【実施例】
【0107】
<一般的実験>
市販の出発材料、試薬および乾燥溶媒は、供給されたまま使用した。
【0108】
フラッシュカラムクロマトグラフィーは、Merckシリカゲル60(0.025〜0.04mm)を使用して実施した。カラムクロマトグラフィーは、アイソルートフラッシュシリカカラムを使用するフラッシュマスターパーソナルユニット、またはMerckもしくはBiotageフラッシュシリカカートリッジを使用するBiotage SP1精製システムでも実施した。
【0109】
分取TLCは、AnaltechまたはMerckプレートで実施した。イオン交換クロマトグラフィーは、酸性アイソルートフラッシュSCX−IIカラム、アイソルートSi−カーボネートカラムまたは塩基性アイソルートフラッシュNH
2カラムを使用して実施した。分取HPLCは、Gilson GX−281リキッドハンドラーシステムをGilson 322 HPLCポンプ(Gilson、Middleton、USA)と組み合わせて使用するPhenomenexルナカラム(5μm、250×21.2mm、C18、Phenomenex、Torrance、USA)を使用して、15分間にわたって10:90から100:0 メタノール:水(いずれも0.1%ギ酸で調節したもの)の勾配溶離(Grad15mins20mls.m)にて20mL/分の流速で、または、15分間にわたって40:60から100:0 メタノール:水(いずれも0.1%ギ酸で調節したもの)の勾配溶離(Grad15mins20ml.m)にて20mL/分の流速で行った。
【0110】
UV−Visスペクトルは、Gilson 156 UV−Vis検出器(Gilson、Middleton、USA)で、254nmにて獲得した。収集はUVシグナルによってトリガーされ、Gilson GX−281リキッドハンドラーシステム(Gilson、Middleton、USA)を使用して収集した。Gilsonトリリューションソフトウェアを使用して、生データを加工した。
1H NMRスペクトルをBrukerアバンス−500で記録した。試料を、重水素化溶媒中溶液として調製し、適正な内部非重水素化溶媒ピークまたはテトラメチルシランを参照した。化学シフトは、テトラメチルシランから低磁場のppm(δ)で記録した。
【0111】
LC/MSおよびHRMS分析は、Agilent 1200シリーズHPLC、およびデュアルマルチモードAPCI/ESI源を備える6210飛行時間型質量分析計と連結されたダイオードアレイ検出器で実施した。分析分離は、30℃で、MerckクロモリススピードRODカラム(RP−18e、50×4.6mm)で、2mL/分の流速を使用し、4分間の勾配溶離にて、254nmにおける検出、または、MerckピュロスファーSTARカラム(RP−18e、30×4mm)で、1.5mL/分の流速を使用し、4分間の勾配溶離にて、254nmにおける検出のいずれかで行った。移動相は、いずれも0.1%のギ酸を含有するメタノール(溶媒A)および水(溶媒B)の混合物であった。勾配溶離は、2.5分間にわたって1:9(A/B)から9:1(A/B)、1分間9:1(A/B)、次いで0.3分間にわたって1:9(A/B)への復帰、最後に0.2分間1:9(A/B)のいずれかであった(デフォルト方法を、実験におけるESI−HRMS方法Bとも称する)。カフェイン[M+H]
+195.087652;(ヘキサキス(1H,1H,3H−テトラフルオロペントキシ)ホスファゼン[M+H]
+922.009798)およびヘキサキス(2,2−ジフルオロエトキシ)ホスファゼン[M+H]
+622.02896またはレセルピン[M+H]
+609.280657の参照質量をHRMS分析に使用した。LC/MS分析はまた、Watersアライアンス2795分離モジュール、およびESI源を備えるWaters/マイクロマスLCt飛行時間形質量分析計と連結されたWaters 2487二波長吸光度検出器で実施した。
【0112】
[実施例1]
<イソプロピル6−(2−メトキシ−4−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−5−イル)フェニルアミノ)−2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−1−カルボキシレートの合成>
<5−(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)−1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾールの合成>
【化5】
1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール(41mg、0.495mmol)をTHF(4.9mL)に溶解し、−78℃に冷却した。ヘキサン中のn−ブチルリチウム溶液(240μL、0.594mmol)を滴下添加し、溶液をさらに5分間攪拌した後、塩化亜鉛(II)(3.0mL、1.485mmol)を添加した。−78℃にて30分後、反応混合物をDMF(2.0mL)で希釈し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(29mg、0.025mmol)およびDMF(500μL)中の4−ブロモ−2−メトキシ−1−ニトロベンゼン(115mg、0.495mmol)の溶液を添加した。溶液を80℃で2.5時間攪拌した。混合物を室温に冷却した後、水およびEtOAcを添加し、相を分離した。有機相を、水、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、溶媒を真空で除去した。残留物を、DCM/EtOAc(99/1から90/10、10gカラム)で溶離するBiotageシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題の生成物(title product)を、淡黄色固体(82mg、70.7%)として生じさせた。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3): δ 4.04 (s, 3H), 4.14 (s, 3H), 7.10-7.13 (m, 2H), 7.82 (s, 1H), 7.98-8.01 (m, 1H); LC (方法B)-MS (ESI, m/z) t
R 1.97分, 235 [(M+H
+), 100%].
