【文献】
SPORTEC2015 タニタが「呼気」に進出、脂肪燃焼を可視化,日経デジタルヘルス,2015年 7月31日,URL,https://tech.nikkeibp.co.jp/dm/article/EVENT/20150729/429904/?ST=health
【文献】
山田祐樹,「バイオチップ携帯」の実現に向けた呼気アセトン計測装置の開発,NTT DOCOMOテクニカル・ジャーナル,2012年 4月,Vol.20, No.1,49-54
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記演算部は、前記取得部によって前記利用者の糖質摂取量が取得されなかった場合に、糖質摂取量として所定値を用いて、記憶された前記関係を規定する情報を選択する請求項2記載の代謝評価装置。
前記演算部は、前記取得部によって前記利用者の前記身体情報のうちの少なくとも一部の情報が取得されなかった場合に、取得されなかった情報として所定値を用いて前記利用者の時間当たりの消費エネルギーを演算するか、又は、時間当たりの消費エネルギーとして所定値を用いる請求項4記載の代謝評価装置。
前記演算部は、前記取得部によって前記利用者の活動レベルが取得されなかった場合に、活動レベルとして所定値を用いて前記利用者の時間当たりの消費エネルギーを演算するか、又は、時間当たりの消費エネルギーとして所定値を用いる請求項6記載の代謝評価装置。
前記関係を規定する予め記憶された情報は、人体から排出されたケトン体の濃度と前記人体の糖質摂取後の経過時間との関係を、糖質摂取量別かつ時間当たりの消費エネルギー別に規定する情報であり、
前記演算部は、糖質摂取量の値及び時間当たりの消費エネルギーの値に対応するケトン体の濃度と糖質摂取後の経過時間との関係から、前記測定ケトン体濃度に対応する前記経過時間を求め、時間当たりの消費エネルギーの値と求めた前記経過時間の積を糖質摂取量の値から減算することで、前記利用者の糖質残存量を演算すると共に、前記測定ケトン体濃度から前記利用者の脂質消費量を演算する請求項1〜請求項7の何れか1項記載の代謝評価装置。
前記出力部は、前記取得部により、前記利用者の体から排出されたケトン体を測定した第1の測定ケトン体濃度と、当該第1の測定ケトン体濃度の測定タイミングの所定時間以上後に前記利用者の体から排出されたケトン体を測定した第2の測定ケトン体濃度と、が各々取得された場合に、所定のタイミングで人体から排出された第1ケトン体濃度別又は当該第1ケトン体濃度と相関を有する物理量別に、かつ前記所定のタイミングの所定時間以上後に前記人体から排出された第2ケトン体濃度別又は当該第2ケトン体濃度と相関を有する物理量別に予め記憶された前記評価情報のうち、前記取得部によって取得された前記第1の測定ケトン体濃度又は前記第1の測定ケトン体濃度と相関を有する物理量と、前記第2の測定ケトン体濃度又は前記第2の測定ケトン体濃度と相関を有する物理量と、に対応する前記評価情報を出力する請求項1〜請求項8の何れか1項記載の代謝評価装置。
前記第1ケトン体濃度又は前記第1ケトン体濃度と相関を有する物理量が所定値未満の範囲については、前記第1ケトン体濃度別又は前記第1ケトン体濃度と相関を有する物理量別に、かつ前記第1ケトン体濃度から前記第2ケトン体濃度への変化量別又は当該変化量と相関を有する物理量別に前記評価情報が記憶され、前記第1ケトン体濃度又は前記第1ケトン体濃度と相関を有する物理量が所定値以上の範囲については、前記第1ケトン体濃度別又は前記第1ケトン体濃度と相関を有する物理量別に、かつ前記第2ケトン体濃度別又は前記第2ケトン体濃度と相関を有する物理量別に前記評価情報が記憶されており、
前記出力部は、前記取得部によって取得された前記第1の測定ケトン体濃度又は前記第1の測定ケトン体濃度と相関を有する物理量が所定値未満の場合は、前記第1の測定ケトン体濃度又は前記第1の測定ケトン体濃度と相関を有する物理量と、前記第1の測定ケトン体濃度から前記第2の測定ケトン体濃度への変化量又は当該変化量と相関を有する物理量と、に対応する前記評価情報を出力し、前記第1の測定ケトン体濃度又は前記第1の測定ケトン体濃度と相関を有する物理量が所定値以上の場合は、前記第1の測定ケトン体濃度又は前記第1の測定ケトン体濃度と相関を有する物理量と、前記第2の測定ケトン体濃度又は前記第2の測定ケトン体濃度と相関を有する物理量と、に対応する前記評価情報を出力する請求項9記載の代謝評価装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
図1には本実施形態に係る代謝評価装置10が示されている。代謝評価装置10は取得部12、演算部14及び出力部16を含んでいる。取得部12は演算部14及び測定部18に接続され、演算部14は取得部12、出力部16及び記憶部20に接続され、出力部16は演算部14及び記憶部20に接続されている。
【0013】
取得部12は、利用者の体から排出されたケトン体を測定する測定部18から、測定された測定ケトン体濃度を取得する。記憶部20は、人体から排出されたケトン体の濃度と、前記人体の糖質残存との関係を規定する情報(本実施形態では後述する代謝状態演算用テーブル50)を予め記憶しており、演算部14は、記憶部20に記憶された前記情報と、取得部12によって取得された測定ケトン体濃度に基づいて、利用者の糖質残存及び脂質消費を演算する。
【0014】
また記憶部20は、利用者の糖質残存及び脂質消費に応じた利用者の代謝の状態を評価する代謝評価情報(本実施形態では後述する代謝評価情報テーブル52)を予め記憶しており、出力部16は、演算部14によって演算された利用者の糖質残存及び脂質消費(代謝状態)を出力すると共に、利用者の測定ケトン体濃度が所定の時間範囲内で複数回測定された場合に、対応する代謝評価情報を記憶部20から読み出して出力する。
