【実施例】
【0049】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかしながら、下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、下記実施例により本発明の内容が限定されるものではない。
【0050】
[準備例]
下記実施例で使用したアモジアキン、メトホルミンは、シグマアルドリッチ社から購入して使用し、シタグリプチンは、Cayman Chemical社から購入して使用し、ダパグリフロジン、エキセナチドは、SUNGWOO BIOPHARM社から購入した。
【0051】
[実施例]
実施例1.アモジアキンによるPPAR−γまたはPPAR−αの活性化の測定
アモジアキンがPPAR−γまたはPPAR−αのリガンドとして作用するかを調べるために、三つのベクターを使用した。pZeoベクターのSV40プロモーターに酵母の転写因子であるGAL4−DBD(DNA binding domain)とヒトPPAR−γ−LBD(ligand binding domain)またはPPAR−α−LBD(ligand binding domain)を発現するベクターとGAL4遺伝子が結合できる塩基配列(5’−CTCGGAGGACAGTACTCCG−3’)が8回繰り返された遺伝子をレポータ遺伝子であるルシフェラーゼに結合させたベクターおよびトランスフェクション対照群としてβ−ガラクトシダーゼを発現するベクターを使用して公知の方法(Cell、68:879−887,1992)により行った。
【0052】
ルシフェラーゼ発現の活性化は、BE(2)C細胞をGAL4−PPAR−γ−LBDプラスミドまたはGAL4−PPAR−α−LBDプラスミドとGAL4−ルシフェラーゼベクター、β−タガラクトシダーゼベクターで形質変形させた6時間後、アモジアキンを20時間処理した細胞を5%CO
2インキュベーターで培養した後に測定した。この際、アモジアキンを濃度別(0.01〜50μM)に一緒に処理した実験群、ジメチルスルホキシド(DMSO)0.3%を処理した対照群、PPAR−γリガンドとして公知となった化合物であるロシグリタゾン(Sigma,USA)を濃度別(0.001〜50μM)に一緒に処理した陽性対照群、PPAR−αリガンドとして公知となった化合物であるWY−14,643(Sigma,USA)を濃度別(0.01〜50μM)に一緒に処理した陽性対照群およびアモジアキンの類似体として公知となった化合物であるクロロキン(Chloroquine)(7−chloro−4−(4−diethylamino−1−methylbutylamino)quinoline)(Sigma,USA)を濃度別(0.001〜50μM)に一緒に処理した陽性対照群を比較した。前記実験結果は、実験群と対照群のt検証を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した。
【0053】
その結果、
図1(a)および
図1(b)に示したように、PPAR−γリガンドとして公知となった化合物であるロシグリタゾンを処理した陽性対照群に比べて、アモジアキンを処理した群が濃度依存的にさらに高いPPAR−γ活性を示すことが分かるが、PPAR−αリガンドとして公知となった化合物であるWY−14,643を処理した陽性対照群およびアモジアキンの類似体として公知となった化合物であるクロロキンでは、PPAR−γ活性が示されなかった。また、
図1(c)および
図1(d)に示したように、PPAR−αリガンドとして公知となった化合物であるWY−14,643を処理した陽性対照群と類似にアモジアキンを処理した群において濃度依存的に高いPPAR−α活性を示したが、PPAR−γリガンドとして公知となった化合物であるロシグリタゾンを処理した陽性対照群およびアモジアキンの類似体として公知となった化合物であるクロロキンでは、PPAR−α活性がないことが分かった。
【0054】
したがって、アモジアキン処理がPPAR−γおよびPPAR−αの活性の両方を促進する効能があることを確認し、前記アモジアキンをPPAR−γと関連した疾病である第2糖尿病等に対する予防または治療用に用いることができることが分かり、PPAR−α信号により調節される肥満、異常脂質血症、心血管系疾患、脂肪肝等に対する予防または治療用に用することができることが分かった。
【0055】
また、
図1(b)および
図1(d)の結果から、アモジアキンは、ベンゼン環とヒドロキシル基が置換されている構造的特徴によってPPAR−γおよびPPAR−αの活性の両方を促進するものであって、アモジアキンの類似体であるとしても、同じ活性を促進しないことが分かった。
【0056】
実施例2.アモジアキンによるC2C12筋管細胞のブドウ糖吸収値(uptake)効果の測定
筋肉、脂肪、間細胞等では、インスリンによる信号伝達によりインスリン受容体の燐酸化が起こり、これに伴い、下位に位置している様々な蛋白質がリン酸化すると、ブドウ糖吸収能が増加するようになって、結果的に血糖を低下させる。したがって、アモジアキンが糖尿病に効果があるか否かを確認するために、ブドウ糖吸収能の評価実験を行った。筋肉細胞であるC2C12筋芽細胞を10%ウシ血清アルブミン(BSA)が入っているDMEMで培養した。細胞密度が約80〜90%になったとき、2%ウマ血清が入っているDMEM培養液に置換して、C2C12筋芽細胞を筋管細胞へ細胞分化を誘導して、完全に分化させた後、実験を行った。完全に分化したC2C12筋管細胞に0.5%BSAが入っているDMEM培地と共にそれぞれ10および30μM濃度のアモジアキンと、ジメチルスルホキシド(DMSO)0.1%およびブドウ糖吸収能の陽性対照群として公知された化合物であるロシグリタゾン(Sigma,USA)50μMをよく混ぜた後、24時間処理した。24時間処理した後、培地を除去し、37℃に維持されるプレートの上でKRP(0.1%BSA+5mMのブドウ糖)バッファー3mlで洗浄して、残余試料を除去した。洗浄は、20分間隔で3回繰り返した。次に、1mlのKRPバッファーを注入し、37℃で標識されない2−DOGと[
3H]2−DOG(Amersham Pharmacia)を共にKRPバッファーに溶かした溶液(0.2mM、0.2μCi)を加えて、正確に10分間処理した。冷たいリン酸緩衝食塩水3mlで洗浄して、ブドウ糖吸収能反応を中止させ、リン酸緩衝食塩水で2回さらに洗浄した後、細胞を1時間程度通風乾燥させた後、0.1%SDS 1mlを加えて、ピペットで押し引きしながら溶解させ、溶解物300μlを取って、液体シンチレーションカウンター(Perkin Elmer,USA)で放射能を測定した。
【0057】
その結果、
図2に示したように、アモジアキン処理群のブドウ糖吸収値が陽性対照群であるロシグリタゾン処理群のブドウ糖吸収値に比べてさらに増加したことを確認した。
