(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862087
(24)【登録日】2021年4月2日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】配線基板、配線基板を有する半導体パッケージ、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20210412BHJP
H05K 1/11 20060101ALI20210412BHJP
H05K 3/40 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
H01L23/12 N
H01L23/12 Q
H05K1/11 N
H05K3/40 K
【請求項の数】35
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-241907(P2015-241907)
(22)【出願日】2015年12月11日
(65)【公開番号】特開2017-108039(P2017-108039A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2018年8月10日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507292184
【氏名又は名称】株式会社アムコー・テクノロジー・ジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】林 直毅
【審査官】
平林 雅行
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−194381(JP,A)
【文献】
特開2015−005681(JP,A)
【文献】
特開2010−287879(JP,A)
【文献】
特表2011−523773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12−23/15
H01L 25/00−25/07
H01L 25/10−25/11
H01L 25/16−25/18
H05K 1/11
H05K 1/18
H05K 3/40−3/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端子と第2の端子と、
前記第1の端子と前記第2の端子を覆う絶縁膜と、
前記絶縁膜と前記第2の端子の上に位置し、前記第1の端子上に位置しない第1の層と、
前記第1の層に形成され、前記第2の端子と重なる開口部と、
前記絶縁膜を貫通し、前記第1の端子の少なくとも一部を露出する第1のビアと、
前記開口部から前記絶縁膜を貫通して延伸し、前記第2の端子の少なくとも一部を露出する第2のビアと、
前記第1のビア内に位置する第1の部分、および前記第1の層上に位置し前記開口部と前記第2のビア内に位置する第2の部分を有する第2の層を備え、
前記第2の層の前記第1の部分は第1の導電経路を形成し、
前記第2の層の前記第2の部分と前記第1の層は第2の導電経路を形成し、
前記第1の導電経路は前記第1の層を含まない、配線基板。
【請求項2】
前記第2の層の前記第2の部分は、前記第1の層の上面と重なり、
前記第2の層の前記第2の部分は、前記第1の層の前記上面上における第1の厚さ、および前記第2のビア内における第2の厚さを有し、
前記第1の厚さは前記第2の厚さよりも小さい、請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記第1の層は第3の厚さを有し、
前記第1の厚さは前記第3の厚さよりも小さい、請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記第1の層は、パターニングされた金属板を有する、請求項1に記載の配線基板。
【請求項5】
前記絶縁膜の上面は、前記第2のビアと前記第1の層の間に凹部を有する、請求項1に記載の配線基板。
【請求項6】
前記開口部は第1の深さを有し、
前記第2のビアは、前記第1の深さと異なる第2の深さを有する、請求項1に記載の配線基板。
【請求項7】
前記第1の層は、前記開口部を定義する側面を有し、
前記側面は、第1の傾斜を有する第1部分を有し、
前記側面は、前記第1部分と接続され、第2の傾斜を有する第2部分を有する、請求項1に記載の配線基板。
【請求項8】
前記第1の層と前記第2の層は、互いに導電率が異なる、請求項1に記載の配線基板。
【請求項9】
前記第1の層と前記第2の層が銅を含む、請求項1に記載の配線基板。
【請求項10】
第1の端子と第2の端子を有する半導体デバイスと、
前記第1の端子と前記第2の端子を覆う絶縁膜と、
前記絶縁膜と前記第2の端子の上に位置し、前記第1の端子上に位置せず、前記第2の端子と重なる複数の開口部を有する第1の層と、
前記絶縁膜を貫通し、前記第1の端子を露出する第1のビアと、
前記複数の開口部から前記絶縁膜を貫通して延伸し、前記第2の端子を露出する複数の第2のビアと、
前記第1のビア内に位置する第1の部分、および前記第1の層上に位置し前記複数の開口部と前記複数の第2のビア内に位置する第2の部分を有する第2の層を備え、
前記第2の層の前記第1の部分は、前記半導体デバイスに対して小電流導電経路を形成し、
前記第2の層の前記第2の部分と前記第1の層は、前記半導体デバイスに対して大電流導電経路を形成する、半導体パッケージ。
【請求項11】
前記第2の層の前記第2の部分は、前記第1の層の上面と重なり、
前記第2の層の前記第2の部分は、前記第1の層の前記上面上における第1の厚さ、および前記第2のビア内における第2の厚さを有し、
前記第1の厚さは前記第2の厚さよりも小さい、請求項10に記載の半導体パッケージ。
【請求項12】
前記第1のビアは、横方向において、前記第1の層の最近接端から離隔する、請求項10に記載の半導体パッケージ。
【請求項13】
前記第1の層は、前記絶縁膜に固定された金属板を含む、請求項10に記載の半導体パッケージ。
【請求項14】
前記絶縁膜の上面は、前記複数の第2のビアの各々と対応する前記開口部との間に凹部を有する、請求項10に記載の半導体パッケージ。
【請求項15】
前記複数の開口部はそれぞれ第1の幅を有し、
前記複数の第2のビアはそれぞれ、前記第1の幅よりも小さい第2の幅を有する、請求項10に記載の半導体パッケージ。
【請求項16】
前記第2の層の前記第2の部分は、前記第1の層の側面と重なる、請求項10に記載の半導体パッケージ。
【請求項17】
前記第1の層と前記第2の層が銅を含む、請求項10に記載の半導体パッケージ。
【請求項18】
前記第1の層と前記第2の層は、互いに導電率が異なる、請求項10に記載の半導体パッケージ。
【請求項19】
第1の端子と第2の端子を準備し、
前記第1の端子と前記第2の端子を覆うように絶縁膜を形成し、
前記第2の端子上に位置し、前記第1の端子上に位置せず、前記第2の端子上において前記絶縁膜を露出する開口部を有する第1の層を形成し、
