【文献】
ZHAO, Qi et al.,LEUKEMIA,2015年 6月 9日,VOL:29, NR:11,PAGE(S):2238 - 2247,URL,http://dx.doi.org/10.1038/leu.2015.125
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
細胞表面で、配列番号1のペプチドとHLA−A0201の複合体に特異的に結合する、単離された抗体またはその断片であって、ここで該抗体またはその断片は、配列番号64のペプチドとHLA−A0201の複合体には結合せず、ここで該細胞は、HLA−A0201に結合している該配列番号1のペプチドの複合体を発現する細胞であり、ここで該抗体またはその断片は、50nMの終濃度で配列番号1のペプチドとHLA−A0201の複合体を含むELISA分析で測定されるとき、Fab形態および免疫グロブリン形態で10nM未満のEC50を有し、
前記抗体またはその断片が、
(a)配列番号7のHCDR1領域、配列番号8のHCDR2領域、配列番号9のHCDR3領域、配列番号10のLCDR1領域、配列番号11のLCDR2領域、および配列番号12のLCDR3領域;
(b)配列番号17のHCDR1領域、配列番号18のHCDR2領域、配列番号19のHCDR3領域、配列番号20のLCDR1領域、配列番号21のLCDR2領域、および配列番号22のLCDR3領域;
(c)配列番号27のHCDR1領域、配列番号28のHCDR2領域、配列番号29のHCDR3領域、配列番号30のLCDR1領域、配列番号31のLCDR2領域、および配列番号32のLCDR3領域;
(d)配列番号37のHCDR1領域、配列番号38のHCDR2領域、配列番号39のHCDR3領域、配列番号40のLCDR1領域、配列番号41のLCDR2領域、および配列番号42のLCDR3領域;
(e)配列番号47のHCDR1領域、配列番号48のHCDR2領域、配列番号49のHCDR3領域、配列番号50のLCDR1領域、配列番号51のLCDR2領域、および配列番号52のLCDR3領域;
(f)配列番号57のHCDR1領域、配列番号58のHCDR2領域、配列番号59のHCDR3領域、配列番号60のLCDR1領域、配列番号61のLCDR2領域、および配列番号62のLCDR3領域
を含んでなる、
前記抗体またはその断片。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、WT1 RMFペプチド/HLA−A0201複合体(RMF/HLA)を認識し、好ましくは特異的に認識し、したがってそれらに結合する、抗体またはそれらの断片に関する。
【0018】
「WT1」という用語は、ウィルムス腫瘍タンパク質として知られているタンパク質を指す。AWT1、GUD、NPHS4、WAGR、ウィルムス腫瘍タンパク質、WIT−2、およびWT33をはじめとする、WT1の特定の同義語が存在する(exits)。ヒトWT1は、以下のアミノ酸配列(UniProt P19544)を有する:
MGSDVRDLNALLPAVPSLGGGGGCALPVSGAAQWAPVLDFAPPGASAYGSLGGPAPPPAPPPPPPPPPHSFIKQEPSWGGAEPHEEQCLSAFTVHFSGQFTGTAGACRYGPFGPPPPSQASSGQARMFPNAPYLPSCLESQPAIRNQGYSTVTFDGTPSYGHTPSHHAAQFPNHSFKHEDPMGQQGSLGEQQYSVPPPVYGCHTPTDSCTGSQALLLRTPYSSDNLYQMTSQLECMTWNQMNLGATLKGVAAGSSSSVKWTEGQSNHSTGYESDNHTTPILCGAQYRIHTHGVFRGIQDVRRVPGVAPTLVRSASETSEKRPFMCAYPGCNKRYFKLSHLQMHSRKHTGEKPYQCDFKDCERRFSRSDQLKRHQRRHTGVKPFQCKTCQRKFSRSDHLKTHTRTHTGKTSEKPFSCRWPSCQKKFARSDELVRHHNMHQRNMTKLQLAL(配列番号2)。
【0019】
マウス(UniProt P22561)、イノシシ(NCBI NP_001001264.1)、チンパンジー、畜牛、セキショクヤケイ、イヌ、ヒツジ、めだか、ラット(UniProt P49952)、およびゼブラフィッシュをはじめとする、その他の生物種に由来するWT1の相同体もまた知られている。ほとんどの好ましい実施形態では、WT1はヒトWT1である。その他の好ましい実施形態では、WT1は配列番号2に記載のタンパク質である。
【0020】
「RMF」および「RMFペプチド」という用語は、アミノ酸配列RMFPNAPYL(配列番号1)を有するWT1由来ペプチドを指す。
【0021】
「HLAA0201」、「HLA−A*02:01」、および「HLA−A0201」という用語は、特異的HLA血清型を指す。HLA−A0201はヘテロ二量体タンパク質であり、α鎖およびβ鎖を含んでなる。
【0022】
「WT1/HLA複合体」、「WT1/HLA」、「RMF/HLA複合体」、および「RMF/HLA」という用語は同義的に使用され、RMFペプチドとHLA−A0201の複合体を指す。本発明の抗体およびそれらの断片は、WT1/HLA複合体に対して特異的である。
【0023】
「RHAMM」および「RHAMMペプチド」という用語は、アミノ酸配列ILSLELMKL(配列番号63)を有するペプチドを指す。「RHAMM/HLA複合体」および「RHAMM/HLA」という用語は、前記RHAMMペプチドとHLA−A0201の複合体を指す。
【0024】
「PIGQ」および「PIGQペプチド」という用語は、アミノ酸配列RMFPGEVAL(配列番号64)を有するペプチドを指す。このペプチドは、健常ヒト組織に遍在する。
【0025】
「PIGQ/HLA複合体」および「PIGQ/HLA」という用語は、PIGQペプチドとHLA−A0201の複合体を指す
【0026】
「抗体」という用語は、本明細書の用法では、ジスルフィド結合によって相互連結する少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含んでなるタンパク質を指し、それは(例えば、結合、立体障害、空間分布の安定化によって)抗原と相互作用する。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書でVHと略記される)および重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、CH1、CH2、およびCH3の3つのドメインから構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書でVLと略記される)および軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLから構成される。VHおよびVL領域は、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性領域にさらに細分化され得て、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存された領域がその中に散在する。各VHおよびVLは、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4の順でアミノ末端からカルボキシ末端に配置された、3つのCDRおよび4つのFRから構成される。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫グロブリンと、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1成分(C1q)をはじめとする宿主組織または要素との結合を媒介してもよい。「抗体」という用語は、例えば、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ化抗体、およびキメラ抗体を含む。抗体は、任意のアイソタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)またはサブクラスであり得る。軽鎖および重鎖はどちらも、構造的および機能的相同性の領域に分割される。「免疫グロブリン形態」という用語は、本明細書において上で定義されるような完全長抗体を指す。
【0027】
