【実施例1】
【0018】
図1は、本発明に係る加工機の制御装置を適用して構成した実施例1の超音波溶融接合装置の概略を示す図である。
【0019】
図1において、実施例1の超音波溶融接合装置100は、ベース1上に載置された冶具2の上に加工対象であるワーク3を載せ、このワーク3に対して空圧式シリンダ10により荷重を与えるとともに、ヘッド部30からワーク3に超音波振動を印加することによりワーク3の接合部位を超音波溶融接合するものである。
【0020】
ここで、ヘッド部30は、ベース1から植設された支柱4に取り付けられたガイド20により上下方向移動自在に保持されており、ワーク3に対するヘッド部30の移動量は、変位量検知手段である変位計50により検知される。この変位計50は、1.0〜0.001μmの分解能を有するリニアゲージ(光学式リニアスケール)やマグネットスケール(磁気式リニアスケール)を用いて構成することができる。
【0021】
空圧式シリンダ10は、取付部11を介して支柱4に取り付けられ、この超音波溶融接合装置100の制御部60に設けられるコントローラ62の制御により、連結部品40、ヘッド部30を介してワーク3に荷重を与える。
【0022】
また、この超音波溶融接合装置100の制御部60に設けられる超音波発振機61は、コントローラ62により制御され、ワーク3の接合部位を溶融するために超音波振動を発振し、この超音波振動をヘッド部30からワーク3に対して印加する。
【0023】
この実施例1の超音波溶融接合装置100においては、変位計50で検知されるワーク3に対するヘッド部30の移動量を入力し、このヘッド部30の移動量から単位時間当たりのヘッド部30の単位変位量を演算し、該演算した単位変位量からワーク3に対するヘッド部30の接触状態を解析する演算処理装置70が設けられている。
【0024】
この演算処理装置70は、この超音波溶融接合装置100の制御部60内に予め組み込むように構成してもよいが、この超音波溶融接合装置100の制御部60に外部から接続するように構成してもよい。この場合、この演算処理装置70としては、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)を用いて構成することができ、演算処理装置70で演算解析したワーク3に対するヘッド部30の接触状態に基づき、制御部60のコントローラ62に対して超音波溶融接合装置100を制御するための各種制御指示を与える。
【0025】
この超音波溶融接合装置100は、ワーク3の接合部位の超音波溶融接合に際して、まず、制御部60のコントローラ62による空圧式シリンダ10の制御によりヘッド部30を下降させてヘッド部30の先端をワーク3の接合部位に接触させて、ワーク3に対して荷重を与え、このヘッド部30によりワーク3に対して荷重を与える接触状態において、超音波発振機61から超音波振動を発生して、この超音波振動をヘッド部30からワーク3の接合部位に対して印加する。
【0026】
ここで、超音波発振機61の発振開始タイミングは、ヘッド部30の先端がワーク3の接合部位に対して最適に接触した接触状態で行われるのが好ましい。
【0027】
この実施例1の超音波溶融接合装置100においては、変位計50により検知されたワーク3に対するヘッド部30の移動量を演算処理装置70でモニタして、このモニタしたワーク3に対するヘッド部30の移動量から単位時間当たりの前記ヘッド部の単位変位量を演算し、該ヘッド部の単位変位量からワーク3に対するヘッド部30の接触状態を演算解析し、この演算解析結果に基づき超音波発振機61の発振開始タイミングを制御する。
【0028】
図2(A)は、
図1に示した超音波溶融接合装置100のワーク3に対するヘッド部30の単位変位量の推移波形の一例を模式的に示すグラフであり、実線のグラフは、演算処理装置70で演算解析されたワーク3に対するヘッド部30の単位変位量を示し、破線のグラフは、ワーク3に対するヘッド部30の接触検知のために従来用いられていた圧力センサの検知波形である。
【0029】
図2(A)において、時点t0でヘッド部30の下降が開始されると、ヘッド部30の単位変位量〔mm/sec〕は、
図2(A)で実線のグラフに示されるように、順次増加し、その後ヘッド部30の単位変位量は一定の値になる。なお、
図2(A)において、横軸は、時間〔x1/100sec〕を示す。
【0030】
そして、ヘッド部30がワーク3に接触すると、ヘッド部30の単位変位量は急激に減少し、時点t1で零になる。その後、ワーク3に対するヘッド部30のリバウンドにより複数のピークを形成する。
【0031】
これに対して、従来用いられていた圧力センサの出力〔N〕は、時点t1より遅い時点tsで急激に立ちあがる。
【0032】
図2(A)から明らかなように、従来用いられていた圧力センサを用いた場合は、ワーク3に対するヘッド部30の接触の検知が時点t1より遅い時点tsになる。これは、従来用いられていた圧力センサは、その設置箇所が連結部品40の配設部若しくはベース1と冶具2との間になるため、高精度の圧力センサを用いてもヘッド部30や冶具2の自重により時定数が大きくなり、ワーク3に対するヘッド部30の接触の検知時点が遅くなると考えられる。
