(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862054
(24)【登録日】2021年4月2日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】燃焼用ガス量制御装置、および、その駆動方法
(51)【国際特許分類】
F23K 5/00 20060101AFI20210412BHJP
F23N 1/00 20060101ALI20210412BHJP
F16K 31/04 20060101ALI20210412BHJP
F16K 1/52 20060101ALI20210412BHJP
F16K 7/16 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
F23K5/00 301D
F23N1/00 102D
F16K31/04 F
F16K1/52 A
F16K7/16 E
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-123079(P2017-123079)
(22)【出願日】2017年6月23日
(65)【公開番号】特開2019-7542(P2019-7542A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2020年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】100092071
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 均
(74)【代理人】
【識別番号】100130638
【弁理士】
【氏名又は名称】野末 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】徳永 昌之
(72)【発明者】
【氏名】森本 和幸
【審査官】
加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−32001(JP,A)
【文献】
実開昭55−49137(JP,U)
【文献】
特開2011−208795(JP,A)
【文献】
特開2006−153262(JP,A)
【文献】
特開2011−185287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/00−31/11
F16K 1/00− 1/54
F23K 5/00− 5/22
F23N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁室と、前記弁室の一方側の端壁に設けたガス出口の上流側領域の周縁に形成された弁座とを有する筐体と、
前記弁室の前記弁座と対向する位置に配置されたダイヤフラム弁と、
を備えた燃焼用ガス量制御装置であって、
前記ダイヤフラム弁が前記弁座と当接した閉弁状態から、前記ダイヤフラム弁が前記弁座から離間した開弁状態に亘って、前記ダイヤフラム弁とともに移動する磁性体片と、
前記ガス出口によって構成され、前記開弁状態において、前記弁座と前記ダイヤフラム弁との間を通過した燃焼用ガスを通過させるガス通路と、
前記ガス出口の内周面との間に所定の間隙を存して、前記ガス出口内に挿入されるガス量調節用弁体であって、前記閉弁状態から、前記開弁状態に亘って、前記ダイヤフラム弁とともに移動するガス量調節用弁体と、
通電によって磁界を生じるコイルが外嵌されたヨークであって、前記コイルへの通電によって、前記磁性体片と電磁的に互いに吸着しあうヨークと、
前記閉弁状態から前記開弁状態に亘る前記ダイヤフラム弁の移動方向に前記ヨークを移動させるモータと、
前記ダイヤフラム弁を、前記開弁状態側から前記閉弁状態側に付勢する付勢手段と
を備えることを特徴とする燃焼用ガス量制御装置。
【請求項2】
前記付勢手段の付勢力に反発して、前記ダイヤフラム弁を、前記閉弁状態側から前記開弁状態側に付勢する第2付勢手段であって、その付勢力が前記付勢手段による付勢力より小さい第2付勢手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の燃焼用ガス量制御装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の燃焼用ガス量制御装置を駆動するための方法であって、
