特許第6862278号(P6862278)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862278
(24)【登録日】2021年4月2日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】検査システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20210412BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-102988(P2017-102988)
(22)【出願日】2017年5月24日
(65)【公開番号】特開2018-198512(P2018-198512A)
(43)【公開日】2018年12月13日
【審査請求日】2020年4月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 良樹
(72)【発明者】
【氏名】山下 清司
【審査官】 佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−135093(JP,A)
【文献】 特開2002−14132(JP,A)
【文献】 特開2012−115093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
G01R 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換装置(10)と、該電力変換装置を検査する検査装置(2)とを備える検査システム(1)であって、
上記電力変換装置は、
スイッチング素子(4)と、該スイッチング素子を内蔵した本体部(30)と、上記スイッチング素子に接続し上記本体部から突出した複数の制御端子(5)とを備える半導体モジュール(3)と、
上記制御端子に接続し、上記スイッチング素子のオンオフ動作を制御する制御基板(6)とを備え、
上記スイッチング素子は、上記制御基板から電圧を加えられる被制御電極(40G)と、該被制御電極の電位の基準になる基準電極(40E)とを有し、上記半導体モジュールは、上記制御端子として、上記基準電極に接続した基準制御端子(5E)と、上記スイッチング素子を介して上記基準制御端子との間に交流電流が流れる交流制御端子(5Z)とを備え、
同時にオンオフ動作する複数の上記スイッチング素子を互いに並列に接続してあり、上記複数のスイッチング素子の上記基準電極は、バスバー(11)を介して互いに電気接続され、個々の上記スイッチング素子に接続した上記基準制御端子は、上記制御基板において互いに電気接続されており、
上記検査装置は、
同一の上記スイッチング素子にそれぞれ接続した上記基準制御端子と上記交流制御端子との間に、これらと上記制御基板との接続部(7)を介して交流電圧を加え、インピーダンス(Z)を測定するインピーダンス測定部(21)と、
測定した上記インピーダンスが予め定められた閾値(ZTH)よりも高い場合には、上記基準制御端子と上記制御基板との間に接続不良が発生していると判断する判断部(22)とを備える、検査システム。
【請求項2】
上記検査装置は、上記制御基板のうち、検査対象となる上記基準制御端子と、当該基準制御端子と同一の上記スイッチング素子に接続した上記交流制御端子とに、それぞれ隣り合う部位に電気接続される、請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
上記スイッチング素子はIGBTであり、上記基準制御端子は上記IGBTの上記基準電極であるエミッタに接続し、上記交流制御端子は上記IGBTの上記被制御電極であるゲートに接続している、請求項1又は2に記載の検査システム。
【請求項4】
互いに並列に接続された一対の上記スイッチング素子の、上記基準電極間を繋ぐ電流経路上に、コイル(83)が設けられている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項5】
電力変換装置(10)と、該電力変換装置を検査する検査装置(2)とを備える検査システム(1)であって、
上記電力変換装置は、
スイッチング素子(4)と、該スイッチング素子を内蔵した本体部(30)と、上記スイッチング素子に接続し上記本体部から突出した複数の制御端子(5)とを備える半導体モジュール(3)と、
上記制御端子に接続し、上記スイッチング素子のオンオフ動作を制御する制御基板(6)とを備え、
上記スイッチング素子は、上記制御基板から電圧を加えられる被制御電極(40G)と、該被制御電極の電位の基準になる基準電極(40E)とを有し、上記半導体モジュールは、上記制御端子として、上記基準電極に接続した基準制御端子(5E)を備え、
同時にオンオフ動作する、第1スイッチング素子(4a)と第2スイッチング素子(4b)との少なくとも2個の上記スイッチング素子を互いに並列に接続してあり、複数の上記スイッチング素子の上記基準電極は、バスバー(11)を介して互いに電気接続され、個々の上記スイッチング素子に接続した上記基準制御端子は、上記制御基板において互いに電気接続されており、
上記検査装置は、
上記第1スイッチング素子に接続した上記基準制御端子と、上記第2スイッチング素子に接続した上記基準制御端子との間に、これらと上記制御基板との接続部(7Ea,7Eb)を介して交流電圧を加え、インピーダンス(Z)を測定するインピーダンス測定部(21)と、
測定した上記インピーダンスが予め定められた閾値(ZTH)よりも高い場合には、上記基準制御端子と上記制御基板との間に接続不良が発生していると判断する判断部(22)とを備える、検査システム。
【請求項6】
