特許第6862068号(P6862068)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862068
(24)【登録日】2021年4月2日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】位置検出装置及び位置検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20210412BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20210412BHJP
   G06T 3/00 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   G01B11/00 H
   G06T7/00 300
   G06T3/00 750
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-507664(P2019-507664)
(86)(22)【出願日】2018年3月19日
(86)【国際出願番号】JP2018010826
(87)【国際公開番号】WO2018174011
(87)【国際公開日】20180927
【審査請求日】2020年9月16日
(31)【優先権主張番号】特願2017-55685(P2017-55685)
(32)【優先日】2017年3月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105887
【弁理士】
【氏名又は名称】来山 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】岡本 裕司
【審査官】 九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−288634(JP,A)
【文献】 特開平04−238206(JP,A)
【文献】 特開平05−149716(JP,A)
【文献】 特開2000−321024(JP,A)
【文献】 特開2007−256053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00
G06T 3/00
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
角部を有する基板を支持する支持部と、
画角内の前記基板の一部分を撮像する撮像装置と、
処理部と
を有し、
前記処理部は、
前記撮像装置の画角内に含まれる前記基板の前記角部を挟む2つの辺の長さが規定値と等しいか、または前記規定値より長くなるように前記基板または前記撮像装置を移動させ、
移動後の前記撮像装置の画角内を撮像して取得された画像データに基づいて、前記基板の前記角部の位置を検出する位置検出装置。
【請求項2】
角部を有する基板を支持する支持部と、
前記基板の一部分を撮像する撮像装置と、
処理部と、
画像を表示する表示部と
を有し、
前記処理部は、
前記撮像装置の画角内の前記基板の前記角部の画像を前記表示部に表示し、
前記撮像装置の画角内に含まれる前記基板の前記角部を挟む2つの辺の長さが規定値と等しいか、または前記規定値より長くなるように前記基板または前記撮像装置を移動させ、移動後の前記撮像装置の画角内の前記角部の画像を前記表示部に表示し、
前記撮像装置の画角内における前記基板の画像の前記角部の位置の座標を求め、求められた座標を特定する情報を前記表示部に表示する位置検出装置。
【請求項3】
角部を有する基板の第1角部を撮像して第1画像データを取得する工程と、
前記第1角部を挟む2つの辺のうち、前記第1画像データに含まれている部分の長さと規定値とを比較し、前記第1角部を挟む2つの辺のうち、前記第1画像データに含まれている部分の長さが前記規定値以上でない場合には、前記規定値以上になるように撮像される領域を移動させて前記基板を撮像し、第2画像データを取得する工程と、
前記第2画像データに基づいて、前記基板の前記第1角部の位置を求める工程と
を有する位置検出方法。
【請求項4】
前記第1画像データとテンプレートとのパターンマッチングを行うことにより、前記第1角部を挟む2つの辺のうち前記第1画像データに含まれている部分の長さが前記規定値以上か否かを判定する請求項3に記載の位置検出方法。
【請求項5】
前記テンプレートは、前記基板の外形形状の規格に基づいて作成されている請求項4に記載の位置検出方法。
【請求項6】
前記テンプレートは、前記基板の前記第1角部を反対側の面から撮像した画像に基づいて作成されている請求項4に記載の位置検出方法。
【請求項7】
前記第1画像データを取得する前に、前記基板の前記第1角部の推定位置を撮像して初期画像データを取得する工程と、
前記初期画像データに前記第1角部を挟む2つの辺の各々の一部が含まれていないとき、前記第1角部を画角内に配置し、その後、前記第1画像データを取得する請求項3乃至6のいずれか1項に記載の位置検出方法。
