(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861826
(24)【登録日】2021年4月1日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】可動に支持された家具部分をガイドするためのガイドシステム
(51)【国際特許分類】
E05D 15/26 20060101AFI20210412BHJP
E06B 3/48 20060101ALI20210412BHJP
E05D 15/58 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
E05D15/26
E06B3/48
E05D15/58 A
【請求項の数】16
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-538152(P2019-538152)
(86)(22)【出願日】2017年12月22日
(65)【公表番号】特表2020-514588(P2020-514588A)
(43)【公表日】2020年5月21日
(86)【国際出願番号】AT2017060348
(87)【国際公開番号】WO2018129570
(87)【国際公開日】20180719
【審査請求日】2019年8月15日
(31)【優先権主張番号】A50024/2017
(32)【優先日】2017年1月13日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ルップ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ハウアー
(72)【発明者】
【氏名】ヘアマン ヘマーレ
(72)【発明者】
【氏名】インゴ ガッサー
【審査官】
家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2016/081963(WO,A1)
【文献】
実公昭57−060461(JP,Y2)
【文献】
実用新案登録第2553098(JP,Y2)
【文献】
国際公開第2017/000006(WO,A1)
【文献】
実公昭61−033811(JP,Y2)
【文献】
国際公開第2013/114730(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/00−15/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動に支持された家具部分(3)をガイドするためのガイドシステム(1)であって、
長手方向ガイドレール(9)と、
前記家具部分(3)を、前記長手方向ガイドレール(9)に沿って長手方向(L)で移動させることができる少なくとも1つのガイド装置(10)と、
前記家具部分(3)が枢着的に支持されている少なくとも1つの支持体(11)であって、前記長手方向ガイドレール(9)の前記長手方向(L)に対して横方向に延在する方向(Z)で移動可能である、少なくとも1つの支持体(11)と、
を有している、可動に支持された家具部分(3)をガイドするためのガイドシステム(1)において、
前記少なくとも1つの支持体(11)は、前記ガイド装置(10)を保持するための保持装置(11a)を有しており、前記支持体(11)は組付け位置で、前記保持装置(11a)が前記長手方向ガイドレール(9)に隣接して配置されている移送位置へと移動可能であり、前記保持装置(11a)と前記長手方向ガイドレール(9)との間の高さの差(X)を補償するための補償装置(99)が設けられていることを特徴とする、可動に支持された家具部分(3)をガイドするためのガイドシステム(1)。
【請求項2】
前記補償装置(99)は、前記長手方向ガイドレール(9)と前記支持体(11)および/または前記保持装置(11a)との間の領域に配置されていて、前記ガイド装置(10)は、前記長手方向ガイドレール(9)と前記保持装置(11a)との間で前記補償装置(99)を介して往復移送可能である、請求項1記載のガイドシステム。
【請求項3】
前記補償装置(99)は、前記長手方向ガイドレール(9)に沿って延在するプロファイル区分(9a)に対して傾斜して形成された滑走面(99a)によって形成される、請求項1または2記載のガイドシステム。