上記制御端子と上記制御基板との接続状態は、外部から視認できないよう構成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置と、該電力変換装置を検査する検査装置とを備える検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、IGBT等のスイッチング素子を内蔵した半導体モジュールと、上記スイッチング素子のオンオフ動作を制御する制御基板とを備えた電力変換装置が知られている(下記特許文献1参照)。上記半導体モジュールは、スイッチング素子を内蔵した本体部と、該本体部から突出した複数の制御端子とを備える(図22参照)。これらの制御端子は、上記制御基板に接続している。
【0003】
上記半導体モジュールは、上記制御端子として、スイッチング素子のゲートに接続したゲート端子と、エミッタに接続したエミッタ端子(基準制御端子)と、スイッチング素子を流れるオン電流の一部を取り出すためのセンス端子とを備える。センス端子とエミッタ端子との間にはセンス抵抗が設けられている。
【0004】
上記電力変換装置を製造した後、該電力変換装置の検査工程が行われる。この検査工程では、様々な検査が行われる。例えば、上記基準制御端子(エミッタ端子)と制御基板との間に接続不良が発生しているか否かの検査を行う(図22図23参照)。この検査は、例えば以下のようにして行われる。すなわち、まず制御基板から、ゲート端子と基準制御端子(エミッタ端子)との間に電圧を加える(図22参照)。基準制御端子と制御基板とが正常に接続していれば、スイッチング素子がオンし、オン電流の一部がセンス抵抗を流れる。そのため、センス抵抗に電圧降下が発生する。また、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が生じている場合は、スイッチング素子がオンしないため(図23参照)、オン電流が流れず、センス抵抗に電圧降下が発生しない。そのため、センス抵抗に所定の電圧降下が発生しているか否かを検査することにより、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生しているか否かを検査できる。
【0005】
近年、より大きな電流を出力できる電力変換装置の開発が進められている。そのため、複数のスイッチング素子を互いに並列に接続し、同時にオンオフ動作させることが検討されている。このようにすると、個々のスイッチング素子に流れる電流の量は少なくても、電力変換装置全体として大きな電流を出力することが可能になる。この電力変換装置では、複数のスイッチング素子の基準電極(エミッタ)を、バスバーを介して互いに電気接続する(図24参照)と共に、個々のスイッチング素子に接続した基準制御端子を、制御基板上にて互いに電気接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4003719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、複数のスイッチング素子を互いに並列に接続した場合、従来の検査方法では、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生したか否かを検査できなくなる。すなわち、接続不良が発生していない場合、ゲート端子に電圧を加えると、スイッチング素子がオンし、オン電流の一部がセンス抵抗を流れて、電圧降下が発生する(図24参照)。しかし、上記電力変換装置では、複数のスイッチング素子の基準電極(エミッタ)が、制御基板及びバスバーを介して互いに接続されている。そのため、測定対象となる基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生している場合でも(図25参照)、スイッチング素子がオンしてしまい、センス抵抗に電圧降下が発生する。したがって、接続不良の有無にかかわらず、センス抵抗に電圧降下が発生してしまう。そのため、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生したか否かを検査できない。
【0008】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、同時にオンオフする複数のスイッチング素子を互いに並列に接続した電力変換装置でも、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生したか否かを容易に検査できる検査システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、電力変換装置(10)と、該電力変換装置を検査する検査装置(2)とを備える検査システム(1)であって、
上記電力変換装置は、
スイッチング素子(4)と、該スイッチング素子を内蔵した本体部(30)と、上記スイッチング素子に接続し上記本体部から突出した複数の制御端子(5)とを備える半導体モジュール(3)と、
上記制御端子に接続し、上記スイッチング素子のオンオフ動作を制御する制御基板(6)とを備え、
上記スイッチング素子は、上記制御基板から電圧を加えられる被制御電極(40G)と、該被制御電極の電位の基準になる基準電極(40E)とを有し、上記半導体モジュールは、上記制御端子として、上記基準電極に接続した基準制御端子(5E)と、上記スイッチング素子を介して上記基準制御端子との間に交流電流が流れる交流制御端子(5Z)とを備え、
同時にオンオフ動作する複数の上記スイッチング素子を互いに並列に接続してあり、上記複数のスイッチング素子の上記基準電極は、バスバー(11)を介して互いに電気接続され、個々の上記スイッチング素子に接続した上記基準制御端子は、上記制御基板上にて互いに電気接続されており、
上記検査装置は、
同一の上記スイッチング素子にそれぞれ接続した上記基準制御端子と上記交流制御端子との間に、これらと上記制御基板との接続部(7)を介して交流電圧を加え、インピーダンス(Z)を測定するインピーダンス測定部(21)と、
