特許第6861997号(P6861997)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6861997
(24)【登録日】2021年4月2日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】生体分子のサイズを決定するための方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/447 20060101AFI20210412BHJP
【FI】
   G01N27/447 315F
   G01N27/447 325
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-567337(P2017-567337)
(86)(22)【出願日】2016年6月30日
(65)【公表番号】特表2018-523115(P2018-523115A)
(43)【公表日】2018年8月16日
(86)【国際出願番号】EP2016065379
(87)【国際公開番号】WO2017001597
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2019年6月12日
(31)【優先権主張番号】1511508.2
(32)【優先日】2015年7月1日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】597064713
【氏名又は名称】サイティバ・スウェーデン・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(74)【代理人】
【識別番号】100115462
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ビョルケステン,レナート
(72)【発明者】
【氏名】スタフシュトロム,ニルス
【審査官】 黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−505254(JP,A)
【文献】 特表2002−525576(JP,A)
【文献】 特開2000−088831(JP,A)
【文献】 特開2003−194775(JP,A)
【文献】 特表2008−545972(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0027744(US,A1)
【文献】 国際公開第2004/053153(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/447
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既知サイズのマーカー分子を使用して電場によって媒体中で分離された生体分子のサイズを決定するための方法であって、
複数のバンドを検出し、分離基準に基づいて、検出されたマーカー配列および検出された未知の配列を形成する工程と、
各々の検出されたバンドについてバンド特性を決定する工程と、
前記検出されたマーカー配列の前記検出されたバンドの前記バンド特性を、既知のマーカー配列を形成する複数のマーカー分子の既知のバンド特性と比較し、各々の比較にスコアを与える工程であって、前記スコアが、バンド間の相対距離、相対強度、予想される距離および予想される強度の少なくとも1つに基づく、工程と
最大のスコアをもつ前記比較を選択し、前記比較に従って、前記検出されたマーカー配列の前記検出されたバンドの全部または一部を、前記既知のマーカー配列の前記複数のマーカー分子と関連付けて、前記検出されたマーカー配列の全部または一部のサイズを決定する工程と、
前記検出されたマーカー配列の前記バンドと前記検出された未知の配列の前記バンドを比較して、前記既知サイズの前記マーカー分子に基づいて、前記検出された未知の配列の各々の同定されたバンドについて生体分子のサイズを決定する工程と
を特徴とし、
前記分離基準が、前記検出されたバンドが異なるレーンで検出されることである、方法。
【請求項2】
前記比較が、前記検出されたマーカー配列のバンド特性と前記既知のマーカー配列の既知のバンド特性を比較し、前記検出された配列でさらなるバンドまたは欠けているバンドを許容するが、前記検出された配列で前記バンドの順序を変更することを許容しないことによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検出されたバンドの前記バンド特性に、位置および強度の少なくとも1つが含まれる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記分離基準が、前記検出されたバンドが異なる色であることである、請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記分離基準が、前記検出されたバンドが1つの色に第1の強度を有し、もう1つの色に第2の強度を有すること、および前記第1と第2の強度の強度比を求めることができることである、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