特許第6861776号(P6861776)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TOWA株式会社の特許一覧

特許6861776樹脂供給機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法
<>
  • 特許6861776-樹脂供給機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法 図000002
  • 特許6861776-樹脂供給機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法 図000003
  • 特許6861776-樹脂供給機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法 図000004
  • 特許6861776-樹脂供給機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法 図000005
  • 特許6861776-樹脂供給機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法 図000006
  • 特許6861776-樹脂供給機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法 図000007
  • 特許6861776-樹脂供給機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法 図000008
  • 特許6861776-樹脂供給機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法 図000009
  • 特許6861776-樹脂供給機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法 図000010
  • 特許6861776-樹脂供給機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法 図000011
  • 特許6861776-樹脂供給機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6861776
(24)【登録日】2021年4月1日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】樹脂供給機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20210412BHJP
   B29C 31/00 20060101ALI20210412BHJP
   B29C 43/18 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   H01L21/56 R
   B29C31/00
   B29C43/18
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-193160(P2019-193160)
(22)【出願日】2019年10月24日
【審査請求日】2019年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】大庭 亮人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 保昌
(72)【発明者】
【氏名】桃井 克徳
【審査官】 古川 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−043388(JP,A)
【文献】 特開2003−231145(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0139348(KR,A)
【文献】 特開2010−247429(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0224079(US,A1)
【文献】 特開2016−152305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
B29C 31/00
B29C 43/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料を収容した容器を保管する容器保管部と、
前記容器保管部に保管された前記容器を所定の上昇位置まで上昇させる昇降機構と、
前記上昇位置にある前記容器のキャップを開封するキャップ開封機構と、
前記キャップ開封機構により開封された前記容器を横方向に移動させ、複数の樹脂供給位置のうちいずれかの位置まで移動させる横移動機構と、
前記樹脂供給位置にある前記容器を回転させることで、前記容器に収容された樹脂材料を排出する回転機構と、
を備える樹脂供給機構。
【請求項2】
前記複数の樹脂供給位置に対応するように配置され、前記容器から排出される樹脂材料を収容する複数の樹脂収容部をさらに備える、
請求項1に記載の樹脂供給機構。
【請求項3】
樹脂材料が排出された前記容器を回収する容器回収部をさらに備える、
請求項1又は請求項2に記載の樹脂供給機構。
【請求項4】
前記容器が移動する空間の集塵を行う集塵機構をさらに備える、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の樹脂供給機構。
【請求項5】
前記集塵機構は、間欠的に集塵を行う、
請求項4に記載の樹脂供給機構。
【請求項6】
前記集塵機構は、前記横移動機構による前記容器の移動開始のタイミングに基づいて、集塵を開始する、
請求項5に記載の樹脂供給機構。
【請求項7】
前記容器保管部は、前記容器の長手方向を横に向けた状態で、上下に重なるように複数保管することが可能である、
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の樹脂供給機構。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の樹脂供給機構を備える樹脂成形装置。
【請求項9】