【請求項4】
前記補償装置(99)は、前記支持体(11)に、かつ/または前記長手方向ガイドレール(9)に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のガイドシステム。
【請求項5】
前記補償装置(99)は、前記保持装置(11a)の一部によって形成される、請求項1から4までのいずれか1項記載のガイドシステム。
【請求項6】
前記補償装置(99)は、前記保持装置(11a)の長さに沿って最大で1/3の長さにわたって延在している、請求項5記載のガイドシステム。
【請求項7】
前記補償装置(99)は、前記長手方向ガイドレール(9)から前記保持装置(11a)の方向に下降するように延在する傾斜面によって形成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のガイドシステム。
【請求項8】
前記ガイド装置(10)は少なくとも1つのローラ(15b)を有しており、前記少なくとも1つのローラ(15b)は、前記長手方向ガイドレール(9)と前記保持装置(11a)との間で前記補償装置(99)を介して往復移送可能である、請求項1から7までのいずれか1項記載のガイドシステム。
【請求項9】
前記支持体(11)および/または前記保持装置(11a)は、鉛直方向に延在するコラム(14)の上面に配置されており、前記家具部分(3)は少なくとも1つの固定具部分(18)によって回転軸線(D)を中心として可動に前記コラム(14)に取り付けられている、請求項1から8までのいずれか1項記載のガイドシステム。
【請求項10】
前記家具部分(3)は、第1のドア部分(3b)と第2のドア部分(3a)とから形成されており、前記第1及び第2のドア部分(3b,3a)は、少なくとも1つの中央ヒンジ(55)を介して互いに枢着的に結合されていて、これにより前記家具部分(3)は折り畳みスライドドアとして形成される、請求項1から9までのいずれか1項記載のガイドシステム。
【請求項11】
前記保持装置(11a)は滑走面(11b)を有しており、前記少なくとも1つのガイド装置(10)が、前記保持装置(11a)に配置される際に、前記滑走面(11b)に接触する、または前記滑走面(11b)に対して間隔を有している、請求項1から10までのいずれか1項記載のガイドシステム。
【請求項12】
前記ガイドシステム(1)は少なくとも1つの挿入レール(13a,13b)を有しており、前記挿入レールに沿って前記少なくとも1つの支持体(11)または前記支持体に配置されたコラム(14)が、前記長手方向ガイドレール(9)の前記長手方向(L)に対して横方向に延在する方向(Z)で可動である、請求項1から11までのいずれか1項記載のガイドシステム。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項記載のガイドシステムを備えた家具。
【請求項14】
前記家具(37)は、稼働状態で固定されている家具本体(36)と、前記家具本体(36)に対して相対的に可動に支持された少なくとも2つの家具部分(3)と、を有しており、前記少なくとも2つの家具部分は組付け状態で、鉛直方向に延在する回転軸(5a)を介して互いに枢着的に結合されており、前記少なくとも2つの家具部分(3)は、前記家具部分(3)が実質的に互いに同一平面に配置されている第1の位置と、前記家具部分(3)が実質的に互いに平行に配置されている第2の位置との間で、前記ガイドシステム(1)によって移動可能である、請求項13記載の家具。
【請求項15】
前記家具(37)は、少なくとも1つの側方の挿入中空室(7a)を有しており、前記挿入中空室内には前記第2の位置にある前記家具部分(3)を収納することができる、請求項14記載の家具。
【請求項16】
少なくとも1つの別の家具本体(6)が設けられていて、前記別の家具本体は前記家具本体(36)内に装着されており、または前記家具本体(36)に結合されており、前記別の家具本体(6)は前記第1の位置では前記可動な家具部分(3)によって遮蔽され、前記第2の位置では近づくことができる、請求項14または15記載の家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念の特徴を有するガイドシステムに関する。
