特許第6862429号(P6862429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6862429ドリルビット上を摺動するプローブを含む一体形深さゲージを有する、動力外科用ドリル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862429
(24)【登録日】2021年4月2日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】ドリルビット上を摺動するプローブを含む一体形深さゲージを有する、動力外科用ドリル
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/16 20060101AFI20210412BHJP
【FI】
   A61B17/16
【請求項の数】19
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2018-511615(P2018-511615)
(86)(22)【出願日】2016年9月1日
(65)【公表番号】特表2018-526124(P2018-526124A)
(43)【公表日】2018年9月13日
(86)【国際出願番号】US2016049899
(87)【国際公開番号】WO2017040783
(87)【国際公開日】20170309
【審査請求日】2019年8月27日
(31)【優先権主張番号】62/213,916
(32)【優先日】2015年9月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506410062
【氏名又は名称】ストライカー・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】カルシロ,スティーヴ
【審査官】 北川 大地
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102011111671(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0059317(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリルビット(450)を作動させるための外科用ドリル(50、50a)であって、
ハウジング(52、582)と、
前記ハウジング内に配置されたモータ(60、60a)と、
前記ハウジング内に回転自在に配置され、また、前記モータの前記作動によりロータの回転がもたらされるように前記モータの一部とされるかまたは前記モータに接続される、ロータ(110)であって、向かい合った近位端部および遠位端部を有する、ロータ(110)と、
前記ハウジング内に配置された継手組立体(174、184、186、218)であって、前記ロータの回転に応じてドリルビットが回転するように、生体組織にボアを形成するように構成された前記ドリルビット(450)を前記ロータ(110)に解放可能に結合するように構成された、継手組立体(174、184、186、218)と、
前記ハウジングから前方に延在するように前記ハウジングに摺動可能に取り付けられているプローブ(380)であって、組織に接触して配置されるように適合された遠位端部を有するプローブ(380)と、
前記ドリルビット(450)が組織内に進められるときに、前記ハウジング(52、582)が前記プローブ(380)の前記遠位端部に対して移動した距離を表す信号を生成するために、前記ハウジングに取り付けられた、トランスデューサ組立体(260)と、
を含み、
前記ロータ(110)が、前記ドリルビット(450)の近位セクションおよび前記プローブ(380)の近位セクションを受け入れる寸法となされたボア(117)を有して形成され、
前記継手組立体(174、184、186、218)が、前記ドリルビット(450)が前記モータロータ(110)に結合されるときに、前記ドリルビットの近位セクションが前記ロータの前記近位端部に結合され、また、前記ドリルビットが前記ロータボア(117)を貫通し、また、前記ドリルビットが前記ロータの前記遠位端部から出て前記ドリルビットが当てられる前記組織に向かって前方に延在するように、前記ロータ(110)の前記近位端部に隣接して前記ハウジング内に配置され、
前記プローブが、前記ロータ(110)の前記ボア(117)内で長手方向に移動することができる近位セクションと、前記ドリルビット(450)の遠位端部に隣接して配置されるように前記ロータの前方に延在する遠位セクションと、を有するように前記ハウジング(52、582)に取り付けられる、
外科用ドリル(50、50a)。
【請求項2】
前記継手組立体が、
前記ハウジング(52、582)内に回転自在に配置されるスピンドル(174)であって、前記ドリルビットが前記スピンドルと一致して回転するように前記ドリルビット(450)を受け入れるように構成された特徴を有し、また、前記ロータの前記作動に応じて回転するように前記ロータに接続される、スピンドル(174)と、
前記ドリルビットを前記スピンドル(174)に解放可能に結合する保持機構(184)と
を含む、請求項1に記載の外科用ドリル(50、50a)。
【請求項3】
前記ロータ(110)および前記スピンドル(174)が、互いに分かれており、
伝動装置(142)が、前記ロータ(110)と前記スピンドル(174)との間に接続されて、前記ロータの前記回転に応じて前記スピンドルが回転するように、前記ロータの前記回転運動を前記スピンドルに伝達する、
請求項2に記載の外科用ドリル(50、50a)。
【請求項4】
前記伝動装置(142)が、前記ロータ(110)と前記スピンドル(174)との間に配置され、かつ、前記伝動装置が、前記ドリルビット(450)が貫通する貫通ボア(150、162)を有して形成される、請求項3に記載の外科用ドリル(50、50a)。
【請求項5】
前記伝動装置(142)は、前記スピンドルが前記ロータ(110)の回転速度に満たない速度で回転するように、前記スピンドル(174)の回転速度を減じるように構成される、請求項3または4に記載の外科用ドリル。
【請求項6】
前記プローブが、前記ドリルビット(450)を円周方向に包囲するカニューレ(380)である、請求項1から5のいずれか1項に記載の外科用ドリル(50、50a)。
【請求項7】
前記トランスデューサ組立体(260)が、
前記ハウジング(52、582)に移動可能に取り付けられる可動部材(36)であって、前記プローブ(380)に係合しかつ前記プローブに対する前記ハウジングの運動に応じて移動するように構成された、可動部材(36)と、
前記可動部材の運動に応じて可変信号を生成するように構成された、前記可動部材に接続されたトランスデューサ(360)と
を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の外科用ドリル(50、50a)。
【請求項8】
前記可動部材(326)が、前記プローブに対する前記ハウジングの運動に応じて回転するように、前記ハウジングに回転自在に取り付けられる、請求項7に記載の外科用ドリル(50、50a)。
【請求項9】
前記プローブ(380)が、歯(386)を有して形成され、
前記可動部材(326)が、前記プローブの前記歯に係合する歯車である、
請求項8に記載の外科用ドリル。
【請求項10】
前記トランスデューサ(360)が、電位差計である、請求項7、8、または9のいずれか1項に記載の外科用ドリル(50、50a)。
【請求項11】
前記ハウジング(52、582)に取り付けられるプロセッサ(408)およびディスプレイ(410)をさらに含み、前記プロセッサが、前記トランスデューサ組立体(260)からの前記信号を受信し、かつ、前記信号に基づいて、前記ドリルビット(450)によって形成された前記ボアの前記深さの指標を前記ディスプレイ(410)上に提示させるように構成される、請求項1から10のいずれか1項に記載の外科用ドリル(50、50a)。
【請求項12】
前記ハウジング(52、582)と前記プローブ(380)との間に延在して、前記プローブの前記遠位端部を前記ハウジングから離すように前方に付勢する力を前記プローブに与える付勢部材(364)をさらに含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の外科用ドリル(50、50a)。
【請求項13】
前記モータ(60、60a)が、巻線(85)を含む電気モータであり、前記ボア(117)を有する前記ロータ(110)が、前記モータ巻線内に配置され、磁石(118)が、前記ロータ(110)に取り付けられ、それにより、前記ロータが前記モータ(60、60a)の前記ロータとして機能する、請求項1から12のいずれか1項に記載の外科用ドリル(50、50a)。
【請求項14】
ドリルビット(450)を作動させるための外科用ドリル(50、50a)であって、
遠位に向けられた面を有して形成されたハウジング(52、582)と、
前記ハウジング内に配置されたモータ(60、60a)と、
前記モータの作動に応じてドリルビットが回転するように、生体組織にボアを形成するように構成された前記ドリルビット(450)を前記モータ(60、60a)に解放可能に接続するように構成された、前記ハウジング内に配置された継手組立体(184、186、218)と、
前記ハウジングから前方に延在するように前記ハウジングに摺動可能に取り付けられているプローブ(380)であって、位端部を有し、前記ハウジング(52、582)の内部にブッシュ(316)が存在し、前記ブッシュが、前記プローブが摺動することを可能にすると同時に少なくとも1cmの長さにわたって前記プローブの横方向運動を抑制するように構成された、プローブ(380)と、
前記ドリルビット(450)が組織内に進められるときに、前記ハウジング(52、582)が前記プローブ(380)の前記遠位端部に対して移動した距離を表す信号を生成するために、前記ハウジングに取り付けられた、トランスデューサ組立体(260)と、
を含み、
前記ハウジングが、前記ハウジングの前記遠位に向けられた面に開口部(321)が存在するように形成され、
前記継手組立体(184、186、218)が、ドリルビットが前記ハウジングの前記遠位に向けられた面の前記開口部から前方に延在するように、前記ドリルビットを前記ハウジングに対して保持するように位置決めされ、
前記プローブ(380)が、それを通って前記ドリルビットが前記ハウジングから前方に延在する前記ハウジングの前記遠位に向けられた面の前記開口部(321)から外へ延在するように、前記ハウジングに摺動可能に取り付けられること
を特徴とする、外科用ドリル(50、50a)。
【請求項15】
前記ブッシュ(316)が、足部(318)および頭部(324)を含み、前記足部(318)および前記頭部(324)が、互いに離間し、かつ、前記プローブの前記横方向運動を抑制するために前記プローブ(380)に接触する、請求項14に記載の外科用ドリル(50、50a)。
【請求項16】
前記ドリルビット(450)および前記プローブ(380)が貫通する前記ハウジングの前記開口部が、前記ブッシュ(316)に形成された開口部(321)である、請求項14または15に記載の外科用ドリル(50、50a)。
【請求項17】
前記プローブ(380)が、前記ドリルビット(450)から外方に最大で5mm突出する、請求項14から16のいずれか1項に記載の外科用ドリル(50、50a)。
【請求項18】
前記ドリルビット(450)および前記プローブ(380)が貫通する前記開口部(321)が、前記トランスデューサ組立体(260)に形成された開口部である、請求項14から17のいずれか1項に記載の外科用ドリル(50、50a)。
【請求項19】
前記ハウジングが、近位端部を有するバレルを備え、前記継手組立体が、前記バレルの前記近位端部内に前記ドリルビットを保持するように位置決めされる、請求項14から17のいずれか1項に記載の外科用ドリル(50、50a)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、動力外科用ドリルに関する。本発明の動力外科用ドリルは、深さゲージを含み、この深さゲージは、ボア深さを測定するものであり、また、この深さゲージは、関連するドリルビットが押し込まれる組織の眺めに顕著に干渉することはない。
【背景技術】
【0002】
