【実施例】
【0131】
材料及び方法。
【0132】
【表1】
*調製に関する詳細は、下記を参照されたい。
【0133】
【表2】
【0134】
表2は、実験において使用されるCaCl
2中のカチオンの割合(組成物重量全体に基づくw/w)を示す。
【0135】
【表3】
【0136】
酸化再生セルロース(ORC)繊維の調製。
ORC繊維の製造プロセスは、ORC材料SURGICEL(登録商標)Original可吸収性止血剤で開始した。ORC材料を、2.54〜5.08cm(1〜2インチ)幅の断片に切断した後、布帛を小片に切断するブレードにその材料を供給した。次いで、切断されたORC布片を、2つの連続した粉砕プロセス(ハンマー粉砕及び空気分級機粉砕)によって、ORC微細繊維に摩砕した。異なる粉砕工程からの繊維を、最終凝集体に異なる繊維サイズを組み込むために、将来の使用のために取った。
【0137】
より具体的には、繊維を製造するためのプロセスは、SURGICEL(登録商標)Original布帛を切り開いて切断する工程と、得られる材料を、ハンマー粉砕を使用して粉砕する工程と、長尺微細繊維を得るための空気分級機における粉砕工程(複数可)と、任意選択で、異なるサイズの繊維を混合する工程とを含んだ。
【0138】
切り開き及び切断を実施して、布帛を、およそ2.54cm×7.62cm(1インチ×3インチ)の適切なサイズ片に切り開いて切断した。切り開き及び切断のために行われる主な操作は、布帛のロールを巻き戻し、布帛をストリップに切り開き、ストリップを切断して、切断された小片をサイズ決定し、第1の粉砕工程に送達することであった。
【0139】
第1の粉砕工程では、セルロース系布帛材料の処理片は、材料の色指数及び水溶性含有量に最小の影響を与えながら、切り開いて切断する工程で生成された中間粗繊維から、452μm未満のD90値及び218μm未満のD50値を有する材料に変換された。この工程での粉砕に使用されるマシンは、Fitzpatrickにより製造されるハンマーミル型モデルWJ−RS−D6Aであった。ハンマーミルは、497μmの円形スクリーンと、スクリーンを通過するまで布帛を分解して中間粗セルロース系繊維を生成するための一組のブレードとを備えていた。粉砕のパラメータは、約7000RPMのミル速度であり、処理温度は80℃未満であり、ブレード数は8(各々2つのインペラ)であり、ブレード型は225ナイフ、衝撃型ブレードであり、ブレード配向は、「衝撃」として設定された。
【0140】
第1の粉砕工程からの中間の粗繊維は、第2のミルに制御された速度で供給された。中間の粗繊維は、所望のサイズを得るために、空気分級装置を介して3回処理された。加えて、ある特定の実験では、空気分級機を通る最初の走流から取られた繊維は、最終凝集体の異なる繊維サイズを組み込むために抽出された。
【0141】
この工程(複数可)において、Quadro空気分級機F10を、粉砕速度8400rpm、送風機速度1800rpm、及び3通過で使用した。1通過後、得られた長尺ORC繊維は、177μm超のD90、及び95μm超のD50を有していた。3通過後、得られた微細ORC繊維は、177μm未満のD90値、及び95μm未満のD50値を有していた。
【0142】
粉体組成物の調製。
全ての粉体は、湿度制御された条件下で化学天秤を使用して計量された。相対湿度は、粉体調製プロセス全体にわたって20%を超えなかった。全ての粉体は、177μm未満のD90、及び95μm未満のD50を有するORC微細繊維からなり、上記のように調製され(表1A)、各実施例において特定される比率で、350μm未満のD90、及び167μm未満のD50を有する長尺ORC繊維で補充された。実施例2における全ての粉体組成物はまた、5% CaCl
2、2.5% PS、及び2.5% εACAで補充された。例えば、実施例2及び
図2において、10% L−ORCという組成物は、80%微細ORC繊維、10%長尺ORC繊維、5% CaCl
2、2.5% PS、及び2.5% εACAからなっていた。全ての割合は、組成物重量全体のw/wである。
【0143】
表1Bに詳述される全ての化合物は、粉体形態で提供された。
【0144】
各粉体混合物を、杵と臼に移し、粉体粒子が組成物内で均等/均質に分配されるまで完全に混合した。湿気の吸着を最小限にするために、粉体組成物は、バイアル内で保管し、プラスチックパラフィンフィルム(PARAFILM(登録商標))で密封した。