当該燃焼用ガス量制御装置の外部からの開弁指令によって前記閉弁状態から前記開弁状態に移行し、当該燃焼用ガス量制御装置の外部からの閉弁指令によって前記開弁状態から前記閉弁状態に移行するように構成される場合に、
燃焼用ガスの遮断状態において、前記開弁指令が発令されるまで、前記ダイヤフラム弁と前記弁座とが当接し、かつ、前記磁性体片と前記ヨークとが当接した状態となるように構成されていること
を特徴とする燃焼用ガス量制御装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス調理器などに用いられる燃焼用ガス量制御装置、および、その駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ガスコンロやガスグリルなどのガス調理器においては、調理の際の加熱量の調整などを行うため、燃焼用ガス(燃料ガス)の流量を制御する燃焼用ガス量制御装置が用いられている。
【0003】
そのような燃焼用ガス量制御装置の1つとして、特許文献1には、電磁弁を閉じ付勢力に抗して閉弁状態から開作動させる吸引コイル、および、吸引コイルにより開作動した電磁弁を閉じ付勢力に抗して開弁状態に保持する保持コイルを備えたガス電磁弁が開示されている。
【0004】
このようなガス電磁弁では、電磁弁を閉じた状態に保つための閉じ付勢力に抗して閉弁状態から開弁状態に移行させるにあたって、吸引コイルに吸引用電流を通電して電磁弁を開弁し、電磁弁が開弁した後においては、保持コイルに保持用電流を通電して、電磁弁を閉じ付勢力に抗して開弁状態に保持することが行われる。
【0005】
そして、一般的に、上記吸引用電流に比べて、上記保持用電流は小さい値であり、電磁弁を閉弁状態から開作動させる際には大電流の吸引用電流を通電し、電磁弁が開弁した後は、保持コイルに小電流の保持用電流を通電するようにしている。したがって、電磁弁を閉弁状態から開作動させる際には大電流を通電することが必要であるものの、電磁弁が一旦開弁した後は、保持用電流としての比較的小さい電流を通電するだけで電磁弁を開弁状態に保持することができることから、電力消費量の少ないガス機器などを構成することが可能になり、有意義である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平6−31645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、大電流を通電する回路においては、当該回路における通電経路の各所における接触部などの接触抵抗が大きくなると、この接触抵抗による電圧降下が大きくなり、場合によっては回路作動上の不都合が生じるおそれがある。
【0008】
また、乾電池、特にマンガン電池を電源とする場合、間欠的にパルス状に大電流を通電することによる乾電池の内部抵抗の増大が生じるおそれがある。そのため、間欠的にパルス状に大電流が通電することは、できるだけ回避されることが望ましい。
したがって、上記従来の技術には、これらの点において、改善の余地があるのが実情である。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するものであり、大電流を通電することを必要とせず、大電流を通電することで生じる不都合を回避することが可能で、かつ、燃焼用ガス(燃料ガス)の流量調整を確実に行うことが可能な、燃焼用ガス量制御装置、および、その駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の燃焼用ガス量制御装置は、
弁室と、前記弁室の一方側の端壁に設けたガス出口の上流側領域の周縁に形成された弁座とを有する筐体と、
前記弁室の前記弁座と対向する位置に配置されたダイヤフラム弁と、
を備えた燃焼用ガス量制御装置であって、
前記ダイヤフラム弁が前記弁座と当接した閉弁状態から、前記ダイヤフラム弁が前記弁座から離間した開弁状態に亘って、前記ダイヤフラム弁とともに移動する磁性体片と、
前記ガス出口によって構成され、前記開弁状態において、前記弁座と前記ダイヤフラム弁との間を通過した燃焼用ガスを通過させるガス通路と、
