【実施例】
【0036】
以下では、本発明に係るナノ粒子を複合化した多孔質材料を各種作製して、その表面形状などを調べた結果を示す。なお、温熱療法自体の作用・効果は良く知られている事項であって、それは加熱機構の如何を問わずに発揮されるものであるから、以下では複合多孔質材料の製造方法と、その結果得られる特異な構造についての例を示す。また、本発明に係る多孔質材料が外部からの刺激により実際に発熱することを実証する。
【0037】
[実施例1]
ゼラチン多孔質材料を作製するために、原料ゼラチンの濃度が0.1(w/w)%〜50.0(w/w)%の範囲内のものを用いた。クエン酸で修飾した四酸化三鉄ナノ粒子(以下、クエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子と表記)とゼラチンの重量比が0.1:99.9〜50:50の範囲内で作製した。
【0038】
ゼラチンの濃度が4.0(w/v)%で、クエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンの重量比が1:99、5:95、10:90、15:85、20:80、30:70と40:60のクエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチンの架橋複合多孔質材料を作製した。大きさが425μm〜500μmの氷微粒子を多孔質材料の空孔形成剤として用いた。
【0039】
まず、0.8gのブタ由来ゼラチンに30(v/v)% 酢酸水溶液10mLを加えて、45℃で2時間、つづいて室温で4時間撹拌し、8.0(w/v)%ゼラチン溶液を調製した。一方、クエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子を調製した。チオ硫酸ナトリウム(Na
2S
2O
3)0.4gを20mL純水に溶解させ、チオ硫酸ナトリウム水溶液を調製した。塩化鉄(III)六水和物(FeCl
3・6H
2O)2.6gを40mLの純水に溶解させ、塩化鉄(III)水溶液を調製した。この二つの溶液に窒素ガスをバブリングした後、窒素雰囲気下で塩化鉄(III)水溶液40mLを撹拌しながらチオ硫酸ナトリウム水溶液20mLを滴下した。この混合溶液を75℃の水浴中で撹拌しながら加熱し、25%のアンモニア水4mLを滴下し、更に0.1g/mLのクエン酸水溶液10mLを滴下し、40分間反応を行った。これにより、クエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子を得た。その後、反応溶液を室温まで冷却し、永久磁石を用いて四酸化三鉄ナノ粒子を回収した。回収物を純水で4回洗浄した後、適量の純水に分散させ、クエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子の濃度を0.00081g/mL、0.0042g/mL、0.0089g/mL、0.014g/mL、0.020g/mL、0.034g/mLと0.053g/mLになるように調製した。
【0040】
一方、氷微粒子を作製するため、純水300mLを液体窒素10Lの入った容器に噴霧し、水滴を凍結させた。凍結物を−15℃の低温チャンバーに容器ごと移した。そのまま低温チャンバー内で約2時間静置することによって、液体窒素を気化させた。次に、低温チャンバー内で公称500μmの目開きをもつ篩と公称425μmの目開きをもつ篩を用いて大きさ425μm〜500μm氷を篩い分けた。低温チャンバー内の温度を−4℃に変更し、前記の氷微粒子を2時間静置し、氷微粒子の温度を−4℃に調製した。
【0041】
前記の8.0(w/v)%ゼラチン溶液10mLと濃度が0.00081g/mL、0.0042g/mL、0.0089g/mL、0.014g/mL、0.020g/mL、0.034g/mLと0.053g/mLのクエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子懸濁液10mLのそれぞれとを室温で混合し、超音波処理によりクエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子をゼラチン溶液に均一に分散させた。調製した混合溶液のゼラチンの濃度は4.0(w/v)%で、クエン酸表面修飾四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンの重量比はそれぞれ1:99、5:95、10:90、15:85、20:80、30:70と40:60であった。これらのクエン酸表面修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチン混合溶液を−4℃の低温チャンバーに移し、40分間静置することによって温度平衡化させた。