特許第6861737号(P6861737)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861737
(24)【登録日】2021年4月1日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】エンジンデータロガー
(51)【国際特許分類】
   F02D 45/00 20060101AFI20210412BHJP
   F01M 11/04 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   F02D45/00 362
   F01M11/04 B
【請求項の数】11
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-561660(P2018-561660)
(86)(22)【出願日】2016年11月29日
(65)【公表番号】特表2019-519713(P2019-519713A)
(43)【公表日】2019年7月11日
(86)【国際出願番号】EP2016079167
(87)【国際公開番号】WO2017202479
(87)【国際公開日】20171130
【審査請求日】2019年11月27日
(31)【優先権主張番号】1609430.2
(32)【優先日】2016年5月27日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】501169419
【氏名又は名称】パーキンズ エンジンズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Perkins Engines Company Limited
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・グリーン
【審査官】 小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−060212(JP,A)
【文献】 特開2004−102744(JP,A)
【文献】 特開2007−102658(JP,A)
【文献】 特開2007−192226(JP,A)
【文献】 特開2010−160120(JP,A)
【文献】 特開2010−216938(JP,A)
【文献】 特開2016−018317(JP,A)
【文献】 実開昭56−045999(JP,U)
【文献】 国際公開第2011/078041(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/207777(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 11/04
F02D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のオイル注入口に嵌合するためのオイルフィラーキャップであって、
本体と、
前記本体に固定するための取り外し可能なカバーと、
前記本体に設置されるデータロガーと、
前記本体内に空洞部と、を
備え、
前記データロガーは、
エンジン速度判定モジュールと、
前記エンジン速度判定モジュールに結合される振動センサーであって、前記内燃機関の振動を感知するよう構成される、振動センサーと、
前記エンジン速度判定モジュールに結合されるメモリモジュールと、を備え、
前記空洞部は前記データロガーの取り付けのための取付け点を含み、
前記本体および前記取り外し可能なカバーは、前記取り外し可能なカバーが前記本体に固定される時に、前記空洞部が封止された空洞部となり、前記取り外し可能なカバーが前記本体から取り外される時に、前記空洞部が露出するよう構成される、オイルフィラーキャップ。
【請求項2】
前記エンジン速度判定モジュールは、前記内燃機関の感知された振動を示す、前記振動センサーから受信した値に基づいてエンジン速度を判定するよう構成される、請求項1に記載のオイルフィラーキャップ。
【請求項3】
前記データロガーは、前記エンジン速度判定モジュールに結合され、外部電子機器との通信インタフェースをサポートするのに適している、通信モジュール、を備え、
前記エンジン速度判定モジュールは、
第一の期間にわたって前記振動センサーによって感知された前記内燃機関の前記振動に基づいて第一のエンジン速度を判定し、
第二の期間にわたって前記振動センサーによって感知された前記内燃機関の前記振動に基づいて第二のエンジン速度を判定し、
前記第一のエンジン速度および前記第二のエンジン速度に関連付けられたエンジンデータを前記メモリモジュールに記録し、
前記通信モジュールを介して前記外部電子機器に前記エンジンデータを出力するよう構成される、請求項1に記載のオイルフィラーキャップ。
【請求項4】
前記振動センサーおよび前記エンジン速度判定モジュールは、前記オイルフィラーキャップが前記内燃機関の前記オイル注入口に嵌合される時に、前記振動センサーが前記エンジン速度判定モジュールよりも前記内燃機関のクランクケースに近くなるように配置される、請求項1に記載のオイルフィラーキャップ。
【請求項5】
前記オイルフィラーキャップ内の前記空洞部に取り付けられる電池をさらに備え、前記電池は、前記オイルフィラーキャップが前記内燃機関の前記オイル注入口に嵌合される時に、前記電池が前記振動センサーおよび前記エンジン速度判定モジュールよりも前記内燃機関の前記クランクケースから離れるように配置される、請求項4に記載のオイルフィラーキャップ。
【請求項6】
前記取り外し可能なカバーが前記本体から取り外される時に、少なくとも前記電池がアクセス可能である、請求項5に記載のオイルフィラーキャップ。
【請求項7】
前記エンジン速度判定モジュールに結合される温度センサーおよび/または圧力トランスデューサをさらに備え、前記温度センサーおよび/または前記圧力トランスデューサは、前記オイルフィラーキャップが前記内燃機関の前記オイル注入口に嵌合される時に前記内燃機関のクランクケースに露出される前記オイルフィルターキャップの外部表面上に取り付けられる、請求項4〜6のいずれかに記載のオイルフィラーキャップ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のオイルフィラーキャップを備える、内燃機関。
【請求項9】
請求項8に記載の内燃機関を備える機械。
【請求項10】
エンジンデータを電子機器に通信するための方法であって、
請求項8に記載の内燃機関の振動を感知することと、
前記感知された前記内燃機関の振動に基づいてエンジン速度を判定することと、
前記判定されたエンジン速度に関連するエンジンデータをメモリに保存することと、
前記エンジンデータを通信インタフェースを介して電子機器に通信することと、を含む、方法。
【請求項11】
速度判定モジュール上で実行される時に、請求項10に記載の方法を実施するよう構成されるソフトウェアプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エンジン速度を判定するためのエンジンオイルフィラーキャップ、エンジンのオイルフィラーキャップ上またはエンジンのオイルフィラーキャップ内に取り付けるためのデータロガー、エンジン上に取り付け、エンジンの速度を判定するためのデータロガー、および内燃機関のオイル注入口に嵌合するためのオイルフィラーキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンデータロガーは、エンジン速度などの、経時的な様々なエンジンパラメータを監視するのに使用され得る。経時的にエンジン速度を監視することは、エンジンおよびその使用の様々な態様、例えば、機械オペレータが通常どのように機械のエンジンを使用しているか、エンジン摩耗がどのようなものであり得るか等、の分析において役立ち得る。
【0003】
既存のエンジンデータロガーは、大きくて高価となりがちであり、エンジン制御ユニット(ECU)からの現在のエンジン速度の示度を得るために制御エリアネットワーク(CAN)バスへのインタフェースを必要とするか、または、追加測定装置(機械的、磁気的、またはレーザタコメータ、または燃料測定装置など)を必要とするかのいずれかである。CANバスへのインタフェースを確立することは困難かつ時間がかかる可能性があり、追加測定装置を提供することは高価かつ不便になる可能性がある。
【0004】
さらに、一部の既存のエンジンデータロガーは、サーバとのインターネット接続を確立するよう構成され、エンジン速度計測値が経時的に保存および/または分析され得る。こうした接続を確立することは、高価で、不便で、そして、例えば、機械がインターネットネットワークの地理的制限に位置する場合に(例えば、無線アクセスネットワーク(RAN)セルの地理的制限に、またはWiFiネットワークエリアの地理的制限において等)、信頼できないものとなる可能性があるものになりかねない。
