(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンを備える一般的な発電プラントでは、蒸気タービンで仕事をした後の蒸気が復水器で水に戻され、復水された水が、給水ポンプにて昇圧された後にボイラにて加熱される。この際、ボイラで加熱された水は蒸気となり、この蒸気は通常、組合せ弁を介して蒸気タービンに再度流入する。組合せ弁は、蒸気止め弁と蒸気加減弁とを有してなり、このうちの蒸気止め弁は非常時等に蒸気タービンに流入する蒸気を瞬時に止めるために設けられ、蒸気加減弁は蒸気タービンに供給される蒸気流量を制御するために設けられている。
【0003】
図8は、一般的な組合せ弁101と蒸気タービン10とを備えた発電プラントの概略図である。
図8に示される組合せ弁101は、火力発電プラント等で一般に採用される構造を有しており、具体的には、蒸気止め弁102及び蒸気加減弁103を1つの弁箱104に内蔵する構造を有している。組合せ弁101の向きは適宜選択され得るが、
図8に示された組合せ弁101は縦置き構造を採用し、上流側に配置された上流側エルボ管105を介して横方向から蒸気を流入させるとともに、下流側に配置された下流側エルボ管106に対して横方向から蒸気を流入させる。
【0004】
図8の例では、蒸気タービン10がタービンケース11を有し、タービンケース11に、ケース上半12と、ケース下半13とが含まれている。組合せ弁101から横方向に流出した蒸気は、下流側エルボ管106を介して上方向への流れに曲げられて、その後、ケース下半13からタービンケース11内に流入することになる。
【0005】
蒸気止め弁102は、弁体121と、弁体121に連結された弁棒122と、弁棒122に連結された図示しない駆動装置と、を有し、定格運転時には、駆動装置が弁棒122を介して弁体121を開動作させる。この際、弁体121が弁箱104に設けられた弁座112から所定の位置まで離間することで、蒸気止め弁102が全開状態となる。これに対し、蒸気タービン10の非常時には、駆動装置が弁棒122を介して弁体121を閉動作させる。この際、弁体121が弁座112に着座することにより、蒸気止め弁102が全閉状態となり、蒸気タービン10へ流入する蒸気が遮断される。
【0006】
一方、蒸気加減弁103は、弁体131と、弁体131に連結された弁棒132と、弁棒132に連結された図示しない駆動装置と、を有し、定格運転時には、駆動装置が弁棒132を介して弁体131を開動作させ、蒸気加減弁103が全開状態又は中間開度状態となる。これに対し、蒸気タービンの非常時には、駆動装置が弁棒132を介して弁体131を閉動作させ、弁体131が弁座112に着座する。これにより、蒸気加減弁103が全閉状態となり、蒸気タービン10へ流入する蒸気が遮断される。なお、
図8の例では、蒸気止め弁102及び蒸気加減弁103が弁座112を共用する構造となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般に、蒸気タービンは複数段の静翼と複数段の動翼とを有する構造であり、蒸気タービンに流入する蒸気の入口圧力が高いほど、各段落の熱落差が上がるため、発電プラントの効率が上昇する。そのため、蒸気タービンに流入する蒸気の圧力損失は極力抑制することが望ましい。
【0009】
しかしながら、
図8に示された蒸気止め弁102及び蒸気加減弁103はともに、弁体121,131を弁座112に対して進退動により離接させる絞り構造であるため、2段階の圧力損失が生じる。さらには、上流側エルボ管105及び下流側エルボ管106による流れの曲げによっても圧力損失が生じるため、蒸気タービン10に流入する蒸気の入口圧力の低下を十分に抑制できているとは言い難い。そのため、発電プラントの効率の向上に改善の余地がある。また、
図8に示した組合せ弁101は縦置き構造であるが、この場合、縦方向に長い構造となり、自身ないしその周辺機器の配置自由度が低下するという問題もある。
