(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記端部領域において前記表面領域の縁部に沿う部分の少なくとも一部について、前記表面領域における前記縁部の近傍の色が前記縁部を越えて前記端部領域内に繋がるように着色をすることで、前記表面領域の色に合わせて着色した状態で形成する請求項1から4のいずれかに記載の造形物の製造方法。
前記端部領域において前記表面領域の縁部に沿う部分の少なくとも一部について、前記表面領域における前記縁部の近傍の色と同じ色彩で、かつ、前記近傍の色よりも薄い色で着色をすることで、前記表面領域の色に合わせて着色した状態で形成する請求項1から4のいずれかに記載の造形物の製造方法。
前記オブジェクトを構成する前記パーツの識別に用いる識別情報が表示された前記造形物を造形することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の造形物の製造方法。
前記パーツのハンドリング時に使用する部位であるハンドリング部を有する前記造形物を造形することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の造形物の製造方法。
前記オブジェクトが組み立てられた状態で他の前記パーツと係合する係合部を有する前記造形物を造形することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の造形物の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクジェットヘッドを用いて積層造形法で造形物を造形する場合、大きなオブジェクトとなる造形物を造形するためには、通常、大きな造形装置を用いることが必要になる。しかし、大きな造形装置は、大きな設置スペースを要するため、設置可能な環境が限定されることになる。また、装置のコストが大きく増大するおそれもある。
【0005】
この点に関し、本願の発明者は、大きなオブジェクトをそのまま造形するのではなく、複数のパーツに分割して造形を行うことを検討した。この場合、例えば、それぞれのパーツとなる造形物を造形装置で造形した後、パーツを組み合わせることでオブジェクトを作成する。しかし、実際のオブジェクトの作成等を行って確認したところ、パーツの境界部分が目立ってしまい、オブジェクトの見た目に影響が生じる場合があることを見出した。そのため、複数のパーツを組み合わせてオブジェクト等を作成する場合、より適切な方法でオブジェクトを作成することが望まれる。そこで、本発明は、上記の課題を解決できる造形物の製造方法、オブジェクトの製造方法、及び造形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の発明者は、インクジェットヘッドを用いて製造した造形物をパーツとして用い、複数のパーツを組み合わせてオブジェクトを作成する方法に関し、鋭意研究を行った。そして、パーツの境界部分が目立つ理由に関し、オブジェクトの内部の色の影響が大きいことを見出した。より具体的に、インクジェットヘッドを用いて造形物を造形する場合において、着色された造形物を造形するためには、例えば、着色用の材料であるカラーインクを用いて、造形物の表面に着色領域を形成する。また、この場合、着色領域を介して造形物の外部から入射する光を反射するために、白色のインク等の光反射性の材料を用いて、着色領域の内側に光反射性の領域を形成する。
【0007】
そして、この場合において、例えばオブジェクトを単純に複数のパーツに分割すると、パーツの境界となる切断面を構成するパーツの端部領域において、光反射性の領域が露出することになる。また、その結果、オブジェクトが組み立てられた状態でのパーツ間のわずかな隙間から光反射性の領域の色が見える場合がある。また、その結果、パーツの境界部分が目立ってしまい、オブジェクトの見た目に影響が生じる場合がある。
【0008】
これに対し、本願の発明者は、更なる鋭意研究により、オブジェクトを単純に複数のパーツに分割するのではなく、パーツに端部領域にも着色を施すことを考えた。また、より具体的に、パーツとして用いる造形物において、組み立て後にオブジェクトの表面を構成することになる部分の着色領域である表面領域の縁部に沿って、端部領域の少なくとも一部に対して着色を行うことを考えた。このように構成した場合、例えば、パーツ間の隙間からオブジェクトの内部が見えたとしても、光反射性の領域の色の影響を適切に抑えることができる。また、これにより、例えば、パーツの境界部分が目立つことを適切に防ぐことができる。
【0009】
また、更なる鋭意研究により、このような効果を得るために必要な特徴を見出し、本発明に至った。上記の課題を解決するために、本発明は、複数のパーツを組み合わせることで組み立てられる立体的なオブジェクトを作成する場合に前記パーツとして用いられる造形物を製造する造形物の製造方法であって、造形の材料となるインクを吐出するインクジェットヘッドを用いて、前記インクの層を積層することで前記造形物を造形し、前記造形物は、前記オブジェクトが組み立てられた状態で前記オブジェクトの表面の一部を構成する表面領域と、前記オブジェクトが組み立てられた状態において前記表面領域の縁部から前記オブジェクトの内部に入り込む領域であり、前記オブジェクトが組み立てられた状態で前記オブジェクトの内部において他の前記パーツ側の端部の領域になる端部領域と、前記表面領域及び前記端部領域以外の部分であり、前記オブジェクトが組み立てられた状態で前記オブジェクトの内部の一部を構成する
内部領域とを備え、前記表面領域の少なくとも一部について、着色用のインクを用いて着色した状態で形成し、前記
内部領域の少なくとも一部について、光反射性のインクを用いて光反射性の領域になるように形成し、前記端部領域において前記表面領域の縁部に沿う
部分について、着色用のインクを用いて着色した状態で形成することを特徴とする。
【0010】
このように構成した場合、例えば、オブジェクトが組み立てられた状態でパーツ間の隙間からオブジェクトの内部が見えたとしても、光反射性の領域の色の影響を適切に抑えることができる。また、これにより、例えば、パーツの境界部分が目立つことを適切に防ぐことができる。そのため、このように構成すれば、例えば、複数のパーツを組み合わせてオブジェクト等を作成する場合において、より適切な方法でオブジェクトを作成することができる。
【0011】
ここで、この構成において、パーツとは、例えば、オブジェクトの一部を構成する部品のことである。また、オブジェクトは、例えば、上記のように造形された複数の造形物を組み合わせることで作成される。また、表面領域は、例えば、一定の厚みでオブジェクトの表面の形状に沿うように着色用の材料を用いて形成される着色部を含む領域である。この場合、一定の厚みで形成されるとは、例えば、造形の精度に応じて実質的に一定の厚みに形成されることである。また、実質的に一定の厚みに形成されるとは、例えば、基準の厚さに対して所定の変動分を考慮した予め設定された一定の範囲内の厚みで形成されることである。
【0012】
また、この構成において、端部領域については、例えば、他のパーツとの境界を構成する領域等と考えることもできる。この場合、他のパーツとの境界を構成する領域とは、造形物において、他のパーツ側の面の少なくとも一部を含む領域のことである。また、この場合、端部領域は、他のパーツと接触していてもよく、接触していなくてもよい。また、この場合、端部領域について、着色した状態で形成するとは、例えば、単に着色された表面領域を形成するのみの場合と比べてより多くの部分が着色された状態になるように形成することである。より具体的に、この場合、端部領域について、例えば、少なくとも、表面領域における着色部の厚みよりも大きな幅で表面領域の縁部に沿う部分を着色した状態で形成することが考えられる。このように構成すれば、例えば、端部領域をより適切に着色することができる。また、端部領域の着色については、例えば、表面領域の着色に用いるのと同じ着色用のインクを用いて着色をすることが考えられる。また、端部領域について、表面領域の着色に用いるのとは別の着色用のインク(例えば、特色のインク等)を用いてもよい。