請求項8に記載の樹脂成形装置を用いて樹脂成形品を製造する樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂供給機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、成形装置に対して粒状の樹脂材料を供給する樹脂供給システムが開示されている。このシステムでは、樹脂材料が収容された容器が把持機構により把持され、昇降部によって樹脂が供給可能となる位置に移送される。その後、開閉部により容器のキャップが外され、回転部によって把持機構が傾けられることで、容器に収容されている樹脂材料が樹脂溜部の供給口に供給される。樹脂材料が供給されて空になった容器は、昇降部によって再び下方へと移送され、回収される。樹脂溜部に収容された樹脂材料は、さらに樹脂成形部へと供給され、樹脂成形品が製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018−43388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された樹脂供給システムでは、昇降部によって上昇された所定の位置(供給位置)で容器が傾けられて、樹脂材料が樹脂溜部の供給口へと供給される。すなわち、この樹脂供給システムでは、単一の位置(供給位置)から、単一の樹脂溜部へと樹脂材料が供給されることになる。
【0005】
しかしながら、近年、樹脂成形品の大型化に伴って、樹脂溜部から樹脂成形部への樹脂材料の供給に要する時間が長くなり、樹脂成形品の製造効率の悪化が懸念されている。従って、製造効率の観点からは、複数の樹脂溜部を設け、複数の樹脂溜部に供給された樹脂材料を用いて、樹脂溜部から樹脂成形部への樹脂材料の供給を並行して行うことが望まれている。この場合には、複数の位置において(複数の樹脂溜部に対して)樹脂材料を供給可能な樹脂供給機構が必要となる。
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、複数の位置において樹脂材料を供給可能な樹脂供給機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、この課題を解決するため、本発明に係る樹脂供給機構は、樹脂材料を収容した容器を保管する容器保管部と、前記容器保管部に保管された前記容器を所定の上昇位置まで上昇させる昇降機構と、前記上昇位置にある前記容器のキャップを開封するキャップ開封機構と、前記キャップ開封機構により開封された前記容器を横方向に移動させ、複数の樹脂供給位置のうちいずれかの位置まで移動させる横移動機構と、前記樹脂供給位置にある前記容器を回転させることで、前記容器に収容された樹脂材料を排出する回転機構と、を備えたものである。
【0008】
また、本発明に係る樹脂成形装置は、前記樹脂供給機構を備えたものである。
【0009】
また、本発明に係る樹脂成形品の製造方法は、前記樹脂成形装置を用いて樹脂成形品を製造するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の位置において樹脂材料を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る樹脂成形装置の全体的な構成を示した平面模式図。
図2】本発明の一実施形態に係る樹脂供給装置の全体的な構成を示した正面図。
図3】樹脂供給装置の右部を示した拡大正面図。
図4】容器保管部に容器が保管された様子、及び容器が搬出される様子を示した図。
図5】(a)回転機構、横移動機構及びキャップ開封機構を示した拡大正面図。(b)同じく、拡大右側面図。
図6】樹脂供給装置の上部を示した拡大正面図。
図7】(a)樹脂収容部を示した拡大右側面図。(b)樹脂収容部に樹脂材料が供給される様子を示した拡大右側面図。
図8】(a)回転機構が容器を保持する様子を示した正面図。(b)回転機構が容器を縦に回転させる様子を示した右側面図。(c)キャップ開封機構が容器のキャップを回転させる様子を示した右側面図。(d)キャップが容器から取り外された状態を示した右側面図。(e)キャップ開封機構が容器にキャップを取り付ける様子を示した右側面図。(f)回転機構が容器を横に回転させる様子を示した右側面図。
図9】容器が右側の樹脂収容部まで移動する様子を示した拡大正面図。
図10】容器が回収される様子を示した拡大正面図。
図11】容器が左側の樹脂収容部まで移動する様子を示した拡大正面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
【0013】
まず、図1を用いて、本実施形態に係る樹脂成形装置1の構成について説明する。樹脂成形装置1は、半導体チップなどの電子部品を樹脂封止し、樹脂成形品を製造するものである。特に本実施形態では、キャビティ内の樹脂材料を圧縮して成形する圧縮成形方式(コンプレッション方式)を採用した樹脂成形装置1を例示している。
【0014】
樹脂成形装置1は、構成要素として、基板搬入搬出モジュール10、基板受け渡しモジュール20、成形モジュール30、樹脂供給モジュール40及び制御部50を具備する。各構成要素は、他の構成要素に対して着脱可能かつ交換可能である。
【0015】
基板搬入搬出モジュール10は、電子部品を装着した基板Pを搬入すると共に、電子部品が樹脂封止された基板Pを搬出するものである。本実施形態においては、比較的大型の基板Pを用いることを想定している。例えば、基板Pは、1辺が450mm以上、500mm以上、又は600mm以上の矩形板状に形成される。基板搬入搬出モジュール10は、主として搬入部11、搬出部12、検査部13及びアーム機構14を具備する。
【0016】
搬入部11は、樹脂封止されていない基板Pが配置される部分である。搬出部12は、樹脂封止された基板Pが配置される部分である。搬入部11及び搬出部12は、それぞれ基板Pを複数収容することができる。
【0017】
検査部13は、樹脂封止された基板Pの検査を行う部分である。検査部13は、樹脂封止された基板Pを載置する載置部、基板Pを検査する検査機構(不図示)等を具備する。
【0018】
アーム機構14は、基板Pを移動させるものである。アーム機構14は、基板Pを吸着する吸着ハンド部14a、吸着ハンド部14aが取り付けられるアーム部14b、アーム部14bを適宜回転させたり移動させたりする駆動部14c等を具備する。
【0019】
基板受け渡しモジュール20は、基板搬入搬出モジュール10と後述する成形モジュール30との間で基板Pの受け渡しを行う部分である。基板受け渡しモジュール20は、主としてローダ21及びアンローダ22を具備する。
【0020】
ローダ21は、樹脂封止されていない基板Pをアーム機構14から受け取り、後述する成形モジュール30の成形型31へと搬送するものである。アンローダ22は、樹脂封止された基板Pを後述する成形型31から受け取り、基板搬入搬出モジュール10へと搬送するものである。ローダ21及びアンローダ22は、左右方向に延びるレールLに沿って移動することができる。本実施形態においては、ローダ21とアンローダ22は、一体的に移動するように互いに連結されている。