【0010】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、発電プラントの効率を向上させることができるとともに、自身ないしその周辺機器の配置自由度を向上させることができる組合せ弁及びそれを備える発電プラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施の形態にかかる組合せ弁は、蒸気止め弁と、前記蒸気止め弁の下流に配置される蒸気加減弁と、を備える。前記蒸気止め弁は、円筒状に形成され、径方向に開口する流入口と軸方向に開口する流出口とを有する弁箱と、前記弁箱の内部における前記流入口と前記流出口との間の位置に設けられ、前記流出口と同軸状に位置する弁座と、前記弁座に対向して配置される弁体と、前記弁体を前記弁座に対して離接させる弁棒と、を有する。前記蒸気加減弁は、バタフライ弁であり、前記蒸気止め弁の前記流出口の下流側に配置される弁箱と、前記弁箱の内部に回転自在に支持される弁シャフトと、前記弁シャフトに連結されて前記弁シャフトと一体に回転し、前記弁箱の内部に形成される流路を開閉する弁ディスクと、を有する。前記蒸気止め弁は、その弁箱の内部における前記弁座の上流の位置に当該弁箱と同軸状に配置され、且つ当該弁箱との間に径方向の隙間を空ける円筒状の整流部材をさらに有する。前記整流部材には、放射状に開口する複数の貫通孔が形成されている。
【0012】
また、実施の形態にかかる発電プラントは、前記組合せ弁と、前記組合せ弁から蒸気を供給される蒸気タービンと、を備える。前記蒸気止め弁の弁箱は、前記流入口が下方向に向くとともに、前記流出口が横方向に向くように配置される。前記蒸気加減弁の弁箱の流出口には、上方向に湾曲するエルボ管が接続されている。前記蒸気タービンは、ケース上半とケース下半とを含むタービンケースを有し、前記蒸気加減弁からの蒸気は、前記エルボ管を通過した後、前記ケース下半に下方向から流入する。
【0013】
また、実施の形態にかかる発電プラントは、前記組合せ弁と、前記組合せ弁から蒸気を供給される蒸気タービンと、を備える。前記蒸気止め弁の弁箱は、前記流入口が下方向に向くとともに、前記流出口が横方向に向くように配置される。前記蒸気加減弁の弁箱の流出口に、下方向に湾曲するエルボ管が接続されている。前記蒸気タービンは、ケース上半とケース下半とを含むタービンケースを有し、前記蒸気加減弁からの蒸気は、前記エルボ管を通過した後、前記ケース上半に上方向から流入する。
【0014】
また、実施の形態にかかる発電プラントは、前記組合せ弁と、前記組合せ弁から蒸気を供給される蒸気タービンと、を備える。前記蒸気止め弁の弁箱は、前記流入口が下方向に向くとともに、前記流出口が横方向に向くように配置される。前記蒸気加減弁の弁箱の流出口に、横方向に延びる直管が接続されている。前記蒸気加減弁からの蒸気は、前記直管を通過した後、前記蒸気タービンのタービンケースに横方向から流入する。
【0015】
また、実施の形態にかかる発電プラントは、前記組合せ弁と、前記組合せ弁から蒸気を供給される蒸気タービンと、を備える。前記蒸気止め弁の弁箱は、前記流入口が横方向に向くとともに、前記流出口が上方向に向くように配置される。前記蒸気加減弁の弁箱の流出口に、上下方向に延びる直管が接続されている。前記蒸気タービンは、ケース上半とケース下半とを含むタービンケースを有し、前記蒸気加減弁からの蒸気は、前記直管を通過した後、前記ケース下半に下方向から流入する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、発電プラントの効率を向上させることができるとともに、自身ないしその周辺機器の配置自由度を向上させることができる組合せ弁及びそれを備える発電プラントを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、添付の図面を参照して各実施の形態を詳細に説明する。以下に説明する各実施の形態における構成部分のうちの
図8に示した発電プラントの構成部分と同様のものには、同一の符号を付し、共通する部分の説明については省略する場合がある。
【0019】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる発電プラント1Aの概略図である。
図1に示されるように、第1の実施の形態にかかる発電プラント1Aは、蒸気タービン10と、組合せ弁20とを備えている。蒸気タービン10は、タービンケース11を有し、タービンケース11には、ケース上半12と、ケース上半12に対して下側に配置されるケース下半13とが含まれている。ケース上半12及びケース下半13は互いに結合して円筒状をなし、その内部に図示しないロータの収容空間を形成する。
【0020】
組合せ弁20は、蒸気止め弁21と、蒸気止め弁21の下流に配置される蒸気加減弁31とを備え、
