特許第6861944号(P6861944)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6861944排熱回収ボイラおよび排熱回収ボイラ内部の雰囲気調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861944
(24)【登録日】2021年4月2日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】排熱回収ボイラおよび排熱回収ボイラ内部の雰囲気調整方法
(51)【国際特許分類】
   F22B 1/18 20060101AFI20210412BHJP
   F22B 37/00 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   F22B1/18 M
   F22B37/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-9244(P2017-9244)
(22)【出願日】2017年1月23日
(65)【公開番号】特開2018-119694(P2018-119694A)
(43)【公開日】2018年8月2日
【審査請求日】2019年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100136881
【弁理士】
【氏名又は名称】佐尾山 和彦
(72)【発明者】
【氏名】石原 仁
(72)【発明者】
【氏名】小澤 薫
(72)【発明者】
【氏名】平崎 敏史
(72)【発明者】
【氏名】尾山 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】飯田 純也
【審査官】 古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−179895(JP,A)
【文献】 特開2015−048982(JP,A)
【文献】 特開2001−162130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 1/18
F22B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼ガスによって駆動されるガスタービンから排出される排ガスを導入して蒸気を発生させる熱交換部を備える排熱回収ボイラであって、
前記熱交換部の周囲に外部からの空気を遮断して略密閉状態にする仕切体と、
前記排ガスが通過する前記熱交換部の排ガス流路に連通する空調設備と、をさらに備え、
前記空調設備が、
前記排ガス流路の気体を回収して冷却する冷却部と、
前記冷却部で冷却した気体を加熱して前記排ガス流路に戻す加熱部と、
を有することを特徴とする、排熱回収ボイラ。
【請求項2】
前記空調設備は、前記冷却部で冷却した気体を、前記加熱部で加熱する前に、除湿する除湿部をさらに有することを特徴とする、請求項1に記載の排熱回収ボイラ。
【請求項3】
前記冷却部は、前記排ガス流路から気体を回収するための吸気路を有し、
前記加熱部は、加熱した気体を前記排ガス流路に戻すための戻し路を有し、
前記吸気路と前記戻し路とは、地面に対して水平方向に見たときに、前記熱交換部を挟む位置関係で配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の排熱回収ボイラ。
【請求項4】
前記冷却部は、前記排ガス流路から気体を回収するための吸気路を有し、
前記加熱部は、加熱した気体を前記排ガス流路に戻すための戻し路を有し、
前記吸気路の先端は、地面に対して垂直方向に見たときに、前記戻し路の先端よりも低い位置で、前記排ガス流路に接続されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の排熱回収ボイラ。
【請求項5】
燃焼ガスによって駆動されるガスタービンから排出される排ガスを導入して蒸気を発生させる熱交換部を備える排熱回収ボイラの内部雰囲気調整方法であって、
前記熱交換部の周囲に仕切体を設けて外部からの空気を遮断して略密閉状態にする、準備工程と、
前記排ガスが通過する前記熱交換部の排ガス流路の気体を回収して冷却する、冷却工程と、
前記冷却工程にて冷却した気体を加熱して前記排ガス流路に戻す、加熱工程と、
を有することを特徴とする、排熱回収ボイラの内部雰囲気調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインドサイクル発電プラントの排熱回収ボイラおよび排熱回収ボイラ内部の雰囲気調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインドサイクル発電プラントは、燃焼ガスによって駆動されるガスタービンの排ガスを排熱回収ボイラに導き、排ガスの余熱を利用して蒸気を生成し、得られた蒸気を蒸気タービンに導いて発電機を駆動し、発電する発電プラントである。これにより高効率の発電プラントを実現している。
【0003】
