(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
プロパモカルブは、次式(I):
【化1】
により表される既知の殺菌活性化合物である。
【0013】
プロパモカルブは、英国特許第1212708号明細書(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。プロパモカルブの誘導体は、以下の化合物により例示される。
(a)プロパモカルブ−ヒドロクロリドまたはプロパモカルブ−HClは、プロピル[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルバメートヒドロクロリドという化学名を有する既知の化合物であり、次式(Ia):
【化2】
により表される。
(b)プロパモカルブ−ホセチレートまたはジメチル−(プロポキシカルボニルアミノ)プロピル]アンモニウムO−エチルホスホネートは、次式(Ib):
【化3】
により表される。
(c)プロパモカルブのリン酸誘導体、たとえば、ジメチル−[3−(プロポキシカルボニルアミノ)プロピル]−アンモニウムホスフェートおよびジメチル−[3−(プロポキシカルボニルアミノ)プロピル]アンモニウムホスホネート。
(d)プロパモカルブのすべての殺菌活性の有機塩または無機塩。
【0014】
バチルス属(Bacillus)胞子形成細菌のバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)は既知の殺線虫剤である。バチルス・ファーマス(Bacillus firmus)の殺線虫活性の記載は、国際公開第1996/32840号パンフレット(その全体が本明細書に組み込まれる)に見出される。
【0015】
バチルス・ファーマス(Bacillus firmus)は、殺線虫剤として現在使用されている。しかしながら、本開示を通じて、プロパモカルブとバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)との組合せを含む組成物は、植物または作物へのイエロースポット寄生の低減ならびに芝草および/または観賞用イネ科植物の品質の向上に予想外の性質を示すことが観測される。
【0016】
バチルス・ファーマス(Bacillus firmus)は植物健康性を有するが、こうした性質は土壌に起因する。プロパモカルブは、病原菌ピシウム・ブライト(Pythium blight)または芝生根腐敗に対する殺菌剤である。
【0017】
イエロースポットは細菌病原体であり、バチルス・ファーマス(Bacillus firmus)(殺線虫剤)またはプロパモカルブ(殺菌剤)単独では防除されない。バチルス・ファーマス(Bacillus firmus)とプロパモカルブとを含む組成物は、イエロースポット病害を防除した。
【0018】
芝草は、セントオーガスチングラス、バミューダグラス、バヒアグラス、バッファローグラス、センチピードグラス、ケンタッキーブルーグラス、ファインフェスク、トールフェスク、ペレニアルライグラス、クリーピングベントグラス、ゾイシアグラス、クラブグラス、ギニアグラス、パンゴラグラス、ハイキビ、トロピカルカーペットグラスなどのすべてのイネ科植物を含む。芝草種としては、「ペンクロス」、「ペンイーグル」、および「A1」を含むクリーピングベントグラスが挙げられる。
【0019】
本明細書に記載の組成物を用いて処理された種子、植物、および植物部位も本開示により提供される。
【0020】
プロパモカルブHClは、浸透活性を有する保護殺菌剤であり、根および葉に吸収されてから植物の上方に輸送される。プロパモカルブは、種子、苗、根、および茎の腐敗ならびに茎葉病害を引き起こすいくつかの卵菌(水生菌)に対して活性を有する。
【0021】
本開示は、本明細書に記載のより活性な作用剤の1つを用いて土壌、種子、植物、根、および/または植物部位を処理することにより、植物、根、または植物部位の損傷を低減する方法を提供する。本開示は、バチルス・ファーマス(Bacillus firmus)とプロパモカルブとを含む組成物を用いて土壌、種子、植物、根、および/または植物部位を処理することにより、植物、根、または植物部位の損傷を低減する方法を提供する。
【0022】
一態様では、本開示は、本明細書に開示される1種以上の忌避組成物、防除組成物、または指向組成物を含む、それからなる、またはそれから本質的になる組成物を提供する。
【0023】
本方法は、処理組成物がプロパモカルブとバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)と含む条件で茎葉処理組成物を定着植物に少なくとも1回施用する工程を含む。茎葉処理組成物は、必要に応じて適切なインターバルでさらなる回数にわたって施用してもよい。茎葉処理組成物は、サッチ層中に灌水してもよく、またはしなくてもよい。
【0024】