「抗体断片」または「その断片」という語句は、本明細書の用法では、(例えば、結合、立体障害、空間分布の安定化によって)抗原に特異的に相互作用する能力を保持する、抗体の1つまたは複数の部分を指す。結合断片の例としては、VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなる一価の断片であるFab断片;ヒンジ領域のジスルフィド架橋によって連結する2つのFab断片を含んでなる二価の断片である、F(ab)2断片;VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片;VHドメインからなるdAb断片(Ward et al.,(1989)Nature 341:544−546);および単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられるが、これに限定されるものではない。さらに、Fv断片のVLとVHの2つのドメインは別々の遺伝子によってコードされるが、それらは、VLおよびVH領域が対合して、(一本鎖Fv(scFv)として知られている;例えば、Bird et al.,(1988)Science 242:423−426;およびHuston et al.,(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.85:5879−5883)を参照されたい)一価の分子を形成する単一タンパク質鎖になるようにする合成リンカーによって、組換え法を用いて連結され得る。このような一本鎖抗体もまた、「抗体断片」という用語に包含されることが意図される。これらの抗体断片は、当業者に公知の従来の技術を用いて得られ、断片は非損傷抗体と同一様式で、有用性についてスクリーニングされる。抗体断片また、単一ドメイン抗体、マキシ抗体、ミニ抗体、細胞内抗体、二特異性抗体、三特異性抗体、四特異性抗体、v−NAR、およびビス−scFvに組み込まれ得る(例えば、Hollinger and Hudson,(2005)Nature Biotechnology 23:1126−1136を参照されたい)。抗体断片は、フィブロネクチンIII型(Fn3)などのポリペプチドに基づくスキャフォールドにグラフトされ得る(フィブロネクチンポリペプチドモノ抗体を記載する、米国特許第6,703,199号明細書を参照されたい)。抗体断片は、相補的軽鎖ポリペプチドと一緒になって1対の抗原結合部位を形成する、1対のタンデムFv断片(VH−CH1−VH−CH1)を含んでなる、一本鎖分子に組み込まれ得る(Zapata et al.,(1995)Protein Eng.8:1057−1062;および米国特許第5,641,870号明細書)。「Fab形態」という用語は、抗体のFab断片を指す。
【0028】
「抗原結合部位」という用語は、抗原に特異的に結合する領域またはその一部を含んでなる、抗体または抗体断片の部分を指す。抗原結合部位は、1つまたは複数の抗体可変ドメインによって提供されてもよい。好ましくは、抗原結合部位は、抗体またはその断片の関連VHおよびVL内に含まれる。
【0029】
「ヒト抗体」または「ヒト抗体断片」は、本明細書の用法では、フレームワークおよびCDR領域の双方がヒト起源の配列に由来する可変領域を有する、抗体およびそれらの断片を含む。さらに、抗体が定常領域を含有する場合、定常領域もまた、例えば、ヒト生殖系列配列またはヒト生殖系列配列の変異バージョンなどのヒト配列、または例えば、Knappik et al.,(2000)J Mol Biol 296:57−86)に記載されるようなヒトフレームワーク配列分析から誘導される、抗体含有コンセンサスフレームワーク配列に由来する。例えば、CDRなどの免疫グロブリン可変領域の構造および部位は、例えば、Kabat番号付与スキーム、Chothia番号付与スキーム、またはKabatおよびChothiaの併用などの周知の番号付与スキームを用いて定義されてもよい(例えば、Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Health and Human Services (1991),eds.Kabat et al.;Lazikani et al.,(1997)J.Mol.Bio.273:927−948);Kabat et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th edit.,NIH Publication no.91−3242 U.S.Department of Health and Human Services;Chothia et al.,(1987)J.Mol.Biol.196:901−917;Chothia et al.,(1989)Nature 342:877−883;およびAl−Lazikani et al.,(1997)J.Mol.Biol.を参照されたい。
【0030】
本明細書で定義される「ヒト化抗体」または「ヒト化抗体断片」は、(i)その抗体がヒト生殖系列配列に基づく、非ヒト起源(例えば、異種免疫系を有する遺伝子組換えマウス)に由来するもの、または(ii)その中で可変領域のCDRが非ヒト起源に由来する一方で、可変領域の1つまたは複数のフレームワークがヒト起源であり、(存在する場合)定常領域がヒト起源である、CDRがグラフトされたものの1つである。
【0031】
「キメラ抗体」または「キメラ抗体断片」という用語は、1つの生物種に見いだされる配列に由来または対応する定常抗体領域と、別の生物種に由来する可変抗体領域とを有する抗体分子として、本明細書で定義される。好ましくは、定常抗体領域は、例えば、ヒト生殖細胞系または体細胞などのヒトに見いだされる配列に由来または対応し、可変抗体領域(例えば、VH、VL、CDRまたはFR領域)は、例えば、マウス、ラット、ウサギまたはハムスターなどの哺乳類のような非ヒト動物に見いだされる配列に由来する。
【0032】
「単離された」という用語は、例えば、異なる抗原特異性を有するその他の抗体または抗体断片を実質的に含まない、抗体または抗体断片であり得る化合物を指す。さらに、単離された抗体またはその断片は、その他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含まなくてもよい。したがって、いくつかの態様では、提供される抗体は、異なる特異性を有する抗体から分離された単離された抗体である。単離された抗体は、モノクローナル抗体であってもよい。単離された抗体は、組換え抗体であってもよい。しかし、標的のエピトープ、イソ型または変異型に特異的に結合する単離された抗体は、例えば、その他の生物種などに由来する、その他の関連抗原(例えば、生物種相同体)との交差反応性を有してもよい。
【0033】
「組換え抗体」という用語は、本明細書の用法では、ヒト免疫グロブリン遺伝子またはそれから調製されたハイブリドーマで、遺伝子組換えまたは染色体導入された動物(例えば、マウス)から単離された抗体、抗体を発現するように形質転換された宿主細胞から単離された抗体、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから選択され単離された抗体、およびヒト免疫グロブリン遺伝子の全部または一部の配列の別のDNA配列へのスプライシングを伴う、その他のあらゆる手段によって調製、発現、作製または単離された抗体などの組換え手段によって調製、発現、作製、または分離された全ての抗体を含む。好ましくは、このような組換え抗体は、フレームワークおよびCDR領域がヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する、可変領域を有する。しかし、特定の実施形態では、このような組換えヒト抗体は、生体外変異誘発(または、ヒトIg配列について遺伝子組換えされた動物が使用される場合は、生体内体細胞変異誘発)の対象となり得て、したがって組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VHおよびVL配列に由来し関連する配列である一方で、生体内においてヒト抗体生殖系列レパートリー内に天然に存在しなくてもよい。組換え抗体は、モノクローナル抗体であってもよい。一実施形態では、本明細書で開示される抗体および抗体断片は、どちらもその内容全体が参照により本明細書に援用される、米国特許第13/321,564号明細書または米国特許第13/299,367号明細書で開示されるように、Ylanthia(登録商標)抗体ライブラリーから単離される。
【0034】
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書の用法では、単一分子組成の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、特有の結合特異性と特定のエピトープに対する親和性を有する特有の結合部位を示す。
【0035】
