(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861957
(24)【登録日】2021年4月2日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】グラウンドゴルフ用ボールスタンドおよびスタートマット
(51)【国際特許分類】
A63B 67/02 20060101AFI20210412BHJP
A63B 69/36 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
A63B67/02 B
A63B69/36 513A
A63B69/36 511A
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-95417(P2017-95417)
(22)【出願日】2017年5月12日
(65)【公開番号】特開2018-191700(P2018-191700A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年5月1日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2017年2月1日 ウェブサイト(http://www.hatachi.jp/)に掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2017年2月1日 ウェブサイト(http://www.rakuten.ne.jp/gold/hatalabo/)に掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2017年2月1日 刊行物(HATACHI SPORTS GOODS CATALOG 2017)にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】593171570
【氏名又は名称】羽立工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 周作
(72)【発明者】
【氏名】佐野 早苗
【審査官】
宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3161296(JP,U)
【文献】
実開昭49−008048(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3079803(JP,U)
【文献】
米国特許第05301950(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 67/02
A63B 69/36
A63B 57/10 − 57/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラウンドゴルフで使用されるスタートマットのマット本体に設けられた貫通孔に取り付け可能に構成されたグラウンドゴルフ用ボールスタンドであって、
平板状の基板と、
前記基板の上面に上方に突出して設けられた弾性材料からなる筒状の支柱部とを備え、
前記支柱部は、上方に向けて外面が徐々に外側に広がるように形成されており、
前記支柱部の下端部は、前記貫通孔に嵌め込み可能な外形に形成されるとともに、前記貫通孔の内面に弾性的に圧接可能な大きさに形成されており、
前記支柱部の上端部には、ボールが載置されるボール載置部が設けられている、グラウンドゴルフ用ボールスタンド。
【請求項2】
前記支柱部には、上下方向に延びる少なくとも1つのスリットが前記支柱部の上端に開口して設けられている、請求項1に記載のグラウンドゴルフ用ボールスタンド。
【請求項3】
前記スリットは、上方に向けて幅が広くなるようにV字状に形成されており、
前記スリットのV字状の谷に当たる部分の内側面は、滑らかな曲面に形成されている、請求項2に記載のグラウンドゴルフ用ボールスタンド。
【請求項4】
前記支柱部の上端部は、3つの前記スリットによって3つの分割片に分割されており、
前記ボール載置部は、3つの前記分割片のそれぞれの上端部に設けられており、
3つの前記分割片のそれぞれでは、下端部の幅が上端部の幅よりも広くされている、請求項2または3に記載のグラウンドゴルフ用ボールスタンド。
【請求項5】
前記支柱部の下端部には、前記支柱部の上端部よりも厚さが厚くされた基部が設けられている、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のグラウンドゴルフ用ボールスタンド。