【0013】
また、端部領域については、例えば、その少なくとも一部について、例えばオブジェクトの表面と直交するように形成すること等が考えられる。この場合、オブジェクトの表面と直交するとは、例えば、表面領域の縁部において表面領域と直交することである。この場合、端部領域の表面において表面領域と直交する部分のうち、少なくとも、表面領域の縁部に沿う部分について、着色した状態で形成することが好ましい。このように構成すれば、例えば、パーツの境界部分が目立つことをより適切に防ぐことができる。
【0014】
また、端部領域については、例えば、その少なくとも一部について、オブジェクトの表面と斜めに交差するように形成することも考えられる。この場合、斜めに交差するとは、例えば、直角以外の角度で交差することである。また、オブジェクトの表面と斜めに交差するとは、例えば、表面領域の縁部において表面領域と斜めに交差することである。また、端部領域と表面領域とが斜めに交差する場合、端部領域の表面の向きについて、交差する角度によって、オブジェクトの外側を向く場合と、内側を向く場合とが考えられる。そして、この場合、端部領域の表面のうち、少なくとも、オブジェクトの外側を向く面において表面領域の縁部に沿う部分について、着色した状態で形成することが好ましい。このように構成すれば、例えば、パーツの境界部分が目立つことをより適切に防ぐことができる。
【0015】
また、この構成において、光反射性のインクとしては、白色のインク等を用いることが考えられる。そして、この場合、端部領域において表面領域の縁部に沿う部分の少なくとも一部について、白色のインクで形成されている領域の外側が着色されるように形成することが考えられる。また、端部領域における縁部に沿う部分の少なくとも一部については、例えば、表面領域の色に合わせて着色をすることが好ましい。この場合、表面領域の色に合わせて着色をするとは、例えば、表面領域における縁部の近傍と同じ色又は同系統の色で着色をすることである。この場合、表面領域における縁部の近傍の色について、縁部を越えて端部領域内へ引き延ばすように端部領域を着色すること等が考えられる。より具体的に、この場合、端部領域において表面領域の縁部に沿う部分の少なくとも一部について、着色領域における縁部の近傍の色が縁部を越えて端部領域内に繋がるように着色をすること等が考えられる。このように構成すれば、端部領域について、より自然な印象で適切に着色できる。
【0016】
また、オブジェクトが組み立てられた状態において、端部領域は、通常、オブジェクトの内側に隠れる。そして、この場合、端部領域の色について、同じ条件で着色を行った場合の表面領域の色よりも暗い印象又は色が濃い印象になることが考えられる。そのため、端部領域の色については、このような見え方の印象を考慮して、表面領域よりも薄い色で着色を行うこと等も考えられる。より具体的に、この場合、端部領域において表面領域の縁部に沿う部分の少なくとも一部について、着色領域における縁部の近傍の色と同じ色彩で、かつ、この近傍の色よりも薄い色で着色をすること等が考えられる。このように構成すれば、例えば、端部領域に対し、表面領域の色に合わせた着色をより適切に行うことができる。また、端部領域における縁部に沿う部分の少なくとも一部については、必ずしも表面領域の色に合わせて着色をするのではなく、表面領域の色から独立して選択した色等で着色を行うこと等も考えられる。このような場合も、例えば白色等の光反射性の領域の色がそのまま見える場合と比べ、パーツの境界部分が目立つことを適切に防ぐことができる。また、この場合、例えば、オブジェクトの表面側からパーツ間の隙間が見えた場合により暗く見える色で端部領域を着色すること等が考えられる。
【0017】
また、オブジェクトのパーツとして用いる造形物については、パーツの用途により適した構成で造形することが好ましい。より具体的に、この場合、オブジェクトを構成するパーツの識別に用いる識別情報が表示された造形物を造形すること等が考えられる。この場合、識別情報については、例えば、端部領域又は
内部領域の表面等に、着色用のインクを用いて文字や数字を示すように形成すること等が考えられる。また、例えば端部領域又は
内部領域の表面等に凹凸を形成することで、形状により識別情報を示すこと等も考えられる。
【0018】
また、オブジェクトのパーツとして用いる造形物については、例えば、ハンドリング時に使用する部位であるハンドリング部を有する形状で造形すること等も考えられる。この場合、ハンドリング部として、取手や穴等を形成することが考えられる。このように構成すれば、例えば、オブジェクトの組み立て時等に、各パーツをより容易に取り扱うことができる。また、オブジェクトのパーツとして用いる造形物については、オブジェクトが組み立てられた状態で他のパーツと係合する係合部を有する形状で造形すること等も考えられる。この場合、係合部としては、例えば、他のパーツの係合部と係合するフック状の部分等を形成することが考えられる。このように構成すれば、例えば、オブジェクトの組み立てをより容易かつ適切に行うことができる。
【0019】
また、本発明の構成として、上記と同様の特徴を有するオブジェクトの製造方法や造形装置等を用いることも考えられる。この場合も、例えば、上記と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、例えば、複数のパーツを組み合わせてオブジェクト等を作成する場合において、より適切な方法でオブジェクトを作成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る造形物の製造方法を実行する造形装置10の一例を示す。
図1(a)は、造形装置10の要部の構成の一例を示す。
図1(b)は、造形装置10におけるヘッド部12の構成の一例を示す。
【0023】
尚、以下に説明をする点を除き、造形装置10は、公知の造形装置と同一又は同様の特徴を有してよい。より具体的に、以下に説明をする点を除き、造形装置10は、例えば、インクジェットヘッドを用いて造形物50の材料となる液滴を吐出することで造形を行う公知の造形装置と同一又は同様の特徴を有してよい。また、造形装置10は、図示した構成以外にも、例えば、造形物50の造形や着色等に必要な各種構成を更に備えてよい。
【0024】
本例において、造形装置10は、積層造形法により立体的な造形物50を造形する造形装置(3Dプリンタ)である。この場合、積層造形法とは、例えば、複数の層を重ねて造形物50を造形する方法である。造形物50とは、例えば、立体的な三次元構造物のことである。また、造形装置10は、複数のパーツを組み合わせることで組み立てられる立体的なオブジェクトを作成する場合にパーツとして用いられる造形物50の造形を行う。パーツとして用いる造形物50と、オブジェクトとの関係等については、
図1(c)等を用いて、後に更に詳しく説明をする。
【0025】
また、本例において、造形装置10は、ヘッド部12、造形台14、走査駆動部16、及び制御部20を備える。ヘッド部12は、造形物50の材料を吐出する部分である。また、本例において、造形物50の材料としては、インクを用いる。この場合、インクとは、例えば、インクジェットヘッドから吐出する液体のことである。インクジェットヘッドとは、例えば、インクジェット方式でインクの液滴を吐出する吐出ヘッドのことである。また、より具体的に、ヘッド部12は、造形物50の材料として、複数のインクジェットヘッドから、所定の条件に応じて硬化するインクを吐出する。そして、着弾後のインクを硬化させることにより、造形物50を構成する各層を重ねて形成する。また、本例では、インクとして、紫外線の照射により液体状態から硬化する紫外線硬化型インク(UVインク)を用いる。
【0026】
また、ヘッド部12は、造形物50の材料に加え、サポート層52の材料を更に吐出する。これにより、ヘッド部12は、造形物50の周囲に、必要に応じて、サポート層52を形成する。サポート層52とは、例えば、造形中の造形物50の外周を囲むことで造形物50を支持する積層構造物のことである。サポート層52は、造形物50の造形時において、必要に応じて形成され、造形の完了後に除去される。
