(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記流量センサは、第1の測定値間隔を有する第1のセンサと、前記第1の測定値間隔よりも大きい第2の測定値間隔を有する第2のセンサと、を有しており、前記第1のセンサは、所定の閾値未満の設定流量に対して使用され、前記第2のセンサは、前記閾値以上の設定流量に対して使用される、請求項1に記載の細穴放電加工機。
前記第1の測定値間隔及び前記第2の測定値間隔は、前記第1のセンサが使用される前記記憶部内の最小の設定流量に対する前記第1の測定値間隔の比率が、前記第2のセンサが使用される前記記憶部内の最少の設定流量に対する前記第2の測定値間隔の比率よりも小さくなるように決定される、請求項2に記載の細穴放電加工機。
前記ポンプ制御部は、前記流量センサの検出値が、前記設定流量よりも所定の時間以上に小さいときに、前記パイプ電極が詰まっていると判定する、請求項1に記載の細穴放電加工機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、パイプ電極への加工液流量を一定に制御する考え方はあったが、ほとんどの場合、パイプ電極への加工液圧力を一定にする方法がとられ、それで大きな問題は生じていなかった。一方、細穴放電加工機では、長いパイプ電極を用いてパイプ電極の交換頻度を下げることによって、生産性を向上することが行われるようになってきた。しかしながら、長いパイプ電極では、パイプ電極の加工精度に起因して、その長さ方向に沿って内径が変動しやすく、圧力一定制御では内径の変動によって吐出量も変動する。しかも、パイプ電極の長さは放電加工が進むにつれて消耗して短くなり、吐出量はパイプ電極の長さによっても変動する。このため、長いパイプ電極で細穴放電加工を行うと加工液を一定の吐出量に保持することが困難であり得る。また、例えば、特許文献1の装置では、加工液を供給するための構成として送りねじが用いられているため、加工液の供給量は送りねじのピッチの精度に影響される。特許文献1の装置において長いパイプ電極を用いる場合には、長い送りねじを準備する必要があるが、長い送りねじでは、加工精度に起因して、その長さ方向に沿ってピッチが変動しやすい。したがって、長いパイプ電極を用いた場合、高速度及び高精度の細穴加工を行うことができない可能性がある。
【0005】
本開示は、上記のような問題を考慮して、長いパイプ電極を用いてパイプ電極の交換頻度を下げることによって生産性を向上するとともに、安定した高速度及び高精度の加工を行うことができる細穴放電加工機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、主軸に交換可能に装着されたパイプ電極から加工液の噴流を吐出しながらワークに細穴を形成する細穴放電加工機において、パイプ電極に加工液を供給する流量可変のポンプと、ポンプとパイプ電極との間の配管に設けられ、配管内を流れる加工液の流量を検出する流量センサと、主軸に装着される異なる断面サイズを有する複数のパイプ電極の各断面サイズに適した噴流の設定流量を記憶する記憶部と
、現在主軸に装着されているパイプ電極の断面サイズに適した前記記憶部に記憶された設定流量
を読み出し、加工の進行に伴って前記パイプ電極の長さが変化しても、前記流量センサの検出値が前記設定流量を保持
するように、ポンプを
制御するポンプ制御部と、を具備する細穴放電加工機である。
【0007】
本開示の一態様に係る細穴放電加工機では、ポンプとパイプ電極との間の配管に設けられた流量センサの検出値が、各パイプ電極の断面サイズに適した設定流量に保持されるようにポンプが制御される。したがって、長いパイプ電極を用いる場合に、そのパイプ電極が消耗して短くなったときにも、ポンプからパイプ電極に加工液を一定の供給量で供給することができる。よって、パイプ電極の交換頻度を下げて生産性を向上するとともに、安定した高速度及び高精度の細穴放電加工を行うことができる。
【0008】
流量センサは、第1の測定値間隔を有する第1のセンサと、第1の測定値間隔よりも大きい第2の測定値間隔を有する第2のセンサと、を有してもよく、第1のセンサは、所定の閾値未満の設定流量に対して使用されてもよく、第2のセンサは、この閾値以上の設定流量に対して使用されてもよい。この場合、小さい設定流量に対して、より小さい第1の測定値間隔を有する第1のセンサが使用される。したがって、加工液の流量が低い場合であっても、加工液の流量を高精度で検出することができる。
