(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
p型有機半導体材料とn型有機半導体材料を有する光電変換素子であって、p型有機半導体材料が請求項1及至4のいずれか一項に記載の撮像素子用光電変換素子用材料を含んでなる撮像素子用光電変換素子。
(A)第一の電極膜、(B)第二の電極膜及び該第一の電極膜と該第二の電極膜の間に配置された(C)光電変換部を有する光電変換素子であって、該(C)光電変換部が少なくとも(c−1)光電変換層及び(c−2)光電変換層以外の有機薄膜層を含んでなり、かつ該(c−2)光電変換層以外の有機薄膜層が請求項1乃至4のいずれか一項に記載の撮像素子用光電変換素子用材料を含んでなる撮像素子用光電変換素子。
更に、(D)正孔蓄積部を有する薄膜トランジスタ及び(E)該薄膜トランジスタ内に蓄積された電荷に応じた信号を読み取る信号読み取り部を有する請求項5乃至11のいずれか一項に記載の撮像素子用光電変換素子。
(D)正孔蓄積部を有する薄膜トランジスタが、更に(d)正孔蓄積部と第一の電極膜及び第二の電極膜のいずれか一方とを電気的に接続する接続部を有する請求項12に記載の撮像素子用光電変換素子。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づくものであるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。
【0017】
本発明の撮像素子用光電変換素子用材料の第1の特徴は、下記一般式(1)で表される化合物を含むことにある。
【0019】
式(1)中、R
1及びR
2は水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基を表す。Xはそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子又はCR
3R
4を表す。R
3及びR
4は水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基を表す。
【0020】
式(1)のR
1及びR
2が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。これらのうち、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。また、R
1及びR
2の両者が同一のハロゲン原子であることが好ましい。
【0021】
式(1)のR
1及びR
2が表すアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状の何れにも限定されず、その炭素数も特に限定されないが、通常は炭素数1乃至4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基であるか、または炭素数5乃至6の環状のアルキル基である。
式(1)のR
1及びR
2が表すアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられ、炭素数1乃至4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であることが好ましく、炭素数1又は2の直鎖のアルキル基であることがより好ましい。
【0022】
ここで、「置換又は無置換のアルキル基」とは、アルキル基中の水素原子が置換基で置換されたアルキル基又はアルキル基中の水素原子が置換基で置換されていないアルキル基を意味する。アルキル基が置換基を有する場合は、少なくとも一種の置換基を有していればよく、置換位置と置換基数も特に制限されない。
尚、本明細書において「置換」及び「無置換」との語句は、前記アルキル基の場合と同様に、「置換基中の水素原子が置換基で置換されているもの」及び「置換基中の水素原子が置換基で置換されていないもの」を意味する。
式(1)のR
1及びR
2が表すアルキル基が有する置換基に制限はないが、例えばアルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基、アルキル置換アミノ基、アリール置換アミノ基、非置換アミノ基(NH
2基)、シアノ基及びイソシアノ基等が挙げられる。
【0023】
式(1)のR
1及びR
2が表すアルキル基が有する置換基としてのアルコキシ基の具体例としては,メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、iso−ペンチルオキシ基、t−ペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、iso−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、sec−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、sec−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、n−エイコシルオキシ基、ドコシルオキシ基、n−ペンタコシルオキシ基、n−オクタコシルオキシ基、n−トリコンチルオキシ基、5−(n−ペンチル)デシルオキシ基、ヘネイコシルオキシ基、トリコシルオキシ基、テトラコシルオキシ基、ヘキサコシルオキシ基、ヘプタコシルオキシ基、ノナコシルオキシ基、n−トリアコンチルオキシ基、スクアリルオキシ基、ドトリアコンチルオキシ基及びヘキサトリアコンチルオキシ基等の炭素数1乃至36のアルコキシ基が挙げられ、炭素数1乃至24のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1乃至20のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数1乃至12のアルコキシ基であることが更に好ましく、炭素数1乃至6のアルコキシ基であることが特に好ましく、炭素数1乃至4のアルコキシ基であることが最も好ましい。
