特許第6861995号(P6861995)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社赤羽コンクリートの特許一覧

<>
  • 特許6861995-側溝用融雪具および融雪用側溝構造体 図000002
  • 特許6861995-側溝用融雪具および融雪用側溝構造体 図000003
  • 特許6861995-側溝用融雪具および融雪用側溝構造体 図000004
  • 特許6861995-側溝用融雪具および融雪用側溝構造体 図000005
  • 特許6861995-側溝用融雪具および融雪用側溝構造体 図000006
  • 特許6861995-側溝用融雪具および融雪用側溝構造体 図000007
  • 特許6861995-側溝用融雪具および融雪用側溝構造体 図000008
  • 特許6861995-側溝用融雪具および融雪用側溝構造体 図000009
  • 特許6861995-側溝用融雪具および融雪用側溝構造体 図000010
  • 特許6861995-側溝用融雪具および融雪用側溝構造体 図000011
  • 特許6861995-側溝用融雪具および融雪用側溝構造体 図000012
  • 特許6861995-側溝用融雪具および融雪用側溝構造体 図000013
  • 特許6861995-側溝用融雪具および融雪用側溝構造体 図000014
  • 特許6861995-側溝用融雪具および融雪用側溝構造体 図000015
  • 特許6861995-側溝用融雪具および融雪用側溝構造体 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861995
(24)【登録日】2021年4月2日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】側溝用融雪具および融雪用側溝構造体
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/06 20060101AFI20210412BHJP
   E01H 5/00 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   E03F5/06 B
   E01H5/00 Z
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-138044(P2017-138044)
(22)【出願日】2017年7月14日
(65)【公開番号】特開2019-19524(P2019-19524A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】502045884
【氏名又は名称】株式会社赤羽コンクリート
(74)【代理人】
【識別番号】110003111
【氏名又は名称】あいそう特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100089060
【弁理士】
【氏名又は名称】向山 正一
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 宏
【審査官】 富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−123884(JP,U)
【文献】 特開平7−286313(JP,A)
【文献】 特開2004−156366(JP,A)
【文献】 特開2014−240566(JP,A)
【文献】 米国特許第5199198(US,A)
【文献】 実開昭59−178480(JP,U)
【文献】 実開昭61−58206(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B7/20−7/54
8/02−8/04
9/00−13/02
E03F1/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側溝ブロックの上部開口部に配置される側溝用融雪具であって、
前記融雪具は、前記側溝ブロックの上部開口部に載置可能な蓋部材と、雪堰止部材とからなり、
