(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
インクジェットヘッドに対して基板を相対的に移動させながら、形成すべき膜のパターンを定義するパターンデータに基づいて、前記インクジェットヘッドから前記基板に向けて液滴を吐出させて前記基板に膜を形成する膜形成方法であって、
前記インクジェットヘッドと前記基板との相対的な移動方向は、前記パターンデータで定義された液滴を塗布するパターンの間隔の最小寸法の方向に対して直交する膜形成方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1〜
図4を参照して、実施例による膜形成方法及び膜形成装置について説明する。
【0010】
図1に、実施例による膜成形装置の概略図を示す。基台20に移動機構21を介して支持部23が支持されている。支持部23の上面(支持面)に基板50が支持される。移動機構21は、支持部23を支持面に平行な2次元方向に移動させることにより、基板50を2次元方向に移動させることができる。通常、支持部23の支持面は水平に保たれる。支持面に平行な2方向をx軸、y軸とするxyz直交座標系を定義する。
【0011】
支持部23に支持された基板50の上方にインクジェットヘッド25が配置されている。インクジェットヘッド25は、門型フレーム24により基台20に支持されている。インクジェットヘッド25は、複数のヘッドブロック26を含む。複数のヘッドブロック26は、共通の支持部材28に取り付けられている。ヘッドブロック26の各々に複数のノズル孔が設けられている。ノズル孔から基板50に向けて膜材料の液滴が吐出される。
【0012】
基板50に付着した液状の膜材料が硬化されることにより膜が形成される。膜材料として、光硬化性の樹脂、熱硬化性の樹脂等を用いることができる。インクジェットヘッド25の側方に、基板50に付着した膜材料を硬化させる光源または熱源が配置されている。
【0013】
制御装置30が移動機構21による支持部23の移動、及びインクジェットヘッド25のノズル孔からの膜材料の吐出を制御する。制御装置30は記憶装置31を含み、記憶装置31に、形成すべき膜のパターンデータが格納されている。制御装置30がパターンデータに基づいて移動機構21及びインクジェットヘッド25を制御することにより、基板50に所望のパターンの膜を形成することができる。
【0014】
入力装置35から制御装置30に、種々のコマンドやデータが入力される。入力装置35には、例えばキーボード、ポインティングデバイス、USBポート、通信装置等が用いられる。出力装置36に、膜形成装置の動作に関する種々の情報が出力される。出力装置36には、例えば液晶ディスプレイ、スピーカ、USBポート、通信装置等が用いられる。
【0015】
図2に、形成すべき膜の一例として、タッチパネルの透明電極をパターニングするときにエッチングマスクとして用いられるレジスト膜53を示す。透明電極は、ITO等からなる透明導電膜を、レジスト膜53をエッチングマスクとしてエッチングすることにより形成される。
図2において、レジストが塗布されている領域にドットパターンが付されている。
【0016】
複数のパッド部51が行列状に配置されており、接続部52が複数のパッド部51を列方向に接続する。
図1で定義したxyz直交座標系において、行方向がx方向に対応し、列方向がy方向に対応する。x方向に隣り合うパッド部51の間隔Gが、パターンの最小寸法となる。この最小寸法の方向はx方向であり、その大きさは、例えば30μm程度である。
【0017】
パターン中の最小寸法を与える一対のエッジ54を形成するための液滴の着弾位置がx方向にずれると、x方向に隣り合うパッド部51が繋がってしまう。本来離間しているべき2つのパッド部51が繋がってしまうと、タッチパネルが正常に動作しなくなる。ところが、液滴の着弾位置がy方向にずれても、x方向に離間した2つのパッド部51が繋がってしまうことはない。従って、パターン中の最小寸法を与える一対のエッジ54を形成する液滴の、x方向に関する位置精度を、y方向に関する位置精度より高くすることが好ましい。
【0018】
次に、
図3A及び
図3Bを参照して、x方向及びy方向に関する液滴の着弾位置精度について説明する。
【0019】
図3Aに、液滴の着弾目標位置、及び着弾位置のばらつきを示す。着弾目標位置55を実線で表し、ばらついた複数の着弾位置を破線で表す。膜材料の塗布時は、基板50(
