(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
本体(12)であって、前記本体の一方の端部に存在する少なくとも1つのプラットフォーム(14;16)に固定された本体(12)を有する複合材料パーツ(10)を製造する方法であって、
製造されることになるパーツ(10)の本体(12)の長手方向に対応する長手方向を有するファイバブランク(101)を形成するために、縦糸の複数の層間の複数層織込みを使用することであって、ファイバブランクが、その厚さ方向において、ファイバブランクの端部の一方に隣接した少なくとも1つの非相互連結ゾーン(103;105)の第1の部分、第2の部分、および第3の部分(102、104、106;112、114、116)に分割され、第1の部分(102;112)が第2の部分と第3の部分(104、106;114、116)との間に位置し、この第2の部分と第3の部分とに対し、第1の部分が前記少なくとも1つの非相互連結ゾーン(103;105)の外側の織込みによって接続されている、縦糸の複数の層間の複数層織込みを使用することと、
第1の部分の両側において第1の部分と相互連結していない第2の部分および第3の部分のセグメント(104a、106a;114a、116a)を外に折り曲げることによって、製造されることになるパーツ(10)のプラットフォーム(14;16)のためのプリフォーム部分を形成するように、第2の部分および第3の部分の外に折り曲げられるセグメント(104a、106a;114a、116a)を成形することによって、および第2の部分と第3の部分(104、106;114、116)との間のギャップに存在する溝(108;118)を充填するために、第1の部分のセグメント(102a;112a)を折りたたむことによって、形成されることになるパーツのためのプリフォームを形成するためにファイバブランク(101)を使用することと、
少なくとも1つの統合プラットフォーム(14;16)を有する複合材料で形成されたパーツ(10)を得るために、マトリクスでプリフォームを緻密化することと、を含む、製造する方法。
第1の部分、第2の部分、および第3の部分(102、104、106;112、114、116)が、ともに、前記少なくとも1つの非相互連結ゾーン(103;105)の外側に位置するファイバブランク(101)の残部(120)と同じ数の、縦糸の層を有していることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
第1の部分、第2の部分、および第3の部分(312、314、316)が、ともに、前記少なくとも1つの非相互連結ゾーン(305)の外側に位置するファイバブランク(301)の残部(320)に存在する縦糸の層の数より大である数の、縦糸の層を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
1つまたは複数の追加の縦糸層の層が、少なくとも第2の部分および第3の部分(314、316)の縦糸の層に織り込まれていることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
第1の部分、第2の部分、および第3の部分(412、414、416)が、ともに、前記少なくとも1つの非相互連結ゾーン(405)の外側に位置するファイバブランク(401)の残部(420)に存在する縦糸の層の数より小である数の、縦糸の層を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
1つまたは複数の縦糸層の層が、少なくとも前記第2の部分および第3の部分(414、416)の織込みの間に取り除かれることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
複合材料パーツが、タービンエンジンベーン、タービンエンジンブレード、補強材、およびフィッティングの少なくとも1つから選択された航空機のパーツに対応することを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
そのようなパーツは、特に、排他的ではないが、タービンノズルまたはコンプレッサガイドベーンセットのための、組み込まれた内側プラットフォームおよび/または外側のプラットフォームを有するタービンエンジンベーンに関する。
【0003】
文献、国際公開第2013/079860号には、内側プラットフォームと外側プラットフォームとが内部に組み込まれた複合材料でタービンエンジンベーンを形成することが説明されている。