前記絶縁膜を貫通し、前記第1の端子の少なくとも一部を露出する第1のビアを形成し、
前記開口部から延伸し、前記絶縁膜を貫通し、前記第2の端子の少なくとも一部を露出する第2のビアを形成し、
前記第1のビア内に位置する第1の部分、および前記第1の層上に位置し前記開口部と前記第2のビア内に位置する第2の部分を有する第2の層を形成することを含み、
前記第2の層の前記第1の部分は第1の導電経路を形成し、
前記第2の層の前記第2の部分と前記第1の層は第2の導電経路を形成し、
前記第1の導電経路は前記第1の層を含まない、配線基板の製造方法。
【請求項20】
第1の端子と第2の端子を準備し、
前記第1の端子と前記第2の端子を覆うように絶縁膜を形成し、
前記絶縁膜を形成した後に、第1の層と第2の層を備える配線を前記絶縁膜の上に形成することを含み、
前記配線の前記形成は、
前記絶縁膜に金属板を接合することで前記第1の層を形成し、
前記絶縁膜を露出する開口部を前記金属板に形成し、
前記金属板の前記開口部を介して前記第1の端子と第2の端子を露出するビアを前記絶縁膜に形成し、
前記第1の端子、第2の端子、および前記第1の層の上に、前記第1の端子、第2の端子、および前記第1の層と接する前記第2の層を電解めっき法によって形成することを含む、配線基板の製造方法。
【請求項21】
前記第2のビア内における前記第2の層の前記第2の部分の膜厚は、前記第1の層と重なる領域における前記第2の層の前記第2の部分の膜厚よりも大きい、請求項19に記載の配線基板の製造方法。
【請求項22】
前記第1の層の膜厚は、前記第1の層と重なる領域における前記第2の層の前記第2の部分の膜厚よりも大きい、請求項19に記載の配線基板の製造方法。
【請求項23】
前記第1の層の前記形成は、
前記絶縁膜に金属板を接合し、
前記金属板が前記第2の端子と重なり、前記第1の端子と重ならず、前記開口部を与えるように、前記金属板を部分的に除去することを含む、請求項19に記載の配線基板の製造方法。
【請求項24】
前記金属板は凹部を有し、
前記ビアは前記凹部上に位置する、請求項20に記載の配線基板の製造方法。
【請求項25】
前記第1の層と前記第2の層が銅を含む、請求項19または20に記載の配線基板の製造方法。
【請求項26】
前記第1の層と前記第2の層は、互いに導電率が異なる、請求項19または20に記載の配線基板の製造方法。
【請求項27】
第1の端子と第2の端子を有する半導体デバイスを第1の配線上に設置し、
前記第1の配線、前記半導体デバイス、および前記第2の端子上に絶縁膜を形成し、
前記絶縁膜上に、第1の層と第2の層を有する第2の配線を形成することを含み、
前記第2の配線の形成は、
前記絶縁膜を形成した後、前記絶縁膜に金属板を接合させ、
前記金属板の第1の部分が前記第1の配線の上に位置し、前記金属板の第2の部分が前記第2の端子の上に位置するように、かつ、前記金属板の前記第1の部分に前記第1の配線上に位置する第1の開口部を与え、前記金属板の前記第2の部分に前記第2の端子上に位置する第2の開口部を与えるように前記金属板の一部を除去することで前記第1の層を形成し、
前記第1の開口部を介し、前記第1の配線を露出する第1のビアを前記絶縁膜に形成し、
前記第2の開口部を介し、前記第2の端子を露出する第2のビアを前記絶縁膜に形成し、
前記第2の層の第1の部分が前記第1のビアを介して前記第1の配線と接続され、前記第2の層の第2の部分が前記第2のビアを介して前記第2の端子と接続されるように、前記第2の層を電解めっき法で形成することを含み、
前記第2の層の前記第1の部分は、前記第1の配線を介して前記第1の端子に電気的に接続される、半導体パッケージの製造方法。
【請求項28】
前記半導体デバイスは第3の端子を有し、
前記絶縁膜は、前記第3の端子の上に形成され、
前記金属板の前記一部の除去は、前記金属板が前記第3の端子と重ならないように行われ、
前記製造方法はさらに、前記第3の端子を露出するように前記絶縁膜を貫通する第3のビアを形成することを含み、
前記第2の層の形成は、前記第3のビアを介して前記第3の端子と接続される第3の部分を前記第2の層に形成することを含み、
前記第2の層の前記第2の部分と前記金属板の前記第2の部分は第1の導電経路として構成され、
前記第2の層の前記第3の部分は、第2の導電経路として構成され、
前記第2の導電経路は、前記金属板を含まない、請求項27に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項29】
前記第2のビア内における前記第2の層の前記第2の部分の膜厚は、前記金属板の前記第2の部分と重なる領域における前記第2の層の前記第2の部分の膜厚よりも大きい、請求項27に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項30】
前記第1の層の膜厚は、前記第1の層と重なる領域における前記第2の層の膜厚よりも大きい、請求項27に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項31】
前記絶縁膜の上面が、前記第2のビアと前記第1の層の間に凹部を有する、請求項27に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項32】
前記第1のビア内の前記第2の層の膜厚は、前記絶縁膜と重なる領域における前記第2の層の膜厚よりも大きい、請求項27に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項33】
前記第2の層の前記第1の部分は、前記第1のビアを充填し、前記第1のビアにおいて前記絶縁膜と直接接する、請求項27に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項34】
前記第1の層と前記第2の層が銅を含む、請求項27に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項35】
前記第1の層と前記第2の層は、互いに導電率が異なる、請求項27に記載の半導体パッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板、該配線基板を有する半導体パッケージや積層型半導体パッケージ、およびこれらの製造方法に関する。例えば、大電流で駆動されるパワーデバイス用の配線基板、該配線基板を有する半導体パッケージや積層型半導体パッケージ、ならびにこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パワーデバイスは電力の変換と制御を基本機能とする半導体デバイスである。家電やOA機器で用いられているインバーターや小型モーターへの応用のみならず、発電所の電力システム、電車や自動車などのモーター駆動システムなどにおける電力の変換や制御を司る重要な役割を担っている。ディスプレイなどに利用される薄膜トランジスタのような半導体デバイスと異なり、パワーデバイスは高電圧で駆動され、大電流が印加される。したがって、大電流による配線からの発熱に対する対策が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−219267号公報