【0021】
成形モジュール30は、後述する樹脂供給モジュール40から供給される樹脂材料を用いて、基板Pに装着された電子部品を樹脂封止するものである。本実施形態においては、成形モジュール30は2つ並べて配置される。2つの成形モジュール30によって基板Pの樹脂封止を並行して行うことで、樹脂成形品の製造効率を向上させることができる。成形モジュール30は、主として成形型31等を具備する。
【0022】
成形型31は、溶融した樹脂材料を用いて、基板Pに対して圧縮成形するものである。成形型31は上下一対の型(上型及び下型)を具備する。下型には、樹脂材料が収容される凹状のキャビティ(不図示)が形成される。また成形型31には、樹脂材料を溶融させるためのヒーター(不図示)が設けられる。
【0023】
樹脂供給モジュール40は、成形モジュール30の成形型31に樹脂材料を供給するものである。樹脂供給モジュール40は、主として樹脂供給機構100、小トレイ41、小トレイ搬送機構42、大トレイ43及び大トレイ搬送機構44を具備する。
【0024】
樹脂供給機構100は、後述する小トレイ41に樹脂材料を供給するものである。樹脂供給機構100は、並行して2つの小トレイ41に樹脂材料を供給することができる。なお、樹脂供給機構100の詳細な構成については後述する。
【0025】
小トレイ41は、樹脂供給機構100から受け取った樹脂材料を、後述する大トレイ43へと供給するものである。小トレイ41は、上面に樹脂材料を保持することができる。小トレイ41は、平面視における大きさが、後述する大トレイ43の大きさの4分の1程度となるように形成される。
【0026】
小トレイ搬送機構42は、小トレイ41を適宜の位置に搬送するものである。小トレイ搬送機構42は、樹脂供給機構100と大トレイ43との間で、小トレイ41を往復させるように搬送することができる。
【0027】
大トレイ43は、小トレイ41から受け取った樹脂材料を、成形モジュール30の成形型31へと供給するものである。大トレイ43は、上面に樹脂材料を保持することができる。大トレイ43は、成形型31のキャビティの平面形状に対応した平面形状(例えば、矩形状)となるように形成される。
【0028】
大トレイ搬送機構44は、大トレイ43を適宜の位置に搬送するものである。大トレイ搬送機構44は、左右方向に延びるレールLに沿って移動することができる。
ここで、小トレイ41、大トレイ43について、説明を補足する。ここでの「トレイ」とは、内部に顆粒状の樹脂材料を収容可能なものであればよく、その樹脂材料収容部は単一でも複数でもよい。例えば、トレイとして、樹脂材料収容部が複数の領域に分割されており、下方に設けられたシャッター機構を用いて、複数の樹脂材料収容部に収容された樹脂材料を落下させる構成を採用することができる。また、トレイとして、長手方向に沿って一部が開口され内部がくり貫かれたような円筒形状の部材を複数一方向に並ぶように配列し、それら円筒形状の複数の部材を回転させて、円筒形状の複数の部材の内部空間に収容された樹脂材料を落下させる構成も採用することができる。
【0029】
制御部50は、樹脂成形装置1の各モジュールの動作を制御するものである。制御部50によって、基板搬入搬出モジュール10、基板受け渡しモジュール20、成形モジュール30及び樹脂供給モジュール40の動作が制御される。また、制御部50を用いて、各モジュールの動作を任意に変更(調整)することができる。
【0030】
次に、上述の如く構成された樹脂成形装置1の動作(樹脂成形品の成形方法)の概要について説明する。
【0031】
まず、搬入部11に配置された樹脂封止されていない基板Pが、アーム機構14によってローダ21へと搬送される。
【0032】
次に、ローダ21がレールLに沿って移動し、基板Pを一方の成形モジュール30へと搬送する。成形モジュール30に搬送された基板Pは、成形型31の上型に吸着されて保持される。
【0033】
次に、成形型31の下型を覆うように、離型フィルムが配置される。
【0034】
次に、樹脂供給モジュール40から、成形モジュール30の成形型31に樹脂材料が供給される。ここで、樹脂供給モジュール40では、予め樹脂供給機構100から供給される樹脂材料が、小トレイ41を介して大トレイ43へと供給されている。小トレイ41は大トレイ43の4分の1程度の大きさとなるように形成されているため、延べ4つの小トレイ41によって、大トレイ43全体に略均一に樹脂材料が供給される。
【0035】
大トレイ搬送機構44がレールLに沿って移動することで、樹脂材料を保持した大トレイ43が成形モジュール30の成形型31まで搬送される。その後、大トレイ43の樹脂材料が成形型31(下型)のキャビティに供給される。大トレイ搬送機構44は、成形型31に樹脂材料を供給した後、樹脂供給モジュール40へと戻る。
【0036】
次に、成形型31のヒーターによって樹脂材料が溶融される。その後、下型と上型が互いに近づいて基板Pの電子部品が樹脂材料に浸漬された状態で、樹脂材料に適宜圧力が加えられる。この状態で樹脂材料が硬化することで、電子部品が樹脂封止された基板Pを得ることができる。
【0037】
次に、アンローダ22がレールLに沿って移動し、電子部品が樹脂封止された基板Pを成形型31から受け取る。この際、アンローダ22と共に移動してきたローダ21によって、新たな基板Pを成形型31に配置することができる。その後アンローダ22は、レールLに沿って移動し、基板受け渡しモジュール20へと戻る。
【0038】
次に、アンローダ22に保持された基板Pが、アーム機構14によって検査部13へと搬送される。検査部13において、電子部品が樹脂封止された基板Pの検査が行われる。
【0039】
次に、検査が終了した基板Pが、アーム機構14によって搬出部12へと搬送される。搬出部12に配置された基板Pは、外部へと適宜搬出される。
【0040】
以上のように、基板Pに装着された電子部品を樹脂封止することで、樹脂成形品を製造することができる。なお、上記の動作説明では説明を省略しているが、本実施形態の樹脂成形装置1では、2つ設けられた成形モジュール30によって、基板Pの樹脂封止を並行して行うことができる。具体的には、一方の成形モジュール30によって樹脂封止(樹脂材料の溶融や、基板Pへの押圧等)が行われている際に、もう一方の成形モジュール30に樹脂材料を供給したり、基板Pの樹脂封止を行ったりすることができる。このようにして、樹脂成形品(電子部品が樹脂封止された基板P)を効率よく製造することができる。
【0041】