【0015】
なお、代謝評価装置10は、
図1に実線で示すように測定部18を含まない構成であってもよいし、
図1に一点鎖線で示すように測定部18を含む構成であってもよい。また、代謝評価装置10は、
図1に実線で示すように記憶部20を含まない構成であってもよいし、
図1に二点鎖線で示すように記憶部20を含む構成であってもよい。また、ケトン体は、アセト酢酸、3−ヒドロキシ酪酸(β−ヒドロキシ酪酸)、アセトンの総称であり、ケトン体濃度の測定は、これらのうちの少なくとも1つを測定することで実現できる。以下では、ケトン体濃度の一例として呼気中のアセトン濃度を測定する態様を説明する。
【0016】
次に
図2,3を参照し、代謝評価装置10の一例としての携帯型代謝評価装置24を説明する。携帯型代謝評価装置24は、個々の利用者が容易に携帯できるように小型軽量とされた装置であり、
図2に示すように、携帯型代謝評価装置24の筐体26には、アセトン濃度測定部28、表示部30及び入力部32が設けられている。
【0017】
アセトン濃度測定部28は、筐体26に形成された吹き込み口34と、筐体26内の吹き込み口34に対応する部位に配置されたアセトン測定センサ36(
図3参照)と、を含んでいる。利用者が吹き込み口34に呼気を吹き込むと、利用者の呼気が吹き込み口34を通過してアセトン測定センサ36に吹き掛けられることで、利用者の呼気中のアセトン濃度がアセトン測定センサ36によって測定される。なお、吹き込み口34は、呼気を収集し易くするために、口で咥えることが可能なマウスピース型の形状でもよいし、マスク型の形状でもよい。アセトン濃度測定部28は
図1に示す測定部18の一例である。
【0018】
表示部30は、例えば液晶パネル等で構成される。表示部30には、例えば各種設定画面や、
図1に示す出力部16が出力する情報、すなわち、利用者の代謝状態や代謝評価情報等が表示される。
【0019】
入力部32は複数の操作ボタンを含んでおり、
図2には3個の操作ボタン32A〜32Cが設けられた例を示す。一例として、操作ボタン32Aは携帯型代謝評価装置24の電源のオンオフ及び各種画面で決定操作を行うためのボタンとして機能させることができ、操作ボタン32Bは各種画面で情報を入力するためのボタンとして機能させることができ、操作ボタン32Cは過去に表示部30に表示された情報の再表示等を指示するためのボタンとして機能されることができる。なお、入力部32を、表示部30に重畳配置されたタッチパネルで構成し、表示部30に表示された画面に直接タッチすることで各種の操作をが可能としてもよい。
【0020】
図3に示すように、携帯型代謝評価装置24は、CPU(Central Processing Unit)28、メモリ40、不揮発性の記憶部42、前述のアセトン測定センサ36、表示部30及び入力部32を含み、これらはバス46を介して互いに接続されている。
【0021】
記憶部42は、代謝評価プログラム48、代謝状態演算用テーブル50、代謝評価情報テーブル52及びごほうび/宿題情報テーブル54を記憶しており、
図1に示す記憶部20の一例である。またCPU38は、代謝評価プログラム48を記憶部42からメモリ40に読み出して実行することで、
図1に示す取得部12、演算部14及び出力部16として各々機能する。なお、記憶部42に記憶されているその他の情報については後述する。
【0022】
上述のように、携帯型代謝評価装置24は、
図1に示す測定部18(の一例であるアセトン濃度測定部28)及び記憶部20(の一例である記憶部42)を含んだ構成の代謝評価装置10の一例である。
【0023】
次に
図4,5を参照し、代謝評価装置10の他の例としての据置型代謝評価装置66を説明する。据置型代謝評価装置66は、利用者の体格(例えば体重等)及び体組成(例えば体脂肪、皮下脂肪、内臓脂肪、筋肉量、体水分等の少なくとも1つ)を含む身体情報を測定する機能を備えた装置に、代謝評価装置10としての機能を組み込んだ装置であり、例えば家庭や病院、スポーツジム等に設置される。以下では据置型代謝評価装置66の一例として、様々な利用者に利用される施設(スポーツジム等)に設置される場合に適した構成を説明する。
【0024】
図4に示すように、据置型代謝評価装置66は、装置本体68と、装置本体68から分離可能で装置本体68(の後述するI/F(InterFace)ユニット68C)とケーブル70を介して電気的に接続された測定ユニット72と、を含んでいる。装置本体68は、平板状の基部68Aと、基部68Aの一端部付近に立設された柱部68Bと、柱部68Bの先端部に取り付けられたI/Fユニット68Cと、を含んでいる。
【0025】
基部68Aには、身体情報を測定する身体情報測定部74(
図5参照)が内蔵され、基部68Aの上面には、身体情報測定部74の一部である複数の電極74Aが露出している。I/Fユニット68Cには、携帯型代謝評価装置24の表示部30と同様の構成の表示部76と、携帯型代謝評価装置24の入力部32と同様の構成の入力部78が各々設けられている。また測定ユニット72には、アセトン測定センサ80(
図5参照)を含み、携帯型代謝評価装置24のアセトン濃度測定部28と同様の構成のアセトン濃度測定部82が設けられている。
【0026】
図5に示すように、据置型代謝評価装置66は、CPU(Central Processing Unit)84、メモリ86、不揮発性の記憶部88、前述の身体情報測定部74、表示部76、入力部78、アセトン測定センサ80、利用者検知部90及び通信部92を含み、これらはバス89を介して互いに接続されている。
【0027】
記憶部88は、代謝評価プログラム48、代謝状態演算用テーブル50、代謝評価情報テーブル52及びごほうび/宿題情報テーブル54を記憶しており、
