(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態の半導体実装装置について説明する。なお、半導体実装装置は、単に「実装装置」と言うこともできる。
【0014】
図1は、本実施形態の半導体実装装置10の全体構成を示す概略図であり、
図2は、本実施形態の半導体実装装置10の制御構成を示すブロック図である。半導体実装装置10は、半導体素子である複数のチップ部品30a,30b,30cを、同時に基板36上の所定位置に加圧および加熱することで基板36に実装するものであり、マルチチップボンディング装置である。本実施形態では、チップ部品30a,30b,30cの下面に、接着剤である熱硬化性樹脂からなる非導電性フィルム(NCF)が貼り付けられている。半導体実装装置10は、各チップ部品30a,30b,30cを加圧および加熱することで、NCFを硬化させて各チップ部品30a,30b,30cを基板36に接着し、各チップ部品30a,30b,30cに設けられたバンプ32(
図3参照)と基板36に形成されたパッド38(
図8参照)とを接合する。それにより、各チップ部品30a,30b,30cを基板36に固定する。
【0015】
半導体実装装置10は、チップ部品30a,30b,30cを1つずつ搬送する搬送ヘッド14と、搬送ヘッド14により搬送されたチップ部品30a,30b,30c(複数のチップ部品)が載置される仮置きステージ12と、回路基板である基板36を吸着固定する実装ステージ16と、仮置きステージ12に載置された複数のチップ部品30a,30b,30cを実装ステージ16にある基板36上に運び、基板36に同時に固定する実装ヘッド18と、制御装置90(
図2参照)とを備える。実装ヘッド18により同時に固定される複数のチップ部品30a,30b,30cは、その組合せが予め定められており、1つのチップ部品組34を構成する。
【0016】
搬送ヘッド14は、下面に、配管とバルブ21(
図2参照)を介して吸引ポンプ70(
図2参照)に接続される吸着孔が設けられ、駆動装置22(
図2参照)によって左右方向(
図1のX軸方向)、前後方向(
図1のY軸方向)、上下方向(
図1のZ軸方向)に移動して不図示のトレイ等に収められたチップ部品30a,30b,30cを1つずつ吸着し、仮置きステージ12に順次搬送し、載置するものである。それにより、仮置きステージ12には、チップ部品30a,30b,30cがチップ部品組34として載置される。その際、チップ部品組34を構成する各チップ部品30a,30b,30cが所定の相対位置となるように、各チップ部品30a,30b,30cは仮置きステージ12に載置される。ここで、所定の相対位置とは、チップ部品組34を構成する各チップ部品30a,30b,30cが基板36に固定される際の相対位置である。
【0017】
搬送ヘッド14は、位置検出用カメラ24を備える。位置検出用カメラ24は、チップ部品組34を仮置きステージ12に載置する際に用いられ、仮置きステージ12と仮置きステージ12に載置済みのチップ部品を撮像するものである。
【0018】
仮置きステージ12は、チップ部品組34を構成する各チップ部品30a,30b,30cが吸着位置決めされるステージである。仮置きステージ12は、その上面を形成する第1の多孔質部材である多孔質部材40と、冷却装置44(
図3参照)とを備える。多孔質部材40は、その上面に一様に吸引孔41(
図4参照)を有する平板状の部材であり、例えばセラミックスである。多孔質部材40の下面は、配管とバルブ42を介して吸引ポンプ70(
図2参照)に接続されており、バルブ42を開とすることで、多孔質部材40の吸引孔41を通って空気が吸引され、多孔質部材40の上面に各チップ部品30a,30b,30cが真空吸着される。冷却装置44(
図3参照)は、多孔質部材40の下側に設けられ、多孔質部材40の上面を冷却するものである。その詳細については後述する。
【0019】
実装ステージ16は、基板36を保持するステージである。実装ステージ16は内部にヒータ64(
図8参照)を備える。実装ステージ16の上面には複数の吸引孔が設けられており、それらの吸引孔は配管とバルブ62を介して吸引ポンプ70(