前記ガス出口の内周面との間に所定の間隙を存して、前記ガス出口内に挿入されるガス量調節用弁体であって、前記閉弁状態から、前記開弁状態に亘って、前記ダイヤフラム弁とともに移動するガス量調節用弁体と、
通電によって磁界を生じるコイルが外嵌されたヨークであって、前記コイルへの通電によって、前記磁性体片と電磁的に互いに吸着しあうヨークと、
前記閉弁状態から前記開弁状態に亘る前記ダイヤフラム弁の移動方向に前記ヨークを移動させるモータと、
前記ダイヤフラム弁を、前記開弁状態側から前記閉弁状態側に付勢する付勢手段と
を備えることを特徴としている。
【0011】
また、本発明の燃焼用ガス量制御装置においては、前記付勢手段の付勢力に反発して、前記ダイヤフラム弁を、前記閉弁状態側から前記開弁状態側に付勢する第2付勢手段であって、その付勢力が前記付勢手段による付勢力より小さい第2付勢手段を備えていることが好ましい。
【0012】
また、本発明の燃焼用ガス量制御装置の駆動方法は、
上述の本発明の燃焼用ガス量制御装置を駆動するための方法であって、
当該燃焼用ガス量制御装置の外部からの開弁指令によって前記閉弁状態から、前記開弁状態に移行し、当該燃焼用ガス量制御装置の外部からの閉弁指令によって前記開弁状態から前記閉弁状態に移行するように構成される場合に、
燃焼用ガスの遮断状態において、前記開弁指令が発令されるまで、前記ダイヤフラム弁と前記弁座とが当接し、かつ、前記磁性体片と前記ヨークとが当接した状態となるように構成されていること
を特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の燃焼用ガス量制御装置は、弁室と、弁室の一方側の端壁に設けたガス出口の上流側領域の周縁に形成される弁座とを有する筐体と、弁座と対向する位置に配置されたダイヤフラム弁とを備えた燃焼用ガス量制御装置において、閉弁状態から開弁状態に亘ってダイヤフラム弁とともに移動する磁性体片と、ガス出口によって構成され、開弁状態において、弁座とダイヤフラム弁との間を通過した燃焼用ガスを通過させるガス通路と、ガス出口に挿入されるガス量調節用弁体であって、閉弁状態から、開弁状態に亘って、ダイヤフラム弁とともに移動するガス量調節用弁体と、通電によって磁界を生じるコイルが外嵌され、コイルへの通電によって、磁性体片と電磁的に互いに吸着しあうヨークと、閉弁状態から開弁状態に亘るダイヤフラム弁の移動方向にヨークを移動させるモータと、ダイヤフラム弁を、開弁状態側から閉弁状態側に付勢する付勢手段とを備えているので、大電流を通電することを必要とせず、大電流を通電することで生じる不都合を回避することが可能になる。
また、燃焼用ガスの通流状態と遮断状態とを切り換えるモータの駆動によって、燃焼用ガスの流量調整を確実に行うことが可能になる。
【0014】
すなわち、本発明によれば、閉弁状態において、モータによりヨークを移動させ、磁性体片とヨークとが互いに当接した状態とした後、コイルに通電して、磁性体片とヨークとを電磁的に互いに吸着させた後、磁性体片を吸着している状態のヨークをモータにより移動させて、ダイヤフラム弁が閉弁状態から開弁状態に移行するようにしているので、特許文献1のガス電磁弁のように、ヨークと磁性体片が離間している状態で、コイルに大電流を通電して磁性体片を磁力だけで吸着することが不要になる。
【0015】
その結果、大電流を通電することで生じる不都合(例えば、接触部などでの接触抵抗が大きくなることで接触抵抗による電圧降下が大きくなったり、乾電池(特にマンガン電池)を電源とする場合に、間欠的にパルス状に大電流を通電することで乾電池の内部抵抗が増大したりして、回路作動に支障が生じるなどの不都合)の発生を回避することが可能になり、信頼性の高い燃焼用ガス量制御装置を実現することができる。
【0016】
また、本発明の燃焼用ガス量制御装置において、付勢手段の付勢力に反発して、ダイヤフラム弁を、閉弁状態側から開弁状態側に付勢する第2付勢手段であって、その付勢力が前記付勢手段による付勢力より小さい第2付勢手段を備えた構成とした場合、燃焼用ガスの通流量の調節を行う際に、ガス量調節用弁体の位置が安定することから、燃焼用ガスの通流量の調節を適正に行うことが可能になり、本発明をより実行さらしめることができる。
【0017】
