(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ビルダグリプチン100質量部に対して、前記香料を合計0.1質量部以上で接触させる請求項4から5のいずれかに記載の医薬組成物におけるビルダグリプチンの臭い抑制方法。
前記香料が、前記ビルダグリプチン100質量部に対して、合計0.1質量部以上で使用される請求項7から8のいずれかに記載の医薬組成物におけるビルダグリプチンの臭い抑制剤。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(ビルダグリプチン含有医薬組成物)
本発明のビルダグリプチン含有医薬組成物は、ビルダグリプチンと、バニラ香料、マルトール系香料、ヨーグルト香料、及びアップル香料からなる群から選択される少なくとも1種の香料とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
【0010】
<ビルダグリプチン>
前記ビルダグリプチンは下記構造式で表される化合物である(化学名:(2S)−1−{[(3−Hydroxytricyclo[3.3.1.1
3,7]dec−1−yl)amino]acetyl}pyrrolidine−2−carbonitrile)。前記ビルダグリプチンは、塩の形態であってもよい。
前記ビルダグリプチンは、公知の方法により製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【化2】
【0011】
前記ビルダグリプチンの前記ビルダグリプチン含有医薬組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0012】
<バニラ香料、マルトール系香料、ヨーグルト香料、及びアップル香料からなる群から選択される少なくとも1種の香料>
前記バニラ香料、マルトール系香料、ヨーグルト香料、及びアップル香料からなる群から選択される少なくとも1種の香料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、少ない添加量で医薬組成物におけるビルダグリプチンの特有の臭いを抑制することができる点で、マルトール系香料及びアップル香料からなる群から選択される少なくとも1種の香料を含有することが好ましい。
【0013】
前記バニラ香料、マルトール系香料、ヨーグルト香料、及びアップル香料からなる群から選択される少なくとも1種の香料の前記医薬組成物における合計含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、医薬組成物におけるビルダグリプチンの特有の臭いをより抑制することができる点で、前記ビルダグリプチン100質量部に対し、0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましく、0.3質量部以上1.0質量部以下が更に好ましく、0.4質量部以上0.7質量部以下が特に好ましい。
【0014】
−バニラ香料−
前記バニラ香料は、匂いをかいだときにバニラの香りがする香料をいう。
前記バニラ香料に含まれる成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バニリン、エチルバニリンなどが挙げられる。
前記バニラ香料は、公知の方法により製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品の具体例としては、バニリン(和光純薬工業株式会社製)、エチルバニリン(株式会社永廣堂本店製)、バニラミクロン(高砂香料工業株式会社製)などが挙げられる。
前記バニラ香料の前記医薬組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、医薬組成物におけるビルダグリプチンの特有の臭いをより抑制することができる点で、前記ビルダグリプチン100質量部に対し、0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましく、0.3質量部以上1.0質量部以下が更に好ましく、0.4質量部以上0.7質量部以下が特に好ましい。
【0015】
−マルトール系香料−
前記マルトール系香料は、マルトール、エチルマルトール、及びイソマルトールからなる群から選択される少なくとも1種の香料をいう。
前記マルトール系香料は、公知の方法により製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品の具体例としては、マルトール(小川香料株式会社製)、エチルマルトール(小川香料株式会社製)などが挙げられる。
前記マルトール系香料の前記医薬組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、医薬組成物におけるビルダグリプチンの特有の臭いをより抑制することができる点で、前記ビルダグリプチン100質量部に対し、0.01質量部以上が好ましく、0.05質量部以上1.0質量部以下がより好ましく、0.08質量部以上0.7質量部以下が特に好ましい。
【0016】
−ヨーグルト香料−
前記ヨーグルト香料は、匂いをかいだときにヨーグルトを想起させる香料をいう。
前記ヨーグルト香料に含まれる成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アセトアルデヒド、ジアセチル、アセトイン、酢酸などの有機酸、2−ヘプタノンなどのメチルケトン類などが挙げられる。
前記ヨーグルト香料は、公知の方法により製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品の具体例としては、ヨーグルトコートン(小川香料株式会社製)、ヨーグルトミクロン(高砂香料工業株式会社製)などが挙げられる。
前記ヨーグルト香料の前記医薬組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、医薬組成物におけるビルダグリプチンの特有の臭いをより抑制することができる点で、前記ビルダグリプチン100質量部に対し、0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましく、0.3質量部以上1.0質量部以下が更に好ましく、0.4質量部以上0.7質量部以下が特に好ましい。
