特許第6862461号(P6862461)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862461
(24)【登録日】2021年4月2日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】モデリングシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/50 20060101AFI20210412BHJP
【FI】
   G01N33/50 H
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-545334(P2018-545334)
(86)(22)【出願日】2017年3月2日
(65)【公表番号】特表2019-516067(P2019-516067A)
(43)【公表日】2019年6月13日
(86)【国際出願番号】EP2017054962
(87)【国際公開番号】WO2017153260
(87)【国際公開日】20170914
【審査請求日】2019年12月27日
(31)【優先権主張番号】16159407.2
(32)【優先日】2016年3月9日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590003065
【氏名又は名称】ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】イフティカール,アビド
(72)【発明者】
【氏名】マッケオン,ロバート
【審査官】 三好 貴大
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−516760(JP,A)
【文献】 特開2013−092409(JP,A)
【文献】 特開2008−088148(JP,A)
【文献】 特開2010−066176(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0033142(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48−33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪への攻撃の効果を分析する方法であって、
(i)少なくとも1つの毛髪表面の画像データを収集する工程、
(ii)前記少なくとも1つの毛髪表面に少なくとも1つの攻撃を加える工程、
(iii)工程(ii)から生じる前記少なくとも1つの毛髪表面の画像データを収集する工程、
(iv)工程(i)及び(iii)で収集された前記画像データを3Dプリンタから拡大された画像を作成するためのフォーマットに変換する工程、
(v)工程ivからの前記データを使用して、3Dプリンタから前記少なくとも1つの毛髪表面の拡大された3Dモデルを生成する工程、
(vi)工程(iii)から生じる前記3Dモデルを工程(i)の前記3Dモデルと比較する工程、並びに
(vii)前記毛髪に対する損傷の程度を評価する工程
を含む、方法。
【請求項2】
工程(ii)〜(vii)を繰り返す工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
毛髪への有益な処理又はレジームの効果を決定する方法であって、
(i)少なくとも1つの毛髪表面の画像データを収集する工程、
(ii)工程(i)からの前記画像データを3Dプリンタから拡大された画像を作成するためのフォーマットに変換する工程、
(iii)工程(ii)からの前記データを使用して、3Dプリンタから前記少なくとも1つの毛髪表面の1つ又は複数の拡大された3Dモデルを生成する工程、
(iv)前記1つ又は複数の3Dモデルから明らかな前記毛髪表面の特性を分析する工程、
(v)前記毛髪への損傷の程度を評価する工程、
(vi)工程(iv)及び/又は(v)の知見を考慮して、好適な有益な処理又はレジームを前記毛髪に適用する工程、
(vii)工程(vi)から生じる前記少なくとも1つの毛髪表面の画像データを収集し、前記画像データを使用して処理された毛髪表面の拡大された3Dモデルを生成する工程、
(viii)工程(vii)から生じる前記3Dモデルを、工程(iii)から生じる前記3Dモデルと比較する工程、並びに
(ix)前記毛髪への有益な効果を評価する工程
を含む、方法。
【請求項4】
工程(i)後に、前記少なくとも1つの毛髪表面に少なくとも1つの攻撃を加え、その結果として生じる毛髪表面の画像データを収集する工程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程(vi)〜(ix)を繰り返す工程をさらに含む、請求項3又は請求項4に記載の方法。