一態様では、本開示は、プロパモカルブとバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)と含む組成物を用いて土壌、種子、植物、根、または植物部位を処理することにより、植物、根、または植物部位の損傷を低減する方法を提供する。
【0025】
他の態様では、本開示は、プロパモカルブとバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)とを用いて土壌、種子、植物、根、または植物部位を処理することにより、植物、根、または植物部位の損傷を低減する方法を提供する。さらに他の態様では、本開示は、プロパモカルブとバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)との相乗的組合せを用いて種子、植物、根、または植物部位を処理することにより、植物、根、または植物部位の損傷を低減する方法を提供する。
【0026】
一態様では、本開示は、プロパモカルブとバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)とを用いて土壌、種子、植物、根、または植物部位を処理することにより、植物、根、または植物部位の損傷を低減する方法を提供する。本開示はまた、プロパモカルブとバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)とを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる相乗的組成物および/または方法を提供する。一態様では、プロパモカルブとバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)とを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる相乗的組成物および/または方法である。
【0027】
さらなる態様では、本開示は、植物灌注施用物としてプロパモカルブとバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)とを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる組成物の植物灌注施用を含む、損傷を防除し、損傷を低減し、および/または植物収量を増加させる方法を提供する。
【0028】
他の態様では、本開示は、植物灌注施用物としてプロパモカルブとバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)とを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる組成物の畝溝施用を含む、損傷を防除し、損傷を低減し、および/または植物収量を増加させる方法を提供する。
【0029】
さらなる態様では、本開示は、イエロースポット病害を処理する方法におけるプロパモカルブとバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)とを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる組成物の使用を提供する。他の態様では、本開示は、イエロースポット病害を処理する方法におけるプロパモカルブとバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)とを含む、それらから本質的になる、またはそれらからなる組成物の使用を提供する。
【0030】
本発明との関連では、「防除」とは、未処理の植物または作物と比較した損傷の予防、処理、または治癒的低減を意味し、より好ましくは寄生が本質的に駆除されること、最も好ましくは寄生が完全に抑制されることを意味する。
【0031】
一態様では、本明細書に記載の防除組成物、損傷低減組成物、または収量増加組成物の量は、損傷もしくは有害生物寄生から種子、植物部位、もしくは植物を保護し、および/または植物収量を増加させるのに有効な量(「有効量」)でありうる。
【0032】
一態様では、本明細書に記載の組成物は、約6〜約24oz/1000ft
2のバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)と約2〜約4.5fl.oz/1000ft
2のプロパモカルブとの量で種子、土壌、植物、または植物部位に施用される。さらなる態様では、本明細書に記載の組成物は、約12.9oz/1000ft
2のバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)と約2fl.oz/1000ft
2のプロパモカルブとの量で種子、土壌、植物、または植物部位に施用される。
【0033】
一態様では、本明細書に記載の組成物は、約6〜約24oz/1000ft
2のバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)と約2〜約4.5fl.oz/1000ft
2のプロパモカルブとの量で葉に施用される。さらなる態様では、本明細書に記載の組成物は、約12.9oz/1000ft
2のバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)と約2fl.oz/1000ft
2のプロパモカルブとの量で葉に施用される。
【0034】
一態様では、本明細書に記載の組成物は、約6〜約24oz/1000ft
2のバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)と約2〜約4.5fl.oz/1000ft
2のプロパモカルブとの量で芝草に施用される。さらなる態様では、本明細書に記載の組成物は、約12.9oz/1000ft
2のバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)と約2fl.oz/1000ft
2のプロパモカルブとの量で芝草に施用される。
【0035】
一態様では、本明細書に記載の組成物は、約6〜約24oz/1000ft
2のバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)と約2〜約4.5fl.oz/1000ft
2のプロパモカルブとの量でクリーピングベントグラスに施用される。さらなる態様では、本明細書に記載の組成物は、約12.9oz/1000ft
2のバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)と約2fl.oz/1000ft
2のプロパモカルブとの量でクリーピングベントグラスに施用される。
【0036】
さらに他の態様では、本明細書に記載の組成物は、色もしくは品質の向上またはイエロースポットの低減など、所望の性質を付与するのに十分なように葉に施用される。
【0037】
一態様では、本明細書に開示される組成物は、茎葉組成物、茎葉スプレー剤、溶液剤、エマルジョン剤、サスペンジョン剤、コーティング製剤、非殺有害生物もしくは殺有害生物コーティング製剤、カプセル化製剤、固体剤、液剤、肥料、ペースト剤、顆粒剤、粉末剤、サスペンジョン剤、またはサスペンジョン濃厚剤として製剤化される。他の態様では、本明細書に記載の組成物は、単独でまたは固体製剤、分散製剤、もしくは液体製剤で利用しうる。さらに他の態様では、本明細書に記載の組成物は、タンク混合製品として製剤化される。
【0038】
これらの製剤は、既知の方法で、たとえば、乳化剤および/または分散剤および/または発泡剤である界面活性剤を任意選択的に用いて、活性化合物と、液体溶媒、加圧液化ガス、および/または固体担体である増量剤とを混合することによって製造される。使用される増量剤が水である場合、たとえば有機溶媒を共溶媒として利用することも有用である。好適な液体溶媒は、本質的には、芳香族物質、たとえば、キシレン、トルエン、またはアルキルナフタレン、塩素化芳香族物質または塩素化脂肪族炭化水素、たとえば、クロロベンゼン、クロロエチレン、またはメチレンクロリド、脂肪族炭化水素、たとえば、シクロヘキサンまたはパラフィン、たとえば鉱油留分、アルコール、たとえば、ブタノールまたはグリコール、さらにはそれらのエーテルおよびエステル、ケトン、たとえば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、またはシクロヘキサノン、強極性溶媒、たとえば、ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシド、さらには水である。液化ガスの増量剤または担体は、周囲温度かつ大気圧でガスの液体、たとえば、ハロゲン化炭化水素などのエアロゾル噴射剤、さらにはブタン、プロパン、窒素、および二酸化炭素である。固体担体として好適なのは、たとえば、カオリン、クレー、タルク、チョーク、石英、アタパルジャイト、モンモリロナイト、珪藻土などの粉砕天然鉱物、および微細化されたシリカ、アルミナ、シリケートなどの粉砕合成鉱物である。顆粒剤用の固体担体として好適なのは、たとえば、方解石、軽石、大理石、海泡石、苦灰石などの破砕および分別天然岩石、さらには無機粉および有機粉の合成顆粒、および鋸屑、ココヤシ殻、トウモロコシ穂軸、タバコ葉柄などの有機材料の顆粒である。乳化剤および/または発泡剤として好適なのは、たとえば、非イオン性および陰イオン性の乳化剤、たとえば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、たとえば、アルキルアリールポリグリコールエーテル、アルキルスルホネート、アルキルスルフェート、アリールスルホネート、およびタンパク質加水分解物である。分散剤としては、たとえば、リグノスルフィット廃液およびメチルセルロースが好適である。
【0039】
粘着付与剤、たとえば、カルボキシメチルセルロース、ならびに粉末、顆粒、またはラテックスの形態の天然および合成のポリマー、たとえば、アラビアガム、ポリビニルアルコール、およびポリビニルアセテート、さらには天然リン脂質、たとえば、セファリンおよびレシチン、ならびに合成リン脂質は、製剤で使用可能である。他の可能な添加剤は、鉱油および植物油である。