【特許文献2】特開2005−79462号公報
【特許文献3】特開2015−162516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明では、大電流を印加することが可能な厚い配線層と、微細加工が可能な薄い配線層が同一層に共存する配線基板、ならびにその作製方法を提供することを目的の一つとする。あるいは、上記配線基板を含む半導体パッケージ、積層型半導体パッケージ、ならびにパワーデバイス用積層型半導体パッケージを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、第1の配線上に位置し、かつビアを有する絶縁膜と、絶縁膜上の第2の配線を有する配線基板である。第2の配線は、第1の層と、第1の層を覆う第2の層を含有する積層構造を有する。第2の層はビアにて第1の配線と直接接している。第1の層と重なる領域における第2の層の厚さは、ビア内の第2の層の厚さと異なる。
【0006】
上記実施形態において、ビア内の第2の層の膜厚は、第1の層と重なる領域における第2の層の膜厚よりも大きくてもよい。第1の層の膜厚は、第1の層と重なる領域における第2の層の膜厚よりも大きくてもよい。第1の層と第2の層は銅を含んでもよい。第1の層と第2の層は、互いに導電率が異なっていてもよい。絶縁膜の上面は、ビアと第1の層の間に凹部を有していてもよい。
【0007】
本発明の一実施形態は、第1の配線上に位置し、かつビアを有する絶縁膜と、絶縁膜上の第2の配線を有する配線基板である。第2の配線は、ビアにおいて第1の配線と直接接する第2の層と、第2の層上に位置し、かつ第2の層と電気的に接続された第1の層を含有する積層構造を有する。絶縁膜と重なる領域における第2の層の厚さは、ビア内の第1の層の厚さと異なる。
【0008】
上記実施形態において、ビア内の第2の層の膜厚は、絶縁膜と重なる領域における第2の層の膜厚よりも大きくてもよい。第1の層の膜厚は、絶縁膜と重なる領域における第2の層の膜厚よりも大きくてもよい。第1の層と第2の層は銅を含んでもよい。第1の層と第2の層は、互いに導電率が異なっていてもよい。
【0009】
本発明の一実施形態は、端子を有する半導体デバイスと、端子上に位置し、かつビアを有する絶縁膜と、絶縁膜上の配線を有する半導体パッケージである。配線は、第1の層と、第1の層を覆う第2の層を含有する積層構造を有する。第2の層はビアで端子と直接接し、第1の層と重なる領域における第2の層の厚さは、ビア内の第2の層の厚さと異なる。
【0010】
上記実施形態において、ビア内の第2の層の膜厚は、第1の層と重なる領域における第2の層の膜厚よりも大きくてもよい。第1の層の膜厚は、第1の層と重なる領域における第2の層の膜厚よりも大きくてもよい。第1の層と第2の層は銅を含んでもよい。第1の層と第2の層は、互いに導電率が異なっていてもよい。絶縁膜の上面は、ビアと第1の層の間に凹部を有していてもよい。
【0011】
本発明の一実施形態は、第1の配線上に位置し、かつ第1の端子と第2の端子を有する半導体デバイスと、第2の端子上に位置し、かつビアを有する絶縁膜と、絶縁膜上の第2の配線を有する半導体パッケージである。第2の配線は、ビアにおいて第2の端子と直接接する第2の層と、第2の層上に位置し、かつ第2の層と電気的に接続された第1の層を含有する積層構造を有する。絶縁膜と重なる領域における第2の層の厚さは、ビア内の第2の層の厚さと異なる。
【0012】
上記実施形態において、ビア内の第2の層の膜厚は、絶縁膜と重なる領域における第2の層の膜厚よりも大きくてもよい。第1の層の膜厚は、絶縁膜と重なる領域における第2の層の膜厚よりも大きくてもよい。第1の層と第2の層は銅を含んでもよい。第1の層と第2の層は、互いに導電率が異なっていてもよい。
【0013】
本発明の一実施形態は、配線基板の製造方法である。該製造方法は、第1の配線上に絶縁膜を形成し、絶縁膜上に、第1の層と第2の層を有する第2の配線層を形成することを含む。第2の配線層の形成は、絶縁膜に金属板を接合させることによって第2の層を形成し、第2の層に開口部を形成して絶縁膜を露出し、絶縁膜にビアを形成して第1の配線を露出し、第1の配線と第2の層上に位置し、かつ第1の配線と第2の層と直接接するように第1の層を電解めっき法によって形成することを含む。
【0014】
上記実施形態において、ビア内の第2の層の膜厚は、第1の層と重なる領域における第2の層の膜厚よりも大きくてもよい。第1の層の膜厚は、第1の層と重なる領域における第2の層の膜厚よりも大きくてもよい。第1の層と第2の層は銅を含んでもよい。第1の層と第2の層は、互いに導電率が異なっていてもよい。
【0015】
本発明の一実施形態は、配線基板の製造方法である。該製造方法は、第1の配線上に絶縁膜を形成し、絶縁膜にビアを形成して第1の配線を露出し、絶縁膜上に、第1の層と第2の層を有する第2の配線を形成することを含む。第2の配線の形成は、第1の配線と絶縁膜上に位置し、かつ第1の配線と絶縁膜と接するように第2の層を電解めっき法によって形成し、第2の層の上に金属板を設置することによって、第2の層と電気的に接続されるように第1の層を形成することを含む。
【0016】
上記実施形態において、ビア内の第2の層の膜厚は、絶縁膜と重なる領域における第2の層の膜厚よりも大きくてもよい。第1の層の膜厚は、絶縁膜と重なる領域における第2の層の膜厚よりも大きくてもよい。第1の層と第2の層は銅を含んでもよい。第1の層と第2の層は、互いに導電率が異なっていてもよい。
【0017】
本発明の一実施形態は、半導体パッケージの製造方法である。該製造方法は、第1の端子と第2の端子を有する半導体デバイスを第1の配線上に設置し、第2の端子上に絶縁膜を形成し、絶縁膜上に、第1の層と第2の層を有する第2の配線を形成することを含む。第2の配線の形成は、絶縁膜に金属板を接合させることによって第2の層を形成し、第2の層に開口部を形成して絶縁膜を露出し、絶縁膜にビアを形成して第1の配線を露出し、第1の配線と第2の層上に位置し、かつ第1の配線と第2の層と直接接するように第1の層を電解めっき法によって形成することを含む。
【0018】
上記実施形態において、ビア内の第2の層の膜厚は、第1の層と重なる領域における第2の層の膜厚よりも大きくてもよい。第1の層の膜厚は、第1の層と重なる領域における第2の層の膜厚よりも大きくてもよい。第1の層と第2の層は銅を含んでもよい。第1の層と第2の層は、互いに導電率が異なっていてもよい。絶縁膜の上面は、ビアと第1の層の間に凹部を有していてもよい。
【0019】