【0033】
図2(B)に示す、ワーク3に対するヘッド部30のリバウンド領域におけるワークの単位変位量を拡大して示したものである。上記ヘッド部30の単位変位量は、時点t1で零になり、その後、時点t9までリバウンドを繰り返す。このとき、このリバウンド領域におけるワークの単位変位量の振幅は、a1からa4に示すように順次小さくなる。
【0034】
ところで、この実施例1においては、変位計50として分解能が0.1μm以下のものを用い、演算処理装置70として演算解析時間が0.1ms以下のもを用いているので、上記リバウンド領域におけるワーク3に対するヘッド部30の接触状態を高精度で検知することが可能になる。
【0035】
このような構成によると、ワーク3に対するヘッド部30の接触状態を高精度に検知できるので、例えば、超音波溶融接合装置100の超音波発振機61の発振開始タイミングを最適に制御することが可能になる。
【0036】
図3は、
図1に示した超音波溶融接合装置100の変位計50及び演算処理装置70を用いた制御例を示すフローチャートである。
【0037】
この処理が開始されると、演算処理装置70は、制御部60のコントローラ62に対してヘッド部30の下降指示を与える(ステップ301)。これにより、ヘッド部30は、冶具2上に置かれたワーク3に向かって下降を開始する。
【0038】
演算処理装置70は、変位計50の出力をモニタし(ステップ302)、変位計50の出力から単位時間当たりのヘッド部30の変位量を算出する(ステップ303)。
【0039】
そして、ワーク3にヘッド部30が接触してこの算出したヘッド部30の変位量が零になったかを調べる(ステップ304)。ここで、ヘッド部30の変位量が零になっていない場合は(ステップ304でNO)、ステップ303に戻り、単位時間当たりのヘッド部30の変位量を算出して、ヘッド部30の変位量が零になるのを待つ。
【0040】
ステップ304で、ヘッド部30の変位量が零になったと判断されると(ステップ304)、次のリバウンド領域におけるヘッド部30の単位変位量のピークの数を計数する(ステップ305)。
【0041】
次に、ヘッド部30の単位変位量のピークの数の計数により、計数したピークの数は、所定の規定数、例えば、「3」になったかを調べる(ステップ306)。ここで、ヘッド部30の単位変位量のピークの数が所定の規定数になっていない場合は(ステップ306でNO)、ステップ305に戻り、ヘッド部30の単位変位量のピークの数の計数の計数を続ける。
【0042】
ステップ306で、ヘッド部30の単位変位量のピークの計数値が所定の規定数に達したと判断されると(306でYES)、ヘッド部30がワーク3に対して超音波を印加するに最適な接触状態になったとして、制御部60のコントローラ62を介して超音波発振機61に超音波発振開始指示を与える(ステップ307)。これにより、ヘッド部30からワーク3に対して超音波振動が印加され、ワーク3の超音波溶融接合加工が開始される。
【0043】
次に、ヘッド部30がワーク3に接触してからのワークの移動量が、超音波溶融接合加工の目標移動量に達したかが調べられる(ステップ308)。このヘッド部30が超音波溶融接合加工の目標移動量に達したか否かの判断は、変位計50の出力をモニタする演算処理装置70によるワーク3にヘッド部30が接触してからの変位計50の出力の計数値に基づき行われる。
【0044】
ステップ308で、ヘッド部30が超音波溶融接合加工の目標移動量に達したと判断されると(ステップ308でYES)、所定の冷却期間経過後、制御部60のコントローラ62に対して演算処理装置70からヘッド部30の上昇指示を与え(ステップ310)、ヘッド部30が上死点に復帰したと判断されると(ステップ311でYES)、この超音波溶融接合装置100による超音波溶融接合加工処理を終了する。
【0045】
図4は、
図1に示した超音波溶融接合装置の他の制御例を示すフローチャートである。
図3に示した制御例においては、ヘッド部30の単位変位量が零になってからのリバウンド領域における単位変位量のピークの数を計数し、該計数値が規定数に達したときにヘッド部30がワーク3に対して接触状態になったと判別して、制御部60の超音波発振機61に超音波発振開始指示を与えるように構成したが、
図4に示す他の制御例においては、ヘッド部30の単位変位量が零になってからのリバウンド領域におけるヘッド部30の単位変位量の振幅値(
図2(B)の振幅値a1からa4参照)を演算し、この振幅値が規定振幅値以下になったときにヘッド部30がワーク3に対して超音波を印加するに最適な接触状態になったとして、制御部60のコントローラ62を介して超音波発振機61に超音波発振開始指示を与える。
【0046】
すなわち、
図4において、この処理が開始されると、演算処理装置70は、制御部60のコントローラ62に対してヘッド部30の下降指示を与え(ステップ401)、これにより、ヘッド部30は、冶具2上に置かれたワーク3に向かって下降を開始する。
