(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来技術においては、超臨界CO
2からなる冷媒を用いた太陽熱集熱装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この太陽熱集熱装置は、冷媒の入口および出口を有し、太陽の照射を受ける集熱器と、冷媒の吸入口および吐出口を有する伝熱管を備えた熱交換器と、集熱器の出口と熱交換器の吸入口を接続し、冷媒が内部を流れる第1の管路と、熱交換器の吐出口と集熱器の入口を接続し、冷媒が内部を流れる第2の管路と、を備えており、集熱器、第1の管路、熱交換器および第2の管路からなる冷媒の閉回路を形成している。
【0003】
また、熱交換器の伝熱管の吸入口側が吐出口側よりも高くなるように高低差が設けられ、集熱器の集熱管のうち少なくとも、当該集熱管に流入した液相のCO
2の加熱が始まり超臨界状態に変わるまでの部分が、超臨界CO
2の流れ方向下流側に向かって上向き勾配となるように配置される。
さらに、集熱器内の超臨界CO
2の超臨界状態の有無を検出する検出器が設けられ、閉回路に流量調節弁が設けられ、検出器の検出値に基づいて流量調節弁を制御するコントローラが備えられる。
【0004】
そして、超臨界CO
2が、集熱器内を流れる間に、太陽熱によって液相から超臨界状態に相変化する一方、熱交換器の伝熱管内を流れる間に、熱回収流体によって冷却されて超臨界状態から液相に相変化する。そして、この場合、超臨界CO
2の密度は超臨界状態では液相の状態よりも1/5程度小さくなるので、超臨界CO
2は、集熱器側では入口側から出口側に向かって自然に上昇する一方、熱交換器の伝熱管内では吸入口側から吐出口側に向かって下降する。こうして、超臨界CO
2が、集熱器と熱交換器との間において超臨界状態および液相間で相変化しながら自然循環する。
【0005】
こうして、集熱器において超臨界CO
2によって吸収、保持された太陽熱が、熱交換器において熱回収流体によって回収される。
この太陽熱集熱装置によれば、コンプレッサ等のような外部電力を用いて冷媒を強制的に循環させる手段が不要であり、装置の簡素化、低コスト化を図ることができ、省エネルギーが達成できる。
しかしその一方で、この太陽熱集装置においては、冷媒の十分な循環流量が得られず、そのため装置の熱回収率が低いという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、超臨界流体を用いた自然循環式の太陽熱集熱装置の熱回収率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明によれば、超臨界流体からなる冷媒の入口および出口を有し、太陽照射を受ける集熱器と、冷媒供給口、および冷媒吸入口、および冷媒吐出口を有するエジェクタと、前記集熱器の出口と前記エジェクタの冷媒供給口を接続し、前記冷媒が内部を流れる第1の管路と、前記集熱器の入口と前記エジェクタの冷媒吐出口を接続し、前記冷媒が内部を流れる第2の管路と、冷媒流入口および冷媒流出口を有する伝熱管を含み、前記伝熱管を流れる前記冷媒から熱を回収する熱交換器と、前記第1の管路と前記熱交換器の前記伝熱管の前記冷媒流入口を接続する第3の管路と、前記熱交換器の前記伝熱管の前記冷媒流出口と
前記エジェクタの前記冷媒吸入口を接続する第4の管路と、前記第1〜第4の管路のうちの少なくとも1つに配置された流量制御弁と、前記第1〜第4の管路のうちの少なくとも1つに配置され、前記冷媒の相変化の状態を検出する検出器と、前記流量制御弁を制御する制御部と、を備え、前記集熱器の前記出口が前記入口よりも高い位置に配置され、かつ前記熱交換器の前記伝熱管の前記冷媒流入口が前記冷媒流出口よりも高い位置に配置されるとともに、前記第1および第3の管路が前記第2の管路よりも高い位置に配置されており、前記冷媒の流れが前記エジェクタによって付勢されるとともに、前記流量制御弁が前記検出器の検出値に基づいて制御されて、前記冷媒が、前記集熱器内を流れる間に、太陽熱によって加熱されて液相から超臨界状態になる一方、前記熱交換器の前記伝熱管内を流れる間に冷却されて超臨界状態から液相になるように前記集熱器と前記熱交換器との間を相変化しながら自然循環するものであることを特徴とする太陽熱集熱装置が提供される。