【請求項6】
損傷の程度がスケールとの比較によって行われる、請求項3〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記有益な処理又はレジームが、前記毛髪に毛髪処理組成物を適用することを含む、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記毛髪処理組成物が、リンスオフヘアコンディショナー、ヘアマスク、リーブオンコンディショナー組成物、及び前処理組成物から選択される形態として前記毛髪に適用される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
関心のある領域を強調するために前記3Dモデルにカラーリンスを適用する工程をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記拡大された3Dが、100〜50,000、好ましくは30,000倍の倍率を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境的条件、機械的攻撃、化学的処理、及び毎日のヘアケアレジームなどの毛髪に対する攻撃の影響を分析する方法、並びに3D画像を使用して、毛髪に好適な処理を決定して適用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
HYUNG JIN AHNら:「An ultrastuctural study of hair fiber damage and restoration following treatment with permanent hair dye」INTERNATIONAL JOURNAL OF DERMATOLOGY、vol.41、no.2、2002年2月1日(2002−02−01)、88〜92頁、XP055270760、英国;は、電子顕微鏡を使用した毛髪繊維の損傷及び回復の超微細構造研究を開示している。
【0003】
VALERIA FERNANDES MONTEIROら:「Morphological analysis of polymers on hair fibers by SEM and AFM」、MATERIALS RESEARCH、vol.6、no.4、2003年12月1日(2003−12−01)、501〜506頁、XP055270758、BR;及びJACALYN G GOULDら:「Electron microscopy−image analysis:Quantification of ultrastructural changes in hair fiber cross sections as a result of cosmetic treatment;Presented at the Society of Cosmetic Chemists Annual Meeting」J.SOC.COSMET.CHEM、vol.36、1985年1月1日(1985−01−01)、53〜59頁、XP055270759は、毛髪繊維に対する処理の効果を分析するための画像化及び顕微鏡ベースのアプローチを開示している。
【0004】
GIERAD LAPUTら:「3D Printed Hair:Fused Deposition Modelling of Soft Strands,Fibers and Bristles」、USER INTERFACE SOFTWARE AND TECHNOLOGY、2015年1月1日(2015−01−01)、593〜597頁、XP055270761は、3D印刷による毛髪繊維の生成を開示している。
【0005】
国際公開第14041186A1号には、身体の3Dモデリングのためのソフトウェアなどのシステム又は構成要素が記載されている。
【0006】
消費者は、処理、プロトコル、及びヘアケアレジームなどのある特定の攻撃が、彼らの毛髪の表面及び構造に引き起こす可能性がある損傷を認識している。これらの有害な効果を緩和するための修復処理が利用可能であるが、コンセプトを消費者が把握することが困難であり、修復処理の完全な効果を完全に理解することが困難な場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第14041186A1号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】HYUNG JIN AHNら:「An ultrastuctural study of hair fiber damage and restoration following treatment with permanent hair dye」INTERNATIONAL JOURNAL OF DERMATOLOGY、vol.41、no.2、2002年2月1日(2002−02−01)、88〜92頁、XP055270760、英国;