【0017】
−アップル香料−
前記アップル香料は、匂いをかいだときにりんごを想起させる香料をいう。
前記アップル香料に含まれる成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヘキサノール、ヘキサナール、トランス−2−ヘキセナール等の炭素数が6の化合物;エチルブチレート、ブチルアセテート、ブチルブチレート等のエステル類;イソブチルアルコール、ブタノール等のアルコール類;エストラゴールなどが挙げられる。
前記アップル香料は、公知の方法により製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品の具体例としては、アップルコートン(小川香料株式会社製)などが挙げられる。
前記アップル香料の前記医薬組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、医薬組成物におけるビルダグリプチンの特有の臭いをより抑制することができる点で、前記ビルダグリプチン100質量部に対し、0.01質量部以上が好ましく、0.05質量部以上1.0質量部以下がより好ましく、0.08質量部以上0.7質量部以下が特に好ましい。
【0018】
<その他の成分>
前記ビルダグリプチン含有医薬組成物におけるその他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、製剤分野において通常使用される添加剤を目的に応じて適宜選択することができ、例えば、賦形剤;崩壊剤;結合剤;滑沢剤;界面活性剤;甘味剤;矯味剤;バニラ香料、マルトール系香料、ヨーグルト香料、及びアップル香料以外の香料;流動化剤;着色剤;安定化剤;pH調整剤;コーティング剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ビルダグリプチン含有医薬組成物におけるその他の成分は、公知の方法により製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記その他の成分の前記ビルダグリプチン含有医薬組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0019】
−賦形剤−
前記賦形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マンニトール(以下、「D−マンニトール」と称することもある)、乳糖(無水物であってもよいし、水和物であってもよい)、コーンスターチ、白糖、タルク、エリスリトール、精製ゼラチン、ヒドロキシプロピルスターチ、ポリビニルピロリドン、ケイ酸カルシウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記賦形剤の前記ビルダグリプチン含有医薬組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0020】
−崩壊剤−
前記崩壊剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、部分α化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、メチルセルロース、カルメロースなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記崩壊剤の前記ビルダグリプチン含有医薬組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0021】
−結合剤−
前記結合剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記結合剤の前記ビルダグリプチン含有医薬組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0022】
−滑沢剤−
前記滑沢剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、硬化油、サラシミツロウ、カルナウバロウ、ポリエチレングリコール6000、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記滑沢剤の前記ビルダグリプチン含有医薬組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0023】
前記ビルダグリプチン医薬組成物の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口医薬組成物などが挙げられる。
【0024】
前記ビルダグリプチン含有医薬組成物の剤形としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、素錠、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、フィルムコーティング錠等の錠剤、顆粒などが挙げられる。また、前記ビルダグリプチン含有医薬組成物は、粉末の態様であってもよい。
前記錠剤の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0025】
<製造方法>
前記ビルダグリプチン含有医薬組成物の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法を目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、前記ビルダグリプチン含有医薬組成物として錠剤を製造する場合の製造方法としては、直接打錠法、乾式顆粒圧縮法、湿式顆粒圧縮法が挙げられる。
【0026】
前記直接打錠法の具体例としては、前記ビルダグリプチンと、前記バニラ香料、マルトール系香料、ヨーグルト香料、及びアップル香料からなる群から選択される少なくとも1種の香料と、必要に応じて前記その他の成分とを混合し、前記混合物を圧縮成型する方法が挙げられる。
【0027】