温度を−4℃にしたクエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチン混合溶液20mLと前記の大きさ425μm〜500μmの氷微粒子を7:3(体積mL対重量g)の比率で−4℃の低温チャンバーで混合した。氷微粒子がクエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチン混合溶液に均一に分散するようによく攪拌した。この混合物を−20℃で12時間静置した後、さらに−80℃で4時間静置することにより、混合物を凍結させた。凍結物を室温、5Pa以下の減圧下で3日間凍結乾燥を行うことにより、クエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチン複合多孔質構造を形成させた。
【0042】
次に、クエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチン複合多孔質材料を99.5%のエタノールで洗浄(10分間×1回)した。その後、次の3段階の工程に分けて逐次的に架橋反応を行った。第1段階の架橋反応工程では、エタノール/水(95/5、v/v)30mLに0.03gの2−モルホリノエタンスルホン酸(MES、終濃度0.1wt%)を撹拌しながら加えた。このMES溶液に0.288gの1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC、終濃度50mM)及び0.069gのN−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS、終濃度20mM)を加えて10分間撹拌することにより、第1段階の架橋反応溶液を調製した。この第1段階の架橋反応溶液に前記のクエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチン複合多孔質材料を室温で8時間浸漬することによって、第1段階の架橋反応を行った。第2段階の架橋反応工程では、エタノール/水(90/10、v/v)30mLに0.03gのMESを撹拌しながら加えた。このMES溶液に0.288gのEDC及び0.069gのNHSを加えて10分間撹拌することにより、第2段階の架橋反応溶液を調製した。この第2段階の架橋反応溶液に第1段階の架橋反応後のクエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチン複合多孔質材料を室温で8時間浸漬し、第2段階の架橋反応を行った。第3段階の架橋反応工程では、エタノール/水(85/15、v/v)30mLに0.03gのMESを撹拌しながら加えた。このMES溶液に0.288gのEDC及び0.069gのNHSを加えて10分間撹拌することにより、第3段階の架橋反応溶液を調製した。この第3段階の架橋反応溶液に第2段階の架橋反応後のクエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチン複合多孔質材料を室温で8時間浸漬して、第2段階の架橋反応を行った。最後の架橋反応後のクエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチン複合多孔質材料を室温で30分間超純水に浸漬し、これを1回の洗浄として6回繰り返した。その後、0.1Mのグリシン水溶液にクエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチン多孔質材料を室温で8時間浸漬した。その後、上記の30分間純水での洗浄を6回繰り返した。洗浄後、5Pa以下の減圧下で48時間凍結乾燥を行い、目的のクエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチンの架橋複合多孔質材料を得た。
【0043】
得られた表面修飾した四酸化三鉄ナノ粒子/架橋ゼラチン多孔質材料の構造を走査電子顕微鏡で観察して、
図1a〜
図1gに示す像を得た。これらの図からも分かるように、ゼラチンの濃度を4.0(w/v)%として、クエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンの重量比をそれぞれ1:99、5:95、10:90、15:85、20:80、30:70及び40:60として作製したクエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチンの各架橋複合多孔質材料は、氷微粒子の大きさ及び形状を反映した空孔構造と球状の空孔を連通する空隙とからなる多孔質構造を有し、またクエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子は空孔壁面で観察された。
【0044】
[実施例2]
クエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンとの複合多孔質材料を作製した。ゼラチンの濃度は4.0(w/w)%であり、またクエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンとの重量比は15:85とした。ここでは氷微粒子は使用しなかった。
【0045】
実施例1で作製した8.0(w/v)%のゼラチン溶液10mLと実施例1で作製した濃度が0.014g/mLのクエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子懸濁液10mLととを室温で混合し、超音波処理により、クエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子をゼラチン溶液に均一に分散させた。調製した混合溶液のゼラチンの濃度は4.0(w/v)%であり、クエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンの重量比は15:85であった。このクエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチン混合溶液を−80℃の低温で6時間静置することにより、混合物を凍結させた。凍結物を室温、5Pa以下の減圧下で3日間凍結乾燥を行うことにより、クエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチン複合多孔質構造を形成させた。次に、実施例1と同様の洗浄、架橋、ブロッキング処理、凍結の各工程を経て、クエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチンの架橋複合多孔質材料を得た。
【0046】
得られたクエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチンの架橋複合多孔質材料の構造を走査電子顕微鏡で観察した。その走査電子顕微鏡写真を
図2に示す。ゼラチンの濃度が4.0(w/v)%であり、またクエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンとの重量比が15:85で作製した四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチンの架橋複合多孔質材料は、扁平な空孔を有し、四酸化三鉄ナノ粒子は空孔壁面で観察された。
【0047】
[実施例3]
未修飾四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンとの複合多孔質材料を作製した。ゼラチンの濃度は4.0(w/v)%、四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンとの重量比は15:85とした。ここでは、空孔形成剤として氷微粒子を使用しなかった。
【0048】
まず、未修飾の四酸化三鉄ナノ粒子(未修飾四酸化三鉄ナノ粒子と表記)を調製した。実施例1で作製したチオ硫酸ナトリウム水溶液及び塩化鉄(III)水溶液にそれぞれ窒素ガスを通し、次に、窒素ガス雰囲気下で、塩化鉄(III)水溶液40mLを撹拌しながらチオ硫酸ナトリウム水溶液20mLを滴下した。この混合溶液を75℃の水浴で撹拌しながら加熱し、25%のアンモニア水4mLを滴下し、40分間反応を行った。これにより、表面修飾していない四酸化三鉄ナノ粒子を得た。その後、反応溶液を室温まで冷却し、永久磁石で四酸化三鉄ナノ粒子を集めた。これを純水で4回洗浄した後、未修飾四酸化三鉄ナノ粒子を純水に分散させ、未修飾四酸化三鉄ナノ粒子の濃度を0.014g/mLになるように調製した。
【0049】
実施例1で作製した8.0(w/v)%のゼラチン溶液10mLと前記の濃度が0.014g/mLの未修飾四酸化三鉄ナノ粒子懸濁液10mLとを室温で混合し、超音波処理により未修飾四酸化三鉄ナノ粒子をゼラチン溶液に均一に分散させた。調製した混合溶液のゼラチンの濃度は4.0(w/v)%であり、また未修飾四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンの重量比は15:85であった。この四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチン混合溶液を−80℃で6時間静置することにより、混合物を凍結させた。凍結物を室温、5Pa以下の減圧下で3日間凍結乾燥を行うことにより、未修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチン複合多孔質構造を形成させた。次に、実施例1と同様の洗浄、架橋、ブロッキング処理、凍結の各工程を経て、未修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチンの架橋複合多孔質材料を得た。