【0113】
<2−メトキシ−4−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−5−イル)アニリンの合成>
【化6】
10%Pd炭素(8mg、0.333mmol)を、DMF(3.3μL)中の5−(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)−1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール(78mg、0.333mmol)の溶液に添加した。反応混合物を、水素雰囲気下、25℃で8時間攪拌した。8mgのPd/Cを添加し、反応混合物を終夜攪拌した。8mgのPd/Cを添加し、混合物を3日間攪拌した。次いで、反応混合物をSCX−2カラム上で濾過し、減圧下で濃縮して、表題の生成物を、白色固体(25mg、36.8%)として生じさせた。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3): δ 3.90 (s, 3H), 4.05 (s, 5H), 6.78-6.80 (m, 2H), 6.84 (dd, J = 8.0, 1.8 Hz, 1H), 7.65 (s, 1H); LC (方法B)-MS (ESI, m/z) t
R 1.39分, 205 [(M+H
+), 100%].
【0114】
<イソプロピル6−(2−メトキシ−4−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−5−イル)フェニルアミノ)−2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−1−カルボキシレートの合成>
【化7】
トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(5.7mg、6.23μmol)を、DMA(1.4mL)中の、イソプロピル6−ブロモ−2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−1−カルボキシレート(45.3mg、0.125mmol;国際公開第2012/123745号に記載の通りに調製したもの)、炭酸セシウム(81mg、0.249mmol)、2−メトキシ−4−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−5−イル)アニリン(28mg、0.137mmol)およびキサントホス(7.2mg、0.012mmol)の混合物に添加した。反応混合物を、70℃で2時間加熱した。次いで、これをSCX−2カラム上で濾過し、真空下で濃縮した。残留物を、Biotageカラムクロマトグラフィー(EtOAc中0から1%MeOH/NH
3水溶液(10/1)、12gカラム)によって、次いで分取TLC(DCM中5%MeOH/NH
3水溶液(10/1))によって精製して、表題の生成物を白色固体(13mg、21%)として生じさせた。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3): δ 1.34 (d, J= 6.3 Hz, 6H), 3.98 (s, 3H), 3.98 (s, 3H), 4.11 (s, 3H), 5.20 (七重線, J= 6.3 Hz, 1H), 6.54 (d, J = 0.9 Hz, 1H), 6.91 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.02 (dd, J = 8.3, 1.9 Hz, 1H), 7.57 (s, 1H), 7.63 (s, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.75 (t, J = 0.9 Hz, 1H), 8.25 (d, J= 8.3 Hz, 1H), 8.52 (d, J = 0.9 Hz, 1H);
13C NMR (126 MHz, CDCl
3): δ 21.8, 35.5, 39.1, 56.0, 72.1, 96.4, 108.1, 110.3, 114.1, 115.8, 118.2, 121.0, 121.4, 130.2, 132.1, 132.5, 132.6, 138.4, 140.0, 140.5, 144.0, 147.9, 150.9, 151.4; ESI-HRMS (方法B) 実測値487.2194, C
25H
27N
8O
3(M+H
+)の計算値: 487.2201.
【0115】
[実施例2]
<イソプロピル6−(2−メトキシ−4−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)フェニルアミノ)−2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−1−カルボキシレートの合成>
<3−メトキシ−N−メチル−4−ニトロベンズアミドの合成>
【化8】
HATU(0.501g、1.319mmol)を、THF(2.7mL)中の、3−メトキシ−4−ニトロ安息香酸(0.2g、1.014mmol)、DIPEA(0.265mL、1.522mmol)およびTHF中2Mメチルアミン溶液(1.0mL、2.029mmol)の溶液に添加した。反応混合物を室温で終夜攪拌した。次いで、これを減圧下で濃縮し、Biotageカラムクロマトグラフィー(DCM/EtOAc 80/20から60/40;25gカラム)、次いで(シクロヘキサン/EtOAc 50/50から40/60、25gカラム)によって精製して、表題の化合物を、白色固体(166mg、78%)として生じさせた。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3): δ 3.07 (d, J= 4.9 Hz, 3H), 4.04 (s, 3H), 6.27 (見かけs, 1H), 7.28 (dd, J = 8.3, 1.6 Hz, 1H), 7.64 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.88 (d, J = 8.3 Hz, 1H); LC (方法B)-MS (ESI, m/z) t
R 2.04分, 211 [(M+H
+), 100%].
