特許第6861747号(P6861747)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6861747手術腔の内腔壁を観察するための反射屈折型の医療用イメージングシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861747
(24)【登録日】2021年4月1日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】手術腔の内腔壁を観察するための反射屈折型の医療用イメージングシステム
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/36 20060101AFI20210412BHJP
   G02B 21/24 20060101ALI20210412BHJP
   A61B 1/313 20060101ALI20210412BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20210412BHJP
   A61B 90/20 20160101ALI20210412BHJP
【FI】
   G02B21/36
   G02B21/24
   A61B1/313
   A61B1/00 731
   A61B90/20
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-39229(P2019-39229)
(22)【出願日】2019年3月5日
(65)【公開番号】特開2019-159324(P2019-159324A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2019年3月5日
(31)【優先権主張番号】18160210.3
(32)【優先日】2018年3月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516114695
【氏名又は名称】ライカ インストゥルメンツ (シンガポール) プライヴェット リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Leica Instruments (Singapore) Pte. Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルゲ テメリス
【審査官】 下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−233494(JP,A)
【文献】 特表2007−536982(JP,A)
【文献】 特開2005−074031(JP,A)
【文献】 特開平07−163517(JP,A)
【文献】 特開2010−099178(JP,A)
【文献】 特開2010−119607(JP,A)
【文献】 特開2015−119827(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0016662(US,A1)
【文献】 国際公開第2007/072556(WO,A1)
【文献】 特開2005−268237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B21/00
G02B21/06−21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術腔(6)の内腔壁(4)を観察するための反射屈折型の医療用イメージングシステム(1)であって、
前記医療用イメージングシステム(1)は、手術用顕微鏡(2)であり、当該手術用顕微鏡(2)は、
カメラ装置(8)と、
前記手術腔(6)内に挿入されるように構成された凸面反射鏡(20)と、
を含み、
前記医療用イメージングシステムには、
駆動システム(30)が設けられており、
前記駆動システム(30)は、前記反射鏡(20)を前記カメラ装置(8)に対して移動させるように構成されている、
ことを特徴とする、反射屈折型の医療用イメージングシステム(1)。
【請求項2】
前記反射鏡(20)は、魚眼鏡である、
請求項1記載の反射屈折型の医療用イメージングシステム(1)。
【請求項3】
前記反射鏡(20)にマーカー(74)が設けられており、
前記マーカー(74)は、反射率、蛍光発光および透明度のうちの少なくとも1つに関して前記マーカー(74)の直近周囲とは異なっている、
請求項1または2記載の反射屈折型の医療用イメージングシステム(1)。