【0002】
さらに、本発明によるガイドシステムを備えた家具が提供されるのが望ましい。
【0003】
冒頭で述べた形式のガイドシステムは、既に従来技術であり、例えば欧州特許出願公開第2740870号明細書(EP 2 740 870 A1)に示されている。このような形式のガイドシステムは、このガイドシステムに配置された、例えば折り畳みドアまたは折り畳みスライドドアの形態の家具部分を、開放位置と閉鎖位置との間で動かすことができ、家具部材の移動の際に生じる高さ方向の遊びを補償することができる。家具部分が閉鎖位置から開放位置へと移動すると、このような高さ方向の遊びは、可動な家具部分と家具本体との間の高さの差として生じる。このような高さ方向の遊びは例えば、ドアまたはスライドドア、または家具本体または類似のものに可動に配置されているドア部分を調節できるようにするために、または可動な家具部分の移動のための高さ方向の自由度を得るために、必要である。例えば、可動な家具部分は閉鎖位置で衝突することなく家具本体内に進入できなければならず、かつ/または他方の可動な家具部分または家具本体に対して均一なギャップ形成も有していなければならない。したがって可動な家具部分は、家具の閉鎖位置で(例えば全てのドア、折り畳みドア、または折り畳みスライドドアが閉鎖されている場合に)、正確な位置決めを有していなければならず、このことは従来技術では、センタリング装置によってヒンジ内で直接行われる。閉鎖位置では、いわば可動な家具部分は、ヒンジによってこのセンタリング装置を介して所望の位置にもたらされる。この場合、ヒンジに配置されたヒンジヘッドは、斜めのセンタリング面を有しており、このセンタリング面は、閉鎖運動中にヒンジのアームに接触し、これによりこのアームをセンタリングする、または高さ方向の遊びのない所望の位置にもたらす。しかしながらこの場合、センタリングは、比較的小さいセンタリング面においてヒンジアームとヒンジヘッドとの間の直接的な接触により行われる。可動な家具部分の全重量がこの面に作用する。したがって、頻繁に行われる家具部分の開閉後には、小さなセンタリング面により、かつこれによりこの小さい面積に対する比較的高い面圧により、問題が生じる恐れがある。この問題は例えば、アームとセンタリング面との間の摩擦のみによって、および埃または金属屑のような不純物と組み合わされた摩擦によっても生じ得るセンタリング面における表面損傷である。このような表面損傷は、後々、ヒンジの可動性または動き易さの制限につながる恐れがあり、例えば、移動時にヒンジがロックされた場合、家具全体の損傷につながる恐れもある。さらには、センタリング面の摩擦接触により、煩わしい騒音が生じる恐れがある。この面の摩耗が増大すると、ギャップ寸法の調節もますます悪化する。
【0004】
本発明の課題は、上記欠点を回避し、従来技術に対して改善されたガイドシステム、およびこのような形式のガイドシステムを備えた家具を提供することである。
【0005】
この課題は、本発明によるガイドシステムでは、請求項1の特徴部に記載の特徴により解決され、もしくは本発明によるガイドシステムを備えた家具では、請求項13の特徴により解決される。
【0006】
少なくとも1つの支持体が、ガイド装置を保持するための保持装置を有しており、支持体は組付け位置で、保持装置が長手方向ガイドレールに隣接して配置されている移送位置へと移動可能であり、保持装置と長手方向ガイドレールとの間の高さの差を補償するための補償装置が設けられているならば、高さの差または高さ方向の遊びは、ヒンジヘッドにおいて小さい寸法のセンタリング面によってではなく、頑丈な構成要素により補償される。可動な家具部分の自重の力は大きな面積に分散され、さらにセンタリング面の場合のように、傾斜面を介して変向される必要もない。したがって、本発明によるガイドシステムでは、主要な荷重は、極めて頑丈に既に形成された、支持機能を有するエレメントに引き渡され、このエレメントには、ヘッドヒンジの場合のように、2つの位置間で家具を旋回させるという課題もない。換言すると、高さの差の持ち上げまたは補償は、ガイドシステムの支持構成要素を介して直接行われて、ヒンジにおける運動を介して間接的に行われるのではない。このようなガイドシステムは、レールまたはプロファイルにより形成され、レールまたはプロファイルは、その役割に基づきその寸法設計は、例えばヒンジより堅固に形成されている。さらに、このレールに沿って、例えばローラに支持されていて、ヘッドヒンジよりも頑強に実施され得るガイド装置が走行する。このようなガイドシステム全体の構成形式により、より長い耐用期間、高い安定性、高い確実性、容易にアクセスできる騒音の少ない動きが実現される。