【非特許文献2】VALERIA FERNANDES MONTEIROら:「Morphological analysis of polymers on hair fibers by SEM and AFM」、MATERIALS RESEARCH、vol.6、no.4、2003年12月1日(2003−12−01)、501〜506頁、XP055270758、BR;
【非特許文献3】JACALYN G GOULDら:「Electron microscopy−image analysis:Quantification of ultrastructural changes in hair fiber cross sections as a result of cosmetic treatment;Presented at the Society of Cosmetic Chemists Annual Meeting」J.SOC.COSMET.CHEM、vol.36、1985年1月1日(1985−01−01)、53〜59頁、XP055270759
【非特許文献4】GIERAD LAPUTら:「3D Printed Hair:Fused Deposition Modelling of Soft Strands,Fibers and Bristles」、USER INTERFACE SOFTWARE AND TECHNOLOGY、2015年1月1日(2015−01−01)、593〜597頁、XP055270761
【発明の概要】
【0009】
先行技術にもかかわらず、毛髪に対する処理及び攻撃の効果を決定する新規かつ改善された方法が必要とされ続けている。
【0010】
本発明の方法は、種々の処理及び攻撃にさらされた毛髪繊維の特性を評価するために使用することができる。
【0011】
第1の態様では、本発明は、毛髪への攻撃の効果を分析する方法であって、
(i)少なくとも1つの毛髪表面の画像データを収集する工程、
(ii)少なくとも1つの毛髪表面に少なくとも1つの攻撃を加える工程、
(iii)工程(ii)から生じる少なくとも1つの毛髪表面の画像データを収集する工程、
(iv)工程(i)及び(iii)で収集された画像データを3Dプリンタからの拡大された画像を作成するのに好適なフォーマットに変換する工程、
(v)工程ivからのデータを使用して、3Dプリンタから少なくとも1つの毛髪表面の拡大された3Dモデルを生成する工程、
(vi)工程(iii)から生じる3Dモデルを工程(i)の3Dモデルと比較する工程、並びに
(vii)毛髪への損傷の程度を評価する工程
を含む方法を提供する。
【0012】
好ましくは、工程(ii)〜(vii)が繰り返される。攻撃に対する繰り返し又は長期の曝露による影響を評価するために、工程(ii)〜(vii)を複数回繰り返してもよい。例えば、2〜20回、好ましくは2〜8回である。
【0013】
この方法は、本発明の方法の工程(v)における拡大された画像/3Dモデルに示される特性を、工程(i)からの初期の画像/3Dモデルと比較することを可能にする。
【0014】
拡大された画像に見られ得る特性は、毛髪繊維の外側のトポグラフィー側面、例えば、キューティクルリフト、キューティクル損傷(例えば、チッピング、割れ、形状の変化、及び破損)、キューティクルエロージョン、スプリットエンド、キンク、ブロブ、亀裂、穴、及び結び目である。これらは、方法の開始時の毛髪の年齢及び状態に応じて、初期の画像化段階(i)に存在し得る。したがって、彼らの通常の毛髪のレジームの影響及び彼らの毛髪によって被る他の毎日の攻撃の影響を消費者に説明することが可能である。
【0015】
画像は、好ましくはスケールと比較して、毛髪への損傷の程度を評価するために使用されてもよい。好ましくは、スケールは、インジケータ、例えば数字又は文字を含み、インジケータは、漸増レベルの損傷に対応する。別の好ましい実施形態では、損傷のスケールは、損傷の程度を段階的に示す写真又はCAD画像などのイラストを含む。インジケータとイラストの両方を一緒に使用してもよい。
【0016】
好ましい方法は、
(i)少なくとも1つの毛髪表面の画像データを収集する工程、
