(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外乱増分値算出部は、前記外乱判定状態が保持されている間、前記挟み込みしきい値に加算する前記外乱増分値を、前記最大値からの前記算出荷重の最も大きな変動量に応じて更新する、
請求項3に記載の開閉制御装置。
前記挟み込みしきい値設定部は、前記モータが起動した後の初期期間において、所定時間あたりの前記算出荷重の低下量が初期低下量しきい値を超える場合、前記挟み込みしきい値を一時的に増大させる、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の開閉制御装置。
前記基準値算出部は、前記モータが起動した後の初期期間において、所定時間あたりの前記算出荷重の低下量が第1変動しきい値を超える場合、前記新たな基準値を前記新たな算出荷重に一致させる、
請求項10又は11に記載の開閉制御装置。
前記基準値算出部は、前記モータが起動した後の初期期間において、所定時間あたりの前記算出荷重の上昇量が第2変動しきい値を超える場合、前記新たな算出荷重と過去の前記基準値との第2加重平均であって、前記第1加重平均より応答速度が速い前記第2加重平均の結果を新たな前記基準値として算出する、
請求項10乃至12の何れか一項に記載の開閉制御装置。
前記基準値算出部は、前記新たな算出荷重と過去の前記基準値との差が差異しきい値より大きく、かつ、所定時間あたりの前記算出荷重の変化量が変化量しきい値より大きい場合、前記新たな基準値を前記過去の基準値に一致させる、
請求項10乃至15の何れか一項の記載の開閉制御装置。
前記挟み込み判定部は、所定時間あたりの前記算出荷重の増加量が、硬い物体の挟み込みの発生基準を示すしきい値より大きい場合には、前記第1条件及び前記第2条件に加えて、前記算出荷重の変化が加速している第3条件を満たした場合に、前記挟み込みが発生したと判定する、
請求項19に記載の開閉制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開閉体を開閉動作させるパワーウインドウ装置などにおいて物体の挟み込みを正しく検知するためには、開閉動作における荷重を正しく算出することが必要である。しかしながら、実際の使用では、様々な要因によって荷重の算出誤差が生じる。例えば、物体の挟み込みとは関係のない衝撃や振動が開閉体に加わると、これが外乱として荷重の算出結果に誤差をもたらし、挟み込みの判定に誤りが生じる原因となる。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、挟み込みの判定の誤りを回避し易くすることができる開閉制御装置、開閉動作制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点に係る開閉制御装置は、モータの駆動による開閉体の開閉動作を制御する。この開閉制御装置は、前記モータが前記開閉体に印加する力の大きさに応じた物理量を検出するセンサと、前記センサの検出結果に基づいて、前記開閉体の前記開閉動作における荷重を算出する荷重算出部と、前記荷重算出部において算出された算出荷重の上限を定める挟み込みしきい値を設定する挟み込みしきい値設定部と、前記算出荷重が前記挟み込みしきい値によって定められた上限を超える場合、前記開閉体による物体の挟み込みが発生したと判定する挟み込み判定部と、前記挟み込み判定部において前記挟み込みが発生したと判定された場合、前記モータの回転を反転させる挟み込み防止制御を行うモータ制御部と、前記算出荷重の変動量と第1外乱しきい値との比較に基づいて、前記算出荷重の変動を引き起こす外乱を検知する外乱検知部とを有する。前記挟み込みしきい値設定部は、前記外乱検知部において前記外乱が検知された場合、前記算出荷重の変動量に応じて前記上限を引き上げるように前記挟み込みしきい値を設定する。
【0007】
上記開閉制御装置によれば、前記算出荷重の変動量と前記第1外乱しきい値との比較に基づいて前記外乱が検知される。前記外乱が検知された場合、前記算出荷重の変動量に応じて、前記挟み込みしきい値の前記上限が引き上げられる。そのため、前記算出荷重が前記上限を超えたか否か判定する場合において、前記外乱に伴う前記算出負荷の変化が当該判定結果に影響を与え難くなる。すなわち、前記外乱に伴って前記算出負荷が変化する場合でも、前記算出荷重が前記上限を超えたか否かの判定に基づく挟み込み判定の誤りが回避され易くなる。
【0008】
好適に、上記開閉制御装置は、前記荷重算出部において算出された算出荷重の加重平均の結果を基準値として算出する基準値算出部を有してよい。前記挟み込みしきい値設定部は、前記基準値に対する前記算出荷重の超過量の許容範囲を定める前記挟み込みしきい値を設定してよい。前記挟み込み判定部は、前記基準値に対する前記算出荷重の超過量が前記挟み込みしきい値より大きい場合、前記開閉体による物体の挟み込みが発生したと判定してよい。前記挟み込みしきい値設定部は、前記外乱検知部において前記外乱が検知された場合、前記算出荷重の変動量に応じた外乱増分値を前記挟み込みしきい値に加算してよい。
【0009】
上記開閉制御装置によれば、前記外乱が検知された場合、前記算出荷重の変動量に応じた前記外乱増分値が前記挟み込みしきい値に加算される。そのため、前記基準値に対する前記算出荷重の超過量と前記挟み込みしきい値とを比較する場合において、前記外乱に伴う前記算出負荷の変化が当該比較結果に影響を与え難くなる。すなわち、前記外乱に伴って前記算出負荷が変化する場合でも、前記超過量と前記挟み込みしきい値との比較に基づく挟み込み判定の誤りが回避され易くなる。
【0010】
好適に、前記外乱検知部は、前記算出荷重の最大値を保持し、前記荷重算出部において新たな前記算出荷重が算出される度に、前記新たな算出荷重と前記保持した最大値とを比較し、前記新たな算出荷重が前記保持した最大値より大きいならば、前記新たな算出荷重を新たな最大値として保持し、前記保持した最大値を時間の経過とともに減少させる最大値保持部と、前記最大値からの前記算出荷重の変動量が前記第1外乱しきい値より大きい場合、前記外乱があると判定する外乱判定部と、前記外乱判定部において前記外乱があると判定された場合、前記最大値からの前記算出荷重の変動量に応じた前記外乱増分値を算出する外乱増分値算出部とを含んでよい。
【0011】
この構成によれば、保持された前記算出荷重の最大値からの変動量が前記第1外乱しきい値より大きい場合に前記外乱があると判定され、前記最大値からの前記算出荷重の変動量に応じた前記外乱増分値が前記挟み込みしきい値に加算される。そのため、前記外乱によって前記算出荷重の短時間の変動が起きても、前記外乱増分値が加算されることで前記挟み込みしきい値が大きくなるため、前記外乱が挟み込みとして判定され難くなる。また、保持された前記最大値が更新された後、時間の経過とともに前記最大値が減少するため、前記外乱による単発的な前記算出荷重の変動が終わった後は、前記変動量が小さくなり、前記外乱があるとの判定が自動的に解除される。
【0012】
好適に、前記第1外乱しきい値より小さい第2外乱しきい値、及び、前記第2外乱しきい値より小さい第3外乱しきい値が定められていてよい。前記外乱判定部は、前記最大値からの前記算出荷重の変動量が前記第2外乱しきい値を超える範囲への前記算出荷重の低下と、前記最大値からの前記算出荷重の変動量が前記第3外乱しきい値を下回る範囲への前記算出荷重の上昇とが交互に繰り返された回数を計数し、当該回数に応じて前記外乱があると判定してよい。
【0013】
この構成によれば、前記外乱が比較的小さいことにより、前記最大値からの変動量が前記第1外乱しきい値より小さい場合であっても、前記最大値からの算出荷重の変動量が前記第1外乱しきい値より小さい第2外乱しきい値を超える範囲への前記算出荷重の低下と、前記最大値からの算出荷重の変動量が前記第2外乱しきい値より小さい第3外乱しきい値を下回る範囲への前記算出荷重の上昇とが交互に繰り返された回数から、前記外乱の有無が判定される。従って、比較的小さい前記外乱による挟み込み判定の誤りが回避され易くなる。
【0014】
好適に、前記外乱判定部は、前記外乱があると判定する度に、外乱判定状態を一定期間保持してよい。前記挟み込みしきい値設定部は、前記外乱判定状態が保持されている間、前記外乱増分値を前記挟み込みしきい値に加算してよい。
【0015】
この構成によれば、前記外乱判定状態の保持が一定期間に限定されており、前記挟み込みしきい値への前記外乱増分値の加算が一定期間に限定されているため、単発的な前記外乱による前記算出荷重の変動が終わった後も前記挟み込みしきい値に前記外乱増分値が加算され続けることがない。
【0016】
好適に、前記外乱増分値算出部は、前記外乱判定状態が保持されている間、前記挟み込みしきい値に加算する前記外乱増分値を、前記最大値からの前記算出荷重の最も大きな変動量に応じて更新してよい。
【0017】
この構成によれば、前記外乱判定状態が保持されているときに、途中で前記外乱が大きくなった場合でも、前記挟み込みしきい値に加算される前記外乱増分値が、前記最大値からの前記算出荷重の最も大きな変動量に応じて更新される。これにより、途中から前記外乱が大きくなった場合、これに応じて前記挟み込みしきい値が大きくなるため、前記外乱による挟み込み判定の誤りが回避され易くなる。
【0018】
好適に、前記挟み込みしきい値設定部は、前記モータが起動した後の初期期間において、所定時間あたりの前記算出荷重の低下量が初期低下量しきい値を超える場合、前記挟み込みしきい値を一時的に増大させてよい。
【0019】
この構成によれば、前記モータが起動した後の初期期間において前記算出荷重の比較的大きな低下があった場合、前記挟み込みしきい値が一時的に増大するため、前記モータの起動特性に起因する前記算出荷重の変動が挟み込みとして誤って判定され難くなる。
【0020】
好適に、前記挟み込みしきい値設定部は、前記初期期間における前記挟み込みしきい値を前記初期期間より後の期間における前記挟み込みしきい値より大きな値に設定してよい。
【0021】
この構成によれば、前記モータの起動特性に起因する前記算出荷重の変動が比較的大きい前記初期期間において、前記初期期間の後の期間よりも前記挟み込みしきい値が大きな値に設定される。そのため、前記モータの起動特性に起因する前記算出荷重の変動が挟み込みとして誤って判定され難くなる。
【0022】
好適に、上記開閉制御装置は、前記開閉体の位置を検出する開閉体位置検出部を有してよい。前記挟み込みしきい値設定部は、前記開閉体位置検出部において検出される前記開閉体の位置が全閉位置に近接した所定範囲にある場合、前記開閉体の位置が前記全閉位置に近づくほど大きくなる増分値を前記挟み込みしきい値に加算してよい。
【0023】
この構成によれば、前記所定の範囲において前記開閉体の位置が前記全閉位置に近づくほど前記挟み込みしきい値が大きくなるため、全閉位置の近接範囲における摺動摩擦の増大が挟み込みとして誤判定され難くなる。
