(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記測定ガス面が板状の上記固体電解質体の第1主面であり、上記基準ガス面が上記固体電解質体における上記第1主面とは反対側の第2主面である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアンモニア検出装置。
上記アンモニア検出装置は、上記検知電極と上記基準電極との間の電位差を検出する電位差検出部(51)と、該電位差検出部における電位差に基づいて上記測定ガスにおけるアンモニア濃度を算出する濃度算出部(52)とをさらに備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアンモニア検出装置。
上記アンモニア検出装置は、通電によって発熱する発熱体(41)を有するヒータ部(4)と、上記検知電極の温度が400℃〜750℃の範囲内になるように、上記発熱体への通電量を制御する通電制御部(58)とをさらに備える、請求項1〜7のいずれか1項に記載のアンモニア検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態1)
アンモニア検出装置に係る実施形態について、
図1〜
図8を参照して説明する。
図1及び
図2に例示されるようにアンモニア検出装置1は、検出素子2を備え、検出素子2は、検知電極21、基準電極22、固体電解質体3、ヒータ部4などの積層体から構成される。以下の説明においては、検出素子2の積層方向をX方向、X方向と直交する検出素子2の長手方向をY方向とし、X方向及びY方向と直交する検出素子2の幅方向をZ方向とする。
【0017】
固体電解質体3は、測定ガス面31と基準ガス面32とを有する。一方、測定ガス面31は測定ガスG
1を接触する面である。基準ガス面32は基準ガスG
0と接触する面である。測定ガスG
1は例えば排ガスであり、基準ガスG
0は例えば大気である。以下において、測定ガスと排ガス、基準ガスと大気とをそれぞれ同じ符号で表すが、測定ガス及び基準ガスは、それぞれ排ガス、大気に限定されない。例えば、測定ガスG
1及び基準ガスG
0のいずれもが排ガスであってもよい。また、測定ガス面31及び基準ガス面32とは、
図1及び
図2に例示されるように互いに異なる面であってもよいが、例えば同一平面のように連続する面であってよい。
【0018】
固体電解質体3は、例えば酸素イオン伝導性の固体電解質からなる。このような固体電解質としては、特に限定されないが、例えばイットリア安定化ジルコニア(以下、YSZと称する)が挙げられる。
【0019】
固体電解質体3の形状は特に限定されるわけではないが、板状、棒状などが挙げられる。
図1及び
図2に例示されるように平板状の固体電解質体3は、表面に、第1主面31aと第2主面32aとを有する。第1主面31aと第2主面32aとは、固体電解質体3における相互に反対側の表面に位置する。
【0020】
図1及び
図2においては、第1主面31aが測定ガス面31であり、第2主面32aが基準ガス面32である。なお、構成の図示を省略するが、検知電極21と基準電極22との双方を第1主面31aのような検出素子2の表面に形成することも可能である。
【0021】
好ましくは、
図1及び
図2に例示されるように、検知電極21が形成された測定ガス面31が第1主面31aであり、基準電極22が形成された基準ガス面32は、第1主面31aとは反対側に位置する第2主面32aであることが好ましい。この場合には、検知電極21と基準電極22とをそれぞれ異なるガス雰囲気に容易に晒すことができる。その結果、基準電位が安定化し、検知電極21におけるアンモニアの検出精度の更なる向上が可能になる。
【0022】
測定ガス面31は、検出素子2の外表面となっており、検出素子2の外部に露出している。一方、基準ガス面32は、検出素子2の内表面となっており、基準ガス室325に面している。基準ガス室325は、固体電解質体3と絶縁性基体29とに囲まれた領域である。
【0023】
検知電極21は、測定ガス面31におけるX軸方向の先端18側に設けられている。先端18は、例えば排ガス管内に挿入される側であり、そのX軸方向の反対側が基端19である。
【0024】
検知電極21は、実質的にPdからなる貴金属211を含有する。このことは、貴金属211が、Pdの他に本発明の効果に悪影響を及ぼさない金属や不可避的不純物の含有を許容することを意味する。貴金属211に許容される他の金属及び不可避的不純物の含有量は、例えば5質量%以下であり、本発明の効果がより十分に得られるという観点からは、1質量%以下が好ましく、貴金属211はPdと不可避的不純物からなることがより好ましい。
【0025】
検知電極21の貴金属211の主成分はPdである。貴金属211は、Pdのみから構成することができ、Pd以外にAu等を含有していてもよい。検知電極21の貴金属211の主成分がPdであることにより、検知電極21の耐熱性が向上する。また、この場合には、アンモニアの検出精度がより向上する。これは、検知電極21におけるアンモニアの消費がより抑制されると共に、検知電極21におけるNOxの感度がより低下するためであると考えられる。
