(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
原液と噴射剤とがエアゾール容器に充填されたフォーム状皮膚洗浄料であって、前記原液が、下記成分A、下記成分B、下記成分C、下記成分D、下記成分E、及び下記成分Fを含有し、
前記成分Dがキサンタンガムを含み、
前記原液中の、前記成分Aの含有量が0.5〜15.0質量%、前記成分Bの含有量が1.0〜7.0質量%、前記成分Cの含有量が0.1〜10.0質量%、前記成分Dの含有量が0.05〜2.0質量%、前記成分Eの含有量が3.0〜40.0質量%、前記成分Fの含有量が18.0〜90.0質量%であることを特徴とするフォーム状皮膚洗浄料。
成分A:N−アシルアミノ酸塩
成分B:モノラウリン酸ポリグリセリル及び/又はモノミリスチン酸ポリグリセリル
成分C:モノラウリン酸グリセリル、モノカプリル酸グリセリル、及びモノカプリン酸グリセリルからなる群より選択される1種以上
成分D:キサンタンガム及び/ 又はセルロース系増粘剤
成分E:多価アルコール
成分F:水
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のフォーム状皮膚洗浄料は、原液と噴射剤とがエアゾール容器に充填されているものである。すなわち、本発明のフォーム状皮膚洗浄料は、エアゾール容器と、上記エアゾール容器に充填された原液と、上記エアゾール容器に充填された噴射剤とを少なくとも備える。本発明のフォーム状皮膚洗浄料は、使用時、すなわちエアゾール容器から吐出される際に、及び/又は、対象に付着した後に、泡(フォーム)を形成するものである。
【0014】
上記原液は、N−アシルアミノ酸塩、ポリグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、キサンタンガム及び/又はセルロース系増粘剤、多価アルコール、及び水を必須成分として含有する。上記原液は、上記必須成分に加えて、さらに、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルを含有してもよい。本明細書においては、上記「N−アシルアミノ酸塩」を「成分A」と称する場合がある。また、上記「ポリグリセリン脂肪酸エステル」を「成分B」と称する場合がある。また、上記「モノグリセリン脂肪酸エステル」を「成分C」と称する場合がある。また、上記「キサンタンガム及び/又はセルロース系増粘剤」を「成分D」と称する場合がある。また、上記「多価アルコール」を「成分E」と称する場合がある。また、上記「水」を「成分F」と称する場合がある。また、上記「ポリエチレングリコール脂肪酸エステル」を「成分G」と称する場合がある。上記原液は、さらに上記成分A〜G以外の成分(その他の成分)を含有してもよい。成分A〜Gやその他の成分は、それぞれ、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0015】
(成分A:N−アシルアミノ酸塩)
上記成分Aは、N−アシルアミノ酸塩である。成分Aは、アニオン界面活性剤であり、洗浄成分として作用しフォーム状皮膚洗浄料の洗浄力を高めるとともに、フォーム状皮膚洗浄料の起泡力を向上させる。成分Aは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0016】
成分Aにおけるアシル基としては、特に限定されないが、炭素数8〜24の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族アシル基等が挙げられ、例えば、オクタノイル基、デカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、イソステアロイル基、オレオイル基、リノレオイル基、ベヘニル基、ヤシ油脂肪酸由来のアシル基(以下、ヤシ油脂肪酸アシル基という)、パーム油脂肪酸由来のアシル基(以下、パーム脂肪酸アシル基という)等が挙げられる。
【0017】
成分Aにおけるアミノ酸としては、例えば、グリシン、ジメチルグリシン、トリメチルグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、ヒスチギン、リジン、サルコシン等が挙げられる。中でも、炭酸ガスを含有した系でも起泡力が良好であり、かつ良好な洗浄力を有する観点から、アスパラギン酸、グルタミン酸が好ましく、アスパラギン酸がより好ましい。
【0018】
成分Aは、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩等である。
【0019】
上記成分Aは、中でも、起泡力、洗浄力の観点から、N−アシルアスパラギン酸塩、N−アシルグルタミン酸塩が好ましく、例えば、ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム(N−ラウロイル−L−アスパラギン酸ナトリウム)、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0020】
