む第2の複数のチャネルを含む。第2の幅は、第1の幅とは異なる。いくつかの実装形態では、第2の幅は第1の幅よりも大きい。たとえば、第1の凝縮器部分2720aは、幅が約450ミクロン(μm)であるチャネルを含み、第2の凝縮器部分2720bは、幅が約600ミクロン(μm)であるチャネルを含む。
【0132】
いくつかの実装形態では、凝縮器2620は、異なる幅(たとえば、第3の幅、第4の幅)を有するチャネルを含む他の部分(たとえば、第3の凝縮器部分、第4の凝縮器部分)を含んでもよい。いくつかの実装形態では、内壁2630により近いチャネルは、内壁2630からより遠いチャネルよりも小さい幅を有する。いくつかの実装形態では、凝縮器2620のチャネルの幅は、チャネルが内壁2630から遠くなるにつれて漸進的に大きくなってもよい。いくつかの実装形態では、可変幅を有するチャネルを使用すると、流体の流れの方向を定める助けになり、それによって、凝縮器2620のうちのより広い部分が蒸発後流体1020を凝縮させるのに利用されるようになる。蒸発後流体1020は、内壁2630に近いチャネル内を通って流れる代わりに、内壁2630からより遠いチャネル内も通って流れる。より大きい幅を有するチャネルは、より小さい幅を有するチャネルよりも抵抗が小さい。したがって、流体は、これらのより大きい幅のチャネルが内壁2630からより遠いにもかかわらず、これらの大きい幅のチャネルを通って移動する場合がある。いくつかの実装形態では、凝縮器2620の中央におけるチャネルは、凝縮器2620の端部の近くのチャネルと比較して幅が大きくてもよい。しかし、各実装形態は、凝縮器2620内のチャネルに幅および/または間隔のそれぞれに異なる組合せを使用してもよい。
【0133】
1つまたは複数の障壁2610は蒸発器410の近くに位置する。いくつかの実装形態では、1つまたは複数の障壁2610は収集部460内に位置する。障壁2610間の間隔は約500ミクロン(μm)であってもよい。しかし、各実装形態は、障壁の間隔についてそれぞれに異なる値を有してもよい。
【0134】
上述の寸法、サイズ、形状が例にすぎず、各実装形態がそれぞれに異なる寸法、サイズ、および形状を使用してもよいことに留意されたい。たとえば、蒸発器410用のチャネルの数と蒸発部壁2650の数との比は、実装形態ごとに異なってもよい。いくつかの実装形態では、蒸発器410における2つの近隣する蒸発部壁(たとえば、2650)間に5つのチャネルがある。同様に、凝縮器2620用のチャネルの数と収集部壁2560の数との比は、実装形態ごとに異なってもよい。いくつかの実装形態では、凝縮器2620における2つの近隣する収集部壁(たとえば、2560)間に4つのチャネルがある。熱放散デバイス2600の全体的な寸法は、本開示において説明した他の熱放散デバイスの寸法と同様であってもよい。
【0135】
図28は、向上した熱放散機能を有する熱放散デバイス2800の一例を示す。熱放散デバイス2800は、熱放散デバイスに対する構造的支持を可能にし、デバイス内の流体圧力降下を低減させ、気泡を破壊し気泡が特定の構成要素に流入するのを防止し、流体流を向上させ、デバイスのいくつかの異なる領域間の熱分離を向上させ、デバイス内の空間の全体的な利用を向上させるように構成された構成要素および/または構造を含む。熱放散デバイス2800は、熱放散デバイス400、2500、および2600と同様であり、したがって、熱放散デバイス400、2500、および2600と同様の構成要素を含む。熱放散デバイス2800は、本開示の他の部分において説明する構成要素および構造とは異なるように配置された構成要素および構造を含む。しかし、各実装形態は、本開示において説明する特徴のそれぞれに異なる組合せを使用してもよい。
【0136】