結合特異性は絶対的でなく相対的性質であるから、本明細書の用法では、抗体またはその断片が抗原と1つまたは複数の参照抗原とを識別できる場合、このような抗体はこのような抗原に「特異的に結合する(binds specifically to)」、「特異的に結合する(specifically binds to)」、「特異的である」または「それを特異的に認識する」。参照抗原は、例えば、WT1/HLA複合体のスクランブル化バージョンの変異などの、基準点として使用される1つまたは複数の密接に関連する抗原であり得る。特に、WTA/HLA複合体に「特異的に結合する」抗体または抗体断片は、RHAMM/HLA複合体またはPIGQ/HLA複合体に結合しない。
【0036】
その最も一般的な形態において(そして特に断りのない限り)、「特異的結合」とは、例えば、以下の方法の1つに従って判定されるような、抗体またはその断片が目的の抗原と無関係の抗原とを識別する能力を指す。このような方法は、ウエスタンブロット、ELISA試験、RIA試験、ECL試験、IRMA試験、およびペプチドスキャンを含んでなるが、これに限定されるものではない。例えば、標準ELISAアッセイが実施され得る。スコア付けは、標準的な発色(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼを有する二次抗体、および過酸化水素を有するテトラメチルベンジジン)によって実施されてもよい。特定のウェル内の反応は、例えば、450nmなどにおける光学密度によって評価される。典型的なバックグラウンド(=陰性反応)は、0.1ODであってもよく;典型的な陽性反応は1ODであってもよい。これは、陽性/陰性の差が10倍を超え得ることを意味する。典型的に、結合特異性の判定は、単一の参照抗原ではなく、粉乳、BSA、トランスフェリンなどの約3〜5種の無関係の抗原のセットを使用して実施される。さらに、「特異的結合」は、例えば、WT1/HLA複合体の異なるドメインまたは領域などのその標的抗原の異なる部分、またはWT1/HLA複合体の1つまたは複数の重要なアミノ酸残基またはアミノ酸残基の一連の配列を識別する能力に関連してもよい。好ましくは、本明細書で開示される抗体またはその断片は、哺乳類のWT1/HLA複合体、特にヒトWT1/HLA複合体に特異的に結合する。
【0037】
「結合活性」という用語は、タンパク質間の多重結合相互作用の総合強度を描写するために使用される。結合活性は、単結合の強度を描写する親和性とは異なる。したがって、結合活性は結合の合計ではなく、むしろ結合親和性(機能的親和性)の相乗的な強さである。2つの結合部位のそれぞれの単一結合相互作用は、(相対的親和性次第で)容易に破壊され得る一方で、多数の結合相互作用が同時に存在するため、単一部位の一過性の結合解除は分子を拡散させず、その部位の結合は回復する可能性が高い。全体的効果は、抗原と抗体との相乗的かつ強力な結合である。
【0038】
「親和性」という用語は、本明細書の用法では、単一部位におけるポリペプチドとその標的との間の相互作用の強さを指す。各部位内で、ポリペプチドの結合領域は、多数の部位で弱い非共有結合力を介してその標的と相互作用し;通常、相互作用が多ければ多いほど、親和性が強くなる。
【0039】
「K
D」という用語は、本明細書の用法では、K
dとK
aとの比率(すなわち、K
d/K
a)から得られる解離定数を指し、モル濃度(M)として表される。例えば、モノクローナル抗体のような抗原結合部分のK
D値は、当該技術分野で確立された方法を使用して判定され得る。例えば、モノクローナル抗体のような抗原結合部分のK
Dを判定する方法は、SET(可溶性平衡滴定)であり、あるいはBiacore(登録商標)システムまたはOctetシステム(ForteBio)などのバイオセンサー装置を用いる表面プラズモン共鳴である。本発明において、WT1/HLA複合体に対して特異的な抗体は、典型的に、5×10
−2M未満、10
−2M未満、5×10
−3M未満、10
−3M未満、5×10
−4M未満、10
−4M未満、5×10
−5M未満、10
−5M未満、5×10
−6M未満、10
−6M未満、5×10
−7M未満、10
−7M未満、5×10
−8M未満、10
−8M未満、5×10
−9M未満、10
−9M未満、5×10
−10M未満、10
−10M未満、5×10
−11M未満、10
−11M未満、5×10
−12M未満、10
−12M未満、5×10
−13M未満、10
−13M未満、5×10
−14M未満、10
−14M未満、5×10
−15M未満、または10
−15M未満の解離速度定数(K
D)(k
off/k
on)を有する。
【0040】
「交差競合」または「交差競合する」は、抗体、抗体断片またはその他の抗原結合部分が、標準競合結合アッセイにおいて、特異的抗原に対するその他の抗体、抗体断片または抗原結合部分の結合に干渉する能力を意味する。抗体、抗体断片またはその他の抗原結合部分が、特異的抗原に対する別の抗体、抗体断片または抗原結合部分の結合に干渉できる能力または程度、ひいては、それが本発明によれば交差競合すると言えるかどうかは、標準競合結合アッセイを用いて判定され得る。1つの適切なアッセイは、(例えば、BIAcore 3000装置(Biacore,Uppsala,Sweden)を使用することによる)Biacore技術の使用を伴い、それは、表面プラズモン共鳴技術を使用して相互作用の程度を測定し得る。交差競合を測定するための別のアッセイは、ELISAベースのアプローチを使用する。それらの交差競合に基づいて、抗体を「エピトープビニング」するためのハイスループットプロセスが、国際公開第2003/48731号パンフレットに記載される。調査中の抗体または抗体フラグメントが、表1に記載される抗体の1つのWT1/HLA複合体に対する結合を60%以上、特に70%、またはより特に80%以上低下させ、そして表1に記載される抗体の1つが、前記抗体または抗体断片のWT1/HLA複合体に対する結合を60%以上、特に70%、またはより特に80%以上低下させる場合、交差競合が存在する。
【0041】
「エピトープ」という用語は、抗体またはその断片あるいはT細胞受容体によって特異的に認識され、または別の様式で分子と相互作用する、あらゆるタンパク質性領域を含む。一般的に、エピトープは、アミノ酸または炭水化物または糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面の集団であり、一般に特異的な三次元構造特性ならびに特異的な電荷特性を有してもよい。当業者には理解されるように、抗体が特異的に結合し得るものは、実質的にエピトープであり得る。エピトープは、抗体が結合する残基をを含んでなり得て、「直鎖」または「立体配座」であり得る。「直鎖エピトープ」という用語は、タンパク質と相互作用分子(抗体など)との間の相互作用点の全てが、タンパク質の一次アミノ酸配列に沿って直線的に(連続的に)存在するエピトープを指す。「立体配座エピトープ」という用語は、その中で不連続なアミノ酸が、三次元の立体構造に合わさっているエピトープを指す。立体配座エピトープにおいて、相互作用点は、互いに分離されたタンパク質上のアミノ酸残基に全体にわたり存在する。
【0042】
「同一エピトープに結合する」とは、抗体、抗体断片またはその他の抗原結合部分が、特異的抗原に結合でき、例示される抗体と同じエピトープを有することを意味する。例示される抗体およびその他の抗体のエピトープは、エピトープマッピング技術を用いて判定され得る。エピトープマッピング技術は、当該技術分野で周知である。例えば、立体配座エピトープは、例えば水素/重水素交換、X線結晶学、および二次元核磁気共鳴などのアミノ酸の空間的立体配座を判定することで容易に同定される。
【0043】
本発明の組成物は、治療または予防用途のために使用されれてもよい。したがって、本発明は、発明の抗体(または機能性抗体断片)と、薬学的に許容される担体または賦形剤とを含有する、医薬組成物を含む。関連態様において、本発明は、炎症性疾患を治療する方法を提供する。このような方法は、本明細書で記載されまたは検討されるような、本発明による抗体を含有する医薬組成物の有効量をそれを必要とする対象に投与するステップを含む。
【0044】
本発明は、開示されるようなWT1/HLA複合体抗体の治療有効量を、そのような治療を必要とする対象に投与することを含んでなる治療法を提供する。「治療有効量」または「有効量」は、本明細書の用法では、所望の生物学的応答を引き起こすために必要なWT1/HLA複合体抗体の量を指す。本発明によれば、治療有効量は、特定の疾患を治療および/または予防すために必要なWT1/HLA複合体抗体の量である。
【0045】
「対象」または「生物種」は、この文脈の用法では、マウスまたはラットなどの齧歯類、およびカニクイザル(Macaca fascicularis)、アカゲザル(Macaca mulatta)またはヒト(Homosapiens)などの霊長類をはじめとする、あらゆる哺乳類を指す。好ましくは、対象は霊長類であり、最も好ましくはヒトである。
【0046】