原液100質量%中の、成分Aの含有量は、特に限定されないが、起泡力、洗浄力の観点から、0.5〜15.0質量%が好ましく、より好ましくは1.0〜10.0質量%、さらに好ましくは1.0〜5.0質量%である。上記含有量が0.5質量%以上であることにより起泡力、洗浄力がより一層向上し、上記含有量が15.0質量%以下であることにより洗い上がりのつっぱり感の無さがより一層向上する。上記含有量は、原液中に含まれる全ての成分Aの含有量の合計量である。
【0021】
(成分B:ポリグリセリン脂肪酸エステル)
上記成分Bは、ポリグリセリン脂肪酸エステルである。成分Bは、フォーム状皮膚洗浄料の濃密でクリーミーな泡(すなわち、細かく、高密度に形成した泡)の形成性を高める。また、フォーム状皮膚洗浄料の起泡力を向上させる。成分Bは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0022】
上記成分Bとしては、例えば、モノステアリン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸テトラグリセリル、モノオレイン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸モノエステル;ジオレイン酸ジグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸ジエステル;トリステアリン酸テトラグリセリル、トリステアリン酸ヘキサグリセリル、トリステアリン酸デカグリセリル、トリオレイン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸トリエステル;ペンタステアリン酸テトラグリセリル、ペンタオレイン酸テトラグリセリル、ペンタステアリン酸ヘキサグリセリル、ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸ペンタエステル等が挙げられる。中でも、濃密でクリーミーな泡を形成しやすくする観点から、ポリグリセリン脂肪酸モノエステルが好ましい。
【0023】
成分Bにおけるポリグリセリンの平均重合度は、特に限定されないが、濃密でクリーミーな泡を形成しやすくする観点から、好ましくは3〜20、より好ましくは6〜15である。
【0024】
成分Bにおける脂肪酸は、濃密でクリーミーな泡を形成しやすくする観点から、炭素数が8〜24の脂肪酸が好ましく、より好ましくは炭素数が10〜20の脂肪酸、さらに好ましくは炭素数が12〜18の脂肪酸である。成分Bにおける脂肪酸としては、例えば、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等が挙げられ、ミリスチン酸、ラウリン酸が好ましい。
【0025】
成分Bとしては、モノミリスチン酸デカグリセリル(ミリスチン酸ポリグリセリル−10)、モノラウリン酸デカグリセリル(ラウリン酸ポリグリセリル−10)が特に好ましい。
【0026】
原液100質量%中の、成分Bの含有量は、特に限定されないが、濃密でクリーミーな泡を形成しやすくする観点から、0.1〜15.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10.0質量%、さらに好ましくは1.0〜7.0質量%である。上記含有量が0.1質量%以上であることにより泡質がより一層向上し、上記含有量が15.0質量%以下であることにより洗い上がりのべたつきのなさがより一層向上する。上記含有量は、原液中に含まれる全ての成分Bの含有量の合計量である。
【0027】
(成分C:モノグリセリン脂肪酸エステル)
上記成分Cは、モノグリセリン脂肪酸エステルである。成分Cは、形成した泡をつぶれにくくし、フォーム状皮膚洗浄料の泡もち(泡の持続性)を向上させる。特に、水の存在下でもフォーム状皮膚洗浄料の泡もち(泡の持続性)を向上させることができる。成分Cは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0028】
上記成分Cとしては、例えば、モノラウリン酸グリセリル、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル等のモノグリセリン脂肪酸モノエステル;ジカプリン酸グリセリル、ジラウリン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル等のモノグリセリン脂肪酸ジエステルが挙げられる。中でも、泡もちを向上させる観点から、モノグリセリン脂肪酸モノエステルが好ましい。
【0029】
成分Cにおける脂肪酸は、泡もちを向上させる観点から、炭素数が6〜22の脂肪酸が好ましく、より好ましくは炭素数が6〜16の脂肪酸、さらに好ましくは炭素数が8〜12の脂肪酸である。成分Cにおける脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸等が挙げられ、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸が好ましい。
【0030】
成分Cとしては、モノラウリン酸グリセリル、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリルが特に好ましい。