(ii)少なくとも1つの毛髪表面に少なくとも1つの攻撃を加える工程、
(iii)工程(ii)から生じる少なくとも1つの毛髪表面の画像データを収集する工程、
(iv)工程(i)及び(iii)で収集された画像データを3Dプリンタからの拡大された画像を作成するのに好適なフォーマットに変換する工程、
(v)工程ivからのデータを使用して、3Dプリンタから少なくとも1つの毛髪表面の拡大された3Dモデルを生成する工程、
(vi)工程(iii)から生じる3Dモデルを工程(i)から生じる3Dモデルと比較する工程、
(vii)毛髪への損傷の程度を評価する工程、並びに
(viii)工程(ii)〜(vii)を繰り返す工程
を含む。
【0017】
本発明の方法は、個々の毛髪のニーズを明確にするために使用することができる。
【0018】
本発明の方法は、教育ツール、プレス、メディア、又は顧客との通信、販売時、サロンなどの専門的環境、並びに商業的材料、広告材料、及び宣伝材料に使用されてもよい。
【0019】
本発明の第2の態様では、毛髪への有益な処理又はレジームの効果を決定する方法が提供される。本方法は、毛髪に好適な有益な処理又はレジームを適用する工程であって、処理が、3D画像の分析に従って決定される工程を含む。有益な処理の実装、又は個人が使用している処理に対する有益な変化は、本発明の方法内で想定される。例えば、拡大された3D画像において明らかにされた特性に好適な処理、例えば、リフトされたキューティクルのための処理、又は(脱色された毛髪に見られるような)滲出したキューティクルのための処理、又はスプリットエンドのための処理など。処理はまた、毛髪への損傷の程度の評価に従って決定されてもよい;又は3D画像の分析と損傷の程度の評価の両方の組み合わせによって決定されてもよい。有益なレジームには、例えば、ブロー乾燥から自然乾燥への切り替え、過酸化水素含有量が現在のものよりも低い毛髪着色剤処理への切り替え、損傷を受けたキューティクルに対するさらなる損傷を減らすためのコーミングの低減、毛髪の洗浄頻度の低減などの最新のレジームへ変更することが含まれる。リペア処理の定期的な使用などの新規の有益なレジームの実装も想定される。
【0020】
本発明の第2の態様の方法は、
(i)少なくとも1つの毛髪表面の画像データを収集する工程、
(ii)工程(i)及び任意の工程(ii)からの画像データを3Dプリンタから拡大された画像を作成するのに好適なフォーマットに変換する工程、
(iii)工程(iii)からのデータを使用して少なくとも1つの毛髪表面の(1又は複数の)拡大された3Dモデルを生成する工程、
(iv)(1又は複数の)3Dモデルから明らかな毛髪表面の特性を分析する工程、
(v)毛髪への損傷の程度を評価する工程、
(vi)工程(v)及び/又は(vi)の知見を考慮して、好適な有益な処理又はレジームを毛髪に適用する工程、
(vii)工程(vii)から生じる少なくとも1つの毛髪表面の画像データを収集し、画像データを使用して処理された毛髪表面の拡大された3Dモデルを生成する工程、
(viii)工程(viii)から生じる3Dモデルを、工程(i)又は工程(ii)から生じる3Dモデルと比較する工程、並びに
(ix)毛髪への有益な効果を評価する工程
を含む。
【0021】
このようにして、処理又はレジームを毛髪に適用することから生じる「平滑化」などの任意の表面改善を実証することが可能である。
【0022】
工程(vi)〜(ix)を繰り返してもよい。
【0023】
この方法では、工程(i)後に少なくとも1つの攻撃が少なくとも1つの毛髪表面に加えられ、得られる毛髪表面の画像データを収集されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】未処理の毛髪繊維の3D印刷オブジェクトである。
図2】脱色剤で4回処理された毛髪繊維の3D印刷オブジェクトである。
図3】脱色剤で8回処理された3D印刷オブジェクトである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
攻撃
多くの攻撃は、日常生活の間に、又は通常のヘアケアレジーム若しくは消費者の習慣の一部として発生する。
【0026】
攻撃は、好ましくは、機械的攻撃、化学的攻撃、環境的攻撃、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0027】
好ましい機械的攻撃は、コーミング、ブラッシングや、カーリング、矯正又はセッティングのためのホットアイロンの適用、及びブロー乾燥である。
【0028】
好ましい化学的攻撃は、毛髪を改質する化学物質を含有する処理であり、例えば着色処理、脱色、矯正処理、リラクシング処理、及び界面活性剤の使用、例えばシャンプーの使用である。
