【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題は、本発明によれば、手術腔の内腔壁を観察するための反射屈折型の医療用イメージングシステムが、カメラ装置と、手術腔内に挿入されるように構成された凸面反射鏡と、を含むことによって解決される。
【0005】
本発明は、手術腔の内腔壁をイメージングする方法であって、手術腔内に凸面反射鏡を挿入するステップと、カメラ装置の視野を手動または自動で凸面反射鏡に向けるステップと、を含む方法にも関する。
【0006】
最後に、本発明は、手術腔の内腔壁をイメージングするための、凸面反射鏡に向けられたカメラ装置を併用する、凸面反射鏡の使用方法にも関する。
【0007】
凸面反射鏡を使用することにより、手術腔の内腔壁が反射鏡内で反射されるので、手術腔の内部の概観を外科医が取得することが可能となる。凸型形状により、視野を手術腔の大部分にわたって拡大させることが可能となる。アームにより、凸面反射鏡を腔内に配置することが可能となる。カメラ装置は、手術腔の内腔壁の鏡像を記録する。
【0008】
反射屈折型の医療用イメージングシステムは、特に、脳外科手術用顕微鏡のような手術用顕微鏡とすることができる。
【0009】
以下の特徴の各々は、それぞれ単独でも利点を有しているので、相互に独立して組み合わせることができる以下の特徴のうちの1つまたは複数を追加することによって、本発明をさらに改善することができる。以下の追加的な特徴は、本発明による方法およびシステムの両方に適用される。
【0010】
例えば反射鏡を、外科手術中に手術腔内とカメラ装置の視野内とに配置することができる。反射鏡は、例えばアームに取り付けることができる解除可能な連結部を有するようにすることによって、手術腔内に載置されることができる別個の部分とすることができる。そのような連結部として吸引キャップをアームに設けることができ、この吸引キャップは、手術腔内にアームを載置するため、または手術腔からアームを除去するために、表面に、例えば鏡面に係合するように構成されている。代替的に、反射鏡を永続的にアームに取り付けてもよい。連結部には、好ましくはリモート解除部が設けられており、したがって、腔内での鏡の配置が済むと、この鏡をアームから取り外すことが可能である。
【0011】
反射鏡を、カメラ装置の光軸に対して固定された位置に配置することができる。特に、反射鏡を、カメラ装置の光軸を中心にしてセンタリングすることができる。光軸に対して反射鏡の位置を固定することにより、鏡の凸型形状に起因する鏡像の歪みの如何なる補正も容易になる。
【0012】
別の有利な実施形態では、反射鏡を、魚眼鏡とすることができる。特に、反射鏡のカメラ装置によって記録される画像における対角画角を、少なくとも120°、好ましくは少なくとも180°とすることができる。別の実施形態では、カメラ装置によって記録される反射鏡の画像における画角を、水平方向および垂直方向の少なくとも一方向において少なくとも120°、好ましくは少なくとも180°とすることができる。
【0013】
反射鏡の直径の典型的な寸法は、5mm〜20mmの間とすることができる。
【0014】
鏡の基部は、円形または多角形とすることができる。特に、鏡の基部をカメラ装置の視野の形状に対応させることができる。例えば半球面状、楕円状、放物面状、または双曲面状のような任意の凸型形状が可能である。基部の形状を、手術腔の形状および/または寸法に適合させることができる。それぞれ異なる寸法および/または形状を有する一組の反射鏡を設けることができる。迅速な交換のために、クイックリリースホルダを介して反射鏡をアームに取り付けることができる。
【0015】
反射鏡に少なくとも1つのマーカーを設けることができ、このマーカーは、当該マーカーの直近周囲とは異なるように光を反射または放射する。例えば、マーカーは、可視光スペクトルの外側の少なくともいくつかの波長において、これらの波長における当該マーカーの直近周囲の反射率よりも高いまたは低い反射率を有することができる。マーカーの反射率を、UV波長、IR波長およびNIR波長のうちの少なくとも1つのような、可視スペクトルの外側の少なくともいくつかの波長に限定することができる。可視スペクトル内では、マーカーの反射率を、当該マーカーの直近周囲の反射率と同じとすることができる。もちろん、マーカーの種々の反射率に、可視光スペクトルの波長を含めることもできる。
【0016】
1つの実施形態では、光源を反射鏡に含めることができ、例えば反射鏡内に配置することができる。そのような場合には、マーカーにおける屈折鏡の透過率または透明度を、マーカーの直近周囲と比較して異なるようにすることができる。光源は、好ましくはもっぱら、UVスペクトル、IRスペクトルおよび/またはNIRスペクトルのうちの少なくともいくつかの波長の光を放射することができる。反射鏡は、少なくとも反射鏡の内側から反射鏡を通って出射される光に対して透明性を有することができる。
【0017】