【0058】
したがって、前記結果からアモジアキンが細胞内で糖尿病治療剤の代表的な標的蛋白質であるPPAR−γの活性を増加させて、筋肉細胞の内部にブドウ糖吸収を促進させる効果があることが分かった。
【0059】
実施例3.アモジアキンによるマウスの血糖降下効果および血糖調節効果の測定
3−1.アモジアキンおよび陰性対照群の投与
Clea Japan社から購入した5週齢のKKAyを1週間予備飼育した後、5匹ずつ2グループに分けた。
【0060】
第1グループは、リン酸緩衝食塩水を投与して陰性対照群に設定し、第2グループは、アモジアキン18mg/kgの濃度で6週間毎日経口投与した。
【0061】
3−2.マウスの空腹血糖降下効果および血糖調節効果の測定
6週間空腹血糖は、12時間絶食させた後、1、2、5、6週に尾静脈から全血を採取して測定した。血糖の測定には、血糖ストリップ(韓国京畿道、ミドリ十字社)を利用した。前記実験結果は、実験群と対照群のt検証を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(*p<0.05、**p<0.005)。そして、血糖調節効果を確認するために、16時間絶食させた後、対照および実験実行群動物の腹腔に2g/kgのブドウ糖を注入し、血中ブドウ糖量を30分間隔で2時間測定した。血中ブドウ糖量の測定には、糖負荷試験(IPGTT,intraperitoneal glucose tolerance test)を利用した。前記実験結果は、実験群と対照群の集団別t検証を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(*p<0.05、**p<0.005)。
【0062】
その結果、
図3(a)に示したように、空腹血糖は、対照群に比べてアモジアキンを摂取したマウスで顕著に減少したことを確認した。そして、
図3(b)に示したように、対照群に比べてアモジアキン投与群でブドウ糖を投与し、2時間後に血中ブドウ糖が早く減少したことを確認した。具体的に、対照群の空腹血糖は、132.4mg/dlであったが、アモジアキン投与群の空腹血糖は、100.2mg/dlであり、対照群の糖負荷2時間後に、血糖は、293.2mg/dlであったが、アモジアキンの血糖は、207mg/dlだった。
【0063】
したがって、アモジアキンが血中ブドウ糖の濃度を減少させる優れた効果を示すので、アモジアキンを有効成分として含む薬学的組成物が糖尿病の予防または治療のために有用に使用することができることが分かり、空腹血糖を減少させる作用があるので、インスリン抵抗性第2型糖尿病予防剤または治療剤として有用に使用することができることが分かった。
【0064】
実施例4.アモジアキンによる糖化血色素(HbA1C)の含量に及ぼす影響
血液中に分布するブドウ糖の一部が赤血球と堅固に結合をするようになるが、これを糖化血色素(HbA1C)という。血糖調節は、血糖値だけでなく、必ず糖化血色素の数値を共に調査するようになる。これは、糖化血色素1%減少により糖尿による合併症20%以上減少させる効果があるためである。本実施例では、アモジアキン摂取によるマウスの糖化血色素の含量を調べることとした。
【0065】
4−1.アモジアキンおよび陰性対照群の投与
アモジアキンによるマウスの糖化血色素を測定するために、5週齢のKKAyをClea Japan社から購入して、1週間予備飼育した後、5匹ずつ2グループに分けた。前記実施例3と同様に、実験動物の第1グループは、リン酸緩衝食塩水を投与して対照実行群に設定し、第2グループは、アモジアキンを18mg/kgの濃度で6週間毎日1ml注射器を介して経口投与した。
【0066】
4−2.マウスの糖化血色素の測定
アモジアキンの糖化血色素の低下効果を測定するために、対照および実験実行群の動物の尾静脈から全血を採取してeasy A1cカートリッジに注入した後、easy A1cアナライザー(韓国ソウル、アサン製薬社)を利用して測定した。前記実験結果は、実験群と対照群の集団別t検証を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(**p<0.005)。
【0067】
その結果、
図4に示したように、対照群マウスに比べてアモジアキンの摂取マウスで糖化血色素の生成が69%近く抑制されたことを確認した。
【0068】
したがって、アモジアキンが糖化血色素を減少させる効果があることが分かった。
【0069】
実施例5.アモジアキンによる体重減少の測定
5−1.実験動物の設計および実験食の組成
アモジアキンによるマウスの体重減少を測定するために、7週齢のC57BL/6雄マウス(日本東京、チャールズ・リバー・ラボラトリーズ社)を購入して、一定の条件(温度:22±2℃、相対湿度:55±10%、一周期:12時間)で飼育した。7匹を一つの群としてケージで水と飼料を自由供給し、実験前に1週間純化を経て実験に使った。
【0070】
順応期間が終わった後、7個の群に分けて、下記表1のような期間中に飼料とアモジアキンおよび陽性対照群(WY−14,643、ロシグリタゾン)投与を行った。
【0071】
【表1】
【0072】
5−2.マウスの体重変化の測定
体重変化の調査は、正常飼料を給与したマウスと、高脂肪を給与した高脂肪食誘導性マウス、および高脂肪にアモジアキンおよび陽性対照群(WY−14,643およびロシグリタゾン)を投与した高脂肪食誘導性マウスを、1週1回午前10時を基準として21週間電子秤(Dragon 204/S、Mettler Toledo,USA)を使用して体重を測定した。体重平均は、グループ当たり7匹のマウスの体重を合算し、マウス数で割って、それぞれの平均体重とした。前記実験結果は、高脂肪食誘導性対照群と、アモジアキンおよび陽性対照群(WY−14,643およびロシグリタゾン)間の集団別t検定を実施してその有意性を検証し、統計学的に大きく有意な差異を示した(*P<0.05、**P<0.005、***P<0.0005)。
【0073】
実験結果、
図5(a)に示したように、アモジアキン投与群の高脂肪食誘導性マウスの体重は、高脂肪食誘導性肥満マウスの体重より顕著に減少することを観察することができ、陽性対照群(WY−14,643)と類似していることを観察することができた。高脂肪で肥満を誘導した後、アモジアキンを投与した
図5(c)の場合にも、高脂肪食誘導性肥満マウスの体重より顕著に減少することを観察することができた。他方で、PPAR−γの作用剤である陽性対照群(ロシグリタゾン)の場合、高脂肪食誘導性肥満マウスと類似しているか、またはそれよりさらに体重が増加することを確認することができた。
【0074】
5−3.高脂肪食誘導性マウスの飼料摂取量の測定