【0009】
第1の測定値間隔及び第2の測定値間隔は、第1のセンサが使用される記憶部内の最小の設定流量に対する第1の測定値間隔の比率が、第2のセンサが使用される記憶部内の最小の設定流量に対する第2の測定値間隔の比率よりも小さくなるように、決定されてもよい。より小さい設定流量を有するパイプ電極の方が、より大きい設定流量を有するパイプ電極に比して、加工液の流量の変動に大きく影響される。上記の構成では、小流量用の第1のセンサが使用される最小の設定流量の方が、大流量用の第2のセンサが使用される最小の設定流量に比して、より細かい測定値間隔(すなわち、より高い分解能)で測定される。したがって、上記の構成では、より小さい設定流量を高い分解能で測定することができる。よって、小さい設定流量を有するパイプ電極を用いる場合であっても、高精度の加工を行うことができる。
【0010】
ポンプ制御部は、流量センサの検出値が、設定流量よりも所定の期間以上にわたって小さいときに、パイプ電極が詰まっていると判定してもよい。この場合、パイプ電極の詰まりを早期に発見することができ、加工不良を防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様によれば、長いパイプ電極を用いて、パイプ電極の交換頻度を下げて生産性を向上するとともに、安定した高速度及び高精度の加工を行うことができる細穴放電加工機を提供することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る細穴放電加工機を説明する。理解を容易にするために、図の縮尺は変更されている場合がある。
【0014】
図1は、実施形態に係る細穴放電加工機を示す概略図である。以下では、便宜上、
図1に示されるように、直交3軸方向(X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向)がそれぞれ左右方向、前後方向及び上下方向と定義され、この定義に従い各部の構成を説明する。細穴放電加工機(本明細書において、単に「加工機」とも称され得る)100は、主軸114に交換可能に装着されたパイプ電極28から加工液の噴流を吐出しながら、パイプ電極28とワーク1との間に放電現象を発生させることによって、ワーク1に細穴を形成するように構成されている。このような加工機100は、ベッド(基台)102、コラム104、X軸スライダ106、ラム108、W軸スライダ110、主軸ヘッド112、主軸114、W軸ガイド組立体140、テーブル118、加工槽132、電極マガジン30、電源制御装置40、及び、加工液供給装置50を備えている。
【0015】
ベッド102の上面の後方部にはコラム104が立設されており、コラム104の上面には、X軸スライダ106がX軸方向に移動可能に取り付けられている。X軸スライダ106の上面には、ラム108がY軸方向に移動可能に取り付けられている。ラム108の前面には、W軸スライダ110がZ軸方向に平行なW軸方向に移動可能に取り付けられている。
【0016】
W軸スライダ110の前面には、主軸ヘッド112がZ軸方向に移動可能に取り付けられている。主軸ヘッド112には、主軸114が、Z軸に平行な中心軸線Os周りに回転可能に支持される。主軸114は、主軸ヘッド112の底面から下方に突出している。主軸114の先端部には、電極ホルダ116が装着されている。電極ホルダ116は、パイプ電極28を保持するように構成されている。パイプ電極28は、細長いパイプ形状を有しており、その内部を加工液(例えば、水又は油)が通る。加工液は、加工液供給装置50からパイプ電極28へ供給され、パイプ電極28の先端部(下端部)から噴流になって吐出される。
【0017】