図1に示された蒸気止め弁21及び蒸気加減弁31はともに開状態となっている。
【0021】
蒸気止め弁21は、円筒状に形成され、径方向に開口する流入口22Aと軸方向に開口する流出口22Bとを有する弁箱22と、弁箱22の内部における流入口22Aと流出口22Bとの間の位置に設けられ、流出口22Bと同軸状に位置する弁座23と、弁座23に対向して配置される弁体24と、弁体24を弁座23に対して離接させる弁棒25と、弁箱22の内部における弁座23の上流の位置に当該弁箱22と同軸状に配置され、且つ当該弁箱22との間に径方向の隙間を空ける円筒状の整流部材26と、を有している。
【0022】
整流部材26には、放射状に開口する複数の貫通孔26Aが形成されている。ここで、弁箱22においては、流入口22Aから流入した蒸気が、弁箱22と整流部材26との間における環状の隙間で広がった後、整流部材26の貫通孔26Aを介して弁箱22の中心軸線C1側に集まり、その後、弁箱22の中心軸線C1に沿うようにして弁座23を通過する。したがって、整流部材26は、蒸気の流れを弁箱22の中心軸線C1に沿わせるように整流させる整流機能を有する。
【0023】
特に本実施の形態では、整流部材26が蒸気に含まれる異物を捕捉するストレーナにより構成されており、これにより、整流部材26は、上述のような整流機能と、ストレーナとしての異物除去機能とを同時に奏するようになっている。
【0024】
蒸気止め弁21は横置き構造であり、弁箱22は、流入口22Aが下方向に向くとともに、流出口22Bが横方向に向くように配置されている。流出口22Bには、蒸気加減弁31が接続され、これにより、蒸気は弁箱22内に流入口22Aを介して下方向から流入した後、流出口22Bを介して横方向から蒸気加減弁31に流入する。また、蒸気止め弁21は横置き構造であることで、弁体24及び弁棒25は弁箱22の軸方向に沿って横方向に進退動する。本実施の形態では、弁体24が上流から弁座23に対向しており、弁棒25は、弁箱22の軸方向において流出口22Bが設けられる側とは反対の側に引き出されている。
【0025】
蒸気加減弁31は、バタフライ弁であり、蒸気止め弁21の流出口22Bの下流側に配置される弁箱32と、弁箱32の内部に回転自在に支持される弁シャフト33と、弁シャフト33に連結されて弁シャフト33と一体に回転し、弁箱32の内部に形成される流路を開閉する弁ディスク34と、を有している。
【0026】
本実施の形態における蒸気加減弁31の弁箱32は直管状となっており、上流側の流入口32Aと、下流側の流出口32Bとを有し、流入口32Aを蒸気止め弁21の弁箱22の流出口22Bに接続させるとともに、流出口32Bを下流側エルボ管106に接続させる。下流側エルボ管106は上方向に湾曲し、タービンケース11のケース下半13に下方向から接続される。これにより、蒸気加減弁31からの蒸気は下流側エルボ管106を通過した後、ケース下半13に下方向から流入することになる。
【0027】
図1における符号C2は、蒸気加減弁31の弁箱32の流路横断面(言い換えると、流路の延在方向に直交する方向における断面)の中央を通る弁箱32の中心軸線を示す。本実施の形態においては、蒸気加減弁31の弁箱32がその中心軸線C2を蒸気止め弁21の弁箱22の中心軸線C1に一致させる。また、弁シャフト33の軸線は弁箱32の中心軸線C2に直交している。
【0028】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0029】
組合せ弁20では、まず、蒸気止め弁21の弁箱22の流入口22Aから流入した蒸気が、弁箱22と整流部材26との間における環状の隙間で広がった後、整流部材26の貫通孔26Aを介して弁箱22の中心軸線C1側に集まる。その後、蒸気は弁箱22の中心軸線C1に沿うようにして弁座23を通過する。この際、蒸気は、弁座23と弁体24との間を流れることでさらに整流されて、蒸気加減弁31内に流入する。
【0030】
一般に、蒸気タービンの上流、特に上流の近傍位置にバタフライ弁を設置する場合には、バタフライ弁の上流に直管を設けて、整流された蒸気をバタフライ弁に流入させる必要性が生じる。しかしながら、本実施の形態では、上述のように蒸気止め弁21の弁箱22の内部の整流部材26と、弁体24を弁座23に対して進退動により離接させる絞り構造との組合せによって、好適に整流された蒸気がバラフライ弁である蒸気加減弁31に流入する。そのため、蒸気加減弁31の上流に直管を設ける必要がなくなるか、或いは流路長の長い直管を設ける必要がなくなる。