飼料摂取量の調査は、正常飼料を食べて成長したマウスと、高脂肪を摂取した高脂肪食誘導性マウス、および高脂肪にアモジアキンおよび陽性対照群(WY−14,643およびロシグリタゾン)を投与した高脂肪食誘導性マウスを、毎日午前11時を基準として摂取量を測定した。飼料摂取量の平均は、グループ当たり7匹であるので、7で割って、それぞれの平均飼料摂取量とした。毎日食べた摂取量は、kcalに換算して示した。実験結果、
図5(b)および
図5(d)に示したように、アモジアキンおよび陽性対照群(WY−14,643およびロシグリタゾン)を投与した高脂肪食誘導性マウスの飼料摂取量と高脂肪食誘導性マウスの飼料摂取量との間の差異がないことを観察することができた。
【0075】
前記結果は、アモジアキンが、飼料摂取量に関係なく、マウスの体重を減少させる効果があり、したがって、前記アモジアキンが抗肥満医薬品として用いることができることを示す。
【0076】
実施例6.アモジアキンによる熱生産効果の測定
脂肪細胞は、脂肪の蓄積に作用する白色脂肪細胞と、非常に少ない量であるが、熱生産に作用する褐色脂肪細胞とに区分される。褐色脂肪細胞は、食事後に身体が暖かくなる食事誘導性熱生産作用があり、気温が低くなると、活動が増加し、熱を生産して、体温を維持する機能をする。肥満の実験モデルである遺伝性肥満動物であるob/obマウスは、褐色脂肪細胞の機能が良くないので、4℃の低温に露出させると、体温が次第に下降し、4時間程度後には死んでしまう。褐色脂肪細胞の機能が正確に行われないと、日常温度で熱として失われるエネルギーが少ないので、過剰エネルギーが蓄積されて、肥満が発生する可能性が高い。したがって、本実施例では、アモジアキン投与による高脂肪食誘導性マウスの熱生産能力を調べることとした。
【0077】
6−1.高脂肪食誘導性マウスの熱生産能力の測定
実施例5で設計した実験動物のうち14週間の高脂肪食を摂取したマウスを対象として熱生産能力を測定するために、4℃冷却試験を実施した(Spiegelman B.M.et al,.Cell 92:829−839,1998)。以下、前記測定方法を詳しく説明する。高脂肪食誘導性マウスグループのマウスを4℃に露出させる前に体温を測定して、実験開始測定温度として記録し、4℃ルームに6時間まで露出して毎時ごとに体温を測定した。体温は、マウス用直腸温度計(testo 925,Germany)を利用して測定した。熱生産測定値は、毎時ごとに測定した温度を示した。前記実験結果は、実験群と対照群の集団別t検定を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(*p<0.05、***p<0.0005)。
【0078】
実験結果、
図6に示したように、アモジアキン投与群の高脂肪肥満誘導マウスが、高脂肪肥満誘導マウスに比べて体温の減少が少ないことが確認されて、熱生産効果に優れていることが分かった。
【0079】
したがって、前記結果から本発明によるアモジアキンが高脂肪食誘導性マウスの熱生産活性を高めて、熱として生産されるエネルギーが多いので、肥満になる可能性を低減する効果があることが分かった。
【0080】
実施例7.アモジアキンによるマウスの血糖調節効果の測定
本実施例では、実施例5で設計した実験動物を対象として血糖調節効果を測定するために、糖負荷試験とインスリン負荷試験を実施した。
【0081】
7−1.マウスの経口糖負荷試験の測定
16時間絶食させた後、対照および実験実行群の動物を対象として2g/kgのブドウ糖を経口投与し、血中ブドウ糖量を30分間隔で2時間測定した。血中ブドウ糖量の測定には、経口糖負荷試験(OGTT,oral glucose tolerance test)を利用した。前記実験結果は、高脂肪食誘導性マウス対照群と、アモジアキン、陽性対照群(WY−14,643)および正常飼料摂取マウス間の集団別t検定を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(*p<0.05、**p<0.005、***p<0.0005)。
【0082】
その結果、
図7(a)に示したように、高脂肪食誘導性マウス対照群に比べてアモジアキン投与群においてブドウ糖を投与して2時間後に血中ブドウ糖が早く減少したことを確認した。具体的に、高脂肪食誘導性マウス対照群の糖負荷2時間後に、血糖は、180.5mg/dlであったが、アモジアキンの血糖は、139.1mg/dlであった。
【0083】
したがって、アモジアキンが血中ブドウ糖の濃度を減少させる優れた効果を示すので、アモジアキンを有効成分として含む薬学的組成物がインスリン抵抗性第2型糖尿病予防剤および治療剤として有用に使用することができることが分かった。
【0084】
7−2.マウスのインスリン負荷試験の測定
16時間絶食させた後、対照および実験実行群の動物を対象として0.5U/kgのインスリンを腹腔に投与し、血中ブドウ糖量を30分間隔で2時間測定した。血中ブドウ糖量の測定には、インスリン負荷試験(IPITT,intraperitoneal insulin tolerance test)を利用した。前記実験結果は、高脂肪食誘導性マウス対照群と、アモジアキン、陽性対照群(WY−14,643およびロシグリタゾン)および正常飼料摂取マウス間の集団別t検定を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(*p<0.05、**p<0.005、***p<0.0005)。
【0085】
その結果、
図7(b)に示したように、高脂肪食誘導性マウス対照群および実験群でインスリンを投与してインスリン抵抗性を測定した結果、すべての群において30分で血糖が最も最低値を示し、その後、徐々に増加した。高脂肪食誘導性マウス対照群は、120分に血糖が空腹血糖まで上昇し、正常飼料摂取群、陽性対照群(WY−14,643)、アモジアキン投与群では、2時間後に血中ブドウ糖が空腹血糖より低いレベルに血糖が維持された。そして、
図7(c)の高脂肪誘導を介したインスリン抵抗性が作用した肥満マウス対照群と実験群にインスリンを投与し、初期血糖の%で示した。インスリン抵抗性を測定した結果、高脂肪食誘導性マウスとアモジアキン投与群では、30分で最も最低値を示し、その後、徐々に増加した。陽性対照群(ロシグリタゾン)および正常飼料摂取群では、60分で血糖が最も最低値を示し、その後、徐々に増加された。高脂肪食誘導性マウス対照群は、120分に血糖が初期血糖の70%近くに上昇し、正常飼料摂取群、陽性対照群(ロシグリタゾン)、アモジアキン投与群では、2時間後に血中ブドウ糖が初期血糖の40〜45%程度に血糖が維持された。
【0086】
したがって、アモジアキンの摂取がインスリン感受性を増加させる作用があるので、インスリン抵抗性第2型糖尿病予防剤または治療剤として有用に使用することができることが分かった。