【0009】
本発明の好ましい実施例によれば、前記集熱器内の冷媒流路が、前記入口側から前記出口側に向かって傾斜してのび、または前記入口側から前記出口側に向かって垂直にのび、前記熱交換器の前記伝熱管が、前記冷媒流入口側から前記冷媒流出口側に向かって傾斜してのび、または前記冷媒流入口側から前記冷媒流出口側に向かって垂直にのびている。
【0010】
本発明の別の好ましい実施例によれば、前記太陽熱集熱装置は、さらに、前記第1および第2の管路を接続するバイパス管路と、前記バイパス管路に配置されたヒータと、前記バイパス管路における前記ヒータの上流側および下流側にそれぞれ配置された別の流量制御弁と、を備え、前記別の流量制御弁が前記制御部によって制御される。
【0011】
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、前記太陽熱集熱装置は、さらに、前記第2および第4の管路を接続する別のバイパス管路と、前記別のバイパス管路に配置されたさらに別の流量制御弁と、を備え、前記さらに別の流量制御弁が前記制御部によって制御される。
【0012】
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、前記検出器が、前記第1および第2の管路のそれぞれに配置された温度検出器と圧力検出器からなっている。
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、前記超臨界流体が超臨界CO
2である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、集熱器の出口とエジェクタの冷媒供給口を第1の管路によって接続し、集熱器の入口とエジェクタの冷媒吐出口を第2の管路によって接続するとともに、熱交換器の伝熱管の冷媒流入口と第1の管路を第3の管路によって接続し、伝熱管の冷媒流出口とエジェクタの冷媒吸入口を第4の管路によって接続し、さらに、集熱器の出口を入口よりも高い位置に配置し、熱交換器の伝熱管の冷媒流入口を冷媒流出口よりも高い位置に配置するとともに、第1および第3の管路を第2の管路よりも高い位置に配置している。また、第1〜第4の管路のうちの少なくとも1つに流量制御弁と冷媒の相変化の状態を検出する検出器を配置し、検出器の検出値に基づいて流量制御弁を制御する。
【0014】
そして、超臨界流体からなる冷媒を、集熱器内を通過させる間に、太陽熱によって液相から超臨界状態に相変化させ、超臨界状態の冷媒の一部を第1の管路を通じてエジェクタの冷媒供給口に流入させる一方、残りの部分を第3の管路を通じて熱交換器の伝熱管の冷媒流入口に流入させる。
【0015】
熱交換器(伝熱管)に流入させた冷媒は、熱交換器(伝熱管)を通過させる間に冷却して超臨界状態から液相に相変化させる。一方、エジェクタの冷媒供給口に流入させた冷媒を、エジェクタのノズルから混合部に噴出させ、減圧膨張させることによって超臨界状態から液相に相変化させる。それと同時に、エジェクタの混合部には、冷媒吸入口から伝熱管内の液相の冷媒を第4の管路を通じて吸入し、エジェクタの冷媒吐出口(ディフューザ)から液相の冷媒を第2の管路に吐出させる。エジェクタから吐出させた液相の冷媒は第2の管路を通じて集熱器の入口に流入させる。
【0016】
この場合、超臨界流体の密度は超臨界状態では液相の状態よりも1/5程度小さくなるので、超臨界流体は、集熱器内では入口側から出口側に向かって自然に上昇する一方、熱交換器の伝熱管内では冷媒流入口側から冷媒流出口側に向かって自然に下降し、冷媒が集熱器と熱交換器との間において超臨界状態および液相間で相変化しながら自然に循環する。こうして、集熱器において超臨界CO
2に吸収、保持された太陽熱が、熱交換器において回収される。
さらに、この循環する冷媒の流れをエジェクタによって付勢し、それによって、装置内を循環する冷媒の流量を増大させ、熱回収率を大幅に向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の構成を好ましい実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明の1実施例による太陽熱集熱装置の基本構成を示す概略図である。
