【文献】
Journal of Neurochemistry,2015.05.15, Vol.135, No.6,pp.1203-1217
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
治療される急性脳損傷が、外傷性脳損傷、脳卒中、脳虚血に誘発される急性脳損傷、脳への酸素供給不足に誘発される急性脳損傷、無酸素もしくは低酸素に誘発される急性脳損傷、微小梗塞、脳震盪に誘発される急性脳損傷、麻酔もしくは手術に誘発される炎症によって生じる術後性の認知低下、溺れることにより誘発される急性脳損傷、鞭打ちに伴う急性脳損傷、自転車衝突に伴う急性脳損傷、自動車事故に伴う急性脳損傷、揺さぶられっ子症候群、落下に誘発される急性脳損傷、または頭部の物理的衝撃に伴う急性脳損傷である、請求項3に記載の医薬組成物。
ポジフェンが0.01から2mg/kg体重の用量で静脈内投与されるか、またはポジフェンの薬学的に許容される塩がポジフェンの0.01から2mg/kg体重の用量と等価な用量で静脈内投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
ポジフェンが0.001から0.2mg/kg体重の用量で眼球内投与されるか、またはポジフェンの薬学的に許容される塩がポジフェンの0.001から0.2mg/kg体重の用量と等価な用量で眼球内投与される、請求項8に記載の医薬組成物。
ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が、急性の脳または神経損傷の症状が発生した後に急性の脳または神経損傷を治療するために投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が、急性脳損傷または急性閉塞隅角緑内障の症状が発生した後24時間以内に1回、2回、3回もしくは4回に渡り、急性の脳または神経損傷の症状が発生した後早くも1分で、もしくは0.5、1、1.5、2、3、6、12、18、20もしくは22時間以内に始まり、投与されるか、または急性脳損傷または急性緑内障の症状が発生した後1か月に至るまでの間毎日1回、2回、3回もしくは4回投与される、請求項11に記載の医薬組成物。
ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が、急性の脳または神経損傷を予防するために急性の脳または神経損傷の症状が発生すると予想される前に投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が、急性の脳または神経損傷の症状が発生するより1日前、2日前または3日前に1回、2回、3回または4回投与される、請求項13に記載の医薬組成物。
ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が、急性の脳または神経損傷を予防するために急性の脳または神経損傷の症状が発生すると予想される前の1時間以内、2時間以内、3時間以内、6時間以内、12時間以内、1日以内、2日以内または3日以内に投与される、請求項13に記載の医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書で使用される用語「ポジフェン」は(3aR)-1,3a,8-トリメチル-1,2,3,3a,8,8a-ヘキサヒドロピロロ[2,3-b]インドール-5-イル フェニルカルバメートを指し、その化学構造は式1で示され、化学的純度は90%以上、好ましくは95%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上、99.9%以上または100%である。
【0008】
(3aR)-1,3a,8-トリメチル-1,2,3,3a,8,8a-ヘキサヒドロピロロ[2,3-b]インドール-5-イル フェニルカルバメートまたはポジフェンの薬学的に許容される塩に適用される用語「化学的純度」は、(3aR)-1,3a,8-トリメチル-1,2,3,3a,8,8a-ヘキサヒドロピロロ[2,3-b]インドール-5-イル フェニルカルバメートまたはポジフェンの薬学的に許容される塩および存在するかもしれない他の化学的不純物、例えばその(-)-エナンチオマーに関して(3aR)-1,3a,8-トリメチル-1,2,3,3a,8,8a-ヘキサヒドロピロロ[2,3-b]インドール-5-イル フェニルカルバメートまたはポジフェンの薬学的に許容される塩の重量パーセントを意味する。
【0009】
ポジフェンの薬学的に許容される塩の例は好適な酸から調製される酸付加塩を含む。好適な酸は臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、硫酸、炭酸、硝酸、リン酸、テトラフルオロボロン酸、過塩素酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,2-ジクロロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、酢酸、フェニル酢酸、ギ酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸、アントラニル酸、4-ヒドロキシ安息香酸、マンデル酸、パモン酸、パントテン酸、スルファニル酸、ステアリン酸、アルギン酸、β-ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、ガラクタル酸、およびガラクツロン酸であってもよい。好ましくは、薬学的に許容される塩はポジフェン酒石酸塩、すなわち酒石酸の酸付加塩である。