いくつかの実装形態では、熱放散デバイス2800は、約10ワット以上の熱を放散させるように構成されてもよい。(たとえば、約10〜13ワットの熱)。いくつかの実装形態では、熱放散デバイス2800は、高圧(たとえば、約6バール以上)で動作するように構成されてもよい。
【0137】
熱放散デバイス2800は、1つまたは複数の障壁2810と、1つまたは複数の蒸発部壁2850と、内壁2830(たとえば、分離壁)と、1つまたは複数の支持壁2660と、1つまたは複数の収集部壁2560と、複数のリブ2870と、可変幅チャネルを含む凝縮器2820とを含む。
【0138】
流体(たとえば、蒸発後流体1020)は、1つまたは複数の蒸発部壁2850および複数のリブ2870に沿って移動するかまたはそれらを通過してもよい。流体(たとえば、流体470)は、凝縮器2820の内部を移動し、かつ1つまたは複数の収集部壁2560に沿って移動するかまたはそれらの内部を移動してもよい。熱放散デバイス2800は、熱放散デバイス400、熱放散デバイス2500、および/または熱放散デバイス2600と同様に動作するが、熱放散機能を向上させるように動作することができる。
【0139】
1つまたは複数の蒸発部壁2850は、蒸発部450による流体圧力降下を低減させ、流体流を向上させ、したがって熱放散機能を向上させるように構成される。流体圧力降下の低減は、蒸発部壁2850用の(たとえば、熱放散デバイス2800の他の壁に対する)角度付き壁または傾斜壁を設けることによって実現される。いくつかの実装形態では、蒸発部壁2850は非直交蒸発部壁2850である。いくつかの実装形態では、1つまたは複数の蒸発部壁2850は、直線状部分、角度付き部分、傾斜部分、直交部分、非直交部分、ずれた部分、および/または千鳥状部分を含む。いくつかの実装形態では、ずれた蒸発部壁および/または千鳥状蒸発部壁2850を使用すると、蒸発部450内を通って流れる場合がある気泡を破壊するのを助ける。気泡を破壊しおよび/または気泡を低減させると、蒸発後流体1020の流れを改善する助けになり、それによって熱放散デバイス2800の熱放散機能が向上する。1つまたは複数の蒸発部壁2850について
図29においてさらに説明する。
【0140】
内壁2830(たとえば、分離壁)は、角度付きであっても、傾斜していても、直交していなくてもよく、ならびに/または直線状部分、角度付き部分、傾斜部分、直交部分、および/もしくは非直交部分を含んでもよい。さらに、内壁2830は二重壁を含んでもよい。内壁2830は、キャビティ2831を含んでもよい。キャビティ2831は、内壁2830の内部に位置してもよい。キャビティ2831は、空であっても、真空であってもよく、(たとえば、内壁2830に対する)低熱導電率材料を含んでもよく、またはガス(たとえば、不活性ガス)を含んでもよい。キャビティ2831を含む内壁2830は、蒸発部450および/または蒸発器410からの熱が内壁2830を通り抜けて収集部460に流入するのを防止するかまたは最小限に抑えるように分離層または分離障壁として動作するように構成される。内壁2830はまた、流体同士が混合するのを防止するように構成される。内壁2830は、(
図26に示すように)内壁2630に対して左側に離れた位置に配置される。いくつかの実装形態では、蒸発器410からの熱が凝縮器2820および/または収集部460に影響をそれほど与えないようにするために上記の配置が使用される。
【0141】
熱放散デバイス2800は、熱放散デバイス2600よりも多くのリブ2870を含む。いくつかの実装形態では、追加のリブ2870は、熱放散デバイス2800が他の熱放散デバイスよりも高い圧力で動作するのを助ける。本開示内のリブ(たとえば、リブ2870)の数および構成は一例であり、各実装形態がそれぞれに異なる数および構成のリブ(たとえば、リブ2870)を使用してもよい。凝縮器2820は、可変幅を有する複数のチャネルを含む。凝縮器2820の各部分は、第1の幅、第2の幅、第3の幅などを有するチャネルを含んでもよい。いくつかの実装形態では、内壁2830により近いチャネルは、内壁2830からより遠いチャネルよりも小さい幅を有する。いくつかの実装形態では、可変幅を有するチャネルを使用すると、流体の流れの方向を定める助けになり、それによって、凝縮器2820のうちのより広い部分が流体を凝縮させるのに利用されるようになる。蒸発後流体1020は、内壁2830に近いチャネル内を通って流れる代わりに、内壁2830からより離れたチャネル内も通って流れる。さらに、