前記蓋部材は、投雪用開閉部を備え、
前記雪堰止部材は、板状部と、前記板状部の上方に設けられ、前記側溝ブロックもしくは前記蓋部材の下部の両側部に載置可能な懸架部と、前記懸架部と前記板状部を連結し、通水を許容する連結部とを備え、
前記雪堰止部材は、前記懸架部が、前記側溝ブロックもしくは前記蓋部材の下部に載置された状態において、前記板状部の下端が前記側溝ブロックの内底面に当接し、保持されるものとなっており、
さらに、前記板状部は、上端中央部より下方に延びる中央通水用切欠部と、両側部下部に設けられ、前記側溝ブロックの底部側部角部との間に、側部下部通水部を形成する側部下部切欠部を備えることを特徴とする側溝用融雪具。
【請求項2】
前記蓋部材は、前記投雪用開閉部より下部に設けられ、前記雪堰止部材の非使用時に、前記雪堰止部材を前記蓋部材の下面とほぼ向かい合う状態にて保持するための雪堰止部材保持部を備えている請求項1に記載の側溝用融雪具。
【請求項3】
前記雪堰止部材の前記懸架部は、前記側溝ブロックの内側上部の向かい合う段差部もしくは側壁上面に載置可能である請求項1または2に記載の側溝用融雪具。
【請求項4】
前記板状部は、下端部に設けられた底部通水用切欠部を備えている請求項1ないし3のいずれかに記載の側溝用融雪具。
【請求項5】
前記板状部は、両側部上部に設けられ、側部上部通水部を形成する側部上部切欠部を備えている請求項1ないし4のいずれかに記載の側溝用融雪具。
【請求項6】
前記中央通水用切欠部は、下端より上に向かって幅が広くなっている請求項1ないし5のいずれかに記載の側溝用融雪具。
【請求項7】
前記側部下部切欠部は、角部が湾曲状もしくは斜めに切断された形状となっている請求項1ないし6のいずれかに記載の側溝用融雪具。
【請求項8】
前記雪堰止部材の前記懸架部は、前記板状部の上方に設けられ、かつ、前記板状部とほぼ平行に設けられた棒状懸架部であり、前記連結部は、前記板状部と前記棒状懸架部を連結する2本の棒状部材により形成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の側溝用融雪具。
【請求項9】
上部開口部を有する側溝ブロックと、前記側溝ブロックの前記上部開口部に載置される請求項1ないし8のいずれかに記載の側溝用融雪具とからなる融雪用側溝構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側溝の投雪口に設けられる側溝用融雪具および融雪用側溝構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
ある程度の降雪がある地域では、道路の側溝に水を流し、その流水の力で投入される雪を運搬する流雪溝といわれるものが設けられている。流雪溝には、投雪等のための開口部を持ち、開口部には、ヒンジ(蝶番)付蓋が設けられている。投雪時には、この蓋を開き、蓋下のフレームを通して投雪が行われる。
しかし、投雪された雪は、水流に乗り、下流に流れるが、いずれかの場所でたまり、たまった場所において水流が遮断され、水があふれることが多々生じていた。
【0003】
実用新案登録2506461号公報(特許文献1)のものでは、投雪口1の地上に面する上縁には縁金2が取付けられており、該縁金2の内側に、複数個の断面L形の十字枠受金3が内方に突出するにして固定されている。該受金3には、転落防止用鋼製十字枠4が載置するようにして取付けられており、該十字枠4を蔽うようにしてヒンジ付格子蓋5aが、上記縁金2に取付けられている。
特開2005−113609(特許文献2)には、上面が開口した開口部4の位置において、両側壁3に止水板2を挿脱可能な止水板ガイド用凹部30を設け、一側壁に止水板保管用部材31を設け、下流側端部に下流側から上流側へ向かって両側壁面から突出する突起部32に係止可能な第1係止部10を設け、第1係止部10から間隔を空けた上流側に、両側壁面3、3から突出する突起部32、32に上流側からスライドして係止可能な複数の第2係止部11を設けてなる平面通水部材1を有する流融雪溝が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録2506461号公報