【0024】
式(1)のR
1及びR
2が表すアルキル基が有する置換基としてのアリール基とは、アリール化合物から水素原子を一つ除いた残基を意味し、その具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、ナフタセニル基、クリセニル基、フルオレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレン基及びベンゾピレニル基等が挙げられる。これらのうち、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基又はフルオレニル基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基又はナフチル基がより好ましく、フェニル基又はナフチル基がさらに好ましい。また、R
1及びR
2の両者が同一のアリール基であることが好ましい。
式(1)のR
1及びR
2が表すアルキル基が有する置換基としてのハロゲン原子としては、式(1)のR
1及びR
2が表すハロゲン原子と同じものが挙げられる。
【0025】
式(1)のR
1及びR
2が表すアルキル基が有する置換基としてのアルキル置換アミノ基は、モノアルキル置換アミノ基及びジアルキル置換アミノ基の何れにも制限されず、これらアルキル置換アミノ基におけるアルキル基としては、式(1)のR
1及びR
2表すアルキル基と同じものが挙げられる。
式(1)のR
1及びR
2が表すアルキル基が有する置換基としてのアリール置換アミノ基は、モノアリール置換アミノ基及びジアリール置換アミノ基の何れにも制限されず、これらアリール置換アミノ基におけるアリール基としては、式(1)のR
1及びR
2が表すアルキル基が有する置換基の項に記載したアリール基と同じものが挙げられる。
【0026】
式(1)のR
1及びR
2が表すアルキル基が有する置換基としては、アリール基、ハロゲン原子又はアルコキシル基であることが好ましく、ハロゲン原子又は無置換のアリール基であることがより好ましく、フェニル基又はナフチル基であることが更に好ましい。
【0027】
式(1)のR
1及びR
2が表すアルコキシ基の具体例としては、式(1)のR
1及びR
2が表すアルキル基が有する置換基としてのアルコキシ基の具体例と同じものが挙げられ、好ましいものもまた同じである。
式(1)のR
1及びR
2が表すアルコキシ基が有する置換基に制限はないが、例えば式(1)のR
1及びR
2が表すアルキル基が有する置換基と同じものが挙げられる。
【0028】
式(1)のR
1及びR
2が表すアリール基の具体例としては、式(1)のR
1及びR
2が表すアルキル基が有する置換基としてのアリール基の具体例と同じものが挙げられ、好ましいものもまた同じである。
式(1)のR
1及びR
2が表すアリール基が有する置換基に制限はないが、例えばアルキル基や式(1)のR
1及びR
2が表すアルキル基有する置換基と同じものが挙げられる。
式(1)のR
1及びR
2が表すアリール基が有する置換基としてのアルキル基としては、式(1)のR
1及びR
2が表すアルキル基と同じものが挙げられる。
【0029】
式(1)のR
1及びR
2が表すヘテロアリール基とは、ヘテロアリール化合物から水素原子を一つ除いた残基を意味し、その具体例としては、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、カルバゾリル基、チエニル基、フリル基及びピラニル基等の複素環基や、ベンゾチエニル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基及びジベンゾフラニル基等の縮合系複素環基等が挙げられる。これらのうち、ピリジル基、キノリル基、カルバゾリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基又はジベンゾフラニル基が好ましく、ピリジル基、カルバゾリル基、ベンゾチエニル基又はベンゾフラニルがより好ましく、ピリジル基又はベンゾチエニル基がさらに好ましい。また、R
1及びR
2の両者が同一のヘテロアリール基であることが好ましい。
式(1)のR
1及びR
2が表すヘテロアリール基が有する置換基に制限はないが、例えば式(1)のR
1及びR
2が表すアリール基が有する置換基と同じものが挙げられる。
【0030】
式(1)におけるR
1及びR
2としては、両者が水素原子、又は両者が同一の無置換のアリール基であることが好ましく、両者が水素原子、又は両者が同一のフェニル基であることがより好ましく、両者が水素原子であることがさらに好ましい。
【0031】
式(1)中、Xはそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子または二価の連結基CR
3R
4を表し、R
3及びR
4は水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロアリール基を表す。
【0032】
式(1)のR
3及びR
4が表すハロゲン原子の具体例としては、式(1)のR
1及びR
2が表すハロゲン原子の具体例と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。また、R
3及びR
4の両者が同一のハロゲン原子であることが好ましい。
【0033】
式(1)のR
3及びR
4が表すアルキル基の具体例としては、式(1)のR
1及びR
2が表すアルキル基の具体例と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。また、R
3及びR
4の両者が同一のアルキル基であることが好ましい。
式(1)のR