図28に示すように、凝縮器2820の各部は、蒸発後流体1020が凝縮器2820のチャネル内によりうまく流入することができるように角度付けされおよび/または傾斜させられる。さらに、凝縮器2820のいくつかの部分は、外壁または外殻に対して直線状であってもよく、角度付けられてもよく、傾斜させられてもよく、湾曲していてもよく、直交していてもよく、および/または直交していなくてもよい。チャネル(たとえば、1320)の例について
図13〜
図18において説明する。可変幅を有するチャネルを含む凝縮器2820についてさらに
図29において説明する。
【0142】
1つまたは複数の支持壁2660は、外殻440の第1のシェル500と第2のシェル510との間のさらなる結合を可能にし、したがって、高い内圧に耐えるためのさらなる構造的支持を実現するように構成される。1つまたは複数の支持壁2660は、収集部壁2560の近くの収集部460および角度付き部分(たとえば、465)に位置する。1つまたは複数の支持壁2660は、収集部460内の気泡を破壊しおよび/または低減させるように構成されてもよい。気泡を破壊しおよび/または気泡を低減させると、流体470の流れを改善する助けになり、それによって熱放散デバイス2800の熱放散機能が向上する。各実装形態は、それぞれに異なる形状および/またはサイズを有する支持壁2660を含んでもよい。たとえば、支持壁2660は、障壁2810と同様の形状および/またはサイズを有してもよい。
【0143】
1つまたは複数の障壁2810は蒸発器410の近くに位置する。障壁2810は気泡破壊のための手段であってもよい。1つまたは複数の障壁2810間には、流体470を通過させる間隔がある。1つまたは複数の障壁2810は、気泡が蒸発器410に入るのを防止しおよび/または流体470が蒸発器410に進入する前に流体470中の気泡を破壊するように構成される。各実装形態は、それぞれに異なるサイズおよび形状を有する障壁2810を使用してもよい。たとえば、いくつかの実装形態では、障壁2810は、縁部を含む形状を有してもよく、この縁部が気泡を破壊する助けになる。たとえば、障壁2810は、菱形、方形、矩形、八角形などを含んでもよい。いくつかの実装形態では、1つまたは複数の障壁2810は壁であってもよい。1つまたは複数の障壁2810は、収集部460からの気泡を破壊しおよび/または低減させるように構成されてもよい。気泡を破壊しおよび/または気泡を低減させると、蒸発器410内への流体470の流れを改善する助けになり、それによって熱放散デバイス2800の熱放散機能が向上する。障壁の詳細な例について
図29においてさらに説明する。
【0144】
いくつかの実装形態では、1つもしくは複数の蒸発部壁2850、1つもしくは複数の収集部壁2560、複数のリブ2870、1つもしくは複数の障壁2810、および/または1つもしくは複数の支持壁2660は、外殻440の第1のシェル500と第2のシェル510との間のさらなる結合を可能にし、したがって、高い内圧に耐えるためのさらなる構造的支持を実現するように構成される。いくつかの実装形態では、1つもしくは複数の蒸発部壁2850、1つもしくは複数の収集部壁2560、複数のリブ2870、1つもしくは複数の障壁2810、および/または1つもしくは複数の支持壁2660は、熱放散デバイス2800内部の約6バール以上の内圧に耐えることができる熱放散デバイス2800を形成する。