また、本発明の燃焼用ガス量制御装置の駆動方法は、上述の本発明の燃焼用ガス量制御装置を駆動するにあたって、燃焼用ガス量制御装置の外部からの開弁指令によって閉弁状態から開弁状態に移行し、当該燃焼用ガス量制御装置の外部からの閉弁指令によって開弁状態から閉弁状態に移行するように構成される場合に、燃焼用ガスの遮断状態において、開弁指令が発令されるまで、ダイヤフラム弁と弁座とが当接し、かつ、磁性体片とヨークとが当接した状態となるように構成されているので、ダイヤフラム弁と弁座との当接が確実に維持されることになり、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態にかかる燃焼用ガス量制御装置の構成を示す要部断面図である。
【
図2】本発明の実施形態にかかる燃焼用ガス量制御装置の、磁性体片(鉄片)吸着時のガス閉止状態を示す要部断面図である。
【
図3】本発明の実施形態にかかる燃焼用ガス量制御装置の、ガス通流状態(燃焼用ガスが大流量で通流する開弁状態)を示す要部断面図である。
【
図4】本発明の実施形態にかかる燃焼用ガス量制御装置の、磁性体片(鉄片)離脱時のガス閉止状態を示す要部断面図である。
【
図5】本発明の実施形態にかかる燃焼用ガス量制御装置の、ガス通流状態(燃焼用ガスが小流量で通流する開弁状態)を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を示して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【0020】
[実施形態]
図1は、本発明の実施形態にかかる燃焼用ガス量制御装置Aを示す要部断面図である。
【0021】
本実施形態にかかる燃焼用ガス量制御装置Aは、ガスコンロやガスグリルやガス給湯器などのガス機器の燃料となる燃焼用ガス(燃料ガス)の通流を制御するための装置として用いられるものである。以下、説明を行う。
【0022】
燃焼用ガス量制御装置Aは、
図1に示すように、弁室1aと、弁座1bと、ガス入口4と、ガス出口14を備えた筐体1を備えている。
ガス入口4は筐体1の下面側に設けられ、ガス出口14は、弁室1aの一方側の端壁1cに設けられている。弁座1bは、ガス出口14の上流側の周縁に形成されている。
【0023】
また、筐体1内には、弁室1aの弁座1bと対向するように配設されたダイヤフラム弁2を備えている。なお、ダイヤフラム弁2の一方主面側にはダイヤフラム弁2を保護するための保護板22、他方主面側には、後述の付勢手段11の付勢力を受ける受圧板23が配設されている。
【0024】
さらに、燃焼用ガス量制御装置Aは、ダイヤフラム弁2が弁座1bと当接した閉弁状態から、ダイヤフラム弁2が弁座1bから離間した開弁状態に亘って、ダイヤフラム弁2とともに移動する磁性体片(鉄片)3を備えている。
【0025】
なお、ガス出口14は、開弁状態において弁座1bとダイヤフラム弁2との間を通過した燃焼用ガス(燃料ガス)を通過させるガス通路14aを構成する。すなわち、開弁状態においては、弁座1bとダイヤフラム弁2との間を通過した燃焼用ガスが、ガス通路14aとしてのガス出口14から、ガスコンロやガスグリルやガス給湯器などのガス機器に供給される。
【0026】
また、燃焼用ガス量制御装置Aは、ガス出口14(ガス通路14a)の内周壁との間に所定の間隙を存するような態様で、ガス出口14(ガス通路14a)内に挿入されるガス量調節用弁体(ニードル)5を備えている。
【0027】
なお、ガス量調節用弁体(ニードル)5は、閉弁状態から、開弁状態に亘って、ダイヤフラム弁2とともに移動するように構成されている。
【0028】
また、本実施形態にかかる燃焼用ガス量制御装置Aは、ヨーク7を備えている。そして、ヨーク7には、通電によって磁界を生じるコイル6が外嵌されている。なお、コイル6への通電は、給電用のリード線6aを経て行われるように構成されている。
【0029】
また、燃焼用ガス量制御装置Aは、閉弁状態から開弁状態に亘るダイヤフラム弁2の移動方向にヨーク7を移動させるモータ8を備えている。なお、本実施形態においては、上記モータ8として、ステッピングモータが使用されている。
【0030】