【0024】
好適に、前記基準値算出部は、前記荷重算出部において新たな前記算出荷重が算出される度に、前記新たな算出荷重と過去の前記基準値との第1加重平均の結果を新たな前記基準値として算出してよい。前記基準値算出部は、前記モータが起動した後の初期期間において、前記新たな算出荷重が最大荷重を超える場合は、前記新たな基準値を前記最大荷重に一致させてよく、また、前記新たな算出荷重が最小荷重より小さい場合は、前記新たな基準値を前記最小荷重に一致させてよい。
【0025】
この構成によれば、前記新たな算出荷重と過去の前記基準値との前記第1加重平均の結果が、前記新たな前記基準値として算出される。また、前記モータが起動した後の初期期間において、前記新たな算出荷重の範囲が前記最大荷重と前記最小荷重との間に制限される。これにより、前記初期期間において前記モータの起動特性に起因した前記算出荷重の大きな変動が起きても、前記第1加重平均による前記基準値の算出結果が比較的短い時間で適切な範囲に収束し易くなる。
【0026】
好適に、前記基準値算出部は、前記モータが起動した後の初期期間において、所定時間あたりの前記算出荷重の低下量が第1変動しきい値を超える場合、前記新たな基準値を前記新たな算出荷重に一致させてよい。
【0027】
この構成によれば、前記初期期間において、前記モータの起動特性に起因する前記算出荷重の変動により前記算出荷重が比較的大きく低下した場合、前記新たな基準値が前記新たな算出荷重に一致させられる。これにより、前記モータの起動特性の影響で前記算出荷重が変動しても、前記第1加重平均による前記基準値の算出結果が比較的短い時間で前記算出荷重と近い値に収束し易くなる。
【0028】
好適に、前記基準値算出部は、前記モータが起動した後の初期期間において、所定時間あたりの前記算出荷重の上昇量が第2変動しきい値を超える場合、前記新たな算出荷重と過去の前記基準値との第2加重平均であって、前記第1加重平均より応答速度が速い前記第2加重平均の結果を新たな前記基準値として算出してよい。
【0029】
この構成によれば、前記初期期間において、前記モータの起動特性に起因する前記算出荷重の変動により前記算出荷重が比較的大きく上昇した場合、前記第1加重平均に比べて応答速度が速い前記第2加重平均により前記基準値が算出される。これにより、前記モータの起動特性の影響で前記算出荷重が変動しても、前記第2加重平均による前記基準値の算出結果が比較的短い時間で前記算出荷重と近い値に収束し易くなる。
【0030】
好適に、前記基準値算出部は、前記算出荷重と前記基準値とが所定時間以上継続して第1範囲内の差を有する場合、前記新たな基準値を前記新たな算出荷重に一致させてよい。
【0031】
この構成によれば、前記算出荷重と前記基準値との差が開いた状態が続いた場合に、前記新たな基準値が前記新たな算出荷重に一致させられるため、挟み込みの判定の誤りが回避され易くなる。
【0032】
好適に、上記開閉制御装置は、前記開閉体の位置を検出する開閉体位置検出部を有してよい。前記基準値算出部は、前記開閉体位置検出部において検出された前記開閉体の位置が前記開閉体の全閉位置に近接した所定の範囲内にあるときは、前記算出荷重と前記基準値とが所定時間以上継続して第2範囲内の差を有する場合に、前記新たな基準値を前記新たな算出荷重に一致させてよい。前記第2範囲は、前記算出荷重が前記基準値より小さい条件において、前記第1範囲よりも拡張されていてよい。
【0033】
この構成によれば、前記全閉位置に近接した前記所定の範囲内に前記開閉体が位置するとともに、前記算出荷重が前記基準値より小さい状態が続いた場合に、前記算出荷重と前記基準値との差が、前記第1範囲内より拡張された前記第2範囲に含まれ易くなる。これにより、前記全閉位置の近くで前記算出荷重が前記基準値より小さい状態が続いた場合に、前記新たな基準値が前記新たな算出荷重に一致させられるため、挟み込みの判定の遅れが短くなる。
【0034】
好適に、前記基準値算出部は、前記新たな算出荷重と過去の前記基準値との差が差異しきい値より大きく、かつ、所定時間あたりの前記算出荷重の変化量が変化量しきい値より大きい場合、前記新たな基準値を前記過去の基準値に一致させてよい。
【0035】
この構成によれば、挟み込みの発生によって前記新たな算出荷重と過去の前記基準値との差が前記差異しきい値より大きくなり、かつ、所定時間あたりの前記算出荷重の変化量が前記変化量しきい値より大きくなった場合、前記新たな基準値が前記過去の基準値に一致させられる。これにより、挟み込みが発生すると前記基準値の更新が停止され、前記算出荷重が前記基準値に比べて大きくなる。
【0036】
好適に、前記挟み込み判定部は、前記荷重算出部において新たな前記算出荷重が算出される度に、前記新たな算出荷重を含む一連の複数の算出荷重に基づいて、前記算出荷重の変化のパターンが所定の単調増加のパターンに該当するか否かを判定してよい。また、前記挟み込み判定部は、前記基準値に対する前記新たな算出荷重の超過量が前記挟み込みしきい値より大きい第1条件と、前記算出荷重の変化のパターンが前記単調増加のパターンに該当する第2条件とを満たした場合、前記挟み込みが発生したと判定してよい。
【0037】
この構成によれば、前記基準値に対する前記新たな算出荷重の超過量が前記挟み込みしきい値より大きい前記第1条件に加えて、前記算出荷重の変化のパターンが前記単調増加のパターンに該当する前記第2条件を満たした場合に、前記挟み込みが発生したと判定される。これにより、挟み込みの判定の精度が向上する。
【0038】
好適に、第1時間が第2時間より短いものとすると、前記挟み込み判定部は、複数連続した前記第1時間の各々において、前記算出荷重の増加量が所定の最大変化範囲に含まれ、かつ、複数連続した前記第2時間の各々において、前記算出荷重の増加量が所定の最小増加量より大きい場合に、前記算出荷重の変化のパターンが前記単調増加のパターンに該当すると判定してよい。
【0039】
この構成によれば、複数連続した前記第1時間の各々において、前記算出荷重の増加量が所定の最大変化範囲に含まれるとの条件により、前記算出荷重の増大のスピードが急過ぎる場合は、前記単調増加のパターンでないと判定される。また、複数連続した前記第2時間の各々において、前記算出荷重の増加量が所定の最小増加量より大きいとの条件により、前記算出荷重の増大のスピードが遅過ぎる場合も、前記単調増加のパターンでないと判定される。
【0040】
好適に、前記挟み込み判定部は、所定時間あたりの前記算出荷重の増加量が、硬い物体の挟み込みの発生基準を示すしきい値より大きい場合には、前記第1条件及び前記第2条件に加えて、前記算出荷重の変化が加速している第3条件を満たした場合に、前記挟み込みが発生したと判定してよい。
【0041】
この構成によれば、所定時間あたりの前記算出荷重の増加量が、硬い物体の挟み込みの発生基準を示すしきい値より大きい場合、前記算出荷重の変化が加速している前記第3条件が挟み込み判定の条件に加わる。これにより、挟み込みの判定の精度が更に向上する。
【0042】
本発明の第2の観点に係る開閉動作制御方法は、モータの駆動により開閉体の開閉動作を制御する。この開閉動作制御方法は、前記モータが前記開閉体に印加する力の大きさに応じた物理量を検出するセンサの検出結果を取得することと、前記センサの検出結果に基づいて、前記開閉体の前記開閉動作における荷重を算出することと、前記荷重の算出により得られた算出荷重の上限を定める挟み込みしきい値を設定することと、前記算出荷重が前記挟み込みしきい値によって定められた前記上限を超える場合、前記開閉体による物体の挟み込みが発生したと判定することと、前記挟み込みの判定によって前記挟み込みが発生したと判定された場合、前記モータの回転を反転させる挟み込み防止制御を行うことと、前記算出荷重の変動量と外乱しきい値との比較に基づいて、前記算出荷重の変動を引き起こす外乱を検知することとを有する。前記挟み込みしきい値を設定することは、前記外乱が検知された場合に、前記算出荷重の変動量に応じて前記上限を引き上げるように前記挟み込みしきい値を設定することを含む。
【0043】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、上記第2の観点に係る開閉動作制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、挟み込みの判定の誤りを回避し易くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、本実施形態に係る開閉制御装置の構成の一例を示す図である。本実施形態に係る開閉制御装置は、モータ6の駆動による開閉体3(窓)の開閉動作を制御する装置であり、
図1の例では、車両におけるドア2の窓枠4に取り付けられた開閉体3(窓)の開閉動作を制御する。
図1に示す開閉制御装置は、モータ駆動回路10と、電圧検出部20と、電流検出部30と、操作部40と、処理部50と、記憶部60とを有する。
【0047】
モータ駆動回路10は、処理部50の後述するモータ制御部57において生成される制御信号に応じて、モータ6の駆動用の電圧を生成する。
図1の例において、モータ駆動回路10は、フルブリッジ回路を構成する4つのスイッチ素子(11〜14)を有する。スイッチ素子11及び12が、バッテリ等の電源電圧Vbatとグランドとの間に直列接続され、その接続中点がモータ6の一方の入力端子に接続される。スイッチ素子13及び14が、電源電圧Vbatとグランドとの間に直列接続され、その接続中点がモータ6の他方の入力端子に接続される。モータ6は、例えばDCモータであり、2つの入力端子に印加される電圧の極性に応じて回転方向が反転する。
【0048】
電圧検出部20は、モータ6に供給される電圧を検出する。
図1の例において、電圧検出部20は、増幅部21とフィルタ部22を有する。増幅部21は、モータ6の2つの入力端子に印加される電圧を所定のゲインで増幅する。フィルタ部22は、増幅部21の出力信号からスイッチング周波数の成分を除去し、モータ6へ供給される平均的な電圧に応じた信号を出力する。電圧検出部20は、AD変換器を備えており、モータ6に供給される電圧に応じたデジタル信号を処理部50に出力する。
【0049】
電流検出部30は、モータ6に流れる電流を検出する。
図1の例において、電流検出部30は、シャント抵抗RSと、増幅部31と、フィルタ部32を有する。シャント抵抗RSは、モータ駆動回路10のフルブリッジ回路(11〜14)とグランドとの間の電流経路に設けられており、モータ6に流れる電流に応じた電圧を生じる。増幅部31は、シャント抵抗RSに生じる電圧を所定のゲインで増幅する。フィルタ部32は、増幅部31の出力信号からスイッチング周波数の成分を除去し、モータ6に流れる平均的な電流に応じた信号を出力する。電流検出部30は、AD変換器を備えており、モータ6に流れる電流に応じたデジタル信号を処理部50に出力する。