【請求項4】
前記マーカー(74)は、可視光スペクトルの外側の光を反射または放射する、
請求項3記載の反射屈折型の医療用イメージングシステム(1)。
【請求項5】
前記反射鏡(20)は、光源(76)を含む、
請求項1から4までのいずれか1項記載の反射屈折型の医療用イメージングシステム(1)。
【請求項6】
コントローラ(36)が設けられており、
前記コントローラ(36)は、前記カメラ装置(8)の視野(24)を前記反射鏡(20)に自動的に調整するように構成されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の反射屈折型の医療用イメージングシステム(1)。
【請求項7】
前記コントローラ(36)は、前記マーカー(74)に基づいて、前記カメラ装置(8)の前記視野(24)を前記反射鏡(20)に自動的に調整するように構成されている、
請求項4を引用する請求項6記載の反射屈折型の医療用イメージングシステム(1)。
【請求項8】
前記コントローラ(36)は、前記反射鏡(20)によって前記カメラ装置(8)の視野(24)を自動的に塞ぐように構成されている、
請求項6または7記載の反射屈折型の医療用イメージングシステム(1)。
【請求項9】
前記反射鏡(20)は、アーム(22)に取り付けられている、
請求項1から8までのいずれか1項記載の反射屈折型の医療用イメージングシステム(1)。
【請求項10】
補正モジュール(46)が設けられており、
前記補正モジュール(46)は、前記反射鏡(20)の歪みを補正するように構成されている、
請求項1からまでのいずれか1項記載の反射屈折型の医療用イメージングシステム(1)。
【請求項11】
前記補正モジュール(46)は、前記カメラ装置(8)と前記反射鏡(20)との間に配置された補正光学系(48)を含む、
請求項10記載の反射屈折型の医療用イメージングシステム(1)。
【請求項12】
画像処理装置(52)が設けられており、
前記補正モジュール(46)は、前記画像処理装置(52)の一部である、
請求項10または11記載の反射屈折型の医療用イメージングシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術腔の内腔壁を観察するための反射屈折型の医療用イメージングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
外科手術中、特に手術腔が拡大して、正面からの眺めでは観察不可能なアンダーカット部を形成する場合には、手術腔の構造に関する情報を外科医が取得することが困難になることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、そのような情報を取得するためのシステムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題は、本発明によれば、手術腔の内腔壁を観察するための反射屈折型の医療用イメージングシステムが、カメラ装置と、手術腔内に挿入されるように構成された凸面反射鏡と、を含むことによって解決される。
【0005】
本発明は、手術腔の内腔壁をイメージングする方法であって、手術腔内に凸面反射鏡を挿入するステップと、カメラ装置の視野を手動または自動で凸面反射鏡に向けるステップと、を含む方法にも関する。
【0006】
最後に、本発明は、手術腔の内腔壁をイメージングするための、凸面反射鏡に向けられたカメラ装置を併用する、凸面反射鏡の使用方法にも関する。
【0007】
凸面反射鏡を使用することにより、手術腔の内腔壁が反射鏡内で反射されるので、手術腔の内部の概観を外科医が取得することが可能となる。凸型形状により、視野を手術腔の大部分にわたって拡大させることが可能となる。アームにより、凸面反射鏡を腔内に配置することが可能となる。カメラ装置は、手術腔の内腔壁の鏡像を記録する。
【0008】
反射屈折型の医療用イメージングシステムは、特に、脳外科手術用顕微鏡のような手術用顕微鏡とすることができる。
【0009】
以下の特徴の各々は、それぞれ単独でも利点を有しているので、相互に独立して組み合わせることができる以下の特徴のうちの1つまたは複数を追加することによって、本発明をさらに改善することができる。以下の追加的な特徴は、本発明による方法およびシステムの両方に適用される。
【0010】