【特許文献2】特開2005−113609
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のものでは、この転落防止用鋼製十字枠4は、雪の流れを止めることはできず、投雪された雪は、水流に乗り、下流に流れるが、いずれかの場所でたまり、たまった場所において水流が遮断され、水があふれることが生じる。
また、特許文献2のものでは、止水板2による止水度が高く、この流融雪溝において、過剰な雪を投雪した場合、雪がたまり、水があふれることが生じる可能が高い。
そこで、本発明は、ある程度の通水性を有し、雪だまりによる溢水を防止し、十分な融雪機能を備える側溝用融雪具および融雪用側溝構造体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) 側溝ブロックの上部開口部に配置される側溝用融雪具であって、
前記融雪具は、前記側溝ブロックの上部開口部に載置可能な蓋部材と、雪堰止部材とからなり、
前記蓋部材は、投雪用開閉部を備え、
前記雪堰止部材は、板状部と、前記板状部の上方に設けられ、前記側溝ブロックもしくは前記蓋部材の下部の両側部に載置可能な懸架部と、前記懸架部と前記板状部を連結し、通水を許容する連結部とを備え、
前記雪堰止部材は、前記懸架部が、前記側溝ブロックもしくは前記蓋部材の下部に載置された状態において、前記板状部の下端が前記側溝ブロックの内底面に当接し、保持されるものとなっており、
さらに、前記板状部は、上端中央部より下方に延びる中央通水用切欠部と、両側部下部に設けられ、前記側溝ブロックの底部側部角部との間に、側部下部通水部を形成する側部下部切欠部を備える側溝用融雪具。
【0007】
(2) 前記蓋部材は、前記投雪用開閉部より下部に設けられ、前記雪堰止部材の非使用時に、前記雪堰止部材を前記蓋部材の下面とほぼ向かい合う状態にて保持するための雪堰止部材保持部を備えている上記(1)に記載の側溝用融雪具。
(3) 前記雪堰止部材の前記懸架部は、前記側溝ブロックの内側上部の向かい合う段差部もしくは側壁上面に載置可能である上記(1)または(2)に記載の側溝用融雪具。
(4) 前記板状部は、下端部に設けられた底部通水用切欠部を備えている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の側溝用融雪具。
(5) 前記板状部は、両側部上部に設けられ、側部上部通水部を形成する側部上部切欠部を備えている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の側溝用融雪具。
(6) 前記中央通水用切欠部は、下端より上に向かって幅が広くなっている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の側溝用融雪具。
(7) 前記側部下部切欠部は、角部が湾曲状もしくは斜めに切断された形状となっている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の側溝用融雪具。
(8) 前記雪堰止部材の前記懸架部は、前記板状部の上方に設けられ、かつ、前記板状部とほぼ平行に設けられた棒状懸架部であり、前記連結部は、前記板状部と前記棒状懸架部を連結する2本の棒状部材により形成されている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の側溝用融雪具。
【0008】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(9) 上部開口部を有する側溝ブロックと、前記側溝ブロックの前記上部開口部に載置される上記(1)ないし(8)の側溝用融雪具とからなる融雪用側溝構造体。
【発明の効果】
【0009】