また、本実施形態にかかる燃焼用ガス量制御装置Aは、ダイヤフラム弁2を、開弁状態側から閉弁状態側に付勢する付勢手段(第1付勢手段)としてスプリング(第1スプリング)11を備えている。
【0031】
さらに、本実施形態では、第1付勢手段(第1スプリング)11の付勢力に反発して、ダイヤフラム弁2を、閉弁状態側から開弁状態側に付勢する第2付勢手段(第2スプリング)12を備えている。そして、この第2付勢手段(第2スプリング)12としては、その付勢力が第1付勢手段(第1スプリング)11の付勢力よりも小さいものが用いられている。
【0032】
また、
図1に示すように、筐体1内には、ヨーク7と連結し、一体化したナット10が配設されており、このナット10は、筐体1に対して回転しないように周り止めされている。
【0033】
また、筐体1内には、モータ8により回転駆動されるモータ軸8aが配設されており、モー多軸8aに形成されたスクリュー21が、ナット10に螺入して回転することにより、ナット10とヨーク7が所定の方向、すなわち、開弁状態側と閉弁状態側に移動するように構成されている。
【0034】
そして、本実施形態にかかる燃焼用ガス量制御装置Aにおいては、閉弁状態において、モータ8によりヨーク7を移動させ、磁性体片(鉄片)3とヨーク7を互いに吸着させた後、ダイヤフラム弁2が閉弁状態から開弁状態に移行するように、磁性体片(鉄片)3を吸着している状態のヨーク7をモータ8で開弁状態側(
図1においては右側)に移動させるにように構成されており、上述の特許文献1のガス電磁弁のように、ヨークと磁性体片とが離間している状態で、コイルに大電流を通電して磁性体片を磁力だけで吸着する必要がなく、コイル6には吸着を保持するだけの電流を通電すれば足りる。
【0035】
その結果、大電流を通電することで生じる不都合(例えば、接触部などでの接触抵抗が大きくなることで接触抵抗による電圧降下が大きくなったり、乾電池(特にマンガン電池)を電源とする場合に、間欠的にパルス状に大電流を通電することで乾電池の内部抵抗が増大したりして、回路作動に支障が生じるなどの不都合)の発生を回避することが可能になり、信頼性の高い燃焼用ガス量制御装置を実現することができる。
【0036】
また、本実施形態にかかる燃焼用ガス量制御装置Aにおいては、燃焼用ガスの通流状態と遮断状態とを切り換えるモータ8の駆動によって、燃焼用ガスの通流量の調節を確実に精度よく行うことができる。
【0037】
さらに、本実施形態にかかる燃焼用ガス量制御装置Aにおいては、上述のように、第1付勢手段(第1スプリング)11の付勢力に反発して、ダイヤフラム弁2を、閉弁状態側から開弁状態側に付勢する、第1付勢手段(第1スプリング)11よりも付勢力の小さい第2付勢手段(第2スプリング)12を備えているので、燃焼用ガスの通流量の調節を行う際に、ダイヤフラム弁2とともに移動するガス量調節用弁体(ニードル)5の位置を安定させることが可能になり、燃焼用ガスの通流量の調節を適正に行うことができる。
【0038】
<燃焼用ガス量制御装置の駆動方法>
次に、燃焼用ガス量制御装置A(
図1)の駆動方法について説明する。
本実施形態にかかる燃焼用ガス量制御装置Aは、当該燃焼用ガス量制御装置Aの外部から開弁指令が発令されると、閉弁状態から開弁状態に移行し、当該燃焼用ガス量制御装置Aの外部からの閉弁指令が発令されると、開弁状態から閉弁状態に移行するように構成されている。
【0039】
そして、本実施形態にかかる燃焼用ガス量制御装置Aにおいては、燃焼用ガス(燃料ガス)の遮断状態においては、開弁指令が発令されるまでは、
図2に示すように、ダイヤフラム弁2と弁座1bとが当接し、かつ、磁性体片3とヨーク7とが当接した状態となるようにモータ8の駆動が制御される。
【0040】
そして、
図2に示す状態で、当該燃焼用ガス量制御装置Aの外部から開弁指令が発令されると、コイル6に通電してヨーク7と磁性体片(鉄片)3とを電磁的に吸着させる。
【0041】
因みに、ヨーク7と磁性体片(鉄片)3とを電磁的に吸着させるためのコイル6への通電電流の値は、磁性体片(鉄片)3とヨーク7とが当接した状態を維持するのに足りる電流値であればよいので、特許文献1に開示されているような従来技術における吸着電流のように大電流を通電する必要はない。
【0042】
なお、本実施形態にかかる燃焼用ガス量制御装置Aは、上述のように、筐体1に対して回転しないように配設された筐体1内にナット10を備えている。そして、