一実施形態では、本発明は、RMF/HLA複合体に特異的に結合する、抗体またはその断片に関する。
【0047】
別の実施形態では、本発明は、細胞表面に提示される、および/または存在するRMF/HLA複合体に特異的に結合する、抗体またはその断片に関する。
【0048】
別の実施形態では、本発明は、RMF/HLA複合体を発現する細胞に特異的に結合する、抗体またはその断片に関する。
【0049】
別の実施形態では、本発明は、RMF/HLA複合体を発現するがん細胞、好ましくはその表面に前記複合体を提示するがん細胞に特異的に結合する、抗体またはその断片に関する。
【0050】
別の実施形態では、本発明は、PIGQ/HLA複合体に対する前記抗体またはその断片のEC50よりも少なくとも10倍低いEC50でRMF/HLA複合体に結合する、抗体またはその断片に関する
【0051】
別の実施形態では、本発明は、PIGQ/HLA複合体に結合しない抗体またはその断片に関する。
【0052】
別の実施形態では、本発明は、Fab形態および免疫グロブリン形態で10nM未満のEC50を有する、抗体またはその断片に関する。
【0053】
別の実施形態では、本発明は、WT1/HLA複合体に特異的な抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、配列番号7のHCDR1領域、配列番号8のHCDR2領域、配列番号9のHCDR3領域、配列番号10のLCDR1領域、配列番号11のLCDR2領域、および配列番号12のLCDR3領域を含んでなる。
【0054】
別の実施形態では、本発明は、WT1/HLA複合体に特異的な抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、配列番号17のHCDR1領域、配列番号18のHCDR2領域、配列番号19のHCDR3領域、配列番号20のLCDR1領域、配列番号21のLCDR2領域、および配列番号22のLCDR3領域を含んでなる。
【0055】
別の実施形態では、本発明は、WT1/HLA複合体に特異的な抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、配列番号27のHCDR1領域、配列番号28のHCDR2領域、配列番号29のHCDR3領域、配列番号30のLCDR1領域、配列番号31のLCDR2領域、および配列番号32のLCDR3領域を含んでなる。
【0056】
別の実施形態では、本発明は、WT1/HLA複合体に特異的な抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、配列番号37のHCDR1領域、配列番号38のHCDR2領域、配列番号39のHCDR3領域、配列番号40のLCDR1領域、配列番号41のLCDR2領域、および配列番号42のLCDR3領域を含んでなる。
【0057】
別の実施形態では、本発明は、WT1/HLA複合体に特異的な抗体またはその断片に関し、前記抗体または抗体断片は、配列番号47のHCDR1領域、配列番号48のHCDR2領域、配列番号49のHCDR3領域、配列番号50のLCDR1領域、配列番号51のLCDR2領域、および配列番号52のLCDR3領域を含んでなる。
【0058】
別の実施形態では、本発明は、WT1/HLA複合体に特異的な抗体またはその断片に関し、前記抗体または抗体断片は、配列番号57のHCDR1領域、配列番号58のHCDR2領域、配列番号59のHCDR3領域、配列番号60のLCDR1領域、配列番号61のLCDR2領域、および配列番号62のLCDR3領域を含んでなる。
【0059】
本発明の別の実施形態では、抗体またはその断片は、ヒトWT1/HLA複合体に特異的に結合する。
【0060】
別の実施形態では本発明の、抗体またはその断片は、モノクローナル抗体または断片である。
【0061】
本発明の別の実施形態では、抗体またはその断片は、ヒト、ヒト化またはキメラ抗体またはその断片である。本発明の別の実施形態では、抗体またはその断片は、IgGアイソタイプである。
【0062】
一実施形態では、本発明は、WT1/HLA複合体に対して特異的な抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、配列番号5の重鎖および配列番号6の軽鎖を含んでなる。別の実施形態では、本発明は、WT1/HLA複合体に特異的な抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、配列番号5の重鎖および配列番号6の軽鎖と少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%の同一性を有する、重鎖および軽鎖を含んでなる。
【0063】
一実施形態では、本発明は、WT1/HLA複合体に特異的な抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、配列番号15の重鎖および配列番号16の軽鎖を含んでなる。別の実施形態では、本発明は、WT1/HLA複合体に特異的な抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、配列番号15の重鎖および配列番号16の軽鎖と少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%の同一性を有する、重鎖および軽鎖を含んでなる。
【0064】
一実施形態では、本発明は、WT1/HLA複合体に特異的な抗体または抗体断片に関し、前記抗体またはその断片は、配列番号25の重鎖および配列番号26の軽鎖を含んでなる。別の実施形態では、本発明は、WT1/HLA複合体に特異的な抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、配列番号25の重鎖および配列番号26の軽鎖と少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%の同一性を有する、重鎖および軽鎖を含んでなる。
【0065】
一実施形態では、本発明は、WT1/HLA複合体に特異的な抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、配列番号35の重鎖および配列番号36の軽鎖を含んでなる。別の実施形態では、本発明は、WT1/HLA複合体に特異的な抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、配列番号35の重鎖および配列番号36の軽鎖と少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%の同一性を有する、重鎖および軽鎖を含んでなる。
【0066】
一実施形態では、本発明は、WT1/HLA複合体に特異的な抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、配列番号45の重鎖および配列番号46の軽鎖を含んでなる。別の実施形態では、本発明は、WT1/HLA複合体に特異的な抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、配列番号45の重鎖および配列番号46の軽鎖と少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%の同一性を有する、重鎖および軽鎖を含んでなる。
【0067】
一実施形態では、本発明は、WT1/HLA複合体に特異的な抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、配列番号55の重鎖および配列番号56の軽鎖を含んでなる。別の実施形態では、本発明は、WT1/HLA複合体に特異的な抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、配列番号55の重鎖および配列番号56の軽鎖と少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%の同一性を有する、重鎖および軽鎖を含んでなる。
【0068】
本発明の別の実施形態では、抗体またはその断片は、単離された抗体またはその断片である。
【0069】
本発明の別の実施形態では、抗体またはその断片は、組換え抗体またはその断片である。
【0070】
一実施形態では、本発明は、WT1陽性疾患の治療で使用するための、WT1/HLA複合体に特異的な抗体またはその断片に関する。別の実施形態では、本発明は、WT1の望まれない存在および/または発現によって特徴付けられる疾患の治療で使用するための、WT1/HLA複合体に特異的な抗体またはその断片に関する。
【0071】