以下では、図2から図11を用いて、樹脂供給モジュール40の樹脂供給機構100について具体的に説明する。
【0042】
樹脂供給機構100は、主として筐体110、容器保管部120、昇降機構130、回転機構140、横移動機構150、キャップ開封機構160、樹脂収容部170、集塵機構180、容器回収部190、及び空調装置200を具備する。
【0043】
図2に示す筐体110は、樹脂供給機構100を構成する各部(後述する容器保管部120等)を収容するものである。筐体110は、適宜の枠体や壁面等により、適宜の形状を有する箱状に形成される。容器保管部120等を筐体110内に収容することにより、樹脂材料の粉末などの塵挨が樹脂供給機構100の外部に漏れ出すのを抑制し、外部の空気が汚染されるのを抑制することができる。
【0044】
図2から図4に示す容器保管部120は、樹脂材料が収容される容器Cを保管する部分である。容器Cは、底を有する略円筒状に形成されている(例えば、図5等参照)。容器Cの長手方向一端部に形成された開口部は、キャップC1によって閉塞されている。本実施形態では、顆粒状の樹脂材料を用いることを想定しており、その樹脂材料が所定量だけ容器Cに収容されている。なお、樹脂材料としては、顆粒状のものだけでなく、粉末状や液状など任意の形態のものを用いることが可能である。容器保管部120は、主として側壁121、傾斜面122、下側ストッパ123及び上側ストッパ124を具備する。
【0045】
側壁121は、容器Cの左右方向への移動を規制するものである。側壁121は、互いに向かい合うように左右一対設けられる。左右一対の側壁121の間隔は、容器Cの直径と略同一となるように形成される。
【0046】
傾斜面122は、容器保管部120から搬出される容器Cを案内するためのものである。傾斜面122は、一方の側壁121(本実施形態では、右側の側壁121)の下端部から、左下方に向かって傾斜するように配置される。
【0047】
下側ストッパ123は、容器Cの落下を規制するものである。下側ストッパ123は、一方の側壁121(本実施形態では、右側の側壁121)の下端部近傍に設けられる。側壁121には、下側ストッパ123が容器Cに向かって突出できるようスリットが設けられている。下側ストッパ123は、適宜のアクチュエータ(例えば、エアシリンダ等)によって、伸縮することができる。下側ストッパ123は、アクチュエータの動作によって収縮された状態では、全体が側壁121の右側に位置している。また下側ストッパ123は、アクチュエータの動作によって伸長すると、先端(左端)が側壁121から左方へと突出する。
【0048】
上側ストッパ124は、容器Cの落下を規制するものである。上側ストッパ124は、下側ストッパ123の上方に配置される。上側ストッパ124は、下側ストッパ123と所定の間隔(容器Cの直径と略同一の間隔)をあけて配置される。上側ストッパ124の構成は、下側ストッパ123と同様である。すなわち、上側ストッパ124が伸長すると、先端(左端)が側壁121から左方へと突出する。
【0049】
なお、通常時(容器保管部120に容器Cが保管されている状態)においては、下側ストッパ123のみが伸長され、上側ストッパ124は収縮されている(図4(a)参照)。すなわち、下側ストッパ123のみが側壁121の左方へと突出した状態となっている。
【0050】
このように構成された容器保管部120において、容器Cを複数保管することができる。具体的には、作業者によって筐体110に設けられた適宜の扉が開放され、一対の側壁121の間に容器Cが配置される。この際、容器Cは、長手方向を横(前後)に向けた状態(より詳細には、キャップC1を前方に向けた状態)で配置される。容器Cは自重によって一対の側壁121の間を下方へと移動(落下)しようとするが、下側ストッパ123によって容器Cの移動が規制される(図4(a)参照)。これによって、容器Cを一対の側壁121の間に保持することができる。また、容器Cを上下に積み重なるように配置することで、容器保管部120に複数の容器Cを保管することができる。
【0051】
また容器保管部120は、必要に応じて、後述する昇降機構130へと容器Cを1つずつ搬出することができる。具体的には、図4(b)に示すように、まず上側ストッパ124が伸長され、下から2番目の容器Cの下方への移動が規制される。次に図4(c)に示すように、下側ストッパ123が収縮され、最も下の容器Cの規制が解除される。これによって最も下の容器Cが自重で下方へ移動し、傾斜面122の上面を転がって左方に配置された昇降機構130へと案内される。最後に、図4(d)に示すように、下側ストッパ123が伸長され、上側ストッパ124が収縮される。これによって、容器保管部120に残った容器Cが下方へと移動する。
【0052】
図2から図4に示す昇降機構130は、容器保管部120から搬出された容器Cを昇降させるものである。昇降機構130は、主として載置部131、レール132、移動部133及びモータ134を具備する。
【0053】
載置部131は、容器Cが載置される部分である。載置部131は、前後一対の板状の部材により形成される(図5(b)参照)。載置部131の上面は、左右中央が下方に向かって凹むような形状(正面視略V字状)に形成された凹部131aを具備する。凹部131aに横向きの容器Cを載置することで、容器Cが左右に転がらないように保持することができる。
【0054】
図3に示すレール132は、載置部131を上下に移動可能となるように案内するものである。レール132は、上下方向に延びる適宜の部材により形成される。レール132は、容器保管部120の左方に配置される。
【0055】
移動部133は、レール132に対して上下(レール132の長手方向)に移動可能に設けられる部分である。移動部133には、載置部131が固定される。
【0056】
モータ134は、移動部133を上下に移動させるための駆動力を発生させるもの(駆動源)である。モータ134は、適宜の動力伝達機構を介して移動部133と連結される。モータ134の動作(回転方向や回転速度等)を制御することで、移動部133(ひいては載置部131)を任意の位置まで上下に昇降させることができる。
【0057】
図2図3及び図5に示す回転機構140は、容器Cを保持すると共に、所定の向きに回転させるものである。回転機構140は、主としてモータ141、ベース部142及び把持部143を具備する。
【0058】
図5に示すモータ141は、後述するベース部142を回転させるための駆動力を発生させるもの(駆動源)である。モータ141は、出力軸(不図示)が右方を向くように配置される。
【0059】