【0010】
本発明の方法または使用により治療されるかまたは予防される急性の脳または神経損傷の例は、外傷性脳損傷、脳卒中、脳虚血に誘発される急性脳損傷、脳への酸素供給不足に誘発される急性脳損傷、無酸素もしくは低酸素に誘発される急性脳損傷、微小梗塞、脳震盪に誘発される急性脳損傷、麻酔もしくは手術に誘発される炎症によって生じる術後性の認知低下、溺れることにより誘発される急性脳損傷、鞭打ちに伴う急性脳損傷、自転車衝突に伴う急性脳損傷、自動車事故に伴う急性脳損傷、、揺さぶられっ子症候群、例えば窓からの落下などの落下に誘発される急性脳損傷、頭部の物理的衝撃に伴う急性脳損傷、または急性閉塞隅角緑内障を含む。本発明の方法または使用により治療されるかまたは予防される急性の脳または神経損傷は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、プリオン病、アミロイド側索硬化症、タウオパチー、前頭側頭型認知症、および慢性脳症の認知症に伴う神経変性を除外する。
【0011】
本発明の方法または使用では、ポジフェンは非経口投与されるかまたは経腸的に投与されてもよい。ポジフェンの投与経路の例は、静脈内、眼球内、筋肉内、皮下、局所、経口、舌下および頬側である。好ましくはポジフェンは静脈内投与される。急性閉塞隅角緑内障の治療のためには、phosiphenは好ましくは眼球内投与または静脈内投与され、眼球内経路がより好ましい。
【0012】
ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩は1回または繰り返し投与されてもよい。急性の脳または神経損傷を治療するための本発明の方法または使用では、ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩は、急性脳損傷または急性閉塞隅角緑内障の症状が発生した後に投与されてもよい。例えば、急性の脳または神経損傷を治療するための本発明の方法または使用の一実施形態では、ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩は、急性脳損傷または急性閉塞隅角緑内障の症状が発生した後24時間以内に1回、2回、3回もしくは4回に渡り、急性閉塞隅角緑内障などの急性の脳または神経損傷の症状が発生した後早くも1分で、もしくは0.5、1、1.5、2、3、6、12、18、20もしくは22時間以内に始まり、投与される。ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩は、急性脳損傷または急性緑内障の症状が発生した後1か月に至るまでの間毎日1回、2回、3回もしくは4回投与されてもよい。例えば、ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩は、急性脳損傷または急性緑内障の症状が発生した後、2、3、4、5、6もしくは7日間のように連続した数日間毎日、または2もしくは3週間毎日、または1か月に至るまで毎日1回、2回、3回または4回投与されてもよい。術後性の認知低下または外傷性脳損傷などの急性の脳または神経損傷を予防するための本発明の方法または使用では、ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩は、急性の脳または神経損傷を予防するために、急性の脳または神経損傷の症状が発生すると予想される時より前の1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、1日、2日または3日以内など、急性の脳または神経損傷の症状が発生すると予想されるより前に投与される。例えば、急性の脳または神経損傷を予防するための本発明の方法または使用の一実施形態では、ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩は、急性脳損傷または急性緑内障の症状が発生するより1日前、2日前または3日前に1回、2回、3回または4回投与されてもよい。急性の脳または神経損傷を予防するための本発明の方法または使用の一実施形態では、ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩は、急性脳損傷または急性緑内障の症状が発生するより1日前に1回、2回、3回または4回投与され、さらに2日前に1回、2回、3回または4回投与されてもよい。急性の脳または神経損傷を予防するための本発明の方法または使用の一実施形態では、ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩は、急性脳損傷または急性緑内障の症状が発生するより1日前に1回、2回、3回または4回投与され、2日前に1回、2回、3回または4回投与され、さらに3日前に1回、2回、3回または4回投与されてもよい。
【0013】