【0027】
造形台14は、造形中の造形物50を支持する台状部材であり、ヘッド部12におけるインクジェットヘッドと対向する位置に配設され、造形中の造形物50を上面に載置する。また、本例において、造形台14は、少なくとも上面が積層方向(図中のZ方向)へ移動可能な構成を有しており、走査駆動部16に駆動されることにより、造形物50の造形の進行に合わせて、少なくとも上面を移動させる。この場合、積層方向とは、例えば、積層造形法において造形の材料が積層される方向のことである。また、より具体的に、本例において、積層方向は、主走査方向(図中のY方向)及び副走査方向(図中のX方向)と直交する方向である。
【0028】
走査駆動部16は、造形中の造形物50に対して相対的に移動する走査動作をヘッド部12に行わせる駆動部である。この場合、造形中の造形物50に対して相対的に移動するとは、例えば、造形台14に対して相対的に移動することである。また、ヘッド部12に走査動作を行わせるとは、例えば、ヘッド部12が有するインクジェットヘッドに走査動作を行わせることである。また、本例において、走査駆動部16は、主走査動作(Y走査)、副走査動作(X走査)、及び積層方向走査(Z走査)をヘッド部12に行わせる。
【0029】
主走査動作とは、例えば、造形中の造形物50に対して相対的に主走査方向へ移動しつつインクを吐出する動作のことである。本例において、走査駆動部16は、主走査方向における造形台14の位置を固定して、ヘッド部12の側を移動させることにより、ヘッド部12に主走査動作を行わせる。また、走査駆動部16は、例えば、主走査方向におけるヘッド部12の位置を固定して、例えば造形台14を移動させることにより、造形物50の側を移動させてもよい。
【0030】
副走査動作とは、例えば、主走査方向と直交する副走査方向へ造形中の造形物50に対して相対的に移動する動作のことである。また、より具体的に、副走査動作は、例えば、予め設定された送り量だけ副走査方向へ造形台14に対して相対的に移動する動作である。本例において、走査駆動部16は、主走査動作の合間に、副走査方向におけるヘッド部12の位置を固定して、造形台14を移動させることにより、ヘッド部12に副走査動作を行わせる。また、走査駆動部16は、副走査方向における造形台14の位置を固定して、ヘッド部12を移動させることにより、ヘッド部12に副走査動作を行わせてもよい。
【0031】
積層方向走査とは、例えば、造形中の造形物50に対して相対的に積層方向へヘッド部12を移動させる動作のことである。また、走査駆動部16は、造形の動作の進行に合わせてヘッド部12に積層方向走査を行わせることにより、積層方向において、造形中の造形物50に対するインクジェットヘッドの相対位置を調整する。また、より具体的に、本例の積層方向走査時において、走査駆動部16は、積層方向におけるヘッド部12の位置を固定して、造形台14を移動させる。走査駆動部16は、積層方向における造形台14の位置を固定して、ヘッド部12を移動させてもよい。
【0032】
制御部20は、例えば造形装置10のCPUであり、造形装置10の各部を制御することにより、造形装置10における造形の動作を制御する。より具体的に、制御部20は、例えば造形すべき造形物50の形状情報や、カラー情報等に基づき、造形装置10の各部を制御する。本例によれば、造形物50を適切に造形できる。
【0033】
続いて、ヘッド部12のより具体的な構成について、説明をする。本例において、ヘッド部12は、複数のインクジェットヘッド、複数の紫外線光源104、及び平坦化ローラ106を有する。また、複数のインクジェットヘッドとして、
図1(b)に示すように、インクジェットヘッド102s、インクジェットヘッド102mo、インクジェットヘッド102w、インクジェットヘッド102y、インクジェットヘッド102m、インクジェットヘッド102c、インクジェットヘッド102k、及びインクジェットヘッド102tを有する。
【0034】
これらの複数のインクジェットヘッドは、例えば、副走査方向における位置を揃えて、主走査方向へ並べて配設される。また、それぞれのインクジェットヘッドは、造形台14と対向する面に、所定のノズル列方向へ複数のノズルが並ぶノズル列を有する。また、本例において、ノズル列方向は、副走査方向と平行な方向である。
【0035】
また、これらのインクジェットヘッドのうち、インクジェットヘッド102sは、サポート層52の材料を吐出するインクジェットヘッドである。サポート層52の材料としては、例えば、サポート層用の公知の材料を好適に用いることができる。インクジェットヘッド102moは、造形材インク(Moインク)を吐出するインクジェットヘッドである。この場合、造形材インクとは、例えば、造形物50の内部(内部領域)の造形に用いる造形専用のインクである。
【0036】
尚、造形物50の内部については、造形材インクに限らず、他の色のインクを更に用いて形成してもよい。また、例えば、造形材インクを用いずに、他の色のインク(例えば白色のインク等)のみで造形物50の内部を形成することも考えられる。この場合、ヘッド部12において、インクジェットヘッド102moを省略してもよい。
【0037】
インクジェットヘッド102wは、白色(W色)のインクを吐出するインクジェットヘッドである。また、本例において、白色のインクは、光反射性のインクの一例であり、例えば造形物50において光を反射する性質の領域(光反射領域)を形成する場合に用いられる。
【0038】
インクジェットヘッド102y、インクジェットヘッド102m、インクジェットヘッド102c、インクジェットヘッド102k(以下、インクジェットヘッド102y〜kという)は、着色された造形物50の造形時に用いられる着色用のインクジェットヘッドであり、互いに異なる色の着色用のインクを吐出する。より具体的に、インクジェットヘッド102yは、イエロー色(Y色)のインクを吐出する。インクジェットヘッド102mは、マゼンタ色(M色)のインクを吐出する。インクジェットヘッド102cは、シアン色(C色)のインクを吐出する。また、インクジェットヘッド102kは、ブラック色(K色)のインクを吐出する。また、この場合、YMCKの各色は、減法混色法によるフルカラー表現に用いるプロセスカラーの一例である。また、インクジェットヘッド102tは、クリアインクを吐出するインクジェットヘッドである。クリアインクとは、例えば、無色の透明色(T)であるクリア色のインクのことである。
【0039】
複数の紫外線光源104は、インクを硬化させるための光源(UV光源)であり、紫外線硬化型インクを硬化させる紫外線を発生する。また、本例において、複数の紫外線光源104のそれぞれは、間にインクジェットヘッドの並びを挟むように、ヘッド部12における主走査方向の一端側及び他端側のそれぞれに配設される。紫外線光源104としては、例えば、UVLED(紫外LED)等を好適に用いることができる。また、紫外線光源104として、メタルハライドランプや水銀ランプ等を用いることも考えられる。
【0040】
平坦化ローラ106は、造形物50の造形中に形成されるインクの層を平坦化するための平坦化手段である。平坦化ローラ106は、例えば主走査動作時において、インクの層の表面と接触して、硬化前のインクの一部を除去することにより、インクの層を平坦化する。
【0041】
以上のような構成のヘッド部12を用いることにより、造形物50を構成するインクの層を適切に形成できる。また、複数のインクの層を重ねて形成することにより、造形物50を適切に造形できる。
【0042】
尚、ヘッド部12の具体的な構成については、上記において説明をした構成に限らず、様々に変形することもできる。例えば、ヘッド部12は、着色用のインクジェットヘッドとして、上記以外の色用のインクジェットヘッドを更に有してもよい。また、ヘッド部12における複数のインクジェットヘッドの並べ方についても、様々に変形可能である。例えば、一部のインクジェットヘッドについて、他のインクジェットヘッドと副走査方向における位置をずらしてもよい。
【0043】
続いて、造形装置10を用いて造形する造形物50について、更に詳しく説明をする。