図1)をy方向に移動させながら、インクジェットヘッド25の所定のノズル孔から膜材料の液滴を吐出させる。液滴の着弾位置がばらつく要因として、ノズル孔からの吐出方向のばらつき、基板50の移動速度のばらつき、ノズル孔からの吐出タイミングのばらつき、液滴の吐出速度のばらつき等が考えられる。
【0020】
これらのばらつき要因のうちノズル孔からの吐出方向のばらつきは、x方向及びy方向の両方向に関する位置のばらつきの要因になる。他の3つのばらつき要因は、y方向に関する位置のばらつきの要因になるが、x方向に関する位置のばらつきの要因にはならない。このため、x方向に関するばらつきの最大幅Dxは、y方向に関するばらつきの最大幅Dyより小さい。
【0021】
図3Bに、基板50(
図1)をy方向に移動させながら帯状の膜を形成した場合の膜の形状の一例を示す。インクジェットヘッド25に、x方向に等間隔で並ぶ複数のノズル孔27が設けられている。液滴の着弾位置のx方向に関するばらつきがy方向に関するばらつきより小さいため、y方向に長い帯状の膜56の両側の縁は、x方向に長い帯状の膜57の両側の縁よりも高い直線度を有し、膜56の幅のばらつき(x方向の位置のばらつき)は、膜57の幅のばらつき(y方向の位置のばらつき)より小さい。
【0022】
次に、
図4を参照して、タッチパネル用の透明電極を形成するためのレジスト膜の形成方法について説明する。
【0023】
図4に、形成すべきレジスト膜53とインクジェットヘッド25との位置関係を示す。レジスト膜53の最小寸法の方向がx方向に一致するように、パターンデータが作成されている。レジスト膜53の一対のエッジ54によって最小寸法が与えられる。このパターンデータに基づいて、制御装置30(
図1)が移動機構21を制御して基板50(
図1)をy方向に移動させながら、インクジェットヘッド25の各ノズル孔27から膜材料の液滴を吐出させる。基板50のy方向への1回の移動(以下、走査という)で基板50の全域にレジスト膜53の全体を形成できない場合には、基板50をx方向にずらして2回目以降の走査を行うことにより、レジスト膜53の全体を形成することができる。
【0024】
次に、
図1〜
図4に示した実施例の優れた効果について説明する。
【0025】
基板50を、形成すべき膜のパターンの最小寸法の方向(x方向)に対して直交する方向(y方向)に移動させながら膜を形成するときのエッジ54(
図4)の方向と基板50の移動の方向との関係は、
図3Bの膜56のエッジの方向と基板の移動方向との関係と同一である。このため、
図3A及び
図3Bを参照して説明したように、パターン中の最小寸法を与える一対のエッジ54(
図4)の、x方向の位置のばらつきを小さくすることができるとともに、エッジ54の直線度を高めことができる。これにより、最小寸法の部分を挟んでx方向に隣り合う2つのパッド部51が相互に連続してしまうことを抑制することができる。
【0026】
さらに、上記実施例では、
図1に示したように、インクジェットヘッド25を基台20に対して静止させ、支持部23をy方向に移動させながら膜を形成している。インクジェットヘッド25を基台20に対して移動させると、インクジェットヘッド25の移動に起因して、その姿勢にわずかの変動が生じる。インクジェットヘッド25の姿勢の変動は、液滴の吐出方向を変動させるため、着弾位置の位置精度のばらつきの要因になる。上記実施例では、膜形成時にインクジェットヘッド25を基台20に対して静止させているため、インクジェットヘッド25の姿勢の変動に起因する着弾位置のばらつきを低減することができる。
【0027】
上記実施例では、インクジェット印刷技術を用いてレジスト膜を形成したが、その他の膜を形成することも可能である。また、上記実施例では、レジストが塗布された領域の間隙によって最小寸法が与えられたが、レジストが塗布された領域によって最小寸法が与えられてもよい。例えば、レジストからなる細線の幅が最小寸法となるような膜を形成することも可能である。この場合には、実施例による方法を適用することにより、細線における断線の発生を抑制することができる。
【0028】
上記実施例では、インクジェットヘッド25を静止させ、膜形成時に基板50を移動させたが、その逆に、基板50を静止させ、インクジェットヘッド25を移動させてもよい。なお、この場合には、インクジェットヘッド25の姿勢の変動に起因する着弾位置のばらつきが発生する場合があるが、形成すべき膜のパターンの最小寸法の方向(x方向)に対して直交する方向(y方向)に、基板50とインクジェットヘッド25とを相対的に移動させることによる位置のばらつきを抑制する効果は得られる。
