(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つの駆動ローラ対を使用して、前記切断ゾーン内で前記可撓性ガラスリボンを安定化させる工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1、2、又は4〜5のいずれか一項に記載の方法。
前記切断ゾーン内に前記可撓性ガラスリボンを安定化するように構成された少なくとも1つの駆動ローラ対をさらに含むことを特徴とする、請求項10〜13のいずれか一項に記載のガラス加工装置。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の詳細な説明において、本開示のさまざまな原理の十分な理解を提供するために、説明の目的であって限定ではない、特定の詳細を開示する例となる実施形態が説明される。しかしながら、本開示が、本明細書に開示される特定の詳細から逸脱する他の実施形態でも実施できることは、本開示の利益を享受する当業者にとって明白であろう。さらには、本開示のさまざまな原理の説明が不明瞭にならないように、良く知られているデバイス、方法及び材料についての説明は省略される場合がある。最後に、適用可能な場合には、類似の要素については、類似した参照番号が用いられる。
【0033】
範囲は、本明細書では、「約」1つの特定の値から、及び/又は、「約」別の特定の値までとして表されうる。このような範囲が表される場合、別の実施形態は、その1つの特定の値から、及び/又は、他の特定の値までを含む。同様に、値が先行詞「約」を使用して近似値で表される場合、その特定の値は別の実施形態を形成することが理解されよう。範囲の各々の端点は、他の端点に関連して、及び他の端点とは独立しての両方で重要であることがさらに理解されよう。
【0034】
本明細書で用いられる方向の用語、例えば、上、下、右、左、前、後、上部、底部などは、描かれる図面に関してのみ示されるものであって、絶対方向を意味することは意図されていない。
【0035】
他に明示的に記載されない限り、本明細書に記載されるいずれの方法も、その工程が特定の順序で行われることを要すると解釈されることは全く意図されていない。したがって、方法の請求項が、その工程が従うべき順序について実際に記載していない場合、あるいは、工程が特定の順序に限定されることが請求項又は説明において特に別記されていない場合、いかなる点においても順序が推察されることは全く意図されていない。これは、工程又は動作フローの配置に関する論理的事項;文法構成又は句読点に由来する平明な意味;本明細書に記載される実施形態の数または種類を含む、解釈のためのあらゆる可能性のある不明確な基準(non-express basis)にも当てはまる。
【0036】
本明細書で用いられる場合、名詞は、文脈上、そうでないことが明確に指示されない限り、複数の指示対象を指す。よって、例えば、1つの「構成要素」についての言及は、文脈上、そうでないことが明確に指示されない限り、このような構成要素を2つ以上有する態様を含む。
【0037】
本明細書に記載される実施形態は、概して、可撓性ガラスウェブのビード化したエッジの連続的な分離を含む、可撓性ガラスリボンの連続的な加工に関する。連続的に制御された亀裂伝播を維持するためには、レーザがウェブ速度に合わせるように亀裂速度を制御することができるように、機械的応力の大きさ及び変動を最小限に抑えることが重要でありうる。切断ゾーンにおいて可撓性ガラスウェブの機械的応力及び応力変動を低減して、可撓性ガラスウェブの制御された亀裂伝播プロセス能力を改善するレーザ分離方法が、本明細書に開示される。
【0038】
ガラスは、概して、非可撓性であり、引っかき、チッピング及び破壊の傾向のある、脆弱な材料として知られているが、薄い断面を有するガラスは、実際には、かなり可撓性でありうる。長く薄いシート又はリボン状のガラスは、紙又はプラスチックフィルムによく似て、ロールに巻き取り及びロールから巻き解き可能である。
【0039】
ガラスリボンがガラス製造設備を通って移動する際のガラスリボンの横方向の位置合わせの維持は、ガラス製造設備の構成要素の位置ずれによって複雑化しうる。さらには、製造環境又は加工及び取り扱い設備に存在しうる不安定性、摂動、振動、及び一時的な影響が、ガラスリボンの断続的な又は拡張された位置ずれを引き起こしうる。位置合わせの欠如により、高剛性のガラスウェブにウェブの幅方向の傾きを生じさせ、横方向に振動を生じさせうる。極端な場合には、ガラスリボンの不安定性、摂動、振動、及び一時的な影響は、破壊につながりうる。
【0040】
幾つかのガラスリボンは、ガラスリボンから厚くなったエッジビードを連続的に分離することによって加工される。ビード除去プロセス中に、厚くなったエッジビードは、ガラスリボンから分離され、かつ、製品ガラスリボンとは別の経路を下方へと搬送される。厚くなったビードは、ガラスリボンが厚くなったエッジビードから分離される分離点において、ガラスリボンに応力を与える。ガラスリボンと分離された厚くなったエッジビードとの間の相対角度は、分離点における応力に影響を及ぼす。ビード分離プロセスにおいてガラスリボンの横方向変動を生じさせる位置ずれは、亀裂先端又は分離点(亀裂が、1つの部分を別の部分から分離するようにガラスを通じて伝播される点)において応力変動を生じさせることができ、リボンの破損又はエッジ強度及びエッジ損傷が劣っているなどの不十分なエッジ分離特性を生じる可能性がある。幾つかの実施形態では、ビードの分離後に、少なくとも約200MPaなど、少なくとも約100MPaのエッジ強度が、切断エッジにおいて維持されうる。
【0041】
本明細書に記載される装置及び方法は、機械的に誘起される応力が、亀裂先端を伝播するようにレーザによって誘起されることが意図された所望の応力に悪影響を及ぼさないように、ウェブの安定性及びレーザ分離プロセスの機械的隔離を取り入れている。第1に、亀裂先端ゾーンにおけるウェブ張力、横方向位置、及び垂直位置を管理するために、複数のセットのピンチ駆動、及び高剛性の圧力/真空空気軸受が、可撓性ガラスリボンの搬送全体を通じて用いられうる。圧力/真空空気軸受とは、空気軸受が、圧力を印加する、真空を適用する、又は圧力及び真空の両方を同時に適用することができることを意味する。第2に、有利には、カレットの生成に起因する振動がレーザ分離ゾーンに達するのを絶つように、分離した搬送経路がビード/カレット管理のために設けられうる。搬送経路半径の全体的増加(これは、亀裂先端へと戻る摂動の伝達を低減する効果を有しうる)だけではなく、例えば、下流の第2のフリーループもまた加えられうる。第3に、ビード除去ハードウェアの両側における可撓性ガラスリボンの張出距離は、ビードカンチレバーに起因する曲げ応力を低減するように選択されうる。これらの特徴の各々は、以下により詳しく説明される。
【0042】
