特許第6862424号(P6862424)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6862424交換可能なクランプパッドを有する超音波外科用器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862424
(24)【登録日】2021年4月2日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】交換可能なクランプパッドを有する超音波外科用器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20210412BHJP
【FI】
   A61B17/00 700
【請求項の数】16
【全頁数】45
(21)【出願番号】特願2018-510471(P2018-510471)
(86)(22)【出願日】2016年8月17日
(65)【公表番号】特表2018-525146(P2018-525146A)
(43)【公表日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】US2016047341
(87)【国際公開番号】WO2017034878
(87)【国際公開日】20170302
【審査請求日】2019年8月16日
(31)【優先権主張番号】14/836,347
(32)【優先日】2015年8月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ディッカーソン・ベンジャミン・ディー
(72)【発明者】
【氏名】スモリック・スティーブン・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ケーグル・デビッド・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】メサーリー・ジェフリー・ディー
(72)【発明者】
【氏名】エステラ・フレデリック・エル
(72)【発明者】
【氏名】リステンバーグ・ポール・エフ
(72)【発明者】
【氏名】シャイブ・チャールズ・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ミューレンカンプ・タイラー・シー
(72)【発明者】
【氏名】デンジンガー・クリステン・ジー
(72)【発明者】
【氏名】アッシャー・ライアン・エム
【審査官】 槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/094745(WO,A1)
【文献】 特表2003−502102(JP,A)
【文献】 特表2009−514566(JP,A)
【文献】 米国特許第06024750(US,A)
【文献】 特表2009−538710(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0046337(US,A1)
【文献】 特表2001−514036(JP,A)
【文献】 米国特許第04452244(US,A)
【文献】 国際公開第93/021836(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第00490301(EP,A1)
【文献】 特表2001−501102(JP,A)
【文献】 米国特許第06206896(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00−17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波器具であって、
(a)本体と、
(b)シャフトアセンブリであって、前記本体から遠位側に延在し、音響導波管を備え、前記音響導波管は、超音波トランスデューサと音響的に連結するように構成されている、シャフトアセンブリと、
(c)エンドエフェクタであって、
(i)前記音響導波管と音響的に連通している超音波ブレード、
(ii)前記シャフトアセンブリと枢動可能に連結され、近位部及び細長遠位部を更に備えるクランプアームであって、前記細長遠位部が一対の凹部を備える、クランプアーム、及び
(iii)前記クランプアームが前記シャフトアセンブリに枢動可能に連結されている間、前記クランプアームと取り外し可能に連結するように構成されているクランプパッドであって前記クランプパッドの内部に画定され、前記細長遠位部を受け入れるように構成されているスリーブを備え、前記スリーブは、前記一対の凹部と嵌合するように構成されている一対の節部を備える、クランプパッドを備える、エンドエフェクタと、を備える、超音波器具。
【請求項2】
前記クランプアームの前記細長遠位部は、
(i)細長平坦面部と、
(ii)前記細長平坦面部に沿って延出する細長突出部と、を更に備え、前記細長突出部は、前記細長平坦面部に対して直交する方向に突出し、前記細長突出部は、前記細長平坦面部の長軸に沿って前記細長平坦面部の全長にわたって延出している、請求項1に記載の超音波器具。
【請求項3】
前記スリーブは、前記細長平坦面部と前記細長突出部とを受け入れるように構成されている請求項2に記載の超音波器具。
【請求項4】
超音波器具であって、
(a)本体と、
(b)シャフトアセンブリであって、前記本体から遠位側に延在し、音響導波管を備え、前記音響導波管は、超音波トランスデューサと音響的に連結するように構成されている、シャフトアセンブリと、
(c)エンドエフェクタであって、
(i)前記音響導波管と音響的に連通している超音波ブレード、
(ii)前記シャフトアセンブリと枢動可能に連結され、近位部及び細長遠位部を更に備えるクランプアームであって、前記クランプアームの前記細長遠位部は、狭隘部及び外向き突出ヘッドを備え、前記狭隘部は、前記突出ヘッドに対して近位側に配置されている、クランプアーム、及び
(iii)前記クランプアームが前記シャフトアセンブリに枢動可能に連結されている間、前記クランプアームと取り外し可能に連結するように構成されているクランプパッド、を備える、エンドエフェクタと、を備える、超音波器具。
【請求項5】
前記クランプパッドは、前記突出ヘッド上を摺動するように構成されているエラストマー管を更に備える、請求項4に記載の超音波器具。
【請求項6】
超音波器具であって、
(a)本体と、
(b)シャフトアセンブリであって、前記本体から遠位側に延在し、音響導波管を備え、前記音響導波管は、超音波トランスデューサと音響的に連結するように構成されている、シャフトアセンブリと、
(c)エンドエフェクタであって、
(i)前記音響導波管と音響的に連通している超音波ブレード、
(ii)前記シャフトアセンブリと枢動可能に連結され、近位部及び細長遠位部を更に備えるクランプアーム、及び
(iii)前記クランプアームが前記シャフトアセンブリに枢動可能に連結されている間、前記クランプアームと取り外し可能に連結するように構成されているクランプパッド、を備える、エンドエフェクタと、を備え、
前記クランプアームは、開口部を画定するフレームを更に備え、前記クランプパッドは、パッド部と、前記パッド部の上方に延在する嵌合部とを更に備え、前記嵌合部は、前記開口部を通って延在するように構成されており、
前記エンドエフェクタは、前記クランプパッドの前記嵌合部と係合するように構成されているスライド式ロックを更に備える、超音波器具。
【請求項7】
超音波器具であって、
(a)本体と、
(b)シャフトアセンブリであって、前記本体から遠位側に延在し、音響導波管を備え、前記音響導波管は、超音波トランスデューサと音響的に連結するように構成されている、シャフトアセンブリと、
(c)エンドエフェクタであって、
(i)前記音響導波管と音響的に連通している超音波ブレード、
(ii)前記シャフトアセンブリと枢動可能に連結され、近位部及び細長遠位部を更に備えるクランプアーム、及び
(iii)前記クランプアームが前記シャフトアセンブリに枢動可能に連結されている間、前記クランプアームと取り外し可能に連結するように構成されているクランプパッド、を備える、エンドエフェクタと、を備え、
前記クランプアームは、前記細長遠位部の周りの第1ねじ付き部を更に備え、前記クランプパッドは、前記第1ねじ付き部と噛合するように構成されている第2ねじ付き部を更に備える、超音波器具。
【請求項8】
前記クランプアームは、前記クランプパッドの近位端に係合して前記クランプパッドを前記クランプアームに対して配向させるように構成されている停止機能部を更に備える、請求項7に記載の超音波器具。
【請求項9】
前記クランプパッドの遠位端は、前記クランプアームの遠位端に選択的に係合し、前記クランプパッドを前記クランプアームに対して配向させるように構成されている、請求項7に記載の超音波器具。
【請求項10】
超音波器具であって、
(a)本体と、
(b)シャフトアセンブリであって、前記本体から遠位側に延在し、音響導波管を備え、前記音響導波管は、超音波トランスデューサと音響的に連結するように構成されている、シャフトアセンブリと、
(c)エンドエフェクタであって、
(i)前記音響導波管と音響的に連通している超音波ブレード、
(ii)前記シャフトアセンブリと枢動可能に連結され、近位部及び細長遠位部を更に備えるクランプアーム、及び
(iii)前記クランプアームが前記シャフトアセンブリに枢動可能に連結されている間、前記クランプアームと取り外し可能に連結するように構成されているクランプパッド、を備える、エンドエフェクタと、を備え、
前記クランプパッドは、前記クランプパッドを前記クランプアームに取り外し可能に連結するために、前記クランプアームに形成されたスロットに受け入れられる、折り畳み可能なタブを更に備える、超音波器具。
【請求項11】
前記クランプアームは、床部を備える凹部を更に備え、前記クランプアームに形成された前記スロットは、前記凹部の前記床部の中に延びる請求項10に記載の超音波器具。
【請求項12】
前記折り畳み可能なタブは、前記凹部の前記床部に当たるよう折り畳まれるように構成されている、請求項11に記載の超音波器具。
【請求項13】
超音波器具であって、
(a)本体と、
(b)シャフトアセンブリであって、前記本体から遠位側に延在し、音響導波管を備え、前記音響導波管は、超音波トランスデューサと音響的に連結するように構成されている、シャフトアセンブリと、
(c)エンドエフェクタであって、
(i)前記音響導波管と音響的に連通している超音波ブレード、
(ii)前記シャフトアセンブリと枢動可能に連結され、近位部及び細長遠位部を更に備えるクランプアーム、及び
(iii)前記クランプアームが前記シャフトアセンブリに枢動可能に連結されている間、前記クランプアームと取り外し可能に連結するように構成されているクランプパッド、を備える、エンドエフェクタと、を備え、
前記クランプパッドは、パッド付き部と、前記パッド付き部に固定されるカートリッジとを更に備え、前記クランプアームは細長フレームを備え、
前記細長フレームは腎臓形スロットを備え、前記カートリッジは前記腎臓形スロットと嵌合するように構成されている脚部を更に備え、これにより、前記カートリッジは前記細長フレームと連結するように構成されている、超音波器具。
【請求項14】
前記細長フレームは第1穴を備え、前記カートリッジは第2穴を更に備え、前記エンドエフェクタはピンを更に備え、前記ピンは前記第1穴及び前記第2穴の中に嵌り、前記クランプパッドの少なくとも一部を前記クランプアームにしっかりと取り付けるように構成されている、請求項13に記載の超音波器具。
【請求項15】
超音波器具であって、
(a)本体と、
(b)シャフトアセンブリであって、前記本体から遠位側に延在し、音響導波管を備え、前記音響導波管は、超音波トランスデューサと音響的に連結するように構成されている、シャフトアセンブリと、
(c)エンドエフェクタであって、
(i)前記音響導波管と音響的に連通している超音波ブレード、
(ii)前記シャフトアセンブリと枢動可能に連結され、近位部及び細長遠位部を更に備えるクランプアームであって、前記クランプアームの前記細長遠位部は、
(A)細長平坦面部と、
(B)前記細長平坦面部に沿って延出する細長突出部と、を更に備え、前記細長突出部は、前記細長平坦面部に対して直交する方向に突出し、前記細長突出部は、前記細長平坦面部の長軸に沿って前記細長平坦面部の全長にわたって延出している、クランプアーム、及び
(iii)前記クランプアームが前記シャフトアセンブリに枢動可能に連結されている間、前記クランプアームと取り外し可能に連結するように構成されているクランプパッドであって、前記クランプパッドは、前記クランプパッドの内部に画定され、前記細長平坦面部と前記細長突出部とを受け入れるように構成されているスリーブを更に備える、クランプパッドを備える、エンドエフェクタと、を備える、超音波器具。
【請求項16】
前記クランプアームは、一対の凹部を更に備え、前記スリーブは、前記一対の凹部と嵌合するように構成されている一対の節部を更に備える、請求項15に記載の超音波器具。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
様々な手術器具が、組織を(例えば、組織細胞内のタンパク質を変性させることにより)切断及び/又は封止するために超音波周波で振動するブレード要素を有するエンドエフェクタを含む。これらの器具は、電力を超音波振動に変換する1つ又は2つ以上の圧電素子を含んでおり、これらの振動は、音響導波管に沿ってブレード要素に伝達される。切断及び凝固の精度は、操作者の技術によって、かつ電力レベル、ブレードエッジ角度、組織引張、及びブレード圧力を調節することによって、制御され得る。器具の中には、組織をブレード要素で把持するためのクランプアーム及びクランプパッドを有するものがある。
【0002】
超音波外科器具の例としては、HARMONIC ACE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC WAVE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC FOCUS(登録商標)Ultrasonic Shears、及びHARMONIC SYNERGY(登録商標)Ultrasonic Bladesが挙げられ、これらはいずれもEthicon Endo−Surgery,Inc.(Cincinnati,Ohio)製である。かかる装置及び関連する概念の更なる例は、以下の文献に開示されている:1994年6月21日発行の「Clamp Coagulator/Cutting System for Ultrasonic Surgical Instruments」と題された米国特許第5,322,055号(その開示は、本明細書において、参照することにより組み込まれる)、1999年2月23日発行の「Ultrasonic Clamp Coagulator Apparatus Having Improved Clamp Mechanism」と題された米国特許第5,873,873号(その開示は、本明細書において、参照することにより組み込まれる)、1999年11月9日発行の「Ultrasonic Clamp Coagulator Apparatus Having Improved Clamp Arm Pivot Mount」と題された米国特許第5,980,510号(その開示は、本明細書において、参照することにより組み込まれる)、2001年9月4日発行の「Method of Balancing Asymmetric Ultrasonic Surgical Blades」と題された米国特許第6,283,981号(その開示は、本明細書において、参照することにより組み込まれる)、2001年10月30日発行の「Curved Ultrasonic Blade having a Trapezoidal Cross Section」と題された米国特許第6,309,400号(その開示は、本明細書において、参照することにより組み込まれる)、2001年12月4日発行の「Blades with Functional Balance Asymmetries for use with Ultrasonic Surgical Instruments」と題された米国特許第6,325,811号(その開示は、本明細書において、参照することにより組み込まれる)、2002年7月23日発行の「Ultrasonic Surgical Blade with Improved Cutting and Coagulation Features」と題された米国特許第6,423,082号(その開示は、本明細書において、参照することにより組み込まれる)、2004年8月10日発行の「Blades with Functional Balance Asymmetries for Use with Ultrasonic Surgical Instruments」と題された米国特許第6,773,444号(その開示は、本明細書において、参照することにより組み込まれる)、2004年8月31日発行の「Robotic Surgical Tool with Ultrasound Cauterizing and Cutting Instrument」と題された米国特許第6,783,524号(その開示は、本明細書において、参照することにより組み込まれる)、2011年11月15日発行の「Ultrasonic Surgical Instrument Blades」と題された米国特許第8,057,498号(その開示は、本明細書において、参照することにより組み込まれる)、2013年6月11日発行の「Rotating Transducer Mount for Ultrasonic Surgical Instruments」と題された米国特許第8,461,744号(その開示は、本明細書において、参照することにより組み込まれる)、2013年11月26日発行の「Ultrasonic Surgical Instrument Blades」と題された米国特許第8,591,536号(その開示は、本明細書において、参照することにより組み込まれる)、及び、2014年1月7日発行の「Ergonomic Surgical Instruments」と題された米国特許第8,623,027号(その開示は、本明細書において、参照することにより組み込まれる)。