ベース部142は、後述する把持部143を支持する部分である。ベース部142の左端部は、モータ141の出力軸に連結される。これによって、ベース部142は、モータ141の出力軸と共に回転することができる。
【0060】
把持部143は、容器Cを把持する部分である。把持部143は左右一対設けられる。把持部143は、ベース部142に対して左右に移動可能となるように設けられる。把持部143は、適宜のアクチュエータ(不図示)の駆動力によって左右に移動することができる。
【0061】
このように構成された回転機構140は、後述する横移動機構150に支持される。図8(a)に示すように、左右一対の把持部143の間に容器Cが配置された状態で、把持部143を互いに近づくように移動させることで、把持部143で容器Cを挟み込んで保持することができる。この状態でモータ141を駆動させることで、容器Cを任意の向きに回転させることができる。例えば図8(b)には、容器CのキャップC1が上を向くように回転させた様子を示している。
【0062】
図2図5及び図6に示す横移動機構150は、容器Cを横方向(左右方向)に移動させるものである。横移動機構150は、主としてレール151、移動部152及びモータ153を具備する。
【0063】
図5及び図6に示すレール151は、後述する移動部152を横方向(水平方向)に移動可能となるように案内するものである。レール151は、左右方向に延びる適宜の部材により形成される。レール151は、昇降機構130の上方(レール132の上端部近傍)から左方に向かって延びるように配置される。
【0064】
移動部152は、レール151に対して左右(レール151の長手方向)に移動可能に設けられる部分である。移動部152には、回転機構140が設けられる。
【0065】
モータ153は、移動部152を左右に移動させるための駆動力を発生させるもの(駆動源)である。モータ153は、適宜の動力伝達機構を介して移動部152と連結される。モータ153の動作(回転方向や回転速度等)を制御することで、移動部152(ひいては回転機構140)を任意の位置まで左右に移動させることができる。なお、便宜上、図5(b)においてはモータ153の図示を省略している。
【0066】
図2図5及び図6に示すキャップ開封機構160は、容器CのキャップC1を開封するものである。キャップ開封機構160は、昇降機構130の上方(回転機構140及び横移動機構150よりも上側)に配置される。キャップ開封機構160は、主としてモータ161、把持部162及び昇降シリンダ163を具備する。
【0067】
図5及び図6に示すモータ161は、後述する把持部162を回転させるための駆動力を発生させるもの(駆動源)である。モータ161は、出力軸161aが下方を向くように配置される。
【0068】
把持部162は、容器CのキャップC1を把持する部分である。把持部162は、モータ161の出力軸161aの下端部に複数設けられる。把持部162は、出力軸161aに対して揺動可能に設けられる。把持部162は、適宜のアクチュエータ(例えば、エアシリンダ等)によって、任意に揺動させることができる。複数の把持部162の下端部を互いに近づくように揺動させることで、容器CのキャップC1を把持することができる。
【0069】
図5(b)に示す昇降シリンダ163は、モータ161を上下に移動(昇降)させるためのものである。昇降シリンダ163は、上下に伸縮可能となるように配置される。昇降シリンダ163は、モータ161に連結される。昇降シリンダ163を伸縮させることで、モータ161を昇降させることができる。
【0070】
このように構成されたキャップ開封機構160によって、容器CのキャップC1を開封することができる。具体的には、容器CからキャップC1を取り外す場合、図8(c)に示すように、回転機構140に保持された容器CのキャップC1を把持部162で把持した状態で、モータ161を駆動させる。これによって、容器Cに対してキャップC1を回転させることができる。これに伴って昇降シリンダ163でモータ161を徐々に上昇させることで、図8(d)に示すように、キャップC1を容器Cから取り外すことができる。
【0071】
また、容器CにキャップC1を取り付ける場合、図8(e)に示すように、取り外されたキャップC1を把持部162で把持した状態で、モータ161を駆動させる。この状態で、昇降シリンダ163でモータ161を徐々に下降させることで、回転機構140に保持された容器CにキャップC1を取り付けることができる。
【0072】
図2図6及び図7に示す樹脂収容部170は、容器Cから小トレイ41に供給される樹脂材料を一旦収容する部分である。樹脂収容部170は、横移動機構150のレール151に沿って複数(本実施形態では2つ)設けられる。なお、図7には、2つの樹脂収容部170のうち、右側の樹脂収容部170を右方から見た様子(右側面図)を示している。樹脂収容部170は、主として案内部171、ストッカ172、第一フィーダ173、樹脂供給部174及び第二フィーダ175を具備する。
【0073】
図6及び図7に示す案内部171は、容器Cから排出される樹脂材料を、後述するストッカ172へと案内する部分である。案内部171は、上下が開口した筒状に形成される。案内部171は、上部に比べて下部が狭くなるような略漏斗状に形成される。
【0074】
ストッカ172は、容器Cから排出された樹脂材料を一旦保持し、後述する樹脂供給部174へと供給するものである。ストッカ172は、上部が開口された略箱状に形成される。ストッカ172の底部には、収容された樹脂材料を下方(樹脂供給部174)へと供給するための供給口(不図示)が形成される。ストッカ172には、センサ172aが設けられる。
【0075】
センサ172aは、ストッカ172に所定の量の樹脂材料が収容されているか否かを検出するためのものである。センサ172aは、例えば反射形光電センサにより構成することができるが、透過形センサにより構成してもよい。
【0076】
第一フィーダ173は、ストッカ172から樹脂材料を排出するためのものである。第一フィーダ173は、ストッカ172の下部に設けられ、ストッカ172を振動させることができる。第一フィーダ173によってストッカ172を振動させることで、ストッカ172の供給口から樹脂材料を徐々に落下させ、下方に配置された樹脂供給部174へと供給することができる。
【0077】
図6に示す樹脂供給部174は、樹脂材料を小トレイ41へと供給するものである。樹脂供給部174は、上部が開口された略箱状に形成される。樹脂供給部174の底部には、収容された樹脂材料を下方(小トレイ41)へと供給するための供給口(不図示)が形成される。また、樹脂供給部174には重量センサ(不図示)が設けられ、樹脂供給部174の重量(ひいては、樹脂供給部174に収容された樹脂材料の重量)を検出することができる。