例えば反射鏡を、外科手術中に手術腔内とカメラ装置の視野内とに配置することができる。反射鏡は、例えばアームに取り付けることができる解除可能な連結部を有するようにすることによって、手術腔内に載置されることができる別個の部分とすることができる。そのような連結部として吸引キャップをアームに設けることができ、この吸引キャップは、手術腔内にアームを載置するため、または手術腔からアームを除去するために、表面に、例えば鏡面に係合するように構成されている。代替的に、反射鏡を永続的にアームに取り付けてもよい。連結部には、好ましくはリモート解除部が設けられており、したがって、腔内での鏡の配置が済むと、この鏡をアームから取り外すことが可能である。
【0011】
反射鏡を、カメラ装置の光軸に対して固定された位置に配置することができる。特に、反射鏡を、カメラ装置の光軸を中心にしてセンタリングすることができる。光軸に対して反射鏡の位置を固定することにより、鏡の凸型形状に起因する鏡像の歪みの如何なる補正も容易になる。
【0012】
別の有利な実施形態では、反射鏡を、魚眼鏡とすることができる。特に、反射鏡のカメラ装置によって記録される画像における対角画角を、少なくとも120°、好ましくは少なくとも180°とすることができる。別の実施形態では、カメラ装置によって記録される反射鏡の画像における画角を、水平方向および垂直方向の少なくとも一方向において少なくとも120°、好ましくは少なくとも180°とすることができる。
【0013】
反射鏡の直径の典型的な寸法は、5mm〜20mmの間とすることができる。
【0014】
鏡の基部は、円形または多角形とすることができる。特に、鏡の基部をカメラ装置の視野の形状に対応させることができる。例えば半球面状、楕円状、放物面状、または双曲面状のような任意の凸型形状が可能である。基部の形状を、手術腔の形状および/または寸法に適合させることができる。それぞれ異なる寸法および/または形状を有する一組の反射鏡を設けることができる。迅速な交換のために、クイックリリースホルダを介して反射鏡をアームに取り付けることができる。
【0015】
反射鏡に少なくとも1つのマーカーを設けることができ、このマーカーは、当該マーカーの直近周囲とは異なるように光を反射または放射する。例えば、マーカーは、可視光スペクトルの外側の少なくともいくつかの波長において、これらの波長における当該マーカーの直近周囲の反射率よりも高いまたは低い反射率を有することができる。マーカーの反射率を、UV波長、IR波長およびNIR波長のうちの少なくとも1つのような、可視スペクトルの外側の少なくともいくつかの波長に限定することができる。可視スペクトル内では、マーカーの反射率を、当該マーカーの直近周囲の反射率と同じとすることができる。もちろん、マーカーの種々の反射率に、可視光スペクトルの波長を含めることもできる。
【0016】
1つの実施形態では、光源を反射鏡に含めることができ、例えば反射鏡内に配置することができる。そのような場合には、マーカーにおける屈折鏡の透過率または透明度を、マーカーの直近周囲と比較して異なるようにすることができる。光源は、好ましくはもっぱら、UVスペクトル、IRスペクトルおよび/またはNIRスペクトルのうちの少なくともいくつかの波長の光を放射することができる。反射鏡は、少なくとも反射鏡の内側から反射鏡を通って出射される光に対して透明性を有することができる。
【0017】
別の追加的のまたは代替的な実施形態では、マーカーを蛍光性とすることができる。
【0018】
カメラ装置は、マルチスペクトルカメラおよび/またはハイパースペクトルカメラを含むことができる。マーカーの蛍光発光、反射率、または透過率が、当該マーカーの直近周囲とは異なっており、このようにしてマーカーを識別することが可能となるような複数の波長を、マルチスペクトルカメラまたはハイパースペクトルカメラの別個のスペクトル帯域にマッピングすることができる。したがって、カメラ装置の1つのスペクトル領域を、反射鏡を視野内に位置合わせするために使用することができ、その一方で、残りのスペクトル帯域を、影響を受けることなく手術腔をイメージングするために使用することができる。
【0019】
追加的または代替的に、少なくとも1つの蛍光体の蛍光光を使用して手術腔の画像を取得するために、マルチスペクトルおよび/またはハイパースペクトルカメラを使用することができる。手術腔内での蛍光体の蛍光発光を誘発するために、反射鏡は、少なくとも1つの蛍光体における蛍光発光を誘発する波長を含むスペクトルを有する光源を含むことができる。
【0020】
マーカーを、反射鏡の位置および向きを自動的に検出するために使用することができる。マーカーを、カメラ装置の焦点を反射鏡に合わせるために使用することもできる。
【0021】