【0007】
本発明のその他の詳細および利点は、従属請求項の特徴により提供される。
【0008】
本発明のさらなる詳細および利点を、図示した実施例を参照して図面を説明しながら以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1a】可動な家具部分の家具本体における1つの位置を示す図である。
【
図1b】可動な家具部分の家具本体における別の位置を示す図である。
【
図1c】可動な家具部分の家具本体におけるさらに別の位置を示す図である。
【
図2】移送位置直前の開放されたドア部分を備えた家具を示す図である。
【
図5】長手方向ガイドレールに沿ったガイド装置を示す図である。
【
図6】ガイドシステムと可動な家具部分を示す概略図である。
【
図7】ガイドシステムを家具部分と共に示す図である。
【0010】
図1aには、可動に支持された家具部分3を、特に折り畳み(フォールディング)ドアまたは折り畳み(フォールディング)スライドドアをガイドするためのガイドシステム1が示されており、このガイドシステムは、家具37の上方領域に配置された長手方向ガイドレール9と、少なくとも1つのガイド装置10とを有していて、このガイド装置を介して家具部分3は、長手方向Lで、長手方向ガイドレール9に沿って移動可能である。
【0011】
さらに、ガイドシステム1は支持体11を有しており、この支持体は、ガイド装置10がドア部分3a,3b
(以下便宜上、ドア部分3aを第2のドア部分、ドア部分3bを第1のドア部分と呼ぶことがある。)の開放位置へともたらされると(
図1b参照)、ガイド装置10を保持するように設けられている。 支持体11には、または支持体の下側の領域には、家具部分3がさらに固定具18を介して枢着的に支持されており(
図6参照)、この場合、支持体11は、長手方向ガイドレール9の長手方向Lに対して横方向に延在する方向Zで摺動可能である。これは
図1cに示されている。
【0012】
家具37は、稼働状態で固定されている家具本体36と、家具本体36に対して相対的に可動に支持された少なくとも2つの家具部分3、特に折り畳みドアまたは折り畳みスライドドアのドア部分3a,3bとを有している。これらの家具部分は組付け状態で鉛直方向に延びる回転軸5a(
図2参照)を中心として互いに枢着的に連結されている。この場合、少なくとも2つの家具部分3、または換言するとドア部分3a,3bは、ドア部分3a,3bが実質的に互いに同一平面に配置されている第1の位置と、ドア部分3a,3bが実質的に互いに平行に配置されている第2の位置との間で、ガイドシステム1によって可動である。この平行な配置は
図1cに示されている。
【0013】
図1aには閉鎖位置が示されている。
図1bには開放位置が示されており、
図1cは、少なくとも1つの可動な家具部分3が挿入中空室7a内に挿入された挿入位置が示されている。
【0014】
図1bでは、この実施例では互いに向かって可動であるドア部分3a,3bによって形成されている家具部分3は既に、長手方向ガイドレール9に沿って長手方向Lで移動されており、挿入中空室7aの手前に位置している。この場合、ドア部分3a,3bは、挿入中空室7a内に配置できるように、実質的にまたはほぼ、互いに平行に配置されている。
【0015】
この場合、ドア部分3bまたは家具部分3は、少なくとも1つの固定具部分18により、回転軸線Dを中心として可動に、見えていないコラム14に取り付けられている。コラム14は
図6に示されている。
【0016】
第2のドア部分3aは、ガイド装置10によって長手方向ガイドレール9に沿って摺動可能に支持されている。