W軸スライダ110には、W軸ガイド組立体140が取り付けられている。W軸ガイド組立体140は、W軸スライダ110の前面に取り付けられたガイドアーム142を有している。ガイドアーム142は、Z軸方向に延びており、W軸スライダ110と共に上下方向に移動する。このW軸スライダ110とガイドアーム142との移動軸が、W軸と定義される。W軸はZ軸と平行である。ガイドアーム142の下端部には、パイプ電極28の下部を軸線Os方向に移動可能にかつ軸線Os周りに回転可能に支持する電極ガイド16が取り付けられている。また、ガイドアーム142の下端部には、電極ガイド16付近においてパイプ電極28に電力を供給するための給電ブラシ(不図示)が設けられている。電極ガイド16は、使用されるパイプ電極28の外径に応じて交換される。このために、加工機100は、異なるサイズを有する複数の電極ガイド16を格納するためのガイドマガジン(図示せず)を備えていてもよい。ガイドアーム142に取り付けられた電極ガイド16は、不図示のガイド交換装置によって、ガイドマガジン内の所望の電極ガイド16と自動的に交換されてもよい。
【0018】
電極ホルダ116と電極ガイド16との間には、パイプ電極28が軸線Osに沿って延在し、その上端部が電極ホルダ116によって保持されており、その下部が電極ガイド16によって保持されている。主軸114が、軸線Osを中心として回転することによって、パイプ電極28は、電極ホルダ116と共に軸線Osを中心として回転する。ガイドアーム142には、電極ホルダ116と電極ガイド16との間においてパイプ電極28を保持するように構成された電極保持装置144,146,148が取り付けられている。電極保持装置144,146,148は、細長いパイプ電極28が真っすぐに維持されることを可能にする。
図1では、W軸ガイド組立体140は3つの電極保持装置144,146,148を有しているが、W軸ガイド組立体140は、1つ若しくは2つの電極保持装置を有してしてもよいし、又は、4つ以上の電極保持装置を有していてもよい。
【0019】
図示は省略するが、
図1の加工機100は、X軸スライダ106を左右方向に移動させるX軸駆動部、ラム108を前後方向に移動させるY軸駆動部、W軸スライダ110を上下方向に移動させるW軸駆動部、主軸ヘッド112を上下方向に移動させるZ軸駆動部、及び、軸線Osを中心に主軸114を回転させる主軸駆動部を有する。X軸駆動部、Y軸駆動部、Z軸駆動部およびW軸駆動部は、例えばボールねじとボールねじを回転駆動するサーボモータにより構成され、主軸駆動部は、例えばスピンドルモータにより構成されることができる。これらX軸駆動部、Y軸駆動部、Z軸駆動部、W軸駆動部及び主軸駆動部は、加工機100のNC装置により制御される。こうして、電極ホルダ116及び電極ガイド16が、ワーク1に対して、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に相対移動可能となる。また、W軸スライダ110に対する主軸ヘッド112の昇降により、電極ホルダ116と電極ガイド16との間隔が調整可能である。したがって、パイプ電極28の消耗によるパイプ電極28の長さ変化に拘わらず、加工中、常に電極ホルダ116と電極ガイド16とでパイプ電極28の上下端部を支持することができる。その間、電極ホルダ116と電極保持装置144,146,148とが干渉しないように、主軸ヘッド112がZ軸に沿って下動するにつれ、まず最上段にある電極保持装置144が開き、次いで、その下にある電極保持装置146が開くというように、電極保持装置144,146,148が上から順次に開く。このとき、開位置にある電極保持装置144,146,148と、主軸ヘッド112との干渉もなく、電極ホルダ116はガイドアーム142の下端部に最接近するまで下降することができる。また、加工機100は、電極保持装置144,146,148を独立して駆動する駆動部(図示せず)を備えており、例えば、これらの駆動部は、NC装置により制御される。
【0020】
電極マガジン30は、例えば、主軸ヘッド112の側方に、例えばコラム104に支持されて配置されることができる。電極マガジン30は、異なる断面サイズを有する複数のパイプ電極28を格納している。各パイプ電極28には、電極ホルダ116が取り付けられている。電極マガジン30は、複数のパイプ電極28を無端軌道に沿って移動させるように構成されており、所望のパイプ電極28を交換位置に移動させることができる。電極マガジン30は、加工機100の機械制御装置により制御される。主軸ヘッド112は、電極マガジン30まで移動し、主軸114に取り付けられているパイプ電極28を、電極マガジン30によって交換位置に配置された所望のパイプ電極と交換するように制御される。