図2参照)に接続されている。バルブ62が開とされると実装ステージ16の上面の上にある空気は下側に向かって吸引され、実装ステージ16の上面に基板36が吸着固定される。ヒータ64は、実装ヘッド18により各チップ部品30a,30b,30cを基板36に固定する際にオンになり、各チップ部品30a,30b,30cと基板36を下側から加熱するものである。ヒータ64の加熱により、各チップ部品30の下面に貼り付けられたNCFの硬化、および、各チップ部品30に設けられたバンプ32と基板36に形成されたパッド38との接合が促される。
【0020】
実装ヘッド18は、仮置きステージ12に載置された複数のチップ部品30a,30b,30cをチップ部品組34として同時に吸着して、実装ステージ16にある基板36上に搬送し、基板36の所定位置に同時に加圧および加熱して固定するものである。実装ヘッド18は、駆動装置48(
図2参照)によって左右方向(
図1のX軸方向)、前後方向(
図1のY軸方向)、上下方向(
図1のZ軸方向)に移動する。
【0021】
実装ヘッド18は、その下面(吸着面)を形成する第2の多孔質部材である多孔質部材50と、ヒータ54(
図8参照)と、位置検出用カメラ49とを備える。多孔質部材50は、その下面に一様に吸引孔51(
図6参照)を有する平板状の部材であり、例えばセラミックスである。多孔質部材50の上面は、配管とバルブ52を介して吸引ポンプ70に接続されており、バルブ52を開とすることにより多孔質部材50の吸引孔51を通って空気が吸引され、多孔質部材50の下面にチップ部品30a,30b,30cがチップ部品組34として真空吸着される。ヒータ54は、チップ部品組34を基板36に固定する際にオンになり、チップ部品組34を上側から加熱するものである。それにより、チップ部品組34を構成する各チップ部品30a,30b,30cの下面に設けられたNCFを硬化させて各チップ部品30を基板36に接着し、各チップ部品30に設けられたバンプ32と基板36に形成されたパッド38とを接合する。
【0022】
位置検出用カメラ49は、チップ部品組34を基板36に固定する際に用いられ、基板36上に形成された各パッド38(
図8参照)を撮像するものである。
【0023】
制御装置90(
図2参照)は、搬送ヘッド14、仮置きステージ12、実装ステージ16、実装ヘッド18、搬送ヘッド14の駆動装置22、実装ヘッド18の駆動装置48、各バルブ21,42,52,62、位置検出用カメラ24,49、冷却装置44、ヒータ54,64および吸引ポンプ70を制御するものである。制御装置90は、CPU等のプロセッサを含み、記憶部92に予め格納されている制御プログラムを実行することによって各装置を制御する。
【0024】
図1に示すように、搬送ヘッド14は、チップ部品30a,30b,30cが収められたトレイ等(不図示)と仮置きステージ12との間を移動可能に配置される。また、実装ヘッド18は、仮置きステージ12と実装ステージ16との間を移動可能に配置される。
【0025】
次に、本実施形態の半導体実装装置10の動作の概略について説明する。以下の動作は、制御装置90の指令によって実行される。制御装置90は、搬送ヘッド14のバルブ21を開として駆動装置22によって搬送ヘッド14にチップ部品30aを吸着させて仮置きステージ12の上に搬送する(
図1参照)。そして、
図3に示すように、制御装置90は、搬送ヘッド14のバルブ21を閉とすると共に、仮置きステージ12のバルブ42を開としてチップ部品30aを仮置きステージ12の多孔質部材40の上面に載置する。多孔質部材40の上面に載置されたチップ部品30aは、多孔質部材40の上に真空吸着される。
【0026】
次に、制御装置90は、同様の工程で、チップ部品30b,30cを仮置きステージ12の多孔質部材40の上面に真空吸着させる。この際、制御装置90は、位置検出用カメラ24によってチップ部品30aの位置を確認し、チップ部品30bのチップ部品30aに対する相対位置が基板36に固定される際の相対位置となるように駆動装置22によって搬送ヘッド14の位置を調整し、仮置きステージ12の多孔質部材40の上面にチップ部品30bを真空吸着させる。また、同様に、チップ部品30cを、チップ部品30a、30bに対する相対位置が基板36に固定される際の相対位置となるように仮置きステージ12の多孔質部材40の上面に真空吸着させる。これにより、仮置きステージ12の多孔質部材40の上面には、チップ部品組34を構成する各チップ部品30a,30b,30cが基板36に固定される際の相対位置で真空吸着される。