【0145】
凝集体の調製。
より高い体積比率当たりの質量を含む凝集体/顆粒を得るために、2つの工程を実施した。
I−粉体の圧密化(カプセル化)及び
II−カプセルの乾燥、粉砕/摩砕、及び篩分け
【0146】
下記の工程I及びIIの詳細を参照されたい。
【0147】
粉体の圧密化。
圧密化は、手動油圧プレス(Specac Atlas 13608キログラム(15トン)モデルGS15011)及び好適な排気可能なペレットダイを使用して実施し、このペレットダイは、10mmの直径を有する(Specac GS03100)。約300mgの粉体組成物(上記のように調製)を、およそ1.5〜2.0cmの高さまでペレットダイに装填した。次の工程では、金属製の棒(手動油圧プレス機器の一部である)を、粉体の上部に合わせ、それを使用して、手動油圧プレスにより3629キログラム(約1179キログラム/cm
2)(4トン(約1.3トン/cm
2)の圧力に到達させた。この工程に続いて、直径10mm、高さおよそ0.3cm〜0.5cmのカプセル(圧密化粉体)を形成した。カプセルをペレットダイから解放し、杵と臼によって半体に破壊して、次の乾燥工程のための表面積を増加させた。
【0148】
カプセルの乾燥、粉砕/摩砕、及び篩分け。
カプセルの半体を、真空オーブン(Cole Parmer真空オーブンモデル05017−05)で、37℃でおよそ16時間乾燥させて、任意の過剰な湿度を除去し(及び5%w/w未満の湿度に到達させ)、カプセルの粉砕を可能にした。乾燥したカプセルの半体を、IKA(登録商標)Works,Inc.チューブミルコントロール9737790を使用し、20,000rpmで30秒間摩砕/粉砕した。次の工程では、粉体を、MRC(篩のメーカー)篩加振器(モデルLS−200を強度レベル2で)1分間、2つの篩の組、420μmの孔径を有するものと、75μmの孔径を有するものとを通して勢いよく篩分けした。2つの篩の間に残る凝集体を回収し、室温(20℃〜27℃)で密閉バイアル内に保管し、使用するまでプラスチックパラフィンフィルムで密封した。この段階の最後に、全ての成分は、各々の最終的な顆粒/凝集体組成物中に存在し、その中で均質に分布していた。
【0149】
実施例1における組成物は、粉体形態であり、実施例2及び3における組成物は、凝集体形態であった。
【0150】
血液調製物。
実験1で使用された血液は、絶命したブタからLahav契約研究機関(contract research organization、C.R.O.)によって採取され、冷却した容器(4℃)内で送達された。血液採取時に、血液1リットル当たり5000IUのヘパリンを添加した[ヘパリンナトリウム−Fresenius 5000IU/1mL注射液、メーカー:BODENE(PTY)LTD、Intramedとして取引、カタログ番号:9207910LAB]。
【0151】
凝固を防ぐために、到着時に追加のヘパリンを添加した(血液1リットル当たり5000IU)。ヘパリン化した血液を、ボトルを数回反転させることによって緩やかに混合した。次の工程では、残留凝塊を除去するために、ヘパリン化した血液を、20μmポリプロピレンシリンジフィルター(EntegrisによるSVL25D20HQSA25)で濾過し、ポリプロピレン容器に収集した(ガラスによって誘導される血液凝固を防止するため)。濾過されたヘパリン化血液を、使用まで4℃で保管した。
【0152】
ブルーム試験。
ブルームは、ゲル又はゼラチンの凝集力を測定するために用いられる試験である。凝集力は、試験された材料/組成物の分子間の結合を表す。一般に、ブルーム試験は、4mmの陥没を生じさせるために、円筒状ピストン(12.7mmの直径を有する)によって、6.67%ゼラチンゲル(7.5gのゼラチンを105gの水に溶解することによって調製された)の遊離表面に加える必要がある力(グラム)の決定に関する。この試験の場合、ゲルは、典型的には以下の寸法、容量150mL、内径59mm、及び高さ85mmを有するガラス容器内で形成される。下降するピストンの速度は、30mm/分に設定される(米国特許第1540979号に記載されるブルーム試験を参照されたい)。
【0153】