図1(c)は、造形装置10により造形する造形物50について説明をする図である。上記においても説明をしたように、本例において、造形装置10は、複数のパーツを組み合わせることで組み立てられる立体的なオブジェクト40を作成する場合にパーツとして用いられる造形物50の造形を行う。また、
図1(c)においては、円筒状のパーツである造形物50を2個組み合わせることでオブジェクト40を作成する場合について、造形物50とオブジェクト40との関係等を模式的に図示している。
【0044】
尚、
図1(c)においては、図示及び説明の便宜上、単純な形状の造形物50を2個だけ組み合わせてオブジェクト40を作成する場合の構成の一例を模式的に図示している。オブジェクト40としては、例えば、より多くのパーツ(造形物50)を組み合わせる構成のオブジェクト40を作成することも考えられる。また、それぞれのパーツとして用いる造形物50について、より複雑な形状の造形物50を用いてもよい。また、複数の造形物50として、互いに異なる形状の造形物50を用いてもよい。また、この場合、より具体的に、任意の形状のオブジェクト40を適宜分割した形状の複数の造形物50を用いることが考えられる。
【0045】
また、複数の造形物50を組み合わせてオブジェクト40を作成する場合、造形装置10においては、例えば、オブジェクト40を構成する各パーツに対応するそれぞれの造形物50を個別に造形する。この場合、例えば、造形物50の形状等に応じて、複数の造形物50を同時に造形してもよい。また、オブジェクト40の作成時には、予め造形した複数の造形物50を組み合わせることにより、オブジェクト40を作成する。このように構成すれば、例えば、一つの造形物50として造形することが難しい大きさや形状のオブジェクト40について、より適切に作成することができる。
【0046】
ここで、このように複数のパーツ(造形物50)を組み合わせてオブジェクト40を作成する場合、それぞれの造形物50を構成する各領域について、例えば図中に示すように、表面領域202や端部領域204等に分けて考えることができる。この場合、表面領域202は、例えば、オブジェクト40が組み立てられた状態でオブジェクト40の表面の一部を構成する領域である。また、端部領域204は、例えば、オブジェクト40を組み立てられた状態でオブジェクト40の内部において他のパーツ(造形物50)側の端部になる領域である。また、端部領域204については、例えば、他のパーツとの境界を構成する領域等と考えることもできる。この場合、他のパーツとの境界を構成する領域とは、例えば、造形物50において他のパーツ側の面の少なくとも一部を含む領域のことである。また、図中に示す構成の場合、端部領域204は、他のパーツと接触する領域になっている。オブジェクト40や造形物50の構成の変形例において、端部領域204は、例えば、他のパーツと接触しない領域であってもよい。また、この場合、
図1(c)においては符号を省略しているが、表面領域202及び端部領域204以外の領域について、その他の領域である内部領域と考えることができる。
【0047】
そして、この場合、それぞれの造形物50における表面領域202は、例えば、各パーツが取り付けられる位置におけるオブジェクト40の表面の色を示すように、着色用のインクを用いて着色した状態で形成される。このように構成すれば、オブジェクト40の表面における各位置に対し、適切に着色を行うことができる。
【0048】
また、この場合、それぞれの造形物50は、例えば、表面領域202のみがオブジェクト40の表面(外面)に露出するように、オブジェクト40に取り付けられる。そのため、造形物50の端部領域204については、例えば、オブジェクト40が組み立てられた状態において表面領域202の縁部210からオブジェクト40の内部に入り込む領域等と考えることもできる。また、この場合、表面領域202及び端部領域204以外の内部領域については、例えば、オブジェクト40が組み立てられた状態でオブジェクト40の内部の一部を構成する領域等と考えることもできる。
【0049】
図2は、オブジェクト40及び造形物50のより詳細な構成について説明をする図であり、
図1(c)に示したオブジェクト40及び造形物50の内部の構成の一例を示す。
図2(a)は、オブジェクト40が組み立てられた状態におけるオブジェクト40及び造形物50の断面図であり、複数の造形物50を含む断面位置でのオブジェクト40及び造形物50の断面の構成の一例を示す。
図2(b)は、
図2(a)に示した一点鎖線AA及びBBの位置でのオブジェクト40又は造形物50の断面図である。
図2(c)は、造形物50の各部と各領域との対応関係の一例を示す。
【0050】
図中に示すように、本例において、オブジェクト40を構成するそれぞれの造形物50は、内部領域152、光反射領域154、及び着色領域(着色領域156及び着色領域158)を備える。また、この構成において、内部領域152は、造形物50の内部を構成する領域である。また、内部領域152については、例えば、造形物50の形状を構成する領域等と考えることもできる。本例において、造形装置10は、インクジェットヘッド102mo(
図1参照)から吐出する造形材インクを用いて、内部領域152を形成する。
【0051】
また、光反射領域154は、着色領域を介して造形物50の外側から入射する光を反射するための光反射性の領域である。本例において、造形装置10は、インクジェットヘッド102w(
図1参照)から吐出する白色のインクを用いて、内部領域152の周囲に光反射領域154を形成する。
【0052】
着色領域(着色領域156及び着色領域158)は、インクジェットヘッド102y〜k(
図1参照)から吐出する着色用のインクにより着色がされる領域である。本例において、造形装置10は、インクジェットヘッド102y〜kから吐出する着色用のインクと、インクジェットヘッド102t(
図1参照)から吐出するクリアインクとを用いて、着色領域を形成する。この場合、例えば、各位置への各色の着色用のインクの吐出量を調整することにより、様々な色を表現する。また、色の違いによって生じる着色用のインクの量(単位体積あたりの吐出量が0%〜100%)の変化を一定の100%に補填するために、クリアインクを用いる。このように構成すれば、例えば、着色領域の各位置を所望の色で適切に着色できる。
【0053】
また、図中に示すように、本例において、造形物50は、着色領域として、互いに異なる位置に形成される着色領域156及び着色領域158を備える。これらのうち、着色領域156は、オブジェクト40が組み立てられた状態においてオブジェクト40の外側から色彩を視認できる領域の着色領域であり、オブジェクト40の表面の色で着色される。この場合、着色領域156について、オブジェクト40の表面の色で着色されるとは、例えば、設計上のオブジェクト40の表面の色がオブジェクト40の外側から視認されるように着色領域156が着色されることである。また、造形物50において、着色領域156は、光反射領域154の外側に形成される。このように構成すれば、例えば、着色領域156において、減法混色法で様々な色を適切に表現できる。
【0054】
尚、本例において、着色領域156については、例えば、一定の厚みでオブジェクトの表面の形状に沿うように着色用の材料を用いて形成される着色部等と考えることができる。この場合、一定の厚みで形成されるとは、例えば、造形の精度に応じて実質的に一定の厚みに形成されることである。また、実質的に一定の厚みに形成されるとは、例えば、基準の厚さに対して所定の変動分を考慮した予め設定された一定の範囲内の厚みで形成されることである。
【0055】
