(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ISO 1133に準拠して、前記アクリル樹脂のメルトインデックス(MI)は、230℃の温度・3.8Kgで10分当たり1〜40mlである、請求項3に記載の易延伸性変性ポリエステルフィルム。
【背景技術】
【0002】
インモールド装飾(IMD)は、携帯電話の窓用レンズや外装ケースの表面装飾など、家電製品の表面装飾や機能パネルに世界中で使用されている表面装飾技術である。
【0003】
より具体的には、インモールド装飾技術は、成形品にパターンまたは画像を適用する技術であり、即ち、フィルム印刷、圧縮成形、および射出成形などの塑性加工の統合プロセスである。伝統的な表面技術と比較して、インモールド装飾技術の利点は、インモールド装飾技術によって製造されたプラスチックが美しい外観を有することである。インモールド装飾技術によって製造されたプラスチックは、様々な色、模様、さらには触感さえも有することができ、ペイントコーティングプロセスによって製造されたプラスチックよりもさらに耐摩耗性がありそしてより高い明度を有することができ、生産効率が高く、歩留まりが高く、打ち抜き加工の精度が高くて、そして、より複雑な模様を転写する金型内装飾技術で、大量生産に適している。最も重要なことは、インモールド装飾技術は環境へ公害がなく、環境汚染を引き起こす伝統的なスプレーおよびメッキ技術に取って代わることができる。
【0004】
図1に示すように、インモールド装飾技術によるプラスチックフィルム(インモールド装飾フィルム)10は、基材11、印刷インキ層12、接着剤層13、離型層14およびハードコート15の5層構造を有する。なかでも、インモールド装飾フィルム10における基材11としては、易延伸性PETポリエステルフィルムなどの易延伸性ポリエステルフィルムから選択され、高い光透過性、高い伸張性、破損防止、低収縮性の特性を有することが要求される。
【0005】
特許文献1には、二軸延伸ポリエステルフィルムが開示されており、変性ポリエステルフィルムに60%のポリブチレンフタレートが添加されている。その変性ポリエステルフィルムは、耐衝撃性および曲げ加工性を特徴とし、実施形態に開示されている最大179%の延伸性(MD/TD)を有する。しかし、インモールド装飾技術の場合、この変性ポリエステルフィルムの延伸性は依然として不十分である。さらに、特許文献2に記載されているような高延伸比ポリエステルフィルムは、高い伸張性、良好な成形性および温度耐性の特徴を有し、そして自動車、建築、家具用のポリエステルフィルムを形成するのに適している。しかし、そのポリエステルフィルムの伸張性は300%を超えることができるが、ポリエステルフィルム構造は3層または多層構造複合フィルムであり、高い伸張性を達成するためには複雑な加工および高いコストの欠点を有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すように、本発明による易延伸性ポリエステルフィルムは、高い延伸性、高い透明性、および低い収縮(高温耐性)を有する変性ポリエステルフィルムであり、インモールド装飾フィルム10の基材11として適している。
【0014】
優れた伸張性および熱収縮性を有する本発明による易延伸性ポリエステルフィルムは、高温および高圧の打ち抜き環境に適しており、以下の成分を含む。
【0015】
a)10〜99.99重量部を占める、二塩基酸またはその誘導体とジオールまたはその誘導体との重縮合により得られる高分子化合物、好ましくはPET、PBTまたはPENポリエステル樹脂である、ポリエステル樹脂
b)0.01〜60重量部を占める、10,000〜80,000の平均分子量(Mw)を有する、ISO 1133に準拠してメルトインデックス(MI)が230℃の温度・3.8Kgで10分当たり1〜40mlである、アクリル樹脂
【0016】