3及びR
4が表すアルキル基が有する置換基に制限はないが、例えば式(1)のR
1及びR
2が表すアルキル基が有する置換基と同じものが挙げられる。
【0034】
式(1)のR
3及びR
4が表すアリール基の具体例としては、式(1)のR
1及びR
2が表すアルキル基が有する置換基としてのアリール基の具体例と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。また、R
3及びR
4の両者が同一のアリール基であることが好ましい。
式(1)のR
3及びR
4が表すアリール基が有する置換基に制限はないが、例えば式(1)のR
1及びR
2が表すアリール基が有する置換基と同じものが挙げられる。
【0035】
式(1)のR
3及びR
4が表すヘテロアリール基の具体例としては、式(1)のR
1及びR
2が表すヘテロアリール基の具体例と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。また、R
3及びR
4の両者が同一のヘテロアリール基であることが好ましい。
式(1)のR
3及びR
4が表すヘテロアリール基が有する置換基に制限はないが、例えば式(1)のR
1及びR
2が表すヘテロアリール基が有する置換基と同じものが挙げられる。
【0036】
式(1)におけるR
3及びR
4としては、水素原子、ハロゲン原子、無置換の炭素数1乃至4のアルキル基又は無置換のアリール基であることが好ましく、R
3及びR
4の両者が同一の水素原子、ハロゲン原子、無置換の炭素数1乃至4のアルキル基又は無置換のアリール基であることがより好ましく、両者が同一のフッ素原子、水素原子、無置換の炭素数1乃至4のアルキル基又はフェニル基であることが更に好ましく、両者が同一の無置換の炭素数1乃至4のアルキル基であることが特に好ましい。
【0037】
上記式(1)中の[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン構造におけるベンゼン環上の置換基の置換位置は特に制限されないが、2,7位であることが好ましい。即ち、式(1)で表される化合物として、下記一般式(2)で表される化合物がより好ましい。
【0039】
式(2)中、R
1、R
2及びX(X中のR
3及びR
4)は式(1)におけるR
1、R
2及びX(X中のR
3及びR
4)と同じ意味を表し、好ましいものも式(1)におけるのと同じである。
即ち、式(2)で表される化合物としては、式(2)におけるR
1、R
2及びX(X中のR
3及びR
4)が、上記した式(1)における好ましい乃至最も好ましい態様のものが好ましい。
【0040】
式(1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0046】
式(1)で表される化合物は、特許文献1、特許文献6及び非特許文献1に開示された公知の方法などにより合成することができる。例えば以下のスキームに記された方法が挙げられる。原料としてニトロスチルベン誘導体(A)を用いて、ベンゾチエノベンゾチオフェン骨格(D)を形成し、これを還元することによりアミノ化物(E)が得られる。この化合物(E)をハロゲン化してやればハロゲン化物(F)(以下のスキームには一例としてヨウ素化物を記載した)が得られ、この化合物(F)を更にホウ酸誘導体とカップリングをしてやれば式(1)で表される化合物を得ることが可能である。ここでのホウ酸誘導体は、遊離のホウ酸でなくピナコールエステルでも構わない。なお、特許文献5の方法によれば、対応するベンズアルデヒド誘導体から式(1)で表される化合物を1ステップで製造できるため、より効果的である。
【0048】
式(1)で表される化合物の精製方法は、特に限定されず、再結晶、カラムクロマトグラフィー、及び真空昇華精製等の公知の方法が採用できる。また必要に応じてこれらの方法を組み合わせることができる。
【0049】
本発明の撮像素子用光電変換素子(以下、単に「光電変換素子」ということもある。)は、対向する(A)第一の電極膜と(B)第二の電極膜との二つの電極膜間に、(C)光電変換部を配置した素子であって、(A)第一の電極膜又は(B)第二の電極膜の上方から光が光電変換部に入射されるものである。(C)光電変換部は前記の入射光量に応じて電子と正孔を発生するものであり、半導体により前記電荷に応じた信号が読み出され、光電変換膜部の吸収波長に応じた入射光量を示す素子である。光が入射しない側の電極膜には読み出しのためのトランジスタが接続される場合もある。光電変換素子は、アレイ状に多数配置されている場合は、入射光量に加え入射位置情報をも示すため、撮像素子となる。また、より光源近くに配置された光電変換素子が、光源側から見てその背後に配置された光電変換素子の吸収波長を遮蔽しない(透過する)場合は、複数の光電変換素子を積層して用いても良い。可視光領域にそれぞれ異なる吸収波長を有する複数の光電変換素子を積層して用いることにより、多色の撮像素子(フルカラーフォトダイオードアレイ)とすることができる。
【0050】
本発明の撮像素子用光電変換素子材料は、上記(C)光電変換部を構成する材料に用いられる。
(C)光電変換部は、(c−1)光電変換層と、電子輸送層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、結晶化防止層及び層間接触改良層等からなる群より選択される一種又は複数種の(c−2)光電変換層以外の有機薄膜層とからなることが多い。本発明の撮像素子用光電変換素子材料は(c−1)光電変換層及び(c−2)光電変換層以外の有機薄膜層のいずれにも用いることができるが、(c−2)光電変換層以外の有機薄膜層に用いることが好ましい。
【0051】