別の追加的のまたは代替的な実施形態では、マーカーを蛍光性とすることができる。
【0018】
カメラ装置は、マルチスペクトルカメラおよび/またはハイパースペクトルカメラを含むことができる。マーカーの蛍光発光、反射率、または透過率が、当該マーカーの直近周囲とは異なっており、このようにしてマーカーを識別することが可能となるような複数の波長を、マルチスペクトルカメラまたはハイパースペクトルカメラの別個のスペクトル帯域にマッピングすることができる。したがって、カメラ装置の1つのスペクトル領域を、反射鏡を視野内に位置合わせするために使用することができ、その一方で、残りのスペクトル帯域を、影響を受けることなく手術腔をイメージングするために使用することができる。
【0019】
追加的または代替的に、少なくとも1つの蛍光体の蛍光光を使用して手術腔の画像を取得するために、マルチスペクトルおよび/またはハイパースペクトルカメラを使用することができる。手術腔内での蛍光体の蛍光発光を誘発するために、反射鏡は、少なくとも1つの蛍光体における蛍光発光を誘発する波長を含むスペクトルを有する光源を含むことができる。
【0020】
マーカーを、反射鏡の位置および向きを自動的に検出するために使用することができる。マーカーを、カメラ装置の焦点を反射鏡に合わせるために使用することもできる。
【0021】
別の実施形態では、カメラ装置にコントローラを設けることができ、このコントローラは、カメラ装置の視野、焦点距離および距離設定のうちの少なくとも1つを自動的に調整するように構成されている。特に、コントローラを、カメラ装置によって撮影された反射鏡のマーカーの画像に基づいて、カメラ装置の視野、焦点距離および距離設定のうちの少なくとも1つを自動的に調整するように構成することができる。特に、コントローラを、反射鏡の少なくとも一部によって視野を自動的に満たすように構成することができる。これらの手段は、個々に、反射屈折型の医療用イメージングシステムの自動的な操作を容易にする。なぜなら、コントローラは、手術腔の内部の画像のための最適な解像度を獲得するために、反射鏡の存在を自動的に検出して、カメラ装置の必要な調整を自動的に実施することができるからである。したがって、反射鏡が手術腔内に挿入されると、手術腔に関する情報を自動的に取得することができる。コントローラは、ASICのようなハードウェアデバイスとすることができる。すなわち、コントローラをソフトウェアで実装することができるか、またはコントローラをハードウェアとソフトウェアの組み合わせを使用して実装することができる。
【0022】
反射鏡は、手持ち式とすることができる。この場合にはアームは、ハンドルを含むことができる。このようにして反射鏡を手で操作することができる。
【0023】
別の実施形態では、アームは、例えば反射屈折型の医療用イメージングシステムのフレームに取り付けられることによって、少なくとも間接的にカメラ装置に取り付けられている。アームの長さを手術腔の深さに合わせて調整することができるように、アームを伸縮自在とすることができる。特に、アームは、手動で取り扱うためのハンドルを含むことができ、さらに、アームをフレームに取り付けることができる。
【0024】
アームは、内視鏡用チューブのような高可撓性のチューブとすることができ、要求に応じて剛性化されるように構成することができる。
【0025】
反射鏡を、アームに接続することなく外科手術中に組織に取り付けることができる。この目的のために、鏡の基部に取り付け部分を設けることができ、この取り付け部分は、接着剤および/またはスパイクのような、組織との化学的結合および機械的結合の少なくとも一方を確立するための手段を含むことができる。そのような鏡を、例えば中空にするかまたは発泡体で充填することによって、また、鏡面として箔を有するようにすることによって、軽量にすることができる。
【0026】
反射鏡をカメラ装置に対して移動させるために、駆動システムを含めることができる。このような相対的な可動性は、手術腔の特定の位置を調査するために鏡とカメラ装置との間で小さな相対移動が必要とされ得るような、複雑な幾何形状を有する手術腔にとって有利であろう。
【0027】
駆動システムは、伸縮自在のアームを収縮および伸張させることによってカメラ装置と反射鏡との間の距離を変化させるために使用することができる。追加的または代替的に、カメラ装置に対して反射鏡を、カメラ装置の光軸に対して垂直な方向に移動させるように、駆動システムを構成することができる。
【0028】
駆動システムは、好ましくはコントローラに結合されるように構成されている。例えば、反射鏡の駆動システムは、カメラ装置に対する反射鏡の位置を表す位置決めデータを提供することができる。コントローラを、位置決めデータから焦点距離および/または距離のようなカメラ装置の設定を計算するように構成することができる。
【0029】