【0029】
好ましい環境的攻撃には、例えば、湿度、汚染、硬水、塩水、紫外線、風、及び極端な温度が含まれる。
【0030】
画像
好ましくは、画像は、トポグラフィック表面画像であり、より好ましくは、トポグラフィック表面画像は、Sensofar S neox又はレーザープロフィルメーターなどの3D光学プロファイラーを使用して生成される。
【0031】
トポグラフィック表面は、3Dプリンタに好適なフォーマットに変換され、好ましくは、トポグラフィック(3D)表面を記述する各点の空間座標(X、Y、Z)としてデジタルファイルにエクスポートされる。好ましくは、これは、プロフィルメーターを使用して完了される。好適なプロフィルメーターの一例は、調査される表面の3D画像を生成することができるSensofar S neoxプロフィルメーターである。プロフィロメーターソフトウェア、例えば、sensoSCAN v5は、各点のすべてのX、Y、Z座標のリストであるファイル「.dat」をエクスポートすることができる。
【0032】
好ましくは、拡大された3D画像は、100〜50,000、好ましくは30,000倍の倍率を有する。
【0033】
所望であれば、画像データの変換iv)は、拡大プロセスを含む。倍率は、好ましくは、解像度、単位、及び/又は座標軸の再スケールの変更によって達成され、新しい空間座標を有する新しいデジタルファイルを生成する。データポイントを拡大する好ましい方法は、Matlabを使用することである。この好ましい方法では、「.dat」ファイルをMatlabに行列としてインポートし、一連のMatlabスクリプトを使用して行列を操作し、解像度/スケールを変更する。行列が、各点のすべてのX、Y、Z座標のリストとして新しいASCIIファイル「.XYZ」にエクスポートされることが非常に好ましい。
【0034】
画像データは、3Dプリンタに好適な画像に変換される。好ましくは、ファイルは、3D−CADソフトウェアにインポートされ、3D表面を平行四辺形の面に適用して3Dオブジェクトを得る。得られた3D画像は、3Dプリンタ装置ソフトウェアと互換性のあるデジタルファイルにエクスポートされる。XYZファイルは、好ましくは、ソフトウェア変換パッケージ、例えば、それを3dファイルに変換して、.STLファイルとしてエクスポートすることができる「Rhino」ソフトウェアパッケージにインポートされる。
【0035】
3D画像を印刷して3Dオブジェクトを形成する。これは、入手可能な現代の3Dプリンタのいずれかを使用することで達成することができ、例は、EOS(Electro Optical Systems)EOSINT P380選択レーザー焼結プリンタ及び生成された拡大表面の3Dレプリカである。
【0036】
好ましくは、カラーリンスが3Dモデルに適用されて、関心のある領域を強調する。色は、表面の高さに応じて変えることができる。これは、キューティクルリフトの程度及び穴の深さなどを表示するのに有用である。
【0037】
毛髪
本発明の方法は、単一の毛髪繊維又は毛髪繊維束で実施することができる。
【0038】
毛髪は、好ましくはヒトの毛髪である。
【0039】
有益な処理及びレジーム
好ましい処理及びレジームは、毛髪への損傷の効果を低減又は緩和するものである。
【0040】
毛髪のための好ましい処理(工程vi)は、リンスオフ製品及びリーブオン製品である。好ましい毛髪処理組成物は、シャンプー、リンスオフヘアコンディショナー、ヘアマスク、リーブオンコンディショナー組成物、及び前処理組成物から選択され、より好ましくはリンスオフヘアコンディショナー、ヘアマスク、リーブオンコンディショナー組成物、及び前処理組成物、例えばオイル処理から選択され、最も好ましくはリンスオフヘアコンディショナー、ヘアマスク、及びリーブオンコンディショナー組成物から選択される。
【0041】
本発明で使用するためのリンスオフコンディショナーは、典型的には、濡れた毛髪の上に1〜2分間放置されてからすすぎ落とされるコンディショナーである。
【0042】
本発明で使用するためのヘアマスクは、典型的には、すすぎ落とされる前に、毛髪に3〜10分間、好ましくは3〜5分間、より好ましくは4〜5分間放置される処理である。
【0043】
本発明で使用するためのリーブオンコンディショナーは、典型的には、毛髪に適用され、毛髪上に10分超放置され、好ましくは、洗浄後に毛髪に適用され、次の洗浄まですすぎ落とされない。
【0044】
本発明の方法で使用するための処理組成物は、好ましくは、コンディショニング剤を含む。コンディショニング剤は、好ましくは、カチオン性界面活性剤から選択され、単独又は混合物として使用される。