図1bに示した閉鎖位置から、家具部分3、すなわち2つのドア部分3a,3bは、
図1cに示されたように、挿入中空室7a内に挿入され得る。この場合、ガイド装置10は支持体11に保持されている。したがって、ガイド装置10は、長手方向ガイドレール9にもはや接触していない。
【0017】
図1cには、挿入レール13bを介して家具部分3またはドア部分3a,3bが挿入中空室7a内に挿入された状態が示されている。したがって、ガイドシステム1は少なくとも1つの挿入レール13a,13bを有しており、この挿入レールに沿って少なくとも1つの支持体11または支持体に配置されたコラム14が、長手方向ガイドレール9の長手方向Lに対して横方向に延在する方向Zで可動である。したがって、可動な家具部分3を省スペースに収納することができる。
【0018】
図2は、好適には折り畳みドアまたは折り畳みスライドドアの第1のドア部分3bの形態の家具部分3をガイドするためのガイドシステム1の可能な使用例が示されており、第1のドア部分3bは、組付け状態で鉛直に延在する軸5aを介して、第2のドア部分3aに連結されている。オプションとして、同様に鉛直に延在する軸5bを介して互いに旋回可能に連結されている少なくとも2つの別のドア部分4a,4bを設けることもできる。
【0019】
ガイドシステム1は、例えばパーテイションシステムとして使用することができるので、
図2に示したような、キッチンブロック、書斎スペース、物置スペース、棚等の形態の、家具本体6を、居住空間においてドア部分3a,3b,4a,4bによって完全に隠すことができ、したがって居住空間のその他の領域から視覚的に分離することができる。
【0020】
しかしながらガイドシステム1を、例えばウォークインクローゼットのようなクローゼットシステムのために使用することもできる。機能形式は、以下にドア部分3a,3bにつき説明するが、ドア部分4a,4bについても同じ説明があてはまる。
【0021】
ドア部分3a,3bは、ドア部分3a,3bが実質的に互いに同一平面に配置され、家具本体6が隠される第1の位置と、ドア部分3a,3bが実質的に互いに平行に配置されている第2の位置との間で、ガイドシステム1によって可動である。この第2の位置では、人が家具本体6に近づくことができ、この場合はドア部分3a,3bは、側壁8aの側方にある挿入中空室7a内に省スペース的に収容することができる(他方のドア部分4a,4bのための左側の挿入中空室7bを図面により良好に認識することができる)。
【0022】
ガイドシステム1は、ドア部分3a,3bをガイドするための、長手方向Lを有する長手方向ガイドレール9を含む。この長手方向ガイドレール9は例えば、部屋の天井、部屋の壁、または家具本体に、好適には家具本体6のフロント面に対して平行に、取り付けることができる。
【0023】
図3には、
図2に示したガイド装置10の領域が拡大されて示されている。第1のドア部分3bはガイド装置10に接続されていて、このガイド装置によって
第2及び第1のドア部分3a,3bは長手方向ガイドレール9に沿って移動可能に支持されている。移動可能なキャリッジの形態の、長手方向ガイドレール9とは別個の支持体11が示されており、この支持体11は、移送位置で、第1のドア部分
3bに連結されたガイド装置10が長手方向ガイドレール9と支持体11との間で往復移送可能であるように、長手方向Lで長手方向ガイドレール9に接続されている。ガイド装置10は、側方の力を受け止めるための鉛直方向の回転軸線を備えた少なくとも1つの第1のローラ15aと、鉛直方向の力を受け止めるための水平方向の回転軸線を備えた少なくとも1つの第2のローラ15bとを有することができ、この場合、ローラ15a,15bは、長手方向Lで延在する長手方向ガイドレール9のプロファイル区分9aに沿って可動に支持されている。支持体11も、プロファイル区分9aの横断面の形状およびサイズに対応する横断面を備えた保持装置11aを有しているので、ガイド装置10は長手方向ガイドレール9と支持体11との間で往復移送可能である。支持体11は例えば、長手方向Lで延在する少なくとも2つのガイド通路16a,16bを、ローラ15a,15bのガイドのために有していてよい。
【0024】
