(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2以上の異なる前記本身の厚さに対する前記回転速度係数の第1の補正倍率、および2以上の異なる前記クランパの搬送速度に対する前記回転速度係数の第2の補正倍率の入力を受け得る入力部と、
前記入力部に入力された前記第1の補正倍率に基づき、前記第1の関数に代わる、前記本身の厚さに応じた第1の補正後の前記回転速度係数を算出するための第3の関数を生成するとともに、前記入力部に入力された前記第2の補正倍率に基づき、前記第2の関数に代わる、前記クランパの搬送速度に応じた第2の補正後の前記回転速度係数を算出するための第4の関数を生成する関数生成部と、を備え、
前記ポンプ回転速度設定部が、製本開始前、前記入力部に前記第1および第2の補正倍率が入力されたときは、前記第3の関数を用いて製本すべき前記本身の厚さに応じた前記第1の補正後の回転速度係数を算出するとともに、前記第4の関数を用いて前記クランパの搬送速度設定値に応じた前記第2の補正後の回転速度係数を算出し、当該第1および第2の補正後の回転速度係数と、前記基準回転速度とに基づいて前記ポンプの回転速度設定値を算出するものであることを特徴とする請求項1に記載の製本装置。
【背景技術】
【0002】
無線綴じ製本においては、これまで、EVA(Ethylene Vinyl Acetate)系ホットメルト糊(以下、「EVA糊」という。)を使用するのが一般的であったが、EVA糊は、加熱されると溶融し、冷やされると硬化する、というサイクルを無限に繰り返すので、取り扱いが容易である反面、接着力が劣るという欠点を有していた。
【0003】
そこで、近年では、EVA糊に比べて接着力が格段に強いPUR(Poly Urethane Reactive)系ホットメルト糊(以下、「PUR糊」という。)が注目されているが、PUR糊は、空気中や用紙中の水分と反応して硬化し、一度硬化すると熱を加えても軟化しないという特性を有している。
【0004】
そのため、PUR糊を用いる製本装置においては、このPUR糊の特性に適した糊塗布機構が必要とされる。
すなわち、同一の製本物を大量生産する場合は、EVA糊を用いる製本装置と同様に、ローラ式糊塗布機構が備えられ、クランパに起立状態で挟持された本身が搬送路上を搬送される間に、本身の背に糊塗布ローラによってPUR糊が塗布される。
【0005】
これに対し、多品種の製本物を少量生産する場合には、ローラ式糊塗布機構よりもむしろノズル噴射式糊塗布機構が備えられ、ノズルから糊を本身の背に噴射することでPUR糊の塗布がなされる(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
ノズル噴射式糊塗布機構は、本身の搬送路に向けて開口した糊噴射ノズルと、糊供給源と、糊供給源から糊噴射ノズルに糊を供給するための糊供給管と、糊供給管に設けられたポンプを備えていて、本身がクランパに挟持されて搬送路に沿って搬送される間に、糊噴射ノズルから噴射された糊が本身の背に塗布されるようになっている。
【0007】
ところで、本身の厚さに応じて本身の背に塗布すべき糊の量が変化するので、ノズル噴射式糊塗布機構においては、ポンプの回転速度を変化させて糊噴射ノズルに送る糊の量を制御する必要があるが、糊噴射ノズルに送る糊の量が同じでも、クランパの搬送速度が変化すると、本身の背に塗布される糊の厚さも変化する。
したがって、ポンプの回転速度の制御は、本身の厚さだけでなくクランパの搬送速度も考慮に入れて行わねばならない。
【0008】
また、本身を形成する用紙または折丁の紙質や紙厚等は様々であり、また糊の種類が異なるとその糊質も異なるので、本身の背に塗布すべき糊の厚さは、本身の厚さだけでなく、それらの条件も考慮して決定する必要がある。
さらには、製本物の外観の評価は主観的であってユーザー毎に異なるから、ユーザーの好みに合った製本の仕上がりが得られるように、本身の背に塗布すべき糊の厚さを設定したい場合がある。
【0009】