【0145】
図28は、蒸発部壁2850が蒸発部450を細分し、収集部壁2560が収集部460を細分することも示す。いくつかの実装形態では、熱放散デバイス2800内部の流体の流れは熱放散デバイス2600内部の流体の流れと同様である。熱放散デバイス2800は、ポンプまたは圧縮器を必要とせずに外殻440内に流体を再循環させることによって熱放散を可能にする冷却デバイスであってもよい。
【0146】
図28は、熱放散デバイス2800の収集部460内の流体470を示す。収集部460は収集部壁2560を含む。収集部460は、角度付き部分(たとえば、465)を有し、それによって、流体470(液体形態である)は(たとえば、重力に起因して)蒸発器410の方へ流れる。いくつかの実装形態では、流体470は、蒸発器410に入る前に、1つまたは複数の障壁2810を通過し、それによって流体470中の気泡が破壊されるかまたは流体470中の気泡が蒸発器410に入るのが防止される。蒸発器410は、発熱領域(たとえば、TIMおよび/または集積デバイスを備える領域)によって加熱される。
図28内の蒸発器410は
図26の蒸発器410よりも大きい。
図28は、凝縮器2820が
図26の凝縮器2620よりも小さいことも示す。しかし、各実装形態は、それぞれに異なる形状および/またはサイズを有する蒸発器および凝縮器を使用してもよい。いくつかの実装形態では、蒸発器410のチャネルの入口および/または壁は、蒸発器410に入る流体中の気泡を破壊するのを助けるように縁部(たとえば、V字形縁部)を含んでもよい。
【0147】
流体470は、蒸発器410に流入し蒸発器410内を通って流れるときに、蒸発器410からの熱に起因して蒸発中流体1010になる。いくつかの実施態様において、蒸発器410の1つまたは複数のチャネルは1つまたは複数のポストを含んでもよい。蒸発器410内のポストの例について
図29においてさらに説明する。蒸発中流体1010は、蒸発器410から出た後、蒸発部450内を通って(たとえば、蒸発部壁2850および/またはリブ2870に沿って)凝縮器2820の方へ移動する蒸発後流体1020(たとえば、蒸気流体)になる。蒸発部壁2850はずれているかまたは千鳥状であり、蒸発後流体1020中の気泡を破壊する助けになる。蒸発部壁2850は、蒸発後流体1020が蒸発部450内を通って流れるときに蒸発後流体1020の圧力降下を低減させるように角度が付けられている。壁2850の角度付き部分は、熱放散デバイス2800内の直角を小さくするか、最小限に抑えるか、および/またはなくした部分であり、したがって、蒸発後流体1020がより効率的に流れるのを助ける。蒸発後流体1020は、気相の流体と液相のいくらかの流体とを含んでもよい。
【0148】
蒸発後流体1020(たとえば、蒸気流体)は、凝縮器2820に進入し凝縮器2820内を通って流れるときに凝縮中流体1030になる。凝縮器2820のチャネルの様々な幅(たとえば、可変幅)は、蒸発後流体1020の一部について、内壁2830からより遠いチャネルを通って移動し、それによって凝縮器2820のより広い部分を利用するように方向を定めるのを助ける。いくつかの実装形態では、内壁2830により近い凝縮器2820のチャネルは、内壁2830からより遠い凝縮器2820内のチャネルよりも小さい。
【0149】
流体を凝縮させるプロセスは、熱を蒸発後流体1020から奪い、凝縮器2820内に伝達する。凝縮器2820からの熱は熱放散デバイス2800から逃げる。凝縮中流体1030は、凝縮器から出た後、液相の流体470(たとえば、凝縮後流体)として(たとえば、収集部壁2560に沿って)収集部460に(たとえば、重力を介して)戻り、このサイクルが繰り返される。
【0150】