本発明の一実施形態は、半導体パッケージの製造方法である。該製造方法は、第1の端子と第2の端子を有する半導体デバイスを第1の配線上に形成し、第2の端子上に絶縁膜を形成し、絶縁膜上に、第1の層と第2の層を有する第2の配線を形成することを含む。第2の配線の形成は、第1の配線と絶縁膜上に位置し、かつ第1の配線と絶縁膜と接するように第2の層を電解めっき法によって形成し、第2の層の上に金属板を設置することによって、第2の層と電気的に接続されるように第1の層を形成することを含む。
【0020】
上記実施形態において、ビア内の第2の層の膜厚は、絶縁膜と重なる領域における第2の層の膜厚よりも大きくてもよい。第1の層の膜厚は、絶縁膜と重なる領域における第2の層の膜厚よりも大きくてもよい。第1の層と第2の層は銅を含んでもよい。第1の層と第2の層は、互いに導電率が異なっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態の配線基板とその作製方法を示す図。
【
図2】本発明の一実施形態の配線板とその作製方法を示す図。
【
図3】本発明の一実施形態の配線基板とその作製方法を示す図。
【
図4】本発明の一実施形態の配線基板とその作製方法を示す図。
【
図5】本発明の一実施形態の半導体パッケージとその作製方法を示す図。
【
図6】本発明の一実施形態の半導体パッケージとその作製方法を示す図。
【
図7】本発明の一実施形態の半導体パッケージとその作製方法を示す図。
【
図8】本発明の一実施形態の半導体パッケージとその作製方法を示す図。
【
図9】本発明の一実施形態の半導体パッケージとその作製方法を示す図。
【
図10】本発明の一実施形態の半導体パッケージとその作製方法を示す図。
【
図11】本発明の一実施形態の半導体パッケージの回路図。
【
図12】本発明の一実施形態の半導体パッケージの断面模式図。
【
図13】本発明の一実施形態の半導体パッケージの断面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の各実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0023】
また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0024】
以下に記載する各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【0025】
(第1実施形態)
本実施形態では、本発明の一実施形態の配線基板で用いる配線構造、ならびにその作製方法を
図1を参照して説明する。この配線構造は
図1(E)に示すように、大きな電流を流すことができる大きな膜厚を有する層(第1の層125)と、微細加工が可能な小さな膜厚を有する層(第2の層130)が積層され、互いに電気的に接続された配線(第2の配線140)を有している。また、膜厚の小さい第2の層130はビアの中にも形成されている。このような配線構造は、積層された複数の配線層や配線基板を電気的に接続するために利用することができる。
【0026】
具体的には
図1(A)に示すように、第1の配線100上に絶縁膜110を形成する。第1の配線100は例えばガラスやプラスチックなどの絶縁基板上に形成された配線でもよく、ICチップやパワーデバイスに設けられた取り出し配線やパッドでもよい。第1の配線100は金や銅、チタン、モリブデン、アルミニウムなどの金属を含むことができる。絶縁膜110はアクリル樹脂やポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂などの有機材料を用いることができ、スピンコート法、インクジェット法、印刷法などの湿式製膜方法を適用して形成することができる。あるいは、上記樹脂のフィルムを第1の配線100上に設置、圧着(ラミネート加工)して形成してもよい。
【0027】
次に絶縁膜110に金属板120を接合する(
図1(A)、(B))。金属板120には例えば銅や金などを用いることができる。この金属板120の厚さは、配線基板が要求する電流を十分に流すことができる膜厚を選択すればよい。例えば1μmから10mmの膜厚から選択することができ、好ましくは100μmから300μmである。金属板120は、加熱しながら絶縁膜110の上から圧力をかけて接合すればよい。
図1(A)では、金属板120はハーフエッチングなどによって形成された凹部を有している。凹部を形成することで、後述する開口部を形成することが容易になるが、本実施形態はこのような形態に限られることはなく、凹部を持たない、全体が平坦な面を有する金属板120を使用してもよい。
【0028】
次に
図1(C)に示すように、エッチングなどの方法により金属板120に開口部を形成し、絶縁膜110を露出し、同時に第1の層125を形成する。金属板120が凹部を有する場合、凹部と重なる領域(凹部の反対側)からエッチングを行うことで、凹部に対応する位置に容易に開口部を開けることができる。エッチングはドライエッチング、ウエットエッチング、いずれの方法でもよい。
【0029】
次に
図1(D)に示すように、金属板120に開口部を形成することで露出した絶縁膜110に対し、レーザー加工、あるいはエッチングを行い、ビア115を形成する。これにより、第1の配線100の表面が露出する。
【0030】
この後、
図1(E)に示すように、電解めっき法などによって第2の層130を形成する。電解めっき法は例えば電解銅めっき法、電解金メッキ法などを使用すればよく、これにより、銅や金を有する第2の層130が形成される。第1の層125と第2の層130が積層された構造を有する配線が第2の配線140である。
【0031】
この際、第2の層130は第1の層125を覆い、ビア115を埋めるように形成される。換言すると、第1の層125と重なる領域における第2の層130の膜厚は、ビア115内の第2の層130の膜厚と異なっており、後者の方が大きい。なお、ビア115内に形成される第2の層130の膜厚が小さい場合、例えば第2の層130の形成後、あるいは形成前に導電ペーストなどを利用してビア115を埋めてもよい。導電ペーストとしては、金ペースト、銀ペーストなどを用いることができる。この後第2の層130をエッチングなどの方法によって加工し、必要とする回路配線を形成してもよい。
【0032】
第2の層130の膜厚は、第1の層125の膜厚よりも小さくすることができる。具体的には、第1の層125と重なる領域における第2の層130の膜厚は、第1の層125の膜厚よりも小さい。したがって、第2の層130の形成時間を短くすることができ、工程の短縮が可能となる。第2の層130の膜厚は1μmから50μm、好ましくは10μmから30μmとすることができる。
【0033】
第1の層125と第2の層130は、電気抵抗率が異なっていてもよい。あるいは、不純物の濃度が異なっていてもよい。あるいは、密度が異なっていてもよい。
【0034】
なお、第2の層130は電解めっき法以外に、たとえばスパッタ法などで形成してもよい。
【0035】