本発明の側溝ブロックの上部開口部に配置される側溝用融雪具は、側溝ブロックの上部開口部に載置可能な蓋部材と、雪堰止部材とからなり、蓋部材は、投雪用開閉部を備え、雪堰止部材は、板状部と、板状部の上方に設けられ、側溝ブロックもしくは蓋部材の下部の両側部に載置可能な懸架部と、懸架部と板状部を連結し、通水を許容する連結部とを備え、雪堰止部材は、懸架部が、側溝ブロックもしくは蓋部材の下部に載置された状態において、板状部の下端が側溝ブロックの内底面に当接し、保持されるものとなっており、さらに、板状部は、上端中央部より下方に延びる中央通水用切欠部と、両側部下部に設けられ、側溝ブロックの底部側部角部との間に、側部下部通水部を形成する側部下部切欠部を備えている。
【0010】
雪堰止部材を、懸架部が側溝ブロックもしくは蓋部材の下部の下流側となる位置に載置し、板状部の下端が側溝ブロックの内底面に当接し、保持させることにより、下流側に向かって斜め上方に傾斜するものなる。このため、投雪された雪は、流下するためには、雪堰止部材を乗り越える必要があるため、流下が確実に規制され、水は、雪の上を乗り越えることにより流下する。側溝を流れる水は、雪堰止部材による抵抗を受けるが、雪堰止部材は、中央通水用切欠部および側部下部切欠部を有するため、雪に接触した水は、中央通水用切欠部、側部下部切欠部を通り、ある程度の流量にて流下する。このため、投入された雪に起因する水のあふれが生じることがない。また、雪は、流れる水に確実に接触するため、良好に融雪される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施例の側溝用融雪具の正面図である。
図2図2は、図1のA−A線断面図である。
図3図3は、図1に示した側溝用融雪具および融雪用側溝構造体の平面図である。
図4図4は、図1に示した側溝用融雪具および融雪用側溝構造体の縦断面図である。
図5図5は、図1に示した側溝用融雪具および融雪用側溝構造体の作用を説明するための説明図である。
図6図6は、図1に示した側溝用融雪具および融雪用側溝構造体の作用を説明するための説明図である。
図7図7は、図1に示した側溝用融雪具および融雪用側溝構造体に使用される雪堰止部材の右側面図である。
図8図8は、本発明の実施例の側溝用融雪具および融雪用側溝構造体に使用される他の例の雪堰止部材の右側面図である。
図9図9は、本発明の実施例の側溝用融雪具および融雪用側溝構造体に使用される他の例の雪堰止部材の右側面図である。
図10図10は、図1に示した側溝用融雪具および融雪用側溝構造体の作用を説明するための説明図である。
図11図11は、図1に示した側溝用融雪具および融雪用側溝構造体の作用を説明するための説明図である。
図12図12は、図1に示した側溝用融雪具および融雪用側溝構造体の作用を説明するための説明図である。
図13図13は、図1に示した側溝用融雪具および融雪用側溝構造体の作用を説明するための説明図である。
図14図14は、本発明の他の実施例の側溝用融雪具および融雪用側溝構造体を説明するための説明図である。
図15図15は、本発明の他の実施例の側溝用融雪具および融雪用側溝構造体を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の側溝用融雪具および融雪用側溝構造体を図面に示した実施例を用いて説明する。
本発明の側溝ブロック5の上部開口部に配置される側溝用融雪具1は、側溝ブロック5の上部開口部に載置可能な蓋部材2と、雪堰止部材4とからなる。蓋部材2は、投雪用開閉部3a,3bを備える。雪堰止部材4は、板状部41と、板状部41の上方に設けられ、側溝ブロック5もしくは蓋部材2の下部の両側部に載置可能な懸架部42a,42bと、懸架部42a,42bと板状部41を連結し、通水を許容する連結部43,44とを備え、雪堰止部材4は、懸架部42a,42bが、側溝ブロック5もしくは蓋部材2の下部に載置された状態において、板状部41の下端が側溝ブロック5の内底面に当接し、保持されるものとなっている。さらに、板状部41は、上端中央部より下方に延びる中央通水用切欠部45と、両側部下部に設けられ、側溝ブロック5の底部側部角部との間に、側部下部通水部83、84を形成する側部下部切欠部46a,46bを備えている。
本発明の融雪用側溝構造体は、上部開口部を有する側溝ブロック5と、側溝ブロック5の上記の上部開口部に配置された上記の側溝用融雪具1とからなる。
本発明の溝用融雪具および融雪用側溝構造体に使用される側溝ブロックとしては、上面が開口した落ちふた式側溝ブロック、上ぶた式U形側溝ブロックが好適である。