長手方向ガイドレール9に沿って直線的に摺動可能なガイド装置10は、支持体11の図示した移送位置ではまだ長手方向ガイドレール9上にある。支持体11は、移送位置で、長手方向ガイドレール9に解除可能にロック可能であり、この場合、このロックは、ガイド装置10が支持体11内へと進入することにより、または支持体11上へと進入することにより解除可能である。ロック解除が行われた後、支持体11はガイド装置10および両ドア部分3a,3bと共に、長手方向ガイドレール9の長手方向Lに対して横方向に、好適には直角に延びる方向Zで水平方向に移動可能である。支持体11は、鉛直方向に延在するコラム14に結合されていて、このコラムは、方向Zで移動可能であり、かつ駆動装置12によって少なくとも所定の区分で方向Zに駆動可能である。コラム14は、組付け状態で長手方向ガイドレール9から高さ方向で間隔を置いて位置する第2の挿入レール13aおよび13bに沿って方向Zで移動可能である。
【0025】
図4には、プロファイル区分9aを形成する長手方向ガイドレール9が示されている。この長手方向ガイドレールに沿って、少なくとも1つのローラ15bが可動に支持されている。ローラ15bは、
図4に示されていないガイド装置10の構成部分である。長手方向ガイドレール9の端部には、補償装置99が配置されている。補償装置は、滑走面99aを有しており、この滑走面に沿って、ガイド装置10またはガイド装置に配置されたローラ15bが走行可能である。
【0026】
したがって補償装置99は、長手方向ガイドレール9に沿って延在するプロファイル区分9aに対して傾斜して形成された滑走面99aによって形成されている。さらに、補償装置99が、長手方向ガイドレール9と支持体11および/または保持装置11aとの間の領域に配置されていて、ガイド装置10またはそのローラ15bが長手方向ガイドレール9と保持装置11aとの間で補償装置99を介して往復移送可能であることがわかる。
【0027】
補償装置を、1つの部分では長手方向ガイドレール9によって、別の部分では保持装置11aによって形成することもできる。
図4により、補償装置99が保持装置11aの一部によって形成されていることがわかる。保持装置11aも支持体11の1つの構成部分である。
【0028】
図5には、水平方向の回転軸線を備えて形成されたローラ15bが示されており、このローラは長手方向ガイドレール9に沿ってプロファイル区分9aにおいて走行可能に支持されている。安定化のために、ガイド装置10はさらに、鉛直方向の回転軸線を有したローラ15aも有している。ガイド装置10には、回転軸線Dを中心として可動に配置された固定具18が配置されており、この固定具は家具部分3を保持するために使用される。したがって、この固定具18に配置された家具部分は、回転軸線Dを中心として旋回することができ、長手方向ガイドレール9に沿って走行することができる。
【0029】
図6には、第1のドア部分3bおよび第2のドア部分3aとして形成された家具部分3を有したガイドシステム1の構造が概略的に示されている。第1のドア部分3bは固定具18によってコラム14に可動に配置されている。第2のドア部分3aは、中央ヒンジ55を介して第1のドア部分3bに接続されている。第2のドア部分3aには、長手方向ガイドレール9の長手方向Lで走行可能なガイド装置10が位置している。
第2及び第1のドア部分3a,3bが互いに旋回されると、ガイド装置10は長手方向ガイドレール9のプロファイル区分9aに沿って走行する。
【0030】
長手方向ガイドレール9およびプロファイル区分9aの端部には、補償装置99が位置していて、この補償装置は、長手方向ガイドレール9の端部においてローラ15bを束縛から解放し、所定の高さ方向の遊びをもたらす。この高さ方向の遊びまたはこの高さの差Xは、補償装置99によって補償される。したがって補償装置99は、ローラ15bの走行により、(
図1aに示したような)閉鎖位置における家具部分3の正確な位置決めをもたらす。家具部分3と、例えば家具本体37との間のギャップ寸法は、閉鎖位置の方向での補償装置99を介した走行により相殺される。開放位置(
図1b)または挿入位置(