【0004】
図14に示すように、内側プラットフォームと外側プラットフォームとが内部に組み込まれたベーンは、たとえば炭化ケイ素ファイバまたはカーボンファイバの織糸を使用して、複数層織込みのための三次元(3D)によって得られた、ファイバブランク500から形成される。ブランク500は、ベーンのエアフォイルを形成することになる部分510を有しており、その中で、織糸層のすべてが相互連結されている。ファイバブランクは、その端部の各々に、一対の部分511および512を提供するように、非相互連結領域をも含んでいる。
図15に示すように、内側プラットフォームと外側プラットフォームとは、それらの部分511と部分512とを、ベーンのエアフォイルを形成することになる部分510に対して垂直に展開することによって形成され得る。この方法で得られるプリフォームは、こうして、たとえばセラミック、酸化物、有機物(熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂など)である材料で形成されたマトリクスなどのマトリクスで、既知の方式で緻密化される。
【0005】
部分511と部分512とが展開されると、溝または凹み513が、展開された2つの部分511と部分512との間に現れる。この溝513が充填されていない場合、溝513は、パーツに機械的ストレスが加えられた際に破損するファイバに繋がり得る弱化ゾーンを形成する可能性がある。溝は、樹脂自体であるか、そうでなければ、樹脂が含浸されたファイバ補強材(ブレイド、租紡糸など)を含み得る充填要素をフィットさせることにより、充填され得る。
【0006】
それでも、その方法での充填が、2つのプラットフォーム部分が分かれるゾーンにおいて、ベーンの機械的強度を向上させる役割を果たすが、この方法は、それでも、いくつかの欠点を呈している。具体的には、フィットされた充填要素を付加することは、パーツの製造をより複雑にする。この理由は、この付加により、パーツを適切に製造する作業にさらなる作業が加えられるためである(製造されることになるパーツに充填材料を形成および挿入するための二次的作業)。このことは、そのパーツに関する製造コストが高額になることに繋がる。さらに、そのような充填材料の付加が、確かにパーツの圧縮強度を向上させる役割を果たすが、それでも、そのパーツの引張強度は、問題があるままである。この理由は、プラットフォームがベーンのエアフォイル部分に結合するプラットフォームの部分によって提供される半径が、引張応力の下で変形するためである。このことは、結合の損失、および、ベーンの残部からの充填要素の分離に繋がり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、内部に組み込まれた少なくとも1つのプラットフォームを有する複合材料パーツを製造する、簡略化された方法を提供することである。このパーツは、圧縮と引張りとの両方において、良好な強度を呈する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため、本発明は、本体であって、前記本体の一方の端部に存在する少なくとも1つのプラットフォームに固定された本体を有する複合材料パーツを製造する方法であって、
製造されることになるパーツの本体の長手方向に対応する長手方向を有するファイバブランクを形成するために、縦糸の複数の層間の複数層織込みを使用することであって、ファイバブランクが、その厚さ方向において、ファイバブランクの端部の一方に隣接した少なくとも1つの非相互連結ゾーンの第1の部分、第2の部分、および第3の部分に分割され、第1の部分が第2の部分と第3の部分との間に位置し、この第2の部分と第3の部分とに対し、第1の部分が前記少なくとも1つの非相互連結ゾーンの外側の織込みによって接続されている、縦糸の複数の層間の複数層織込みを使用することと、
第1の部分の両側において第1の部分と相互連結していない第2の部分および第3の部分のセグメントを外に折り曲げることによって、製造されることになるパーツのプラットフォームのためのプリフォーム部分を形成するように、第2の部分および第3の部分の外に折り曲げられるセグメントを成形することによって、および第2の部分と第3の部分との間のギャップに存在する溝を充填するために、第1の部分のセグメントを折りたたむこととによって、形成されることになるパーツのためのプリフォームを形成するためにファイバブランクを使用することと、
