特許第6862058号(P6862058)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6862058-盤および電気室の更新方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862058
(24)【登録日】2021年4月2日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】盤および電気室の更新方法
(51)【国際特許分類】
   H02B 3/00 20060101AFI20210412BHJP
   H02B 1/52 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   H02B3/00 L
   H02B1/52 A
   H02B3/00 D
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-30749(P2018-30749)
(22)【出願日】2018年2月23日
(65)【公開番号】特開2019-146444(P2019-146444A)
(43)【公開日】2019年8月29日
【審査請求日】2020年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】新田 哲也
【審査官】 北岡 信恭
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−033604(JP,U)
【文献】 実開平01−088499(JP,U)
【文献】 特開2015−082877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/46− 7/08
H02B 11/00−11/28
H02B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電気機器を収納し、配線し、引き込まれた外線と接続することができる第1筐体と、
前記第1筐体の下部に設けられ、第1方向に沿って設けられた第1レール上をスライドして移動できる第1移動機構と、
前記第1筐体の側面に設けられ、前記第1方向に交差する第2方向に延在する第1開口部と、
記第1開口部に対向する位置に開口された第2開口部と、
を含む既設盤に隣接して設けられることができる盤であって、
第2電気機器を収納し、配線し、引き込まれた外線と接続することができる第2筐体と、
前記第2筐体の下部に設けられ、前記第1方向に沿って設けられた第2レール上をスライドして移動できる第2移動機構と、
前記第2筐体の側面に設けられ、前記第2方向に延在する第3開口部と、
前記第3開口部に対向する位置に開口された第4開口部と、
を備えた盤。
【請求項2】
前記第1移動機構は、前記第1レール上を走行する絶縁物により形成された車輪を含み、
前記第2移動機構は、前記第2レール上を走行する絶縁物により形成された車輪を含む請求項1記載の盤。
【請求項3】
前記第2開口部および前記第4開口部に設けられた扉をさらに備えた請求項1または2に記載の盤。
【請求項4】
前記第1レールおよび前記第2レールは、前記第1方向と交差する方向に並ぶ請求項1〜3のいずれか1つに記載の盤。
【請求項5】
既設盤の内部に設置された電気機器の配線および外線と取り外して、前記電気機器を取り出し、
内部空間に、それぞれ、別の電気機器を収納し、配線し、引き込まれた外線と接続することができる第1および第2筐体と、前記第1筐体を第1方向に沿って設けられた第1レール上をスライドして移動させる第1移動機構と、前記第2筐体を第1方向に沿って設けられた第2レール上をスライドして移動させる第2移動機構と、を備え、前記第1筐体は、前記第1方向に交差する第2方向に延在する第1開口部と、前記第1開口部に対向する位置に開口された第2開口部と、を有し、前記第2筐体は、前記第1方向に交差する第2方向に延在する第3開口部と、前記第3開口部に対向する位置に開口された第4開口部と、を有する新設盤をスライドさせて前記既設盤との間を離隔させ、
更新する新たな電気機器を前記既設盤に収納し、配線し、前記外線と接続し、