【発明の概要】
【0005】
本開示の第一の態様では、内燃機関のエンジン速度を判定するためのエンジンオイルフィラーキャップが提供されており、エンジンオイルフィラーキャップは、エンジン速度判定モジュールと、エンジン速度判定モジュールに結合された振動センサーとを備えており、振動センサーは内燃機関の振動を感知してエンジン速度判定モジュールに感知された振動を示す値を出力するよう構成され、エンジン速度判定モジュールは、感知された振動を示す値に基づいてエンジン速度を判定するよう構成される。
【0006】
本開示の第二の態様では、エンジンデータを電子機器に通信するための方法が提供されており、該方法は、内燃機関の振動を感知することと、感知された内燃機関の振動に基づいてエンジン速度を判定することと、判定されたエンジン速度に関連するエンジンデータをメモリに保存することと、通信インタフェースを介してエンジンデータを電子機器に通信することと、を含む。
【0007】
本開示の第三の態様では、内燃機関のオイルフィラーキャップ上、または内燃機関のオイルフィラーキャップ内に取り付けるためのデータロガーが提供されており、データロガーは、エンジン速度判定モジュールと、内燃機関の振動を感知するよう構成される、エンジン速度判定モジュールに結合された振動センサーと、エンジン速度判定モジュールに結合されるメモリモジュールとを備え、エンジン速度判定モジュールは、感知された内燃機関の振動を示す、振動センサーから受信した値に基づいてエンジン速度を判定するよう構成される。
【0008】
本開示の第四の態様では、内燃機関上に取り付けられ、内燃機関の速度を判定するためのデータロガーが提供されており、データロガーは、エンジン速度判定モジュールと、内燃機関の速度を判定するよう構成される、エンジン速度判定モジュールに結合される振動センサーと、エンジン速度判定モジュールに結合されるメモリモジュールと、エンジン速度判定モジュールに結合される通信モジュールとを備え、通信モジュールは外部電子機器との通信インタフェースをサポートしており、エンジン速度判定モジュールは、第一の期間にわたって振動センサーによって感知された内燃機関の振動に基づいて第一のエンジン速度を判定し、第二の期間にわたって振動センサーによって感知された内燃機関の振動に基づいて第二のエンジン速度を判定し、第一のエンジン速度と第二のエンジン速度に関連付けられたエンジンデータをメモリモジュールに記録し、通信モジュールを介して外部電子機器にエンジンデータを出力するよう構成される。
【0009】
本開示の第五の態様では、内燃機関のオイル注入口に嵌合するためのオイルフィラーキャップが提供されており、オイルフィラーキャップは、内燃機関の速度を判定するよう構成されるデータロガーを取り付けるための取付け点を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の一部の態様を、例示としてのみ、以下の図面を参照して説明する。
図1図1A、1Bおよび1Cは、オイルフィラーキャップ100の例示的な外部設計を示す。
図2図2は、データロガー200の構成要素を非常に概略的に示す。
図3図3は、図2のデータロガー200を含む例示的なシステム300を示す。
図4図4は、図1A、1Bおよび1Cのオイルフィラーキャップ100のアセンブリの分解図である。
図5図5は、図4のオイルフィラーキャップのアセンブリの側面からの切断を示す。
図6図6は、図2のデータロガー200の例示的な動作のフロー図である。
図7図7は、図2のデータロガー200によって取られた例示的なエンジン振動測定のプロットを示す。
図8図8は、図7のエンジン振動測定の周波数応答のプロットを示す。
図9図9は、実際のエンジン速度と図2のデータロガー200によって判定されたエンジン速度とを比較した実験データのプロットを示す。
図10図10は、図9の実験データにおける、実際のエンジン速度と判定されたエンジン速度との間の速度誤差のプロットを示す。
図11図11は、図1、4および5のオイルフィラーキャップを含む例示的な内燃機関1100を示す。
図12図12は、図11の内燃機関1100を含む例示的な機械1200を示す。
図13図13は、オイルフィラーキャップ1300の例示的な代替設計を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、感知された内燃機関の振動を使用してエンジン速度を判定すること、および、感知された内燃機関の振動を使用してエンジン速度を判定するよう構成される構成要素を含むか、あるいは感知された内燃機関の振動を使用してエンジン速度を判定するよう構成される構成要素の取り付けに適応するよう構成されるか、のいずれかであるオイルフィラーキャップに関する。
【0012】
図1A、1Bおよび1Cは、本開示によるオイルフィラーキャップ100の例示的な外部設計を示す。図1Aはオイルフィラーキャップ100のトップダウン図であり、図1Bはオイルフィラーキャップ100の角度付けされた上面/側面図であり、図1Cはオイルフィラーキャップの側面からの図である。オイルフィラーキャップ100の上面112は、トップダウンから見ると、円形、またはほぼ円形の形状を有し得る。オイルフィラーキャップ100は、ディーゼルエンジンまたはぺトロール/ガソリンエンジンなどの内燃機関(以下、「エンジン」と言及される)上にオイルフィラーキャップ100をねじ止めする、または内燃機関からオイルフィラーキャップ100をねじ抜きするのを助けるための、フィンガーグリップ溝114をオイルフィラーキャップ100の側壁に有してもよい。オイルフィラーキャップはまた、エンジンのオイル入口と係合するよう設計される、エンジン係合部分122を有してもよい。そのため、エンジン係合部分122は、エンジンのオイル入口上の対応するねじ山と係合するための内部または外部ねじ山を有し得る。従って、オイルフィラーキャップ100は、ごみやその他の汚染物質がエンジンオイルに入ることを防止するようオイル入口を覆うために、エンジン上の所定の位置にねじ止めされ得る。
【0013】
図1A〜1Cに示すオイルフィラーキャップ100の外部設計は、本開示によるオイルフィラーキャップがとり得る外部設計の、非制限的な一例に過ぎないことが理解される。あるいは、オイルフィラーキャップ100はいくつかの異なる設計を有してもよく、例えば、オイルフィラーキャップ100は、フィンガーグリップ溝114を省く、および/またはねじ山設計以外の押込みばめ設計などの異なるエンジン係合部分122を有する、および/または四角形または長方形等の異なる形状を有してもよい。オイルフィラーキャップ100の寸法および設計は、エンジンおよびオイルフィラーキャップ100が取り付けられるオイル入口の設計により少なくとも部分的に影響を受け得る。
【0014】
図2は、オイルフィラーキャップ100上、またはオイルフィラーキャップ100内に取り付けるのに適したデータロガー200を非常に概略的に示す。データロガー200は、エンジン速度判定モジュール210およびエンジン速度判定モジュール210に結合される振動センサー220を備える。データロガー200はまた、エンジン速度判定モジュール210に結合されるメモリモジュール230と、エンジン速度判定モジュール210に結合される通信モジュール240を備えてもよい。エンジン速度判定モジュール210は、以下に説明する機能を実施するよう構成される任意の形態の処理/制御モジュールとし得る。例えば、それは、マイクロコントローラ、1つ以上のプロセッサ(1つ以上のマイクロプロセッサなど)、構成可能ロジック、ファームウェア等としてもよい。振動センサー220は、例えば、加速、例えば、エンジンの振動によって生じる加速を感知するよう構成される、1軸加速度計、または2軸加速度計、または3軸加速度計等の加速度計とし得る。振動センサー220は、エンジンの振動を感知し、エンジン速度判定モジュール210に、感知されたエンジンの振動を示す値を出力するよう構成され得る。メモリモジュール230は、任意の適切なメモリ技術を利用し得るが、例えばそれは、フラッシュメモリおよび/またはSD(セキュアデジタル)カードなどの記憶ディスク、および/またはソリッドステート記憶デバイスを含んでもよく、また、揮発性および/または不揮発性メモリを含んでもよい。通信モジュール240は、任意の1つ以上の通信プロトコル/アーキテクチャに従ってデータロガー200の外部の1つ以上の電子機器との通信をサポートするよう構成され得る。例えば、通信モジュール240は、USB、Firewire、Thunderbolt、イーサネット(登録商標)等などの1つ以上のタイプの有線通信、および/またはWiFi、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標) LE、近接通信(NFC)、赤外線(IR)5G、LTE、UMTS、EDGE、GPRS、GSM(登録商標)、または任意のその他の形態のRFベースデータ通信などの1つ以上のタイプの無線通信をサポートし得る。通信モジュール240は、少なくとも1つの通信インタフェース245が、データロガー200と外部ネットワーク要素との間に確立されることを可能にする。例えば、ネットワーク要素は、インターネットサーバ、および/または移動電話機またはスマートフォン、および/またはタブレットコンピュータ、および/またはラップトップコンピューター、および/またはデスクトップコンピューター等などの、電子機器としてもよい。インタフェース245は、有線または無線インタフェースとしてもよい。