本発明の撮像素子用光電変換素子が有する(A)第一の電極膜及び(B)第二の電極膜は、後述する(C)光電変換部に含まれる(c−1)光電変換層が正孔輸送性を有する場合や、(c−2)光電変換層以外の有機薄膜層(以下、光電変換層以外の有機薄膜層を、単に「(c−2))有機薄膜層」とも表記する)が正孔輸送性を有する正孔輸送層である場合は、該(c−1)光電変換層や該(c−2)有機薄膜層から正孔を取り出してこれを捕集する役割を果たし、また(C)光電変換部に含まれる(c−1)光電変換層が電子輸送性を有する場合や、(c−2)有機薄膜層が電子輸送性を有する電子輸送層である場合は、該(c−1)光電変換層や該(c−2)有機薄膜層から電子を取り出してこれを吐出する役割を果たすものである。よって、(A)第一の電極膜及び(B)第二の電極膜として用い得る材料は、ある程度の導電性を有するものであれば特に限定されないが、隣接する(c−1)光電変換層や(c−2)有機薄膜層との密着性や電子親和力、イオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選択することが好ましい。(A)第一の電極膜及び(B)第二の電極膜として用い得る材料としては、例えば、酸化錫(NESA)、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)及び酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物;金、銀、白金、クロム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル及びタングステン等の金属;ヨウ化銅及び硫化銅等の無機導電性物質;ポリチオフェン、ポリピロール及びポリアニリン等の導電性ポリマー;炭素等が挙げられる。これらの材料は、必要により複数を混合して用いてもよいし、複数を2層以上に積層して用いてもよい。(A)第一の電極膜及び(B)第二の電極膜に用いる材料の導電性も光電変換素子の受光を必要以上に妨げなければ特に限定されないが、光電変換素子の信号強度や、消費電力の観点から出来るだけ高いことが好ましい。例えばシート抵抗値が300Ω/□以下の導電性を有するITO膜であれば(A)第一の電極膜及び(B)第二の電極膜として充分機能するが、数Ω/□程度の導電性を有するITO膜を備えた基板の市販品も入手可能となっていることから、この様な高い導電性を有する基板を使用することが望ましい。ITO膜(電極膜)の厚さは導電性を考慮して任意に選択することができるが、通常5乃至500nm、好ましくは10乃至300nm程度である。ITOなどの膜を形成する方法としては、従来公知の蒸着法、電子線ビーム法、スパッタリング法、化学反応法及び塗布法等が挙げられる。基板上に設けられたITO膜には必要に応じUV−オゾン処理やプラズマ処理等を施してもよい。
【0052】
(A)第一の電極膜及び(B)第二の電極膜のうち、少なくとも光が入射する側の何れか一方に用いられる透明電極膜の材料としては、ITO、IZO、SnO
2、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、ZnO、AZO(Alドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、TiO
2、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)等が挙げられる。(c−1)光電変換層の吸収ピーク波長における透明電極膜を介して入射した光の透過率は、60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、95%以上であることが特に好ましい。
【0053】
また、検出する波長の異なる光電変換層を複数積層する場合、それぞれの光電変換層の間に用いられる電極膜(これは(A)第一の電極膜及び(B)第二の電極膜以外の電極膜である)は、それぞれの光電変換層が検出する光以外の波長の光を透過させる必要があり、該電極膜には入射光の90%以上を透過する材料を用いることが好ましく、95%以上の光を透過する材料を用いることがより好ましい。
【0054】
電極膜はプラズマフリーで作製することが好ましい。プラズマフリーでこれらの電極膜を作成することにより、電極膜が設けられる基板にプラズマ与える影響が低減され、光電変換素子の光電変換特性を良好にすることができる。ここで、プラズマフリーとは、電極膜の成膜時にプラズマが発生しないか、またはプラズマ発生源から基板までの距離が2cm以上、好ましくは10cm以上、更に好ましくは20cm以上であり、基板に到達するプラズマが減ぜられるような状態を意味する。
【0055】
電極膜の成膜時にプラズマが発生しない装置としては、例えば、電子線蒸着装置(EB蒸着装置)やパルスレーザー蒸着装置等が挙げられる。以下では、EB蒸着装置を用いて透明電極膜の成膜を行う方法をEB蒸着法と言い、パルスレーザー蒸着装置を用いて透明電極膜の成膜を行う方法をパルスレーザー蒸着法と言う。
【0056】
成膜中プラズマを減ずることが出来るような状態を実現できる装置(以下、プラズマフリーである成膜装置という)としては、例えば、対向ターゲット式スパッタ装置やアークプラズマ蒸着装置等が考えられる。
【0057】
透明導電膜を電極膜(例えば第一の導電膜)とした場合、DCショート、あるいはリーク電流の増大が生じる場合がある。この原因の一つは、光電変換層に発生する微細なクラックがTCO(TransparentConductiveOxide)などの緻密な膜によって被覆され、透明導電膜とは反対側の電極膜(第二の導電膜)との間の導通が増すためと考えられる。そのため、Alなど膜質が比較して劣る材料を電極に用いた場合、リーク電流の増大は生じにくい。電極膜の膜厚を、光電変換層の膜厚(クラックの深さ)に応じて制御することにより、リーク電流の増大を抑制することができる。
【0058】