【0050】
得られた四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチンの架橋複合多孔質材料を走査電子顕微鏡で観察して、
図3に示す像を得た。ゼラチンの濃度が4.0(w/v)%であり、また表面修飾していない四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンの重量比が15:85で作製した未修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチンの架橋複合多孔質材料は、扁平な空孔を有し、その空孔壁面では未修飾四酸化三鉄ナノ粒子が観察された。
【0051】
[実施例4]
ポリビニルアルコール修飾四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンとの複合多孔質材料を作製した。ゼラチンの濃度は4.0(w/w)%であり、またポリビニルアルコール修飾四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンの重量比は15:85であった。ここでは空孔形成剤として氷微粒子を使用しなかった。
【0052】
まず、ポリビニルアルコールで修飾した四酸化三鉄ナノ粒子(以下、ポリビニルアルコール修飾四酸化三鉄ナノ粒子と表記)を調製した。実施例1で作製したチオ硫酸ナトリウム水溶液及び塩化鉄(III)水溶液にそれぞれ窒素ガスをバブリングした後、窒素雰囲気下で塩化鉄(III)水溶液40mLを撹拌しながらチオ硫酸ナトリウム水溶液20mLを滴下した。この混合溶液を75℃の水浴で撹拌しながら加熱し、25%のアンモニア水4mLを滴下し、更に重量平均分子量が22,000のポリビニルアルコールの水溶液(0.1g/mL)10mLを滴下した後、40分間反応を行った。これにより、ポリビニルアルコール修飾四酸化三鉄ナノ粒子を得た。その後、反応溶液を室温まで冷却し、磁石で四酸化三鉄ナノ粒子を集めた。これを純水で4回洗浄した後、ポリビニルアルコール修飾四酸化三鉄ナノ粒子を純水に分散させ、ポリビニルアルコール修飾四酸化三鉄ナノ粒子の濃度を0.014g/mLになるように調製した。
【0053】
実施例1で作製した8.0(w/v)%のゼラチン溶液10mLと前記の濃度が0.014g/mLのポリビニルアルコール修飾四酸化三鉄ナノ粒子懸濁液10mLとを室温で混合し、超音波処理によりポリビニルアルコール修飾四酸化三鉄ナノ粒子をゼラチン溶液に均一に分散させた。調製した混合溶液のゼラチンの濃度は4.0(w/v)%であり、またポリビニルアルコール修飾四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンの重量比は15:85であった。このポリビニルアルコール修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチン混合溶液を−80℃の低温で6時間静置することにより、混合物を凍結させた。凍結物を室温、5Pa以下の減圧下で3日間凍結乾燥を行うことにより、ポリビニルアルコール修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチン複合多孔質構造を形成させた。次に、実施例1と同様の洗浄、架橋、ブロッキング処理、凍結の各工程を経て、ポリビニルアルコール修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチンの架橋複合多孔質材料を得た。
【0054】
得られたポリビニルアルコール修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチンの架橋複合多孔質材料の構造を走査電子顕微鏡で観察した。その、走査電子顕微鏡写真を
図4に示す。ゼラチンの濃度が4.0(w/v)%で、ポリビニルアルコール修飾四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンとの重量比が15:85で作製したポリビニルアルコール修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチンの架橋複合多孔質材料は扁平な空孔を有し、空孔壁面ではポリビニルアルコール修飾四酸化三鉄ナノ粒子が観察された。
【0055】
[実施例5]
ポリアクリル酸で表面修飾した四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンの複合多孔質材料を作製した。ゼラチンの濃度は4.0(w/w)%、ポリアクリル酸で表面修飾した四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンの重量比が15:85であった。空孔形成剤として氷微粒子を使用しなかった。