図1を参照して、本発明によれば、冷媒の入口1aおよび出口1bを有し、太陽光の照射を受ける集熱器1が備えられる。
【0019】
図2は、集熱器の斜視図である。
図2を参照して、集熱器1は、この実施例では、公知の真空管式ソーラーコレクタからなっている。集熱器1は、一端面が開口した中空直方体形状のケーシング2を有し、ケーシング2は、一端面開口が上向きになり、かつ一対の対向する側壁のうちの一方が他方よりも高くなるように配置される。
【0020】
集熱器1は、また、ケーシング2の内部の上下端にそれぞれ設けられた上部および下部ヘッダ3a、3bと、ケーシング2の内部に互いに間隔をあけて平行に配置され、上部および下部ヘッダ3a、3bを接続する複数の集熱管4を有している。
【0021】
集熱管4の外周は密封構造の透明ガラス管4aによって囲まれ、ガラス管4aの内部は真空状態に保持され、集熱管4からの熱伝導、熱対流による熱の放射が防止されるようになっている。また、ガラス管4aの下側に放物面状の反射板5が配置される。
そして、ケーシング2の開口が太陽照射を受けるとともに、太陽光が反射板5によって反射されて集熱管4に集光されるようになっている。
図示はしないが、反射板5の下側にはグラスウール等からなる断熱材が配置されている。
【0022】
集熱器1は、さらに、一端が下部ヘッダ3bに接続されるとともに、ケーシング2の下側壁を貫通して下向きにのびる下部集合管6aと、一端が上部ヘッダ3aに接続されるとともに、ケーシング2の上側壁を貫通して上向きにのびる上部集合管6bを有している。そして、下部集合管6aの他端開口が集熱器1の入口1aをなし、上部集合管6bの他端が集熱器1の出口1bをなしている。
【0023】
本発明によれば、また、ノズル7aと、混合部7bと、ディフューザ7cとから構成されたエジェクタ7を備えている。そして、エジェクタ7のノズル7aの基端開口が冷媒供給口7dをなし、ディフューザ7cの先端開口が冷媒吐出口7eをなしており、混合部7dには冷媒吸入口7fが連通している。
【0024】
そして、集熱器1の出口1bとエジェクタ7の冷媒供給7dが、第1の管路8によって接続され、集熱器1の入口1aとエジェクタ7の冷媒吐出口7eが、第2の管路9によって接続されている。
この場合、第1の管路8は第2の管路9よりも高い位置に配置される。
【0025】
本発明によれば、また、冷媒流入口10aおよび冷媒流出口10bを有する伝熱管10を含み、伝熱管10を流れる冷媒から熱を回収する熱交換器11が備えられる。
この実施例では、熱交換器11は垂直方向にのび、伝熱管10の冷媒流入口10aが熱交換器11の上端に位置し、冷媒流出口10bが熱交換器11の下端に位置する。
そして、伝熱管10の外周が熱回収流体の流路12によって包囲され、流路12の下部に熱回収流体の入口12aが設けられる一方、流路12の上部に熱回収流体の出口12bが設けられている。
【0026】
また、第1の管路8と熱交換器11の伝熱管10の冷媒流入口10aが第3の管路13によって接続され、熱交換器11の伝熱管10の冷媒流出口10bと
エジェクタ7の冷媒吸入口7fが第4の管路14によって接続されている。
この場合、第3の管路13は第2の管路9よりも高い位置に配置される。
【0027】
さらに、第1の管路8の集熱器1および第3の管路13との接続部間にのびる部分には、第1の流量制御弁15と、第1の温度検出器16と、第1の圧力検出器17と、第1の質量流量計18とが配置される。また、第2の管路9に、第2の温度検出器19と、第2の圧力検出器20とが配置される。
【0028】
第1および第2の温度検出器16、19、および第1および第2の圧力検出器17、20は、冷媒の相変化の状態を検出する検出器として機能する。
そして、第1の流量制御弁15が、第1および第2の温度検出器16、19、および第1および第2の圧力検出器、および第1の質量流量計18の計測値に基づき、制御部28によって制御される。
第1の質量流量計18は必要に応じて配置される。
【0029】