【0087】
実施例8.アモジアキンによる脂肪肝予防効果の測定
脂肪肝の原因は、アルコールの過多摂取に起因して発生するアルコール性脂肪肝を除いて、高熱量と高脂肪食、単純糖の摂取と関連した栄養不均衡が挙げられる。特に高熱量または高脂肪食の持続的な摂取は、肝での脂肪合成と分解間の脂質代謝障害を招き、脂肪肝を誘発する。
【0088】
これより、本実施例では、アモジアキンの処理による脂肪肝の誘発に及ぼす影響を検討した。
【0089】
8−1.高脂肪食誘導性マウスグループの組織採取
実施例5で設計した実験動物のうち14週間高脂肪と共に薬物を給与した高脂肪食誘導性マウスグループと15週間高脂肪で誘導した後に7週間高脂肪と共に薬物を給与した高脂肪食誘導性マウスを頚椎脱骨法で犠牲にさせた後、解剖用固定フレームに固定し、手術用メスで腹部を切開して、肝を摘出した。摘出された肝組織は、縮化した変形を防止するために10%ホルマリン溶液に固定した。固定された組織は、24時間後に流れる水に水洗した後、一般的な組織の脱水、透明および浸透過程を自動組織処理装置(6460B、Sakura,Japan)を使用して14時間処理し、パラフィンブロックの製作と冷却は、自動包埋装置(Tissue−Tek,Japan)を使用した。製作されたパラフィンブロックを回転式ミクロトーム(Rotary Microtome 2040,Japan)を使用して組織を垂直方向に厚さ4〜5μmで連続切片して、浮遊温水槽と伸展器の過程を経てスライドに付着させた。
【0090】
8−2.アモジアキンによる脂肪肝予防効果の観察
薄切した組織切片をヘマトキシリンで染色した後、過染色された部分は、流れる水道水に水洗した後、1%HCL、70%A/C溶液に3〜5回浸漬することによって、核を青化した。次に、水洗を5〜10分程度十分に水洗して、核が清明な色になるように細胞質対照染色で染色した後、15秒間過度なエオシン溶液を流れる水で洗浄し、脱水および透明過程を経た。光学顕微鏡(BX50,Olympus,Japan)を使用してそれぞれの肝組織を観察し、顕微鏡に装着されたCCDカメラ(PM−C35DX,Olympus,Japan)で各群の組織を撮影した。
【0091】
実験結果、
図8(a)と
図8(b)に示したように、高脂肪食誘導性マウスの肝は、脂肪で満たされているのに対し、アモジアキン投与群の高脂肪食誘導性マウスの肝の場合、ほぼ正常マウスの肝と同じ形態を有することを確認することができた。
【0092】
したがって、前記結果から本発明によるアモジアキンが脂肪肝抑制効果に優れていることが分かった。
【0093】
実施例9.アモジアキン投与による肝、筋肉、脂肪組織内PPAR−αの活性化によるターゲット遺伝子の発現確認
PPAR−αは、脂肪酸の酸化代謝経路に関与する酵素の遺伝子であるACOX(acyl−CoA oxidase)、CPT−1(carnitine palmitoyl transferase−1)、およびmCAD(medium chain acyl−CoA dehyrogenase)の発現を誘導して、脂肪酸の合成を減少させると知られている。したがって、前記ACOX、CPT−1およびmCAD遺伝子の発現量を測定すると、脂肪酸の酸化効能を把握することができる。これより、本実施例では、肝、筋肉、脂肪組織にアモジアキンの投与がACOX、CPT−1およびmCAD遺伝子の発現量に及ぼす影響を調べた。
【0094】
各組織は、実施例5で設計した実験動物のうち14週間高脂肪を給与した高脂肪食誘導性マウスグループのマウスを頚椎脱骨法で犠牲にさせた後、解剖用固定フレームに固定し、手術用メスで切開して、肝、筋肉、脂肪組織を摘出して使用し、β−アクチン、ACOX、CPT−1およびmCADのプライマー塩基配列は、それぞれ次の通りである。
【0095】
β−アクチン フォワード:5’−GGG AAG GTG ACA GCA TTG−3’
リバース:5’−ATG AAG TAT TAA GGC GGA AGA TT−3’
ACOX フォワード:5’−ACA CTA ACA TAT CAA CAA GAG GAG−3’
リバース:5’−CAT TGC CAG GAA GAC CAG−3’
CPT−1 フォワード:5’−CCA CCT CTT CTG CCT CTA T−3’
リバース:5’−TTC TCA AAG TCA AAC AGT TCC A−3
mCAD フォワード:5’−CCG AAG AGT TGG CGT ATG−3’
リバース:5’−AGC AAG AAT CAC AGG CAT T−3’
【0096】
各組織を粉砕機を利用して粉砕した後、Trizolを用いてRNAを抽出し、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT PCR,reverse transcription polymerase chain reaction)を利用してcDNAを合成した。対照群としては、β−アクチンを使用し、PPAR−αの活性化によるターゲット遺伝子および脂肪酸の分解に関与するACOX、CPT−1およびmCAD遺伝子の発現量を調べるために、それぞれのプライマーを用いてリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT PCR,Real−time polymerase chain reaction)を行った(95℃で3分、<95℃で10秒、60℃で10秒、72℃で30秒>39回、95℃で10秒、65℃で5秒)。ACOX、CPT−1およびmCADをβ−アクチンで補正して、結果値を算出した。前記実験結果は、高脂肪食誘導性マウス対照群とアモジアキンおよび陽性対照群(WY−14,643)マウス間の集団別t検定を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(*p<0.05、**p<0.005、***p<0.0005)。
【0097】
その結果、
図9(a)、
図9(b)、
図9(c)に示したように、アモジアキンを投与した実験群において対照群に比べてほぼ215倍以上遺伝子発現量が増加したことを確認した。
【0098】
したがって、アモジアキンの処理がPPAR−αの活性化によるターゲット遺伝子であり、脂肪酸の分解に関与するACOX、CPT−1およびmCAD遺伝子の発現を各組織で増加させることから見て、アモジアキンがPPAR−αを活性化させて、PPAR−αのターゲット遺伝子の発現を調節することができることを意味し、脂肪酸の酸化を促進させて、脂肪蓄積を抑制させることができるものと判断された。
【0099】
実施例10.アモジアキン投与による脂肪組織内抗炎症反応によるターゲット遺伝子の発現確認