前記新設盤をスライドさせて、前記既設盤に密接して配置する電気室の更新方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電気機器や装置等を配線して収納する盤および盤が設置された電気室の更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼プラント等の制御システムの既設更新において、スペースの少ない電気室の場合には、既設盤を撤去した後に、新設盤を設置する必要がある。しかしながら、新設盤を設置するに際して、外線を一本一本調査しなければならず、莫大な時間を要することがある。また、盤の入れ替えや配線の確認のために、制御システムが長時間にわたって停止することがある。
【0003】
プラントの更新エンジニアリング業務では、対象のプラントの最新の展開接続図および既設のソフトウェアを入手し、改造対象を明確にして作業を開始する。エンジニアリング業務のなかで最新の展開接続図と実際のハードウェアに相違点や不明点がみつかった場合には、相違点や不明点を都度調査し正しい情報を確認して、最新の展開接続図として反映させる。
【0004】
操業しているプラントで調査を行うことができる期間は限られている。また、調査によって新たな相違点や不明点が判明する場合もあるので、既設のプラントの正確な情報を確認するために多くの時間を要する場合がある。したがって、新設盤の入れ替えに要する期間が十分に確保できないおそれがある。
【0005】
その上、電気室には、既設からの改造が行われている場合に、他の制御盤が設置されていることが少なくなく、新規の盤を入れて作業するスペースが十分確保できない場合も多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平5−33604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態は、既設更新の電気室の更新期間を短くすることができる盤および電気室の更新方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る盤は、第1電気機器を収納し、配線し、引き込まれた外線と接続することができる第1筐体と、前記第1筐体の下部に設けられ、第1方向に沿って設けられた第1レール上をスライドして移動できる第1移動機構と、前記第1筐体の側面に設けられ、前記第1方向に交差する第2方向に延在する第1開口部と、記第1開口部に対向する位置に開口された第2開口部と、を含む既設盤に隣接して設けられることができる盤であって、第2電気機器を収納し、配線し、引き込まれた外線と接続することができる第2筐体と、前記第2筐体の下部に設けられ、前記第1方向に沿って設けられた第2レール上をスライドして移動できる第2移動機構と、前記第2筐体の側面に設けられ、前記第2方向に延在する第3開口部と、前記第3開口部に対向する位置に開口された第4開口部と、を備える
【発明の効果】
【0009】
本実施形態では、移動機構を用いて、更新作業時に一方に移動させ、更新終了後に他方に移動させることができるので、機器や装置等を含めて盤をすべて入れ替えることができるので、更新時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る盤および盤が配置された電気室の模式的な平面図である。
図2図2(a)および図2(b)は、比較例の盤および盤が配置された電気室の模式的な平面図である。
図3】第2の実施形態に係る盤および盤が配置された電気室の模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る盤および盤が配置された電気室の模式的な平面図である。
図1に示すように、電気室9には、複数の既設盤1〜7が設置されている。既設盤1〜7は、電気室9の壁9aに沿って、1列に整列して設置されている。既設盤1〜7は、電気室9の床面に設けられたチャンネルベースCB0上に固定されている。チャンネルベースCB0は、絶縁性の材料で形成され、あるいは絶縁性の材料で表面を処理された材料で形成されており、既設盤1〜7は、電気室9の床面から電気的に絶縁されている。
【0013】
既設盤1〜7は、壁9aに直交する方向に開口された開口をそれぞれ有している。既設盤1〜7では、開口が設けられている面が正面である。開口を介して、既設盤1〜7の内部に設置された電気機器や装置、端子台等を取り出すことができ、取り出した後の作業を行うことができる。
【0014】