【0078】
第二フィーダ175は、樹脂供給部174から樹脂材料を排出するためのものである。第二フィーダ175は、樹脂供給部174の下部に設けられ、樹脂供給部174を振動させることができる。第二フィーダ175によって樹脂供給部174を振動させることで、樹脂供給部174の供給口から樹脂材料を徐々に落下させ、下方に配置された小トレイ41(図1参照)へと供給することができる。
【0079】
このように構成された樹脂収容部170によって、樹脂材料が収容されると共に、小トレイ41へと樹脂材料を適宜供給することができる。具体的には、ストッカ172には、容器Cから供給された樹脂材料が収容される。樹脂供給部174には、所定の量の樹脂材料が常時収容されるように、重量センサの検出値に基づいてストッカ172から樹脂材料が適宜供給される。樹脂供給部174に収容された樹脂材料は、適宜のタイミングで小トレイ41へと供給される。また、ストッカ172に収容された樹脂材料が減ってきたことがセンサ172aによって検出された場合、後述するように容器Cの樹脂材料がストッカ172へと供給される。
【0080】
図2及び図3に示す集塵機構180は、筐体110内の空気を吸引することで、樹脂材料の粉末などの塵挨を回収するものである。集塵機構180は、主として本体部181、吸引口182及びホース183を具備する。
【0081】
図3に示す本体部181は、空気を吸引するためのファンや、塵挨を回収するフィルタ等がユニット化されたものである。本体部181は、筐体110の適宜の箇所に配置される。
【0082】
吸引口182は、筐体110内の空気を吸引するための開口である。吸引口182は、樹脂収容部170の案内部171の左右にそれぞれ配置される。
【0083】
ホース183は、本体部181と吸引口182を接続するものである。ホース183は適宜分岐され、複数の吸引口182にそれぞれ接続される。
【0084】
図2及び図3に示す容器回収部190は、樹脂収容部170へと樹脂材料を供給して空になった容器Cを回収する部分である。容器回収部190は、主として回収ボックス191及び傾斜面192を具備する。
【0085】
図3に示す回収ボックス191は、空になった容器Cが収容されるものである。回収ボックス191は、上部が開口された略箱状に形成される。回収ボックス191は、容器保管部120の下方に配置される。
【0086】
傾斜面192は、容器Cを回収ボックス191へと案内するものである。傾斜面192は、容器保管部120の傾斜面122の左下方に配置される。傾斜面192は、回収ボックス191の左上端部から、左上方に向かって傾斜するように配置される。傾斜面192は、昇降機構130の載置部131が昇降する経路の中途部(下部)に配置される。傾斜面192には、昇降機構130の載置部131が上下に通過可能なスリット(不図示)が形成される。
【0087】
図2及び図3に示す空調装置200は、筐体110内の温度や湿度を調整するものである。空調装置200は、主として本体部201及びホース202を具備する。
【0088】
図3に示す本体部201は、空気の冷却及び除湿を行うものである。図3において、本体部201は、筐体110の外部に配置されるが、ホース202を含めて空調装置200の全体が筐体110の内部に配置されてもよい。本体部201は、筐体110の外部の空気を取り込んで、適宜冷却及び除湿することができる。
【0089】
ホース202は、本体部201で冷却及び除湿された空気を筐体110内へと案内するものである。ホース202は、本体部201と筐体110の適宜の箇所にそれぞれ接続される。ホース202を介して筐体110へと冷却及び除湿された空気を供給することによって、筐体110内の温度や湿度を適宜調整することができる。
【0090】
次に、上述の如く構成された樹脂供給機構100の動作(具体的には、容器Cに収容された樹脂材料を樹脂収容部170へと供給する動作)について説明する。
【0091】
ストッカ172に設けられたセンサ172aによって、ストッカ172内の樹脂材料がある程度減った(ストッカ172に収容された樹脂材料が所定の量未満になった)ことが検出された場合、容器Cに収容された樹脂材料の樹脂収容部170への供給が開始される。なお、以下の動作説明は、2つの樹脂収容部170のうち、右側の樹脂収容部170のストッカ172内の樹脂材料が減った場合を想定している。
【0092】
まず、図3に示すように、容器保管部120によって、保管された容器Cのうち1つ(最も下の容器C)が昇降機構130へと搬出される。昇降機構130へと搬出された容器Cは、載置部131の凹部131aに載置される。
【0093】
次に、図3及び図6に示すように、昇降機構130によって容器Cが持ち上げられ、回転機構140により保持可能となる上昇位置に配置される。この状態で、回転機構140によって容器Cが保持され(図8(a)参照)、キャップC1が上を向くように回転される(図8(b)参照)。
【0094】
次に、図8(c)及び図8(d)に示すように、キャップ開封機構160によって容器CのキャップC1が開封される。
【0095】
次に、図9に示すように、横移動機構150による回転機構140(ひいては、容器C)の左方への移動が開始される。また、横移動機構150による容器Cの移動の開始のタイミングに基づいて、集塵機構180が作動される。ここでは、横移動機構150による容器Cの移動が開始すると、本体部181のファンが作動され、吸引口182からの吸引が開始される。集塵機構180を作動させることで、開封された容器Cから出る塵挨等を吸引することができる。容器Cは、樹脂収容部170への樹脂材料の供給が可能となる位置(樹脂供給位置)で停止される。具体的には、容器Cは、右側の樹脂収容部170(案内部171)と正面視で重複する位置で停止される。なお、集塵機構180の作動の開始は、横移動機構150による容器Cの移動の開始のタイミングに対して一定時間前後させるなど、横移動機構150による容器Cの移動の開始のタイミングに基づいて制御することができる。
【0096】
次に、図7(b)に示すように、回転機構140によって容器Cが回転される。これによって、容器Cの開口部が下方に向けられ、容器C内の樹脂材料が案内部171を介してストッカ172へと供給される。
【0097】
容器Cが下方に向けられた状態で所定の時間が経過すると、回転機構140によって容器Cの開口部が再び上方に向けられる。
【0098】
なお、容器C内の樹脂材料がストッカ172へと供給され、センサ172aによってストッカ172に所定の量の樹脂材料が収容されていることが検出された場合、集塵機構180が停止される。