図1に示す記憶部20の一例である。またCPU84は、代謝評価プログラム48を記憶部88からメモリ86に読み出して実行することで、
図1に示す取得部12、演算部14及び出力部16として各々機能する。なお、記憶部88に記憶されているその他の情報については後述する。
【0028】
利用者検知部90は据置型代謝評価装置66を利用中の利用者を検知する。据置型代謝評価装置66が、例えばスポーツジム等のように様々な利用者に利用される施設に設置される場合、利用者検知部90は、例えば現在の利用者が所持しているICカード又はICタグから利用者IDを取得する等により、現在の利用者を検知することができる。なお、据置型代謝評価装置66が、例えば家庭等のように利用者が限られる環境で使用される場合には、利用者検知部90は、例えば個々の利用者に対応するボタンの中から現在の利用者に対応するボタンを利用者に選択させる等により、現在の利用者を検知することができる。
【0029】
通信部92は、無線通信又は有線通信により、ネットワーク56に接続された外部装置と通信可能とされている。
図5には、外部装置の一例として利用者情報サーバ60が示されている。利用者情報サーバ60は、据置型代謝評価装置66が設置された利用者の情報を提供するサーバであり、利用者情報サーバ60の記憶部62には利用者情報テーブル64が記憶されている。利用者情報テーブル64には、個々の利用者の利用者IDと対応付けて個々の利用者の情報が記憶されている。
【0030】
利用者情報テーブル64に記憶されている個々の利用者の情報には、利用者の年齢、性別、身長等の属性情報、据置型代謝評価装置66によって過去に測定された身体情報、据置型代謝評価装置66によって過去に出力された代謝状態の各情報が含まれる。また、据置型代謝評価装置66がスポーツジムに設置されている場合、上記の個々の利用者の情報には、例えば利用者情報サーバ60がスポーツジムの個々のトレーニングマシンから収集した、利用者が個々のトレーニングマシンを利用した時間や利用内容等の情報が含まれていてもよい。
【0031】
上述したように、据置型代謝評価装置66も、
図1に示す測定部18(の一例であるアセトン濃度測定部82)及び記憶部20(の一例である記憶部42)を含んだ構成の代謝評価装置10の一例である。
【0032】
次に本実施形態の作用を説明する。人の糖質残存量x[kcal]、或いは糖質残存率X[%](人の消費エネルギー(非たんぱく質燃焼)に占める糖質消費量の割合)は、その人の糖質摂取量α[kcal](又はγ[g])、時間当たりの消費エネルギーβ[kcal/h]、糖質摂取後の経過時間t[h]及びたんぱく質消費エネルギーに応じて変化する。また、人の時間当たりの消費エネルギーβは、その人の基礎代謝量R[kcal/24h]及び活動レベルに応じて変化し、基礎代謝量Rはその人の体格や体組成に応じて変化する。
【0033】
一方、本願発明者等は、多数の治験者について、糖質摂取後の糖質残存量x及びアセトン濃度a[ppb]の推移を測定してデータを収集した。その結果、糖質残存量xとアセトン濃度aには相関が有り、特に、糖質摂取量α及び時間当たりの消費エネルギーβの少なくとも一方の範囲内を絞り込んだデータでは、糖質残存量xとアセトン濃度aとの相関がより強くなる、との知見を得た。なお、たんぱく質消費エネルギーについては一定とみなすことができる。
【0034】
図6には、たんぱく質消費エネルギーを一定とみなし、糖質摂取量α及び時間当たりの消費エネルギーβを一定範囲に絞り込んだ場合の、アセトン濃度aと糖質残存率X[%]及び脂質消費率Y[%](人の消費エネルギー(非たんぱく質燃焼)に占める脂質消費量の割合)との関係の一例を示す。なお、糖質残存率Xは糖質残存量x及び脂質消費量y[kcal]から下記の(1)式で求まり、脂質消費率Yは下記の(2)式で求まる。
【0035】
X=x/(x+y)×100 [%] …(1)
Y=y/(x+y)×100 [%] …(2)
【0036】
なお、代謝の状態は、糖質摂取直後には、
図6に示す関係において左側の領域(アセトン濃度aが比較的低い範囲)内の位置に相当する状態、すなわち糖質残存が脂質消費よりも優位な状態になっており、糖質摂取から時間が経過するに従って、
図6に示す関係における位置が右側へ移動し、アセトン濃度a及び脂質消費が増大し、糖質消費が減少する。
【0037】
上述した知見に基づき、本実施形態では、先のデータから、アセトン濃度と糖質残存との関係を規定する情報として、
図7に一例を示す代謝状態演算用テーブル50を予め求め、求めた代謝状態演算用テーブル50を携帯型代謝評価装置24の記憶部42及び据置型代謝評価装置66の記憶部88に記憶している。
図7に示すように、代謝状態演算用テーブル50は、アセトン濃度aと糖質摂取後経過時間tとの関係を、糖質摂取量α(又はγ[g])別、かつ、時間当たりの消費エネルギーβ別に各々規定したテーブルである。
【0038】
なお、
図7において、糖質摂取量α
1(γ
1),…、時間当たりの消費エネルギーβ
1,β
2,…、糖質摂取後経過時間t
1〜t
5及びアセトン濃度a
1〜a
5は、それぞれ予め定められた数値範囲内の代表値を表している。また
図7は、糖質摂取量α及び時間当たりの消費エネルギーβが各々或る数値範囲内のときのアセトン濃度aと糖質摂取後経過時間tとの関係を、一例として5段階の数値範囲に分けて規定しているが、数値範囲の数は4以下でも6以上でもよい。同様に、糖質摂取量α(γ
1)及び時間当たりの消費エネルギーβの数値範囲の数も適宜選択可能である。
【0039】