【0027】
次に、
図5に示すように、制御装置90は、駆動装置48によって実装ヘッド18を、仮置きステージ12の上に移動させ、仮置きステージ12の上面に向かって降下させる。そして、制御装置90は、実装ヘッド18の多孔質部材50がチップ部品30a,30b,30cに接したら、実装ヘッド18のバルブ52を開とすると共に仮置きステージ12のバルブ42を閉として、
図7に示すように、チップ部品30a,30b,30cを多孔質部材50の下面にチップ部品組34として吸着してピックアップさせる。これにより、実装ヘッド18の多孔質部材50には、チップ部品組34を構成する各チップ部品30a,30b,30cが基板36に固定される際の相対位置で同時に真空吸着される。
【0028】
図8に示すように、制御装置90は、駆動装置48によって実装ヘッド18を実装ステージ16の上に移動させる。そして、制御装置90は、実装ヘッド18のヒータ54をオンとしてチップ部品30a,30b,30cを加熱し、位置検出用カメラ49で基板36上のパッド38の位置を確認しながら、実装ヘッド18を実装ステージ16にある基板36の所定の位置に降下させていく。この際、制御装置90は、実装ステージ16のヒータ64をオンとして実装ステージ16を加熱している。
【0029】
図9に示すように、制御装置90は、実装ヘッド18に吸着されたチップ部品30a,30b,30cを、基板36上の所定位置に同時に加圧および加熱することで、基板36に固定する。具体的には、各チップ部品30a,30b,30cの下面に貼り付けられたNCF33を硬化させて各チップ部品30a,30b,30cを基板36に接着し、各チップ部品30a,30b,30cに設けられたバンプ32と基板36に形成されたパッド38とを接合する。制御装置90は、以上説明した動作を繰り返すことで、複数のチップ部品組34を基板36に実装していく。
【0030】
本実施形態の半導体実装装置10は、基板36を保持するステージが1つであり、基板36にチップ部品を実装するヘッドが1つであるため、装置構成が非常に簡素であり、装置が非常に小型であるという特徴を有している。さらに、本実施形態の半導体実装装置10は、実装ヘッド18がチップ部品組34を基板36に固定している間に、搬送ヘッド14が次のチップ部品組34を構成する各チップ部品30a,30b,30cを仮置きステージ12に搬送することが可能(並行処理が可能)であり、生産性も非常に高いものである。
【0031】
次に、本実施形態の半導体実装装置10について、さらに詳細に説明する。制御装置90の記憶部92には、チップ部品組34がチップ部品をどのように組み合わせて構成されているかを示す「チップ部品組の構成情報」と、チップ部品組34を構成する各チップ部品30a,30b,30cの相対位置(基板36に固定する際の相対位置)を示す「チップ部品組の相対位置情報」と、チップ部品組34の基板36上の固定位置を示す「チップ部品組の固定位置情報」とが予め記憶されている。チップ部品組34の相対位置情報は、例えば、チップ部品組34における、一のチップ部品(例えば、チップ部品30a)の他のチップ部品(例えば、チップ部品30b)に対する方向と離間距離とを示す情報である。制御装置90は、記憶部92からそれらを読み出して、各装置の制御を行う。
【0032】