記検出されたマーカー配列の前記検出されたバンドが、検量線を作成するために使用され、前記検出された未知の配列の生体分子の前記サイズが、前記検出された未知の配列の検出されたバンドのバンド特性を前記検量線と比較することによって決定される、請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記生体分子がタンパク質である、請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記スコアが、前記検出されたマーカー配列のバンドの相対強度、予想される距離および/または予想される強度を前記既知のマーカー配列のバンド比較することによって決定される、請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法を実施するように構成されたソフトウェア。
【請求項10】
請求項に記載のソフトウェアを格納するように構成された、コンピュータで読取可能な媒体。
【請求項11】
既知サイズのマーカー分子を使用して、電場によって媒体中で分離された生体分子のサイズを決定するための方法であって、
レーンから複数のデータポイントを検出し、検出されたレーンプロファイルを作製する工程と、
理論データ、または複数のマーカー分子を含む以前に検出されたデータに基づいて以前のレーンプロファイルを作製する工程と、
最良のアライメントを見出すためのプロファイルアライメント計算に基づいて、前記検出されたレーンプロファイルを前記以前のレーンプロファイルと整列させる工程と、
前記検出されたレーンプロファイルと前記以前のレーンプロファイルの前記最良のアライメントに基づいて、前記検出されたレーンプロファイルの複数のマーカー分子のサイズを決定する工程と、
未知の生体分子に対応する複数のデータポイントを検出する工程と、
前記未知の生体分子に対応する前記データポイントを前記複数のマーカー分子の前記決定されたサイズに関連付けることによって、前記未知の生体分子のサイズを決定する工程と
を特徴とする、方法。
【請求項12】
前記複数のデータポイントが、強度および距離の少なくとも1つの情報を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記プロファイルアライメント計算が、パラメータで表されたシフト、膨張および圧縮の少なくとも1つに基づく、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記最良のアライメントが、相関を用いる比較によって決定される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記プロファイルアライメント計算が動的プログラミングに基づく、請求項11または12に記載の方法。
【請求項16】
請求項11乃至15のいずれか1項に記載の方法を実施するように構成されたソフトウェア。
【請求項17】
請求項16に記載のソフトウェアを格納するように構成された、コンピュータで読取可能な媒体。
【請求項18】
生体分子のサイズ決定の質を決定するための方法であって、請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法を実施する工程、および請求項11乃至15のいずれか1項に記載の方法を実施する工程、ならびに、前記方法によるマーカー分子の前記決定されたサイズを比較して、分析の質を決定する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既知サイズのマーカー分子を使用して電場によって媒体中で分離された生体分子のサイズを決定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの技術分野において、試料に含まれる生体分子を正確に識別することは重要である。これは、様々な分離媒体中の異なるクラスの生体分子用のいくつかの異なる分離および検出方法によって実施することができる。
【0003】
知られている方法の一つは、試料中のタンパク質含有量の分析に慣用される技術である、電気泳動によるものである。
【0004】
電気泳動は、電場中の荷電分子の移動度に基づく分離技術である。それは主に、タンパク質または核酸などの大きい分子の分析および精製に使用される。電気泳動は、通常、目的の分子を含有する試料を多孔性マトリックスの1つのウェルに充填し、その後それに電圧を加えることによって実行される。試料中の異なったサイズ、形状、および荷電の分子は、異なる速度でマトリックスの中を移動する。分離の終わりに、分子は、マトリックスの異なる位置にあるバンドとして検出される。マトリックスは、紙、酢酸セルロース、あるいはポリアクリルアミド、アガロース、またはデンプンでできたゲルをはじめとする、いくつかの異なる材料で構成されることができる。ポリアクリルアミドおよびアガロースゲルでは、マトリックスは分離の際にサイズ選択篩の機能を果たすことができる。
【0005】