しかしながら、上記のような排熱回収ボイラは、特にその停止時において、外部環境(降雨等)の湿度の影響により、内部器材(特に、熱交換部のチューブ等)に腐食が発生し易いという問題がある。
【0004】
特に、腐食を受けた器材は耐久性が低下するため、腐食がひどい場合には新しい器材への交換が必要となり、工事費用などがかかる。また、器材が腐食して発生した錆は、排熱回収ボイラの起動時に、ガスタービンから送り込まれる排ガスの気流によって剥がれ、排気部を通って排熱回収ボイラの外へと排出されることがあり、周囲を汚染する等の問題がある。そのため、器材に腐食が発生しないように、排熱回収ボイラに設置前の器材に対しては、防錆対策として塗装や溶射を行うことは可能であるが、器材の設置後はこれらの対策は実質的に不可能である。したがって、設置後に発生した錆については、排熱回収ボイラを起動させる前に、錆の除去を行うメンテナンス(例えば気吹掃除等)を行ってきた。しかしながら、排熱回収ボイラの内部、特に熱交換部は、チューブ等の器材が密集し、入り組んでいるため、上記のような器材の交換やメンテナンスの作業が困難で、作業者の負担が大きい。
【0005】
そのため、これらの問題を解決するべく、特許文献1では、排熱回収ボイラの内部の全領域を加熱して錆を発生させないようにする手法が提案されている。しかしながら、このような手法では、排熱回収ボイラの内部の全領域を加熱するための加熱管が必要となるため多大な設備コストを要し、実用性の観点で好ましくない。また特許文献2では、比較的コストがかからない方法として、発生した錆を排熱回収ボイラの外部に放出させないようにする手法が提案されているが、この手法では、そもそも錆の発生自体を抑制することはできないため、根本的な解決には至らない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−098301号公報
【特許文献2】特開2005−241075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、排熱回収ボイラにおいて、内部器材に発生する腐食を防止し得る、排熱回収ボイラおよび排熱回収ボイラ内部の雰囲気調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、燃焼ガスによって駆動されるガスタービンから排出される排ガスを導入して蒸気を発生させる熱交換部を備える排熱回収ボイラであって、前記排ガスが通過する前記熱交換部の排ガス流路に連通する空調設備をさらに備え、前記空調設備が、前記排ガス流路の気体を回収して冷却する冷却部と、前記冷却部で冷却した気体を加熱して前記排ガス流路に戻す加熱部と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、前記空調設備は、前記冷却部で冷却した気体を、前記加熱部で加熱する前に、除湿する除湿部をさらに有することが好ましい。
【0010】
また、前記冷却部は、前記排ガス流路から気体を回収するための吸気路を有し、前記加熱部は、加熱した気体を前記排ガス流路に戻すための戻し路を有し、前記吸気路と前記戻し路とは、地面に対して水平方向に見たときに、前記熱交換部を挟む位置関係で配置されていることが好ましい。
【0011】
また、前記冷却部は、前記排ガス流路から気体を回収するための吸気路を有し、前記加熱部は、加熱した気体を前記排ガス流路に戻すための戻し路を有し、前記吸気路の先端は、地面に対して垂直方向に見たときに、前記戻し路の先端よりも低い位置で、前記排ガス流路に接続されていることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、燃焼ガスによって駆動されるガスタービンから排出される排ガスを導入して蒸気を発生させる熱交換部を備える排熱回収ボイラの内部雰囲気調整方法であって、前記熱交換部の周囲を略密閉状態にする、準備工程と、前記排ガスが通過する前記熱交換部の排ガス流路の気体を回収して冷却する、冷却工程と、前記冷却工程にて冷却した気体を加熱して前記排ガス流路に戻す、加熱工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、排熱回収ボイラにおいて、内部器材に発生する腐食を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る排熱回収ボイラの概略構成図である。
図2】本発明の実施の形態に係る排熱回収ボイラの熱交換部および空調設備の付近を拡大した概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は一つの例示であり、本発明の範囲において、種々の実施の形態をとり得る。
【0016】
図1は、排熱回収ボイラの一例を示す構成概略図である。図2は、図1において、排熱回収ボイラの熱交換部および空調設備の付近を拡大した概略構成図である。
【0017】
排熱回収ボイラ1は、例えば、コンバインドサイクル発電プラントに設けられている。コンバインドサイクル発電プラントは、燃焼ガスによって駆動されるガスタービンの排ガスを排熱回収ボイラ1に導き、排ガスの余熱を利用して蒸気を生成し、得られた蒸気を蒸気タービンに導いて発電機を駆動し、発電する発電プラントである。