投与経路に依存して、ポジフェンは異なる用量範囲で投与されてもよい。例えば、本発明の方法または使用の一実施形態では、ポジフェンは0.01から2mg/kg体重で、好ましくは0.05から1mg/kg体重、0.05から0.5mg/kg体重または0.1から0.5mg/kg体重で静脈内投与される。本発明の方法または使用の一実施形態では、ポジフェンは0.1から10mg/kg体重で、好ましくは0.2から5mg/kg体重または0.5から1mg/kg体重で経口投与される。本発明の方法または使用の一実施形態では、ポジフェンは0.001から0.2mg/kg体重で、好ましくは0.002から0.1mg/kg体重、または0.005から0.05kg/mg体重で眼球内投与される。ポジフェンの薬学的に許容される塩が本発明の方法または使用において投与される場合には、投与されるポジフェンの薬学的に許容される塩の量が本明細書で開示されるポジフェンの用量と等価な用量を送達させるように、投与されるポジフェンの薬学的に許容される塩の適切な用量は、ポジフェンの分子量とポジフェンの薬学的に許容される塩の分子量の比率を使用して、本明細書に開示されるポジフェンの用量に基づいて計算されてもよい。
【0014】
本発明の方法または使用において、治療対象者は哺乳動物であり、好ましくはヒトである。例えば、本発明の方法または使用において治療される対象者は急性の神経または脳損傷を患う哺乳動物またはヒトである。
【0016】
実施形態1:有効量のポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩をこれを必要とする対象者に投与することを含む、対象者において急性の脳または神経損傷を治療または予防する方法。
【0017】
実施形態2:対象者に投与されるポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩がポジフェンの薬学的に許容される塩である、実施形態1に記載の方法。
【0018】
実施形態3:ポジフェンの薬学的に許容される塩がポジフェン酒石酸塩である、実施形態2に記載の方法。
【0019】
実施形態4:対象者に投与されるポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が少なくとも98%の化学的純度を有する、実施形態1に記載の方法。
【0020】
実施形態5:対象者に投与されるポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が少なくとも99%の化学的純度を有する、実施形態4に記載の方法。
【0021】
実施形態6:急性の脳または神経損傷が、外傷性脳損傷、脳卒中、脳虚血に誘発される急性脳損傷、脳への酸素供給不足に誘発される急性脳損傷、無酸素もしくは低酸素に誘発される急性脳損傷、微小梗塞、脳震盪に誘発される急性脳損傷、麻酔もしくは手術に誘発される炎症によって生じる術後性の認知低下、溺れることにより誘発される急性脳損傷、鞭打ちに伴う急性脳損傷、自転車衝突に伴う急性脳損傷、自動車事故に伴う急性脳損傷、、揺さぶられっ子症候群、落下に誘発される急性脳損傷、頭部の物理的衝撃に伴う急性脳損傷、または急性閉塞隅角緑内障である、実施形態1に記載の方法。
【0022】
実施形態7:治療される急性の脳または神経損傷が急性脳損傷である、実施形態1に記載の方法。
【0023】
実施形態8:治療される急性脳損傷が、外傷性脳損傷、脳卒中、脳虚血に誘発される急性脳損傷、脳への酸素供給不足に誘発される急性脳損傷、無酸素もしくは低酸素に誘発される急性脳損傷、微小梗塞、脳震盪に誘発される急性脳損傷、麻酔もしくは手術に誘発される炎症によって生じる術後性の認知低下、溺れることにより誘発される急性脳損傷、鞭打ちに伴う急性脳損傷、自転車衝突に伴う急性脳損傷、自動車事故に伴う急性脳損傷、揺さぶられっ子症候群、落下に誘発される急性脳損傷、または頭部の物理的衝撃に伴う急性脳損傷である、実施形態7に記載の方法。
【0024】
実施形態9:治療される急性の脳または神経損傷が急性神経損傷である、実施形態1に記載の方法。
【0025】
実施形態10:治療される急性神経損傷が急性閉塞隅角緑内障である、実施形態9に記載の方法。
【0026】
実施形態11:ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が静脈内投与される、実施形態1に記載の方法。
【0027】
実施形態12:ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が眼球内投与される、実施形態10に記載の方法。
【0028】
実施形態13:ポジフェンが0.1から10mg/kg体重の用量で経口投与されるか、またはポジフェンの薬学的に許容される塩がポジフェンの0.1から10mg/kg体重の用量と等価な用量で経口投与される、実施形態1に記載の方法。
【0029】
実施形態14:ポジフェンが0.01から2mg/kg体重の用量で静脈内投与されるか、またはポジフェンの薬学的に許容される塩がポジフェンの0.01から2mg/kg体重の用量と等価な用量で静脈内投与される、実施形態11に記載の方法。
【0030】