少なくとも1つの統合プラットフォームを有する複合材料で形成されたパーツを得るために、マトリクスでプリフォームを緻密化することと、を含む、製造する方法を提供する。
【0010】
本発明の方法により、プラットフォームを形成することになるファイバブランクの外に折り曲げられた部分間に存在する溝が、ブランクから直接来て、ファイバ織物で充填され、溝に貼り付けられ、こうして、いずれの別の充填要素をも付加することを回避することを可能にしている。パーツを製造する方法は、こうして単純化され、また、この要素が、マトリクスのみによらず、ファイバによってパーツの本体と連結していることから、パーツの摩擦強度および圧縮強度が向上している。
【0011】
さらに、本発明の方法により、第2の部分と第3の部分との間のギャップに存在する溝を充填するために必要な作業の数が、別の充填要素を付加することを含む従来技術の解決策よりも少なくなっている。したがって、本発明の方法は、複合材料パーツの製造において、費用を抑えている。
【0012】
特定の実施形態では、第1の部分、第2の部分、および第3の部分は、ともに、前記少なくとも1つの非相互連結ゾーンの外側に位置するファイバブランクの残部と同じ数の縦糸の層を有している。この実施形態は、パーツの様々な部分に導入されることになる追加の織糸を必要としない、製造の簡略性に起因して、経済的利点を与えている。
【0013】
別の特定の実施形態では、第1の部分、第2の部分、および第3の部分は、ともに、前記少なくとも1つの非相互連結ゾーンの外側に位置するファイバブランクの残部に存在する縦糸の層の数より大である数の、縦糸の層を備えている。そのような状況下では、1つまたは複数の追加の縦糸層の層が、少なくとも第2の部分および第3の部分の縦糸の層に織り込まれる場合がある。この実施形態により、パーツの特定の部分、たとえば、プラットフォームの厚さを増大させることが可能になり、それにより、パーツがより大きい力を伝達することを可能にしている。
【0014】
さらに別の特定の実施形態では、第1の部分、第2の部分、および第3の部分は、ともに、前記少なくとも1つの非相互連結ゾーンの外側に位置するファイバブランクの残部に存在する縦糸の層の数より小である数の、縦糸の層を備えている。そのような状況下では、1つまたは複数の縦糸層の層が、少なくとも前記第2の部分および第3の部分の織込みの間に取り除かれる。この実施形態により、パーツの非構造的部分、または、力が小さい部分の厚さを低減することが可能になり、それにより、そのパーツ全体の重量を低減することにより、パーツの組込みを容易にしている。
【0015】
本発明の他の特徴および利点は、非限定的例として与えられ、添付図面を参照する、本発明の特定の実施形態の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】タービンエンジンベーンの概略斜視図である。
【
図2】
図1に示すタイプのベーンのためのファイバプリフォームを形成するのに使用するための、織り込まれたファイバブランクの概略平面図である。
【
図5】
図2の平面V−Vの断面における
図2のブランクの織り込まれた平面を拡大した概略図である。
【
図6】
図2の平面VI−VIの断面における
図2のブランクの織り込まれた平面を拡大した概略図である。
【
図7】
図2から
図6のファイバブランクからベーンプリフォームを形成する際のステップを示す概略図である。
【
図8】
図2から
図6のファイバブランクからベーンプリフォームを形成する際のステップを示す概略図である。
【
図9】
図2から
図6のファイバブランクからベーンプリフォームを形成する際のステップを示す概略図である。
【
図10】
図1に示すタイプのベーンのためのファイバプリフォームを形成するための、織り込まれたファイバブランクの別の実施形態の断片の側面図である。
【
図11】
図10のブランク内の織り込まれた平面を拡大した概略図である。
【
図12】
図1に示すタイプのベーンのためのファイバプリフォームを形成するための、織り込まれたファイバブランクの別の実施形態の断片の側面図である。
【
図13】
図12のブランクの織り込まれた平面を拡大した概略図である。
【
図14】従来技術におけるベーンに関するファイバプリフォームを形成するためのファイバブランクの概略斜視図である。
【
図15】内側プラットフォームと外側プラットフォームとを形成することになるブランクの各部分を展開した後の、