図1に示すように、搬送ヘッド14は、チップ部品組34を構成する各チップ部品30a,30b,30cを1つずつ仮置きステージ12に順次載置する。その際、制御装置90は、記憶部92から、「チップ部品組の構成情報」と、「チップ部品組の相対位置情報」とを読み出す。また、制御装置90は、搬送ヘッド14の位置検出用カメラ24を用いて、仮置きステージ12を撮像し、その位置を特定する。そして、制御装置90は、「チップ部品組の構成情報」、「チップ部品組の相対位置情報」、及び、特定された仮置きステージ12の位置を用いて、チップ部品組34の1つ目のチップ部品30aを仮置きステージ12に置く位置を決定する。具体的には、チップ部品組34の他のチップ部品30b,30cを仮置きステージ12に載置できるスペースを考慮して、1つ目のチップ部品30aを置く位置を決定する。そして、制御装置90は、搬送ヘッド14および搬送ヘッド14の駆動装置22を制御して、決定された位置に1つ目のチップ部品30aを置く。次に、搬送ヘッド14の位置検出用カメラ24を用いて、すでに仮置きステージ12に載置されたチップ部品30aを撮像し、その位置を特定する。そして、制御装置90は、「チップ部品組の構成情報」、「チップ部品組の相対位置情報」、及び、特定された載置済みのチップ部品30aの位置を用いて、次のチップ部品30bを仮置きステージ12に置く位置を決定する。そして、制御装置90は、搬送ヘッド14および搬送ヘッド14の駆動装置22を制御して、決定された位置に次のチップ部品30bを置く。このようにして、チップ部品組34の各チップ部品30a,30b,30cを仮置きステージ12に載置していく。なお、上記の方法は一例であり、上記以外の方法によって、チップ部品組34の各チップ部品30a,30b,30cが仮置きステージ12に載置されてもよい。
【0033】
図3は、各チップ部品30a,30b,30cが仮置きステージ12に載置されている様子を示す側面図である。
図3には、チップ部品30a,30bのみが図示されている。
図3に示すように、チップ部品30a,30b,30cの下面にはそれぞれバンプ32が設けられている。また、各チップ部品30a,30b,30cの下面には接着剤であるNCF33が貼り付けられている。各チップ部品30a,30b,30cは、NCF33が貼り付けられている側を下側にして、仮置きステージ12に載置される。制御装置90により、仮置きステージ12のバルブ42が開にされており、載置された各チップ部品30a,30b,30cは仮置きステージ12の多孔質部材40の上面に吸着される。
【0034】
図4は、仮置きステージ12の多孔質部材40の断面と1つのチップ部品30a(30b,30c)の側面とを示す図である。
図4に示すように、多孔質部材40の上面にある吸引孔41の間隔HL1は、仮置きステージ12に吸着され得るチップ部品30a(30b,30c)の一辺の長さCLよりも短い間隔となっている。これにより、チップ部品組34を構成するチップ部品30a,30b,30cの組み合わせが変更になったり、チップ部品組34の各チップ部品30a,30b,30cの相対位置が変更になったりした場合であっても、各チップ部品30a,30b,30cを仮置きステージ12に吸着可能である。
【0035】
図5は、実装ヘッド18が仮置きステージ12の各チップ部品30a,30b,30cの上面にある様子を示す側面図である。
図5には、チップ部品30a,30bのみが図示されている。制御装置90は、実装ヘッド18の駆動装置48を制御して、実装ヘッド18を、仮置きステージ12にある各チップ部品30a,30b,30cの上面にまで移動させ、実装ヘッド18のバルブ52を開にする。それにより、実装ヘッド18の吸着面(多孔質部材50の下面)に各チップ部品30a,30b,30cを吸着させる。そして制御装置90は仮置きステージ12のバルブ42を閉として仮置きステージ12の吸着力をゼロとする。そして、実装ヘッド18を上側に移動させ、各チップ部品30a,30b,30cをピックアップする。
【0036】
図5に示すように、仮置きステージ12には冷却装置44が設けられている。冷却装置44は、例えば、多孔質部材40の下側に一様に配管されたパイプを有し、その中に冷媒を循環させることで多孔質部材40を冷却するものである。冷却装置44を設ける理由は、次の理由によるものである。