【0026】
Pdが貴金属211の主成分であることは、貴金属211中のPdの含有率が最も多いことを意味する。耐熱性及び検出精度がより向上するという観点から、貴金属211におけるPdの含有量は、50質量%〜100質量%とすることができる。また、Pdの含有量は、50質量%以上100質量%未満とし、貴金属211の残りの成分をAu等として、検知電極21の貴金属211を、Pdと他の貴金属との合金とすることもできる。
【0027】
検知電極21の成分分析は、例えば電子線マイクロアナライザ分析(以下、EPMA分析と称する)、X線光電子分光分析(以下、XPS分析と称する)により測定される。
【0028】
焼成後の貴金属凝集による電極緻密化抑制という観点から、貴金属211の平均粒子径は0.2μm以上であることが好ましい。この効果をより高めるという観点から、貴金属211の平均粒子径は、0.5μm以上であることがより好ましく、0.7μm以上であることがさらに好ましい。一方、電極比表面積を大きくし、ガス反応点を増やし感度を向上させるという観点からは、貴金属211の平均粒子径は5μm以下であることが好ましい。この効果をより高めるという観点から、貴金属211の平均粒子径は、2μm以下であることがより好ましく、1.5μm以下であることがさらに好ましい。
【0029】
検知電極21における貴金属211の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた画層解析により測定される。具体的には、三谷商事(株)の画像処理ソフト「WinROOF」を用いて、ラインインターセプト法に基づいて、検知電極21のSEM画像における貴金属合金粒子の粒径の平均(つまり、平均粒子径)を算出する。すなわち、倍率5000倍の走査型電子顕微鏡(つまり、SEM)写真の画像を取得し、さらにその画像上に複数の直線(つまり、測定線)を描き、貴金属粒子を横切る直線部分の長さの平均値を算出する。このとき、画像端面に達した測定線は含まないものとする。平均値の算出にあたっては、1つのSEM画像あたりに100本の測定線を描き、測定線が合計で1000本以上となるように、異なる部位のSEM画像を解析する。なお、検知電極21がアルミナを含有する場合においても同様にして測定が可能である。
【0030】
NO
2が、検知電極21と固体電解質体3とによる三相界面314Aに到達する前にNOに分解されやすくするという観点から、検知電極21の厚みは1μm以上であることが好ましい。この効果をより高めるという観点から、検知電極21の厚みは、5μm以上であることがより好ましく、7μm以上であることがさらに好ましい。一方、検知電極21の三相界面314Aに到達する前におけるアンモニアの酸化による消費を抑制してアンモニアに対する検出精度をより向上させるという観点からは、検知電極21の厚みは50μm以下であることが好ましい。アンモニアの酸化による消費をさらに抑制するという観点から、検知電極21の厚みは、30μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。
【0031】
図3に例示されるように、本形態の検知電極21は、貴金属211とアルミナ213とを含有する。検知電極21は、その他に、固体電解質体3との共材となる固体電解質成分212を含有していてもよい。この固体電解質成分212は、固体電解質体3を構成する成分と同様のものとすることができる。検知電極21が固体電解質成分212を含有する場合には、検知電極21内においても固体電解質成分212と貴金属211と気相との三相界面314Bが生成される。これにより、検知電極21におけるアンモニアに対する反応性を高めることができる。つまり、固体電解質体3と検知電極21中の貴金属211と気相との三相界面314Aだけでなく、検知電極21中に含まれる固体電解質成分212と貴金属211と気相との三相界面314Bにおいてもアンモニアが反応する。その結果、アンモニア感度が向上する。なお、
図3及び
図4において、気相は、アンモニア、窒素、水、二酸化窒素、一酸化窒素、酸素等を含み、検知電極21の上方(具体的には、
図3及び
図4の紙面における上方)の空間で表されている。また、検知電極21内に形成された気孔も気相となる。
【0032】
また、検知電極21の表面においては、貴金属211とアルミナ213とが存在することにより、気相中のNO
2がNOに解離し易くなる。貴金属211の主成分がPdであることにより、検出素子2におけるNOxに対する感度は、NO
2に対する感度に比べてNOに対する感度が低い。そのため、検出素子2のアンモニアに対する選択性を維持することができる。
【0033】
検知電極21が固体電解質成分212を含有しない場合には、
図4に例示されるように、アンモニアは、固体電解質体3と検知電極21(具体的には、貴金属211)と気相との三相界面314Aで反応する。なお、アンモニアの一部は、三相界面314Aに到達する前に反応する可能性もある。一方、NO