図1を参照すると、ガラスリボン46を生産するためのフュージョン法を取り入れた例示的なガラス製造装置10が示されている。ガラス製造装置10は、より詳しくは後述するように、ガラスリボンが形成され、エッジに沿って分離され、次に連続的なプロセスにおいてローリングされる、ガラス加工装置100の一部でありうる(
図4)。ガラス製造装置10は、溶融容器14、清澄容器16、混合容器18(例えば、攪拌チャンバ)、送達容器20(例えば、ボウル)、成形装置22及びドロー装置24を含む。ガラス製造装置10は、最初にバッチ材料を溶融及び混合して溶融ガラスとし、該溶融ガラスを予備的形状内に分配し、ガラスリボン46が粘弾性転移を被り、かつ、ガラスリボン46に安定な寸法特性を与える機械的特性を有するように、ガラスが冷却し、粘度が増大するにつれて、ガラスリボン46に張力を印加してガラスリボン46の寸法を制御することによって、バッチ材料から連続的なガラスリボン46を生成する。
【0043】
動作中、ガラスを形成するためのバッチ材料は、矢印26によって示されるように溶融容器14内に導入され、溶融されて、溶融ガラス28を形成する。該溶融ガラス28は、清澄容器16内に流入し、ここで気泡が溶融ガラスから除去される。清澄容器16から、溶融ガラス28は混合容器18内へと流入し、ここで溶融ガラス28は混合プロセスを被り、溶融ガラス28が均質化される。溶融ガラス28は、混合容器18から、下降管30を通じて入口32へ及び成形装置22内へと溶融ガラス28を送達する送達容器20へと流入する。
【0044】
図1に示される成形装置22は、フュージョンドロー法に用いられ、高い表面品質及び低い厚さ変動を有する可撓性ガラスリボン46を生産する。成形装置22は、溶融ガラス28を受け入れる開口34を含む。溶融ガラス28はトラフ36内に流入し、次に、2つの部分的なリボン部分38、40の状態でトラフ36の両側から溢れ出て、流下し(
図2参照)、その後、成形装置22のルート42の下で融着する。溶融状態のままのガラス28の2つの部分的なリボン部分38、40は、成形装置22のルート42の下の位置において互いに再結合(例えば融合)し、それによって、可撓性ガラスリボン46(ガラスリボン又はウェブとも称される)を形成する。可撓性ガラスリボン46は、ドロー装置24によって成形装置から下方に延伸される。フュージョンドロー法を実行する成形装置22が本明細書に示され、説明されているが、限定はしないが例えばスロットドロー装置などの他の成形装置を用いてもよいことが理解されるべきである。
【0045】
図1及び2に示されるように、ドロー装置24は、各々が前方スタブローラ54及び後方スタブローラ56を含む、複数のアクティブ駆動型スタブローラ対50、52を含みうる。前方スタブローラ54は、前方モータ60に連結された前方トランスミッション58に連結されている。該前方トランスミッション58は、前方スタブローラ54に送達される前方モータ60の出力速度及びトルクを修正する。同様に、後方スタブローラ56は、後方モータ64に連結された後方トランスミッション62に連結されている。該後方トランスミッション62は、後方スタブローラ56へと送達される後方モータ64の出力速度及びトルクを修正する。
【0046】
複数のスタブローラ対50、52の動作は、例えば及び限定せずに、可撓性ガラスリボン46に適用されるトルク及びスタブローラ54、56の回転速度を含む、さまざまな条件について、グローバル制御デバイス70(例えば、プログラマブル論理制御装置又はPLC)によって制御されうる。可撓性ガラスリボン46を粘弾性の状態のまま保ちつつ、複数のスタブローラ対50、52によって可撓性ガラスリボン46に印加される延伸力により、可撓性ガラスリボン46が引っ張られ又は引き伸ばされ、それによって、可撓性ガラスリボン46に運動も与えつつ、可撓性ガラスリボン46がドロー装置24に沿って移動する際に、延伸方向及び延伸方向と交差する方向の一方又は両方において可撓性ガラスリボン46に印加された張力を制御することによって、可撓性ガラスリボン46の寸法を制御する。
【0047】
グローバル制御デバイス70には、メモリ72内に保存され、かつ、プロセッサ74で実行されるコンピュータ読み取り可能命令を含めることができ、該命令は、数ある中でもとりわけ、スタブローラ対50及び52によってもたらされる可撓性ガラスリボン46の延伸張力及び速度を、例えば、グローバル制御デバイス70にフィードバックを提供する任意の適切なセンサを使用して、決定することができる。さらには、コンピュータ読み取り可能命令は、センサからのフィードバックを考慮して、スタブローラ対50、52のトルク及び速度などのパラメータの修正を可能にしうる。一例として、回転速度を指し示すために、グローバル制御デバイス70と連通するスタブローラ76が設けられてもよい。可撓性ガラスリボン46を伴ったスタブローラ76の回転速度は、それによって可撓性ガラスリボン46が移動する際の可撓性ガラスリボン46の付帯的な直線供給速度を決定するために、グローバル制御デバイス70によって利用されうる。
【0048】
可撓性ガラスリボン46がドロー装置24を通じて延伸される際に、ガラスが冷却の機会を有するとすぐに、ガラス内に応力が形成されうる。複数のスタブローラ対50、52を有するガラス製造装置100は、ガラスリボン46が粘弾性変換を被る領域における、延伸方向と交差する方向の張力及び/又は下向きに延伸される張力の制御及び整合性を改善しうる。この領域は、応力及び平坦性がガラスリボン46に設定される「設定ゾーン」として定められうる。複数のアクティブ駆動型のスタブローラ対50、52を含むガラス製造装置100は、可撓性ガラスリボン46の全幅に沿って延在するローラを取り込んだ従来設計の製造装置と比較して、可撓性ガラスリボン46の製造に改善をもたらしうる。しかしながら、ある特定の状況では、可撓性ガラスリボン46の全幅に沿って延在するローラを使用する製造装置を用いてもよい。
【0049】
グローバル制御デバイス70は、ドロー装置24を使用して、可撓性ガラスリボン46を成形しつつ、ガラス加工装置100のグローバルマスター速度も設定することができる(
図4)。
図3を参照すると、上記のように、ガラス製造システム10は、ガラス加工装置100の一部でありうる。可撓性ガラスリボン46は、ガラス加工装置100を通って搬送されるように描かれており、その別の部分は
図3に示されている。可撓性ガラスリボン46は、ガラス製造システム10(
図1)からガラス加工装置100を通って連続的な方式で搬送されうる。可撓性ガラスリボン46は、該可撓性ガラスリボン46の長さに沿って延在する一対の対向する第1及び第2のエッジ102及び104と、該第1及び第2のエッジ102及び104の間に広がる中央部分106とを含む。幾つかの実施形態では、第1及び第2のエッジ102及び104は、第1及び第2のエッジ102及び104を接触から保護し遮蔽する感圧粘着テープ108で覆われていてもよい。テープ108は、可撓性ガラスリボン46が装置100を通って移動する際に、第1及び第2のエッジ102及び104の一方又は両方に施されうる。他の実施形態では、粘着テープ108は用いられなくてもよく、あるいは、粘着テープ108は、エッジビードが除去された後で施されてもよい。第1の幅広面110と反対側の第2の幅広面112もまた、第1及び第2のエッジ102及び104の間に広がって、中央部分106の一部を形成する。