従って、異なるタンパク質は、サイズと、電場が印加されている場合には電荷に応じて異なる速度でゲル中を移動する。2以上の試料が同じゲル中で分離されることがある。これらの試料は、別々のレーンに分離されることによるか、または異なる標識によって互いと区別される。多くの場合、分離されたタンパク質成分にサイズを割り当てることができることが必須である。これは、ゲル中の同じまたは別のレーンに既知サイズの専用のサイズマーカータンパク質を充填することによって行うことができる。電気泳動分離が行われた後のこれらのサイズマーカータンパク質の位置はサイズスケールを生じ、それにより、サイズ検量線を割り当てることによる較正手順を使用して、未知のサイズのタンパク質にサイズを割り当てることができる。分離方向に沿ったマーカータンパク質のゲル中の位置はサイズの関数としてプロットされ、その後、これらのデータポイントへの適合度から得られる検量線を使用して、未知のサイズのタンパク質のサイズを較正する。電気泳動の分野の一般的な背景に関するさらなる情報は、同じ出願人による国際公開第2013180642号、米国特許出願公開第2003221963号または国際公開第2015079048号に見出すことができる。
【0006】
電気泳動の共通する問題の1つは、ゲルの汚染が基準分子の一部と間違えられ得ることであり、その結果、基準分子の同定は不完全となり、これらの分子と未知の生体分子との間のサイズの正確な比較が妨げられる。一般に、結果を評価し、不完全なデータを除去して同定およびサイズ評価を改善するためのオペレータが必要である。
【0007】
類似する技術は、米国特許第5273632号、国際公開第2005/015199号および米国特許第4720786号に開示されている。
【0008】
従って、未知の生体分子を正確に識別するための改良された方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第0208949号パンフレット
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、上述の問題を排除するか、または少なくとも最小限に抑えることである。これは、添付の独立クレームに記載の方法によって達成され、
複数のバンドを検出し、分離基準に基づいて、検出されたマーカー配列および検出された未知の配列を形成すること、
各々の検出されたバンドについてバンド特性を決定すること、
検出されたマーカー配列の検出されたバンドのバンド特性を、既知のマーカー配列を形成する複数のマーカー分子の既知のバンド特性と比較し、各々の比較にスコアを与えること(前記スコアは、バンド間の相対距離、相対強度、予想される距離および予想される強度の少なくとも1つに基づく)、
最大のスコアをもつ比較を選択し、前記比較に従って、検出されたマーカー配列の検出されたバンドの全部または一部を既知のマーカー配列の前記複数のマーカー分子と関連付けて、検出されたマーカー配列の全部または一部のサイズを決定すること、および
検出されたマーカー配列のバンドと検出された未知の配列のバンドを比較して、既知サイズのマーカー分子に基づいて、検出された未知の配列の各々の同定されたバンドについて生体分子のサイズを決定することによるか、
あるいは、
レーンから複数のデータポイントを検出し、検出されたレーンプロファイルを作製すること、
理論データ、または複数のマーカー分子を含む以前に検出されたデータに基づいて以前のレーンプロファイルを作製すること、
最良のアライメントを見出すためのプロファイルアライメント計算に基づいて、検出されたレーンプロファイルを以前のレーンプロファイルと整列させること、
検出されたレーンプロファイルと以前のレーンプロファイルの最良のアライメントに基づいて、検出されたレーンプロファイルの複数のマーカー分子のサイズを決定すること、
別のレーンから未知の生体分子と一致する複数のデータポイントを検出すること、
前記未知の生体分子と一致する前記データポイントを複数のマーカー分子の決定されたサイズに関連付けることによって、未知の生体分子のサイズを決定すること
のいずれかによって、未知の生体分子を特定するための改良された方法を提供する。
【0011】
それによって、マーカー分子の同定を改良することができ、オペレータを必要とせずに不完全な検出の危険性を減らすことができる、従って生体分子のサイズの決定も改良される。
【0012】
本発明の一態様によれば、比較は、検出された配列のバンド特性と既知のマーカー配列の既知のバンド特性を比較し、検出された配列でさらなるバンドまたは欠けているバンドを許容するが、検出された配列でバンドの順序を変更することを許容しないことによって行われる。その結果、不完全な検出の危険性はさらに低下する。
【0013】
本発明のさらにもう1つの態様によれば、検出されたバンドのバンド特性には、位置および強度の少なくとも1つが含まれる。それによって、1つの検出されたバンドと他の検出されたバンド間、または検出されたバンドとマーカー分子の既知のバンドの特性との間の相対距離および相対強度が決定され、それは次にスコアを決定するために使用することができる。
【0014】
本発明のさらなる態様によれば、スコアは、検出されたマーカー配列のバンドの相対強度、相対強度、予想される距離および/または予想される強度を既知のマーカー配列のバンドと比較することによって決定される。そのために、検出されたマーカーバンドと既知のマーカーバンドとの間のこれらの特性が類似していると、より高いスコアとなり、2者を関連付ける可能性が増加する。