【0013】
図1ないし図6に図示する実施例では、落ちふた式側溝ブロック5が用いられている。この側溝ブロック5は、底板部51と、底板部51の両側部より上方に延びる側壁52a,52bと、側壁52a,52bの上部に形成された向かい合う第1の段差部54aおよび第2の段差部54bからなる蓋受部と、第1の段差部54aおよび第2の段差部54bより上方に延びる側壁上部53a,53bを備えている。なお、図1は、側溝ブロック5のみを破断した状態における側溝用融雪具の正面図である。
【0014】
側溝用融雪具1は、側溝ブロック5の上部開口部に載置可能な蓋部材2と、雪堰止部材4とからなる。
この実施例の融雪具1では、雪堰止部材4は、板状部41と、板状部41の上方に設けられた懸架部42a,42bと、懸架部42a,42bと板状部41を連結し、通水を許容する連結部43,44とを備える。そして、懸架部42a,42bは、図2に示すように、側溝ブロック5に載置可能なものとなっている。具体的には、側溝ブロック5の側壁に設けられた段差部54a、54bに載置可能なものとなっている。そして、雪堰止部材4は、懸架部42a,42bが、側溝ブロック5の段差部54a、54bに載置された状態において、板状部41の下端が側溝ブロック5の内底面に当接し、下流側に向かって斜め上方に傾斜する状態にて、保持されるものとなっている。このため、雪堰止部材4に当接した水流は、斜め上方に押し上げられるものとなっている。
【0015】
また、この実施例の雪堰止部材4では、板状部41は、側溝の断面の全体を堰き止めるものではなく、底部側のみに位置するものとなっており、板状部41の上部である連結部43,44部分は、通水を許容する。このため、雪堰止部材4に当接し斜め上方に押し上げられ、かつ、板状部41を乗り越えた水は、流下する。板状部41としては、図1に示すように傾斜した状態において、側溝の底面より、側溝の深さ(底面と段差部間の高さ)の1/3〜2/3程度に位置するものであることが好ましい。板状部41は、開口を持たない平板状のものが好適である。
【0016】
そして、板状部41には、上端中央部より下方に延びる中央通水用切欠部45が設けられており、この切欠部45により、中央通水部81が形成されている。さらに、中央通水用切欠部45は、図2図7に示すように、下端より上に向かって幅が広くなっていることが好ましい。このようにすることにより。雪の堰き止め効果を維持し、かつ、板状部の中央上部に良好な通水機能を付与できる。中央通水用切欠部45の内縁上部は、図7に示すように、内側に膨らんだ円弧状であることが好ましい。
【0017】
さらに、板状部41には、両側部下部に設けられ、側溝ブロック5の底部側部角部との間に、側部下部通水部83、84を形成する側部下部切欠部46a,46bは、直線状に斜めに切断された形状となっている。このため、図2に示すように、この実施例の側溝用融雪具1では、雪堰止部材4を側溝内に配置した状態において、側溝ブロック5の底部側部角部と雪堰止部材4間には、断面が略三角形状の側部下部通水部83,84が形成される。雪は、空気を含むため、水面側に位置し、この側部下部通水部83,84より流下することはない。なお、側部下部切欠部46a,46bは、角部が外側もしくは内側に湾曲した湾曲状のものであってもよい。
【0018】
さらに、この実施例の板状部41では、下端部に設けられた底部通水用切欠部48を備えており、この底部通水用切欠部48により、側溝ブロックの内底面と板状部の下端間に底部通水部82が形成されている。この底部通水用切欠部48を設けることにより、側溝ブロックの内底面と板状部の下端間の当接部が減少し、両者の当接に起因する側溝ブロック内底面の損傷を抑制する。
【0019】
さらに、この実施例の板状部41では、両側部上部に設けられ、側部上部通水部85,86を形成する側部上部切欠部47a,47bを備えている。側部上部通水用切欠部47a,47bは、角部が外側に湾曲した湾曲状のものとなっている。なお、切欠部47a,47bは、角部が斜めに直線状に切り欠かれたものであってもよい。
【0020】