通常、パワーデバイスをパッケージする際には、パワーデバイスと外部電極との接続にワイヤーボンディングやクリップ電極を用いる方法が採用される。ディスプレイなどに利用される薄膜トランジスタのような半導体デバイスと異なり、パワーデバイスは高電圧で駆動され、大電流が印加される。ワイヤーボンディングなどの接続方法では配線を厚くすることが困難であるため、このような大電流が印加されると配線抵抗による発熱が大きな問題となる。
【0036】
また、近年デバイスの高集積化、低コスト化、小型化などの要求に応えるため、チップ全体を絶縁樹脂内に埋め込み、配線層と絶縁層を層状に積層した構造を有する積層型パッケージが提案されている。このような積層型パッケージでは、異なる層間で電気的接続を達成するためにビア配線が用いられており、電解めっき法などによってビアの埋め込みと配線層の形成が同時に行われている。しかしながら、電解めっき法は大きな膜厚を有する配線を形成するには適しておらず、厚い配線層を形成するには極めて長時間が必要となり、このため製造効率が低下して製造コストが上がってしまう。
【0037】
さらに、上述したようにパワーデバイスには大きな電流が印加されるため、配線からの発熱を抑制するために厚い配線層が必要となる。したがって、電解めっき法で形成した、比較的小さい膜厚を有するビア配線を用いた場合、配線抵抗に起因する発熱が極めて大きな問題となる。一方、金属板などを用いて大きな膜厚を有する配線を形成すれば、発熱を抑制することができるが、この方法ではビアを埋めることができない。また、大きな膜厚を有する配線を微細加工することは困難であり、集積度の高い配線構造を形成することができない。例えばパワーデバイスと制御ICなどが混在するモジュールパッケージでは、パワーデバイス用の厚い金属配線を形成するための最小デザインルールが制御ICの電極間隔よりも大きくなる。制御ICの配線にはより高い集積度で配線を配置する必要があるため、パワーデバイスと制御ICを同一配線でパターニングすることができない。
【0038】
しかしながら本実施形態に係る配線構造では、金属板を用いて形成された大きな膜厚を有する金属層(本実施形態では第1の層125)と、電解めっき法などを利用して形成された小さな膜厚を有する金属層(本実施形態では第2の層130)がハイブリッドされている。このため、第1の層125を主たる導電経路として大きな電流を流すことができ、パワーデバイスを駆動することができる。一方、大きな電流は流れないものの集積度の高い配線配置が必要とされる領域には、電解めっき法などで形成された第2の層130を利用することができる。このため、制御ICのための配線パターニングも可能である。これにより、パワーデバイスと制御ICなどの異なるデザインルールが要求されるデバイスを同一の層内に配置し、同一の配線工程で接続することができる。
【0039】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる配線基板の配線構造を
図2を用いて記述する。なお、第1実施形態と同じ構成に関しては記述を省略することがある。
【0040】
本発明の一実施形態の配線基板で用いる配線構造は、
図2(D)に示すように、大きな電流を流すことができる大きな膜厚を有する層(第1の層230)と、微細加工が可能な小さな膜厚を有する層(第2の層220)が積層され、互いに電気的に接続された配線(第2の配線240)を有している。また、膜厚の小さい第2の層220はビアの中にも形成されている。第1実施形態と同様に、このような配線構造は、積層された複数の配線層や配線基板を電気的に接続するために利用することができる。
【0041】
まず、第1の配線200上に絶縁膜210を形成し、絶縁膜を加工してビア215を形成する(
図2(A)、(B))。絶縁膜210に用いることができる材料やその製膜方法は第1実施形態に記載されたものを適用することができる。
【0042】
この後、電解めっき法やスパッタ法などを用いて第2の層220を絶縁膜210上に形成する(
図2(C))。電解めっき法は、第1実施形態で述べたような方法を適用することができる。この際、第2の層220はビア215を埋めるように形成される。換言すると、絶縁膜210と重なる領域における第2の層220の膜厚は、ビア215内の第2の層220の膜厚と異なっており、後者の方が大きい。なお、第1実施形態と同様に、ビア215内に形成される第2の層220の膜厚が小さい場合、例えば第2の層220の形成後、あるいは形成前に導電ペーストなどを利用してビア215を埋めてもよい。第2の層220の具体的な膜厚は第1実施形態のそれと同様である。
【0043】
次に
図2(D)に示すように、金属接着層225を介して金属板を第2の層220上に接合し、第1の層230を形成する。金属板には例えば銅や金などを用いることができる。第1実施形態同様、この金属板の厚さは、配線基板が要求する電流を十分に流すことができる膜厚を選択すればよく、実施形態に記載の膜厚から選択することができる。金属板は、加熱しながら金属接着層225の上から圧力をかけて接合すればよい。金属接着層225には、例えば亜鉛やスズなどの融点の比較的低い金属やその合金などを含む金属を用いることができ、さらに数%(例えば3%から10%、あるいは5%から8%)のりんを含んでいてもよい。この後、第1の層230をエッチング法などを利用し、必要とする形状に加工してもよい。第1の層230と第2の層220が積層された構造を有する配線が第2の配線240である。
【0044】
第2の層220の膜厚は、第1の層230の膜厚よりも小さくすることができる。具体的には、絶縁膜210と重なる領域における第2の層220の膜厚は、第1の層230の膜厚よりも小さい。したがって、第2の層220の形成時間を短くすることができ、工程の短縮が可能となる。
【0045】
第2の層220と第1の層230は、電気抵抗率が異なっていてもよい。あるいは、不純物の濃度が異なっていてもよい。あるいは、密度が異なっていてもよい。
【0046】
第1実施形態で述べたように、本実施形態の配線構造では、金属板を用いて形成された大きな膜厚を有する金属層(本実施形態では第1の層230)と、電解めっき法などを利用して形成された小さな膜厚を有する金属層(本実施形態では第2の層220)がハイブリッドされている。このため、第1の層230を主たる導電経路として大きな電流を流すことができ、パワーデバイスを駆動することができる。一方、大きな電流は流れないものの集積度の高い配線配置が必要とされる領域には、電解めっき法などで形成された第2の層220を利用することができる。このため、制御ICのための配線パターニングも可能である。これにより、パワーデバイスと制御ICなどの異なるデザインルールが要求されるデバイスを同一層内い形成し、また、同一の配線工程で接続することができる。
【0047】
(第3実施形態)
本実施形態では、第1、第2実施形態と異なる配線基板の配線構造を
図3、4を用いて記述する。なお、第1、第2実施形態と同じ構成に関しては記述を省略することがある。
【0048】
本実施形態の配線基板の配線構造と第1実施形態のそれと異なる点は、
図4(B)に示すように、第1の配線300上に形成された絶縁膜310が凹部を有する点である。