【0031】
原液100質量%中の、成分Cの含有量は、特に限定されないが、泡もちを向上させる観点から、0.1〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5.0質量%、さらに好ましくは0.5〜3.0質量%である。上記含有量が0.1質量%以上であることにより泡もちがより一層向上し、上記含有量が10.0質量%以下であることにより洗い上がりのつっぱりの無さがより一層向上する。上記含有量は、原液中に含まれる全ての成分Cの含有量の合計量である。
【0032】
(成分D:キサンタンガム及び/又はセルロース系増粘剤)
上記成分Dは、キサンタンガム及び/又はセルロース系増粘剤、即ち、キサンタンガム及びセルロース系増粘剤のうちの一方又は両方である。成分Dは、形成した泡をつぶれにくくし、フォーム状皮膚洗浄料の泡もち(泡の持続性)を向上させる。特に、エアゾール剤型で用いることにより、上記効果を発揮しやすい。成分Dをポンプ式のフォーマー容器に充填される洗浄料に配合する場合には、泡の形成が不十分となり、濃密でクリーミーな泡を形成しにくくなりやすい。成分Dは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0033】
上記セルロース系増粘剤としては、特に限定されないが、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが挙げられる。上記の中でも、ヒドロキシエチルセルロースが好ましい。成分Dとしては、他の界面活性剤とのコンプレックスや不溶物を形成しにくく安定性に優れる観点から、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロースが好ましく、キサンタンガムが特に好ましい。
【0034】
原液100質量%中の、成分Dの含有量は、特に限定されないが、泡もちを向上させる観点から、0.05〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0質量%、さらに好ましくは0.1〜0.5質量%である。上記含有量が0.05質量%以上であることにより泡もちがより一層向上し、上記含有量が2.0質量%以下であることにより洗い上がりのぬるつきの無さがより一層向上する。上記含有量は、原液中に含まれる全ての成分Dの含有量の合計量である。
【0035】
(成分E:多価アルコール)
上記成分Eは、多価アルコールである。成分Eは、泡質(濃密でクリーミーな泡質)をより一層向上する効果を有する。また、洗い上がりのしっとり感を向上させる効果を有する。上記成分Eは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0036】
成分Eとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール(1,3−ブタンジオール)、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、グリセリン(1,2,3−プロパントリオール)、ジグリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール、マルチトール、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド等が挙げられる。上記ポリエチレングリコールの数平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは50〜10000、より好ましくは100〜5000である。上記の中でも、泡質向上の観点から、グリセリン、ポリエチレングリコールが好ましい。
【0037】
原液100質量%中の、成分Eの含有量は、泡質をより一層向上させる観点から、3.0〜40.0質量%が好ましく、より好ましくは5.0〜30.0質量%である。上記含有量が3.0質量%以上であることにより泡質がより一層向上し、上記含有量が40.0質量%以下であることにより洗い上がりのぬるつきの無さがより一層向上する。上記含有量は、原液中に含まれる全ての成分Eの含有量の合計量である。
【0038】
(成分F:水)
上記成分Fは水であり、特に限定されないが、精製水が好ましい。原液100質量%中の、成分Fの水の含有量は、良好な泡を形成する観点から、18.0〜96.25質量%が好ましく、より好ましくは50.0〜90.0質量%、さらに好ましくは60.0〜80.0質量%である。
【0039】
(成分G:ポリエチレングリコール脂肪酸エステル)
上記成分Gは、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルである。成分Gは、フォーム状皮膚洗浄料の泡もちと泡質のより一層の向上に効果的である。上記成分Gは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0040】