そのため、通常は、製本の開始前に、ユーザーが、予め実施した製本テストの結果に基づき作成したポンプの回転速度値の表に基づいて、ノズル噴射式糊塗布機構のポンプの回転速度を初期設定している。
しかしながら、この表の作成作業は、本身の厚さ、ポンプの回転速度およびクランパの搬送速度等の組み合わせを様々に変化させながら、実際に製本を行うことでなされ、長時間と多くの労力を要しており、ユーザーにとっては大きな負担となっていた。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の構成を好ましい実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明の1実施例による製本装置の概略構成を示す斜視図である。
図1を参照して、本発明によれば、本身Pを起立状態に挟持し、予め設定された経路1に沿って移動可能に配置された1または2以上(この実施例では、4つ)のクランパ2が備えられる。
【0019】
この実施例では、クランパ2の経路1は、垂直面内において間隔をあけて配置された水平な上側および下側直線状経路部分1a、1bと、上側および下側直線状経路部分1a、1bの端同士を接続する弧状経路部分1c、1dとからなるループ状をなしている。
また、図示はしないが、経路1に沿って適当なガイドが設けられている。そして、クランパ2は、このガイドに対してスライド可能に取り付けられ、ガイドによって案内されつつ経路1に沿って移動し得る。
クランパ2は、公知の適当な駆動機構(図示はしない)によって、経路1に沿って一方向(
図1では反時計回り)に移動するようになっている。
【0020】
本発明によれば、また、下側直線状経路部分1bに沿って、ミリングユニットB、ノズル噴射式糊塗布機構C、横糊ユニットDおよび表紙付けユニットEが配置される。なお、
図1中、Fは、表紙付けユニットEに表紙gを供給する表紙供給ユニットである。
また、下側直線状経路部分1bにおけるミリングユニットBの上流側に本身供給位置Aが設けられる。本身供給位置Aは製本物排出位置も兼ねている。
【0021】
図2は、ノズル噴射式糊塗布機構Cとその制御部の概略構成を示す図である。
図2に示すように、ノズル噴射式糊塗布機構Cは、上向きに下側直線状経路部分1bに向けて開口した糊噴射ノズル3と、PUR糊供給源4と、PUR糊供給源4から糊噴射ノズル3にPUR糊を供給するための糊供給管5と、糊供給管5に設けられて糊噴射ノズル3にPUR糊を送るポンプ6と、糊噴射ノズル3を昇降させ得るノズル高さ調節機構7ととを有している。
【0022】
そして、本身Pが、一対のガイド板8a、8b(
図1参照)によって案内されつつ下側直線状経路部分1b(搬送路)に沿って搬送される間に、糊噴射ノズル3から噴射されたPUR糊kが本身Pの背に塗布されるようになっている。
なお、この実施例では、製本用の糊としてPUR糊が使用されるが、PUR糊以外の糊を使用することもできる。
【0023】
本発明によれば、また、本身Pの厚さとポンプ6の回転速度係数(ポンプ6の所定の基準回転速度を基準としたポンプ6の回転速度の増減率を表す)との関係を規定する第1の関数(この実施例では一次関数である)、およびクランパ2の搬送速度とポンプ6の回転速度係数との関係を規定する第2の関数(この実施例では一次関数である)を用いて、製本すべき本身Pの厚さおよびクランパ2の搬送速度設定値に応じた回転速度係数を算出し、当該回転速度係数および基準回転速度に基づいてポンプ6の回転速度設定値を算出し、回転速度設定値に従ってポンプ6の回転速度を初期設定するポンプ回転速度設定部9が備えられる。
【0024】
このポンプ回転速度設定部9によるポンプ6の回転速度設定値の算出は、具体的には次のようにしてなされる。
この実施例では、回転速度係数は、本身Pの厚さが所定の基準値d
0をとり、かつクランパ2の搬送速度が所定の基準値v
0をとるときのポンプ6の基準回転速度をR
0として、基準回転速度R
0を1としたときのポンプ6の回転速度の増減率として規定される。
そして、ポンプ回転速度設定部9において、第1の関数を用いて、製本すべき本身Pの厚さに応じた第1の回転速度係数K
tが算出され、また、第2の関数を用いて、クランパ2の搬送速度設定値に応じた第2の回転速度係数K