実施形態15:ポジフェンが0.001から0.2mg/kg体重の用量で眼球内投与されるか、またはポジフェンの薬学的に許容される塩がポジフェンの0.001から0.2mg/kg体重の用量と等価な用量で眼球内投与される、実施形態12に記載の方法。
【0031】
実施形態16:ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が、急性の脳または神経損傷の症状が発生した後に急性の脳または神経損傷を治療するために投与される、実施形態1に記載の方法。
【0032】
実施形態17:ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が、急性脳損傷または急性閉塞隅角緑内障の症状が発生した後24時間以内に1回、2回、3回もしくは4回に渡り、急性の脳または神経損傷の症状が発生した後早くも1分で、もしくは0.5、1、1.5、2、3、6、12、18、20もしくは22時間以内に始まり、投与されるか、または急性脳損傷または急性緑内障の症状が発生した後1か月に至るまでの間毎日1回、2回、3回もしくは4回投与される、実施形態16に記載の方法。
【0033】
実施形態18:ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が、急性の脳または神経損傷を予防するために、急性の脳または神経損傷の脳卒中より前の1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、1日、2日または3日以内など、急性の脳または神経損傷の症状が発生すると予想される前に投与される、実施形態1に記載の方法。
【0034】
実施形態19:ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が、急性の脳または神経損傷の症状が発生するより1日前、2日前または3日前に1回、2回、3回または4回投与される、実施形態18に記載の使用。
【実施例】
【0035】
〔実施例1:網膜虚血再灌流における神経細胞死の予防〕
ポジフェンは、ラットにおける一過的な虚血再灌流(IR)後の神経細胞死から網膜を守る上で有効であることが示された。IRは緑内障並びに他の網膜疾患における神経細胞死の確立された実験モデルである。IRが各ラットの片眼で誘発され、一方逆側の眼は内部対照とされた。一過的IRは、眼の前房の中への生理食塩水の制御された微量注入により眼内圧を上昇させることによって誘発された。このアプローチは、網膜中で大量のアポトーシス細胞死を誘発することが確立されており、細胞死は再灌流後数時間以内に始まり、数日間続き、網膜の約50%を失うことにつながる。またこの期間の間に網膜内層の脈管構造の透過性も劇的かつ持続的に増加し、浮腫につながり得る。
【0036】
成体雄のスプラグ-ダウリーラット(約450g、n=8)が自由摂食自由節水で標準的な12時間明暗条件で飼育された。ラットは1日1回、経口胃管栄養法でポジフェン酒石酸塩(30mg/kg体重、15mg/ml水で与えられる)または等体積の水(ビヒクル)を与えられた。胃管栄養法は3日間に渡り毎日実施され、その後4日目にIRが麻酔下のラット(ケタミン:キシラジン、100:10mg/kg、腹腔内)において誘発された。IRは、シリンジポンプ(Harvard Instruments)を使用して眼の前房に生理食塩水をゆっくりと注入することで誘発され、前記注入は網膜の還流に必要とされるよりも高く眼内圧を上昇させ、網膜を虚血にした(眼底のピンク色の消失により示される、血流がない状態)。眼内圧は50分間一定に維持され、続いてカニューレ挿入針が除かれ、網膜の急速な再灌流が引き起こされた。ラットはさらに1週間後(IR後14日)に屠殺された。網膜はすぐに解剖され、貯蔵のために急速凍結された。網膜はホモジナイズされ、細胞質試料を得るために分画され、前記細胞質試料はCell Death ELISA(ロシュ)を使用してヌクレオソーム含有量を2回調べられた。データは平均され光学密度(OD)として表された。
【0037】
結果:網膜細胞死アッセイ
【0038】
ポジフェンまたはビヒクルで処置されたラットにおける、一過的IRを受けた眼の網膜および逆側の眼の網膜(対照網膜)における死滅した神経細胞の数が
図1に示されており、
図1では、IR-vehはビヒクルを投与されたラットにおいて一過的IRを受けた眼であり;対照-vehはビヒクルを投与されたラットにおける逆側の眼であり;IR-Posはポジフェンで処置されたラットにおいて一過的IRを受けた眼であり;対照-Posはポジフェンで処置されたラットにおける逆側の眼である。
【0039】
ビヒクルで処置されたラットでは、一過的IRを受けていない逆側の眼の網膜(対照-veh)に比べて、一過的IRを受けた眼の網膜(IR-veh)では約2倍の数の死滅した神経細胞が観察された。対照的に、ポジフェンで処置したラットでは、一過的IRを受けた眼の網膜(IR-Pos)における死滅した神経細胞の数は、一過的IRを受けていない逆側の眼の網膜(対照-Pos)における死滅した神経細胞の数よりもわずかに多いだけであった。ポジフェンは、処置されたラット(IR-Pos)における網膜神経細胞の72%をレスキューした。N=6。従って、ポジフェンは一過的IRにより誘発された急性神経細胞損傷を治療する上で有効であった。
【0040】
〔実施例2:外傷性脳損傷(TBI)〕