ポリエステル樹脂は、二塩基酸またはその誘導体とジオールもしくはその誘導体との重縮合によって得られる高分子化合物、または異種の二塩基酸もしくはジオールの重縮合によって得られる高分子化合物であり、重縮合PET、PBTまたはPENポリエステル樹脂から選ばれることが好ましい。
【0017】
前記二塩基酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、ジフェニルホスホニウムジカルボン酸、インドール−2,6−ジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3−コハク酸ジエチル、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、アゼライン酸、スベリン酸、ドデカン二酸から選ばれる一種以上である。
【0018】
前記ジオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,10−ノナンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンまたはビス(4−ヒドロキシフェニル)アントラセンから選ばれる一種以上ものである。
【0019】
アクリル樹脂は、アクリル系モノマーを重合して得られる。アクリル樹脂は、メチル(メタ)アクリレート(MMA)、エチルアクリレート(EA)、プロピル(メタ)アクリレート(PA)、N−ブチルアクリレート(BA)、イソブチル(メタ)アクリレート(IBA)、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート(2−HEA)、n−オクチルエステル(メタ)アクリレート(OA)、イソオクチル(メタ)アクリレート(IOA)、(メタ)デシルアクリレート(NA)、エチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート(LA)、オクタデシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート(MOEA)、n−ブチル−メチルアクリレート(n−BMA)、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)、又はエトキシメチル(メタ)アクリレート(EOMAA)から選ばれる一種または二種以上を組み合わせたものであり、アクリル樹脂は、主に樹脂構造の調整、適切なガラス転移温度(Tg)の付与、ポリエステル樹脂とのアクリル樹脂の延伸性、フィルムの剛性の向上を目的としている。
【0020】
前記アクリルの平均分子量(Mw)は10,000から80,000の間にある。アクリル樹脂の平均分子量が上記範囲を超えると、本発明による易延伸性ポリエステルフィルムの物性が低下する。
【0021】
ISO 1133に準拠して、前記アクリル樹脂のメルトインデックス(MI)は230℃の温度・3.8kgで10分当たり1ml〜40mlである。前記アクリル樹脂のメルトインデックス(MI)が10分当たり1ml未満であると、本発明による易延伸性ポリエステルフィルムを製造する加工に不利であり、40分を超えると、発明による易延伸性ポリエステルフィルムの耐衝撃性が低下する。
【0022】
前記アクリル樹脂は、ポリエステルに溶融状態で混合押出する過程で原料として添加される。溶融状態で圧延され変性ポリエステルフィルムに形成するように延伸される過程において、添加されたアクリル樹脂はポリエステルフィルムの内部構造で構造を非晶質化するように促進して、非晶質構造は延伸比を増加させることができる。そのため、得られる易延伸性ポリエステルフィルムは、非常に非晶質で、耐薬品性、耐水性および透明である特性を持つ。
【0023】
より具体的には、本発明による易延伸性ポリエステルフィルムは、延伸加工により得られた変性延伸性ポリエステルフィルムである。製造の際、縦一軸延伸法、横一軸延伸法、縦軸逐次二軸延伸法、または縦軸同時二軸延伸法を採用することができる。異なる延伸倍率を選択することによって、未延伸ポリエステルフィルムの横方向(TD)に2.0〜5.0倍、好ましくは2.5〜4.0倍のTD延伸処理が施される。また、さらに縦方向(MD)に2.0〜5.0倍、好ましくは2.5〜4.0倍のMD延伸処理が施される。