Vが算出される。
次いで、第1および第2の回転速度係数K
tおよびK
Vを用いて、ポンプの回転速度設定値Rが、
R=R
0×K
t×K
V
によって算出される。
【0025】
また、本発明によれば、2以上の異なる本身Pの厚さに対する第1の回転速度係数の補正倍率、および/または2以上の異なるクランパ2の搬送速度に対する第2の回転速度係数の補正倍率の入力を受け得る入力部10と、入力部10に入力された第1の回転速度係数の補正倍率に基づき本身Pの厚さに応じた補正後の第1の回転速度係数を算出するための第3の関数(この実施例では一次関数である)を生成し、および/または入力部10に入力された第2の回転速度係数の補正倍率に基づきクランパ2の搬送速度に応じた補正後の第2の回転速度係数を算出するための第4の関数(この実施例では一次関数である)を生成する関数生成部11が備えられる。
この場合、第1および第2の回転速度係数の補正倍率は百分率(%)で表され、補正なしのとき、補正倍率は100%となる。
【0026】
こうして、例えば、製本開始前、入力部10に第1の回転速度係数の補正倍率および第2の回転速度係数の補正倍率が入力されたときは、関数生成部11によって第3および第4の関数が生成され、ポンプ回転速度設定部6は、製本すべき本身Pの厚さに基づいて第3の関数から補正後の第1の回転速度係数を算出するとともに、クランパ2の搬送速度設定値に基づいて第4の関数から補正後の第2の回転速度係数を算出し、算出した補正後の第1のおよび第2の回転速度係数と基準回転速度とに基づいてポンプ6の回転速度設定値を算出し、算出した回転速度設定値に従ってポンプ6の回転速度を初期設定する。
【0027】
また、例えば、製本開始前、入力部10に第1の回転速度係数の補正倍率のみが入力されたときは、関数生成部11によって第3の関数のみが生成され、ポンプ回転速度設定部9は、製本すべき本身Pの厚さ情報に基づいて第3の関数から補正後の第1の回転速度係数を算出する一方、クランパ2の搬送速度設定値に基づいて第2の関数から第2の回転速度係数を算出し、算出した補正後の第1の回転速度係数と、第2の回転速度係数と、基準回転速度とに基づいてポンプ6の回転速度設定値を算出し、算出した回転速度設定値に従ってポンプ6の回転速度を初期設定する。
【0028】
また、例えば、製本開始前、入力部10に第2の回転速度係数の補正倍率のみが入力されたときは、関数生成部11によって第4の関数のみが生成され、ポンプ回転速度設定部9は、製本すべき本身Pの厚さ情報に基づいて第1の関数から第1の回転速度係数を算出する一方、クランパ2の搬送速度設定値に基づいて第4の関数から補正後の第2の回転速度係数を算出し、算出した第1の回転速度係数と、補正後の第2の回転速度係数と、基準回転速度とに基づいてポンプ6の回転速度設定値を算出し、算出した回転速度設定値に従ってポンプ6の回転速度を初期設定する。
【0029】
この実施例では、さらに、入力部10が2以上の異なる本身Pの厚さに対する糊噴射ノズル3の高さの基準値の入力を受け、関数生成部11は、入力部10に入力された基準値に基づき、本身Pの厚さに応じた糊噴射ノズル3の高さの設定値を算出するための第5の関数(この実施例では一次関数)を生成するようになっている。
また、この実施例では、第5の関数を用いて、製本すべき本身Pの厚さに基づき、糊噴射ノズル3の高さ設定値を算出し、高さ設定値に基づいて糊噴射ノズル3の高さを初期設定する噴射ノズル高さ設定部12が備えられる。
【0030】
ポンプ回転速度設定部9、入力部10、関数生成部11および噴射ノズル高さ設定部12は、製本装置の全体を制御する制御部15に組み込まれている。
制御部15は、ディスプレイ13を備えている。ディスプレイ13は、タッチパネルディスプレイからなっており、入力部10は、このタッチパネルと、ディスプレイ13に併設されたテンキーを有している。
【0031】
図3は、ディスプレイ13に表示される入力画面の一例を示す図である。