脂肪細胞は、間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell)および前駆脂肪細胞(preadipocyte)から分化し、脂質代謝機能、糖代謝機能、ひいてはアディポサイトカイン分泌に変化をもたらす。肥満患者において増加するTNFα、MCP−1およびiNOS等は、脂肪細胞の炎症発現で脂肪分化を促進し、その他成人病罹患率を増加させる。TNF−αは、炎症反応で重要な作用をする細胞分泌物質であり、MCP−1は、炎症性ケモカインであって、脂肪細胞で分泌されて、肥満、インスリン抵抗性、動脈硬化症に影響を及ぼすものと知られている。また、iNOSは、炎症性前駆物質であって、炎症反応を促進させるものと知られている。
【0100】
したがって、前記TNFα、MCP−1およびiNOS遺伝子の発現量を測定すると、抗炎症効能を把握することができる。これより、本実施例では、脂肪組織でアモジアキン投与がTNFα、MCP−1およびiNOS遺伝子の発現量に及ぼす影響を調べた。
【0101】
各組織は、実施例5で設計した実験動物のうち14週間高脂肪を給与した高脂肪食誘導性マウスグループのマウスを頚椎脱骨法で犠牲にさせた後、解剖用固定フレームに固定し、手術用メスで切開して、脂肪組織を摘出して使用し、β−アクチン、TNFα、MCP−1およびiNOSのプライマー塩基配列は、それぞれ次の通りである。
【0102】
β−アクチン フォワード:5’−GGG AAG GTG ACA GCA TTG−3’
リバース:5’−ATG AAG TAT TAA GGC GGA AGA TT−3’
TNFα フォワード:5’−ATG AGA AGT TCC CAA ATG GC−3’
リバース:5’−TTT GAG AAG ATG ATC TGA GTG TGA G−3’
MCP−1 フォワード:5’−AAT GAG TAG GCT GGA GAG−3’
リバース:5’−TCT CTT GAG CTT GGT GAC−3
iNOS フォワード:5’−GCT TCT GGC ACT GAG TAA−3’
リバース:5’−GGA GGA GAG GAG AGA GAT−3
【0103】
脂肪組織を粉砕機を用いて粉砕した後、Trizolを用いてRNAを抽出し、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応を用いてcDNAを合成した。対照群としては、β−アクチンを使用し、炎症反応に関与するTNFα、MCP−1およびiNOS遺伝子の発現量を調べるために、それぞれのプライマーを用いてリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応を行った(95℃で3分、<95℃で10秒、60℃で10秒、72℃で30秒>39回、95℃で10秒、65℃で5秒)。TNFα、MCP−1およびiNOSをβ−アクチンで補正して結果値を算出した。前記実験結果は、高脂肪食誘導性マウス対照群とアモジアキンおよび陽性対照群(WY−14,643)マウス間の集団別t検定を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(*p<0.05、**p<0.005)。
【0104】
その結果、
図10に示したように、アモジアキンを投与した実験群において対照群に比べてほぼ540%近く遺伝子発現量が減少したことを確認した。
【0105】
したがって、アモジアキンの処理が抗炎症反応に関与するTNFα、MCP−1およびiNOS遺伝子の発現を各組織で抑制させることから見て、アモジアキンが炎症反応に重要な作用をする因子を抑制することによって、肥満、インスリン抵抗性、動脈硬化症に影響を及ぼすと判断された。
【0106】
実施例11.アモジアキンおよびメトホルミンの複合製剤の投与による肝細胞内の糖新生作用の抑制に対する相昇効果の測定
血糖調節ホルモンであるインスリンとグルカゴンは、肝組織の糖代謝酵素であるPEPCK活性度を調節するものと知られている。インスリンは、糖新生酵素であるPEPCKの活性度を低減することによって、糖新生作用を抑制して肝組織の糖生成過程を減らす。他方で、グルカゴンは、グルコキナーゼの遺伝子発現を抑制し、肝組織のG6Pase活性度およびmRNA発現とPEPCK転写過程を促進するので、少量のグルカゴン濃度の増加が糖新生作用を増加させる。PEPCKは、糖新生過程の
律速酵素であって、オキサロアセテートがホスホエノールピルベートに転換される反応を触媒すると知られている。したがって、前記PEPCK遺伝子の発現量を測定すると、糖新生作用を把握することができる。これより、本実施例では、肝細胞にアモジアキンおよびメトホルミンの複合製剤の処理がPEPCK遺伝子の発現量に及ぼす影響を調べた。
【0107】
細胞は、韓国細胞株銀行から購入したヒト肝細胞を使用し、β−アクチンおよびPEPCKのプライマー塩基配列は、それぞれ次の通りである。
【0108】
β−アクチン フォワード:5’−GGG AAG GTG ACA GCA TTG−3’
リバース:5’−ATG AAG TAT TAA GGC GGA AGA TT−3’
PEPCK フォワード:5’−CAG TTG AGT AGC ACA GAG AA−3’
リバース:5’−GAT TCC TGA GTG ACC TTG AA−3’
【0109】
細胞は、5%CO
2、37℃培養器でHepG2肝細胞をDMEM(10%FBS、ペニシリン−ストレプトマイシン)に培養した後、血清が入っていないDMEMと共にアモジアキンおよびメトホルミンの複合製剤を処理して24時間培養した後、Trizolを用いてRNAを抽出し、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応を用いてcDNAを合成した。対照群としては、β−アクチンを使用し、PEPCK遺伝子の発現量を調べるために、プライマーを用いてリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応を行った(95℃で3分、<95℃で10秒、60℃で10秒、72℃で30秒>39回、95℃で10秒、65℃で5秒)。PEPCKをβ−アクチンで補正して結果値を算出した。前記実験結果は、実験群と対照群のt検定(t−test)で比較検証を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(**p<0.005、***p<0.0005)。
【0110】
その結果、
図11に示したように、アモジアキン10μMおよびメトホルミン2mMの複合製剤の処理が、アモジアキン10μM単独またはメトホルミン2mM単独処理の場合より大きい相昇作用が確認された。したがって、アモジアキン10μMおよびメトホルミン2mMの複合製剤の処理が、肝で糖新生過程の主な酵素であるPEPCK遺伝子発現を抑制することによって、空腹時に血糖を低減することができるものと判断されて、関連した疾病である糖尿病に対する治療用に用いることができることが分かった。