整形外科において使用される動力外科用ツールの1つのタイプが、外科用ドリルである。このタイプのツールは、モータを収容するハウジングを含む。やはりドリルの一部である継手組立体が、モータの作動に応じてドリルビットが回転するように、ドリルビットをモータに対して解放可能に保持する。その名称によって暗示されるように、外科用ドリルは、ドリルビットが当てられる組織にボアを穿つ。ボアを穿つことが必要とされる外科的処置の1つのタイプが、骨折を修復するための外傷処置である。このタイプの処置では、骨の骨折した部分を合わせて保持するために、釘と呼ばれることもある細長いロッドが使用される。釘を所定の位置に保持するために、1つまたは複数のボアが骨に穿たれる。これらのボアは、釘に形成された相補的な穴と一致するように位置決めされる。それぞれの位置合わせされたボアと釘穴に、ねじが挿入される。ねじは、骨に対して適切な位置に釘を保持する。
【0003】
別のタイプの処置では、プレートとして知られるインプラントが、骨の骨折した部分の外表面に固定されて、それらの部分を合わせて保持する。ねじが、プレートを骨の分離した部分に固定する。プレートを骨に固定するねじを取り付けるために、ねじを受け入れるためのボアを最初に穿つ必要がある。
【0004】
ねじを受け入れるボアを骨に穿つために用いられる処置の一部として、ボアの端から端までの深さ(end−to−end depth)を知ることが望ましい。この情報により、外科医は、ボアホール内に嵌合されるねじのサイズを選択することができる。ねじが過度に短い場合、ねじは、そのねじが挿入される釘を所定の位置にしっかりと保持することができない。ねじが過度に長い場合、ねじは、骨を越えて必要以上の距離延在する可能性がある。ねじが骨を越えて必要以上の距離延在した場合、ねじの露出端は、周辺の組織と擦れ合う可能性がある。そのような事象が生じた場合、ねじと擦れ合う組織は、損傷する恐れがある。
【0005】
したがって、多くの骨ボア形成処置に必須の要素は、ボアの深さを測定することである。現在、この測定は、ドリルとは別体の深さゲージを用いて行われることが多い。これは、外科医がドリルビットをボアから引き抜いた後でボアに深さゲージを挿入することを必要とする。次いで、外科医は、触覚フィードバックに基づいて、ゲージの遠位端部がちょうどボアの遠い方の開口部まで延在するように、ゲージをセットする。それらの過程が完了すると、外科医はゲージを読み取って、ボアの深さを確定する。
【0006】
この処置の欠点は、ボアが形成された後に、深さゲージをボアに挿入すること、ボア深さが正確に測定されることを確実にするためにゲージを適切に位置決めすること、ゲージを読み取ってボア深さを確定すること、および、ゲージを引き抜くことのために、外科医が時間を割かなければならないことである。これらのサブステップを行わなければならないことは、外科処置を行うのにかかる全体的な時間を増大させる。したがって、これらのサブステップを行わなければならないことは、現代の外科診療の方針の1つ、すなわち、内部組織が周囲環境にさらされる時間、したがって感染を受けやすくなる時間を最小限に抑えることと、患者の麻酔への暴露を減らすこととのために、処置は可能な限り迅速に行われるべきであるという方針に反する。
【0007】
ボア深さを測定するのにこの余計な時間を費やさなければならないという状態を避けるために、組み込みの深さゲージを含む外科用ドリルが提案されてきた。このタイプのドリルは、典型的には、ドリルハウジングに摺動可能に取り付けられるロッドを含む。ロッドは、ドリルビットと平行になるように、また、ドリルビットから離間されるように、位置決めされる。ロッドの遠位端部に頭部が配置される。頭部は、ドリルビットの周りに着座するように位置決めされる。このドリルが使用されるとき、ドリルは、ロッドが延長されている間、その周りでボアが形成される骨に頭部が押し当てられるように、位置決めされる。ボアが形成されるとき、頭部およびロッドは静止したままである。ドリルは、頭部に向かって移動する。ドリルに取り付けられたセンサが、ロッドに対するドリルの動きを監視する。ドリルの動きに関するセンサからの測定値は、ボアの深さの測度として使用される。
【0008】
上記のタイプのドリルは、組織にボアを形成するのと同時に、ボア深さの測度を提供することができる。このタイプのドリルに関する問題は、0.5cm以上の距離をドリルビットから離間されるロッド、および、0.8cm以上の直径を有し得る頭部が、ドリルビットが押し当てられる組織に対する外科医の視界を遮ることである。したがって、この特定のタイプのドリルは、ボアを形成すると同時にボア深さの測度を提供するための一般的なデバイスであるとは証明されなかった。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、組織にボアを穿つこととボア深さの測度を提供することとを同時に行うことができる、新規かつ有用なドリルに関する。本発明のドリルは、深さを測定する構成要素が、ドリルビットが当てられる組織の視野を顕著に遮ることがないように、設計される。本発明のさらなる特徴は、深さを測定する構成要素を収容するために、骨に隣接した切り込みのサイズを外科医が大幅に拡大しなくてもよい、深さを測定する構成要素の存在である。
【0010】
本発明のドリルは、ドリルハウジングから延在するドリルビットを含む。ドリルはまた、深さゲージを含む。深さゲージの1つの構成要素は、ドリルビットに極めて接近するようにハウジングに摺動可能に取り付けられる、細長いプローブである。本発明の多くのバージョンでは、プローブは、ドリルビット上に延在する、チューブ、カニューレである。
【0011】
ドリルビットに対するプローブの接近位置を促進するために、ドリルビットは、ドリルビットを回転させる回転モーメントを提供するカニューレ状ロータ(cannulated rotor)から、前方に延在する。ロータのボア内には、プローブの近位部分を受け入れる寸法となされた空所が存在する。本発明のこのバージョンでは、ドリルビットは、ロータの近位端部に取り付けられた継手組立体に取り付けられる。本発明のいくつかのバージョンでは、ロータは、モータの内部にあるロータである。本発明の他のバージョンでは、このロータは、モータから分かれている。モータシャフトが回転することにより、ドリルビットを回転させかつプローブの近位端部を受け入れるロータの回転がもたらされるように、歯車組立体が、モータの回転シャフトをこのロータに接続する。
【0012】
したがって、本発明のドリルは、そこからドリルビットも延在するドリル内の同じ開口部を通ってプローブがドリルから前方に延在するように、設計される。
【0013】
深さゲージは、ドリルハウジングに取り付けられるセンサを含む。センサは、ハウジングに対するプローブの遠位端部の位置を表す信号を生成する。実際には、本発明のドリルが使用される場合、ハウジングは、プローブに対して移動する。ドリルビットの遠位端部は、ハウジングに対して長手方向の位置に位置する。したがって、ハウジングの移動を表すセンサによる信号出力は、ボア深さの測度として使用される。
【0014】
本発明のドリルのさらなる特徴は、たとえボアが形成された後でドリルビットが患者への進入を続けても、ドリルがボア深さの測度を提供することである。本発明のドリルは、ドリルの少なくとも1つの構成要素によって生成される信号を監視することにより、このボア深さの測度を提供する。本発明の1つのバージョンでは、このボアの端の判定(end−of−bore determination)は、センサ信号を監視することによってなされる。より具体的には、センサ信号は、ドリルビットの深さの顕著な変化があったことを信号が示しているかどうかを判定するために監視される。本発明の他のバージョンでは、ボアの端の判定は、ドリルビットを駆動するドリルの内部のモータによるトルク出力、またはドリルビットの速度の変化を監視することによってなされる。
【0015】
ドリルの状態の急変があったことを示す信号に基づき、深さゲージを形成する構成要素は、ボア深さの測定を停止する。
【0016】
本発明は、特許請求の範囲で詳細に示される。本発明の上記その他の特徴および利点は、添付の図面と併せ、以下の発明を実施するための形態から理解される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の外科用ドリルの斜視図である。
図2】ドリルの近位端部の斜視図である。
図3】ドリルの断面図である。
図3A】ドリルのバレルの近位端部の拡大断面図である。
図4】ドリル内部のモータの断面の部分的な斜視図である。
図5】モータ前キャップの斜視断面図である。
図6】モータ後キャップの斜視断面図である。
図7】積層スタックスリーブおよびスタック内に配置された巻線の斜視図である。
図8】モータ内部のロータの断面の部分的な斜視図である。
図9】モータロータに取り付けられた出力シャフトの斜視図である。
図10】歯車列の遠位に向けられた構成要素が見られる、ドリル内部の歯車列、および取り付けられた駆動スピンドルの斜視図である。
図11】歯車列の近位に配置された構成要素が見られる、ドリル内部の歯車列の一部分、および取り付けられた駆動スピンドルの斜視図である。
図12】歯車列の近位部分、および歯車列に取り付けられた駆動スピンドルの断面図である。
図13】ドリル内部のロックリングの斜視図である。
図14】駆動スピンドルおよびロックリングの断面図である。
図15】ロックアクチュエータ、およびロックアクチュエータを変位させるために使用されるボタンの分解組立図である。
図16】ドリル本体に対するカニューレの変位を監視するトランスデューサ組立体の部分的に分解された図である。
図17】トランスデューサ組立体の断面図である。
図18】トランスデューサ組立体の構成要素の斜視図である。
図19】トランスデューサ組立体の内部の分解組立図である。
図20】トランスデューサ組立体のためのハウジングの右側外殻の内部の斜視図である。
図21】トランスデューサ組立体のためのハウジングの左側外殻の内部の斜視図である。
図22】トランスデューサ組立体の内部にあるブッシュの斜視図である。
図23】トランスデューサ組立体の内部にあるシャフトの斜視図である。
図24】本発明のドリルの一部であるカニューレの斜視図である。
図25】ドリルの信号処理構成要素のうちのいくつかの部分的な概略ブロック図である。
図26】本発明のドリルに使用されるドリルビットの斜視破断図である。
図27A】指標ボア深さを提供するために電気的構成要素によって行われる処理ステップの流れ図である。
図27B】指標ボア深さを提供するために電気的構成要素によって行われる処理ステップの流れ図である。
図28】経時的なボア深さのプロットである。
図29】ドリルガイドがどのようにしてドリルビットに嵌合され得るかを示す斜視図である。
図30図29のドリルガイドの断面図である。
図31】本発明の代替的なドリルハウジングの一部分の斜視図である。
図32】本発明の代替的なドリルの断面図である。
図33図32の代替的なドリルの内部にある静的なカニューレの斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1図3は、本発明の外科用ドリル50、および、ドリル50から延在しかつドリル50によって回転されるドリルビット450を示す。ドリル50は、ハウジング52を含む。本発明の例示されたバージョンでは、ドリルハウジング52は、ピストルの形状である。ハウジング52は、グリップ54を有する。同じくハウジング52の一部であるバレル56が、グリップ54の上方に配置され、かつ、グリップ54から離れるように近位に延在する。(「近位に」は、ドリル50を保持する施術者に向かうこと、すなわち、ドリルビット450が当てられる部位から離れることを意味すると理解される。「遠位に」は、ドリル50を保持する施術者から離れること、すなわち、ドリルビット450が当てられる部位に向かうことを意味すると理解される)。モータ60が、ハンドピースバレル56内に配置される。ドリルビット450は、モータによって回転されるようにモータ60に接続される。ディスプレイ410が、バレル56の近位端部に取り付けられる。
【0019】
モータ60の電源を入れるための電力は、典型的には、ハンドグリップ54の台尻に取り付けられた電池(図示せず)によって提供される。1つのそのような電池が、本出願人の米国特許出願公開第2007/0090788号/PCT公開WO2007/050439で開示されており、その内容は参照により本明細書に明示的に組み込まれる。電力は、制御卓とドリル50との間に延びるケーブルを通じて制御卓から供給されてもよい。1つのそのような制御卓が、本出願人の米国特許出願公開第2006/0074405号/PCT公開WO2006/039331で開示されており、その内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0020】