【0099】
一方、容器C内の樹脂材料がストッカ172へと供給されても、センサ172aによってストッカ172に所定の量の樹脂材料が収容されていないことが検出された場合、集塵機構180は停止されず、継続して作動される。
【0100】
容器Cの開口部が上方に向けられた後、横移動機構150によって容器Cが右方へと移動される。容器Cは、キャップ開封機構160のすぐ下方で停止される。
【0101】
次に、図8(e)に示すように、キャップ開封機構160によって容器CのキャップC1が取り付けられる。さらに、図8(f)に示すように、回転機構140によって容器Cが横向きに(キャップC1が前方を向くように)回転される。
【0102】
次に、図10に示すように、回転機構140による容器Cの保持が解除され、昇降機構130によって容器Cが下方へと移動される。載置部131が傾斜面192のスリットを通過して傾斜面192より下方へ移動する際に、載置部131に載置された容器Cは傾斜面192に案内されて回収ボックス191内に回収される。
【0103】
このようにして、1つの容器Cに収容された樹脂材料の樹脂収容部170への供給が完了する。ここで、未だにストッカ172内の樹脂材料が少ない(センサ172aによってストッカ172に所定の量の樹脂材料が収容されていないことが検出されている場合)、さらにもう1つの容器Cの樹脂材料が、ストッカ172へと供給される。このようにして、ストッカ172に所定の量の樹脂材料が収容されるまで、容器Cの樹脂材料が繰り返しストッカ172へと供給される。その間、集塵機構180は作動を継続することになる。
【0104】
なお、上記動作説明では、右側のストッカ172の樹脂材料が減った場合を例示したが、左側のストッカ172の樹脂材料が減った場合も同様にして、容器Cの樹脂材料が供給される。この場合、図11に示すように、横移動機構150によって、容器Cが左側の樹脂収容部170(案内部171)と正面視で重複する位置まで移動され、容器Cの樹脂材料が左側のストッカ172へと供給される。
【0105】
このように本実施形態では、横移動機構150によって、容器Cを複数の位置(左右の樹脂収容部170に対応する位置)へと移動させることができる。これによって、複数個所に設けられた樹脂収容部170へと樹脂材料を供給することができる。このようにして樹脂材料が供給された複数の樹脂収容部170から並行して小トレイ41へと樹脂材料を供給することができるため、樹脂成形品の製造効率を向上させることができる。
【0106】
また、集塵機構180の作動は適宜のタイミングで開始及び停止される。すなわち、集塵機構180は、間欠的に集塵を行うことになる。これによって、集塵を行いながらも、空調装置200によって調整された筐体110内の温度や湿度が乱されるのを抑制することができる。ここで、集塵機構180の作動を停止させるタイミングは、例えば、樹脂供給後の容器Cに対してキャップ開封機構160によりキャップC1が取り付けられたタイミングに基づいて制御したり、樹脂供給後の容器Cが回収ボックス191内に回収されるタイミングに基づいて制御したり、センサ172aによって、ストッカ172に所定の量の樹脂材料が収容されたことを検出したことに基づいて制御したりすることができる。
【0107】
以上の如く、本実施形態に係る樹脂供給機構100は、
樹脂材料を収容した容器Cを保管する容器保管部120と、
前記容器保管部120に保管された前記容器Cを所定の上昇位置まで上昇させる昇降機構130と、
前記上昇位置にある前記容器CのキャップC1を開封するキャップ開封機構160と、
前記キャップ開封機構160により開封された前記容器Cを横方向に移動させ、複数の樹脂供給位置のうちいずれかの位置まで移動させる横移動機構150と、
前記樹脂供給位置にある前記容器Cを回転させることで、前記容器Cに収容された樹脂材料を排出する回転機構140と、
を備えるものである。
【0108】
このように構成することにより、複数の位置において樹脂材料を供給することができる。すなわち、横移動機構150によって複数の位置(樹脂供給位置)に容器Cを移動させ、樹脂材料を供給することができる。これによって、複数の箇所(本実施形態では、複数の樹脂収容部170)へと樹脂材料を供給し、同様の製造工程(本実施形態では、小トレイ41への樹脂材料の供給)を並行して行うことができ、ひいては製造の効率化を図ることができる。
【0109】
また、樹脂供給機構100は、
前記複数の樹脂供給位置に対応するように配置され、前記容器Cから排出される樹脂材料を収容する複数の樹脂収容部170をさらに備えるものである。
【0110】
このように構成することにより、製造の効率化を図ることができる。すなわち、複数の樹脂収容部170に供給された樹脂材料を用いて、小トレイ41への樹脂材料の供給を並行して行うことができる。これによって、樹脂成形品(基板P)の大型化が進み、樹脂成形に必要な樹脂材料が増加しても、製造効率の悪化を抑制(製造効率の向上)を図ることができる。
【0111】
また、樹脂供給機構100は、
樹脂材料が排出された前記容器Cを回収する容器回収部190をさらに備えるものである。
【0112】
このように構成することにより、製造の効率化を図ることができる。すなわち、空になった容器Cを、その都度作業者が取り出す作業が不要となるため、製造の効率化を図ることができる。また、本実施形態のように、筐体110内に容器回収部190を設けることで、空になった容器Cからの塵挨等が樹脂供給機構100の外部に漏れ出すのを抑制することができる。
【0113】
また、樹脂供給機構100は、
前記容器Cが移動する空間(筐体110内)の集塵を行う集塵機構180をさらに備えるものである。
【0114】
このように構成することにより、空気や各部の汚染を抑制することができる。すなわち、容器Cの移動に伴って、容器Cに収容された樹脂材料の粉末等が筐体110内に飛散する可能性がある。そこで、筐体110内の集塵を行うことで、飛散した塵挨を回収し、空気や各部の汚染を抑制することができる。また、これに伴って筐体110外部への塵挨の流出を抑制することができるため、筐体110外部の空気の汚染も抑制することができる。
【0115】
また、前記集塵機構180は、間欠的に集塵を行うものである。
【0116】
このように構成することにより、筐体110内の集塵を行いながらも、筐体110内の温度や湿度が乱されるのを抑制することができる。特に本実施形態のように、空調装置200で筐体110内の空調を行う場合、空調装置200による筐体110内の空調と、集塵機構180による筐体110内の集塵(筐体110内の汚染の抑制)を両立させることができる。