【0056】
まず、ポリアクリル酸で表面修飾した四酸化三鉄ナノ粒子(以下、ポリアクリル酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子と表記)を調製した。実施例1で作製したチオ硫酸ナトリウム水溶液及び塩化鉄(III)水溶液にそれぞれ窒素ガスをバブリングした後、窒素雰囲気下で塩化鉄(III)水溶液40mLを撹拌しながら、チオ硫酸ナトリウム水溶液20mLを滴下した。この混合溶液を75℃の水浴で撹拌しながら加熱し、25%のアンモニア水4mLを滴下し、更に重量平均分子量が450,000のポリアクリル酸の水溶液(0.1g/mL)10mLを滴下した後、40分間反応を行った。これにより、ポリアクリル酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子を得た。その後、反応溶液を室温まで冷却し、永久磁石で四酸化三鉄ナノ粒子を集めた。これを純水で4回洗浄した後、ポリアクリル酸で表面修飾した四酸化三鉄ナノ粒子を純水に分散させ、ポリアクリル酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子の濃度を0.014g/mLになるように調製した。
【0057】
実施例1で作製した8.0(w/v)%のゼラチン溶液10mLと前記の濃度が0.014g/mLのポリアクリル酸で表面修飾した四酸化三鉄ナノ粒子懸濁液10mLとを室温で混合し、超音波処理によりポリアクリル酸で表面修飾した四酸化三鉄ナノ粒子をゼラチン溶液に均一に分散させた。調製した混合溶液のゼラチンの濃度は4.0(w/v)%、ポリアクリル酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンの重量比が15:85であった。このポリアクリル酸で表面修飾した四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチン混合溶液を−80℃の低温で6時間静置することにより、混合物を凍結させた。凍結物を室温、5Pa以下の減圧下で3日間凍結乾燥を行うことにより、ポリアクリル酸で表面修飾した四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチン複合多孔質構造を形成させた。次に、実施例1と同様な洗浄、架橋、ブロッキング処理、凍結の各工程を経て、ポリアクリル酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチンの架橋複合多孔質材料を得た。
【0058】
得られたポリアクリル酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチンの架橋複合多孔質材料の構造を走査電子顕微鏡で観察した。その走査電子顕微鏡写真を
図4に示す。ゼラチンの濃度が4.0(w/v)%で、ポリアクリル酸で表面修飾した四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンとの重量比を15:85として作製したポリアクリル酸で表面修飾した四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチンの架橋複合多孔質材料は扁平な空孔を有し、その空孔壁面ではポリアクリル酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子が観察された。
【0059】
[実施例6]
ゼラチンで表面修飾した四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンの複合多孔質材料を作製した。ゼラチンの濃度は4.0(w/w)%であり、ゼラチンで表面修飾した四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンの重量比は1:99とした。ここでは氷微粒子を使用しなかった。
【0060】
まず、ゼラチンで表面修飾した四酸化三鉄ナノ粒子(四酸化三鉄ナノ粒子と呼ぶ)を調製した。実施例1で作製したチオ硫酸ナトリウム水溶液及び塩化鉄(III)水溶液にそれぞれ窒素ガスをバブリングした後、窒素雰囲気下で塩化鉄(III)水溶液40mLを撹拌しながらチオ硫酸ナトリウム水溶液20mLを滴下した。この混合溶液を75℃の水浴で撹拌しながら加熱し、25%のアンモニア水4mLを滴下し、更に重量平均分子量が約110,000のゼラチンの水溶液(0.1g/mL)10mLを滴下した後、40分間反応を行った。これにより、ゼラチンで表面修飾した四酸化三鉄ナノ粒子を得た。その後、反応溶液を室温まで冷却し、永久磁石で四酸化三鉄ナノ粒子を集めた。これを純水で4回洗浄した後、ゼラチンで表面修飾した四酸化三鉄ナノ粒子を純水に分散させ、ゼラチンで表面修飾した四酸化三鉄ナノ粒子の濃度を0.00081g/mLになるように調製した。