2等のNOxは三相界面314Aに到達する前の気相中で解離しやすくなる。その結果、アンモニアに対する選択性が向上する。選択性の向上は、後述の混成電位式において顕著になる傾向がある。検知電極21がアルミナを含有する場合には、検知電極21の表面に三相界面がほとんど存在せず、NO
2の解離が混成電位に寄与しにくくなると考えられる。つまり、混成電位式のアンモニア検出装置1においては、検知電極21がアルミナを含有することにより、NO
2の解離が混成電位に与える影響が緩和される。その結果、アンモニアに対する選択性がより向上して検出精度がより向上する。
【0034】
アンモニアに対する選択性をより向上させるという観点から、検知電極21におけるアルミナ213の含有量は固体電解質成分212よりも多いことが好ましい。同様の観点から、検知電極21における固体電解質成分212の含有量は、アルミナ213の含有量よりも少なく、50質量%以下であることがより好ましく、検知電極21は実質的に固体電解質成分212を含有していないことがさらに好ましい。検知電極21が実質的に固体電解質成分212を含有していないとは、検知電極21の内部に例えば意図的に添加された固体電解質成分212を含まないことを意味し、検知電極21と固体電解質体3との界面において両者の成分が入り混じった領域等は許容される。
【0035】
検知電極21におけるアルミナの含有量は、5〜50質量%とすることができる。アルミナの含有量が5質量%未満の場合には、検知電極21においてNO
2をNOに分解する効果が得られにくくなる。一方、アルミナの含有量が50質量%超過の場合には、アンモニアに対する検知電極21の感度が低くなるおそれがある。
【0036】
検知電極21の表面には図示しない保護層を配置して、保護層により検知電極21を覆ってもよい。この場合には、排ガスG
1中の被毒物質や飛来物等から検知電極21を保護することができる。保護層は、例えば、ガス透過性のセラミック多孔体にて構成することができる。この場合には、排ガスG
1が速やかに検知電極21に到達するように、セラミック多孔体の気孔率や気孔径を調整することが望ましい。
【0037】
基準電極22は、基準ガス面32に形成されており、固体電解質体3を挟んで検知電極21と反対側に設けられている。つまり、基準電極22と検知電極21とは固体電解質体3を挟んで相互に対向する位置に形成されている。基準電極22は基準ガス室325内に形成されている。
【0038】
基準電極22はPt等の貴金属によって形成される。基準電極22はさらに固体電解質成分を含有することができる。固体電解質成分としては、固体電解質体3を構成する成分と同様のものとすることができる。
【0039】
検出素子2の基準ガス室325側には、ヒータ部4が設けられている。ヒータ部4は、基準ガス室325を形成する絶縁性基体29に発熱体41が埋設されて、検出素子2と一体的に形成される。
【0040】
発熱体41は、図示しない外部電源から電力供給されて通電により発熱し、検出素子2を、アンモニア検出に適した温度に加熱する。絶縁性基体29は、アルミナ等の絶縁性セラミックスからなる。未焼成の複数のセラミックス板の間に、発熱体41を挟んで積層し、さらに固体電解質体3を積層して焼成することにより、ヒータ部4を内蔵する検出素子2を製造することができる。
【0041】
図1に例示されるように、検出素子2の温度は、通電制御部58によってモニタされ、アンモニア検出時に所定の作動温度(以下、定常作動温度)となるように制御される。本形態のアンモニア検出装置1では、検知電極21の温度が400℃〜750℃の範囲に制御されることが好ましい。この場合には、検知電極21中の貴金属211によってアンモニアが酸化されて消費されることが抑制される。したがって、アンモニアをより精度よく検出することができる。
【0042】
通電制御部58は、発熱体41の通電量を制御することにより、検出素子2の温度を制御する。検出素子2の温度は、素子構成部材、例えば、固体電解質体3の抵抗(つまり、インピーダンス)や発熱体41の抵抗が温度特性を持つことを利用して、検出することができる。このようにすると、温度検出用素子等を別体で設ける必要がなく、装置構成が簡易になる。通電制御部58は、素子温度の推定値に基づいてヒータ部4による加熱を制御する。
【0043】
アンモニア検出装置1は、検出素子2に、図示しないカバーやハウジング等を取り付けることにより構成される。上記構成のアンモニア検出装置1は、例えば、
図5に例示される排ガス浄化システム100に適用されて、排ガス通路EXにおいてSCR触媒101の下流側に配置される。排ガス通路EXには、パティキュレートフィルタFが配置され、その下流側に、排ガス温度センサ102、尿素水添加弁103、SCR触媒101が順に配置されている。パティキュレートフィルタFは、エンジンEから排出される排ガスに含まれる粒子状物質を捕集する。SCR触媒101は、排ガスに含まれるNOxを、尿素水から生成するアンモニアと反応させて還元浄化する尿素SCRシステムを構成している。
【0044】