図2に示す状態から、モータ8を開弁方向に回転させることによって、モータ軸8aに形成されたスクリュー21が、ナット10に螺入し、
図3に示すように、ナット10が右方向(開弁方向)に移動して、ナット10に連結されたヨーク7に電磁的に吸着された磁性体片(鉄片)3とともにダイヤフラム弁2が開弁方向(
図3における右方向)に移動し、開弁状態に至る。
【0043】
図3は、開弁状態であって、ガス出口14の内周面14bとガス量調節用弁体(ニードル)5の外周面5aとの間の間隙が大きい状態、すなわち、燃焼用ガスが大流量で通流する開弁状態を示している。
【0044】
そして、
図3に示す開弁状態(燃焼用ガスが大流量で通流する状態)から、コイル6への通電を維持した状態で、モータ8を閉弁方向に回転させることで、
図5に示すように、ガス出口14の内周面14bとガス量調節用弁体(ニードル)5の外周面5aとの間の間隙が小さい状態、すなわち、燃焼用ガスが小流量で通流する開弁状態となる。
【0045】
つまり、上述のように構成された本実施形態にかかる燃焼用ガス量制御装置Aによれば、コイル6への通電を維持した状態で、モータ8を開弁方向および閉弁方向に回転させることで、ガス出口14(ガス通路14a)を通流する燃焼用ガスの通流量を、
図3に示す大流量の状態から、
図5に示す小流量の状態に亘って調節することができる。
【0046】
なお、本実施形態の燃焼用ガス量制御装置Aは、上述のように、付勢手段(第1付勢手段(第1スプリング)11の付勢力に反発して、ダイヤフラム弁2を、閉弁状態側から開弁状態側に付勢し、その付勢力が、第1付勢手段(第1スプリング)11による付勢力より小さい第2付勢手段(第2スプリング)12を備えているので、燃焼用ガスの通流量の調節を行う際に、ダイヤフラム弁2とともに移動するガス量調節用弁体(ニードル)5の位置が安定する。その結果、燃焼用ガスの通流量の調節をより適正に行うことが可能になる。
【0047】
また、
図3もしくは
図5に示す開弁状態において、当該燃焼用ガス量制御装置Aの外部からの閉弁指令が発令されると、まず、コイル6への通電が遮断されて、ヨーク7と磁性体片(鉄片)3との吸着が維持できなくなり、第1付勢手段(第1スプリング)11による付勢力よって、ダイヤフラム弁2が磁性体片(鉄片)3とともに閉弁方向(
図3もしくは
図5における左方向)に移動して、ダイヤフラム弁2と弁座1bとが当接した
図4の状態に至り、燃焼用ガスの通流が遮断される。
【0048】
そして、本実施形態にかかる燃焼用ガス量制御装置Aでは、
図4に示す状態に至った後、モータ8を閉弁方向に回転させ、ヨーク7を
図4における左方向に移動させることにより、
図2に示すように、ダイヤフラム弁2と弁座1bとが当接し、かつ、磁性体片(鉄片)3とヨーク7とが当接した状態とする。
【0049】
それから、
図2に示す状態で、当該燃焼用ガス量制御装置Aの外部から開弁指令が発令されるまで、コイル6への通電が遮断された状態で待機する。
【0050】
これにより、燃焼用ガスの遮断状態において、開弁指令が発令されるまで、ダイヤフラム弁2と弁座1bとが当接し、かつ、磁性体片(鉄片)3とヨーク7とが当接した状態が確実に維持されることになり、信頼性を向上させることができる。
【0051】
上述のように、本発明の方法で燃焼用ガス量制御装置Aを駆動することにより、燃焼用ガスの通流と遮断を確実に行うこと、および、燃焼用ガスの流量調整を確実に行うことができる。
【0052】
ただし、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0053】
A 燃焼用ガス量制御装置
1 筐体
1a 弁室
1b 弁座
1c 筐体の一方側の端壁
2 ダイヤフラム弁
3 磁性体片(鉄片)
4 ガス入口
5 ガス量調節用弁体(ニードル)
5a ガス量調節用弁体(ニードル)の外周面
6 コイル
6a コイルへの通電用のリード線
7 ヨーク
8 モータ
8a モータ軸
10 ナット
11 付勢手段(第1付勢手段)(第1スプリング)
12 第2付勢手段(第2スプリング)
14 ガス出口
14a ガス通路
14b ガス出口(ガス通路)の内周面
21 スクリュー
22 保護板
23 受圧板