(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861770
(24)【登録日】2021年4月1日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】アナログデジタル変換のための方法および装置ならびに電気的ネットワーク
(51)【国際特許分類】
G01R 19/00 20060101AFI20210412BHJP
H03M 1/12 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
G01R19/00 L
H03M1/12 A
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-153680(P2019-153680)
(22)【出願日】2019年8月26日
(65)【公開番号】特開2020-34557(P2020-34557A)
(43)【公開日】2020年3月5日
【審査請求日】2019年8月26日
(31)【優先権主張番号】10 2018 214 402.8
(32)【優先日】2018年8月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】596107062
【氏名又は名称】フォルクスヴァーゲン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨヘン ユール
【審査官】
永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−198276(JP,A)
【文献】
特開2014−16254(JP,A)
【文献】
特開平7−5004(JP,A)
【文献】
特開2003−234639(JP,A)
【文献】
特開2002−257868(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第0106029(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 19/00
H03M 1/12
H03M 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる周波数を有する少なくとも2つの干渉信号(S1,S2)によって重畳された有用信号を有する少なくとも実質的に連続したアナログ入力信号を、デジタル出力信号にアナログデジタル変換するための方法であって、
前記入力信号は、限定的な測定サイクルでサンプリングされ、前記測定サイクル内の複数のサンプリング点(A1−A5)の数と時点とが前記入力信号の周波数に依存して決定される方法において、
前記サンプリング点(A1−A5)は、前記干渉信号(S1,S2)の周波数に依存して決定され、
測定サイクルにおいて、少なくとも4つの前記サンプリング点(A1−A4)が選択され、前記サンプリング点(A1−A4)のうち第1のサンプリング点(A1)および第2のサンプリング点(A2)は、低周波の前記干渉信号(S1)の1/2の周期持続時間+少なくとも1つの完全な周期持続時間の間隔に選択されることを特徴とする、
方法。
【請求項2】
異なる周波数を有する少なくとも2つの干渉信号(S1,S2)によって重畳された有用信号を有する少なくとも実質的に連続したアナログ入力信号を、デジタル出力信号にアナログデジタル変換するための方法であって、
前記入力信号は、限定的な測定サイクルでサンプリングされ、前記測定サイクル内の複数のサンプリング点(A1−A5)の数と時点とが前記入力信号の周波数に依存して決定される方法において、
前記サンプリング点(A1−A5)は、前記干渉信号(S1,S2)の周波数に依存して決定され、
第3のサンプリング点(A3)は、第1のサンプリング点(A1)の前または後で高周波の前記干渉信号(S2)の1/2の周期持続時間に設定され、
第4のサンプリング点(A4)は、第2のサンプリング点(A2)の前または後で高周波の前記干渉信号(S2)の1/2の周期持続時間に設定されることを特徴とする、
方法。
【請求項3】
測定サイクルにおいて、少なくとも4つの前記サンプリング点(A1−A4)が選択され、前記サンプリング点(A1−A4)のうち第1のサンプリング点(A1)および第2のサンプリング点(A2)は、低周波の前記干渉信号(S1)の1/2の周期持続時間+少なくとも1つの完全な周期持続時間の間隔に選択される、
請求項2記載の方法。
【請求項4】
少なくとも2つの前記サンプリング点(A1,A2)は、低周波の前記干渉信号(S1)の周波数に依存して決定され、
少なくとも2つの前記サンプリング点(A3,A4)は、高周波の前記干渉信号(S2)の周波数に依存して決定される、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