成分Gとしては、例えば、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノイソステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール等のモノ脂肪酸ポリエチレングリコール;ジラウリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコール等のジ脂肪酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。中でも、泡質、泡もちを高める観点から、モノ脂肪酸ポリエチレングリコールが好ましい。
【0041】
成分Gにおける脂肪酸は、特に限定されないが、炭素数が8〜24の脂肪酸が好ましく、より好ましくは炭素数が10〜20の脂肪酸、さらに好ましくは炭素数が12〜18の脂肪酸である。成分Gにおける酸化エチレンの平均付加モル数は、特に限定されないが、100〜300が好ましく、より好ましくは120〜280である。
【0042】
原液100質量%中の、成分Gの含有量は、泡質、泡もちを高める観点から、0.05〜3.0質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜2.0質量%、さらに好ましくは0.5〜1.5質量%である。上記含有量が0.05質量%以上であることにより泡質、泡もちがより一層向上し、上記含有量が3.0質量%以下であることにより泡がかたくなり過ぎず、泡が適度な弾力性を有するものとなりやすく好ましい。上記含有量は、原液中に含まれる全ての成分Gの含有量の合計量である。
【0043】
上記原液は、特に限定されないが、例えば、界面活性剤(アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤等);香料;エタノール;シクロペンタシロキサン、ハイドロゲンジメチコン、カプリリルメチコン、ジメチコン等のシリコーン油;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、2−エチルヘキサン酸セチル等の脂肪酸エステル油;高級アルコール;植物油;フェノキシエタノール、オクトキシグリセリン、メチルパラベン等の防腐剤;メントール、メンチルグリセリルエーテル、カンファー、ペパーミント油等の冷感剤;グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸ステアリル等の抗炎症剤;シャクヤク、ボタンピ、ビワ、アロエ等の植物抽出エキス;カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等の増粘性高分子;トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤;アルブチン、アスコルビン酸等の美白剤;シリカ、タルク、ナイロンパウダー等の粉体;ラベンダー油、オレンジ油等の精油;ヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体;N−アセチル−L−ヒドロキシプロリン等のアミノ酸及び/又はアミノ酸誘導体など(但し、成分A〜G以外の成分)を含んでもよい。
【0044】
上記原液は、炭素数が12〜22の高級アルコールを含んでいてもよい。上記高級アルコールの炭素数は14〜18がより好ましい。上記高級アルコールは、泡質をより一層向上する効果を有する。上記高級アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、べへニルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、オレイルアルコールなどが挙げられる。上記の中でも、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールが好ましい。上記高級アルコールは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0045】
原液100質量%中の、上記高級アルコールの含有量は、0.05〜0.5質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜0.3質量%、さらに好ましくは0.1〜0.2質量%である。上記含有量が0.05質量%以上であることにより泡質がより一層向上し、上記含有量が0.2質量%以下であることにより 高級アルコールの析出のリスクをより一層抑制することができる。上記含有量は、原液中に含まれる全ての上記高級アルコールの含有量の合計量である。
【0046】
上記原液は、噴射剤を原液へ乳化しやすくし、経時安定性や泡質をより一層向上させる観点から、成分B、成分C以外のノニオン界面活性剤を含んでいてもよい。上記ノニオン界面活性剤としては、アルキルグリセリルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、グリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、シリコーン界面活性剤などが挙げられる。
【0047】