ラットは、Griesbach et al(Brain Research, 1288:105-115, 2009;PMCID:PMC2735616)およびHutson et al(J. Neurotrauma, June 6, 2011; PMID:21644813)において説明されるのと同じ手順を使用して片側の脳に液体衝撃損傷(FPI)または偽手術を与えられた。
液体衝撃は同側の脳において軽度の外傷性脳損傷(TBI)を起こした。FPIまたは偽手術の約5分から30分後に、ラットは生理食塩水または2.5、5もしくは10mg/kg体重の用量のポジフェン酒石酸塩を腹腔内に投与され、また翌28から32日間に渡り毎日投与された。最後の生理食塩水またはポジフェン処置の90分後に、すべてのラットが屠殺され、各ラットの脳切片でチロシンヒドロキシラーゼ(TH)の染色が行われ、この染色ではTHは生きた細胞のみを染色する。脳スライスの線条体全体におけるTH免疫反応性の量が測定された。黒質のドーパミン作動性(DA)神経細胞の立体解析学的な解析は、Johnson et al(Brain Pathol. June 29, 2011, doi: 10.1111/j.1750-3639.2011.00513.x)およびHoshino et al(Neurol. Med. Chir. (Tokyo), 2003, Apr; 43(4):165-74)に説明される手順を使用して、FPI損傷と同側および反対側のDA神経細胞のTBIに誘発された喪失をポジフェンが阻害するかどうかを決定するために実施された。結果は
図2および3に示される。ラットの群はLOCが中央値以上であるラットを含んだ。
図2では、偽手術群が
*p<0.05である二元配置分散分析、ボンフェローニ比較を用いてビヒクル群と比較された。
図3では、ビヒクル群が
#p<0.05である一元配置分散分析、ボンフェローニ比較を用いてポジフェン処置群と比較された。
【0041】
偽手術群のラットに比べ、ビヒクル群においてFPIを受けたラットでは、線条体の反対側の領域で神経細胞の25%の死滅および同側の領域で42%の死滅が検出され、ここでは同側がFPIを受けた側の脳である。ポジフェン群では、3種類の用量のポジフェンで処置されたラットは、偽手術を受けた動物に比べ、3種類すべての用量について脳の同側領域における生き残った細胞数の統計学的に有意な増加を示し、最高用量の10mg/kgでは脳の反対側部分の線条体における神経細胞数の増加を示した。ポジフェンは試験された3種類すべての用量で液体衝撃損傷において線条体を保護した。
【0042】
データは
図2および3に平均+/- S.E.M.(平均値の標準誤差)として示される。偽手術群とビヒクル処置群の間でのスチューデントt検定は、ビヒクル処置群の線条体におけるTH+蛍光強度の有意な減少を明らかにした(t=2.470、
*p=0.0295)。同側の線条体のデータに基づいて(同側はFPIを受けた側の脳である)、ポジフェンで処置された動物は、線条体のすべての部分(全体、吻側、内側および尾側)でTH+細胞の完全な保護作用を示した。ボンフェローニpost-hoc比較を用いた一元配置分散分析は、ビヒクル処置群と比べたときにすべてのポジフェン処置群において有意により高いTH+蛍光強度を明らかにした(F=5.499、
#p<0.05)。ポジフェンはFPIに誘発される線条体におけるTH+ターミナルの減少を緩和した。
【0043】
TH+蛍光強度に対するTBIの有意な効果は黒質のいかなるサブ領域でも見られなかったが、データが片側スチューデントt検定(p=0.059)で解析された際には、腹側サブ領域においてTH+神経細胞の平均数が減少する非常に強い傾向が認められた。
【0044】
〔実施例3〕
Hutson et al(J. Neurotrauma, June 6, 2011;PMID:21644813)によればFPIはミクログリアの活性化を誘発し得るため、定量的尺度を使用してポジフェンがこの病理学的反応を無効化するかどうかが実施例2(実施例2では安楽死した各ラットの脳の一部がチロシンヒドロキシラーゼについて染色され、実施例3では脳の別の一部がミクログリアについて染色された)由来のビヒクルまたはポジフェン酒石酸で処置(10mg/kg)されたラットにおいて試験された。ミクログリアの活性化は、IBA-1陽性細胞の直径の定量的測定により調べられ、ここでIBA-1はイオン化カルシウムアダプター結合タンパク質を意味する。細胞体直径が5μm未満のミクログリアは複数の枝分かれした突起により特徴づけられる静止状態の形態を有していた。非常に多く枝分かれしたミクログリア/部分的に活性化したミクログリアは平均細胞体直径が5〜6μmであった。完全活性化したアメーバ用ミクログリアは平均細胞体直径が7〜14μmであり、数少ない短い突起を持ったアメーバ用細胞体により特徴づけられる活性化した形態を有していた。解析は、StereoInvestigatorソフトウェア(MicroBrightField、Colchester、VT)を使用して、Ludl XYZモーター駆動ステージおよびz軸microcator(MT12、Heidenheim、Traunreut、Germany)を備えたライカDM-LB顕微鏡で行われた。解剖学的な正確性を保証するために5x対物レンズの下で黒質の輪郭を描くために輪郭が引かれた。輪郭を描いた後、ミクログリア細胞体の直径は、40xの拡大率にて、最初のカウント用の枠(100μm)およびその後は5番目毎のカウント用の枠で測定された。このサンプル抽出頻度は、黒質の各側で約30〜50個のIBA-1+細胞を数えるように選ばれた。最初のカウント用の枠は常に輪郭の左上側の角に置かれ、輪郭を引かれた輪郭の領域の全体からサンプルが得られるまで、系統的に左から右へ、上から下へ移動された。細胞直径が1μmから14μmの範囲のIBA-1+ミクログリア細胞の数は次に各切片で数えられた全体の数で標準化され、ミクログリア全体のパーセンテージで表現された。結果は