【0049】
まず
図3(A)に示すように、第1の配線300上に絶縁膜310を形成する。第1の配線300や絶縁膜310の材料、形成方法などは第1実施形態のそれらと同様なものを用いることができる。
【0050】
次に絶縁膜310に金属板320を接合する(
図3(A)、(B))。金属板320の材料や厚さは第1実施形態に記載した範囲から選択することができる。また、金属板320の接合方法も第1実施形態に記載した方法を採用することができる。
図3(A)では、金属板320はハーフエッチングなどによって形成された凹部を複数有している。凹部を形成することで、後述する開口部を金属板320に形成することが容易になるが、本実施形態はこのような形態に限られることはなく、凹部を持たない、全体が平坦な面を有する金属板320を使用してもよい。
【0051】
次に
図3(C)に示すように、エッチングなどの方法により金属板320に開口部を形成して絶縁膜310を露出し、同時に第1の層325を形成する。金属板320が凹部を有する場合、凹部と重なる領域(凹部の反対側)からエッチングを行うことで、凹部に対応する位置に容易に開口部を開けることができる。
【0052】
次に
図3(C)の矢印で示すように、露出した絶縁膜310に対し、例えば物理的な力を加える、あるいはエッチング法などを利用し、絶縁膜310の表面上に凹部312を形成する(
図3(D))。凹部はレーザー照射によって形成してもよい。このような凹部312を形成することで、この後に絶縁膜310にビアを容易に形成することができる。
【0053】
次に
図4(A)に示すように、凹部312が形成された絶縁膜310に対してエッチング法やレーザー照射などの手法を適用し、ビア315を形成する。これにより、第1の配線300の表面が露出する。
【0054】
次に
図4(B)に示すように、電解めっき法などによって第2の層330を形成する。電解めっき法は、第1実施形態に記載の方法を適用すればよい。第1の層325と第2の層330が積層された構造を有する配線が第2の配線340である。
【0055】
この際、第2の層330は第1の層325を覆い、ビア315を埋めるように形成される。換言すると、第1の層325と重なる領域における第2の層330の膜厚は、ビア315内の第2の層330の膜厚と異なっており、後者の方が大きい。なお、ビア315内に形成される第2の層330の膜厚が小さい場合、例えば第2の層330の形成後、あるいは形成前に導電ペーストなどを利用してビア315を埋めてもよい。この後、第2の層330をエッチングなどの方法によって加工し、必要とする回路配線を形成してもよい。
【0056】
第2の層330の膜厚は、第1の層325の膜厚よりも小さくすることができる。具体的には、第1の層325と重なる領域における第2の層330の膜厚は、第1の層325の膜厚よりも小さい。したがって、第2の層330の形成時間を短くすることができ、工程の短縮が可能となる。第1の層325と第2の層330の具体的な膜厚は、第1実施形態で述べた膜厚から選択することができる。
【0057】
第1の層325と第2の層330は、電気抵抗率が異なっていてもよい。あるいは、不純物の濃度が異なっていてもよい。あるいは、密度が異なっていてもよい。
【0058】
なお、第2の層330は電解めっき法以外に、たとえばスパッタ法などで形成してもよい。
【0059】
第1実施形態で述べたように、本実施形態の配線構造では、金属板を用いて形成された大きな膜厚を有する金属層(本実施形態では第1の層325)と、電解めっき法などを利用して形成された小さな膜厚を有する金属層(本実施形態では第2の層330)がハイブリッドされている。このため、第1の層325を主たる導電経路として大きな電流を流すことができ、パワーデバイスを駆動することができる。一方、大きな電流は流れないものの集積度の高い配線配置が必要とされる領域には、電解めっき法などで形成された第2の層330を利用することができる。このため、制御ICのための配線パターニングも可能である。これにより、パワーデバイスと制御ICなどの異なるデザインルールが要求されるデバイスを同一の層内に配置し、同一の配線工程で接続することができる。
【0060】
(第4実施形態)
本実施形態では、第1実施形態で述べた配線構造を有する配線基板が半導体パッケージに適用された一例を
図5乃至7を用いて記述する。なお、第1実施形態と同じ構成に関しては記述を省略することがある。
【0061】
本実施形態の配線基板は、
図6(C)や
図7(C)に示すように、パワーデバイスなどの半導体デバイスの少なくとも上、あるいは下に配線を有している。そしてこの配線は、膜厚の大きな層と小さな層がハイブリッドされた構造を有している。前者は大電流を流すための経路として、後者は集積度の高い配線を形成するために用いることができる。
【0062】
図5乃至7に本実施形態の半導体パッケージの作製方法を示す。まず第1の配線400上に接着層410を介してパワーデバイスなどの半導体デバイス420を接合する。半導体デバイス420の上下には取り出し配線として第1の端子422と第2の端子424が設けられている。第1の配線400は絶縁基板上に設けられた配線でもよく、あるいは層状に形成された配線、もしくはそれを接続するための配線でもよい。または、ICチップやパワーデバイスに設けられた取り出し配線やパッドでもよい。接着層410はアクリル系接着剤などの有機系接着材料を用いることができる。あるいは、例えば亜鉛やスズなどの融点の比較的低い金属やその合金などを含む金属接着層でも良い。
【0063】
次に絶縁膜430を第1の配線400と半導体デバイス420を覆うように形成する。絶縁膜430の材料や作製方法は第1実施形態に記したものを採用すればよい。絶縁膜430により、半導体デバイス420が保護され、外部からの水やイオンなどの不純物の侵入を防ぐことができる。
【0064】
次に
図5(C)に示すように、金属板440を絶縁膜430上に接合する。金属板440の材料や接合方法も、第1実施形態に示したものを採用すればよい。金属板440に対してあらかじめハーフエッチングを行い、絶縁膜430と接触する面に凹部を形成してもよい。
【0065】
引き続き金属板440をエッチングなどによって加工し、第1の層445を形成する(
図6(A))。ここでは複数の開口部が金属板440に形成されて絶縁膜430が露出している。
【0066】
次に
図6(B)に示すように、半導体デバイス420の第2の端子422上の絶縁膜430に対してエッチング、あるいはレーザー照射を行い、開口部で露出した領域を除去し、第2の端子422を露出させる。これにより、第2の端子422上に複数のビア432が形成される。なお絶縁膜430の加工前に、その表面に対して物理的な力を加える、あるいはレーザー照射を行って凹部を形成してもよい。
【0067】
この後、