【0024】
本発明による易延伸性ポリエステルフィルムは、上記延伸処理が施された後、延伸方向に沿って易延伸性ポリエステルフィルムの結晶配向度を向上させることができ、さらに、高い光透過性、高強度特性、および低収縮特性を易延伸性ポリエステルフィルムに寄与する。
【0025】
本発明による易延伸性ポリエステルフィルムは、インモールド装飾技術を満足させるために、インモールド装飾技術による真空高温押出成形状態をシミュレートするように、100℃の高温で引張試験に合格する必要がある。
【0026】
優れた寸法安定性、機械的強度および透明性の他に、本発明による易延伸性ポリエステルフィルムは以下の物性および特性を有する。
【0027】
1.易延伸性ポリエステルフィルムの光学特性:光透過率>88%;
2.易延伸性ポリエステルフィルム100℃での引張力試験:延伸比>150%;
3.易延伸性ポリエステルフィルム熱安定性:150℃で30分間の収縮率<5%;
4.易延伸性ポリエステルフィルム成形性:高アスペクト比および高角度製品はフィルムの破損をなく打ち抜き可能となる。
【0028】
より具体的には、本発明による易延伸性ポリエステルフィルムは、ポリエステル材料にアクリル樹脂を添加することによって調製された変性延伸ポリエステルフィルムであり、それは易延伸性、高伸び、パンチしやすい、フィルム破断しないなどの特徴を有し、ホットパンチング環境において、PET、PBTまたはPENポリエステルフィルムの高剛性および不十分な延伸率により起こったパンチングによるフィルム破損の問題を解決し、そして高アスペクト比の製品に対してパンチング効果がより良好にさせることができる。
【0029】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0030】
1.光透過率試験:
以下の実施例の光学フィルムの光透過率値は、Tokyo Denshoku Co., Ltd. Haze Meter TC−HIIIを用いてJIS K7705に従って試験される。光透過率が高いほど、光学フィルムの光学特性は良好である。
【0031】
2.引張試験:
引張試験は一般的なプラスチックの機械的試験方法である。ポリエステルフィルムサンプルのサイズは25cm×1.5cmであり、それが引張試験機装置の固定具に置かれる。そして引張試験機が固定具に応力をかけそして一定の速度(200mm/分)で伸びる。破壊までの塑性変形変数の変化を必要な応力数値結果と比較することによって、応力−ひずみ線図が得られた。
1)破断強度(kgf/mm
2):破壊時のプラスチックの引張応力。
2)延伸率(%):破壊までのプラスチックの伸び変形
【0032】
3.熱分析動的機械分析装置(DMA):
この試験の原理では、制御された温度で材料サンプルに既知の振幅および振動数の振動を加え、損失係数(Tanδ)および温度、時間、力および周波数の関数を測定する。材料のヤング率(E’)、粘弾性および他の機械的挙動を正確に、得られたデータによって、易延伸性ポリエステルフィルムにかかる温度変化を伴いの強度、Tg点、耐震動性効果、材料混合効果、および様々な相転移点を正確に判断することができる。この方法は、ISO 6721−5、ISO 2856、ISO 4664、ASTM D−2231に準拠する。
【0033】
4.インモールド装飾(IMD)パンチングマシン:
ホットパンチング試験条件は、120℃、2Kg/cm
2の作業環境で、ラダー型パンチングを行う。パンチングモールドを
図2に示す。易伸縮性フィルムを異なる基材に貼り付けるホットパンチ試験を実施するために、伸縮性フィルムをA−PET(非晶質PET)板に貼り付ける。打ち抜き製品の角とくぼみから、打ち抜きフィルム/基板と打ち抜き材料が密接に付着しているかどうか、および打ち抜き加工で形成された字体の明瞭さを観察することによって、打ち抜き加工が良好または不良であると判断される。
【0034】
5.熱収縮評価:
15cm×15cmの易延伸性ポリエステルフィルムを150℃のオーブンに30分間入れた後、易延伸性ポリエステルフィルムの一辺の長さを測定し、収縮長さの変化をΔXとする。
収縮率(MD方向)はΔX/15cm×100%である。
【0035】
(実施例1)
表1の配合に従って、ポリエステルペレット(PET)90重量部とアクリル樹脂10重量部とを混合して分散させ、120℃で12時間乾燥した。次いで押出し機に供給し280℃で溶融および押出して、25℃の表面温度を有する冷却ホイールによって冷却されそして固化され未延伸PETシートが得られた。そして加熱後、縦方向(MD)延伸は3.5倍の延伸比で行われて、次いで、完成した一軸延伸PETフィルムを、固定クリップを用いて3.5倍の横方向(TD)延伸部に導入し、次いで、二軸延伸PETフィルムを235℃で8秒間処理して変性ポリエステルフィルムを得た。物性測定結果を表1に示す。
【0036】
(実施例2)
表1の配合に従って、ポリエステルペレット(PET)80重量部とアクリル樹脂20重量部を混合して分散させ、120℃で12時間乾燥させる。次いで押出し機に供給し280℃で溶融および押出して、25℃の表面温度を有する冷却ホイールによって冷却されそして固化され未延伸PETシートが得られた。そして加熱後、縦方向(MD)延伸は3.5倍の延伸比で行われて、次いで、完成した一軸延伸PETフィルムを、固定クリップを用いて3.5倍の横方向(TD)延伸部に導入し、次いで、二軸延伸PETフィルムを235℃で8秒間処理して変性ポリエステルフィルムを得た。物性測定結果を表1に示す。
【0037】
(実施例3)
表1の配合に従って、ポリエステルペレット(PET)70重量部とアクリル樹脂30重量部を混合して分散させ、120℃で12時間乾燥させる。次いで押出し機に供給し280℃で溶融および押出して、25℃の表面温度を有する冷却ホイールによって冷却されそして固化され未延伸PETシートが得られた。そして加熱後、縦方向(MD)延伸は3.5倍の延伸比で行われて、次いで、完成した一軸延伸PETフィルムを、固定クリップを用いて3.5倍の横方向(TD)延伸部に導入し、次いで、二軸延伸PETフィルムを235℃で8秒間処理して変性ポリエステルフィルムを得た。物性測定結果を表1に示す。
【0038】
(実施例4)
表1の配合に従って、ポリエステルペレット(PET)60重量部とアクリル樹脂40重量部を混合して分散させ、120℃で12時間乾燥させる。次いで押出し機に供給し280℃で溶融および押出して、25℃の表面温度を有する冷却ホイールによって冷却されそして固化され未延伸PETシートが得られた。そして加熱後、縦方向(MD)延伸は3.5倍の延伸比で行われて、次いで、完成した一軸延伸PETフィルムを、固定クリップを用いて3.5倍の横方向(TD)延伸部に導入し、次いで、二軸延伸PETフィルムを235℃で8秒間処理して変性ポリエステルフィルムを得た。物性測定結果を表1に示す。
【0039】
(実施例5)
表1の配合に従って、ポリエステルペレット(PET)50重量部とアクリル樹脂50重量部を混合して分散させ、120℃で12時間乾燥させる。次いで押出し機に供給し280℃で溶融および押出して、25℃の表面温度を有する冷却ホイールによって冷却されそして固化され未延伸PETシートが得られた。そして加熱後、縦方向(MD)延伸は3.5倍の延伸比で行われて、次いで、完成した一軸延伸PETフィルムを、固定クリップを用いて3.5倍の横方向(TD)延伸部に導入し、次いで、二軸延伸PETフィルムを235℃で8秒間処理して変性ポリエステルフィルムを得た。物性測定結果を表1に示す。
【0040】
(実施例6)
表1の配合に従って、ポリエステルペレット(PET)40重量部とアクリル樹脂60重量部を混合して分散させ、120℃で12時間乾燥させる。次いで押出し機に供給し280℃で溶融および押出して、25℃の表面温度を有する冷却ホイールによって冷却されそして固化され未延伸PETシートが得られた。そして加熱後、縦方向(MD)延伸は3.5倍の延伸比で行われて、次いで、完成した一軸延伸PETフィルムを、固定クリップを用いて3.5倍の横方向(TD)延伸部に導入し、次いで、二軸延伸PETフィルムを235℃で8秒間処理して変性ポリエステルフィルムを得た。物性測定結果を表1に示す。