【0003】
超音波手術器具のまた更なる例が、以下に開示されている:2006年4月13日公開の、「Clamp pad for Use with an Ultrasonic Surgical Instrument」と題された米国特許出願公開第2006/0079874号(その開示は、本明細書において、参照することにより組み込まれる)、2007年8月16日公開の「Ultrasonic Device for Cutting and Coagulating」と題された米国特許出願公開第2007/0191713号(その開示は、本明細書において、参照することにより組み込まれる)、2007年12月6日公開の「Ultrasonic Waveguide and Blade」と題された米国特許出願公開第2007/0282333号(その開示は、本明細書において、参照することにより組み込まれる)、2008年8月21日公開の「Ultrasonic Device for Cutting and Coagulating」と題された米国公開第2008/0200940号(その開示は、本明細書において、参照することにより組み込まれる)、2008年9月25日公開の「Ultrasonic Surgical Instruments」と題された米国公開第2008/0234710号(その開示は、本明細書において、参照することにより組み込まれる)、及び、2010年3月18日公開の「Ultrasonic Device for Fingertip Control」と題された米国特許出願公開第2010/0069940号(その開示は、本明細書において、参照することにより組み込まれる)、に開示されている。
【0004】
一部の超音波外科器具は、以下に開示されているもののようなコードレストランスデューサを含み得る:2012年5月10日公開の「Recharge System for Medical Devices」と題された米国特許出願公開第2012/0112687号(その開示は、本明細書において、参照することにより組み込まれる)、2012年5月10日公開の「Surgical Instrument with Charging Devices」と題された米国特許出願公開第2012/0116265号(その開示は、本明細書において、参照することにより組み込まれる)、2010年11月5日出願の「Energy−Based Surgical Instruments」と題された米国特許出願第61/410,603号(その開示は、本明細書において、参照することにより組み込まれる)。
【0005】
更に、いくつかの超音波手術器具は、関節運動シャフト部分を含み得る。かかる超音波外科器具の例が、2014年1月2日公開の、「Surgical Instruments with Articulating Shafts」と題された米国公開第2014/0005701号(その開示は、本明細書において、参照することにより組み込まれる)、2014年4月24日公開の「Flexible Harmonic Waveguides/Blades for Surgical Instruments」と題された米国公開第2014/0114334号(その開示は、本明細書において、参照することにより組み込まれる)に開示されている。
【0006】
いくつかの手術器具及びシステムが作製され使用されてきたが、本発明者らよりも以前に、添付の特許請求の範囲に記載する本発明を作製又は使用したものは存在しないと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書は、本技術を具体的に指摘し、かつ明確にその権利を特許請求する、特許請求の範囲によって完結するが、本技術は、以下の特定の実施例の説明を、添付図面と併せ読むことで、より良く理解されるものと考えられ、図面では、同様の参照符号は、同じ要素を特定する。
図1】例示的な外科システムのブロック概略図である。
図2図1のシステムに組み込み得る例示的な外科器具の側面図である。
図3】閉位置にある図2の器具のエンドエフェクタの側断面図である。
図4】開位置にある図3のエンドエフェクタの側断面図である。
図5図2の器具のハンドルアセンブリの側断面図である。
図6A図2の器具に組み込まれ得る例示的なエンドエフェクタを、クランプアームが第1の位置にある状態で描いた分解斜視図である。
図6B図6Aのエンドエフェクタを、クランプアームが第2の位置にある状態で描いた分解斜視図である。
図7図3のエンドエフェクタに組み込まれ得る例示的な代替的クランプアームの斜視図である。
図8図7のクランプアームとともに使用し得る例示的な交換可能クランプパッドの斜視図である。
図9図7のクランプアームに取り付けられようとしている状態の、図8のクランプパッドの斜視図である。
図10図7のクランプアームに取り付けられた例示的な図8のクランプパッドの側面図である。
図11図3のエンドエフェクタに組み込まれ得る例示的な代替的クランプアームアセンブリを、クランプパッドがクランプアームから分離された状態で描いた斜視図である。
図12A図11のクランプアームアセンブリを、クランプパッドがクランプアームから分離された状態で描いた側面図である。
図12B図11のクランプアームアセンブリを、クランプパッドがクランプアームにしっかりと取り付けられた状態で描いた側面図である。
図13】例示的なクランプパッド取り外し器具の斜視図である。
図14図13の器具の、斜視断面図である。
図15図3のエンドエフェクタに組み込まれ得る別の1つの例示的な代替的クランプアームアセンブリの一部として用いられ得る、例示的なスライド式ロックの平面図である。
図16図15のスライド式ロックとともに用いられ、図3のエンドエフェクタに組み込まれ得る例示的な代替的クランプアームアセンブリを形成し得る、例示的なクランプアームの平面図である。
図17図15のスライド式ロック及び図16のクランプアームとともに用いられ、図3のエンドエフェクタに組み込まれ得る例示的な代替的クランプアームアセンブリを形成し得る、例示的なクランプパッドの平面図である。
図18図15の18−18線に沿った、図15のスライド式ロックの断面図である。
図19図16の19−19線に沿った、図16のクランプアームの断面図である。
図20図17の20−20線に沿った、図17のクランプパッドの断面図である。
図21図15のスライド式ロック、図16のクランプアーム、及び図17のクランプパッドを、それぞれから分離された状態で描いた断面図である。
図22A図16のクランプアームの下方に配置された状態の、図17のクランプパッドの断面図である。
図22B図16のクランプアーム内に配置された図17のクランプパッドの一部位の断面図である。
図22C図17のクランプパッドの部位が図16のクランプアーム内に配置される間に、図17のクランプパッドの上にスライドされつつある図15のスライド式ロックの側面図である。
図22D図15のスライド式ロック、図16のクランプアーム、及び図17のクランプパッドが、しっかりと一体になっている状態の断面図である。
図23図3のエンドエフェクタに組み込まれ得る例示的なねじ付きクランプアームの斜視図である。
図24図23のねじ付きクランプアームと歯合するように構成されている例示的なねじ付きクランプパッドの側断面図である。
図25図23のねじ付きクランプアームにしっかりと取り付けられた図24のねじ付きクランプパッドの側断面図である。
図26A図3のエンドエフェクタに組み込まれ得る例示的な代替的クランプアームアセンブリを、展性タブが第1の形状の状態で、部分的に切り欠いて描いた斜視図である。
図26B図26Aのクランプアームアセンブリを、展性タブが第2の形状の状態で、部分的に切り欠いて描いた斜視図である。
図27図26Aのクランプアームアセンブリのクランプアームの一部位の上面図である。
図28図27の28−28線に沿った、図27のクランプアームの断面図である。
図29図27の29−29線に沿った、図27のクランプアームの断面図である。
図30図26Aのクランプアームアセンブリのクランプパッドの一部位の上面図である。
図31図30の31−31線に沿った、図30のクランプパッドの断面図である。
図32図30の32−32線に沿った、図30のクランプパッドの断面図である。
図33A図27のクランプアームから分離された状態の図30のクランプパッドの断面図である。
図33B図27のクランプアームと係合した図30のクランプパッドを、展性タブが第1の形状である状態で描いた断面図である。
図33C図27のクランプアームと係合した図30のクランプパッドを、展性タブが第2の形状である状態で描いた断面図である。
図34図3のエンドエフェクタに組み込まれ得る別の1つの例示的なクランプアームの斜視図である。
図35図34のクランプアームに連結され得る例示的なクランプパッドの斜視図である。
図36図34のクランプアームに連結された、図35の36−36線に沿った、図35のクランプパッドの断面図である。
図37図34のクランプアームに連結された、図35の37−37線に沿った、図35のクランプパッドの別の1つの断面図である。
【0008】
図面は、いかなる様式でも限定することを意図するものではなく、本技術の様々な実施形態は、必ずしも図面に示されないものも含め、様々な他の方法で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を成す添付の図面は、本技術のいくつかの態様を示しており、その説明とともに本技術の原理を説明するのに役立つものであるが、本技術は、図示される厳密な配置構成に限定されないことは理解される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本技術の特定の実施例に関する以下の説明は、本技術の範囲を限定するために用いられてはならない。本技術の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、実例として、本技術を実施する上で想到される最良の態様の1つである以下の説明より当業者には明らかとなろう。理解されるように、本明細書に述べられる技術は、いずれもその技術から逸脱することなく、他の異なる明らかな態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0010】
本明細書に述べられる教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ又は2つ以上のものを、本明細書に述べられる他の教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ又は2つ以上のものと組み合わせることができる点も更に理解されよう。したがって、以下に述べられる教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して個別に考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な適当な方法が、当業者には直ちに明らかとなろう。かかる改変例及び変形例は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0011】
本開示の明瞭さのために、「近位」及び「遠位」という用語は、遠位外科用エンドエフェクタを有する外科器具を把持する操作者又は他の操作者に対して本明細書で定義される。「近位」という用語は、操作者又は他の操作者により近い要素の位置を指し、「遠位」という用語は、外科器具の外科用エンドエフェクタにより近く、かつ操作者又は他の操作者から更に離れた要素の位置を指す。
【0012】
I.例示的な超音波外科システムの概説
図1は、例示的な外科システム(10)の構成要素を、ブロック図形式で示したものである。図示されるように、システム(10)は、超音波発生器(12)及び超音波外科器具(20)を備える。以下でより詳細に記載されるように、器具(20)は、超音波振動エネルギーを使用して、実質的に同時に、組織(例えば、血管など)を切開し、組織を封止又は接合するように動作可能である。発生器(12)及び器具(20)は、ケーブル(14)を介して1つに連結されている。ケーブル(14)は、複数の導線を備えてもよく、発生器(12)から器具(20)への一方向の電気的導通、及び/又は発生器(12)と器具(20)との間の双方向の電気的導通を与えることができる。あくまで一例として、ケーブル(14)は、外科器具(20)への電力を供給するための「熱」線、アース線、及び外科器具(20)から超音波発生器(12)に信号を送信するための信号線を備えてもよく、シールドが3本の導線を覆っている。いくつかの変形例において、別個の作動電圧に対して別個の「熱」線が使用される(例えば、第1の作動電圧に対して1本の「熱」線が使用され、第2の作動電圧に対して別の「熱」線が使用されるか、又はこれらの導線間で要求される出力に比例した可変電圧が使用される、など)。当然のことながら、任意の他の好適な数又は構成の導線が使用されてもよい。ケーブル(14)が単に省略され得るように、システム(10)のいくつかの変形例が、発生器(12)を器具(20)内に組み込むことができることも理解されたい。
【0013】
あくまで一例として、発生器(12)は、Ethicon Endo−Surgery,Inc.(Cincinnati,Ohio)により販売されているGEN04、GEN11、又はGEN300を備えてもよい。更に又は代替として、発生器(12)は、2011年4月14日公開の「Surgical Generator for Ultrasonic and Electrosurgical Devices」と題される米国特許出願公開第2011/0087212号(その開示は、参照により本明細書に組み込まれる)の教示の少なくともいくつかに従って構築され得る。代替的に、任意の他の好適な発生器(12)が使用されてもよい。以下でより詳細に記載されるように、発生器(12)は、電力を器具(20)に供給して超音波外科手術を行わせるように動作可能である。
【0014】
器具(20)は、ハンドルアセンブリ(22)を備え、ハンドルアセンブリ(22)は、外科手術中に操作者の片手(又は両手)によって把持されて、操作者の片手(又は両手)によって操作されるように構成されている。例えば、いくつかの変形例では、ハンドルアセンブリ(22)は、操作者が鉛筆のように把持してもよい。いくつかの他の変形例では、ハンドルアセンブリ(22)は、操作者がハサミのように把持してもよいハサミグリップを含んでいてもよい。いくつかの他の変形例では、ハンドルアセンブリ(22)は、操作者がピストルのように把持してもよいピストルグリップを含んでいてもよい。当然のことながら、ハンドルアセンブリ(22)は、任意の他の好適な様態で把持されるように構成してもよい。更に、器具(20)のいくつかの変形例では、器具(20)を(例えば、リモートコントロールなどを介して)動作させるように構成されたロボット外科システムに連結された本体を、ハンドルアセンブリ(22)の代わりに使用してもよい。本実施例では、ブレード(24)は、ハンドルアセンブリ(22)から遠位方向に延在している。ハンドルアセンブリ(22)は、超音波トランスデューサ(26)と、超音波導波管(28)とを含んでおり、超音波導波管(28)は、超音波トランスデューサ(26)をブレード(24)と連結させている。超音波トランスデューサ(26)は、ケーブル(14)を介して発生器(12)から電力を受け取る。超音波トランスデューサ(26)は、その圧電特性により、かかる電力を超音波振動エネルギーに変換するように動作可能である。
【0015】
超音波導波管(28)は、可撓性、半可撓性、剛性のものであってもよいか、又は任意の他の好適な性質を有してもよい。上述のように、超音波トランスデューサ(26)は、超音波導波管(28)を介してブレード(24)と一体に連結されている。具体的には、超音波トランスデューサ(26)が超音波周波数で振動するように作動している場合、かかる振動は、超音波導波管(28)を介してブレード(24)に伝達されて、ブレード(24)も超音波周波数で振動することになる。ブレード(24)が作動状態である(すなわち、超音波的に振動している)場合、ブレード(24)は、組織を効果的に切断し、組織を封止するように動作可能である。したがって、超音波トランスデューサ(26)、超音波導波管(28)、及びブレード(24)は、一体として音響アセンブリを一緒に形成し、発生器(12)によって電力供給された場合に、外科手術を行うための超音波エネルギーを供給する。ハンドルアセンブリ(22)は、トランスデューサ(26)、超音波導波管(28)、及びブレード(24)によって形成される音響アセンブリの振動から、操作者を実質的に隔離するように構成されている。