代謝状態演算用テーブル50を用いることで、糖質摂取量α(又はγ)及び時間当たりの消費エネルギーβが各々或る数値範囲内のときのアセトン濃度aから糖質摂取後経過時間tが求まる。そして、糖質摂取量α、時間当たりの消費エネルギーβ及び求めた糖質摂取後経過時間tを次の(3)式に代入することで、糖質残存量xを演算することができる。
【0040】
x=α−(β×t) [kcal] …(3)
【0041】
なお、
図7に示す代謝状態演算用テーブル50は、アセトン濃度aと脂質消費量yとの関係も規定しているが、脂質消費量yは、公知技術を利用することでアセトン濃度aから一意に演算できるので、代謝状態演算用テーブル50でアセトン濃度aと脂質消費量yとの関係を規定することは必須ではない。
【0042】
図8に示すように、代謝評価情報テーブル52は、利用者の代謝状態を評価するメッセージを含む複数の代謝評価情報が、個々の代謝評価情報の選択条件と対応付けて登録されている。本実施形態では、アセトン濃度を前回測定してから所定の時間範囲内にアセトン濃度を再度測定した場合、例えば運動前にアセトン濃度を測定し、運動後にアセトン濃度を再測定した場合に、複数の代謝評価情報の何れかをメッセージ等の形態で表示部30又は表示部76に表示する。
【0043】
一例として、
図8に示す代謝評価情報テーブル52の評価情報選択条件は、前回のアセトン濃度a_b[ppb]を4段階の数値範囲に区分し、個々の数値範囲を各々3段階に細分している。詳しくは、前回のアセトン濃度a_bが比較的低い2つの数値範囲(「a_b<a
A」及び「a
A≦a_b<a
B」)については、アセトン濃度の変化量(前回のアセトン濃度a_b−今回のアセトン濃度a_n)に応じて細分しており、前回のアセトン濃度a_bが比較的高い2つの数値範囲(「a
B≦a_b<a
C」及び「a_b≧a
C」)については、今回のアセトン濃度a_n[ppb]に応じて細分している。
【0044】
上記のように、評価情報選択条件として、前回のアセトン濃度a_bのレベルに応じて、アセトン濃度の変化量と今回のアセトン濃度a_nを使い分けているのは、前回のアセトン濃度a_bが比較的低い、すなわち脂質消費が比較的低い値の場合は、アセトン濃度の変化量、すなわち脂質消費が増加したか否か、及び、脂質消費が増加した場合の増加の程度が、利用者の主要な関心事であるのに対し、前回のアセトン濃度a_bが比較的高い、すなわち脂質消費が元々比較的高い値の場合は、今回のアセトン濃度a_nが過大でないか否か、すなわち糖質が枯渇する恐れが無いか否かを評価し、必要であれば通知する必要があるためである。
【0045】
図9に示すように、ごほうび/宿題情報テーブル54は、糖質残存量xを複数の数値範囲に区分し、各数値範囲毎に、利用者がおやつ(ご褒美)として摂取してよい食品を表すごほうびおやつ情報と、利用者が生活習慣として今後採り入れることを推奨する行動を表す宿題情報と、が対応付けて登録されている。
【0046】
次に、
図10を参照し、代謝評価装置10(携帯型代謝評価装置24又は据置型代謝評価装置66)で行われる代謝評価処理について説明する。なお、代謝評価処理は、利用者がアセトン濃度の測定(或いは代謝状態の評価)を指示したことを契機として、代謝評価プログラム48が実行されることで行われる。
【0047】
代謝評価処理のステップ100において、取得部12は、例えば表示部30又は表示部76に所定のメッセージを表示させる等により、利用者に対して測定部18への呼気の吹きかけを要請し、利用者の呼気中のアセトン濃度aを測定部18によって測定させ、測定部18によって測定されたアセトン濃度aを取得する。次のステップ102において、代謝評価装置10は代謝状態演算処理を行う。
【0048】
図11に示すように、代謝状態演算処理のステップ130において、取得部12は、利用者の糖質摂取量αを取得可能か否か判定する。利用者の糖質摂取量αは利用者の直近の食事での糖質摂取量を意味し、本実施形態では、代謝状態の評価の都度、糖質摂取量αを利用者が入力するか否かは事前に設定される。
【0049】
糖質摂取量αに関する設定が、代謝状態の評価の都度、糖質摂取量αを利用者が入力する設定の場合には、ステップ130の判定が肯定されてステップ132へ移行し、ステップ132において、取得部12は、例えば表示部30又は表示部76に所定のメッセージを表示させる等により、利用者に対して糖質摂取量αの入力を要請し、利用者によって入力された糖質摂取量αを取得する。
【0050】
なお、利用者による糖質摂取量αの入力は、糖質摂取量αの数値を入力させるようにしてもよいが、利用者の直近の食事での食事量を、例えば「少ない」「普通」「多い」等の複数のレベル(範囲)に分けたときに、何れのレベルに相当するかを利用者に選択させるようにしてもよい。この場合、取得部12は、選択されたレベルに対応する糖質摂取量αを取得すればよい。また、個々のレベルに対応する糖質摂取量αは、固定的に定めておいてもよいし、利用者の属性情報(例えば性別、年齢、身長等の少なくとも1つ)や身体情報に応じて変化させてもよい。
【0051】
一方、糖質摂取量αに関する設定が、代謝状態の評価の都度、糖質摂取量αを利用者が入力する設定でない場合は、ステップ130の判定が否定されてステップ134へ移行し、ステップ134において、取得部12は、記憶部20に予め記憶された糖質摂取量αのデフォルト値を読み出す。この糖質摂取量αのデフォルト値についても、固定的に定めておいてもよいし、利用者の属性情報等に応じて変化させてもよい。
【0052】
次のステップ136において、取得部12は、利用者の体格・体組成等の身体情報を取得可能か否か判定する。ステップ136の判定が肯定された場合はステップ138へ移行し、ステップ138において、取得部12は、利用者の体格・体組成等の身体情報を取得する。そして、ステップ140において、演算部14は、取得部12によって取得された利用者の体格・体組成等の身体情報に基づき、所定の演算式に従って利用者の基礎代謝量Rを演算する。