【請求項8】
前記第1角部の位置を検出した後、前記第1角部に隣り合う第2角部を撮像して第3画像データを取得し、前記第1画像データと前記第3画像データとに基づいて前記基板の面内回転方向の姿勢を求める工程と、
前記基板の面内回転方向の姿勢に応じて前記基板を面内方向に回転させ、回転方向の位置合わせを行う工程と
を有し、
面内回転方向の位置合わせを行った後、前記第1角部の位置を再度検出する請求項3乃至7のいずれか1項に記載の位置検出方法。
【請求項9】
前記第2画像データを取得する工程において、前記第1角部を挟む2つの辺のうち前記第1画像データに含まれている部分の長さが前記規定値と等しくない場合には、前記規定値と等しくなるように撮像される領域を移動させて前記基板を撮像し、前記第2画像データを取得する請求項3乃至8のいずれか1項に記載の位置検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出装置及び位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に対して描画や加工を行う際に、基板に形成されたアライメントマークを用いて基板の位置決めを行う技術が知られている。下記の特許文献1に、基板の角部付近を撮像して得られた画像データに基づいて基板の位置決めを行うスクリーン印刷技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−205286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、基板の角部の画像データに基づいて、より安定した位置検出を行うことが可能な位置検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によると、
角部を有する基板を支持する支持部と、
画角内の前記基板の一部分を撮像する撮像装置と、
処理部と
を有し、
前記処理部は、
前記撮像装置の画角内に含まれる前記基板の前記角部を挟む2つの辺の長さが規定値と等しいか、または前記規定値より長くなるように前記基板または前記撮像装置を移動させ、
移動後の前記撮像装置の画角内を撮像して取得された画像データに基づいて、前記基板の前記角部の位置を検出する位置検出装置が提供される。
【0006】
本発明の他の観点によると、
角部を有する基板を支持する支持部と、
前記基板の一部分を撮像する撮像装置と、
処理部と、
画像を表示する表示部と
を有し、
前記処理部は、
前記撮像装置の画角内の前記基板の前記角部の画像を前記表示部に表示し、
前記撮像装置の画角内に含まれる前記基板の前記角部を挟む2つの辺の長さが規定値と等しいか、または前記規定値より長くなるように前記基板または前記撮像装置を移動させ、移動後の前記撮像装置の画角内の前記角部の画像を前記表示部に表示し、
前記撮像装置の画角内における前記基板の画像の前記角部の位置の座標を求め、求められた座標を特定する情報を前記表示部に表示する位置検出装置が提供される。
【0007】
本発明のさらに他の観点によると、
角部を有する基板の第1角部を撮像して第1画像データを取得する工程と、
前記第1角部を挟む2つの辺のうち、前記第1画像データに含まれている部分の長さと規定値とを比較し、前記第1角部を挟む2つの辺のうち、前記第1画像データに含まれている部分の長さが前記規定値以上でない場合には、前記規定値以上になるように撮像される領域を移動させて前記基板を撮像し、第2画像データを取得する工程と、
前記第2画像データに基づいて、前記基板の前記第1角部の位置を求める工程と
を有する位置検出方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
撮像装置の画角内に含まれる基板の角部を挟む2つの辺の長さが規定値以上になるようにして角部の位置を検出することにより、安定した位置検出を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例による位置検出装置の概略斜視図である。
図2図2は、実施例による位置検出装置の処理部が実行する位置検出処理のフローチャートである。
図3図3Aは、位置検出を行う対象物である基板の平面図であり、図3Bは、位置検出処理中に実行されるパターンマッチングで用いるテンプレートを画像として示す図であり、図3Cは、位置検出処理中に処理部が取り扱う画像データを画像として示す図である。
図4図4A及び図4Bは、位置検出処理中に処理部が取り扱う画像データを画像として示す図である。
図5図5Aは、基板の角部の切り落とし部分の形状及び寸法が規格通りであるときの角部の画像データを画像として示す図であり、図5Bは、基板の角部の切り落とし部分の寸法が規格よりも小さい場合の角部の画像データを画像として示す図であり、図5Cは、基板の角部の切り落とし部分の形状が規格から外れた場合の角部の画像データを画像として図であり、図5Dは、基板の面内回転方向の姿勢が目標とする姿勢からやや傾いている場合の角部の画像データを画像として示す図である。