【0016】
いくつかの変形例において、超音波導波管(28)は、超音波導波管(28)を介してブレード(24)に伝達される機械的振動を増幅してもよい。超音波導波管(28)は、超音波導波管(28)に沿った長手方向振動の利得を制御するための特徴部、及び/又は超音波導波管(28)をシステム(10)の共振周波数と同調させるための特徴部を更に有してもよい。例えば、超音波導波管(28)は、ほぼ均一な断面などの任意の好適な断面寸法/構成を有してもよく、様々な部分で先細になっていてもよく、その全長に沿って先細になっていてもよく、又は任意の他の好適な構成を有してもよい。超音波導波管(28)は、例えば、システムの波長の1/2の整数倍にほぼ等しい長さ(nλ/2)を有してもよい。超音波導波管(28)及びブレード(24)は、チタン合金(すなわち、Ti−6Al−4V)、アルミニウム合金、サファイア、ステンレス鋼、又は任意の他の音響的に適合した材料若しくは材料の組み合わせなどの超音波エネルギーを効率的に伝搬する材料又は材料の組み合わせから構築されたソリッドコアシャフトから製作されてもよい。
【0017】
本実施例では、ブレード(24)の遠位端は、組織による負荷が音響アセンブリに加えられていないとき、好ましい共振周波数fに音響アセンブリを同調させるために、導波管(28)を介して伝達される共振超音波振動に関連するアンチノードに対応する位置に(すなわち、音響アンチノードに)位置する。トランスデューサ(26)が通電されると、ブレード(24)の遠位端は、例えば、ピーク間で約10〜500マイクロメートル、場合によっては、例えば、55.5kHzの所定の振動周波数fにて約20〜約200マイクロメートルの範囲で長手方向に移動するように構成されている。本実施例のトランスデューサ(26)が作動しているとき、これらの機械的な振動は、ブレード(24)に到達するように導波管(28)を介して伝達され、それにより共振超音波周波数でブレード(24)の振動をもたらす。このため、ブレード(24)の超音波振動が、組織の切断と隣接した組織細胞内のタンパク質の変性とを同時に行い、それにより比較的少ない熱拡散で凝固効果を提供することができる。いくつかの変形例において、組織を焼灼するために電流がブレード(24)を介して提供される場合もあり得る。
【0018】
あくまで一例として、超音波導波管(28)及びブレード(24)は、Ethicon Endo−Surgery,Inc.(Cincinnati,Ohio)により製品コードSNGHK及びSNGCBとして販売されている構成要素を備えてもよい。あくまで更なる一例として、超音波導波管(28)及び/又はブレード(24)は、2002年7月23日発行の、「Ultrasonic Surgical Blade with Improved Cutting and Coagulation Features」と題された米国特許第6,423,082号(その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる)の教示に従って構築され、動作可能であり得る。別のあくまで例示的な例として、超音波導波管(28)及び/又はブレード(24)は、1994年6月28日発行の、「Ultrasonic Scalpel Blade and Methods of Application」と題された米国特許第5,324,299号(その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる)の教示に従って構築されてもよく、動作可能であり得る。超音波導波管(28)及びブレード(24)の他の好適な特性及び形態が、本明細書の教示を考慮することにより当業者に明らかになるであろう。
【0019】
本実施例のハンドルアセンブリ(22)はまた、制御セレクタ(30)と、作動スイッチ(32)とを含んでおり、これらはそれぞれ、回路基板(34)と通信状態にある。あくまで一例として、回路基板(34)は、従来の回路基板、フレックス回路、リジッドフレックス回路を備えてもよく、又は任意の他の好適な形態を有してもよい。制御セレクタ(30)及び作動スイッチ(32)は、1つ若しくは2つ以上の導線、回路基板若しくはフレックス回路に形成された配線を介して、及び/又は任意の他の好適な方法で、回路基板(34)と連通することができる。回路基板(34)は、ケーブル(14)と連結されており、ケーブル(14)は、次いで、発生器(12)内の制御回路(16)と連結されている。作動スイッチ(32)は、超音波トランスデューサ(26)への電源を選択的に作動させるように動作可能である。特に、スイッチ(32)が作動すると、かかる作動によってケーブル(14)を介して超音波トランスデューサ(26)に適切な電力が伝達される。あくまで一例として、作動スイッチ(32)は、本明細書で引用される様々な参照文献の教示のうちのいずれかに従って構築されてもよい。作動スイッチ(32)が採り得る他の様々な形態は、本明細書の教示を考慮することにより当業者に明らかになるであろう。
【0020】
本実施例では、外科システム(10)は、少なくとも2つの異なるレベル又は種類の超音波エネルギー(例えば、異なる周波数及び/又は振幅など)をブレード(24)において供給するように動作可能である。そのために、制御セレクタ(30)は、操作者が所望のレベル/振幅の超音波エネルギーを選択することができるように動作可能である。あくまで一例として、制御セレクタ(30)は、本明細書で引用される様々な参照文献の教示のうちのいずれかに従って構築されてもよい。制御セレクタ(30)が採り得る他の様々な形態は、本明細書の教示を考慮することにより当業者に明らかになるであろう。いくつかの変形例において、操作者が制御セレクタ(30)によって選択を行う場合、操作者の選択は、ケーブル(14)を介して発生器(12)の制御回路(16)に戻して伝達され、これに従って、次回操作者が作動スイッチ(32)を起動させるときに、制御回路(16)が発生器(12)から伝達される電力を調節する。
【0021】
ブレード(24)において供給される超音波エネルギーのレベル/振幅は、発生器(12)からケーブル(14)を介して器具(20)に伝達される電力の特性の関数であり得ることを理解されたい。したがって、発生器(12)の制御回路(16)は、制御セレクタ(30)を通じて選択された超音波エネルギーのレベル/振幅又は種類に関連した特性を有する電力を(ケーブル(14)を介して)供給することができる。したがって、発生器(12)は、制御セレクタ(30)を介して操作者によって行われる選択に基づいて異なる種類又は程度の電力を超音波トランスデューサ(26)に伝達するように動作可能であり得る。具体的には、かつあくまで一例として、発生器(12)は、印加される信号の電圧及び/又は電流を増大させて、音響アセンブリの長手方向振幅を増大させることができる。あくまで例示的な一例として、発生器(12)は、それぞれ、約50マイクロメートル及び約90マイクロメートルのブレード(24)の振動共振振幅に対応し得る「レベル1」と「レベル5」との間の選択可能性を提供することができる。制御回路(16)が構成され得る様々な方法が本明細書の教示を考慮することにより当業者に明らかになるであろう。制御セレクタ(30)及び作動スイッチ(32)の代わりに、2つ又は3つ以上の作動スイッチ(32)が使用され得ることも理解されたい。いくつかのかかる変形例では、ある作動スイッチ(32)は、ある電力レベル/種類でブレード(24)を作動させるように動作可能である一方で、別の作動スイッチ(32)は、別の電力レベル/種類などでブレード(24)を作動させるように動作可能である。
【0022】
いくつかの代替的な変形例では、制御回路(16)は、ハンドルアセンブリ(22)内に配置されている。例えば、いくつかのこのような変形例では、発生器(12)は、単に1つのタイプの電力(例えば、利用可能な単に1つの電圧及び/又は電流)をハンドルアセンブリ(22)に伝達し、ハンドルアセンブリ(22)内の制御回路(16)は、電力が超音波トランスデューサ(26)に達する前に、制御セレクタ(30)を介して操作者が行った選択に従って、電力(例えば、電力の電圧)を変更するように動作可能である。更に、発生器(12)を外科システム(10)のすべての他のコンポーネントと一緒にハンドルアセンブリ(22)内に組み込んでもよい。例えば、1つ若しくは2つ以上の電池(図示せず)又は他の携帯型電力源をハンドルアセンブリ(22)内に設けてもよい。図1に示される構成要素が再配置されるか、又は他の方法で構成若しくは修正され得る更なる他の好適な方法が、本明細書の教示を考慮することにより当業者に明らかになるであろう。
【0023】
II.例示的な超音波外科器具の概要
以下の説明は、器具(20)の種々の例示的な構成要素及び構成に関する。後述する器具(20)の種々の実施例は、前述したように、外科システム(10)内に容易に組み込まれ得ることを理解されたい。また前述した器具(20)の種々の構成要素及び操作性が、後述する器具(20)の例示的な変形例内に容易に組み込まれ得ることを理解されたい。上記及び下記の教示を組み合わせ得る様々な好適な方法が、本明細書の教示を考慮することにより当業者に明らかになるであろう。また、下記の教示が、本明細書で引用される参考文献の様々な教示と容易に組み合わせられ得ることも理解されたい。
【0024】
図2〜5は、例示的な超音波外科器具(100)を例示している。器具(100)の少なくとも一部分は、以下の教示の少なくとも一部分に従って構築され、かつ操作可能であり得る:米国特許第5,322,055号、米国特許第5,873,873号、米国特許第5,980,510号、米国特許第6,325,811号、米国特許第6,773,444号、米国特許第6,783,524号、米国特許第8,461,744号、米国特許第8,623,027号、米国特許出願公開第2006/0079874号、米国特許出願公開第2007/0191713号、米国特許出願公開第2007/0282333号、米国特許出願公開第2008/0200940号、米国特許出願公開第2010/0069940号、米国特許出願公開第2012/0112687号、米国特許出願公開第2012/0116265号、米国特許出願公開第2014/0005701号、米国特許出願公開第2014/0114334号、米国特許出願第61/410,603号、及び/又は、米国特許出願第14/028,717号。前述の特許、公開、及び出願のそれぞれの開示が参照により本明細書に組み込まれる。これら文献中に記載され、以下により詳細に記載されるように、器具(100)は、実質的に同時に、組織を切断し、組織(例えば、血管など)を封止又は溶接するように動作可能である。また、器具(100)がHARMONIC ACE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC WAVE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC FOCUS(登録商標)Ultrasonic Shears、及び/又はHARMONIC SYNERGY(登録商標)Ultrasonic Bladesとの種々の構造的及び機能的な類似性を有し得ることを理解されたい。更に、器具(100)は、本明細書で引用され参照することによって本明細書に組み込まれる他の参考文献のうちのいずれかにおいて教示される装置と、種々の構造的及び機能的な類似性を有し得る。
【0025】
本明細書に引用される参考文献の教示と、HARMONIC ACE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC WAVE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC FOCUS(登録商標)Ultrasonic Shears、及び/又はHARMONIC SYNERGY(登録商標)Ultrasonic Bladesの教示と、器具(100)に関する以下の教示との間に何らかの重複が存在する範囲で、本明細書のいかなる記述も、認められた先行技術と見なす意図はない。本明細書のいくつかの教示は、事実、本明細書に引用した参考文献、並びにHARMONIC ACE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC WAVE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC FOCUS(登録商標)Ultrasonic Shears、及びHARMONIC SYNERGY(登録商標)Ultrasonic Bladesの教示の範囲を超えるであろう。
【0026】
本実施例の器具(100)は、ハンドルアセンブリ(120)と、シャフトアセンブリ(130)と、エンドエフェクタ(140)とを備える。ハンドルアセンブリ(120)は、ピストルグリップ(124)と一対のボタン(126)とを含む本体(122)を備える。ハンドルアセンブリ(120)はまた、ピストルグリップ(124)に向かって及びピストルグリップ(124)から離れる方向に枢動可能なトリガ(128)を備える。しかしながら、種々の他の好適な構成を用いてもよく、例えば鉛筆グリップ構成又はハサミグリップ構成が挙げられるがこれらに限定されないということを理解されたい。エンドエフェクタ(140)は、超音波ブレード(160)と、枢動クランプアーム(144)とを含む。クランプアーム(144)はトリガ(128)と連結され、これにより、クランプアーム(144)は、ピストルグリップ(124)に向かうトリガ(128)の枢動に反応して、超音波ブレード(160)に向かって枢動可能となり、かつ、クランプアーム(144)は、ピストルグリップ(124)から離れる方向へのトリガ(128)の枢動に反応して、超音波ブレード(160)から離れる方向に枢動可能となる。クランプアーム(144)をトリガ(128)と連結し得る種々の好適な方法は、本明細書の教示を考慮することで当業者に明らかであろう。いくつかの変形例では、1つ又は2つ以上の弾性部材を使用して、クランプアーム(144)及び/又はトリガ(128)を図4に示す開放位置に付勢する。
【0027】
超音波トランスデューサアセンブリ(112)は、ハンドルアセンブリ(120)の本体(122)から近位方向に延在する。トランスデューサアセンブリ(112)は、ケーブル(114)を介して発生器(116)に連結される。トランスデューサアセンブリ(112)は、発生器(116)から電力を受信し、圧電原理によってその電力を超音波振動に変換する。発電機(116)は、電源及び制御モジュールを備え得るが、制御モジュールは、トランスデューサアセンブリ(112)による超音波振動の生成に特に適したトランスデューサアセンブリ(112)に電力プロファイルを提供するように構成されている。あくまで一例として、発電機(116)は、Ethicon Endo−Surgery,Inc.(Cincinnati,Ohio)により販売されているGEN 300を含むことができる。更に又は代替として、発生器(116)は、2011年4月14日公開の「Surgical Generator for Ultrasonic and Electrosurgical Devices」と題された米国特許出願公開第2011/0087212号(その開示は、参照により本明細書に組み込まれる)の教示の少なくともいくつかに従って構築され得る。また、発電機(116)の機能性の少なくとも一部をハンドルアセンブリ(120)に組み入れ得るが、ハンドルアセンブリ(120)は、電池又は他の内蔵電源を更に含み得るため、ケーブル(114)が省略されることも理解されたい。発生器(116)が採り得る、更に他の好適な形態、並びに発生器(116)が提供し得る種々の特徴及び動作性は、本明細書の教示を考慮することで、当業者に明らかであろう。
【0028】
本実施例のブレード(160)は、特に組織がクランプアーム(144)とブレード(160)との間に挟持されるとき、組織を効果的に切り開いて封止するために超音波周波数にて振動するように動作可能である。ブレード(160)は、音響ドライブトレーンの遠位端に位置している。この音響ドライブトレーンは、トランスデューサアセンブリ(112)と、音響導波管(102)とを含む。トランスデューサアセンブリ(112)は、剛性音響導波管(102)のホーン(図示せず)の近位に位置する、一組の圧電ディスク(図示せず)を含む。圧電ディスクは、電力を超音波振動に変換するように動作可能であり、超音波振動は次に、音響導波管(102)に沿って送信され、音響導波管(102)は、既知の構成及び技術により、シャフトアセンブリ(130)を通ってブレード(160)まで延在している。あくまで一例として、音響ドライブトレーンのこの部分は、本明細書に引用される種々の参考文献の種々の教示に従って構成されてよい。
【0029】