アームは、カメラ装置の光軸と同軸に延在することができる。アームは、反射鏡の中心点から延在することができる。そのような構成では、動作時にカメラ装置を反射し、したがって手術腔に関する如何なる情報ももたらさないであろう反射鏡の位置に、アームが配置される。
【0030】
立体視カメラが使用される場合には、2つの立体視カメラの2つの光軸の二等分線と一致するように、アームを配置することができる。
【0031】
有利な1つの実施形態では、アームは、手術腔内の組織の損傷を回避するために、光軸に対して垂直な方向および平行な方向の少なくとも一方向において可撓性である。可撓性は、アームを少なくとも部分的に可撓性材料から製造すること、またはアームに沿った少なくとも1つの位置に少なくとも1つの可撓性のジョイント部を設けること、の少なくとも一方によって得ることができる。
【0032】
アームの曲げに反応し、アームの曲げ量を表す曲げ信号を出力するように構成されているセンサを設けることができる。そのようなセンサを使用して、曲げ信号において表される所定の曲げ量に到達すると、反射鏡を手術腔に対して移動させるあらゆる駆動システムを自動的に停止させることができる。これは、手術腔内の組織への損傷を防止するための別の1つの手段である。
【0033】
別の実施形態では、少なくとも1つのマーカーが視野内の所定の位置にくるように、好ましくは、反射鏡をカメラ装置に対して自動的に移動させるように、駆動システムを構成することができる。
【0034】
カメラ装置の焦点距離を、カメラ装置の視野が反射鏡の一部のみによって満たされるように調整することができる。これにより、手術腔または反射鏡のそれぞれ特定の部分に焦点を合わせることが可能になる。そのような構成では、駆動システムが、反射鏡をカメラ装置に対して移動させることにより、視野を手術腔の種々異なる部分に移動させるように構成されていると、特に有益であろう。このようにして、反射屈折型の医療用イメージングシステムを、反射鏡の表面と手術腔の鏡像とを走査するように構成することができる。
【0035】
反射屈折型の医療用イメージングシステムは、画像処理装置を含むことができ、この画像処理装置は、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせで実現することができる。画像処理装置は、好ましくは、カメラ装置によって記録された反射鏡の複数の異なる部分の画像を1つの出力画像に、好ましくはただ1つの出力画像に結合またはスティッチングするように構成されている。カメラ装置から観察されるように反射系における鏡像を表すために2つ以上の画像を組み合わせることにより、解像度が増加する。
【0036】
別の実施形態では、反射屈折型の医療用イメージングシステムは、反射鏡から離間されている照明装置を含むことができる。特に、外科手術中には、照明装置を手術腔の外側に配置することができる。照明装置を反射鏡に向けることができ、このようにして手術腔を照明するために照明装置を使用することができる。照明は、可視領域において、かつ/またはUV領域、IR領域およびNIR領域のうちの少なくとも1つの領域において実施することができる。照明装置を、少なくとも1つの蛍光体の蛍光発光を誘発するために使用することもできる。照明装置による照明は、例えば照明装置からの光をカメラ装置の光軸と同軸に向けることによって実施することができる。
【0037】
別の実施形態では、カメラ装置によって記録される反射鏡の照明装置の反射を、上述したように、反射鏡をカメラ装置に対して位置決めするためのマーカーとして使用することができる。
【0038】
半球面鏡のような凸面反射鏡を使用すると、カメラ装置によって記録される画像が歪んでしまう。このことは、外科医による画像の視覚的検査を困難にするおそれがある。したがって、反射屈折型の医療用イメージングシステムが、反射鏡の歪みを補正するように構成された補正モジュールを含むと有利である。補正モジュールは、反射鏡とカメラ装置との間に配置された補正光学系を含むことができる。そのような光学補正装置は、カメラのフル解像度を使用することができるという利点を有する。
【0039】
補正モジュールは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアによって実装することもでき、イメージングシステムの画像処理装置の一部とすることもできる。
【0040】
好ましくは、画像処理装置からの出力画像は、凸面反射鏡による光学歪みに関して補正される。
【0041】
以下では、本発明の実施形態を、図面を参照しながら例示的に説明する。図面では、機能および/または設計に関して相互に対応する要素には同じ参照符号が使用されている。考えられる追加的な特徴および各々の技術的効果に関する上記の説明によれば、ある特徴に関連する技術的効果が特定の用途にとって有益ではない場合に、この特徴を実施形態から省略することが可能であり、またその逆も可能である。すなわち、特定の用途に対して、上述したある追加的な特徴の技術的効果が有利である場合には、この追加的な特徴を実施形態に追加することができる。