【0053】
なお、上記のステップ136の判定は、据置型代謝評価装置66であれば無条件で判定され、ステップ138において、取得部12は、利用者情報サーバ60から利用者の身体情報を受信するか、身体情報測定部74により利用者の身体情報を測定させることによって取得する。
【0054】
また、携帯型代謝評価装置24についても、利用者の身体情報を利用者に入力させることは可能であり、身体情報に関する設定が、代謝状態の評価の都度、身体情報を利用者が入力する設定の場合には、ステップ136の判定が肯定されてステップ138へ移行し、ステップ138において、取得部12は、例えば表示部30に所定のメッセージを表示させる等により、利用者に対して身体情報の入力を要請し、利用者によって入力された身体情報を取得する。
【0055】
一方、携帯型代謝評価装置24において、身体情報に関する設定が、代謝状態の評価の都度、身体情報を利用者が入力する設定でない場合は、ステップ136の判定が否定されてステップ142へ移行し、ステップ142において、取得部12は、記憶部20に予め記憶された基礎代謝量Rのデフォルト値を読み出す。この基礎代謝量Rのデフォルト値についても、固定的に定めておいてもよいし、利用者の属性情報等に応じて変化させてもよい。
【0056】
また、ステップ142で基礎代謝量Rのデフォルト値を読み出すことに代えて、身体情報のデフォルト値を読み出し、読み出した身体情報のデフォルト値に基づき、所定の演算式に従って利用者の基礎代謝量Rを演算するようにしてもよい。身体情報のデフォルト値についても、固定的に定めておいてもよいし、利用者の属性情報等に応じて変化させてもよい。
【0057】
次のステップ144において、取得部12は、利用者の活動レベルを取得可能か否か判定する。本実施形態では、代謝状態の評価の都度、活動レベルを利用者が入力するか否かは事前に設定される。代謝状態の評価の都度、活動レベルを利用者が入力する設定の場合には、ステップ144の判定が肯定されてステップ146へ移行し、ステップ146において、取得部12は、例えば表示部30又は表示部76に所定のメッセージを表示させる等により、利用者に対して活動レベルの入力を要請し、利用者によって入力された活動レベルを取得する。
【0058】
なお、利用者による活動レベルの入力は、例えば、活動レベルを「少ない」「普通」「多い」等の複数のレベル(範囲)に分けたときに、何れのレベルに相当するかを利用者に選択させることができる。また、代謝評価装置10が、スポーツジムに設置され、利用者が個々のトレーニングマシンを利用した時間や利用内容等の情報を利用者情報サーバ60から収集可能な据置型代謝評価装置66であれば、取得部12は、利用者情報サーバ60から上記情報を収集し、収集した情報に基づいて利用者の活動レベルを判定することも可能である。
【0059】
一方、代謝状態の評価の都度、活動レベルを利用者が入力する設定でない場合は、ステップ14
4の判定が否定されてステップ148へ移行し、ステップ148において、取得部12は、予め記憶部20に記憶された活動レベルのデフォルト値(一例としては、安静〜デスクワークレベル)を読み出す。また、代謝評価装置10が携帯型で、利用者の活動レベルと相関が有るパラメータ、例えば利用者の「歩数」「歩行時間」「活動による消費エネルギー」等の少なくとも1つを計測する構成であれば、上記のパラメータの計測結果を取得し、取得した上記のパラメータの計測結果に基づいて利用者の活動レベルを判定するようにしてもよい。
【0060】
ステップ150において、演算部14は、ステップ140又はステップ142で得られた利用者の基礎代謝量Rと、ステップ146又はステップ148で得られた利用者の活動レベルと、に基づいて、利用者の時間当たりの消費エネルギーβを演算する。活動レベル毎の消費エネルギーの計算方法は既知であり、利用者の時間当たりの消費エネルギーβは、利用者の基礎代謝量Rを利用者の時間当たりの代謝量に換算し、計算した活動レベル毎の消費エネルギーを加算することで演算することができる。
【0061】
次のステップ152において、演算部14は、ステップ132又はステップ134で得られた利用者糖質摂取量α、ステップ150で演算した利用者の時間当たりの消費エネルギーβ及び先のステップ100で取得したアセトン濃度aに対応する利用者の糖質摂取後経過時間tを代謝状態演算用テーブル50から取得する。そして、ステップ154において、演算部14は、利用者の糖質摂取量α、利用者の時間当たりの消費エネルギーβ及びステップ152で取得した利用者の糖質摂取後経過時間tを先の(3)式に代入し、利用者の糖質残存量xを演算する。
【0062】
また、ステップ156において、演算部14は、先のステップ100で取得したアセトン濃度aから利用者の脂質消費量yを演算する。なお、アセトン濃度aと脂質消費量yとの関係が代謝状態演算用テーブル50に規定されている場合には、上記の演算に代えて、アセトン濃度aに対応する脂質消費量yを代謝状態演算用テーブル50から読み出すことで、利用者の脂質消費量yを取得することも可能である。
【0063】
そしてステップ158において、演算部14は、ステップ154で演算した利用者の糖質残存量x及びステップ156で演算した利用者の脂質消費量yを先の(1),(2)式に代入し、利用者の糖質残存率X及び脂質消費率Yを演算する。そして、利用者のアセトン濃度a、糖質残存量x、脂質消費量y、糖質残存率X及び脂質消費率Y等の情報を記憶部20等に記憶させ(据置型代謝評価装置66であれば、利用者情報サーバ60の記憶部62の利用者情報テーブル64にも記憶させる)、代謝状態演算処理を終了する。
【0064】
代謝状態演算処理を終了すると代謝評価処理のステップ104へ移行し、ステップ104において、取得部12は、アセトン濃度aを前回測定してからの経過時間が所定時間T