【0050】
ダウンドローフュージョン法を使用して可撓性ガラスリボン46を形成する実施形態では、第1及び第2のエッジ102及び104は、中央部分106の厚さT
2より大きい厚さT
1を有するビード114及び116を含みうる。中央部分106は、例えば、約0.01〜0.05mm、約0.05〜0.1mm、約0.1〜0.15mm及び約0.15〜0.35mmの厚さを含むがこれらに限られない、約0.35mm以下の厚さT
2を有する「極薄」でありうるが、他の例では、他の厚さを有する可撓性ガラスリボン46が形成されてもよい。
【0051】
可撓性ガラスリボン46は、グローバル制御デバイス70によって制御されるリボン搬送システム120を使用して、装置100を通って輸送される。横方向ガイド122及び124は、機械又は可撓性ガラスリボン46の進行方向126に対して、正確な横方向位置に可撓性ガラスリボン46を配向するように設けられうる。例えば、模式的に示したように、横方向ガイド122及び124は、第1及び第2のエッジ102及び104を係合するローラ128を含みうる。対向する力130及び132は、進行方向126における所望の横方向配向における可撓性ガラスリボン46のシフト及び整列を補助する横方向ガイド122及び124を使用して、第1及び第2のエッジ102及び104に印加されうる。
【0052】
ガラス加工装置100は、それを中心にして可撓性ガラスリボン46が曲げられうる曲げ軸142の下流に、切断ゾーン140をさらに含みうる。一例において、装置100は、切断ゾーン140において可撓性ガラスリボン46を曲げて、曲げ配向を有する曲げ目標セグメント144を設けるように構成された切断支持部材を含みうる。切断ゾーン140内での目標セグメント144の曲げは、支持体に対する可撓性ガラスリボン46の適合を最大化するのに役立ち、それによって、切断手順の間の可撓性ガラスリボン46の機械的応力を最小限に抑えることができる。支持体に対する可撓性ガラスリボン46のこのような曲げは、可撓性ガラスリボン46の中央部分106から第1及び第2のエッジ102及び104のうちの少なくとも1つを分離する手順の間に、可撓性ガラスリボンの外形の座屈又は摂動を妨げるのに役立ちうる。
【0053】
切断ゾーン140に曲げ目標セグメント144を設けることによって、切断ゾーン140全体を通じて、可撓性ガラスリボン46の幅方向の剛性を増加させることができる。このように、
図3に示されるように、随意的な横方向ガイド150、152は、切断ゾーン140内において曲げた状態の可撓性ガラスリボン46に係合することができる。したがって、ウェブと交差する方向の剛性が増加すると、可撓性ガラスリボン46が切断ゾーン140を通過する際に横方向に位置合わせするときに、横方向ガイド150及び152によって印加される力154及び156がガラスリボンの外形を座屈あるいは他の理由でその安定性を摂動する可能性が低くなる。
【0054】
上述したように、切断ゾーン140内に曲げ配向の曲げ目標セグメント144を設けることにより、支持体に対するウェブの適合の最大化に役立ち、それによって、切断手順の間に、可撓性ガラスリボン46における機械的応力を最小限に抑える補助をすることができる。このような構造は、第1及び第2のエッジ102及び104のうちの少なくとも1つを分離する手順の間のガラスリボンの外形の座屈又は摂動の防止に役立ちうる。さらには、曲げ目標セグメント144の曲げ配向により、曲げ目標セグメント144の剛性を増加させて、曲げ目標セグメント144の横方向配向の随意的な微調整を可能にすることができる。このように、可撓性ガラスリボン46は、第1及び第2のエッジ102及び104のうちの少なくとも1つを分離する手順の間に、中央部分106の第1及び第2の幅広面と接触することなく、効果的に適切に横方向に配向されうる。
【0055】
装置100は、可撓性ガラスリボン46の中央部分106から第1及び第2のエッジ102及び104を連続的な方式で分離するように構成された、さまざまなエッジトリミング装置をさらに含みうる。一例において、
図4に示されるように、1つの例となるエッジトリミング装置170は、曲げ目標セグメント144の上向きの面の一部を照射し、したがって加熱するための光送達装置172を含みうる。一例において、光送達装置172は例証されるレーザ174などの切断デバイスを含みうるが、さらなる例においては、他の放射源が設けられてもよい。光送達装置172は、円偏光子176、ビームエキスパンダ178、及びビーム整形装置180をさらに含みうる。
【0056】
光送達装置172は、ミラー184、186及び188などの放射源(例えば、レーザ174)からの放射ビーム(例えば、レーザビーム182)を方向転換するための光学素子をさらに含みうる。放射源は、ビームが可撓性ガラスリボン46に入射される位置において、可撓性ガラスリボン46を加熱するのに適した波長及び出力を有するレーザビームを放出するように構成された、例証されるレーザ174を含みうる。一実施形態では、レーザ174はCO
2レーザを含みうるが、さらなる例では、他のレーザ型を用いてもよい。
【0057】
図4にさらに示されるように、例となるエッジトリミング装置170は、曲げ目標セグメント144の上向きの面の加熱された部分を冷却するように構成されたクーラント流体送達装置192も含みうる。該クーラント流体送達装置192は、クーラントノズル194、クーラント源196、及び、クーラントをクーラントノズル194に搬送可能な関連する導管198を含みうる。
【0058】
一例において、クーラントジェット200は水を含むが、可撓性ガラスリボン46の曲げ目標セグメント144の上向きの面を染色、汚染又は損傷しない任意の適切な冷却流体(例えば、液体ジェット、ガスジェット又はそれらの組合せ)を含んでもよい。クーラントジェット200は、可撓性ガラスリボン46の表面に送達されて、冷却ゾーン202を形成しうる。示されるように、冷却ゾーン202は、放射ゾーン204の跡を引いて、初期亀裂を伝播しうる(
図3)。
【0059】
光送達装置172及び冷却流体送達装置192を用いた加熱と冷却の組合せにより、他の分離技術によって形成されうる、中央部分106の対向するエッジ206、208における望ましくない残留応力、微少亀裂、又は他の不規則性を最小限に抑えつつ又は排除しつつ、中央部分106から第1及び第2のエッジ102及び104を効果的に分離することができる。さらには、切断ゾーン140内における曲げ目標セグメント144の曲げ配向に起因して、可撓性ガラスリボン46は、分離プロセスの間に、第1及び第2のエッジ102及び104の正確な分離を促進するように位置づけられ、かつ安定化され、それによって、機械的に誘起される応力の幾つかの形成を最小限に抑えるのに役立ちうる。また、さらには、上向きの凸状の支持面の凸状の表面トポグラフィに起因して、エッジトリム210及び212の連続的なストリップは、中央部分106から離れる方向に速やかに移動し、それによって、第1及び第2のエッジ102及び104が、その後に、中央部分106の第1及び第2の幅広面及び/又は高品質の対向エッジ206、208に係合する(及び、したがって損傷する)可能性を低減しうる。中央部分106は、次に、巻取装置を使用してロール270に巻き取られうる。幾つかの実施形態では、ロール上に巻き取る代わりに、エッジトリム210、212が廃棄のために適切な領域(例えばカレットシュート)に搬送されてもよい。