【請求項6】
前記基板には、前記支柱部の内部空間と連通する貫通孔が設けられている、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のグラウンドゴルフ用ボールスタンド。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のグラウンドゴルフ用ボールスタンドと、前記グラウンドゴルフ用ボールスタンドが取り付けられる板状のマット本体とを備える、グラウンドゴルフ用スタートマットであって、
前記マット本体には、前記支柱部の下端部が下方から嵌め込まれる貫通孔が設けられている、グラウンドゴルフ用スタートマット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラウンドゴルフに用いられるグラウンドゴルフ用ボールスタンドおよびスタートマットに関する。
【背景技術】
【0002】
グラウンドゴルフでは、スタートマットからボールを打ち始めて、ボールがホールポスト内に静止するまでの打数が競われる。一般的なスタートマットは、シート状のマット本体と、ボールを支持する円筒状または円柱状のボールスタンドとを有しており、マット本体に設けられた円形の貫通孔にボールスタンドが嵌め込まれている。円筒状または円柱状のボールスタンドの外径は、軸方向の全長にわたってほぼ一定にされており、製造時には、貫通孔の内径とボールスタンドの外径とがほぼ同じ大きさにされている。そのため、経年変形などでボールスタンドの外径が貫通孔の内径よりも相対的に小さくなると、ボールスタンドが貫通孔から抜け落ち易くなるという問題があった。
【0003】
そこで、従来からボールスタンドの抜け落ちを防止するための技術が開発されており、その一例が下記特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されたボールスタンドは、マット本体に設けられた円形の取付孔に嵌め込まれる円柱状の柱状部を有しており、柱状部には、取付孔の周縁に係合される係合部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3161296号
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたボールスタンドでは、係合部が取付孔の周縁に取付孔の軸方向から係合されていたので、経年変形などで柱状部の外径が取付孔の内径よりも相対的に小さくなると、柱状部の外面と取付孔の内面との間に隙間が生じるおそれがあった。そのため、取付孔の軸方向に対して直交する方向においては、ボールスタンドががたつき易いという問題があった。
【発明の概要】
【0006】
本発明は上記問題に対処するためになされたものであり、マット本体からの抜け落ちやがたつきを防止できるグラウンドゴルフ用ボールスタンドおよびそれを用いたスタートマットを提供することを目的とする。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るグラウンドゴルフ用ボールスタンドは、グラウンドゴルフで使用されるスタートマットのマット本体に設けられた貫通孔に取り付け可能に構成されたグラウンドゴルフ用ボールスタンドであって、平板状の基板と、基板の上面に上方に突出して設けられた弾性材料からなる筒状の支柱部とを備え、支柱部は、上方に向けて外面が徐々に外側に広がるように形成されており、支柱部の下端部は、貫通孔に嵌め込み可能な外形に形成されるとともに、貫通孔の内面に弾性的に圧接可能な大きさに形成されており、支柱部の上端部には、ボールが載置されるボール載置部が設けられていることにある。
【0008】
この構成では、平板状の基板の上面に支柱部が設けられており、支柱部の下端部は、マット本体の貫通孔に嵌め込み可能な外形に形成されるとともに、貫通孔の内面に弾性的に圧接可能な大きさに形成されているので、支柱部の下端部がマット本体の貫通孔に嵌め込まれた状態では、支柱部の上方への動きを基板で抑制できるとともに、支柱部の下方への動きを貫通孔の内面に圧接された支柱部の外面で抑制できる。これにより、ボールスタンドが貫通孔から抜け落ちることを防止できる。支柱部の外面は貫通孔の内面に圧接されるので、支柱部のがたつきは生じ難い。支柱部は弾性材料で筒状に形成されているので、支柱部の下端部をマット本体の貫通孔に嵌め込む際には、支柱部の上端部を押し潰して、貫通孔に下方から挿入することができる。支柱部は、上方に向けて外面が徐々に外側に広がるように形成されているので、ボール載置部が大きくなっており、ボールを安定して受けることができる。