図1および図2に示すように、排熱回収ボイラ1は、熱交換部11と、空調設備13と、排気部15と、脱硝触媒装置17等を備えている。
排熱回収ボイラ1の運転時には、燃焼ガスによって駆動されるガスタービン2から排出された排ガスが熱交換部11に送り込まれ、熱交換部11にて排ガスの余熱を利用して蒸気を生成し、さらに熱交換部11を通過した排ガスは排気部15から外部に排出される。なお、図1中の矢印は、排熱回収ボイラ1の運転時における排ガスの流れ方向を示している。
【0018】
(熱交換部)
熱交換部11は、ガスタービン2から排出される排ガスを導入して、排ガスの熱を利用して蒸気を発生させる。具体的に、熱交換部11は、水や水蒸気を導通させる熱交換パネル111を備えており、これらの熱交換パネル111は、排ガスの流路F上で、当該排ガスの流れに対向するように配置されている。熱交換部11に導かれた排ガスは、その余熱により熱交換パネル111を加熱することで、熱交換パネル111内の水を加熱し、水蒸気を発生させる。
【0019】
熱交換パネル111は、複数のチューブが一連に連なったチューブ群により構成され、熱交換パネル111は、図示しない蒸気タービンに連結されており、熱交換パネル111内で発生した水蒸気を蒸気タービンへと導いている。また熱交換パネル111を構成するチューブとしては、例えば、ボイラ・熱交換器用合金鋼管(STBA)等が好適に用いられる。
【0020】
熱交換部11は、複数の熱交換パネル111を有していてもよい。このような熱交換部11において、排ガスは、熱交換パネル111の間、さらには熱交換パネル111を構成するチューブ同士の隙間を、下流の排気部15に向かって流れる。したがって、熱交換部11の排ガス流路Fは、熱交換パネル111同士の間や、図示は省略しているが熱交換パネル111のチューブ同士の隙間にも存在する。
【0021】
(空調設備)
図1および図2に示すように、空調設備13は、排熱回収ボイラ1の停止時に、熱交換部11の内部、特に熱交換部11における排ガス流路Fの雰囲気(温度、湿度)を調整するものである。空調設備13は、冷却部133、加熱部135、除湿部139等を備えている。
【0022】
空調設備13は、運転停止している熱交換部11の排ガス流路Fから気体g1を回収して、冷却部133において冷却し、冷却した気体g2を加熱部135で加熱して、加熱した気体g3として熱交換部11の排ガス流路Fに送り戻す空調システムである。
【0023】
冷却部133は、熱交換部11の排ガス流路Fから気体g1を回収して、回収した気体g1を冷却する部分である。冷却は、公知の冷却用の空調装置により行うことができる。また冷却時の温度設定は、冷却後の気体g2の温度T2が、排ガス流路Fに存在する気体g1の温度T1よりも低くなるように設定する。このような温度設定で気体g1を冷却することで、気体g1に含まれる水蒸気量Pと、冷却後の気体温度T2の飽和水蒸気量P2の差分に応じて、気体g1に含まれていた水蒸気の一部が凝集して、水分として気体から分離される。そのため、冷却部133は、気体g1を冷却することにより生じた水分を冷却部133の外に排出するための排水路134を有する。
【0024】
また、冷却部133は、排ガス流路Fから気体g1を回収するための吸気路131を有する。吸気路131は、地面に対して水平方向で見たときに、後述する加熱部135の戻し路137とは反対側の、熱交換部11の端に配置される。さらに、吸気路131の先端(吸気口)131aは、地面に対して垂直方向で見たときに、後述する加熱部135の戻し路137の先端(戻し口)137aよりも低い位置で、排ガス経路に接続される。
【0025】
加熱部135は、冷却部133で冷却された気体g2を加熱して、排ガス流路Fに戻す部分である。加熱は、公知の加熱用の空調装置により行うことができる。また加熱時の温度設定は、加熱後の気体g3の温度T3が、冷却後の気体g2の温度T2以上、好ましくは排ガス流路Fに存在する気体g1の温度T1以上になるように設定する。
【0026】
このような加熱部135は、加熱した気体g3を排ガス流路Fに送り戻すための戻し路137を有する。戻し路137は、地面に対して水平方向で見たときに、冷却部135の吸気路131とは反対側の、熱交換部11の端に配置される。さらに、戻し路137の先端(戻し口)137aは、地面に対して垂直方向で見たときに、冷却部133の吸気路131の先端(吸気口)131aよりも高い位置で、排ガス経路に接続される。より具体的には、吸気路131の先端(吸気口)131aは、排ガス流路Fの底部近傍に設けられており、戻し路137の先端(戻し口)137aは、排ガス流路Fの天井部近傍に設けられている。
【0027】
除湿部139は、冷却部133と加熱部135の間の気体g2の経路上に設けられている。除湿部139は、冷却部133で冷却された気体g2を、物理的または化学的に除湿する部分である。このような除湿には、公知の吸湿式除湿装置を用いることができる。また、吸湿材としては活性炭、シリカ等を用いることができる。
【0028】
(排気部)
図1に示すように、排気部15は排ガス流路Fの下流に位置し、熱交換部11を通過した排ガスを、排熱回収ボイラ1の外部に排出する部分である。