図4に示される(ここでIBA-1+細胞のパーセントは縦軸にプロットされており、μm単位のミクログリア細胞の直径は横軸にプロットされた)。
図4では、各データのバーの白地の部分は、IBA-1+細胞の平均%を表し、バーの上部にある黒または縞状の部分は95%信頼区間を表す。
図4における各ペアのデータのバーでは、上部に黒い部分を有する左側のバーはビヒクル処置群に由来するデータを表し、一方上部に縞状の部分を有する右側のバーは10mg/kgのポジフェン処置群に由来するデータを表し、ここでポジフェン処置群(右側のバー)のデータはビヒクル処置群(左側のバー)のデータとブートストラップ法を用いて比較された。10mg/kgのポジフェン処置群のいくつかのバーの上部にあるアスタリスク(
*)は、ビヒクル処置群の対応するバーのデータとブートストラップ法で解析し比較された際にp<0.05での統計学的有意性を示す。ポジフェンは静止状態のミクログリアの数を増加させ、活性化したミクログリアの数を減少させた。
【0045】
データは、FPIが損傷と同側の黒質におけるミクログリアの活性化を増加させたことを示し、この効果は統計学的に有意な様式で10mg/kgの用量のポジフェンにより緩和された。損傷と同側の黒質におけるIBA陽性細胞体の直径を炎症の指標とした。データは、ポジフェンが外傷性脳損傷後の脳の炎症を減少させたことを示す。
【0046】
〔実施例4〕
この実施例の目的は、外傷性脳損傷(TBI)の治療としてのポジフェンの有効性を確立することである。TBIの軽度のモデルにおいて、ポジフェンは以下に説明されるようにTBIを受けたラットにおける水迷路の成績を改善することが示された。
【0047】
〔ポジフェンがモリス水迷路における作業記憶の成績を改善したこと〕
【0048】
実施例2に由来するビヒクルまたはポジフェン酒石酸塩で処置されたラットについてまたモリス水迷路における作業記憶試験が行われた。各ラットは個別にモリス水迷路で試験され、モリス水迷路はラットを水中に置くための4つの解放点およびラットが泳いで向かうべき4つの台を有する。連続した合計3日間(最後のビヒクルまたはポジフェン処置の1および2日前;またならびに最後のビヒクルまたはポジフェン処置の日で安楽死の前)、対に設定されたトライアル(1日当たり4対のトライアル)を使用して、ラットは4つの台の位置を見つける能力を試験された。各トライアル対では、最初のトライアルはラットが台の位置を学習する学習トライアルであり、2番目のトライアルはラットが学習トライアルで学習した台に向かって泳いでいくためのラットの記憶力を試験する記憶力トライアルである。学習トライアルでは、各ラットは台へ泳ぐために90秒の最大泳ぎ時間を与えられ、90秒後に必要であれば台へと導かれる。記憶力トライアルは学習トライアル完了の5秒後に開始され、記憶力トライアルにおいてラットが迷路を泳いで台に到達するまでにかかった時間が記録された。4つの台の位置は各トライアル対の後に入れ替えた。1日の連続するトライアル対で記憶力トライアルの間の時間間隔は5分であった。データは3日に渡って平均された。モリス水迷路における記憶力トライアルにおいて台に到達するための5つの群のラットの平均継続時間(および+/-平均の標準誤差)は
図5に示される。ビヒクル処置群と10mg/kgのポジフェン処置群(#記号でマークされたバーで示される)の間のボンフェローニpost-hoc比較を用いた一元配置分散分析に基づき、統計学的有意差が見出された(t=2.209およびp=0.0335)。ポジフェンの他の2種類の用量である2.5mg/kgおよび5mg/kgでは、台を見つけるための継続時間が減る方向で有意ではない傾向が明らかになった(F=2.192;p=0.0961)。したがって、10mg/kgの用量のポジフェンは、モリス水迷路における作業記憶について試験される際のFPI損傷に誘発された障害をレスキューした。
【0049】
実験は偽手術群に比較した際にビヒクル処置群において成績の有意な低下を示し、FPIが、モリス水迷路での作業記憶について試験された際の、ビヒクルで処置されたラットにおける成績欠陥を誘発したことを示した。実験はまたビヒクル処置群に比べた際に10mg/kgポジフェンの群におけるこの欠陥の改善も示した。
本発明はまた、以下に関する。
[項目1]
有効量のポジフェン(posiphen)またはポジフェンの薬学的に許容される塩をこれを必要とする対象者に投与することを含む、対象者において急性の脳または神経損傷を治療または予防する方法。
[項目2]