【0021】
図2は、各パイプ電極の仕様及び設定流量の例を示す表である。
図2に示されるように、電極マガジン30に格納される複数のパイプ電極28は、異なる断面サイズを有している。加工機100では、比較的長いパイプ電極28を使用することができる。例えば、
図2に示されるように、最も長いパイプ電極28は、700mmよりも大きな長さを有している。各パイプ電極28は、加工を効率よく行うために、及び/又は、加工を高精度に行うために、その断面サイズに適した加工液の設定流量を有している。このような設定流量は、例えば、実験によって予め決定することができる。
図2に示されるように、より小径のパイプ電極28が、より小さな設定流量を有する。設定流量に影響すると考えられる断面サイズは、例えば、パイプ電極28の外径(すなわち、形成される細穴の直径)、内径、又は、断面積の少なくとも1つを含む。設定流量はまた、様々な加工条件(例えば、加工速度及び/又は電流値)に応じて変動し得る。したがって、記憶部58bは、各パイプ電極について、加工条件毎に設定流量を記憶していてもよい。なお、
図2中の「コアレス」とは、パイプ電極に更にパイプ電極を挿入して、放電加工されない中子(コア)が残留しないことを意味する。
【0022】
図1を参照して、ベッド102の上面には、コラム104の前方にテーブル118が配置されている。テーブル118の上面には、ワーク1が取り付けられる。テーブル118には、ワーク1を回転させるためのテーブル等の位置決め装置が設けられていてもよい(不図示)。例えば、ワーク1は、ガスタービンに用いられるタービンブレード又はベーンであることができ、タービンブレードの表面には、冷却空気を通すための冷却孔(細穴)が形成される。
【0023】
テーブル118の周囲には、テーブル118の全体を囲うように加工槽132が設けられている。加工槽132は、上下方向に移動可能である。
図1の1点鎖線は、加工のために上方位置にある加工槽132を示し、実線は、段取り作業時等の非加工状態のための下方位置にある加工槽132を示す。加工機100は、加工槽132を移動させる加工槽駆動装置(図示せず)を備えている。加工槽132が上方位置にあるときに、加工液供給装置50から、パイプ電極28とは別の管路(図示せず)を通って、加工槽132へ加工液が供給される。加工槽駆動装置は、機械制御装置によって制御されてもよい。
【0024】
電源制御装置40は、加工機100の様々な構成要素と無線で又は有線で通信可能に接続されており、これら構成要素を制御するように構成されている。電源制御装置40は、上記のNC装置及び機械制御装置を含んでもよい。電源制御装置40は、プロセッサ(例えば、1つ又は複数のCPU等)、記憶装置(例えば、1つ又は複数のハードディスクドライブ、ROM(read only memory)及び/又はRAM(random access memory)等)、表示装置(例えば、液晶ディスプレイ及び/又タッチパネル等)、及び、入力装置(例えば、マウス、キーボード及び/又タッチパネル等)等の構成要素を有することができる。電源制御装置40は、他の構成要素を更に備えてもよい。電源制御装置40の構成要素は、バス等を介して互いに接続されることができる。電源制御装置40は、PLC(Programmable Logic Controller)、PC(Personal Computer)、サーバー、又は、タブレット等を含むことができる。
【0025】
加工液供給装置50は、タンク51、ポンプ52、ポンプ52の駆動装置53、オリフィス54、リリーフ弁55、流量センサ56、圧力センサ57、及び、ポンプ制御装置58を有している。加工液供給装置50は、他の構成要素を更に有してもよい。
【0026】
タンク51は、パイプ電極28及び加工槽132に供給される加工液を貯留している。ポンプ52は、タンク51内の加工液をパイプ電極28及び加工槽132に供給する。ポンプ52は流量可変であり、例えば、ダイヤフラム式のポンプであることができる。ダイヤフラム式のポンプはピストンのような摺動部材を有していないため、摺動部材によるシールの摩耗がなく、かつ、高圧力を出力することができる。ポンプ52は、他のタイプのポンプであってもよい。ポンプ52が脈動を発生する場合(例えば、ダイヤフラム式のポンプ)、加工液供給装置50は、脈動を低減するためのダンパをポンプ52と主軸114との間に有していてもよい。駆動装置53は、ポンプ52が流量可変であるようにポンプ52を駆動する。例えば、駆動装置53は、インバーターを有するモータであることができる。駆動装置53は、ポンプ制御装置58によって制御される。