測定した上記インピーダンスが予め定められた閾値(ZTH)よりも高い場合には、上記基準制御端子と上記制御基板との間に接続不良が発生していると判断する判断部(22)とを備える、検査システムにある。
【0010】
また、本発明の第2の態様は、電力変換装置(10)と、該電力変換装置を検査する検査装置(2)とを備える検査システム(1)であって、
上記電力変換装置は、
スイッチング素子(4)と、該スイッチング素子を内蔵した本体部(30)と、上記スイッチング素子に接続し上記本体部から突出した複数の制御端子(5)とを備える半導体モジュール(3)と、
上記制御端子に接続し、上記スイッチング素子のオンオフ動作を制御する制御基板(6)とを備え、
上記スイッチング素子は、上記制御基板から電圧を加えられる被制御電極(40G)と、該被制御電極の電位の基準になる基準電極(40E)とを有し、上記半導体モジュールは、上記制御端子として、上記基準電極に接続した基準制御端子(5E)を備え、
同時にオンオフ動作する、第1スイッチング素子(4a)と第2スイッチング素子(4b)との少なくとも2個の上記スイッチング素子を互いに並列に接続してあり、複数の上記スイッチング素子の上記基準電極は、バスバー(11)を介して互いに電気接続され、個々の上記スイッチング素子に接続した上記基準制御端子は、上記制御基板において互いに電気接続されており、
上記検査装置は、
上記第1スイッチング素子に接続した上記基準制御端子と、上記第2スイッチング素子に接続した上記基準制御端子との間に、これらと上記制御基板との接続部(7Ea,7Eb)を介して交流電圧を加え、インピーダンス(Z)を測定するインピーダンス測定部(21)と、
測定した上記インピーダンスが予め定められた閾値(ZTH)よりも高い場合には、上記基準制御端子と上記制御基板との間に接続不良が発生していると判断する判断部(22)とを備える、検査システムにある。
【発明の効果】
【0011】
上記第1の態様における検査システムは、上記インピーダンス測定部と上記判断部とを有する検査装置を備える。
そのため、同時にオンオフする複数のスイッチング素子を互いに並列に接続した電力変換装置でも、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生したか否かを容易に検査することができる。すなわち、基準制御端子と制御基板とが正常に接続されていた場合(図1参照)、交流電流が、上記接続部を介して、交流制御端子(例えばゲート端子)と、スイッチング素子と、基準制御端子とを流れる。そのため、電流の経路は比較的短く、測定されるインピーダンスは低い。また、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生した場合(図2参照)、交流電流は、交流制御端子、スイッチング素子、バスバー、他のスイッチング素子の基準制御端子、制御基板を流れる。そのため、電流の経路長が長くなり、測定されるインピーダンスが高くなる。したがって、測定したインピーダンスが予め定められた閾値を超えたか否かを判断することにより、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生したか否かを判断することが可能になる。
【0012】
また、上記第2の態様のインピーダンス測定部は、上記第1スイッチング素子の基準制御端子と、第2スイッチング素子の基準制御端子との間に、これらと制御基板との接続部を介して交流電圧を加え、インピーダンスを測定する。また、判断部は、測定したインピーダンスが予め定められた閾値よりも高い場合は、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生していると判断する。
このように構成した場合も、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生したか否かを容易に検査することができる。すなわち、基準制御端子と制御基板とが正常に接続されていた場合(図18参照)、交流電流が第1経路と第2経路との、2つの経路に分かれて流れる。第1経路は、交流電流が、上記接続部を介して、第1スイッチング素子の基準制御端子、第1スイッチング素子の基準電極、バスバー、第2スイッチング素子の基準電極、第2スイッチング素子の基準制御端子を流れる経路である。第2経路は、電流が制御基板を流れる経路である。したがって上記インピーダンス測定部は、第1経路に寄生するインピーダンスと、第2経路に寄生するインピーダンスとを両方とも測定することになる。これらのインピーダンスは互いに並列に接続されているため、全体のインピーダンスは比較的低くなる。
また、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生した場合(図19参照)、電流は第1経路に流れず、第2経路にのみ流れる。そのためインピーダンス測定部は、第2経路に寄生するインピーダンスのみを測定することになる。したがって、接続不良が発生していない場合と比べて、全体のインピーダンスが高くなる。
そのため、測定したインピーダンスの値が、予め定められた閾値よりも高いか否かを判断することにより、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生したか否かを判断することができる。
【0013】
以上のごとく、上記態様によれば、同時にオンオフする複数のスイッチング素子を互いに並列に接続した電力変換装置でも、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生したか否かを容易に検査できる検査システムを提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1における、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生していない場合での、検査システムの概念図。