高周波の前記干渉信号(S2)に依存して選択された2つの前記サンプリング点(A3,A4)は、前記第1および第2のサンプリング点(A1,A2)に依存して決定される、
請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
第5のサンプリング点(A5)は、第3または第4のサンプリング点(A3,A4)の前または後で高周波の前記干渉信号(S2)の1つの周期持続時間に設定される、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記干渉信号(S1,S2)の周波数は、事前に算出される、
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項記載の方法を実施するための装置において、
所定の使用のもとで請求項1から7までのいずれか1項記載の方法を実施するように特別に構成された制御機器を備えていることを特徴とする、装置。
【請求項9】
請求項8記載の装置を備えていることを特徴とする、電気的ネットワーク、特に自動車の搭載電源網または駆動用ネットワーク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる周波数を有する少なくとも2つの干渉信号によって重畳された有用信号を有する少なくとも実質的に連続したアナログ入力信号を、デジタル出力信号にアナログデジタル変換するための方法であって、この場合、入力信号は、限定的な測定サイクルでサンプリングされ、この場合、当該測定サイクル内の複数のサンプリング点の数と時点とが入力信号の周波数に依存して決定される、方法に関する。
【0002】
さらに、本発明は、前述の方法を実施するための装置、ならびにそのような装置を備えた電気的ネットワーク、特に自動車の搭載電源網または駆動用ネットワークに関する。
【背景技術】
【0003】
冒頭に述べた種類の方法は、従来技術から公知である。そのため、例えば独国特許出願公開第2455302号明細書(DE2455302A1)では、アナログ入力信号が限定的なサンプリングレートのもとで重畳された等間隔で少なくとも擬似確率的に変化するサンプリング間隔におかれる、アナログデジタル変換のための方法が開示されている。これによって、投資コストを大幅に増やすことなく、アナログ入力信号の解像度の向上が達成されるべきである。既知のように、アナログ入力信号は、シャノンまたはナイキスト定理を考慮してサンプリングされることを想定している。このことは、測定サイクル毎のサンプリングの数は、2より大きい数でなければならないこと、ならびに例えば独国特許出願公開第102007043927号明細書(DE102007043927A1)に要約されているように、測定サイクル毎のサンプリングの数は整数であることを伝えている。その他に、そこでは、信号周波数のための推定周波数を算出し、この推定周波数と、それによって最終的に除去された信号周波数とに依存してサンプリング周波数を決定することが提案されている。米国特許第5815101号明細書(US5,815,101A)からも、入力信号が第1のサンプリングレートおよび第2のサンプリングレートでサンプリングされるデジタル印刷変換のための方法が公知である。
【0004】
実際には、例えば、自動車の駆動用ネットワークでは、電気的ネットワークが、特に駆動用バッテリーの領域で干渉信号によって重畳されていることが示されている。バッテリセルを監視する場合には、入力信号としてバッテリー電圧またはセル電圧が検出される。その際、電圧信号は、異なる周波数を有する2つの干渉信号によって重畳されていることが多いため、ここでは高周波の干渉信号と低周波の干渉信号とを取り上げる。
【0005】
測定サイクルにおいて、信号を、ここでは等間隔のサンプリング点でサンプリングするならば、比較的大きな測定エラーが生じる。上述の従来技術で提案された方法は、測定誤差を満足のいくレベルで大幅に低減することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえ、本発明が基礎とする課題は、測定誤差が最小限に低減されるアナログデジタル変換のための改善された方法を達成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が基礎とする課題は、請求項1の特徴を有する方法によって解決される。これにより、アナログデジタル変換の際の測定誤差が簡単な方法で最小限に低減される。この場合に想定されたサンプリングの全部の数は、これまでの可能な尺度を超えて増加してはならない。本発明によれば、このことは、サンプリング点が、干渉信号の周波数に依存して決定されることによって達成される。それにより、サンプリング点は、干渉信号に合わせて適合化されるため、特に、干渉信号の最小値と最大値とをより良好に検出することができ、これによって測定誤差が低減可能になる。