手動操作可能なトリガ138,139が、バレル56の遠位端部の下方でハンドグリップ54から前方に延在する。ハンドグリップ54の内部には、制御モジュール140が存在する。制御モジュール140の内部には、モータ60の状態ならびにトリガ138,139の変位の両方を監視するセンサ(図示せず)が存在する。センサによって生成された信号に基づき、制御モジュール140は、電源からの通電信号をモータ巻線85(図7)に選択的に印加して、モータ60の所望される作動を引き起こす。モータ60の作動を管理する構成要素を含む制御モジュール140の構造は、本発明に含まれない。制御モジュール140の設計に関するさらなる理解は、米国特許出願公開第2007/0085496号/PCT公開WO2007/002180から得ることができ、その内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0021】
本発明の外科用ドリル50はまた、ドリルビット450に極めて接近して配置されるプローブを含む。本発明の例示されたバージョンでは、プローブは、ドリルビット450の周囲を取り囲む、チューブ形状のカニューレ380である。カニューレ380は、ドリルハウジング52に摺動可能に取り付けられる。ドランスデューサ組立体260(図16)が、ドリルハウジング52に対するカニューレ380の遠位端部の位置を表す信号を生成する。これらの信号に基づき、ドリル50と一体の他の構成要素が、ドリルビット450によって形成されたボアの深さを示すデータをディスプレイ410上に提示させる。
【0022】
モータ60は、図4で明らかなように、前キャップ62および後キャップ92を含み、後キャップ92は、前キャップ62と軸方向に位置合わせされ、かつ、前キャップ62から遠位に離間される。前キャップ62は、図5で明らかなように、チューブ様の形状のリム66を含む。大きい外径を有するリム66の近位セクションと小さい外径を有するリム66の遠位セクションとの間の段は、識別されていない。図5では2つの足部が見られる、等角度に離間された3つの足部64が、リム66の近位端部から近位に突出する。プレート68が、リム66の遠位端部上に延在する。ボス70が、プレート68から前方に延在する。ボス70は、ボア72を画定するように形成され、ボア72は、ボスの遠位端部から延在し、かつ、リム66によって画定された円筒形空洞内に開口する。前キャップ62はまた、チューブ形状のスリーブ74を画定するように形成される。スリーブ74は、プレート68の近位に向けられた面から近位に延在する。前キャップ62は、スリーブ74が、ボア72に通じるプレート68内の開口部から径方向外方に離間されるように、形成される。リム66によって画定された空間とともに配置されるスリーブ74は、リムの内側円筒壁から径方向内方に離間される。
【0023】
後キャップ92は、図6で最も良く分かるように、チューブ様の外側スリーブ94を含む。外側スリーブ94は、前キャップリム66の外径および内径にそれぞれ実質的に等しい外径および内径を有する。2つの足部が例示されている、等角度に離間された3つの足部93が、外側スリーブ94の遠位端部から前方に延在する。後キャップ92はまた、内側スリーブ98を含む。内側スリーブ98は、外側スリーブ94内に配置され、かつ、外側スリーブ94から径方向内方に離間される。同じく後キャップ92の一部である、環状に成形されたウェブ96が、スリーブ94および98の近位端部間に延在して、スリーブ同士を接続する。ウェブ96から前方に遠位に延在する内側スリーブ98は、外側スリーブ94よりも長さが短い。リップ102が、内側スリーブ98の遠位端部から径方向内方に突出する。
【0024】
次いで図7を参照することにより説明されるチューブ形状の積層スタック78は、前キャップ62と後キャップ92との間に配置される。積層スタック78は、積層鋼から形成される。1つのそのような鋼は、Wyomissing、Pennsylvania、United StatesのCarpenter Technology Corporationから入手可能であるCarpenter High Permeability “49” Alloyとして知られるニッケル−鉄合金である。積層スタック78の外壁は、全体的に円筒形である。積層スタック78の外壁は、前66のリム66および後キャップ92の外側スリーブ94の共通の直径におおよそ等しい直径を有する。等角度に離間されて長手方向に延在する3つの溝80が、積層スタック78の外表面から内方に延在する。モータ60が組み立てられると、前キャップ62の近位に向けられた足部64は、溝80の遠位端部内に着座する。後キャプ92の一部である遠位に向けられた足部93は、溝80の近位端部内に着座する。
【0025】
積層スタック78はさらに、複数の溝82がスタックの内表面から内方に延在するように形成される(1つの溝82が識別されている)。モータ巻線85は、そのうちの2つの端部が図7に例示されているが、溝82内に着座される。巻線85は、積層スタック78の向かい合った近位端部および遠位端部を越えて外方に延在する。モータ60が組み立てられると、巻線85のうちの積層スタック78から近位に延在する部分は、後キャップ92の外側スリーブ94と内側スリーブ98との間の環状の空所内に延在する。巻線85のうちの積層スタック78の遠位端部から前方に突出する部分は、前キャップ62のリム66とスリーブ74との間の環状の空所内に着座する。
【0026】
図8で最も良く分かる、モータ60のロータ110は、チューブ様の形状である。ロータ110は、近位端部に足部112を有する。足部112は、後キャップ92の内部にあるリップ102の内表面によって画定された円形の空間内で足部が自由に回転することを可能にする直径を有する。ロータ110は、足部112の前方に胴部114を有する。胴部114は、ロータ110を貫く長手軸に直角をなす断面において多角形に見える外表面を有するように、成形される。胴部114が有する面115の数は、以下で論じられる胴部上に配置される磁石118の数に対応する。図8では、1つの面115の縁部が識別されている。胴部114の外面115は、足部112の外表面から径方向外方に配置される。ロータ110はさらに、胴部114の前方に延在する頭部116を有するように成形される。ロータ頭部116は、隣接する胴部114の面115から径方向内方に配置される外径を有する。ボア117が、足部112の近位端部から頭部116の遠位端部までロータ110を軸方向に貫通する。
【0027】
等角度に離間された複数の磁石118が、胴部114の外表面に接触して配置される。各磁石118は、胴部114の複数の外面115のうちの別々の外面115上に配置される。本発明の例示されたバージョンでは、6つの磁石118が、胴部114上に配置される。6つの磁石118のうちの3つが、図8に見られる。チューブ形状のスリーブ120が、磁石118を取り囲む。スリーブ120は、磁石118をロータ110に対して保持する。
【0028】
軸受組立体122,124が、積層スタック78を貫通するボア内でロータ110を回転自在に保持する。(軸受組立体122および124の内側軌道輪および外側軌道輪は例示されていない)。軸受組立体122の内側軌道輪は、ロータ足部112に接触して着座される。軸受組立体122の外側軌道輪は、後キャップ92と一体の内側スリーブ98の内側円筒形表面に接触して着座される。軸受組立体124の内側軌道輪は、ロータ頭部116に接触して着座される。軸受組立体124の外側軌道輪は、前キャップ62の内部にあるスリーブ74の内側円筒形表面に接触して着座される。
【0029】
図9で最も良く分かる出力シャフト128が、ロータ110から後方に、近位に延在する。出力シャフト128は、チューブ様のステム130を有する。ステム130は、ロータ110の内部にあるボア117内に圧縮嵌めされる寸法となされる。頭部132が、ステム130の近位端部に配置される。頭部132は、ステム130を越えて径方向外方に延在する歯134を有し、2つの歯が識別されている。
【0030】
本発明のドリル50が組み立てられると、出力シャフト128の頭部132がモータ後キャップ92の近位端部のすぐ後ろに配置されることが、図3Aから見て取れる。チューブ様のモータナット136が、後キャップ92上に延在し、かつ、後キャップ92から後方に突出する。モータナット136の外表面のうちの1つは、図4に見られるねじ切り部137を有して形成される。モータナット136のねじ切り部137は、ハウジング52のバレル56の内表面上の相補的なねじ切り部と係合する。(ハウジングのねじ切り部は図示せず)。モータナット136は、モータ60、および以下で説明される歯車列142を、ハウジングバレル56内に保持する。
【0031】
その構成要素が図10図12で最も良く分かる、伝動装置と呼ばれることもある歯車列142は、モータロータ110の回転モーメントをドリル450に伝達する。本発明の例示されたバージョンでは、歯車列142は、2つの遊星歯車組立体から成る。1つの遊星歯車組立体は、第1のディスク形状のキャリア148を含む。等角度に離間された3つの遊星歯車146が、キャリアの遠位に向けられた面から前方に延在するように、キャリア148に回転自在に取り付けられる。ボア150が、キャリア148の中心を貫通する。キャリアの近位に向けられた面の後方に配置された、キャリア148と一体の太陽歯車は、例示されていない。
【0032】
第2の遊星歯車組立体は、第2のディスク形状のキャリア、キャリア156を含む。図11ではそのうちの2つが識別されている、等角度に離間された3つの遊星歯車154が、キャリア156の遠位に向けられた面に隣接するように、キャリア156に回転自在に取り付けられる。ボス158が、キャリア156の近位に向けられた面から後方に突出する。キャリア156はさらに、中心に配置されたボア162を有するように形成される。ボア162は、キャリア156を貫通し、かつ、ボス158を部分的に貫通する。ボア162の様々なセクションは識別されていない。ボア162は、ボス158内に形成されたカウンターボア164内に開口する。ボア162よりも直径が大きいカウンターボア164は、ボス158の近位端部まで延在する。
【0033】
キャリア156は、ボア162の開口端のすぐ近位に溝165を有し、この溝165は、ボア162を画定するキャリアの内表面から径方向外方に延在する。Oリング166が、溝165内に着座されて、ボア162内に突出する。Oリング166は、以下で説明される静的なカニューレ602(図33)とキャリア156との間のシールとして機能する。
【0034】
歯車列142はまた、図3Aでのみ識別されているスリーブ170を含む。スリーブ170は、後キャップ92に接触し、かつ、後キャップ92から離れるように近位に延在する。スリーブ170は、遊星歯車組立体を受け入れる寸法となされる。スリーブ170の内表面は、歯を有して形成される(歯は識別されていない)。歯車列140が組み立てられると、遊星歯車146および154の歯は、スリーブ170と一体の歯に係合する。したがって、スリーブ170は、両方の遊星歯車組立体の単一の静的な輪歯車として機能する。
【0035】
ドリル50が組み立てられると、歯車列142は、モータ60のすぐ近位に配置される。出力シャフトの頭部132は、遊星歯車146間に着座され、かつ、遊星歯車146と係合する。したがって、出力シャフト頭部132は、第1の遊星歯車組立体のための太陽歯車として機能する。本発明のいくつかのバージョンでは、歯車列132は、出力シャフト128に対するボス158の速度比がおおよそ1:10から1:20になるように、回転速度を低下させる。
【0036】
同じく図10図12に見られるスピンドル174が、遊星歯車組立体のボス158に取り付けられて、ボスと一致して回転する。スピンドル174は、チューブ様の形状である。スピンドル174は、ボス158の内部にあるカウンターボア164内へのスピンドルの圧入を促進する外径を有する。スピンドル174は、ボア176を有するように形成され、ボア176は、ボアの向かい合った近位端部と遠位端部との間で、スピンドルを貫いて軸方向に延在する。スピンドル174は、近位端部のすぐ前方で歯178がボア176内へと内方に突出するように、形成される。歯178は、ボア176の全長の約3分の1に等しい距離だけ延在する。歯178の遠位では、ボア176は滑らかな壁とされる。
【0037】
スピンドル174はさらに、2つの側ボア180を有するように形成される。側ボア180は、ボア178を貫く長手軸に対して互いに直径方向に向かい合う。側ボア180は、歯178の遠位端部から前方に短い距離離れた所に配置される。各側ボア180は、スピンドルの外表面からボア176内まで延在する。各側ボア180は、開口部の外表面から径方向内方に延在するとともにボア180の直径が減少するような形状を有する。溝181が、スピンドル174の外表面を囲んで内方および円周方向に延在する。溝181は、スピンドル174の近位端部から前方に1cm未満の短い距離離れた所に配置される。
【0038】