導波管(102)は、ピン(133)を介してシャフトアセンブリ(130)内に固定され、ピン(133)は、導波管(102)及びシャフトアセンブリ(130)を通過する。ピン(133)は、導波管(102)の長さ方向においては、導波管(102)を通って伝達される共振超音波振動に関連するノードに対応する位置にある。超音波ブレード(160)が作動状態にある(すなわち、超音波振動している)とき、超音波ブレード(160)は組織を効果的に切り開いて封止するように動作可能であり、特に組織がクランプアーム(144)と超音波ブレード(160)との間にクランプされているときにそうである。導波管(102)は、導波管(102)を通って伝達される機械的振動を増幅するように構成され得ることを理解されたい。更に、導波管(102)は、長手方向の振動の利得を導波管(102)に沿って制御するように動作可能な特徴部、及び/又は導波管(102)をシステムの共振周波数に同調させる特徴部を含み得る。
【0030】
本実施例では、ブレード(160)の遠位端は、導波管(102)を通して伝達される共鳴超音波振動に付随するアンチノードに対応する位置に配置され、音響アセンブリに組織の負荷がかかっていないときの好ましい共振周波数fに音響アセンブリを調整する。トランスデューサアセンブリ(112)が通電されると、ブレード(160)の遠位端は、例えば、ピーク間で約10〜500ミマイクロメートル、一部の例では、例えば、55.5kHzの既定の振動周波数fにて約20〜約200マイクロメートルの範囲で長手方向に移動するように構成されている。本実施例のトランスデューサアセンブリ(112)が起動されると、これらの機械的な振動が導波管(102)を通じて伝達されてブレード(160)に到達し、それによって、共鳴超音波周波数でのブレード(160)の振動が得られる。したがって、ブレード(160)とクランプアーム(144)との間に組織が固定されたとき、ブレード(160)の超音波振動が、組織の切断と、隣接した組織細胞内のタンパク質の変性とを同時に行い、それにより比較的小さい熱拡散で凝固効果が提供される。いくつかの変形例では、電流もまた、やはり組織を焼灼するためにブレード(160)及びクランプアーム(144)を通して供給され得る。音響伝達アセンブリ及びトランスデューサアセンブリ(112)の一部の構成について記述してきたが、音響伝達アセンブリ及びトランスデューサアセンブリ(112)の更に他の好適な構成は、本明細書の教示を考慮することで当業者に明らかであろう。同様に、エンドエフェクタ(140)の他の好適な構成も、本明細書の教示を考慮することで当業者に明らかであろう。
【0031】
操作者が、ボタン(126)を作動させて、トランスデューサアセンブリ(112)を選択的に作動させて、ブレード(160)を作動させてもよい。本実施例では、2つのボタン(126)が設けられており、一方はブレード(160)を低パワーで作動させるためであり、もう一方はブレード(160)を高パワーで作動させるためである。しかしながら、任意の他の好適な数のボタン及び/又は他の何らかの方法で選択可能な電力レベルが提供されてもよいことを理解されたい。例えば、トランスデューサアセンブリ(112)を選択的に作動させるために、フットペダルを提供してもよい。本実施例のボタン(126)は、操作者が片手で器具(100)を容易かつ完全に操作できるように位置している。例えば、操作者は、親指をピストルグリップ(124)付近に置き、中指、薬指、及び/又は小指をトリガ(128)付近に置き、そして、人差し指を用いてボタン(126)を操作し得る。無論、他の任意の適当な技法を用いて器具(100)を把持及び操作してもよく、ボタン(126)は、任意の他の好適な位置にあってもよい。
【0032】
本実施例のシャフトアセンブリ(130)は、外部シース(132)と、外部シース(132)内に摺動可能に配置された内側チューブ(134)と、内側チューブ(134)内に配置された導波管(102)と、を備える。後でより詳細に説明するように、内側チューブ(134)は、外部シース(132)に対して外部シース(132)内を長手方向に平行移動して、クランプアーム(144)をブレード(160)に向かって、かつそれから離れて選択的に枢動させるように動作可能である。本実施例のシャフトアセンブリ(130)は、回転アセンブリ(150)を更に含んでいる。回転アセンブリ(150)は、シャフトアセンブリ(130)及びエンドエフェクタ(140)全体を、ハンドルアセンブリ(120)に対してシャフトアセンブリ(130)の長手方向軸の周りで回転させるように動作可能である。いくつかの変形例では、回転アセンブリ(150)は、シャフトアセンブリ(130)及びエンドエフェクタ(140)の角度位置を、シャフトアセンブリ(130)の長手方向軸の周りでハンドルアセンブリ(120)に対して選択的に固定するように動作可能である。例えば、回転アセンブリ(150)の回転ノブ(152)は、第1の長手方向位置(シャフトアセンブリ(130)及びエンドエフェクタ(140)が、ハンドルアセンブリ(120)に対してシャフトアセンブリ(130)の長手方向軸の周りで回転可能である)と、第2の長手方向位置(シャフトアセンブリ(130)及びエンドエフェクタ(140)が、ハンドルアセンブリ(120)に対してシャフトアセンブリ(130)の長手方向軸の周りで回転可能ではない)との間で平行移動可能であってもよい。当然のことながら、シャフト組立体(130)は、上記したもののいずれかに加えて又はその代わりに様々な他の構成要素、特徴、及び動作性を有することができる。シャフト組立体(130)の他の好適な構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0033】
図3及び4に示すように、エンドエフェクタ(140)は、超音波ブレード(160)と、クランプアーム(144)とを含んでいる。クランプアーム(144)は、クランプアーム(144)の下面に固定されてブレード(160)に面しているクランプパッド(146)を含んでいる。クランプアーム(144)は、ピン(145)を介して、超音波ブレード(160)の上方のシャフトアセンブリ(130)の外部シース(132)の遠位端と枢動可能に結合される。図4において最も良く分かるように、内側チューブ(134)の遠位端は、ピン(135)を介して、超音波ブレード(160)の下方のクランプアーム(144)の近位端と回転可能に連結されていて、内側チューブ(134)が長手方向に平行移動すると、クランプアーム(144)がピン(145)の周りで、超音波ブレード(160)に向かって、かつそれから離れて回転するようになっており、その結果、組織がクランプアーム(144)と超音波ブレード(160)との間でクランプされて、組織が切断及び/又は封止される。具体的には、外部シース(132)及びハンドルアセンブリ(120)に対して、内側チューブ(134)が長手方向近位側に移動することによって、クランプアーム(144)が超音波ブレード(160)に向かって動き、外部シース(132)及びハンドルアセンブリ(120)に対して、内側チューブ(134)が長手方向遠位側に移動することによって、クランプアーム(144)が超音波ブレード(160)から離れる方向に動く。
【0034】
図5に示すように、また前述したように、トリガ(128)は、ピン(123A)を介してハンドルアセンブリ(120)に枢動可能に結合されていて、トリガ(128)がピン(123A)の周りで回転するように動作可能となっている。後に詳細に説明するように、トリガ(128)は、リンケージ(129)を介してヨーク(125)に結合されていて、トリガ(128)がピン(123A)の周りで回転すると、ヨーク(125)が長手方向に平行移動するようになっている。リンケージ(129)の第1の端部(129A)は、ピン(123B)を介して、トリガー(128)の近位部分と回転可能に連結されている。リンケージ(129)の第2の端部(129B)は、ピン(123C)介して、ヨーク(125)の近位部分と回転可能に連結されている。一対の細長い楕円形状の突起部(127)が、本体(122)の内表面から内側に向かって延在する。各楕円形状の突起部(127)の内面によって、細長い楕円形状のスロット(127A)が画定される。ピン(123C)が、ヨーク(125)の近位部分及びリンケージ(129)の第2の端部(129B)を完全に通過することにより、ピン(123C)の端部は、ヨーク(125)の両側から延出している。ピン(123C)のこれらの端部は、楕円形状のスロット(127A)の内部に摺動可能に及び回転可能に配設されている。ピン(123D)は、ヨーク(125)の遠位端部を完全に通過して、ピン(123D)の端部は、ヨーク(125)の両側から延出している。ピン(123D)のこれらの端部は、楕円形状のスロット(127A)の内部に摺動可能に及び回転可能に配設されている。したがって、ヨーク(125)は、ピン(123C、123D)を介して楕円形状のスロット(127A)内で、長手方向近位位置と長手方向遠位位置との間で、長手方向に平行移動可能であることを理解されたい。更に、トリガ(128)の近位部はリンケージ(129)を介してヨーク(125)に連結されているために、トリガ(128)がピストルグリップ(124)に向かって、かつそれから離れて枢動すると、ヨーク(125)が楕円形状のスロット(127A)内で長手方向に平行移動する。具体的には、トリガ(128)がピストルグリップ(124)に向かって枢動すると、ヨーク(125)が楕円形状のスロット(127A)内で長手方向近位側に平行移動し、またトリガ(128)がピストルグリップ(124)から離れるように枢動すると、ヨーク(125)が楕円形状のスロット(127A)内で長手方向遠位側に平行移動する。
【0035】
ヨーク(125)の遠位部分は、連結アセンブリ(135)を介してシャフトアセンブリ(130)の内側チューブ(134)と連結されている。上で論じたように、内側チューブ(134)は、外部シース(132)内で長手方向に平行移動可能であり、これにより、内側チューブ(134)は、ヨーク(125)と同時に長手方向に平行移動するように構成されている。更に、トリガ(128)がピストルグリップ(124)に向かって枢動すると、ヨーク(125)が長手方向近位側に平行移動するため、トリガ(128)がピストルグリップ(124)に向かって枢動すると、外部シース(132)及びハンドルアセンブリ(120)に対して、内側チューブ(134)が長手方向近位側に平行移動することを理解されたい。また、トリガ(128)がピストルグリップ(124)から離れるように枢動すると、ヨーク(125)が長手方向遠位側に平行移動するため、トリガ(128)がピストルグリップ(124)から離れるように枢動すると、外部シース(132)及びハンドルアセンブリ(120)に対して、内側チューブ(134)が長手方向遠位側に平行移動することを理解されたい。最後に、前述したように、内側チューブ(134)が長手方向に平行移動すると、クランプアーム(144)がブレード(160)に向かって、かつそれから離れて回転するため、トリガ(128)がピストルグリップ(124)に向かって枢動すると、クランプアーム(144)が超音波ブレード(160)に向かって移動することを理解されたい。また、ピストルグリップ(124)から離れてトリガ(128)を枢動させると、クランプアーム(144)を超音波ブレード(160)から離れて移動させることになることを理解されたい。
【0036】
いくつかの変形例では、1つ又は2つ以上の弾性部材を使用して、クランプアーム(144)及び/又はトリガ(128)を図4に示す開放位置に付勢する。例えば、図5に示すように、ばね(136)が、ハンドルアセンブリ(120)の本体(122)の近位端内に位置している。ばね(136)は、本体(122)及びヨーク(125)の近位端を圧迫することによって、ヨーク(125)を遠位位置に向かって付勢する。ヨーク(125)を遠位位置に向かって付勢すると、内側チューブ(134)は遠位に付勢され、更に、トリガ(128)は、ピストルグリップ(124)から離れる方向に付勢される。
【0037】
器具(100)の前述の構成要素及び動作性はあくまで例示である。本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかとなるであろう様々な他の方法で、器具(100)を構成し得る。あくまでも一例として、器具(100)の少なくとも一部は、次の特許文献(その開示内容のすべてが、参照により本明細書に組み込まれる)のいずれかの教示の少なくとも一部に従って構築され、かつ/又は動作可能であってもよい:米国特許第5,322,055号、米国特許第5,873,873号、米国特許第5,980,510号、米国特許第6,325,811号、米国特許第6,783,524号、米国特許出願公開第2006/0079874号、米国特許出願公開第2007/0191713号、米国特許出願公開第2007/0282333号、米国特許出願公開第2008/0200940号、米国特許出願公開第2010/0069940号、米国特許出願公開第2011/0015660号、米国特許出願公開第2012/0112687号、米国特許出願公開第2012/0116265号、米国特許出願公開第2014/0005701号、及び/又は米国特許出願公開第2014/0114334号。器具(100)の追加的な単に例示的な変形例を、以下でより詳細に説明する。以下に説明する変形例は、とりわけ、上述した器具(100)及び本明細書に引用した参考文献のいずれかに言及される任意の器具に容易に適用され得ることを理解されたい。
【0038】
III.交換可能クランプパッドを有する例示的なクランプアーム
クランプパッド(146)は、エンドエフェクタ(140)を使用している間に、実質的な量の摩耗を経験し得るということを、当業者ならば認識するであろう。例えば、クランプパッド(146)は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)材料から形成され得る。クランプパッド(146)は、ブレード(160)を介して生成された熱、圧縮力、及び振動に直面し得るが、これらの熱、圧縮力、及び振動はあわせて、クランプパッド(146)を形成している材料を最終的に摩滅させるように作用し得る。したがって、クランプパッド(146)が交換可能であるエンドエフェクタ(140)の変形例を提供することが望ましい場合があり得る。特に、クランプアーム(144)及び/又はエンドエフェクタ(140)の他の構成部品を交換する必要が必ずしもないように、クランプパッド(146)の交換を可能にすることが望ましい場合があり得る。
【0039】
図6A及び6Bは、取り外し可能なクランプアーム(56)と交換可能クランプパッド(58a、58b)とを有する、例示的なエンドエフェクタ(50)を図示している。エンドエフェクタ(50)は、上述の超音波器具(20、100)に容易に組み込まれ得る。エンドエフェクタ(50)は、外部シース(72)、内側チューブ(76)、超音波ブレード(79)、及びピボットピン(57)を更に含む。外部シース(72)、内側チューブ(76)、及びブレード(79)は、上述の外部シース(132)、内側チューブ(134)、及び超音波ブレード(160)とそれぞれ実質的に同様のものである。
【0040】
取り外し可能なクランプアーム(56)は、ピボットピン(57)を受け入れるように構成されている連結穴(52a、52b)を含む。クランプアーム(56)は、ピボットピン(57)を介して、外部シース(72)と枢動可能に連結されている。クランプアーム(56)は、内部シース(76)の開口部(54c)内に配設される一体化スタッド(54b)を介して、内部シース(76)に枢動可能に連結されている。クランプパッド(58a、58b)は、取り外し可能なクランプアーム(56)によって画定される相補的なほぞ穴(図示せず)と嵌合するように構成されている、テーパー付きほぞ(59a、59b)を更に含む。ほぞ(59a、59b)は、クランプアーム(56)が外部シース(72)から取り外された場合に、クランプアーム(56)の近位端にあるほぞ穴(図示せず)内で摺動するように構成されている。したがって、クランプアーム(56)がクランプパッド(58a、58b)とともに、ピボットピン(57)を介して外部シース(72)に取り付けられた場合には、ピボットピン(57)は、クランプパッド(58a、58b)がクランプアーム(56)に対して近位側に摺動するのを防止する。言い換えると、ピボットピン(57)と、クランプアーム(56)の閉ざされた遠位端とが、協働して長手方向の止め具として動作して、クランプパッド(58a、58b)を、ほぞ(59a、59b)を介してほぞ穴内にとどめる。
【0041】