図6(C)に示すように、第1の層445を覆い、ビア432を埋めるように、解めっき法などによって第2の層450を形成する。電解めっき法は第1実施形態で示したような方法を適用すればよい。第1の層445と第2の層450が積層された構造を有する配線が第2の配線460である。第1の層445、ならびに第2の層450の膜厚に関する特徴は、第1実施形態と同様である。
【0068】
以上の工程を経ることで、半導体デバイス420上に、積層構造を有する配線(第1の層445、第2の層450)を形成することができる。半導体デバイス420を駆動するための大電流は主に第1の層445を経由して与えられ、集積度の高い配線は第2の層450を用いて形成される。
【0069】
図7に、半導体デバイス420の下側に、積層構造を有する配線をさらに形成する方法を示す。
図7(A)は、積層された配線(第2の配線460)が半導体デバイス420の上側に形成された段階を示している。まずエッチングなどの方法により第1の配線400、および接着層410にビア434を形成し、第1の端子422を露出する(
図7(B))。ここでは複数のビア434が形成されている。これにより、第3の層470が形成される。ビア434の形成は、第1の配線400と接着層410を同時に加工して一段階で行ってもよい。あるいは最初に第1の配線400に対してエッチングなどによって開口部を形成し、次の段階において、例えば異なる条件、あるいは手法を用いて接着層410を加工してビア434を形成してもよい。
【0070】
この後電解めっき法などによって、第3の層470を覆い、ビア434を埋めるように第4の層480を形成する。第3の層470と第4の層480が積層された構造を有する配線が第3の配線490である。第4の層480の膜厚、および第1の配線400と第4の層480の膜厚に関する特徴は、第1実施形態と同様である。
【0071】
以上の工程を経ることで、積層構造を有する配線(第3の層470、第4の層480)を半導体デバイス420の下に形成することができる。半導体デバイス420を駆動するための大電流は主に第3の層470を経由して与えられ、集積度の高い配線は第4の層480を用いて形成される。本実施形態の製造方法を用いることにより、大電流用の配線と小電流用の配線が同一層に共存した半導体パッケージを製造することができる。
【0072】
(第5実施形態)
本実施形態では、第1、第2実施形態で述べた配線構造を有する配線基板が半導体パッケージに適用された一例を
図8乃至10を用いて記述する。なお、第1、第2実施形態と同じ構成に関しては記述を省略することがある。
【0073】
本実施形態の配線基板は、
図9(B)や
図10(B)に示すように、パワーデバイスなどの半導体デバイスの少なくとも上、あるいは下に配線を有している。そしてこの配線は、膜厚の大きな層と小さな層がハイブリッドされた構造を有している。前者は大電流を流すための経路として、後者は集積度の高い配線を形成するために用いることができる。
【0074】
図8乃至11に本実施形態の半導体パッケージの作製方法を示す。まず第1の配線500上に接着層510を介してパワーデバイスなどの半導体デバイス520を接合する(
図8(A))。半導体デバイス520の上下には取り出し配線として第1の端子522と第2の端子524が設けられている。第1の配線500は絶縁基板上に設けられた配線でもよく、あるいは層状に形成された配線、もしくはそれを接続するための配線でもよい。または、ICチップやパワーデバイスに設けられた取り出し配線やパッドでもよい。接着層510はアクリル系接着剤などの有機系接着材料を用いることができる。あるいは、例えば亜鉛やスズなどの融点の比較的低い金属やその合金などを含む金属接着層でも良い。
【0075】
次に絶縁膜530を第1の配線500と半導体デバイス520を覆うように形成する(
図8(B))。絶縁膜530の材料や作製方法は第1実施形態に記したものを採用すればよい。絶縁膜530により、半導体デバイス520が保護され、外部からの水やイオンなどの不純物の侵入を防ぐことができる。
【0076】
次に
図8(C)に示すように、絶縁膜530にビア532を形成し、第2の端子524を露出する。ここでは複数のビア532が形成されている。ビア532の形成は、エッチングやレーザー照射などによって行うことができる。
【0077】
この後、第1実施形態で述べたような電解めっき法、あるいはスパッタ法などを用い、ビア532を埋めるように、第2の層540を絶縁膜530上に形成する(
図9(A))。
【0078】
次に
図9(B)に示すように、金属接着層550を介して金属板を第2の層540上に接合し、第1の層560を形成する。金属板や金属接着層550は、第2実施形態で示したものと同様のものを使用し、同様の手法で接合すればよい。第1の層560と第2の層540の膜厚に関する特徴も、第2実施形態と同様である。この後、第1の層560をエッチング法などを利用し、必要とする形状に加工してもよい。第1の層560と第2の層540が積層された構造を有する配線が第2の配線570である。
【0079】
以上の工程を経ることで、半導体デバイス420上に、積層構造を有する配線(第1の層560、第2の層540)を形成することができる。半導体デバイス420を駆動するための大電流は主に第1の層560を経由して与えられ、集積度の高い配線は第2の層540を用いて形成される。
【0080】
図10に、半導体デバイス520の下側に、第1実施形態で示した積層構造を有する配線をさらに形成する方法を示す。まずエッチングなどの方法により第1の配線500、および接着層510にビア534を形成し、第1の端子522を露出する(
図7(A))。ここでは複数のビア534が形成されている。これにより、第3の層580が形成される。ビア534の形成は、第1の配線500と接着層510を同時に加工して一段階で行ってもよい。あるいは最初に第1の配線500に対してエッチングなどによって開口部を形成し、次の段階において、例えば異なる条件、あるいは手法を用いて接着層510を加工してビア534を形成してもよい。
【0081】
この後電解めっき法などによって、第3の層580を覆い、ビア534を埋めるように第4の層585を形成する。第3の層580と第4の層585が積層された構造を有する配線が第3の配線590である。第3の層580と第4の層585の膜厚に関する特徴は、第1実施形態と同様である。この後、第4の層585を適宜加工し、例えば集積度の高い回路配線を形成してもよい。
【0082】
以上の工程を経ることで、積層構造を有する配線(第3の層580、第4の層585)を半導体デバイス520の下に形成することができる。半導体デバイス520を駆動するための大電流は主に第3の層580を経由して与えられ、集積度の高い配線は第4の層585を用いて形成される。本実施形態の製造方法を用いることにより、大電流用の配線と小電流用の配線が同一層に共存した半導体パッケージを製造することができる。
【0083】
(第6実施形態)
本実施形態では、大電流用の配線と小電流用の配線が同一層に共存し、かつ、小電力で駆動される半導体デバイスと大電流が印加されるパワーデバイスが同一層に共存した半導体パッケージに関し、
図11、12を用いて述べる。