図6図6は、他の実施例による位置検出装置の処理部が実行する位置検出処理のフローチャートである。
図7図7Aは、さらに他の実施例で位置検出の対象となる基板の平面図であり、図7Bは、図2のステップS03及びS07で実行されるパターンマッチングにおいて用いられるテンプレートを画像として示す図である。
図8図8は、さらに他の実施例による位置検出装置が実行する位置検出処理のフローチャートである。
図9図9Aは、図8のステップS11を実行する時点の画角と基板との位置関係を示す平面図であり、図9Bは、ステップS13を実行した後の画角と基板との位置関係を示す平面図である。
図10図10は、さらに他の実施例による位置検出装置が実行する位置検出処理のフローチャートである。
図11図11Aは、さらに他の実施例による位置検出装置を用いて位置を検出する対象となる基板の平面図であり、図11Bは、位置検出時のパターンマッチングに用いられるテンプレートを画像として示す図である。
図12図12A及び図12Bは、さらに他の実施例による位置検出装置の概略斜視図である。
図13図13は、さらに他の実施例による膜形成装置の概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1図5Dを参照して、実施例による位置検出装置について説明する。
図1は、実施例による位置検出装置の概略斜視図である。本実施例による位置検出装置は、支持部10、撮像装置11A、11B、処理部12、記憶部13、及び表示部14を含む。支持部10は、その上面(支持面)に処理対象の基板50を支持する。支持部10として、例えば基板50を面内の二次元方向に移動させ、かつ面内方向に回転させることができる可動ステージが用いられる。基板50は、例えば正方形、長方形等の複数の角部を持つ平面形状を有する。
【0011】
撮像装置11Aは支持部10の支持面上の画角(視野)15A内の領域を撮像し、画像データを取得する。撮像装置11Bは支持部10の支持面上の画角(視野)15B内の領域を撮像し、画像データを取得する。基板50の1つの角部51が画角15A内に配置されたとき、その角部51に1つの辺を介して隣り合う他の角部51が画角15B内に配置されるように、2つの撮像装置11A、11Bの位置が調整されている。
【0012】
処理部12が記憶部13に格納されている処理プログラムを実行することにより、位置検出の機能が実現される。記憶部13には、処理プログラムの他に、位置検出処理を実行するときに参照される種々のデータ、撮像装置11A、11Bで取得された画像データ、処理部12の処理結果である座標データ等が格納される。処理部12は、処理結果を表示部14に出力する。処理部12として、例えば中央処理ユニット(CPU)が用いられる。記憶部13として、例えばRAM、ROM、外部記憶装置等が用いられる。表示部14として、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等が用いられる。
【0013】
図2は、処理部12(図1)が実行する位置検出処理のフローチャートである。以下に説明する位置検出処理では、基板50の1つの角部51の位置を検出する。他の角部51の位置も、同様の処理で検出することができる。
【0014】
図3Aは、位置検出を行う対象物である基板50の平面図である。基板50は、ほぼ長方形または正方形の平面形状を有し、4つの角部51が斜めに切り落とされている。例えば、斜めに切り落とされた部分の平面形状は、底角が45度の直角二等辺三角形である。
【0015】
図3Bは、位置検出処理中に実行されるパターンマッチングで用いるテンプレート20A、20B、20Cを画像として示す図である。テンプレート20Aは、角部51の斜めの辺の画像に対応する。テンプレート20Bは、角部51の斜めの辺と横方向に延びる辺との交わり部分の画像に対応する。テンプレート20Cは、角部51の斜めの辺と縦方向に延びる辺との交わり部分の画像に対応する。テンプレート20A、20B、20Cは、基板50の外形形状の規格に基づいて作成されている。
【0016】
図3C図4A、及び図4Aは、位置検出処理中に処理部12が取り扱う画像データを画像として示す図である。図3C図4A、及び図4Bにおいて、基板50の内側の領域にハッチングを付している。
【0017】
図2に示すように、基板50の位置検出を行う前に、まず、基板50を支持部10の支持面に支持させる(ステップS01)。この処理は、例えば、処理部12がロボットアーム等の搬送装置を制御することにより行う。基板50を支持部10に支持させた時点で、基板50の隣り合う2つの角部51(図1)またはその近傍が、それぞれ2つの画角15A、15B(図1)内に収まるように粗い位置決めがなされている。