【0015】
エンジン速度判定モジュール210はまた、温度センサー250および圧力トランスデューサ260に接続されてもよい。温度センサー250は、エンジンのクランクケース温度を感知するよう構成されてもよく、任意の適切なタイプの温度センサー、例えば、デジタルまたはアナログ温度センサーとしてもよい。温度センサー250は、エンジン速度判定モジュール210に、感知されたクランクケース温度を示す値を出力するよう構成され得る。圧力トランスデューサ260は、クランクケース圧力を感知するよう構成されてもよく、任意の適切なタイプの圧力センサー、例えば、ダイアフラムを備えた圧電センサーとしてもよい。圧力トランスデューサ260は、エンジン速度判定モジュール210に、感知されたクランクケース圧力を示す値を出力し得る。代替的な実施形態では、エンジン速度判定モジュール210は、温度センサー250または圧力トランスデューサ260の一方のみに接続されてもよいことが理解される。別の代替的な実施形態では、エンジン速度判定モジュール210は、温度センサー250または圧力トランスデューサ260のいずれにも接続されなくてもよい。温度センサー250および/または圧力トランスデューサ260は、オイルフィラーキャップ100上に取り付けられてもよく(以下に詳述するように)、または、オンボードエンジン温度センサーおよび/または圧力トランスデューサとしてもよい。
【0016】
図3は、データロガー200、第一の電子機器310および第二の電子機器320を備える例示的なシステム300を示す。データロガー200および第一の電子機器310は、インタフェース245を介して互いに結合されてもよい。第一の電子機器310および第二の電子機器320は、ネットワーク要素としてもよい。第一の電子機器310は、移動電話機(携帯電話)、またはスマートフォン、またはタブレットコンピュータ、またはラップトップコンピューターなどの、携帯可能な電子機器としてもよい。第二の電子機器320は、デスクトップコンピューターまたはインターネットサーバとしてもよく、インタフェース315を介して第一の電子機器310に結合されてもよい。インタフェース315は、インターネット接続、または任意のその他の適切な形態のデータ接続としてもよい。以下で説明するように、エンジン速度判定モジュール210は、インタフェース245を介して第一の電子機器310にエンジンデータを通信し、次に第一の電子機器310がエンジンデータの少なくとも一部を、インタフェース315を介して第二の電子機器320に通信し得る。
【0017】
図4は、オイルフィラーキャップ100の例示的なアセンブリの「分解」図である。図5は、オイルフィラーキャップ100の例示的なアセンブリの断面切断図である。アセンブリは、エンジン速度判定モジュールと通信モジュールの組み合わせ410、振動センサー220、およびメモリモジュール230を含み得る。アセンブリはさらに、電池420および電池ブレース430を含んでもよい。エンジン速度判定モジュールと通信モジュールの組み合わせ410、振動センサー220、およびメモリモジュール230は全て、オイルフィラーキャップ本体460の本体空洞部465内に配置され得る。カバー450は、本体空洞部465を閉じる、または封止するために、オイルフィラーキャップ本体460の上部に固定されてもよい。従って、本体空洞部465は、データロガー200を取り付けるための、オイルフィラーキャップ100上の取付け点であり得る。
【0018】
図5は、電池420および電池ブレース430が、カバー450がオイルフィラーキャップ本体460の上部に固定される時に形成されるオイルフィラーキャップ100内の空洞(または空間、または中空空間)内に位置している構成を示しているが(例えば、本体空洞部465とカバー450内の対向する空洞部を備える空洞部)、電池420および電池ブレース430はまた、本体空洞部465内に配置されてもよい。いずれの場合でも、オイルフィラーキャップ100内の空洞部は、データロガー200(および、必要に応じて電池420も)の取付け点となり得るが、空洞部は、カバー450がオイルフィラーキャップ本体460の上部に固定される時には封止され、カバー450が給油キャップ本体460の上部に固定されない時には露出し得る。
【0019】
振動センサー220は、オイルフィラーキャップ100がエンジンに嵌合される時に、振動センサー220がエンジンのクランクケースに最も近いデータロガー200の構成要素となるように、オイルフィラーキャップ本体460の本体空洞部465の底部に向けて位置している。これらの構成要素をこのように配置することで、振動センサー220は、エンジンの近くに位置することとなり、このことは、振動感知のその精度を向上させるのに役立ち得る。振動センサー220が垂直振動を感知するよう構成される場合、オイルフィラーキャップ100がエンジンに嵌合される時に、振動センサー220が測定することとなる振動の軸に垂直に配向されるように、振動センサー220は本体空洞部465内に水平に取り付けられ得る。
【0020】
電池ブレース430は、電池420を所定の位置に保持するよう配置されてもよく、電池420は、オイルフィラーキャップ100がエンジンに嵌合される時に、電池420をエンジンにできるだけ近づけないように、データロガー200構成要素の上方に、オイルフィラーキャップ100内の空洞部の上部に向けて位置させ得る。使用中、エンジンは熱くなる場合があるが、このことは、電池420に悪影響を及ぼし得る。従って、電池420をエンジンからできるだけ離して位置付けることで、電池420はエンジンの熱から良好に保護され得る。さらに、電池420は、カバー450を取り外すことで、交換または充電のために容易にアクセスできるようになり得る。カバー450は、任意の適切な方法でフィラーキャップ本体460に固定されてもよく、例えばそれは、ねじ山を使用してフィラーキャップ本体460に固定された取り外し可能なカバーであってもよく、または、カバー450を通ってフィラーキャップ本体460に貫通するねじまたはピンによってもよい。代替として、カバー450は、任意のその他の適切な方法、例えば押込みばめ固定を使用して、フィラーキャップ本体460に取り外し可能に固定されてもよい。さらなる代替として、カバー450は、取り外し不能な方法、例えば、糊付けまたはリベット締めによって、フィラーキャップ本体に固定されてもよい。
【0021】
オイルフィラーキャップ100アセンブリは、温度センサー250および/または圧力トランスデューサ260を含むセンサーモジュール470をさらに備える。センサーモジュール470は、オイルフィラーキャップ100がエンジンに嵌合される時に、センサーモジュール470がエンジンのクランクケースに露出して、クランクケース温度および/またはクランクケース圧力がセンサーモジュール470によって感知され得るように、オイルフィラーキャップ100の下側の面上で、オイルフィラーキャップ本体460の外部表面上に取り付けられてもよい。オイルフィラーキャップ100の上面112は、オイルフィラーキャップ100の第一の表面とみなしてもよく、センサーモジュール470が取り付けられる、オイルフィラーキャップ100の下側上の対向する表面は、対向する、オイルフィラーキャップ100の第二の表面とみなしてもよい。
【0022】
従って、センサーモジュール470は、データロガー200の構成要素から物理的に分離していてもよい。このようにして、データロガー200の構成要素は、オイルまたはクランクケースからのごみへの露出から保護され得、また、センサーモジュール470をクランクケースになおも露出させたまま、エンジンにより生成された熱からある程度断熱し得る。センサーモジュール470は、感知されたクランクケース圧力および/またはクランクケース温度を示す値を出力するために、フィラーキャップ本体460を通した有線接続によって、または無線接続によって、エンジン速度判定モジュールと通信モジュールの組み合わせ410に接続されてもよい。