【0050】
電圧検出部20におけるモータ6の電圧の検出結果、及び、電流検出部30におけるモータ6の電流の検出結果は、後述する荷重算出部52において、開閉体3の開閉動作の荷重を算出するために用いられる。電圧検出部20及び電流検出部30は、本発明におけるセンサの一例である。
【0051】
操作部40は、ユーザが開閉体3の開閉動作を操作するための信号を処理部50へ入力する装置であり、例えばスイッチなどを含んで構成される。
【0052】
処理部50は、開閉制御装置の全体的な動作の制御を行う。処理部50は、例えば、記憶部60に格納されるプログラムの命令コードに従って処理を実行するコンピュータを含んで構成される。処理部50は、全ての処理をコンピュータにより実行してもよいし、少なくとも一部の処理を専用のハードウェア回路(ランダムロジック等)によって実行してもよい。
【0053】
処理部50は、開閉体位置検出部51と、荷重算出部52と、基準値算出部53と、外乱検知部54と、挟み込みしきい値設定部55と、挟み込み判定部56と、モータ制御部57とを有する。
【0054】
[開閉体位置検出部51]
開閉体位置検出部51は、開閉動作における開閉体3の位置を検出する。例えば、開閉体位置検出部51は、モータ6が一定の角度だけ回転する度にモータ6の電流にリップルが生じることを利用して、開閉体3の位置を検出する。具体的には、開閉体位置検出部51は、モータ6の電流に含まれるリップルを抽出して計数することにより、モータ6の回転量に対応したリップル計数値を開閉体3の位置の情報として取得する。
【0055】
なお、開閉体位置検出部51は、モータ6が一定の角度だけ回転する度にパルスを発生する装置(ホールセンサ等)が設けられている場合には、そのパルスを計数することにより、モータ6の回転量に対応したパルス計数値を取得してもよい。その他、開閉体位置検出部51は、リミットスイッチなどの機械的な手段、電気抵抗や静電容量を利用した電気的な手段、光の透過や反射を利用した光学的な手段などにより開閉体3の位置を検出してもよい。
【0056】
[荷重算出部52]
荷重算出部52は、電流検出部30において検出された電流(以下、「モータ電流Im」と記す場合がある。)及び電圧検出部20において検出された電圧(以下、「モータ電圧V」と記す場合がある。)に基づいて、開閉体3の開閉動作における荷重Fを算出する。すなわち、荷重算出部52は、モータ電流Imに比例する第1荷重成分F1と、モータ電流Im及びモータ電圧Vに基づいて近似されたモータ6の回転の角加速度に比例する第2荷重成分F2とが合成された荷重F(以下、「算出荷重F」と記す場合がある。)を算出する。算出荷重Fは、次の式で表される。
【0058】
荷重算出部52は、電流検出部30及び電圧検出部20において所定時間Tsごとに取得されるモータ電流Im及びモータ電圧Vに基づいて、算出荷重Fを所定時間ごとに算出する。すなわち、荷重算出部52は、一定の周期(Ts)で算出荷重Fの算出処理を行う。式(1)における「n」は、この算出荷重Fの周期的な算出処理における個々の処理サイクルを示す整数である。「n」の値が1つ増えると、処理サイクルの順番が1つ先に進む(時間が所定時間Tsだけ先に進む)。従って、「n」は、所定時間Tsを単位とする時間を表す数値とみなすことができる。以下の説明では、時間を表す数値として「n」を使用する場合がある。
【0059】
第1荷重成分F1(n)は、次の式で表される。
【0061】
式(2)において、「Kt」はモータトルク定数[N・m/A]を示し、「L」は単位回転角あたりの開閉体3の移動量[m/rad]を示す。
【0062】
第2荷重成分F2(n)は、次の式で表される。
【0064】
式(3)において、「C」は第2荷重成分調整パラメータ[N・sec
2]を示す。また、「ω(n)」はn番目の処理サイクルにおける角速度を示し、「ω(n−1)」はn−1番目の処理サイクルにおける角速度を示す。式(3)において示すように、第2荷重成分F2は、所定時間Tsにおける角速度ωの時間的変化率(角加速度)に比例する。
【0065】
角速度ω(n)は、次の式で表される。
【0067】
式(4)において、「Ke」はモータ逆起電力定数[V・sec/rad]を示し、「Rm」はモータ抵抗[Ω]を示す。式(4)において示すように、モータ6の回転の角速度ω(n)は、モータ電流Im(n)及びモータ電圧V(n)に基づいて近似される。
【0068】
[基準値算出部53]
基準値算出部53は、荷重算出部52において算出された算出荷重F(n)の加重平均の結果を基準値B(n)として算出する。例えば、基準値算出部53は、荷重算出部52において新たな算出荷重F(n)が算出される度に、新たな算出荷重F(n)と過去の(最近の)基準値B(n−1)との加重平均(第1加重平均とも云う。)の結果を新たな基準値B(n)として算出する。第1加重平均は、重み係数を「M」として、次の式で表される。
【0070】
ただし、モータ6の起動初期には、モータ6の起動特性に起因して、算出荷重F(n)に大きな変動が生じる。このような変動を式(5)によって単純に加重平均すると、挟み込みのない状態の算出荷重F(n)に対して基準値B(n)が大きくずれてしまい、挟み込みの判定の誤りが生じ易くなる。そこで、基準値算出部53は、モータ6が起動した後の初期期間において、算出荷重F(n)の値の範囲や変化の傾向に応じて、加重平均の起点となる基準値B(n)を適宜変更する。以下、加重平均の起点となる基準値B(n)を「安定点」と記す場合がある。また、モータ6の起動後に安定点を変更する処理を「安定点検索処理」と記す場合がある。
【0071】
基準値算出部53は、安定点検索処理として、モータ6が起動した後の初期期間における基準値B(n)の範囲を制限する。すなわち、基準値算出部53は、新たな算出荷重F(n)が最大荷重Bmaxを超える場合、新たな基準値B(n)を最大荷重Bmaxに一致させ、新たな算出荷重F(n)が最小荷重Bminより小さい場合は、新たな算出荷重F(n)を最小荷重Bminに一致させる。
【0072】
また、基準値算出部53は、安定点検索処理として、モータ6が起動した後の初期期間において、所定時間p1あたりの算出荷重Fの低下量「F(n−p1)−F(n)」が第1変動しきい値ΔFp1を超える場合、新たな基準値B(n)を新たな算出荷重F(n)に一致させる。
【0073】
更に、基準値算出部53は、安定点検索処理として、モータ6が起動した後の初期期間において、所定時間p3あたりの算出荷重Fの上昇量「F(n)−F(n−p3)」が第2変動しきい値ΔFp3を超える場合、新たな算出荷重F(n)と過去の基準値B(n−1)との加重平均であって、第1加重平均より応答速度が速い加重平均(以下、「第2加重平均」と記す場合がある。)の結果を新たな基準値B(n)として算出する。第2加重平均は、重み係数を「Q」として、次の式で表される。
【0075】
第2加重平均(式(6))の重み係数「Q」は、第1加重平均(式(5))の重み係数「M」に比べて小さい。
【0076】
また、基準値算出部53は、算出荷重F(n)と基準値B(n)とが所定時間以上継続して第1範囲内の差を有する場合、新たな基準値B(n)を新たな算出荷重F(n)に一致させる。以下、この処理を「基準値追随処理」と記す場合がある。算出荷重F(n)の変化に対して基準値B(n)の第1加重平均による変化が遅れている場合などにおいて、算出荷重F(n)と基準値B(n)とに定常的な差が生じることがある。基準値追随処理を行うことで、この定常的な差が直ちに解消されるため、挟み込みの判定の誤りが回避され易くなる。
【0077】
第1範囲は、例えば、算出荷重F(n)と基準値B(n)との差「F(n)−B(n)」がしきい値Dmin1より大きく、しきい値Dmaxより小さい範囲である。
【0078】
他方、基準値算出部53は、開閉体位置検出部51において検出された開閉体3の位置が開閉体3の全閉位置に近接した所定の範囲内にあるときは、算出荷重F(n)と基準値B(n)とが所定時間以上継続して第2範囲内の差を有する場合に、新たな基準値B(n)を新たな算出荷重F(n)に一致させる。ここで、第2範囲は、算出荷重F(n)が基準値B(n)より小さい条件において、第1範囲よりも拡張されている。
【0079】
第2範囲は、例えば、算出荷重F(n)と基準値B(n)との差「F(n)−B(n)」がしきい値Dmin2より大きく、しきい値Dmaxより小さい範囲である。第2範囲のしきい値Dmin2は、第1範囲のしきい値Dmin1より小さい負の値である。開閉体3の全閉位置の近くでは、算出荷重F(n)が基準値B(n)より小さい状態での定常的な差を生じる場合があり、第2範囲のしきい値Dmin2は、この定常的な差を含むように設定される。
【0080】
基準値算出部53は、例えば、全閉位置に近接した所定の範囲内においては、上述した第2範囲による基準値追随処理を行い、それ以外の範囲においては、上述した第1範囲による基準値追随処理を行う。
【0081】
基準値算出部53は、新たな算出荷重F(n)と過去の基準値B(n−1)との差「|F(n)−B(n−1)|」が差異しきい値ΔFBより大きく、かつ、所定時間p2あたりの算出荷重Fの変化量「|F(n)−F(n−p2)|」が変化量しきい値ΔFp2より大きい場合、新たな基準値B(n)を過去の基準値B(n−1)に一致させる。すなわち、基準値算出部53は、算出荷重Fが急に変化するとともに算出荷重Fと基準値Bとの差異が急に大きくなった場合、基準値Bの更新を停止することにより、算出荷重Fと基準値Bとの差異を速やかに増大させる。
【0082】
[外乱検知部54]
外乱検知部54は、算出荷重F(n)の変動を監視し、算出荷重F(n)の変動量と第1外乱しきい値ΔX1との比較に基づいて、算出荷重F(n)の変動を引き起こす外乱を検知する。
【0083】
図1の例において、外乱検知部54は、最大値保持部541と、外乱判定部542と、外乱増分値算出部543とを含む。
【0084】
最大値保持部541は、算出荷重Fの最大値Fmax(n−1)を保持し、荷重算出部52において新たな算出荷重F(n)が算出される度に、新たな算出荷重F(n)と最大値Fmax(n−1)とを比較する。最大値保持部541は、新たな算出荷重F(n)が最大値Fmax(n−1)より大きいならば、新たな算出荷重F(n)を新たな最大値Fmax(n)として保持し、新たな算出荷重F(n)が最大値Fmax(n−1)以下ならば、最大値Fmax(n−1)を最大値Fmax(n)として引き続き保持する。また、最大値保持部541は、保持した最大値Fmax(n)を時間の経過とともに減少させる。例えば、最大値保持部541は、最大値Fmax(n−1)を新たな最大値Fmax(n)として引き続き保持する場合に、新たな最大値Fmax(n)を最大値Fmax(n−1)から固定値「Ds」だけ減らす。固定値「Ds」は、車両の特性毎に設定された値である。