また、造形物50の着色領域のうち、着色領域158は、造形物50の端部領域204において着色がされる領域である。着色領域158については、例えば、オブジェクト40が組み立てられた状態においてオブジェクト40の外側から色彩を視認できない領域の着色領域と考えることもできる。この場合、オブジェクト40の外側から色彩を視認できないとは、例えば、組み立てられた状態においてオブジェクト40の内側の領域になり、実質的に色彩を確認できないことである。また、実質的に色彩を確認できないとは、例えば、設計上、本来であれば色彩を確認できないことである。そのため、実際のオブジェクト40の着色領域158については、例えば隣接する造形物50のわずかな隙間等を介して、色彩の影響を確認できてもよい。また、本例においては、このような着色領域158を形成することにより、端部領域204において表面領域202の縁部210に沿う部分の少なくとも一部について、白色のインクで形成されている光反射領域154の外側が着色されるように形成することになる。
【0056】
ここで、上記においては、造形物50を構成する各領域について、各領域を構成する材料等に着目して区別した領域を説明した。これに対し、本例においては、
図1に関連して上記においても説明をしたように、造形物50を構成する各領域について、パーツとして用いることを考慮して、表面領域202、端部領域204、及び内部領域206に分けて考えることもできる。
【0057】
そして、この場合、例えば
図2(c)に示すように、造形物50の着色領域のうち、オブジェクト40の外側から色彩を視認できる部分である着色領域156が、表面領域202に対応する領域になる。また、造形物50の着色領域のうち、オブジェクト40において他のパーツ(造形物50)との境界になる部分である着色領域158が、端部領域204に含まれることになる。また、
図2(c)に示した構成の場合、例えば、内部領域152及び光反射領域154が、内部領域206に対応する領域になる。
【0058】
尚、表面領域202については、例えば、必ずしも着色領域156と完全に同一ではなく、着色領域156を含む領域等を考えることもできる。また、造形物50において、着色領域156及び着色領域158は、通常、図中に示すように、連続的に繋がる領域になる。そして、実際に造形物50を造形する場合には、着色領域156及び着色領域158について、必ずしも明確に区別しないで形成すること等も考えられる。そのため、表面領域202と端部領域204との境界については、必ずしも厳密に着色領域156と着色領域158との境界と一致しなくてもよい。この場合、例えばオブジェクト40の表面における造形物50の境界が表面領域202の縁部210になるようにして、表面領域202と端部領域204と区別することが考えられる。また、この場合、着色領域156や着色領域158の厚み分の領域については、例えば
図2(c)において表面領域202の縁部210の位置に破線で示すように、適宜案分して表面領域202又は端部領域204に振り分けることが考えられる。
【0059】
以上のような構成の造形物50を造形した場合、例えば
図2(b)に示すBB断面の位置のように、端部領域204以外の位置でのオブジェクト40の断面には、造形物50を構成する各領域である内部領域152、光反射領域154、及び着色領域156の断面が現れることになる。また、オブジェクト40のパーツである造形物50について、本例よりも単純な構成の造形物50を用いることを考えた場合、例えば単純にオブジェクト40の各部を切り出した構成の造形物50を用いること等も考えられる。そして、この場合、本例のような造形物50の端部領域204に対する着色は行わないことになるため、端部領域204において、着色領域158は形成されず、内部領域152や光反射領域154が露出することになる。また、その結果、複数の造形物50の境界部分におけるオブジェクト40の断面(例えば、図中のAA断面に対応する位置の断面)の構成は、BB断面と同様の構成になる。
【0060】
そして、この場合、例えばオブジェクト40を組み立てた後において、オブジェクト40を構成するパーツ間の境界である造形物50における表面領域202の縁部210のすぐ内側に、光を反射しやすい光反射領域154が存在することになる。そのため、例えばパーツ間にわずかな隙間が生じた場合等において、隙間の内部が見えることで、パーツの境界部分が目立ちやすくなるおそれがある。
【0061】
これに対し、本例においては、造形物50の端部領域204についても、着色領域158を形成することで、例えば
図2(b)示すAA断面のように、着色した状態で形成する。このように構成すれば、例えば、オブジェクト40が組み立てられた状態でパーツ間の隙間からオブジェクト40の内部が見えたとしても、光反射領域154の色の影響を適切に抑えることができる。また、これにより、例えば、パーツの境界部分が目立つことを適切に防ぐことができる。そのため、本例によれば、例えば、複数の造形物50を組み合わせてオブジェクト40を作成する場合において、より適切な方法でオブジェクト40を作成することができる。
【0062】
ここで、端部領域204の形成の仕方に関し、より一般化して考えた場合、例えば、造形物50の端部領域204において表面領域202の縁部210に沿う部分の少なくとも一部について、着色用のインクを用いて、表面領域202の色に合わせて着色した状態で形成することが好ましいといえる。この場合、端部領域204について、表面領域202の色に合わせて着色をするとは、例えば、表面領域202における縁部210の近傍と同じ色又は同系統の色で着色をすることである。
【0063】
尚、本例において、端部領域204の着色は、インクジェットヘッド102y〜kを用いることで、表面領域202の着色に用いるのと同じ着色用のインクを用いて行う。また、端部領域204の着色の仕方の変形例においては、例えば特色のインク等を用いて、表面領域202の着色に用いるのとは別の着色用のインクで端部領域204を着色してもよい。また、端部領域204の着色については、必ずしも表面領域202の色に合わせて着色をするのではなく、表面領域202の色から独立して選択した色等で着色を行うこと等も考えられる。このような場合も、例えば光反射性の領域の色(白色)がそのまま見える場合と比べ、パーツの境界部分が目立つことを適切に防ぐことができる。また、この場合、例えば、オブジェクト40の表面側からパーツ間の隙間が見えた場合により暗く見える色で端部領域204を着色すること等が考えられる。
【0064】
また、本例において、造形物50の端部領域204は、オブジェクト40の表面と直交するように形成されている。この場合、オブジェクト40の表面と直交するとは、例えば、表面領域202の縁部210において表面領域202と直交することである。この場合、端部領域204の表面において表面領域202と直交する部分のうち、少なくとも、表面領域202の縁部210に沿う部分について、表面領域202の色に合わせて着色した状態で形成することが好ましい。このように構成すれば、例えば、パーツの境界部分が目立つことをより適切に防ぐことができる。
【0065】
尚、上記においては、造形物50の構成として、主に、内部領域152、光反射領域154、及び着色領域(着色領域156及び着色領域158)を備える構成について、説明をした。しかし、造形物50の構成の変形例においては、造形物50の具体的な構成について、上記と異ならせることも考えられる。より具体的には、例えば、内部領域152と光反射領域154とを区別せずに、例えば白色のインクを用いて、光反射領域154の機能を兼ねた内部領域152を形成すること等が考えられる。また、造形物50において、一部の領域を省略すること等も考えられる。この場合、例えば、内部領域152を省略することで、内部が空洞状の造形物50を造形すること等も考えられる。造形物50において、上記以外の領域を更に形成すること等も考えられる。この場合、例えば、光反射領域154と着色領域との間にクリアインクを用いて分離領域を形成すること等が考えられる。分離領域とは、例えば、光反射領域154を構成する白色のインクと着色領域を構成するインクとが混ざり合うことを防ぐための透明な領域(透明層)である。また、例えば造形物50の最も外側の領域(例えば着色領域156の外側)に、クリアインクを用いて透明な保護領域を形成すること等も考えられる。
【0066】
続いて、端部領域204に対する着色の仕方の様々な変形例等について、説明をする。
図3は、端部領域204の着色の仕方の例について説明をする図である。
図3(a)〜(c)は、端部領域204の着色の仕方の様々な例を示す。尚、以下に説明をする点を除き、