通常、導電膜を所定の値より薄くすると、急激な抵抗値の増加が起こる。本実施形態の撮像素子用光電変換素子における導電膜のシート抵抗は、通常100乃至10000Ω/□であり、膜厚の自由度が大きい。また、透明導電膜が薄いほど吸収する光の量が少なくなり、一般に光透過率が高くなる。光透過率が高くなると、光電変換層で吸収される光が増加して光電変換能が向上するため非常に好ましい。
【0059】
本発明の撮像素子用光電変換素子が有する(C)光電変換部は、少なくとも(c−1)光電変換層及び(c−2)光電変換層以外の有機薄膜層を含む。
(C)光電変換部を構成する(c−1)光電変換層には一般的に有機半導体膜が用いられるが、その有機半導体膜は一層、もしくは複数の層であっても良く、一層の場合は、P型有機半導体膜、N型有機半導体膜、又はそれらの混合膜(バルクヘテロ構造)が用いられる。一方、複数の層である場合は、2乃至10層程度であり、P型有機半導体膜、N型有機半導体膜、又はそれらの混合膜(バルクヘテロ構造)のいずれかを積層した構造であり、層間にバッファ層が挿入されていても良い。
【0060】
(c−1)光電変換層の有機半導体膜には、吸収する波長帯に応じ、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン化合物、スチリルアミン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、カルバゾール化合物、ポリシラン化合物、チオフェン化合物、フタロシアニン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、オキソノール化合物、ポリアミン化合物、インドール化合物、ピロール化合物、ピラゾール化合物、ポリアリーレン化合物、カルバゾール誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、ペンタセン誘導体、フェニルブタジエン誘導体、スチリル誘導体、キノリン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、ポルフィリン誘導体、フラーレン誘導体や金属錯体(Ir錯体、Pt錯体、Eu錯体など)等を用いることができる。
【0061】
本発明の撮像素子用光電変換素子において、(C)光電変換部を構成する(c−2)光電変換層以外の有機薄膜層は、(c−1)光電変換層以外の層、例えば、電子輸送層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、結晶化防止層又は層間接触改良層等としても用いられる。特に電子輸送層、正孔輸送層、電子ブロック層及び正孔ブロック層からなる群より選択される一種以上の薄膜層として用いることにより、弱い光エネルギーでも効率よく電気信号に変換する素子が得られるため好ましい。
【0062】
電子輸送層は、(c−1)光電変換層で発生した電子を(A)第一の電極膜又は(B)第二の電極膜へ輸送する役割と、電子輸送先の電極膜から(c−1)光電変換層に正孔が移動するのをブロックする役割とを果たす。
正孔輸送層は、発生した正孔を(c−1)光電変換層から(A)第一の電極膜又は(B)第二の電極膜へ輸送する役割と、正孔輸送先の電極膜から(c−1)光電変換層に電子が移動するのをブロックする役割とを果たす。
電子ブロック層は、(A)第一の電極膜又は(B)第二の電極膜から(c−1)光電変換層への電子の移動を妨げ、(c−1)光電変換層内での再結合を防ぎ、暗電流を低減する役割を果たす。
正孔ブロック層は、(A)第一の電極膜又は(B)第二の電極膜から(c−1)光電変換層への正孔の移動を妨げ、(c−1)光電変換層内での再結合を防ぎ、暗電流を低減する機能を有する。
正孔ブロック層は正孔阻止性物質を単独又は二種類以上を積層する、又は混合することにより形成される。正孔阻止性物質としては、正孔が電極から素子外部に流出するのを阻止することができる化合物であれば限定されない。正孔ブロック層に使用することができる化合物としては、上記一般式(1)で表される化合物の他に、バソフェナントロリン及びバソキュプロイン等のフェナントロリン誘導体、シロール誘導体、キノリノール誘導体金属錯体、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、キノリン誘導体などが挙げられ、これらのうち、一種又は二種以上を用いることができる。
電子ブロック層は、電子阻止性物質を単独又は二種類以上を積層する、又は混合することにより形成される。電子阻止性物質としては、電子が電極から素子外部に流出するのを阻止することができる化合物であれば限定されない。電子ブロック層に使用することができる化合物としては、上記一般式(1)で表される化合物の他に、アリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体などが挙げられる。これらのうち、一種又は二種以上を用いることができる。
【0063】
上記一般式(1)で表される化合物を含む(c−2)光電変換層以外の有機薄膜層は、特に正孔ブロック層、又は電子ブロック層として好適に用いることが出来る。リーク電流を防止するという観点からは正孔ブロック層、又は電子ブロック層の膜厚は厚い方が良いが、光入射時の信号読み出しの際に充分な電流量を得るという観点からは膜厚はなるべく薄い方が良い。これら相反する特性を両立するために、一般的には(c−1)及び(c−2)を含む(C)光電変換部の膜厚が5乃至500nm程度であることが好ましい。なお、一般式(1)で表される化合物が用いられる層が、どのような働きをするかは、光電変換素子に他にどのような化合物を用いるかで変わってくる。
また、正孔ブロック層及び電子ブロック層は、(c−1)光電変換層の光吸収を妨げないために、光電変換層の吸収波長の透過率が高いことが好ましく、また薄膜で用いることが好ましい。
【0064】