【0085】
外乱判定部542は、最大値Fmax(n)からの算出荷重F(n)の変動量「Fmax(n)−F(n)」が第1外乱しきい値ΔX1より大きい場合、大きい外乱があると判定する。
【0086】
また、外乱判定部542は、変動量「Fmax(n)−F(n)」が第2外乱しきい値ΔX2を超える範囲への算出荷重F(n)の低下と、変動量「Fmax(n)−F(n)」が第3外乱しきい値ΔX3を下回る範囲への算出荷重F(n)の上昇とが交互に繰り返された回数を計数し、当該回数に応じて前記外乱があると判定する。ただし、第1外乱しきい値ΔX1が最も大きく、次に第2外乱しきい値ΔX2が大きく、第3外乱しきい値ΔX3が最も小さい。すなわち、大小関係は「ΔX1 > ΔX2 > ΔX3」である。
【0087】
例えば、外乱判定部542は、変動量「Fmax(n)−F(n)」が第2外乱しきい値ΔX2を超えるまで算出荷重F(n)が低下した後、変動量「Fmax(n)−F(n)」が第3外乱しきい値ΔX3を下回るまで算出荷重F(n)が上昇したときに、この低下と上昇の1組を算出荷重F(n)の1回の変動と数える。外乱判定部542は、算出荷重F(n)の変動の回数が所定数より多くなった場合、小さい外乱があると判定する。
【0088】
外乱判定部542は、外乱があると判定する度に外乱判定状態を一定期間保持する。外乱判定状態において更に外乱があると判定した場合、外乱判定部542は、その判定の時から更に一定期間、外乱判定状態を保持する。
【0089】
外乱増分値算出部543は、外乱判定部542において外乱があると判定された場合、最大値Fmax(n)からの算出荷重F(n)の変動量「Fmax(n)−F(n)」に応じた外乱増分値ΔFXを算出する。
【0090】
外乱増分値算出部543は、外乱判定部542における外乱判定状態が保持されている間、挟み込みしきい値Fthに加算する外乱増分値ΔFXを、最大値Fmax(n)からの算出荷重F(n)の最も大きな変動量「Fmax(n)−F(n)」に応じて更新する。すなわち、外乱判定状態の途中で算出荷重F(n)が大きく低下し、大きな変動量「Fmax(n)−F(n)」が得られた場合、外乱増分値算出部543は、外乱増分値ΔFXをより大きな値に変更する。
【0091】
[挟み込みしきい値設定部55]
挟み込みしきい値設定部55は、算出荷重F(n)の上限を定める挟み込みしきい値Fthを設定する。例えば、挟み込みしきい値Fthは、算出荷重F(n)と基準値B(n)との差「F(n)−B(n)」(基準値B(n)に対する算出荷重F(n)の超過量)の許容範囲を定める。この場合、挟み込みしきい値Fthと基準値B(n)との和が、算出荷重F(n)の上限に相当する。
【0092】
挟み込みしきい値設定部55は、モータ6が起動した後の初期期間(例えば、基準値算出部53の安定点検索処理が行われる期間)と、初期期間の後の期間とで、挟み込みしきい値Fthのベースとなる値を切り替える。すなわち、挟み込みしきい値設定部55は、初期期間では起動時用しきい値Fth1を設定し、初期期間の後の期間では定常時用しきい値Fth2を設定する。初期期間における算出荷重F(n)の大きな変動を挟み込みとして誤判定しないようにするため、起動時用しきい値Fth1は定常時用しきい値Fth2より大きな値を持つ。
【0093】
また、挟み込みしきい値設定部55は、モータ6が起動した後の初期期間において、所定時間p4あたりの算出荷重Fの低下量「F(n−p4)−F(n)」が初期低下量しきい値ΔFp4を超えた場合、挟み込みしきい値Fthを一時的に増大させる。すなわち、挟み込みしきい値設定部55は、初期期間において低下量「F(n−p4)−F(n)」が初期低下量しきい値ΔFp4を超えた場合、初期期間の間だけ挟み込みしきい値Fthに増分値ΔFDを加算する。
【0094】
挟み込みしきい値設定部55は、開閉体位置検出部51において検出される開閉体3の位置が全閉位置に近接した所定範囲にある場合、開閉体3の位置Pが全閉位置に近づくほど大きくなる増分値ΔFS(P)を挟み込みしきい値Fthに加算する。これにより、全閉位置の近接範囲における摺動摩擦の増大が挟み込みとして誤判定され難くなる。
【0095】
挟み込みしきい値設定部55は、外乱検知部54において外乱が検知された場合、算出荷重F(n)の上限を引き上げるように挟み込みしきい値Fthを設定する。例えば、挟み込みしきい値設定部55は、外乱検知部54において外乱が検知された場合、外乱による算出荷重F(n)の変動量に応じた外乱増分値ΔFXを挟み込みしきい値Fthに加算する。挟み込みしきい値設定部55は、外乱判定部542において外乱判定状態が保持されている間、挟み込みしきい値Fthへの外乱増分値ΔFXの加算を行い、外乱判定状態が終了すると、外乱増分値ΔFXの加算も終了する。
【0096】
更に、挟み込みしきい値設定部55は、電圧検出部20で検出されたモータ電圧Vに基づいて、モータ6に供給される電圧の変化に伴う算出荷重F(n)の変化に応じた補正値を挟み込みしきい値Fthに加算する。例えば、挟み込みしきい値設定部55は、モータ電圧Vが上昇した場合、モータ電圧Vの上昇幅ΔV(n)に応じた増分値ΔFV(n)を補正値として挟み込みしきい値Fthに加算する。増分値ΔFV(n)は、例えば次の式で表される。
【0098】
式(7)において、「K1」はモータ電圧Vの上昇幅ΔV(n)に応じた算出荷重F(n)の変動の大きさに関わる定数項である。また「K2」は、モータ電圧Vの上昇幅ΔV(n)がゼロの場合における増分値ΔFV(n)の減衰の速さを定める定数項であり、1より小さい正の数に設定される。定数K2がゼロに近いほど、増分値ΔFV(n)の減衰が速くなる。
【0099】
なお、挟み込みしきい値設定部55は、増分値ΔFV(n)をゼロ以上の値に設定する。従って、式(7)の結果が負の場合、挟み込みしきい値設定部55は、増分値ΔFV(n)をゼロに設定する。
【0100】
[挟み込み判定部56]
挟み込み判定部56は、挟み込みしきい値Fthによって設定された上限を算出荷重F(n)が超える場合、開閉体3による物体の挟み込みが発生したと判定する。例えば、挟み込み判定部56は、算出荷重F(n)と基準値B(n)との差「F(n)−B(n)」が挟み込みしきい値Fthより大きい場合、開閉体3による物体の挟み込みが発生したと判定する。
【0101】
例えば、挟み込み判定部56は、荷重算出部52において新たな算出荷重F(n)が算出される度に、新たな算出荷重F(n)を含む一連の複数の算出荷重Fに基づいて、算出荷重Fの変化のパターンが所定の単調増加のパターンに該当するか否かを判定する。挟み込み判定部56は、算出荷重F(n)と基準値B(n)との差「F(n)−B(n)」が挟み込みしきい値Fthより大きい第1条件と、算出荷重Fの変化のパターンが単調増加のパターンに該当する第2条件とを満たした場合、挟み込みが発生したと判定する。
【0102】
また、挟み込み判定部56は、所定時間q3あたりの算出荷重Fの増加量「F(n)−F(n−q3)」が、硬い物体の挟み込みの発生基準を示すしきい値ΔFhより大きい場合には、上述した第1条件及び第2条件に加えて、算出荷重Fの変化が加速している第3条件を満たした場合に、挟み込みが発生したと判定する。
【0103】
[モータ制御部57]
モータ制御部57は、操作部40において入力される操作信号に応じたモータ6の制御信号を生成し、モータ駆動回路10に出力する。モータ制御部57は、閉動作及び開動作のそれぞれについて予め設定されたモータ6の回転方向や回転速度などの条件を満たすように、モータ駆動回路10へ出力する制御信号を生成する。
【0104】
また、モータ制御部57は、挟み込み判定部56において物体の挟み込みが発生したと判定された場合、モータ6の回転を反転させる挟み込み防止制御を行う。例えばモータ制御部57は、閉動作中に挟み込み判定部56において挟み込みが発生したと判定された場合、モータ6を逆転させて開動作を行い、適当な位置で開閉体3を停止させる。
以上が、処理部50の説明である。
【0105】
記憶部60は、処理部50におけるコンピュータのプログラム61や、処理部50の処理に使用される定数データ、処理部50の処理の過程で一時的に保持される変数データなどを記憶する。記憶部60は、例えば、DRAMやSRAM、フラッシュメモリ、ハードディスクなどの記憶装置を含んで構成される。
【0106】
プログラム61は、予め記憶部60に格納されてもよいし、図示しないインターフェース装置を介して他のサーバ等からダウンロードされたものが記憶部60に格納されてもよいし、非一時的な有形の媒体(光ディスク、USBメモリなど)から図示しない読み取り装置によって読み出されたものが記憶部60に格納されてもよい。
【0107】
次に、上述した構成を有する本実施形態に係る開閉制御装置の動作について説明する。
【0108】
図2は、モータ起動後の各ステージにおける開閉制御装置の動作の概要を示した図である。本実施形態に係る開閉制御装置は、モータ6の回転状態に応じた4つのステージ(第1ステージS1〜第4ステージS4)毎に異なった動作を実行する。第1ステージS1〜第4ステージS4は、モータ6の起動時点からの経過時間に応じて区分された期間であり、この順番で起動時点からの経過時間が長くなっている。
図2に示すように、モータ6の回転状態は起動時点に近いステージほど不安定であるが、ステージS4において概ね安定する。
【0109】
図2に示すように、開閉制御装置は、物体の挟み込みの判定を第2ステージS2以降で行ない、第1ステージS1では実施しない。従って、開閉制御装置は、挟み込みしきい値Fthの設定(増分値の算出等)も第1ステージS1では実施しない。
【0110】
図2に示すように、開閉制御装置は、安定点検索処理を第1ステージS1及び第2ステージS2において実施し、第3ステージS3以降は実施しない。また、開閉制御装置は、外乱検知処理を第1ステージS1及び第2ステージS2において実施せず、第3ステージS3以降で実施する。
【0111】
図3は、開閉制御装置における挟み込み防止機能を説明するためのフローチャートである。
図3に示す処理は、例えば所定時間Tsごとに繰り返し実行される。
【0112】
ST100,ST105:
処理部50は、電流検出部30による検出電流及び電圧検出部20による検出電圧を取得する。開閉体位置検出部51は、モータ6の電流に含まれるリップル成分などに基づいて、開閉動作する開閉体3の位置を検出する。開閉体3の位置が挟み込み防止制御を実施するべき挟み込み監視領域にある場合、処理部50はステップST110以降の処理を実行する。開閉体3の位置が挟み込み監視領域にない場合(例えば、全閉位置の近傍において開閉体3が反転しない非反転領域にある場合)、処理部50はステップST110以降をスキップして処理を終了する。
【0113】
ST110:
処理部50は、モータ6の起動時点からの経過時間(「n」の値)に基づいて、
図2に示す第1ステージS1〜第4ステージS4の何れにあるかを判定する。