取り外し可能なクランプアーム(56)が外部シース(72)に組付けられた場合、クランプパッド(58a、58b)は、クランプアーム(56)に対して固定され得る。しかしながら外科手術後には、ピボットピン(57)を取り外してクランプアーム(56)と外部シース(72)との連結を解除することによって、クランプパッド(58a、58b)は、取り外し可能なクランプアーム(56)から取り外され得る。ひとたびピボットピン(57)が連結穴(52a、52b)から取り外されると、クランプアーム(56)が外部シース(72)から取り外され得るが、それによって、クランプパッド(58a、58b)が、クランプアーム(56)に対して、近位方向に摺動可能となる。使用済みのクランプパッド(58a、58b)は、その後取り外されて、同様の品質の新たなクランプパッド(58a、58b)に交換され得る。次に、新たなクランプパッド(58a、58b)とともに組み立てられたクランプアーム(56)が、ピボットピン(57)を介して外部シース(72)に連結され、それによって、クランプパッド(58a、58b)がクランプアーム(56)に対して固定され得る。あくまでも一例として、エンドエフェクタ(50)は、2009年6月9日発行の、「Combination Tissue Pad for Use with an Ultrasonic Surgical Instrument」と題された米国特許第7,544,200号(その開示は、参照により本明細書に組み込まれる)の教示の少なくとも一部に従って、更に構築され、動作可能とされ得る。
【0042】
IV.例示的な代替的交換可能クランプパッド
エンドエフェクタ(50)がクランプパッド(58a、58b)の交換を可能にする一方で、クランプパッド(58a、58b)の交換を行うために、エンドエフェクタ(50)はクランプアーム(56)を外部シース(72)から取り外すことを必要とする。一部の例では、最初にクランプアーム(56、144)を何物からも取り外す必要なく、クランプパッド(58a、58b、146)をクランプアーム(56、144)から取り外すのを可能にすることが望ましい場合があり得る。最初にクランプアーム(56、144)を何物からも取り外す必要なく、クランプアーム(56、144)からのクランプパッド(58a、58b、146)の取り外しを提供することは、器具(20、100)を殺菌するプロセスを簡略化し得るが、それによってクランプパッド(58a、58b、146)の交換に関連する時間及び/又は費用が節約され得る。以下の例は、最初にクランプアームを他の何物から取り外す必要なく、クランプパッドの交換をさせるために用いられ得る、クランプアーム及びクランプパッドの様々な代替的構成に関するものである。以下の実施例は、エンドエフェクタ(50、140)に容易に組み込まれ得るということを理解されたい。また、以下の実施例はあくまでも例示的なものにすぎないという点を理解されたい。
【0043】
以下に説明される実施例のいかなるものにおいても、器具(100)は、2015年2月17日出願の、「Ultrasonic Surgical Instrument with Removable Handle Assembly」と題する、米国特許出願第14/623,812号(その開示は、参照により本明細書に組み込まれる)の教示の少なくとも一部に従って、更に変形され得る。例えば、米国特許出願第14/623,812号(例えば、米国特許出願第14/623,812号の図36A〜36B、及び関連する本文の記述を参照)に開示されているように、器具(100)は、クランプアーム(144)が、図4に図示されている開放位置よりも広く枢動するように超拡張するのを可能にするように変形され得る。クランプアーム(144)のかかる超拡張は、クランプパッド(146)へのアクセスを容易にし、それによって、クランプパッド(146)の交換を更に容易にし得る。
【0044】
更に又は代替として、以下に説明される実施例のいかなるものにおいても、器具(100)は、2014年11月25日出願の、「Ultrasonic Surgical Instrument with Blade Cooling through Retraction」と題する、米国特許出願第14/553,378号(その開示は、参照により本明細書に組み込まれる)の教示の少なくとも一部に従って、更に変形され得る。例えば、器具(100)は、米国特許出願第14/553,378号(例えば、米国特許出願第14/553,378号の図20A〜20B、及び関連する本文の記述を参照)に開示されているように、ブレード(160)が、図4に示されている位置から近位側に撤収するのを可能にするように変形され得る。ブレード(160)のかかる撤収はまた、クランプパッド(146)へのより容易なアクセスをも提供し、以下の教示に従って、クランプパッド(146)の交換を更に容易にし得る。
【0045】
更に別の1つの単に例示的な実施例として、以下の様々な教示は、2014年11月25日出願の、「Ultrasonic Surgical Instrument with Staged Clamping」と題された、米国特許出願第14/552,614号(その開示は、参照により本明細書に組み込まれる)の様々な教示と組み合わせられ得る。なお、交換可能クランプパッド(146)は、クランプアーム(144)の溝内に嵌り得る、かつ/又はその他の仕方でクランプアーム(144)の形成部と嵌り得る、様々な種類の形体を有し得るということを理解されたい。下記の教示が、様々な種類の器具(100)の中に実装され得る様々な好適な方法が、当業者には自明であろう。
【0046】
A.T字型スロットを有する相補的クランプパッドを備える、例示的なクランプアーム
図7〜10は、クランプアーム(56、144)及びクランプパッド(58a、58b、146)の代わりに、エンドエフェクタ(50、140)に容易に組み込まれ得る、例示的な代替的クランプアームアセンブリ(200)及び、関連する構成部品を示す。本実施例のクランプアームアセンブリ(200)は、クランプアーム(210)及びクランプパッド(250)を備える。図7で最もよく分かるように、クランプアーム(210)は、近位部(214)及び細長遠位部(220)を含む。近位部(214)は、上述のように、外部シース(72、132)又は内側チューブ(76、134)に枢動可能に連結するように構成されている連結部材(212)を含む。細長遠位部(220)は、近位端(229)と、遠位端(228)と、一対の、内側に延伸する嵌合凹部(226)と、及び近位端(229)から遠位端(228)へと延伸する細長いうね部(222)と平坦化表面(224)とによって画定されるT字形状の断面とを含む。細長遠位部(220)は、遠位端(228)でクランプパッド(250)を受け入れるように構成され、そのことにより、クランプパッド(250)を装着するために、クランプアーム(210)が、器具(20、100)のその他の部分から取り外されるのを不要にし得る。
【0047】
図8で最もよく分かるように、クランプパッド(250)は、近位側開口部(254)を画定する近位面(252)と、遠位開口部(264)を画定する遠位面(262)と、ともに近位側開口部(254)から遠位開口部(264)へと延出する相補的スリーブ(266)及び相補的細長スロット(260)を画定する、外側表面(251)と、を含む。クランプパッド(250)は、クランプパッド(250)が完全にクランプアーム(210)上に着座したときに、クランプアーム(210)の嵌合凹部(226)に対応するように配置される、一対の、相補的嵌合節部(258)を更に含む。
【0048】
図9に示すように、クランプパッド(250)の近位側開口部(254)は、クランプアーム(210)の遠位端(228)を受け入れるように構成されている。近位側開口部(254)及び遠位開口部(264)の断面エリアは、相補的スリーブ(266)及び相補的細長スロット(260)によって画定されている。相補的スリーブ(266)及び相補的細長スロット(260)は、細長い平坦化表面(224)及び細長いリブ(222)に対してそれぞれ相補的となるような寸法になっている。この相補的T字形状の形体により、ひとたびクランプパッド(250)がクランプアーム(210)の周りにぴったりと嵌った場合、クランプパッド(250)が、クランプアーム(210)の細長遠位部(220)によって画定される長手方向軸線の周りで回転するのを防止する。また、このT字形状の形体は、クランプパッド(250)が交換されるたびに、クランプパッド(250)が適切な方向に一貫して向けられるよう、外側表面(251)の部位が、ブレード(24、79、160)に対して組織を圧縮するように構成されているクランプアーム(210)と所定の配向で嵌合するのを確実にする。
【0049】
クランプパッド(250)が、クランプアーム(210)の細長遠位部(220)によって画定される長手方向軸線の周りで回転するのを防ぐことに加えて、ひとたびクランプパッド(250)がクランプアーム(210)に対して望ましい場所に配置されると、クランプアーム(210)の嵌合凹部(226)と、クランプパッド(250)の相補的な嵌合節部(258)とは、互いに噛み合うように構成されている。嵌合凹部(226)及び嵌合節部(258)は、スナップ嵌めを提供するように構成され得る。かように嵌合節部(258)は、節部(258)が嵌合凹部(226)に到達するまで、クランプアーム(210)の遠位端(228)の周りで、わずかに変形し得る。節部(258)は次に、嵌合凹部(226)内の適切な場所にスナップ嵌めされ得る。ひとたび節部(258)と嵌合凹部(226)とが長手方向で位置揃えされると、クランプパッド(250)は、細長遠位部(220)によって画定される長手方向軸線に沿って意図せず移動することが実質的に防止される。それでもなお操作者は、クランプアーム(210)を静止した状態に保ちながらクランプパッド(250)に十分な力を遠位方向にかけることにより、クランプパッド(250)を交換のために取り外し得る。
【0050】
図10に示すように、クランプパッド(250)がクランプアーム(210)の細長遠位部(220)によって画定される長手方向軸線の周りで回転したり、又はそれに沿って移動したりできない状態では、クランプパッド(250)はクランプアーム(210)に対して実質的に固定されている。したがって、クランプパッド(250)は、最初にクランプアーム(210)を器具(20、100)の残りの部分から連結解除する必要なしで、クランプアーム(210)に装着され得る。同様に、使用済みクランプパッド(250)は、最初にクランプアーム(210)を器具(20、100)の残りの部分から連結解除する必要なしで、クランプアーム(210)から取り外され得る。
【0051】
クランプパッド(250)を形成するためには、様々な種類の材料を用い得る。あくまでも一例として、クランプパッド(250)の少なくとも上側の一部は、クランプアーム(210)上にしっかりと取り付けられるのを補助するために弾力性及び/又はエラストマー性のあるポリマー性材料から形成され得る。また、クランプパッド(250)のうち、少なくともクランプアームアセンブリ(200)の使用中に組織と接触し、組織をブレード(24、79、160)に対して押し当てる部分の材料については、ポリテトラフルオロエチレンを含み得る。クランプパッド(250)及びその様々に異なる領域を形成するために用いられ得る様々な他の好適な材料及び材料の組み合わせについては、本明細書の教示するところを鑑みれば、当業者には明らかであろう。
【0052】
B.円筒様形状でエラストマー性のクランプパッドを有する例示的なクランプアーム及び取り外し器具
図11〜12Bは、クランプアーム(56、144)及びクランプパッド(58a、58b、146)の代わりに、エンドエフェクタ(50、140)に容易に組み込まれ得る、別の1つの例示的な代替的クランプアームアセンブリ(300)及び、関連する構成部品を示す。本実施例のクランプアームアセンブリ(300)は、クランプアーム(310)及びエラストマー性のクランプパッド(350)を備える。クランプアーム(310)は、近位部(314)と、細長遠位部(320)とを含む。近位部(214)は、上述のように、外部シース(72、132)又は内側チューブ(76、143)に枢動可能に連結するように構成されている連結部材(312)を含む。細長遠位部(320)は、近位停止部(328)と、遠位停止部(327)と、突出ヘッド(326)と、平坦面部(324)と、狭隘部(322)とを含む。平坦面部(324)と狭隘部(322)との両方は、近位停止部(328)から遠位停止部(327)に延在する。後でより詳細に説明するように、細長遠位部(320)は、弾性的クランプパッド(350)を受け入れ、噛み合うような寸法になっている。
【0053】
クランプパッド(350)は、近位面(356)と、遠位面(354)と、外側表面(352)と、近位面(356)から遠位面(354)へ延在する細長いチャネル(362)と、遠位面(354)から遠位側に延出する遠位ベース部(358)と、近位面(356)から近位側に延出する近位ベース部(360)と、近位ベース部(360)、遠位ベース部(358)、及び外側表面(352)によって部分的に確定される接触部(359)と、を含む。
【0054】
図11に示すように、細長いチャネル(362)は、細長遠位部(320)の突出ヘッド(326)を、クランプパッド(350)の近位面(356)で受け止めるように構成されている。このことは、クランプパッド(350)を装着又は取り外するために、クランプアーム(310)を、器具(20、100)の残りの部分から連結解除することを不要とし得る。突出ヘッド(326)は、細長いチャネル(362)の断面積よりも大きな断面積を有するような寸法になっている。言い換えると、ヘッド(326)は、チャネル(362)の内寸法を超過する幅を有する。本実施例においては、エラストマー性のクランプパッド(350)が、膨張した形状へ伸長するのを可能にしつつ、収縮した形状へのバイアスを提供する弾力性のある材料から形成される。したがって、近位面(356)が突出ヘッド(326)の上方に位置するにつれて、突出ヘッド(326)が細長いチャネル(362)の寸法を拡大させて、クランプパッド(350)が細長遠位部(320)上を摺動するのを可能にする。突出ヘッド(326)とチャネル(362)の内壁とが接触すると、摩擦によるブレーキ力が発生し、クランプパッド(350)が細長遠位部(320)上を摺動するのに対して一定の抵抗を生じさせ得る。
【0055】
細長遠位部(320)と細長いチャネル(362)とは、図12Bに示すように、ひとたび細長遠位部(320)が完全にクランプパッド(350)を受け入れると、突出ヘッド(326)が遠位面(354)で細長いチャネル(362)から出るような寸法になっている。ひとたび突出ヘッド(326)が細長いチャネル(362)を通り過ぎるように移動すると、細長いチャネル(362)は、弾性的に収縮して、元々の寸法に戻る。この段階では、クランプアーム(310)の遠位停止部(327)は、クランプパッド(350)がクランプアーム(310)に対して遠位側に移動するのを防ぐ。言い換えると、遠位停止部(327)は、クランプパッド(350)がクランプアーム(320)から遠位側に移動するのを実質的に防ぐ停止部を提供する。同様に、近位停止部(328)は、クランプパッド(350)が最終的な位置に来た際に近位面(356)に係合するような位置にあり、それによって、クランプパッド(350)がクランプアーム(310)に対して近位側に移動するのを防ぐようになっている。このように、クランプパッド(350)は、ひとたびクランプパッド(350)がクランプアーム(310)に完全に着座すると、細長遠位部(320)によって画定される長手方向軸線に沿って移動することが実質的にできないようになっている。しかしながら、後ほどより詳細に説明するように、それでもなお操作者は、クランプアーム(310)を静止した状態に保ちながらクランプパッド(350)に十分な力を遠位方向にかけることにより、クランプパッド(350)を交換のために取り外し得る。
【0056】
平坦面部(324)と狭隘部(322)とは、細長いチャネル(362)と噛み合うように構成されている断面エリアを画定する。クランプアーム(310)に対してクランプパッド(350)を協働してしっかり取り付ける停止部(327、328)に加えて(又はそれに代えて)、平坦面部(324)と狭隘部(322)は、細長いチャネル(362)に締まり嵌めを提供するような寸法になっていてよい。そのような締まり嵌めによって、クランプパッド(350)はクランプアーム(310)に対して更にしっかりと取り付けられ得る。あるいは、平坦面部(324)及び狭隘部(322)は、任意の他の好適な形態で、細長いチャネル(362)と嵌るのを可能にし得る。
【0057】
遠位ベース部(358)及び近位ベース部(360)は、突出ヘッド(326)の下側と近位停止部(328)の下側とにそれぞれ嵌合するような寸法になっている。両ベース部(358、360)は、突出ヘッド(326)と近位停止部(328)とにそれぞれ嵌合するようなアーチ状の面を有する。ベース部(358、360)と突出ヘッド(326)及び近位停止部(328)との間の係合によって、ひとたびクランプパッド(350)がクランプアーム(310)に完全に着座すると、筒状のパッド(320)が、クランプアーム(310)の細長遠位部(320)によって画定される長手方向軸線の周りに回転するのが防止される。また、ベース部(358、360)が突出ヘッド(326)と近位停止部(328)とに嵌合することによって、組織をブレード(24、79、160)に対して押し付けるように構成されている外側表面(352)の部分が、クランプパッド(350)が交換されるたびに一貫して適切な方向を向くように、クランプパッド(350)がクランプアーム(310)と一貫して、所定の向きで嵌合するのが保証される。言うまでもなく、他の嵌合機構を用いて、クランプパッド(350)が細長遠位部(320)によって画定される長手方向軸線の周りで回転するのを防止し、かつクランプアーム(310)とクランプパッド(350)とが一貫した嵌合をするように保証する、角度割り出しを提供することが可能である。