そして、この実施例の雪堰止部材4では、懸架部42a,42bは、板状部41の上方に設けられ、かつ、板状部41とほぼ平行に設けられた棒状懸架部42a,42bであり、連結部43,44は、板状部41と棒状懸架部42a,42bを連結する2本の棒状部材43,44により形成されている。具体的には、2本の棒状部材43,44は、所定長離間し、一方の棒状部材43の一端は、雪堰止部材4の板状部41の中央通水用切欠部45と板状部41の一方の側部との間に固定されており、他方の棒状部材44の一端は、雪堰止部材4の板状部41の中央通水用切欠部45と板状部41の他方の側部との間の側部側に固定されている。なお、この実施例の雪堰止部材4では、懸架部42a,42bは、1本の棒状シャフト42の両端部により形成されている。しかし、棒状シャフト42は、欠損部を有し、2つに分離しているものであってもよい。
【0021】
なお、雪堰止部材としては、図8に示す雪堰止部材4aのように、板状部41aが側部上部通水用切欠部47a,47bを備えないものであってもよい。さらには、図9に示す雪堰止部材4bのように、板状部41bが、側部上部通水用切欠部47a,47bを備えず、かつ、側部通水用切欠部49a,49bを備えるものであってもよい。側部通水用切欠部49a,49bにより、側溝ブロックの内側面と板状部の側部間に側部通水部が形成される。
【0022】
側溝ブロック5の上部開口部に載置可能な蓋部材2は、図1ないし図6に示すように、矩形フレームと、矩形フレームに回動可能に軸支された投雪用開閉部3a,3bを備える。矩形フレームは、側溝の内壁とほぼ平行であり、向かい合う2つの横方向枠部材21,22と、2つの横方向枠部材21,22の端部間を連結する縦方向枠部材25,26を備える。縦方向枠部材25,26の長さ、言い換えれば、2つの横方向枠部材21,22間の距離は、側溝ブロック5の第1の段差部54aおよび第2の段差部54bの外側の内壁面間距離(言い換えれば、側壁上部53a,53bの内壁間距離)より若干短いものとなっている。
【0023】
この実施例の蓋部材2では、図2ないし図6に示すように、横方向枠部材21,22の下面には、所定長延びる脚部材23,24が設けられている。この実施例では、脚部材23,24は、断面ロ型の角筒状のものとなっている。そして、この実施例の側溝用融雪具1では、この脚部材23,24が、側溝ブロック5の第1の段差部54aおよび第2の段差部54bの上面に載置される。
【0024】
また、この実施例の蓋部材2では、図2ないし図6に示すように、横方向枠部材21,22は、断面がL字状となっており、内側に突出する開閉蓋載置部21a,22aを備えている。また、縦方向枠部材25,26の側部には、外方に延出する延出部27,28が設けられている。
【0025】
そして、蓋部材2は、矩形フレームに回動可能に軸支された2つの投雪用開閉部3a,3bを備える。投雪用開閉部3a,3bは、所定の厚さと、多数の開口部を有するグレーチング状のものとなっている。このため、上方より、側溝の雪堰止部材を含む状況を確認可能なものとなっている。
【0026】
そして、投雪用開閉部3a,3bは、一端部において、矩形フレームに回動可能(開閉可能)に保持されている。具体的には、投雪用開閉部3a,3bは、一端側に設けられた円筒部32a,32bを有し、矩形フレームには、円筒部32a,32bを貫通し、両端部29a、29bが、矩形フレームの縦方向枠部材25,26の一端部に保持されたシャフト29を備えている。投雪用開閉部3a,3bは、シャフト29を中心軸とし、回動による開閉が可能となっている。そして、図6に示すように、投雪用開閉部3a,3bを開くことにより、側溝内への投雪が可能となる。
【0027】
この実施例の投雪用開閉部3a,3bは、鋼材を格子状に組んだグレーチング状のものとなっている。具体的には、投雪用開閉部3a,3bは、鋼板により形成された矩形枠31a,31bと、矩形枠31a,31bの横方向の鋼板製の枠部材に対応した長さの鋼板を平行に多数配置し、これらの両端を矩形枠の縦方向の鋼板製の枠部材に溶接し、複数の内側横方向仕切板33a、33bを設け、さらに、複数の内側横方向仕切板33a、33b間および矩形枠31a,31b間に縦方向に鋼材(例えば、更に角棒を捻って形成されたツイストバー)を配置し、溶接することにより形成された内側縦方向補強部34a,34bを備えている。