1以内か否か判定する。所定時間T
1としては、例えば数時間(具体例としては6時間)程度の値を用いることができる。
【0065】
アセトン濃度aを前回測定してからの経過時間が所定時間T
1を超えている場合、前回測定したアセトン濃度a(前回のアセトン濃度a_b)を今回測定したアセトン濃度a(今回のアセトン濃度a_n)の比較対象として用いるには、測定タイミングの時間間隔が広すぎると判断できる。このため、ステップ104の判定が否定された場合は、ステップ106へ移行し、ステップ106において、出力部16は、代謝状態演算処理で演算した利用者の現在の脂質消費量yを、利用者の現在の体脂肪燃焼度に置き換えて表示部30又は表示部76に表示する。
【0066】
現在の体脂肪燃焼度の表示の一例を
図12に示す。
図12に示す例では、炎の画像を現在の体脂肪燃焼度に応じた数だけ表示することで、現在の体脂肪燃焼度を表しており、現在の体脂肪燃焼度を利用者に直感的に把握させることができる。
【0067】
そして、次のステップ108において、出力部16は、代謝状態演算処理で演算した利用者の現在の糖質残存率X及び脂質消費率Yを表示部30又は表示部76に表示し、代謝評価処理を終了する。糖質残存率X及び脂質消費率Yの表示の一例を
図13に示す。
図13に示す例では、糖質残存率Xの値と針式メーターの画像を表示すると共に、メーターの針を現在の糖質残存と脂質消費の比率に応じた角度で表示しており、利用者の現在の糖質残存と脂質消費の比率、すなわち利用者の現在の代謝の状態を利用者に直感的に把握させることができる。また、
図13に示す例では、「もうすぐ使い切ります」という評価情報(評価メッセージ)も表示しており、これにより、利用者による現在の代謝の状態についての理解を助けることができる。
【0068】
また、ステップ104の判定が肯定された場合はステップ110へ移行し、ステップ110において、取得部12は、前回のアセトン濃度a_bの測定からの経過時間が所定時間T
2以上か否か判定する。所定時間T
2としては、例えば数分〜数十分(具体例としては10分)程度の値を用いることができる。
【0069】
前回のアセトン濃度a_bの測定からの経過時間が所定時間T
2未満の場合、利用者の代謝の状態は前回のアセトン濃度a_bの測定時から殆ど変化していない(変化していたとしても誤差の範囲内)と判断できる。このため、ステップ110の判定が否定された場合はステップ112へ移行し、ステップ112において、出力部16は、前回のアセトン濃度a_bの測定からの経過時間が不足していることを通知するメッセージと、アセトン濃度aの再測定の適切なタイミングを通知するメッセージを表示部30又は表示部76に表示する。ステップ112の処理を行うとステップ106へ移行し、先に説明したステップ106,108の処理を行う。
【0070】
一方、ステップ110の判定で前回のアセトン濃度a_bの測定からの経過時間が所定時間T
2以上の場合、先のステップ104の判定で前記経過時間が所定時間T
1以内であることも確認しているので、前回のアセトン濃度a_b(から求まる代謝の状態)は、今回のアセトン濃度a_n(から求まる代謝の状態)との比較対象として適当と判断できる。このため、ステップ110の判定が肯定された場合はステップ114へ移行し、ステップ114において、取得部12は、前回のアセトン濃度a_bを記憶部20等から取得する。
【0071】
次のステップ116において、出力部16は、前回のアセトン濃度a_bと、今回のアセトン濃度a_n又はアセトン濃度変化量(a_b−a_n)に応じた代謝評価情報を代謝評価情報テーブル52から取得し、取得した代謝評価情報を表示部30又は表示部76に表示する。
【0072】
代謝評価情報の表示の一例を
図14(A)〜(E)に示す。
図14(A)〜(E)は、互いに異なる代謝の状態に対応する代謝評価情報を、糖質残存率(又は糖質残存量)の降順、すなわち脂質消費率(又は脂質消費量)の昇順に並べたものである。
図14に示す例では、ご飯を盛った茶碗の画像に炎を付加した画像の表示数により糖質残存率(又は糖質残存量)のレベルを表すと共に、脂肪を掬ったスプーンの画像に炎を付加した画像(
図14(B)〜(D))の表示数により脂質消費率(又は脂質消費量)のレベルを表している。また、
図14に示す例では、着火したマッチとマッチ箱の画像により脂質消費率(又は脂質消費量)が0又は0に近い状態を表し(
図14(A))、大サイズの炎の画像により脂質消費率(又は脂質消費量)が過大な状態を表している(
図14(E))。上記の表示により、前回のアセトン濃度a_bの測定からの代謝状態の変化を利用者に直感的に把握させることができる。
【0073】
なお、代謝評価情報の表示は
図14に示す例に限られるものではなく、例えば、前回のアセトン濃度a_bの測定時(ステップ104又はステップ110の判定が否定された場合)は
図15(A)に示す画像を表示し、今回のアセトン濃度a_bの測定時(ステップ110の判定が肯定された場合)は、代謝評価情報テーブル52から取得した代謝評価情報に応じて、
図15(B)〜(D)に示すような画像を選択的に表示するようにしてもよい。
【0074】
一例として、前回のアセトン濃度a_bの測定時に表示する
図15(A)の画像は、ホットケーキの画像の表示数によりそのときの糖質残存量(又は糖質残存率)を表し、脂肪細胞を模した画像の表示数により燃焼可能な体脂肪量を表している。また、今回のアセトン濃度a_bの測定時に表示する
図15(B)〜(D)の画像は、炎の画像の表示数により前回のアセトン濃度a_bの測定時から消費された糖質量を表し、脂肪細胞を模した画像の表示減少数により前回のアセトン濃度a_bの測定時から消費された体脂肪量を表している。