【0027】
オリフィス54は、ポンプ52を有効な最低回転数で運転させるために、ポンプ52とパイプ電極28との間を流れる加工液の流量を調整するように構成されている。
図2を参照して、例えば、外径0.3mmを有するパイプ電極は、25ml/minの設定流量を有している。このような流量でパイプ電極28に加工液を供給するためには、ポンプ52は、ポンプ52の有効な最低回転数よりも小さい回転数で運転される必要があり得る。
図1を参照して、したがって、ポンプ52を有効な最低回転数よりも大きな回転数で運転しつつ、パイプ電極28には上記の設定流量で加工液を供給するために、オリフィス54は、余分な加工液をタンク51に戻すように構成されている。リリーフ弁55は、ポンプ52とパイプ電極28との間においてポンプ52の最大許容圧力(例えば、20MPa)に近い圧力が加工液に発生した場合に、加工液の圧力を所定の第1の圧力P1(例えば、P1=19MPa)以下に下げるために、余分な加工液をタンク51に戻すように構成されている。したがって、リリーフ弁55は、ポンプ52のメカニカルストッパーとして働く。
【0028】
流量センサ56は、ポンプ52とパイプ電極28との間(例えば、ポンプ52と主軸114との間)の配管に設けられており、この配管内を流れる加工液の流量を検出するように構成されている。流量センサ56は、小流量用の第1のセンサ56aと、大流量用の第2のセンサ56bと、を有している。第1のセンサ56a及び第2のセンサ56bの各々は、配管の外壁に取り付けられ、配管の外側から加工液の流量を検出するように構成された非接触式のタイプ(例えば、超音波を使用するセンサ)であってもよい。第1のセンサ56a及び第2のセンサ56bは、互いに直列に配置されている。第1のセンサ56a及び第2のセンサ56bの各々は、検出値をポンプ制御装置58に送信するように構成されている。
【0029】
第1のセンサ56aは、第1の測定値間隔s1を有している。例えば、第1のセンサ56aは、0〜255ml/minの測定範囲を有しており、この範囲を256分割で測定するように構成されている(すなわち、第1の測定値間隔s1=1ml/min)。第2のセンサ56bは、第1の測定値間隔s1よりも大きい第2の測定値間隔s2を有している。例えば、第2のセンサ56bは、0〜2550ml/minの測定範囲を有しており、この範囲を256分割で測定するように構成されている(すなわち、第2の測定値間隔s2=10ml/min)。
【0030】
図2を参照して、第1のセンサ56aは、所定の閾値(例えば、100ml)未満の設定流量に対して使用される(すなわち、
図2において、第1のセンサ56aは、外径0.3mm、0.5mm及び0.8mmのパイプ電極の設定流量に対して使用される)。第2のセンサ56bは、上記の閾値以上の設定流量に対して使用される(すなわち、
図2において、第2のセンサ56bは、外径1.0mm、2.0mm及び3.0mmのパイプ電極の設定流量に対して使用される)。
【0031】
図2において、第1のセンサ56aが使用される最小の設定流量は、外径0.3mmのパイプ電極の25ml/minである。したがって、この設定流量に対する第1の測定値間隔s1(s1=1ml/min)の比率r1は、1/25である。また、第2のセンサ56bが使用される最小の設定流量は、外径1.0mmのパイプ電極の160ml/minである。したがって、この設定流量に対する第2の測定値間隔s2(s2=10ml/min)の比率r2は、1/16である。よって、第1のセンサ56aが使用される最小の設定流量に対する第1の測定値間隔s1の比率r1(=1/25)は、第2のセンサ56bが使用される最小の設定流量に対する第2の測定値間隔s2の比率r2(=1/16)よりも小さい。このことは、外径0.3mmのパイプ電極の流量の方が、外径1.0mmのパイプ電極の流量よりも、より細かく測定されることを意味する。例えば、小径のパイプ電極28は、加工の間、パイプ電極28自身から吐出される噴流によって振動しやすいと考えられ、したがって、小径のパイプ電極28の方が、大径のパイプ電極28に比して、加工液の流量の変動に影響されると考えられる。このため、小径のパイプ電極28の流量をより細かく測定するための上記の構成は、小径のパイプ電極28を用いる場合であっても、高精度の加工を行うことを可能にする。