【0029】
次に、
図5を参照して他の実施例について説明する。以下、
図1〜
図4に示した実施例との相違点について説明し、共通の構成については説明を省略する。
【0030】
図5に、本実施例による膜形成装置のインクジェットヘッド25の配置と、形成すべきレジスト膜53との位置関係を示す。レジスト膜53のパターンは、
図2、
図4に示した実施例におけるレジスト膜53のパターンと同一である。本実施例においては、インクジェットヘッド25に、レジスト膜53の最小寸法の方向(x方向)に対して直交する方向(y方向)に並ぶ複数のノズル孔27yが設けられている。その他に、
図4に示した実施例と同様に、x方向に等間隔で並ぶ複数のノズル孔27xが設けられている。y方向に並ぶ複数のノズル孔27yは2列に並んでおり、各列の複数のノズル孔27yはx座標が同一の位置に配置されている。
【0031】
例えば、ヘッドブロック26の各々に1列に並ぶ複数のノズル孔27が設けられている。2つのヘッドブロック26が、ノズル孔27の配列方向がy方向と平行になる姿勢で配置されている。これにより、2列分のノズル孔27yが実現される。複数のヘッドブロック26を、ノズル孔27の配列方向がx方向と平行になる姿勢で配置することにより、複数のノズル孔27xが実現される。
【0032】
2列のノズル孔27yのx方向の間隔は、レジスト膜53の最小寸法に対応する。ここで、「対応する」とは、ノズル孔27yのx方向の間隔が最小寸法に等しいという意味ではなく、一方の列のノズル孔27yから吐出された液滴により形成される膜のエッジと、他方の列のノズル孔27yから吐出された液滴により形成される膜のエッジとの間隔が最小寸法に等しくなることを意味する。
【0033】
制御装置30(
図1)は、インクジェットヘッド25及び移動機構21(
図1)を制御して、複数のノズル孔27yの一部のノズル孔27yから吐出された液滴によって、レジスト膜53中の最小寸法を与える一対のエッジ54を形成する。エッジ54以外の部分は、ノズル孔27xから吐出された液滴により形成される。
【0034】
図5に示した実施例では、複数のノズル孔27yの1つが故障しても、同一の列内の他のノズル孔27yを用いて最小寸法を与えるエッジ54を形成することができる。これにより、エッジ形成用のヘッドブロック26の交換頻度を少なくすることができる。
【0035】
図5に示した実施例では、y方向に並ぶ複数のノズル孔27yを2列構成にしたが、1列構成にしてもよい。この場合には、1回目の走査で一方のエッジ54を形成し、2回目の走査で他方のエッジ54を形成すればよい。
【0036】
次に、
図6を参照してさらに他の実施例について説明する。以下、
図1〜
図4に示した実施例との相違点について説明し、共通の構成については説明を省略する。
【0037】
図6に、本実施例による膜形成装置のインクジェットヘッド25の配置と、形成すべきレジスト膜53との位置関係を示す。インクジェットヘッド25は、最小寸法の方向(x方向)と平行な方向に並ぶ複数のノズル孔27を有する。レジスト膜53のパターン中の最小寸法を与える一対のエッジ54を形成するための液滴を吐出するノズル孔27のピッチを第1のピッチP1とする。複数のノズル孔27の列は、第1のピッチP1より短い第2のピッチP2で並ぶ部分と、第1のピッチP1が確保された部分とを含む。第1のピッチP1で並ぶ2つのノズル孔27の間には、他のノズル孔が配置されていない。
【0038】
例えば、第2のピッチP2で並ぶノズル孔27は、複数のヘッドブロック26の各々に設けられている。1つのヘッドブロック26の端(
図6において右端)のノズル孔27と、他のヘッドブロック26の端(
図6において左端)のノズル孔27とのピッチが第1のピッチP1になるように、2つのヘッドブロック26が位置決めされている。
【0039】
制御装置30(
図1)は、第1のピッチP1が確保された2つのノズル孔27から吐出させた液滴でレジスト膜53内の最小寸法を与える一対のエッジ54が形成されるように、インクジェットヘッド25及び移動機構21(
図1)を制御する。
【0040】