上記ノニオン界面活性剤としては、乳化特性を向上させる観点から、HLB(hydrophile‐lipophile balance)値が4.5〜9.0のノニオン界面活性剤と、HLB値が9.5〜19.0のノニオン界面活性剤との組み合わせが好ましい。上記のHLB値が4.5〜9.0のノニオン界面活性剤としては、例えば、ヤシ油脂肪酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。上記のHLB値が9.5〜19.0のノニオン界面活性剤としては、例えば、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンセチルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられる。
【0048】
原液100質量%中の、上記ノニオン界面活性剤の含有量は、起泡力を維持する観点から、0.1〜5.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜3.0質量%、さらに好ましくは0.5〜2.0質量%である。上記含有量は、原液中に含まれる全ての上記ノニオン界面活性剤の含有量の合計量である。
【0049】
上記原液は、特に限定されないが、目刺激低減、洗い上がりのつっぱり感低減の特性を求める場合には、高級脂肪酸及び高級脂肪酸塩を含まないか、または、含んでいても少量であることが好ましい。具体的には、原液100質量%中の高級脂肪酸の含有量と高級脂肪酸塩の含有量の合計量が0.1質量%以下(即ち、0〜0.1質量%)であることが好ましく、より好ましくは、0.01質量%以下である。高級脂肪酸や高級脂肪酸塩を実質的に含まないことにより、目に対する刺激性や洗顔後に肌のつっぱり感をより一層低減できるため好ましい。また、高級脂肪酸塩の析出によるエアゾール容器の噴射口の詰まりのおそれがなくなるため、析出抑制のための成分を別途配合する必要がなくなるため、品質設計上やコスト面で有利となる。
【0050】
上記高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の炭素数12〜22の高級脂肪酸;オリーブ油、ヤシ油、パーム油、綿実油等の植物性油脂;魚油、牛脂等の動物性油脂等が挙げられる。また、上記高級脂肪酸塩における塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0051】
上記原液は、常法により製造することができる。例えば、上記した各構成成分を混合し、公知の方法、具体的には、ホモミキサー等で撹拌する方法等が挙げられる。
【0052】
上記噴射剤としては、特に限定されないが、例えば、空気、窒素、炭酸ガス、亜酸化窒素等のガス(特に、圧縮ガス);液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、フロロカーボン等が挙げられる。上記噴射剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。エアゾール容器の内圧の調整が容易である観点から、上記噴射剤は、液化石油ガスを含有することが好ましい。
【0053】
上記液化石油ガスとしては、プロパン、ブタン、イソブタン、イソペンタン等が挙げられる。上記液化石油ガスは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。本発明では、皮膚への刺激が小さいことから、上記液化石油ガスはイソブタンを含有することが好ましい。上記液化石油ガス100体積%中の、イソブタンの含有量は、80.0体積%以上が好ましく、より好ましくは90.0体積%以上である。
【0054】
上記原液と上記噴射剤の合計量100質量%中の、上記液化石油ガスの含有量は、好ましくは1.0〜10.0質量%、より好ましくは1.0〜8.0質量%である。
【0055】
上記噴射剤は、滑らかな泡質を得る観点から、液化石油ガスとともに、炭酸ガスを含有していることが好ましい。通常、液化石油ガス中のイソブタン量が多くなるほど、エアゾール容器の内圧が上がり難くなるが、本発明では、炭酸ガスを併用することにより、イソブタン量が多い液化石油ガスを用いた場合であっても、内圧を上げ、吐出の勢いを強くすることができる。
【0056】
上記原液と上記噴射剤の合計量100質量%中の、上記炭酸ガスの含有量は、好ましくは0.1〜2.0質量%、より好ましくは0.1〜1.5質量%である。
【0057】
上記原液と上記噴射剤の合計量100質量%中の、上記噴射剤の含有量は、好ましくは1.1〜12.0質量%、より好ましくは1.1〜9.5質量%である。
【0058】
本発明のフォーム状皮膚洗浄料は、常法により、エアゾール容器に原液と噴射剤とを充填して、製造することができる。上記エアゾール容器としては、公知慣用のエアゾールスプレー容器を用いることができる。
【0059】
本発明のフォーム状皮膚洗浄料は、起泡力に優れ、刺激が低く、洗い上がりのつっぱり感の生じにくい、N−アシルアミノ酸(成分A)を主たる洗浄成分として用いている。しかし、成分Aは高級脂肪酸石鹸と比べると濃密でクリーミーな泡の形成性の点で不十分であるという問題があった。