【0018】
処理部12は、基板50の角部51を画角15A内に引き込む(ステップS02)。以下、基板50の角部51を画角15A内に引き込む処理について説明する。まず、基板50の粗い位置決めがなされている状態で、角部51の推定位置(画角15A内)を撮像し画像データ22(図3C)を取得する。処理部12は、取得した画像データ22に対応する画像を表示部14に表示する。
【0019】
その後、処理部12は、画像データ22に基板50の角部51を挟む2つの辺の一部が含まれているか否かを判定する。以下、「角部51を挟む2つの辺の一部が含まれている」ことを、単に「角部51が含まれている」という。画像データ22に角部51が含まれていない場合には、処理部12は角部51が画角15A内に収まるように支持部10を移動させる。処理部12は、基板50の移動中に取得された画像データに対応する画像を表示部14に表示する。
【0020】
以下、図3Cを参照して、画像データ22内に角部51が含まれているか否かを判定する処理について説明する。まず、処理部12は、画像データ22とテンプレート20B(図3B)とのパターンマッチングを行う。次に、画像データ22とテンプレート20C(図3B)とのパターンマッチングを行う。
【0021】
図3Cの左端に示した例では、テンプレート20Bにマッチングする部分及びテンプレート20Cにマッチングする部分の両方が画像データ22内に含まれている。この場合には、画像データ22に角部51が含まれていると判定される。
【0022】
図3Cの左から2番目に示した例では、テンプレート20Bにマッチングする部分が画像データ22内に含まれているが、テンプレート20Cにマッチングする部分は画像データ22内に含まれていない。この場合、基板50を図3Cにおいて下方向に移動させれば角部51が画角15A内に収まることがわかる。
【0023】
図3Cの左から3番目に示した例では、テンプレート20Bにマッチングする部分が画像データ22内に含まれていないが、テンプレート20Cにマッチングする部分が画像データ22内に含まれている。この場合、基板50を図3Cにおいて左方向に移動させれば角部51が画角15A内に収まることがわかる。
【0024】
図3Cの右端に示した例では、テンプレート20Bにマッチングする部分及びテンプレート20Cにマッチングする部分のいずれも画像データ22内に含まれていない。この場合、処理部12は、画像データ22とテンプレート20Aとのパターンマッチングを行う。テンプレート20Aにマッチングする部分が画像データ22内に含まれている場合、処理部12は、マッチングする部分の位置から、基板50を移動させるべき移動方向及び移動距離を推定する。例えば、テンプレート20Aにマッチングする部分が画角15Aの右上の領域に見つかった場合、基板50を斜め左下方向に移動させればよいことがわかる。
【0025】
処理部12は、パターンマッチングを行っているときに、表示部14に表示されている画像内でテンプレート20A、20B、20Cにマッチングした部分を示す情報を表示部14に表示する。例えば、マッチングした部分を取り囲む枠を、画像に重ねて表示する。
【0026】
基板50を移動させるべき方向及び距離だけ基板50を移動させた後、画像データ22を再取得する。処理部12は、再取得した画像データ22内に角部51が含まれている場合には、画角15A内に角部51を引き込む処理が完了である。
【0027】
画角15A内への角部51の引き込みが完了すると、処理部12は、角部51を挟む2つの辺の各々のうち、画角15A内の部分の長さ(画角内の辺の長さ)と規定値とを比較する(ステップS03)。ここで、角部51を挟む2つの辺とは、角部51を切り落とされて形成された斜めの辺の両端の各々から隣の角部に向かう辺を意味する。この規定値は、予め記憶部13に記憶されている。画角15A内の辺の長さは、例えば、テンプレート20B、20Cにマッチングする部分の位置から求めることができる。処理部12は、テンプレート20B、20Cにマッチングする部分を示す情報を表示部14に表示する。
【0028】
図4Aは、画角15A内の辺の長さが規定値より短い場合の画像データ22を画像として示す図である。図4Aの画像データ22は、テンプレート20Cに対応するパターンの全域を完全に含んでいるが、テンプレート20Bに対応するパターンの一部分しか含んでいない。このような場合でも、マッチング判定閾値を低くすることにより、テンプレート20Bにマッチングする部分を検出することは可能である。テンプレート20Cにマッチングした部分の頂点から隣の角部に向かう辺の長さLcは規定値以上であるが、テンプレート20Bにマッチングした部分の頂点から隣の角部に向かう辺の長さLbは規定値未満である。
【0029】
ステップS03で、画角15A内の少なくとも1つの辺の長さが規定値より短いと判定された場合には、画角15A内の辺の長さが規定値と等しいか、または規定値より長くなるように基板50を移動させる(ステップS04)。例えば、図4Aに示した例では、基板50を左方向に移動させればよいことがわかる。基板50の移動中に、処理部12は取得された画像データに対応する画像を表示部14に表示する。