【0061】
実施例1で作製した8.0(w/v)%のゼラチン溶液10mLと前記の濃度が0.00081g/mLのゼラチンで表面修飾した四酸化三鉄ナノ粒子懸濁液10mLとを室温で混合し、超音波処理によりゼラチンで表面修飾した四酸化三鉄ナノ粒子をゼラチン溶液に均一に分散させた。調製した混合溶液のゼラチンの濃度は4.0(w/v)%であり、ゼラチンで表面修飾した四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンとの重量比は1:90であった。このゼラチンで表面修飾した四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチン混合溶液を−80℃の低温で6時間静置することにより、混合物を凍結させた。凍結物を室温、5Pa以下の減圧下で3日間凍結乾燥を行うことにより、ゼラチンで表面修飾した四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチン複合多孔質構造を形成させた。次に、実施例1と同様の洗浄、架橋、ブロッキング処理、凍結の各工程を経て、ゼラチンで表面修飾した四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチンの架橋複合多孔質材料を得た。
【0062】
得られたゼラチンで表面修飾した四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチンの架橋複合多孔質材料の構造を走査電子顕微鏡で観察し、走査電子顕微鏡写真を
図6に示す。ゼラチンの濃度が4.0(w/v)%で、ゼラチンで表面修飾した四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンの重量比が1:99で作製したゼラチンで表面修飾した四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチンの架橋複合多孔質材料は、扁平な空孔を有し、空孔壁面では四酸化三鉄ナノ粒子が観察された。
【0063】
[実施例7]
ゼラチン多孔質材料を作製した後その空孔壁の表面で四酸化三鉄ナノ粒子を形成させることにより、四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンの複合多孔質材料を沈着法によって作製した。
【0064】
実施例1で作製した4.0(w/v)%のゼラチン溶液10mLを−80℃の低温で6時間静置することにより、ゼラチン溶液を凍結させた。凍結物を室温、5Pa以下の減圧下で3日間凍結乾燥を行うことにより、多孔質構造を形成した。次に、実施例1と同様の洗浄、架橋、ブロッキング処理、凍結の各工程を経て、ゼラチンの架橋多孔質材料を得た。
【0065】
実施例1で作製したチオ硫酸ナトリウム水溶液及び塩化鉄(III)水溶液にそれぞれ窒素ガスをバブリングした後、窒素雰囲気下で塩化鉄(III)水溶液40mLを撹拌しながらチオ硫酸ナトリウム水溶液20mLを滴下した。ゼラチンの架橋多孔質材料をチオ硫酸ナトリウム水溶液と塩化鉄(III)水溶液との混合溶液に染み付けた。この混合物からゼラチンの架橋多孔質材料を取り出し、75℃の水浴で加熱した25%のアンモニア水10mLに入れた。振動しながら、60分間反応を行った。これにより、ゼラチン多孔質材料の空孔壁面に四酸化三鉄ナノ粒子を形成させた。純水で10回洗浄した後、四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチンの架橋複合多孔質材料を得た。
【0066】
作製した四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチンの架橋複合多孔質材料の構造を走査電子顕微鏡で観察した。その走査電子顕微鏡写真を
図7に示す。四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチンの架橋複合多孔質材料は扁平な空孔を有し、空孔壁面では四酸化三鉄ナノ粒子が観察された。
【0067】
[実施例8]
ゼラチンの濃度条件を2.0(w/v)%、4.0(w/v)%、6.0(w/v)%として、株式会社フェローテックから商品名が磁性ナノ粒子(表面コーティングなし)、型番:EMG1111として提供される市販の四酸化三鉄ナノ粒子(他の実施例で「市販の四酸化三鉄ナノ粒子」として言及されているものも同じ製品である)を用いて、四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンとの重量比が15:85の四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチンの架橋複合多孔質材料を作製した。ここでは氷微粒子を使用しなかった。