【0040】
着色剤、たとえば、無機顔料、たとえば、酸化鉄、酸化チタン、およびプルシアンブルー、有機色素、たとえば、アリザリン色素、アゾ色素、および金属フタロシアニン色素、ならびに微量栄養素、たとえば、鉄、マンガン、ホウ素、銅、コバルト、モリブデン、および亜鉛の塩を使用することも可能である。
【0041】
植物とは、現状では、すべての植物および植物集団、たとえば、望ましいおよび望ましくない野生植物または作物植物(天然に存在する作物植物を含む)を意味するものと理解される。作物植物または作物とは、トランスジェニック植物を含めてかつ植物育成者権により保護可能または保護不能な植物品種を含めて、従来の育種法および最適化法により、さもなければバイオテクノロジー法および遺伝子工学法により、またはこれらの方法の組合せにより得られる植物でありうる。
【0042】
一態様では、本明細書に記載の組成物は、1回の施用工程で土壌、植物、作物、種子、葉、またはそれらの植物部位に施用される。他の態様では、本明細書に記載の組成物は、複数回の施用工程で、たとえば、2、3、4、5回、またはそれを超える施用工程で植物、作物、種子、葉、またはそれらの植物部位に施用される。他の態様では、2、3、4、もしくは5回目またはそれを超える施用工程は、同一または異なる組成物を使用するものでありうる。本明細書に記載の方法は、複数回の施用工程が除外される態様も提供する。
【0043】
一態様では、本明細書に記載の組成物は、成長期、植栽期、または収穫期に1回以上にわたり植物、作物、種子、またはそれらの植物部位に施用される。他の態様では、本明細書に記載の化合物または組成物は、成長期、植栽期、または収穫期に1、2、3、4、もしくは5回またはそれを超えて植物、作物、種子、またはそれらの植物部位に施用される。他の態様では、本明細書に記載の化合物または組成物は、成長期、植栽期、または収穫期に1回のみ、2回以下、または3回以下にわたり植物、作物、種子、またはそれらの植物部位に施用される。さらに他の態様では、化合物または組成物は、1回の工程で種子に施用される。さらに他の態様では、本明細書に記載の種子は、1回の施用工程で植栽される。
【0044】
他の態様では、本開示は、栽植前、出芽前、出芽後の施用工程またはそれらの組合せを提供する。他の態様では、本明細書に記載の化合物または組成物は、最初に栽植前の工程で、続いて1回以上の出芽前または出芽後の工程で施用される。さらに他の態様では、本開示は、栽植前の工程のみを提供する。
【0045】
本明細書に記載の方法は、遺伝子改変生物(GMO)、たとえば、植物または種子の処理に使用可能である。遺伝子改変植物(またはトランスジェニック植物)とは、異種遺伝子がゲノム中に安定に組み込まれた植物のことである。「異種遺伝子」という表現は、その植物以外で提供またはアセンブルされ、その核ゲノム、葉緑体ゲノム、またはミトコンドリアゲノムに導入したときに、対象のタンパク質もしくはポリペプチドを発現することにより、または植物に存在する他の遺伝子をダウンレギュレートもしくはサイレンシングすることにより(たとえば、アンチセンス技術、共抑制技術、もしくはRNA干渉 − RNAi − 技術を用いて)、形質転換植物に新しいまたは向上した作物的性質または他の性質を与える遺伝子を本質的に意味する。ゲノムに位置する異種遺伝子は、トランスジーンとも呼ばれる。植物ゲノム中のその特定の位置により規定されるトランスジーンは、形質転換イベントまたはトランスジェニックイベントと呼ばれる。
【0046】
一態様では、植物は、トランスジェニック植物を含めてかつ植物育成者権により保護可能または保護不能な植物品種を含めて、従来の育種法および最適化法により、またはバイオテクノロジー法および組換え法により、またはこれらの方法の組合せにより得られる。
【0047】
他の態様では、野生で見出されるまたは交雑もしくはプロトプラスト融合などの従来の生物学的育種法により得られる植物種および植物品種ならびにこれらの種および品種の一部が処理される。さらなる好ましい実施形態では、従来の方法と適宜組み合わせて組換え法により得られたトランスジェニック植物および植物品種(遺伝子改変生物)ならびにそれらの一部が処理される。
【0048】
植物部位とは、植物のすべての地上部および心土部および器官、たとえば、苗条、葉、花、根、群葉、針葉、柄、茎、子実体、果実および種子、塊茎および根茎を意味すると理解すべきである。植物部位は収穫作物も含み、かつ栄養繁殖材料および生殖繁殖材料、たとえば、挿し穂、塊茎、根茎、接ぎ穂、および種子も含む。
【0049】
種子、植物部位、葉、および植物は、化合物または組成物を種子、植物部位、葉、または植物に施用することにより記載の組成物を用いて直接処理しうる。他の態様では、種子、植物部位、葉、または植物は、たとえば、種子、植物部位、葉、または植物が露出される環境または生育地を処理することにより間接処理しうる。従来の処理方法は、浸漬、スプレー処理、燻蒸、化学溶液灌漑、霧化、散布、刷毛塗り、シャンク処理、または注入を含めて、環境または生育地を処理するために使用しうる。