【0114】
ST115:
荷重算出部52は、電流検出部30における検出されるモータ電流Im(n)と電圧検出部20において検出されるモータ電圧V(n)とに基づいて、式(1)〜(4)により算出荷重F(n)を算出する。
【0115】
ST120:
基準値算出部53は、荷重算出部52において算出された算出荷重F(n)の加重平均の結果を基準値B(n)として算出する。
【0116】
ST125:
外乱検知部54は、算出荷重F(n)の変動を監視し、算出荷重F(n)の変動量と第1外乱しきい値ΔX1との比較に基づいて、算出荷重F(n)の変動を引き起こす外乱を検知する。
【0117】
ST130:
挟み込みしきい値設定部55は、ステップST115で算出された算出荷重F(n)とステップST120で算出された基準値B(n)との差「F(n)−B(n)」の許容範囲を定める挟み込みしきい値Fthを設定する。
【0118】
ST135:
挟み込み判定部56は、算出荷重F(n)と基準値B(n)との差「F(n)−B(n)」が挟み込みしきい値より大きい場合、開閉体3による物体の挟み込みが発生したと判定する。
【0119】
ST140,ST145:
モータ制御部57は、挟み込み判定部56において挟み込みがあると判定された場合、モータ6の回転を反転させる挟み込み防止制御を行う。例えばモータ制御部57は、閉動作中に挟み込みが発生したと判定された場合、モータ6を逆転させて開動作を行う。
【0120】
次に、
図3に示すステップST120〜ST135の各処理について、フローチャート等を参照して更に詳しく説明する。
【0121】
(1) 基準値算出
図4は、基準値Bの算出(
図3,ST120)を説明するためのフローチャートである。
基準値算出部53は、モータ6の起動後の初期状態の場合(ST200,Yes)、基準値Bの算出に使用される各変数や状態を初期化する(ST205)。例えば、基準値算出部53は、基準値B(n)を最小荷重Bminに設定し、基準値追随処理(ST220)で使用される係数値CNTをゼロに初期化する。
【0122】
基準値算出部53は、モータ6が起動した後の初期期間(第1ステージS1及び第2ステージS2)にある場合、安定点検索処理を行う(ST210)。
【0123】
次いで、基準値算出部53は、新たな算出荷重F(n)と過去の基準値B(n−1)との第1加重平均(式(5))を行い、その結果を新たな基準値B(n)として算出する(ST215)。
【0124】
新たな基準値B(n)を算出した後、基準値算出部53は、算出荷重F(n)と基準値B(n)との定常的な差を解消させるための基準値追随処理を行う(ST220)
【0125】
(1−1) 安定点検索処理
図5は、基準値の算出における安定点検索処理(
図4,ST210)を説明するためのフローチャートである。
基準値算出部53は、安定点検索処理を行う期間(第1ステージS1及び第2ステージS2)にある場合(ST300,Yes)、算出荷重F(n)を最小荷重Bminと比較し、算出荷重F(n)が最小荷重Bmin以下であれば(ST305,No)、新しい基準値B(n)を最小荷重Bminに一致させる(ST310)。
【0126】
算出荷重F(n)が最小荷重Bminより大きい場合(ST305,Yes)、基準値算出部53は、所定時間p1あたりの算出荷重Fの低下量「F(n−p1)−F(n)」を第1変動しきい値ΔFp1と比較する。算出荷重Fの低下量「F(n−p1)−F(n)」が第1変動しきい値ΔFp1より大きい場合(ST315,Yes)、基準値算出部53は、新しい基準値B(n)を算出荷重F(n)に一致させる(ST320)。
【0127】
算出荷重Fの低下量「F(n−p1)−F(n)」が第1変動しきい値ΔFp1以下の場合(ST315,No)、基準値算出部53は、所定時間p3あたりの算出荷重Fの上昇量「F(n)−F(n−p3)」を第2変動しきい値ΔFp3と比較する。算出荷重Fの上昇量「F(n)−F(n−p3)」が第2変動しきい値ΔFp3より大きい場合(ST325,Yes)、基準値算出部53は、第1加重平均より応答速度が速い第2加重平均(式(6))の結果を新たな基準値B(n)として算出する(ST330)。
【0128】
ステップST320又はステップST330の後、基準値算出部53は、基準値B(n)を最大荷重Bmaxと比較し、基準値B(n)が最大荷重Bmaxより大きい場合(ST335,Yes)、基準値B(n)を最大荷重Bmaxと一致させる(ST340)。
【0129】
図6は、安定点検索処理(
図5)の例を示す図である。
図6Aは算出荷重Fが最小荷重Bminより小さい場合を示し、
図6Bは算出荷重Fの急な減少がある場合を示し、
図6Cは算出荷重Fの急な増大がある場合を示し、
図6Dは算出荷重Fが最大荷重Bmaxより大きい場合を示す。
【0130】
図6A及び
図6Dに示すように、モータ6が起動した後の第1ステージS1及び第2ステージS2において、算出荷重Fの範囲が最大荷重Bmaxと最小荷重Bminとの間に制限される。これにより、モータ6が起動した後の初期期間(S1,S2)においてモータ6の起動特性に起因する算出荷重Fの大きな変動が起きても、第1加重平均(式(5))による基準値Bの算出結果が比較的短い時間で適切な範囲に収束し易くなる。
【0131】
また
図6Bに示すように、モータ6が起動した後の初期期間(S1,S2)において、モータ6の起動特性に起因する算出荷重Fの変動により算出荷重Fが比較的大きく低下した場合、基準値B(n)が算出荷重F(n)に一致させられる。これにより、起動特性の影響で算出荷重Fが変動しても、第1加重平均(式(5))による基準値Bの算出結果が比較的短い時間で算出荷重Fと近い値に収束し易くなる。
【0132】
また
図6Cに示すように、モータ6が起動した後の初期期間(S1,S2)において、モータ6の起動特性に起因する算出荷重Fの変動により算出荷重Fが比較的大きく上昇した場合、第1加重平均に比べて応答速度が速い第2加重平均(式(6))により基準値Bが算出される。これにより、起動特性の影響で算出荷重Fが変動しても、第2加重平均による基準値Bの算出結果が比較的短い時間で算出荷重Fと近い値に収束し易くなる。
【0133】
このように、モータ6が起動した後の初期期間(S1,S2)において、挟み込みがないときの基準値Bの算出結果が比較的短い時間で適切な範囲(算出荷重F)と近い値に収束し易くなることにより、初期期間(S1,S2)でも挟み込みの正確な判定が可能になる。
【0134】
(1−2) 加重平均処理
図7は、基準値の算出における加重平均処理(
図4,ST215)を説明するためのフローチャートである。
基準値算出部53は、新たな算出荷重F(n)と過去の基準値B(n−1)との差「|F(n)−B(n−1)|」を差異しきい値ΔFBと比較する(ST400)。新たな算出荷重F(n)と過去の基準値B(n−1)との差「|F(n)−B(n−1)|」が差異しきい値ΔFBより小さい場合(ST400,Yes)、基準値算出部53は、基準値B(n)を第1加重平均(式(5))により算出する(ST410)。
【0135】
新たな算出荷重F(n)と過去の基準値B(n−1)との差「|F(n)−B(n−1)|」が差異しきい値ΔFB以上の場合(ST400,No)、基準値算出部53は、所定時間p2あたりの算出荷重Fの変化量「|F(n)−F(n−p2)|」を変化量しきい値ΔFp2と比較する(ST405)。算出荷重Fの変化量「|F(n)−F(n−p2)|」が変化量しきい値ΔFp2より小さい場合(ST405,Yes)、基準値算出部53は、基準値B(n)を第1加重平均(式(5))により算出する(ST410)。
【0136】
第1加重平均(式(5))により算出した基準値B(n)がゼロ以下の場合(ST415,No)、基準値算出部53は基準値B(n)をゼロにする(ST420)。
【0137】
新たな算出荷重F(n)と過去の基準値B(n−1)との差「|F(n)−B(n−1)|」が差異しきい値ΔFB以上であり、かつ、所定時間p2あたりの算出荷重Fの変化量「|F(n)−F(n−p2)|」が変化量しきい値ΔFp2以上である場合(ST400及びST405の両方でNoの場合)、基準値算出部53は、新たな基準値B(n)を過去の基準値B(n−1)に一致させる(ST425)。すなわち、基準値算出部53は、基準値B(n)の更新を停止する。
【0138】
図8は、加重平均処理(
図7)の例を示す図である。
図8Aは、加重平均処理によって基準値Bが算出される例を示す。
図8Bは、算出荷重Fの急な上昇によって基準値Bの更新が停止される例を示す。
【0139】
図8Aに示すように、新たな算出荷重F(n)と過去の基準値B(n−1)との差「|F(n)−B(n−1)|」が差異しきい値ΔFBより小さい場合や、所定時間p2あたりの算出荷重Fの変化量「|F(n)−F(n−p2)|」が変化量しきい値ΔFp2より小さい場合、基準値算出部53は、基準値B(n)を第1加重平均(式(5))により算出する。この場合、基準値B(n)は、概ね算出荷重F(n)に追随した変化を示す。
【0140】
図8Bに示すように、挟み込みが発生した場合、新たな算出荷重F(n)と過去の基準値B(n−1)との差が急に大きくなるとともに、算出荷重Fの時間的な変化が急に大きくなり易い。従って、このような場合に基準値Bの更新を停止することで、算出荷重Fと基準値Bとの差が速やかに増大するため、挟み込みの発生を速やかに検知できる。
(1−3)基準値追随処理
図9は、基準値の算出における基準値追随処理(
図4,ST220)を説明するためのフローチャートである。
基準値算出部53は、開閉体位置検出部51において検出される開閉体3の位置が全閉位置の所定の近接範囲より外側にあるか否かを判定する(ST500)。開閉体3が全閉位置の近接範囲の外側にある場合(ST500,Yes)、基準値算出部53は、算出荷重F(n)と基準値B(n)との差「F(n)−B(n)」をしきい値Dmin1、Dmaxとそれぞれ比較する(ST505,ST510)。算出荷重F(n)と基準値B(n)との差「F(n)−B(n)」がしきい値Dmin1より大きく、かつ、しきい値Dmaxより小さい第1範囲に含まれる場合(ST505及びST510の両方でYesの場合)、基準値算出部53は、計数値CNTをインクリメントする(ST515)。算出荷重F(n)と基準値B(n)との差「F(n)−B(n)」が第1範囲に含まれない場合(ST505及びST510の少なくとも一方でNoの場合)、基準値算出部53は、計数値CNTをゼロに初期化する(ST520)。
【0141】
開閉体3が全閉位置の近接範囲の内側にある場合(ST500,No)、基準値算出部53は、算出荷重F(n)と基準値B(n)との差「F(n)−B(n)」をしきい値Dmin2、Dmaxとそれぞれ比較する(ST525,ST530)。算出荷重F(n)と基準値B(n)との差「F(n)−B(n)」がしきい値Dmin2より大きく、かつ、しきい値Dmaxより小さい第2範囲に含まれる場合(ST525及びST530の両方でYesの場合)、基準値算出部53は、計数値CNTをインクリメントする(ST535)。算出荷重F(n)と基準値B(n)との差「F(n)−B(n)」が第2範囲に含まれない場合(ST525及びST530の少なくとも一方でNoの場合)、基準値算出部53は、計数値CNTをゼロに初期化する(ST540)。