【0009】
また、支柱部は、弾性材料で形成されており、かつ、上方に向けて外面が徐々に外側に広がるように形成されているので、支柱部の下端部が貫通孔に嵌め込まれた状態では、支柱部が貫通孔の上端部内面に圧接される力を、支柱部が貫通孔の下端部内面に圧接される力よりも大きくすることができる。したがって、支柱部をボール載置部に近い部分でしっかりと支持することが可能であり、支柱部のがたつきを生じることなく、ボールを安定して受けることができる。また、支柱部が貫通孔の下端部内面に圧接される力を小さくして、支柱部を貫通孔に挿入するときの抵抗を小さくすることが可能であり、支柱部の挿入作業を簡単に行うことができる。
【0010】
本発明に係るグラウンドゴルフ用ボールスタンドの他の特徴は、支柱部には、上下方向に延びる少なくとも1つのスリットが支柱部の上端に開口して設けられていることにある。
【0011】
この構成では、スリットが上下方向に延びて、支柱部の上端に開口して設けられているので、支柱部の上端部を押し潰し易い。
【0012】
本発明に係るグラウンドゴルフ用ボールスタンドの他の特徴は、スリットは、上方に向けて幅が広くなるようにV字状に形成されており、スリットのV字状の谷に当たる部分の内側面は、滑らかな曲面に形成されていることにある。
【0013】
この構成では、スリットがV字状に形成されているので、V字状の谷に当たる部分を中心として、支柱部を変形させ易い。また、V字状の谷に当たる部分では、内側面が滑らかな曲面に形成されているので、応力集中を抑制することが可能であり、この部分の損傷を抑制できる。
【0014】
本発明に係るグラウンドゴルフ用ボールスタンドの他の特徴は、支柱部の上端部は、3つのスリットによって3つの分割片に分割されており、ボール載置部は、3つの分割片のそれぞれの上端部に設けられており、3つの分割片のそれぞれでは、下端部の幅が上端部の幅よりも広くされていることにある。
【0015】
この構成では、ボール載置部が、3つの分割片のそれぞれの上端部に設けられているので、3点支持によってボールを安定して受けることができる。また、3つの分割片のそれぞれにおいては、下端部の幅が上端部の幅よりも広くされているので、これによってもボールを安定して受けることができる。
【0016】
本発明に係るグラウンドゴルフ用ボールスタンドの他の特徴は、前記支柱部の下端部には、前記支柱部の上端部よりも厚さが厚くされた基部が設けられていることにある。
【0017】
この構成では、支柱部の下端部の強度を基部で補強できるので、ボールを安定して受けることができる。
【0018】
本発明に係るグラウンドゴルフ用ボールスタンドの他の特徴は、基板には、支柱部の内部空間と連通する貫通孔が設けられていることにある。
【0019】
この構成では、支柱部の内部空間に入り込んだ水などを基板の貫通孔から外部に排出することができる。
【0020】
上記目的を達成するため、本発明に係るグラウンドゴルフ用スタートマットは、上記のいずれかのグラウンドゴルフ用ボールスタンドと、グラウンドゴルフ用ボールスタンドが取り付けられる板状のマット本体とを備える、グラウンドゴルフ用スタートマットであって、マット本体には、支柱部の下端部が下方から嵌め込まれる貫通孔が設けられていることにある。
【0021】
この構成では、上記のいずれかのボールスタンドを備えているので、ボールスタンドの抜け落ちやがたつきを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係るグラウンドゴルフ用スタートマットの構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すグラウンドゴルフ用スタートマットの要部の構成を示す部分拡大断面図である。
【
図3】
図3(A)は、グラウンドゴルフ用ボールスタンドの構成を示す斜視図であり、
図3(B)は、グラウンドゴルフ用ボールスタンドの構成を示す平面図である。
【
図4】マット本体に対するボールスタンドの取付方法を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るグラウンドゴルフ用ボールスタンドおよびスタートマットの実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、ボールを打ち出す方向を「前」、その反対方向を「後」、前方を向いて右側を「右」、その反対方向を「左」としている。これらの各方向は、