電気室9は、ほぼ平行な壁9a,9bを有している。以下では、壁9a,9bに直交する方向をX軸(第1方向)、壁9a,9bに平行する方向をY方向(第2方向)として、説明する。これにしたがえば、既設盤1〜7は、Y軸方向に沿って1列に配置され、その開口は、X軸方向に向かって設けられている。
【0015】
既設盤1〜7は、その背面が壁9aから離れて配置されている。既設盤1〜7の背面と壁9aとの間の距離は、既設盤1〜7の作業を行う人間(以下、作業者という。)が通れる程度の距離である。たとえば、既設盤1〜7の背面から壁9aまでの距離L1は、1m程度である。既設盤1〜7の正面の側には、新設盤17〜23が設置されている。
【0016】
新設盤17〜23は、既設盤1〜7の正面にそれぞれ対向するように、Y軸方向に沿って1列に配置されている。
【0017】
新設盤17〜23は、その筐体の下部に移動用の車輪がそれぞれ設けられている。車輪は、電気室9の床面に設置されたチャンネルベースCB1上に設けられたレールRに沿ってスライドすることができる。レールRは、チャンネルベースCB1上をX軸方向に沿って敷設されており、車輪によって、新設盤17〜23は、レールRに沿ってX軸方向にスライドすることができる。なお、新設盤は、X軸方向に沿って、スライドすることができればよく、車輪とレールによるスライド手段と異なる移動手段であってもかまわない。
【0018】
チャンネルベースCB1は、上部で新設盤17〜23を支持し、下部に外線やその他の配線を通す空間を提供する架台である。チャンネルベースCB1は、絶縁性の材料で形成され、あるいは絶縁性の材料によって表面を処理された材料で形成されている。好ましくは、車輪も絶縁性の材料、たとえばゴム等で形成されている。したがって、新設盤17〜23は、電気室9の床面から電気的に絶縁されている。
【0019】
新設盤17〜23は、もっとも壁9aの側、あるいはもっとも壁9bの側にスライドさせて配置された場合に、新設盤17〜23をその位置に固定できるように、一時固定部材が設けられている。一時固定部材は、たとえばストッパである。また、新設盤17〜23がもっとも壁9bの側にスライドされた場合にも、新設盤17〜23をその位置に固定できるように、ストッパが設けられている。ストッパは、たとえば上下に摺動する棒状部材であり、棒状部材は、チャンネルベースCB1に開口された嵌合孔に挿入され、新設盤17〜23を固定する。嵌合孔は、チャンネルベースCB1のもっとも壁9aよりの側と、もっとも壁9bよりの側とのそれぞれに開口されている。一時固定部材は、新設盤17〜23を上述の位置に固定できればストッパに限らず、他の周知の方法によってももちろんよい。
【0020】
新設盤17〜23の筐体は、2つの開口をそれぞれ有する。一方の開口は、既設盤1〜7の正面に対向してそれぞれ設けられている。つまり、既設盤1〜7および新設盤17〜23の開口同士がそれぞれ対向するように設置されている。
【0021】
他方の開口は、壁9bの側に設けられている。壁9bの側の開口には、開閉可能な扉がそれぞれ設けられている。扉は、この例のような片開き扉に限らず、両開き扉等、新設盤が設置される電気室等の状況によって適切なものを任意に選定することができる。
【0022】
新設盤17〜23と壁9bとの間には、この例では、他の既設盤群8が設置されている。新設盤17〜23を既設盤1〜7の側にスライドして固定すると、新設盤17〜23と他の既設盤群8との間の距離L3は、作業者が通ることができる十分な間隔(たとえば1m程度以上)となる。なお、新設盤17〜23が壁9bの側にスライドされている場合には、スライドされた新設盤17〜23と他の既設盤群8との間には、十分な間隔が確保されていなくてもかまわない。
【0023】
更新作業を行う場合には、まず、壁9bの側に新設盤17〜23をスライドさせて、一時固定部材によって新設盤17〜23を固定する。新設盤17〜23を壁9bの側にスライドさせた場合には、新設盤17〜23と既設盤1〜7との間の距離L2は、作業者が通ることができ、また、作業者が更新作業を行える程度に十分な距離である。作業者は、形成されたスペースを利用して、移設、更新作業を行うことができる。
【0024】
更新作業が終了した場合には、新設盤17〜23を壁9aの側にスライドさせて、新設盤17〜23を既設盤1〜7に密接させる。新設盤17〜23を壁9aの側にスライドさせることによって、新設盤17〜23と他の既設盤群8との間に十分なスペース(距離L3)が確保される。
【0025】