図3を参照して、入力画面は、複数段から構成され、上から順に、2つの異なる本身Pの厚さに対する糊噴射ノズル3の高さの基準値が入力される第1の入力欄16と、2つ異なるの本身の厚さに対するポンプ6の第1の回転速度係数の補正倍率が入力される第2の入力欄17と、2つの異なるクランパ2の搬送速度に対するポンプ6の第2の回転速度係数の補正倍率が入力される第3の入力欄18を有している。
【0032】
第1〜第3の入力欄16〜18はそれぞれ2段に分かれている。
そして、第1の入力欄16の上段[本身厚さ基準点]16aの左側の列(A列)に本身Pの第1の厚さ(図示の例では5.0mm)が入力され、右側の列(B列)に本身Pの第2の厚さ(図示の例では40.0mm)が入力される一方、第1の入力欄16の下段[PURノズル高さ]16bの左側の列(A列)に本身Pの第1の厚さに対する糊噴射ノズル3の高さの基準値(図示の例では−0.6mm)が入力され、右側の列(B列)に本身Pの第2の厚さに対する糊噴射ノズル3の高さの基準値(−1.0mm)が入力される。
なお、糊噴射ノズル3の高さに”−”記号を付しているのは、本身Pの背の位置から下向きに測った値であることを意味している。
【0033】
第2の入力欄17の上段[本身厚さ基準点]17aの左側の列(A列)に本身Pの第1の厚さ(図示の例では5.0mm)が入力され、右側の列(B列)に本身Pの第2の厚さ(図示の例では40.0mm)が入力される一方、第2の入力欄の下段[K
t補正倍率]17bの左側の列(A列)に本身Pの第1の厚さに対する第1の回転速度係数の補正倍率(図示の例では120%)が入力され、右側の列(B列)に本身Pの第2の厚さに対する第2の回転速度係数の補正倍率(図示の例では150%)が入力される。
なお、ポンプ6の回転速度が既定値のままでよい場合は、第1の回転速度係数の補正倍率として数値100%が入力される。そして、第2の入力欄の下段[K
t補正倍率]17bのA列およびB列の両方に数値100%が入力された場合は、第1の回転速度係数の補正倍率の入力はなされなかったことになり、製本すべき本身Pの厚さに応じた第1の回転速度係数は第1の関数を用いて算出される。
【0034】
また、第3の入力欄18の上段[クランパ搬送速度基準点]18aの左側の列(A列)にクランパ2の第1の搬送速度(図示の実施例では1000冊/時)が入力され、右側の列(B列)にクランパ2の第2の搬送速度(図示の例では4000冊/時)が入力される一方、第3の入力欄の下段[K
V補正倍率]18bの左側の列(A列)にクランパ2の第1の搬送速度に対する第2の回転速度係数の補正倍率(図示の例では90%)が入力され、右側の列(B列)にクランパ2の第2の搬送速度に対する第2の回転速度係数の補正倍率(図示の例では150%)が入力される。
なお、ポンプ6の回転速度が既定値のままでよい場合は、第2の回転速度係数の補正倍率として数値100%が入力される。そして、第3の入力欄の下段[K
V補正倍率]18bのA列およびB列の両方に数値100%が入力された場合は、第2の回転速度係数の補正倍率の入力はなされなかったことになり、クランパ2の搬送速度設定値に応じた第2の回転速度係数は第2の関数を用いて算出される。
【0035】
画面上の各入力欄16〜18に数値が入力され、入力画面左下に表示されたリターンキー19が押されたとき、それらの数値が入力部10に入力される。
そして、関数生成部11において、入力部10に入力された数値に基づいて第3〜第5の関数が生成される。
【0036】
この実施例では、さらに、
図3に示すように、入力画面の上段に、入力画面領域を切り替えるための切替タブ20(番号”1”〜”3”で示す)が設けられている。そして、切替タブ20の切り替えによって、入力部9に数値の組が複数組(この実施例では3組)入力可能になっている。
また、制御部15はメモリ14を備えており、これら複数組の数値がメモリ14に格納される。
【0037】
そして、入力画面の切替タブ20の選択によって、数値の複数の組のうちの1つの組が選択され、次いで、リターンキー19が押されることによって当該数値の組が入力部9に入力される。入力された1組の数値を用いて、関数生成部11が関数を生成する。
それによって、ユーザーによる入力作業がより容易にかつ短時間で行えるようになる。