また、熱交換器11の熱回収流体の流路12の入口12aに熱回収流体供給管21が接続され、出口12bに熱回収流体排出管22が接続される。さらに、熱回収流体供給管21にポンプ23が配置され、熱回収流体供給管21におけるポンプ23の下流側には、第3の温度検出器24および第2の質量流量計25が配置され、熱回収流体排出管22に第2の流量制御弁26が配置され、熱回収流体排出管22における第2の流量制御弁26の下流側には第4の温度検出器27が配置される。
ポンプ23および第2の流量制御弁26は、第3および第4の温度検出器24、27、および第2の質量流量計25の計測値に基づき、制御部28によって制御される。
【0030】
こうして、集熱器1、第1の管路8、エジェクタ7、第2の管路9、第3の管路13、熱交換器11の伝熱管11、および第4の管路14から形成された閉管路系に、超臨界流体からなる冷媒が充填される。
この場合、超臨界流体としては、公知の種々のものが適宜使用可能であるが、取扱いの容易さ、安全性および環境保護等の観点から、CO
2(臨界温度=31.1℃、臨界圧力=7.38MPa)を使用することが好ましい。
【0031】
また、熱回収流体が熱回収流体供給管21を通じて熱交換器11の流路12に供給され、流路12内を対向流をなして流れた後、熱回収流体排出管22を通じて流路12から排出される。
この実施例では、熱回収流体として水が使用される。
【0032】
そして、冷媒が、集熱器1(集熱管4)内を流れる間に、太陽熱によって加熱されて液相から超臨界状態に相変化する。そして、超臨界状態の冷媒の一部が第1の管路8を通じてエジェクタ7の冷媒供給口7dに流入する一方、残りの部分は第3の管路13を通じて熱交換器11の伝熱管10の冷媒流入口10aに流入する。
【0033】
熱交換器11(伝熱管10)に流入した冷媒は、熱交換器11(伝熱管10)を通過する間に水(熱回収流体)によって冷却されて超臨界状態から液相に相変化する(水(熱回収流体)は加熱されて湯水となる)。一方、エジェクタ7の冷媒供給口7dに流入した冷媒は、エジェクタ7のノズル7aから混合部7bに噴出し、そのとき減圧膨張することによって超臨界状態から液相に相変化する。それと同時に、エジェクタ7の混合部7bには、冷媒吸入口7fから伝熱管10内の液相の冷媒が第4の管路14を通じて吸入され、エジェクタ7の冷媒吐出口7e(ディフューザ7c)から液相の冷媒が第2の管路9に吐出する。エジェクタ7から吐出した液相の冷媒は第2の管路9を通じて集熱器1の入口1aに流入する。
【0034】
この場合、超臨界流体の密度は超臨界状態では液相の状態よりも1/5程度小さくなるので、超臨界流体は、集熱器1内では入口1a側から出口1b側に向かって自然に上昇する一方、熱交換器11の伝熱管10内では冷媒流入口10a側から冷媒流出口10b側に向かって自然に下降し、冷媒が集熱器1と熱交換器11との間において超臨界状態および液相間で相変化しながら自然に循環する。こうして、集熱器1において冷媒に吸収、保持された太陽熱が、熱交換器11において水(熱回収流体)に回収される。
さらには、この循環する冷媒の流れがエジェクタ7によって付勢され、それによって、装置内を循環する冷媒の流量が増大して、熱回収率が大幅に向上する。
【0035】
なお、この実施例において、熱交換器11の熱回収流体供給管21と熱回収流体排出管22を給湯タンクに接続し、給湯タンク、熱回収流体供給管、熱交換器、および熱回収流体排出管からなる閉じた管路系を形成すれば、太陽熱給湯器として使用することができる。
【0036】
次に、本発明の太陽熱集熱装置の実際の集熱効率および熱回収効率を調べるべく、シミュレーションを行った。シミュレーションの内容は次のとおりである。
【0037】
(シミュレーション1)
図1に示した管路系から第1の流量制御弁15を除去した装置構成において、集熱器1に対する日射量(入熱量)を1300Wとし、超臨界状態のCO
2の圧力を7.5MPaとし、さらに、集熱器1から流出する超臨界CO
2の質量流量(第1の質量流量計18の計測値)が、エジェクタ7を備えない場合の1.2倍に増大するとして、集熱器1から流出する超臨界CO
2の質量流量(第1の質量流量計18の計測値)を複数段階に変化させ、質量流量毎に集熱器1の集熱効率を算出した。結果を
図3のグラフに示した。
【0038】