図1中に矢印で示した各方向と一致する。
【0024】
(スタートマット10の構成)
図1は、本発明の実施形態に係るグラウンドゴルフ用スタートマット(以下、単に「スタートマット」と言う。)10の構成を示す斜視図である。
図2は、スタートマット10の要部の構成を示す部分拡大断面図である。
図3(A)は、グラウンドゴルフ用ボールスタンド(以下、単に「ボールスタンド」と言う。)14の構成を示す斜視図であり、
図3(B)は、ボールスタンド14の構成を示す平面図である。
図4は、マット本体12に対するボールスタンド14の取付方法を示す部分拡大断面図である。
【0025】
図1に示すスタートマット10は、グラウンドゴルフ競技のスタート地点においてボールXを支持するものであり、マット本体12とボールスタンド14とを備えている。マット本体12は、スタート地点の地表面に固定される平面視で長方形の板状部材であり、ゴム弾性を有する弾性材料(ゴム、エラストマなど)によって形成されている。マット本体12の左右方向中央部であって、前後方向中央部よりもやや前寄りの部分には、ボールスタンド14が取り付けられる取付部16が設けられている。
【0026】
図2に示すように、取付部16は、マット本体12の下面12aに設けられた底面視で円形の凹部18と、凹部18の中心部においてマット本体12を貫通する貫通孔20とを有している。貫通孔20の下端部は、凹部18の底面18aに開かれており、貫通孔20の上端部は、マット本体12の上面12bに開かれている。
【0027】
図1に示すように、マット本体12の4つの角部のそれぞれには、マット本体12を地表面に固定するためのピン(図示省略)が挿通される貫通孔22が設けられている。また、マット本体12の上面12bには、ボールXの打ち出し方向を示す線24や、コース番号などの情報を表示するための表示部26などが突部または凹部として形成されている。本実施形態では、表示部26が凹部として形成されており、競技の際には、コース番号が記載されたシート(図示省略)が表示部26に嵌め込まれる。
【0028】
(ボールスタンド14の構成)
図2に示すボールスタンド14は、マット本体12に設けられた貫通孔20に取り付けられて、マット本体12の上面でボールXを支持するものであり、ゴム弾性を有する弾性材料(ゴム、エラストマなど)で形成されている。
【0029】
図3(A)に示すように、ボールスタンド14は、基板30と、基板30の上面30aに上方に突出して設けられた円筒状の支柱部32とを備えている。
図3(B)に示すように、基板30は、平面視で円形に形成された平板状の板材である。
図4に示すように、基板30の外径D1は、マット本体12に設けられた凹部18の内径D2よりも小さく、かつ、貫通孔20の内径D3よりも大きくされている。基板30の上下方向長さ(厚さ)は、凹部18の上下方向長さ(深さ)とほぼ同じか、それよりも短くされている。基板30には、支柱部32の内部空間Sと連通する貫通孔34が設けられている。
【0030】
図4に示すように、支柱部32は、上方に向けて外面が徐々に外側に広がるように形成されている。本実施形態では、支柱部32は、上方に向けて外径が徐々に大きくなるように形成されており、これにより、支柱部32の外面は、逆円錐台状に形成されている。支柱部32の下端部36には、内径が小さくされることによって、支柱部32の上端部38よりも厚さが厚くされた基部40が設けられている。支柱部32の内面における下端部36と上端部38との境界部には、基部40によって段差部42が生じており、段差部42の内面は、滑らかな曲面に形成されている。
【0031】
図4に示すように、支柱部32の下端部36は、マット本体12の貫通孔20に嵌め込み可能な外形に形成されるとともに、貫通孔20の内面に弾性的に圧接可能な大きさに形成されている。つまり、支柱部32の下端部36は円筒状に形成されており、貫通孔20の内径をD3とし、下端部36における貫通孔20の上端縁20aに対応する部分(以下、「圧縮部」という。)Mの外径をD4としたとき、外径D4は内径D3よりも少しだけ大きく(D4>D3)されている。したがって、下端部36を貫通孔20に嵌め込んだときには、圧縮部Mが圧縮され、その弾性復元力によって圧縮部Mの外面が貫通孔20の内面に圧接される。これにより、下端部36は、貫通孔20に対して、がたつきを生じることなく、ぴったりと嵌め合わされる。