【0058】
図12Bに示すように、クランプパッド(350)が、クランプアーム(310)の細長遠位部(320)によって画定される長手方向軸線の周りで回転したり、それに沿って移動できない状態では、クランプパッド(350)は、クランプアーム(310)に対して実質的に固定されている。したがって、クランプパッド(350)は、最初にクランプアーム(310)を器具(20、100)の残りの部分から連結解除する必要なしで、クランプアーム(310)に装着され得る。同様に、使用済みクランプパッド(350)は、最初にクランプアーム(310)を器具(20、100)の残りの部分から連結解除する必要なしで、クランプアーム(310)から取り外され得る。
【0059】
クランプパッド(350)を形成するためには、様々な種類の材料を用い得る。あくまでも一例として、クランプパッド(350)の少なくとも上側の一部は、クランプアーム(310)上にしっかりと取り付けられるのを補助するために弾力性及び/又はエラストマー性のあるポリマー性材料から形成され得る。また、クランプパッド(350)のうち、少なくともクランプアームアセンブリ(300)の使用中に組織と接触し、組織をブレード(24、79、160)に対して押し当てる部分の材料については、ポリテトラフルオロエチレンを含み得る。クランプパッド(350)及びその様々に異なる領域を形成するために用いられ得る様々な他の好適な材料及び材料の組み合わせについては、本明細書の教示するところを鑑みれば、当業者には明らかであろう。
【0060】
図13〜14は、クランプパッド(350)をクランプアーム(310)に装着したり、それから取り外したりするために用い得る例示的な器具(370)を図示している。本実施例の器具(370)は、グリップ(374)を画定する外側表面(372)と、パッド装着部(390)と、パッド取り外し部(380)と、を含む。グリップ(374)は、操作者がパッド(350)をクランプアーム(310)に装着したり、それから取り外したりする間に、容易に器具(370)を取り扱うのを可能にするように設計されている。グリップ(374)は、本明細書の教示するところを鑑みれば当業者には明らかであるような、任意の好適な表面テクスチャ、表面処理、及び/又は形状を有し得る。本実施例においては、器具(370)は、クランプパッド(350)及びクランプアーム(310)とともに用いられるように説明されているが、器具(370)は、クランプパッド(250)及びクランプアーム(210)、あるいは、対応するクランプアームとスナップ嵌め又は締まり嵌めを提供する、任意の他の種類のクランプパッドとともに用いるように容易に変形し得るということを理解されたい。
【0061】
パッド装着部(390)は、装着面(378)と、装着入口部(392)と、クランプパッド(350)を収容するように構成されている装着管部(394)と、ひとたびクランプパッド(350)が完全に装着されるとクランプアーム(310)の突出ヘッド(326)を受け止めるような寸法になっている装着停止部(396)を含む。器具(370)は、操作者がグリップ(374)を使用して、装着入口部(392)をクランプアーム(310)の直接上方に配置させるのを可能にしている。クランプパッド(350)が既に装着管部(394)内にある状態で、操作者は器具(370)を使用して、突出ヘッド(326)を細長いチャネル(362)を通して移動可能にするために必要な力を分配するのに要する、十分なグリップ力を生成し得る。ひとたび突出ヘッド(326)が上述したように、クランプパッド(350)に対する最終的位置に配置されると、突出ヘッド(326)が装着停止部(396)に入る。この時点で、操作者は器具(370)をクランプアーム(310)から引き離し得る。突出ヘッド(326)がクランプパッド(350)より遠位側に位置したので、突出ヘッド(326)と遠位面(354)との間の相互作用により、突出ヘッド(326)は、クランプパッド(350)をクランプアーム(310)とともに運ぶ。
【0062】
パッド取り外し部(380)は、取り外し面(376)と、取り外し入口部(382)と、クランプアーム(310)上に既に装着されているクランプパッド(350)を受け入れるように構成されている取り外しチャネル(384)と、取り外し停止部(388)と、取り外しチャネル(384)内に固定されているブレード取り付け具(386)、ブレード取り付け具(386)に取り付けられているブレード(387)と、を含む。器具(370)は、操作者がグリップ(374)を使用して、取り外し入口部(382)をクランプアーム(310)の直接上方に配置させるのを可能にしている。クランプパッド(350)が既にクランプアーム(310)に装着された状態で、操作者は器具(370)を使用して、クランプパッド(350)及びクランプアーム(310)を、取り外しチャネル(384)の中に挿入し得る。ブレード(387)は、クランプパッド(350)及びクランプアーム(310)が取り外しチャネル(384)内を取り外し停止部(388)に向かって移動するにつれて、クランプパッド(350)と接触するようにブレード取り付け具(386)上に配置されている。ブレード(387)は、クランプパッド(350)と係合するがクランプアーム(310)とは係合しないように配置される。
【0063】
本実施例においては、ブレード(387)は、クランプパッド(350)が取り外しチャネル(384)内に保持されるように、クランプパッド(350)と係合するように構成されている。具体的には、操作者がクランプアームアセンブリ(300)を取り外しチャネル(384)の中に挿入し、次にクランプアーム(310)を取り外しチャネル(384)から引き抜いた場合に、クランプパッド(350)はブレード(387)と係合しているので、チャネル(384)内に配設されたままで留まる。本実施例においては、ブレード(386)は、取り外しチャネル(384)の長手方向軸線に垂直な平面に沿うように配向されている。他の変形例では、ブレード(386)は、取り外しチャネル(384)の長手方向軸線に対して斜めに向いている平面に沿って配向されている。なお、ブレード(386)は、クランプアームアセンブリ(300)が取り外しチャネル(384)の中に挿入されるにつれて、遠位側に枢動したり又は反ったりするように構成され得るが、クランプアーム(310)が取り外しチャネル(384)から近位側に引き抜かれても、近位側に枢動したり反ったりしないように構成され得るということを理解されたい。このようにブレード(386)は、歯止めとして動作し、クランプパッド(350)が取り外しチャネル(384)で一方向にのみ移動するのを可能にして、クランプパッド(350)をチャネル内でひっかけて、クランプパッド(350)をチャネル(384)内に留まらせ得るようになっている。
【0064】
更に別の1つの例示的にすぎない変形例では、ブレード(387)は、クランプアームアセンブリ(300)が取り外しチャネル(384)内に挿入されるにつれてクランプパッド(350)の少なくとも一部を切断するように構成され得る。一部のそのような変形例では、ブレード(387)は、取り外しチャネル(384)の長手方向軸線と平行な平面に沿って配向されている。なお、クランプパッド(350)の少なくとも一部を切断することにより、切断がなければクランプパッド(350)がクランプアーム(310)に対して発揮したであろうグリップ力が弛緩して、クランプアーム(310)からクランプパッド(350)が取り外されるのを促進し得るということを理解されたい。加えて又はそれに代えて、クランプパッド(350)の少なくとも一部を切断することにより、効果的にクランプパッド(350)内のチャネル(362)を拡大し、クランプアーム(310)がクランプパッド(350)に対して近位側に引っ張られるにつれてヘッド(326)がチャネル(362)を通過するのを容易にし得る。クランプパッド(350)の少なくとも一部が切断される少なくとも一部の変形例では、クランプアーム(310)は、切断されたクランプパッド(350)がまだクランプアーム(310)に連結された状態でチャネル(384)から取り外され得るが、その場合には、操作者が切断されたクランプパッド(350)を後で剥離又はその他の方法でクランプアーム(310)から取り除かなければならない。クランプパッド(350)をクランプアーム(310)から取り外すのを容易にするために器具(370)に組み込まれ得る他の構造的特徴については、本明細書の教示するところを鑑みれば、当業者には明らかとなるであろう。
【0065】
器具(370)の例示的な使用方法においては、既に説明したように、操作者がパッド取り外し部(380)を用いて、使用済みのクランプパッド(350)を取り外し、その後、単に器具(370)を180°回転させて、パッド装着部(390)をクランプアーム(310)に向けるようにしてよい。次に操作者は、既に説明したように、パッド装着部(390)を用いて交換用のクランプパッド(350)をクランプアーム(310)に装着し得る。したがって、一度の手順で、クランプパッド(350)を同じクランプアーム(310)から取り外し、交換するために、器具(370)が用いられ得るということを理解されたい。
【0066】
C.3ピース式クランプアームアセンブリを有する例示的な代替的クランプアーム
図15〜22Dは、クランプアーム(56、144)及びクランプパッド(58a、58b、146)の代わりに、エンドエフェクタ(50、140)に容易に組み込まれ得る、別の1つの例示的なクランプアームアセンブリ(400)及び、関連する構成部品を示す。本実施例のクランプアームアセンブリ(400)は、クランプアーム(410)と、クランプパッド(450)と、スライド式ロック(490)とを含む。後ほど更に詳細に説明するように、クランプパッド(450)は、クランプアーム(410)の下側から挿入され、次にスライド式ロック(490)がクランプアーム(410)の上部から近位側に摺動されて、交換可能クランプパッド(450)をクランプアーム(410)に対して固定し得る。
【0067】
図16に示すように、クランプアームは、フレーム(416)と、架橋部材(418)と、近位部(414)と、遠位部(420)とを含む。フレーム及び架橋部材(418)は、以下でより詳細に説明するように、クランプパッド(450)の挿入される部位を収容する開口部(422)を画定する。
【0068】
図17及び図20に示すように、クランプパッド(450)は、フレーム(416)の下方に位置するように構成されているパッド部(452)と、開口部(422)を通ってかつその上方に位置するように構成されている嵌合部(454)とを含む。嵌合部(454)は、フレーム係合部(458)と、狭隘ロック係合部(457)と、幅広ロック係合部(456)とを更に含む。フレーム係合部(458)とパッド部(452)とは、フレーム(416)が収容されるフレームチャネル(462)を画定するのを助ける。フレーム係合部(458)、狭隘ロック係合部(457)、及び幅広ロック係合部(456)は、クランプパッド(450)をクランプアーム(410)に対して固定するためにスライド式ロック(490)が係合するロッキングチャネル(460)を画定する。
【0069】
図18に示すように、スライド式ロック(490)は、キャップ(492)と、キャップ(492)から内側に向かって延出する2本のアーム(494)を含む。キャップ(492)の内部とアーム(494)とにより、T字形状スロット(496)が画定される。T字形状スロット(496)は、幅広ロック係合部(456)及び狭隘ロック係合部(457)と嵌合し、交換可能クランプパッド(450)をクランプアーム(410)に対して固定するように構成されている。
【0070】
図22A〜Dは、例示的なクランプアームアセンブリ(400)がどのように組み立てられるかを示す。上記のように、まず交換可能クランプパッド(450)がクランプアーム(410)の下側に挿入される。それによって各嵌合部(454)は、クランプアーム(410)のフレーム(416)及び架橋部材(418)によって画定される、それぞれ対応する開口部(422)を通り、かつその上方に延在する。ここで、図22Bに示すように、フレーム(416)が、フレーム係合部(458)及びパッド部(452)によって画定されるフレームチャネル(462)内に配置される。図22B〜22Cに見られるように、狭隘ロック係合部(457)と幅広ロック係合部(456)とは、フレーム(416)と架橋部材(416)とによって画定される開口部(422)の上方に延在する。なお、狭隘ロック係合部(457)と幅広ロック係合部(456)とは、スライド式ロック(490)のキャップ(492)とアーム(494)とにより画定されるT字形状スロット(496)に嵌合するように構成されている、相補的T字形状レールを画定するということに留意されたい。したがって、スライド式ロック(490)のアーム(494)がロッキングチャネル(460)に係合した状態で、スライド式ロック(490)を近位方向に摺動させて、図22Dに示すように、T字形状スロット(496)が、狭隘ロック係合部(457)と幅広ロック係合部(456)との両方に係合するのを可能にし得る。その結果、交換可能クランプパッド(450)が、クランプアーム(410)のフレーム(416)の領域と、スライド式ロック(490)T字形状スロット(496)の領域との間にロックされ、交換可能クランプパッド(450)がクランプアーム(410)に対して更に移動することを防ぐ。本実施例においては、狭隘ロック係合部(457)と幅広ロック係合部(456)とが、T字形状スロット(496)と嵌合するT字形状のレールを画定する一方で、スライド式ロック(490)を嵌合部(454)又は交換可能クランプパッド(450)と嵌合させるために任意の数の好適な幾何学的形状が用いられ得るが、それらには例えば、ダブテール形状のスロット又は本明細書の教示するところを鑑みれば当業者には明らかな任意の他の接続方法が挙げられるが、それらに限定されない。
【0071】
スライド式ロック(490)は、クランプアーム(410)の遠位部(420)又は近位部(414)のいずれか一方とスナップ嵌めを提供し、交換可能クランプパッド(450)がクランプアーム(410)に対して、意図せず長手方向に移動するのを防止し得る。別の1つの例示的にすぎない実施例としては、戻り止めが、クランプアーム(410)に対するスライド式ロック(490)の長手方向位置を選択的に保持するために用いられ得る。言うまでもなく、本明細書の教示するところを鑑みれば当業者には明らかなように、クランプアーム(410)に対するスライド式ロック(490)の長手方向位置を選択的に保持するために、任意の他の好適な構造又は方法が用いられ得る。また、スライド式ロック(490)とクランプアーム(410)との間の嵌め合いは、それでもなお、使用済みのクランプパッド(450)を交換するために、操作者が意図的にスライド式ロック(490)をクランプアーム(410)から取り外すのを可能としているということを理解されたい。
【0072】
クランプパッド(450)を形成するためには、様々な種類の材料を用い得る。あくまでも一例として、クランプパッド(350)の少なくとも一部は、スライド式ロック(490)とのしっかりとした係合を維持するための剛性を有したポリマー性材料から形成され得る。また、クランプパッド(450)のうち、少なくともクランプアームアセンブリ(400)の使用中に組織と接触し、組織をブレード(24、79、160)に対して押し当てる部分の材料については、ポリテトラフルオロエチレンを含み得る。クランプパッド(450)及びその様々に異なる領域を形成するために用いられ得る様々な他の好適な材料及び材料の組み合わせについては、本明細書の教示するところを鑑みれば、当業者には明らかであろう。
【0073】
D.ねじ付きクランプアーム及びねじ付き交換可能パッド
図23〜25は、クランプアーム(56、144)及びクランプパッド(58a、58b、146)の代わりに、エンドエフェクタ(50、140)に容易に組み込まれ得る、別の1つの例示的なクランプアームアセンブリ(500)及び、関連する構成部品を示す。本実施例のクランプアームアセンブリ(500)は、ねじ付きクランプアーム(510)とねじ付きクランプパッド(550)とを含む。ねじ付きクランプアーム(510)は、近位端(512)と、遠位端(522)と、雄ねじ付き領域(518)と、ねじ付き領域(518)に対して遠位側にある導入ノーズ(520)と、オプションの停止用ボス部(514)と、近位端(512)を遠位端(522)に接続する細長部位(516)とを含む。
【0074】
ねじ付きクランプパッド(550)は、組織接触パッド(552)と、近位側開口部(554)と、近位端(566)と、閉止遠位端(562)と、相補的雌ねじ付き領域(560)を画定するケーシング(558)と、ケーシング(558)を囲むオプションのポリテトラフルオロエチレンシェル(556)とを含む。
【0075】