【0142】
計数値CNTにインクリメント等の操作を行なった後(ST515,ST520,ST535,ST540)、基準値算出部53は、計数値CNTをしきい値ΔCNTthと比較する(ST545)。係数値CNTがしきい値ΔCNTthより大きい場合(ST545,Yes)、基準値算出部53は、算出荷重F(n)と基準値B(n)との差「F(n)−B(n)」がしきい値ΔCNTthに相当する時間継続して第1範囲又は第2範囲にあったと判定する。この場合、基準値算出部53は、基準値B(n)を算出荷重F(n)に一致させるとともに、計数値CNTをゼロに初期化する(ST550)。
【0143】
図10は、全閉位置の近接範囲の外側における基準値追随処理(
図9)の例を示す図である。
図10に示すように、基準値B(n)と算出荷重F(n)との間に一定時間以上継続して第1範囲内の定常的な差が生じた場合、基準値追随処理によってこの定常的な差が解消される。
【0144】
図11は、基準値追随処理を行う場合と行わない場合の比較を示す図である。
図11Aは基準値追随処理を行う場合の例を示し、
図11Bは基準値追随処理を行わない場合の比較例を示す。
図11Aと
図11Bを比較して分るように、算出荷重F(n)と基準値B(n)との定常的な差を基準値追随処理によって解消することにより、挟み込みの判定の誤りを効果的に回避できる。
【0145】
図12は、全閉位置の近接範囲における基準値追随処理(
図9)の例を示す図である。
図12に示すように、開閉体3の全閉位置の近くでは、算出荷重F(n)が基準値B(n)より小さい状態で定常的な差を生じる場合がある。算出荷重F(n)が基準値B(n)より小さいと、挟み込みの検知のタイミングが遅れ易くなる。そこで、全閉位置の近接範囲においては、近接範囲の外側に比べて、基準値を追随させる範囲が拡張される。すなわち、算出荷重F(n)が基準値B(n)より小さい状態で両者の差が大きい場合も含まれるように、第2範囲のしきい値Dmin2が設定される。例えば、第1範囲のしきい値Dmin1は正の値に設定されるのに対して、第2範囲のしきい値Dmin2は負の値に設定される。これにより、算出荷重F(n)が基準値B(n)より小さい状態で定常的な差が生じても、基準値追随処理によってこの定常的な差が解消される。
【0146】
図13は、全閉位置の近接範囲において基準値追随処理を行う場合と行わない場合の比較を示す図である。
図13Aは基準値追随処理を行う場合の例を示し、
図13Bは基準値追随処理を行わない場合の比較例を示す。これらの例では、全閉位置の近くで挟み込みが発生し、算出荷重Fが急激に上昇している。
図13Aと
図13Bを比較して分るように、算出荷重F(n)と基準値B(n)との定常的な差を基準値追随処理によって解消することにより、算出荷重F(n)が挟み込み検知の判定基準である「B+Fth」に到達する時間が短くなるため、挟み込み時の荷重を効果的に低減できる。
【0147】
(2) 外乱検出
図14は、外乱検知(
図3,ST125)を説明するためのフローチャートである。
最大値保持部541は、新たな算出荷重F(n)が算出される度に、既に保持した算出荷重Fの最大値Fmax(n−1)と新たな算出荷重F(n)とを比較し、何れか大きい方を次の最大値Fmax(n)として保持する(ST600)。また、最大値保持部541は、保持した最大値Fmax(n)を時間の経過とともに減少させる。
【0148】
次に、外乱判定部542は、最大値Fmax(n)からの算出荷重F(n)の変動量「Fmax(n)−F(n)」と第1外乱しきい値ΔX1とを比較し、この比較結果に基づいて大きい外乱があるか否かを判定する(ST605)。
【0149】
また、外乱判定部542は、最大値Fmax(n)からの算出荷重F(n)の変動量「Fmax(n)−F(n)」が第1外乱しきい値ΔX1より小さい範囲において、算出荷重F(n)が所定の変動を生じた回数を計数し、この回数に基づいて小さい外乱があるか否かを判定する(ST610)。
【0150】
ステップST605又はST610において外乱があると判定された場合、外乱増分値算出部543は、挟み込みしきい値Fthに加算する外乱増分値ΔFxを算出する(ST615)
【0151】
(2−1) 算出荷重Fの最大値の保持
図15は、算出荷重Fの最大値を保持する処理(
図14,ST600)を説明するためのフローチャートである。
最大値保持部541は、外乱検出を開始する第2ステージS2以前において(ST700,Yes)、算出荷重Fの最大値Fmax(n)を算出荷重F(n)に一致させる(ST705)。外乱検出を開始した第3ステージS3以降において(ST700,No)、最大値保持部541は、保持した最大値Fmax(n−1)を算出荷重F(n)と比較する(ST710)。算出荷重F(n)が最大値Fmax(n)より大きい場合(ST710,Yes)、最大値保持部541は、最大値Fmax(n)を算出荷重F(n)に一致させる(ST705)。他方、算出荷重F(n)が最大値Fmax(n)以下の場合(ST710,No)、最大値保持部541は、保持した最大値Fmax(n−1)から固定値「Ds」を引いた値を次の新たな最大値Fmax(n)として保持する(ST715)。
【0152】
図16は、算出荷重Fの最大値を保持する処理(
図15)の例を示す図である。
図16において示すように、最大値保持部541は、保持した最大値Fmaxより大きい算出荷重Fが現れない場合、最大値Fmaxを時間とともに減少させる。算出荷重Fの変動が小さくなると、最大値Fmaxは算出荷重Fと近い値になる傾向がある。そのため、最大値Fmaxに対する算出荷重Fの変動量は、算出荷重Fの変動の大きさを表す値となる。
(2−2) 大きい外乱の検知処理
図17は、大きい外乱の検知処理(
図14,ST605)を説明するためのフローチャートである。
外乱判定部542は、現在の状態が「大きい外乱がない」状態である場合(ST800,Yes)、最大値Fmax(n)からの算出荷重F(n)の変動量「Fmax(n)−F(n)」を第1外乱しきい値ΔX1と比較する(ST805)。変動量「Fmax(n)−F(n)」が第1外乱しきい値ΔX1より大きい場合(ST805,Yes)、外乱判定部542は、「大きい外乱がある」状態に移行するとともに、「大きい外乱がある」状態の保持時間の計時を開始する(ST810)。この計時は、例えば、ステップST800において「大きい外乱がある」状態と判定された回数を数えることにより行なわれる。
【0153】
他方、外乱判定部542は、ステップST800において「大きい外乱がある」状態と判定した場合も(ST800,No)、変動量「Fmax(n)−F(n)」を第1外乱しきい値ΔX1と比較する(ST815)。変動量「Fmax(n)−F(n)」が第1外乱しきい値ΔX1より大きい場合(ST815,Yes)、外乱判定部542は、計時時間を初期化する(ST820)。計時時間の初期化は、例えば、ステップST800において「大きい外乱がある」状態と判定された回数をリセットする(ゼロにする)ことにより行われる。
【0154】
「大きい外乱がある」状態で(ST800,No)、変動量「Fmax(n)−F(n)」が第1外乱しきい値ΔX1以下の場合(ST815,No)、外乱判定部542は、計時時間が所定時間を超えたか否か判定する(ST825)。この判定は、例えば、ステップST800において「大きい外乱がある」状態と判定された回数と所定のしきい値との比較に基づいて行われる。計時時間が所定時間を超えた場合、外乱判定部542は、「大きい外乱がない」状態へ移行するとともに、計時時間を初期化する(ST830)。
【0155】
図18は、大きい外乱の検知処理の例を示す図である。
図18において円に囲まれた黒丸は、大きい外乱があると判定されたときの算出荷重Fを示す。
図18に示すように、最大値Fmaxが時間とともに減少する期間において、最大値Fmaxに対する算出荷重Fの変動量が第1外乱しきい値ΔX1より大きい場合、外乱判定部542は大きい外乱があると判定する。
【0156】
(2−3) 小さい外乱の検知処理
図19及び
図20は、小さい外乱の検知処理(
図14,ST610)を説明するためのフローチャートである。
外乱判定部542は、現在の状態が「小さい外乱のない」状態である場合(ST900,Yes)、現在の状態が「荷重の低下を監視する」状態であれば(ST905,Yes)、最大値Fmax(n)からの算出荷重F(n)の変動量「Fmax(n)−F(n)」を第2外乱しきい値ΔX2と比較する(ST910)。第2外乱しきい値ΔX2は、大きな外乱の検知処理(
図17)で用いられる第1外乱しきい値ΔX1より小さい。
【0157】
変動量「Fmax(n)−F(n)」が第2外乱しきい値ΔX2より大きい場合(ST910,Yes)、外乱判定部542は、「算出荷重Fの変動回数」をインクリメントし(ST915)、この変動回数が所定数に達したか否かを判定する(ST920)。「算出荷重Fの変動回数」が所定数より小さい場合(ST920,No)、外乱判定部542は「荷重の低下を監視する」状態から「荷重の上昇を監視する」状態に移行する(ST925)。
【0158】
次に、「小さい外乱のない」状態(ST900,Yes)であって「荷重の上昇を監視する」状態(ST905,No)である場合、外乱判定部542は、最大値Fmax(n)からの算出荷重F(n)の変動量「Fmax(n)−F(n)」を第3外乱しきい値ΔX3と比較する(ST930)。第3外乱しきい値ΔX3は、第2外乱しきい値ΔX2より更に小さい。
【0159】
変動量「Fmax(n)−F(n)」が第3外乱しきい値ΔX3を下回る場合(ST930,Yes)、すなわち、算出荷重F(n)が上昇して最大値Fmax(n)に近づいた場合、外乱判定部542は再び「荷重の低下を監視する」状態に戻る(ST935)。その後、算出荷重F(n)が低下して変動量「Fmax(n)−F(n)」が第2外乱しきい値ΔX2より大きくなると、再びステップST900〜ST915の処理を経て、「算出荷重Fの変動回数」がインクリメントされる。このように、変動量「Fmax(n)−F(n)」が第2外乱しきい値ΔX2を超える範囲への算出荷重F(n)の低下と、変動量「Fmax(n)−F(n)」が第3外乱しきい値ΔX3を下回る範囲への算出荷重F(n)の上昇とが交互に繰り返される度に、「算出荷重Fの変動回数」が1ずつインクリメントされる。
【0160】