【0045】
本発明の方法で使用するための組成物に有用なカチオン性界面活性剤は、水性組成物中に溶解したときに正に荷電されるアミノ又は第四級アンモニウム親水性部分を含有する。
【0046】
好適なカチオン性界面活性剤の例は、式
[N(R)(R)(R)(R)](X)
(式中、R、R、R、及びRは、独立して(a)1〜22個の炭素原子の脂肪族基;又は(b)最大22個の炭素原子を有する芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリール、若しくはアルカリル基から選択され;Xは、ハロゲン(例えば、クロリド、ブロミド)、酢酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、硝酸、硫酸、及びアルキル硫酸ラジカルから選択されるものなどの塩形成アニオンである)に対応するものである。
【0047】
脂肪族基は、炭素及び水素原子に加えて、エーテル結合、及びアミノ基などの他の基を含有することができる。より長い鎖の脂肪族基、例えば、約12個又はそれ以上の炭素原子の脂肪族基は、飽和又は不飽和であり得る。
【0048】
本発明の方法で使用するための組成物にとって最も好ましいカチオン性界面活性剤は、長いアルキル鎖がC〜C14であるモノアルキル第四級アンモニウム化合物である。
【0049】
そのような材料の好適な例は、式
[N(R)(R)(R)(R)](X)
(式中、Rは、8〜14個の炭素原子を有する炭化水素鎖又は8〜14個の炭素原子を有し、置換基として若しくはラジカル鎖中の結合として存在するエーテル、エステル、アミド若しくはアミノ部分を含有する官能化ヒドロカルビル鎖であり、R、R、及びRは、独立して(a)1〜約4個の炭素原子のヒドロカルビル鎖、又は(b)1〜約4個の炭素原子を有し、置換基若しくはラジカル鎖中の結合として存在する1つ以上の芳香族、エーテル、エステル、アミド、若しくはアミノ部分を含有する官能化ヒドロカルビル鎖から選択され、Xは、ハロゲン(例えばクロリド、ブロミド)、酢酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、硝酸、硫酸、及びアルキル硫酸ラジカルから選択されるものなどの塩形成アニオンである)に対応する。
【0050】
官能化ヒドロカルビル鎖(b)は、アルコキシ(好ましくはC−Cアルコキシ)、ポリオキシアルキレン、アルキルエステル、及びそれらの組み合わせから選択される1つ以上の親水性部分を好適に含有してもよい。
【0051】
好ましくは、炭化水素鎖Rは、12〜14個の炭素原子、最も好ましくは12個の炭素原子を含有する。それらは、所望のヒドロカルビル鎖長を有する相当量の脂肪酸を含有する原料油から誘導されてもよい。例えば、パーム核油又はヤシ油からの脂肪酸は、C〜C12ヒドロカルビル鎖の供給源として使用することができる。
【0052】
本発明の方法において使用するための組成物で使用するための上記一般式の典型的なモノアルキル第四級アンモニウム化合物は、以下のものが挙げられる:
(i)塩化ラウリルトリメチルアンモニウム(アクゾ(Akzo)からArquad C35として市販されている)、塩化ココジメチルベンジルアンモニウム(アクゾ(Akzo)からArquad DMCB−80として市販されている)、
(ii)式:
[N(R)(R)((CHCHO)H)((CHCHO)H](X)
の化合物
式中、
x+yは、2〜20の整数であり;
は、8〜14個、好ましくは12〜14個、最も好ましくは12個の炭素原子を有し、置換基として、又はラジカル鎖中の結合として存在するエーテル、エステル、アミド、若しくはアミノ部分を含有するヒドロカルビル鎖であり;
は、C−Cアルキル基又はベンジル基であり、好ましくはメチルであり、Xは、ハロゲン(例えば、クロリド、ブロミド)、酢酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、リン酸、硫酸、メト硫酸、及びアルキル硫酸ラジカルから選択されるものなどの塩形成アニオンである。
【0053】
好適な例は、塩化PEG−nラウリルアンモニウム(nはPEG鎖長である)、例えばPEG−2塩化ココモニウム(アクゾノーベル(Akzo Nobel)からEthoquad C12として市販されている);PEG−2塩化ココベンジルアンモニウム(アクゾノーベル(Akzo Nobel)からEthoquad CB12として市販されている);PEG−5ココモニウムメトサルフェート(レウォ(Rewo)からRewoquat CPEMして市販されている);PEG−15塩化ココモニウム(アクゾ(Akzo)からEthoquad C/25として市販されている)である。