薄膜トランジスタは、光電変換部により生じた電荷に基づき、信号読み取り部へ信号を出力する。薄膜トランジスタは、ゲート電極、ゲート絶縁膜、活性層、ソース電極、及びドレイン電極を有し、活性層は、シリコン半導体、酸化物半導体又は有機半導体により形成されている。
【0065】
薄膜トランジスタに用いられる活性層を酸化物半導体により形成すれば、アモルファスシリコンの活性層に比べて電荷の移動度がはるかに高く、低電圧で駆動させることができる。また、酸化物半導体を用いれば、通常、シリコンよりも光透過性が高く、可撓性を有する活性層を形成することができる。また、酸化物半導体、特にアモルファス酸化物半導体は、低温(例えば室温)で均一に成膜が可能であるため、プラスチックのような可撓性のある樹脂基板を用いるときに特に有利となる。また、複数の二次受光画素を積層させるため、上段の二次受光画素を形成する際に下段の二次受光画素が影響を受ける。特に光電変換層は熱の影響を受けやすいが、酸化物半導体、特にアモルファス酸化物半導体は低温成膜が可能であるため有利である
【0066】
活性層を形成するための酸化物半導体としては、In、Ga及びZnのうちの少なくとも1つを含む酸化物(例えばIn−O系)が好ましく、In、Ga及びZnのうちの少なくとも2つを含む酸化物(例えばIn−Zn−O系、In−Ga−O系、Ga−Zn−O系)がより好ましく、In、Ga及びZnを含む酸化物が更に好ましい。In−Ga−Zn−O系酸化物半導体としては、結晶状態における組成がInGaO
3(ZnO)m(mは6未満の自然数)で表される酸化物半導体が好ましく、特に、InGaZnO
4 がより好ましい。この組成のアモルファス酸化物半導体の特徴としては、電気伝導度が増加するにつれ、電子移動度が増加する傾向を示す。
【0067】
信号読み取り部は、光電変換部に生成及び蓄積される電荷または前記電荷に応じた電圧を読み取る。
【0068】
図1に本発明の撮像素子用光電変換素子の代表的な素子構造を詳細に説明するが、本発明はこれらの構造には限定されるものではない。
図1の態様例においては、1が絶縁部、2が一方の電極膜(第一の電極膜又は第二の電極膜)、3が電子ブロック層、4が光電変換層、5が正孔ブロック層、6が他方の電極膜(第二の電極膜又は第一の電極膜)、7が絶縁基材、もしくは積層された光電変換素子をそれぞれ表す。読み出しのトランジスタ(図中には未記載)は、2又は6いずれかの電極膜と接続されていればよく、例えば、光電変換層4が透明であれば、光が入射する側とは反対側の電極膜の外側(電極膜2の上側、又は電極膜6の下側)に成膜されていてもよい。光電変換素子を構成する光電変換層以外の薄膜層(電子ブロック層や正孔ブロック層等)が光電変換層の吸収波長を極度に遮蔽しないものであれば、光が入射する方向は上部(
図1における絶縁部1側)または下部(
図1における絶縁基板7側)のいずれでもよい。
【0069】
本発明の撮像素子用光電変換素子における(c−1)光電変換層及び(c−2)光電変換層以外の有機薄膜層の形成方法には、一般的に、真空プロセスである抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、溶液プロセスであるキャスティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ブレードコーティング、ワイヤバーコーティング、スプレーコーティング等のコーティング法や、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法等、更にはこれらの手法を複数組み合わせた方法を採用しうる。各層の厚みは、それぞれの物質の抵抗値・電荷移動度にもよるので限定することはできないが、通常は7乃至5000nmの範囲であり、好ましくは1乃至1000nmの範囲、より好ましくは5乃至500nmの範囲である。
【実施例】
【0070】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例中に記載のブロック層は正孔ブロック層及び電子ブロック層のいずれでも良い。光電変換素子の作製はグローブボックスと一体化した蒸着機で行い、作製した光電変換素子は窒素雰囲気のグローブボックス内で密閉式のボトル型計測チャンバー(エイエルエステクノロジー社製)に光電変換素子を設置し、電流電圧の印加測定を行った。電流電圧の印加測定は、特に指定のない限り、半導体パラメータアナライザ4200−SCS(ケースレーインスツルメンツ社)を用いて行った。入射光の照射は、特に指定のない限り、PVL−3300(朝日分光社製)を用い、照射光波長550nm、照射光半値幅20nmにて行った。実施例中の明暗比は光照射を行った場合の電流値を暗所での電流値で割ったものを示す。
【0071】
合成例1 (2,7−ビス(2−ジベンゾフラニル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(具体例のNo.1で表される化合物)の合成)
(工程1)2−(ジベンゾフラン−2−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランの合成
トルエン(150部)に、2−ブロモジベンゾフラン(5.0部)、ビス(ピナコラト)ジボロン(6.2部)、酢酸カリウム(4.0部)及び[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン付加物(0.5部)を混合し、窒素雰囲気下、還流温度で4時間撹拌した。得られた反応液を室温まで冷却し、固形分をろ別し、生成物を含むろ液を得た。次いで、ショートシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液;トルエン)にて精製し、溶媒を減圧除去することにより、2−(ジベンゾフラン−2−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(3.8部、収率64%)を得た。
【0072】