【0111】
実施例12.アモジアキンおよびメトホルミンの複合製剤の投与による肝細胞内脂質代謝関連中性脂肪とリン脂質の生合成抑制に対する相昇効果の測定
SREBP−1は、脂質代謝関連中性脂肪とリン脂質の生合成に関連した遺伝子の調節に関与して脂肪生成と体脂肪蓄積を抑制すると知られており、或る研究では、高度肥満とインスリン抵抗性が特徴であるob/obマウスで発生した脂肪肝の病変でSREBP−1遺伝子を不活性化させるようになると、肝組織の中性脂肪の蓄積が減少すると報告された。したがって、前記SREBP−1遺伝子の発現量を測定すると、肝組織の中性脂肪の蓄積が減少する効能を把握することができる。これより、本実施例では、肝細胞にアモジアキンおよびメトホルミンの複合製剤の処理がSREBP−1遺伝子の発現量に及ぼす影響を調べた。
【0112】
細胞は、韓国細胞株銀行から購入したマウス肝細胞を使用し、β−アクチン、およびSREBP−1のプライマー塩基配列は、それぞれ次の通りである。
【0113】
β−アクチン フォワード:5’−GGG AAG GTG ACA GCA TTG−3’
リバース:5’−ATG AAG TAT TAA GGC GGA AGA TT−3’
SREBP−1 フォワード:5’−CGA CTA CAT CCG CTT CTT G−3’
リバース:5’−GGT CCT TCA GTG ATT TGC TT−3’
【0114】
細胞は、5%CO
2、37℃培養器でHepG2肝細胞をDMEM(10%FBS、1%ペニシリン−ストレプトマイシン)に培養した後、血清が入っていないDMEMと共にアモジアキンおよびメトホルミンの複合製剤を処理して24時間培養した後、QIAGEN RNA extraction kit(QIAGEN,Hilden,Germany)を用いてRNAを分離した後、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応を用いてcDNAを合成した。対照群としては、β−アクチンを使用し、SREBP−1遺伝子の発現量を調べるためにプライマーを用いてリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応を行った(95℃で3分、<95℃で10秒、60℃で10秒、72℃で30秒>39回、95℃で10秒、65℃で5秒)。SREBP−1をβ−アクチンで補正して結果値を算出した。前記実験結果は、実験群と対照群のt検定で比較検証を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(*p<0.05、**p<0.005)。
【0115】
その結果、
図12に示したように、アモジアキン10μMおよびメトホルミン2mMの複合製剤の処理が、アモジアキン10μM単独またはメトホルミン2mM単独処理の場合より大きい相昇作用が確認された。したがって、アモジアキン10μMおよびメトホルミン2mMの複合製剤の処理が肝組織で脂肪酸と中性脂肪の合成に関与する主な蛋白質であるSREBP−1遺伝子発現を抑制することによって、脂肪肝の病変で肝組織の中性脂肪の蓄積を減少させることができるものと考えられて、関連した脂肪肝に対する治療用に用いることができることが分かった。
【0116】
実施例13.アモジアキンおよびメトホルミンの複合製剤の投与によるパルミチン酸により誘導されたインスリン抵抗性状態で筋肉細胞内GLUT4遺伝子の発現確認
グルコーストランスポーター4型(GLUT4)の発現は、骨格筋内の多様な転写因子により増加し、GLUT4発現の量的な増加が示されると、インスリン反応性も増加させるとよく知られている(J M Ren et al.,J.Clin.Invest.、95:429−432,1995)。したがって、骨格筋内GLUT4のレベルは、身体の血糖調節のために重要なので、前記GLUT4遺伝子の発現量を測定すると、インスリン反応性を把握することができる。これより、本実施例では、パルミチン酸により誘導されたインスリン抵抗性状態でアモジアキンおよびメトホルミンの複合製剤の処理による筋肉細胞にGLUT4遺伝子の発現量に及ぼす影響を調べた。
【0117】
細胞は、韓国細胞株銀行から購入したマウス筋芽細胞を使用し、β−アクチン、およびGLUT4のプライマー塩基配列は、それぞれ次の通りである。
【0118】
β−アクチン フォワード:5’−GGG AAG GTG ACA GCA TTG−3’
リバース:5’−ATG AAG TAT TAA GGC GGA AGA TT−3’
GLUT4 フォワード:5’−AAA TCT AGC CCT GCC TCC−3’
リバース:5’−GCT CTA ACC GTC CTT GCC−3’
【0119】
1×10
7のC2C12(マウス筋芽細胞)を2%馬血清で分化させて根冠細胞に製造した後、インスリン抵抗性の条件で実験するために、400μMパルミチン酸とアモジアキンおよびメトホルミンの複合製剤を16時間処理した後、QIAGEN RNeasy Mini kit(Qiagen、米国)でRNAを抽出した。分離したRNAは、Bioanalyzer 2100(Agilent、米国)を用いて完全性を確認し、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応を用いてcDNAを合成した。対照群としては、β−アクチンを使用し、GLUT4遺伝子の発現量を調べるために、プライマーを用いてリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応を行った(95℃で3分、<95℃で10秒、60℃で10秒、72℃で30秒>39回、95℃で10秒、65℃で5秒)。GLUT4をβ−アクチンで補正して結果値を算出した。前記実験結果は、実験群と対照群のt検定で比較検証を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(*p<0.05、***p<0.0005)。
【0120】
その結果、
図13に示したように、インスリン抵抗性状態を誘導するために分化したC2C12骨格筋細胞に400uMのパルミチン酸を16時間処理したとき、インスリンによりGLUT4の発現が大きく増加しないのに対し、アモジアキン10μMおよびメトホルミン2mMの複合製剤の処理が、アモジアキン10μM単独またはメトホルミン2mM単独処理の場合より大きい相昇作用が確認された。したがって、アモジアキン10μMおよびメトホルミン2mMの複合製剤の処理が、インスリン抵抗性状態の筋肉細胞内GLUT4遺伝子発現の増加を通じて血糖調節および糖代謝改善に肯定的な影響を及ぼしていることを確認して、関連疾病である糖尿病に対する治療用に用いることができることが分かった。