【0041】
(実施例7)
表1の配合に従って、ポリエステルペレット(PET)90重量部とアクリル樹脂10重量部を混合して分散させ、120℃で12時間乾燥させる。次いで押出し機に供給し280℃で溶融および押出して、25℃の表面温度を有する冷却ホイールによって冷却されそして固化され未延伸PETシートが得られた。そして加熱後、縦方向(MD)延伸は3倍の延伸比で行われて、次いで、完成した一軸延伸PETフィルムを、固定クリップを用いて3倍の横方向(TD)延伸部に導入し、次いで、二軸延伸PETフィルムを235℃で8秒間処理して変性ポリエステルフィルムを得た。物性測定結果を表1に示す。
【0042】
(実施例8)
表1の配合に従って、ポリエステルペレット(PET)80重量部とアクリル樹脂20重量部を混合して分散させ、120℃で12時間乾燥させる。次いで押出し機に供給し280℃で溶融および押出して、25℃の表面温度を有する冷却ホイールによって冷却されそして固化され未延伸PETシートが得られた。そして加熱後、縦方向(MD)延伸は3倍の延伸比で行われて、次いで、完成した一軸延伸PETフィルムを、固定クリップを用いて3倍の横方向(TD)延伸部に導入し、次いで、二軸延伸PETフィルムを235℃で8秒間処理して変性ポリエステルフィルムを得た。物性測定結果を表1に示す。
【0043】
(実施例9)
表1の配合に従って、ポリエステルペレット(PET)70重量部とアクリル樹脂30重量部を混合して分散させ、120℃で12時間乾燥させる。次いで押出し機に供給し280℃で溶融および押出して、25℃の表面温度を有する冷却ホイールによって冷却されそして固化され未延伸PETシートが得られた。そして加熱後、縦方向(MD)延伸は3倍の延伸比で行われて、次いで、完成した一軸延伸PETフィルムを、固定クリップを用いて3倍の横方向(TD)延伸部に導入し、次いで、二軸延伸PETフィルムを235℃で8秒間処理して変性ポリエステルフィルムを得た。物性測定結果を表1に示す。
【0044】
(比較例1)
表1の配合に従って、ポリエステルペレット(PET)100重量部とアクリル樹脂0重量部を混合して分散させ、120℃で12時間乾燥させる。次いで押出し機に供給し280℃で溶融および押出して、25℃の表面温度を有する冷却ホイールによって冷却されそして固化され未延伸PETシートが得られた。そして加熱後、縦方向(MD)延伸は3.5倍の延伸比で行われて、次いで、完成した一軸延伸PETフィルムを、固定クリップを用いて3.5倍の横方向(TD)延伸部に導入し、次いで、二軸延伸PETフィルムを235℃で8秒間処理して変性ポリエステルフィルムを得た。物性測定結果を表1に示す。
【0045】
(比較例2)
表1の配合に従って、ポリエステルペレット(PET)80重量部とアクリル樹脂20重量部を混合して分散させ、120℃で12時間乾燥させる。次いで押出し機に供給し280℃で溶融および押出して、25℃の表面温度を有する冷却ホイールによって冷却されそして固化され未延伸PETシートが得られた。そして加熱後、縦方向(MD)延伸は
1倍の延伸比で行われて、次いで、完成した一軸延伸PETフィルムを、固定クリップを用いて
1倍の横方向(TD)延伸部に導入し、次いで、二軸延伸PETフィルムを235℃で8秒間処理して変性ポリエステルフィルムを得た。物性測定結果を表1に示す。
【0046】
(結果)
1.実施例1〜9で得られた変性延伸PETポリエステルフィルムは、PETポリエステル樹脂にアクリル樹脂原料を10〜60重量部添加し、さらに縦方向(MD)に3〜3.5倍、さらに横方向(TD)に3〜3.5倍延伸したものであり、延伸方向の結晶性を向上させることができる。
【0047】
また、得られる変性延伸PETポリエステルフィルムは、優れた延伸性、耐熱性(低収縮率)、結晶性向上後の高い光線透過率などの特性を有する。かつ、