【0015】
本発明のさらにもう1つの態様によれば、分離基準は、検出されたバンドが異なるレーンで検出されることである。その結果、検出された未知のバンドと検出されたマーカーバンドは容易に分離することができ、その後の分析および比較を容易にすることができる。
【0016】
本発明のさらなる態様によれば、分離基準は、検出されたバンドが異なる色であることである。それによって、検出されたマーカーバンドが1つの色であり、検出された未知のバンドがもう1つの色であるならば、たとえそれらが同じレーンに存在する場合でも、バンドは検出されたマーカーバンドと検出された未知のバンドに簡単に分離することができる。あるいは、マーカー分子を複数の色で標識して、1つの分子量に対応する各々のバンドが、1つの色に高い強度、もう1つの色に低い強度を有し、もう1つの分子量に対応する隣接バンドが反対の強度および色分布を有するようにする。従って、各々のバンドを正確に同定することをさらに助けるために、強度比を使用することができる。
【0017】
本発明のさらにもう1つの態様によれば、検出されたマーカー配列の検出されたバンドを用いて検量線を作成し、検出された未知の配列の検出されたバンドのバンド特性と前記検量線を比較することによって、検出された未知の配列の生体分子のサイズを決定する。
【0018】
さらに、本発明によれば、同じ試料上で本明細書に記載される生体分子のサイズを決定するための2つの方法を実施すること、および本方法によるマーカー分子の決定されたサイズを比較して分析の質を決定することを含む、生体分子のサイズ決定の質を決定するための方法が提供される。
【0019】
さらに、本発明による方法を実施するように構成されたソフトウェアを提供すること、および前記ソフトウェアを格納するように構成された、コンピュータで読取可能な媒体を提供することが有利である。
【0020】
本発明の多くのさらなる利点および利益は、以下の詳細な説明を考慮すると容易に明らかとなるであろう。
【0021】
本発明は、添付の図面を参照して、以下でさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】バンド特性を比較することを含む方法のステップの略図を示す図である。
図2】検出されたバンドの組と、既知のマーカー分子を表す値の組を示す図である。
図3】レーンプロファイルを整列させることを含む方法のステップの略図を示す図である。
図4】検出されたレーンプロファイルと、既知のマーカー分子に対応する以前のレーンプロファイルを示す図である。
図5a】動的プログラミングを高いペナルティで使用する、レーンプロファイルを整列させることを含む方法の実施を示す図である。
図5b】動的プログラミングを低いペナルティで使用するレーンプロファイルを整列させることを含む方法の実施を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
未知の生体分子のサイズを決定するための方法は、ゲルまたは膜において異なるサイズの分子を分離するための技術、例えば電気泳動などと共に使用するのに適している。以下で、本発明による方法は、電気泳動に関して説明されるが、これらの方法は分子を分離する他の方法にも適用されることもできることが理解される。
【0024】
従って、未知のサイズの生体分子を含有する少なくとも1つの試料と、複数のマーカー分子を含有するもう1つの試料をゲルのレーンに置く。ほとんどの場合、試料は異なるレーンに置かれるが、試料を同じレーンに置いてもよい。電場にかけた後、生体分子とマーカー分子はゲル中を移動した。それらの配置は別々のバンドまたは複数のデータポイントの形態で検出することができる。一般に、電気泳動に使用されるマーカー分子は、異なる量で供給され、その結果異なる強度のバンドとなり、マーカー分子を同定する場合に距離または位置と強度の両方を使用することができる。
【0025】
図1は、バンド特性を比較して未知の生体分子のサイズを決定する、本発明の好ましい実施形態による方法のステップを概略的に開示する。従って、最初のステップ101では、分離基準に基づいて複数の別々のバンドが検出され、2つの配列に形成される。分離基準は、同じレーンで検出されたバンドが同じ配列に集められる一方で、もう1つのレーンで検出されたバンドがもう1つの配列を形成することであってもよいし、1つの色のバンドが1つの配列に置かれ、もう1つの色のバンドがもう1つの配列に置かれることであってもよい。使用した色は、どんな種類の色、例えば蛍光色、赤外線で検出できる色または可視光で検出できる色などであってもよく、任意の適した検出手段によって検出されてもよい。
【0026】
それによって、検出されたマーカーバンドが1つの色であり、検出された未知のバンドがもう1つの色であるならば、たとえそれらが同じレーンに存在する場合でも、バンドは検出されたマーカーバンドと検出された未知のバンドに簡単に分離することができる。あるいは、マーカー分子を複数の色で標識して、1つの分子量に対応する各々のバンドが1つの色に第1の強度、もう1つの色に第2の強度を有し(その第1および第2の強度の1つは他方よりも高く、他方はより低い)、もう1つの分子量に対応する隣接バンドが反対の強度および色分布を有するようにする。従って、各々のバンドを正確に同定することをさらに助けるために、強度比を使用することができる。