(工程2)2,7−ビス(2−ジベンゾフラニル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェンの合成
DMF(250部)に、水(8.0部)、特許第4945757号に記載の方法で合成した2,7−ジヨード[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(4.7部)、工程1で得られた2−(ジベンゾフラン−2−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(7.0部)、リン酸三カリウム(8.1部)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.6部)を混合し、窒素雰囲気下、90℃で5時間撹拌した。得られた反応液を室温まで冷却した後、水(250部)を加え、固形分をろ過分取した。得られた固形分をアセトンで洗浄し乾燥した後、昇華精製を行うことにより、上記具体例のNo.1で表される化合物(1.5部、収率28%)を得た。
【0073】
合成例2(2,7−ビス(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(具体例のNo.12で表される化合物)の合成)
(工程3)2−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランの合成
トルエン(250部)に、2−ブロモ−9,9−ジメチルフルオレン(10.0部)、ビス(ピナコラト)ジボロン(11.2部)、酢酸カリウム(7.2部)及び[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン付加物(0.9部)を混合し、窒素雰囲気下、還流温度で3時間撹拌した。得られた反応液を室温まで冷却し、固形分をろ別し、生成物を含むろ液を得た。次いで、ショートシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液;トルエン)にて精製し、溶媒を減圧除去することにより、2−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(11.1部、収率95%)を得た。
【0074】
(工程4)2,7−ビス(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェンの合成
DMF(300部)に、水(10.0部)、特許第4945757号に記載の方法で合成した2,7−ジヨード[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(7.1部)、工程3で得られた2−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(11.1部)、リン酸三カリウム(12.2部)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.9部)を混合し、窒素雰囲気下、90℃で4時間撹拌した。得られた反応液を室温まで冷却した後、水(250部)を加え、固形分をろ過分取した。得られた固形分をアセトンで洗浄し乾燥した後、昇華精製を行うことにより、上記具体例のNo.12で表される化合物(6.2部、収率69%)を得た。
【0075】
合成例3(2,7−ビス(2−ジベンゾチエニル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(具体例のNo.2で表される化合物)の合成)
(工程5)2−(ジベンゾチエニル−2−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランの合成
トルエン(250部)に、2−ブロモジベンゾチオフェン(10.0部)、ビス(ピナコラト)ジボロン(11.6部)、酢酸カリウム(7.5部)及び[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン付加物(0.9部)を混合し、窒素雰囲気下、還流温度で4時間撹拌した。得られた反応液を室温まで冷却し、固形分をろ別し、生成物を含むろ液を得た。次いで、ショートシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液;トルエン)にて精製し、溶媒を減圧除去することにより、2−(ジベンゾチエニル−2−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(11.5部、収率98%)を得た。
【0076】
(工程6)2,7−ビス(2−ジベンゾチエニル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェンの合成
DMF(230部)に、水(7.0部)、特許第4945757号に記載の方法で合成した2,7−ジヨード[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(4.5部)、工程5で得られた2−(ジベンゾチエニル−2−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(7.0部)、リン酸三カリウム(7.7部)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.6部)を混合し、窒素雰囲気下、90℃で5時間撹拌した。得られた反応液を室温まで冷却した後、水(250部)を加え、固形分をろ過分取した。得られた固形分をアセトンで洗浄し乾燥した後、昇華精製を行うことにより、上記具体例のNo.2で表される化合物(2.0部、収率37%)を得た。
【0077】
実施例1(光電変換素子の作製およびその評価)