図6に示した実施例においては、最小寸法を与えるエッジ54の間にノズル孔27が配置されていない。このため、ノズル孔27の誤作動等によってエッジ54の間に液滴が着弾してしまうことを防止することができる。これにより、レジスト膜53の離隔すべき箇所が連続してしまう不具合の発生を抑制することができる。
【0041】
次に、
図7A〜
図8Bを参照してさらに他の実施例について説明する。以下、
図1〜
図4に示した実施例との相違点について説明し、共通の構成については説明を省略する。
【0042】
図7Aに、本実施例による膜形成装置のインクジェットヘッド25と形成すべきレジスト膜53との位置関係を示す。レジスト膜53の破線で示した領域は、レジストがまだ塗布されていない領域であることを示している。2つのヘッドブロック26がy方向に並んで配置されている。ヘッドブロック26の各々には、x方向に等間隔で並ぶ複数のノズル孔27が設けられている。一方のヘッドブロック26は、他方のヘッドブロック26に対して、ノズル孔27のピッチの半分だけx方向にずれて固定されている。このため、インクジェットヘッド25全体として、ノズル孔27のx方向のピッチが、1つのヘッドブロック26のノズル孔27のピッチの半分に狭められている。
【0043】
図7Bに示すように、基板50(
図1)を最小寸法の方向(x方向)と直交する方向(y方向)に移動させながら、レジスト膜53を形成する。
図7Bにおいて、レジストが塗布された領域にドットパターンが付されている。レジスト膜53中の最小寸法を与える一方のエッジ54は、一方のヘッドブロック26の1つのノズル孔27から吐出された液滴により形成される。
【0044】
図8Aに示すように、基板50(
図1)を最小寸法の方向(x方向)にずらす。これにより、1回目の走査でレジストを塗布していない領域に、インクジェットヘッド25から吐出された液滴を塗布することが可能な状態になる。
【0045】
図8Bに示すように、基板50(
図1)を最小寸法の方向(x方向)と直交する方向(y方向)に移動させながら、レジスト膜53を形成する。この走査により、レジスト膜53中の最小寸法を与える一対のエッジ54のうち、
図7Bの工程で形成されていない方のエッジ54が形成される。このとき、エッジ54を形成する液滴を吐出するヘッドブロック26は、
図7Bの工程でもう一方のエッジ54を形成する液滴を吐出したヘッドブロック26と同一のものである。
【0046】
一対のエッジ54を、異なるヘッドブロック26から吐出された液滴で形成すると、その位置精度がヘッドブロック26の支持部材28(
図1)への取り付け精度の影響を受けてしまう。
図7A〜
図8Bに示した実施例では、一対のエッジ54が同一のヘッドブロック26から吐出された液滴で形成されるため、一対のエッジ54の相対的位置精度がヘッドブロック26の取り付け位置公差の影響を受けない。これにより、一対のエッジ54の相対的な位置精度の低下を抑制することができる。
【0047】
図7A〜
図8Bに示した例では、最小寸法を与える一対のエッジ54を、2回の走査で形成した。1つのヘッドブロック26のノズル孔27のピッチが、最小寸法を与える一対のエッジ54の間隔に対応している場合、1回の走査で、一対のエッジ54を形成してもよい。
【0048】
次に、
図9A〜
図10Bを参照してさらに他の実施例について説明する。以下、
図7A〜
図8Bに示した実施例との相違点について説明し、共通の構成については説明を省略する。
【0049】
図9Aに、本実施例による膜形成装置のインクジェットヘッド25と形成すべきレジスト膜53との位置関係を示す。レジスト膜53の破線で示した領域は、レジストがまだ塗布されていない領域であることを示している。インクジェットヘッド25に、x方向に等間隔で並ぶ複数のノズル孔27が設けられている。
【0050】
図9Bに示すように、基板50(
図1)を最小寸法の方向(x方向)と直交する方向(y方向)に移動させながら、レジスト膜53を形成する。
図9Bにおいて、レジストが塗布された領域にドットパターンが付されている。レジスト膜53中の最小寸法を与える一方のエッジ54は、インクジェットヘッド25の1つのノズル孔27Aから吐出された液滴により形成される。
【0051】
図10Aに示すように、基板50(
図1)を最小寸法の方向(x方向)に、最小寸法に対応する距離だけずらす。これにより、1回目の走査で形成されなかった方のエッジ54を、ノズル孔27Aから吐出された液滴により形成することが可能な状態になる。
【0052】
図10Bに示すように、基板50(