【0030】
ステップS03で、画角15A内の2つの辺の長さが規定値と等しいか、または規定値より長いと判定された場合、またはステップS04の後、処理部12は、画角15A内に規定値と等しいか、または規定値より長い辺を含む状態で取得された画像データ22に基づいて、角部51の位置を検出する(ステップS05)。以下、角部51の位置を検出する処理について、図4Bを参照して説明する。
【0031】
図4Bは、画角15A内に規定値以上の長さの辺を含む状態で取得された画像データ22を画像として示す図である。まず、画像データ22内で、横方向に直線的に延びる辺、及び縦方向に直線的に延びる辺を検出する。この辺の検出には、1本の直線の辺を含むテンプレートを用いたパターンマッチングを用いることができる。その他に、縦方向に明るさが大きく変化している部分の画素からなる画素列に基づいて、横方向に延びる辺を検出することができる。また、横方向に明るさが大きく変化している部分の画素からなる画素列に基づいて、縦方向に延びる辺を検出することができる。
【0032】
処理部12は、検出された2つの辺の延長線上の交点(基準点)28の位置を、角部51の位置として採用する。処理部12は、検出された2つの辺の延長線、及び基準点28を示す情報を表示部14に表示する。例えば、2つの辺の延長線を実線または破線で表示し、両者の交点をプラス記号で表示する。さらに、基準点の座標を示す情報29を表示部14に数字で表示する。
【0033】
次に、図5A図5Dを参照して、上記実施例の優れた効果について説明する。上記実施例では、アライメントマークが形成されていない基板50の位置を検出することができる。さらに、基板50の表裏を反転させても、基板50の位置検出を行うことができる。
【0034】
図5Aは、基板50の角部51の切り落とし部分の形状及び寸法が規格通りであるときの角部51の画像データを画像として示す図である。このように、基板50の形状及び寸法が規格通りであるとき、実施例による方法で、角部51の基準点28の位置を検出することができる。
【0035】
図5Bは、基板50の角部51の切り落とし部分の寸法が規格よりも小さい場合の角部51の画像データを画像として示す図である。斜めの辺、及びその両側の2つの辺を含む1つのテンプレートを用いた場合には、パターンマッチングによって角部51の位置を正確に検出することが困難である。本実施例においては、斜めの辺の両端の頂点を、別々にパターンマッチングすることにより検出するため、斜めの辺の長さがばらついても、角部51を挟む2つの辺を精度よく検出することができる。その結果、基準点28の位置を精度よく検出することができる。
【0036】
図5Cは、基板50の角部51の切り落とし部分の形状が規格から外れた場合の角部51の画像データを画像として図である。図5Cに示した例では、斜めの辺と、角部51を挟む2つの辺とのなす角度が45度からずれている。斜めの辺の両端の頂点を、異なるテンプレート20B、20Cを用いて別々にパターンマッチングすることにより検出するため、斜めの辺が45度からずれていても、斜めの辺の両端の頂点をパターンマッチングにより検出することが容易である。角部51の基準点28は、角部51を挟む2つの辺を延長して決定するため、斜めの辺の方向が45度からずれていても基準点28の位置検出精度は低下しない。
【0037】
図5Dは、基板50の面内回転方向の姿勢が目標とする姿勢からやや傾いている場合の角部51の画像データを画像として示す図である。例えば、角部51を挟む2つの辺が、画角15A(図1)内の縦方向及び横方向に対して傾いている。この場合でも、テンプレート20B、20Cを傾けてパターンマッチングを行うことにより、斜めの辺の両端の角を検出することができる。角部51の基準点28は、角部51を挟む2つの辺を延長して決定するため、2つの辺が縦方向及び横方向に対して傾いていても、基準点28の位置検出精度は低下しない。
【0038】
さらに、実施例においては、角部51を挟む2つの辺を延長して角部51の位置を検出するため、位置の検出結果は角部51の頂点部分の形状に影響を受けない。例えば、製造上のばらつきによって頂点部分が不定形な形状になっている場合でも、角部51の位置を高精度に検出することが可能である。
【0039】
上記実施例では、角部51の位置を算出するための基礎として、画角内に規定値以上の長さの辺を含む画像データ22(図4B)を用いる。このため、この2つの辺の延長線を精度よく確定することができる。その結果、この延長線に基づいて算出される基準点28(図4B)の位置の算出精度を高めることができる。
【0040】