次に、図13および図14を参照することにより、ドリルビット450をドリル50に対して解放可能に保持する継手組立体の構成要素が、最初に説明される。継手組立体は、2つのボール184を含む。各ボール184は、スピンドル174に形成された側ボア180うちの別々の側ボア180内に着座される。ドリル50を形成する構成要素は、各ボール184が、ボアが着座された側ボア180の小さい直径の開口部から部分的に突出することができるように、構成される。したがって、ボール184は、スピンドル174に形成された主たる軸方向のボア176内に、しかし完全には通過せず、延在することができる。ボール184はさらに、スピンドル174から外方に突出する寸法となされる。
【0039】
ロックリング186が、ボール184をスピンドル174に対して選択的に保持し、そのため、ボールは、主たる軸方向のボア176から抜け出る運動を妨げられる。ロックリング186は、円筒形のカラー188を含む。ロックリングは、カラー188のすぐ近位に、頭部190を有する。頭部190は、おおよそ300°の弧にわたって、カラー188を越えて径方向外方に突出する。ロックリング186はさらに、カラー188の向かい合った側上に配置された勾配付き表面192を有して頭部190が形成されるように、形成される。勾配付き表面192の向かい合った側は、頭部190の向かい合った弓形端部から始まる。勾配付き表面192の部分が頭部190のこれらの端部から離れるように延在するにつれて、勾配付き表面192は、ドリル50の遠位端部に向かって傾く。
【0040】
ロックリング186は、隣接する複数のボアを含む。ボア196が、カラー188の遠位端部から近位に延在する。ボア196は、ボア198内に開口する。ボア198は、ボア196よりも直径が小さい。ボア202が、ボア198の近位端部から近位に延在する。ボア202は、勾配が付けられる。したがって、ボア202がボア198から近位に延在するにつれて、ボア202の直径は減少する。ボア202は、一定直径のボア204内に開口する。ロックリング186は、ボア204が隣接するボア202の最小直径部分に等しい直径を有するように、形成される。ドリル50を形成する構成要素はさらに、ボア204がスピンドル174の直径よりもわずかに大きい直径を有するように、形成される。ボア204の直径は、ロックリング186のボア204が形成された部分がスピンドル側ボア180上に配置されたときに、ボア204を画定するロックリングの内側円筒壁がボール184をスピンドル側ボア180内に保持するような直径である。より具体的には、ボール184は、スピンドル174の主たる軸方向のボア176内に延在するように、スピンドル側ボア180内に保持される。
【0041】
ロックリング186は、ボア204から近位に延在するボア206を有するように形成される。ボア206は、ボア204よりも直径が大きい。ロックリング186は、ボア206がリング頭部190の近位端部まで延在するように、形成される。
【0042】
ドリル50が組み立てられると、ロックリング186は、リング186の頭部190がスピンドルの近位セクションを覆って配置されるように、スピンドル174を覆って着座される。ボア206内には、ばね210が、スピンドルとボア206を画定するロックリングの内側円筒壁との間に位置するように、スピンドル174の周りに配置される。ばねの一方の端部は、図3に見られるスピンドル溝181内に着座されたスナップリング212に接触して着座する。ばね210の反対側の端部は、ボア204と206との間のロックリング内部の段に接触して着座する。したがって、ばね212は、通常、ロックリングを遠位前方に付勢する。ロックリング186は、通常、ボア204を画定するリングの内表面がボール184に接触してその周りに位置決めされる位置にある。ロックリング186がこの位置にある場合、継手組立体はロック位置にある。
【0043】
外殻402内に移動可能に配置される、図5で最も良く分かるロックアクチュエータ218が、ロックリング186をロック位置とロード位置との間で移動させられる。ロックアクチュエータ218は、矩形の基部220を有して形成される。離間された2つの平行なタイン222が、基部の主表面のうちの1つから外方に延在する。タイン222は、ロックリングカラー188がタイン間に着座することができるように、互いに離間される。ロックアクチュエータ218は、タイン222が共平面の勾配付き表面224を有するように、形成される。ドリル50が組み立てられると、ロックアクチュエータ218は、ロックリングの勾配付き表面224が、ロックリングの勾配付き表面192の離間した部分に接触するように、ロックリング186に対して位置決めされる。
【0044】
ロックアクチュエータ218はさらに、ボア228を有するように形成される。ボア228は、そこからタイン222が延在する基部220の表面から、内方に延在する。ボア228は、基部220の反対側の表面まで延在する。
【0045】
解放ボタン230が、ロックアクチュエータを変位させる。解放ボタンはステム232を有し、ステム232の端部は、ロックアクチュエータ218の内部にあるボア228内に取り付けられる。解放ボタン230のステム232は、ディスプレイ410が取り付けられる外殻402にある開口部を貫通する。解放ボタンは、アクチュエータから離間される、ステムの端部上に配置された頭部234を有する。ボタン230の頭部234は、図3Aで最も良く分かるように、外殻402に形成されたボア403内に位置し、かつ、外殻から外に延在する。ばね238が、ボア403内に配置されるステム232の部分の周りに配置される。ばね238の一方の端部は、端部ボア403を囲む環状の段に接触して着座する。ばね238の反対側の端部は、解放ボタン230と一体の頭部234の裏側を圧迫する。ばね238は、解放ボタン230に力を及ぼし、その結果、ボタンは、通常、アクチュエータ基部220がロックリング186から離間される位置にロックアクチュエータ218を保持する。ロックアクチュエータ218がこの位置にある場合、継手組立体はロック状態にある。
【0046】
図16図19に見られるトランスデューサ組立体260は、ハウジングバレル56の遠位端部のすぐ前方に配置される、向かい合った外殻の対をなして配置される。一方の外殻である右外殻262は、図20で最も良く分かる。外殻262は、基部264を含む。半円形のアーム266が、基部から突出する。アーム266は、隣接するハウジングバレル56の開口端内に嵌合する寸法となされる。
【0047】
右外殻262は、複数の空洞を有するように形成される。1つの空洞、空洞270は、反対側の左外殻286に接触して着座する外殻262の面から内方に延在する。空洞270は、円形の形状である。円形の空洞272が、空洞270の基部から内方に延在する。空洞272は、空洞270の直径未満の直径を有する。右外殻はまた、切欠き部274を有する。切欠き部274は、空洞270を画定する外殻内部の円筒壁から外方に延在する。右外殻に形成された別の空洞が、チャネル276である。右外殻262は、チャネル276が、アーム266から外殻の遠位端部まで延びる長手軸に沿って中心に位置するように、形成される。チャネル276は、チャネルの基部がおおよそ150°の弧をなすように、弓形の形状とされる。チャネル276は、空洞270と交わる。チャネル276は、外殻262の内面から垂直に内方に延在する空洞270のすぐ下方で側壁(識別されていない)によって画定される。右外殻262はさらに、チャネル276を画定する外殻の湾曲した内壁から半円形の2つのリブ278が外方に延在するように、形成される。一方のリブ278は、空洞270の近位に配置される。第2のリブ278は、空洞270の遠位に配置される。
【0048】
次に図21を参照して説明される左外殻286は、トランスデューサ組立体260を形成する構成要素が収容される、第2の外殻である。左外殻286は、基部288を含む。図では見られないが、外殻262の基部264および外殻286の基部288の外側は、基本的に互いの鏡像である。左外殻は、基部288から延在するアーム290を含む。アーム290は、基本的に右外殻アーム266の鏡像構成要素である。
【0049】
左外殻286は、複数の空洞を画定するように形成される。それらの空洞のうちの1つが、外殻の内面から内方に延在する円形の空洞294である。空洞294は、空洞270と同じ直径を有する。外殻262が互いに組み立てられると、空洞270,294は、隣接する。円形の空洞296が、空洞294の基部から内方に延在する。空洞296は、空洞294よりも直径が小さい。左外殻286はまた、空洞296の基部の内方に配置される外側チャネル298を有するように形成される。チャネル298は、全体的に矩形の形状である。チャネル296の近位から遠位までの幅は、空洞296の直径未満である。チャネル298は、基部288の底面まで延在する。円形の空洞302が、チャネル298の基部を画定する左外殻286の内表面の内方に配置される。左外殻は、空洞29,296,302が同軸になるように、形成される。空洞302は、空洞296の直径未満の直径を有する。左外殻286はまた、外側チャネル298に対して凹設された全体的に矩形の内側チャネル304を有する。より具体的には、左外殻286は、空洞302および内側チャネル304が同一平面の基部を有するように、形成される。内側チャネル304は、アーム290の最も近くに配置される外側チャネルの部分から内方に延在する。
【0050】
左外殻286はまた、近位から遠位に延在するチャネル306を有する。チャネル306は、右外殻チャネル276の鏡像である。チャネル306は、空洞294および外側チャネル298の一部分と交わる。左外殻286はまた、チャネル306を画定する外殻の内表面から外方に突出する2つのリブ308を含む。リブ308は、右外殻262と一体のリブ278の鏡像である。
【0051】
外殻262,286を合わせて保持するために使用される締結具、または外殻をドリルハウジング52に対して保持する締結具は、識別されていない。ドリル50が組み立てられると、アーム266,290は、バレル56の開口端内に延在する。隣接するチャネル276,306の共通の近位端部もまた、バレル56内に開口する。青銅などの低摩擦材料で形成された、図22を参照することにより説明されるブッシュ316が、隣接するチャネル276,306内に配置される。ブッシュ316は、近位に配置された足部318と、遠位に配置されかつ足部318の前方に離間された頭部324とを含む。ブッシュ足部318および頭部324は、それぞれ、先端が切り取られた外側リムを有する座金のような形状とされる。より具体的には、ブッシュ足部316および頭部324は、チャネル276,306をそれぞれ画定する外殻262,290の内表面に接触して着座する寸法となされる。ブッシュ足部318および頭部324は、それぞれ、平坦部を有する。ブッシュ足部318の平坦部319のみ、識別されている。平坦部は、チャネル276,306を画定する外殻262,290の内面に接する。この平坦部と平坦部との当接(flat−against−flat abutment)は、ブッシュ316の回転を抑制する。ブッシュ足部318および頭部324は、それぞれ、構成要素の外側曲面から内方に延在する溝323を有して形成される。溝323は、図16で識別されている。ドリルが組み立てられると、リブ278,308は、ブッシュ溝323内に着座する。この溝内へのリブの着座(rib−in−groove seating)は、外殻262,286に対するブッシュ316の長手方向の運動を防ぐ働きをする。ブッシュ足部318および頭部324は、それぞれ、中心に配置された貫通開口部を有する。図22では、頭部324を貫通する開口部321のみ、識別されている。
【0052】
同じくブッシュ316の一部分であるウェブ320が、足部318と頭部324との間に延在する。ブッシュに沿った近位から遠位への長手軸に垂直な平面における断面において、ウェブ320は、弓形の形状に見え、かつ、おおよそ90°の弧をなす。ブッシュの足部318および頭部324の中心開口部は、ウェブ320に隣接した空間内に開口する。同じくブッシュ320の一部分である、図19でのみ識別されているボス325が、頭部324の内表面から内方に延在する。ボス325は、開口部321内に延在する。
【0053】
トランスデューサ組立体260は、歯車326を含む。歯車326は、円筒形の基部328、および、同軸で円筒形の頭部330を含む。頭部330は、基部328の直径よりも大きい直径を有する。1つの歯が識別されている、複数の歯332が、頭部330から径方向外方に延在する。歯車326を貫いて軸方向に延在するボアは、識別されていない。
【0054】
歯車326は、外殻262,286の内部にある空洞内に着座する。基部328は、左外殻286の内部にある空洞296内に着座する。歯車頭部330は、隣接する空洞270,294内に着座する。歯車歯332は、隣接するチャネル276,306内に突出すると理解される。より具体的には、歯車歯は、ブッシュ316の足部318と頭部324との間に位置するように、チャネル276,306内に配置される。