下記の実施例では、修正されたブルーム試験を実施して、異なる試験粉体組成物が血液と混合されたときに形成された凝塊の凝集力を試験した。このパラメータを、各試験組成物の潜在的な止血効力の表示として評価した。一般に、より高い抵抗力(ブルーム試験における高い値)は、より高い凝集力と相関し、組成物が高い止血効力を有することを示唆する。低い抵抗力は、低い凝集力に相関し、組成物が低い止血効力を有することを示唆する。各試験粉体組成物によって誘導された凝集力を、非補充(微細)ORC繊維と比較して評価した。この結果は、非補充(微細)ORC繊維に対する抵抗力の増加倍数として提示される。
【0154】
修正されたブルーム試験を、以下のように実施した。
1)300mgの各試験粉体組成物を、7mLの管(内径:15mm、高さ50mm)に計量した。
2)2.5mLの血液(「血液調製物」で上記のとおり調製した)を、各粉体組成物に添加した。
3)乾燥粉体が視覚的に明らかでなくなるまで、管を3200rpmで勢いよく渦動させ、血液粉体組成物混合物を3分間培養して、凝塊形成を可能にした。
4)凝集力を測定するために、バイアルを、「Lloyd LFプラス」装置に置き、金属性の棒[1.27cm(0.5インチ)]を一定の事前設定した下降速度:5mm/分でバイアル内に挿入した。凝塊の中へ7mm伸長した地点における金属性の棒の移動に対する凝塊の抵抗力は、メガパスカル(MPa)単位で測定した。試験は、室温で実施した。
【0155】
縫合糸前臨床モデル。
拍動型エクスビボ心肺バイパス(CPB)モデルを使用して、生理学的状態をシミュレートした。このモデルは、
Sergeant,P.,Kocharian,R.,Patel,B.,Pfefferkorn,M.,&Matonick,J.(2016).Needle−to−suture ratio,as well as suture material,impacts needle−hole bleeding in vascular anastomoses.Interactive CardioVascular and Thoracic Surgery,22(6),813〜816.doi:10.1093/icvts/ivw042に記載されている。
【0156】
簡潔には、拍動型エクスビボ心肺バイパスモデルは、一連のポンプ及びチャンバを用いて、システム全体を通して血圧を生成、制御、及び維持した。このモデルは、ブタ頸動脈に出入りする血液を濾過するリザーバと、コンピュータ統合データ取得システムと、酸素化器と、熱交換器とからなる。流量インピーダンス及び容積区分調整が存在して、血量流及び圧力制御の微調整を可能にする。
【0157】
ブタ頸動脈内に配置された縫合からの血液損失を収集し、計量して漏出率を確立した。漏出率は、ある期間にわたって収集された血液の量として計算され、記録された。
【0158】
生理学的状態をシミュレートするために、以下のパラメータを使用した。
圧力120/80mmHg
パルス数72/分
血液温度33〜35℃
10,000IUのヘパリンを、1Lのドナーブタ血液に添加し、10mg/mLのプロタミン硫酸塩で滴定して、活性化凝固時間(activated clotting time、ACT)をおよそ369秒に調整した。ACTは、VetScan i−STAT可動式携帯型ユニット(Abbott Point of Care)及びI−STAT ACTセライトカートリッジ(Abbott Poing of Care、部品番号:600−9006−10)で測定した。
【0159】
ブタ頸動脈を周囲組織から単離し、システムに載置した。管クランプを使用して、組織を取付け具に固定した。頸動脈の両側の血流を制限し、頸動脈を、6−0 PROLENE縫合糸(8806H)及びBV−1針を用いて単純な連続パターンで縫合した。2分間にわたる血液損失質量を、ベースラインとして測定した。
【0160】
凝集体を縫合部位にわたって適用し、適用の完了に続いて4分間硬化させた。制限を取り除き、2分間にわたる血液損失質量を測定した。
【0161】
インビボモデルの肝臓生検パンチ。
成熟した約60kgの雌ブタを、外科的処置の前に24時間絶食させた。動物に、1150mg〜1400mgのケタミン、115mg〜140mgのキシラジン、7.5mgのミダゾラムで麻酔をかけた。麻酔をイソフルランで維持し、腹部を開いて肝臓を露出させた。平均動脈血圧、体温、及び心拍数は、外科的処置の全体にわたって継続的にモニタリングした。平均動脈血圧が60mmHgを下回った場合、実験を終了した。
【0162】