一実施形態では、本発明は、WT1/HLA複合体に特異的な抗体またはその断片をコードする、単一の核酸配列または複数の核酸配列を含んでなる核酸組成物に関し、前記抗体またはその断片は、配列番号7のHCDR1領域、配列番号8のHCDR2領域、配列番号9のHCDR3領域、配列番号10のLCDR1領域、配列番号11のLCDR2領域、および配列番号12のLCDR3領域;配列番号17のHCDR1領域、配列番号18のHCDR2領域、配列番号19のHCDR3領域、配列番号20のLCDR1領域、配列番号21のLCDR2領域、および配列番号22のLCDR3領域;配列番号27のHCDR1領域、配列番号28のHCDR2領域、配列番号29のHCDR3領域、配列番号30のLCDR1領域、配列番号31のLCDR2領域、および配列番号32のLCDR3領域;配列番号37のHCDR1領域、配列番号38のHCDR2領域、配列番号39のHCDR3領域、配列番号40のLCDR1領域、配列番号41のLCDR2領域、および配列番号42のLCDR3領域;配列番号47のHCDR1領域、配列番号48のHCDR2領域、配列番号49のHCDR3領域、配列番号50のLCDR1領域、配列番号51のLCDR2領域、および配列番号52のLCDR3領域;配列番号57のHCDR1領域、配列番号58のHCDR2領域、配列番号59のHCDR3領域、配列番号50のLCDR1領域、配列番号51のLCDR2領域、および配列番号52のLCDR3領域を含んでなる。
【0072】
一実施形態では、本発明は、
(a)配列番号3の可変重鎖DNA配列および配列番号4の可変軽鎖DNA配列;
(b)配列番号13の可変重鎖DNA配列および配列番号14の可変軽鎖DNA配列;
(c)配列番号23の可変重鎖DNA配列および配列番号24の可変軽鎖DNA配列;
(d)配列番号33の可変重鎖DNA配列および配列番号34の可変軽鎖DNA配列;
(e)配列番号43の可変重鎖DNA配列および配列番号44の可変軽鎖DNA配列;
(f)配列番号53の可変重鎖DNA配列および配列番号54の可変軽鎖DNA配列の少なくとも1つを含んでなる、核酸分子に関する。
【0073】
一実施形態では、本発明は、2つの核酸分子に関し、その中では、
1つの核酸分子は配列番号3のDNA配列を含んでなり、第2の核酸分子は配列番号4のDNA配列を含んでなり;
1つの核酸分子は配列番号13のDNA配列を含んでなり、第2の核酸分子は配列番号14のDNA配列を含んでなり;
1つの核酸分子は配列番号23のDNA配列を含んでなり、第2の核酸分子は配列番号24のDNA配列を含んでなり;
1つの核酸分子は配列番号33のDNA配列を含んでなり、第2の核酸分子は配列番号34のDNA配列を含んでなり;
1つの核酸分子は配列番号43のDNA配列を含んでなり、第2の核酸分子は配列番号44のDNA配列を含んでなり;
1つの核酸分子は配列番号53のDNA配列を含んでなり、第2の核酸分子は配列番号54のDNA配列を含んでなる。
【0074】
別の実施形態では、本発明は、表1で開示されるような抗体またはその断片をコードする核酸配列または複数の核酸配列を含んでなる、単一のベクターまたは複数のベクターを含んでなるベクター組成物に関する。
【0075】
一実施形態では、本発明は、表1で開示されるような抗体またはその断片をコードする核酸配列または複数の核酸配列を含んでなる、単一のベクターまたは複数のベクターを含んでなるベクター組成物を含んでなる細胞に関する。
【0076】
別の実施形態では、本発明は、表1で開示されるような抗体または抗体断片と、薬学的に許容できる担体または賦形剤とを含んでなる、医薬組成物に関する。
【0077】
一実施形態では、前記抗体またはその断片は、RMF/HLA複合体に特異的に結合し、Fab形態で、100nM、75nM、50nM、25nM、20nM、10nM、5nM、2.5nMまたは1nM未満のEC50を有する。好ましい実施形態では、前記抗体またはその断片は、RMF/HLA複合体に特異的に結合し、Fab形態で、10nm未満のEC50を有する。
【0078】
一実施形態では、前記抗体またはその断片は、RMF/HLA複合体に特異的に結合し、免疫グロブリン形態で、100nM、75nM、50nM、25nM、20nM、10nM、5nM、2.5nMまたは1nM未満のEC50を有する。好ましい実施形態では、前記抗体またはその断片は、RMF/HLA複合体に特異的に結合し、免疫グロブリン形態で、10nm未満のEC50を有する。
【0079】
一実施形態では、前記抗体またはその断片は、RMF/HLA複合体に特異的に結合し、Fab形態および免疫グロブリン形態で、100nM、75nM、50nM、25nM、20nM、10nM、5nM、2.5nMまたは1nM未満のEC50を有する。好ましい実施形態では、前記抗体またはその断片は、RMF/HLA複合体に特異的に結合し、Fab形態および免疫グロブリン形態で、10nm未満のEC50を有する。
【0080】
一実施形態では、前記抗体またはその断片は、PIGQ/HLA複合体に対するEC50よりも少なくとも25倍、少なくとも15倍、少なくとも10倍または少なくとも5倍低いEC50で、RMF/HLA複合体に結合する。
【0081】
一実施形態では、前記抗体またはその断片は、Fab形態で、PIGQ/HLA複合体に対するEC50よりも少なくとも25倍、少なくとも15倍、少なくとも10倍または少なくとも5倍低いEC50で、RMF/HLA複合体に結合する。
【0082】
一実施形態では、前記抗体またはその断片は、免疫グロブリン形態で、PIGQ/HLA複合体に対するEC50よりも少なくとも25倍、少なくとも15倍、少なくとも10倍または少なくとも5倍低いEC50で、RMF/HLA複合体に結合する。
【0083】
一実施形態では、前記抗体またはその断片は、免疫グロブリン形態およびFab形態で、PIGQ/HLA複合体に対するEC50よりも少なくとも25倍、少なくとも15倍、少なくとも10倍または少なくとも5倍低いEC50で、RMF/HLA複合体に結合する。
【0084】
特定の実施形態では、本出願のEC50値は、ELISAアッセイにおける測定値としてのEC50値である。特定の実施形態では、本出願のEC50値は、本明細書に例示されるようなELISAアッセイにおける測定値としてのEC50値である。
【0085】
一実施形態では、前記抗体またはその断片はRMF/HLA複合体に結合するが、PIGQ/HLA複合体には結合しない。
【0086】
一実施形態では、RMF/HLA複合体に特異的な本抗体またはそのフラグメントは、モノクローナル抗体または抗体断片である。
【0087】
一実施形態では、RMF/HLA複合体に特異的な本抗体またはその断片は、ヒト、ヒト化またはキメラ抗体である。特定の実施形態では、RMF/HLA複合体に特異的な前記抗体またはその断片は、単離された抗体またはその断片である。別の実施形態では、前記抗体またはその断片は、組換え抗体またはその断片である。さらなる実施形態では、前記抗体またはその断片は、組換えヒト抗体またはその断片である。さらなる実施形態では、前記組換えヒト抗体またはその断片は、単離された組換えヒト抗体またはその断片である。さらなる実施形態では、前記組換えヒト抗体またはその断片または単離された組換えヒト抗体またはその断片は、モノクローナルである。
【0088】
別の実施形態では、本発明の抗体またはその断片は、配列番号13によってコードされる重鎖と配列番号14によってコードされる軽鎖、または配列番号23によってコードされる重鎖と配列番号24によってコードされる軽鎖、または配列番号33によってコードされる重鎖と配列番号34によってコードされる軽鎖、または配列番号43によってコードされる重鎖と配列番号44によってコードされる軽鎖、または配列番号53によってコードされる重鎖と配列番号54によってコードされる軽鎖、または配列番号63によってコードされる重鎖と配列番号64によってコードされる軽鎖、または前述の配列と少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%の相同性を有する重鎖および軽鎖を含んでなる。
【0089】
一実施形態では、本抗体またはその断片は、ヒト重鎖定常領域とヒト軽鎖定常領域とを含んでなる。さらなる実施形態では、前記ヒト重鎖定常領域は配列番号5のアミノ酸配列を含んでなり、ヒト軽鎖定常領域は配列番号6のアミノ酸配列を含んでなり、または前記ヒト重鎖定常領域は配列番号15のアミノ酸配列を含んでなり、ヒト軽鎖定常領域は配列番号16のアミノ酸配列を含んでなり、または前記ヒト重鎖定常領域は配列番号25のアミノ酸配列を含んでなり、ヒト軽鎖定常領域は配列番号26のアミノ酸配列を含んでなり、または前記ヒト重鎖定常領域は配列番号35のアミノ酸配列を含んでなり、ヒト軽鎖定常領域は配列番号36のアミノ酸配列を含んでなり、または前記ヒト重鎖定常領域は配列番号45のアミノ酸配列を含んでなり、ヒト軽鎖定常領域は配列番号46のアミノ酸配列を含んでなり、または前記ヒト重鎖定常領域は配列番号55のアミノ酸配列を含んでなり、ヒト軽鎖定常領域は配列番号56のアミノ酸配列を含んでなり、