【0055】
図23で最も良く分かるシャフト336が、歯車326を通って軸方向に延在する。シャフト336は、円筒形の足部338を含む。シャフトは、足部338に隣接する脚部340を含む。脚部340は、足部338の直径よりも大きい直径を有する。シャフトは、脚部340に隣接する円筒形の胴部342を有する。胴部342は、脚部の直径よりも大きい直径を有する。胴部342は、歯車326を貫いて軸方向に延在するボア内に圧入されるかまたは他の方法でしっかりと着座されるように設計されたシャフトの一部分である。シャフト336は、胴部から外方に突出する首部344を有する。首部344は、部分的に円筒形である形状を有する。首部の湾曲部分の曲率半径は、胴部342の半径未満である。同じくシャフト336の一部分である頭部346が、首部344から外方に延在する。頭部344は、部分的に円筒形である形状を有する。頭部の曲面の曲率半径は、首部344の隣接する湾曲部分の曲率半径未満である。
【0056】
シャフト336はさらに、スロット350を有するように形成され、スロット350は、足部338および脚部340を通って長手方向に延在し、かつ、製造上の理由から胴部342内に短距離だけ延在する。スロット350は、足部338、脚部340、および胴部342を貫く共通の軸に中心が置かれる。シャフト336はさらに、首部344および頭部346が共通の平坦部352を画定するように形成される。明らかになるように、平坦部352は、組立を容易にするために頭部346に存在する。
【0057】
2つの軸受組立体354,356が、シャフト336を、ひいては歯車326を、外殻262,286内に回転自在に保持する。(軸受組立体の軌道輪は識別されていない)。軸受組立体354は、右外殻262の内部にある空洞272内に着座される。軸受組立体354は、シャフト足部338の周りに延在する内側軌道輪を有する。軸受組立体354の外側軌道輪は、空洞272を画定する外殻262の内部にある円筒壁に接触して配置される。軸受組立体356は、左外殻286の内部にある空洞302内に着座される。軸受組立体356の外側軌道輪は、空洞302を画定する左外殻286の内表面に接触して着座される。軸受組立体の内側軌道輪は、シャフト頭部346の周りに配置される。
【0058】
電位差計360が、左外殻286の外側チャネル298内に配置される。シャフト首部344は、電位差計を貫通して、電位差計の摺動子を変位させる。平坦部352は、電位差計の内部にある摺動子を回転させる、電位差計の内部にある隣接する平坦部に接する。内側チャネル304は、電位差計360まで延びる線を収容するための空洞として機能するために設けられる。内側チャネル304を画定する壁もまた、回転に逆らって電位差計360を保持する。
【0059】
歯車326および電位差計360の摺動子の両方が、シャフト336に接続される。したがって、歯車326の回転により、電位差計摺動子の同様の変位がもたらされる。
【0060】
トランスデューサ組立体260はまた、渦巻き形状のばね364を含む。ばね364は、空洞の基部と歯車頭部330との間に位置するように、右外殻空洞270内に配置される。ばね364の外側端部は、切欠き部274内に着座される。ばね364の内側端部は、シャフト336の内部にあるスロット350内に延在する。
【0061】
ディスク362が、空洞270の基部を画定する右外殻268の内部の表面とばね364との間に配置される。ディスク366が、歯車頭部330とばね364との間に配置される。シャフト336が貫通するディスク362,366内の穴は、識別されていない。ディスク362,366は、ばね364とトランスデューサ組立体260の隣接する構成要素との間の低摩擦接触面を提供する。
【0062】
図24で最も良く分かるカニューレ380は、チューブ形状の構造体である。カニューレ380は、モータロータ110を貫通するボア117内にカニューレがぴったりと滑り込むことを可能にする外径を有する。ドリル50を形成する構成要素はさらに、カニューレがブッシュ316の足部318および頭部324に形成された開口部を滑り抜けることができるように、配置される。また、カニューレは、ブッシュ316のウェブ320上を摺動することができる。カニューレ380の近位端部から前方に間隔を空けて、刻み目が、2つの歯が識別されているカニューレ歯382を与えるように、カニューレの一部分にわたって弓形に延在する。カニューレ380は、歯382が歯車歯332と噛合するように、成形される。カニューレは、歯がカニューレの全長のおおよそ30%から50%に等しい距離延在するように、形成される。
【0063】
ルーメン381が、カニューレを貫いて軸方向に延在する。本発明の多くのバージョンでは、カニューレの外表面と内側のルーメンを画定する表面との間のカニューレの壁厚は、2mm以下である。本発明のより好ましいバージョンでは、この壁厚は、1mm以下である。例示されていないが、本発明のいくつかのバージョンでは、カニューレの遠位端部は、勾配を有して形成される。この勾配は、カニューレの最遠位端部におけるカニューレの壁厚がこの遠位端部の近位の壁の厚さにすら満たないような勾配である。
【0064】
カニューレ380はまた、カニューレに沿って長手方向に延在する溝384を有するように形成される。溝384は、歯382が形成される表面とは反対側のカニューレの表面からカニューレ内に延在して示されている。カニューレ380はまた、複数の長円形の貫通開口部386を有して形成され、2つの開口部が識別されている。貫通開口部386は、歯382の前方に配置される。開口部386は、カニューレを通って軸方向に延在するルーメン381まで延在する。本発明のドリル50が作動されると、貫通開口部386はポートとして機能し、このポートを通して、くり抜かれた材料がカニューレ380から排出される。
【0065】
カニューレ380は、ブッシュ316内に摺動可能に取り付けられる。カニューレ380は、ブッシュ頭部324およびブッシュ足部318を貫通する。カニューレは、ブッシュ頭部324にある貫通開口部321を出て遠位前方に延在する。ブッシュ内に取り付けられるカニューレの特定の部分は、歯382が形成されるカニューレの部分である。歯382は、歯車歯332と噛合する。カニューレ380がドリルに取り付けられると、ブッシュウェブ320から外方に突出するボス325は、カニューレと一体の溝384内に着座する。このボスが溝に入る構成(boss−in−groove arrangement)により、カニューレ380は、ドリル50の残りの部分に対して近位から遠位への長手軸の運動を行うことができると同時に、ドリルの残りの部分に対するカニューレの回転が抑制される。
【0066】
ばね364は、シャフトを、ひいては歯車326を回転させるトルクをシャフト336に与えることも、理解されるべきである。トルクは、図16の斜視図から見たときに時計方向に回転するようにシャフトを付勢する。歯車326の回転は、カニューレの運動を生じさせる。より具体的には、カニューレは、ドリルハウジング52から離れるように、遠位前方に変位される。カニューレの運動は、歯車歯332がカニューレ歯382の近位にあるカニューレの歯のない部分に接したときに停止する。この歯車歯とカニューレの外表面との当接は、歯車326のさらなる回転を阻止する。
【0067】
ディスプレイ410は、図2で最も良く分かる外殻402内に収容される。外殻402は、バレル56の近位端部に取り付けられる。ディスプレイ410は、外殻の近位端部から近位の方を向くように、外殻に取り付けられる。外殻402、ディスプレイ410は、本発明のドリルの他の構成要素のように、ドリルを滅菌するのに用いられる過程の過酷さに耐えることができる構成要素で構成され、そのため、ドリルは、外科術に使用することができる。典型的には、ドリル50は、高圧滅菌過程への暴露に耐えることができるように構成される。高圧滅菌過程では、ドリルは、125℃の温度および2barの圧力で、蒸気(水蒸気)で飽和した雰囲気内に置かれる。
【0068】
図25は、ドリルビット450によって形成されたボアの深さの指標をカニューレの位置に基づいて提供する、ドリル50の基本的な電気的構成要素を示す。適切な電位の駆動信号がボア深さ表示構成要素に供給されることを確実にする電圧調整構成要素は、識別されていない。ボア深さに関する情報を提供する構成要素は、電位差計360を含む。電位差計360の一方の端部に、電圧が印加される。電位差計360の反対側の端部は、アースされる。電位差計の摺動子に存在する電圧は、信号プロセッサ408に印加される。信号プロセッサ408に取り付けられたゼロイングスイッチ406も示されている。図では、スイッチ406は、ディスプレイ外殻402に取り付けられて示されている。
【0069】
信号プロセッサ408は、例示されていない複数の構成要素を含む。それらの構成要素には、記憶装置が含まれる。ボア深さの指標を生成するためにドリル50によって必要とされる命令およびデータが、記憶装置に内蔵される。信号プロセッサ408はまた、クロックまたはタイマを含むが、その目的は以下で明らかになる。
【0070】
電位差計360の摺動子と電位差計の一方の端部との間に存在する電圧の変化、およびゼロイングスイッチ406からの信号に基づき、信号プロセッサ408は、ドリルビット450によって形成されたボアの深さを表すデータを生成する。ボア深さを表す信号が、ディスプレイ410に印加される。
【0071】
次に、図26を参照することにより、ドリルビット450の特徴が説明される。ドリルビットは、細長いシャフト458を含む。本発明の構成要素は、ドリルビットシャフト458が、カニューレルーメン381の直径におおよそ0.02から0.25mm満たない直径を有するように、構成される。それら2つの構成要素の相対的な寸法決めにより、ドリルビット450は、カニューレ380内で自由に回転するとともに長手方向に移動することができる。シャフト458の近位端部において、カニューレは、足部452を有する。足部452は、ドリルビット450を貫く近位から遠位への長手軸に垂直な断面において、多角形の形状である。より具体的には、足部452は、隣り合った側面間のコーナ部分が駆動スピンドル174の歯178間に嵌まることができるように、成形される。この面と歯が接触する構成(face−against−teeth arrangement)は、駆動スピンドル174からドリルビット450へのトルクの伝達を促進する。
【0072】
足部452の前方で、シャフト458に溝456が形成される。溝456は、シャフトの外表面から内方に延在し、かつ、シャフトを囲んで円周方向に延在する。ドリルビット450は、溝456が弓形形状を有するように、形成される。より具体的には、ドリルビット450は、溝450がボール184を受け入れることができるように、形成される。
【0073】
ドリルビット450の遠位端部は、フルート460を有して形成され、1つのフルートが識別されている。フルート460は、ボアを形成するためにドリル50が使用される組織、典型的には骨をくり抜くように設計される。ドリルビット450の遠位端部の幾何形状を含む、フルート460の幾何形状は、本発明に含まれない。
【0074】
本発明のドリル50を使用するための準備は、多くの場合、ドリルビット450をドリルに解放可能に取り付けることから始まる。この過程を行うために、ボタン230が内方に押される。それにより、ドリルバレル56を貫く長手軸に垂直な平面に沿って、ロックアクチュエータ218が横方向に移動する。勾配付き表面224は、ロックリング186の隣接する勾配付き表面192に逆らって移動する。ロックリング186に逆らうロックアクチュエータ218によって与えられる力は、ロックリングをロック位置に保持するためにばね210がロックリングにもたらす力を克服するのに十分である。したがって、ロックリング186は、近位に付勢される。ロックリング186のこの運動の結果として、ボア204を画定するリングの部分は、スピンドル側ボア180およびボール184から離れるように近位に移動する。ボール184は、スピンドル主ボア176から外へ出ることができる。継手組立体は、ロード状態にある。
【0075】
このドリルビット450をドリルに結合する過程中、カニューレがドリルバレル56内へ後退するように、カニューレ380を近位に押すことが必要とされ得る。指の力は、カニューレを伸長位置に保持するためにばね346がカニューレにもたらす力を克服するのに十分である。
【0076】