【0060】
図5を参照すると、理解できるように、さまざまなプロセス(例えば、成形、エッジの分離及びローリング)は、可撓性ガラスリボン46がガラス加工装置100を通って移動する際に、可撓性ガラスリボン46に不安定性、摂動、振動、及び一時的な影響を取り込みうる。不安定性、摂動、振動、及び一時的な影響(亀裂先端の伝播に悪影響を及ぼしうる、機械的に誘起される応力を含む)の上流及び/又は下流における影響を低減するため、ガラス加工装置は、各ゾーンが1つ以上の異なるプロセスに対応する、複数の機械的に隔離された加工ゾーンに分割されうる。概略的に示された例証される例では、加工ゾーンAは、可撓性ガラスリボン成形プロセスを含み、加工ゾーンBは、可撓性ガラスリボン切断プロセスを含み(切断ゾーン140)、加工ゾーンCは、可撓性ガラスリボン巻き取りプロセスを含み、ここで、加工ゾーン内のプロセスは、先に説明したプロセスのいずれかに類似しうる。例えば、リボン成形プロセスは、上述のリボン延伸プロセスを含んでよく、あるいは、フロート成形プロセスを含んでもよい。
【0061】
バッファゾーンB2
1は、加工ゾーンA及びB間のプロセスの隔離のために、加工ゾーンAと加工ゾーンBの間に設けられうる。バッファゾーンB2
1内では、可撓性ガラスリボン46は、フリーループ215の状態で保持されてよく、それぞれ入口及び出口位置217及び219間に懸垂線となって垂れ下がりうる。例えば、位置217及び219は、例えば、複数のカレットシュート及び/又はループアウト緩和デバイスの使用を可能にするために、約1.5メートル〜約7.5メートル離間されていてよい。これらの2つの位置217、219の間では、可撓性ガラスリボン46は、しっかりと引っ張られているのではなく、自重によって垂れ下がる。例えば、可撓性ガラスリボン46における張力は、可撓性ガラスリボン46の重量によって決定され、フリーループB2
1内において、約0.002N/mm〜約0.02N/mm(0.01pli〜約0.1pli)など、約0.02N/mm(約0.1重量ポンド毎平方インチ(「pli」))以下でありうる。
【0062】
フリーループの形状は、バッファゾーン内の引張力及び重力の量に応じて自己調整することができる。フリーループ215は、該フリーループの形状を調整することによって、可撓性ガラスリボン46を多少なりとも収容することができる。バッファゾーンB2
1は、加工ゾーンA及びB間の誤差のアキュムレータとしての機能を果たしうる。バッファゾーンB2
1は、速度に起因する経路の長さの差異、歪みの不整合に起因するねじれ又は形状のばらつき、及び機械の位置ずれ誤差などの誤差を吸収することができる。幾つかの実施形態では、予め選択されたループの高さを維持するために、超音波又は光学センサなどのループセンサ247(
図4参照)が設けられうる。幾つかの実施形態では、可撓性ガラスリボン46内の張力を測定するために、張力センサ(例えば、歪みゲージ)が設けられうる。幾つかの実施形態では、位置217、219を提供する駆動するローラは、可撓性ガラスリボン46内の張力を測定するために用いられる、直列型のトルク変換器を有しうる。センサは、情報に基づいて駆動されるローラの速度及び/又は張力を調整可能なグローバル制御デバイス70に、リアルタイム情報を供給することができる。
【0063】
加工ゾーンB及びCの間のプロセスの隔離のため、別のバッファゾーンB2
2が加工ゾーンBと加工ゾーンCの間に設けられてもよい。バッファゾーンB2
2内では、可撓性ガラスリボン46は、フリーループ221の状態で保持されてよく、入口及び出口位置223及び225間に懸垂線となって垂れ下がりうる。例えば、位置223及び225は、例えば、複数のカレットシュート、及び/又はループアウト緩和デバイスの使用を可能にするために、約4メートル〜約12メートル離間されていてよい。これら2つの位置223及び225の間では、可撓性ガラスリボン46は、しっかりと引っ張られているのではなく、侍従によって垂れ下がる。例えば、可撓性ガラスリボン46における張力は、可撓性ガラスリボン46の重量によって決定され、フリーループ221内において約0.002N/mm〜約0.02N/mm(0.01pli〜約0.1pli)など、約0.02N/mm(約0.1pli)以下でありうる。
【0064】
フリーループ221の形状は、バッファゾーンB2
2内の引張力及び重力の量に応じて自己調整することができる。フリーループ221は、該フリーループの形状を調整することによって、可撓性ガラスリボン46を多少なりとも収容することができる。バッファゾーンB2
2は、加工ゾーンB及びC間の誤差のアキュムレータとしての機能を果たしうる。バッファゾーンB2
2は、速度に起因する経路の長さの差異、歪みの不整合に起因するねじれ又は形状のばらつき、及び機械の位置ずれ誤差などの誤差を吸収することができる。幾つかの実施形態では、予め選択されたループの高さを維持するために、超音波又は光学センサなどのループセンサ266(
図4参照)が設けられうる。幾つかの実施形態では、可撓性ガラスリボン46内の張力を測定するために、張力センサ(例えば、歪みゲージ)が設けられうる。センサは、情報に基づいて入口及び出口位置を提供する駆動されるローラの速度及び/又は張力を調整可能なグローバル制御デバイス70に、リアルタイム情報を供給することができる。
【0065】
図6を参照すると、切断ゾーン140内では、駆動ローラ対272a272b、274a274b、及び276a276b(例えば、ピンチ駆動ローラ)が、可撓性ガラスリボン46の張力及び位置の制御に用いられうる。一例として、駆動ローラ対272a、272bは切断ゾーン140の上流に位置してよく、駆動ローラ対274a、274b及び276a、276bは、切断ゾーン140の下流に位置していてよい。幾つかの実施形態では、駆動ローラ対274a、274bは、ガラスリボンのエッジ102、104に係合するのに対し、駆動ローラ対276a、276bは、ガラスリボンの中央部分106に係合する。グローバル制御デバイス70(
図1)は、駆動ローラ対272a、272b、274a、274b、及び276a、276bの動作を制御して、切断ゾーン140を通る可撓性ガラスリボン46の速度、張力及び位置を制御しうる。ベルトシステム又は他の種類のローラシステムなど、駆動ローラ以外の安定化デバイスを用いてもよい。
【0066】
可撓性ガラスリボン46を、矢印290の方向に移動する際に安定化させて、そうでなければ亀裂先端に応力変動を生じさせるであろう機械的摂動を減衰するために、高剛性の空気軸受アセンブリ280及び282(その一方の282が、例として