図1)を最小寸法の方向(x方向)と直交する方向(y方向)に移動させながら、レジスト膜53を形成する。この走査により、レジスト膜53中の最小寸法を与える一対のエッジ54のうち、
図9Bの工程で形成されていない方のエッジ54が形成される。エッジ54を形成する液滴を吐出するノズル孔27Aは、
図9Bの工程で一方のエッジ54を形成する液滴を吐出したノズル孔27Aと同一のものである。
【0053】
図9A〜
図10Bに示した実施例では、エッジ54の位置が、ノズル孔27ごとの液滴の吐出方向のばらつきの影響を受けない。このため、一対のエッジ54の相対的位置関係のばらつきをより少なくすることができる。
【0054】
次に、
図11〜
図13Bを参照してさらに他の実施例について説明する。以下、
図1〜
図4に示した実施例との相違点について説明し、共通の構成については説明を省略する。本実施例では、移動機構21(
図1)が、基板50を支持面の面内方向(支持面に対して垂直な軸を中心とした回転方向)に回転させる機能を有する。
【0055】
図11に、形成すべき膜60のパターンを示す。
図1〜
図4に示した実施例では、レジスト膜53の最小寸法の方向がx方向の1方向のみであった。本実施例においては、行列状に配置された複数の孤立パターンの行方向(x方向)の間隔G及び列方向(y方向)の間隔Gが等しく、間隔Gがパターンの最小寸法である。すなわち、最小寸法の方向が、x方向及びy方向の2方向になる。
【0056】
図12Aに、本実施例による膜形成装置のインクジェットヘッド25と形成すべき膜60との位置関係を示す。膜60の破線で示した領域は、膜材料がまだ塗布されていない領域であることを示している。インクジェットヘッド25に、x方向に等間隔で並ぶ複数のノズル孔27が設けられている。
【0057】
図12Bに示すように、基板50(
図1)を一方の最小寸法の方向(x方向)と直交する方向(y方向)に移動させながら、膜60の一部を形成する。
図12Bにおいて、膜材料が塗布された領域にドットパターンが付されている。x方向の最小寸法を与える一対のエッジ61を含む領域に膜材料が塗布される。y方向の最小寸法を与える一対のエッジ62を含む領域には、膜材料が塗布されない。
【0058】
図13Aに示すように、制御装置30(
図1)が移動機構21を制御して、基板50を90°回転させる。これにより、既に形成されているエッジ61がy方向の最小寸法を与えることになり、未形成のエッジ62がx方向の最小寸法を与えることになる。
【0059】
図13Bに示すように、基板50(
図1)を未形成のエッジ62で与えられる最小寸法の方向(x方向)と直交する方向(y方向)に移動させながら、膜60を形成する。この走査により、膜60のパターン中の最小寸法を与える一対のエッジ62を含む領域に膜材料が塗布される。
【0060】
図11〜
図13Bに示した実施例においては、相互に直交する方向の最小寸法を与えるエッジのいずれも、共に最小寸法の方向に対して直交する方向に基板を走査するときに形成される。このため、いずれのエッジにおいても、直線度を高め、かつ一対のエッジの相対位置精度を高めることができる。
【0061】
次に、
図14A〜
図15Aを参照してさらに他の実施例について説明する。以下、
図11〜
図13Bに示した実施例との相違点について説明し、共通の構成については説明を省略する。
【0062】
図14Aに、本実施例による膜形成装置のインクジェットヘッド25と形成すべき膜60との位置関係を示す。膜60の破線で示した領域は、膜材料がまだ塗布されていない領域であることを示している。インクジェットヘッド25は、x方向に等間隔で並ぶ複数のノズル孔27が設けられたヘッドブロック26と、y方向に等間隔で並ぶ複数のノズル孔27が設けられた他のヘッドブロック26とを含む。
【0063】
図14Bに示すように、基板50(
図1)を一方の最小寸法の方向(x方向)と直交する方向(y方向)に移動させながら、膜60の一部を形成する。
図14Bにおいて、膜材料が塗布された領域にドットパターンが付されている。x方向の最小寸法を与える一対のエッジ61を含む領域に、x方向に並ぶノズル孔27を有するヘッドブロック26から吐出された膜材料が塗布される。
【0064】
図15Aに示すように、基板50(
図1)を他方の最小寸法の方向(y方向)と直交する方向(x方向)に移動させながら、
図14Bの工程で膜材料が塗布されなかった領域に膜材料を塗布し、膜60を完成させる。