【0032】
図3(A)に示すように、支柱部32には、上下方向に延びる3のスリット46a,46b,46cが、周方向に一定の間隔を隔てて、支柱部32の上端に開口して設けられている。これにより、支柱部32の上端部38は、3つの分割片48a,48b,48cに分割されている。各スリット46a,46b,46cは、上方に向けて幅が広くなるようにV字状に形成されている。
【0033】
図3(B)に示すように、各スリット46a,46b,46cの下端部、すなわちV字状の谷に当たる部分(以下、「谷部」という。)50a,50b,50cの内側面(上面)は、滑らかな曲面に形成されており、これにより、応力集中が抑制されている。3つの分割片48a,48b,48cのそれぞれにおいては、下端部の幅が上端部の幅よりも広くされている。
【0034】
図3(A),(B)に示すように、支柱部32の上端部、すなわち3つの分割片48a,48b,48cのそれぞれの上端部には、ボールX(
図2)が載置されるボール載置部54a,54b,54cが設けられている。本実施形態では、3つの分割片48a,48b,48cのそれぞれの上端面52a,52b,52cが、支柱部32の軸に対して垂直な平坦面であるため、各上端面52a,52b,52cにボールX(
図2)を載せると、ボールXは、各上端面52a,52b,52cの内周縁に接触する。つまり、本実施形態では、支柱部32の上端面の内周縁、すなわち各上端面52a,52b,52cの内周縁がボール載置部54a,54b,54cとなっている。
【0035】
図3(A)に示すように、基板30の上面30aにおける支柱部32の周囲には、平面視で円形の溝60が設けられている。これにより、基板30の上面30aから立ち上がる支柱部32の基端(下端)は、溝60の底部に位置している。
【0036】
(ボールスタンド14の取付方法)
図4に示すように、マット本体12にボールスタンド14を取り付ける際には、ボールスタンド14の支柱部32をマット本体12の貫通孔20に下方から挿入し、支柱部32の下端部36を貫通孔20に嵌め込む。支柱部32を貫通孔20に挿入する際には、二点鎖線で示すように、支柱部32の上端部38を手で内側に押し潰す。
図3(A)に示すように、支柱部32には、3つのスリット46a,46b,46cが設けられているので、上端部38を手で押し潰す作業は容易である。
【0037】
図2に示すように、支柱部32の下端部36を貫通孔20に嵌め込んだ状態では、圧縮部Mの外面が貫通孔20の内面に圧接される。この状態では、貫通孔20の下端縁20bが溝60の上方に配置されるので、下端縁20bのバリなどを溝60に収容することができる。したがって、バリなどの影響を受けることなく、ボールスタンド14を高い精度でマット本体12に取り付けることができる。
【0038】
(スタートマット10の使用方法)
図1に示すスタートマット10を、グラウンドゴルフ競技で使用する際には、競技の運営者は、コースの出発点となる地表面にスタートマット10を配置し、マット本体12の4つの貫通孔22のそれぞれにピン(図示省略)を挿し込んで、マット本体12を地表面に固定する。また、コース番号が記載されたシート(図示省略)を表示部26に嵌め込む。競技者は、ボールスタンド14の支柱部32に設けられたボール載置部54a,54b,54cにボールXを載置し、このボールXをクラブ(図示省略)で前方に打ち出す。
【0039】
(実施形態の効果)
本実施形態によれば、上記構成により以下の各効果を奏することができる。すなわち、
図2に示すように、支柱部32の下端部36が貫通孔20に嵌め込まれた状態では、支柱部32の上方への動きを基板30で抑制できるとともに、支柱部32の下方への動きを貫通孔20の内面に圧接された支柱部32の外面で抑制できる。これにより、ボールスタンド14が貫通孔20から抜け落ちることを防止できる。支柱部32の外面は貫通孔20の内面に圧接されるので、支柱部32のがたつきは生じ難い。
【0040】
図2に示すように、支柱部32は、上方に向けて外面が徐々に外側に広がるように形成されているので、ボール載置部54a,54b,54cが大きくなっており、ボールXを安定して受けることができる。
【0041】