【0008】
本発明の好適な発展構成によれば、少なくとも2つのサンプリング点は、低周波の干渉信号の周波数に依存して決定され、少なくとも2つのサンプリング点は、高周波の干渉信号の周波数に依存して決定される。したがって、この実施形態によれば、好適には、少なくとも全部で4つのサンプリング点が設定され、この場合、2つは低周波の信号に依存し、2つは高周波の制御信号に依存する。その際、特にこれらのサンプリング点は、各干渉信号の周期持続時間に依存して決定される。少なくとも4つのサンプリング点を使用することにより、これらの干渉信号の各々に対して2つ、測定誤差低減の成功が達成される。サンプリング点が干渉信号の周波数に依存して決定されることにより、測定誤差のさらなる低減が達成される。
【0009】
好適には、1つの測定サイクルに対して4つのサンプリング点が選択されており、つまり、1つの測定周期は、4つのサンプリング点に限定されている。この場合、第1のサンプリング点および第2のサンプリング点は、低周波の干渉信号の1/2の周期持続時間+少なくとも1つの完全な周期持続時間の間隔に選択される。したがって、第1および第2のサンプリング点は、低周波の干渉信号に依存して設定され、それらは、低周波の干渉信号の少なくとも1.5倍の周期持続時間、2.5倍、3.5倍、4.5倍の周期持続時間等に相当する間隔を相互に有している。このことは、干渉信号の最大値および最小値を検出できるようにするという目標を追求しており、これにより、測定誤差低減のための低周波の干渉信号の有利な考慮が達成される。
【0010】
さらに好適には、高周波な干渉信号に依存して選択された少なくとも2つのサンプリング点は、第1および第2のサンプリング点に依存して決定される。特に、低周波の干渉信号の最大値および最小値の近傍で高周波の干渉信号を検出するために、2つのさらなるサンプリング点が、第1および第2のサンプリング点の周りに位置決めされる。これにより、測定誤差がさらに低減される。
【0011】
特に好適には、第3のサンプリング点は、第1のサンプリング点の前または後で高周波の干渉信号の1/2の周期持続時間に設定され、第4のサンプリング点は、第2のサンプリング点の前または後で高周波の干渉信号の1/2の周期持続時間に設定される。サンプリング点の相互の間隔の選択により、理論的には高周波の干渉信号の最大値と最小値とが検出されることが保証され、それによって、測定誤差がさらに低減される。
【0012】
本発明の好適な発展構成によれば、第5のサンプリング点は、第3または第4のサンプリング点の前または後で高周波の干渉信号の1つの完全な周期持続時間に設定される。これにより、サンプリング周波数が測定サイクル内で高められ、第5のサンプリング点の有利な配置によって測定誤差がさらに低減される。
【0013】
特に好適には、干渉信号の周波数は事前に算出され、そのため、干渉信号の周波数は当該方法の実施に対して既知であり、利用することができる。
【0014】
請求項8の特徴を有する本発明による装置は、所定の使用のもとで本発明による方法を実施するように特別に構成された制御機器によって優れている。これにより、既に前述した利点が生じる。
【0015】
請求項9の特徴を有する本発明による電気的ネットワーク、特に自動車の搭載電源網または駆動用ネットワークは、本発明による装置によって優れている。これにより、前述の利点が得られる。
【0016】
さらなる利点と好適な特徴、およびそれらの特徴の組み合わせは、前述の説明ならびに特許請求の範囲から生じる。以下では、本発明を図面に基づきより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】アナログデジタル変換を動作させるための好適な方法を説明するための線図
【発明を実施するための形態】
【0018】
唯一の図面は、異なる周波数を有し、有用信号を重畳する2つの干渉信号S1,S2の経過を簡単な線図で例示的に示している。
【0019】
干渉信号S1およびS2は、有用信号、例えば自動車のエネルギ蓄積器の電圧信号に重畳し、当該有用信号とともにサンプリングすべき入力信号を形成することから出発する。簡単化のために、図には干渉信号S1とS2とが上下に示されている。これらの干渉信号S1およびS2は、本明細書では正弦波の周期的な信号として、特に時間的に連続して既知の周波数を有することを前提とする。この目的のために、干渉信号S1およびS2は、例えば、事前にシステム内で検出または計算される。本明細書では、干渉信号S1は33Hzの周波数を有し、干渉信号S2は100Hzの周波数を有する。この場合、干渉振幅は、それぞれ240mVにあり、有用信号は3.7Vにある。
【0020】