【0027】
その他の分離基準も使用することができる。
【0028】
配列のうちの1つは、マーカー分子の試料に対応するバンドを含有する、検出されたマーカー配列であり、もう一方は、未知のサイズの生体分子の試料に対応するバンドを含む、検出された未知の配列である。バンドは、電場を加える前の試料の配置に応じて、ゲル中の1つのレーンだけに、または複数のレーンに位置することができる。
【0029】
2番目のステップ102では、各々の検出されたバンドのバンド特性が決定される。バンド特性には、バンドの強度および/またはバンドの位置、すなわち各々のバンドから他のバンドまでまたは基準までの距離に関する情報が含まれる。好ましくは、複数のバンドの強度および距離は、互いと比較したバンドの相対強度および相対距離を得るために組み合わせることができる。
【0030】
3番目のステップ103では、各々のバンドのバンド特性が、既知のマーカー配列を形成するマーカー分子の既知のバンド特性と比較される。好ましくは、マーカー分子は既知のマーカー配列中で最大または最小から開始して最小または最大に向かってそれぞれ進むサイズに従って分類される。このように既知のマーカー配列は、検出されたバンドの中でマーカー分子がレーンに現れる順序を示す。既知のマーカー配列のマーカー分子で検出されたマーカー配列の検出されたバンドの一部の同定を可能にするために、既知のバンド特性は、好ましくは2番目のステップ102で決定されたものと少なくとも部分的に同じ特性である。
【0031】
3番目のステップ103の比較の間、検出されたバンドは、検出されたバンド配列と既知のマーカー配列との間に満足のいく一致が見出されるように既知のマーカー配列と比較される。そのため、この比較は、検出されたバンド配列中のさらなるバンドまたは欠けているバンドの存在を許容するが、検出されたバンド配列中の個々の検出されたバンドが場所を変えることは許容しない。各々の比較には、各々の検出されたバンドが既知のマーカー配列中のマーカー分子にどれほど良く対応するか、および検出されたバンドを含む検出されたマーカー配列が全体として既知のマーカー配列にどれほど良く対応することができるかを反映するスコアが与えられる。
【0032】
図2は、異なる強度を象徴化した様々な幅の長方形によって表される複数の検出されたバンドと、そのサイズをkDaで記した数字によって表される複数の既知のマーカーの比較を開示する。スコアは、好ましくは、バンドの強度と配置に、両方とも単独に、かつ互いに組み合わせて基づく。従って、各々のバンドに関して別々に、ゲル中を移動したバンドの絶対強度および絶対距離は、既知のマーカーに対する比較に使用されることができる。異なるバンドのバンド特性を組み合わせると、各々のバンドがゲル中を移動した距離間の相対距離および相対強度、すなわち、もう1つのバンドの強度と比較した1つのバンドの強度も決定され、比較に使用されることができる。
【0033】
検出されたマーカー配列の検出されたバンドの絶対および相対的な特性が既知のマーカー配列の既知の特性とどれほど良く一致するかに応じて、スコアが与えられる。2つのバンドが互いに場所を変える可能性は極めて低いため、バンドの順序は検出されたマーカー配列と既知のマーカー配列の両方で維持される。しかし、ゲル、ゲル特性およびその他の要因の汚染のために、実際にはマーカー分子に対応しないバンドが検出されること(図2のバンドの周囲の輪で示される)、またはマーカー分子が別々のバンドとして検出されなかったこと(図2のマーカー分子を示す数字の周囲の輪で示される)も起こり得る。そのため、比較を行う場合に、スコアを与える場合にはこのことが考慮される。
【0034】
4番目のステップ104では、最大スコアとの比較が選択される。この比較は、検出されたマーカー配列のどのバンドが既知のマーカー配列のバンドに対応するか、およびそれらのうちのどれがどのマーカー分子に対応するかを示す。一般に、検出されたバンドの一部だけがマーカー分子に対応しているとみなされ、残りは汚染または同様のものである。この一部のバンドは、次に比較に従ってマーカー分子と関連付けられる。
【0035】
5番目のステップ105では、検出された未知の配列のバンドが分析される。それらのバンド特性および特にそれらとマーカー分子と関連付けられたバンドとの間の相対距離に基づいて、これらのバンドに対応する生体分子のサイズを決定することができる。
【0036】
一部の実施形態では、検出されたマーカー配列の同定されたマーカー分子を用いて検量線が作成され、検出された未知の配列の各々のバンドの生体分子のサイズはこの曲線との比較によって同定される。
【0037】
本発明による方法のおかげで、試料を同じレーンまたは異なるレーンに準備することができ、分離基準の使用のおかげでマーカー分子かまたは未知の生体分子のいずれかとして試料をさらに正確に同定することができる。また、さらなるバンドとなる、そうでなければマーカー分子と間違えられていたかもしれない汚染を無視することも可能である。