アンモニア検出装置1は、例えば、図示しないハウジングにて検出素子2の外周を保持し、排ガス通路EX内に突出する先端18側を通気性のカバー体に収容した状態で、排ガス通路EXの通路壁に取り付けられる。アンモニア検出装置1は、NOxと反応せずにSCR触媒101を通過した排ガスG
1中のアンモニア濃度を検出する。その検出結果は、センサ制御部50(例えば、
図1参照)を含む排ガス浄化システム100の制御装置ECU5に出力され、尿素水の供給量にフィードバックされる。これにより、SCR触媒101におけるNOx浄化反応を効率よく実施することができる。
【0045】
アンモニア検出装置1は混成電位式であることが好ましい。この場合には、アンモニア検出装置1は、アンモニア濃度に応じた混成電位信号を出力する。つまり、混成電位信号を出力する回路510を有する。検出素子2は、混成電位式センサの検出原理に基づいて、検知電極21と基準電極22との例えば電位差Vに応じた混成電位信号を出力することができる。検知電極21では、固体電解質体3との界面において以下の2つの電気化学的反応、すなわち、検出しようとするアンモニアが関与する電気化学的酸化反応(1)と、酸素が関与する電気化学的還元反応(2)が同時に進行する。基準電極22では、酸素が関与する電気化学的還元反応(2)が進行する。
(1)2NH
3+3O
2-⇔N
2+3H
2O+6e
-
(2)O
2+4e
-⇔2O
2-
【0046】
このとき、検知電極21上において、電気化学的酸化反応(1)による酸化電流と、電気化学的還元反応(2)による還元電流とが釣り合うことで、混成電位が発現する(
図6参照)。すなわち、検知電極21の電位は、これら2つの電気化学的反応による混成電位によって決定され、基準電極22との電位差Vを、センサ出力として取り出すことができる。センサ出力は、随時、センサ制御部50の濃度算出部52に入力され、濃度算出部52においてアンモニア濃度が算出される。なお、センサ出力は電位差であっても、電位差に基づいて流れる電流値であってもよい。つまり、電極間に電流を流して電圧を検出する方式でもよいし、電極間に電圧を印加して電流を検知する方式でもよい。
【0047】
また、車両用のアンモニア検出装置1は、例えば尿素SCRシステムにて生成する排ガスG
1中のアンモニア濃度を検出するために用いられる。この場合には、各ガス成分濃度が変化し易い排ガスG
1中の微量なアンモニア濃度を精度よく検出することが求められる。ところが、例えば限界電流式のアンモニア検出装置1においては、電界印加時に検知電極21でアンモニアが酸化され、ベースラインが変動する傾向がある。その結果、検出すべき微量なアンモニア濃度がベースラインに依存して変動してしまう。そこで、混成電位式のアンモニア検出装置1が検討されている。
【0048】
ところが、Au、PtとAuとの合金等からなる従来構成の検知電極21は、アンモニアに対する酸化活性が高い。その結果、混成電位式のアンモニア検出装置1においても、検知電極21の電極材料自体がアンモニアを酸化し、ベースラインを変動させてしまうおそれがある。
【0049】
本形態の構成の検知電極21は、貴金属211の主成分がPdであるため、アンモニアに対する酸化活性が低い。したがって、検知電極21の電極材料自体がアンモニアを酸化することが抑制されるため、混成電位式のアンモニア検出装置1においてもベースラインの変動が抑制される。したがって、混成電位式においても精度よくアンモニア濃度を検出することができる。
【0050】
アンモニア検出装置1は、電位差検出部51を有することが好ましい。この場合には、電位差検出部51によって混成電位を検出することができる。電位差検出部51は、検知電極21と基準電極22との間の電位差を検出する。また、アンモニア検出装置1は、濃度算出部52を備えることができる。濃度算出部52は、電位差検出部51において検出された電位差に基づいて測定ガスG
1中のアンモニア濃度を算出する。
【0051】
本形態のアンモニア検出装置1においては、検知電極21が貴金属211としてのPdを50質量%以上含有する。このような貴金属211は、融点が高く、例えば1400℃という高温環境下においても電極性能を維持することができる。
【0052】
したがって、アンモニア検出装置1は、その製造時に、検知電極21と、他部材とを一体焼成により形成することができる。他部材は、例えば、基準電極22、固体電解質体3、ヒータ部4、絶縁性基体29などである。これにより、低コストでのアンモニア検出装置1の製造が可能になる。また、検知電極21からの電極成分の蒸散等も抑制され、検知電極21の耐熱性が高い。つまり、アンモニア検出装置1は、高温環境下における耐久性に優れる。
【0053】
また、検知電極21においては、排ガスG
1中のアンモニア濃度を精度よく検出できる程度にアンモニアとの反応性が維持されつつ、アンモニアに対する例えば過度な酸化による消費は抑制される。その結果、アンモニア検出装置1は、検知電極21におけるアンモニアの消費を抑制しつつアンモニアを検出できるため、アンモニア濃度を精度よく検出することができる。
【0054】