図3において、
図1〜2と同じ符号を付した構成は、
図1〜2における構成と同一又は同様の特徴を有してよい。
【0067】
上記においても説明をしたように、端部領域204については、少なくとも表面領域202の縁部210の近傍について、表面領域202の色に合わせて着色した状態で形成することが好ましい。そして、この場合、より具体的には、端部領域204について、表面領域202と同じ色に着色することが考えられる。この場合、同じ色とは、例えば、色彩及び明るさ(色の濃さ)が同じ色のことである。また、表面領域202と同じ色とは、例えば、表面領域202における縁部210の近傍の色と同じことである。また、この場合、例えば
図3(a)の左側に模式的に示す造形物50のように、端部領域204について、表面領域202と全く同じように着色すること等が考えられる。
【0068】
また、オブジェクト40が組み立てられた状態において、端部領域204は、通常、オブジェクト40の内側に隠れる。そして、この場合、端部領域204の色については、例えばパーツ間のわずかな隙間から色が見える場合にも、表面領域202の色よりも暗い印象又は色が濃い印象になることが考えられる。そのため、端部領域204の色については、このような見え方の印象を考慮して、例えば
図3(a)の右側に模式的に示すように、表面領域202よりも薄い色で着色を行うこと等も考えられる。より具体的に、この場合、端部領域204において表面領域202の縁部210に沿う部分の少なくとも一部について、表面領域202における縁部210の近傍の色と同じ色彩で、かつ、この近傍の色よりも薄い色で着色をすること等が考えられる。このように構成すれば、例えば、端部領域204に対し、表面領域202の色に合わせた着色をより適切に行うことができる。
【0069】
また、
図3(a)等においては、図示及び説明の便宜上、表面領域202や端部領域204への着色について、領域内での色の違いに関する事項を省略して、図示及び説明をした。しかし、オブジェクト40(
図1参照)については、例えば表面に模様や図柄等を描くことで、位置によって色が異なるように着色を行うことも考えられる。そして、この場合、パーツとして用いる造形物50の表面領域202において、位置によって色を変化させることになる。
【0070】
そのため、このような場合には、端部領域204についても、均一に着色をするのではなく、表面領域202の各部の色に合わせて着色を行うことが好ましい。また、
図3(b)においては、色の違う領域を異なる網掛け模様で示すことで、複数の色で表面領域202が着色されている状態の例を模式的に示している。
【0071】
より具体的に、造形装置10においては、例えば、造形物50を示す造形データに基づき、造形物50の造形を行う。また、造形データとしては、例えば、造形物50の形状や、造形物50の各位置の色等を示すデータを用いる。そして、この場合、造形データの生成時において、造形物50の端部領域204にも着色を行うようにデータの補正等を行うことが考えられる。また、この補正の処理において、例えば、表面領域202における縁部210の近傍の色を端部領域204へ回り込ませることで、表面領域202の色に合わせて端部領域204を着色するように造形データを補正すること等が考えられる。このように構成すれば、例えば、端部領域204について、より自然な印象で適切に着色できる。また、このような着色の仕方については、例えば、端部領域204において表面領域202の縁部210に沿う部分の少なくとも一部について、表面領域202における縁部210の近傍の色が縁部210を越えて端部領域204内に繋がるように着色をすることで、表面領域202の色に合わせて着色した状態で端部領域204を形成する動作等と考えることもできる。
【0072】
また、上記においては、
図2等を用いて、造形物50の構成の一例として、端部領域204の全体に着色領域を形成する場合の構成を説明した。しかし、造形物50の構成の変形例においては、端部領域204の一部のみに着色領域を形成すること等も考えられる。例えば、
図3(c)においては、端部領域204の一部のみに着色領域158を形成する場合の例を示している。この場合、端部領域204において、着色領域158は、表面領域202の縁部210に沿って形成される。そして、それ以外の部分においては、光反射領域154及び内部領域152が露出する。表面領域202の縁部210に沿って着色領域158が形成されるとは、例えば図中に示すように、縁部210に沿った枠状の着色領域158が形成されることである。このように構成した場合も、例えば、端部領域204においてパーツの隙間から特に見えやすい部分を着色することにより、例えば、パーツの境界部分が目立つことを適切に防ぐことができる。
【0073】
ここで、このようにして端部領域204における縁部210に沿った部分のみを着色する構成等を考慮した場合、端部領域204を着色した状態で形成することについて、例えば、造形物50の表面領域202に対応する着色領域156のみを形成する場合と比べてより多くの部分が着色された状態で端部領域204を形成すること等であると考えることができる。このように構成すれば、例えば、端部領域204を適切に着色することができる。
【0074】
また、このような状態の端部領域204については、例えば、少なくとも、表面領域202における着色部である着色領域156の厚みよりも大きな幅で表面領域202の縁部210に沿う部分を表面領域202の色に合わせて着色した構成等と考えることもできる。この場合、端部領域204において縁部210に沿って着色される領域の幅とは、図中に矢印302で示すような、縁部210と直交して端部領域204の表面に沿う方向における幅である。また、より具体的に、例えば着色領域156の厚みをD(例えば、D=100〜150μm程度)とした場合、端部領域204において、縁部210に沿った領域がDよりも大きな幅で着色されるように、端部領域204を形成することが考えられる。また、この幅は、例えばD+50μm以上であることが好ましい。また、この幅は、例えば200μm以上であることが好ましい。
【0075】
また、造形物50の構成については、端部領域204の着色の仕方等に限らず、その他の点での変形例を考えることもできる。
図4は、造形物50の構成の変形例を示す。尚、以下に説明をする点を除き、
図4において、
図1〜3と同じ符号を付した構成は、
図1〜3における構成と同一又は同様の特徴を有してよい。
【0076】
上記においては、説明の便宜上、主に、オブジェクト40(
図1参照)の表面と直交するように造形物50の端部領域204を形成する場合について、説明をした。しかし、オブジェクト40を複数のパーツに分ける切断面については、必ずしもオブジェクト40の表面と直交させる必要はなく、様々な切断面でオブジェクト40を複数のパーツに分割することが考えられる。そして、この場合、パーツとして用いる造形物50の端部領域204における表面の少なくとも一部について、表面領域202の縁部210で表面領域202と斜めに交差するように形成すること等も考えられる。この場合、端部領域204が表面領域202と斜めに交差するとは、例えば、端部領域204が表面領域202と直角以外の角度で交差することである。また、端部領域204が表面領域202と直角以外の角度で交差するとは、例えば、端部領域204の一部が表面領域202と直角以外の角度で交差することであってもよい。
【0077】
図4(a)は、端部領域204の形状に関する変形例を示す図であり、オブジェクト40が組み立てられた状態で隣接する2個のパーツに対応する2個の造形物50a、bについて、表面領域202と斜めに交差する端部領域204a、bを形成する場合の構成の例を模式的に示す。また、より具体的に、この場合、一方の造形物50aにおける端部領域204aは、表面領域202から造形物50aの外側へ突出する斜めの面になっている。また、他方の造形物50bにおける端部領域204bは、表面領域202から造形物50bの内側へ入り込む斜めの面になっている。また、この場合、オブジェクト40が組み立てられた状態において、造形物50aにおいて端部領域204aに囲まれる凸部は、造形物50bにおいて端部領域204bに囲まれる凹部に収容される。このように構成した場合も、例えば、複数の造形物を組み合わせて適切にオブジェクト40を作成することができる。