上記問題を解決すべく、本発明においては、ポリグリセリン脂肪酸エステル(成分B)とモノグリセリン脂肪酸エステル(成分C)を併用している。成分Bは、比較的嵩高い親水基を有する。これにより、フォーム状皮膚洗浄料の泡形成時に成分Bが気液界面に配向した際、形成するミセルの曲率が大きくなるためと推定されるが、細かな泡を形成しうる。一方、成分Cは、比較的コンパクトな親水基を有するため、成分A及び成分Bが配向したミセルの気液界面において、成分Aや成分Bの隙間に入り込む形で配向することにより界面を安定化させ泡の膜強度を向上させるためと推定されるが、泡の持続性(泡もち)が向上する。
さらに、水溶性の増粘剤であるキサンタンガム及び/又はセルロース系増粘剤(成分D)により、泡の液膜の粘性を高め、泡膜を強固にし、形成した泡をつぶれにくくし、泡もちを向上させている。さらにまた、多価アルコール(成分E)は、ミセル間の水中に存在し、ミセルを形成する成分Bの親水基と相互作用することにより、ミセル同士を安定化させるものと推定されるが、泡質を向上させる。また、保湿効果により、洗い上がりのしっとり感にも寄与する。
加えて、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(成分G)は成分Bと同様に比較的大きな親水基を有し、さらに増粘効果を有するため、これを添加する場合には、泡質及び泡もちをより一層向上させることができる。
【0060】
本発明のフォーム状皮膚洗浄料は、顔等の皮膚を洗浄するために用いられる皮膚洗浄料である。本発明のフォーム状皮膚洗浄料としては、洗顔料、ハンドソープ、ボディソープや頭皮の洗浄料等が挙げられる。本発明のフォーム状皮膚洗浄料は、濃密でクリーミーな泡を吐出することができるため、特に洗顔料等、デリケートな部位の洗浄料にも適している。また、特に水の存在下でも泡もちに優れるため、浴室等の湿度の高い環境下や、手や洗浄部位に水分が付着した状態での洗浄やマッサージ等にも好適に用いることができる。
【実施例】
【0061】
以下に、本発明を実施例等に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
なお、実施例26は参考例として記載するものである。
【0062】
実施例1〜
30及び比較例1〜5
表に記した組成からなる原液をエアゾール容器(φ35mm×105mm、アルミ缶、容器満注量:91ml)に充填し、エアゾールバルブを該容器にクリンチした後、噴射剤をステムより充填し、適したスパウトを装着し、フォーム状皮膚洗浄料を得た。なお、エアゾール容器に充填した原液と噴射剤の合計量は40gであった。噴射剤は、LPG(イソブタン100%)と炭酸ガスの混合物であり、LPGと炭酸ガスの質量比は3.0:0.5(LPG:炭酸ガス)であった。原液と噴射剤の質量比は96.5:3.5(原液:噴射剤)であった。
【0063】
実施例、比較例における各原料の詳細は次の通りである。なお、表に記載の量は商品の量ではなく、各成分の量(有効成分の量)である。
【0064】
N−ラウロイル−L−アスパラギン酸ナトリウム:旭化成ケミカルズ社製、商品名「アミノサーファクトFLDS−L」
N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム:旭化成ケミカルズ社製、商品名「アミノサーファクトACDS−L」
モノミリスチン酸デカグリセリル:青木油脂工業社製、商品名「グリサーフ 10MM」
モノラウリン酸デカグリセリル:日本サーファクタント工業社製、商品名「DECAGLYN1−L」
モノラウリン酸グリセリル:太陽化学社製、商品名「サンソフトNo.750−C」
モノカプリル酸グリセリル:太陽化学社製、商品名「サンソフトNo.700P−2−C」
モノカプリン酸グリセリル:太陽化学社製、商品名「サンソフトNo.760−C」
キサンタンガム:DSP五協フード&ケミカル社製、商品名「エコーガムT」
ヒドロキシエチルセルロース:ダイセル社製、商品名「HECダイセルSE400」
グリセリン:阪本薬品工業社製、商品名「化粧用濃グリセリン」
ジプロピレングリコール:シェルケミカルズジャパン社製、商品名「ジプロピレングリコールS」
ポリエチレングリコール:三洋化成工業社製、商品名「PEG−1500」、数平均分子量1500
モノステアリン酸ポリエチレングリコール:花王社製、商品名「エマノーン3199VB」、酸化エチレンの付加モル数150
ミリスチルアルコール:花王社製、商品名「カルコール4098」
ヤシ油脂肪酸ソルビタン:花王社製、商品名「レオドールスーパーSP−L10」
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン:花王社製、商品名「レオドールTW−S120V」
【0065】
実施例1〜
30及び比較例1〜5で調製したフォーム状皮膚洗浄料について、以下の方法により、「起泡力」、「泡質(濃密でクリーミーな泡か否か)」、「泡もち(泡の持続性)」を評価した。なお、評価は、3名の専門評価員が行った。
【0066】
試験例1:起泡力、泡質の評価
キムタオル(4つ折りタイプ:日本製紙クレシア社製)の上に、各実施例及び各比較例のフォーム状皮膚洗浄料を1秒間吐出した。
吐出後10秒後に、泡の形成性及び形成した泡を目視にて確認し、下記の基準で評価した。評価結果を表に記載した。
【0067】
<起泡力の評価基準>
○(良好):ドーム状に泡が形成していた。