【0038】
次に、関数生成部11による関数の生成の詳細を図面を参照しつつ説明する。
図4Aは、第5の関数のグラフを例示した図である。
図4Aのグラフ中、縦軸は糊噴射ノズル3の高さ(mm)を表し、横軸は本身Pの厚さ(mm)を表している。ここで、糊噴射ノズル3の高さに”−”記号を付しているのは、本身Pの背の位置から下向きに測った値であることを意味している。
【0039】
図4Aを参照して、この実施例では、異なる2つの本身Pの厚さ(5mm、40mm)に対する糊噴射ノズル3の高さの基準値(−0.6mm、−1.0mm)が入力部10に入力され(
図3参照)、関数生成部11において、それら2つの本身Pの厚さと対応する糊噴射ノズル3の高さの基準値に基づいて第5の関数が生成される。
第5の関数の生成は、本身Pの厚さをX軸とし、糊噴射ノズル3の高さをY軸とするXY座標系を設定し、点A(5mm、−0.6mm)、点B(40mm、−1.0mm)を通る直線の方程式を導出することによって実行される。
【0040】
図4Bは、第1および第3の関数のグラフを例示した図である。
図4Bのグラフ中、縦軸は第1の回転速度係数K
tを表し、横軸は本身Pの厚さ(mm)を表しており、直線Iは第1の関数であり、直線IIIは第3の関数である。
なお、グラフの縦軸のスケールは、本身Pの厚さが10mmのときのポンプ6の回転速度を基準回転速度R
0として、基準回転速度R
0を1としたときの割合の値である。
【0041】
図4Bを参照して、この実施例では、異なる2つの本身Pの厚さ(10mm、40mm)に対する第1の回転速度係数K
tの補正倍率(120%、150%)が入力部10に入力され(
図3参照)、関数生成部11において、それら2つの本身Pの厚さと対応する第1の回転速度係数K
tの補正倍率とに基づいて第3の関数IIIが生成される。
【0042】
図5は、関数生成部11における第3の関数IIIの生成プロセスを説明するグラフである。
図5のグラフ中、縦軸は第1の回転速度係数K
tを表し、横軸は本身Pの厚さdを表している。
図5を参照して、今、厚さd
1およびd
2のそれぞれに対して補正倍率α
1およびα
2が入力されたものとすると、第1の関数Iは、
【数1】
であるから、
【数2】
となる。
【0043】
よって、第3の関数IIIの傾きaは、
【数3】
となる。
【0044】
第3の関数IIIを
【数4】
とすれば、第3の関数IIIは点(d
1、K
t1=d
1α
1/d
0)を通るから、この点の座標値を(2)式に代入した後、(2)式をbについて解けば、
【数5】
が得られる。
こうして、第3の関数III、
【数6】
が得られる(生成される)。
【0045】
図4Cは、第2および第4の関数のグラフを例示した図である。
図4Cのグラフ中、縦軸は第2の回転速度係数K
Vを表し、横軸はクランパ2の搬送速度(冊/時)を表しており、また、直線IIは第2の関数であり、直線IVは第4の関数である。
なお、グラフの縦軸のスケールは、クランパ2の搬送速度が2000冊/時のときのポンプ6の回転速度を基準回転速度R
0として、基準回転速度R
0を1としたときの割合の値である。
【0046】
図4Cを参照して、この実施例では、異なる2つのクランパ2の搬送速度(1000冊/時、4000冊/時)に対する第2の回転速度係数K
Vの補正倍率(90%、150%)が入力部10に入力され(
図3参照)、関数生成部11において、それら2つのクランパ2の搬送速度と対応する補正倍率とに基づいて第4の関数IVが生成される。第4の関数IVも第3の関数IIIの場合と同様にして生成される。
【0047】
なお、関数生成部11によって生成される第1〜第5の関数はこの実施例に限定されず、一次関数以外の適当な任意の関数であってよい。
【0048】
製本すべき本身Pの厚さの情報は、製本装置に付属する、あるいは製本装置とは別個に備えられた公知の本身厚さ測定ユニット(図示しない)による計測によって得られ、この計測値が制御部15に受信されるようになっている。
また、クランパ2の搬送速度は、製本装置の初期設定時に制御部15に入力されたものが使用される。