図14のファイバブランクの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、ベーン10、たとえば、航空機のタービンエンジンのバイパスストリームをガイドするための流出ガイドベーン(OGV)などの、高度に概略的な図である。ベーン10は、エアフォイル12と、内側プラットフォーム14および外側プラットフォーム16とを備えている。
【0018】
本明細書を通して、「内側」および「外側」との用語は、タービンエンジンの軸に対する径方向の位置を参照して使用される。
【0019】
プラットフォーム14の外側面14bとプラットフォーム16の内側面16aとは、ベーン10がタービンケーシング内にマウントされた後の、タービンを通るガスのための流路を画定する役割を果たす。
【0020】
エアフォイル12は、プラットフォーム14とプラットフォーム16との間に延びるとともに、プラットフォーム14とプラットフォーム16とに固定されている。図示の例では、プラットフォーム14とプラットフォーム16とは、その上流側端部と下流側端部との間で、エアフォイル12の長手方向に対して垂直な平面に対して非ゼロの角度を形成する大まかな方向に延びている。
【0021】
ベーン10は、複合材料で形成されている。ベーンの製造には、ベーンの形状に対応する形状のファイバプリフォームを形成することと、このプリフォームをマトリクスで緻密化することと、が含まれている。
【0022】
図2は、ファイバブランク101の平面図を示しており、このファイバブランク101から、ベーン10のファイバプリフォームを形成することができる。
【0023】
ブランク101は、三次元(3D)または複数層織込みで織り込まれたストリップ100から得られる場合があり、ストリップ100は、製造されることになるベーンの長手方向に一致する方向Xに、一般的な方式で延びている。例として、織込みは、方向Xに延びる縦糸で実施される。この方向に延びる横糸での織込みも可能であることを理解されたい。複数のブランク101は、方向Xに次々に織り込まれる場合がある。複数の平行なブランク101の列を同時に織り込むことも可能である。
【0024】
図2から
図6の実施形態では、ブランク101は、その厚さ方向において、その端部101aおよび101bの各々に、第1の部分102、112、第2の部分104、114、および第3の部分106、116を含んでいる。部分102は、部分104と部分106との間に位置し、ベーンのエアフォイルを形成することになるゾーン120における3D織込みにより、部分104および部分106と相互連結しているとともに、非相互連結ゾーン103においては、部分104および部分106とは相互連結していない。非相互連結ゾーン103は、部分102と部分104との間の第1の非相互連結103a、および、部分102と部分106との間の第2の非相互連結103bを備えている。非相互連結103a、103bは、ブランク101の端部101aから非相互連結103cおよび非相互連結103dの底部まで、ブランク101の幅全体にわたって延びている(横糸方向の寸法)。非相互連結103cおよび非相互連結103dの各底部は、内側プラットフォーム14の向きに適合するために、ブランク101の長手方向の縁部101cと縁部101dとの間を、横糸方向に対して非ゼロの角度を形成する方向に延びている。
【0025】
部分112は、部分114と部分116との間に位置し、ベーンのエアフォイルを形成することになるゾーン120における3D織込みにより、部分114および部分116と相互連結し、一方、非相互連結ゾーン105においては、部分114および部分116とは相互連結していない。非相互連結ゾーン105は、部分112と部分114との間の第1の非相互連結105a、および、部分112と部分116との間の第2の非相互連結105bを備えている。非相互連結105a、105bは、ブランク101の端部101bから非相互連結105cおよび非相互連結105dの底部まで、ブランク101の幅全体にわたって延びている。非相互連結105cおよび非相互連結105dの各底部は、外側プラットフォーム16の向きに適合するために、ブランク101の長手方向の縁部101cと縁部101dとの間を、横糸方向に対して非ゼロの角度を形成する方向に延びている。
【0026】
よく知られている方式で、非相互連結は、非相互連結の一方側に位置する縦糸の層を相互連結するための横糸を非相互連結ゾーンにわたって通さないことにより、縦糸の2つの層間に設けられている。
【0027】
図5および