【0090】
一実施形態では、開示された抗体またはその断片は、IgGアイソタイプである。別の実施形態では、前記抗体はIgG1である。
【0091】
一実施形態では、抗体断片は二価の抗体断片である。
【0092】
別の実施形態では、本発明は、表1に記載される抗体と交差競合する抗体またはその断片に関する。一実施形態では、本発明は、抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、表1の抗体の1つのKabatによって定義される6つのCDRを含んでなる、抗体またはその断片と交差競合する。
【0093】
別の実施形態では、本発明は、抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、6つのCDRを含んでなる抗体またはその断片と交差競合し、HCDR1は配列番号7のアミノ酸配列であり、HCDR2は配列番号8のアミノ酸配列であり、HCDR3は配列番号9のアミノ酸配列であり、LCDR1は配列番号10のアミノ酸配列であり、LCDR2は配列番号11のアミノ酸配列であり、LCDR3は配列番号12のアミノ酸配列である。別の実施形態では、本発明は、抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、配列番号5に記載のVHと配列番号6に記載のVLとを含んでなる抗体またはその断片と交差競合する。
【0094】
別の実施形態では、本発明は、抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、6つのCDRを含んでなる抗体またはその断片と交差競合し、HCDR1は配列番号17のアミノ酸配列であり、HCDR2は配列番号18のアミノ酸配列であり、HCDR3は配列番号19のアミノ酸配列であり、LCDR1は配列番号20のアミノ酸配列であり、LCDR2は配列番号21のアミノ酸配列であり、LCDR3は配列番号22のアミノ酸配列である。別の実施形態では、本発明は、抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、配列番号15に記載のVHと配列番号16に記載のVLとを含んでなる抗体またはその断片と交差競合する。
【0095】
別の実施形態では、本発明は、抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、6つのCDRを含んでなる抗体またはその断片と交差競合し、HCDR1は配列番号27のアミノ酸配列であり、HCDR2は配列番号28のアミノ酸配列であり、HCDR3は配列番号29のアミノ酸配列であり、LCDR1は配列番号30のアミノ酸配列であり、LCDR2は配列番号31のアミノ酸配列であり、LCDR3は配列番号32のアミノ酸配列である。別の実施形態では、本発明は、抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、配列番号25に記載のVHと配列番号26に記載のVLとを含んでなる抗体またはその断片と交差競合する。
【0096】
別の実施形態では、本発明は、抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、6つのCDRを含んでなる抗体またはその断片と交差競合し、HCDR1は配列番号37のアミノ酸配列であり、HCDR2は配列番号38のアミノ酸配列であり、HCDR3は配列番号39のアミノ酸配列であり、LCDR1は配列番号40のアミノ酸配列であり、LCDR2は配列番号41のアミノ酸配列であり、LCDR3は配列番号42のアミノ酸配列である。別の実施形態では、本発明は、抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、配列番号35に記載のVHと配列番号36に記載のVLとを含んでなる抗体またはその断片と交差競合する。
【0097】
別の実施形態では、本発明は、抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、6つのCDRを含んでなる抗体またはその断片と交差競合し、HCDR1は配列番号47のアミノ酸配列であり、HCDR2は配列番号48のアミノ酸配列であり、HCDR3は配列番号49のアミノ酸配列であり、LCDR1は配列番号50のアミノ酸配列であり、LCDR2は配列番号51のアミノ酸配列であり、LCDR3は配列番号52のアミノ酸配列である。別の実施形態では、本発明は、抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、配列番号45に記載のVHと配列番号46に記載のVLとを含んでなる抗体またはその断片と交差競合する。
【0098】
別の実施形態では、本発明は、抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、6つのCDRを含んでなる抗体またはその断片と交差競合し、HCDR1は配列番号57のアミノ酸配列であり、HCDR2は配列番号58のアミノ酸配列であり、HCDR3は配列番号59のアミノ酸配列であり、LCDR1は配列番号60のアミノ酸配列であり、LCDR2は配列番号61のアミノ酸配列であり、LCDR3は配列番号62のアミノ酸配列である。別の実施形態では、本発明は、抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、配列番号55に記載のVHと配列番号56に記載のVLとを含んでなる抗体またはその断片と交差競合する。
【0099】
特定の実施形態では、本発明は、表1に記載される抗体と交差競合し、ELISAベースの交差競合アッセイで、表1に記載される抗体の1つの特異的結合を少なくとも70%、80%または90%低下させる抗体またはその断片に関する。特定の実施形態では、本発明は、表1に記載されるモノクローナル抗体と交差競合し、ELISAベースの交差競合アッセイで、表1に記載される抗体の1つのRMF/HLA複合体に対する特異的結合を少なくとも70%、80%または90%低下させる抗体またはその断片に関する。代表的なアッセイ設定は、本発明の実施例6に例示される。
【0100】
別の実施形態では、本発明は、(例えば、結合、安定化、空間分布によって)表1の抗体の1つと同じエピトープに結合する、抗体またはその断片に関する。さらなる実施形態では、前記抗体またはその断片は、表1の抗体の1つのKabatによって定義される6つのCDRを含んでなる、抗体またはその断片と同じエピトープに(例えば、結合、安定化、空間的分布によって)結合する。
【0101】
エピトープを含む所与のポリペプチドの領域は、当該技術分野で周知の多数のエピトープマッピング技術を用いて同定され得る。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,Vol.66(Glenn E.Morris,Ed.,1996)Humana Press,Totowa,New Jerseyを参照されたい。例えば、直鎖エピトープは、固体支持体上で多数のペプチドを同時に合成する、ペプチドがタンパク質分子の部分に対応する、そしてペプチドが支持体になおも付着している間にペプチドを抗体と反応させることで、判定されてもよい。このような技術は当該技術分野で公知であり、例えば、米国特許第4,708,871号明細書;Geysen et al.,(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA8:3998−4002;Geysen et al.,(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA82:78−182;Geysen et al.,(1986)Mol.Immunol.23:709−715に記載される。同様に、立体配座エピトープは、例えば水素/重水素交換、X線結晶学、および二次元核磁気共鳴などのアミノ酸の空間的立体配座を判定することで容易に同定される。例えば、上記のエピトープマッピングプロトコールを参照されたい。タンパク質の抗原性領域はまた、例えば、Oxford Molecular Groupから入手できるOmigaバージョン1.0ソフトウェアプログラムを用いて計算されたものなど、標準的な抗原性および疎水性親水性指標プロットを用いて同定され得る。このコンピュータプログラムは、抗原性プロファイルを判定するために、Hopp/Woods法、Hopp et al.,(1981)Proc.Natl.Acad.Sci USA 78:3824−3828を採用し;疎水性親水性指標プロットのために、Kyte−Doolittleの技術、Kyte et al.,(1982)J.Mol.Biol.157:105−132を採用する。