図15Aおいて、膜材料が塗布された領域にドットパターンが付されている。この走査により、y方向の最小寸法を与える一対のエッジ62が形成される。
【0065】
本実施例においても、
図11〜
図13Bに示した実施例と同様に、相互に直交する方向の最小寸法を与えるエッジのいずれも、共に最小寸法の方向に対して直交する方向に基板を走査するときに形成される。このため、いずれのエッジにおいても、直線度を高め、かつ一対のエッジの相対位置精度を高めることができる。
【0066】
次に、
図16A及び
図16Bを参照してさらに他の実施例について説明する。以下、
図1〜
図4に示した実施例との相違点について説明し、共通の構成については説明を省略する。
【0067】
図16Aに、本実施例による膜形成装置の概略図を示す。フレキシブル基板70が、繰り出しロール71から巻取りロール72に送られる。移動機構73が制御装置30によって制御されることにより、繰り出しロール71及び巻取りロール72を回転させる。繰り出しロール71から繰り出されて巻取りロール72に巻き取られる間のフレキシブル基板70の上方にインクジェットヘッド25が配置されている。インクジェットヘッド25の構成は、
図1〜
図4に示した実施例のインクジェットヘッド25の構成と同一である。
【0068】
フレキシブル基板70の送り方向が、
図1〜
図4の実施例における基板50の走査方向(y方向)に対応し、フレキシブル基板70の幅方向が、
図1〜
図4の実施例におけるx方向に対応する。フレキシブル基板70をy方向に送りながら、インクジェットヘッド25から膜材料の液滴を吐出させることにより、フレキシブル基板70に膜を形成することができる。
【0069】
図16Bに、フレキシブル基板70に形成される膜75のパターンの一例を示す。膜75のパターンの最小寸法の方向が幅方向(x方向)とされている。制御装置30(
図16A)が、フレキシブル基板70の送り速度及びインクジェットヘッド25からの膜材料の吐出を制御する。
【0070】
本実施例においても、
図1〜
図4に示した実施例と同様に、インクジェットヘッド25とフレキシブル基板70との相対的な移動方向は、形成すべき膜のパターンの最小寸法の方向に対して直交する。このため、
図1〜
図4に示した実施例と同様の効果が得られる。
【0071】
次に、
図17を参照してさらに他の実施例について説明する。以下、
図1〜
図4に示した実施例との相違点について説明し、共通の構成については説明を省略する。
【0072】
図17に、本実施例による膜形成装置の制御装置30が実行する手順のフローチャートを示す。まず、入力装置35(
図1)から入力されるパターンデータを記憶装置31(
図1)に格納する(ステップS1)。入力されたパターンデータで定義されるパターンの最小寸法の方向を検出する(ステップS2)。最小寸法の方向と、膜形成時の基板の移動方向とを比較する(ステップS3)。膜形成時の基板の移動方向は、予め制御装置30に記憶されている。
【0073】
両者が直交の関係である場合には、膜形成を実行する(ステップS4)。両者が直交の関係でない場合、制御装置30は出力装置36(
図1)に、パターンデータの最小寸法の方向が最適な方向からずれていることを通知する情報を出力する(ステップS5)。
【0074】
オペレータは、出力装置36に出力された情報を見て、パターンデータの最小寸法の方向が最適な方向からずれていることを知ることができる。オペレータは、最小寸法の方向を回転させるようにパターンデータを修正する。修正されたパターンデータを、再度、入力装置35から入力する。これにより、最小寸法を与えるパターン中のエッジの相対位置精度の低下を抑制することができる。
【0075】
出力装置に出力する情報に、現在のパターンデータで定義されているパターンの最小寸法の方向を出力するようにしてもよい。また、最小寸法の方向と、膜形成時の基板の移動方向とが直交の関係にない場合、両者が直交の関係になるように、パターンデータを自動修正するようにしてもよい。
【0076】
上述の各実施例は例示であり、異なる実施例で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。複数の実施例の同様の構成による同様の作用効果については実施例ごとには逐次言及しない。さらに、本発明は上述の実施例に制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。