図15に示すような画像を表示する場合も、前回のアセトン濃度a_bの測定からの代謝状態の変化を利用者に直感的に把握させることができる。
【0075】
次のステップ118において、出力部16は、ごほうび情報及び宿題情報を出力するか否か判定する。なお、ごほうび情報及び宿題情報は、出力の有無を予め設定しておいてもよいし、出力の有無を利用者に毎回確認してもよい。ステップ118の判定が否定された場合は代謝評価処理を終了する。
【0076】
また、ステップ118の判定が肯定された場合はステップ120へ移行し、ステップ120において、出力部16は、現在の糖質残存量xに対応するごほうび情報及び宿題情報をごほうび/宿題情報テーブル54から取得し、表示部30又は表示部76に表示して代謝評価処理を終了する。これにより、おやつ(ご褒美)として摂取してよい食品と、生活習慣として今後採り入れることを推奨する行動が利用者に認識される。
【0077】
このように、本実施形態では、取得部12は、測定部18によって測定されたアセトン濃度を取得し、演算部14は、記憶部20に予め記憶された、アセトン濃度aと糖質残存との関係を規定する代謝状態演算用テーブル50の情報、及び、取得部12によって取得されたアセトン濃度aに基づいて、利用者の糖質残存及び脂質消費を演算し、出力部16は、演算部14によって演算された利用者の糖質残存及び脂質消費を出力するので、血液の採取等を必要とすることなく、糖質残存を含む代謝の状態を評価することができる。
【0078】
また、本実施形態では、取得部12は、利用者の糖質摂取量αを取得可能な場合に、利用者の糖質摂取量αを取得し、演算部14は、取得部12によって利用者の糖質摂取量αが取得された場合に、記憶部20に糖質摂取量α別に記憶されたアセトン濃度aと糖質残存の関係のうち、利用者の糖質摂取量αに対応するアセトン濃度aと糖質残存の関係に基づいて、利用者の糖質残存及び脂質消費を演算するので、利用者の糖質摂取量αを取得可能な場合に代謝の状態の評価精度が向上する。
【0079】
また、本実施形態では、取得部12によって利用者の糖質摂取量αが取得されなかった場合に、糖質摂取量αとしてデフォルト値を用いるので、利用者の糖質摂取量αが取得されなかった場合にも代謝の状態を評価することができる。
【0080】
また、本実施形態では、取得部12は、利用者の体格及び体組成を含む身体情報を取得可能な場合に、利用者の身体情報を取得し、演算部14は、利用者の身体情報が取得された場合に、取得された身体情報を用いて利用者の時間当たりの消費エネルギーβを演算し、記憶部20に時間当たりの消費エネルギーβ別に記憶されたアセトン濃度aと糖質残存の関係のうち、利用者の時間当たりの消費エネルギーβに対応するアセトン濃度aと糖質残存の関係に基づいて、利用者の糖質残存及び脂質消費を演算するので、利用者の身体情報を取得可能な場合に代謝の状態の評価精度が向上する。
【0081】
更に、本実施形態では、取得部12によって利用者の身体情報のうちの少なくとも一部の情報が取得されなかった場合に、演算部14は、取得されなかった情報としてデフォルト値を用いて利用者の時間当たりの消費エネルギーβを演算するか、又は、利用者の時間当たりの消費エネルギーβとしてデフォルト値を用いるので、利用者の身体情報のうちの少なくとも一部の情報が取得されなかった場合にも代謝の状態を評価することができる。
【0082】
また、本実施形態では、取得部12は、利用者の活動レベルを取得可能な場合に、利用者の活動レベルを取得し、取得部12によって利用者の活動レベルが取得された場合に、演算部14は、取得された活動レベルを用いて利用者の時間当たりの消費エネルギーβを演算し、記憶部20に時間当たりの消費エネルギーβ別に記憶されたアセトン濃度aと糖質残存の関係のうち、演算した利用者の時間当たりの消費エネルギーβに対応するアセトン濃度aと糖質残存の関係に基づいて、利用者の糖質残存及び脂質消費を演算するので、利用者の活動レベルを取得可能な場合に代謝の状態の評価精度が向上する。
【0083】
また、本実施形態では、取得部12によって利用者の活動レベルが取得されなかった場合に、演算部14は、利用者の活動レベルとしてデフォルト値を用いて利用者の時間当たりの消費エネルギーβを演算するか、又は、利用者の時間当たりの消費エネルギーβとしてデフォルト値を用いるので、利用者の活動レベルが取得されなかった場合にも代謝の状態を評価することができる。
【0084】
また、本実施形態では、アセトン濃度aと糖質残存の関係として、アセトン濃度aと糖質摂取後経過時間tとの関係を、糖質摂取量α別かつ時間当たりの消費エネルギーβ別に規定する代謝状態演算用テーブル50が記憶部20に予め記憶されており、演算部14は、糖質摂取量αの値及び時間当たりの消費エネルギーβの値に対応するアセトン濃度aと糖質摂取後経過時間tとの関係から、アセトン濃度aに対応する経過時間tを求め、時間当たりの消費エネルギーβの値と求めた経過時間tの積を糖質摂取量αの値から減算することで、利用者の糖質残存量を演算すると共に、アセトン濃度aから利用者の脂質消費量を演算するので、アセトン濃度aと糖質摂取後経過時間tとの関係を糖質摂取量α別かつ時間当たりの消費エネルギーβ別にしない場合と比較して、代謝の状態の評価精度が向上する。
【0085】
更に、本実施形態では、出力部16は、取得部12により、前回のアセトン濃度a_bと今回のアセトン濃度a_nと、が各々取得された場合に、記憶部20に前回のアセトン濃度a_b別かつ今回のアセトン濃度a_n別に予め記憶された代謝評価情報のうち、前回のアセトン濃度a_bと今回のアセトン濃度a_nに対応する代謝評価情報を出力するので、糖質残存を含む代謝の状態、より詳しくは前回のアセトン濃度a_bの測定時からの代謝の状態の変化を評価することができる。