【0049】
こうして、本発明の製本装置においては、本身の厚さとポンプの回転速度係数との関係を規定する第1の関数と、クランパの搬送速度とポンプの回転速度係数との関係を規定する第2の関数とを用いて、製本すべき本身の厚さおよびクランパの搬送速度設定値に応じた回転速度係数が算出され、当該回転速度係数および基準回転速度に基づいてポンプの回転速度設定値が算出され、回転速度設定値に従ってポンプの回転速度が自動的に初期設定されるので、ノズル噴射式糊塗布機構の初期設定作業が簡単にかつ短時間で行えるようになり、ユーザーの作業負担が大幅に低減される。
【0050】
また、既定の第1および第2の関数を用いて自動的に設定されるポンプの回転速度ではユーザーの要望が満たされない場合は、ユーザーが、予め入力部10に第1の回転速度係数の補正倍率および/または第2の回転速度係数の補正倍率を入力しておけば、関数生成部11において、本身Pの厚さに応じた補正後の第1の回転速度係数を算出するための第3の関数、および/またはクランパ2の搬送速度に応じた補正後の第2の回転速度係数を算出するための第4の関数とが生成される。
【0051】
そして、製本開始前に、ポンプ回転速度設定部9により、第3の関数を用いて、製本すべき本身Pの厚さに応じた補正後の第1の回転速度係数が算出され、および/または第4の関数を用いて、クランパ2の搬送速度設定値に応じた補正後の第2の回転速度係数が算出され、算出された補正後の第1および/または第2の回転速度係数を用いてポンプ6の回転速度設定値が算出され、この回転速度設定値に従ってポンプの回転速度が自動的に初期設定される。
【0052】
加えて、噴射ノズル高さ設定部12によって、第5の関数を用いて、製本すべき本身Pの厚さに応じた糊噴射ノズル3の高さの設定値が算出され、この高さの設定値に従って、糊噴射ノズル3の高さが初期設定される。
こうして、本発明によれば、ノズル噴射式糊塗布機構Cの初期設定作業が簡単にかつ短時間で行えるようになり、ユーザーの作業負担が大幅に低減される。
【0053】
また、製本開始前に、ノズル噴射式糊塗布機構Cの初期設定と同時に、クランパ2、ミリングユニットB、横糊ユニットD、表紙付けユニットEおよび表紙供給ユニットFについての初期設定がなされる。
【0054】
そして、製本が開始されてクランパ2が本身供給位置Aに到達、停止するたびに、クランパ2が開位置をとり、本身供給ユニット(図示しない)によって、本身Pが、背が下向を向く配置でクランパ2に供給され、次いで、クランパ2が閉位置をとることによって、本身Pがクランパ2に挟持される。
【0055】
その後、クランパ2は本身挿入位置Aを離れてミリングユニットBに向けて移動し、クランパ2に挟持された本身PがミリングユニットB上を通過する間に、本身Pの背面が切削される。次いで、クランパ2に挟持された本身Pは、ノズル噴射式糊塗布機構Cに送られる。
【0056】
クランパ2に挟持された本身Pが、ノズル噴射式糊塗布機構Cの一対のガイド板8a、8bによって案内されつつ糊噴射ノズル3上を通過する間に、糊噴射ノズル3から本身Pの背にPUR糊が所定の厚さで塗布される
ノズル噴射式糊塗布機構Cによる糊付けが終了すると、クランパ2に挟持された本身Pは、横糊ユニットDを経て表紙付けユニットEに送られる。
【0057】
表紙付けユニットEにおいて、本身Pの背に表紙が貼着されて製本物P’が完成する。
その後、製本物P’はクランパ2によって挟持された状態で、弧状経路部分1c、上側直線状経路部分1aおよび弧状経路部分1dを通って本身挿入位置Aに到達、停止する。ここで、クランパ2は開位置をとり、製本物P’が製本物排出ユニットG上に落下し、製本装置の外部に搬送される。
【0058】
以上、本発明の構成を好ましい実施例に基づいて説明したが、本発明の構成は上記実施例に限定されるものではなく、本願に添付の特許請求の範囲に記載した構成の範囲内で任意の変形例を案出することができる。
例えば、上記実施例では、初期設定時に、製本すべき本身Pの厚さおよびクランパ2の搬送速度設定値に応じてポンプ6の回転速度が調節されるとともに、製本すべき本身Pの厚さに応じて糊噴射ノズル3の高さが調節されるようになっているが、その代わりに、初期設定時に、本身Pの厚さのみに応じてポンプ6の回転速度のみが調節されるようになっていてもよい。