いくつかの実装形態では、蒸発器410が外部熱源または発熱領域によって加熱される限り、流体470は、上述のように熱放散デバイス2800内を循環する。いくつかの実装形態では、熱放散デバイス2800は、蒸発器410が凝縮器2820よりも低い位置に配置され、(たとえば、ポンプまたは圧縮器を必要とせずに)流体470を蒸発器410の方へ引き込む重力を利用するように熱放散デバイス2800が配置されるときに最適に動作する。上述のように、重力によって、凝縮後流体を収集部に戻す力が生成される場合がある。
【0151】
図29は、
図28の熱放散デバイス2800のいくつかの構成要素を示す。具体的には、
図29は、蒸発器410、蒸発部壁2850、内壁2830、キャビティ2831、凝縮器2820、および1つまたは複数の障壁2810を示す。
【0152】
いくつかの実装形態では、蒸発器410は複数のチャネル(たとえば、チャネル1310)を含む。チャネルは、幅が約500ミクロン(μm)であってよい。チャネル間の間隔は約150ミクロン(μm)であってもよい。蒸発器410はまた、ポスト2910(たとえば、2910a、2910b、2910c)を含んでもよい。これらのポスト2910は、蒸発器410のチャネルの内部に配置されてもよい。これらのポスト2910は、流体中に存在する場合がある気泡を破壊するのを助ける場合がある。各実装形態は、それぞれに異なる数および構成のポスト2910を有してもよい。いくつかの実装形態では、ポスト2910は、蒸発器410のチャネルを通って流れる流体の流れに対する効果を最小にするように円形断面プロファイルを有してもよい。
【0153】
蒸発部壁2850は、第1の複数の蒸発部壁2850aと第2の複数の蒸発部壁2850bとを含む。第1の複数の蒸発部壁2850aは、第2の複数の蒸発部壁2850bに対してずれていてもよくおよび/または千鳥状であってもよい。蒸発部壁同士をずらしおよび/または千鳥状にすると、流体中に存在する場合がある気泡を破壊する助けになる。第1の複数の蒸発部壁2850aは、蒸発器410に結合されてもよい。第2の複数の蒸発部壁2850bは、直線状部分、角度付き部分、湾曲部分、直交部分、および/または非直交部分を含む。第2の複数の蒸発部壁2850bは、それぞれに異なる角度を有する蒸発部壁を含んでもよい。いくつかの実装形態では、蒸発部壁2850は、約500ミクロン(μm)の厚さを有してもよい。しかし、各実装形態は、蒸発部壁2850の厚さについてそれぞれに異なる値を有してもよい。
【0154】
内壁2830(たとえば、分離壁)はまた、角度付きであっても、傾斜していても、直交していなくてもよく、ならびに/または直線状部分、角度付き部分、傾斜部分、直交部分、および/もしくは非直交部分を含んでもよい。さらに、内壁2830は二重壁を含んでもよい。内壁2830は、キャビティ2831を含んでもよい。キャビティ2831は、内壁2830の内部に位置してもよい。キャビティ2831は、空であっても、真空であってもよく、(たとえば、内壁2830に対する)低熱導電率材料を含んでもよく、またはガス(たとえば、不活性ガス)を含んでもよい。キャビティ2831を含む内壁2830は、蒸発部450および/または蒸発器410からの熱が内壁2830を通り抜けて収集部460に流入するのを防止するかまたは最小限に抑えるように分離層または分離障壁として動作するように構成される。内壁2830はまた、流体同士が混合するのを防止するように構成される。
【0155】
凝縮器2820は、可変幅を有する複数のチャネルを含む。凝縮器2820の各部分は、第1の幅、第2の幅、第3の幅などを有するチャネルを含んでもよい。