【0086】
また、本実施形態では、記憶部20には、前回のアセトン濃度a_bが所定値未満の範囲については、前回のアセトン濃度a_b別に、かつ前回のアセトン濃度a_bから今回のアセトン濃度a_nへの変化量別に代謝評価情報が記憶され、前回のアセトン濃度a_bが所定値以上の範囲については、前回のアセトン濃度a_b別かつ今回のアセトン濃度a_nに評価情報が記憶されており、出力部16は、取得部12によって取得された前回のアセトン濃度a_bが所定値未満の場合は、前回のアセトン濃度a_bと、前回のアセトン濃度a_bから今回のアセトン濃度a_nへの変化量と、に対応する代謝評価情報を出力し、前回のアセトン濃度a_bが所定値以上の場合は、前回のアセトン濃度a_bと今回のアセトン濃度a_nに対応する代謝評価情報を出力するので、前回のアセトン濃度a_bの糖質残存のレベルに応じた適切な代謝評価情報を出力することができる。
【0087】
なお、上記では代謝評価装置10が記憶部20を含む構成を説明した。但し、代謝状態演算用テーブル50は、糖質摂取量α(又はγ)及び時間当たりの消費エネルギーβの想定される全ての組み合わせで代謝状態を演算可能なように、アセトン濃度aと糖質摂取後経過時間tとの関係を、前記全ての組み合わせについて各々規定するテーブルとなるので、要求される代謝状態の演算精度が高くなるに従って容量が増大する。このため、代謝状態演算用テーブル50を記憶する記憶部20を代謝評価装置10と分け(例えば代謝評価装置10と通信可能なサーバの記憶部を記憶部20として機能させ)、糖質摂取量α、時間当たりの消費エネルギーβ及びアセトン濃度aに対応する糖質摂取後経過時間tを記憶部20から取得し、糖質残存量x等を演算するようにしてもよい。
【0088】
また、携帯型代謝評価装置24は個々の利用者に携帯され、個々の携帯型代謝評価装置24は同一の利用者によって使用されるので、携帯型代謝評価装置24の記憶部42には、前記全ての組み合わせのうちの一部分を抽出した情報を代謝状態演算用テーブル50として記憶してもよい。抽出する部分は、例えば、携帯型代謝評価装置24を使用する利用者の性別、年齢層、身長の少なくとも1つに基づいて選択してもよいし、使用頻度の高い組み合わせを選択してもよい。
【0089】
また、上記ではケトン体の濃度と糖質残存との関係を規定する情報の一例として、アセトン濃度aと糖質摂取後経過時間tとの関係を、糖質摂取量α別かつ時間当たりの消費エネルギーβ別に規定する代謝状態演算用テーブル50を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、糖質摂取後経過時間tの取得が容易な環境であれば、アセトン濃度aと糖質摂取量αとの関係を糖質摂取後経過時間t別かつ時間当たりの消費エネルギーβ別に規定する情報を用いてもよいし、アセトン濃度aと時間当たりの消費エネルギーβとの関係を糖質摂取量α別かつ糖質摂取後経過時間t別に規定する情報を用いてもよい。また、アセトン濃度aと糖質残存量x又は糖質残存率Xとの関係を直接規定する情報を用いることも可能である。
【0090】
また、上記では、ケトン体の濃度と糖質残存との関係を規定する情報としての一例として代謝状態演算用テーブル50を説明したが、ケトン体の濃度と糖質残存との関係は、関数等のようにテーブル形式以外の形式で規定してもよい。
【0091】
更に、上記では代謝評価装置10が測定部18を含む構成を説明したが、代謝評価装置10を、測定部18を含まない構成とすることも可能である。具体的には、測定部18が設けられた測定機器(一例としては、測定部18が設けられた体組成計など)と通信可能な装置、例えばスマートフォンやサーバ等の装置によって代謝評価プログラム48を実行させることで、前記装置を代謝評価装置10として機能させ、前記測定機器から測定ケトン体濃度を取得し、利用者の糖質残存及び脂質消費を演算・出力する処理を行わせることも可能である。また、スマートフォン等の携帯型の機器であれば、測定部18を搭載すると共に代謝評価プログラム48を実行させることで、測定部18を含む構成の代謝評価装置10の一例として機能させることも可能である。
【0092】
また、上記では請求項9〜11に記載の評価情報(代謝評価情報)をアセトン濃度a(前回のアセトン濃度a_b、今回のアセトン濃度a_n、又は、前回のアセトン濃度a_bから今回のアセトン濃度a_nへの変化量)別に記憶した態様を説明したが、これに限定されるものではなく、アセトン濃度と相関を有するパラメータ、例えば糖質残存量x、糖質残存率X、脂質消費量y及び脂質消費率Yの何れかのパラメータ別に記憶し、当該パラメータに基づいて代謝評価情報を選択・出力するようにしてもよい。
【0093】
また、上記では、ごほうび情報及び宿題情報を糖質残存量x別にごほうび/宿題情報テーブル54に記憶し、糖質残存量xに対応するごほうび情報及び宿題情報をごほうび/宿題情報テーブル54から取得して出力する態様を説明した。しかし、これに限定されるものではなく、糖質残存量xに加えて利用者の性別や年齢等の属性に応じて、ごほうび情報及び宿題情報を選択・出力するようにしてもよい。
【0094】
また、上記ではケトン体の濃度として呼気中のアセトン濃度aを測定する態様を説明したが、これに限定されるものではなく、利用者の皮膚、尿、唾液及び汗等の少なくとも1つへ排出されたケトン体の濃度を測定してもよい。
【0095】
更に、上記では本発明に係る代謝評価プログラムの一例である代謝評価プログラム48が記憶部42,88に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、本発明に係る代謝評価プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。