【0116】
<5−(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)−1−メチル−1H−テトラゾールの合成>
【化9】
トリフリック無水物(0.27mL、1.580mmol)を、MeCN(4.0mL)中の3−メトキシ−N−メチル−4−ニトロベンズアミド(0.166g、0.790mmol)およびアジ化ナトリウム(0.205g、3.16mmol)の溶液に−10℃で滴下添加した。反応混合物を室温まで3時間にわたって加温した。次いで、これを飽和NaHCO
3水溶液で中和した。混合物をEtOAcで抽出し、有機層を、飽和NaHCO
3水溶液で、次いでブラインで洗浄した。次いで、これを乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、減圧下で濃縮した。次いで、残留物を、Biotageカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/EtOAc 70/30から50/50、25gカラム)によって精製して、表題の化合物を、白色固体(129mg、69%)として生じさせた。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3): δ 4.08 (s, 3H), 4.27 (s, 3H), 7.35 (dd, J = 8.3, 1.7 Hz, 1H), 7.64 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 8.04 (d, J = 8.3 Hz, 1H); LC (方法B)-MS (ESI, m/z) t
R 1.98分, 236 [(M+H
+), 100%].
【0117】
<2−メトキシ−4−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)アニリンの合成>
【化10】
10%Pd炭素(7mg、0.268mmol)を、EtOAc(1.2mL)中の5−(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)−1−メチル−1H−テトラゾール(63mg、0.268mmol)の溶液に添加した。反応混合物を、水素雰囲気下、室温で1時間攪拌した。若干のEtOH(0.5mL)を添加し、反応混合物を1.5時間攪拌した。次いで、これを濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、表題の生成物を、白色固体(52mg、95%)として生じさせた。
1H NMR (500 MHz, CD
3OD): δ 3.93 (s, 3H), 4.19 (s, 3H), 6.86-6.88 (m, 1H), 7.20-7.22 (m, 1H), 7.25-7.26 (m, 1H); LC (方法B)-MS (ESI, m/z) t
R 1.54分, 206 [(M+H
+), 100%].
【0118】
<イソプロピル6−(2−メトキシ−4−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)フェニルアミノ)−2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−1−カルボキシレートの合成>
【化11】
トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(6.3mg、6.88μmol)を、DMA(1.5mL)中の、イソプロピル6−ブロモ−2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−1−カルボキシレート(50mg、0.138mmol;国際公開第2012/123745号に記載の通りに調製したもの)、炭酸セシウム(90mg、0.275mmol)、2−メトキシ−4−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)アニリン(31.1mg、0.151mmol)およびキサントホス(8.0mg、0.014mmol)の混合物に添加した。反応混合物を70℃で3時間攪拌した。次いで、これをSCX−2カラム上で濾過し、真空下で濃縮した。残留物を、分取TLC(DCM中5%MeOH/NH
3水溶液(10/1))によって、次いでBiotageカラムクロマトグラフィー(DCM/EtOAc、70/30から0/100)によって精製して、表題の生成物を、白色固体(34mg、51%)として生じさせた。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3): δ 1.34 (d, J= 6.3 Hz, 6H), 3.98 (s, 3H), 4.02 (s, 3H), 4.21 (s, 3H), 5.20 (七重線, J= 6.3 Hz, 1H), 6.54 (d, J = 0.9 Hz, 1H), 7.26 (dd, J = 8.4, 1.9 Hz, 1H), 7.39 (s, 1H), 7.42 (d, J= 1.9 Hz, 1H), 7.57 (s, 1H), 7.62 (s, 1H), 7.74 (t, J = 0.9 Hz, 1H), 8.39 (d, J= 8.4 Hz, 1H), 8.53 (d, J = 0.9 Hz, 1H);
13C NMR (126 MHz, CDCl
3): δ 21.8, 35.2, 39.0, 56.1, 72.2, 97.2, 108.1, 110.4, 114.0, 114.3, 114.8, 121.1, 121.3, 130.3, 132.2, 134.4, 140.0, 140.5, 143.9, 147.7, 150.9, 151.0, 154.6; ESI-HRMS (方法B) 実測値488.2148, C
24H
26N
9O
3(M+H
+)の計算値: 488.2153.