【0102】
一実施形態では、本発明は、表1のいずれかの抗体のKabatによって定義される6つのCDRを含んでなる、抗体またはその断片に関する。別の態様では、本発明は、表1の各抗体のKabatによって定義される6つのCDRを含んでなる、単離されたモノクローナル抗体またはその断片に関する。
【0103】
別の実施形態では、本発明は、RMF/HLA複合体に特異的な抗体またはその断片に関し、前記抗体またはその断片は、5×10
−2M未満、10
−2M未満、5×10
−3M未満、10
−3M未満、5×10
−4M未満、10
−4M未満、5×10
−5M未満、10
−5M未満、5×10
−6M未満、10
−6M未満、5×10
−7M未満、10
−7M未満、5×10
−8M未満、10
−8M未満、5×10
−9M未満、10
−9M未満、5×10
−10M未満、10
−10M未満、5×10
−11M未満、10
−11M未満、5×10
−12M未満、10
−12M未満、5×10
−13M未満、10
−13M未満、5×10
−14M未満、10
−14M未満、5×10
−15M未満、または10
−15M未満の解離速度定数(K
D)で、RMF/HLA複合体に対する一価の親和性を有し、前記抗体またはその断片は、二価の形態において、一価の形態における解離速度定数(KD)よりも少なくとも2倍、5倍、10倍、100倍、1000倍、10000倍、100000倍低い解離速度定数(K
D)で、RMF/HLA複合体に対する親和性(見かけの親和性)を有する。さらなる実施形態では、前記抗体またはそれらの断片の二価の親和性は、IgG形態で判定され、前記抗体またはそれらの断片の一価の親和性は、Fab形態で判定される。
【0104】
別の実施形態では、本発明は、WT1の望まれない存在および/または発現に関連する障害または病状を治療するための、前記医薬組成物の使用に関する。別の実施形態では、WT1の望まれない存在および/またはの発現に関連する前記病状は、がんである。
【0105】
このような担体、希釈剤、および賦形剤は当該技術分野で周知であり、当業者は、本開示のRMF/HLA抗体または抗体断片によって対象を治療するのに最適な処方および投与経路を見いだすであろう。
【0106】
別の実施形態では、本発明は、対象において炎症性疾患を予防する方法に関し、前記方法は、RMF/HLA複合体拮抗薬を前記対象に投与するステップを含んでなる。「予防」は、この文脈の用法では、疾患の発症を予防すること、または疾患の発症を遅延させることを目的とする方法を指す。
【0107】
いくつかの実施形態では、対象はヒトである。代案の態様では、対象は、ラットまたはマウスなどの齧歯類である。
【0108】
いくつかの実施形態では、本発明のRMF/HLAに特異的な抗体またはそれらの断片は、皮下投与される。その他の態様では、本発明のRMF/HLA複合体に特異的な抗体またはそれらの断片は、静脈内、関節内または脊髄内投与される。
【0109】
一実施形態では、本発明は、表1の抗体のいずれかのVHおよびVLを含んでなる、単離されたモノクローナル抗体またはその断片に関する。
【0110】
別の実施形態では、本発明は、単離されたモノクローナル抗体またはその断片をコードする核酸に関し、核酸は、表1の抗体のいずれかのVHおよびVLを含んでなる。
【0111】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【0112】
ここで本発明を以下の実施例において図面を参照して説明するが、それに限定されるものではない。本発明の目的で、本明細書で引用される全ての参考文献は、その内容全体が参照により援用される。
【実施例】
【0114】
実施例1:抗原の作製
抗体選択のための標的として、RMF/HLA複合体を使用した。標的は、Dao et al.(Sci Transl Med.2013 March 13;5(176):176ra33)に記載されるようにして作製した。ビオチン化WT1/HLA−A0201およびRHAMM−R3/HLA_A0201複合体は、免疫学部において、(小さな修正を加えてAltman,et al.1996.Phenotypic analysis of antigen specific T lymphocytes.Science 274:94、およびJung,G.,Ledbetter,J.A.,and Muller−Eberhard,H.J.(1987).Induction of cytotoxicity in resting human T lymphocytes bound to tumor cells by antibody heteroconjugates.Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,84(13),4611−4615に記載されるようにして)組換えHLA−A2およびs2−ミクログロブリンと共にペプチドを再折りたたみすることによって合成した。
【0115】
陰性対照として、RHAMM/HLA複合体を作製した(Dao et al.,2013)。RHAMMペプチドは、ILSLELMKL(配列番号(SED ID NO)63)のアミノ配列を有する。RHAMMペプチドは、HLA−A0201と複合体形成させた。
【0116】
別の陰性対照として、PIGQ/HLA複合体を作製した。PIGQペプチドは、XPRESIDENT(登録商標)(immatics biotechnologies GmbH,Germany)標的化同定プラットフォームを通じて同定した(RMFPGEVAL(配列番号SED ID NO)64)のアミノ酸配列)。これもまた、HLA−A0201と複合体形成させた。PIGQペプチドは、健常ヒト組織に遍在する。したがって、PIGQ/HLA複合体への結合は、極めて好ましくない。PIGQペプチドの9つのアミノ酸のうちの5つは、WT1ペプチドと同じである。
【0117】
全ての抗原は、ビオチン化形態および非ビオチン化形態で生成された。全てのペプチドおよびHLA抗原の純度(>95%)およびモノマー部分(>97〜99%)は、SDS−PAGE、分析サイズ排除クロマトグラフィーおよび動的光散乱を通じて確認した。
【0118】
実施例2:参照抗体の作製
6つのRMF/HLA複合体結合抗体は、国際公開第2012/135854号パンフレット(Memorial Sloan−Kettering)に記載されている。これらの6つの抗体のうちの5つもまた、Dao et al.(上記参照)に記載される。Refmab#18(下記参照)のみが、Dao et al.(2013)に記載されていない。
【0119】
これらの6つの抗体の配列(Refmab#3、Refmab#5、Refmab#13、Refmab#15、Refmab#18、およびRefmab#23)をクローン化し、ヒトIgG1f抗体をHKB11細胞内で生成した。抗体を精製し、品質管理(収量、濃度、純度、およびモノマー含量)に供した。
【0120】
実施例3:参照抗体に対する単離された抗原の結合
この実験では、参照抗体の特異性を調べた。ビオチン化ペプチド/HLA複合体をニュートラアビジンプレート上に、50nMでコーティングした。実施例2の単離された参照抗体を抗原上で滴定した:結合は、APコンジュゲートヤギ抗ヒトIgG二次抗体を使用するELISAで試験した。
【0121】
全ての参照抗体は、RMF/HLA複合体に結合した。Refmab#23はまた、文献に記載されているようにRHAMM−HLA複合体とも非特異性に結合した。
【0122】
興味深いことに、Refmab#18を除く全ての参照抗体は、PIGQ/HLA複合体、すなわち健常ヒト組織上に提示されるペプチドにも結合した。Refmab#18のみが、ELISAでWT1−HLA複合体に特異的であった。結果は、
図1〜3に示される。
【0123】
実施例4:細胞上の抗原に対する参照抗体の結合
無傷細胞上に提示された場合、単離された抗原への結合は必ずしも抗原への結合と一致しないので、対照抗体もまたこの抗原を発現する細胞上のRMF/HLA複合体に結合するかどうかを調べた。
【0124】
抗原陽性がん細胞として、SET2細胞(DSMZ No.ACC608)およびBV173細胞(DSMZ No.ACC20)を使用した(Dao et al.;2013を参照されたい)。結合は、PEコンジュゲートヤギ抗ヒトIgG二次抗体を使用するフローサイトメトリーによって測定し、EC50値を判定した。結果は、表2に示される。「++」は10nM未満のEC50での結合を示し、「+」は10nMを超えるEC50での結合を示し、「−−−」は細胞上の標的に結合しないことを示す。
【0125】
【表2】
【0126】
表2に見られるように、6つの参照抗体のうちの2つは、標的を発現する細胞に結合しない。したがって、これらの抗体(Refmab#18を含む)は、治療上の開発に適していない。