また、アンモニア濃度を精度よく検出することができる理由は、次のようにも考えられる。すなわち、検知電極21が、酸素イオンの伝導性を有しないアルミナを含有することにより、NO
2が検知電極21の表面及び内部においてNOに分解されやすくなる。そして、NO
2が、検知電極21と固体電解質体3との三相界面314Aに到達しにくくなり、この三相界面314Aには、NO
2の分解によって生じたNOが到達することになる。そして、検知電極21がPdを50質量%以上含有することにより、アンモニアに対する感度を高くするとともに、NOに対する感度を低くすることができる。これにより、アンモニア検出装置1は、NOx等が共存する環境下においてもアンモニア濃度を精度よく検出することができる。
【0055】
(実験例1)
本例は、貴金属電極の性能を比較評価する例である。まず、Pd、Rh、Au、Ir、Ptからなる各貴金属電極を用いて簡易素子20を作製し、そのアンモニアに対する検出性能を比較評価する。なお、本実験例以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0056】
図7に例示されるように、簡易素子20は、固体電解質体3と、検知電極21と、基準電極22とを有する。固体電解質体3は円板状である。固体電解質体3の表面には、検知電極21と基準電極22とが、固体電解質体3を挟んでそれぞれ対向する位置関係に形成されている。
【0057】
固体電解質体3は、YSZからなる。検知電極21は、Pd、Rh、Au、Ir、又はPtからなる貴金属と、YSZとからなる。基準電極22は、PtとYSZとからなる。
【0058】
検知電極21及び基準電極22には、リード線201a、201bが溶接された集電体202a、202bがそれぞれ取り付けられている。リード線201a、201bはPt線からなり、集電体202a、202bはPt網からなる。
【0059】
簡易素子20の作製にあたっては、まず、固体電解質体3の両面に、検知電極21及び基準電極22用の電極材料をそれぞれスクリーン印刷する。その後、電極材料を焼成することにより、検知電極21及び基準電極22を固体電解質体3にそれぞれ形成した。次いで、検知電極21及び基準電極22にリード線201a、201bが溶接された集電体202a、202bをそれぞれ取り付けた。
【0060】
評価には、
図7に例示される評価装置を用いる。評価装置の作製にあたっては、まず、簡易素子20の固体電解質体3の検知電極21の形成面及び基準電極22の形成面にそれぞれキャップ203a、203bを取り付けて、測定ガス室315、基準ガス室325を形成した。検知電極21側のキャップ203aには、測定ガスG
1を流すガス管204aが挿入されている。一方、基準電極22側のキャップ203bには、基準ガスG
0を流すガス管204bが挿入されている。リード線201a、201bは、外部の電位差検出部51に接続されており、電位差検出部51によって、検知電極21と基準電極22との電位差が読み取られる。
【0061】
評価にあたっては、ガス管204a、204bにそれぞれ排ガスG
1、大気G
0を流し、検知電極21と基準電極22との間の電位を測定した。ガス温度は450℃である。排ガスG
1は、ベースとなる窒素ガスに対して、O
2を5体積%含むと共に、測定対象ガスを含まない場合と、100体積ppm含む場合と、又は200体積ppm含む場合とがある。ガス流量は300ml/minである。測定対象ガスは、NH
3、NO、又はNO
2である。
【0062】
各貴金属を検知電極21として用いた場合の各測定ガスG
1に対する感度を
図8〜
図12に示す。
図8〜
図12の縦軸は、検知電極21の電位と、ベース電位としての基準電極22の差を示し、この差が大きいほど感度が高いことを意味する。NO感度を示す
図9及び
図10、及びNO
2感度を示す
図11及び
図12では、比較のためにAuの結果を併記してある。
【0063】
図8より知られるように、Pdは、アンモニアに対する感度が他の貴金属に比べて十分高い。一方、
図9〜
図12より知られるように、Pdは、NO、NO
2に対する感度がAuよりも低い。特に、PdのNO
2に対する感度は、Auや他の貴金属に比べて十分に低い。
【0064】
これに対し、Pt、Rh、Irは、Auよりもアンモニアに対する感度が大きく低下しており、特に低濃度のアンモニアに対してはさらに感度の低下が顕著になっている。Ptは、NO
2感度が他の貴金属に比べて特に高い。Rhは、NO、NO
2に対する感度が低いが、アンモニアに対する感度も非常に低い。Irは、NO、NO
2に対する感度が高い。
【0065】
このように、Pdは、アンモニアに対する感度が十分に高いが、NO、NO
2に対する感度が他の貴金属に比べて十分に低い。つまり、Pdはアンモニアに対する選択性に優れており、アンモニア検出装置1の検知電極21に好適であることがわかる。
【0066】
次に、アンモニアに対する酸化消費の観点から貴金属を検討するために、貴金属のO
2解離吸着エネルギーをシミュレーションにより評価する。O
2解離吸着エネルギーは、O