【0050】
本発明によれば、本明細書に記載の組成物を用いる植物および種子の処理は、慣用的な処理方法により、たとえば、浸漬、スプレー処理、気化、霧化、注入、滴下、灌注、散布、または塗布、および種子処理により直接行うことが可能である。
【0051】
他の態様では、本明細書の組成物は、イエロースポット病害を処理または低減する。イエロースポットは、ベントグラスパッティンググリーン、ティー、およびアプローチに、ダイム/クウォーターサイズから2〜3インチまでの範囲内の直径の黄色、退緑、環状の離散した斑点の形態で現われる。病害の主な病因は完全には理解されていないが、藍藻の原因であるシアノバクテリアであることが示唆されている。
【0052】
一態様では、本明細書に記載の化合物または組成物は、茎葉組成物、茎葉スプレー剤、溶液剤、エマルジョン剤、コーティング製剤、非殺有害生物もしくは殺有害生物コーティング製剤、カプセル化製剤、固体剤、液剤、肥料、ペースト剤、顆粒剤、粉末剤、サスペンジョン剤、またはサスペンジョン濃厚剤として製剤化される。他の態様では、本明細書に記載の化合物または組成物は、単独でまたは固体製剤、分散製剤、もしくは液体製剤で利用しうる。さらに他の態様では、本明細書に記載の化合物または組成物は、タンク混合製品として製剤化される。
【0053】
他の態様では、本明細書に記載の化合物または組成物は、限定されるものではないが、サスペンジョン濃厚剤、エアロゾル剤、カプセルサスペンジョン剤、冷煙霧濃厚剤、温煙霧濃厚剤、カプセル化顆粒剤、細顆粒剤、種子処理用フロアブル濃厚剤、即使用可能溶液剤、ダスト性粉末剤、乳化性濃厚剤、水中油型エマルジョン剤、油中水型エマルジョン剤、マクロ顆粒剤、マイクロ顆粒剤、油分散性粉末剤、油混和性フロアブル濃厚剤、油混和性液剤、発泡剤、ペースト剤、殺有害生物被覆種子、サスポエマルジョン濃厚剤、可溶性濃厚剤、湿潤性粉末剤、可溶性粉末剤、ダスト剤および顆粒剤、水溶性顆粒剤または錠剤、種子処理用水溶性粉末剤、湿潤性粉末剤、本明細書に記載の化合物または組成物で含浸された天然産物および合成物質、本明細書に記載の化合物または組成物で含浸されたネット、さらには高分子物質中のマイクロカプセル化剤、および種子用コーティング材料、さらにはULV冷煙霧および温煙霧製剤を含むさまざまな剤形のいずれかをとりうる。
【0054】
他の態様では、本明細書に開示される組成物は、追加の有益なまたはさもなければ有用な効果を提供する1種以上の追加の化合物を任意選択的に含みうる。かかる化合物としては、限定されるものではないが、接着剤、界面活性剤、溶媒、湿潤剤、乳化剤、担体、補助剤、希釈剤、分散剤、殺虫剤、殺有害生物剤、殺菌剤、微量栄養素性または多量栄養素性の肥料、除草剤、摂食阻害剤、昆虫脱皮阻害剤、昆虫交尾阻害剤、昆虫成熟阻害剤、殺線虫剤、栄養サプリメントもしくは園芸サプリメント、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。一態様では、本明細書に記載の組成物は臭気フリーである。
【0055】
他の態様では、本明細書に記載の組成物は肥料と組合せ可能である。本明細書に記載の組成物および方法と併用可能な肥料の例としては、たとえば、尿素、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸カルシウム、リン酸二アンモニウム、リン酸一アンモニウム、重過リン酸石灰、硝酸カリウム、硝酸カリウム、硝酸カリ、塩化カリウム、塩化カリ、亜リン酸/ホスホン酸の二および一カリウム塩が挙げられる。
【0056】
すでに述べたように、イエロースポットは細菌病原体であり、プロパモカルブ(殺菌剤)またはバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)(殺線虫剤)のいずれか単独では防除されない。したがって、プロパモカルブとバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)との組合せが本明細書に開示される相乗効果を有することは予想外である。
【0057】
キット
他の態様では、本開示は、本明細書に開示される化合物または組成物のいずれかを含む、それから本質的になる、またはそれからなるキットを提供する。一態様では、キットは、実施例1〜2または
図1〜3に記載の化合物または組成物の組合せのいずれかを含む。他の態様では、キットは、これらの実施例および図の方法に一致するように施用される実施例1〜2または
図1〜3に記載の組成物を提供する。他の態様では、キットは、本明細書に記載の組成物または方法の使用に関する説明書または手引きを提供する。
【0058】
一態様では、キットは、本明細書に記載の方法を記述する説明書を含む。他の態様では、キットは、実施例1〜2または
図1〜3のいずれかに示される方法を記述する説明書を含む。一態様では、説明書は、キットと共に、キットから分離して、キット内に含まれるか、またはキットのパッケージ上に含まれる。
【0059】