図2】実施形態1における、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生している場合での、検査システムの概念図。
図3】実施形態1における、電力変換装置の回路図。
図4】実施形態1における、電力変換装置の断面図であって、図5のIV-IV断面図。
図5図4のV-V断面図。
図6】実施形態1における、制御基板および半導体モジュールの断面図であって、図7のVI-VI断面図。
図7】実施形態1における、制御基板の平面図であって、図6のVII矢視図。
図8】実施形態1における、検査装置のフローチャート。
図9】実施形態1における、図1とは別の基準制御端子を検査している状態での、検査システムの概念図。
図10】実施形態1における、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生していない場合での、図1とは別の電流経路を表した図。
図11】実施形態1における、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生している場合での、図2とは別の電流経路を表した図。
図12】実施形態2における、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生していない場合での、検査システムの概念図。
図13】実施形態2における、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生している場合での、検査システムの概念図。
図14】実施形態3における、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生していない場合での、検査システムの概念図。
図15】実施形態4における、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生している場合での、検査システムの概念図。
図16】実施形態5における、検査システムの概念図。
図17】実施形態6における、半導体モジュール及び制御基板の断面図。
図18】実施形態7における、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生していない場合での、検査システムの概念図。
図19】実施形態7における、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生している場合での、検査システムの概念図。
図20】実施形態7における、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生していない場合での、電流経路の概念図。
図21】実施形態7における、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生している場合での、電流経路の概念図。
図22】比較形態1における、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生していない場合での、検査システムの概念図。
図23】比較形態1における、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生している場合での、検査システムの概念図。
図24】比較形態2における、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生していない場合での、検査システムの概念図。
図25】比較形態2における、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生している場合での、検査システムの概念図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記電力変換装置は、ハイブリッド車や電気自動車等の車両に搭載するための、車載用電力変換装置とすることができる。
【0016】
(実施形態1)
上記検査システムに係る実施形態について、図1図11を参照して説明する。本形態の検査システム1は、電力変換装置10(図3参照)と、該電力変換装置10を検査する検査装置2(図1参照)とを備える。電力変換装置10は、図3に示すごとく、半導体モジュール3と、制御基板6とを備える。
【0017】
図1図4に示すごとく、半導体モジュール3は、スイッチング素子4と、該スイッチング素子4を内蔵した本体部30と、スイッチング素子4に接続し本体部30から突出した複数の制御端子5とを備える。
制御基板6は、制御端子5に接続しており、スイッチング素子4のオンオフ動作を制御する。
【0018】
図1に示すごとく、スイッチング素子4は、制御基板6から電圧を加えられる被制御電極40G(すなわちゲート電極)と、該被制御電極40Gの電位の基準になる基準電極40E(すなわちエミッタ電極)とを有する。半導体モジュール3は、制御端子5として、基準電極40Eに接続した基準制御端子5Eと、交流制御端子5Zとを備える。交流制御端子5Zは、スイッチング素子4を介して、基準制御端子5Eとの間に交流電流が流れる制御端子5である。交流制御端子5Zには、スイッチング素子4のゲート電極(被制御電極40G)に接続したゲート端子5Gと、センス電極40Sに接続したセンス端子5Sとがある。
【0019】
図1図3に示すごとく、同時にオンオフ動作する複数のスイッチング素子4を互いに並列に接続してある。複数のスイッチング素子4の基準電極40Eは、バスバー11を介して互いに電気接続されている。また、個々のスイッチング素子4に接続した基準制御端子5E(5Ea、5Eb)は、制御基板6に形成された配線69を介して互いに電気接続されている。
【0020】