2の吸着しやすさ、吸着力の強さ等を示す値であり、各貴金属に対する吸着力の強さは、各貴金属からの離れにくさということもできる。なお、O
2は、O原子に解離された状態で貴金属に吸着されるため、O
2の解離吸着エネルギーを指標として用いる。
【0067】
シミュレーションによるO
2解離吸着エネルギーの導出は、ダッソー・システムズ・バイオビア株式会社製の解析ソフトDmol
3を用いて、第一原理計算により行う。使用する関数は、一般勾配近似(GGA)のPBEである。具体的な導出方法は以下の通りである。
【0068】
まず、母材原子219を選定し、
図13に例示されるシミュレーションモデルを構築する。母材原子219は、Au、Pt、Rh、又はPdのいずれかである。これらの母材原子219は、いずれも面心立方格子を安定的に形成する。なお、O
2解離吸着エネルギーの導出は、貴金属合金ではなく単体の貴金属のシミュレーションモデルについて行うため、母材原子という表現は必ずしも正確ではないが、置換元素によって置換されたシミュレーションモデルを後述するためにここでは母材原子という表現を用いている。
【0069】
O
2解離吸着エネルギーの導出にあたって、
図13に例示されるシミュレーションモデルの条件は以下の通りである。
セル数:3×3
層数:3(第2層、第3層固定)
真空層:20Å
表面:fcc(111)面
【0070】
シミュレーションモデルには、
図14に例示されるように、複数の吸着サイトが存在する。
図14において、吸着サイトTは「オン・トップ」と呼ばれ、一配位の直上位置を示す。吸着サイトBは「ブリッジ」と呼ばれ、二配位の橋掛け位置を示す。吸着サイトHは「ホロウ」と呼ばれ、三配位の窪み位置を示す。吸着サイトHにはさらに2つの種類があり、これらをそれぞれ、第1吸着サイトH1、第2吸着サイトH2という。第1吸着サイトH1は、「hcpホロウ」と呼ばれ、下に第2層目を形成する原子が存在する六方最密型のホロウサイトを示す。第2吸着サイトH2は、「fccホロウ」と呼ばれ、下に第2層目を形成する原子が存在しない面心立方型のホロウサイトを示す。
【0071】
シミュレーションによるO
2解離吸着エネルギーは、
図14に例示される各吸着サイトT、B、H1、H2に酸素原子Oを配置した時の自由エネルギーのことである。各吸着サイトT、B、H1、H2におけるエネルギーを算出し、最も大きなエネルギーのものを下記の計算式に用いる。O
2解離吸着エネルギーEoの計算式は下記の式(I)で表され、計算モデルは
図15に例示される。
図15における白丸は、母材原子を表し、ドットを付した丸は酸素原子を表している。
Eo=2×E
2−2×E
1−E
3 ・・・(I)
【0072】
式(I)においてE
1〜E
3は、それぞれ下記のエネルギーを示す。
E
1:母材原子だけでのエネルギー
E
2:母材原子に酸素原子Oを配置したときのエネルギー
E
3:O
2だけでのエネルギー
【0073】
各貴金属のO
2解離吸着エネルギーを
図16に示す。
図16においては、シミュレーションで求めた各貴金属のO
2解離吸着エネルギーと、各貴金属のNH
3感度との相関関係を示す。各貴金属のNH
3感度は、上述の
図8におけるアンモニア濃度100ppmの場合の結果である。
【0074】
図16において、O
2解離吸着エネルギーは、絶対値が大きくなるほど、つまり横軸方向における0から左に向かうほど、酸化力が強いことを意味する。一方、NH
3感度は、絶対値が大きいほど、つまり縦軸方向における0から下に向かうほど感度が高いことを意味する。
【0075】
図16より知られるように、O
2解離吸着エネルギーとNH
3感度とには相関があり、O
2解離吸着エネルギーが低いほどアンモニア感度が高くなる傾向がある。
図16より知られるように、Pd及びAuは、アンモニア感度は高く、かつ酸化力は弱い。一方、Pt及びRhは、アンモニア感度が低く、かつ酸化力が強い。そのため、検知電極21にPt及びRhを用いる場合には、酸化力が強くなり、アンモニアが三相界面314Aで反応する前に酸化、消費され易くなる。つまり、この場合には、電位に寄与しない反応が起こるため、精度よくアンモニアを検出することが困難になる。特に、微量なアンモニア濃度の検出が求められる車両用のアンモニア検出装置1においては、より高い検出精度が求められるため、Pd、Au又はPdとAuの合金が検知電極21としてより効果的である。
【0076】
次に、凝集エネルギーの観点から、AuとPdを検討する。凝集エネルギーは、凝集状態にある原子又はイオンを互いに引き離してばらばらにするために必要なエネルギーである。つまり、蒸散のしやすさ又はしにくさを表す指数ととらえることができる。本例では、AuとPdについて凝集エネルギーを導出する。
【0077】
凝集エネルギーは、上述のシミュレーションによるO
2解離吸着エネルギーと同様に、シミュレーションモデルを構築し、解析ソフトを用いて第一原理計算により導出した。解析ソフトの設定条件は、以下の通りである。
Functiona:GGA PBE
Spin polarization:unrestricted