別の実施形態では、カメラ装置にコントローラを設けることができ、このコントローラは、カメラ装置の視野、焦点距離および距離設定のうちの少なくとも1つを自動的に調整するように構成されている。特に、コントローラを、カメラ装置によって撮影された反射鏡のマーカーの画像に基づいて、カメラ装置の視野、焦点距離および距離設定のうちの少なくとも1つを自動的に調整するように構成することができる。特に、コントローラを、反射鏡の少なくとも一部によって視野を自動的に満たすように構成することができる。これらの手段は、個々に、反射屈折型の医療用イメージングシステムの自動的な操作を容易にする。なぜなら、コントローラは、手術腔の内部の画像のための最適な解像度を獲得するために、反射鏡の存在を自動的に検出して、カメラ装置の必要な調整を自動的に実施することができるからである。したがって、反射鏡が手術腔内に挿入されると、手術腔に関する情報を自動的に取得することができる。コントローラは、ASICのようなハードウェアデバイスとすることができる。すなわち、コントローラをソフトウェアで実装することができるか、またはコントローラをハードウェアとソフトウェアの組み合わせを使用して実装することができる。
【0022】
反射鏡は、手持ち式とすることができる。この場合にはアームは、ハンドルを含むことができる。このようにして反射鏡を手で操作することができる。
【0023】
別の実施形態では、アームは、例えば反射屈折型の医療用イメージングシステムのフレームに取り付けられることによって、少なくとも間接的にカメラ装置に取り付けられている。アームの長さを手術腔の深さに合わせて調整することができるように、アームを伸縮自在とすることができる。特に、アームは、手動で取り扱うためのハンドルを含むことができ、さらに、アームをフレームに取り付けることができる。
【0024】
アームは、内視鏡用チューブのような高可撓性のチューブとすることができ、要求に応じて剛性化されるように構成することができる。
【0025】
反射鏡を、アームに接続することなく外科手術中に組織に取り付けることができる。この目的のために、鏡の基部に取り付け部分を設けることができ、この取り付け部分は、接着剤および/またはスパイクのような、組織との化学的結合および機械的結合の少なくとも一方を確立するための手段を含むことができる。そのような鏡を、例えば中空にするかまたは発泡体で充填することによって、また、鏡面として箔を有するようにすることによって、軽量にすることができる。
【0026】
反射鏡をカメラ装置に対して移動させるために、駆動システムを含めることができる。このような相対的な可動性は、手術腔の特定の位置を調査するために鏡とカメラ装置との間で小さな相対移動が必要とされ得るような、複雑な幾何形状を有する手術腔にとって有利であろう。
【0027】
駆動システムは、伸縮自在のアームを収縮および伸張させることによってカメラ装置と反射鏡との間の距離を変化させるために使用することができる。追加的または代替的に、カメラ装置に対して反射鏡を、カメラ装置の光軸に対して垂直な方向に移動させるように、駆動システムを構成することができる。
【0028】
駆動システムは、好ましくはコントローラに結合されるように構成されている。例えば、反射鏡の駆動システムは、カメラ装置に対する反射鏡の位置を表す位置決めデータを提供することができる。コントローラを、位置決めデータから焦点距離および/または距離のようなカメラ装置の設定を計算するように構成することができる。
【0029】
アームは、カメラ装置の光軸と同軸に延在することができる。アームは、反射鏡の中心点から延在することができる。そのような構成では、動作時にカメラ装置を反射し、したがって手術腔に関する如何なる情報ももたらさないであろう反射鏡の位置に、アームが配置される。
【0030】
立体視カメラが使用される場合には、2つの立体視カメラの2つの光軸の二等分線と一致するように、アームを配置することができる。
【0031】
有利な1つの実施形態では、アームは、手術腔内の組織の損傷を回避するために、光軸に対して垂直な方向および平行な方向の少なくとも一方向において可撓性である。可撓性は、アームを少なくとも部分的に可撓性材料から製造すること、またはアームに沿った少なくとも1つの位置に少なくとも1つの可撓性のジョイント部を設けること、の少なくとも一方によって得ることができる。
【0032】
アームの曲げに反応し、アームの曲げ量を表す曲げ信号を出力するように構成されているセンサを設けることができる。そのようなセンサを使用して、曲げ信号において表される所定の曲げ量に到達すると、反射鏡を手術腔に対して移動させるあらゆる駆動システムを自動的に停止させることができる。これは、手術腔内の組織への損傷を防止するための別の1つの手段である。