【0032】
圧力センサ57は、ポンプ52とパイプ電極28との間(例えば、ポンプ52と主軸114との間)の配管内を流れる加工液の圧力を検出するように構成されている。圧力センサ57は、検出値をポンプ制御装置58に送信するように構成されている。
【0033】
ポンプ制御装置58は、加工液供給装置50の様々な構成要素と無線で又は有線で通信可能に接続されており、いくつかの構成要素を制御するように構成されている。ポンプ制御装置58は、例えば、ポンプ制御部58a、記憶部58b及び表示装置58cを有する。ポンプ制御部58aは、記憶部58bに記憶されたプログラムにしたがって動作するプロセッサ(例えば、1つ又は複数のCPU等)によって実現されてもよい。記憶部58bは、1つ又は複数のハードディスクドライブ、ROM及び/又はRAM等を含むことができる。記憶部58bは、プロセッサによって実行される様々なプログラムを記憶している。記憶部58bは、その他の様々なデータを記憶することができる。表示装置58cは、液晶ディスプレイ及び/又タッチパネル等を含むことができる。ポンプ制御装置58は、その他の構成要素(例えば、マウス、キーボード及び/又タッチパネル等の入力装置)を有してもよい。ポンプ制御装置58の構成要素は、バス等を介して互いに接続されることができる。ポンプ制御装置58は、PLC、PC、サーバー、又は、タブレット等を含むことができる。ポンプ制御装置58は、上記の電源制御装置40に組み込まれていてもよい。代替的に、ポンプ制御装置58は、電源制御装置40とは独立して設けられてもよい。ポンプ制御装置58は、電源制御装置40のNC装置及び機械制御装置と通信可能に構成されている。
【0034】
記憶部58bは、
図2に示される各パイプ電極28の設定流量を記憶している。ポンプ制御部58aは、現在主軸114に装着されているパイプ電極28を、例えば、電源制御装置40で使用されるNCプログラムに基づいて判断することができる。また、ポンプ制御部58aは、対応するパイプ電極28の設定流量を記憶部58bから読み込む。ポンプ制御部58aは、流量センサ56の検出値が、現在主軸114に装着されているパイプ電極28の設定流量に保持されるように、駆動装置53を制御する。現在主軸114に装着されているパイプ電極28が外径0.3mm、0.5mm又は0.8mmの断面サイズを有していると判断された場合、ポンプ制御部58aは、小流量用の第1のセンサ56aからの検出値を駆動装置53の制御に使用する。また、現在主軸114に装着されているパイプ電極28が外径1.0mm、2.0mm又は3.0mmの断面サイズを有していると判断された場合、ポンプ制御部58aは、大流量用の第2のセンサ56bからの検出値を駆動装置53の制御に使用する。
【0035】
また、記憶部58bは、ポンプ52とパイプ電極28との間において加工液の圧力をポンプ52の定格圧力(例えば、17MPa)以下に維持するための所定の第2の圧力P2を記憶している。したがって、第2の圧力P2は、ポンプ52の定格圧力と同じであってもよい。第2の圧力P2は、上記のリリーフ弁55の第1の圧力P1(例えば、P1=19MPa)よりも小さい。ポンプ制御部58aは、第2の圧力P2を記憶部58bから読み込む。ポンプ制御部58aは、圧力センサ57の検出値が第2の圧力P2を超えないように、駆動装置53を制御する。したがって、ポンプ制御装置58は、ポンプ52のソフト的なストッパーとして働く。
【0036】
また、記憶部58bは、パイプ電極28の詰まりを検出するための所定の期間t(例えば、t=10秒)を記憶している。ポンプ制御部58aは、期間tを記憶部58bから読み込む。ポンプ制御部58aは、流量センサ56(第1のセンサ56a又は第2のセンサ56b)の検出値が、設定流量よりも期間t以上にわたって小さいときに、パイプ電極28が詰まっていると判定する。パイプ電極28が詰まっていると判定された場合、ポンプ制御装置58は、オペレータに対して警告を発してもよい。警告は、例えば、表示装置58cに表示されてもよい。代替的に又は付加的に、警告は、音声によって発せられてもよい。