図25に示すように、ねじ付きクランプアーム(510)の遠位端(522)は、ねじ付きクランプパッド(550)の近位側開口部(554)の中に挿入され得る。ねじ付きクランプアーム(510)の導入ノーズ(520)は、ねじ付き領域(518)と相補的なねじ付き領域(560)とがクロススレッドを起こす可能性を減らすのに役立ち得る。ひとたび相補的ねじ付き領域(560)とねじ付き領域(518)とが出会うと、操作者はねじ付きクランプパッド(550)をねじ付きクランプアーム(510)の周りで回転させて、ねじ付きクランプアーム(510)とねじ付きクランプパッド(550)とを接続させ得る。本実施例においては、ねじ付き領域(518、560)のそれぞれは、クランプアーム(510)とクランプパッド(520)との間に、ねじ込み式の関係を提供するための相補的らせん状ねじ山を備える。一部の他の変形例においては、ねじ付き領域(518、560)のそれぞれは、クランプアーム(510)とクランプパッド(520)との間にラチェット式スライドイン関係を提供する、相補的リブ又は歯部を備える。
【0076】
オプションの停止用ボス部(514)は、停止用ボス部(514)が組織接触パッド(552)が所望の角方向を向いている位置(すなわち、組織接触パッド(552)がブレード(24、79、160)に対向するように配向されている状態)でねじ付きクランプパッド(550)の近位端(566)に係合するような場所で、ねじ付きクランプアーム(510)上に配置され得る。追加的あるいは代替的に、ケーシング(558)を取り囲むオプションのポリテトラフルオロエチレンシェル(556)が、組織接触パッド(552)が所望の角度方向を向いている(すなわち、組織接触パッド(552)がブレード(24、79、160)を向くように配向されている状態)の位置で、停止用ボス部(514)がねじ付きクランプパッド(550)の近位端(566)と係合する場所で、閉止遠位端(562)がねじ付きクランプアーム(510)の遠位端(522)と係合するように構成され得る。
【0077】
上記のように、クランプパッド(550)は、クランプアーム(510)がクランプパッド(550)にぶつかるまで、クランプパッド(550)をクランプアーム(510)の周りで回転するだけで、クランプアーム(510)にしっかりと取り付けられ得る。クランプパッド(550)を交換のために取り外すには、クランプパッド(550)を、ねじ付き領域(518、560)が互いに係合解除されるまで、取り付け時とは反対方向に回転させるだけでよい。
【0078】
E.折重ねタブを有する交換可能クランプパッド
図26A〜33Cは、クランプアーム(56、144)及びクランプパッド(58a、58b、146)の代わりに、エンドエフェクタ(50、140)に容易に組み込まれ得る、別の1つの例示的なクランプアームアセンブリ(600)及び、関連する構成部品を示す。本実施例のクランプアームアセンブリ(600)は、クランプアーム(610)及びクランプパッド(650)を含む。後程より詳細に説明するように、しかし最初に図26A〜26Bに示すように、クランプアーム(610)をクランプパッド(650)に連結させるため、クランプアーム(610)は、クランプパッド(650)の折り畳み可能タブ(652)を受け入れるように構成されている一対のタブスロット(622)を有する。なお、図26A〜33Cは、クランプアームアセンブリ(600)の一部のみを示しているということを理解されたい。具体的には、上述のように、クランプアーム(610)の近位端(614)は、クランプアーム(610)が、外部シース(72、132)及び内側チューブ(76、134)に枢動可能に装着され得るようにする様々な特徴部を含み得る。そのような特徴部は、既に説明したクランプアーム(144)のように、ピン(135、145)を受け入れるように構成され、動作可能であり得る。あるいは、そのような特徴部は、既に説明したクランプアーム(56)の連結穴(52a、52B)と、クランプアーム(56)のスタッド(54b)と同様に構成され得る。あるいは、クランプアーム(610)は、任意の他の好適なやり方で装着され得る。
【0079】
図26A〜29に示すように、クランプアーム(610)は、近位端(614)と、遠位端(612)と、上部(618)と、側部(624)と、底部(626)とを含む。クランプアーム(610)の上部(618)は、凹部(620)を部分的に画定している。凹部(620)は、凹部壁(616)と凹部床(628)とによって更に画定されている。タブスロット(622)は、クランプアーム(610)の凹部床(628)から底部(626)に延在している。
【0080】
図26A〜26B及び図30〜32に示すように、クランプパッド(650)は、本体(651)と、近位端(656)と、遠位端(654)と、底部(664)と、上部(662)と、側部(658)と、ベース部(660)から上方に延出する一組の折り畳み可能タブ(652)とを含む。ベース部(660)は一元的に折り畳み可能タブ(652)に連結され得る。ベース部(660)及び折り畳み可能タブ(652)は、任意の好適な材料から構成され得るが、その例としては、アルミニウム、鋼、展性を有するプラスチック、又は、本明細書の教示するところを鑑みて当業者には既知の任意の他の好適な材料が挙げられるが、それらに限定されない。ベース部(660)は、本体(651)内に挿入されるか、又は、しっかりと上部(662)に固定的に取り付けられ得る。ベース部(660)は、任意の好適な方法で、しっかりと上部(662)に固定的に取り付けられ得るが、その例としては、溶接又は、本明細書の教示するところを鑑みて当業者には既知の任意の他の好適な方法が挙げられる。折り畳み可能タブ(652)は、パッド(650)の上部(662)の方向に折り畳むことが可能である。図26A(曲げられていない形状)から図26B(曲がった形状)に至るシーケンスに示されているように、タブ(652)は、タブ(652)が操作者によって曲げられた場合、タブ(652)が曲がった形状を維持するような展性を有する。
【0081】
図33A〜33Cは、どのようにしてクランプパッド(650)をクランプアーム(610)に取り付けるかを示す。図33Aでは、クランプパッド(650)は、折り畳み可能タブ(652)がクランプアーム(610)のタブスロット(622)に隣接するように、クランプアーム(610)の下方に配置されている。次に、図33Bに示すように、クランプパッド(650)が上方に、クランプアーム(610)に向かって挿入され、折り畳み可能タブ(652)がタブスロット(622)を通過して、折り畳み可能タブ(652)の一部が、タブスロット(622)の上方の凹部(620)内に延出する状態にする。また、クランプアーム(610)の底部(626)は、クランプパッド(650)の上部(662)に接触している。また任意選択的に、クランプアーム(610)の遠位端(612)は、クランプパッド(650)の遠位端(654)に位置揃えされ得る一方で、クランプアーム(610)の近位端(614)がクランプパッドの近位端(656)に位置揃えされ得る。図33Cに示すように、ひとたび折り畳み可能タブ(652)がタブスロット(622)を通して挿入されると、折り畳み可能タブ(652)は凹部床(628)に向かって折り畳まれ得る。図33Cにおいては折り畳み可能タブ(652)が互いに向かって折り畳まれているが、タブ(652)は、それに代わって、互いから離れる方向に折り畳まれてもよく、具体的には、側部(624、658)に向けて、端部(612、614)に向けて、又は任意の他の好適な方向に向けて折り畳まれ得るということも理解されたい。上記のように、ひとたびタブ(652)が、図33Cに示される形状に曲げられると、タブ(652)の展性によって、その、タブ(652)の曲がった形状が維持され、曲がったタブ(652)が、効果的にしっかりとクランプパッド(650)をクランプアーム(610)に取り付けるようになっている。
【0082】
凹部(620)は、パッド(650)をクランプアーム(610)に固定するための位置にタブ(652)を曲げるたり、パッド(650)をクランプアーム(610)から解放するための位置にタブ(652)を曲げたりするために、操作者がタブ(652)にアクセスするのを可能にするような寸法になっている。タブ(652)とクランプアーム(610)との間の接触により、手術中、クランプアーム(610)に対するパッド(650)の位置が固定される一方で、必要な場合にはパッド(650)を交換することが可能になっている。言い換えると、操作者がクランプパッド(650)を交換したいと望んだ場合、操作者はタブ(652)を、図33Cに示す位置から図33Bに示す位置に戻すように折り曲げて、操作者が使用済みのクランプパッド(650)を、クランプアーム(610)から引き出して、それによってクランプパッド(650)を、新しいクランプパッド(650)ものと交換するのが可能になっている。
【0083】
F.クランプアームの上部から挿入される交換可能なクランプパッド
図34〜37は、クランプアーム(56、144)及びクランプパッド(58a、58b、146)の代わりに、エンドエフェクタ(50、140)に容易に組み込まれ得る、別の1つの例示的なクランプアームアセンブリ(700)及び、関連する構成部品を示す。本実施例のクランプアームアセンブリ(700)は、クランプアーム(710)及びカートリッジパッドアセンブリ(750)を含む。後程より詳細に説明するように、カートリッジパッドアセンブリ(750)は、クランプアーム(710)の上部から挿入されるように構成されている一方で、クランプアーム(710)は、カートリッジパッドアセンブリ(750)を、様々な保持方法を用いて保持するように構成されている。
【0084】
図34は、近位端(714)と、遠位端(720)と、近位端(714)から遠位端(720)に延在する細長フレーム(718)と、一対の腎臓形スロット(712)と、一対の側方向き遠位開口部(716)とを含む、クランプアーム(710)を示す。細長フレーム(718)は、パッド(756)が挿入され得る開口部(722)を更に確定する。クランプアーム(710)は、本実施例では一般に「U字」形状を画定する。
【0085】
図35は、近位端(757)と、遠位端(758)と、近位端(757)から遠位端(758)に延在するクリップイン式カートリッジ(760)と、クリップイン式カートリッジ(760)の底部に取り付けられた組織接触パッド(756)と、近位端(757)にある一対の脚部(752)と、遠位端(758)にある一対の側方向き遠位開口部(754)とを含む、カートリッジパッドアセンブリ(750)を示す。組織接触パッド(756)は、本明細書の教示するところを鑑みれば当業者には明らかであるように、任意の好適な形成部又は技法を用いて、しっかりとクリップイン式カートリッジ(760)に固定的に取り付けられ得る。
【0086】
図36〜37は、どのようにしてカートリッジパッドアセンブリ(750)を、しっかりとクランプアーム(710)に取り付けるかを示す。具体的には、図36は、カートリッジパッドアセンブリ(750)の脚部(752)が、クランプアーム(710)の腎臓形スロット(712)内に挿入される場所である、近位端(757)を示す。脚部(752)がまず腎臓形スロット(712)の中に挿入されると、カートリッジパッドアセンブリ(750)の遠位端(758)は、細長フレーム(718)に対して斜めの角度を形成する。ひとたび脚部(752)が腎臓形スロット(712)に沿って移動すると、カートリッジパッドアセンブリ(750)の遠位端(758)は、細長フレーム(718)と平行になり、組織接触パッド(756)が細長フレーム(718)を通って延在するようになる。またパッド(756)も、細長フレーム(718)を通って延在し、パッド(756)は、組織にフレーム(718)も必ずしも接触させることなく、組織と接触し得る。脚部(752)と腎臓形スロット(712)とが、相互に作用して、クリップイン式カートリッジ(750)の遠位端(758)が細長フレーム(718)に接続された場合に、クリップイン式カートリッジ(760)及びそれゆえにパッド(756)が、細長フレーム(718)に対して移動しないようにしている。なお、脚部(752)と腎臓形スロット(712)とが協働して、カートリッジパッドアセンブリ(750)の近位端を、クランプアーム(710)の近位端に、効果的にしっかりと取り付けるということを理解されたい。
【0087】
図37は、カートリッジパッドアセンブリ(750)の開口部(754)がクランプアーム(710)の開口部(716)に位置揃えされるように位置する場所である、遠位端(758)を示す。また図37に見られるように、クリップイン式カートリッジ(760)は、これも開口部(716、754)と位置揃えされる凹部(762)を含む。なお、開口部(716、754)及び凹部(762)は、脚部(752)がそれぞれの腎臓形スロット(712)の遠位端に到達した際に、位置揃えされるということを理解されたい。開口部(716、754)と凹部(762)とが位置揃えされた状態では、一対のピン(790)が、開口部(716、754)及び凹部(762)の中に挿入されて、カートリッジパッドアセンブリ(750)の遠位端をクランプアーム(710)にしっかりと取り付け得る。
【0088】
前述の実施例は、脚部(752)に連結した腎臓形スロット(712)と、ピン(790)を介して凹部(762)と連結した遠位開口部(716、754)とを含むが、様々な他の構造及び技法を用いて、近位端(714、757)及び遠位端(720、758)の一方又は両方を連結させてもよい。例えば、クリップイン式カートリッジが細長フレーム(718)に対して押し付けられた際に、細長フレーム(718)の内部がクリップイン式カートリッジ(760)と連結するように、クリップイン式カートリッジ(760)が、細長フレーム(718)の内部との締まり嵌めを提供するようなサイズになっていてもよい。クリップイン式カートリッジ(760)を細長フレーム(718)にしっかりと取り付けるための他の好適な方法については、本明細書の教示するところを鑑みれば当業者には明らかであろう。
【0089】
なお、使用済みのカートリッジパッドアセンブリ(750)を取り外すためには、上述の組み立て方法を逆順で行うとよい、ということを理解されたい。具体的には、操作者は、単にピン(790)を開口部(716、754)及び凹部(762)から取り外し、カートリッジパッドアセンブリ(750)の遠位端(758)を、クランプアーム(710)の遠位端(720)から遠ざけるように枢動させ、脚部(752)を腎臓形スロット(712)から取り外して、使用済みのカートリッジパッドアセンブリ(750)をクランプアーム(710)から連結解除し得る。次に操作者は、上述の組み立てステップを実行して、新しいカートリッジパッドアセンブリ(750)をしっかりとクランプアーム(710)に取り付け得る。これらの組立及び分解のステップは、すべて、クランプアーム(710)を器具(20、100)の残りの部分から取り外す必要なしで実行し得る。
【0090】
V.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の出願におけるどの時点でも提示され得るいずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではない点は理解されるべきである。一切の放棄を意図するものではない。以下の実施例は単なる例示の目的で与えられるものにすぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると企図される。また、いくつかの変形形態では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してもよいことも企図される。したがって、本発明者によって、又は本発明者の利益となる継承者によって、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとしてみなされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、これらの更なる特徴は、特許性に関連するいずれの理由によって追加されたものとしても仮定されるべきではない。
【実施例】
【0091】
(実施例1)
超音波器具であって、(a)本体と、(b)シャフトアセンブリであって、本体から遠位側に延在し、音響導波管を備え、導波管は、超音波トランスデューサと音響的に結合するように構成されている、シャフトアセンブリと、(c)エンドエフェクタであって、(i)導波管と音響的に連通している超音波ブレード、(ii)シャフトアセンブリと枢動可能に連結され、近位部及び細長遠位部を更に備えるクランプアーム、及び(iii)クランプアームがシャフトアセンブリに枢動可能に連結されている間、クランプアームと取り外し可能に連結するように構成されているクランプパッド、を備える、エンドエフェクタと、を備える、超音波器具。
【0092】
(実施例2)
クランプアームの細長遠位部は、(i)細長平坦面部と、(ii)細長平坦面部に沿って延出する細長突出部と、を更に備える、実施例1に記載の超音波器具。
【0093】
(実施例3)
クランプパッドは、細長平坦面部と細長突出部とを受け入れるように構成されているスリーブを更に備える、実施例2に記載の超音波器具。
【0094】
(実施例4)