図1に示すごとく、検査装置2は、インピーダンス測定部21と、判断部22とを備える。インピーダンス測定部21は、同一のスイッチング素子4にそれぞれ接続した基準制御端子5Eと交流制御端子5Z(本形態ではゲート端子5G)との間に、これらの制御端子5(5E,5Z)と制御基板6との接続部7(7E,7G)を介して交流電圧を印加し、インピーダンスZを測定する。
【0021】
判断部22は、測定したインピーダンスZが予め定められた閾値ZTHよりも高い場合には、基準制御端子5Eと制御基板6との間に接続不良が発生していると判断するよう構成されている。
【0022】
本形態の電力変換装置10は、ハイブリッド車や電気自動車等に搭載するための、車載用電力変換装置である。図3に示すごとく、電力変換装置10は、複数の半導体モジュール3を備える。個々の半導体モジュール3は、互いに直列に接続された、上アームスイッチング素子4Hと下アームスイッチング素子4Lとを内蔵している。本形態では、スイッチング素子4として、IGBTを用いている。これらのスイッチング素子4によって、インバータ回路100を構成してある。スイッチング素子4をオンオフ動作させることにより、直流電源80の直流電力を交流電力に変換し、交流負荷81(三相交流モータ)を駆動させている。これにより、上記車両を走行させている。
【0023】
また、本形態では、一対のスイッチング素子4を互いに並列に接続し、同時にオンオフさせている。これにより、個々のスイッチング素子4に流れる電流は少なくても、電力変換装置10全体として大きな出力電流を流せるよう構成してある。
【0024】
図1に示すごとく、スイッチング素子4は、上記基準電極40E(エミッタ電極)と被制御電極40G(ゲート電極)の他に、コレクタ電極40C、センス電極40Sを備える。センス電極40Sにはセンス端子5Sが接続している。本形態では、スイッチング素子4のオン電流の一部をセンス端子5Sから取り出し、制御基板6においてこの電流を測定している。そして、電流値が予め定められた上限値を超えた場合は、スイッチング素子4を強制的にオフしている。これにより、スイッチング素子4を過電流から保護している。
【0025】
また、半導体モジュール3には、感温ダイオード39を設けてある。半導体モジュール3は、制御端子5として、感温ダイオード39のアノードに接続したアノード端子5Aと、カソードに接続したカソード端子5Kとを備える。制御基板6を用いて感温ダイオード39の順方向電圧を測定し、これにより、スイッチング素子4の温度を測定するよう構成してある。
【0026】
スイッチング素子4の基準電極40E(エミッタ電極)には、基準制御端子5E(5Ea,5Eb)が接続している。同時にオンオフ動作する一対のスイッチング素子4a,4bにそれぞれ接続した基準制御端子5E(5Ea,5Eb)は、制御基板6に形成した配線69を介して、互いに電気接続されている。個々のスイッチング素子4の基準電極40Eは、バスバー11を介して互いに電気接続されている。また、一対のスイッチング素子4a,4bにそれぞれ接続したゲート端子5Gも、制御基板6上において互いに電気接続されている。ゲート端子5Gは、制御基板6に設けられた駆動回路(図示しない)に接続している。駆動回路は、基準電極40E(エミッタ電極)の電位、すなわちグランド電位を基準にして、被制御電極40G(ゲート電極)に電圧を加える。これにより、スイッチング素子4をオンさせている。
【0027】
図1図6に示すごとく、制御基板6は、上記接続部7と、該接続部7に接続した配線69とを備える。接続部7に隣り合う位置において、配線69を露出させ、露出部68を形成してある。図1に示すごとく、検査装置2は、インピーダンスZを測定するための一対の測定針28,29を備える。これらの測定針28,29は、上記露出部68に接続する。
【0028】
電力変換装置1を製造した後、該電力変換装置1の検査を行う。このとき、検査装置2は、図1に示すごとく、一方のスイッチング素子4aに接続した基準制御端子5Eと交流制御端子5Z(本形態ではゲート端子5G)との間に、接続部7(7E,7G)を介して交流電圧を加え、インピーダンスZを測定する。加える交流電圧の最大値は、スイッチング素子4の閾電圧VTHよりも低い。すなわち、本形態では、交流電圧を加えたときにスイッチング素子4がオンしないようにしている。
【0029】
基準制御端子5Eと制御基板6とが正常に接続している場合は、交流電流は、ゲート端子5Gの接続部7G、ゲート端子5G、スイッチング素子4の基準電極40E、基準制御端子5E、基準制御端子5Eの接続部7Eaを流れる。そのため、交流電流が流れる経路は比較的短く、インピーダンスZの測定値は低い。
【0030】
これに対して、図2に示すごとく、基準制御端子5Eと制御基板6との間に接続不良が発生していると、交流電流は、これらの間を流れなくなる。そのため、交流電流は、ゲート端子5Gの接続部7G、ゲート端子5G、一方のスイッチング素子4aの基準電極40Ea、バスバー11、他方のスイッチング素子4bの基準電極40Eb、他方のスイッチング素子4bの基準制御電極5E、接続部7Eb、配線69を流れる。そのため、接続不良が発生していない場合(図1参照)と比べて、交流電流が流れる経路が長くなり、この経路に寄生するインダクタンスの影響を受けて、インピーダンスZの測定値が高くなる。すなわち、2つの電流経路の、インダクタンスの差をΔL、交流電圧の周波数をfとすると、接続不良が発生している場合としていない場合とで、測定されるインピーダンスZに、以下の値ΔZだけ差が生じる。
ΔZ≒2πfΔL
本形態では、測定したインピーダンスZの値が、予め定められた閾値ZTHよりも高い場合は、基準制御端子5Eと制御基板6との間に接続不良が発生していると判断する。
【0031】
なお、本形態では、検査装置2として、いわゆるインピーダンスアナライザを用いている。また、交流電圧の周波数fは、なるべく高くすることが好ましい。周波数fを高くした方が、接続不良が発生したときのインピーダンスZの測定値が高くなる。そのため、接続不良が発生したことを検出しやすい。