【0084】
図11は本実施形態で示す半導体パッケージの回路図である。参照番号600は制御ICであり、二つのパワーデバイス610と620を制御する。パワーデバイス610と620はトランジスタの構造を有しており、互いのドレインが電気的に接続されている。制御IC600は比較的小電流で駆動されるデバイスであり、これに対してパワーデバイス610と620は大きな電流で駆動されるデバイスである。したがって、制御IC600に接続される配線は厚さの小さい配線が好ましく、一方、パワーデバイス610と620には厚さの大きい配線が接続される。
【0085】
図12は
図11で示した配線基板の断面構造の一例である。本実施形態の配線基板は、第1の配線630、632、634を有している。第1の配線630上には、接着層640を介して制御IC600が固定される。接着層640としては第4実施形態で示したものと同様のものを使用することができる。
【0086】
パワーデバイス610には第1の端子612と第2の端子614が形成されており、同様にパワーデバイス620には第1の端子622と第2の端子624が形成されている。パワーデバイス610は第1の配線632上に例えば金属接着層650を用いて固定され、第1の配線632と電気的に接続されている。同様にパワーデバイス620は第1の配線634上に例えば金属接着層650を用いて固定され、第1の配線634と電気的に接続されている。
【0087】
制御IC600、パワーデバイス610、620を埋めるように絶縁膜660が設けられており、制御IC600の端子602、パワーデバイス610、620の第2の端子614、624を覆っている。この絶縁膜660は第1実施形態の絶縁膜110と同様の構成を持つことができる。
【0088】
パワーデバイス610、620上には絶縁膜660を介して大きな膜厚を有する第1の層670が設けられている。第1の層670は第1実施形態の第1の層125と同様の構成を有することができ、同様の方法で形成することができる。この第1の層670はパワーデバイス610、620に大電流を供給するための主な配線経路として機能する。
【0089】
第1の層670、絶縁膜660には制御IC600の端子602、パワーデバイス610、620の第2の端子614、624、および第1の配線632、634を露出するビアが設けられており、このビアを埋めるように、電解めっき法などによって第2の層680が第1の層670の上に形成されている。第2の層680は第1実施形態の第2の層130と同様の構成を持つことができ、同様の手法によって形成することができる。なお
図12では、第2の層680はさらにパターニングが施されており、例えば制御ICからの信号を供給するためにも利用される。第1の層670と第2の層680が積層された配線が第2の配線690である。
【0090】
第2の層680上には絶縁膜665を介してさらに上部配線695が積層されている。この上部配線695は第2の層680と同様の方法で形成することができる。
【0091】
このように、本実施形態の半導体パッケージは、大電流用の配線(第1の層670)と小電流用の配線(第2の層680)が同一層に共存した構造を有しており、パワーデバイスと制御ICなどの異なるデザインルールが要求されるデバイスを同一層に設置し、同一の配線工程で接続することができる。
【0092】
(第7実施形態)
本実施形態では、大電流用の配線と小電流用の配線が同一層に共存し、かつ、小電力で駆動される半導体デバイスと大電流が印加されるパワーデバイスが同一層に共存した半導体パッケージに関し、
図11、13を用いて述べる。なお、本実施形態は、第2の配線構造が第6実施形態と異なる。第6実施形態と異なる構成を主に説明し、同様の構成の説明は省略することがある。
【0093】
図11は本実施形態で示す半導体パッケージの回路図であり、第6実施形態と同様である。
図13は
図11で示した配線基板の断面構造の一例である。絶縁膜660には制御ICの端子602、パワーデバイス610の第2の端子614、パワーデバイス620の第2の端子624、および第1の配線632、634に達するビアが設けられ、これらのビアを埋めるように第2の層700が形成されている。第2の層700は第2実施形態の第2の層220と同様の材料、手法を用いて形成することができる。
【0094】
第2の層700のうち、パワーデバイス610、620と重なる領域上には金属接着層710を介して大きな膜厚を有する第1の層720が設けられている。第1の層720は第1実施形態の第1の層125と同様の構成を有することができ、同様の方法で形成することができる。第1の層720と第2の層700の積層が第2の配線730であり、第2実施形態の第2の配線240に対応する。第1の層720はパワーデバイス610、620に大電流を供給するための主な配線経路として機能し、第2の層700は集積度の高い配線の形成に用いられ、例えば制御ICからの信号を供給するために利用される。
【0095】
第1の層720上には絶縁膜740を介してさらに上部配線750が積層されている。この上部配線750は第2の層700と同様の方法で形成することができる。
【0096】
このように、本実施形態の配線基板は、大電流用の配線(第1の層720)と小電流用の配線(第2の層700)が同一層に共存した構造を有しており、パワーデバイスと制御ICなどの異なるデザインルールが要求されるデバイスを同一層に設置し、同一の配線工程で接続することができる。
【符号の説明】
【0097】
100:第1の配線、110:絶縁膜、115:ビア、120:金属板、125:第1の層、130:第2の層、140:第2の配線、200::第1の配線、210:絶縁膜、215:ビア、220:第2の層、225:金属接着層、230:第1の層、240:第2の配線、300:第1の配線、310:絶縁膜、312:凹部、315、ビア、320:金属板、330:第2の層、340:第2の配線、400:第1の配線、410:接着層、420:半導体デバイス、422:第1の端子、424:第2の端子、430:絶縁膜、432:ビア、434:ビア、440:金属板、445:第1の層、450:第2の層、460:第2の配線、470:第3の層、480:第4の層、490:第3の配線、500:第1の配線、510:接着層、520:半導体デバイス、522:第1の端子、524:第2の端子、530:絶縁膜、532:ビア、534:ビア、540:第2の層、550:金属接着層、560:第1の層、570:第2の配線、580:第3の層、585:第4の層、590:第3の配線、600:制御IC、602:端子、610:パワーデバイス、612:第1の端子、614:第2の端子、620:パワーデバイス、622:第1の端子、624:第2の端子、630:第1の配線、640:接着層、650:金属接着層、660:絶縁膜、665:絶縁膜、670:第1の層、680:第2の層、690:第2の配線、695:上部配線、700:第2の層、710:金属接着層、720:第1の層、730:第2の配線、740:絶縁膜、750:上部配線