クランプアームは、一対の凹部を更に備え、スリーブは、一対の凹部と嵌合するように構成されている一対の節部を更に備える、実施例3に記載の超音波器具。
【0095】
(実施例5)
クランプアームの細長遠位部は、狭隘部及び外向き突出ヘッドを更に備え、狭隘部は、突出ヘッドに対して近位側に配置されている、実施例1〜4のいずれか1つ以上に記載の超音波器具。
【0096】
(実施例6)
クランプパッドは、突出ヘッド上を摺動するように構成されているエラストマー管を更に備える、実施例1〜5のいずれか1つ以上に記載の超音波器具。
【0097】
(実施例7)
クランプアームは、開口部を画定するフレームを更に備え、クランプパッドは、パッド部と、パッド部の上方に延在する嵌合部とを更に備え、嵌合部は、開口部を通って延在するように構成されている、実施例1〜6のいずれか1つ以上に記載の超音波器具。
【0098】
(実施例8)
エンドエフェクタは、クランプパッドの嵌合部と係合するように構成されているスライド式ロックを更に備える、実施例7に記載の超音波器具。
【0099】
(実施例9)
クランプアームは、細長遠位部の周りの第1ねじ付き部を更に備え、クランプパッドは、第1ねじ付き部と噛合するように構成されている第2ねじ付き部を更に備える、実施例1〜8のいずれか1つ以上に記載の超音波器具。
【0100】
(実施例10)
クランプアームは、クランプパッドの近位端に係合してクランプパッドをクランプアームに対して配向させるように構成されている停止機能部を更に備える、実施例1〜9のいずれか1つ以上に記載の超音波器具。
【0101】
(実施例11)
クランプパッドの遠位端は、クランプアームの遠位端に選択的に係合し、クランプパッドをクランプアームに対して配向させるように構成されている、実施例1〜10のいずれか1つ以上に記載の超音波器具。
【0102】
(実施例12)
クランプパッドは折り畳み可能なタブを更に備える、実施例1〜11のいずれか1つ以上に記載の超音波器具。
【0103】
(実施例13)
クランプアームは、床部を備える凹部を更に備え、クランプアームは、凹部の床部の中に延びるスロットを更に備える、実施例12に記載の超音波器具。
【0104】
(実施例14)
折り畳み可能なタブは、凹部の床部に当たるよう折り畳まれるように構成されている、実施例13に記載の超音波器具。
【0105】
(実施例15)
クランプパッドは、パッド付き部と、パッド付き部に固定されるカートリッジとを更に備える、実施例1〜14のいずれか1つ以上に記載の超音波器具。
【0106】
(実施例16)
クランプアームはスロットを画定する細長フレームを備え、パッド付き部はスロットに入り込むように構成され、カートリッジは細長フレームと連結するように構成されている、実施例15に記載の超音波器具。
【0107】
(実施例17)
細長フレームは腎臓形スロットを備え、カートリッジは腎臓形スロットと嵌合するように構成されている脚部を更に備える、実施例16に記載の超音波器具。
【0108】
(実施例18)
細長フレームは第1穴を備え、カートリッジは第2穴を更に備え、エンドエフェクタはピンを更に備え、ピンは第1穴及び第2穴の中に嵌り、クランプパッドの少なくとも一部をクランプアームにしっかりと取り付けるように構成されている、実施例1〜17のいずれか1つ以上に記載の超音波器具。
【0109】
(実施例19)
超音波器具であって、(a)本体と、(b)超音波トランスデューサと音響的に連結するように構成されている音響導波管を備えるシャフトアセンブリと、(c)エンドエフェクタであって、(i)導波管と音響的に連通している超音波ブレード、(ii)シャフトアセンブリに枢動可能に連結されているクランプアーム、及び(iii)クランプパッド、を備える、エンドエフェクタと、を備え、クランプパッドとクランプアームとは、クランプアームがシャフトアセンブリに枢動可能に連結されている間に、クランプパッドをしっかりとクランプアームに取り付けるのを可能にするように構成され、クランプパッドとクランプアームとは、クランプアームがシャフトアセンブリに枢動可能に連結されている間に、クランプパッドがクランプアームから取り外されるのを可能にするように更に構成されている、超音波器具。
【0110】
(実施例20)
クランプパッドをクランプアーム上に装着し、クランプパッドをクランプアームから取り外すための器具であって、(a)第1端部及び第2端部を備える本体と、(b)第1端部に関連付けられたパッド装着部であって、クランプパッドを収容するように構成されている装着チャネルを備えるパッド装着部と、(c)第2端部に関連付けられたパッド取り外し部であって、(i)クランプアーム上に装着されたクランプパッドを受け入れるように構成されている取り外しチャネル、及び(ii)取り外し管内に配置され、クランプアームから、クランプパッドの少なくとも一部を、選択的に係合解除するように構成されている、パッド取り外し機能部、を備える、パッド取り外し部と、を備える、器具。
【0111】
VI.その他
明細書に記載される器具のいずれの変形形態も、本明細書で上述されるものに加えて、又はそれらの代わりに、種々の他の特徴を含んでもよいことを理解されたい。あくまで一例として、本明細書で説明する器具のいずれもが、本明細書において、参照することにより組み込まれる種々の参考文献のいずれかで開示される種々の特徴の1つ又は2つ以上を含むこともできる。本明細書の教示は、本明細書の引用文献のいずれかの教示と多数の方法で容易に組み合わせ得るため、本明細書の教示は、本明細書の他の引用文献のいずれかに記載される器具のいずれにも容易に適用され得ることが理解されよう。本明細書の教示が組み込まれ得る他の種類の器具が、当業者には明らかであろう。
【0112】
また、本明細書で言及する値の一切の範囲はかかる範囲の上下限を含むと読み取るべきであることを理解されたい。例えば、「約2.54センチメートル〜約3.8センチメートル(約1.0インチ〜約1.5インチ)」の範囲にわたると表現された範囲は、これらの上方及び下方境界の間の値を含むことに加えて、約2.54センチメートルと約3.8センチメートルと(約1.0インチと約1.5インチと)を含むと読まなければならない。
【0113】
参照により本明細書に援用されると言及されたいかなる特許、刊行物、又は他の開示内容も、全体的に又は部分的に、援用された内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載された他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に援用されることを認識されたい。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に援用されるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に援用されるものとするが、既存の定義、記載、又は本明細書に記載される他の開示文献と矛盾する任意の文献、又はそれらの部分は、援用文献と既存の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ援用されるものとする。
【0114】
上述の装置の変形形態は、医療専門家によって行われる従来の治療及び処置での用途だけでなく、ロボット支援された治療及び処置での用途も有することができる。あくまでも一例として、本明細書の様々な教示は、ロボット外科システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムに容易に組み込まれ得る。同様に、当業者には明らかとなることであるが、本明細書の種々の教示は、2004年8月31日公開の「Robotic Surgical Tool with Ultrasound Cauterizing and Cutting Instrument」と題された米国特許第6,783,524号(その開示は、本明細書において、参照することにより組み込まれる)の種々の教示と容易に組み合わされ得る。
【0115】
上述の変形形態は、1回の使用後に廃棄されるように設計されてもよく、あるいは、それらは、複数回使用されるように設計されてもよい。いずれか又は両方の場合において、変形形態は、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組立工程の任意の組み合わせを含み得る。特に、装置のいくつかの変形形態は分解することができ、また、装置の任意の数の特定の部材又は部品を、任意の組み合わせで選択的に交換するか又は取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換の際、装置のいくつかの変形例は、再調整用の施設で、又は手術の直前に操作者によって、その後の使用のために再組み立てされてもよい。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を使用できる点を認識するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、すべて本発明の範囲内にある。
【0116】
あくまで一例として、本明細書に記載される変形形態は、手術の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌法では、装置をプラスチック製又はTYVEK製のバックなどの閉鎖及び密封された容器に入れる。次いで、容器及び装置を、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置くことができる。放射線は、装置の表面及び容器内の細菌を死滅させることができる。この後、滅菌された装置を、後の使用のために、滅菌容器中で保管することができる。デバイスはまた、β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で既知の任意の別の技術を用いて滅菌され得る。
【0117】
以上、本発明の様々な実施形態を図示及び説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者による適切な改変により、本明細書に記載される方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかであろう。例えば、上記で論じた実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面において図示され、説明された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解されたい。
【0118】
〔実施の態様〕
(1) 超音波器具であって、
(a)本体と、
(b)シャフトアセンブリであって、前記本体から遠位側に延在し、音響導波管を備え、前記導波管は、超音波トランスデューサと音響的に連結するように構成されている、シャフトアセンブリと、
(c)エンドエフェクタであって、
(i)前記導波管と音響的に連通している超音波ブレード、
(ii)前記シャフトアセンブリと枢動可能に連結され、近位部及び細長遠位部を更に備えるクランプアーム、及び
(iii)前記クランプアームが前記シャフトアセンブリに枢動可能に連結されている間、前記クランプアームと取り外し可能に連結するように構成されているクランプパッド、を備える、エンドエフェクタと、を備える、超音波器具。
(2) 前記クランプアームの前記細長遠位部は、
(i)細長平坦面部と、
(ii)前記細長平坦面部に沿って延出する細長突出部と、を更に備える、実施態様1に記載の超音波器具。
(3) 前記クランプパッドは、前記細長平坦面部と前記細長突出部とを受け入れるように構成されているスリーブを更に備える、実施態様2に記載の超音波器具。
(4) 前記クランプアームは、一対の凹部を更に備え、前記スリーブは、前記一対の凹部と嵌合するように構成されている一対の節部を更に備える、実施態様3に記載の超音波器具。
(5) 前記クランプアームの前記細長遠位部は、狭隘部及び外向き突出ヘッドを更に備え、前記狭隘部は、前記突出ヘッドに対して近位側に配置されている、実施態様1に記載の超音波器具。
【0119】
(6) 前記クランプパッドは、前記突出ヘッド上を摺動するように構成されているエラストマー管を更に備える、実施態様5に記載の超音波器具。
(7) 前記クランプアームは、開口部を画定するフレームを更に備え、前記クランプパッドは、パッド部と、前記パッド部の上方に延在する嵌合部とを更に備え、前記嵌合部は、前記開口部を通って延在するように構成されている、実施態様1に記載の超音波器具。
(8) 前記エンドエフェクタは、前記クランプパッドの前記嵌合部と係合するように構成されているスライド式ロックを更に備える、実施態様7に記載の超音波器具。
(9) 前記クランプアームは、前記細長遠位部の周りの第1ねじ付き部を更に備え、前記クランプパッドは、前記第1ねじ付き部と噛合するように構成されている第2ねじ付き部を更に備える、実施態様1に記載の超音波器具。
(10) 前記クランプアームは、前記クランプパッドの近位端に係合して前記クランプパッドを前記クランプアームに対して配向させるように構成されている停止機能部を更に備える、実施態様9に記載の超音波器具。
【0120】
(11) 前記クランプパッドの遠位端は、前記クランプアームの遠位端に選択的に係合し、前記クランプパッドを前記クランプアームに対して配向させるように構成されている、実施態様9に記載の超音波器具。
(12) 前記クランプパッドは、折り畳み可能なタブを更に備える、実施態様1に記載の超音波器具。
(13) 前記クランプアームは、床部を備える凹部を更に備え、前記クランプアームは、前記凹部の前記床部の中に延びるスロットを更に備える、実施態様12に記載の超音波器具。
(14) 前記折り畳み可能なタブは、前記凹部の前記床部に当たるよう折り畳まれるように構成されている、実施態様13に記載の超音波器具。
(15) 前記クランプパッドは、パッド付き部と、前記パッド付き部に固定されるカートリッジとを更に備える、実施態様1に記載の超音波器具。
【0121】
(16) 前記クランプアームはスロットを画定する細長フレームを備え、前記パッド付き部は前記スロットに入り込むように構成され、前記カートリッジは前記細長フレームと連結するように構成されている、実施態様15に記載の超音波器具。
(17) 前記細長フレームは腎臓形スロット(kidney slot)を備え、前記カートリッジは前記腎臓形スロットと嵌合するように構成されている脚部を更に備える、実施態様16に記載の超音波器具。
(18) 前記細長フレームは第1穴を備え、前記カートリッジは第2穴を更に備え、前記エンドエフェクタはピンを更に備え、前記ピンは前記第1穴及び前記第2穴の中に嵌り、前記クランプパッドの少なくとも一部を前記クランプアームにしっかりと取り付けるように構成されている、実施態様1に記載の超音波器具。
(19) 超音波器具であって、
(a)本体と、
(b)超音波トランスデューサと音響的に連結するように構成されている音響導波管を備えるシャフトアセンブリと、
(c)エンドエフェクタであって、
(i)前記導波管と音響的に連通している超音波ブレード、
(ii)前記シャフトアセンブリに枢動可能に連結されているクランプアーム、及び
(iii)クランプパッド、を備える、エンドエフェクタと、を備え、
前記クランプパッド及び前記クランプアームは、前記クランプアームが前記シャフトアセンブリに枢動可能に連結されている間に、前記クランプパッドが前記クランプアームにしっかりと取り付けられるのを可能にするように構成され、
前記クランプパッド及び前記クランプアームは、前記クランプアームが前記シャフトアセンブリに枢動可能に連結されている間に、前記クランプパッドが前記クランプアームから取り外されるのを可能にするように更に構成されている、超音波器具。
(20) クランプパッドをクランプアーム上に装着し、クランプパッドをクランプアームから取り外すための器具であって、
(a)第1端部及び第2端部を備える本体と、
(b)前記第1端部に関連付けられたパッド装着部であって、前記クランプパッドを収容するように構成されている装着チャネルを備えるパッド装着部と、
(c)前記第2端部に関連付けられたパッド取り外し部であって、
(i)クランプアーム上に装着されたクランプパッドを受け入れるように構成されている取り外しチャネル、及び
(ii)前記取り外し管内に配置され、前記クランプアームから、前記クランプパッドの少なくとも一部を、選択的に係合解除するように構成されている、パッド取り外し機能部、を備える、パッド取り外し部と、を備える、器具。
図1
図2
図3
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図5
図6A
図6B
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図12A
図12B
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図22D
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図26B
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