入力信号は、アナログデジタル変換のためにサンプリングされ、この場合、測定ウィンドウまたは測定サイクル内で最大4つのサンプリング点が使用可能である。その際、測定サイクルは、本明細書では100ms、代替的に80msにわたって広がる。それに対して、100msの測定サイクルのもとでは5本の水平な第1のラインI_1〜I_5によって特徴付けられ、80msの測定サイクルのもとでは4つの等間隔のサンプリング点のみが使用されるように、これまでは等間隔のサンプリング点が使用されてきたが、しかしながらこれによって、評価もしくはアナログデジタル変換において比較的大きな測定誤差が生じることが示されてきた。サンプル点の数を単純に増加させることによって、それぞれの測定誤差を簡単に低減することはできるのであろうが、しかしながらこれは処理システムによって設定される所定の前提条件のもとでのみ可能である。そのため、例えば自動車の駆動用ネットワークでは、上記の100msの時間間隔での測定サイクルにおける5よりも多いサンプリング点の検出、あるいはより短い80msの時間間隔での測定サイクルにおける4よりも多いサンプリング点の検出は不可能である。
【0021】
それにもかかわらず測定誤差を低減するために、サンプリング点が、干渉信号S1およびS2の周波数に依存して決定される好適な方法が想定される。その際、第1のサンプリング点A1および第2のサンプリング点A2は、低周波の干渉信号S1に依存して設定される。サンプリング点A1とA2との間の相互の間隔は、干渉信号S1の周期持続時間もしくは周波数に依存して、当該間隔が、1/2の周期+少なくとも1つの完全な周期になるように選択される。このことは以下のように説明できる。すなわち、
x
1=1/2iT
1+niT
1
ここで、前記x
1は、サンプリング点A1とA2との間の間隔であり、前記T
1は、低周波の干渉信号S1の周期持続時間であり、前記nは、整数(0,1,2,3,4……)である。このことは、例えば、サンプリング点A1が、図に示されるように、干渉信号S1の最小値に存在する場合、第2のサンプリング点A2は最大値に存在することとなる。
【0022】
好適には全部で4つのサンプリング点のうちの残りの2つのサンプリング点A3およびA4は、高周波の干渉信号S2に依存して、ならびにサンプリング点A1およびA2の位置に依存して設定される。
【0023】
第3のサンプリング点A3は、時間的に第1のサンプリング点A1の前または後(図面ではその前)で、詳細には高周波の干渉信号S2の1/2の周期持続時間T
2の間隔に配置される。これにより、サンプリング点A3およびA4は、干渉信号S2の1つの完全な周期持続時間分相互に離れて存在し、そのため、それらは、例えば図に示されるように、それぞれ干渉信号S2の最小値に存在する。
【0024】
第4のサンプリング点A4は、第2のサンプリング点A2の前で干渉信号S2の1/2の周期持続時間T
2に配置される。これにより、第4のサンプリング点A4は、サンプリング点A3から1/2の周期持続時間T
2+複数の完全な周期持続時間T
2だけ離れる。そのため、それは、サンプリング点A3が干渉信号S2の最小値に存在する場合、最大値に存在する。この間隔x
2は、以下のように説明できる。
x
2=1/2T
2+nT
2
ここで、前記x
2は、第2の干渉信号S2のサンプリング点A3とA4との間の間隔であり、前記T
2は、第2の干渉信号S2の周期持続時間であり、前記nは、整数(0,1,2,3,4,5……)である。
【0025】
第5のサンプリング点A5は任意選択的に設定され、この第5のサンプリング点A5は、第3または第4のサンプリング点の前または後、本明細書の実施例ではその前で、第2の干渉信号S2の周期持続時間T
2に設定される。好適には、100msの測定サイクルのもとでは5つのサンプリング点が設定され、80msの測定サイクルのもとでは4つのサンプリング点のみが設定される。
【0026】
これにより、干渉信号S1,S2のサンプリングにおける測定誤差を大幅に低減できることが示される。そのため、例えば、低周波の信号S1の測定誤差は、13mV低減可能となり、高周波の干渉信号S2の測定誤差は、192mV低減可能となる。これにより、入力信号のより正確で信頼性の高いアナログデジタル変換が生じる。
【0027】
特に、この方法は、バッテリセルの充電電圧を監視するバッテリセル制御器のもとで、またはバッテリセル制御器によって実施される。これにより、バッテリセルの充電電圧の特に正確な検出が可能になる。しかしながら、この方法は、アナログデジタル変換の他の各用途においても使用することができる。
【符号の説明】
【0028】
S1 干渉信号
S2 干渉信号
I_1 ライン
I_2 ライン
I_3 ライン
I_4 ライン
I_5 ライン
A1 サンプリング点
A2 サンプリング点
A3 サンプリング点
A4 サンプリング点
A5 サンプリング点