図29に示すように、凝縮器2820は、第1の凝縮器部分2820aと第2の凝縮器部分2820bとを含む。第1の凝縮器部分2820aは第2の凝縮器部分2820bよりも内壁2830に近い。第1の凝縮器部分2820aは、角度付き部分を含み、この角度付き部分によってチャネル内部の流体の流れが容易になる。第1の凝縮器部分2820aは、第1の幅を含む第1の複数のチャネルを含む。第2の凝縮器部分2820bは、第2の幅を含む第2の複数のチャネルを含む。第2の幅は、第1の幅とは異なる。いくつかの実装形態では、第2の幅は第1の幅よりも大きい。たとえば、第1の凝縮器部分2820aは、幅が約450ミクロン(μm)であるチャネルを含み、第2の凝縮器部分2820bは、幅が約600ミクロン(μm)であるチャネルを含む。
【0156】
いくつかの実装形態では、凝縮器2820は、異なる幅(たとえば、第3の幅、第4の幅)を有するチャネルを含む他の部分(たとえば、第3の凝縮器部分、第4の凝縮器部分)を含んでもよい。いくつかの実装形態では、内壁2830により近いチャネルは、内壁2830からより遠いチャネルよりも小さい幅を有する。いくつかの実装形態では、凝縮器2820のチャネルの幅は、チャネルが内壁2830から遠くなるにつれて漸進的に大きくなってもよい。いくつかの実装形態では、可変幅を有するチャネルを使用すると、流体の流れの方向を定める助けになり、それによって、凝縮器2820のうちのより広い部分が蒸発後流体1020を凝縮させるのに利用されるようになる。蒸発後流体1020は、内壁2830に近いチャネル内を通って流れる代わりに、内壁2830からより離れたチャネル内も通って流れる。より大きい幅を有するチャネルは、より小さい幅を有するチャネルよりも抵抗が小さい。したがって、流体は、これらのより大きい幅のチャネルが内壁2830からより遠いにもかかわらず、これらの大きい幅のチャネルを通って移動する場合がある。いくつかの実装形態では、凝縮器2820の中央におけるチャネルは、凝縮器2820の端部の近くのチャネルと比較して幅が大きくてもよい。しかし、各実装形態は、凝縮器2820内のチャネルに幅および/または間隔のそれぞれに異なる組合せを使用してもよい。いくつかの実装形態において、上記の例では、流体をより一様に凝縮させ、したがって、流体をより効率的に凝縮させる凝縮器を設ける。
【0157】
1つまたは複数の障壁2810は蒸発器410の近くに位置する。いくつかの実装形態では、1つまたは複数の障壁2810は収集部460内に位置する。各実装形態は、障壁の間隔についてそれぞれに異なる値を有してもよい。各実装形態は、それぞれに異なる形状を有する障壁2810を使用してもよい。障壁2810に関する形状の例には、菱形、方形、矩形、および八角形が含まれる。いくつかの実装形態では、障壁2810は、気泡を破壊するのを助けるための1つまたは複数の縁部を有する。
図29に示すように、障壁2810は、菱形を有する障壁2810a、2810b、および2810cを含む。
【0158】
上述の寸法、サイズ、形状が例にすぎず、各実装形態がそれぞれに異なる寸法、サイズ、および形状を使用してもよいことに留意されたい。たとえば、蒸発器410用のチャネルの数と蒸発部壁2850の数との比は、実装形態ごとに異なってもよい。いくつかの実装形態では、蒸発器410における2つの近隣する蒸発部壁(たとえば、2850)間に5つのチャネルがある。同様に、凝縮器2820用のチャネルの数と収集部壁2560の数との比は、実装形態ごとに異なってもよい。いくつかの実装形態では、凝縮器2820における2つの近隣する収集部壁(たとえば、2560)間に4つのチャネルがある。熱放散デバイス2800の全体的な寸法は、本開示において説明した他の熱放散デバイスの寸法と同様であってもよい。熱放散デバイス(たとえば、2500、2600、2800)が本開示において説明する特徴を含む他の特徴を含むように修正されてもよいことに留意されたい。熱放散デバイス(たとえば、2500、2600、2800)が異なるようにデバイス(たとえば、電子デバイス)に実装され集積されてもよいことに留意されたい。
【0159】
熱放散デバイスを製作するための例示的な方法