図5に示すように、実装ヘッド18はヒータ54を有し、ヒータ54は、実装ステージ16において各チップ部品30a,30b,30cを基板36に固定する際にオンになる。ヒータ54は、実装ヘッド18が仮置きステージ12にある各チップ部品30a,30b,30cを吸着する際にはオフになるが、実装ヘッド18の下面には予熱が残っている可能性がある。その場合、実装ヘッド18が仮置きステージ12にある各チップ部品30a,30b,30cを吸着する際に、実装ヘッド18の予熱が各チップ部品30a,30b,30cに伝わり、各チップ部品30a,30b,30cのNCFが軟化して仮置きステージ12の上面に付着する可能性がある。そこで、仮置きステージ12に冷却装置44を設けて、仮置きステージ12の上面(多孔質部材40の上面)を冷却することで、各チップ部品30a,30b,30cのNCFが軟化することを防止する。なお、実装ヘッド18の下面に予熱が残らない場合には、冷却装置44を設け無くてもよい。また、冷却装置44を設けることに代えて、仮置きステージ12に各チップ部品30a,30b,30cが載置されていない時であっても、制御装置90が仮置きステージ12のバルブ42を開とすることで、多孔質部材40の吸引孔41を通して空気を吸引し、多孔質部材40の上面を冷却するようにしてもよい。
【0037】
図6は、実装ヘッド18の多孔質部材50の断面と1つのチップ部品30a(30b,30c)の側面とを示す図である。
図6に示すように、仮置きステージ12の多孔質部材40と同様に、実装ヘッド18の多孔質部材50の下面にある吸引孔51の間隔HL2は、実装ヘッド18に吸着され得るチップ部品30a(30b,30c)の一辺の長さCLよりも短い間隔となっている。これにより、仮置きステージ12と同様に、チップ部品組34を構成するチップ部品30a,30b,30cの組み合わせが変更になったり、チップ部品組34の各チップ部品30a,30b,30cの相対位置が変更になった場合であっても、各チップ部品30a,30b,30cを実装ヘッド18に吸着可能である。
【0038】
図7は、実装ヘッド18によりチップ部品組34(各チップ部品30a,30b,30c)がピックアップされている様子を示す側面図である。
図7には、チップ部品30a,30bのみが図示されている。制御装置90は、実装ヘッド18の下面(吸着面)に各チップ部品30a,30b,30cを吸着した状態で、実装ヘッド18の駆動装置48を制御して、実装ヘッド18を実装ステージ16に向かって移動させる。そして、制御装置90は、記憶部92から「チップ部品組の固定位置情報」を読み出し、それに従って、実装ステージ16にある基板36上のチップ部品組34の固定位置の上まで実装ヘッド18を移動させる。
【0039】
図8は、チップ部品組34(各チップ部品30a,30b,30c)を吸着した実装ヘッド18が、実装ステージ16にある基板36の上に位置している様子を示す側面図である。
図8には、チップ部品30a,30bのみが図示されている。制御装置90は、実装ヘッド18に設けられた位置検出用カメラ49を用いて、実装ヘッド18に吸着された各チップ部品30a,30b,30cの各バンプ32が接合される基板36上の各パッド38を撮像する。この際、制御装置90は、位置検出用カメラ49の下に基板36に形成されたパッド38が来るように、実装ヘッド18の位置を調整する。そして、制御装置90は、撮像した各パッド38からそれらの位置を特定し、各チップ部品30a,30b,30cの各バンプ32の位置と基板36上の各パッド38の位置とが合うように、実装ヘッド18の位置を調整する。なお、実装ヘッド18に位置検出用カメラ49を設けずに、或いは、位置検出用カメラ49を設けると共に、上下二視野カメラを設けて、各チップ部品30a,30b,30cの各バンプ32と基板36上の各パッド38との位置合わせを行ってもよい。すなわち、
図8に示す状態において、チップ部品30a,30b,30cと基板36との間に上下二視野カメラを挿入して、各チップ部品30a,30b,30cの各バンプ32と、基板36上の各パッド38とを撮像し、それらの位置を特定することで位置合わせを行ってもよい。
【0040】
位置合わせが完了したら、制御装置90は、実装ヘッド18の駆動装置48を制御して、実装ヘッド18を降下させ、チップ部品組34を構成する各チップ部品30a,30b,30cを相対位置を保ったまま基板36に加圧する。また、制御装置90は、実装ヘッド18のヒータ54と、実装ステージ16のヒータ64とをオンにし、チップ部品組34を構成する各チップ部品30a,30b,30cを加熱する。