ステップST920において算出荷重F(n)の変動回数が所定数に達したと判定した場合(ST920,Yes)、外乱判定部542は「小さい外乱がある」状態へ移行するとともに、「小さい外乱がある」状態の保持時間の計時を開始する(ST940)。この計時は、例えば、ステップST900において「小さい外乱がある」状態と判定された回数を数えることにより行なわれる。
【0161】
外乱判定部542は、「小さい外乱がある」状態の場合(ST900,No)、最大値Fmax(n)からの算出荷重F(n)の変動量「Fmax(n)−F(n)」を第2外乱しきい値ΔX2と比較する(ST945)。変動量「Fmax(n)−F(n)」が第2外乱しきい値ΔX2より大きい場合(ST945,Yes)、外乱判定部542は、計時時間を初期化する(ST950)。計時時間の初期化は、例えば、ステップST900において「小さい外乱がある」状態と判定された回数をリセットする(ゼロにする)ことにより行われる。
【0162】
「小さい外乱がある」状態で(ST900,No)、変動量「Fmax(n)−F(n)」が第2外乱しきい値ΔX2以下の場合(ST945,No)、外乱判定部542は、計時時間が所定時間を超えたか否か判定する(ST955)。この判定は、例えば、ステップST900において「小さい外乱がある」状態と判定された回数と所定のしきい値との比較に基づいて行われる。計時時間が所定時間を超えた場合(ST955,Yes)、外乱判定部542は、「小さい外乱がない」状態における「荷重の低下を監視する」状態へ移行するとともに、計時時間を初期化する(ST960)。
【0163】
図21は、小さい外乱の検知処理(
図19,
図20)の例を示す図である。
図21において円で囲まれた黒丸は、小さい外乱があると判定されたときの算出荷重Fを示す。
図21の例では、変動量「Fmax(n)−F(n)」が第2外乱しきい値ΔX2を超える範囲への算出荷重F(n)の低下と、変動量「Fmax(n)−F(n)」が第3外乱しきい値ΔX3を下回る範囲への算出荷重F(n)の上昇とが交互に繰り返され、3回目の算出荷重F(n)の低下時に小さい外乱が発生したと判定される。
【0164】
(2−3) 外乱増分値の算出処理
図22は、外乱増分値の算出処理(
図14,ST615)を説明するためのフローチャートである。
外乱増分値算出部543は、「小さい外乱がある」状態と「大きい外乱がある」状態との一方又は両方であるか否かを判定する(ST1000)。何れの状態でもない場合(ST1000,No)、外乱増分値算出部543は、現在の変動量「Fmax(n)−F(n)」を変動量の最大値ΔFmax(n)として保持する(ST1005)。また、外乱増分値算出部543は、挟み込みしきい値Fthに加算する外乱増分値ΔFXをゼロに設定する(ST1010)。
【0165】
その後、算出荷重F(n)の変動により、「小さい外乱がある」状態と「大きい外乱がある」状態との一方又は両方であると判定された場合(ST1000,Yes)、外乱増分値算出部543は、保持した最大値ΔFmax(n−1)を現在の変動量「Fmax(n)−F(n)」と比較する(ST1015)。現在の変動量「Fmax(n)−F(n)」が最大値ΔFmax(n−1)より大きい場合(ST1015,Yes)、外乱増分値算出部543は、現在の変動量「Fmax(n)−F(n)」を新たな最大値ΔFmax(n)として保持する(ST1020)。他方、現在の変動量「Fmax(n)−F(n)」が最大値ΔFmax(n−1)以下の場合、外乱増分値算出部543は、保持した最大値ΔFmax(n−1)をそのまま最大値ΔFmax(n)として保持する(ST1025)。ステップST1020又はST1025の後、外乱増分値算出部543は、新たな変動量の最大値ΔFmax(n)と固定値「ΔFXs」との和を外乱増分値ΔFXとして算出する(ST1030)。固定値「ΔFXs」は、車両の特性毎に設定された値である。
【0166】
図23は、外乱判定状態の保持期間の例を示す図である。
時刻t1において外乱判定部542により大きい外乱があると判定され、外乱判定状態が開始する。外乱判定状態になると、挟み込みしきい値Fthに外乱増分値ΔFXが加算されるため、挟み込みしきい値Fthが大きくなる。
図23の例では、外乱判定状態である時刻t1〜t7の間、外乱増分値ΔFXの加算により挟み込みしきい値Fthが大きくなっている。外乱判定状態は、外乱判定部542において外乱があると判定される度に、その時点から一定期間延長される。時刻t3〜t4の間は、外乱があるとの判定がないものの、一定期間内であるため、外乱判定状態が保持される。時刻t6を最後に外乱があるとの判定がなくなるため、時刻t7において外乱判定状態の保持期間が終了する。外乱判定状態が終わると、挟み込みしきい値Fthへの外乱増分値ΔFXの加算が終了し、挟み込みしきい値Fthが元のレベルに戻る。
【0167】
図23に示すように、外乱判定状態の保持が一定期間に限定されており、挟み込みしきい値Fthへの外乱増分値ΔFXの加算が一定期間に限定される。そのため、単発的な外乱による算出荷重F(n)の変動が終わった後も挟み込みしきい値Fthに外乱増分値ΔFXが加算され続けることがない。すなわち、外乱のない状態に戻ったときは挟み込みしきい値Fthも元のレベルに戻るため、挟み込みが発生してから検知されるまでの応答速度の低下を回避できる。
【0168】
図24は、外乱判定状態の保持期間における外乱増分値の更新の例を示す図であり、グラフの波形は
図23と同じである。
時刻t1において外乱判定状態が開始したとき、最大値Fmax(n)からの算出荷重F(n)の変動量「Fmax(n)−F(n)」は「a」である。従って、外乱増分値算出部543は、変動量の最大値ΔFmaxとして「a」を保持する。外乱増分値算出部543は、最大値ΔFmaxである「a」と固定値「ΔFXs」との和「a+ΔFXs」を外乱増分値ΔFXとして算出する。
【0169】
時刻t2において、変動量「Fmax(n)−F(n)」は「b」となり、時刻t1における「a」よりも大きくなる。そのため、外乱増分値算出部543は、変動量の最大値ΔFmaxを「a」から「b」に更新し、最大値ΔFmaxである「b」と固定値「ΔFXs」との和「b+ΔFXs」を外乱増分値ΔFXとして算出する。これにより、時刻t2において挟み込みしきい値Fthが大きくなる。
【0170】
更に、時刻t5において、変動量「Fmax(n)−F(n)」は「c」となり、時刻t2における「b」よりも更に大きくなる。そのため、外乱増分値算出部543は、変動量の最大値ΔFmaxを「b」から「c」に更新し、最大値ΔFmaxである「c」と固定値「ΔFXs」との和「c+ΔFXs」を外乱増分値ΔFXとして算出する。これにより、時刻t5において挟み込みしきい値Fthが更に大きくなる。
【0171】
図24に示すように、外乱判定状態が保持されている途中で外乱が大きくなった場合、変動量「Fmax(n)−F(n)」の最大値ΔFmaxが更新され、最大値ΔFmaxに応じて外乱増分値ΔFXも更新される。これにより、途中から大きくなった外乱に応じて挟み込みしきい値Fthが大きくなるため、外乱による挟み込み判定の誤りが回避され易くなる。
【0172】
(3) 挟み込みしきい値の設定
図25及び
図26は、挟み込みしきい値の設定(
図3,ST130)を説明するためのフローチャートである。
挟み込みしきい値設定部55は、モータ6の起動後の初期期間(例えば第1ステージS1、第2ステージS2)において(ST1105,Yes)、挟み込みしきい値Fthのベース値を起動時用しきい値Fth1に設定し(ST1100)、初期期間の後の期間では(ST1105,No)、挟み込みしきい値Fthのベース値を定常時用しきい値Fth2に設定する(ST1115)。起動時用しきい値Fth1は定常時用しきい値Fth2より大きな値を持つため、初期期間におけるモータ6の起動特性に起因する算出荷重F(n)の変動が、挟み込みとして誤判定され難くなる。
【0173】
また、挟み込みしきい値設定部55は、モータ6の起動後の初期期間において(ST1105,Yes)、所定時間p4あたりの算出荷重Fの低下量「F(n−p4)−F(n)」が初期低下量しきい値ΔFp4を超えているか否か判定する(ST1120)。低下量「F(n−p4)−F(n)」が初期低下量しきい値ΔFp4を超えている場合、挟み込みしきい値設定部55は、挟み込みしきい値Fthを一時的に増大させる。すなわち、挟み込みしきい値設定部55は、初期期間の間だけ挟み込みしきい値Fthに増分値ΔFDを加算する(ST1125)。
【0174】
図27は、モータ6が起動した後の初期期間における算出荷重の低下の例を示す図である。
図27に示すように、初期期間では算出荷重F(n)の大きな変動が発生し、特に起動の直後において算出荷重F(n)の急激な低下を生じる場合がある。このような挟み込みと関係のない算出荷重F(n)の低下が生じている場合に、挟み込みしきい値Fthを一時的に増大させることによって、挟み込みの誤判定を生じ難くすることができる。
【0175】
次に挟み込みしきい値設定部55は、開閉体位置検出部51で検出された開閉体3の位置が全閉位置に近接した所定の範囲にある場合(ST1130,Yes)、開閉体3の位置Pが全閉位置に近づくほど大きくなる増分値ΔFS(P)を挟み込みしきい値Fthに加算する(ST1135)。
【0176】
図28は、全閉位置の近接範囲における挟み込みしきい値Fthの設定の例を示す図である。
図28の例では、位置Pの値が「0」の場所を全閉位置としており、位置Pの値が正に増大するほど(図の右から左に向かうほど)全閉位置から離れる。増分値ΔFS(P)は、例えば位置Pの一次関数であり、次の式で表される。
【0178】
式(8)において、「α」は一次関数の傾きを表す係数である。増分値ΔFS(P)が加算される全閉位置の近接範囲は、位置Pの値が「0」から「Pu」までの範囲であり、位置Pの値が「Pu」のときに増分値ΔFS(P)はゼロとなる。なお、
図28の例では、増分値ΔFS(P)が加算される全閉位置の近接範囲内(0〜Pu)に、挟み込み監視領域と非反転領域との境界「Px」が含まれる。
【0179】
図26に戻る。
挟み込みしきい値設定部55は、外乱検知部54において外乱が検知された場合(ST1140,Yes)、外乱増分値ΔFXを挟み込みしきい値Fthに加算する(ST1145)。挟み込みしきい値設定部55は、外乱判定部542において外乱判定状態が保持されている間、挟み込みしきい値Fthへの外乱増分値ΔFXの加算を維持する。
【0180】
また、挟み込みしきい値設定部55は、電圧検出部20において検出されるモータ電圧Vが変化した場合、その変化量に応じた増分値ΔFV(n)を算出する(ST1150)。例えば、挟み込みしきい値設定部55は、モータ電圧Vが上昇した場合に、モータ電圧Vの上昇幅ΔV(n)に応じた式(7)の増分値ΔFV(n)を算出する。ただし、挟み込みしきい値設定部55は、増分値ΔFV(n)が負の場合(ST1155,Yes)、増分値ΔFV(n)をゼロにする(ST1160)。挟み込みしきい値設定部55は、この増分値ΔFV(n)を挟み込みしきい値Fthに加算する(ST1165)。