【0032】
次に、図6図7を用いて、制御基板6の構造について、より詳細に説明する。制御基板6には貫通孔65が形成されており、この貫通孔65に制御端子5を挿入してある。制御端子5に隣り合う位置には、金属製の接続部7が設けられている。接続部7から配線69が延出している。接続部7に隣り合う位置において、配線69の一部を露出させ、上記露出部68を形成してある。また、制御端子5と接続部7とには、カバー71が取り付けられている。このカバー71の壁部710と制御端子5との間に、ばね部材72が配されている。このばね部材72によって制御端子5を接続部7側に加圧している。これにより、制御端子5と接続部7とを電気接続している。このような構成にすることにより、外部から振動が加わった場合でも、制御端子5と接続部7との接続状態を維持できるようにしてある。すなわち、図17に示すごとく、制御基板6と制御端子5とをはんだ77によって接続することも可能であるが、この場合、外部から強い振動が加わると、はんだ77に応力が加わり、接続状態が良好でなくなる可能性が考えられる。しかしながら、図6に示すように、ばね部材72を用いて制御端子5を接続部7に加圧すれば、外部から振動が加わっても、制御端子5と接続部7との接続状態を良好に維持しやすい。
【0033】
次に、検査装置2のフローチャートの説明をする。図8に示すごとく、検査装置2は、まず、接続部7(7G,7Ea)を介して、基準制御端子5Eと交流制御端子5Z(5G)との間に交流電圧を加える(ステップS1)。その後、ステップS2に移る。ここでは、基準制御端子5Eと交流制御端子5Zとの間のインピーダンスZを測定する。
【0034】
その後、ステップS3に移る。ここでは、測定したインピーダンスZは、予め定められた閾値ZTH以下か否かを判断する。ここでNoと判断した場合は、ステップS4に移る。ステップS4では、基準制御端子5Eと制御基板6との間に接続不良が発生していることを報知する。また、ステップS3においてYesと判断した場合は、フローチャートを終了する。そして、図9に示すごとく、別の基準制御端子5E(5Eb)の検査を行う。
【0035】
次に、電力変換装置10の構造について、より詳細に説明する。図4図5に示すごとく、本形態では、複数の半導体モジュール3と、該半導体モジュール3を冷却する複数の冷却管12とを積層して積層体109を形成してある。積層体109はケース14に収容されている。
【0036】
半導体モジュール3は、上述したように、スイッチング素子4を内蔵した本体部30と、該本体部30から突出した制御端子5とを備える。制御端子5は制御基板6に接続している。また、本体部30から、複数のパワー端子38が突出している。パワー端子38には、直流電源80(図3参照)に接続される正極端子38P、及び負極端子38Nと、交流電力を出力する出力端子38Oとがある。出力端子38Oには出力バスバー11Oが接続しており、負極端子38Nには負極バスバー11Nが接続している。また、正極端子38Pには、正極バスバー19が接続している。
【0037】
ケース14内には、直流電源80の直流電圧を平滑化するためのコンデンサ82が設けられている。このコンデンサ82と半導体モジュール3とは、バスバー11N,19によって電気接続されている。
【0038】
図5に示すごとく、ケース14内には、加圧部材17が配されている。この加圧部材17を用いて、積層体109を積層方向(X方向)に加圧し、ケース14の壁部141に押し当てている。これにより、半導体モジュール3と冷却管12との接触圧を確保しつつ、積層体109をケース14内に固定している。
【0039】
また、図4図5に示すごとく、冷却管12の長手方向(Y方向)における、冷却管12の両端部には、連結管13が設けられている。この連結管13によって、X方向に隣り合う2つの冷却管12を連結している。また、図5に示すごとく、X方向における一端に位置する端部冷却管12aには、冷媒18を導入するための導入管15と、冷媒18を導出するための導出管16とが接続している。導入管15から冷媒18を導入すると、冷媒18は連結管13を通って全ての冷却管12を流れ、導出管16から導出される。これにより、半導体モジュール3を冷却している。
【0040】
次に、本形態の作用効果について説明する。図1図2に示すごとく、本形態の検査システム1は、インピーダンス測定部21と判断部22とを有する検査装置2を備える。
そのため、同時にオンオフする複数のスイッチング素子を互いに並列に接続した電力変換装置10でも、基準制御端子5Eと制御基板6との間に接続不良が発生したか否かを容易に検査することができる。すなわち、図1に示すごとく、基準制御端子5Eと制御基板6とが正常に接続されていた場合、交流電流が、交流制御端子5Zの接続部7G、交流制御端子5Z(本形態ではゲート端子5G)、スイッチング素子4a、基準制御端子5E(5Ea)、基準制御端子5Eの接続部7E(7Ea)を流れる。そのため、電流の経路は比較的短く、測定されるインピーダンスZは低い。また、図2に示すごとく、基準制御端子5Eと制御基板6との間に接続不良が発生した場合、交流電流は、交流制御端子5Zの接続部7G、交流制御端子5Z、一方のスイッチング素子4a、バスバー11、他方のスイッチング素子4bの基準制御端子5Eb、該基準制御端子5Ebの接続部7Eb、配線69を流れる。そのため、電流の経路長が長くなり、測定されるインピーダンスZが高くなる。したがって、測定したインピーダンスZが予め定められた閾値ZTHを超えたか否かを判断することにより、基準制御端子5Eaと制御基板6との間に接続不良が発生したか否かを判断することが可能になる。
【0041】