また、上記実施例では、位置検出装置の動作に応じて、撮像装置11A、11B(図1)で撮像された基板50の画像、及びパターンマッチングを行っているときのテンプレートの画像が表示部14に表示される。このため、オペレータは、表示部14に表示された情報から、位置検出装置の動作状況を知ることができる。また、これらの情報から、位置検出装置の動作の正常性を確認することができる。
【0041】
次に、図6を参照して、他の実施例による位置検出装置について説明する。以下、図1図5Dに示した実施例と共通の構成については説明を省略する。
【0042】
図6は、本実施例による位置検出装置の処理部12が実行する位置検出処理のフローチャートである。ステップS01及びS02の処理は、図2に示した実施例のステップS01及びS02の処理と同一である。
【0043】
本実施例においては、ステップS03aにおいて、画角15A内の2つの辺の長さと規定値とを比較して、画角15A内の2つの辺の長さが規定値と等しいか否かを判定する。ここで、画角15A内の2つの辺の長さと規定値との差が、撮像装置11A、11Bによる画像データに基づいて長さを測定するときの測定精度に起因して生じる最大誤差の範囲内である場合には、処理部12は画角15A内の2つの辺の長さと規定値とが等しいと判定する。
【0044】
画角15A内の2つの辺の長さと規定値とが等しくない場合には、処理部12は、画角15A内の2つの辺の長さが規定値と等しくなるように基板50を移動させる(ステップS04a)。
【0045】
ステップS03aで、画角15A内の2つの辺の長さが規定値と等しいと判定された場合、またはステップS04aの後、処理部12は、画角15A内に規定値と等しい長さの2つの辺を含む状態で取得された画像データ22に基づいて、角部51の位置を検出する。ステップS05の処理は、図2に示した実施例のステップS05の処理と同一である。
【0046】
本実施例では、角部51の基準点28(図4B)の画角15A内における位置のばらつきが少なくなる。位置検出毎に、撮像装置11Aのレンズの収差の影響を均等化できるため、位置検出の精度のばらつきを低減することができる。
【0047】
次に、図7A及び図7Bを参照して、さらに他の実施例による位置検出装置について説明する。以下、図1図5Dに示した実施例と共通の構成については説明を省略する。
【0048】
図7Aは、本実施例で位置検出の対象となる基板50の平面図である。図1図5Cに示した実施例で位置検出の対象となる基板50は、角部51が直線的に切り落とされた形状を有しているが、本実施例では、位置検出の対象となる基板50は、角部51が丸く切り取られた形状を有している。
【0049】
図7Bは、図2のステップS02で実行されるパターンマッチングにおいて用いられるテンプレート20A、20B、20Cを画像として示す図である。図7Bのテンプレート20A、20B、20Cは、それぞれ図3Bのテンプレート20A、20B、20Cに対応する。本実施例では、基板50の角部51の丸形状に応じて、テンプレート20A、20B、20Cのパターンも丸味を帯びている。
【0050】
図7Bに示したテンプレート20A、20B、20Cを用いることにより、角部51が丸味を帯びている基板50の位置検出を行うことができる。
【0051】
次に、図8図9Bを参照して、さらに他の実施例による位置検出装置について説明する。以下、図1図5Dに示した実施例と共通の構成については説明を省略する。
【0052】
図8は、本実施例による位置検出装置が実行する位置検出処理のフローチャートである。基板50を支持部10に支持する処理(ステップS11)、及び第1角部を画角内に引き込む処理(ステップS12)は、それぞれ図2に示したステップS01及びS02の処理と同一である。
【0053】
本実施例においては、第1角部を画角内に引き込んだ後、処理部12は、第1角部に対して1つの辺を介して隣り合う第2角部を画角内に引き込む(ステップS13)。例えば、第1角部を画角15A(図1)内に引き込んだ場合には、第2角部を画角15B内に引き込む。第2角部を画角15B内に引き込む処理には、図2のステップS02の処理と同一の手法を適用することができる。
【0054】
図9Aは、ステップS13を実行する時点の画角15A、15Bと、基板50との位置関係を示す平面図である。画角15Bの原点から画角15Aの原点を向く方向を基準方向(x方向)と定義する。この時点で基板50の各辺は基準方向に対して傾いている。
【0055】
処理部12は、第1角部を画角内に引き込んだ状態、及び第2角部を画角内に引き込んだ状態から、2つの角部の相対的位置関係を算出することにより、基板50の面内回転方向の姿勢を検出する(ステップS14)。処理部12は、基板50の面内回転方向の姿勢の検出結果に基づいて支持部10を回転させることにより、基板50の面内回転方向に関して位置合わせを行う(ステップS15)。
【0056】
図9Bは、ステップS15を実行した後の画角15A、15Bと、基板50との位置関係を示す平面図である。基板50のひと組の辺が基準方向に対して平行になっている。