既設盤1〜7から新設盤17〜23に装置の移設、新設等を行うに際しては、新設盤17〜23のスライドによって形成されたスペースを活用して、既設のシステムにおいて追加、変更された装置や部品等の有無を調査して、既設展開図に反映させる。その後、新設の展開図を作成し、新設展開図にもとづいて、移設作業を行う。移設作業を行うにあたっては、既設盤1〜7において用いられていた既設コネクタや端子等を流用することによって、既設盤1〜7を中継盤として用いることができる。
【0026】
本実施形態の新設盤を用いて電気室を更新する方法について説明する。
電気室9には、既設盤1〜7があらかじめ設置されている。上述のとおり、既設盤1〜7は、その背面が電気室9の壁9aから1m程度離れてチャンネルベースCB0上に固定されている。既設盤1〜7の開口に扉が設けられている場合には、扉を取り外す。
【0027】
既設盤1〜7のチャンネルベースCB0に続けて、チャンネルベースCB1を設置し固定する。チャンネルベースCB1は、既設盤1〜7と同様のものを用いることができる。新たに設けるチャンネルベースCB1には、レールRが設けられる。
【0028】
設置されたチャンネルベースCB1のレールR上に新設盤17〜23を設置する。
【0029】
設置された新設盤17〜23を壁9bの側にスライドさせて、既設盤1〜7と新設盤17〜23との間に、作業者の作業スペース(L2)を確保する。新設盤17〜23は、壁9bの側にストッパ等を用いて固定される。
【0030】
既設盤1〜7を中継盤にして、外線等の配線を行い、機器や装置を新設盤17〜23に新設および移設する。
【0031】
更新作業の終了後、新設盤17〜23を壁9aの側にスライドさせて、ストッパで固定する。
【0032】
本実施形態の盤の効果について、比較例の盤と比較しつつ説明する。
まず、比較例の盤による電気室の更新方法について説明する。
図2(a)および図2(b)は、比較例の盤および盤が配置された電気室の模式的な平面図である。
図2(a)に示すように、電気室109には、既設盤1〜7が設置されている。電気室109と既設盤1〜7との関係は、図1における電気室9および既設盤1〜7の関係と同じである。すなわち、既設盤1〜7の背面と電気室109の壁109aとの間には、作業者が通れる程度の距離L1の間隔が設けられている。既設盤1〜7の正面と壁109bとの間には、別の既設盤群8が壁109bに沿って設けられている。既設盤1〜7と既設盤群8との間に設置する新設盤は、既設盤1〜7を中継盤として移設、更新作業を行うために、既設盤1〜7に対向する面に開口や扉を有している必要がある。また、更新作業の終了後に、新設盤の操作やメンテナンス等を行うためにもう一方の面に開口および扉が必要である。
【0033】
新設盤は、既設盤1〜7と他の既設盤群8との間のほぼ中間の位置に設置する必要があるが、既設盤1〜7との距離L2’および他の既設盤群8との距離L3’の両方を十分に確保するのが困難である。一方を確保するために、距離を長くとると、他方の距離が短くなってしまい、更新時の作業、あるいは、更新後の操作等に支障をきたすこととなる。
【0034】
このような場合には、既設更新を行うことができないので、他の電気室等の空きスペースを探して、新設盤を設置する必要がある。空きスペースは、既設盤が設置された電気室に隣接しているとは限らず、相当程度離れた場所であったり、プラントの異なる階であったりする場合もあり、新たに外線の引き回し等の作業が追加的に発生し、更新のための期間が長期化するおそれがある。
【0035】
別の例では、図2(b)に示すように、壁209a,209bを有する電気室209に新設盤210〜216が設置されている。新設盤210〜216は、図1図2(a)の既設盤1〜7が設置されている位置に設置されている。
【0036】
新設盤210〜216は、既設盤1〜7と入れ替えて設置される。新設盤210〜216は、既設盤1〜7内に収納されている機器や装置、配線等を除去等して、外線を含む配線を調査した後に設置される。新設盤210〜216は、電気室209の壁209bの側に開閉可能な扉を設けることによって、更新やメンテナンス等を行うことができるが、次回の更新時には、上述と同様に、他の新設盤と入れ替え作業を行う必要がある。
【0037】
既設盤を除去して新設盤210〜216に入れ替える更新方法では、既設盤の除去、外線等の調査をすべて完了した後、新設盤210〜216を搬入する。
【0038】