図7にクローズアップされているが、他方も同様の構造を有する)が、切断ゾーン140の両側に設けられてもよい。本明細書で用いられる場合、用語「高剛性の空気軸受」とは、約0.01MPa/mm〜約0.1MPa/mmなど、少なくとも約0.01MPa/mmの剛性を有する空気軸受を指す。
図7を参照すると、空気軸受アセンブリ280及び282は、任意の適切な寸法のもの(例えば、8インチ(約20cm)×24インチ(約61cm)、亀裂先端の両側に4インチ(10cm)、亀裂先端の上流及び下流に12インチ(約30.48cm))であってよく、比較的高い空隙及び低い空気消費量においてさえも可撓性ガラスリボンの動力学を垂直方向に安定化可能な高剛性点を生成するために、真空によって予め負荷された、高圧領域の生成に集合的に用いられる、複数の空気軸受284、288、292及び294の形態でありうる。空気軸受292及び294は、中央部分106から可撓性ガラスリボン46の第1及び第2のエッジ102及び104の除去を促進する幾何学形状を有する。軸受アセンブリ282の実施形態では、空気軸受292は、空気軸受294の上面300を有する上流端298において同一平面に(flush)なりうる、傾斜のついた上面296を有し、かつ、上面300の下に延びる下流端302を有し、それによって、切断エッジが中央部分106から下方に分岐する際に切断エッジ102のための搬送経路を提供する。軸受アセンブリ280の実施形態では、空気軸受294は、空気軸受292の上面296を有する上流端298において同一平面になりうる、傾斜のついた上面300を有し、かつ、上面296の下に延びる下流端を有し、それによって、切断エッジが中央部分106から下方に分岐する際に、切断エッジ104のための搬送経路を提供する。切断エッジ102、104の下方向の分岐は、矢印304によって表されるレーザビームの下流に、約2インチ(5cm)以下など、約4インチ(10cm)以下の距離内で生じる。幾つかの実施形態では、切断エッジ102及び104が中央部分106から下方向に分岐する亀裂先端からの距離は、空気軸受292及び294のガス圧を調整することによって微調整されうる。局所的ピンチローラシステム及び/又はベルトシステムは、機械的応力変動を引き起こす、切断ゾーンにおける可撓性ガラスリボン46の機械的摂動を最小限に抑えるために用いられうる。下方向に分岐するように説明されているが、代わりに、軸受アセンブリ280、282(空気軸受292及び294の傾斜のついた表面を含む)は、中央部分106の移動計画から離れる方向に切断エッジ102、104を上方向に分岐するように構成されてもよい。
【0067】
これより
図8〜11を参照すると、切断ゾーン140に、可撓性ガラスリボン46のため、特に極薄のガラスウェブのための平坦ではない凸状の搬送経路を設けることが望ましい場合があることが発見された。亀裂先端において機械的に誘起される応力を低減し、それによって熱的に誘起される応力によって制御された方式で亀裂を伝播可能にし、結果的に望ましい強度を有するエッジを得るためには、搬送経路の特定の構成が望ましいことも判明した。
【0068】
図9を参照すると、切断ゾーン308を通る平坦な搬送経路に沿って搬送される際に、可撓性ガラスウェブ306の形状に何が起こるかを示す、誇張された図が示されている。上述したように、残留応力は、ガラスウェブ306が形成されたときからその内部に蓄積されうる。これらの残留応力の一部は、亀裂がガラスウェブを通じて伝播されるときに解放されて、2つの部分へと分離される。残留応力が解放される際に、
図9に模式的に示すように、残留応力によって、ガラスウェブに座屈を生じ、他の非平面的構成をとる傾向がある。代替的に、又は加えて、ある程度非平面的な形状を有するガラスウェブを平坦化しようとする試みは、同様に機械的変形を誘起するかもしれず、ガラスリボンを2つの部分へと切断する際に応力を生じうる。いずれの場合にも、平坦な支持体は、残留応力が解放される際にガラスウェブを拘束せず、それによって、ガラスウェブの一部分は、該ウェブの一部分の機械的運動に由来して亀裂先端に応力を誘起する、制御されていない構成をとる。また、亀裂先端310におけるこれらの機械的に誘起される応力は、亀裂伝播のロバスト性及びエッジ品質を低下させうる。したがって、ガラスリボンにある程度の剛性を誘起するために、ある程度の曲率を有する支持体を含むことは有益である。曲率によって誘起された剛性は、亀裂先端に機械的に誘起される応力を生じうる、形状の制御されていない変化に耐えるのに役立つ。概して、支持体の曲率半径がより小さくなると、誘起される剛性がより大きくなり、かつ、例えばガラスが分離される際の残留応力の解放に由来する形状変化に耐えるリボンの能力が向上する。
【0069】
一方では、しかしながら、きつ過ぎる半径におけるガラスリボンの曲げもまた、各部分の剛性の差異に起因して、特にガラスリボンの品質領域からビード部分を分離するときに、悪影響を与えうる。より詳細には、ビード部分は、ガラスリボンの品質領域よりもはるかに大きい厚さ(及び、したがって剛性)を有する。したがって、より厚いビード部分がより薄い品質部分から分離され、分離点がきつ過ぎる曲率半径を有する支持体上に位置している場合には、より厚い(より剛性の)ビード部分は、より大きい曲率半径へと真っすぐになりたがる(その剛性に起因して)。より大きい曲率半径の方向へと向かうビード部分のこの機械的運動は、亀裂先端314に応力を再度誘起しうる。ビード部分は、典型的には、その全長に沿って均一ではない(ガラスリボンが形成される際に引っ張るローラによって生じる刻みの変動に起因して)ことから、剛性の差異の量はほぼ予測不可能であり、よって、分離されたビードのより大きい半径への移動を制御しようとするときに、剛性における差異の補償を可能にすることは困難である。例えば、
図11は、72インチ(183cm)の曲率半径にわたる曲げに起因する、可撓性ガラスリボン312のモデル化されたビード転がり変位効果(bead roll displacement effect)(例えば200μmなどの例示的な厚さプロファイルを有し、初期形成からの残留応力を有しない)を誇張された方式で示しており、それによって、ビード部分の機械的運動が、亀裂先端を伝播するために用いられるレーザの所望の熱的に誘起される応力を摂動しうる、亀裂先端314に生成される応力を増加させる。また、より低いエッジ強度は、熱的に誘起される応力が摂動される場合に結果的に生じる。したがって、ビード剛性の影響に起因する亀裂先端における応力を最小限に抑えるためには、支持体の曲率半径は、いくら小さくしてもし過ぎることはない。
【0070】
図10は、切断ゾーンの亀裂先端における可撓性ガラスリボン(200μmの厚さを有する)についてのX軸上の曲率半径Rに対するY軸上のモデル化された応力(亀裂先端における開口応力、すなわち、破壊力学におけるモードIの亀裂分離モード、ここで、開口モードは、亀裂の面に垂直な引張応力を含む)の例示的なプロットを示している。このグラフは、