【0031】
これにより、蒸気加減弁31において望ましい蒸気の通過を可能としながらも、蒸気加減弁31の上流に直管を設けた場合に生じ得る圧力損失を抑制することが可能となる。また、直管の省略によって組合せ弁20の全体サイズをコンパクトにすることが可能となって、組合せ弁20ないしその周辺機器の配置自由度を向上させることが可能となる。また、蒸気止め弁21は横置き構造となっているため、組合せ弁20は全体として横方向に長い形状となる。これにより、縦方向の長さが抑制されることで、組合せ弁20ないしその周辺機器の配置自由度がより向上することになる。
【0032】
また、蒸気加減弁31に流入した蒸気は、その後、弁ディスク34を通過し、下流側エルボ管106を介してケース下半13に下方向から流入する。この際、蒸気加減弁31はバタフライ弁であり、弁体を弁座に対して進退動により離接させる絞り構造に比べて圧力損失が小さいため、蒸気加減弁31で生じ得る圧力損失を上記絞り構造の場合よりも抑制することが可能となる。
図8に示した構成と比較すると、
図8の構成では、弁体を弁座に対して進退動により離接させる絞り構造が二段階あるため、圧力損失が大きくなるが、本実施の形態では、上記のような絞り構造を一段階とした上で、バラフライ弁を使用するため、
図8の構成よりも圧力損失を抑制することが可能となっている。
【0033】
また、蒸気加減弁31からの蒸気は下流側エルボ管106を介してケース下半13に流入するが、組合せ弁20から蒸気タービン10に至る経路の全体を見た場合に、本実施の形態の構成では、
図8のようにエルボ管が2つ設置される構成に比較してエルボ管の数が減る。これにより、
図8の構成に対して蒸気の流れの曲げを2回から1回に減らすことができるため、
図8の構成よりも圧力損失をさらに抑制することが可能となる。
【0034】
以上をもって、本実施の形態にかかる組合せ弁20によれば、発電プラントの効率を向上させることができるとともに、自身ないしその周辺機器の配置自由度を向上させることができる。
【0035】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態にかかる発電プラント1Bについて
図2を用いて説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1の実施の形態の構成部分と同様のものには、同一の符号を付し、共通する部分の説明については省略する。
【0036】
図2に示される実施の形態では、蒸気加減弁31に接続された下流側エルボ管106が下方向に湾曲して、タービンケース11のケース上半12に接続されている。これにより、蒸気加減弁31からの蒸気が下流側エルボ管106を通過した後、ケース上半12に上方向から流入することになる。
【0037】
第1の実施の形態のように、ケース下半13の下方向から蒸気を流入する構成では、蒸気タービン10の基礎に開口部を設けた上で、組合せ弁20を吊下げて設置する必要性が生じる場合がある。このような場合において、第2の実施の形態の構成では、ケース上半12の上方向に組合せ弁20が配置されることで、組合せ弁20の配置自由度が向上するとともに、組合せ弁20を容易に設置することができ、この点で第1の実施の形態よりも有用な場合がある。
【0038】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態にかかる発電プラント1Cについて
図3を用いて説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1及び第2の実施の形態の構成部分と同様のものには、同一の符号を付し、共通する部分の説明については省略する。
【0039】
図3に示される実施の形態では、蒸気加減弁31がその弁箱32の内部における弁ディスク34の下流の位置に弁箱32の内面から部分的に突出する整流片35を有する。整流片35は弁箱32と一体化されており、例えば溶接等により弁箱32の内面に固着されてもよいし、弁箱32と一体に削り出しされてもよい。
【0040】