図3に示すように、アクリル樹脂原料のホットパンチの生成物は良好であり、形状角は鋭くフィットし、字形バンプは明らかに成功したパンチサンプルである。
【0048】
2.実施例7〜9で得られた変性延伸PETポリエステルフィルムは、PETポリエステル樹脂にアクリル樹脂原料を添加して、縦方向(MD)に3回の一軸延伸または横方向(TD)に3回の一軸延伸したものであり、延伸方向に結晶化度を増加させることができる。得られた変性延伸PETポリエステルフィルムは、わずかな収縮性の変化で結晶性が改善された後、優れた延伸性および高い光透過率などの特性を有する。
【0049】
3.比較例1では、変性用アクリル樹脂が添加されずに、PETポリエステル樹脂を原料として、二軸延伸PETフィルムを変性したが、その結果、得られた延伸PETポリエステルフィルムは、光透過性に優れるが、伸張性に悪く、アクリル樹脂原料のホットパンチングの結果は悪い。
図4に示すように、形状角は大きく、形状ムラは不良品としては明らかではない。同時に、比較例1及び2の結果を比較すると、
図5のDMA分析から、ポリエステルフィルムを改質するためにアクリル樹脂を導入することによって、ホットパンチングでは、金型の形状がより厳密に一致し、延伸倍率が高くなるようにフィルムの剛性(強度)が低減され得ることが分かる。そのため、アクリル樹脂を導入した変性ポリエステルフィルムはIMDに適している。
【0050】
4.比較例2で得られたPETポリエステルフィルムは、二軸延伸なしに20重量%アクリル樹脂を導入されている。 結果として、得られた延伸PETポリエステルフィルムは300%を超える延伸効果を有するが、収縮はIMD技術に使用するには大きすぎる。
【0052】
(付記)
(付記1)
a)10〜99.99重量部を占める、二塩基酸またはその誘導体とジオールまたはその誘導体との重縮合により得られる高分子化合物である、ポリエステル樹脂と、
b)0.01〜60重量部を占める、10,000〜80,000の平均分子量(Mw)を有する、アクリル樹脂と、
を含み、
幅方向(TD)に2.0〜5.0倍、縦方向(MD)に2.0〜5.0倍の延伸加工が施されるように製造され、光透過率>88%、延伸率>150%、そして150℃、30分での収縮率<5%という特性を有する、
ことを特徴とする、インモールド装飾フィルムに適する易延伸性変性ポリエステルフィルム。
【0053】
(付記2)
前記ポリエステル樹脂は、PET、PBTまたはPENポリエステル樹脂からなる群から選択される、付記1に記載の易延伸性変性ポリエステルフィルム。
【0054】
(付記3)
前記アクリル樹脂は、アクリル系モノマーを重合して得られ、
前記アクリル樹脂は、メチル(メタ)アクリレート(MMA)、エチルアクリレート(EA)、プロピル(メタ)アクリレート(PA)、N−ブチルアクリレート(BA)、イソブチル(メタ)アクリレート(IBA)、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート(2−HEA)、n−オクチルエステル(メタ)アクリレート(OA)、イソオクチル(メタ)アクリレート(IOA)、(メタ)デシルアクリレート(NA)、エチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート(LA)、オクタデシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート(MOEA)、n−ブチル−メチルアクリレート(n−BMA)、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)、又はエトキシメチル(メタ)アクリレート(EOMAA)から選ばれる一種または二種以上を組み合わせたものである、付記1に記載の易延伸性変性ポリエステルフィルム。
【0055】
(付記4)
ISO 1133に準拠して、前記アクリル樹脂のメルトインデックス(MI)は、230℃の温度・3.8Kgで10分当たり1〜40mlである、付記3に記載の易延伸性変性ポリエステルフィルム。