【0033】
別の実施形態では、少なくとも1つのマーカーが視野内の所定の位置にくるように、好ましくは、反射鏡をカメラ装置に対して自動的に移動させるように、駆動システムを構成することができる。
【0034】
カメラ装置の焦点距離を、カメラ装置の視野が反射鏡の一部のみによって満たされるように調整することができる。これにより、手術腔または反射鏡のそれぞれ特定の部分に焦点を合わせることが可能になる。そのような構成では、駆動システムが、反射鏡をカメラ装置に対して移動させることにより、視野を手術腔の種々異なる部分に移動させるように構成されていると、特に有益であろう。このようにして、反射屈折型の医療用イメージングシステムを、反射鏡の表面と手術腔の鏡像とを走査するように構成することができる。
【0035】
反射屈折型の医療用イメージングシステムは、画像処理装置を含むことができ、この画像処理装置は、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせで実現することができる。画像処理装置は、好ましくは、カメラ装置によって記録された反射鏡の複数の異なる部分の画像を1つの出力画像に、好ましくはただ1つの出力画像に結合またはスティッチングするように構成されている。カメラ装置から観察されるように反射系における鏡像を表すために2つ以上の画像を組み合わせることにより、解像度が増加する。
【0036】
別の実施形態では、反射屈折型の医療用イメージングシステムは、反射鏡から離間されている照明装置を含むことができる。特に、外科手術中には、照明装置を手術腔の外側に配置することができる。照明装置を反射鏡に向けることができ、このようにして手術腔を照明するために照明装置を使用することができる。照明は、可視領域において、かつ/またはUV領域、IR領域およびNIR領域のうちの少なくとも1つの領域において実施することができる。照明装置を、少なくとも1つの蛍光体の蛍光発光を誘発するために使用することもできる。照明装置による照明は、例えば照明装置からの光をカメラ装置の光軸と同軸に向けることによって実施することができる。
【0037】
別の実施形態では、カメラ装置によって記録される反射鏡の照明装置の反射を、上述したように、反射鏡をカメラ装置に対して位置決めするためのマーカーとして使用することができる。
【0038】
半球面鏡のような凸面反射鏡を使用すると、カメラ装置によって記録される画像が歪んでしまう。このことは、外科医による画像の視覚的検査を困難にするおそれがある。したがって、反射屈折型の医療用イメージングシステムが、反射鏡の歪みを補正するように構成された補正モジュールを含むと有利である。補正モジュールは、反射鏡とカメラ装置との間に配置された補正光学系を含むことができる。そのような光学補正装置は、カメラのフル解像度を使用することができるという利点を有する。
【0039】
補正モジュールは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアによって実装することもでき、イメージングシステムの画像処理装置の一部とすることもできる。
【0040】
好ましくは、画像処理装置からの出力画像は、凸面反射鏡による光学歪みに関して補正される。
【0041】
以下では、本発明の実施形態を、図面を参照しながら例示的に説明する。図面では、機能および/または設計に関して相互に対応する要素には同じ参照符号が使用されている。考えられる追加的な特徴および各々の技術的効果に関する上記の説明によれば、ある特徴に関連する技術的効果が特定の用途にとって有益ではない場合に、この特徴を実施形態から省略することが可能であり、またその逆も可能である。すなわち、特定の用途に対して、上述したある追加的な特徴の技術的効果が有利である場合には、この追加的な特徴を実施形態に追加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明による反射屈折型の医療用イメージングシステムの概略図である。
図2】本発明による反射屈折型の医療用イメージングシステムに使用される反射鏡の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1を参照しながら、まず始めに、手術用顕微鏡2のような反射屈折型の医療用イメージングシステム1の設計および機能を説明する。反射屈折型の医療用イメージングシステム1は、脳外科手術における手術腔のような手術腔6の内腔壁4を観察するために使用されるが、任意の他の種類の手術腔のためにも使用される。