対象者に投与されるポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩がポジフェンの薬学的に許容される塩である、項目1に記載の方法。
[項目3]
ポジフェンの薬学的に許容される塩がポジフェン酒石酸塩である、項目2に記載の方法。
[項目4]
対象者に投与されるポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が少なくとも98%の化学的純度を有する、項目1に記載の方法。
[項目5]
対象者に投与されるポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が少なくとも99%の化学的純度を有する、項目4に記載の方法。
[項目6]
急性の脳または神経損傷が、外傷性脳損傷、脳卒中、脳虚血に誘発される急性脳損傷、脳への酸素供給不足に誘発される急性脳損傷、無酸素もしくは低酸素に誘発される急性脳損傷、微小梗塞、脳震盪に誘発される急性脳損傷、麻酔もしくは手術に誘発される炎症によって生じる術後性の認知低下、溺れることにより誘発される急性脳損傷、鞭打ちに伴う急性脳損傷、自転車衝突に伴う急性脳損傷、自動車事故に伴う急性脳損傷、、揺さぶられっ子症候群、落下に誘発される急性脳損傷、頭部の物理的衝撃に伴う急性脳損傷、または急性閉塞隅角緑内障である、項目1に記載の方法。
[項目7]
治療される急性の脳または神経損傷が急性脳損傷である、項目1に記載の方法。
[項目8]
治療される急性脳損傷が、外傷性脳損傷、脳卒中、脳虚血に誘発される急性脳損傷、脳への酸素供給不足に誘発される急性脳損傷、無酸素もしくは低酸素に誘発される急性脳損傷、微小梗塞、脳震盪に誘発される急性脳損傷、麻酔もしくは手術に誘発される炎症によって生じる術後性の認知低下、溺れることにより誘発される急性脳損傷、鞭打ちに伴う急性脳損傷、自転車衝突に伴う急性脳損傷、自動車事故に伴う急性脳損傷、揺さぶられっ子症候群、落下に誘発される急性脳損傷、または頭部の物理的衝撃に伴う急性脳損傷である、項目7に記載の方法。
[項目9]
治療される急性の脳または神経損傷が急性神経損傷である、項目1に記載の方法。
[項目10]
治療される急性神経損傷が急性閉塞隅角緑内障である、項目9に記載の方法。
[項目11]
ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が静脈内投与される、項目1に記載の方法。
[項目12]
ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が眼球内投与される、項目10に記載の方法。
[項目13]
ポジフェンが0.1から10mg/kg体重の用量で経口投与されるか、またはポジフェンの薬学的に許容される塩がポジフェンの0.1から10mg/kg体重の用量と等価な用量で経口投与される、項目1に記載の方法。
[項目14]
ポジフェンが0.01から2mg/kg体重の用量で静脈内投与されるか、またはポジフェンの薬学的に許容される塩がポジフェンの0.01から2mg/kg体重の用量と等価な用量で静脈内投与される、項目11に記載の方法。
[項目15]
ポジフェンが0.001から0.2mg/kg体重の用量で眼球内投与されるか、またはポジフェンの薬学的に許容される塩がポジフェンの0.001から0.2mg/kg体重の用量と等価な用量で眼球内投与される、項目12に記載の方法。
[項目16]
ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が、急性の脳または神経損傷の症状が発生した後に急性の脳または神経損傷を治療するために投与される、項目1に記載の方法。
[項目17]
ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が、急性脳損傷または急性閉塞隅角緑内障の症状が発生した後24時間以内に1回、2回、3回もしくは4回に渡り、急性の脳または神経損傷の症状が発生した後早くも1分で、もしくは0.5、1、1.5、2、3、6、12、18、20もしくは22時間以内に始まり、投与されるか、または急性脳損傷または急性緑内障の症状が発生した後1か月に至るまでの間毎日1回、2回、3回もしくは4回投与される、項目16に記載の方法。
[項目18]
ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が、急性の脳または神経損傷を予防するために急性の脳または神経損傷の症状が発生すると予想される前に投与される、項目1に記載の方法。
[項目19]
ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が、急性の脳または神経損傷の症状が発生するより1日前、2日前または3日前に1回、2回、3回または4回投与される、項目18に記載の方法。
[項目20]
急性の脳または神経損傷の治療または予防における、ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩の使用。
[項目21]
ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩がポジフェンの薬学的に許容される塩である、項目20に記載の使用。
[項目22]