×(不良):発泡が不十分でありドーム状に泡が形成しなかった。
【0068】
<泡質の評価基準>
○(良好):細かな泡が均一かつ高密度に形成しており、全体的にクリーミーな外観であった。
×(不良):泡の表面に比較的大きな気泡が認められ、泡の密度が低く、泡の大きさが不均一であった。
【0069】
試験例2:泡もちの評価
試験例1の評価直後に、ドーム状に形成した泡の上端から約20cm離れた距離から、ポンプ容器(噴霧吐出量:0.5mL/1プッシュ)に充填した精製水を2プッシュ、泡全体に噴霧し、30秒後に泡を目視にて確認し、下記の基準で評価した。評価結果を表に記載した。
【0070】
<泡もちの評価基準>
○(良好):吐出直後の泡形状が維持されていた。
○(良好):吐出直後の泡形状が明らかに崩れていた。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
試験例3:使用感の評価
さらに、実施例1〜
30で調製したフォーム状皮膚洗浄料について、以下の方法により、「使用感」を評価した。なお、評価は、3名の専門評価員が行った。
各実施例及び各比較例のフォーム状皮膚洗浄料を掌に2秒間吐出し、吐出した泡により洗顔を行った。洗顔後の肌の感触より使用感を評価した。
その結果、実施例1〜
30の全てのフォーム状皮膚洗浄料を用いた場合において、目刺激は感じられなかった。また、実施例1〜5、7〜11、13〜17、19〜23、25〜27、29〜
30のフォーム状皮膚洗浄料を用いた場合には、汚れの洗い落ち感とつっぱりのなさの両立した良好な洗い上がりであった。一方、実施例6、18のフォーム状皮膚洗浄料は脱脂力が強く、洗顔後の肌のさっぱり感が少し強すぎ、つっぱり感がやや感じられた。また、一方、実施例12、24、28のフォーム状皮膚洗浄料を用いた場合には、洗顔後の肌にぬるつき又はべたつきがやや感じられた。
【0075】
本発明のフォーム状皮膚洗浄料の処方例を以下に示す。
【0076】
処方例1(洗顔料)
(原液)
L−メントール 0.1質量%
イソプロピルメチルフェノール 0.1質量%
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1質量%
キサンタンガム 0.3質量%
N−ラウロイル−L−アスパラギン酸ナトリウム 3.0質量%
グリセリン 15.0質量%
ソルビトール 5.0質量%
ポリエチレングリコール(PEG1500) 5.0質量%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5質量%
ヤシ油脂肪酸ソルビタン 0.2質量%
セタノール 0.2質量%
モノラウリン酸デカグリセリル 4.0質量%
モノラウリン酸グリセリル 1.5質量%
ヒアルロン酸ナトリウム 0.1質量%
グリセリンモノ2−エチルヘキシルエーテル 0.1質量%
香料 0.1質量%
精製水 残部
合計 100質量%
(噴射剤)
LPG(イソブタン100%) 86.0質量%
炭酸ガス 14.0質量%
合計 100質量%
原液/噴射剤(質量比)=97/3
【0077】
処方例2(ボディ用洗浄剤)
(原液)
L−メントール 0.1質量%
N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム 5.0質量%
ミリスチン酸 0.1質量%
モノステアリン酸ポリエチレングリコール 0.5質量%
ヤシ油脂肪酸ソルビタン 0.5質量%
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1.0質量%
ヒドロキシエチルセルロース 0.3質量%
チャエキス 3.0質量%
ジプロピレングリコール 5.0質量%
グリセリン 5.0質量%
1,3−ブチレングリコール 5.0質量%
フェノキシエタノール 0.1質量%
モノミリスチン酸デカグリセリル 5.0質量%
モノカプリル酸グリセリル 0.5質量%
ラベンダー油 0.1質量%
精製水 残部
合計 100質量%
(噴射剤)
LPG(プロパン1質量%/ブタン99質量%、20℃における蒸気圧0.39MPa)
100質量%
原液/噴射剤(質量比)=95/5
【0078】
処方例3(ボディ用洗浄剤)
(原液)
N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム 5.0質量%
モノラウリン酸ポリエチレングリコール 1.0質量%
ヤシ油脂肪酸ソルビタン 0.5質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(セテス−20) 1.0質量%
キサンタンガム 0.3質量%
アロエエキス 0.1質量%
カンゾウ抽出末 0.1質量%
グリセリン 20.0質量%
ジプロピレングリコール 5.0質量%
マルチトール 5.0質量%
1,2−オクタンジオール 0.1質量%
モノラウリン酸デカグリセリル 4.0質量%
モノカプリン酸グリセリル 2.0質量%
オレンジ油 0.1質量%
精製水 残部
合計 100質量%
(噴射剤)
LPG(イソブタン100%) 86.0質量%
炭酸ガス 14.0質量%
合計 100質量%
原液/噴射剤(質量比)=96/4