【0028】
このため、投雪用開閉部3a,3bは、格子状の構造と、多数の貫通する開口部を有する。さらに、この投雪用開閉部3a,3bは、矩形枠31a,31bの一方の横方向枠部材の側面に円筒部32a,32bが固定されており、矩形枠31a,31bの他方の横方向枠部材の内側には、開閉用把持部35a,35bが形成されている。開閉用把持部35a,35bは、内側横方向仕切板および内側縦方向補強部の欠損部となっており、手を挿入可能である。
【0029】
さらに、この実施例の側溝用融雪具1では、蓋部材2は、投雪用開閉部3a,3bより下部に設けられ、雪堰止部材4の非使用時に、雪堰止部材4を蓋部材の下面とほぼ向かい合う状態にて保持するための雪堰止部材保持部を備えている。
【0030】
この実施例の側溝用融雪具1では、図6に示すように、雪堰止部材保持部は、蓋部材2の投雪用開閉部3a,3bより下部の両側部に設けられ、内側に延出する向かい合う2つの延出部23a,24aを備えている。そして、図10ないし図12に示すように、懸架部42a,42bが側溝ブロック5もしくは蓋部材2の下部に載置された状態において、雪堰止部材4の板状部41の両側部は、延出部23a,24aの上に載置可能となっている。このため、図9に示すように、雪堰止部材4の非使用時に、雪堰止部材4を蓋部材の下面とほぼ向かい合う状態にて保持される。この状態において、雪堰止部材4は、水流の障害とならない。また、雪堰止部材4の存在は、投雪用開閉部3a,3bの上面より、容易に確認できる。
【0031】
次に、本発明の側溝用融雪具1の作用を図面を用いて説明する。
最初に、投雪用開閉部3a,3bを開き、図12に示す状態となっている雪堰止部材4を引き上げ、雪堰止部材4の板状部41の両側部を延出部23a,24aの上より離脱させた後、板状部41を側溝内に入れ、懸架部42a,42bを側溝ブロック5の第1の段差部54aおよび第2の段差部54bの上面に載置する。これにより、図1ないし図4に示すように、板状部41の下端が側溝ブロック5の内底面に当接し、下流側に向かって斜め上方に傾斜する状態にて保持される。
【0032】
そして、開かれている投雪用開閉部3a,3bより、雪を側溝内に投入する。図13に示すように、雪堰止部材4の板状部41により、側溝内を流れる水流のある程度の部分が一時的に堰き止められ、雪堰止部材4の上流側の水位が上がり、貯留水量が増加する。投入された雪12は、雪堰止部材4の板状部41の上流側の一時的貯留水13の上部に浮いた状態となり、流れる水に接触し、融解する。また、雪堰止部材4を乗り越えた水14は、下流側に流下する。また、雪堰止部材4の板状部4の上部に形成された中央通水部81、板状部4と側溝ブロック間側部下部通水部83,84を通り、ある程度の通水が確保されているため、過剰な貯水、側溝からの溢水を生じることがない。
【0033】
上述した実施例では、雪堰止部材4の懸架部42a,42bは、側溝ブロック5の第1の段差部54aおよび第2の段差部54bの上面に載置されるものとなっていたが、これに限定されるものではない。
例えば、図14に示す実施例の側溝用融雪具1aのように、蓋部材2aは、雪堰止部材4の懸架部42a,42bを懸架する平板状の載置部61を備えるものであってもよい。この実施例では、載置部61は、矩形フレームの横方向枠部材21,22の下部に、平板状の載置部61を備えている。
【0034】
また、本発明の側溝用融雪具1の使用の対象となる側溝ブロックは、上述した落ちふた式側溝ブロック5に限定されるものではなく、図15に示すように、上ぶた式U形側溝ブロック5aにも使用できる。この実施例では、側溝ブロック5aの側壁上面55a,55bに、雪堰止部材4の懸架部42a,42bが載置される。
【符号の説明】
【0035】
1 側溝用融雪具
2 蓋部材
3a,3b 投雪用開閉部
4 雪堰止部材
5 側溝ブロック
41 板状部
42a,42b 懸架部
45 中央通水用切欠部
46a,46b 側部下部切欠部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15