【0057】
基板50の面内回転方向の位置合わせを行った後、処理部12は、第1角部の位置を再度検出する(ステップS16)。第1角部の位置は、図2のステップS02からS05までの手順と同一の手順により検出することができる。同様に、処理部12は、第2角部の位置を再度検出する(ステップS17)。
【0058】
図8図9Bに示した実施例では、図9Bに示したように、基板50の面内回転方向に関する位置合わせを行うとともに、面内の2方向に関する基板50の位置を検出することができる。
【0059】
次に、図10を参照して、さらに他の実施例による位置検出装置について説明する。以下、図1図8に示した実施例と共通の構成については説明を省略する。
【0060】
図10は、本実施例による位置検出装置が実行する位置検出処理のフローチャートである。まず、基板50を、第1の面を上に向けて支持部10(図1)の支持面に支持させる(ステップS21)。この処理は、図2に示したステップS01の処理と同一である。
【0061】
処理部12は、基板50の位置を検出する(ステップS22)。この位置検出処理は、図2に示したステップS02からS05、または図8に示したステップS12からS16までの処理と同一である。
【0062】
次に、処理部12は、画角内の2つの辺の長さが規定値以上であるときの角部51の画像データからテンプレートを作成する(ステップS23)。以下、テンプレートの作成処理について説明する。ステップS05(図2)において角部51の位置を検出するために用いた画像データ22(図4B)とテンプレート20B、20C(図3B)とのパターンマッチングを行い、実際の画像データ22から、テンプレート20B、20Cに対応する部分の画像を切り出す。切り出した画像を鏡像変換してテンプレートとし、記憶部13に記憶する。画像データ22から切り出した画像に基づいて作成したテンプレートを、基板50の規格形状に基づいて作成したテンプレート20A、20B、20C(図3B)と区別して動的テンプレートということとする。
【0063】
動的テンプレートを作成した後、処理部12は、基板50の第1の面の処理を行う(ステップS24)。例えば、第1の面に向かってインクジェットヘッドからインクを吐出させ、所望の平面形状の絶縁樹脂膜を形成する。
【0064】
第1の面の処理が終了すると、基板50の表裏を反転させ(ステップS25)、第1の面とは反対の第2の面を上に向ける。表裏の反転は、例えば処理部12がロボットアームを制御して行う。なお、人手で表裏を反転させるようにしてもよい。
【0065】
処理部12は、第2の面が上に向いた状態の基板50の位置を検出する(ステップS26)。この位置検出処理においては、図2に示したステップS02からS05までの処理を実行する際に、テンプレート20A、20B、20C(図3B)に代えて、ステップS23で作成した動的テンプレートを用いる。より具体的には、基板50の画像データから特定の箇所を探索するとき、第1の面を撮像して得られた画像データの対応する箇所から切り出された動的テンプレートを用いる。
【0066】
基板50の位置検出後、処理部12は、基板50の第2の面の処理を行う(ステップS27)。
【0067】
図10に示した実施例では、ステップS26において動的テンプレートを用いて基板50の位置を検出する。このため、角部51の形状が規格形状から外れている場合であっても、パターンマッチングの精度の低下を抑制することができる。その結果、第1の面と第2の面との間の相対的な位置合わせ精度を高めることができる。
【0068】
次に、図11A及び図11Bを参照して、さらに他の実施例による位置検出装置について説明する。以下、図1図5Dに示した実施例と共通の構成については説明を省略する。
【0069】
図11Aは、本実施例による位置検出装置を用いて位置を検出する対象となる基板50の平面図である。基板50の角部51は切り落とされておらず、ほぼ直角の頂点が現れている。
【0070】
図11Bは、位置検出時のパターンマッチングに用いられるテンプレート20を画像として示す図である。図1図5Dに示した実施例では、角部51を検出する際(ステップS02、S05)のパターンマッチングにおいて2つのテンプレート20B、20C(図4B)を用いた。これに対し、本実施例では、角部51を検出する際のパターンマッチングにおいて1つのテンプレート20(図11B)を用いる。
【0071】
本実施例においても、角部51の位置検出を行う基礎となる画像データにおいて、画角内の2つの辺の長さが規定値以上になっているため(ステップS03)、角部51の基準点28(図4B)の位置の検出精度を高めることができる。
【0072】
次に、図12A及び図12Bを参照して、さらに他の実施例による位置検出装置について説明する。以下、図1図5D、及び図8図9Bに示した実施例と共通の構成については説明を省略する。
【0073】