図9(残留応力)及び
図11(ウェブ、特にビード、剛性)に関して図示された競合効果から結果的に得られる機械的に誘起された応力を示している。見て分かるように、亀裂先端におけるウェブ上部及びウェブ底部の応力は、例えば、72インチ(183cm)の曲率半径Rと比較して、250インチ(635cm)の曲率半径Rではかなり低くなる(例えば、それぞれ、△及び◇の点で示されるように、上面における張力下で2.5MPa未満、及び底面における圧縮下で7.5MPa未満)。250インチ(635cm)の開始点から曲率半径が小さくなるにつれて、ウェブの残りの部分から分離した後に真っすぐになりたがるビード(
図11に関して論じられるように、ウェブの残りの部分と比較してより大きいビード剛性の理由から)に由来する、より大きい影響の結果として、応力は増加する傾向にある(
図10における「概念傾向分析」線の▲及び●のデータ点を参照)。他方では、250インチ(635cm)の開始点から支持体の曲率半径が大きくなるにつれて、残留応力の解放に由来する制御されていない曲げによる、より大きい影響の結果として(
図9に関して論じられるように)、応力は増加する傾向にある。よって、250インチ(635cm)及びその近辺に、有利な曲率半径Rが存在する。上記説明は200μm厚の中央部分に関するものであるが、結果は、100μm厚の中央ウェブ部分のものと類似している、すなわち、250インチ(635cm)の半径で誘起された応力は、200μm厚の中央部分のものよりも低かった。
【0071】
図8に戻ると、予め選択された距離にわたって曲率半径Rを有する搬送経路が提供される。例として、例えば少なくとも約100インチ(254cm)、例えば少なくとも約150インチ(391cm)、例えば少なくとも約200インチ(508cm)、例えば250インチ(635cm)又はそれ以上など、約72インチ(183cm)を超える曲率半径Rが、提供されうる。幾つかの実施形態では、曲率半径Rは、例えば約200〜300インチ(約508cm〜約762cm)、例えば約250インチ(約635cm)など、約100インチ〜約400インチ(約254cm〜約1016cm)でありうる。
【0072】
図12を参照すると、可撓性ガラスリボンのための搬送経路Pの概略図が示されている。レーザビーム及び亀裂先端位置は、矢印321で表されている。この例証される例では、搬送経路Pは、切断ゾーン140の上流にある上流部分320と、切断ゾーン140の下流にある下流部分322とを含みうる。幾つかの実施形態では、上流部分320の曲率半径R
1は、下流部分322の曲率半径R
2と同じである。他の実施形態では、それぞれの曲率半径R
1、R
2は異なっていてもよい。切断ゾーン140の曲率半径R
3は、上流部分320の曲率半径R
1及び下流部分322の曲率半径R
2とは異なっていてもよく、それらより大きくてもよい。一例として、曲率半径R
1及びR
2は、少なくとも約72インチ(約183cm)であってよく、曲率半径R
3は、約250インチ(約635cm)など、約200〜約300インチ(約508〜約762cm)でありうる。
【0073】
上記の通り、可撓性ガラスリボン46の中央部分106の搬送経路Pは、中央部分106から分離された、ビード化したエッジ102及び104の搬送経路P’(破線で示される)とは異なっていてもよい(
図8も参照)。例えば、中央部分106の搬送経路Pは、無限曲率半径を有する平坦部分330(半径R
3を有する部分の後に位置する)を含みうるが、エッジ102及び104の搬送経路P’は、このような平坦部分を含まなくてもよい。幾つかの実施形態では、例えば、搬送経路Pは、曲率半径R
1を有する上流部分320、曲率半径R
3を有する切断ゾーン140、平坦部分330(上流部分320の終端から下流部分322の開始まで進行方向に沿って測定して、約4インチの長さ(約10cmの長さ)でありうる)、及び、曲率半径R
2を有する下流部分322を含みうる。中央部分106からのエッジ102及び104の分離はまだ行われていないことから、搬送経路P’は、切断ゾーン140内へと搬送経路Pの上流部分320の後に続く上流部分332を含みうる。ひとたび、エッジ102及び/又は104が中央部分106から分離されると、搬送経路P’は、平坦部分を含まなくてもよく、したがって、それは、例えば半径R
2など、搬送経路Pの下流部分322と同じ半径を有しうるにもかかわらず、搬送経路P’の下流部分334に沿って搬送経路Pから分岐しうる。すなわち、摩擦は損傷を生じる可能性が高いことから、平坦部分330は、経路P’に対して経路Pをシフトさせるために用いられ、それによって、中央部分106の分離されたエッジ及びエッジ102、104が互いに不利に擦れ合わないようにする。
【0074】
幾つかの実施形態では、エッジトリム210、212は、追加的又は代替的な方式(上述のものに関して)で操作されて、中央部分106に対する不利な摩擦を低減することができる。
図17を参照すると、幾つかの実施形態では、エッジトリム210、212は、ローラ1602、1604の周りに配置されたベルト1600を有する、ベルトコンベヤへと誘導される。ローラ1602、1604のうちの1つ以上は、モータ(図示せず)によって駆動されて、ベルト1600の上部を矢印1604の方向に移動させうる。ベルト1600は、廃棄するためにカレットシュート1608内へと矢印1606の方向に通過するまで、エッジトリム210、212を支持し、誘導する。ガラスリボン46が移動している速度に対するベルト1600の駆動速度によって、矢印1612の方向に沿ってエッジトリムの位置を操作することができる。例えば、ベルト1600がガラスリボン46よりも遅く移動している場合、エッジトリム210、212は、
図17に配向が示されるように、下向きかつ左に移動する傾向がある。他方では、ベルト1600がガラスリボン46よりも速く移動している場合には、エッジトリム210、212は、
図17に配向が示されるように、上向きかつ右に移動する傾向がある。このようにして、中央部分106の位置に対してエッジトリムの垂直位置を操作して、エッジ206、208の損傷、及び/又は、ガラスリボンの中央部分106の表面に不利に堆積されうる微粒子を生じうる、エッジトリム210、212と高品質の対向エッジ206、208との間の摩擦を回避することができる。センサ1610を用いてエッジトリム210、212の位置をモニタし、その位置をコントローラにフィードバックすることができ、その後、ベルト1600の移動速度を所望されるように調整してもよい。
【0075】