その後、収納する機器や装置を搬入し、確認された外線等や、相互の配線等を行う必要がある。そのため、更新作業のための時間が長くなり、更新作業が完了するまで、対象となる制御システムを停止しなければならず、システムの停止時間が長くなる。
【0039】
これらに対して、本実施形態の新設盤17〜23は、チャンネルベースCB1のレールR上をスライドできる車輪を備えている。レールRは、既設盤1〜7の開口に直交するように設けられ、既設盤1〜7の開口と新設盤17〜23の開口とが密接するように配置できる。新設盤17〜23を、レールRに沿ってスライドさせることによって、新設盤17〜23と既設盤1〜7との間に十分な距離L2を有する作業スペースを確保することができる。
【0040】
更新作業の完了後には、既設盤1〜7の側にスライドさせて、既設盤1〜7の開口と新設盤17〜23の開口とが密接するようにして新設盤17〜23を固定することができる。そのため、新設盤17〜23の正面の側には、操作やメンテナンス等のための作業スペース(L3)を十分確保することができる。
【0041】
本実施形態では、既設盤1〜7は、更新作業時の中継盤として利用するほか、盤の内部はスペースが十分あるので、更新時の増設用の盤としても利用することができる。
【0042】
また、本実施形態の新設盤17〜23は、次回の更新時に更新作業の中継盤として、利用することもできる。
【0043】
(第2の実施形態)
上述の第1の実施形態では、電気室に新設盤を設置する十分なスペースがない場合の例について説明したが、電気室のスペースが十分ある場合に、そのスペースの有効活用を目的とする場合について説明する。
【0044】
図3は、本実施形態に係る盤および盤が配置された電気室の模式的な平面図である。
図3に示すように、壁309a,309bを有する電気室309には、既設盤1〜7および新設盤317〜330が設置されている。新設盤317〜323は、既設盤1〜7の開口の側に設けられている。新設盤317〜323は、Y軸方向に沿って1列に配置されている。新設盤317〜323は、それぞれの開口が既設盤1〜7の開口に対向するように配置されている。
【0045】
新設盤317〜323は、チャンネルベースCB1上のレールに沿ってスライドすることができる車輪を備えている。新設盤317〜323は、X軸方向に沿って、スライドすることができる。通常には、新設盤317〜323の開口は、既設盤1〜7の開口に密接するようにスライドさせて固定されている。新設盤317〜323の他方の開口には、開閉自在の扉が設けられていて、作業者は、扉を開けて新設盤317〜323の操作やメンテナンス等を行うことができる。
【0046】
新設盤324〜330は、Y軸方向に沿って1列に配列されている。新設盤324〜330は、それぞれの開口が新設盤317〜323の扉の側の開口に対向するように配置されている。
【0047】
新設盤324〜330は、チャンネルベースCB2上のレールに沿ってスライドすることができる車輪を備えている。チャンネルベースCB2上のレールは、X軸方向に沿って設けられており、新設盤324〜330は、車輪によってレール上をスライドすることができる。
【0048】
新設盤317〜330は、壁309aの側または壁309bの側にスライドさせた場合には、ストッパ等の一時固定部材によって、設定された位置に固定される。
【0049】
新設盤324〜330は、通常には、電気室309の壁309bの側にスライドさせて用いられる。新設盤324〜330は、この例では、両面に開閉可能な扉を有する。壁309bの側にスライドさせた場合には、壁309aの側の扉を開閉して、作業員は、操作やメンテナンス等を行う。
【0050】
本実施形態では、新設盤324〜330によって、更新時にさらに盤の増設を行うことができる。
【0051】
また、次回の更新時に新設盤317〜323を中継盤として、新設盤324〜330に更新システムの機器等を収納することができる。また、新設盤317〜323を中継盤として、既設盤1〜7を増設盤に利用することもできる。
【0052】
以上説明した実施形態によれば、既設更新の電気室の更新時間を短くすることができる盤および電気室の更新方法を実現することができる。
【0053】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0054】
1〜7 既設盤、8 他の既設盤群、9,309 電気室、9a,9b,309a,309b 壁、17〜23,317〜330 新設盤
図1
図2
図3