継手組立体がロード状態になると、ドリルビット450は、ドリル50に挿入される。ドリルビット450は、カニューレ380を通して挿入される。ドリルビット450の近位部分がロータを通り越えて近位に移動すると、ドリルビットのこの部分は、歯車列142の内部にあるボア150,142を通って、駆動スピンドル174内まで移動する。ドリルビット450のこの位置決めの結果として、ドリルビット足部452の隅部は、駆動スピンドル174の歯178間に着座する。ドリルビット450がそのように固定されると、ボタン230に印加された指の力が解放される。ばね238が、解放ボタン230およびロックアクチュエータ218をロック状態に戻す。次いで、ばね210が、ロックリング186を付勢して、元のロック状態にする。ロックリング186の運動の結果として、ボア202を画定するリングの勾配付き表面は、ボールに押し付けられる。このロックリングとボールとの当接により、ボールは、完全にボア180内に着座した位置に付勢される。ロックリング186がロック位置まで完全に戻ると、ボール184は、ボア204を画定するロックリングの表面により、外方への運動を制限される。したがって、ボール184は、ドリルビット450の内部にある溝456内にロックされる。ボール184が溝456内に着座することにより、ドリルビットが駆動スピンドル174に対して保持される。
【0077】
ドリルビット450が駆動スピンドル174に対してロックされると、カニューレ380を後退位置に保持するために使用される力が、解放される。ばね364によって生成されたトルクは、カニューレを伸長位置に戻す歯車326の回転をもたらす。カニューレ380がそのように位置決めされると、カニューレの遠位端部は、ドリルビット450の遠位端部から前方に短い距離だけ離れた所に配置される。この距離は、典型的には、1cm未満である。
【0078】
ドリルビット450がハウジング52に取り付けられたときに、ドリルビットは、カニューレ380がそこから遠位前方に延在するのと同じ開口部であるブッシュ頭部324にある開口部321を通ってハウジングから外に延在することも、理解されるべきである。
【0079】
必要であれば、ドリル50は、電池または電力制御卓などの電源に接続される。
【0080】
ドリル50を使用に向けてセットするために、ドリルはまず、カニューレ380の遠位端部がその周りでボアが形成される骨の表面に接するように、位置決めされる。プレートなどの外科用インプラントの下にボアが形成される場合、インプラントが位置決めされた後、ドリルは、カニューレがインプラントの露出面に接するように、位置決めされる。インプラントは、ボアを形成するためにドリルビットが押し通される開口部を有して形成されている。このドリル50の最初の位置決めにより、カニューレ380は、さらなる前進を阻止される。
【0081】
カニューレ380は前進を阻止されているが、ドリルビット450を、ひいてはドリル50を遠位前方に進めることがなおも可能である。これは、ばね364が歯車326の反時計方向回転を抑制するのに十分な力を及ぼさないためである。したがって、カニューレが位置決めされると、ドリルの位置決めは、ビットの遠位端部がそれを貫いてボアが形成される組織の表面に突き当たるまで、カニューレを通るドリルビット450の前進を継続する。
【0082】
このステップ、および、それに続く実際に骨に穴を開けるステップでは、視覚的には、カニューレがドリル50内へ後退しているかのように見える。実際には、カニューレ380は動いていない。ドリル50は、カニューレ380上を前進する。
【0083】
ドリルビット450と標的組織との当接により、ドリル50のさらなる前進が阻止される。この時点で、ドリルは、組織に所望のボアを形成するようにセットされている。この時点で、ゼロイングスイッチ406が押し下げられるが、これは図27Aのステップ482である。ゼロイングボタンが押し下げられたことを示す信号を受信したことに応答して、プロセッサ408は、電位差計360の摺動子に存在する電圧を、処置のためのゼロ状態電圧として記憶する。
【0084】
ドリルビット450を前進させるために、外科医は、適切なトリガ138または139を押圧する。この説明のために、トリガ138が押圧されたときには、制御モジュール140により、ビットを骨内に進ませるビットの回転であるドリルビットの前進回転をもたらす駆動信号がモータに印加されることが、想定されている(ステップは図示せず)。
【0085】
ステップ484において、ドリルビットが骨内に進められるにつれて、ドリルハウジング50およびハウジング内部の構成要素は、ドリルビットと共に前進する。カニューレ380は、カニューレとボアが形成されている組織または組織の周囲のインプラントとの継続的な当接により前進を阻止されることが、想起される。ドリルハウジング52の運動の結果として、歯車326は、カニューレ380上での歯車の運動により、引き続き回転される。歯車の回転は、電位差計360の摺動子の同様の変位をもたらす。それにより、ゼロ状態電圧に対する電位差計の電圧出力の変化が生じる。ステップ486は、電位差計の摺動子の電圧の測定、および測定が行われた時刻を表す。ステップ486の一部として、電圧測定が行われた時刻も記録される。それらの時刻データは、ドリル50の内部にあるタイマまたはクロックからの時刻またはクロックのデータに基づく。ステップ488は、信号プロセッサによるそれら2つの電圧間の差の計算である。この第2の電圧は、現状電圧(present state voltage)と呼ばれる。
【0086】
現状電圧とゼロ状態電圧との間の差に基づき、プロセッサ408は、ステップ490において、ドリルビット450によって形成されているボアの現在の深さを判定する。本発明のいくつかのバージョンでは、この判定は、この電圧差をアルゴリズム内への入力変数として使用することによって行われる。このアルゴリズムの出力値は、ボアの現在の深さである。あるいは、ステップ490における現在のボア深さの判定は、ルックアップ表一式を参照することによって行われる。それらの表において、入力値は電圧差であり、出力値はボア深さである。
【0087】
ステップ490において計算される実際値は、静的なカニューレ380上を前進した歯車326の円周距離の測度であることが、理解されるべきである。この距離は、ゼロボタンが押圧されてからカニューレの遠位端部を越えてドリルビット450が前進した距離に対応する。以下で論じられるように、この距離は、一般に、しかし常にではないが、ドリルビット450が当てられる組織におけるボアの深さである。
【0088】
ステップ490の一部として、信号プロセッサは、それぞれのボア深さの判定が行われた時刻を示すデータを記録する。これらの時間データは、電圧測定が行われた時間に基づく。
【0089】
ステップ492は、プロセッサが現在のボア深さの測定値をディスプレイ410上に提示するステップである。
【0090】
ドリル50が前進するにつれて、カニューレ380は、トランスデューサ組立体260を収容する外殻262および282内へまたそれらを越えて後退するように見える。カニューレの近位セクションは、ロータボア117内へ後退する。カニューレ380は、ドリル50がカニューレ上を前進することを可能とされる範囲を限定する構成要素を備えることが多い。これは、急速に回転する出力シャフト128が静的なカニューレ380を圧迫することを防ぐためである。本発明のいくつかのバージョンでは、この構成要素の当接を防ぐために、静的なリング(図示せず)が、カニューレ上に配置されて、カニューレに堅固に取り付けられる。リングは、ドリル50がカニューレの特定の距離を前進すると、ドリルの前面、実際にはブッシュ頭部324の前面がこのリングに当接するように、位置決めされる。このドリルとリングとの当接(drill−against−ring−abutment)により、出力シャフト128がカニューレ380を圧迫する位置までドリルが前進することが防止される。
【0091】
典型的には、ドリル50は、少なくとも1cm、より典型的には少なくとも5cm、より好ましくは少なくとも10cm、カニューレ上を前進することができるように設計される。本発明の大抵のバージョンでは、ドリル50は、少なくともドリルが形成することを意図された最も深いボアの深さを0.5cm上回る距離に等しい距離だけカニューレ上を前進することができるように設計される。
【0092】
ステップ494において、プロセッサ408は、現在のボア深さがそれまでに記憶された最深ボア深さを上回っているかどうかを判定する。ステップ494の評価の結果が正であった場合、プロセッサは、ドリル50はドリルビット450が前進している状態にあると見なす。ステップ496において、プロセッサは、最深ボア深さの値を、今しがた計算した現在のボア深さに再設定する。
【0093】
ステップ494の評価の結果が正であった場合に実行される別のステップは、突抜け深さ(breakthrough depth)を判定するステップ498である。突抜け深さは、ドリルビットが骨を突抜けた瞬間のボアの深さである。したがって、突抜け深さは、骨内に完全に形成されたボアの深さである。本発明のいくつかのバージョンでは、突抜け深さを判定するために使用される1つの変数は、最深ボア深さが達せられた時刻である。本発明のそれらのバージョンでは、突抜け深さは、ドリルビットが最深ボア深さにあったときより前の定刻における最深ボア深さである。
【0094】
この関係性の背後にある論理は、図28のプロット530を参照することによって説明される。プロット530は、トランスデューサ組立体により経時的に測定されたときのボアの深さを表す。プロットのセクション532は、ドリルビット450が骨を通して進められるときにボアの深さが比較的低速度で経時的に増大することを表す。セクション532におけるくぼみ534は、ビット450が骨を通して進められている間に、ドリルビットの現在の深さが一時的にボア深さ未満になる場合がある得ることを表す。これは、外科医が一時的にドリルビット450を後退させ、次いでドリルビット450をセットし直した場合に起こり得る。期間533中、ビットが後退されてからドリルビット先端が骨と再び係合するまで、ステップ494の評価の結果は負となる。
【0095】
点538は、ドリルビット450が骨を突抜けるときのボア深さおよび時間を表す。この時点では、外科医は、ビット450を前進させるために、依然としてドリルに軸方向の力を印加している。したがって、突抜けが起こると、ドリルビットは、短期間にわたって引き続き前進する。軟組織は、ビットの前進に対する抵抗力が骨よりも低い。したがって、この期間中のビット450の前進は、それまでに前進が生じた速度よりも高速度でのものある。ビットのこの高速度での前進は、プロット530のセクション540によって表される。点542は、外科医がドリルビットを前進させるのを止めたときのボア深さおよび時刻を表す。この深さは、最終貫入深さと呼ばれる。この深さは、ステップ496の最後の実行において設定される最深ボア深さ値である。
【0096】
プロット530のセクション544は、ドリルビット450を患者から完全に引き抜くことを表す。点546は、ドリルビットの引き抜きおよびカニューレ380上からのドリル50の後退の結果として、プロセッサ408がボア深さをゼロ深さ状態に戻っているものと計算することを表す。この引き抜き過程では、外科医は典型的にはドリルビットを作動させることが、理解されるべきである。多くの場合、外科医は、ドリルビット450を逆向きに駆動することによってこのステップを行う。本発明の説明されたバージョンでは、モータ60は、トリガ139を押圧することにより、逆向きに回転される。
【0097】
本発明の1つのバージョンでは、ステップ498の判定は、外科医がドリル450の最終的な後退を開始する点542における時刻がその終わりである時間枠の開始時刻に基づく。この時間枠は、括弧535によって表される。この時間枠の開始時刻は、ボア深さプロット530上の点536によって表される。この時間枠の開始時刻は、突抜けが生じた時点538より前である。しかし、プロット530上の点536のこの時間枠の始まりにおける切削器具深さ(bur depth)と点538における切削器具深さとの間の誤差の限界は、典型的には、ドリルビット突抜け時におけるボア深さの測度を提供するための精度の許容範囲内である。
【0098】
したがって、ドリルビット450が引き続き組織を通って前進すると、プロセッサ408はステップ498を実行し続ける。ステップ498の各実行において、最深ボア深さが測定された時刻を時間枠に対する最終時刻として最初に割り当てることより、突抜け深さが判定される。この最終時刻に基づき、開始時刻を判定するために、一定の時間値である時間枠の時間値が最終時刻から差し引かれる。次いで、この時間枠に対する開始時刻におけるボア深さに、突抜け深さの値が割り当てられる。ボアが骨を貫いて増大されている限りは、ステップ498の複数回の実行において判定される突抜けボア深さは、突抜けボア深さと骨における実際のボアの深さのどちらも表さないことが、理解されるべきである。ドリルビット450がいつ最終貫入深さに達したかに基づく、ステップ498の最後の実行中になされる深さ判定のみが、突抜け時での骨の実際の深さを表す。