従来は図22に示すごとく、スイッチング素子4を並列接続していない電力変換装置10の検査を行う際には、基準制御端子5Eとゲート端子5Gとの間に、スイッチング素子4の閾電圧VTH以上の電圧を加えていた。基準制御端子5Eと制御基板6とが正常に接続していれば、スイッチング素子4がオンし、オン電流の一部がセンス抵抗Rに流れる。そのため、センス抵抗Rに電圧降下が生じる。また、基準制御端子5Eと制御基板6との間に接続不良が発生した場合は、図23に示すごとく、スイッチング素子4がオンしないため、オン電流が流れず、センス抵抗Rに電圧降下が生じない。したがって、センス抵抗Rに電圧降下が発生したか否かを確認することにより、基準制御端子5Eと制御基板6との間に接続不良が発生したか否かを検査できる。
しかしながら、複数のスイッチング素子4を並列接続すると、上記方法では検査できなくなる。すなわち、図24に示すごとく、基準制御端子5Eと制御基板6とが正常に接続している場合には、ゲート端子5Gに電圧を加えると、スイッチング素子4aオンし、センス抵抗Rにオン電流の一部が流れて、電圧降下が生じる。しかしながら、図25に示すごとく、この電力変換装置10は、複数のスイッチング素子4の基準電極40Eが、バスバー11を介して電気接続され、かつ制御基板6上において互いに接続されているため、基準制御端子5Eと制御基板6との間に接続不良が生じた場合でも、スイッチング素子4aがオンしてしまう。そのため、オン電流が流れ、センス抵抗Rに電圧降下が発生する。したがって、接続不良の発生の有無にかかわらず、電圧降下が発生してしまい、基準制御電極5Eと制御基板6との間に接続不良が生じているか否かを検査できない。
【0042】
これに対して、本形態では図1に示すごとく、制御基板6側から、交流制御端子5Zと基準制御端子5Eとの間に交流電圧を加え、インピーダンスZを測定している。そのため、基準制御端子5Eと制御基板6とが正常に接続している場合(図1参照)と、接続不良が発生している場合(図2参照)とで、交流電流が流れる経路が変わり、インピーダンスZに差異が生じる。したがって、インピーダンスZの測定値を用いて、接続不良が発生しているか否かを判断することができる。
【0043】
また、本形態の電力変換装置10は、図6に示すごとく、制御基板6と制御端子5との接続状態が、外部から視認できないよう構成されている。つまり、これらの接続状態を、目視によって検査できない構造になっている。そのため、検査装置2を用いて、基準制御端子5Eと制御基板6との接続状態を検査できるようにした効果は大きい。
【0044】
また、図1に示すごとく、本形態の検査装置2は、制御基板6のうち、検査対象となる基準制御端子5Eと、当該基準制御端子5Eと同一のスイッチング素子4(4a)に接続した交流制御端子5Zとに、それぞれ隣り合う部位(露出部68)に、電気接続される。
そのため、基準制御端子5Eと制御基板6とが正常に接続されている場合は、交流電流が流れる経路長が特に短くなり、接続不良が発生している場合は、交流電流の経路長さが特に長くなる。そのため、接続不良の有無によって、インピーダンスの測定値が大きく変わりやすい。したがって、基準制御端5Eと制御基板6との間に接続不良が発生しているか否かを容易に判別することが可能になる。
【0045】
また、本形態では、図1に示すごとく、交流制御端子5Zとして、ゲート電極40Gに接続したゲート端子5Gを用いている。
交流制御端子5Zとして、図12図13に示すごとく、センス端子5Sを用いることも可能であるが、この場合、交流電圧を加えたときの耐久性が若干低くなる可能性が考えられる。これに対して、ゲート端子5Gは、スイッチング素子4をオンする際に、検査用の交流電圧よりも高い閾電圧VTHが加えられる端子であるため、耐久性が高い。そのため、交流制御端子5Zとしてゲート端子5Gを用いれば、検査時に加えた交流電圧によってスイッチング素子4が劣化する等の不具合を抑制しやすい。
【0046】
以上のごとく、本形態によれば、同時にオンオフする複数のスイッチング素子を互いに並列に接続した電力変換装置でも、基準制御端子と制御基板との間に接続不良が発生したか否かを容易に検査できる検査システムを提供することができる。
【0047】
なお、図1には、交流電流が流れる代表的な経路を表したが、この他にも、僅かであるが、交流電流が流れる他の経路が存在する。例えば図10に示すごとく、交流電流が、一方のスイッチング素子4aを流れず、その代わりに、配線69、他方のスイッチング素子4b等を流れる経路も存在する。
同様に、図2についても、交流電流が流れる代表的な経路を表したが、この他にも、交流電流が流れる他の経路が存在する。例えば図11に示すごとく、交流電流が、一方のスイッチング素子4aを流れず、その代わりに、配線69、他方のスイッチング素子4b等を流れる経路も存在する。
【0048】
また、本形態では、スイッチング素子4としてIGBTを用いたが、本発明はこれに限るものではなく、MOSFET等を用いることもできる。
【0049】
以下の実施形態においては、図面に用いた符号のうち、実施形態1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施形態1と同様の構成要素等を表す。
【0050】
(実施形態2)
本形態は、交流電圧を加える端子を変更した例である。図12に示すごとく、本形態では、交流制御端子5Zとして、センス電極40Sに接続したセンス端子5Sを用いている。このセンス端子5Sと基準制御端子5Eとの間に、接続部7(7E,7S)を介して交流電圧を加え、インピーダンスZを測定している。
【0051】
図12に示すごとく、基準制御電極5Eと制御基板6とが正常に接続されている場合は、交流電流は、センス端子5S用の接続部7S、センス端子5S、エミッタ電極40E、基準制御端子5E、基準制御端子5E用の接続部7Eaを流れる。そのため、交流電流が流れる経路の長さは比較的短く、インピーダンスZは低い。
【0052】