【0127】
実施例5:優れたRMF/HLA複合体結合体の同定
抗体作製のために、Ylanthia(登録商標)ライブラリー(MorphoSys AG,Germany)を用いて、WT1/HLA複合体に対するFabフラグメントを選択した。Ylanthia(登録商標)ライブラリー(Tiller et al.mAbs 5:3,1−26;May/June(2013)および米国特許第8,728,981号明細書)は、市販のファージミドライブラリーであり、ファージ表面におけるFab提示のためにCysDisplay(登録商標)技術を採用する((Lohning et al.,国際公開第2001/05950号パンフレット)。
【0128】
RMF/HLA複合体特異的抗体を単離するために、異なるパンニングストラテジーを用いた(溶液パンニング、播種ベースパンニング)。各パンニングストラテジーは、RMF/HLA複合体に対する少なくとも3回の個々のラウンドのパンニングを含んでなった。非特異的結合体の選択は、対抗標的としてのPIGQ/HLA複合体によるプレブロッキングによって妨げた。
【0129】
単離された結合体は、蛍光ビーズ使用するIntellicyt HTFCスクリーニングシステム上の一次スクリーニングに供した。3つの異なる抗原(WT1/HLA複合体、RHAMM/HLA複合体、およびPIGQ/HLA複合体)を並行して試験した。WT1−HLA複合体抗原上で陽性であったが別の2つの抗原の上で陰性であったヒットを単離し、より厳格なELISAアッセイを用いる二次スクリーニングに供した。選択された陽性クローンは、IgG形態に変換した。最も有望な候補のうち6つを精製し、さらに特性決定した。6つの結合体の配列は、表1に示される。
【0130】
結合体は、さらに詳細な特性決定に供した。これらはまた、先行技術の抗体とも直接比較した。結合体のEC50を、一価Fab形態として、および完全長免疫グロブリン(IgG1)として測定した。
【0131】
実施例6:Fab形態における結合体の特性決定
結合体は、詳細な特性決定に供した。それらは、実施例3に記載されるようなニュートラアビジンプレートを使用するELISAアッセイにおいて、先行技術の抗体と直接比較した。選択された参照抗体および本発明の結合体について、EC50を判定した。結果は表3に要約される。「++」は10nM未満のEC50での結合を示し、「+」は10nMを超えるEC50での結合を示し、「−−−」は結合しないことを示す。
【0132】
RMF/HLA上のEC50値は、先行技術の参照抗体のEC50値よりも有意により低い(より良い)。試験された全ての結合体は、先行技術の最良の結合体よりも少なくとも3.3倍優れたEC50を示した。試験された4つの結合体のうち3つは、先行技術の最良の結合体よりも少なくとも5.5倍優れたEC50を示した。試験された4つの結合体のうち2つは、先行技術の最良の結合体よりも少なくとも7.5倍優れたEC50を示した。さらに、本発明の結合体のいずれも、対抗標的に対するいかなる結合も示さず、特にPIGQ/HLA複合体への結合を示さない。一部の参照抗体については、ある程度の結合が観察された。
【0133】
抗原RMF/HLAに対する、結合体AaliおよびRefmab#13のFab断片の親和性はまた、ストレプトアビジンに固定化された抗原を用いたOctetシステムによっても測定した。KD値は、Aaliでは66nM、Refmab#13では590nMとして測定され、本発明の抗体が、より高い親和性を有することも確認された。
【0134】
【表3】
【0135】
実施例7:免疫グロブリン形態における結合体の特異性
この実験では、本開示の抗体の特異性を実施例3に記載されるようにして調べた。結果は、
図4〜6に示される。
【0136】
全ての結合体は、RMF/HLA複合体に高度に特異的であることが見いだされた。いずれの結合体も、RHAMM−HLA複合体またはPIGQ/HLA複合体のどちらとも交差反応性を示さなかった。これは、(Refmab#18を除く)全てが、健常ヒト組織上で発現されるペプチド/HLA複合体(PIGQ/HLA)との交差反応性を示した先行技術の抗体(実施例3参照)とは、著しく対照的である。
【0137】
実施例8:免疫グロブリン形態における結合体の親和性およびEC50
本開示の結合体および先行技術の結合体について、EL50値を判定した(ELISAはニュートラアビジンプレート上で実施した)。結果は、表4に要約される。「++」は10nM未満のEC50での結合を示し、「+」は10nMを超えるEC50での結合を示し、「−−−」は結合しないことを示す。
【0138】
【表4】
【0139】
全ての結合体(本発明の結合体ならびに先行技術の結合体)は、RMF/HLA複合体に対する非常に低いEC50値を示した(Refmab#3およびRefmab#5を除いて、全てのEC50は事実上<1nMであった)。しかし、先行技術(Refmab#18を除く)の全ての結合体は、PIGQ/HLA対抗抗原への結合もまた示した。先行技術の2つの結合体は、RHAMM/HLA対抗抗原への結合を示した。
【0140】
結合体AaliおよびRefmab#13の見かけの親和性は、OctetシステムによってRMF/HLA抗原に対して測定した。Refmab#13の見かけの親和性値は8.2nMと判定された。Aaliの結合は、非常に遅い解離速度によって特徴付けられ、これはシステムに設定された仕様限界を超えていた。Refmab#13(8.2nM)と比較して、Aaliの見かけの親和性は<0.5nMである。
【0141】
実施例9:細胞に対する本発明の抗体の結合
本開示の抗体を用いて、実施例4を繰り返し、すなわち、RNF/HLA陽性SET2細胞(DSMZ番号ACC608)およびBV173細胞(DSMZ番号ACC20)への結合をフローサイトメトリーによって試験した。EC50値が判定された。結果は、表5に示される。「++」は10nM未満のEC50での結合を示し、「+」は10nMを超えるEC50での結合を示し、「−−−」は細胞上の標的に結合しないことを示す。
【0142】
【表5】
【0143】
本発明の全ての抗体は、WT1/HLA発現細胞への結合を示す。これは、先行技術抗体の大部分(6つのうち4つ)にも当てはまったが、注目すべきことに、PIGQ/HLAに結合しない唯一の参照抗体であるRefmab#18ではそうではなかった。
【0144】
したがって、本発明の抗体および結合体は、それらがPIGQ/HLA複合体に対するいかなる交差反応性も示さずに、RMF/HLA複合体に特異的に結合することを特徴とする。さらに、本開示の抗体はまた、WT1/HLA発現細胞株にも結合する。
【0145】
実施例7:白血病患者サンプルへの結合
本発明の結合体は、原発性AML細胞上のRMFエピトープを検出するそれらの能力について調べられる。結合体は、患者のAML芽球に結合することが予期される。結果は、フローサイトメトリー分析によって確認される。結果は、白血病細胞の表面上のRMF/HLA−A0201のレベルが、本発明の結合体との反応性を可能にするのに十分であることを確認する。この結果はまた、陰性の健常細胞上の標的分子のレベルが、重要でないことも確認する。
【0146】
実施例8:ADCC活性の媒介
本発明の結合体はまた、ヒトにおける治療用抗体の主要なエフェクター機序の1つであるADCCを媒介する、それらの可能性についても調査される。ヒトPBMCの存在下では、結合体は、RMFペプチドを負荷されたT2細胞(抗原プロセシング欠損細胞株、例えば、国際公開第2012/135854号パンフレットを参照されたい)に対して、用量依存性PBMC ADCCを媒介するが、T2細胞単独または対照ペプチドでパルス処理されたT2細胞に対しては媒介しない。結合体はまた、中皮腫細胞株、JMN、および白血病細胞株BV173などの腫瘍細胞上でHLA−A0201分子によって自然に提示されたRMFエピトープに対しても、ADCCを媒介できるが、MSTOまたはHL−60などのHLA−A2陰性細胞に対しては媒介できない。これらの結果は、結合体が、RMFおよびHLA−A0201複合体を生理学的レベルで天然に発現する細胞に対して、ならびに細胞株上で、特異的ADCCを媒介することを実証する。
【0147】
実施例9:NSGマウスにおけるヒト白血病細胞の除去
本発明の結合体は、生体内NOD SCIDγ(NSG)マウス異種移植モデルにおいてさらに調べられる。マウスは、BV173 bcr/abl陽性急性リンパ芽球性白血病で、6日前に静脈内に異種移植される。治療の時点で、マウスは、肝臓、脾臓、およびBMにおいて、ルシフェラーゼイメージングによって可視化される白血病を発症した。本発明の結合体は、少なくとも30日間にわたり、腫瘍負荷を劇的に減少させる。結果は、抗体の用量を滴定することによって確認される。