【0044】
反射屈折型の医療用イメージングシステム1は、カメラ装置8を含み、このカメラ装置8をレンズ12、特に顕微鏡レンズと一緒に光学系担体10に配置することができる。反射屈折型の医療用イメージングシステム1は、照明装置14を含むこともでき、この照明装置も光学系担体10に含めることができる。照明装置14からの光をカメラ装置8の光軸18と同軸に手術腔6に向けて入射させるために、ビームスプリッタ16を設けることができる。手術腔6からカメラ装置8に向けられる光は、ビームスプリッタ16によって照明装置14からの光から分離される。
【0045】
カメラ装置8は、マルチスペクトルカメラまたはハイパースペクトルカメラを含むことができる。カメラ装置8は、例えば立体視イメージング用の、2つ以上の単一のカメラを含むことができる。カメラ装置8は、UVスペクトル、IRスペクトルおよびNIRスペクトルのうちの少なくとも1つにおいて感受性を有することができる。追加的にまたは代替的に、カメラ装置8は、手術腔6の内部の三次元画像を取得することができるように立体視カメラを含むことができる。
【0046】
照明装置14は、可視光スペクトル、UVスペクトル、IRスペクトルおよびNIRスペクトルのうちの少なくとも1つにおける照明光を供給することができる。
【0047】
手術腔6の内腔壁4を観察するために、凸面反射鏡20が設けられている。反射鏡20は、手術腔6内に挿入されるように構成されている。挿入するためにアーム22が設けられている。
【0048】
凸面反射鏡20は、カメラ装置8の視野24内に配置されており、好ましくは、反射鏡20によって視野24が少なくともほぼ完全に満たされるように配置されている。
【0049】
反射鏡20は、好ましくは、少なくとも120°、好ましくは180°の対角画角を有する魚眼鏡である。さらにより好ましくは、カメラ装置8によって記録される画像の水平方向および垂直方向の少なくとも一方向における画角は、少なくとも120°、好ましくは180°である。これにより、凸面反射鏡20がカメラ装置8とは反対側にある手術腔6の内腔壁4またはその近傍にある場合に、手術腔6の大部分または全部を調査することが可能になる。凸面反射鏡20の形状は、例えば(半)球面状、放物面状、双曲面状、または楕円状とすることができる。凸面反射鏡20は、回転対称性を有することができ、カメラ装置8の光軸18に位置合わせされる。なお、カメラ装置8とは反対側を向いている、凸面反射鏡20の基部26は、光軸18に対して垂直である。
【0050】
アーム22は、ハンドル28を有するようにすることによって、外科医または助手によって手動で取り扱われるように構成することができる。手術腔6内の如何なる組織29への損傷をも回避するために、アーム22は、自身の長手方向および長手方向に対して垂直な方向の少なくとも一方向において可撓性であり、好ましくは両方の方向において可撓性である。アーム22の剛性は、好ましくは手術腔6内の組織29の剛性以下である。反射鏡をアームに解除可能に取り付けるために、リモートで解除可能な連結部を設けることができる。
【0051】
別の実施形態では、反射鏡が手術腔内に単独で載置される。基部26には、当該基部26を組織29に取り付けるための取り付け部分27を設けることができる。この取り付け部分27は、反射鏡20がアーム22なしで手術腔6に留まる場合に、特に有用である。取り付け部分27は、組織29との化学的結合および機械的結合の少なくとも一方を確立するための手段、例えば接着剤および/またはスパイクまたはフックを含むことができる。
【0052】
しかしながら、好ましくは、反射鏡20は、駆動システム30に解除可能に取り付けられており、かつ/または反射鏡20を、駆動システム30に解除可能に取り付けられるように構成することができる。矢印32で示されるように、駆動システム30は、カメラ装置8に対して反射鏡20を、好ましくは3つの空間次元すべてにおいて移動させるように構成されている。駆動システム30を、反射屈折型の医療用イメージングシステム1の支持フレーム34に対して固定させることができる。なお、支持フレームは、概略的にしか図示されていない。支持フレーム34は、好ましくは手術腔6に対して静止している。光学系担体10は、光学系担体10を支持する旋回可能な片持ち式のブームに取り付けられることによって、支持フレーム34に対して移動することが可能である。
【0053】