直径4mm×深さ2mmの生検パンチを肝臓ローブに対して実施し、標本を手術用鋏で切除した。パンチ部位を30秒間にわたって出血させ、出血強度を0〜5のスケールで視覚的に評価した。これにより、出血なしには0のスコアを与え、強度の出血には5のスコアを与えた。次いで、パンチ部位を清潔なガーゼで払拭して過剰な血液を除去し、100mgの試験凝集体組成物をパンチ空洞に注入した(例えば、5.0% CaCl
2、2.5% PS、及び2.5% εACAを含む凝集体組成物は、40mg/cm
2 CaCl
2、20mg/cm
2 PS、20mg/cm
2 εACAと同等である)。
【0163】
合計量100mgの最終組成物が、0.4cmの直径を有する円形のパンチ上に適用される。したがって、この100mgの組成物を、π
*(0.2cm)
2が約0.126cm
2であるパンチの表面積に適用した。これは、793.65mg/cm
2(計算の結果:100mg/0.126cm
2)の最終組成物が使用されたことを意味する。
【0164】
CaCl
2を5%の最終組成物濃度で使用する。したがって793.65
*0.05は、約40mg/cm
2に等しい。
【0165】
PSを2.5%の最終組成物濃度で使用する。したがって793.65
*0.025は、約20mg/cm
2に等しい。
【0166】
εACAを2.5%の最終組成物濃度で使用する。したがって793.65
*0.025は、約20mg/cm
2に等しい。
【0167】
清潔なガーゼを使用して1分間、穏やかな圧力を手動で組成物に加えた。出血を4分間にわたってモニタリングし、その後、出血強度を0〜5のスケールで再度評価した。結果は、全ての複製から達成される完全な止血率の割合として提示される。
【0168】
実施例1:形成された凝塊の凝集力に対する長尺ORC繊維による微細ORC繊維補充の効果。
この実施例の目的は、長尺ORC繊維による微細ORC繊維の補充によって誘導される凝集力を調べることであった。この補充は、漸増量の長尺ORC繊維を微細ORC繊維に添加することによって実施した。この効果は、上記のように実施された修正されたブルーム試験を使用することによって評価した。微細ORC繊維を、長尺ORC繊維(w/w)と、それぞれ次の比率、100:0、90:10、80:20、及び70:30で混合した。
【0169】
図1は、非補充微細ORC繊維と比較して、異なる試験組成物に対して得られた抵抗力/凝集力の増加倍数を示す棒グラフである。
【0170】
修正されたブルーム試験の結果は、金属性の棒が、血液との接触時に試験組成物で形成されるゲルを、5mm/分の速度で動きながら7mmの伸長で通過するのに必要な力を示す。この力は、ゲルの抵抗のレベルを反映し(力が大きいほど、ゲルの抵抗が大きくなる)、順にゲルの凝集力のレベルを示している。凝集力は、組成物の分子が結合される強度を表す。棒がその定常的な動きを伴って進行するのに必要な力が大きいほど、ゲルの抵抗が大きくなり、凝集力が大きくなる。
【0171】
結果は、非補充微細ORC繊維から得られるものに対する凝塊抵抗の増加倍数として提示される。
【0172】
一般に、長尺ORC繊維による微細ORC繊維の補充は、凝塊の抵抗及び凝集力を増加させたことが分かる。
【0173】
結果は、微細ORC繊維と長尺ORC繊維との混合物が、凝血の凝集力を少なくとも1.5倍増加させたことを示す。
【0174】
実施例2:エクスビボモデルにおける長尺ORC繊維による微細ORC繊維補充の止血効力。
実施例1において得られた結果は、長尺ORC繊維による微細ORC繊維の補充が、繊維を血液と混合したときに形成される凝塊の凝集力を改善したことを示した。
【0175】
凝集力を改善した補充が、止血能力も改善し得るか否かを調べるために、次の量の長尺ORC繊維、組成物重量全体の0%、10%、又は25%、及び5% CaCl
2、2.5% PS、2.5% εACAを全て含む3つの組成物を、縫合エクスビボモデルにおいて試験した。
【0176】
図2に提示される結果は、微細ORC繊維が、10%長尺ORC繊維で補充されたときに得られる止血効力において、ほぼ2倍の増加を示す。長尺ORCの25%が使用されるとき、非補充微細ORC繊維に対して正の傾向が観察され得る。
【0177】
機序によって束縛されるものではないが、長尺繊維が、形成された凝塊の支持基準を提供し、これが凝塊構造の完全性を改善し、それにより凝塊を介した血液漏出の機会を低減し、止血効力を改善すると思われる。
【0178】
実施例3:インビボ試験によって決定される、止血効力に対する長尺繊維及び化合物による微細繊維の補充の効果。