図30は、熱放散デバイスを製作しデバイス(たとえば、モバイルデバイス)に結合するための例示的な方法3000のフローチャートを示す。
図30の方法は、本開示において説明する熱放散デバイスのいずれかを製作するために使用されてもよい。この方法の順序が変更されおよび/または修正されてもよいことに留意されてもよい。いくつかの実装形態では、構成要素のいくつかが同時に形成されてもよい。いくつかの実装形態では、後述の構成要素のすべてが1つの部品および/または材料から形成されてもよい。
【0160】
熱放散デバイスを製作するための方法3000は、デバイス(たとえば、モバイルデバイス)が組み立てられる前に実行されてもよく、組み立てられるのと同時に実行されてもよく、または組み立てられた後に実行されてもよい。たとえば、デバイス(たとえば、モバイルデバイス)は、領域を含むように組み立てられてもよく、集積デバイスが上記のデバイスの上記の領域に設けられてもよく、熱放散デバイスが製作され、集積デバイスを含む上記の領域に結合されてもよい。
【0161】
図30に示すように、この方法では、(3005において)蒸発器(たとえば蒸発器410)を形成する。蒸発器は、チャネルおよび/またはポストを含んでもよい。蒸発器を形成する例が
図19A〜
図19Bに示されている。
【0162】
この方法では、(3010において)内壁(たとえば内壁430)を形成して蒸発器に結合する。内壁は、二重壁および/またはキャビティ(たとえば、2361)を含んでもよい。内側キャビティは、空であってもよく、内壁とは異なる材料、ガス(たとえば、不活性ガス)を含んでもよく、または真空であってもよい。
【0163】
この方法では、(3015において)凝縮器(たとえば凝縮器420)を形成して内壁に結合する。蒸発器を形成する例が
図19A〜
図19Bに示されている。いくつかの実装形態では、蒸発器、内壁、および/または凝縮器が同時に形成されて単体構成要素が形成される。
【0164】
この方法では、(3020で)蒸発部(たとえば、蒸発部450)を形成する。いくつかの実装形態では、蒸発部は、外殻が形成されるときに形成される。
【0165】
この方法では、(3025で)収集部(たとえば、収集部460)を形成する。いくつかの実装形態では、収集部は、外殻が形成されるときに形成される。
【0166】
この方法では、場合によっては高圧用途向けの(3030において)リブ(たとえば、2570)、障壁(たとえば、2610)、および/または壁(たとえば、2550、2560)を形成する。これらの壁、障壁、および/またはリブは、高圧用途(たとえば、6バール以上)における熱放散デバイスに対するさらなる構造的支持を可能にする。これらの壁、障壁、および/またはリブはさらに、熱放散デバイスにおける流体流を向上させ得る。障壁はずれていてもよくおよび/または千鳥状であってもよい。高圧用途において使用される壁、障壁、および/またはリブの例について説明し
図25〜
図26に示す。
【0167】
この方法では、(3035において)蒸発器、内壁、凝縮器の周りに外殻(たとえば外殻440)を形成して熱放散デバイスを製作する。いくつかの実装形態では、外殻を形成することは、蒸発部、収集部、壁、および/またはリブを形成することも含む。外殻を形成する例について説明し
図6に示す。
【0168】
この方法では、(3040において)熱放散デバイス内に流体(たとえば、流体470)を供給する。いくつかの実装形態では、流体は小さいキャビティを通して外殻内に供給され、その後小さいキャビティは密封される。
【0169】
この方法では、場合によっては(3045において)熱放散デバイスをカバーに組み込む。熱放散デバイスを含むカバーの例について説明し、
図20〜
図24に示す。
【0170】