【0121】
実施例14.アモジアキンおよびメトホルミンの複合製剤の投与によるマウスの血糖調節効果の測定
14−1.アモジアキンおよびメトホルミンの単独および複合製剤の投与
アモジアキンおよびメトホルミンの複合製剤による血糖調節効果を測定するために、6週齢のKKAyをClea Japan社から購入して、一定の条件(温度:22±2℃、相対湿度:55±10%、一周期:12時間)で飼育した。7匹を一つの群としてケージで水と飼料を自由供給し、実験前に1週間純化を経て実験に使用した。
【0122】
順応期間が終わった後、10個の群に分けて6週間アモジアキンおよびメトホルミン単独および複合製剤を下記表2の重量比で毎日経口投与を行った。
【0123】
【表2】
【0124】
14−2.マウスの血糖調節効果の測定
血糖調節効果を確認するために、16時間絶食させた後、対照および実験実行群の動物の腹腔に2g/kgのブドウ糖を注入し、血中ブドウ糖量を30分間隔で2時間測定した。血中ブドウ糖量の測定には、糖負荷試験(OGTT,oral glucose tolerance test)を用いた。前記実験結果は、実験群と対照群の集団別t検証を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(*p<0.05、**p<0.005、***p<0.0005)。
【0125】
その結果、
図14(a)〜(d)に示したように、アモジアキン:メトホルミンの重量比が1:50および1:150より1:300および1:500の重量比で投与した複合製剤の投与群において単独投与群よりブドウ糖を投与して2時間後に血中ブドウ糖が早く減少したことを確認した。
【0126】
したがって、アモジアキン単独またはメトホルミン単独投与群の場合より複合製剤の投与群において血中ブドウ糖の濃度を減少させる優れた相昇作用が確認されたので、アモジアキン:メトホルミン1:300または1:500の重量比で投与した複合剤が糖尿病の予防または治療のために有用に使用することができることが分かり、インスリン抵抗性第2型糖尿病予防剤または治療剤として有用に使用することができることが分かった。
【0127】
実施例15.アモジアキンおよびシタグリプチンの複合製剤の投与によるマウスの血糖降下、血糖調節効果および糖化血色素の含量に及ぼす影響
15−1.アモジアキンおよびシタグリプチンの単独および複合製剤の投与
アモジアキンおよびシタグリプチンの複合製剤による血糖調節効果を測定するために、6週齢のKKAyをClea Japan社から購入して、一定の条件(温度:22±2℃、相対湿度:55±10%、一周期:12時間)で飼育した。7匹を一つの群としてケージで水と飼料を自由供給し、実験前に1週間純化を経て実験に使用した。
【0128】
順応期間が終わった後、10個の群に分けて8週間アモジアキンおよびシタグリプチン単独および複合製剤を下記表3の重量比で毎日経口投与を行った。
【0129】
【表3】
【0130】
15−2.マウスの空腹血糖降下効果の測定
空腹血糖は、16時間絶食させた後、薬物処理8週に尾静脈から全血を採取して測定した。血糖の測定には、血糖ストリップ(韓国京畿道、ミドリ十字社)を用いた。前記実験結果は、実験群と対照群のt検証を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(*p<0.05)。その結果、
図15の(a)〜(d)に示したように、アモジアキン:シタグリプチンの重量比が1:1より1:2,1:10および1:20の重量比で投与した複合製剤の投与群において単独投与群より空腹血糖が顕著に減少する相昇効果を確認した。
【0131】
15−3.マウスの血糖調節効果の測定
血糖調節効果を確認するために、16時間絶食させた後、対照および実験実行群の動物の腹腔に2g/kgのブドウ糖を注入し、血中ブドウ糖量を30分間隔で2時間測定した。血中ブドウ糖量の測定には、糖負荷試験(OGTT,oral glucose tolerance test)を用いた。前記実験結果は、実験群と対照群の集団別t検証を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(*p<0.05、**p<0.005、***p<0.0005)。
【0132】
その結果、
図15(e)〜(h)に示したように、アモジアキン:シタグリプチンの重量比が1:1および1:2より1:10および1:20の重量比で投与した複合製剤の投与群において単独投与群よりブドウ糖を投与して2時間後に血中ブドウ糖が早く減少したことを確認した。
【0133】
したがって、アモジアキン単独またはシタグリプチン単独投与群の場合より複合製剤の投与群において血中ブドウ糖の濃度を減少させる優れた相昇作用が確認されたので、アモジアキン:シタグリプチンが1:10または1:20の重量比で投与した複合剤が、糖尿病予防または治療のために有用に使用することが分かり、インスリン抵抗性第2型糖尿病予防剤または治療剤として有用に使用することができることが分かった。
【0134】
15−4.マウスの糖化血色素の測定
血糖調節は、血糖値だけでなく、必ず糖化血色素の数値を共に調査するようになる。これは、糖化血色素1%減少により糖尿による合併症20%以上減少させる効果があるためである。本実施例では、アモジアキンおよびシタグリプチンの複合製剤の摂取によるマウスの糖化血色素の含量を調べることとした。アモジアキンおよびシタグリプチンの複合製剤の糖化血色素の低下効果を測定するために、対照および実験実行群の動物の尾静脈から全血を採取して、Hemoglobin A1c reagent kitに注入した後、DCA vantage analyzer(米国、ニューヨーク、シーメンス)を用いて測定した。前記実験結果は、実験群と対照群の集団別t検証を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(*p<0.05)。
【0135】
その結果、
図15(i)〜(l)に示したように、アモジアキン:シタグリプチンの重量比が1:1または1:2、または1:10または1:20の重量比で投与した複合製剤の投与群において単独投与群より糖化血色素生成抑制効果が上昇することを確認した。
【0136】
したがって、アモジアキンおよびシタグリプチンの複合製剤が糖化血色素を減少させる効果があるので、インスリン抵抗性第2型糖尿病予防剤または治療剤として有用に使用することができることが分かった。
【0137】
実施例16.アモジアキンおよびダパグリフロジンの複合製剤の投与によるマウスの血糖降下、血糖調節効果および糖化血色素の含量に及ぼす影響
16−1.アモジアキンおよびダパグリフロジンの単独および複合製剤の投与