本実施の形態では、蒸気が蒸気加減弁31から下流側エルボ管106に流れるようになっており、この場合、下流側エルボ管106の内部では通常、蒸気流れの慣性によって、腹側(内周部側)の蒸気の流量よりも背側(外周部側)の蒸気の流量が大きくなって、下流側エルボ管106の下流における流れが偏流となる。このような偏流となった蒸気が蒸気タービン10に流入すると、蒸気タービン10の性能が低下するため、発電プラントの効率が低下する。このような問題を解消するために、本実施の形態では、整流片35が弁箱32の内面における下流側エルボ管106の背側(外周部側)の位置に設けられている。
【0041】
本実施の形態によれば、整流片35によって、下流側エルボ管106の腹側(内周部側)の蒸気の流量が背側(外周部側)の蒸気の流量よりも大きくなるような蒸気の流れを形成することができるため、下流側エルボ管106の下流において偏流が生じることを抑制できる。これにより、蒸気タービン10の性能の低下を抑制することができるため、発電プラントの効率を向上させることができる。
【0042】
なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に下流側エルボ管106からの蒸気がケース下半13に下方向から流入する構成が採用されるが、これに代えて、下流側エルボ管106からの蒸気がケース上半12に上方向から流入する構成が採用されてもよい。
【0043】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態にかかる発電プラント1Dについて
図4を用いて説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第3の実施の形態の構成部分と同様のものには、同一の符号を付し、共通する部分の説明については省略する。
【0044】
図4に示される実施の形態では、蒸気加減弁31の弁箱32が直管状であり、弁シャフト33は、弁箱32の中心軸線C2から偏倚して配置されている。より詳しくは、本実施の形態においても、蒸気が蒸気加減弁31から下流側エルボ管106に流れるようになっており、下流側エルボ管106の内部では、蒸気流れの慣性によって、腹側(内周部側)の蒸気の流量よりも背側(外周部側)の蒸気の流量が大きくなり得る。これに対応して、弁シャフト33は、弁箱32における下流側エルボ管106の背側(外周部側)に位置するように中心軸線C2から偏倚して配置されている。
【0045】
図3に示した第3の実施の形態では、弁ディスク34の下流に設けた整流片35により、弁ディスク34の下流の蒸気流路が狭くなることで、圧力損失が上昇する虞がある。これに対して、本実施の形態では、弁ディスク34によって、下流側エルボ管106の背側(外周部側)を流れる蒸気の流量よりも腹側(内周部側)を流れる蒸気の流量が大きくなるように調節し、偏流を抑制することができる。これにより、蒸気流路が狭くなることにより生じ得る圧力損失の発生を抑制できるため、第3の実施の形態のように整流片35が設けられる場合よりも、有用に発電プラントの効率を向上させることができる場合がある。
【0046】
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態にかかる発電プラント1Eについて
図5を用いて説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第4の実施の形態の構成部分と同様のものには、同一の符号を付し、共通する部分の説明については省略する。
【0047】
図5に示される実施の形態では、蒸気加減弁31の弁箱32がエルボ管状であり、弁シャフト33は、エルボ管状の弁箱32の外周部側(背側)に偏倚して配置されている。そして弁箱32の流出口32Bは、直接的にケース下半13に接続されるか、又は比較的軸方向寸法の小さい直管を介して間接的にケース下半13に接続されている。図示の例では、流出口32Bが直接的にケース下半13に接続されている。
【0048】
本実施の形態によれば、第4の実施の形態と同様に、下流側エルボ管106の下流が偏流となることを抑制することができる上に、第4の実施の形態では直管状であった弁箱32がエルボ管状となり、且つ下流側エルボ管106を使用しないため、直管部分での圧力損失がなくなって、発電プラントの効率を効果的に向上させることができる。しかも、組合せ弁20の全体のサイズがよりコンパクトになり得るため、組合せ弁20ないしその周辺機器の配置自由度をより向上させることができる。
【0049】
(第6の実施の形態)
次に、第6の実施の形態にかかる発電プラント1Fについて