前記乾式顆粒圧縮法の具体例としては、ローラー圧縮法などで得られた顆粒を圧縮成型する方法が挙げられる。
前記ローラー圧縮法の方法及び条件としては、特に制限はなく、公知の方法及び条件を目的に応じて適宜選択することができる。
【0028】
前記湿式顆粒圧縮法の具体例としては、押出造粒法、流動層造粒法、撹拌造粒法などで得られた顆粒を圧縮成型する方法が挙げられる。
前記押出造粒法、流動層造粒法、及び撹拌造粒法の方法及び条件としては、特に制限はなく、公知の方法及び条件を目的に応じて適宜選択することができる。
【0029】
前記錠剤の製造における打錠の方法としては、特に制限はなく、公知の方法を目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ロータリー式打錠機を用いる方法などが挙げられる。
前記打錠の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0030】
また、本発明のビルダグリプチン含有医薬組成物が湿製錠剤の場合の製造方法としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ビルダグリプチンと、前記バニラ香料、マルトール系香料、ヨーグルト香料、及びアップル香料からなる群から選択される少なくとも1種の香料と、必要に応じて前記その他の成分とを混合した後、練合溶媒を加え練合し、得られた湿潤粉体を圧縮成型する方法が挙げられる。
前記湿潤粉体は、そのまま圧縮成型してもよいし、湿式造粒して造粒物とした後に圧縮成型してもよい。
前記混合、練合、圧縮成型の方法及び条件としては、特に制限はなく、公知の方法及び条件を目的に応じて適宜選択することができる。
【0031】
本発明のビルダグリプチン含有医薬組成物は、製造直後のみならず、保管後であってもビルダグリプチンの特有の臭いを抑制することができる。また、本発明のビルダグリプチン含有医薬組成物は、製造方法の種類に関わらずに得ることができる。
【0032】
(医薬組成物におけるビルダグリプチンの臭い抑制方法)
本発明の医薬組成物におけるビルダグリプチンの臭い抑制方法は、接触工程を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
【0033】
<接触工程>
前記接触工程は、ビルダグリプチンと、バニラ香料、マルトール系香料、ヨーグルト香料、及びアップル香料からなる群から選択される少なくとも1種の香料とを接触させる工程である。
前記接触工程では、前記ビルダグリプチン、並びに前記バニラ香料、マルトール系香料、ヨーグルト香料、及びアップル香料からなる群から選択される少なくとも1種の香料以外のその他の成分が存在していてもよい。
【0034】
−ビルダグリプチン−
前記ビルダグリプチンは、上記した本発明のビルダグリプチン含有医薬組成物の<ビルダグリプチン>の項目に記載したものと同様である。
【0035】
−バニラ香料、マルトール系香料、ヨーグルト香料、及びアップル香料からなる群から選択される少なくとも1種の香料−
前記バニラ香料、マルトール系香料、ヨーグルト香料、及びアップル香料からなる群から選択される少なくとも1種の香料は、上記した本発明のビルダグリプチン含有医薬組成物の<バニラ香料、マルトール系香料、ヨーグルト香料、及びアップル香料からなる群から選択される少なくとも1種の香料>の項目に記載したものと同様であり、好ましい態様も同様である。
【0036】
−その他の成分−
前記その他の成分及びその含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した本発明のビルダグリプチン含有医薬組成物の<その他の成分>の項目に記載したものなどが挙げられる。
【0037】
−接触−
前記接触の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した本発明のビルダグリプチン含有医薬組成物の<製造方法>の項目に記載した方法により、接触させる方法などが挙げられる。
【0038】
前記接触における前記バニラ香料、マルトール系香料、ヨーグルト香料、及びアップル香料からなる群から選択される少なくとも1種の香料の合計使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、医薬組成物におけるビルダグリプチンの特有の臭いをより抑制することができる点で、前記ビルダグリプチン100質量部に対し、0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましく、0.3質量部以上1.0質量部以下が更に好ましく、0.4質量部以上0.7質量部以下が特に好ましい。
【0039】
前記接触における前記バニラ香料の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、医薬組成物におけるビルダグリプチンの特有の臭いをより抑制することができる点で、前記ビルダグリプチン100質量部に対し、0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましく、0.3質量部以上1.0質量部以下が更に好ましく、0.4質量部以上0.7質量部以下が特に好ましい。
【0040】
前記接触における前記マルトール系香料の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、医薬組成物におけるビルダグリプチンの特有の臭いをより抑制することができる点で、前記ビルダグリプチン100質量部に対し、0.01質量部以上が好ましく、0.05質量部以上1.0質量部以下がより好ましく、0.08質量部以上0.7質量部以下が特に好ましい。
【0041】
前記接触における前記ヨーグルト香料の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、医薬組成物におけるビルダグリプチンの特有の臭いをより抑制することができる点で、前記ビルダグリプチン100質量部に対し、0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましく、0.3質量部以上1.0質量部以下が更に好ましく、0.4質量部以上0.7質量部以下が特に好ましい。