以下の実施例は、本開示の特定の態様を例示する役割を果たすものであり、本開示を限定することを意図したものではない。
【実施例】
【0060】
実施例1
実施例1は、グリーンの高さの芝生クリーピングベントグラス(アグロスティス・パルストリス(Agrostis palustris)の「ペンクロス」および「ペンイーグル」)の品質向上に及ぼすバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)およびプロパモカルブ−HClの効果を開示する。
【0061】
試験は、ブリッジハンプトンシルトローム上で行った。芝生を0.125インチの刈込み高さに保持し、必要に応じて灌漑し、季節全体を通じて合計で4lbのNを遅放製剤として4回の個別施用で施用した。試験区は、境界なしで5ft×5ftの大きさであり、約5%ポア・アヌア(Poa annua)侵入を伴う83%「ペンクロス」と17%「ペンイーグル」とのクリーピングベントグラスの初期混合で3つのレプリケートを用いて、ランダム化完備型ブロック計画で配置した。殺菌剤は、40psiで3.2gal/1000ft
2を送達するTeeJet 8004VS Visiflowフラットファンノズルが取り付けられたCO
2加圧式ハンドヘルドスプレーヤーを用いて施用した。施用は、5月23日に開始して6月20日、7月16日、および8月12日まで続ける28日スケジュールで行った。材料は、ブリキ缶により測定して約0.5”の灌漑により芝生中に灌水した。各施用の直前に評価を行った。ダラースポットに対処するために必要に応じて10〜14日スケジュールでクロロタロニルを施用した。ダラースポットは2回目の評価日までに出現がようやく始まった。
【0062】
試験の期間中、芝草の品質または芝草の被覆率に観測可能な差は認められなかった。したがって、芝草の品質および芝草の色のデータのみを報告する。試験期間中、バチルス・ファーマス(Bacillus firmus)処理およびバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)+プロパモカルブ−HCl処理は、プロパモカルブ−HCl処理または対照処理よりもわずかに濃い芝生をもたらした。バチルス・ファーマス(Bacillus firmus)+プロパモカルブ−HCl処理は、1回目の評価後に最高の品質、多くの場合に最も良い色を提供した。しかしながら、良好に行われた処理および以下の表1に報告される(および
図1に示される)データはすべて、統計的有意性が欠如しているため、品質および色の向上に関して推測を行うために使用すべきではない。
【0063】
【表1】
【0064】
実施例2
実施例2は、グリーンの高さの芝生クリーピングベントグラス(アグロスティス・パルストリス(Agrostis palustris)のA1)の品質向上に及ぼすバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)およびプロパモカルブ−HClの効果を開示する。
【0065】
ゴルフコースのパッティンググリーンとして維持された「A−1」クリーピングベントグラスで研究を行った。試験区を週6回刈り込んで刈込み物を捕集した。研究では乾燥ストレスを防ぐために灌漑した。個別の試験区は3ft×6ftであり、4つのレプリケーションを用いてランダム化完備型ブロック計画で配置した。ダラースポットおよびブラウンパッチを抑制するために、研究では5月2日、6月9日、7月29日、および8月20日にChipco 26GT(4fl oz/1000ft
2)を施用した。50psiのTeeJet AI9508Eノズルを備えたCO
2駆動式スプレーヤーを用いて2gal 1000ft−2と均等な水で処理を施した。処理は4月24日に開始して28日インターバルで施した。研究では、すべての処理を施した後、0.1〜0.2インチの水で灌漑した。イエロースポット症状を呈する芝生領域のパーセントを6月24日、7月16日、および9月2日に評価した。芝草の品質は、4月24日、5月21日、6月18日、7月16日、8月13日、および9月2日に評価した。NDVIは、5月21日、6月18日、7月17日、8月13日、および9月2日に評価した。根の長さ(3サブサンプル/試験区)は、9月18日に評価した。
【0066】
結果:
芝生の品質は、以下の表2に示される(および
図2に示される)。イエロースポットの蔓延は、6月下旬に起こり9月まで持続した。防除範囲内で最も高い重症度は、7月16日に20.9%と観測された。9月2日、プロパモカルブ−HCl+バチルス・ファーマス(Bacillus firmus)処理およびバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)(単独)は、表3(および
図3)に示されるように対照と比較して有意に少ないイエロースポットを呈した。プロパモカルブ−HCl+バチルス・ファーマス(Bacillus firmus)は、6月18日に芝生の品質を向上させた。
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】