【0119】
[実施例3]
<生物学的活性>
下記の生物学的アッセイを使用して、本発明に係る化合物の薬理学的効果を測定することができる。
【0120】
[Mps1キナーゼの阻害の測定]
酵素反応(総体積10μl)は、完全長Mps1(12.5nMまたは3nM)、蛍光標識ペプチド[H236として公知、配列:5FAM−DHTGFLTEYVATR−CONH
2を有する](5μM)、ATP(10μM)、DMSO(1%v/v)または試験化合物(1%DMSO中0.25nM〜100μMの範囲内で)のいずれかおよびアッセイ緩衝液(50mM HEPES(pH7.0)、0.02%NaN
3、0.01%BSA、0.1mMオルトバナデート(Orthovandate)、10μM MgCl
2、1μM DTT、Rocheプロテアーゼ阻害剤)を含有する黒色384ウェル低容量プレート中で行った。反応は、室温で60分間行い、0.1M HEPES緩衝生理食塩水(遊離酸、Sigma、UK)中に20mM EDTA、0.05%(v/v)Brij−35を含有する緩衝液(10μl)の添加によって停止させた。プレートを、キャリパーEZ読み取り機II(Caliper Life Sciences)で読み取った。
【0121】
読み取り機は、生成物および基質両方のピークを測定することによってピーク高さを%変換に変換し、0%および100%阻害をそれぞれ表す対照ウェルの選択を可能とするソフトウェアパッケージ(「レビューアー」)を備えている。化合物の%阻害は、選択された対照ウェルの平均に対して算出される。IC
50は、0.25nM〜100μMまでの濃度範囲で化合物を試験することによって決定される。次いで、各濃度における%阻害を、4パラメータロジスティックフィットに当てはめる:
y=(a+((b−a)/(1+((c/x^d))))
[式中、a=漸近線最小値であり、b=漸近線最大値であり、c=IC
50であり、d=ヒル係数である]
【0122】
前述のMps1アッセイにおいて、実施例1の化合物は1.2nMのIC
50値を有し、実施例2の化合物は2.8nMのIC
50値を有する。
【0123】
[MTT細胞毒性アッセイ]
細胞増殖アッセイは、比色3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)アッセイ(Sigma)を使用して行った。ATCCから購入した1.5×10
3HCT116細胞を、96ウェルプレート内、100μLの培養培地中、三連で平板培養した。翌日、試験される化合物の3倍希釈物を、培養培地中、希釈した場合にウェル中の最終濃度が0から10μMまでの範囲となるように作製した。25μLの培地中化合物希釈物を100μLの細胞に添加し、37℃および5%CO
2で72時間インキュベートした。次いで、細胞を、40μLの5mg/mL MTT試薬とともに37℃で3時間インキュベートした。培地を慎重に除去し、結晶を100μLのDMSOに溶解した。吸光度は、ワラックVICTOR2 1420マルチラベルカウンター(PerkinElmer)により570nmで測定し、GI
50を算出するためにGraphPad PRISMを使用して分析を実施した。
【0124】
[ヒト肝ミクロソーム安定性]
下記の手順を使用して、本発明に係る化合物のヒト肝ミクロソーム安定性を試験した。
【0125】
男女混合のプールされたヒト肝ミクロソームを、Tebu−bio(Peterborough、U.K.)から購入した。試料は、1mg/mLミクロソームタンパク質、3mmol/L MgCl
2、1mmol/L NADPH、2.5mmol/L、UDP−グルクロン酸、および10mmol/Lリン酸緩衝液(pH7.4)(いずれもSigma Aldrich、Gilingham、U.Kから購入したもの)の最終濃度を含有していた。37℃での反応は、10μmol/L試験化合物の添加によって開始し、3体積の氷冷メタノール含有内部標準の添加によって、0、15および30分で終了した。試料を、2,800×g、4℃で30分間遠心分離し、上清を分析した。対照インキュベーションは、補因子を省略して上記の通りに調製した。
【0126】
30分の時点で残っている親化合物のパーセンテージを記録した。
【0127】
[マウスにおける薬物動態プロファイル(「マウスPK」)]
下記の手順を使用して、本発明に係る化合物の薬物動態プロファイルを評価した。
【0128】
Charles River UK Ltd.(Margate、United Kingdom)の雌BALB/cマウス(およそ8週齢)を、制御環境内で、食物および滅菌水を自由に利用できるようにして保った。実験時、動物は20±3gの重量であった。投薬溶液は、10%DMSO、5%ツイーン20および85%生理食塩水に化合物を溶解することによって調製した。化合物を、5mg/kgで静脈内および経口投与した。動物を加温した後、外側尾静脈に単一の静脈内ボーラス注射を受けさせた。経口投与は、強制飼養によるものであった。対照動物にはビヒクル単独を受けさせた。3匹のマウスの群に、投薬経路ごとに注射した。ヘパリンナトリウムコーティングキャピラリーを使用して加温した後、個々のマウスの尾静脈から連続試料採取することにより、5、15および30分、ならびに1、2、4および6および24時間で血液を収集し、20μlの血液をワットマンFTA DMPK−Bカードにスポットした。すべての動物実験は、Home Office regulations under the Animals(Scientific Procedures)Act1986に従い、動物実験のためのUKCCCRガイドラインによって行った。
【0129】