【0054】
(iii)式:
[N(R)(R)(R)((CH OH)](X)
の化合物
式中、
nは、1〜4の整数、好ましくは2であり;
は、8〜14個、好ましくは12〜14個、最も好ましくは12個の炭素原子を有するヒドロカルビル鎖であり;
及びRは、C−Cアルキル基から独立して選択され、好ましくはメチルであり、
X−は、ハロゲン(例えばクロリド、ブロミド)、酢酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、硝酸、硫酸、アルキル硫酸ラジカルから選択されるものなどの塩形成アニオンである。
【0055】
好適な例は、塩化ラウリルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム(クラリアント(Clariant)からPrapagen HYとして市販されている)である。
【0056】
前述のカチオン性界面活性剤化合物のいずれかの混合物も好適であり得る。
【0057】
本発明の方法に使用するための毛髪組成物に使用するのに好適なカチオン性界面活性剤の例としては、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化オクチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化デシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジドデシルジメチルアンモニウム、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化タロートリメチルアンモニウム、塩化ココトリメチルアンモニウム、及びそれらの対応する水酸化物が挙げられる。さらに好適なカチオン性界面活性剤には、CTFA表記のクオタニウム−5、クオタニウム−31、及びクオタニウム−18を有するそれらの材料が含まれる。前述の材料のいずれかの混合物も好適であり得る。特に有用なカチオン性界面活性剤は、塩化セチルトリメチルアンモニウムであり、例えば、ヘンケル(Henkel)のDEHYQUARTとして市販されている。
【0058】
カチオン性界面活性剤のレベルは、全組成物の好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.05〜5重量%、最も好ましくは0.1〜2重量%である。
【0059】
好ましいコンディショナーは、コンディショニングゲル相を含む。そのようなコンディショナー及びそれらを作製するための方法は、国際公開第2014/016354号、同2014/016353号、同2012/016352号、及び同2014/016351号に記載されている。
【0060】
コンディショニング組成物はまた、他の任意の成分を含んでもよい。そのような成分としては、脂肪質、沈着ポリマー、及びさらなるコンディショニング剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
コンディショナー組成物は、好ましくは、脂肪質をさらに含む。コンディショニング組成物中の脂肪質とカチオン性界面活性剤との併用は、カチオン性界面活性剤が分散された構造化ラメラ又は液晶相の形成をもたらすので、特に有利であると考えられる。
【0062】
「脂肪物質」とは、脂肪族アルコール、アルコキシル化脂肪族アルコール、脂肪酸、又はそれらの混合物を意味する。
【0063】
好ましくは、脂肪物質のアルキル鎖は、完全に飽和される。
【0064】
代表的な脂肪物質は、8〜22個の炭素原子、より好ましくは16〜22個の炭素原子を含む。好適な脂肪族アルコールの例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びそれらの混合物が挙げられる。これらの材料の使用は、それらが組成物の全体的なコンディショニング特性に寄与するという点でも有利である。
【0065】
アルキル鎖中に約12〜約18個の炭素原子を有するアルコキシル化(例えば、エトキシル化又はプロポキシル化)脂肪族アルコールは、脂肪族アルコール自体の代わりに、又はそれに加えて使用することができる。好適な例としては、エチレングリコールセチルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(4)セチルエーテル、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0066】