【0029】
(脱硝触媒装置)
脱硝触媒装置17は、ガスタービン2から導かれる排ガスから窒素酸化物(NOx)を除去する装置である。
【0030】
<排熱回収ボイラの内部雰囲気調整方法>
以下、本実施の形態に係る排熱回収ボイラ内部の雰囲気調整方法について説明する。
【0031】
図1に示すように、排熱回収ボイラ1の一端は、ガスタービン2に連結されており、また他端は、排気部15から外部に通じている。そのため、まず、図2に示すように、熱交換部11の周囲に仕切体14を設け、熱交換部11の周囲を略密閉状態にする(準備工程)。これにより、熱交換部11の周囲の空気だけを効率よく雰囲気調整できる。ここで、仕切体14は、熱交換部11の周囲を覆うことができるものであればよく、例えば、防炎シート等を用いることができる。なお、ここでいう略密閉状態とは、厳密な密閉状態ではなく、空調設備13による気体の移動以外の外部からの空気の出入りを遮断できる程度の封止状態を意味する。
【0032】
次に、熱交換部11の排ガス流路Fから気体g1を回収し、冷却部131にて冷却する(冷却工程)。さらに、冷却後の気体g2に対し、除湿部139にて物理的または化学的な吸湿処理により、除湿してもよい(吸湿除湿工程)。
【0033】
次に、加熱部135にて冷却後の気体g2を加熱して、加熱後の気体g3を熱交換部11の排ガス流路Fに戻す(加熱工程)。
【0034】
さらに、上記冷却と加熱の各工程を繰り返すことで、上記各気体を循環させ、特に熱交換部11の内部の雰囲気を、所望の温度および湿度に制御する。特に、熱交換部11は、その周囲が略密閉状態となっているため、上記のような雰囲気制御により、外部環境(仕切体14の外側の環境、ひいては排熱回収ボイラ1の外の環境)の湿度の影響を受けにくい。
【0035】
上述した構成によれば、排熱回収ボイラ1は、熱交換部11の排ガス流路Fに連通する、冷却部133および加熱部135を有する空調設備13を備えているので、排熱回収ボイラ1の停止時において、特に熱交換部11の排ガス流路F内の湿度および温度を容易に制御できる。すなわち、冷却部133は、排ガス流路Fの気体g1を、温度T1から温度T2に冷却することで、気体g1に含まれる水蒸気量Pを、温度T2における飽和水蒸気量P2まで下げることができ、気体g1の水蒸気量Pと温度T2における飽和水蒸気量P2との差分(P−P2)は、冷却過程で凝集し水滴として取り出すことできる。さらに、加熱部135は、冷却後の気体g2を温度T3まで加熱することで、加熱後の気体g3における相対湿度を低くでき、相対湿度が低い気体g3として、排ガス流路Fに戻すことができる。このように、停止時の排熱回収ボイラ1において、熱交換部11の排ガス流路F内を、相対湿度が低い雰囲気に調整することにより、内部器材(例えば、熱交換部11のチューブ等)への結露を防止でき、内部器材の腐食を効果的に抑制できる。その結果、排熱回収ボイラ1の内部器材の寿命が延び、内部器材の交換やメンテナンスの回数を低減できる。また、内部器材が腐食して錆が発生することを防止できるため、排熱回収ボイラ1を運転させても、排気部15を通じて錆が設備の外部に放出されることはなく、錆の飛散防止等の対策を講じる必要がない。
【0036】
また、空調設備13が、除湿部139を備えていることにより、冷却部133で冷却した気体g2を、加熱部135で加熱する前に、物理的または化学的に吸湿して除湿することができ、気体g2の湿度をさらに低下させることができる。その結果、排ガス流路Fに戻される加熱後の気体g3の相対湿度をさらに低減でき、停止時の排熱回収ボイラ1において、熱交換部11の排ガス流路F内をより乾燥した状態に調整できる。
【0037】
空調設備13において、冷却部133の吸気路131と、加熱部135の戻し路137とは、地面に対して水平方向に見たときに、熱交換部11を挟む位置関係で配置され、かつ、吸気路131の先端131aは、地面に対して垂直方向に見たときに、戻し路137の先端137aよりも低い位置で、排ガス流路Fに接続されることにより、相対湿度が低い気体g3が、効率よく熱交換部11の排ガス流路Fに行き渡り、熱交換部11の全体を所望の雰囲気に制御しやすくなる。通常、温かい空気は上方に滞留しやすいが、吸気路131の先端131aを、戻し路137の先端137aとは対角線上にある、熱交換部11の下方の隅に配置し、排ガス流路Fの下方側から気体を吸引することで、上方側に滞留し易い温かい気体を強制的に下方側に向かって流動させることができ、排ガス流路Fにおける気体の循環を良好にできる。これにより、相対湿度が低い気体g3を効率よく熱交換部11に行き渡らせることができる。このような空調設備13における吸気路131と戻し路137の位置関係は、排ガス流路Fに戻される気体g3の温度が、排ガス流路Fに存在する気体g1の温度よりも高い場合に、特に好適である。
【符号の説明】
【0038】
1 排熱回収ボイラ
2 ガスタービン
11 熱交換部
13 空調設備
15 排気部
111 熱交換パネル
131 吸気路
133 冷却部
134 排水路
135 加熱部
137 戻し路
139 除湿部
F 排ガス流路
図1
図2