ITO透明導電ガラス(ジオマテック(株)製、ITO膜厚150nm)に、2,7−ビス(2−ジベンゾフラニル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(合成例1で得られたNo.1で表される化合物)を、ブロック層として抵抗加熱真空蒸着により50nm成膜した。次に、前記のブロック層の上に、光電変換層としてキナクリドンを100nm真空成膜した。最後に、前記の光電変換層の上に、電極としてアルミニウムを100nm真空成膜し、本発明の撮像素子用光電変換素子を作製した。ITOとアルミニウムを電極として、5Vの電圧を印加したときの明暗比は1.5×10
4であった。
【0078】
実施例2(光電変換素子の作製およびその評価)
2,7−ビス(2−ジベンゾフラニル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(合成例1で得られたNo.1で表される化合物)の代わりに、2,7−ビス(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(合成例2で得られたNo.12で表される化合物)を使用したこと以外は、実施例1に準じて評価を行ったところ、5Vの電圧を印加したときの明暗比は2.0×10
5であった。
【0079】
実施例3(光電変換素子の作製およびその評価)
2,7−ビス(2−ジベンゾフラニル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(合成例1で得られたNo.1で表される化合物)の代わりに、2,7−ビス(2−ジベンゾチエニル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(合成例3で得られたNo.2で表される化合物)を使用したこと以外は、実施例1に準じて評価を行ったところ、5Vの電圧を印加したときの明暗比は4.0×10
5であった。
【0080】
比較例1(光電変換素子の作製およびその評価)
2,7−ビス(2−ジベンゾフラニル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(合成例1で得られたNo.1で表される化合物)を使用しないこと以外は、実施例1に準じて評価を行ったところ、5Vの電圧を印加したときの明暗比は4.7であった。
【0081】
比較例2(光電変換素子の作製およびその評価)
2,7−ビス(2−ジベンゾフラニル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(合成例1で得られたNo.1で表される化合物)の代わりに、2,7−ジフェニル[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(下記式(11)で表される化合物)を使用したこと以外は、実施例1に準じて評価を行ったところ、5Vの電圧を印加したときの明暗比は600であった。
【0082】
【化11】
【0083】
比較例3(光電変換素子の作製およびその評価)
2,7−ビス(2−ジベンゾフラニル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(合成例1で得られたNo.1で表される化合物)の代わりに、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムを使用したこと以外は、実施例1に準じて評価を行ったところ、5Vの電圧を印加したときの明暗比は31であった。
【0084】
比較例4(光電変換素子の作製およびその評価)
2,7−ビス(2−ジベンゾフラニル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(合成例1で得られたNo.1で表される化合物)の代わりに、2,7−ビス(9−フェナントレニル)−[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(下記式(12)で表される化合物)を使用したこと以外は、実施例1に準じて評価を行ったところ、5Vの電圧を印加したときの明暗比は690であった。
【0085】
【化12】
【0086】
比較例5(光電変換素子の作製およびその評価)
2,7−ビス(2−ジベンゾフラニル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(合成例1で得られたNo.1で表される化合物)の代わりに、2,7−ビス(1−ナフチル)−[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(下記式(13)で表される化合物)を使用したこと以外は、実施例1に準じて評価を行ったところ、5Vの電圧を印加したときの明暗比は240であった。
【0087】
【化13】
【0088】
比較例6(光電変換素子の作製およびその評価)
2,7−ビス(2−ジベンゾフラニル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(合成例1で得られたNo.1で表される化合物)の代わりに、2,7−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)−[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(下記式(14)で表される化合物)を使用したこと以外は、実施例1に準じて評価を行ったところ、5Vの電圧を印加したときの明暗比は47であった。
【0089】
【化14】
【0090】
上記の実施例1及び2の評価において得られた明暗比は撮像素子用光電変換素子として明らかに優れた特性を示す。
【0091】
上記の評価結果より、式(1)で表される化合物を含む本発明の撮像素子用光電変換素子用材料を含んでなる実施例の撮像素子用光電変換素子が、比較例の撮像素子用光電変換素子よりも優れた特性を有することは明らかである。