【0023】
図4および5に示すアセンブリは、本開示によるオイルフィラーキャップ100のアセンブリの非制限的な一例に過ぎないことが理解される。代替として、データロガー200の構成要素は、オイルフィラーキャップ100上またはオイルフィラーキャップ100内に任意の方法で配置されてもよい。例えば、データロガー200は、単一の回路基板などの、図2に示す構成要素を含む単一のユニットとして形成され、オイルフィラーキャップ100上の任意の場所の取付け点に嵌合されるよう設計されてもよい。例えば、データロガー200の構成要素は、オイルフィラーキャップ100の空洞部に取り付けられる単一の回路基板上に配置されてもよい。あるいは、データロガー200の構成要素は磁気素子を含むユニット内に収容されてもよく、取付け点は、オイルフィラーキャップの上部に強磁性材料(鉄など)を含んでもよい(または、ユニットが強磁性材料を含んでもよく、取付け点がオイルフィラーキャップの上部に磁気素子を含んでもよい)。あるいは、データロガー200の構成要素は、オイルフィラーキャップの上部の取付け点上に押込みばめされるよう設計される、または、オイルフィラーキャップの上部上の取付け点上にねじ止めされるよう設計される等の、ユニット内に収容されてもよい。
【0024】
図4および5に示すオイルフィラーキャップ100はまた、電力をオイルフィラーキャップ100内の構成要素に提供するために、電力リード線をエンジン電気システム(例えば、エンジン電池)からオイルフィラーキャップ100に接続するための電力接続点を含んでもよい。これは、電池420の包含に加えて、またはこれに代替するものとしてもよい。例えば、電池420に加えて電力接続点が提供される場合、エンジン速度判定モジュールと通信モジュールの組み合わせ410、振動センサー220、およびメモリモジュール230は全て、エンジンがオン(および、必要に応じて電池420も充電される)されるとエンジン電気システムによって給電されてもよく、また、メモリモジュール230は、エンジンがオフされると電池420によって給電されてもよい(例えば、メモリモジュール230が揮発性メモリを含むとき)。電力接続点が電池420の代替として提供される場合、エンジン速度判定モジュールと通信モジュールの組み合わせ410、振動センサー220、およびメモリモジュール230は全て、エンジンがオンされるとエンジン電気システムによって給電されてもよく、また、エンジンがオフされるときに、給電される構成要素はない(例えば、メモリモジュール230が不揮発性メモリを含む場合)。
【0025】
図6は、データロガー200の動作の例示的なフロー図である。ステップS610で、エンジン速度判定モジュール210は、振動センサー220から、感知されたエンジンの振動を示す値を受信し、経時的に、感知されたエンジンの振動を示す値を記録する。振動は、任意の方向のエンジンの振動、例えば、水平および/または垂直な振動であり得る。エンジン振動が垂直方向に最も大きく(垂直方向の振動のピークと谷との間の差異が他の方向よりも大きい)、「ノイズ」が小さいエンジン振動と判定する場合がある。その結果、エンジン速度判定モジュール210が感知されたエンジンの垂直振動を示す値を記録し得るように、振動センサー220を、垂直エンジン振動を感知するよう構成することが望ましい場合がある。
【0026】
エンジン速度判定モジュール210は、所定の期間に感知されたエンジン振動を示す値を記録するが、所定の期間は、エンジン速度の信頼できる測定値が得られるのに十分な任意の期間とし得る。例えば、判定期間は、0.1秒、または1秒、または5秒、または1分、または8分などの0.01秒〜10分の間の任意の期間としてもよく、あるいは、0.3秒、または3秒、または10秒などの0.1秒〜1分の間の任意の期間、あるいは、8秒、または42秒などの1秒〜1分の間の任意の期間としてもよい。データロガー200は、プロセッサクロック、または水晶クロック、またはGPS同期クロックなどの、判定期間をカウントするためのクロックを備えてもよい。エンジン速度判定モジュール210は、振動センサー220から出力された値を周期的にサンプリングすることにより、感知されたエンジンの振動を示す値を記録し得る。例えば、エンジン速度判定モジュールは、振動センサー220からの出力を2ms毎にサンプリングし(これは500Hzのサンプリング周波数である)、感知されたエンジンの振動を示す値の記録(以下、記録されたエンジン振動と言及する)を得るために、判定期間中のサンプリングした値のそれぞれを記録し得る。サンプリング周波数は、任意の適切な周波数、例えば、200Hz、または1000Hz、または8000Hzなどの50Hz〜10,000Hzの間の任意の周波数としてもよく、あるいは150Hz、または800Hz、または2000Hzなどの100Hz〜5000Hzの間の任意の周波数としてもよく、あるいは400Hz、または600Hzなどの100Hz〜1000Hzの間の任意の周波数としてもよい。サンプリング周波数は、エンジン振動に対して予想される最大の卓越周波数(例えば、エンジン振動における予想される最大の卓越周波数を正確に測定するのに十分に高いサンプリング周波数)を考慮して選択され得る。
【0027】
図7は、ステップS610で記録された、感知されたエンジン振動の例示的なプロットを示す。この実施例において、サンプリング周波数は500Hz、判定期間は0.5秒(つまり、250サンプル)であり、振動センサー220は、エンジンの垂直加速度を感知するよう構成され、エンジンは4気筒直列型(インライン)エンジンである。プロットのx軸はサンプル数(「時間」とも見得る)であり、プロットのy軸は単位m/sのエンジンの垂直加速度である。
【0028】
ステップS620で、エンジン速度判定モジュール210は、記録されたエンジン振動に基づいてエンジン速度を判定する。エンジン速度判定モジュール210はこれを、まず、記録されたエンジン振動の卓越周波数を、例えば、記録されたエンジン振動上にフーリエ変換、または高速フーリエ変換(FFT)、またはラプラス変換等の時間−周波数ドメイン変換を実施することで行い得る。
【0029】
図8は、図7に示す記録されたエンジン振動の周波数応答(つまり、時間−周波数変換)のプロットを示す。図8のプロットのx軸は単位がHzであり、図8のy軸は無次元の大きさの測定値である。
【0030】
次に、エンジン速度判定モジュール210は、周波数応答プロットにおける最大の大きさの周波数を特定することで、卓越周波数を判定し得る。エンジン速度判定モジュール210は、卓越周波数を見つける際に、周波数応答内の特定の周波数の範囲のみを考慮し得る。該範囲は、下限周波数および上限周波数によって画定され得るが、それらは共に、予想されるエンジン動作の範囲外となる任意の周波数を排除するために、予想されるエンジン振動周波数を考慮して設定され得る。例えば、エンジンのアイドリング速度が約35Hzの振動周波数を生成すると予想され、最大可能エンジン速度が約90Hzの振動周波数を生成すると予想される場合、考慮すべき範囲は、30Hz(下限周波数)〜100Hz(上限周波数)となり得る。当然ながら、エンジンが生成する最大および最小周波数は、エンジンの異なるタイプ、例えば、気筒構成(直列気筒、V型気筒、ボクサー等)、エンジン速度制限およびエンジンアイドル速度ごとに変化し得る。従って、卓越周波数の判定中に考慮される周波数の範囲は、アクセスされているエンジンを考慮して任意の適切な範囲に設定され得る。
【0031】
卓越周波数は、ピーク周波数応答に対応する周波数とし得る。周波数応答に2つ以上のピークがある場合(例えば、エンジン速度が測定期間中に変化したために)、卓越周波数は、最大の大きさであるピークに対応する周波数とし得る。従って、卓越周波数は、測定期間中に最も長い期間エンジンによって生成された振動の周波数とし得る。
【0032】
エンジン回転数判定モジュール210は次に、卓越周波数に基づいてエンジン速度を判定し得る。例えば、卓越周波数は、毎分回転数(RPM)などのエンジン速度の測定値に変換されてもよい。周波数の測定値ヘルツは、1秒当たりの振動周期数の測定値である。振動周波数Hzを1秒当たりの振動周期数に変換するために、卓越周波数を60で乗算してもよい。振動周期とエンジン回転数との間の関係は、エンジンの構成に依存し得る。振動サイクルは、気筒燃焼イベントによって発生し得るため、卓越周波数は、エンジンの発火周波数とも考えられ得る。エンジン回転ごとの、気筒燃焼イベント、または発火イベントの数は、気筒の構成に依存し得る。例えば、4気筒直列型(インライン)エンジンでは、エンジン回転毎に2回の燃焼イベントがあり得る。その結果、発火周波数はエンジン速度の2倍となり得る。ただし、3気筒直列型(インライン)エンジンでは、2回のエンジン回転毎に3回の燃焼イベントがあり得(つまり、エンジン回転毎に1.5回の燃焼イベント)、6気筒直列型(インライン)エンジンでは、エンジン回転毎に3回の燃焼イベントがあり得る。その結果、発火周波数は、エンジン速度の1.5倍となり得る。