【0047】
演算処理装置70は、変位計50の出力をモニタし(ステップ402)、変位計50の出力から単位時間当たりのヘッド部30の変位量を算出する(ステップ403)。
【0048】
そして、ワーク3にヘッド部30が接触してこの算出したヘッド部30の変位量が零になったかを調べ(ステップ404)、ここで、ヘッド部30の変位量が零になっていない場合は(ステップ404でNO)、ステップ403に戻り、単位時間当たりのヘッド部30の変位量を算出して、ヘッド部30の変位量が零になるのを待つが、ステップ404で、ヘッド部30の変位量が零になったと判断されると(ステップ404)、次のリバウンド領域におけるヘッド部30の単位変位量の振幅値を計数する(ステップ405)。
【0049】
ここで、ヘッド部30の単位変位量の振幅値が所定の規定振幅値以下になったと判断されると(406でYES)、制御部60のコントローラ62を介して超音波発振機61に超音波発振開始指示を与える(ステップ407)。これにより、ヘッド部30からワーク3に対して超音波振動が印加され、ワーク3の超音波溶融接合加工が開始される。
【0050】
そして、ヘッド部30が超音波溶融接合加工の目標移動量に達したと判断されると(ステップ408でYES)、所定の冷却期間経過後、制御部60のコントローラ62に対して演算処理装置70からヘッド部30の上昇指示を与え(ステップ410)、ヘッド部30が上死点に復帰したと判断されると(ステップ411でYES)、この超音波溶融接合装置100による超音波溶融接合加工処理を終了する。
【0051】
なお、
図4においては、ヘッド部30の単位変位量の振幅値が規定振幅値以下になったときに超音波発振機61の超音波発振を開始するように構成したが、ヘッド部30の単位変位量のピークの数が所定の規定数に達し、かつヘッド部30の単位変位量の振幅値が規定振幅値以下になったとき若しくはヘッド部30の単位変位量のピークの数が所定の規定数に達するか、ヘッド部30の単位変位量の振幅値が規定振幅値以下になったかのいずれかが成立したとき、超音波発振機61の超音波発振を開始するように構成してもよい。
【実施例2】
【0052】
図5は、本発明に係る加工機の制御装置を適用して構成した実施例2の超音波溶融接合装置200の概略を示す図である。
図5に示す実施例2においては、ヘッド部30に対して速度制御用油圧ダンパ80が設けられる。
【0053】
その他の構成は実施例1の超音波溶融接合装置100と同様である。
図5において、
図1に示した超音波溶融接合装置100と同様の機能を果たす部分には、
図1で用いた符号と同一の符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0054】
図5に示した実施例2の超音波溶融接合装置200においては、ヘッド部30に対して速度制御用油圧ダンパ80を設けて構成したので、ワーク3に対するヘッド部30のリバウンドを急激に減衰させることができ、これにより
図1に示した実施例1の超音波溶融接合装置100よりも早い最適なタイミングで、超音波発振機61に超音波発振開始指示を与え、超音波溶融接合加工の最適化、高速化を図ることができる。
【0055】
また、この実施例においては、変位計50により検知されたワーク3に対するヘッド部30の移動量を演算処理装置70でモニタ、演算、解析して、その解析結果に基づき超音波溶融接合装置200を制御するように構成したので、速度制御用油圧ダンパ80の速度やヘッド部30の変位量を一元管理できるという利点もある。
【0056】
なお、上記実施例2においては、ワーク3に荷重を与えるために、空圧式シリンダ10を用いたが、この空圧式シリンダ10に代えて、サーボ制御による電動シリンダを用いても同様に構成することができる。
【0057】
また、上記実施例1及び2においては、変位計50により検知されたワーク3に対するヘッド部30の移動量を演算処理装置70でモニタして、ワーク3に対するヘッド部30の移動量から単位時間当たりの前記ヘッド部の単位変位量を演算し、この単位変位量に基づき超音波発振機61の発振開始タイミングを制御するように構成したが、この演算処理装置70の演算解析結果から、ワーク3の空打ち、セットミス等も検知することができる。
【0058】
また、本発明の加工機の制御装置及び方法によれば、ワーク3に対するヘッド部30の接触状態の検知と、ヘッド部30の移動制御を同一の演算処理装置70を用いて行うので、システムのプロセス制御を簡素かつ適切に行うことができる。
【0059】
また、本発明の加工機の制御装置及び方法は、超音波溶融接合装置以外の装置、例えば、シリンダタイプの低中荷重タイプのプレス機、金属プレス機、切削加工機、樹脂用溶着機、金属接合機等にも同様に適用可能である。
【0060】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内であれば、当業者の通常の創作能力によって多くの変形が可能である。