以下の実施例は、化合物及び繊維補充のインビボ止血効果を調べる。結果は、上記のような肝臓生検パンチインビボモデルを使用し、雌ブタに対して実施された異なる前臨床実験から収集した。各実験の結果を異なる表(表3、4、及び5)に提示する。この実験において、様々な凝集体組成物を試験した。試験した凝集体組成物は、化合物及び長尺ORC繊維による補充を伴うか又は伴わないORC繊維であり、化合物及びORC繊維の濃度は、下記の表で特定される。補充凝集体は、10.0%(最終混合物重量のw/w)の長尺ORC繊維(表1Aのサイズ分布を参照されたい)及び77.5〜85.0%の微細ORC繊維のORC繊維の組み合わせを含んでいた。
【0179】
表は、完全な出血停止/完全な止血の成功率を一覧表示する。各実験において、微細ORC凝集体(任意の補充なし)をベースライン対照として、化合物及び長尺ORC繊維の補充の止血効力を調べた。
【0180】
【表4】
【0181】
このインビボモデルにおいて、試験条件下(表3〜5)では、長尺繊維及び3つの化合物(塩化カルシウム、PS、及びεACA)全てによる微細ORC繊維の補充によって優れた結果が観察された。正の効果は、特定の比率の補充成分で観察された。
【0182】
実施例2における結果は、10%の長尺繊維で補充し、5% CaCl
2、2.5% PS、及び2.5% εACAを含めることによって、止血に改善があったことを示す。
【0183】
この実験では、他の比率が負の効果を有し、止血効力を減少させたことも示されている。
【0184】
本開示の様々な形態について図示し説明したが、本明細書で説明した方法及びシステムの更なる適応が、当業者による適切な変更により、本発明の範囲を逸脱することなく達成され得る。そのような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかであろう。例えば、上述の実施例、変形形態、幾何学形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面において図示され、説明された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解されたい。
【0185】
〔実施の態様〕
(1) 長尺セルロース系繊維及び微細セルロース系繊維を含む止血繊維及び/又は凝集体組成物であって、前記長尺繊維及び前記微細繊維が、それぞれ組成物重量全体の5%〜25%w/w及び95%〜75%w/wの範囲の比率であり、前記長尺繊維のサイズ分布が、177μm超のD90、及び95μm超のD50であり、前記微細繊維のサイズ分布が、177μm未満のD90、及び95μm未満のD50である、止血繊維及び/又は凝集体組成物。
(2) 前記長尺繊維の前記D90が、350μm未満であり、前記D50が、167μm未満である、実施態様1に記載の止血組成物。
(3) a)亜鉛、カルシウム、マグネシウム、マンガン、及び銅から選択される二価カチオン、
b)正に荷電したペプチド及び/又は多糖類、
c)ωアミノカルボン酸、並びに
d)上記のうちのいずれかの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を更に含む、実施態様1又は2に記載の止血組成物。
(4) プロタミン塩、カルシウム塩、及び、ε−アミノカプロン酸(εACA)を更に含む、実施態様1又は2に記載の止血組成物。
(5) 前記セルロース系繊維が、酸化再生セルロース(ORC)繊維である、実施態様1〜4のいずれかに記載の止血組成物。
【0186】
(6) 75〜420μmの範囲のサイズを有する凝集体の形態である、実施態様1〜5のいずれかに記載の止血組成物。
(7) 止血組成物の作製方法であって、
a)長尺繊維及び微細繊維を形成するようにセルロース系材料のサイズを低減する工程であって、前記長尺繊維のサイズ分布が、177μm超のD90、及び95μm超のD50であり、前記微細繊維のサイズ分布が、177μm未満のD90、及び95μm未満のD50である、低減する工程と、前記長尺繊維及び微細繊維を、それぞれ5%〜25%w/w及び95%〜75%w/wの範囲の比率で混合して、それにより止血繊維組成物を得る工程と、を含み、
b)任意選択で、工程a)で得られた前記止血繊維組成物が、凝集体の形態の止血組成物を得るための更なる工程に供され、前記工程が、i)前記止血繊維組成物を圧密化して、圧密化止血繊維組成物を得ることと、任意選択で、ii)前記圧密化組成物のサイズを低減することと、を含む、方法。