図1c)では、家具部分3またはドア部分3a,3bの正確な高さ位置におけるこのような正確な位置決めはもはや必要ない。家具部分3は、挿入中空室7a内に装着され得るように、または収納され得るように僅かな遊びを有しているのが望ましい。
【0031】
高さの差Xは、矢印VHによって示されたコラム14の調節可能性によって生じる。さらに家具部分3または第1のドア部分3bは、固定具18によってもその位置を調節可能であり、このことは矢印VSで示されている。2つのドア部分3a,3bを連結するための中央ヒンジ55も調節可能であり、このことは矢印VMによって示されている。これら様々な調節可能性VM、VS、およびVHは、高さの差Xを変更し、閉鎖位置から開放位置への移動の際に補償されなければならない。この場合、ガイド装置10またはガイド装置に配置されたローラ15bは開放位置で支持体11、または支持体に配置された保持装置11aに接触することができ、または支持体の上方で自由に、または支持体内で浮動するように配置されてよい。
【0032】
保持装置11aが滑走面11bを有していてもよい。少なくとも1つのガイド装置10が、保持装置11aに配置される際に、滑走面11bに接触する、または滑走面11bに対して間隔を有している場合があり得る。閉鎖位置へと戻す場合には、この高さの差Xを、補償装置99を介して克服しなければならない。ガイド装置10または、ガイド装置に配置された少なくとも1つのローラ15bは、傾斜したプロファイル区分99aとして、または傾斜面として形成された補償装置99を介して、長手方向ガイドレール9へと戻されることができ、この場合、正確な高さ位置が、したがって正確なギャップ寸法が得られる。
【0033】
補償装置99は、この場合、保持装置11aの長さに沿って、最大1/3の長さにわたって延在しており、この場合、保持装置11aは支持体11によって形成される。
【0034】
補償装置99を長手方向ガイドレール9に配置することもできる。補償装置99が、長手方向ガイドレール9から保持装置11aの方向へ下降するように延在する傾斜面によって形成されている構成も考えられる。
【0035】
したがって、ガイド装置10の少なくとも1つのローラ15bは、長手方向ガイドレール9と保持装置11aとの間で、補償装置99を介して往復移送可能である。支持体11および/または保持装置11aは、鉛直方向に延在するコラム14の上面に配置されていて、第
2および第
1のドア部分3a,3bから成る家具部分3は、少なくとも1つの固定具部分18によって回転軸線Dを中心として可動にコラム14に取り付けられている。ガイド装置10はこの場合、
第2及び第1のドア部分3a,3bの1つに接続されていて、開放位置から閉鎖位置への、またはその逆の旋回の際に
第2及び第1のドア部分3a,3bの長手方向ガイドのために働く。
【0036】
別の形式の補償装置99は、例えば可動のフラップまたは揺動体によるものであることが考えられ、2つの高さ位置の間で、高さの差Xを補償するために可動に支持されている。まっすぐに延在する傾斜面ではなくて、曲線が設けられてもよい。
【0037】
図7には、ドア部分3a,3bが(
図1bのように)開放位置で示されている。この場合、ガイド装置10の少なくとも1つのローラ15bが支持体11に配置されていて、したがって支持体11は可動な家具部分3を支持している。この支持の前に、ローラ15bは、長手方向ガイドレール9から支持体11の保持装置11aへと、補償装置99を介して移送されている。
【0038】
図8には、ローラ15bが保持装置11aにどのように保持されるかが詳細に示されている。家具部分3または第
2および第
1のドア部分3a,3bは、
図7に示したように、その開放位置から閉鎖位置へと動かされる場合には、傾斜面として形成された補償装置99が、高さ方向の遊びXの調節に応じて、少なくとも1つのローラ15bの持ち上げを行う、または既に調節により得られた持ち上げられた位置を補償する。保持装置11aから補償装置99を介して長手方向ガイドレール9およびそのプロファイル区分9aへと、ガイド装置10が衝突なく戻し案内される。高さの差Xは、傾斜面として形成された補償装置99によって補償される。さらに、傾斜面は、ローラ15bのために、したがってガイド装置10のために、プロファイル区分9aから保持装置11aへの一種の導入補助を提供する。