【0033】
従って、エンジン速度は、以下のように、卓越周波数から判定され得る。
【0034】
【数1】
【0035】
従って、エンジン回転毎に2回の燃焼イベントがある4気筒直列型エンジンでは、エンジン速度RPMは以下のように計算され得る:
【0036】
【数2】
【0037】
エンジン回転毎に1.5回の燃焼イベントがある3気筒直列型エンジンでは、エンジン速度RPMは以下のように計算され得る:
【0038】
【数3】
【0039】
図7のプロットに示される記録されたエンジン振動、および図8の対応する周波数ドメインは、4気筒直列型エンジンで行われたものである。見て取れるように、図8に示される周波数応答での卓越周波数は、65Hzである。従って、判定されたエンジン速度は:
【0040】
【数4】
【0041】
4気筒直列型エンジンを使用した実験を、このプロセスの精度を判定するために実施した。エンジンは、上記プロセスを使用して判定されたエンジン速度と比較して、「実際の」エンジン速度(動力計、または「ダイノ(dyno)」で測定)で800rpmから3024rpmまでに移行した。図9は、実際のエンジン速度(点線)および判定されたエンジン速度(実線)を表すグラフィカルプロットを示す。図9のプロットのx軸はテスト時間であり、図9のプロットのy軸はエンジン速度rpmである。図10は、実際のエンジン速度と判定されたエンジン速度との間の速度誤差のグラフィカルプロットを示す。図10のプロットのx軸はエンジン速度rpm、図10のプロットのy軸は判定されたエンジン速度と実際のエンジン速度との間の速度誤差rpmである。一部のエンジン速度では、2つのエンジン速度誤差値がある(例えば、1000rpmでは、20rpmと80rpmの速度誤差がある)。これは、実験中、エンジンが特定の速度に保持された期間中に2つの異なるエンジン速度が判定されることで生じる。例えば、エンジン速度が0.5秒毎に判定されるが(判定期間が0.5秒であるため)エンジンは4秒間特定の速度に保持される場合、エンジン速度は連続8回(0.5秒毎に1回)判定され得る。このことは図9から分かり得るが、図9では、一部のエンジン速度において、2つの異なるエンジン速度が判定される(例えば、1000rpmにおいて、1020rpmの初期速度が判定されるが、これはその後1080rpmまで増加してから2つの値の間で変動する)。変動は、いくつかの実験的理由から生じ得るが、これには、時間−周波数ドメイン変換の分解能精度が含まれ得る(以下に説明するように)。以下に説明するように、これらの変動があっても、エンジン速度判定の精度はなおも許容限度内であり得る。
【0042】
図10から分かるように、判定されたエンジン速度は、常に実際のエンジン速度の80rpm内となることが分かった。この実験で使用される時間−周波数ドメイン変換は、約60rpmと等しい1.9Hzの分解能のフーリエ変換であった。異なるおよび/または良好に調整された時間−周波数ドメイン変換技術を使用することで、この分解能が向上し、ゆえにエンジン速度誤差が低減し得ることが予想され得る。ただし、いずれの場合でも、ほとんどの用途において、実際のエンジン速度の+/−100rpmのエンジン速度判定は十分であることが予想され得る。
【0043】
ステップS630で、エンジン速度判定モジュール210は、判定されたエンジン回転数をメモリモジュール230に記録し得る。判定されたエンジン速度がメモリモジュール230に記録され得るいくつかの異なる方法がある。判定されたエンジン速度がメモリモジュール230に記録される方法の実施例について以下に説明する。エンジン速度判定モジュール210は、これらの例示的技術のうち任意の1つ以上を利用し得ることが理解される。
【0044】
実施例1:判定されたエンジン速度は、必要に応じて判定がなされた時間の識別子(例えば、判定の日時)と共に、メモリモジュール230に保存されてもよい。このようにして、経時的に複数のエンジン速度が、必要に応じてそれぞれ判定がなされた時間の識別子と共にメモリモジュール230に保存され得る。必要に応じて、判定期間は、判定されたエンジン速度と共にメモリモジュール230に保存されてもよい。そうすることで、判定されたエンジン速度それぞれと、エンジンがその速度で動作していると判定された期間の記録が維持され得る。これらのデータは、任意の適切な方法で、例えば、任意の標準データベースまたはマトリックス技術を使用して、メモリモジュール230に記録されてもよい。
【0045】
実施例2:エンジン速度判定モジュール210は、メモリモジュール230のエンジン速度/時間の記録をルックアップし得る。エンジン速度/時間の記録は、複数のエンジン速度範囲およびエンジンがエンジン速度範囲のそれぞれ内で動作していると判定された累積時間を含み得る。エンジン速度/時間の記録の非制限的な実施例を以下に記載する。
【0046】
【表1】
【0047】
エンジン速度/時間の記録は、任意の数のエンジン速度範囲を含んでもよく、該範囲は、任意の適切なサイズおよび広がりのものであり得ることが理解される。
【0048】
エンジン速度判定モジュール210は、判定されたエンジン速度がその範囲内にあるのは複数のエンジン速度範囲のいずれかを判定した後に、判定期間を、そのエンジン速度範囲に対する累積時間に加え得る。このように、エンジンの動作のピクチャが経時的に構築され得る。
【0049】
図7および8に関して上述する実施例において、判定されたエンジン速度が2600rpmである場合、エンジン速度判定モジュール210は、判定されたエンジン速度が2600−2699rpmの範囲内にあると判定し得る。エンジン速度判定モジュール210は次に、判定期間を、エンジン速度/時間の記録における該エンジン速度範囲に対して記録された累積時間に加え得る。例えば、2600〜2699rpmのエンジン速度/時間の記録に記録された累積時間が1.23時間であり、判定期間が0.5秒である場合、2600〜2699rpmのエンジン速度/時間の記録に記録される累積時間は1.23時間+0.5秒に更新され得る。
【0050】
判定期間を判定されたエンジン速度範囲に対する累積時間に加えると、エンジン速度判定モジュール210は次に、更新されたエンジン速度/時間の記録をメモリモジュール230に書き込み得る。
【0051】
エンジン速度範囲および累積時間は、任意の適切な方法で、例えば、任意の標準データベースまたはマトリックス技術を使用して、メモリモジュール230に保存され得ることが理解される。
【0052】
実施例1および/または実施例2に従って判定されたエンジン速度をメモリモジュール230に記録した後、エンジン速度判定モジュール210は、ステップS610に戻り得る。このようにして、エンジン速度が定期的に判定またはサンプリングされ(例えば、0.5秒毎に)、その後、広範なエンジン速度データが経時的に保存されるようにメモリに保存され得る。ステップS610で判定期間にわたって経時的に感知されたエンジン振動を示す値を記録した後、プロセスはステップS620に進み、次の判定期間に対する感知されたエンジン振動を示す値を記録することを、エンジン速度の判定に寄与しないエンジンの動作期間がないように、ステップS620およびS630を実施する間に開始し得ることが理解される。その結果、直近に完了した感知されたエンジン振動を示す値の記録に関してステップS620およびS630が実行される一方で、感知されたエンジン振動を示す値の次の記録が既に進行中となり得る。
【0053】
エンジン速度判定モジュール210は、全てのエンジン速度範囲に対する累積時間をリセットする(例えば、ゼロに設定する)よう構成され得る。エンジン速度判定モジュール210は、周期的に(例えば、100日毎に)、および/またはエンジン速度/時間の記録がインタフェース245を介してデータロガー200から出力された後に、および/またはインタフェース245を介して受信したユーザリセットコマンドに応答して(例えば、エンジンが供用され、サービスオペレータがエンジン速度/時間の記録をリセットするよう指示し得る)、累積時間をリセットしてもよい。
【0054】