【0068】
まず、0.4g、0.8gと1.2gのブタ由来ゼラチンにそれぞれ30(v/v)%酢酸水溶液10mLを加えて、45℃で2時間撹拌し、つづいて室温で4時間撹拌し、4.0、8.0と12.0(w/v)%ゼラチンの溶液を調製した。
【0069】
続いて、市販の四酸化三鉄ナノ粒子を純水に分散させ、濃度が0.0071g/mL、0.014g/mLと0.0211g/mLになるように調製した。
【0070】
前記の4.0(w/v)%のゼラチン溶液10mLと前記の濃度が0.0071g/mLの四酸化三鉄ナノ粒子懸濁液10mLとを、前記の8.0(w/v)%のゼラチン溶液10mLと前記の濃度が0.014g/mLの四酸化三鉄ナノ粒子懸濁液10mLとを、また前記の12.0(w/v)%のゼラチン溶液10mLと前記の濃度が0.0211g/mLの四酸化三鉄ナノ粒子懸濁液10mLとをそれぞれ室温で混合し、超音波処理により四酸化三鉄ナノ粒子をゼラチン溶液に均一に分散させることによって、クエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンとの重量比が15:85であって、ゼラチンの濃度が2.0、4.0及び6.0(w/v)%である懸濁液を調製した。
【0071】
これらの市販の四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチン懸濁液を−80℃の低温で6時間静置することにより、混合物を凍結させた。凍結物を室温、5Pa以下の減圧下で3日間凍結乾燥を行うことにより、市販の四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチン複合多孔質構造を形成した。次に、実施例1と同様の洗浄、架橋、ブロッキング処理、凍結の各工程を経て、市販の四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチンの架橋複合多孔質材料を作製した。
【0072】
作製した市販の四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチンの架橋複合多孔質材料の構造を走査電子顕微鏡で観察した。その走査電子顕微鏡写真を
図8に示す。ゼラチンの濃度がそれぞれ2.0、4.0及び6.0(w/v)%であって市販の四酸化三鉄ナノ粒子とゼラチンとの重量比が15:85で作製した市販の四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチンの各架橋複合多孔質材料は不規則な空孔を持ち、空孔壁面では四酸化三鉄ナノ粒子が観察された。
【0073】
[実施例9]
コラーゲンの濃度条件が0.5(w/v)%、1.0(w/v)%と2.0(w/v)%で、市販の四酸化三鉄ナノ粒子を用いて、四酸化三鉄ナノ粒子とコラーゲンとの重量比が15:85の四酸化三鉄ナノ粒子/コラーゲンの架橋複合多孔質材料を作製した。ここでは氷微粒子を使用しなかった。
【0074】
まず、純水に酢酸溶液を添加し、pHが3.0の酢酸水溶液を作製した。pHが3.0の酢酸水溶液と無水エタノールとを90:10(v/v)の割合で混合し、水/エタノール混合溶液を調製した。水/エタノール混合溶液を4℃の低温チャンバーに12時間静置し、水/エタノール混合溶液の温度を4℃に調整した。0.1g、0.2g及び0.4gのブタ由来のタイプIコラーゲンをそれぞれ温度が4℃の水/エタノール混合溶液10mLに入れ、4℃のチャンバーで48時間撹拌し、1.0、2.0及び4.0(w/v)%コラーゲンの溶液を調製した。
【0075】
続いて、市販の四酸化三鉄ナノ粒子を純水に分散させ、四酸化三鉄ナノ粒子の濃度を0.0018g/mL、0.0035g/mL及び0.0071g/mLになるように調製した。これらの溶液を4℃のチャンバーで10時間静置し、溶液の温度を4℃に調整した。
【0076】
前記の1.0(w/v)%のコラーゲン溶液10mLと前記の濃度が0.0018g/mLの市販の四酸化三鉄ナノ粒子懸濁液10mLとを、また前記の2.0(w/v)%のコラーゲン溶液10mLと前記の濃度が0.0035g/mLの市販の四酸化三鉄ナノ粒子懸濁液10mLとを、更に前記の4.0(w/v)%のゼラチン溶液10mLと前記の濃度が0.0071g/mLの四酸化三鉄ナノ粒子懸濁液10mLとを、それぞれを4℃のチャンバーで混合し、超音波処理により四酸化三鉄ナノ粒子をゼラチン溶液に均一に分散させ、市販の四酸化三鉄ナノ粒子とコラーゲンの重量比が15:85で、コラーゲンの濃度は0.5、1.0及び2.0(w/v)%の懸濁液を調製した。