図12A及び図12Bは、本実施例による位置検出装置の概略斜視図である。図1に示した実施例では、基板50の2つの角部51に対応させて2つの撮像装置11A、11Bを配置したが、本実施例では、1つの撮像装置11Aのみが配置されている。図8に示した実施例では、ステップS12において第1角部を撮像装置11Aの画角15A内に引き込み、ステップS13において第2角部を撮像装置11Bの画角15B内に引き込んだ。
【0074】
本実施例においては、ステップS12において、図8の実施例と同様に、第1角部51を撮像装置11Aの画角15A内に引き込む(図12A)。ステップS13においては、基板50を並進移動させて、第2角部51を撮像装置11Aの画角15A内に引き込む(図12B)。
【0075】
その後、ステップS16において、第1角部51を撮像装置11Aの画角15A内に引き込んで、第1角部51の位置を検出する処理を実行する。ステップS17においては、第2角部51を撮像装置11Aの画角15A内に引き込んで、第2角部51の位置を検出する処理を実行する。
【0076】
図12A及び図12Bに示したように、1つの撮像装置11Aのみを用いて、基板50の2つの角部の位置を検出することができる。本実施例では、図12Aの状態から図12Bの状態に至る基板50の移動方向を、図9A及び図9Bに示した基準方向(x方向)と定義するとよい。
【0077】
次に、図13を参照して、上述の実施例による位置検出装置を搭載した膜形成装置について説明する。
【0078】
図13は、本実施例による膜形成装置の概略正面図である。基台30に移動機構31を介して支持部10が支持されている。支持部10は、図1に示した実施例の支持部10に相当する。支持部10の上面(支持面)に基板50が支持される。移動機構31は、支持部10を支持面に平行な2次元方向に移動させ、支持面に平行な面内方向に回転させることができる。通常、支持部10の支持面は水平に保たれる。
【0079】
支持部10に支持された基板50の上方に複数のインクジェットヘッド33及び複数の撮像装置11A、11Bが配置されている。インクジェットヘッド33及び撮像装置11A、11Bは、門型フレーム32により基台30に支持されている。撮像装置11A、11Bは、それぞれ昇降機構17A、17Bにより昇降可能である。インクジェットヘッド33の各々に複数のノズル孔が設けられている。ノズル孔から基板50に向けて膜材料の液滴が吐出される。
【0080】
撮像装置11A、11Bは、支持部10に支持された基板50の一部分を撮像し、取得された2次元画像の画像データを処理部12に送信する。撮像装置11A、11B、及び処理部12が、それぞれ図1に示した実施例の撮像装置11A、11B、及び処理部12に相当する。さらに、処理部12は、昇降機構17A、17Bを制御して撮像装置11A、11Bを昇降させることにより、撮像装置11A、11Bのピント位置を調整することができる。
【0081】
処理部12は、形成すべき膜の形状を定義する画像データに基づいて、移動機構31及びインクジェットヘッド33を制御する。付着した液状の膜材料を硬化させることにより膜を形成することができる。これにより、基板50に所望の形状の膜を形成することができる。膜材料として、光硬化性の樹脂、熱硬化性の樹脂等を用いることができる。インクジェットヘッド33の側方に、基板50に付着した膜材料を硬化させる光源または熱源が配置されている。
【0082】
入力部16から処理部12に、種々のコマンドやデータが入力される。入力部16には、例えばキーボード、ポインティングデバイス、USBポート、通信装置等が用いられる。表示部14に、膜形成装置の動作に関する種々の情報が出力される。表示部14には、例えば液晶ディスプレイ等が用いられる。なお、表示部14として、外部の表示装置に表示すべき画像データを送信する通信装置を用いてもよい。
【0083】
本実施例では、図1図12に示したいずれかの実施例による方法で基板50の位置を検出する。これにより、高精度に位置を検出することができる。
【0084】
各実施例は例示であり、異なる実施例で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。複数の実施例の同様の構成による同様の作用効果については実施例ごとには逐次言及しない。さらに、本発明は上述の実施例に制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【符号の説明】
【0085】
10 支持部
11A、11B 撮像装置
12 処理部
13 記憶部
14 表示部
15A、15B 画角
16 入力部
17A、17B 昇降機構
20、20A、20B、20C テンプレート
22 画像データ
28 角部の基準点
29 基準点の座標を示す情報
30 基台
31 移動機構
32 門型フレーム
33 インクジェットヘッド
50 基板
51 角部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13