図6の平面図には、相互ロックされた織込みと、非相互連結105aおよび非相互連結105bとを含む、3D織込みの例を示している。非相互連結103aおよび非相互連結103bは、非相互連結105aおよび105bと同じ方式で得られる。
図6では、非相互連結は、破線によって示されている。部分112は、3D織込みによって相互連結した、複数の縦糸の層(図示の例では、3つの層)を備えている。部分114および部分116の各々は、3D織込みによって互いに対して相互連結した、複数の縦糸の層(図示の例では、5つの層)を備えている。非相互連結103cおよび非相互連結103dの底部によって画定された非相互連結ゾーン103と、非相互連結105cおよび105dの底部によって画定された非相互連結ゾーン105との間では、部分102、112、104、114、および106、116における縦糸の層は、図示の例ではすべて、互いに相互連結している(
図5)。
【0028】
織込みの後に、部分104、106、114、および116の、部分102および112と相互連結していないセグメント104a、114a、および106a、116aは、プラットフォーム14、16のためのプリフォーム部分を形成するために、セグメント104a、114aが、非相互連結103a、105aに隣接し、かつ、セグメント106a、116aが非相互連結103b、105bに隣接した状態で、
図7に示すように、外に折り曲げられるか展開される。この折曲げは、非相互連結の底部において行われる。
【0029】
図7に示すように、部分104のセグメント104aおよび部分106のセグメント106aを外に折り曲げることにより、部分104と部分106との間に溝108が形成されることに繋がる。ここでは、部分104と部分106とが、ブランク101で分割されることになり、セグメント102aと部分102とが、溝108の中心から延びている。同様に、部分114のセグメント114aおよび部分116のセグメント116aを外に折り曲げることにより、部分114と部分116との間に溝118が形成されることに繋がる。ここでは、部分114と部分116とが、ブランク101で分割されることになり、セグメント112aと部分112とが、溝118の底部から延びている。
【0030】
本発明に従って、溝118は、セグメント102aを前記溝内に折りたたんでいくことによって充填され、一方、溝118は、セグメント112aを前記溝内に折りたたんでいくことによって充填される。セグメント102aおよびセグメント112aは、様々な方法で折りたたむことができる。例として、これらセグメントは、
図7に示すように、セグメント102に関して、対応する溝内で半径を増大させつつ巻き上げることができる。または、これらセグメントは、対応する溝内で、
図8に示すように、曲げられていないセグメント114a’とセグメント116a’との間に存在する溝118’内に巻き上げられるセグメント112a’に関し、溝の縁部にほぼ平行な直線で構成された部分で巻き上げることができる。
【0031】
製造されるベーンに関するファイバプリフォームは、こうして、形態ツールを使用して成型することによって形成され、所望の中空エアフォイルのプロファイルと、プラットフォームに関する所望の形状とを得るように変形される。これにより、セグメント120a(
図7)を成形することによって得られるエアフォイルのためのプリフォーム部分220と、セグメント104a、106a、114a、および116aを成形することによって得られる内側プラットフォームおよび外側プラットフォームのためのプリフォーム部分214およびプリフォーム部分216を伴うプリフォーム210(
図9)が作り出される。溝118の位置に対応するプリフォーム部分216の頂部表面216aの中心部分は、上述のように、セグメント112aを成形することによって得られたプリフォーム部分218によって充填されている。同様に、溝108の位置に対応するプリフォーム部分214の底部表面の中心部分は、セグメント102a(
図9には図示せず)を成形することによって得られたプリフォーム部分によって充填されている。
【0032】
図1に示されるもののような、中空のCMCベーンは、以下のように形成され得る。
【0033】
ファイバストリップ100は、三次元織込みによって織り込まれており、