【0099】
ステップ498からステップ486への折り返しは、ボア深さの測定、現在のボア深さの表示、測定された深さが最深深さであるかどうかの判定、および、突抜け深さの計算が、ドリルビット450が骨を通して進められている間に繰り返し生じることを表す。
【0100】
ステップ494の評価の結果が負であった場合、外科医は、ドリルビット450を一時的に後退させたか、またはボアを穿孔する過程を完了させたかのどちらかである。どちらの状況でも、ステップ494〜498は実行されない。
【0101】
代わりに、ステップ504が実行される。ステップ504では、プロセッサは、現在のボア深さの測定に基づいて、ドリルビットが骨の表面に対してゼロ深さまで後退されたことをドリルビットの測定が示すかどうかを評価する。
【0102】
ステップ504の評価の結果が負であった場合、プロセッサ408は、ドリルが、ドリルビットが一時的に後退された状態、つまりくぼみ534の期間536、または、ドリルビットが完全に後退させられている状態、つまりプロット530のセクション544の期間にあると見なす。どちらの場合でも、ドリルビット450は、依然として骨内にある。プロセッサ408は、ステップ486に折り返す。
【0103】
ステップ504の評価の結果が正であった場合、ドリルビット450は、骨から完全に後退されている。プロセッサ408は、この状態にあるドリル50を、ボアが骨に完全に形成されたことの表れとして解釈する。したがって、ステップ506において、プロセッサは、最後に計算された突抜け深さを骨内のボアの測定された深さとしてディスプレイ上に提示する。
【0104】
したがって、本発明のドリル50は、形成するためにドリルが使用されるボアの深さを正確に表すデータを提供し、かつ、ドリルビットの眺めまたはドリルビットの周囲の組織の眺めに顕著に干渉することなくそれらのデータを提供する。
【0105】
図29は、本発明のドリル50がどのようにしてドリルガイド550と共に使用され得るかを示す。ドリルガイド550は、骨の一部分の外表面にロック式プレート(locking style plate)を保持するために使用されるねじを受け入れるように設計されたボアを形成するためにドリル450が使用されるときに、使用される。このタイプのプレートは、骨の骨折した部分を合わせて保持するために使用される。ロックプレートは、ねじを受け入れるように設計された小さな貫通開口部を有して形成される。貫通開口部は、開口部に嵌合されたねじをプレートに対して保持するように設計されたねじ切り部を備える。
【0106】
図29および図30で明らかであるドリルガイド550は、全体的に円筒形の形状である。足部552が、ドリルガイド550の最遠位セクションを形成する。足部552の外表面は、ねじ切り部(識別されていない)を有して形成される。足部ねじ切り部は、プレート開口部内のねじ切り部と係合するように設計される。これは、ドリルガイド550がプレート開口部のそれぞれの中に一時的に固定されることを可能にする。ドリルガイドは、足部552の近位に主要部554を有する。主要部554は、足部552の外径よりも大きい外径を有する。首部556が、主要部554の近位端部から後方に延在する。ドリルガイド550は、首部556の前方に頭部560を有する。頭部560は、ドリルガイド550の最大径のセクションである。
【0107】
遠位ボア564が、足部552および主要部554を貫いて延在し、かつ、首部556内に短い距離だけ延在する。遠位ボア564は、カニューレルーメン381のように、ドリルビットがボア564内で回転することができるように、ドリルビット450を受け入れる寸法となされる。遠位ボア564は、近位ボア568内に開口する。ドリルガイド550は、近位ボア568が遠位ボア564の直径よりも大きい直径を有するように、成形される。より具体的には、近位ボア568は、カニューレ380がボア568内にぴったりと滑り込むことを可能にする直径を有する。近位ボア568は、ドリルガイド550の近位端部である頭部560の近位端部まで、首部556および頭部560を貫通する。
【0108】
ドリルガイド550はさらに、足部の近位で複数の長円形の開口部566が主要部554を通って遠位ボア564内まで延在するように、形成される。開口部566は、カニューレ380の内部にある開口部386と同じ機能を果たす。
【0109】
ドリルガイド550を伴うドリル50が、あたかもドリルがドリルガイドを伴わずに使用されるかのように最初にドリルを構成することによって使用される。ドリルガイド550の足部552は、それに隣接してボアが形成されるプレートのボアホールのうちの1つにねじ込まれる。プレートが適切に位置決めされると、ドリルビット450は、最初にボア568に挿入され、次いでドリルガイド550のボア564に挿入される。
【0110】
この過程が進行すると、カニューレ380は最終的に、ボア564と568との間の、ドリルガイドの内部にある段に当接する。このカニューレ380の当接は、カニューレがドリルビット450と共に同時に前進することを阻止する。ドリルビットおよびドリルが引き続き前進すると、ドリルの前進により、ドリルはカニューレ380上を移動する。歯車326は、歯車がカニューレ380上を前進するにつれて回転する。
【0111】
最終的に、ドリルビット450は、ドリルビットが当てられるべき骨に当接する。このビットと骨との当接は、ドリルビットおよびドリル50のさらなる前進を阻止する。この時点で、ドリル50は、骨にボアを形成するようにセットされている。図27Aおよび図27Bに関して説明された過程が、ボアを形成すると同時にボア深さの測度を提供するために行われる。このドリル50の使用中、ドリルおよびドリルビット450が前進されているときに、カニューレはカニューレとドリルガイドの内部にある段との継続的な当接によって静的に保持されることが、理解されるべきである。したがって、ステップ482において、ドリルが、カニューレがドリルガイドの内部にある段に当接し、かつ、ドリルビットが下層にある骨に最初に当接した状態にあるときに、カニューレ位置のゼロ化が行われる。ステップ488およびステップ490において、計算された電位差計の電圧の差は、この場合も、ドリル50がカニューレの遠位端部に向かって前進した距離を表す。この距離は、この場合も、ドリルビットが骨内に形成したボアの深さに対応する。
【0112】
ドリルガイド550を提供することにより、それに隣接してボアが形成されるプレートに対してドリルビットを精密に配向するように、本発明のドリル50を使用することができる。これは、得られるボアがプレートのねじ山に対して正確な配向を有することを確実にする。
【0113】
図31は、本発明のドリルのための代替的なハウジング582を示す。本発明のこのバージョンでは、ディスプレイ584が、トランスデューサ組立体を収容するハウジングの部分に取り付けられる。
【0114】
図32は、本発明の代替的なドリル50aの一部分を示す。図32では、ドリルビットは、モータロータ内に配置されて示されていない。ドリル50aは、上記のハウジング582およびディスプレイ584を含む。
【0115】
ドリル50aはまた、モータ60aを含む。モータ60aは、最初に説明されたモータ60と実質的に同一である。モータ60aは、追加の構成要素である、図33で最も良く分かる静的なカニューレ602を含む。静的なカニューレ602は、チューブ状の主要部610を含む。主要部610は、ボア117を画定するロータ110の内表面の直径未満の外径を有する。主要部610の近位端部では、リング様の頭部608が、径方向外方にかつ主要部を囲むように円周方向に突出する。頭部608の外側円筒面は、典型的にはねじ切り部(図示せず)を備える。より具体的には、頭部610は、前キャップボス70の内部にあるボア72内に着座する形状となされる。同じくチューブ様の尾部612が、主要部612の近位端部から近位に延在する。不動のカニューレ602は、尾部が主要部610の外径未満の外径を有するように、形成される。より具体的には、尾部612の外径は、尾部が、ボア162を画定するキャリア156のボス158の内部の表面内に着座しかつそこから内方に離間され得るような外径である。静的なカニューレ602はさらに、尾部612を通って延在するボア618を画定する内壁が、ドリルビット450が尾部内に着座しかつ自由に回転することを可能にするのに十分な直径を有するように、形成される。
【0116】
静的なカニューレ602は、カニューレを貫いて軸方向に延在している、隣接する2つのボアを有する。ボア616が、頭部608の遠位端部から、頭部を貫いて主要部610の近位端部まで、近位に延在する。ボア616は、ボア618内に開口する。ボア618は、カニューレ602の尾部612を貫通し、かつ、カニューレの近位端部において開口部を形成する。ボア618は、ボア616の直径未満の直径を有することが、理解されるべきである。
【0117】
モータ60aが組み立てられるときに、不動のカニューレ602は、カニューレ主要部610がロータボア117内に着座するように、モータに挿入される。このカニューレ602がロータ110内に着座することの結果として、カニューレ尾部は、キャリア148のボア150を通って、ボス158の内部のボア162内まで延在する。Oリング166は、カニューレ尾部612の外表面を圧迫する。
【0118】
本発明のこのバージョンでは、前キャップ62は、ボア72を画定するボス70の内表面がねじ切り部(図示せず)を有して形成されるように、形成される。不動のカニューレ602は、カニューレ頭部608を囲むねじ切り部がボス70の内部にあるねじ切り部と係合するようにカニューレ602を回転させることにより、ロータボア117内にしっかりと固定される。
【0119】
ドリル50aは、最初に説明されたドリル50が使用されるのと同じように使用される。使用に際して唯一認められる違いは、ドリルビット450がドリル50aに嵌合されるときに、ビットが、スピンドル174内に延在する前に、静的なカニューレ602の内部にあるボア616および618を貫通することである。
【0120】
ドリル50aの利点は、静的なカニューレ602が、周囲環境とモータ60aの可動構成要素との間の障壁として機能することである。この障壁は、ドリル50aが用いられるときに存在する流体およびデブリがモータ60aの可動構成要素と接触するのを防ぐ。
【0121】
上記のことは、本発明の1つの特定のバージョンを対象とする。本発明の他のバージョンは、説明されてきたのとは異なる特徴を有し得る。
【0122】
例えば、本発明の代替的なバージョンでは、モータは、空気モータまたは油圧モータとされ得る。
【0123】
さらに、ドリルから前方に延在するプローブがドリルビットを基本的に円周方向に包囲するカニューレであることは、本発明の全てのバージョンにおいて要求される訳ではない。本発明の代替的なバージョンでは、プローブは、ドリルビットの周りに比較的小さい弧をなすロッドとされ得る。あるいは、プローブは、弧状に離間された複数のロッドで構成され得る。本発明のそれらのバージョンでは、より大きな弧をなす止め具が、ロッド(または複数のロッド)の遠位端部に配置され得る。本発明のこのバージョンの利点は、このタイプのプローブが、ドリルビット450が当てられる部位の眺めを、本発明の主要な説明されたバージョンのカニューレよりもさらに小規模にしか妨げないことである。一般に、本発明の大抵のバージョンにおいて、プローブの少なくとも最遠位10mmの部分内、より具体的にはプローブの少なくとも最遠位15mmの部分内では、ドリルビットに隣接する表面であるプローブの内表面はドリルビットから2mm以下離間されることが、理解されるべきである。プローブの少なくとも最遠位10mm内、より好ましくはプローブの最遠位15mm内では、ドリルビットから最も遠くに離間される表面であるプローブの外表面は、ドリルビットから最大で5mm離れて配置される。
【0124】
同様に、本発明は、プローブに対するドリルの変位を測定するトランスデューサ組立体が歯車を含み、その歯車が歯車の回転を測定するプローブまたは電位差計と係合するドリルに、限定されるものではない。本発明の代替的なバージョンでは、線形可変差動変成器が、プローブに対するドリルの相対運動を測定しかつその運動を表す信号を提供するトランスデューサとして機能し得る。センサ信号は、センサに対する磁石の相対位置に基づいて変化する。信号プロセッサは、このセンサ信号の変化に基づいて、プローブに対するドリルの運動を判定することができる。
【0125】