(8) 前記長尺繊維の前記D90が、350μm未満であり、前記D50が、167μm未満である、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記サイズの低減が、粉砕によって実施される、実施態様7又は8に記載の方法。
(10) 工程a)における前記サイズの低減には、前記セルロース系材料を切り開く及び/又は切断する工程が先行する、実施態様7〜9のいずれかに記載の方法。
【0187】
(11) 工程a)における前記サイズの低減が、2部プロセスであり、第2部が、空気分級機ミルにおいて実施される、実施態様7〜10のいずれかに記載の方法。
(12) 前記空気分級機ミルにおける前記粉砕が、前記長尺繊維を得るために1回、及び前記微細繊維を得るために3回実施される、実施態様11に記載の方法。
(13) 工程b)i)における前記圧密化には、前記止血繊維組成物を、任意選択で、11重量%〜18重量%の含水レベルまで加湿する工程が先行する、実施態様7〜12のいずれかに記載の方法。
(14) 前記加湿する工程が、前記止血繊維組成物中に吸湿性材料、任意選択で塩化カルシウムを含めることによって実施される、実施態様13に記載の方法。
(15) 工程b)ii)における前記サイズの低減には、前記圧密化組成物を除湿する工程が先行する、実施態様7〜14のいずれかに記載の方法。
【0188】
(16) 前記除湿が、5重量%未満の含水レベルまで実施される、実施態様15に記載の方法。
(17) 工程b)i)における前記圧密化が、スラッギングマシンを使用して、任意選択で25〜70kN/cmの範囲の力で実施される、実施態様7〜16のいずれかに記載の方法。
(18) 工程b)における止血凝集体を得ることが、75〜420μmの範囲の寸法を有する凝集体を生成することを目標とする、実施態様7〜17のいずれかに記載の方法。
(19) 前記セルロース系材料が、酸化再生セルロース布、酸化再生セルロース不織布、酸化再生セルロース織布、酸化再生セルロース編物、細断された酸化再生セルロース材料、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施態様7〜18のいずれかに記載の方法。
(20) 前記長尺繊維及び微細繊維に、
a)亜鉛、カルシウム、マグネシウム、マンガン、及び銅から選択される二価カチオン、
b)正に荷電したペプチド及び/又は多糖類、
c)ωアミノカルボン酸、並びに
d)上記のうちのいずれかの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を添加することを更に含む、実施態様7〜19のいずれかに記載の方法。
【0189】
(21) 前記長尺繊維及び微細繊維に、プロタミン塩、カルシウム塩、及びε−アミノカプロン酸を添加することを更に含む、実施態様7〜19に記載の方法。
(22) 実施態様7〜21のいずれかに記載の方法によって得ることができる繊維及び/又は凝集体の形態の止血組成物。
(23) 実施態様1〜6、及び22のいずれかに記載の繊維及び/又は凝集体の形態の止血組成物を血液と接触させ、それによりゲルを形成する工程を含む、ゲルの形成方法。
(24) 実施態様23に記載の方法によって得ることができるゲル。
(25) 実施態様1〜6、及び22のいずれかに記載の繊維及び/又は凝集体の形態の止血組成物を含む容器と、任意選択でアプリケータ、担体、及び/又は使用説明書と、を含む、キット。
【0190】
(26) 出血創傷、創傷部位における細菌感染症の治療、部位における漏出の封止、部位における癒着の防止、及び/又は吻合部位からの漏出の最小化若しくは防止を、それを必要とする対象において行う方法であって、実施態様1〜6、及び22のいずれかに記載の繊維及び/又は凝集体の形態の止血組成物の有効量を、前記対象の前記創傷及び/又は部位の上及び/又は中に適用する工程を含む、方法。
(27) 前記適用が、前記創傷及び/又は部位に向かって前記組成物に圧力を加えることなく実施される、実施態様26に記載の方法。
(28) 出血を止めるため、封止、癒着の防止、及び/又は吻合部位からの漏出の最小化若しくは防止のための、抗細菌剤としての、実施態様1〜6、及び22のいずれかに記載の繊維及び/又は凝集体の形態の止血組成物の使用。
(29) 冠状動脈バイパス移植(CABG)手術における漏出を最小化又は防止するための、実施態様28に記載の使用。