【0038】
本発明のもう1つの好ましい実施形態による代替法は、図3〜5に開示される。そこでは複数のデータポイントが、1番目のステップ201でレーンから検出され、検出されたレーンプロファイルを作製するために使用され、分離距離の関数としてシグナル強度をプロットする。
【0039】
2番目のステップ202では、人工的なサイズマーカーレーンプロファイルを与える理論データか、または実験に基づくサイズマーカーレーンプロファイルを与える以前に検出されたデータのいずれかに基づいて、以前のレーンプロファイルが作製される。以前のレーンプロファイルは、上で図1〜2を参照して考察された既知のバンド特性と類似している、既知のサイズおよび強度の複数のマーカー分子に対応するデータを含む。
【0040】
3番目のステップ203では、最良のアライメントを見出すためのプロファイルアライメント計算に基づいて、検出されたレーンプロファイルを以前のレーンプロファイルと整列させる。図4は、図の上部に検出されたレーンプロファイルの一例を、そして図の下部に以前のレーンプロファイルと数字を開示する。ゲル中の各種類の分子は検出されたレーンプロファイルに1つのピークを生じたが、図1〜2に開示される以前に記載された方法との違いは、それらが今回はマーカー分子の特性に関するさらなる情報を与えるピーク形状を各々有することである。レーンプロファイルを互いと整列させることによって、このさらなる情報はマーカー分子の同定をさらに改善するために使用される。検出されたレーンプロファイルの上に輪で示されるように、検出されたレーンプロファイルのマーカー分子が無くなっていること、またはマーカー分子のどれとも一致しないさらなるピークが現れることがさらに起こり得るので、このことはプロファイルを整列させる場合に考慮される。
【0041】
プロファイルアライメント計算は、1つのプロファイルをもう1つと比較し、最善の方法でそれらを整列させることのできる任意の適した方法に基づくことができるが、好ましくは、データを処理し、プロファイルを整列させるために、パラメータで表されたシフト、膨張および圧縮に基づく。1つのアライメントを最良のアライメントとして同定するために、ピアソン相関などの相関が使用される。あるいは、プロファイルアライメント計算は、曲線にギャップを生成することにペナルティを導入する動的プログラミングに基づくことができる。
【0042】
図5a−5bは、動的プログラミングを使用してレーンプロファイルを整列させる一例を示す。図5aでは、高いペナルティが使用され、その結果、非常に不十分な曲線の整列となる。一方、図5bでは、低いペナルティが使用され、非常に良好な曲線のあてはめを可能にする。
【0043】
4番目のステップ204では、検出されたレーンプロファイルの複数のマーカー分子のサイズは、検出されたレーンプロファイルと以前のレーンプロファイルとの最良のアライメントに基づいて決定される。従って、最良のアライメントは、マーカー分子の同定を可能にし、その後の他のレーンの未知の生体分子のサイズ決定のサイズ基準を提供する。
【0044】
5番目のステップ205では、もう1つのレーンの未知の生体分子に対応する複数のデータポイントが検出され、6番目のステップ206では、前記未知の生体分子に対応するデータポイントを複数のマーカー分子の決定されたサイズと相関させることによって、未知の生体分子のサイズが決定される。
【0045】
上に記載される方法は、複数の検出されたバンドおよび検出されたレーンプロファイルを作製し、スコア付けおよび整列を実施してマーカー分子を同定するような方法で、同じゲル上で独立に使用されてもよい。次に、結果を比較して図1〜2および図3〜5の方法による分析の質の評価を行う。両方の方法が、互いに独立したマーカー分子の同じ同定をもたらす場合、質が優れていることになり、一方、違いがあれば質の低い分析と解釈されることになる。質が低いと決定される例に関して、手動の評価が必要とされるか、または分析を再度実施するべきであって、異なる結果を生じる可能性があるという信号をオペレータに対して生成することができる。
【0046】
上に開示される方法のいずれかを使用してマーカー分子の同定をさらに容易にするために、2つの色を使用して、隣接するマーカー分子の強度を交互にすることも可能である。従って、2つの別々の組のバンドまたはピークを互いに独立に分析することができる、あるいは、2つの組を組み合わせて各々のマーカー分子の改良された同定のための比を形成することができる。また、各々のマーカー分子を1、2またはそれ以上の色で標識することも分析を容易にし、異なる色のシグナル間の比は、これらのマーカーを同定することを容易にするために使用される。
【0047】
これらの方法のステップは、ハードドライブ、CD−ROM、USBまたは同様のものなどのコンピュータで読取可能な媒体に格納されるソフトウェアを用いて好適に実行される。
【0048】
本方法によるステップは、一部の例では異なる順序で実施されてよく、一部のステップは、添付される特許請求の範囲から逸脱することなく同時に実施することができることに留意されたい。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b