図13は、X軸上のガラスリボンの中央部分106からウェブエッジ102、104の横方向の分離距離(mm単位)に対するY軸上のモデル化された応力(亀裂先端における開口応力、すなわち、破壊力学におけるモードIの亀裂分離モード、ここで、開口モードは、亀裂の面に垂直な引張応力を含む)の例示的なグラフを示している。上部X軸は、亀裂先端の305mm下流の位置における分離距離についてスケーリングされているのに対し、底部X軸は、亀裂先端の725mm下流に位置する横方向の分離距離についてスケーリングされている。曲線上のデータ点は、X軸スケールの各々における同じ事象に対応している。すなわち、亀裂先端の305mm下流の位置における0.331mmの横方向の分離距離は、亀裂先端の725mm下流の位置における1.2mmの分離距離に対応し、その両方が、亀裂先端における50MPaの応力に対応する。このグラフと
図10のグラフとの比較は、中央部分106から離れる方向へのエッジ102、104の横方向の移動に由来する応力が、支持体の曲率によって誘起された応力を迅速に小さくすることができるが、亀裂先端の制御された伝播のための可能な限り最良の条件を提供するためには両方の応力を制御すべきであることを示している。例として、亀裂先端から305mm下流の位置における0.331mmの距離のエッジ102、104の移動によって誘起された応力は、亀裂先端において50MPaの応力を生成する。また、この50MPaの応力は、
図10に示されるように、支持体の曲率によって生成される応力よりも5〜10倍大きい。したがって、エッジの横方向の分離を、中央部分106からあまり遠くに移動しすぎないように制御することが重要である。他方では、分離が十分でない場合には、エッジは互いに擦れ合って、損傷を生じる。中央部分106に対するエッジ102、104の位置は、例えば、上述の駆動ローラ対などによって、適切に制御されうる。一実施形態によれば、横方向の分離に由来する応力を、
図9〜11に関して論じられたリボンの剛性及び残留応力に由来するものと同程度に、及び、以下に論じられるウェブ張出距離に由来するものと同程度に保つために、亀裂先端の725mm下流の位置における横方向の分離は、有利には、0.2mm以下になるように制御されうる。
図13のプロットは、200μmの中央部分の厚さで生成された。中央ウェブ部分が100μmの厚さを有する場合、応力は、200μm厚の構成のものと同様であるかそれより小さくなる。
【0076】
幾つかの実施形態では、中央部分106に対するエッジ102、104(及び/又はエッジトリム210、212)の横方向(水平方向)位置は、ベルト1600上でエッジトリム210、212の位置を制御することによって制御されうる。
図16を参照すると、ベルト1600は、中央部分106から切断された後、かつ、
図17に関して上述したカレットシュート1608を通じて廃棄される前に、エッジトリム201、212を支持する。ベルト1600は、摩擦力によって、エッジトリム210、212を係合し、保持する。ベルト1600とエッジトリム210、212との間の摩擦係合の理由から、ひとたび、エッジトリムがベルトに接触すると、中央部分106に対してエッジトリム210、212の水平位置が固定される。したがって、ベルト1600と接触する前に、エッジトリム210、212の位置を矢印1614の方向に操作することによって、エッジの横方向の分離を、中央部分106に対して適切な位置になるように調整及び制御することができる。より詳細には、
図16に配向が示されるように、エッジトリム210を上方向及び右に移動することにより、中央部分106に対するエッジトリム210の横方向位置は、より小さい分離を生成するように調整される。他方では、
図16に配向が示されるように、エッジトリム210を下方向及び左に移動することによって、中央部分106に対するエッジトリム210の横方向位置は、より大きい分離を生成するように調整される。ひとたび、エッジトリム210、212がベルト1600に接触し、ベルト1600によって支持されると、エッジトリム210、212とベルト1600との間の摩擦力によって、所望の横方向の分離が保持される。幾つかの実施形態では、横方向の分離を制御するこの方式は、例えば100μm以下など、それが非常に薄いことから、特に、ガラスリボンの厚さを原因として駆動ローラ対での制御が困難な場合、すなわち、ガラスリボンが十分な剛性を欠いている場合には、有利である。
【0077】
図14を参照すると、切断ゾーン140に可撓性ガラスリボン46のための平坦ではない凸状の搬送経路を提供し、ガラスリボンの中央部分からのエッジの横方向の分離を制御することに加えて、張出部340を有する可撓性ガラスリボン46を提供することもまた望ましい場合がある。張出部340は、切断ゾーン140における空気軸受342の最も外側のエッジを距離D
oだけ張り出した部分である。空気軸受342は、
図6及び7に関して上述した280又は282のいずれかと同様の空気軸受アセンブリでありうる。幾つかの実施形態では、空気軸受342は、矢印344の方向に移動可能な外側セクションを含む。よって、距離D
oは、空気軸受の外側セクションの位置を移動することによって調整されうる。ベルト1600に対してエッジトリム210、212の位置を制御することに関して先に記載したものと同様に、横方向の分離を制御するこの方式は、例えば100μm以下など、それが非常に薄いことから、特に、ガラスリボンの厚さを原因として駆動ローラ対での制御が困難な場合、すなわち、ガラスリボンが十分な剛性を欠いている場合には、有利である。
図15は、張出距離に対する可撓性ガラスリボンの上面及び下面における機械的に誘起された応力を示している。見て分かるように、全体的な機械的に誘起される応力(上部及び底部の応力を合わせた)は、張出距離0から張出距離が増加するにつれて低下する傾向にあり(より圧縮されるが、引張とは対照的に、大きさは増す)、約2インチ(約5cm又は50mm)後に比較的急速に増加する。また、張出距離D
oが0では、ウェブ上部の応力は0に近いが、ウェブ底部の応力は20MPa(引張)であることが分かる。理論に縛られることは望まないが、ウェブの底部部分は、ガラスウェブのより薄い中央部分に対して支持され、かつ押し上げられた、より厚いビード部分の作用によって、張力下に置かれうる。したがって、残りのウェブからビード化した部分を分離する場合、0ではない張出距離D
oを有することは有利である。リボンの中央部分から2つの部分を分離する場合、又は、ウェブのエッジにビード化した部分が存在しない他の事例では、張出距離D
oは、あまり重要ではなくなる。しかしながら、ビード化した部分がウェブのエッジに存在する場合、2インチ(5cm又は50mm)前後の張出距離D
oに、機械的に誘起される応力(上部及び底部を合わせた)が最小化される点が存在する。例えば、2インチ(5cm)の張出距離では、可撓性ガラスリボンの亀裂先端における上面は、約5MPa未満の引張応力を有しうると同時に、底面は約10MPa未満の圧縮応力を有しうる。
図14に戻ると、したがって、例えば約1〜約3インチ(約2.5〜約7.5cm、約25〜75mm)、例えば約2インチ(約5cm、約50mm)など、約6インチ(約15cm)未満の張出距離が、有利に用いられ、亀裂先端における機械的に誘起される応力を最小限に抑えるのに役立ちうる。
図15のプロットは、200μmの中央ウェブ部分厚さで生成された。中央ウェブ部分が100μmの厚さを有する場合、応力は、200μmの場合と同様に、同様の張出距離D