これに対して、図13に示すごとく、基準制御端子5Eと制御基板6との間に接続不良が発生している場合は、交流電流は、センス端子5S用の接続部7S、センス端子5S、エミッタ電極40E、バスバー11、他のスイッチング素子4bのエミッタ電極40Eb、他のスイッチング素子4bの基準制御端子5Eb、接続部7Eb、配線69を流れる。そのため、交流電流の経路長が長くなり、インピーダンスZが高くなる。したがって、インピーダンスZを測定することにより、基準制御端子5Eaと制御基板6との間に接続不良が発生しているか否かを確認することができる。
その他、実施形態1と同様の構成要素および作用効果を備える。
【0053】
(実施形態3)
本形態は、検査装置2を接続する位置を変更した例である。図14に、第1スイッチング素子4aの基準制御端子5Eaを検査する例を示す。同図に示すごとく、本形態では、検査装置2の第1測定針28を、第1スイッチング素子4aのゲート端子5Gに隣り合う位置に形成された露出部68aに接続する。また、第2の測定針29を、検査対象である基準制御端子5Eaとは異なる基準制御端子5Eb(すなわち、第2スイッチング素子4bの基準制御端子5Eb)に隣り合う位置に形成された露出部68bに接続する。これにより、第1スイッチング素子4aのゲート端子5G及び基準制御端子5Eaに、接続部7(7G、7Ea)を介して交流電圧を加え、インピーダンスZを測定する。このようにした場合でも、基準制御端子5Eaと制御基板6との間が正常に接続されたときと、接続不良が発生したときとで、インピーダンスZに差が生じれば、接続不良の有無を検出することができる。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0054】
(実施形態4)
本形態は、電力変換装置10の構成を変更した例である。図15に示すごとく、本形態では、互いに並列に接続された一対のスイッチング素子4a,4bの、基準電極40Ea,40Eb間を流れる電流の経路上に、電気部品としてのコイル83を設けてある。
【0055】
このようにすると、基準制御端子5Eaと制御基板6との間に接続不良が発生した場合、交流電流がバスバー11、及びコイル83を流れる。コイル83はインダクタンスLが高いため、測定されるインピーダンスZ(≒2πfL)が特に高くなる。したがって、接続不良が発生したことを容易に検出できる。
その他、実施形態1と同様の構成要素および作用効果を備える。
【0056】
(実施形態5)
本形態は、電力変換装置10の回路構成を変更した例である。図16に示すごとく、本形態の電力変換装置10は、スイッチング素子4と、リアクトル84と、ダイオード85と、平滑コンデンサ82と、制御基板6とを備える。これらの電子部品によって、昇圧回路108を構成してある。本形態では、実施形態1と同様に、複数のスイッチング素子4(4a,4b)を互いに並列に接続し、同時にオンオフさせている。これにより、直流電源80の直流電圧を昇圧し、出力端子86,87から出力している。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0057】
(実施形態6)
本形態は、制御端子5と制御基板6との接続方法を変更した例である。図17に示すごとく、本形態では、制御端子5と制御基板6とを、はんだ77によって接続してある。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【0058】
(実施形態7)
本形態は、検査装置2を接続する位置を変更した例である。図18に示すごとく、本形態のインピーダンス測定部21は、第1スイッチング素子4aの基準制御端子5Eaと、第2スイッチング素子4bの基準制御端子5Ebとの間に、これらと制御基板6との接続部7E(7Ea,7Eb)を介して交流電圧を加え、インピーダンスZを測定する。また、判断部22は、測定したインピーダンスZが予め定められた閾値ZTHよりも高い場合は、2つの基準制御端子5Ea,5Ebのうち少なくとも一方の基準制御端子5Eと、制御基板6との間に接続不良が発生していると判断する。
【0059】
図18に示すごとく、基準制御端子5Eと制御基板6とが正常に接続されていれば、交流電流Iは、第1経路P1と第2経路P2との、2つの経路に分かれて流れる。第1経路P1は、電流Iが、第1接続部7Ea、第1基準制御端子5Ea、第1スイッチング素子4aの基準電極40Ea、バスバー11、第2スイッチング素子4bの基準電極40Eb、第2基準制御端子5Eb、第2接続部7Ebを流れる経路である。また、第2経路P2は、電流Iが、制御基板6に形成した配線69を流れる経路である。
【0060】
各経路P1,P2にはインピーダンスが寄生している。また、2つの経路P1,P2は、互いに並列に接続されている。したがって、インピーダンス測定部21は図20に示すごとく、第1経路P1に寄生したインピーダンスZ1と、第2経路P2に寄生したインピーダンスZ2との、合成インピーダンス(=Z12/(Z1+Z2))を測定することになる。そのため、インピーダンスZの測定値は比較的小さくなる。
【0061】
また、図19に示すごとく、基準制御端子5Eと制御基板6との間に接続不良が発生している場合は、電流Iは第1経路P1に流れず、第2経路P2にのみ流れる。そのためインピーダンス測定部21は、図21に示すごとく、第2経路P2に寄生したインピーダンスZ2のみを測定することになる。このインピーダンスZ2は、接続不良が発生していない場合のインピーダンス(=Z12/(Z1+Z2):図20参照)よりも高い。したがって、インピーダンスZの測定値が予め定められた閾値ZTHよりも高い場合には、基準制御端子5Eと制御基板6との間に接続不良が発生していると判断することができる。
その他、実施形態1と同様の構成および作用効果を備える。
【符号の説明】
【0062】
1 検査システム
10 電力変換装置
2 検査装置
3 半導体モジュール
4 スイッチング素子
5 制御端子
Z 交流制御端子
E 基準制御端子
6 制御基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25