【0078】
また、この場合も、表面領域202の色に合わせて着色した状態で造形物の端部領域を形成することにより、パーツの境界部分が目立つことを適切に防ぐことができる。また、本変形例のように、斜めの面になっている端部領域を用いる場合、パーツ間の隙間から見えやすい向きで傾斜している部分のみに着色を行うこと等も考えられる。より具体的に、この場合、例えば、図中に示す端部領域204aと端部領域204bとの比較等からわかるように、端部領域の表面の向きは、交差する角度によって、例えば端部領域204aのようにオブジェクト40の外側を向く場合と、例えば端部領域204bのように内側を向く場合がある。そして、この場合、端部領域の表面のうち、少なくとも、オブジェクト40の外側を向く面において表面領域202の縁部210に沿う部分について、表面領域202の色に合わせて着色した状態で形成することが好ましい。
【0079】
また、更に具体的に、
図4(a)に示すような構成の場合、造形物50bの端部領域204aについては、囲まれる部分が凸部になるため、パーツ間の隙間から見えやすくなると考えられる。そのため、端部領域204aについては、表面領域202の色に合わせて着色を行うことが好ましい。これに対し、造形物50bの端部領域204bについては、囲まれる部分が凹部になるため、パーツ間の隙間から見えにくくなると考えられる。そのため、端部領域204bについては、例えば、着色を省略してもよい。このように構成すれば、例えば、パーツの境界部分が目立つことをより適切に防ぐことができる。
【0080】
また、オブジェクト40のパーツとして用いる造形物50については、パーツの用途により適した構成で造形すること等も考えられる。
図4(b)は、造形物50の構成の更なる変形例を示す。本変形例において、造形物50は、上記において説明をした各構成に加え、パーツの用途に合わせた構成である識別情報402、ハンドリング部404、及び係合部406を更に備える。
【0081】
識別情報402は、オブジェクト40を構成するパーツの識別に用いる情報である。このような識別情報402を付けて造形物50を造形することにより、例えばオブジェクト40の組み立て時において、パーツの識別等をより容易かつ適切に行うことができる。また、この場合、識別情報402については、例えば表面領域202に描く模様や図柄等と同様にして、着色用のインクを用いて文字や数字を示すように形成すること等が考えられる。また、識別情報402について、例えば端部領域204等の表面に凹凸を形成することで、形状により情報を示すこと等も考えられる。また、識別情報402においては、例えばバーコード等の公知の様々な方法で情報を示すことが考えられる。また、オブジェクト40の組み立てについて、例えば装置により自動的に組み立てを行う場合、識別情報402から読み取る情報を用いて組み立てを行うこと等が考えられる。また、オブジェクト40の組み立てについて、例えば作業者による手作業等でオブジェクト40を組み立てる場合、作業者が使用するスマートフォン等の端末を用いて識別情報402を読み取ること等も考えられる。また、この場合、スマートフォン等の端末において、識別情報402から読み取る情報に基づき、オブジェクト40の中での造形物50に対応するパーツの位置等を表示すること等も考えられる。
【0082】
また、ハンドリング部404は、造形物50の造形後の後工程(例えば、オブジェクト40の組み立て時等)において造形物50を持ちやすくするための構成であり、ハンドリング時に使用する部位として機能する。また、より具体的に、図示した構成において、ハンドリング部404は、端部領域204に形成された複数の穴である。この場合、例えば、造形物50を把持するための治具の一部等をハンドリング部404の穴に挿入して造形物50を取り扱うこと等が考えられる。このように構成すれば、例えば、造形物50のハンドリングをより容易かつ適切に行うことができる。
【0083】
また、造形物50の構成の更なる変形例において、ハンドリング部404としては、例えば、取手等を形成すること等も考えられる。この場合も、例えば、造形物50のハンドリングをより容易かつ適切に行うことができる。また、取手のような造形物50の表面から突出するハンドリング部404を形成する場合、不要になった時点で切断等により除去できるようにハンドリング部404を形成することが好ましい。
【0084】
また、係合部406は、オブジェクト40が組み立てられた状態で他のパーツと係合する構成である。また、本例において、係合部406は、造形物50の本体部分と共に、造形装置10を用いて形成される。このような係合部406を用いることにより、複数のパーツをより確実に繋げることができる。また、より具体的に、係合部406としては、例えば、公知のフックや留め具の形状の構成を用いることができる。また、この場合、例えば、他のパーツ(造形物50)に形成された穴に係合部406を挿入することで他のパーツに対して造形物50を固定すること等が考えられる。また、この場合、例えば、他のパーツの穴に更に凹部を形成しておき、フック等の係合部406との係合部によりクリック感を生じさせること等も考えられる。また、この場合、他のパーツ側の穴等についても、そのパーツを構成する造形物50における係合部406と考えることができる。この場合、係合部406は、例えば、他のパーツ(造形物50)の係合部と係合することにより、他のパーツに対して造形物50を固定する。このように構成すれば、例えば、オブジェクト40の組み立てをより容易かつ適切に行うことができる。
【0085】
尚、
図4(b)においては、図示及び説明の便宜上、識別情報402、ハンドリング部404、及び係合部406の全てを備える場合の造形物50の構成について、説明をした。しかし、造形物50の構成の更なる変形例においては、これらのうちの一部のみを備えてもよい。また、識別情報402、ハンドリング部404、及び係合部406については、通常、オブジェクト40の組み立て後に目立たなくなる位置に形成することが好ましい。そのため、これらの構成については、上記のように、端部領域204に形成することが考えられる。また、造形物50の用途や構成によっては、例えば、端部領域204以外の領域(表面領域202等)に形成することも考えられる。
【0086】
続いて、オブジェクト40や造形物50の構成に関する補足説明や、更なる変形例の説明等を行う。先ず、オブジェクト40や造形物50の構成に関する補足説明として、オブジェクト40及び造形物50のより具体的な構成の例を説明する。
【0087】
図5は、オブジェクト40及び造形物50のより具体的な構成の例を示す。
図5(a)は、端部領域204を着色しないで造形物50を造形した場合のオブジェクト40及び造形物50の構成の一例を示す。
図5(b)は、端部領域204を着色して造形物50を造形した場合のオブジェクト40及び造形物50の構成の一例を示す。尚、以下に説明をする点を除き、
図4において、
図1〜3と同じ符号を付した構成は、
図1〜3における構成と同一又は同様の特徴を有してよい。
【0088】
図5に示したオブジェクト40は、恐竜の模型を示すオブジェクトである。また、複数の造形物50は、この模型の一部を構成するパーツである。このように複数のパーツに分けてオブジェクト40を作成することにより、例えば、大型のオブジェクト40を適切に作成することができる。
【0089】
しかし、
図5(a)に示すように、端部領域204を着色しないで造形物50を造形した場合、表面領域202の縁部210に沿った部分における端部領域204の色は、着色領域である表面領域202の下に形成される光反射領域の色である白色になる。そして、この場合、例えばオブジェクト40におけるパーツ間の隙間(造形物50間の隙間)からオブジェクト40の内部が見えると、上記においても説明をしたように、この白色の部分の影響で、パーツの境界部分が目立ちやすくなるおそれがある。
【0090】
これに対し、