【0059】
この場合には、入力部10はポンプ6の第1の回転速度係数の補正倍率の入力のみを受け、関数生成部11は第3の関数のみを生成し、ポンプ回転速度設定部9は、製本開始前、入力部10に第1の回転速度係数の補正倍率が入力されたときは、製本すべき本身Pの厚さに基づいて第3の関数から補正後の第1の回転速度係数を算出し、基準回転速度および補正後の第1の回転速度係数に基づいてポンプ6の回転速度設定値を算出し、算出した回転速度設定値に従ってポンプ6の回転速度を初期設定する。
【0060】
あるいは、初期設定時に、クランパ2の搬送速度のみに応じてポンプ6の回転速度のみが調節されるようになっていてもよい。
この場合には、入力部10はポンプ6の第2の回転速度係数の補正倍率の入力のみを受け、関数生成部11は第4の関数のみを生成し、ポンプ回転速度設定部12は、製本開始前、入力部10に第2の回転速度係数の補正倍率が入力されたときは、クランパ2の搬送速度設定値に基づいて第4の関数から補正後の第2の回転速度係数を算出し、基準回転速度および補正後の第2の回転速度係数に基づいてポンプ6の回転速度設定値を算出し、算出した回転速度設定値を用いてポンプ6の回転速度を初期設定する。
【0061】
また、例えば、上記実施例では、初期設定時に製本すべき本身Pの厚さに応じて糊噴射ノズル3の高さが調節される構成となっているが、この構成は必要に応じて備えられればよい。
【0062】
また、上記実施例において、ポンプ6の回転速度が、製本すべき本身Pの厚さおよびクランパ2の搬送速度設定に加えて、糊噴射ノズル3の高さの設定値に応じて初期設定されるような構成とすることもできる。
この構成では、ポンプ回転速度設定部9が、第1の関数を用いて製本すべき本身Pの厚さに応じた第1の回転速度係数を算出し、およびクランパ2の搬送速度設定値に応じた第2の回転速度係数を算出するだけでなく、糊噴射ノズル3の高さと、ポンプ6の上記の基準回転速度を基準回転速度を基準とした回転速度の増減率を表す第3の回転速度係数との関係を規定する第6の関数を用いて、糊噴射ノズル3の高さの設定値に応じた第3の回転速度係数も算出し、算出した第1〜第3の回転速度係数とポンプ6の基準回転速度とに基づきポンプ6の回転速度設定値を算出し、回転速度設定値に従ってポンプ6の回転速度を初期設定する。
【0063】
また、この構成では、入力部10が、2つの異なる本身Pの厚さに対する第1の回転速度係数の補正倍率、および2つの異なるクランパ2の搬送速度に対する第2の回転速度係数の補正倍率、および2つの異なる糊噴射ノズル3の高さに対する第3の回転速度係数の補正倍率の入力を受け得る。
また、関数生成部11は、第3および第4の関数だけでなく、第3の回転速度係数の補正倍率に基づき糊噴射ノズル3の高さに応じた補正後の第3の回転速度係数を算出するための第7の関数も生成する。
【0064】
図6は、第6および第7の関数のグラフを例示した図である。
図6のグラフ中、縦軸は第3の回転速度係数K
hを表し、横軸は糊噴射ノズル3の高さ(mm)を表しており、直線VIは第6の関数であり、直線VIIは第7の関数である。
なお、グラフの縦軸のスケールは、糊噴射ノズル3の高さが−0.5mmのときのポンプ6の回転速度を基準回転速度R
0として、基準回転速度R
0を1としたときの割合の値である。
【0065】
さらに、この構成では、ポンプ回転速度設定部9は、製本開始前、入力部10に第1〜第3の回転速度係数の補正倍率が入力されたときは、製本すべき本身Pの厚さに基づいて第3の関数から補正後の第1の回転速度係数を算出し、およびクランパ2の搬送速度設定値に基づいて第4の関数から補正後の第2の回転速度係数を算出し、および糊噴射ノズル3の高さの設定値に基づいて第7の関数から補正後の第3の回転速度係数を算出し、算出した補正後の第1〜第3の回転速度係数と基準回転速度とに基づいてポンプ6の回転速度設定値を算出し、算出した回転速度設定値に従ってポンプ6の回転速度を初期設定する。