図9は、実装ヘッド18により各チップ部品30a,30b,30cを基板36に加圧および加熱している様子を示す側面図である。実装ヘッド18は各チップ部品30a,30b,30cを吸着したまま、各チップ部品30a,30b,30cを基板36に加圧するので、各チップ部品30a,30b,30cの基板36上における位置ずれを抑制することができる。加圧および加熱により、NCF33が硬化して各チップ部品30a,30b,30cが基板36に接着され、各チップ部品30a,30b,30cの各バンプ32と基板36上の各パッド38とが接合される。
【0041】
以上説明した本実施形態の半導体実装装置10は、基板36を保持するステージが1つであり、基板36に各チップ部品30a,30b,30cを実装するヘッドが1つであるため、装置構成が簡素であり、装置を小型化することができる。また、実装ヘッド18が、例えば数十秒かけてチップ部品組34を基板36に固定している間に、搬送ヘッド14が次のチップ部品組34を相対位置決めして仮置きステージ12に準備しておくことができるので、生産性も高い。半導体実装装置10が設置されるクリーンルームは、単位面積あたりの維持費用が高額であり、単位面積あたりの生産性を高めることが強く望まれている。本実施形態の半導体実装装置10は、その要求に応えるものである。
【0042】
また、従来技術(特許文献1)では、回路基板の全面に仮圧着した複数のチップ部品をいくつかのブロック毎に加圧、加熱して本圧着している。このため、一つのブロックのチップ部品を加熱している際に、隣接する本圧着していないチップ部品のNCF(キュアリング前のNCF)の温度が変質開始温度、例えば、150℃程度まで上昇し、本圧着する前にNCFが変質してしまい、本圧着に不具合が生じてしまうという問題があった。一方、本実施形態の半導体実装装置10は、チップ部品組34を実装してNCFのキュアリングが終了した後に、次のチップ部品組34を実装するようにしているので、キュアリング前のNCFが変質開始温度まで上昇することがない。なお、NCFはキュアリング終了後であれば、変質開始温度まで温度が上昇しても変質してしまうことが無いので、隣接するチップ部品組34を実装する際にすでに実装の終了したチップ部品組34のNCFに影響が及ぶことがない。このように、本実施形態の半導体実装装置10では、キュアリング前のNCFが変質開始温度以上になってしまうことを抑制しつつ、短時間で多くのチップ部品組34を基板36に実装することができる。
【0043】
以上説明した本実施形態の半導体実装装置10は、フリップチップボンディング装置であった。しかし、半導体実装装置10はダイボンディング装置であっても良い。この場合には、反転していないチップ部品を搬送ヘッド14が搬送して、仮置きステージ12に載置する。また、この場合には、実装ヘッド18及び実装ステージ16にヒータ54,64が設けられていなくてもよく、加圧のみでチップ部品組34を基板36に固定してもよい。例えば、基板36上の各チップ部品30a,30b,30cを固定する位置に予め接着剤を塗布しておき、実装ヘッド18が各チップ部品30a,30b,30cをそれらの位置に加圧することで基板36に固定してもよい。
【0044】
また、以上説明した本実施形態の半導体実装装置10は、仮置きステージ12に1つのチップ部品組34を載置するとしたが、複数のチップ部品組34を載置するようにしてもよい。
【0045】
また、以上説明した本実施形態の半導体実装装置10は、チップ部品組34が3個のチップ部品30a,30b,30cによって構成されていた。しかし、その他の数のチップ部品によってチップ部品組34が構成されていても当然によい。例えば、用意できる仮置きステージ12の広さに応じて、チップ部品組34を構成するチップ部品の数を決めてもよい。また、実装ヘッド18が1つのチップ部品組34を固定するために要する時間と、搬送ヘッド14が1つのチップ部品組34を仮置きステージ12に搬送するために要する時間とが同じになるように、その数を決めてもよい。この場合、搬送ヘッド14と実装ヘッド18とのアイドル時間が無くなるため、生産性を著しく高くすることが可能である。