Core treatment:All electron Relativistic
【0078】
図17(a)には、Au原子のみからなるシミュレーションモデルにおける凝集エネルギーEの計算モデルを示す。つまり、Auの凝集エネルギーE
Aは、Au母材のエネルギーからAu母材を構成するAu原子のエネルギーを減じたエネルギーである。一方、
図17(b)には、Pd原子のみからなるシミュレーションモデルにおける凝集エネルギーEの計算モデルを示す。つまり、Pdの凝集エネルギーE
Bは、Pd母材のエネルギーからPd母材を構成するPd原子のエネルギーを減じたエネルギーである。各凝集エネルギーの結果を
図18に示す。
【0079】
図18より知られるように、Auの凝集エネルギーに比べて、Pdの凝集エネルギーは高い。このことは、Auに比べてPdが蒸散しにくいことを意味している。したがって、高温環境下に曝されても電極性能の低下が抑制されるという観点や、高温での一体焼成が可能になるという観点から、Pdは、アンモニア検出装置1の検知電極21に好適である。
【0080】
(実験例2)
本例は、PdとAuのアンモニアに対する酸化力を比較する例である。本例では、
図19に例示されるように、昇温反応法(TPR)によりPdの酸化力とAuの酸化力とを実際に比較評価する。
【0081】
図19に例示されるように、本例にて使用する評価装置6は、サンプル管61と、サンプル管61内を加熱するヒータ62と、質量分析計63とを備える。質量分析計63は、フーリエ変換赤外分光光度計である。サンプル管61内には、測定対象となる貴金属粉S
Mが充填されている。貴金属粉S
MはPd粉又はAu粉である。
【0082】
評価にあたっては、サンプル管61内に一方向から導入ガスG
2を流し、貴金属粉S
Mを通過させる。導入ガスG
2は、Heに対してNH
3を2000体積ppm、O
2を5000体積ppm含有する。導入ガスG
2の流量は300ml/minである。導入ガスG
2の通過によりサンプル管61内の貴金属粉S
Mでは下記のアンモニアの酸化反応(3)が起こる。
(3)4NH
3+3O
2→2N
2+6H
2O
【0083】
次いで、貴金属粉S
Mを通過した反応ガスG
3を下流に設けられた質量分析計63にて分析する。昇温速度20℃/minでサンプル管61内を加熱したときに質量分析計63にて検出される、AuとPdのそれぞれのガス濃度の結果を
図20及び
図21に示す。
図20及び
図21において酸化開始温度は、NH
3が減り始めた時の温度である。
【0084】
図20及び
図21より知られるように、実験例1のシミュレーションでの結果と同様に、PdはAuに比べて、酸化開始温度が低く、アンモニアに対する酸化力が強い。また、Pdはアンモニアに対する選択性及び感度は良好である。一方で、Auは、アンモニアに対する酸化力が弱い。このことより、PdとAuとを合金化することにより、アンモニアに対する酸化力を抑制しつつ、アンモニアに対する選択性及び感度を良好にできることが分かる。
【0085】
なお、アンモニア検出装置1の検出精度を向上させるためには、検知電極21の三相界面314Aに到達する前におけるアンモニアの酸化を抑制することが好ましい。そのためには、例えば以下(A)〜(C)が有効である。
【0086】
(A)検知電極21の厚みを小さくして例えば1〜20μmの範囲、好ましくは1〜10μmの範囲にする。具体的には、実験例5において後述する。
(B)実施形態1に記載の通り、検知電極21の制御温度を400〜750℃にする。制御温度が400℃未満である場合には、NO
2が分解されないまま三相界面314Aに到達し、検知電極21のNO
2に対する選択性が悪くなる。一方、制御温度が750℃超過である場合には、アンモニアが三相界面314Aに到達する前に酸化し、三相界面314Aでの酸化量が減り、検出素子2のアンモニアの感度が低下する。
(C)実施形態1に記載の通り、貴金属211の平均粒子径を、例えば0.2〜5μmの範囲に調整する。
【0087】
(実験例3)
本例は、アンモニア、NO、NO
2に対する、Pd又はAuを貴金属211とした場合の検知電極21の感度を調べる例である。各気体に対する感度の測定は、実験例1と同様にして行った。ただし、本例においては、各気体が含まれる試験ガス(排ガスG
1)の酸素濃度は10体積%とした。
【0088】
Pd:100質量%からなる検知電極21、Au:100質量%からなる検知電極21について、各気体に対する感度を測定した。その結果を
図22〜
図24に示す。なお、
図22〜
図24における「%」は「質量%」を示す。また、同各図において、ベースとの起電力差とは、検知電極21と基準電極22との電位差のことを示す。
【0089】
図22〜
図24より知られるように、Auは、アンモニアに対する感度には優れるが、NOやNO
2に対しても感度が高い。このことは、アンモニアに対する選択性が不十分であり、例えば混成電位式のアンモニア検出装置1においては、混成電位にアンモニア濃度だけでなく、NOやNO
2の濃度が反映されてしまうことを意味する。
【0090】