任意の適切な時間において、データロガー200は、インタフェース245を介して第一の電子機器310にエンジンデータを出力し得る。エンジンデータは、「現在の」判定されたエンジン速度が出力され得るように直近に判定されたエンジン速度(および、必要に応じて測定期間も)、および/または上記実施例1からの記録されたデータ、および/または上記実施例2からの記録されたデータを含んでもよい。このように、エンジンデータは、エンジン速度/時間の記録を含み得る。エンジンデータは、インタフェース245を介して周期的に第一の電子機器310に出力されてもよく(例えば、第一の電子機器310に「プッシュ」される)、あるいは、エンジン速度判定モジュール210が第一の電子機器310からエンジンデータに対する要求をインタフェース245を介して受信した後に出力されてもよい(例えば、第一の電子機器310によって「プル」される)。一実施例では、インタフェース245は、Bluetooth(登録商標) LEを利用してもよく、エンジンデータは、第一の電子機器310がデータロガー200と対にされてエンジンデータを要求、つまり、「プル」する場合に第一の電子機器310に出力されてもよい。同様に、別の実施例では、インタフェース245がWiFiでTCP/UDPを利用する場合、第一の電子機器310は、エンジンデータをデータロガー200からプルすることを許容され得る。
【0055】
第一の電子機器310は、エンジンデータの少なくとも一部を保存し得る、および/またはエンジンデータの少なくとも一部をユーザに表示し得る(例えば、第一の電子機器310上の表示画面を介して)。エンジンデータは、生データとして、または棒グラフ等の任意の適切なグラフィカル形式で表示され得る。エンジンデータが第一の電子機器310上に保存される場合、第一の電子機器310はまた、例えば第一の電子機器310の内蔵GPSモジュールを使用して、位置データをエンジンデータに追記し得る。第一の電子機器310はまた、例えばエンジンデータを使用してエンジン摩耗メトリックを計算する、および/またはエンジンが使用される方法を分析する、および/または次の必要なエンジン供用までの時間数を計算する等して、エンジンデータの分析を実施するよう構成され得る。これらの計算された情報の項目の任意の1つ以上は、例えば第一の電子機器310上の表示画面を介してユーザに表示され得る。
【0056】
さらには、又はあるいは、第一の電子機器310は、エンジンデータの少なくとも一部をインタフェース315を介して、例えば第一の電子機器310のユーザの要求時に、第二の電子機器320に通信してもよい。このようにして、インタフェース315は、永続的インタフェース(永久的インターネット接続など)を必要としないよう、データ転送が要求される都度起動するだけでよい。エンジンデータの少なくとも一部は、その他の適切なデータ、例えば、位置データおよび/または計算されたエンジン摩耗メトリックおよび/または計算された次の必要なエンジン供用までの時間と共に、通信され得る。第二の電子機器320は、例えば、後日の、エンジンのユーザによる、またはサービス要員によるアクセスのためのバックアップを維持して、受信したデータを保存し得る。さらには、又はあるいは、第二の電子機器320は、例えば、エンジン摩耗メトリックを計算する、および/または次の必要なエンジン供用までの時間を計算する等のために、受信したデータに分析を実施し得る。第二の電子機器320は、エンジンの所有者/オペレータ、および/またはディーラーまたはサービス要員が入手可能な、エンジンデータおよび/または次の必要な供用サービスまでの時間またはヒストグラム等のデータを、例えば、ウェブページインタフェースを介して作成し得る。さらには、又はあるいは、第二の電子機器320は、エンジンデータおよび/または次の必要な供用サービスまでの時間またはヒストグラム等のデータを、エンジンの所有者/オペレータ、および/またはディーラーまたはサービス要員などの権限ある関係者に電子メールし得る。
【0057】
エンジン速度の判定に加え、エンジン速度判定モジュール210はまた、温度センサー250から、感知されたクランクケース温度を示す値を読み出すことでクランクケース温度を判定し、および/または圧力トランスデューサ260から、感知されたクランクケース圧力を示す値を読み出すことでクランクケース圧力を判定し得る。エンジン速度判定モジュール210は、感知されたクランクケース温度を示す値および/または感知されたクランクケース圧力を示す値を、判定されたエンジン速度と共にメモリモジュール230に記録し得る。クランクケース温度および/またはクランクケース圧力は、判定されたエンジン速度それぞれに対して、対応するクランクケース温度および/またはクランクケース圧力があるように、エンジン速度が判定されるのと同時に判定され得る。あるいは、クランクケース温度および/またはクランクケース圧力は、エンジン速度が判定されるよりも多く、または少なく判定されてもよい。
【0058】
判定されたエンジン速度の記録に関して上述する実施例1および2と類似して、判定されたクランクケース温度および/またはクランクケース圧力は、以下の例示的技術のうち任意の1つ以上を使用してメモリモジュール230に記録され得る。
【0059】
実施例A:感知されたクランクケース温度を示す値および/または感知されたクランクケース圧力を示す値は、必要に応じて判定がなされた時間の識別子(例えば、判定の日時)と共にメモリモジュール230に保存され得る。このようにして、複数の判定されたエンジン温度および/またはクランクケース圧力は、必要に応じてそれぞれ判定がなされた時間の識別子と共に、経時的にメモリモジュール230に保存され得る。必要に応じて、判定期間を判定されたクランクケース温度および/またはクランクケース圧力と共にメモリモジュール230に保存してもよい。そうすることで、各クランクケース温度および/またはクランクケース圧力、およびエンジンがそのクランクケース温度および/またはクランクケース圧力で動作していた期間の記録が維持され得る。これらのデータは、任意の適切な方法で、例えば、任意の標準データベースまたはマトリックス技術を使用して、メモリモジュール230に記録されてもよい。
【0060】
実施例B:エンジン速度判定モジュール210は、メモリモジュール230のクランクケース温度/時間の記録および/またはクランクケース圧力/時間の記録をルックアップし得る。クランクケース温度/時間の記録は、複数のクランクケース温度範囲と、エンジンがクランクケース温度範囲のそれぞれ内で動作している累積時間とを含み得る。クランクケース温度/時間の記録は、複数のクランクケース圧力範囲と、エンジンがクランクケース圧力範囲のそれぞれ内で動作している累積時間とを含み得る。クランクケース温度/時間の記録の非制限的な実施例を以下に記載する。
【0061】
【表2】
【0062】
クランクケース温度/時間の記録は任意の数のクランクケース温度範囲を含んでもよく、該範囲は任意の適切なサイズおよび広がりのものであり得ることが理解される。
【0063】
上記実施例2に類似して、エンジン速度判定モジュール210は、判定されたクランクケース温度がその範囲内にあるのは複数のクランクケース温度範囲のいずれかを判定した後に、判定期間を、そのクランクケース温度範囲に対する累積時間に加え得る。判定期間を判定されたクランクケース温度範囲に対する累積時間に加えると、エンジン速度判定モジュール210は、更新されたクランクケース温度/時間の記録をメモリモジュール230に書き込み得る。
【0064】
クランクケース圧力/時間の記録の非制限的な実施例を以下に記載する。
【0065】
【表3】
【0066】
クランクケース圧力/時間の記録は任意の数のクランクケース圧力範囲を含んでもよく、該範囲は任意の適切なサイズおよび広がりのものであり得ることが理解される。さらに、この特定の実施例では、一部の圧力範囲は、負の圧力範囲であることに留意されたい。これは、これらが基準圧力に対する、例えば、気力に対する圧力であるからである。代替として、圧力範囲は、圧力の絶対測定値を含み得る。
【0067】
上記実施例2に類似して、エンジン速度判定モジュール210は、判定されたクランクケース圧力がその範囲内にあるのは複数のクランクケース圧力範囲のいずれかを判定した後に、判定期間を、そのクランクケース圧力範囲に対する累積時間に加え得る。判定期間を判定されたクランクケース圧力範囲に対する累積時間に加えると、エンジン速度判定モジュール210は次に、更新されたクランクケース圧力/時間の記録をメモリモジュール230に書き込み得る。
【0068】
エンジン速度判定モジュール210は、前述した全てのエンジン速度範囲に対する累積時間をリセットするのに類似して、全てのクランクケース温度範囲および/またはクランクケース圧力範囲に対する累積時間をリセットする(例えば、ゼロに設定する)よう構成され得る。
【0069】
クランクケース温度および/時間の記録および/またはクランクケース圧力/時間の記録は、任意の適切な方法で、例えば、任意の標準データベースまたはマトリックス技術を使用してメモリモジュール230に保存され得ることが理解される。
【0070】