カニューレ380が歯382を備える本発明のバージョンでは、トランスデューサは、歯がセンサのそばを通過するのに応じて信号を生成するトランスデューサとされ得る。1つのそのようなセンサは、Worcester、MassachusettsのAllegro MicroSystemsから入手可能なATS605LSG Dual Output Differential Speed And Direction Sensorである。本発明のこのバージョンでは、歯382がトランスデューサのそばを通るたびに、トランスデューサは、別々のパルス信号を出力する。トランスデューサによって放出されるパルスの数は、センサを通過する歯の数を表すものである。センサを通過する歯の数は、ドリル50がカニューレ380上を前進した距離に対応する。
【0126】
あるいは、センサは、光学センサとされ得る。本発明のそれらのバージョンでは、プローブは、センサによって読み取られ得る印を有して形成される。第2の構成要素に対する1つの構成要素の運動を表す信号を提供することができる他のセンサも、用いられ得る。
【0127】
さらに、ディスプレイ410を含めて、トランスデューサ組立体260の構成要素のうちのいくつかまたは実質的に全てが、ドリルハウジング52に取り外し可能に取り付けられることが、本発明の範囲に含まれる。本発明のそれらのバージョンの利点は、それらの取り外し可能な構成要素が、度重なる滅菌過程の過酷さに耐えるように設計されなくてもよいことである。本発明のいくつかのバージョンでは、プローブは、トランスデューサ組立体を含む取り外し可能なモジュールに組み入れられる。本発明のさらに他のバージョンでは、プローブは、ドリルハウジングに取り外し可能に取り付けられる。
【0128】
本発明のいくつかのバージョンでは、カニューレ380の溝384である、プローブの外表面に沿って横方向に延在する細長い溝は、プローブの近位端部より遠位の位置から始まるか、またはプローブの遠位端部より近位の位置で終端し得る。本発明のそれらのバージョンでは、ボス325と溝の端部との当接により、ドリルに対するプローブの運動が制限される。
【0129】
同様に、それを通ってカニューレ380およびドリルビット450の両方が遠位前方に延在するドリルハウジング52内の共通の開口部は、必ずしも摺動可能な運動のためにカニューレを支持するブッシュに存在していなくてもよいことが、理解されるべきである。同様に、この共通の開口部は、必ずしもトランスデューサ組立体の一部を形成する構成要素に形成された開口部でなくてもよい。
【0130】
ブッシュそのものに関して、ブッシュは、必ずしも本発明の主要なバージョンに関して説明された単体の組立体でなくてもよい。本発明のいくつかのバージョンでは、ブッシュは、プローブの長手方向の運動を可能にすると同時にドリルビット450の軸から離れる運動を抑制するようにプローブを保持する、2つ以上の離間した部材で構成され得る。この撓みは、生じることが許容された場合、ボア深さの正確な測度を提供するドリルの能力に悪影響を与え得る。この撓みを許容することに関するより深刻な影響は、回転するドリルビットをプローブが圧迫することになり得ることである。一般に、プローブの撓みを抑制するには、ブッシュ組立体は、少なくとも1cmの長さ、より多くの場合少なくとも1.5cmの長さ、さらにより好ましくは少なくとも2cmの長さの距離に沿って、プローブが横方向運動つまり左右の運動をするのを抑えるべきであると考えられる。
【0131】
同様に、プローブを遠位前方に付勢する力を提供するために、説明された渦巻きばね以外のデバイスが、本発明のドリルに組み込まれてもよい。本発明のいくつかのバージョンでは、この力は、プローブに長手方向の力を直接印加するばねによって提供され得る。この付勢力を提供する組立体が、プローブを遠位前方に付勢するために磁気または電磁気の力に依存する組立体であることが、同様に本発明の範囲に含まれる。したがって、プローブを遠位前方に付勢する付勢部材であってトランスデューサ組立体と一体ではない付勢部材を提供することが本発明の範囲に含まれることが、理解されるべきである。したがって、例えば、トランスデューサ組立体が説明されたトランスデューサ組立体とは異なる本発明の一バージョンでは、プローブを遠位前方に付勢する付勢部材は、トランスデューサ組立体の一部ではない場合がある。これは、トランスデューサ組立体が光学センサである場合、付勢部材は、プローブの近位部分を押すロータボア内に配置されたつる巻きばねとされ得る。
【0132】
伝動装置と呼ばれることもある歯車列が、モータロータとドリルビットをモータに解放可能に保持して回転させる継手組立体との間に存在することは、本発明の全てのバージョンにおいて要求される訳ではない。歯車列が存在する本発明のバージョンでは、歯車列は、説明されてきたものとは異なる構造を有してもよい。したがって、歯車列が単一の遊星歯車組立体または3つ以上の遊星歯車組立体を含むことが、本発明の範囲に含まれる。
【0133】
さらに、伝動装置が存在する場合、伝動装置は、必ずしもモータ60とドリルビット450が結合される構成要素である駆動スピンドル174との間に物理的に配置されなくてもよい。本発明のいくつかのバージョンでは、構成要素は、駆動スピンドルがモータと伝動装置との間に配置されるように、構成され得る。
【0134】
同様に、伝動装置がモータロータの速度に対して駆動スピンドルの回転速度を減少させることは、伝動装置が存在する本発明の全てのバージョンにおいて要求される訳ではない。伝動装置が実際には駆動スピンドルの回転速度をモータの回転速度に対して増大させる働きをし得ることが、本発明の範囲に含まれる。同様に、本発明のいくつかのバージョンでは、伝動装置は、ロータに対する駆動スピンドルの回転速度の増大または減少を生じさせることなく、モータロータの回転運動を駆動スピンドルに伝達する働きのみをし得る。
【0135】
さらに、本発明は、ドリルビットを駆動しまたその中に両方のドリルビットが着座されるロータがドリルモータの内部のロータであるように構成されたドリルに限定されるものではない。本発明の代替的な駆動部は、モータロータとドリルビットを受け入れるロータとが互いに分かれている駆動部であり得る。したがって、本発明の代替的なドリルは、モータがドリルハウジングのハンドグリップに内蔵されるように構成され得る。ドリルビットを回転させるとともにプローブを受け入れるロータは、ハウジングのバレルに回転可能に内蔵される。本発明のこれらのバージョンでは、モータは、巻線と一緒に配置されるロータを有する。歯車組立体が、このロータの回転モーメントを第2のロータに伝達する。この第2のロータは、駆動スピンドルが接続されるロータである。本発明のいくつかのバージョンでは、この歯車組立体はまた、ドリルビットおよびプローブが貫通するロータがモータ駆動シャフトの回転速度よりも遅い速度で回転するように回転モーメントを減じる伝動装置として機能する。本発明のこのバージョンのなおも他の変形形態では、モータロータ、およびドリルビットを受け入れるロータは、同速度で作動する。歯車組立体142に類似した歯車組立体に類似した歯車組立体が、ロータが回転する速度に満たない速度で駆動スピンドルが回転するように、ドリルビット450が実際に結合される構成要素である駆動スピンドルの速度を低下させる。
【0136】
同様に、本発明のいくつかのバージョンでは、ドリルは、ドリルビットが貫通しまたプローブが摺動可能に受け入れられるボアを有するロータを含まない場合があることが、理解されるべきである。ドリルビット450をモータによる回転のために接続する継手組立体の近位にモータが配置されるようにドリルを構成することが、本発明のドリルの範囲に含まれる。本発明のなおも他のバージョンでは、ロータ以外の構成要素が、モータの出力シャフトからのトルクを、ドリルビットが取り外し可能に接続されるスピンドルまたは他の構成要素に伝達し得る。本発明のこれらのバージョンでは、ドリルビット継手組立体にトルクを伝達するボアを有するロータを含むことが必要でない場合があることが、理解されるべきである。本発明のこれらのバージョンでは、プローブがドリルビットおよび隣接する組織の眺めを妨げる範囲を縮小するために、プローブ380は、ドリルビット450が貫通する開口部を通ってハンドピースから遠位前方に延在する。繰り返すが、本発明のこれらのバージョンでは、プローブの横方向運動を防止するために、ブッシュ組立体が存在する可能性が最も高い。
【0137】
さらに、ドリルビットをモータ60に対して解放可能に保持するために使用される継手組立体が、説明されたものとは異なることが、本発明の範囲に含まれる。例えば、本発明のドリルに組み込まれ得る1つの代替的な継手組立体は、可撓性の足部を有するコレットを含む継手組立体である。選択的に移動可能なカラーが、継手組立体をロック状態にするために、足部をドリルビットに対して保持する。あるいは、カラーを移動させることにより、足部はドリルビットから離れるように曲がることができる。これは、ドリルビットの取外しおよび新たなドリルビットの装着を容易にする。このタイプの継手組立体のさらなる理解は、米国特許出願公開第2002/0058958号/PCT公開WO2001/0060261から得ることができ、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0138】
伝動装置組立体を含まない本発明のバージョンでは、駆動スピンドルは、モータロータと一体であり得る。したがって、本発明のそれらのバージョンでは、継手組立体は、基本的に、ドリルビットがモータロータと一致して回転するように、ドリルビット450をモータロータ60に直接固定する。
【0139】
ハウジングがピストル形状あることが本発明の全てのバージョンにおいて要求される訳ではないことが、理解されるべきである。
【0140】
本発明の説明されたバージョンでは、プロセッサ408は、ドリルビット450が骨を完全に掘削したという外科医の判断に基づいて、骨に形成されたボアの深さの最終的な値を判定しかつ表示する。本発明の他のバージョンでは、ボア深さに関するプロセッサ408の最終的な判定を引き起こす入力合図は、説明されてきたものとは異なる場合がある。したがって、本発明のいくつかのバージョンでは、ドリルビット450が骨を突抜けたことを示す入力合図は、ボア深さ;加速度の変化を含む、骨を通るドリルビットの前進速度;モータによるトルク出力;モータによって引き出される電流;またはモータ速度といった入力変数のうちの1つまたは複数に基づき得る。同様に、ボア深さを判定するために使用される変数は、上記に挙げられた変数のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0141】
さらに、ハンドピースに組み入れられることによりボア深さに関するデータが提示されるディスプレイは、本発明の全てのバージョンにおいて要求される訳ではない。本発明のいくつかのバージョンでは、このディスプレイは、遠隔制御卓上に存在し得る。したがって、ディスプレイは、モータ60に電力を供給するために使用される遠隔制御卓上に提示される画像の一部とされ得る。同様に、トランスデューサ組立体260によって出力される信号に応答してボアの深さを判定するプロセッサは、ディスプレイを含む遠隔制御卓に同様に組み入れられ得る。本発明のそれらのバージョンでは、ドリルハウジング52から制御卓へのケーブルが導体を含み、その導体を通じてトランスデューサ組立体260からの信号がプロセッサまで送られることが、理解される。
【0142】
さらに、図27Aおよび図27Bに関して説明された、本発明のボアの突抜けを判定する方法は、本発明の組立体以外の、ボア深さを判定するための組立体を使用して行われてもよい。したがって、この方法は、ドリルビットから5mmを超えて離間されたプローブによりボア深さを測定する組立体と共に使用され得る。あるいは、ドリルの貫入深さを測定するセンサは、波動がトランスデューサ組立体に反映されるにかかる時間を監視することにより、骨へのドリルの進入、ひいてはドリルビットの貫入深さを判定する、組立体である。
【0143】
さらに、プロセスのステップにおける変形形態が存在し得る。例えば、突抜け深さを判定するステップ498は、ステップ504の比較が、判定された深さがゼロ深さに戻ったことを示した後で、1回だけ判定されてもよい。
【0144】
同様に、本発明のドリルは、外科用ドリルとして一般に説明されたが、この使用法は、限定的なものと捉えられるべきではない。本発明の代替的なドリルは、生体組織以外の物質にボアを形成すると同時に形成されたボアの深さを測定するために、使用され得る。したがって、ドリル50に取り付けられるドリルビットのタイプに応じて、本発明のドリルは、木、金属、石、コンクリート、セメント、またはアスファルトなどの物質にボアを形成するために使用され得る。
【0145】
したがって、添付の特許請求の範囲の目的は、本発明の真の精神および範囲に含まれる全てのそのような変形形態および修正形態をカバーすることである。
図1
図2
図3
図3A
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27A
図27B
図28
図29
図30
図31
図32
図33