一方、Pdは、アンモニアに対する感度がAuに比べて低いものの、NOに対する感度がほとんどない。また、NO
2に対する感度は、Au及びPdの両者ともに高い。つまり、検知電極21の貴金属211としてPdを用いる場合には、検知電極21においてNO
2がNOに分解された後、NOが、固体電解質体3の固体電解質と貴金属211と気相との三相界面314Aに到達しても、NOはアンモニア検出装置1によって検出されない。このことは、NO
2等のNOxの存在が、アンモニアの検出精度を悪化させる要因とならないことを意味する。
【0091】
このように、本例によれば、Pdは、アンモニアに対する選択性に優れ、アンモニア検出装置1の検知電極21の貴金属211として効果的であることがわかる。
【0092】
(実験例4)
本例は、検知電極21における、貴金属211以外の添加成分の影響を調べる例である。まず、Pdと添加成分とビヒクル(溶剤等)とを配合し、混練機にて混練を行うことにより、表1に示す電極ペーストを作製した。添加成分としては、アルミナ又はYSZを用いた。
【0094】
次に、表1に示す各電極ペーストを検知電極21用の電極材料として用いて、実験例1と同様の簡易素子20を作製した。簡易素子20は、検知電極21の電極材料を変更した点を除いては、実験例1と同様のものである。
【0095】
次いで、実験例1と同様にして、評価装置を作製し、排ガスG
1、大気G
0をガス管に流した。このときの検知電極21と基準電極22との電位差を測定した。ガス温度は450℃であり、ガス流量は、300ml/minである。本例では、排ガスG
1は、ベースとなる窒素ガスに対して、O
2を10体積%含むと共に、測定対象ガスを含まない場合、100体積ppm含む場合、又は200体積ppm含む場合がある。測定対象ガスは、NH
3、NO、又はNO
2である。その結果を
図25及び
図26に示す。
【0096】
また、
図25及び
図26の結果に基づいて、アンモニアに対する検知電極21の感度における、NOに対する検知電極21の感度の割合を、NOによるアンモニア感度の誤差(%)として算出した。また、アンモニアに対する検知電極21の感度における、NO
2に対する検知電極21の感度の割合を、NO
2によるアンモニア感度の誤差(%)として算出した。その結果を
図27に示す。
【0097】
NO及びNO
2についてのアンモニア感度の誤差(%)は、誤差(%)=(NO又はNO
2に対する起電力差−アンモニアに対する起電力差)/アンモニアに対する起電力差×100(%)として求めた。
【0098】
図26より知られるように、検知電極21の添加成分としてYSZを用いた場合には、検知電極21は、アンモニアだけでなくNO
2に対しても電位差を示す。その結果、
図27より知られるように、アンモニア感度の誤差が大きいことが分かる。
【0099】
これに対し、
図25より知られるように、検知電極21の添加成分としてアルミナを用いた場合には、NOやNO
2に対してはほとんど電位差を示さず、アンモニアに対しては十分に電位差を示す。その結果、
図27より知られるように、アンモニア感度の誤差が小さいことが分かる。
【0100】
このように、本例によれば、検知電極21が添加成分としてアルミナを含有する場合には、検知電極21におけるNOやNO
2の感度が小さくなり、アンモニアに対する検出精度がより向上する。本例では、上述のように、貴金属211としてPdを含有する検知電極21について添加成分の影響を調べたが、Pdを主成分とするPdAu合金を含有する検知電極21についても同様の結果が得られると考えられる。
【0101】
以上のように、本発明の実施形態などを説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。例えば、実施形態1では、アンモニア検出用の検知電極21を備えるアンモニア検出装置1について説明したが、アンモニア検出装置1は、NOやNO
2等のNOx検出用の検知電極をさらに備えることもできる。この場合には、アンモニア検出装置1は、アンモニア濃度だけでなく、NOx濃度も検出することができる。
【0102】
つまり、アンモニア検出装置1は、少なくともアンモニアを検出するアンモニア検出部と、さらにアンモニア以外のガスを検出するガス検出部とを有することができる。アンモニア検出部は、例えばアンモニア検出用の第1検知電極と基準電極とこれらの電極が形成された固体電解質体とから構成される。一方、ガス検出部は、例えばアンモニア以外のガスを検出するための第2検知電極と基準電極とこれらの電極が形成された固体電解質体とから構成される。
【0103】
アンモニア検出部とガス検出部とは、1つの基準電極を共有していてもよいし、例えば第1基準電極と第2基準電極のように異なる基準電極をそれぞれ有していてもよい。固体電解質体についても同様であり、アンモニア検出部とガス検出部とは、1つの固体電解質体を共有していてもよいし、第1固体電解質体と第2固体電解質体のように異なる固体電解質体をそれぞれ有していてもよい。さらに、アンモニア検出装置1は、アンモニア以外の複数の他のガスを検出するための2種以上の検知電極を有することも可能である。