実施例Aおよび/または実施例Bに従ってメモリモジュール230に保存される判定されたクランクケース温度および/またはクランクケース圧力は、エンジンデータの一部として第一の電子機器310に通信され得る。従ってエンジンデータは、エンジン速度データおよびクランクケース温度データおよび/またはクランクケース圧力データの、複数のデータのセットを含み得る。あるいは、エンジン速度データは、クランクケース温度データおよび/またはクランクケース圧力データと組み合わされて単一のマップまたはマトリックスにされてもよく、これは、エンジン速度範囲/クランクケース温度範囲/クランクケース圧力範囲の組み合わせ毎に費やされる累積時間を特定する。
【0071】
データロガー200の上記で開示する動作は、コンピュータ可読命令を含む1つ以上のコンピュータプログラム(例えば、1つ以上のコンピュータ可読媒体)によって実施され得る。例えば、メモリモジュール230、またはデータロガー200に結合されるその他のメモリユニットまたはエンジン速度判定モジュール210は、プロセッサ上で(エンジン速度判定モジュール210上など)実行される時に上記で開示する動作を実行するよう構成される1つ以上のコンピュータプログラムを含み得る。コンピュータプログラムは代替的に、ハードディスクドライブおよび/またはソリッドステートドライブなどの任意のその他の適切な記憶媒体、フロッピーディスクおよび/またはCD−ROMおよび/またはDVDおよび/またはブルーレイディスクおよび/またはUSBドライブ等の少なくとも1つの記憶読み出しドライブ上に保存されてもよい。
【0072】
図11は、その上にオイルフィラーキャップ100が嵌合され得る内燃機関1100の一例、例えば、ディーゼルまたはガソリン機関を示す。
【0073】
図12は、その内部に内燃機関1100が嵌合され得る例示的な機械1200を示す。図12に示す機械1200は、機械のタイプの一例に過ぎず、オイルフィラーキャップ100を含む内燃機関1100は、例えば、車、バックホウローダ、または圧縮機等任意の適切な機械で使用され得ることが理解される。オイルフィラーキャップ100を含む内燃機関1100は代替的に、ジェネレータ、またはジェネレータセット、またはエアコンプレッサー等などの任意のその他の適切なタイプの機械で使用され得る。従って、機械1200は、オイルフィラーキャップ100を含む内燃機関1100が使用され得る機械の一例に過ぎない。
【0074】
当業者であれば、上記の態様に対するいくつかの変更および/または代替が実施可能であり、かつなおも本開示の範囲内となることを容易に理解する。
【0075】
例えば、判定されたエンジン速度をメモリモジュール230に保存するのではなく、その代わりに、エンジン速度判定モジュール210は、判定されたエンジン速度をインタフェース245を介して第一の電子機器310にブロードキャストするのみでもよい。このように、本開示で使用される「データロガー200」という用語は、データ(エンジン速度など)を保存、またはログする装置、およびデータ(エンジン速度など)を判定するのみでそれ自体はデータを記録またはログしない装置(エンジン速度などのデータの記録またはログは、代わりに、第一の電子機器310および/または第二の電子機器320によって実施され得る)を包含することが意図される。同様に、エンジン速度判定モジュール210がまた、クランクケース温度および/またはクランクケース圧力を判定するよう構成される場合、クランクケース温度および/またはクランクケース圧力はメモリモジュール230に保存されず、代わりに、第一の電子機器310にブロードキャストされるのみであってもよい。
【0076】
図3に示すシステム300には、第一の電子機器310および第二の電子機器320がある。しかしながら、代替において、データロガー200と電子機器との間のインタフェースと共に、1つのデータロガー200と1つの電子機器(インターネットサーバなど)のみがシステム300内にあり得ることが理解される。あるいは、システム300は、データロガー200と3つ以上の相互接続された電子機器を備えてもよい。図3のインタフェースは直接インタフェースとして示されるが、インターネットルータ等の、さらなる1つ以上の仲介装置がインタフェースにあり得ることが理解される。
【0077】
上記の態様では、データロガー200の構成要素がオイルフィラーキャップ100内に位置しているが、データロガー200は、エンジントップマウントカバーの外側または内側にボルト止めする、またはエンジントップマウントカバーに組み込む、またはエンジンのタイミングケースにボルト止めするなど、データロガー200の嵌合に適したエンジンの任意のその他の部分に取り付けられるよう設計されて、振動センサー220がエンジン振動を正確に測定できるようにしてもよいことが理解される。
【0078】
図13A、13Bおよび13Cは、本開示による例示的な代替のオイルフィラーキャップ1300を示す。図13Aは、オイルフィラーキャップ1300のトップダウン図であり、図13Bはオイルフィラーキャップ1300の側面からの図であり、図13Cはオイルフィラーキャップ1300の側面からの切断図である。オイルフィラーキャップ1300の設計は、図1A〜1C、4および5に示すオイルフィラーキャップ100の設計とは異なっており、代替的なオイルフィラーキャップ設計の一例に過ぎないことが分かる。図13Cに見て取れるように、オイルフィラーキャップ1300は、上述のデータロガー200の構成要素を含み得る回路基板1310を備える。代替的な構成において、オイルフィラーキャップ1300は、それぞれが上述のデータロガー200の少なくとも1つのモジュールを含む、2つ以上の回路基板を備えてもよい。
【0079】
上記で開示した例示的実施形態で特定されるデータに加え、エンジンデータはまた、エンジンが動作していた合計時間、および/またはエンジンシリアル番号(メモリモジュール230、および/またはROMやEPROMモジュールなどのデータロガー200のその他のメモリに保存され得る)のうち少なくとも1つを含み得る。
【0080】
エンジン速度判定モジュール210は、メモリモジュール230に、「最終稼働日時」の記録を維持するようさらに構成され得る。エンジン速度判定モジュール210は、周期的に(例えば、毎分、毎時間、または2時間おきに等)「最終稼働日時」の時間および/または日付を更新し得る。このようにして、データロガー200の電源が切れた場合に、メモリモジュール230に、データロガー200がまだ動作していた時の時間および/または日付の記録が存在し得る。必要に応じて、エンジンデータは、「最終稼働日時」をさらに含み得る。
【産業上の利用可能性】
【0081】
エンジン速度判定モジュールおよび振動センサーを上述のようにエンジンオイルフィラーキャップに提供することで、エンジン速度判定は、より簡単に達成され得る。具体的には、エンジンオイルフィラーキャップは容易にアクセス可能かつ容易に交換可能であり、このことは、例えば日常のエンジン供用中に、本開示に従って、古い、標準エンジンオイルフィラーキャップを容易に取り外してエンジンオイルフィラーと交換することが可能であることを意味する。振動センサーからの振動の測定値を使用してエンジン速度を判定することで、制御エリアネットワーク(CAN)バスへのインタフェースを実装する(ECUを備えたエンジンに対して)、または機械的、磁気的、またはレーザタコメータ、または燃料測定装置などの追加測定装置をセットアップする(ECUを備えないエンジンに対して)必要がない。従って、エンジン速度判定機能は、任意のタイプのエンジンにより安価かつ簡単に加えられ得る(つまり、エンジン速度判定モジュールおよび振動センサーは、簡単にエンジンに追加導入され得る。
【0082】
エンジン速度は、エンジン振動の卓越周波数に基づいて判定され得るが、これは、比較的複雑さが小さい計算プロセスを利用する一方でエンジン速度の比較的正確な(80rpm以内)判定をもたらし得る。卓越周波数は、下限周波数と上限周波数との間の周波数応答の周波数の範囲内の、最大の大きさの周波数応答に対応する周波数を特定することで判定され得、最大の大きさの周波数応答に対応する周波数が卓越周波数である。下限周波数と上限周波数との間の周波数の範囲のみを見ることで、エンジン動作範囲外の周波数(例えば、アイドル速度を下回る、またはエンジン速度制限を上回るエンジン動作により生じ得る周波数)は判定プロセスから除外され得る。このことは、卓越周波数の特定速度を増大させ、および/または、不正確な周波数が卓越周波数として特定される可能性を低減することで精度を向上させ得る(例えば、調波周波数またはその他のアーチファクトは周波数範囲外となるため、卓越周波数として特定されない)。
【0083】