図2に示すように、非相互連結のゾーンとともに、たとえば縦糸方向に延びる、複数のファイバブランク101で形成されている。織込みは、セラミックで形成された織糸、特に、たとえば日本のサプライヤであるNippon Carbonにより、「Nicalon」の名称で供給される織糸などの、炭化ケイ素(SiC)をベースとする織糸を使用して実施され得る。他のセラミック織糸が使用可能である。特に、酸化物/酸化物タイプのCMC材料に関する(ファイバ補強ファイバと、マトリクスとであり、両方とも耐火性酸化物で形成されている)、特に、アルミナAl
2O
3に基づく織糸などの、耐火性酸化物で形成された織糸が使用可能である。カーボンファイバの補強を有するCMC材料に関するカーボンファイバを使用することも可能である。
【0034】
既知の方式で、ファイバストリップは、ファイバ上に存在するサイズ剤を除去し、かつ、ファイバの表面上に存在する酸化剤を除去するように処理され得る。
【0035】
やはり既知の方式で、薄い脆化除去界面コーティング層がこうして、化学気相浸透法(CVI)によってファイバストリップのファイバ上に形成され得る。例として、界面材料は、熱分解炭素PyC、窒化ホウ素BN、またはホウ素ドープカーボンBCである場合がある。例として、形成される層の厚さは、フィルタブランクが変形する能力を維持するために、10ナノメートル(nm)から100nmのレンジ内にある。
【0036】
その後に、ファイバストリップは、場合によっては溶剤で希釈されている、固化組成物、通常は、カーボン前駆体樹脂またはセラミック前駆体樹脂で含浸される場合がある。乾燥された後に、個別のファイバブランクが切り分けられる。各ブランクは、(
図7から
図9に示すように)成形され、エアフォイルに対応するプリフォーム部分および内側プラットフォームと外側プラットフォームとに対応するプリフォーム部分を成形するためにツール内に置かれる。
【0037】
その後に、樹脂が硬化し、次いで、熱分解の残留物によって固結されたベーンのプリフォームを得るために、形態ツールからプリフォームを取り除いた後に熱分解する。固化樹脂の量は、熱分解の残留物が、プリフォームのファイバをともに接着して、ツールの補助無しに、その形状を維持しつつ、プリフォームのファイバの扱いを可能にするように、十分であるが過度ではないように選択される。
【0038】
第2の脆化除去界面コーティング層は、CVIにより、たとえば、PyC、BN、またはBCの中から形成され得る。固結の前後で2つの層として界面コーティングを形成することは、欧州特許第2154119号明細書の文献に説明されている。
【0039】
固結されたプリフォームは次いで、セラミックマトリクスで、たとえばCVIにより、緻密化される。マトリクスは、SiCによるものである場合があるか、熱分解炭素PyC、炭化ホウ素B
4C、または、特に米国特許第5246756号明細書および米国特許第5965266号明細書の文献に説明されている3要素Si−B−Cの系で形成されたマトリクス相を有する自己回復マトリクスである場合がある。セラミックマトリクスの他のタイプ、特に、酸化物/酸化物タイプのCMCマトリクスに関する、耐火性酸化物、たとえばアルミナで形成されたマトリクスが特に、予見され得る。
【0040】
緻密化は、好ましくは2つのステップで実施される。この2つのステップは、特に、プラットフォーム14、16の所望の最終的な形状を得るため、および、場合によっては、やはり、エアフォイル12に関する所望のプロファイルを得るために、ベーンをその所望の寸法に加工するステップによって分割されている。
【0041】
ベーンは、やはり、任意のタイプのファイバプリフォームを伴う、熱可塑性であるか熱硬化性である場合がある、有機マトリクス複合材(OMC)の材料で形成され得る。そのような状況下では、結果として得られるファイバプリフォームは、液体の技術を使用する慣習的な方式で緻密化される。
【0042】
液体の技術は、ファイバプリフォームに樹脂を含浸させることにある。プリフォームは、漏出を防ぐ方式で閉じられている場合があり、それにより、最終的な成型パーツの形状の凹部を有するようになっているモールド内に置かれる。その後に、樹脂、たとえば、熱可塑性であるか熱硬化性である樹脂が注入され、それにより、凹部全体を充填し、プリフォームのファイバ部分全体を含浸させる。
【0043】
重合は、熱処理(概して、モールドの加熱)によって実施される。プリフォームが依然としてモールド内に保持されていることから、プリフォームの形状が、形成されることになるパーツの形状にマッチする。有機マトリクスは、特に、エポキシ樹脂を使用して得られる場合がある。
【0044】