ポジフェンの薬学的に許容される塩がポジフェン酒石酸塩である、項目21に記載の使用。
[項目23]
ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が少なくとも98%の化学的純度を有する、項目20に記載の使用。
[項目24]
ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が少なくとも99%の化学的純度を有する、項目23に記載の使用。
[項目25]
急性の脳または神経損傷が、外傷性脳損傷、脳卒中、脳虚血に誘発される急性脳損傷、脳への酸素供給不足に誘発される急性脳損傷、無酸素もしくは低酸素に誘発される急性脳損傷、微小梗塞、脳震盪に誘発される急性脳損傷、麻酔もしくは手術に誘発される炎症によって生じる術後性の認知低下、溺れることにより誘発される急性脳損傷、鞭打ちに伴う急性脳損傷、自転車衝突に伴う急性脳損傷、自動車事故に伴う急性脳損傷、揺さぶられっ子症候群、落下に誘発される急性脳損傷、頭部の物理的衝撃に伴う急性脳損傷、または急性閉塞隅角緑内障である、項目20に記載の使用。
[項目26]
治療される急性の脳または神経損傷が急性脳損傷である、項目20に記載の使用。
[項目27]
治療される急性脳損傷が、外傷性脳損傷、脳卒中、脳虚血に誘発される急性脳損傷、脳への酸素供給不足に誘発される急性脳損傷、無酸素もしくは低酸素に誘発される急性脳損傷、微小梗塞、脳震盪に誘発される急性脳損傷、麻酔もしくは手術に誘発される炎症によって生じる術後性の認知低下、溺れることにより誘発される急性脳損傷、鞭打ちに伴う急性脳損傷、自転車衝突に伴う急性脳損傷、自動車事故に伴う急性脳損傷、揺さぶられっ子症候群、落下に誘発される急性脳損傷、または頭部の物理的衝撃に伴う急性脳損傷である、項目26に記載の使用。
[項目28]
治療される急性の脳または神経損傷が急性神経損傷である、項目20に記載の使用。
[項目29]
治療される急性神経損傷が急性閉塞隅角緑内障である、項目28に記載の使用。
[項目30]
ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が静脈内投与される、項目20に記載の使用。
[項目31]
ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が眼球内投与される、項目30に記載の使用。
[項目32]
ポジフェンが0.1から10mg/kg体重の用量で経口投与されるか、またはポジフェンの薬学的に許容される塩がポジフェンの0.1から10mg/kg体重の用量と等価な用量で経口投与される、項目20に記載の使用。
[項目33]
ポジフェンが0.01から2mg/kg体重の用量で静脈内投与されるか、またはポジフェンの薬学的に許容される塩がポジフェンの0.01から2mg/kg体重の用量と等価な用量で静脈内投与される、項目32に記載の使用。
[項目34]
ポジフェンが0.001から0.2mg/kg体重の用量で眼球内投与されるか、またはポジフェンの薬学的に許容される塩がポジフェンの0.001から0.2mg/kg体重の用量と等価な用量で眼球内投与される、項目31に記載の使用。
[項目35]
ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が、急性の脳または神経損傷の症状が発生した後に急性の脳または神経損傷を治療するために投与される、項目20に記載の使用。
[項目36]
ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が、急性脳損傷または急性閉塞隅角緑内障の症状が発生した後24時間以内に1回、2回、3回もしくは4回に渡り、急性の脳または神経損傷の症状が発生した後早くも1分で、もしくは0.5、1、1.5、2、3、6、12、18、20もしくは22時間以内に始まり、投与されるか、または急性脳損傷または急性緑内障の症状が発生した後1か月に至るまでの間毎日1回、2回、3回もしくは4回投与される、項目35に記載の使用。
[項目37]
ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が、急性の脳または神経損傷を予防するために急性の脳または神経損傷の症状が発生すると予想される前に投与される、項目20に記載の使用。
[項目38]
ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が、急性の脳または神経損傷の症状が発生するより1日前、2日前または3日前に1回、2回、3回または4回投与される、項目37に記載の使用。
[項目39]
ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が、急性の脳または神経損傷を予防するために急性の脳または神経損傷の症状が発生すると予想される前の1時間以内、2時間以内、3時間以内、6時間以内、12時間以内、1日以内、2日以内または3日以内に投与される、項目37に記載の使用。
[項目40]
ポジフェンまたはポジフェンの薬学的に許容される塩が、急性の脳または神経損傷の症状が発生すると予想される前の1時間以内、2時間以内、3時間以内、6時間以内、12時間以内、1日以内、2日以内または3日以内に投与される、項目18に記載の方法。