【0077】
これらの市販の四酸化三鉄ナノ粒子/コラーゲンの懸濁液を−80℃の低温で6時間静置することにより、混合物を凍結させた。凍結物を室温、5Pa以下の減圧下で3日間凍結乾燥を行うことにより、市販の四酸化三鉄ナノ粒子/コラーゲン複合多孔質構造を形成した。次に、実施例1と同様の洗浄、架橋、ブロッキング処理、凍結の各工程を経て、市販の四酸化三鉄ナノ粒子/コラーゲンの架橋複合多孔質材料を作製した。
【0078】
作製した市販の四酸化三鉄ナノ粒子/コラーゲンの架橋複合多孔質材料の構造を走査電子顕微鏡で観察した。その走査電子顕微鏡写真を
図9に示す。コラーゲンの濃度がそれぞれ0.5、1.0及び2.0(w/v)%で、市販の四酸化三鉄ナノ粒子とコラーゲンとの重量比が15:85で作製した市販の四酸化三鉄ナノ粒子/コラーゲンの各架橋複合多孔質材料は不規則な空孔を持ち、空孔壁面では四酸化三鉄ナノ粒子が観察された。
【0079】
[実施例10]
コラーゲンの濃度条件を2.0(w/v)%とし、また市販の四酸化三鉄ナノ粒子を用いて、四酸化三鉄ナノ粒子とコラーゲンとの重量比が15:85の四酸化三鉄ナノ粒子/コラーゲンの架橋複合多孔質材料を作製した。ここでは、大きさが425μm〜500μmの氷微粒子を多孔質材料の作製に用いた。
【0080】
実施例9で調製した4.0(w/v)%のコラーゲン溶液10mLと実施例9で調製した濃度が0.0071g/mLの市販の四酸化三鉄ナノ粒子懸濁液10mLとを4℃のチャンバーで混合し、超音波処理により四酸化三鉄ナノ粒子をゼラチン溶液に均一に分散させることにより、市販の四酸化三鉄ナノ粒子とコラーゲンとの重量比が15:85で、コラーゲンの濃度は2.0(w/v)%の懸濁液を調製した。この市販の四酸化三鉄ナノ粒子/コラーゲン混合溶液を−4℃の低温チャンバーに移し、40分間静置し、温度平衡化を行った。温度を−4℃にした市販の四酸化三鉄ナノ粒子/コラーゲン混合溶液20mLと実施例1で作製して温度を−4℃にバランスした大きさ425μm〜500μmの氷微粒子とを、7:3(重量g対体積mL)の比率で−4℃の低温チャンバーで混合した。氷微粒子が市販の四酸化三鉄ナノ粒子/コラーゲン混合溶液に均一に分散するようによく攪拌した。この混合物を−20℃の低温で12時間静置した後、さらに−80℃の低温で4時間静置することにより、混合物を凍結させた。次に、実施例1と同様の凍結乾燥、洗浄、架橋、ブロッキング処理、凍結の各工程を経て、氷微粒子を用いての市販の四酸化三鉄ナノ粒子/コラーゲンの架橋複合多孔質材料を作製した。
【0081】
作製した氷微粒子を用いた場合の市販の四酸化三鉄ナノ粒子/コラーゲンの架橋複合多孔質材料の構造を走査電子顕微鏡で観察した。その走査電子顕微鏡写真を
図10に示す。氷微粒子を用いた場合の市販の四酸化三鉄ナノ粒子/コラーゲンの架橋複合多孔質材料は、氷微粒子のサイズを反映した球状の空孔構造及び球状の空孔を連通する空隙からなる多孔質構造を有し、空孔壁面では四酸化三鉄ナノ粒子が観察された。
【0082】
[実施例11]
本実施例では、クエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチン架橋複合多孔質材料の光熱効果を調べた。実施例1で作製した複合多孔質材料を細胞培養用培地に浸漬し、波長805nm、出力密度1.6Wcm
−2の近赤外レーザー光を照射した。
【0083】
照射時間と複合多孔質材料の温度との関係を
図11に示す。前記複合多孔質材料の温度は近赤外レーザー光の照射によって上昇し、がんの温熱療法で必要とされる温度である42.5℃以上に加熱することができた。さらに、前記複合多孔質材料におけるクエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子の含率が増加するにつれて、温度の上昇速度が増加した。これに対して、クエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子と複合化していない架橋ゼラチン多孔質材料では、温度はほとんど上昇しなかった。以上のことから、クエン酸修飾四酸化三鉄ナノ粒子/ゼラチン架橋複合多孔質材料の光熱効果が確認された。生体内で前記複合多孔質材料を加熱する方法として近赤外レーザー光を用いることは可能なので、本発明の複合多孔質材料はがんの温熱療法に好適である。
【0084】
なお、磁性体のナノ粒子に交流磁場を印加することでもこれらのナノ粒子を発熱させることができることは良く知られている。従って、本実施例において近赤外レーザー光照射に代えて交流磁場を印加しても、その磁場の強さを調節することによって
図11に示したものと同様な結果を得ることができること
は明らかである。