エンジン速度判定モジュールは、判定期間と共に判定されたエンジン速度をメモリモジュールに記録し得る。特定の一実施例において、エンジン速度判定モジュールは、判定されたエンジン速度が複数のエンジン速度範囲のいずれに当るかを判定し、そして判定期間を、エンジンがその判定されたエンジン速度範囲で動作していた、メモリモジュールに記録された累積時間に加え得る。判定されたエンジン速度および判定期間に関連するデータを記録することで、エンジン速度の経時的なピクチャが構築され得るが、これは、エンジンがどのように動作しているか、どのようなエンジン摩耗になりそうか、および/またはエンジン供用間隔をどうすべきか、の分析に有用であり得る。例えば、いくつかのエンジンは、500時間の供用間隔のデフォルトを有してもよい。ただし、これは全てのエンジン、特に、低デューティ比で稼働するエンジンには必要ではなく、この場合には、より長い供用間隔(1000時間など)が判定されて、機械の所有者の時間およびお金を節約し得る。
【0084】
本開示の上記態様では、エンジンデータは経時的にメモリモジュールに保存された後に、通信モジュールを介して外部電子機器に出力されてもよい。一実施例では、外部電子機器は、エンジンデータに対する要求をエンジン速度判定モジュールに発行し、これに応答して、エンジン速度判定モジュールは、メモリモジュールの保存されたエンジンデータをルックアップして、それを通信モジュールを介して電子機器に出力し得る。例えば、オペレータは、エンジンデータを作業日の終わりにスマートフォンまたはタブレットコンピュータに送信してもよく、ここで、エンジンデータは作業日全体のエンジン動作に関連するデータを含む。このようにして保存されたエンジンデータを出力することで、任意のデータが通信される前に、外部電子機器との良好で信頼できる通信インタフェースが確保され得る。従って、複雑で費用のかかる通信インタフェースを常時維持する必要がない。さらに、信頼できない通信インタフェースのために任意のデータが欠損するリスクが低減され、これによって外部電子機器によって受信されるデータの信頼性が向上する。
【0085】
外部電子機器とのインタフェースは、サーバとのインターネット接続を確立するのに通信モジュールを必要としないことで有線通信に比べて簡単なデータ転送および低コストな転送を可能にし得る、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標) LEまたはWiFiなどの短距離無線インタフェースといった無線インタフェースとし得る。さらに、外部電子機器はまた、固有のインターネット接続を含んでもよく(例えば、外部電子機器がスマートフォンまたはタブレットコンピュータである場合)、これらは、エンジンデータをより安価および簡単にサーバに転送するよう活用され得る。
【0086】
本開示の一態様では、オイルフィラーキャップは、エンジン速度判定モジュールが、エンジンクランクケース温度および/またはクランクケース圧力を判定し得るように、温度センサーおよび/または圧力トランスデューサを含み得る。クランクケース温度および/またはクランクケース圧力は、判定された速度と共に、メモリモジュールに保存されてもよい。エンジンデータにクランクケース温度および/またはクランクケース圧力の記録を有することは、エンジン速度データを使用して実施する、例えば、どのようにエンジンが動作しているか、どのような摩耗になりそうか、および/またはエンジン供用間隔をどうすべきかなど、任意の分析の精度を向上させるのに役立ち得る。
【0087】
本開示のさらなる態様では、エンジンのオイルフィラーキャップ上に、またはオイルフィラーキャップ内に取り付けるためのデータロガーが提供されており、ここでデータロガーは振動センサーと、振動センサーによって感知されたエンジンの振動に基づいてエンジン速度を判定するよう構成されるエンジン速度判定モジュールとを備える。エンジンオイルフィラーキャップは、例えば、標準エンジン供用の間に容易にアクセス可能であり、そのため、データロガーをオイルフィラーキャップ上またはオイルフィラーキャップ内に取り付けるよう構成することは、データロガーが容易にエンジンに嵌合され得ることを意味する。さらに、振動センサーによって感知された振動を使用してエンジン速度を判定することで、制御エリアネットワーク(CAN)バスへのインタフェースを実装する(ECUを備えたエンジンに対して)、または機械的、磁気的、またはレーザタコメータ、または燃料測定装置などの追加測定装置をセットアップする(ECUを備えないエンジンに対して)必要がない。従って、エンジン速度判定機能は、任意のタイプのエンジンに簡単に加えられ得る。
【0088】
本開示のさらなる態様において、エンジン上に取り付けられ、エンジンの速度を判定するためのデータロガーが提供されている。データロガーは、エンジン速度判定モジュールと振動センサーとを備え、データロガーは、振動センサーによって感知されたエンジンの振動に基づいて経時的に複数のエンジン速度を判定し、判定されたエンジン速度に関連付けられたエンジンデータをメモリに記録するよう構成される。データロガーは、外部電子機器にエンジンデータを出力するようさらに構成される。振動センサーによって感知された振動を使用してエンジン速度を判定することで、制御エリアネットワーク(CAN)バスへのインタフェースを実装する、または機械的、磁気的、またはレーザタコメータ、または燃料測定装置などの追加測定装置をセットアップする必要がない。従って、エンジン速度判定機能は、任意のタイプのエンジンに簡単に加えられ得る。
【0089】
さらに、エンジンデータをメモリモジュールに保存した後にエンジンデータを外部電子機器に出力することで、任意のデータが通信される前に、外部電子機器との良好で信頼できる通信インタフェースが確保され得る。従って、複雑で費用のかかる通信インタフェースを常時維持する必要がない。さらに、信頼できない通信インタフェースのために任意のデータが欠損するリスクが低減され、これによって外部電子機器によって受信されるデータの信頼性が向上する。
【0090】
本開示のさらなる態様では、内燃機関の速度を判定するよう構成されるデータロガーを取り付けるための取付け点を含むオイルフィラーキャップが提供されている。オイルフィラーキャップは、例えば、通常のエンジン供用中に容易にアクセス可能であり得る。したがって、本発明のこの態様によるエンジンオイルフィラーキャップは、データロガーのエンジンへの簡単な取り付けを可能にし得る。従って、エンジン速度判定機能が、こうした内蔵機能を有さないエンジンにおいて所望される時(例えば、エンジン速度データがサービス要員によって使用可能となるように等)、該機能は、適切なデータロガーをエンジンオイルフィラーキャップに嵌合することでエンジンに非常に簡単に加えられ得る。
【0091】
エンジンオイルフィラーキャップは空洞部を含んでもよく、空洞部は取付け点を含む。従って、空洞部内に位置するデータロガーは、エンジンオイルフィラーキャップ内に位置し、これによってデータロガーを損傷、例えば、物理的衝撃、オイルおよびその他の流体およびごみ、および/またはエンジンからの熱から保護してもよい。
【0092】
オイルフィラーキャップは、取り外し可能なカバーが所定の位置に固定される時に空洞部が封止された中空空洞部となるように、取り外し可能なカバーを備えてもよく、取り外し可能なカバーが本体から取り外されると、空洞部は、空洞部に取り付けられたデータロガーおよび/または電池の少なくとも一部がユーザによってアクセスされ得るように、露出される。従って、取り外し可能なカバーは、データロガーおよび/または電池の簡単な検査および/または交換を可能にし得る。
【0093】
オイルフィラーキャップはまた、振動センサーおよびエンジン速度判定モジュールを含むデータロガーを備えてもよく、ここで振動センサーおよびエンジン速度判定モジュールは、オイルフィラーキャップが内燃機関のオイル注入口に嵌合される時に、振動センサーがエンジン速度判定モジュールよりも内燃機関のクランクケースの近くに取り付けられるように配置される。振動センサーをエンジンのクランクケースの近くに位置付けることで、振動センサーは、エンジンの振動をより正確に感知し得る。また、オイルフィラーキャップは、オイルフィラーキャップがオイル注入口に嵌合される時に、電池とクランクケースとの間の距離が、振動センサーとクランクケースとの間の距離よりも大きく、エンジン速度判定モジュールとクランクケースとの間の距離よりも大きくなるように配置された電池を含んでもよい。このようにして、電池(熱に影響されやすい)は、エンジンによって生成される熱からより良好に保護され得る。さらに、電池は、簡単な交換および/または充電のためにより容易にアクセス可能となり得る。
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