【0042】
前記接触における前記アップル香料の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、医薬組成物におけるビルダグリプチンの特有の臭いをより抑制することができる点で、前記ビルダグリプチン100質量部に対し、0.01質量部以上が好ましく、0.05質量部以上1.0質量部以下がより好ましく、0.08質量部以上0.7質量部以下が特に好ましい。
【0043】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0044】
本発明の医薬組成物におけるビルダグリプチンの臭い抑制方法によれば、製造直後のみならず、保管後であってもビルダグリプチンの特有の臭いを抑制することができる。
【0045】
(医薬組成物におけるビルダグリプチンの臭い抑制剤)
本発明の医薬組成物におけるビルダグリプチンの臭い抑制剤は、ビルダグリプチンを含有する医薬組成物に用いられるものであって、バニラ香料、マルトール系香料、ヨーグルト香料、及びアップル香料からなる群から選択される少なくとも1種の香料を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
【0046】
<バニラ香料、マルトール系香料、ヨーグルト香料、及びアップル香料からなる群から選択される少なくとも1種の香料>
前記バニラ香料、マルトール系香料、ヨーグルト香料、及びアップル香料からなる群から選択される少なくとも1種の香料は、上記した本発明のビルダグリプチン含有医薬組成物の<バニラ香料、マルトール系香料、ヨーグルト香料、及びアップル香料からなる群から選択される少なくとも1種の香料>の項目に記載したものと同様であり、好ましい態様も同様である。
【0047】
前記バニラ香料、マルトール系香料、ヨーグルト香料、及びアップル香料からなる群から選択される少なくとも1種の香料の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した本発明の医薬組成物におけるビルダグリプチンの臭い抑制方法の−接触−の項目に記載したものと同様とすることができる。
【0048】
<その他の成分>
前記その他の成分及びその含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した本発明のビルダグリプチン含有医薬組成物の<その他の成分>の項目に記載したものなどが挙げられる。
【0049】
本発明の医薬組成物におけるビルダグリプチンの臭い抑制剤によれば、製造直後のみならず、保管後であってもビルダグリプチンの特有の臭いを抑制することができる。
【実施例】
【0050】
以下、試験例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの試験例に限定されるものではない。
【0051】
(試験例1)
ガラス瓶に、ビルダグリプチン(Olain社製)1gと、下記香料のいずれか4mgとを投入、混合し、水100μLを添加した。この試料(以下、「開始時の試料」と称することがある)の臭いを下記評価基準で評価した。
また、前記水100μLを添加後、ふたをして密栓し、60℃で2日間保管した後の試料(以下、「保管後の試料」と称することがある)の臭いについても下記評価基準により評価した。
また、香料を添加しなかった以外は同様にして調製した試料についても評価した。
結果を表1に示す。
<香料>
(1) バニリン(和光純薬工業株式会社製)
(2) サンフィックスピーチ(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)
(3) メントールコートン(小川香料株式会社製)
(4) ミルクコートン(小川香料株式会社製)
(5) ペパーミントミクロン(小川香料株式会社製)
(6) オレンジコートン(小川香料株式会社製)
(7) マルトール(小川香料株式会社製)
(8) ストロベリーコートン(小川香料株式会社製)
(9) シナモンコートン(小川香料株式会社製)
(10) メロンコートン(小川香料株式会社製)
(11) ヨーグルトコートン(小川香料株式会社製)
(12) アップルコートン(小川香料株式会社製)
<評価基準>
− : 不快な臭いを感じない。
± : わずかに不快な臭いを感じる。
+ : 不快な臭いを感じる。
++ : 強く不快な臭いを感じる。
【0052】
【表1】
【0053】
表1の結果から、従来香料としての用途が知られている成分であっても、医薬組成物におけるビルダグリプチンの臭いを抑制する効果を有するものと、有さないものとが存在することが確認された。また、医薬組成物の製造直後は臭い抑制効果が認められても、保管後に、その効果が認められないものもあった。
以上の結果から、バニラ香料、マルトール系香料、ヨーグルト香料、及びアップル香料が、製造直後のみならず、保管後であっても医薬組成物におけるビルダグリプチンの臭いを抑制できることが確認された。
【0054】
(試験例2)
1gのビルダグリプチン(Olain社製)と、3gのD−マンニトール(マンニットP、三菱商事フードテック株式会社製)と、1mg、2mg、又は4mgの下記香料のいずれかとを混合し、そのうちの1gをガラス瓶の中に投入し、ふたをして密栓し、60℃で1週間保管した後の試料の臭いを下記評価基準で評価した。
また、香料を添加しなかった以外は同様にして調製した試料についても評価した。
結果を表2に示す。
<香料>
(1) バニリン(和光純薬工業株式会社製)
(2) マルトール(小川香料株式会社製)
(3) エチルマルトール(小川香料株式会社製)
(4) ヨーグルトコートン(小川香料株式会社製)
(5) アップルコートン(小川香料株式会社製)
<評価基準>
− : 不快な臭いを感じない。
± : わずかに不快な臭いを感じる。
+ : 不快な臭いを感じる。
++ : 強く不快な臭いを感じる。
【0055】
【表2】
【0056】
表2の結果から、試験例1で臭い抑制効果が認められた香料の中でも、マルトール系香料及びアップル香料が、より少ない添加量で臭い抑制効果が認められた。また、マルトール系香料は、エチルマルトールでもマルトールと同様の効果が得られることが確認された。