【0181】
図29は、モータ電圧Vの変動に伴う算出荷重Fの変化と挟み込みしきい値Fthの設定の例を示す図である。
図29Aはモータ電圧Vが一定の時間変化率で上昇する場合及び一定の時間変化率で低下する場合を示し、
図29Bはモータ電圧Vが特定のタイミングで不連続に上昇する階段状の変化を生じる場合を示す。
図29A、
図29Bから分かるように、モータ電圧Vが上昇すると算出荷重Fも上昇する。また、モータ電圧Vの上昇後、算出荷重Fの上昇分は時間の経過とともに減少する傾向がある。増分値ΔFV(n)は、モータ電圧Vの変化に伴う算出荷重Fの変化に比較的近い変化を示す値となっているため、増分値ΔFV(n)が加算された挟み込みしきい値Fthは、算出荷重Fと同様な傾向で変化する。これにより、モータ電圧Vの変化に伴う算出荷重Fの変化が生じても、挟み込みの誤判定が効果的に回避される。
【0182】
(4) 挟み込み判定
図30及び
図31は、挟み込み判定(
図3,ST135)を説明するためのフローチャートである。
挟み込み判定部56は、算出荷重F(n)と基準値B(n)との差「F(n)−B(n)」を挟み込みしきい値Fthと比較し、算出荷重F(n)と基準値B(n)との差「F(n)−B(n)」が挟み込みしきい値Fth以下の場合(ST1200,No)、挟み込みがないと判定する(ST1250)。
【0183】
挟み込み判定部56は、算出荷重F(n)と基準値B(n)との差「F(n)−B(n)」が挟み込みしきい値Fthより大きい場合(ST1200,Yes)、算出荷重Fの変化のパターンが所定の単調増加のパターンに該当するか否かを更に判定する(ST1205〜ST1225)。
【0184】
図32は、挟み込み判定における算出荷重Fの単調増加の条件(ST1205〜ST1225)を説明するための図である。挟み込み判定部56は、3つの連続した時間q1の各々において、算出荷重Fの増加量が所定の最大変化範囲(−ΔFe〜ΔFLmax)に含まれるか否かを判定する。すなわち、挟み込み判定部56は、ステップST1205では算出荷重Fの増加量「F(n)−F(n−q1)」について、ステップST1210では算出荷重Fの増加量「F(n−q1)−F(n−2・q1)」について、ステップST1215では算出荷重Fの増加量「F(n−2・q1)−F(n−3・q1)」について、それぞれ「−ΔFe」以上「ΔFLmax」以下の範囲に含まれるか否かを判定する。ステップST1205〜1215の1つ以上で、算出荷重Fの増加量が最大変化範囲(−ΔFe〜ΔFLmax)に含まれないと判定された場合、挟み込み判定部56は挟み込みがないと判定する(ST1250)。
複数連続した時間q1の各々において算出荷重Fの増加量が所定の最大変化範囲(−ΔFe〜ΔFLmax)に含まれることを単調増加のパターンの条件とすることにより、算出荷重Fの増大のスピードが急過ぎる場合を単調増加のパターンから除外できる。
【0185】
また、挟み込み判定部56は、2つの連続した時間q2(>q1)の各々において、算出荷重Fの増加量が所定の最小増加量ΔFLmin以上か否かを判定する。すなわち、挟み込み判定部56は、ステップST1220では算出荷重Fの増加量「F(n)−F(n−q2)」について、ステップST1225では算出荷重Fの増加量「F(n−q2)−F(n−2・q2)」について、それぞれ最小増加量ΔFLmin以上か否かを判定する。ステップST1220、ST1225の1つ以上で、算出荷重Fの増加量が最小増加量ΔFLminより小さいと判定された場合、挟み込み判定部56は挟み込みがないと判定する(ST1250)。
複数連続した時間q2(>q1)の各々において算出荷重Fの増加量が所定の最小増加量ΔFLmin以上であることを単調増加のパターンの条件とすることにより、算出荷重Fの増大のスピードが遅過ぎる場合を単調増加のパターンから除外できる。
【0186】
このように、算出荷重Fの変化のパターンが単調増加のパターンに該当するか否かを挟み込み判定の条件とすることで、例えば外乱の衝撃やノイズなどを挟み込みとして誤判定するケースを減らすことができるため、挟み込み判定の精度が向上する。
【0187】
ステップST1205〜1215の各々において算出荷重Fの増加量が最大変化範囲(−ΔFe〜ΔFLmax)に含まれると判定され、かつ、ステップST1220、ST1225の各々において算出荷重Fの増加量が最小増加量ΔFLmin以上と判定された場合、挟み込み判定部56は、更にステップST1230〜ST1240の判定に進む。
【0188】
挟み込み判定部56は、モータ6の回転が比較的安定する第3ステージS3以降において(ST1230,Yes)、所定時間q3あたりの算出荷重Fの増加量「F(n)−F(n−q3)」が、硬い物体の挟み込みの発生基準を示すしきい値ΔFh以上か否かを判定する(ST1235)。算出荷重Fの増加量「F(n)−F(n−q3)」がしきい値ΔFh以上の場合(ST1235,Yes)、挟み込み判定部56は、算出荷重Fの変化が加速しているか否かを判定する(ST1240)。すなわち、挟み込み判定部56は、直近の算出荷重Fの増加量「F(n)−F(n−1)」からノイズ等の誤差に相当する固定値「ΔFe」を引いた値と、以前の算出荷重Fの増加量「F(n−1)−F(n−2)」とを比較し、前者が後者以上の場合、算出荷重Fの変化が加速していると判定する(ステップST1240,Yes)。ステップST1240で算出荷重Fの変化が加速していると判定した場合、挟み込み判定部56は挟み込みがあると判定し(ST1245)、そうでない場合は、挟み込みがないと判定する(ST1250)。なお、挟み込み判定部56は、ステップST1230で第3ステージS3より前と判定した場合や(ST1230,No)、ステップST1235において算出荷重Fの増加量「F(n)−F(n−q3)」がしきい値ΔFhより小さいと判定した場合(ST1235,No)、ステップST1240の判定を省略し、挟み込みがあると判定する(ST1245)。
【0189】
このように、算出荷重F(n)が急激に上昇する場合における算出荷重F(n)の変化の加速を調べることによって、硬い物の挟み込みが発生した場合と、外乱の衝撃などで算出荷重F(n)が変化した場合とを区別できるため、挟み込みの誤判定を減らすことができる。
【0190】
(まとめ)
本実施形態に係る開閉制御装置によれば、算出荷重Fの変動量と外乱しきい値との比較に基づいて外乱が検知された場合、算出荷重Fの変動量に応じた外乱増分値ΔFXが挟み込みしきい値Fthに加算される。これにより、算出荷重Fの変動量から推測される外乱の大きさに応じて、挟み込みしきい値Fthが大きくなるため、外乱による挟み込みの判定の誤りを減らすことができる。
【0191】
本実施形態に係る開閉制御装置によれば、算出荷重Fの最大値Fmax(n)からの変動量「Fmax(n)−F(n)」が第1外乱しきい値ΔX1より大きい場合に外乱があると判定され、この変動量「Fmax(n)−F(n)」に応じた外乱増分値ΔFXが挟み込みしきい値Fthに加算される。そのため、外乱によって算出荷重Fの短時間の変動が起きても、外乱増分値ΔFXが加算されることで挟み込みしきい値Fthが大きくなるため、外乱が挟み込みとして誤判定されるケースを減らすことができる。
また、最大値Fmax(n)が更新された後、時間の経過とともに最大値Fmax(n)が減少するため、外乱による単発的な算出荷重F(n)の変動が終わった後は、変動量「Fmax(n)−F(n)」が小さくなる。これにより、適当な期間が経過した後、外乱があるとの判定を自動的に解除できる。
【0192】
本実施形態に係る開閉制御装置によれば、外乱が比較的小さいことにより算出荷重Fの最大値Fmax(n)からの変動量「Fmax(n)−F(n)」が第1外乱しきい値ΔX1より小さい場合であっても、算出荷重F(n)が上昇と低下を繰り返す回数に基づいて外乱の有無を判定できるため、比較的小さい外乱による挟み込み判定の誤りを減らすことができる。
【0193】
本実施形態に係る開閉制御装置によれば、電圧検出部20で検出されたモータ電圧Vに基づいて、モータ電圧Vの変化に伴う算出荷重Fの変化に応じた補正値(ΔFV(n))が挟み込みしきい値Fthに加算される。これにより、モータ電圧Vの変化に伴って算出荷重Fが変化すると、その変化に合わせて挟み込みしきい値Fthが変化する。そのため、基準値Bに対する算出荷重Fの超過量(F−B)と挟み込みしきい値Fthとを比較する場合において、モータ電圧Vの変化に伴う算出荷重Fの変化が比較結果に影響を与え難くなる。すなわち、モータ電圧Vの変動により算出荷重Fが変動する場合でも、超過量(F−B)と挟み込みしきい値Fthとの比較結果に基づく挟み込み判定の誤りを減らすことができる。
【0194】
本実施形態に係る開閉制御装置によれば、モータ電流Imに比例する第1荷重成分F1と角加速度に比例する第2荷重成分F2とが合成された算出荷重Fに基づいて、物体の挟み込みが検知される。第2荷重成分F2が算出荷重Fの算出結果に含まれることにより、第1荷重成分F1のみの場合に比べて算出荷重Fの算出精度が高くなり、挟み込みの検知の精度を向上できる。また、比較的硬い物体の挟み込みが生じた場合、第2荷重成分F2が速やかに増大するため、挟み込みの検知のタイミングが早くなる。これにより、挟み込みの発生から挟み込み防止制御の動作開始までの時間を短くすることができる。
【0195】
なお、本発明は上記の形態のみに限定されるものではなく、他の種々のバリエーションを含んでいる。
【0196】
上述した実施形態では、モータ6が開閉体3に印加する力(荷重)の大きさに応じた物理量としてモータ6の電流と電圧を検出し、式(1)〜式(4)の関係を利用して算出荷重F(n)を算出しているが、本発明はこの例に限定されない。
他の実施形態では、例えば、モータの回転の角速度をロータリーエンコーダ等によって検出し、モータ電圧Vの検出結果と角速度ωの検出結果とに基づいて算出荷重Fを算出してもよい。具体的には、例えば、角速度ωの検出結果を式(3)に適用することにより、第2荷重成分F2を算出できる。式(4)の関係から導かれるモータ電流Imを式(2)に代入すると、式(2)の第1荷重成分F1はモータ電圧Vと角速度ωを用いて表されるため、第1荷重成分F1は、モータ電圧Vの検出結果と角速度ωの検出結果とに基づいて算出できる。
また、更に他の実施形態では、モータ6が開閉体3に印加する力の大きさに関連した他の物理量(例えばモータ6のシャフトに加わるトルクなど)を検出するセンサを設けて、そのセンサの検出結果に基づいて算出荷重Fを算出してもよい。
【0197】
上記の実施形態では、本発明を車両の窓の開閉制御装置(パワーウインドウ等)に適用した例が挙げられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、サンルーフやスライド式ドアなど、他の種々の開閉制御装置にも適用可能である。