図5(b)に示すように、端部領域204を着色して造形物50を造形した場合、上記においても説明をしたように、パーツ間の隙間から端部領域204の色が見えたとしても、パーツの境界領域が目立ちにくくなる。そのため、上記においても説明をしたように、本例によれば、例えば、複数の造形物50を組み合わせてオブジェクト40を作成する場合において、より適切な方法でオブジェクト40を作成することができる。
【0091】
ここで、端部領域204の形状について、補足説明を行う。上記においても説明をしたように、端部領域204の形状については、表面領域202と直交する構成や、表面領域202と斜めに交差する構成等が考えられる。また、端部領域204の表面については、平面状に形成するのではなく、例えば曲面状、凹凸状、又は段差状に形成すること等も考えられる。また、例えば
図5に示すような模型のオブジェクト40を作成する場合、内部を空洞状にすること等が考えられる。そして、この場合、パーツとして用いられる造形物50は、オブジェクト40において空洞の周囲を囲む表面部分(殻状部分)の一部を構成することになる。また、この場合、造形物50の端部領域204は、オブジェクト40の表面部分におけるパーツの境界部分になる。そして、この場合ようなも、造形物50の端部領域204の形状について、様々な形状にすることが考えられる。
【0092】
図6は、造形物50の端部領域204の形状の例を示す図であり、内部を空洞状にするオブジェクト40のパーツとして用いられる造形物50における端部領域204の形状の例を模式的に示す。尚、以下に説明をする点を除き、
図6において、
図1〜5と同じ符号を付した構成は、
図1〜5における構成と同一又は同様の特徴を有してよい。
【0093】
図6(a)〜(c)は、端部領域204の形状の様々な例を示す。また、より具体的に、
図6(a)は、端部領域204の形状について、表面領域202と直交させる場合の例を示す。
図6(b)は、端部領域204の形状について、表面領域202と斜めに交差させる場合の例を示す。また、
図6(c)は、端部領域204の形状について、段差状に形成する場合の例を示す。これらのように構成した場合も、端部領域204の少なくとも一部を着色することにより、例えば、パーツの境界部分が目立つことを適切に防ぐことができる。
【0094】
続いて、オブジェクト40の作成の仕方の変形例等について、説明をする。オブジェクト40において、パーツの境界部分をより目立ちにくくするためには、各種の工程(後工程)を行うこと等も考えられる。また、この場合、このような工程として、例えば、パーツを組み合わせた後に透明な材料等を用いてオーバーコートを行うこと等が考えられる。この場合、少なくとも、パーツのつなぎ目に対してオーバーコートを行うことが好ましい。このように構成すれば、例えば、パーツの境界部分をより目立ちにくくすることができる。
【0095】
また、この場合、オーバーコートに用いる材料としては、例えば、公知のオーバーコート用材料(例えば、クリアインク等)を用いることが考えられる。また、この場合、オーバーコートの処理は、パーツを組み合わせた後の大型のオブジェクト40に対して行うことになる。そのため、オーバーコート用の材料の塗布については、インクジェットヘッドを用いる方法ではなく、例えばスプレーや刷毛等を用いて行うことが考えられる。また、例えば、オーバーコート用の材料に対してオブジェクト40を浸漬してオーバーコート用の材料の塗布を行うこと等も考えられる。
【0096】
また、パーツの境界部分をより目立ちにくくするための工程としては、例えば、パーツの境界部分を溶かすことで境界をぼやかすこと等も考えられる。また、より具体的に、この場合、例えば、熱又は溶剤等でパーツの境界部分をわずかに溶かすこと等が考えられる。このように構成した場合も、例えば、パーツの境界部分をより目立ちにくくすることができる。
【0097】
また、パーツの境界部分をより目立ちにくくするための工程としては、例えば、パーツの境界部分を研磨すること等も考えられる。また、より具体的に、この場合、例えばサンドブラスター等を用いて研磨を行うことで境界をぼやかすこと等が考えられる。また、この場合、研磨による削り量を考慮して、着色領域を少し厚めに形成することが好ましい。この場合、着色領域を少し厚めに形成するとは、例えば、サンドブラスター等による研磨を行わない造形物50を造形する場合よりも着色領域の厚みの設定を大きくすることである。このように構成した場合も、例えば、パーツの境界部分をより目立ちにくくすることができる。
【0098】
また、オブジェクト40の構成等の更なる変形例においては、造形物50の造形の仕方やオブジェクト40の組み立て方等について、様々な変形を行うこと等も考えられる。例えば、オブジェクト40を構成するパーツとして用いる造形物50について、他のパーツと結合する部分にねじを切ること等も考えられる。この場合、ねじを切るとは、例えば、ねじを構成する溝を形成することである。また、この場合、オブジェクト40において隣接する造形物50の間で、一方を雄ねじにして、他方を対応する雌ねじにすることが考えられる。このように構成すれば、例えば、複数の造形物50をより強固に繋げることができる。また、これにより、例えば、より強固にパーツが繋がった状態でオブジェクト40を作成できる。また、この場合、ねじを構成する溝については、例えば造形物50の造形時に直接溝を形成することが考えられる。また、造形時には溝を形成せずに、造形後の別の工程でねじの溝を形成してもよい。
【0099】
また、複数の造形物50をより強固に繋げるためには、隣接するパーツになる複数の造形物50の一方に凸部を形成して、他方に対応する凹部を形成し、組み立て時に凸部を凹部にはめ込むこと等も考えられる。また、この場合、造形物50を構成する材料の性質等に応じて、何らかの方法で凸部及び凹部の少なくとも一方を柔らかい状態にしてはめ込みの作業をすることが好ましい。より具体的に、例えば、水に浸けることで柔らかくなる材料等を用いる場合、造形物50を水に浸けて柔らかくした状態ではめ込みの作業をすること等が考えられる。
【0100】
また、はめ込みの作業時には、温度変化による膨張又は収縮の効果を利用すること等も考えられる。この場合、例えば凸部の側を冷水に浸漬すること等で冷やし、収縮させてから凹部にはめ込むこと等が考えられる。この場合、はめ込みを行った後に常温に戻すことで、凹部の中に凸部を強固に固定することができる。また、膨張又は収縮の効果を利用する場合、例えば、凹部の側を暖めて、膨張させること等も考えられる。
【0101】
また、造形物50の造形の仕方の変形例においては、表面領域202を構成する着色領域における着色の仕方を様々に変形させること等も考えられる。また、このような変形例としては、例えば、オブジェクト40の用途等に応じて着色の解像度を変化させること等が考えられる。より具体的に、この場合、オブジェクト40の用途に応じて決まるオブジェクト40の視認距離に応じて、着色の解像度を変化させること等が考えられる。オブジェクト40の視認距離とは、例えば、完成後のオブジェクト40の使用時にオブジェクト40を見る観察者までの距離のことである。また、この場合、例えば、造形物50の造形を開始する条件の設定時等に、視認距離をパラメータとして入力して、入力された視認距離に応じて解像度を設定すること等が考えられる。また、この場合、視認距離が小さい場合には高い解像度を設定して、視認距離が大きい場合には低い解像度を設定することが考えられる。このように構成すれば、例えば、オブジェクト40の用途に応じた解像度で造形物50への着色を適切に行うことができる。
【0102】
また、上記においては、オブジェクト40を複数のパーツに分ける分け方について、主に、オブジェクト40の表面に設定する境界の位置でパーツを分ける場合について、説明をした。しかし、オブジェクト40及び造形物50の更なる変形例においては、上記において説明をした分け方に限らず、様々な方法でオブジェクト40を複数のパーツに分けること等も考えられる。また、より具体的に、この場合、オブジェクト40で表現しようとする対象の全体の構造を考慮して、例えば、寄せ木細工の各パーツのようにオブジェクト40を複数のパーツに分割すること等も考えられる。