較正標準およびQCを尾静脈血液中で調製した。20μlの血液を、ワットマンFTA DMPK−Bカードにスポットした。乾燥したら、すべての標準、QCおよび試料スポットにハリスユニコア6mmパンチで穴を開け、200μlのメタノール含有内部標準を添加した。試料を5分間遠心分離し、上清をLC−MSによる分析に用いた。非コンパートメント分析を使用する薬物動態の算出に、Phoenix WinNonLin(Pharsight)ソフトウェアを使用した。
【0130】
<結果>
本発明に係る化合物の活性を、国際公開第2012/123745号の実施例18、22、44、68、79、102および103の化合物と比較して、以下の表2に示す。
【表2A】
【表2B】
【0131】
本明細書に記載のMTTアッセイにおいて、0.15マイクロモル以下のGI
50を保有する化合物が好ましく、0.11マイクロモル未満のGI
50値が最も好ましい。
【0132】
本明細書に記載のHLMアッセイにおいて、親化合物の30%未満が30分で分解した化合物が好ましく、26%未満の値が最も好ましい。
【0133】
本明細書に記載のマウスPK研究において、3.5mL/分/Kg未満のクリアランス値を有する化合物が好ましく、2mL/分/Kg未満の値が最も好ましい。
【0134】
国際公開第2012/123745号に記載されたコンパレーター化合物と比較すると、本発明に係る実施例1と実施例2の化合物は、以下の組合せを呈する化合物であった。
1.本明細書に記載のMTTアッセイにおける0.15マイクロモル以下(または0.11マイクロモル以下)のGI
50、
2.本明細書に記載のHLMアッセイにおける30分での親化合物の30%以下(または26%以下)分解の値
3.本明細書に記載のマウスPK研究における3.5mL/分/Kg未満のクリアランス値(本発明の実施例2の化合物は2mL/分/Kg未満のクリアランスを有する)
なお、本願の出願当初の特許請求の範囲は以下の通りである。
[請求項1]
イソプロピル6−(2−メトキシ−4−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−5−イル)フェニルアミノ)−2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−
1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−1−カルボキシレート、または
イソプロピル6−(2−メトキシ−4−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)フェニルアミノ)−2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−1−カルボキシレート
の1つである化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物。
[請求項2]
イソプロピル6−(2−メトキシ−4−(1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−5−イル)フェニルアミノ)−2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−1−カルボキシレート
である化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物。
[請求項3]
イソプロピル6−(2−メトキシ−4−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)フェニルアミノ)−2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン−1−カルボキシレート
である化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物。
[請求項4]
請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物と、薬学的に許容される添加剤とを含む、医薬組成物。
[請求項5]
療法において使用するための、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、または請求項4に記載の医薬組成物。
[請求項6]
増殖性障害の治療に使用するための、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、または請求項4に記載の医薬組成物。
[請求項7]
がんの治療に使用するための、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、または請求項4に記載の医薬組成物。
[請求項8]
治療を要する患者の増殖性障害を治療する方法であって、前記患者に、請求項1〜3のいずれか一項に記載の治療有効量の化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物を投与するステップを含む方法。
[請求項9]
前記増殖性障害ががんである、請求項8に記載の方法。
[請求項10]
請求項1に記載の化合物を合成する方法であって、
a)式Aの中間体:
[化1]
[式中、LGは、適切な脱離基である]
を、式Bの中間体:
[化2]
[式中、xは、NまたはCHである]
と反応させるステップ、ならびに、
その後任意選択的に、
i)存在する任意の保護基を除去するステップ、および/または
ii)薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物を形成するステップ
を含む方法。