【0037】
以上のような加工機100では、ポンプ52とパイプ電極28との間の配管に設けられた流量センサ56の検出値が、各パイプ電極28の断面サイズに適した設定流量に保持されるように、ポンプ52が制御される。したがって、長いパイプ電極28を用いる場合にも、ポンプ52からパイプ電極28に加工液を一定の供給量で供給することができる。よって、パイプ電極28の交換頻度を下げて生産性を向上するとともに、安定した高精度の加工を行うことができる。
【0038】
また、加工機100では、流量センサ56は、第1の測定値間隔s1を有する第1のセンサ56aと、第1の測定値間隔s1よりも大きい第2の測定値間隔s2を有する第2のセンサ56bと、を有しており、第1のセンサ56aは、所定の閾値(例えば、100ml/min)未満の設定流量に対して使用され、第2のセンサ56bは、この閾値以上の設定流量に対して使用される。したがって、小さい設定流量に対して、より小さい第1の測定値間隔s1を有する第1のセンサ56aが使用される。したがって、加工液の流量が低い場合であっても、流量を高精度で検出することができる。
【0039】
また、加工機100では、第1の測定値間隔s1及び第2の測定値間隔s2は、第1のセンサ56aが使用される最小の設定流量に対する第1の測定値間隔s1の比率r1が、第2のセンサ56bが使用される最小の設定流量に対する第2の測定値間隔s2の比率r2よりも小さくなるように、決定されている。上記のように、より小さい設定流量を有するパイプ電極の方が、より大きい設定流量を有するパイプ電極に比して、加工液の流量の変動に大きく影響される。上記の構成では、小流量用の第1のセンサ56aが使用される最小の設定流量の方が、大流量用の第2のセンサ56bが使用される最小の設定流量に比して、より細かい測定値間隔(すなわち、より高い分解能)で測定される。したがって、上記の構成では、より小さい設定流量を高い分解能で測定することができる。よって、小さい設定流量を有するパイプ電極28を用いる場合であっても、高精度の加工を行うことができる。
【0040】
また、加工機100では、ポンプ制御部58aは、流量センサ56の検出値が設定流量よりも所定の期間以上にわたって小さいときに、パイプ電極28が詰まっていると判定する。したがって、パイプ電極28の詰まりを早期に発見することができ、加工不良を防ぐことができる。また、パイプ電極28を自動交換して、生産の停滞を防ぐこともできる。
【0041】
また、加工機100は、流量センサ56に加えて、圧力センサ57も備えており、記憶部58bは、ポンプ52とパイプ電極28との間において加工液の圧力をポンプ52の定格圧力以下に維持するための所定の第2の圧力P2を記憶しており、ポンプ制御部58aは、圧力センサ57の検出値が第2の圧力P2を超えないように、駆動装置53を制御する。このように、流量センサ56と圧力センサ57とを一緒に使用することによって、加工液を一定の流量に制御することができると同時に、ポンプ52を定格圧力一杯で使用することができる。したがって、加工液をより高圧力でパイプ電極28に供給することができ、高速の噴流で効率良く加工が行われる。
【0042】
細穴放電加工機の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。当業者であれば、上記の実施形態の様々な変形が可能であることを理解するだろう。
【0043】
例えば、上記の実施形態では、加工機100は、電極マガジン30を備えている。他の実施形態では、加工機100は、電極マガジン30を有していなくてもよく、パイプ電極28は、オペレータによって手動で交換されてもよい。
【解決手段】細穴放電加工機100は、パイプ電極28に加工液を供給する流量可変のポンプ52と、ポンプ52とパイプ電極28との間の配管に設けられ、配管内を流れる加工液の流量を検出する流量センサ56と、異なる断面サイズを有する複数のパイプ電極28の各断面サイズに適した噴流の設定流量を記憶する記憶部58bと、流量センサ56の検出値が、現在主軸114に装着されているパイプ電極28の断面サイズに適した記憶部58bに記憶された設定流量に保持されるように、ポンプ52を駆動するポンプ制御部58aと、を具備する。