図6を用いて説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第5の実施の形態の構成部分と同様のものには、同一の符号を付し、共通する部分の説明については省略する。
【0050】
図6に示される実施の形態における蒸気止め弁21の弁箱22は、流入口22Aが下方向に向くとともに、流出口22Bが横方向に向くように配置され、蒸気加減弁31の弁箱の流出口32Bには、横方向に延びる直管37が接続されている。これにより、蒸気加減弁31からの蒸気は直管37を通過した後、蒸気タービン10のタービンケース11、本例ではケース下半13に横方向から流入する。
【0051】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態で説明した蒸気加減弁31の下流の下流側エルボ管106を無くすことにより、蒸気流れの曲げが無くなることで圧力損失が低減され、蒸気タービン10の入口圧力の低下が抑制される。また、下流側エルボ管106に起因する偏流が無くなることで、発電プラントの効率を効果的に向上させることができる。なお、本実施の形態では、蒸気タービン10内に渦巻き状のスクロール式の流路を形成し、この流路に直管37を接続することが好ましい。この場合には、蒸気タービン10の性能が向上し、更に発電プラントの効率を向上させることができる。
【0052】
また、本実施の形態ではエルボ管が使用されないため、組合せ弁20から蒸気タービン10に至るまでのサイズを一層コンパクトにすることができ、これにより、組合せ弁20ないしその周辺機器の配置自由度をより向上させことができる。なお、本実施の形態では、ケース下半13に横方向から蒸気が流入する構成が採用されるが、これに代えて、ケース上半12に横方向から蒸気が流入する構成が採用されてもよい。
【0053】
(第7の実施の形態)
次に、第7の実施の形態にかかる発電プラント1Gについて
図7を用いて説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第6の実施の形態の構成部分と同様のものには、同一の符号を付し、共通する部分の説明については省略する。
【0054】
図7に示される実施の形態における蒸気止め弁21の弁箱22は、流入口22Aが横方向に向くとともに、流出口22Bが上方向に向くように配置され、蒸気加減弁31の弁箱の流出口32Bには、上下方向に延びる直管37が接続されている。これにより、蒸気加減弁31からの蒸気は直管37を通過した後、蒸気タービン10のタービンケース11、本例ではケース下半13に下方向から流入する。
【0055】
本実施の形態によれば、第6の実施の形態と同様に、例えば第1の実施の形態で説明した下流側エルボ管106を無くすことにより、蒸気流れの曲げが無くなることで圧力損失が低減され、蒸気タービン10の入口圧力の低下が抑制される。また、下流側エルボ管106に起因する偏流が無くなることで、発電プラントの効率を効果的に向上させることができる。
【0056】
また、一般的な発電プラントでは、ボイラから排出された蒸気の流れが、エルボ管により上方向の流れに変えられた上で、組合せ弁20の前にさらにエルボを配置して、組合せ弁に横方向から蒸気を流入させる構成が採用される。このような一般的な発電プラントでは、蒸気の流路長さが長くなり得るが、本実施の形態によれば、ボイラから排出された蒸気を、エルボ管を介さずに組合せ弁20に流入させることができるため、圧力損失が効果的に抑制され、発電プラントの効率を向上させることができる。さらには、コンパクト化を図り易くなるため、組合せ弁20ないしその周辺機器の配置自由度を向上させることができる。
【0057】
なお、本実施の形態では、ケース下半13に下方向から蒸気が流入する構成が採用されるが、これに代えて、ケース上半12に上方向から蒸気が流入する構成が採用されてもよい。
【0058】
以上の各実施の形態においては、蒸気タービン10の上流に1つの弁を配置したが、蒸気タービン10の上流に複数の弁を配置する構成が採用されてもよい。また、各実施の形態においては、ケース上半12のみ又はケース下半13のみに蒸気が流入する構成を示したが、ケース上半12及びケース下半13に蒸気が同時に流入する構成が採用されてもよい。
【0059】
以上、各実施の形態を説明したが、上記の各実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。