上述の実施形態では、第1の部分102、112、第2の部分104、114、および第3の部分106、116は、ともに、非相互連結のゾーン103およびゾーン105の外側に位置するファイバブランク101の残部、すなわち、ゾーン120を通る部分と同じ数の縦糸の層を有している。
図5および
図6に示す例では、第2の部分114および第3の部分116は、各々が、縦糸の5つの層を備えているが、一方、第1の部分112は、縦糸の3つの層を備えている。同じことが、
図5および
図6に示されていない第1の部分102、第2の部分104、および第3の部分106に関して適用される。
【0045】
本発明の別の実施形態では、第1の部分、第2の部分、および第3の部分がともに、ファイバブランク内の非相互連結ゾーンの外側に位置するファイバブランクの残部に存在する縦糸の層の数よりも大である縦糸の層を有している。そのような状況下では、1つまたは複数の追加の縦糸の層が、少なくとも第2の部分および第3の部分の縦糸の層に織り込まれる。
【0046】
図10および
図11は、縦糸の追加の層が、ベーンの外側プラットフォームを形成することになる第2の部分314および第3の部分316に織り込まれている点で、上述の、
図6および
図7に示したファイバブランク101の端部101bとは異なるファイバブランク301の端部301bを示している。より正確には、非相互連結ゾーン305では、縦糸の3つの追加の層を有する層315が、第1の部分312が第2の部分314から分かれている、非相互連結305aの始点から、第2の部分314に織り込まれている。また、縦糸の3つの追加の層を有する層317が、第1の部分312が第3の部分316から分かれている、非相互連結305bの始点から、第3の部分316に織り込まれている。ブランク101の部分112に関して上述したように、第1の部分312は、部分314と部分316との、外側に折り曲げられたセグメント間に形成された溝318を充填するために、折りたたまれるためのものである。このため、非相互連結ゾーン305においては、ブランク301は、ファイバブランクの非相互連結ゾーンの外側に位置するゾーン120に存在する縦糸の層の数よりも大である数の縦糸の層をともに有している、第1の部分312、第2の部分314、および第3の部分316を有している。
【0047】
本発明のさらに別の実施形態では、第1の部分、第2の部分、および第3の部分がともに、ファイバブランクの非相互連結ゾーンの外側に位置するファイバブランクの残部に存在する縦糸の層の数よりも小である数の縦糸の層を有している。そのような状況下では、縦糸の1つまたは複数の層が取り除かれる。すなわち、それら層は、織り込まれず、ブランクの非相互連結ゾーンにおいて、ブランクから抜き取られる。
【0048】
図12および
図13は、縦糸の層が、第1の部分412と第2の部分414との間の非相互連結405a、および、第1の部分412と第3の部分416との間の非相互連結405bを有する非相互連結ゾーン405において除去され、第2の部分414および第3の部分416がベーンの外側プラットフォームを形成するためのものである点で、上述の、
図6および
図7に示したヒータブランク101の端部101bとは異なるファイバブランク401の端部401bを示している。より正確には、非相互連結ゾーン405の始点から、縦糸の2つの層C1およびC2が、第1の部分412を形成するために使用される縦糸の層にはもはや織り込まれていない(
図13)。層C1および層C2はこうして、第1の部分412が縦糸の3つの層のみを有し、一方、第2の部分414と第3の部分416との各々が、縦糸の6つの層を有するように、非相互連結ゾーン405において取り除くことができる。第1の部分412、第2の部分414、および第3の部分416のそれぞれの、合計の積層厚さe1、e2、およびe3は、ベーンエアフォイルのプリフォームを形成するためのブランクの部分420の厚さe4よりも小である。ブランク101のセグメント112aに関して上述したように、第1の部分412は、第2の部分414と第3の部分416との、外側に折り曲げられたセグメント間に形成された溝418を充填するために、折りたたむためのものである。
【0049】
本発明の方法は、タービンエンジンのガイドベーンのセットにおいて、流出ガイドベーン(OGV)を製造することに関して上述した。それでも、本発明の方法は、少なくとも1つの統合プラットフォームの本体を備えた任意の航空機のパーツの製造に特に適用することができる。本発明の方法は、特に、タービンエンジンの可動ブレード、補強材、およびフィッティングを製造するために使用され得る。