図3のグラフ中、縦軸は集熱効率を表し、横軸は超臨界CO
2の質量流量(kg/h)を表している。また、”□”で示した点を結んだグラフが、エジェクタ7を備えた装置構成のものであり、破線で示したグラフは、エジェクタ7を備えない装置構成のものである。
図3のグラフから、エジェクタ7を備えたことによって、集熱効率が向上することが確認できた。
【0039】
(シミュレーション2)
シミュレーション1の場合と同様にして、集熱器1から流出する超臨界CO
2の質量流量(第1の質量流量計18の計測値)を複数段階に変化させ、質量流量毎に熱交換器10の熱回収率を算出した。結果を
図4のグラフに示した。
【0040】
図4のグラフ中、縦軸は熱回収率を表し、横軸は超臨界CO
2の質量流量(kg/h)を表している。また、”□”で示した点を結んだグラフが、エジェクタを備えた装置構成のものであり、破線で示したグラフは、エジェクタを備えない装置構成のものである。
【0041】
図4のグラフから、超臨界CO
2の質量流量が10〜18kg/hの範囲内では、エジェクタ7を備えたことで、熱回収率が向上することが確認された。なお、エジェクタ7を備えた場合に、超臨界CO
2の質量流量が18kg/hを超えると熱回収効率が増大しなくなるのは、第1の管路8および第3の管路13間の分流が影響しているものと考えられる。
【0042】
図5は、本発明の別の実施例による太陽熱集熱装置の基本構成を示す
図1に類似の図である。
図5の実施例は、
図1の実施例に、さらに、別の構成要件を付加したものである。よって、
図5中、
図1に示したものと同じ構成要素には同一番号を付し、以下では、それらの詳細な説明を省略する。
【0043】
図5を参照して、この実施例では、まず、第1および第2の管路8、9を接続する第1のバイパス管路29と、第1のバイパス管路29に配置されたヒータ30と、第1のバイパス管路29におけるヒータ30の上流側および下流側にそれぞれ配置された第3および第4の流量制御弁31、32とが備えられる。
ヒータ30、および第3および第4の流量制御弁31、32は制御部28によって制御される。
【0044】
この付加された構成によれば、例えば、本発明の太陽熱集熱装置を太陽熱給湯器として使用した場合に、雨天や曇天のために太陽照射量が少なくなったときや、夜間に太陽照射量がゼロとなったときでも、ヒータ30を動作させて第3および第4の流量制御弁31、32の開度を調節し、冷媒をヒータ30によって加熱することで、一定の出湯温度が得られる。
また、ヒータ30を動作させて第3および第4の流量制御弁31、32の開度を調節し、冷媒を加熱してその液相から臨界状態への相変化を促進することで、ヒータ30を一種のポンプとして機能させて装置内の冷媒の流れを付勢することができる。
また、気象ビッグデータに基づいて日々の太陽照射量および気温等を予測し、この予測値に基づいてヒータ30の制御を行うことによって、本発明の太陽熱集熱装置をより効率的に動作させることができる。
【0045】
さらに、第2および第4の管路9、13を接続する第2のバイパス管路33と、第2のバイパス管路33に配置された第5の流量制御弁34とが備えられる。第5の流量制御弁34は制御部28によって制御される。
この付加された構成によれば、第5の流量制御弁34の開度を調節することで、集熱器1の入口1aへの冷媒の流入量を迅速に増減させることができる。
【0046】
以上、本発明の構成をいくつかの好ましい実施例に基づいて説明したが、本発明の構成は上記実施例に限定されず、本願の特許請求の範囲に記載した構成の範囲内で種々の変形例を案出できることは言うまでもない。
例えば、上記実施例では、第1の管路8の第3の管路13との接続部の下流側に流量制御弁を1つだけ配置したが、それに加えて、第1の管路8の第3の管路13との接続部の上流側に別の流量制御弁を配置してもよいし、それに加えて、第3の管路13にさらに別の流量制御弁を配置してもよいし、それに加えて、第4の管路14にさらに別の流量制御弁を配置してもよい。
また、例えば、上記実施例では、熱交換器11を、伝熱管10と、伝熱管10の外周を包囲する熱回収流体の流路12とから構成したが、熱交換器11を、伝熱管10、および伝熱管10を直接空冷する送風機から構成することもできる。