oにおいて最小化される。しかしながら、100μmの事例については、応力は、ウェブ張出距離D
oが、最小の事例(約60mmの張り出し)から離れていずれかの方向に移動するにつれて、200μmの事例のものよりも大きいレベルまで増大するように思われる。
【0078】
本明細書に記載される実施形態は、レーザ切断ゾーンにおける機械的に誘起される可撓性ガラスリボン応力のより低いベースラインを提供することができ、したがって、信号を、機械的に誘起される応力に対するレーザによって誘起される応力のノイズ比へと増加させることができる。すなわち、亀裂先端を伝播して中央部分106からエッジ102、104を分離する、レーザによって誘起される応力を有することが望ましい。レーザによって誘起される応力が機械的に誘起される応力によって摂動される場合、亀裂伝播により、より低い強度のエッジが生成する。したがって、亀裂先端を伝播する際に、亀裂先端に作用する機械的に誘起される応力の量を、可能な程度まで最小化することが、望ましい。全体的な可撓性ガラスリボンの安定性の操作(機械的に誘起される応力を最小限に抑えるため)は、可撓性ガラスリボンの中央(製品)部分及びビード化したエッジの位置を制御するさまざまなツールを通じて、提供される。新しく生成されたエッジと、レーザ切断プロセスの下流の可撓性ガラスリボンの中央部分との間の接触を低減又は最小限に抑えることができる、搬送経路の幾何学形状が提供され、それにより、ガラスリボンの所望の中央部分のエッジの強度が高く維持され、これは、亀裂先端における機械的に誘起される応力を最小限に抑える方式で行われる。
【0079】
本発明の上述の実施形態、特に「好ましい」実施形態は、単に本発明のさまざまな原理の明確な理解のために記載される、単なる実施可能例であることを強調しておきたい。本発明の精神及びさまざまな原理から実質的に逸脱することなく、本発明の上述の実施形態に対し、多くの変形及び修正がなされうる。このような修正及び変形はすべて、本開示及び以下の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。
【0080】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0081】
実施形態1
ガラス加工装置を使用して、0.35mm以下の厚さを有する可撓性ガラスリボンを連続的に加工する方法であって、
第1の加工ゾーン、第2の加工ゾーン、及び第3の加工ゾーンを含む、少なくとも3つの加工ゾーンを含む前記ガラス加工装置を通じて、前記可撓性ガラスリボンを連続的に供給する工程、及び
グローバル制御デバイスを使用して、前記第1の加工ゾーン、第2の加工ゾーン、及び第3の加工ゾーンの各々を通じて、前記可撓性ガラスリボンの供給速度を制御する工程
を含み、
前記第2の加工ゾーンが、約100インチ〜約400インチ(約254cm〜約1016cm)の曲率半径を有する、切断ゾーンを通る前記可撓性ガラスリボンのための搬送経路を有している、
方法。
【0082】
実施形態2
前記可撓性ガラスリボンの上流部分に接続されたエッジトリムの連続的なストリップを形成する前記切断ゾーン内の切断デバイスによって、前記可撓性ガラスリボンが移動する際に前記可撓性ガラスリボンのエッジを分離する工程をさらに含むことを特徴とする、実施形態1に記載の方法。
【0083】
実施形態3
前記エッジトリムが、前記可撓性ガラスリボンの中央部分の前記搬送経路とは異なる搬送経路を有していることを特徴とする、実施形態2に記載の方法。
【0084】
実施形態4
前記搬送経路が、前記切断ゾーンの上流にある上流部分であって、前記切断ゾーンの曲率半径とは異なる曲率半径を含む上流部分を有することを特徴とする、実施形態1又は2に記載の方法。
【0085】
実施形態5
前記搬送経路が、前記切断ゾーンの下流にある下流部分であって、前記切断ゾーンの曲率半径とは異なる曲率半径を含む下流部分を有することを特徴とする、実施形態1、2、又は4のいずれかに記載の方法。
【0086】
実施形態6
少なくとも1つの駆動ローラ対を使用して、前記切断ゾーン内で前記可撓性ガラスリボンを安定化させる工程をさらに含むことを特徴とする、実施形態1、2、4、又は5のいずれかに記載の方法。
【0087】
実施形態7
前記可撓性ガラスリボンが、前記切断ゾーンに、最も外側の空気軸受を越えて自由に延在する張出部をさらに含むことを特徴とする、実施形態1、2、又は4〜6のいずれかに記載の方法。
【0088】
実施形態8
前記張出部が、前記切断ゾーンに、前記最も外側の空気軸受を越えて約1インチ〜約4インチ(約2.54cm〜約10.16cm)の距離で自由に延在することを特徴とする、実施形態7に記載の方法。
【0089】
実施形態9
前記亀裂先端の725mm下流の位置に、0.2mm以下のウェブ部分間の横方向の分離を維持するように、前記少なくとも1つの駆動ローラ対を制御する工程をさらに含むことを特徴とする、実施形態6に記載の方法。
【0090】
実施形態10
0.35mm以下の厚さを有する可撓性ガラスリボンを加工するためのガラス加工装置であって、
第1の加工ゾーン内の成形装置であって、前記第1の加工ゾーン内で前記可撓性ガラスリボンを成形するように構成されている、成形装置と、
第2の加工ゾーンの切断ゾーン内のエッジトリミング装置であって、前記可撓性ガラスリボンが移動する際に前記可撓性ガラスリボンのエッジを分離するように構成された切断デバイスを含む、エッジトリミング装置と
を備えており、
前記第2の加工ゾーンが、約100インチ〜約400インチ(約254cm〜約1016cm)の曲率半径を有する、前記切断ゾーンを通る前記可撓性ガラスリボンのための搬送経路を有している、
ガラス加工装置。
【0091】
実施形態11
前記可撓性ガラスリボンの中央部分が前記搬送経路を有し、前記エッジトリムの連続的なストリップが前記エッジトリミング装置の下流に異なる搬送経路を有していることを特徴とする、実施形態10に記載のガラス加工装置。
【0092】
実施形態12
前記搬送経路が、前記切断ゾーンの上流にある上流部分であって、前記切断ゾーンを通る前記搬送経路の曲率半径とは異なる曲率半径を含む上流部分を含むことを特徴とする、実施形態10又は11に記載のガラス加工装置。
【0093】
実施形態13
前記搬送経路が、前記切断ゾーンの下流にある下流部分であって、前記切断ゾーンを通る前記搬送経路の前記曲率半径とは異なる曲率半径を含む下流部分を含むことを特徴とする、実施形態10〜12のいずれかに記載のガラス加工装置。
【0094】
実施形態14
前記切断ゾーン内に前記可撓性ガラスリボンを安定化するように構成された少なくとも1つの駆動ローラ対をさらに含むことを特徴とする、実施形態10〜13のいずれかに記載のガラス加工装置。
【0095】
実施形態15
前記少なくとも1つの駆動ローラ対が、前記亀裂先端の725mm下流の位置に、0.2mm以下のウェブ部分間の横方向の分離を維持するように構成されていることを特徴とする、実施形態14に記載のガラス加工装置。