図2に示す支柱部32は、弾性材料で形成されており、かつ、上方に向けて外面が徐々に外側に広がるように形成されているので、支柱部32の下端部36が貫通孔20に嵌め込まれた状態では、支柱部32が貫通孔20の上端部内面(上端縁20aを含む。)に圧接される力を、支柱部32が貫通孔20の下端部内面(下端縁20bを含む。)に圧接される力よりも大きくすることができる。したがって、支柱部32をボール載置部54a,54b,54cに近い部分でしっかりと支持することが可能であり、支柱部32のがたつきを生じることなく、ボールXを安定して受けることができる。
【0042】
また、支柱部32が貫通孔20の下端部内面(下端縁20bを含む。)に圧接される力を小さくして、支柱部32を貫通孔20に挿入するときの抵抗を小さくすることができるので、支柱部32の挿入作業を簡単に行うことができる。
【0043】
図2に示すように、支柱部32の下端部36の強度を基部40で補強できるので、ボールXを安定して受けることができる。
【0044】
図3(A)に示すように、スリット46a,46b,46cのそれぞれが、支柱部32の上端に開口するV字状に形成されているので、谷部50a,50b,50cを中心として、支柱部32を変形させ易い。スリット46a,46b,46cの谷部50a,50b,50cでは、内側面(上面)が滑らかな曲面に形成されているので、応力集中を抑制することが可能であり、この部分の損傷を抑制できる。
【0045】
図3(B)に示すように、ボール載置部54a,54b,54cが、3つの分割片48a,48b,48cのそれぞれの上端面52a,52b,52cに設けられているので、ボールX(
図2)を3点支持によって安定して受けることができる。また、3つの分割片48a,48b,48cのそれぞれにおいては、下端部の幅が上端部の幅よりも広くされているので、これによってもボールX(
図2)を安定して受けることができる。
【0046】
図2に示すように、ボールスタンド14の基板30には、支柱部32の内部空間Sと連通する貫通孔34が設けられているので、支柱部32の内部空間Sに入り込んだ水などを基板30の貫通孔34から外部に排出することができる。
【0047】
(変形例)
なお、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されず、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、
図3(A)に示すように、上記実施形態では、支柱部32の外形が、下端部36を含めて円筒状に形成されているが、下端部36の外形は、三角筒状や四角筒状などの貫通孔20に嵌め込み可能な他の形状に形成されてもよい。また、支柱部32の全体の外形は、下端部36の外形に応じた他の形状に形成されてもよい。
【0048】
図3(A)に示すように、上記実施形態では、3つのスリット46a,46b,46cのそれぞれがV字状に形成されているが、スリットの形状は、特に限定されるものではなく、例えば、U字状や全長にわたって一定の幅を有する形状(平行溝)に形成されてもよい。スリットの数は、特に限定されるものではなく、少なくとも1つあればよい。また、スリット46a,46b,46cは省略されてもよい。すなわち、支柱部32は、少なくとも使用者によって押し潰して弾性変形させることができる弾性を有する材料で構成されていればよい。
【0049】
図3(A)に示すように、上記実施形態では、3つの分割片48a,48b,48cのそれぞれの下端部の幅が上端部の幅よりも広くされているが、これらの下端部の幅は、上端部の幅と同じにされてもよいし、上端部の幅よりも狭くされてもよい。
【0050】
上記実施形態では、
図3(A)に示す基板30および支柱部32の全体が弾性材料で形成されているが、支柱部32だけが弾性材料で形成されてもよい。また、
図4に示す基板30の貫通孔34を省略して、支柱部32を有底筒状に形成してもよい。さらに、
図4に示す基部40を省略して、支柱部32を上下方向の全長にわたって一定の厚さで形成してもよい。
【0051】
図1に示すように、上記実施形態では、ボールスタンド14(
図3(A),(B))がスタートマット10の一部品として用いられているが、ボールスタンド14は、単独で用いられてもよい。この場合でも、支柱部32は、上方に向けて外面が徐々に外側に広がるように形成されており、ボール載置部54a,54b,54cが大きくなっているので、ボールXが3点支持されることと相俟って、ボールXを安定して受けることができる。
【符号の説明】
【0052】
10…スタートマット、12…マット本体、14…ボールスタンド、20…貫通孔、
30…基板、32…支柱部、36…下端部、38…上端部、
46a,46b,46c…スリット、54a,54b,54c…ボール載置部。