【0117】
また、前記集塵機構180は、前記横移動機構150による前記容器Cの移動開始のタイミングに基づいて、集塵を開始するものである。
【0118】
このように構成することにより、効率的に集塵を行うことができる。すなわち、容器Cの移動に伴って、容器Cから樹脂材料の粉末等が飛散する可能性が高いと考えられる。そこで、容器Cの移動開始に伴って集塵機構180を作動させることで、効率的に集塵を行うことができる。
【0119】
また、前記容器保管部120は、前記容器Cの長手方向を横に向けた状態で、上下に重なるように複数保管することが可能なものである。
【0120】
このように構成することにより、少ない面積に、より多くの容器Cを保管することができる。すなわち、容器Cを上下に重ねて保管することで、保管に要する面積(前後及び左右の幅)を抑制することができる。また、容器Cの長手方向を横に向けることで、複数の容器Cを積み重ねた際の高さを抑制することができるため、より多くの容器Cを保管することができる。
【0121】
また、本実施形態に係る樹脂成形装置1は、上記樹脂供給機構100を備えるものである。
【0122】
このように構成することにより、複数の位置において樹脂材料を供給することができ、ひいては製造の効率化を図ることができる。
【0123】
また、本実施形態に係る樹脂成形品の製造方法は、上記樹脂成形装置1を用いて樹脂成形品を製造するものである。
【0124】
このように構成することにより、複数の位置において樹脂材料を供給することができ、ひいては製造の効率化を図ることができる。
【0125】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術的思想の範囲内で適宜の変更が可能である。
【0126】
例えば、本実施形態においては、コンプレッション方式の樹脂成形装置1を例示したが、本発明はこれに限るものではなく、他の方式(例えば、溶融した樹脂をキャビティ内に移送して硬化させるトランスファ方式等)を採用することも可能である。
【0127】
また、本実施形態の樹脂成形装置1に用いた構成要素(基板搬入搬出モジュール10等)は一例であり、適宜着脱や交換することが可能である。例えば、基板搬入搬出モジュール10を設けずに、基板Pの搬入搬出を作業者が手動で行うことも可能である。
【0128】
また、本実施形態においては、矩形板状の基板Pを例示したが、本発明はこれに限るものではなく、その他種々の形状(例えば、円形板状等)の基板Pを用いることが可能である。
【0129】
また、本実施形態において例示した各部の具体的な構成(例えば、回転機構140により容器Cを保持して回転させるための構成や、横移動機構150により容器Cを横方向へ移動させるための構成等)は一例であり、任意に変更することが可能である。
【0130】
また、本実施形態において例示した容器Cの形状は一例であり、その他種々の形状(例えば、直方体状等)の容器Cを用いることが可能である。
【0131】
また、本実施形態においては、横移動機構150によって、容器Cを2つの樹脂供給位置(2つの樹脂収容部170)へと移動させる例を示したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、横移動機構150によって、容器Cを3つ以上の樹脂供給位置へと移動させる(すなわち、3つ以上の樹脂収容部170を設ける)構成とすることも可能である。
【0132】
また、本実施形態においては、横移動機構150によって容器Cを一方向(左右方向)へ移動させる例を示したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、横移動機構150によって容器Cを複数の方向(例えば、左右方向及び前後方向)へ移動させるように構成することも可能である。
【0133】
また、昇降機構130による容器Cの移動方向は、必ずしも上下方向(鉛直方向)でなくてもよく、例えば鉛直方向に対して傾斜する方向であってもよい。また、横移動機構150による容器Cの移動方向は、必ずしも水平方向でなくてもよく、例えば水平方向に対して傾斜する方向であってもよい。
【0134】
また、本実施形態においては、集塵機構180により間欠的に集塵を行う例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、常時集塵することも可能である。また、間欠的に集塵を行う場合、集塵機構180の作動の開始及び停止のタイミングは本実施形態のものに限らず、任意に設定することができる。例えば、容器保管部120、昇降機構130、回転機構140及び横移動機構150による容器Cの移動や、キャップ開封機構160による容器CのキャップC1の開閉、並びに空調装置200の作動等に連動して、集塵機構180の作動の開始及び停止のタイミングを設定することができる。
【0135】
また、本実施形態においては、集塵機構180の吸引口182を樹脂収容部170の案内部171の左右に配置した例を示したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、吸引口182は任意の場所に配置することが可能であり、各部の構成に応じて必要な箇所から集塵を行うことが可能である。
【0136】
また、本実施形態においては、空調装置200は、筐体110内の温度及び湿度を調整する例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、温度のみを調整してもよい。
【符号の説明】
【0137】
100 樹脂供給機構
110 筐体
120 容器保管部
130 昇降機構
140 回転機構
150 横移動機構
160 キャップ開封機構
170 樹脂収容部
180 集塵機構
190 容器回収部
C 容器
C1 キャップ
【要約】
【課題】複数の位置において樹脂材料を供給可能な樹脂供給機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】樹脂材料を収容した容器を保管する容器保管部と、前記容器保管部に保管された前記容器を所定の上昇位置まで上昇させる昇降機構と、前記上昇位置にある前記容器のキャップを開封するキャップ開封機構と、前記キャップ開封機構により開封された前記容器を横方向に移動させ、複数の樹脂供給位置のうちいずれかの位置まで移動させる横移動機構と、前記樹脂供給位置にある前記容器を回転させることで、前記容器に収容された樹脂材料を排出する回転機構と、を備える樹脂供給機構。
【選択図】図9
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11