反射屈折型の医療用イメージングシステム1には、例えば反射屈折型の医療用イメージングシステム1の、外科医によって操作されるマニピュレータ37に応答して、駆動システム30を制御するためのコントローラ36を設けることができる。これにより、反射鏡20を手術腔6内で移動させることが可能となり、ひいては、アンダーカット部のような複雑な内部形状を有する手術腔を調査することが可能となる。
【0054】
動作中、カメラ装置8は、それぞれに複数の画素44からなるフレーム42の時系列40として画像データ38を出力する。
【0055】
フレーム42によってまたはフレーム42において表されるような、反射鏡20から収集された画像は、凸面反射鏡20の形状に起因して歪んでしまう。この歪みは、外科医または助手によるフレーム42の視覚的分析を妨げるおそれがある。
【0056】
反射鏡20によって引き起こされる歪みを補正するため、または少なくとも軽減するために、補正モジュール46を設けることができる。補正モジュール46は、好ましくは手術腔6とカメラ装置8との間に配置される補正光学系48を含むことができる。好ましくは、補正光学系48を迅速に取り付けおよび取り外しすることが可能であり、例えば、補正光学系48をカメラ装置8の視野24内に移動させることが可能である。例えば、補正光学系48をカメラ装置8の正面に、特にレンズ12の正面に旋回させるため、かつ元の位置に戻すための支持体50を設けることができる。
【0057】
反射屈折型の医療用イメージングシステム1はさらに、画像処理装置52を含むことができ、この画像処理装置52は、補正モジュール46または補正モジュール46の一部を含むこともでき、なお、補正モジュール46は、この場合にはソフトウェアまたは電子ハードウェアとして実装することができる。画像処理装置52の補正モジュール46は、画像データ38における凸面反射鏡20の歪みを補正するように構成されている。例えば、画像処理装置52を、反射鏡20の立体視画像から歪みのない3次元画像を計算するように構成することができる。最適な結果を得るために、画像処理装置52によって実施される画像歪み補正を、補正光学系48と一緒に使用することができる。
【0058】
反射屈折型の医療用イメージングシステム1はさらに、少なくとも1つのディスプレイ54を含むことができ、このディスプレイ54を光学系担体10に組み込むことができる。ディスプレイ54は、画像処理装置52に結合されており、画像データ38から導出された出力画像データ56を表示するように構成されている。例えば、出力画像データ56は、少なくとも1つの歪み補正されたフレーム42に基づく出力フレーム58を含むことができる。ディスプレイ54は、出力フレーム58の一部分60のみを表示することができる。この部分60を、反射屈折型の医療用イメージングシステム1のマニピュレータ62の操作に応じて出力フレーム58内で移動させることができる。
【0059】
出力フレーム58内での部分60の移動を、バーチャルリアリティシステム、例えば動き感知式のゴーグルをディスプレイ54として反射屈折型の医療用イメージングシステム1に含めることによって実施することもできる。
【0060】
図2は、凸面反射鏡20およびアーム22の例示的な実施形態を示す。凸面反射鏡20は、単に説明する目的で、半球面状の鏡面70を有するものとして図示されている。手術腔の内部を調査することを可能にする任意の他の形状を使用してもよい。反射鏡20の基部26は、円形として図示されているが、任意の形状とすることも可能であり、例えば仮想の線72で示唆するように長方形などの多角形とすることも可能である。長方形の基部72を、その比率に関して、カメラ装置8によって記録されるフレーム42の各辺の比率に対応するように適合させることができる。長方形の基部72は、視野24が反射鏡20によって完全に満たされることを可能にする。
【0061】
反射鏡20には、少なくとも1つのマーカー74を設けることができ、このマーカー74は、当該マーカー74の直近周囲とは異なる蛍光発光、反射率および/または透過率を有する。例えば、マーカー74は、UV、IR、またはNIRのような光スペクトルの不可視部分において、または可視光スペクトルの1つまたは複数の波長において、増加または減少された反射率を有することができる。追加的または代替的に、マーカー74を蛍光性とすることができる。手動でまたは駆動システム30を使用して、カメラ装置8の光軸18に対する反射鏡20の位置を調整するために、マーカー74を使用することができる。光軸18を中心として複数のマーカー74を配置することが可能である。マーカー74は、LEDのような光源とすることもできるか、またはLEDのような光源を含むこともできる。
【0062】