コンディショナー中の脂肪物質のレベルは、組成物全体の0.01〜15重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%であるのが好適である。カチオン性界面活性剤と脂肪族アルコールとの重量比は、10:1〜1:10、好ましくは4:1〜1:8、最適には1:1〜1:7、例えば1:3であるのが好適である。
【0067】
さらなるコンディショニング成分には、脂肪族アルコールと脂肪酸とのエステル、例えばパルミチン酸セチルが含まれる。
【0068】
本発明で使用するためのコンディショニング組成物は、好ましくは、ミセル構造化液体を含んでもよい。
【0069】
本組成物を含むコンディショナーのpHは、好ましくは3〜5である。より好ましくは、組成物のpHは、4.5〜5.5である。
【0070】
組成物が3.10未満のpHを有する場合、それは、強烈な処理のためのコンディショニングマスクの形態であることが好ましい。
【0071】
さらなるコンディショニング成分には、好ましくはヤシ油及びオリーブ油から選択されるコンディショニング油が含まれる。
【0072】
ここで、本発明を以下の非限定的な実施例によって例示する。
【0073】
実施例
標本毛髪繊維をヒトの頭部からサンプリングし、未処理の標本を以下の方法に従って画像化した。次いで、その繊維を脱色剤で処理し、前述のように画像化した。
【0074】
脱色剤で処理する方法は以下の通りであった:
市販の家庭用脱色剤製品、ロレアルプラチン精密パウダーブリーチ及びエクセルクリームペルオキシド(9%Vol)を使用した。
【0075】
毛髪は濃い茶色のヨーロッパ人の毛髪で、7g/10インチのフラット・メタル・スイッチであった。
【0076】
脱色剤粉末(60g)及び過クリームペルオキシド(120g)を着色ボウルに入れ、滑らかでクリーミーな稠度に混合した。
【0077】
アルミニウム箔のシート上に毛髪のスイッチを(扇状に)広げた。
【0078】
新たに調製した脱色剤混合物を着色ブラシで毛髪に塗布し、それぞれの側にむらのない被覆を確保した。
【0079】
次いで、スイッチをアルミニウム箔に包み、周囲温度で30分間放置して進展させた。次いで、スイッチを箔から取り出し、スイッチを指で動かして脱色剤を完全に除去するために、タップの下で2分間すすいだ。
【0080】
繰り返し行う脱色攻撃の効果を示すために、スイッチを4又は8回脱色処理した。
【0081】
イメージング法
毛髪繊維のトポグラフィック表面は、Sensofar Sネオックスプロフィルメーターを有するセンソSCAN v5を使用してトポグラフィック(3D)表面を記述する各点の空間座標(X、Y、Z)としてデジタルファイルにエクスポートすることにより、3Dプリンタに好適なフォーマットに変換した。
【0082】
マトリックスとしてMatlabにインポートし、Matlabスクリプトを使用してマトリックスを操作し、解像度/スケールを変更することで、得られたデジタルファイルデータを拡大した。次いで、マトリックスを各点のすべてのX、Y、Z座標のリストとして新しいASCIIファイル「.XYZ」にエクスポートした。倍率は、30,000倍であった。
【0083】
画像データを3D−CADソフトウェアを使用して3Dプリンタに好適な画像に変換し、3D表面を平行四辺形の面に適用して3Dオブジェクトを得た。得られた3D画像は、「Rhino」ソフトウェアパッケージを使用して3Dプリンタ装置ソフトウェアと互換性のあるデジタルファイルにエクスポートして、それを3Dファイルに変換し、それを.STLファイルとしてエクスポートした。
【0084】
次いで、3D画像を印刷して3Dオブジェクトを形成した。これは、EOS(Electro Optical Systems)EOSINT P380選択的レーザー焼結プリンタ及び拡大表面の3D複製を使用することによって達成された。
【0085】
得られた3D画像を比較し分析することにより、毛髪に対する脱色攻撃の効果を実証した。
【0086】
結果を図1、2、及び3に示す。
【0087】
図1は、未処理の毛髪繊維の3D印刷オブジェクトである。
【0088】
図2は、脱色剤で4回処理された毛髪繊維の3D印刷オブジェクトである。
【0089】
図3は、脱色剤で8回処理された3D印刷オブジェクトである。
【0090】
毛髪繊維の表面特徴の正及び負の深さが分かり、視覚的及び触覚的の両方で、詳細にすべての態様を厳密に調べ得るようにオブジェクトを取り扱うことが可能である。脱色攻撃の効果は、キューティクルエロージョン及び毛髪表面の外側構造の損傷の局面が明らかである場合には明確である。
図1
図2
図3