アモジアキンおよびダパグリフロジンの複合製剤による血糖調節効果を測定するために、6週齢のKKAyをClea Japan社から購入して、一定の条件(温度:22±2℃、相対湿度:55±10%、一周期:12時間)で飼育した。7匹を一つの群としてケージで水と飼料を自由供給し、実験前に4週間純化を経て実験に使用した。
【0138】
順応期間が終わった後、8個の群に分けて8週間アモジアキンおよびダパグリフロジン単独および複合製剤を下記表4の重量比で毎日経口投与を行った。
【0139】
【表4】
【0140】
16−2.マウスの空腹血糖降下効果の測定
空腹血糖は、16時間絶食させた後、薬物処理8週に尾静脈から全血を採取して測定した。血糖の測定には、血糖ストリップ(韓国京畿道、ミドリ十字社)を用いた。前記実験結果は、実験群と対照群のt検証を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(*p<0.05、*p<0.005)。その結果、
図16(a)〜(c)に示したように、アモジアキン:ダパグリフロジンの重量比が1:0.02および1:0.2より1:2の重量比で投与した複合製剤の投与群において単独投与群より空腹血糖が顕著に減少する相昇効果を確認した。
【0141】
16−3.マウスの血糖調節効果の測定
血糖調節効果を確認するために、16時間絶食させた後、対照および実験実行群の動物の腹腔に2g/kgのブドウ糖を注入し、血中ブドウ糖量を30分間隔で2時間測定した。血中ブドウ糖量の測定には、糖負荷試験(OGTT,oral glucose tolerance test)を用いた。前記実験結果は、実験群と対照群の集団別t検証を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(*p<0.05、**p<0.005)。
【0142】
その結果、
図16(d)〜(f)に示したように、アモジアキン:ダパグリフロジンの重量比が1:0.02および1:0.2より1:2の重量比で投与した複合製剤の投与群において単独投与群よりブドウ糖を投与して2時間後に血中ブドウ糖が早く減少したことを確認した。
【0143】
したがって、アモジアキン単独またはダパグリフロジン単独投与群の場合より複合製剤の投与群において血中ブドウ糖の濃度を減少させる優れた相昇作用が確認されたので、アモジアキン:ダパグリフロジン1:2の重量比で投与した複合剤が糖尿病予防または治療のために有用に使用することができることが分かり、インスリン抵抗性第2型糖尿病予防剤または治療剤として有用に使用することができることが分かった。
【0144】
16−4.マウスの糖化血色素の測定
糖尿病を診断する方法は、血中ブドウ糖測定等様々なものがあるが、血中ブドウ糖測定は、食事、運動等の様々な要因の影響を受けて不正確なので、糖尿病を管理し治療するためには、血液のうち糖化血色素を測定することが効果的な方法の一つである。1986年に米国糖尿協会ですべての形態の糖尿病を管理するために、年間2回ずつの糖化血色素の測定を提案することによって、比較的安定した指標である糖化血色素の量を糖尿病管理指標として使用し始めた(韓国公開特許10−2009−0006999、2009年1月16日に公開)。本実施例では、アモジアキンおよびダパグリフロジンの複合製剤の摂取によるマウスの糖化血色素の含量を調べることとした。アモジアキンおよびダパグリフロジンの複合製剤の糖化血色素の低下効果を測定するために、対照および実験実行群の動物の尾静脈から全血を採取してHemoglobin A1c reagent kitに注入した後、DCA vantage analyzer(米国、ニューヨーク、シーメンス)を用いて測定した。前記実験結果は、実験群と対照群の集団別t検証を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(*p<0.05、**p<0.005)。
【0145】
その結果、
図16(g)〜(i)に示したように、アモジアキン:ダパグリフロジンの重量比が1:0.02より1:0.2または1:2の重量比で投与した複合製剤の投与群において単独投与群より糖化血色素生成抑制効果が上昇することを確認した。
【0146】
したがって、アモジアキンおよびダパグリフロジンの複合製剤が糖化血色素を減少させる効果があるので、インスリン抵抗性第2型糖尿病予防剤または治療剤として有用に使用することができることが分かった。
【0147】
実施例17.アモジアキンおよびエキセナチドの複合製剤の投与によるマウスの血糖調節効果に及ぼす影響
17−1.アモジアキンおよびエキセナチドの単独および複合製剤の投与
アモジアキンおよびエキセナチドの複合製剤による血糖調節効果を測定するために、6週齢のob/obをJackson laboratoryで購入して、一定の条件(温度:22±2℃、相対湿度:55±10%、一周期:12時間)で飼育した。7匹を一つの群としてケージで水と飼料を自由供給し、実験前に1週間純化を経て実験に使用した。
【0148】
順応期間が終わった後、6個の群に分けて8週間アモジアキンおよびエキセナチド単独および複合製剤を下記表5の重量比で隔日で皮下注射で隔日投与を行った。
【0149】
【表5】
【0150】
17−2.マウスの血糖調節効果の測定
血糖調節効果を確認するために、16時間絶食させた後、対照および実験実行群の動物の腹腔に2g/kgのブドウ糖を注入し、血中ブドウ糖量を30分間隔で2時間測定した。血中ブドウ糖量の測定には、糖負荷試験(OGTT,oral glucose tolerance test)を用いた。前記実験結果は、実験群と対照群の集団別t検証を実施してその有意性を検証し、統計学的に有意な差異を示した(*p<0.05、**p<0.005、***p<0.0005)。
【0151】
その結果、
図17(a)および(b)に示したように、アモジアキン:エキセナチドの重量比が1:0.001より1:0.005の重量比で投与した複合製剤の投与群において単独投与群よりブドウ糖を投与して2時間後に血中ブドウ糖が早く減少したことを確認した。
【0152】
したがって、アモジアキン単独またはエキセナチド単独投与群の場合より複合製剤の投与群において血中ブドウ糖の濃度を減少させる優れた相昇作用が確認されたので、アモジアキン:エキセナチド1:0.005の重量比で投与した複合剤が糖尿病予防または治療のために有用に使用することができることが分かり、インスリン抵抗性第2型糖尿病予防剤または治療剤として有用に使用することができることが分かった。
【0153】
前述した本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形が可能であることが理解できる。したがって、以上で記述した実施例は、すべての面において例示的なものであり、限定的でないものと理解すべきである。