別の実施形態では、反射鏡20の内部から外部へと光が通過することを可能にするために、反射鏡20を少なくとも部分的に透明または半透明にすることができる。特に、マーカー74における透明度を、当該マーカー74の直近周囲の透明度とは異なるようにすることができる。したがって、マーカー74を通過する光によって、当該マーカー74を自動的に認識および識別することが可能になる。
【0063】
反射鏡20の内側に光源76を配置することができる。光源76は、可視光スペクトル、UVスペクトル、IRスペクトルおよびNIRスペクトルのうちの少なくとも1つにおける照明光を放射することができる。手術腔6の境界を成している組織29に少なくとも1つの蛍光体78(図1)が注入される場合には、光源76からの光を使用して、手術腔6の内腔壁4における蛍光発光を誘発することができる。反射屈折型の医療用イメージングシステム1に、光源76からの光を遮断するための帯域消去フィルタ(図示せず)を設けることができる。
【0064】
光源76は、例えば、少なくとも1つ(または複数)のLED82を含むことができる。反射鏡20は、光源76を駆動するための電源84と、例えば、反射屈折型の医療用イメージングシステム1のコントローラ36との有線接続または無線接続のための通信モジュール86と、を含むことができる。アーム22を通って延在する電力線を介して光源76に給電することもできる。
【0065】
アーム22は、図2に例示的に示されるように伸縮自在とすることができる。アーム22の伸張または収縮を、駆動システム30によって駆動することができる。
【0066】
アーム22の端部に、反射鏡20に解除可能に係合させるための連結部87を設けることができ、例えば、アーム22の端部に、真空を用いて鏡面70に係合させるための吸引キャップを設けることができる。反射鏡20を載置するため、および取り上げるために、連結部87を使用することができる。
【0067】
アーム22を可撓性材料から形成する代わりにまたはそれに加えて、反射鏡20とハンドル28(存在する場合)または駆動システム30との間に1つまたは複数のジョイント部88を設けることができる。ジョイント部88は、好ましくはアーム22に可撓性を提供するように構成されている。ここでも、組織の損傷を阻止するために、アームの可撓性を組織29の圧縮性よりも高くすべきである。ジョイント部88は、好ましくは可撓性であり、したがって撓まれると復元力を及ぼすことができる。
【0068】
曲げセンサ90を設けることができ、この曲げセンサ90は、好ましくはコントローラ36に接続されている。曲げセンサ90は、ジョイント部88またはアーム22全体の曲げ量を表す曲げ信号を出力するように構成されている。曲げ信号によって表される曲げ量が所定の量を超える場合に、駆動システム30の如何なる動きをも停止するように、または元に戻すように、コントローラ36を構成することができる。追加的または代替的に、アーム22の曲げ量が大きすぎる場合に、曲げ信号によって警報信号をトリガすることができる。例えば、曲げ信号に応じて警報信号を出力するためのブザーおよび/またはLED(図示せず)を、アーム22に設けることができる。
【0069】
組織29に鏡20を取り付けるべき場合には、この鏡20を軽量にすべきである。そのような構成では、反射鏡20を中空とすることができるか、または発泡体のような軽量の材料によって充填することができる。鏡面70を箔によって形成してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 反射屈折型の医療用イメージングシステム
2 手術用顕微鏡
4 手術腔の内腔壁
6 手術腔
8 カメラ装置
10 光学系担体
12 レンズ、特に顕微鏡レンズ
14 照明装置
16 ビームスプリッタ
18 光軸
20 凸面反射鏡
22 アーム
24 カメラ装置の視野
26 凸面反射鏡の基部
27 取り付け部分
28 ハンドル
29 手術腔の組織
30 駆動システム
32 矢印
34 反射屈折型の医療用イメージングシステムまたは顕微鏡の支持フレーム
36 コントローラ
37 マニピュレータ
38 画像データ
40 時系列
42 フレーム
44 画素
46 補正モジュール
48 補正光学系
50 補正光学系のための支持体
52 画像処理装置
54 ディスプレイ
56 出力画像データ
58 出力フレーム
60 出力フレームのうちの表示される部分
62 マニピュレータ
70 鏡面
72 仮想の線
74 マーカー
76 光源
78 蛍光体
82 LED
84 電源
86 通信モジュール
87 連結部
88 ジョイント部
90 曲げセンサ
図1
図2