この方法では、(3050において)熱放散デバイスをデバイス(たとえば、モバイルデバイス)内の集積デバイス(たとえば、チップ、ダイ、パッケージ)に結合する。いくつかの実装形態では、熱放散デバイスは、熱界面材料(TIM)を介して集積デバイスに結合される。いくつかの実装形態では、熱放散デバイスは、(たとえば、TIMを介して)デバイスの発熱領域に結合される。いくつかの実装形態では、熱放散デバイスがカバー内に実装されると、熱放散デバイスを備えるカバーは、集積デバイスを備えるデバイスに結合される。
【0171】
例示的な電子デバイス
図31は、上述の熱放散デバイス、集積デバイス、半導体デバイス、集積回路、ダイ、インターポーザ、パッケージ、またはパッケージオンパッケージ(PoP)のいずれかと統合されることがある様々な電子デバイスを示す。たとえば、モバイル電話デバイス3102、ラップトップコンピュータデバイス3104、固定ロケーション端末デバイス3106、装着型デバイス3108が、本明細書で説明するような集積デバイス3100および/または熱放散デバイスを含んでよい。集積デバイス3100は、たとえば、本明細書で説明する集積回路、ダイ、集積デバイス、集積デバイスパッケージ、集積回路デバイス、デバイスパッケージ、集積回路(IC)パッケージ、パッケージオンパッケージデバイスのいずれかであってよい。
図31に示すデバイス3102、3104、3106、3108は、例にすぎない。他の電子デバイスも、限定はしないが、モバイルデバイス、ハンドヘルドパーソナル通信システム(PCS)ユニット、携帯情報端末などのポータブルデータユニット、全地球測位システム(GPS)対応デバイス、ナビゲーションデバイス、セットトップボックス、音楽プレーヤ、ビデオプレーヤ、エンターテイメントユニット、メーター読取り機器などの固定ロケーションデータユニット、通信デバイス、スマートフォン、タブレットコンピュータ、コンピュータ、装着型デバイス(たとえば、時計、眼鏡)、モノのインターネット(IoT)デバイス、サーバ、ルータ、自動車車両(たとえば、自律車両)に実装された電子デバイス、またはデータもしくはコンピュータ命令を記憶しもしくは取り出す任意の他のデバイス、またはそれらの任意の組合せを含むデバイス(たとえば、電子デバイス)のグループを含む、集積デバイス3100を特徴として備えてもよい。
【0173】
「例示的」という語は、本明細書では「例、事例、または例示としての働きをすること」を意味するために使用される。本明細書で「例示的」として説明されている任意の実施形態または態様は、必ずしも本開示の他の態様よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。同様に、「態様」という用語は、本開示のすべての態様が、説明した特徴、利点、または動作モードを含むことを必要としない。「結合される」という用語は、2つの物体間の直接的または間接的な結合を指すために本明細書において使用される。たとえば、物体Aが物体Bに物理的に接触し、物体Bが物体Cに接触する場合、物体AとCはやはり、直接的に物理的に互いに接触しない場合であっても、互いに結合されると見なされることがある。
【0174】
また、本明細書に含まれる様々な開示が、フローチャート、流れ図、構造図、またはブロック図として示されるプロセスとして説明される場合があることに留意されたい。フローチャートは動作を逐次プロセスとして説明することがあるが、動作の多くは並行してまたは同時に実行することができる。加えて、動作の順序は並べ替えられてよい。プロセスは、その動作が完了するときに終了される。
【0175】
本明細書で説明した本開示の様々な特徴は、本開示から逸脱することなく様々なシステムにおいて実施することができる。本開示の上記の態様が例にすぎず、本開示を限定するものとして解釈すべきでないことに留意されたい。本開示の態様の説明は、例示的であることを意図しており、特許請求の範囲を限定することを意図していない。したがって、本教示は、他のタイプの装置に容易に適用することができ、多くの代替、修正、および変形が当業者には明らかであろう。